説明

複素環式化合物ならびに炎症、血管形成および癌の治療におけるこれらの使用

式Iの選択された化合物は、VEGFによって媒介される疾患などの疾患の予防および治療に有効である。本発明は、新規な化合物、これらの類似体、プロドラッグおよび薬学的に許容される塩、医薬組成物ならびに癌などを含めた疾患および他の疾病または状態の予防および治療の方法を包含する。本発明は、このような化合物を製造するための工程およびこのような工程において有用な中間体にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、(その全体を参照により本明細書に組み込む)2006年12月20日出願の米国特許仮出願第60/876,283号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、医薬の分野に属し、特に炎症、血管形成および癌の治療用の化合物、組成物、使用および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
タンパク質キナーゼは、多様な細胞過程の調節に中心的役割を果たし、細胞機能の制御を維持するタンパク質の大ファミリーに相当する。このようなキナーゼの部分的なリストには、abl、Akt、bcr−abl、Blk、Brk、Btk、c−kit、c−Met、c−src、c−fms、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8、CDK9、CDK10、cRafl、CSF1R、CSK、EGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4、Erk、Fak、fes、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FGFR5、Fgr、flt−1、Fps、Frk、Fyn、Hck、IGF−1R、INS−R、Jak、KDR、Lck、Lyn、MEK、p38、PDGFR、PIK、PKC、PYK2、ros、tie、tie2、TRK、Yes、およびZap70が含まれる。このようなキナーゼの阻害は、重要な治療標的になっている。
【0004】
特定の疾患は、無秩序な血管形成(例えば、(糖尿病性網膜症を含む)網膜症などの眼の新血管形成、加齢による黄斑変性、乾癬、血管芽細胞腫、血管腫、動脈硬化、リウマチ様またはリウマチ性炎症性疾患、特に(関節リウマチを含む)関節炎などの炎症性疾患、または慢性ぜんそくなどの他の慢性炎症性障害、動脈または移植後アテローム性動脈硬化、子宮内膜症、および腫瘍性疾患、例えばいわゆる充実性腫瘍および(白血病などの)液状腫瘍)を伴うことが知られている。
【0005】
脈管系およびこの構成要素の成長および分化を調節するネットワークの中心に、胚発生および正常な成長の両方の間、および多数の病理学的異常および疾患において、「血管内皮増殖因子」(VEGF;もとは「血管透過因子」VPFと呼ばれていた)として知られている血管形成因子が、この細胞受容体とともに存在する(G.Breierら、Trends in Cell Biology、6巻:454−456頁(1996年)を参照されたい。)。
【0006】
VEGFは、「血小板由来増殖因子」(PDGF)と関係した二量体のジスルフィド結合した46キロダルトンの糖タンパク質であり;これは、正常な細胞系および腫瘍細胞系により産生され;内皮細胞に特異的なマイトジェンであり;インビボ試験系(例えば、ウサギ角膜)で血管形成活性を示し;内皮細胞および単球に走化性であり;内皮細胞においてプラスミノーゲン活性化因子を誘発し、これらは、毛細血管の形成の間、細胞外基質のタンパク質分解に関与している。VEGFのいくつかのイソ型が知られており、これらは、同程度の生物活性を示すが、これらを分泌する細胞のタイプが異なり、これらのヘパリン結合能力が異なる。さらに、「胎盤成長因子」(PIGF)およびVEGF−CなどのVEGFファミリーの他のメンバーがある。
【0007】
VEGF受容体(VEGFR)は、膜貫通受容体チロシンキナーゼである。これらは、7つの免疫グロブリン様ドメインを有する細胞外ドメインおよび細胞内チロシンキナーゼドメインによって特徴付けられる。様々なタイプのVEGF受容体が知られており、例えば、VEGFR−1(flt−1としても知られている)、VEGFR−2(KDRとしても知られている)、およびVEGFR−3である。
【0008】
多数のヒトの腫瘍、特に神経膠腫および癌腫は、高レベルのVEGFおよびその受容体を発現する。これは、腫瘍細胞により放出されたVEGFは、パラクリン方式で毛細血管の成長および腫瘍内皮の増殖を刺激し、改善された血液供給を通して腫瘍の成長を加速するという仮説をもたらした。増加したVEGFの発現は、神経膠腫の患者における脳水腫の発生を説明し得る。インビボでの腫瘍血管形成因子としてのVEGFの役割の直接証拠は、VEGF発現またはVEGF活性が阻害された研究において示されている。これは、抗VEGF抗体を用いて達成され、シグナル変換を阻害したドミナントネガティブVEGFR−2突然変異体を用いて達成され、アンチセンスVEGF RNA技術を用いて達成された。全ての取り組みは、阻害された腫瘍血管形成の結果としてインビボでの神経膠腫細胞系または他の腫瘍細胞系の成長の低下をもたらした。
【0009】
血管形成は、約1−2mmの直径を超えて成長する腫瘍にとっての絶対的な必要条件と見なされており、この限度まで、酸素および栄養物は、拡散により腫瘍細胞に供給され得る。全ての腫瘍は、その由来およびその原因にかかわらず、一定のサイズに到達した後、このようにその成長を血管形成に依存する。
【0010】
3つの主要な機構が、腫瘍に対する血管形成阻害剤の活性に重要な役割を果たしている。1)細胞死および増殖の間で達成されたバランスによって正味の腫瘍成長がないという結果をもたらす、血管のない静止腫瘍への血管、特に毛細血管の成長の阻害;2)腫瘍へ往復する血流がないことによる腫瘍細胞の移動の防止;ならびに3)内皮細胞増殖を阻害して、血管を正常に並べる内皮細胞による周辺組織に与えられるパラクリン成長刺激作用を回避すること。R.Connell and J.Beebe,Exp.Opin.Ther.Patents、11巻:77−114頁(2001年)を参照されたい。
【0011】
VEGFは、それらが、血管透過性増大および水腫の形成の原因となることが知られた唯一の血管増殖因子である点において独特である。実際、多くの他の成長因子の発現または投与と関係がある血管透過性増大および水腫は、VEGF産生により媒介されるようである。
【0012】
炎症性サイトカインは、VEGF産生を刺激する。低酸素は、多数の組織においてVEGFの著しい上方調節をもたらし、したがって、梗塞、閉塞、虚血、貧血、または循環障害を伴う状態は、典型的にVEGF/VPFによって媒介される応答を引き起こす。血管透過性増大、関連する水腫、改変された経内皮交換および高分子管外遊出(しばしば、漏出を伴う)は、過剰な基質沈着、異常な間質増殖、線維症などをもたらし得る。したがって、VEGFによって媒介される透過性増大は、これらの病因的特徴を有する障害の著しい原因となり得る。したがって、血管形成の調節因子は、重要な治療標的となっている。
【0013】
血管形成の阻害および腫瘍進行の抑制または逆転の間の関係についての最近の研究は、癌の治療における大きな有望性を示しており(Nature,390巻:404−407頁(1997年))、とりわけ単一阻害剤の作用と比較した複合血管形成阻害剤の使用は有望である。血管形成は、HGF、ならびに血管内皮増殖因子(VEGF)および塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)によって刺激され得る。
【0014】
血管形成、すなわち既存の血管系から新たな血管を生じる過程および動脈形成、すなわち小さな血管のより大きな導管血管への再形成は、両方とも成人組織における血管成長の生理学的に重要な態様である。血管成長のこれらの過程は、組織修復、創傷治癒、組織虚血からの回復および月経周期などの有益な過程に必要である。これらは、新形成の成長、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、乾癬、黄斑変性の特定の形態、および特定の炎症性病状などの病的状態の発現にも必要である。これらの文脈における血管成長の阻害も臨床前動物モデルにおいて有益な効果を示している。例えば、血管内皮増殖因子またはその受容体を遮断することによる血管形成の阻害は、腫瘍成長および網膜症の阻害をもたらしている。同様に、関節リウマチにおける病的パンヌス組織の発現は、血管形成を伴い、血管形成の阻害によって遮断され得る。
【0015】
血管成長を刺激する能力は、心筋梗塞、冠動脈疾患、末梢血管疾患、および脳卒中などの虚血により引き起こされた病状の治療に潜在的に有用である。虚血組織中の新たな血管の出芽および/または小さな血管の膨張は、虚血組織死を防ぎ組織修復を誘発する。特定の疾患は、無秩序な血管形成(例えば、(糖尿病性網膜症を含む)網膜症などの眼の新血管形成、加齢による黄斑変性、乾癬、血管芽細胞腫、血管腫、動脈硬化、リウマチ様またはリウマチ性炎症性疾患、特に(関節リウマチを含む)関節炎などの炎症性疾患、または慢性ぜんそくなどの他の慢性炎症性障害、動脈または移植後アテローム性動脈硬化、子宮内膜症、および腫瘍性疾患、例えばいわゆる充実性腫瘍および(白血病などの)液状腫瘍)を伴うことが知られている。
【0016】
T細胞は、免疫応答の調節に重要な役割を果たし、病原体への免疫を確立するために重要である。さらに、T細胞は、関節リウマチ、炎症性腸疾患、1型糖尿病、多発性硬化、シェーグレン病、重症筋無力症、乾癬およびループスなどの炎症性自己免疫疾患の間に、しばしば活性化される。T細胞活性化も、移植片拒絶反応、アレルギー反応、およびぜんそくの重要な構成要素である。
【0017】
T細胞は、細胞表面上に発現されたT細胞受容体(TCR)を介して特異的な抗原によって活性化される。この活性化が、細胞内に発現された酵素によって媒介された一連の細胞内シグナル伝達カスケードを誘発する(Kane,LPら、Current Opinion in Immunol.200、12巻、242頁)。これらのカスケードは、インターロイキン−2(IL−2)のようなサイトカインの産生をもたらす遺伝子調節事象を引き起こす。IL−2は、T細胞活性化における重要なサイトカインであり、特異的な免疫応答の増殖および増幅を引き起こす。
【0018】
シグナル変換において重要であることが示された酵素の1クラスは、キナーゼ酵素である。チロシンキナーゼのSrc−ファミリーのメンバーには、例えば、Lck、Fyn(B)、Fyn(T)、Lyn、Src、Yes、Hck、FgrおよびBlkが含まれる(総説については、Bolen,JBおよびBrugge、JS Annu.Rev.Immunol 1997、15巻、371頁を参照されたい。)。遺伝子破壊研究は、キナーゼのsrcファミリーのいくつかのメンバーの阻害が、潜在的に治療利益をもたらすことを示唆している。Src(−/−)マウスは、骨再形成における異常または大理石骨病を有し(Soriano、P.Cell、1991年、64巻、693頁)、このキナーゼの阻害は、骨粗鬆症などの骨吸収の疾患において有用であり得ることを示唆している。Lck(−/−)マウスは、T細胞成熟および活性化に欠陥を有し(Anderson,SJら、Adv.Immunol.、1994年、56巻、151頁)、このキナーゼの阻害は、T細胞により媒介された炎症の疾患において有用であり得ることを示唆している。さらに、Lckキナーゼ活性を生じる突然変異を有するヒトの患者が確認された(Goldman,FDら、J.Clin.Invest.1998年、102巻、421頁)。これらの患者は、重症複合免疫不全障害(SCID)を患っている。
【0019】
本発明で開示された化合物は、単一の生物学的過程への作用によってのみ薬理活性を所持していることを示唆することを望まず、上記化合物は、T細胞活性化をもたらす初期シグナル変換ステップに関与する複合タンパク質チロシンキナーゼの1種以上の阻害によって、例えばLckキナーゼの阻害によってT細胞活性化を調節すると考えられる。
【0020】
Srcファミリーキナーゼも、他の免疫細胞受容体の下流へのシグナル伝達のために重要である。Lckと同様に、Fynは、T細胞におけるTCRシグナル伝達に関与する(Appleby,MWら、Cell 1992年、70巻、751頁)。HckおよびFgrは、好中球活性化をもたらすFcγ受容体シグナル伝達に関与する(Vicentini,L.ら、J.Immunol.2002年、168巻、6446頁)。LynおよびSrcも、ヒスタミンおよび他のアレルギー媒介物の放出をもたらすFcγ受容体シグナル伝達に関与する(Turner,H.およびKinet、J−P Nature 1999年、402巻、B24頁)。これらの発見は、Srcファミリーキナーゼ阻害剤は、アレルギー性疾患およびぜんそくの治療において有用であり得ることを示唆している。
【0021】
PCT国際出願公開第03/000660号パンフレットは、置換フェニル化合物を記載している。置換キノリンは、米国特許第6,143,764号明細書に記載されている。国際公開第WO02/32872号パンフレットは、置換キノリンを記載している。国際公開第WO00/47212号パンフレットは、置換キナゾリン誘導体を記載している。
【0022】
本発明の化合物は、癌および炎症の治療について記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】PCT国際出願公開第03/000660号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,143,764号明細書
【特許文献3】国際公開第WO02/32872号パンフレット
【特許文献4】国際公開第WO00/47212号パンフレット
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】G.Breierら、Trends in Cell Biology、6巻:454−456頁(1996年)
【非特許文献2】R.Connell and J.Beebe,Exp.Opin.Ther.Patents、11巻:77−114頁(2001年)
【非特許文献3】Nature,390巻:404−407頁(1997年)
【非特許文献4】Kane,LPら、Current Opinion in Immunol.200、12巻、242頁
【非特許文献5】Bolen,JBおよびBrugge、JS Annu.Rev.Immunol 1997、15巻、371頁
【非特許文献6】Soriano、P.Cell、1991年、64巻、693頁
【非特許文献7】Anderson,SJら、Adv.Immunol.、1994年、56巻、151頁
【非特許文献8】Goldman,FDら、J.Clin.Invest.1998年、102巻、421頁
【非特許文献9】Appleby,MWら、Cell 1992年、70巻、751頁
【非特許文献10】Vicentini,L.ら、J.Immunol.2002年、168巻、6446頁
【非特許文献11】Turner,H.およびKinet、J−P Nature 1999年、402巻、B24頁
【発明の概要】
【0025】
癌および血管形成の治療に有用な化合物のクラスは、式I、
【0026】
【化1】

この鏡像異性体、ジアステレオマー、塩および溶媒和物によって定義される
[式中、
Xは、CRまたはNであり;
Yは、(C−C)アルキレン、または(C−C)アルケニレンであり、ここで、同一炭素原子上または隣接した炭素原子上の置換基は、結合してCからC員シクロアルキル環、またはC−Cヘテロシクリル環を形成することができ;
Zは、
【0027】
【化2】

であり;
pおよびpは、それぞれ独立に存在しないまたは結合であり;
は、出現ごとに、独立に
a)H、ハロ、または
b)アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、これらのいずれも、1つ以上のR10で独立に置換されていてよく;
は、H、NR、NHC(=O)NR、NHC(=S)NRであり、
またはRおよびRは、これらが結合している環と一緒になって結合して、キノリン、キナゾリン、アザインドール、ピロロ[2,3−d]ピリミジン、アザベンゾチオフェン、チエノ[3,2−b]ピリジン、ナフチリジン、およびアザインダゾールから選択される環を形成し、これらのいずれも1つ以上のR10で独立に置換されていてよく;
は、H、NHR、C(=O)NHR、NHC(=O)NR、NHC(=S)NRであり;
およびR4aは、H、およびアルキルから独立に選択され、またはRおよびR4aは、結合して=Oを形成し;
は、H、C(=O)NHR、NHC(=O)NHRまたはNHC(=O)Rであり;
は、H、ハロ、C(=O)NHRまたはNHC(=O)R、NHC(=O)NRであり;
は、出現ごとに独立に
a)H、または
b)アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、アルキル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、
ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、および2,3−ジヒドロインドールであり、これらのいずれも1つ以上のR10で独立に置換されていてよく;
10は、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シアノ、ニトロ、−NRまたは−C(=O)NR、NHC(=O)NRであり;
およびRは、独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、およびヘテロシクロアルキルであり、これらのいずれも1つ以上のR10で独立に置換されていてよい。]。
【0028】
式Iの好ましい化合物には、Zが、
【0029】
【化3】

であり、pが、存在しない化合物が含まれる。
【0030】
式Iの好ましい化合物には、Zが、
【0031】
【化4】

であり、pが、結合である化合物が含まれる。
【0032】
式Iの好ましい化合物には、Zが、
【0033】
【化5】

であり、pおよびpが、それぞれ存在しない化合物が含まれる。
【0034】
式Iの好ましい化合物には、Yが、メチレンである化合物が含まれる。
【0035】
式Iの好ましい化合物には、Yが、エテニレンである化合物が含まれる。
【0036】
式Iの好ましい化合物には、RおよびRが、それぞれ水素であり;または結合して6,7−ジメトキシキノリン、およびキノリンから選択される環を形成する化合物が含まれる。
【0037】
式Iの好ましい化合物には、Yが、CHであり;Rが、C(=O)NHR、またはNHC(=O)Rである化合物が含まれる。
【0038】
式Iの好ましい化合物には、Yが、CHであり;Rが、C(=O)NHR、またはNHC(=O)Rであり、RおよびRが、独立にフェニル、シクロアルキルまたは2,3−ジヒドロインドール(これらのいずれも、1つ以上のR10で独立に置換され得る。)である化合物が含まれる。
【0039】
本発明の好ましい化合物には、次の式IIの化合物、
【0040】
【化6】

これらの鏡像異性体、ジアステレオマー、塩および溶媒和物が含まれる
[式中、
およびRは、独立にHまたはアルコキシであり;
およびR4aは、それぞれ水素であり、またはRおよびRは、結合して=Oを形成し;
pは、存在しないまたは結合であり;
Xは、−C(=O)NH−、−NHC(=O)NH−または−NHC(=O)−であり、
10は、出現ごとに、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シアノ、ニトロ、−NRまたは−C(=O)NRから独立に選択され、
およびRは、独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、およびヘテロシクロアルキルであり、これらのいずれも1つ以上のR10で独立に置換されていてよく、
nは、0、1、2または3である。]。
【0041】
本発明の好ましい化合物には、次の式IIIの化合物、
【0042】
【化7】

これらの鏡像異性体、ジアステレオマー、塩および溶媒和物がさらに含まれる
[式中、
およびR4aは、それぞれ水素であり、またはRおよびRは、結合して=Oを形成し;
pは、存在しないまたは結合であり;
Xは、−C(=O)NH−、−NHC(=O)NH−または−NHC(=O)−であり;
10は、出現ごとに、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シアノ、ニトロ、−NRまたは−C(=O)NRから独立に選択され、
およびRは、独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、およびヘテロシクロアルキルであり、これらのいずれも1つ以上のR10で独立に置換されていてよく;
nは、0、1、2または3である。]。
【0043】
本発明の好ましい化合物には、次の式IVの化合物、
【0044】
【化8】

これらの鏡像異性体、ジアステレオマー、塩および溶媒和物が含まれる
[式中、
およびRは、独立にHまたはアルコキシであり;
およびR4aは、それぞれ水素であり、またはRおよびRは、結合して=Oを形成し;
およびRは、独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、およびヘテロシクロアルキルであり、これらのいずれも1つ以上のR10で独立に置換されていてよい。]。
【0045】
本発明は、さらに、上記化合物を含む(contining)医薬組成物に関する。
【0046】
本発明は、さらに、対象における癌の治療方法に関し、前記方法は、上記に示された化合物の有効量を投与することを含む。
【0047】
本発明は、さらに、対象における血管形成の治療方法に関し、前記方法は、上記に示された化合物の有効量を投与することを含む。
【0048】
本発明は、さらに、哺乳類における増殖に関連した障害の治療方法に関し、前記方法は、上記(abouve)に示された化合物の有効量を投与することを含む。
【0049】
本発明は、さらに、対象における腫瘍中の血流の低減方法に関し、前記方法は、上記に示された化合物の有効量を投与することを含む。
【0050】
本発明は、さらに、対象における腫瘍中の血流の低減方法に関し、前記方法は、上記に示された化合物の有効量を投与することを含む。
【0051】
本発明は、さらに、対象における腫瘍のサイズの低減方法に関し、前記方法は、上記に示された化合物の有効量を投与することを含む。
【0052】
本発明は、さらに、対象における糖尿病性網膜症の治療方法に関し、前記方法は、上記に示された化合物の有効量を投与することを含む。
【0053】
本発明は、さらに、哺乳類における炎症の治療方法に関し、この方法は、上記に示された化合物の治療有効量を哺乳類に投与することを含む。
【0054】
本発明は、さらに、哺乳類におけるT細胞活性化の阻害方法に関し、この方法は、上記に示された化合物の治療有効量を哺乳類に投与することを含む。
【0055】
本発明は、さらに、哺乳類における関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、または骨関節炎の治療方法に関し、この方法は、上記に示された化合物の治療有効量を哺乳類に投与することを含む。
【0056】
本発明は、さらに、哺乳類における臓器移植拒絶、急性移植拒絶または異種移植片拒絶または同種移植片拒絶、または移植寛容誘導の治療方法に関し、この方法は、上記に示された化合物の治療有効量を哺乳類に投与することを含む。
【0057】
本発明は、さらに、哺乳類における虚血性傷害または再かん流傷害、心筋梗塞、または脳卒中の治療方法に関し、この方法は、上記に示された化合物の治療有効量を哺乳類に投与することを含む。
【0058】
本発明は、さらに、哺乳類における多発性硬化、(潰瘍性大腸炎、クローン病、ループス、接触過敏症、遅延型過敏症、グルテン過敏性腸疾患を含めた)炎症性腸疾患、1型糖尿病、乾癬、接触性皮膚炎、橋本甲状腺炎、シェーグレン症候群、自己免疫性甲状腺機能亢進症、アジソン病、自己免疫性多腺疾患、自己免疫性脱毛症、悪性貧血、白斑、自己免疫性下垂体機能低下症、ギラン・バレー症候群、糸球体腎炎、血清病、じんましん(uticaria)、アレルギー疾患、ぜんそく、枯草熱、アレルギー性鼻炎、スクレラシエルマ(scleracielma)、菌状息肉腫、皮膚筋炎、円形脱毛、慢性光線性皮膚炎、湿疹、ベーチェット病、掌蹠膿疱症(Pustulosis palmoplanteris)、壊疽性膿皮症(Pyoderma gangrenum)、セザリー症候群、アトピー性皮膚炎、全身性強皮症、原局性強皮症またはアトピー性皮膚炎の治療方法に関し、この方法は、上記に示された化合物の治療有効量を哺乳類に投与することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0059】
適応症
本発明の化合物は、それだけには限らないが、血管形成に関連した疾患の予防または治療に有用である。本発明の化合物は、VEGFR/KDR、c−kit、およびablなどのキナーゼ阻害活性を有する。本発明の化合物は、抗新形成剤として、またはVEGFの有害効果を最小化するために治療において有用である。本発明の化合物は、lckおよびsrc活性も阻害する。
【0060】
本発明の化合物は、それだけには限らないが、膀胱、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺(小細胞肺癌を含む)、食道、胆嚢、卵巣、膵臓、胃、頸部、甲状腺、前立腺、および皮膚(扁平上皮細胞癌を含む)の癌などの癌腫;リンパ系の造血系腫瘍(白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫およびバーキット(Burkett’s)リンパ腫を含む);骨髄細胞系列の造血系腫瘍(急性および慢性骨髄性白血病、脊髄形成異常性症候群および前骨髄球性白血病を含む);間葉由来の腫瘍(線維肉腫および横紋筋肉腫、および他の肉腫、例えば、軟組織および骨を含む);中枢および末梢神経系の腫瘍(星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫および神経鞘腫を含む);ならびに他の腫瘍(メラノーマ、セミノーマ、テラトカルシノーマ、骨肉腫、色素性乾皮症(xenoderoma pigmentosum)、角化棘細胞腫(keratoctanthoma)、甲状腺濾胞腺癌およびカポジ肉腫を含む)を含めた癌および転移を含めた新形成の治療に有用である。
【0061】
化合物は、肺癌、結腸癌および乳癌から選択される新形成の治療に有用であることが好ましい。
【0062】
化合物は、角膜移植拒絶、眼の新血管形成、損傷または感染後の新血管形成を含めた網膜の新血管形成、糖尿病性網膜症、水晶体後線維増殖症および血管形成緑内障;網膜虚血;硝子体出血などの眼科状態;胃潰瘍などの潰瘍性疾患;小児血管腫を含めた血管腫、鼻咽頭の血管線維腫および骨の虚血壊死などの病的であるが非悪性の状態;ならびに子宮内膜症などの女性生殖器系の障害の治療にも有用である。化合物は、水腫、および血管透過性増大の状態の治療にも有用である。
【0063】
本発明の化合物は、増殖性疾患の治療において有用である。これらの化合物は、(種々の炎症性リウマチ様疾患、特に関節リウマチ、若年性関節炎または乾癬性関節症を含めた慢性多発性関節炎などの)炎症性リウマチ様またはリウマチ性疾患、特に運動器官における徴候のあるもの;(全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、皮膚関節炎、全身性強皮症(sclerodermia)または混合性膠原病などの)腫瘍随伴症候群または腫瘍により誘発された炎症性疾患、混濁性滲出液、膠原病;(生きている病原生物を、身体の感染部分にまたは感染部分中に見いだせない)感染後関節炎、強直性脊椎炎などの血清反応陰性脊椎関節炎;脈管炎、サルコイドーシス、または関節症;またはさらなるこれらの任意の組合せの治療に使用し得る。炎症に関連した障害の一例は、(それが結晶誘発性でない限り、滑膜炎の特定の形態のいずれか、特に滑液嚢滑膜炎および化膿性滑膜炎を含めた)滑膜の炎症、例えば、滑膜炎である。このような滑膜の炎症は、例えば、疾患(例えば、関節炎、例えば、骨関節炎、関節リウマチまたは変形性関節炎)の結果として起こりまたはこれに伴って起こることがある。本発明は、炎症(例えば、腱画または腱鞘の領域における関節または運動器官の炎症性疾患または状態)の全身的治療にさらに適用できる。このような炎症は、例えば、(特に、腱付着部障害(insertion endopathy)、筋筋膜(myofasciale)症候群およびテンドミオシス(tendomyosis)などの状態を含む)疾患、またはさらに(本発明のより広義において)外科的介入の結果として起こりまたはこれに伴って起こることがある。本発明は、さらに、炎症の治療、例えば、皮膚筋炎および筋炎を含めた結合組織の炎症性疾患または状態に特に適用できる。
【0064】
これらの化合物は、(関節炎、アテローム性動脈硬化、乾癬、血管腫、心筋血管形成、冠状動脈側副枝および大脳側副枝、虚血性四肢血管形成、創傷治癒、消化性潰瘍ヘリコバクターに関連した疾患、骨折、猫引っかき熱、ルベオーシス、血管形成緑内障および糖尿病性網膜症または黄斑変性を伴うものなどの網膜症などの)疾患状態に対する活性薬剤として使用され得る。さらに、これらの化合物のいくつかは、固形腫瘍、悪性腹水、造血系癌および甲状腺過形成(特にグレーブス病)などの過剰増殖性障害、および(多嚢胞性卵巣症候群(スタインレーベンタール症候群)に特徴的な卵巣支質の血管過剰増生などの)シストに対する活性薬剤として使用し得る。というのは、このような疾患は、増殖および/または転移のために血管細胞の増殖を必要とするからである。
【0065】
さらに、これらの化合物のいくつかは、熱傷、慢性肺疾患、脳卒中、ポリープ、アナフィラキシー、慢性およびアレルギー性炎症、卵巣過剰刺激症候群、脳腫瘍に関連した脳水腫、高山病、外傷または低酸素症により誘発された脳水腫または肺水腫、眼および黄斑水腫、腹水症、および(血管透過性増大、浸出、浸出液、タンパク質管外遊出、または水腫が、疾患の兆候である)他の疾患に対する活性薬剤として使用し得る。上記化合物は、タンパク質管外遊出が、フィブリンおよび細胞外基質の沈着をもたらし、基質の増殖を促進する障害(例えば、線維症、肝硬変および手根管症候群)の治療においても有用である。
【0066】
本発明の化合物は、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、モーレン潰瘍および潰瘍性大腸炎を含めた潰瘍の治療においても有用である。
【0067】
本発明の化合物は、望ましくない血管形成、水腫、または基質沈着が、(単純ヘルペス、帯状ヘルペス、AIDS、カポジ肉腫、原虫感染症およびトキソプラズマ症などの)ウイルス感染において生じ、(外傷、放射線、脳卒中、子宮内膜症、卵巣過剰刺激症候群、全身性ループス、サルコイドーシス、滑膜炎、クローン病、鎌状赤血球貧血、ライム病、類天疱瘡、パジェット病、過粘稠度症候群、オスラー−ウェーバー−ランデュ病、慢性炎症、慢性閉塞肺疾患、ぜんそく、および炎症性リウマチ様またはリウマチ性疾患)に続いて生ずる状態の治療においても有用である。上記化合物は、皮下脂肪の低減においても有用であり、肥満の治療用にも有用である。
【0068】
本発明の化合物は、網膜症および黄斑変性に加えて、眼水腫および黄斑水腫、眼の新生血管疾患、強膜炎、放射状角膜切除術、ブドウ膜炎、硝子体炎、近視、視窩、慢性網膜剥離、レーザー処置後の合併症、緑内障、結膜炎、シュタルガルト病およびイールズ病などの眼の状態の治療においても有用である。
【0069】
本発明の化合物は、アテローム性動脈硬化、再狭窄、動脈硬化、血管閉塞および頸動脈閉塞性疾患などの心臓血管状態の治療においても有用である。
【0070】
本発明の化合物は、固形癌、肉腫(特に、ユーイング肉腫および骨肉腫)、網膜芽腫、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、白血病およびリンパ腫を含めた造血系悪性腫瘍、腫瘍により誘発される胸膜滲出または心膜滲出液、および悪性腹水などの癌に関連する適応症の治療においても有用である。
【0071】
本発明の化合物は、糖尿病性網膜症および糖尿病性細小血管障害などの糖尿病状態の治療においても有用である。
【0072】
したがって、本発明は、哺乳類における炎症の治療方法に関し、この方法は、上記の実施形態のいずれか一つによる化合物の治療有効量を哺乳類に投与することを含む。
【0073】
本発明は、哺乳類におけるT細胞活性化の阻害方法に関し、この方法は、上記の実施形態のいずれか一つによる化合物の治療有効量を哺乳類に投与することを含む。
【0074】
本発明は、哺乳類における関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、または骨関節炎の治療方法に関し、この方法は、上記の実施形態のいずれか一つによる化合物の治療有効量を哺乳類に投与することを含む。
【0075】
本発明は、哺乳類における臓器移植拒絶、急性移植拒絶または異種移植片拒絶または同種移植片拒絶、または移植寛容誘導の治療方法に関し、この方法は、上記の実施形態のいずれか一つによる化合物の治療有効量を哺乳類に投与することを含む。
【0076】
本発明は、哺乳類における虚血性および再かん流傷害、心筋梗塞、または脳卒中の治療方法に関し、この方法は、上記の実施形態のいずれか一つによる化合物の治療有効量を哺乳類に投与することを含む。
【0077】
本発明の化合物は、他のタンパク質キナーゼの阻害剤(例えば、tie−2、lck、src、fgf、ron、およびret)としても作用することがあり、したがって、他のタンパク質キナーゼに関連する疾患の治療において有効であり得る。本発明の化合物は、c−kit、ablおよびVEGFRを含めた上記で確認されたチロシンキナーゼの突然変異体の阻害剤としても作用し得る。
【0078】
ヒトの治療に有用であること以外に、これらの化合物は、哺乳類、齧歯類などを含めたコンパニオンアニマル、珍しい動物および家畜の獣医治療にも有用である。より好ましい動物には、ウマ、イヌ、およびネコが含まれる。
【0079】
本明細書で使用される本発明の化合物には、薬学的に許容されるこれらの誘導体が含まれる。
【0080】
複数形態が、化合物、塩などに使用される場合、これは、単一の化合物、塩なども意味するものと解釈される。
【0081】
定義
「血管形成」は、組織内かん流(perfasion)に役立つ既存の血管床の任意の変化または新たな脈管構造の形成として定義される。これには、サイズ、成熟度、方向または流動性を変えて組織の血液かん流を改善するための既存の血管からの内皮細胞の萌芽による新たな血管の形成、または既存血管のリモデリングが含まれる。
【0082】
本明細書で使用される用語「治療すること」、「治療」、および「療法」は、治癒的療法、予防的療法、および防止的療法を指す。
【0083】
本明細書で使用される用語「哺乳類」は、ヒト、ウシ、ウマ、イヌおよびネコを含めた哺乳類として分類される任意の哺乳類を指す。本発明の好ましい実施形態においては、哺乳類は、ヒトである。
【0084】
用語「治療」には、治療的治療および予防的治療(個人において障害の発現を完全に防止することまたは障害の前臨床的に明らかな段階の発現を遅らせることのいずれか)が含まれる。
【0085】
「薬学的に許容される誘導体」は、本発明の化合物の任意の塩、エステル、または(血管形成を阻害する能力によって特徴付けられる、患者に投与した後本発明の化合物、またはその代謝産物もしくは残基を(直接的または間接的に)提供し得る任意の他の化合物を意味する。
【0086】
「治療有効な」という語句は、別の療法に典型的に伴う有害副作用を回避しながら、各薬剤自体の処置を通して障害の重篤性および発現の頻度における改善の目標を達成する各薬剤の量を適格とするよう意図されている。例えば、有効な新生物治療薬は、患者の生存性を延長し、新生物に伴い急速に増殖する細胞成長を阻害し、または新生物の退行を生じる。
【0087】
「H」という用語は、1個の水素原子を意味する。この基は、例えば、酸素原子に結合してヒドロキシル基を形成し得る。
【0088】
「アルキル」という用語が、単独でまたは「ハロアルキル」および「アルキルアミノ」などの他の用語の中のいずれかで使用される場合、これは、1から約12個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖基を包含する。より好ましいアルキル基は、1から約6個の炭素原子を有する「低級アルキル」基である。このような基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシルなどが含まれる。より一層好ましいのは、1または2個の炭素原子を有する低級アルキル基である。「アルキレニル」(または「アルキレン」)という用語は、メチレニル(メチレン)およびエチレニル(エチレン)などの架橋二価アルキル基を包含する。「Rで置換された低級アルキル」という用語は、アセタール部分を含まない。
【0089】
「アルケニル」という用語は、2から約12個の炭素原子の少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖基を包含する。より好ましいアルケニル基は、2から約6個の炭素原子を有する「低級アルケニル」基である。最も好ましい低級アルケニル基は、2から約4個の炭素原子を有する基である。アルケニル基の例には、エテニル、プロペニル、アルキル、プロペニル、ブテニルおよび4−メチルブテニルが含まれる。「アルケニル」および「低級アルケニル」という用語は、「シス」および「トランス」配置、または代わりに、「E」および「Z」配置を有する基を包含する。「アルケニレン」という用語は、架橋二価アルキレン基を包含する。
【0090】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有し2から約12個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖基を意味する。より好ましいアルキニル基は、2から約6個の炭素原子を有する「低級アルキニル」基である。最も好ましいのは、2から約4個の炭素原子を有する低級アルキニル基である。このような基の例には、プロパルギル、ブチニルなどが含まれる。
【0091】
「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子などのハロゲンを意味する。
【0092】
「ハロアルキル」という用語は、アルキル炭素原子の任意の1個以上が、上記に定義されたハロで置換されている基を包含する。特に包含されるのは、モノハロアルキル、ジハロアルキルおよびペルハロアルキルを含めたポリハロアルキル基である。一例として、モノハロアルキル基は、その基の中にヨード、ブロモ、クロロまたはフルオロ原子のいずれかを有し得る。ジハロおよびポリハロアルキル基は、2個以上の同じハロ原子または異なるハロ基の組合せを有し得る。「低級ハロアルキル」は、1−6個の炭素原子を有する基を包含する。より一層好ましいのは、1から3個の炭素原子を有する低級ハロアルキル基である。ハロアルキル基の例には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチルおよびジクロロプロピルが含まれる。「ペルフルオロアルキル」は、全ての水素原子をフルオロ原子で置き換えたアルキル基を意味する。例には、トリフルオロメチルおよびペンタフルオロエチルが含まれる。
【0093】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、それらのいずれの1つも、1個以上のヒドロキシル基で置換され得る、1から約10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基を包含する。より好ましいヒドロキシアルキル基は、1から6個の炭素原子および1個以上のヒドロキシル基を有する「低級ヒドロキシアルキル」基である。このような基の例には、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、およびヒドロキシヘキシルが含まれる。より一層好ましいのは、1から3個の炭素原子を有する低級ヒドロキシアルキル基である。
【0094】
「アルコキシ」という用語は、1から約10個の炭素原子のアルキル部分をそれぞれ有する直鎖または分枝鎖オキシ含有基を包含する。より好ましいアルコキシ基は、1から6個の炭素原子を有する「低級アルコキシ」基である。このような基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびtert−ブトキシが含まれる。より一層好ましいのは、1から3個の炭素原子を有する低級アルコキシ基である。アルコキシ基は、フルオロ、クロロまたはブロモなどの1個以上のハロ原子でさらに置換されて「ハロアルコキシ」基が得られる。より一層好ましいのは、1から3個の炭素原子を有する低級ハロアルコキシ基である。このような基の例には、フルオロメトキシ、クロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、フルオロエトキシおよびフルオロプロポキシが含まれる。
【0095】
単独でまたは組合せで「アリール」という用語は、単環または二環を含む炭素環式芳香族系を意味し、ここで、このような環は、縮合方式で一緒に結合していてよい。「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、インデニル、テトラヒドロナフチル、およびインダニルなどの芳香族基を包含する。より好ましいアリールは、フェニルである。前記「アリール」基は、低級アルキル、ヒドロキシル、ハロ、ハロアルキル、ニトロ、シアノ、アミノ、アルコキシおよび低級アルキルアミノなどの1から3個の置換基を有し得る。−O−CH−O−で置換されたフェニルは、アリールベンゾジオキソリル置換基を形成する。
【0096】
「ヘテロシクリル」という用語は、飽和、部分飽和および不飽和ヘテロ原子含有環基を包含し、ここで、これらのヘテロ原子は、窒素、硫黄および酸素から選択され得る。これは、−O−O−、−O−S−または−S−S−部分を含有する環を含まない。前記「ヘテロシクリル」基は、ヒドロキシル、Boc、ハロ、ハロアルキル、シアノ、低級アルキル、低級アラルキル、オキソ、低級アルコキシ、アミノおよび低級アルキルアミノなどの1から3個の置換基を有し得る。
【0097】
飽和複素環式基の例には、1から4個の窒素原子を含有する飽和3から6員複素単環式基[例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピロリニル、ピペラジニル];1から2個の酸素原子および1から3個の窒素原子を含有する飽和3から6員複素単環式基[例えば、モルホリニル];1から2個の硫黄原子および1から3個の窒素原子を含有する飽和3から6員複素単環式基[例えば、チアゾリジニル]が含まれる。部分飽和ヘテロシクリル基の例には、ジヒドロチエニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフリルおよびジヒドロチアゾリルが含まれる。
【0098】
「ヘテロアリール」基とも称される不飽和複素環式基の例には、1から4個の窒素原子を含有する不飽和5から6員複素単環式(heteromonocyclyl)基、例えば、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル[例えば、4H−1,2,4−トリアゾリル、1H−1,2,3−トリアゾリル、2H−1,2,3−トリアゾリル];1個の酸素原子を含有する不飽和5から6員複素単環式基、例えば、ピラニル、2−フリル、3−フリルなど;1個の硫黄原子を含有する不飽和5から6員複素単環式基、例えば、2−チエニル、3−チエニルなど;1から2個の酸素原子および1から3個の窒素原子を含有する不飽和5から6員複素単環式基、例えば、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル[例えば、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル];1から2個の硫黄原子および1から3個の窒素原子を含有する不飽和5から6員複素単環式基、例えば、チアゾリル、チアジアゾリル[例えば、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル]が含まれる。
【0099】
ヘテロシクリルという用語は、複素環式基が、アリール基と融合/縮合している基:1から5個の窒素原子を含有する不飽和縮合複素環式基、例えば、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル[例えば、テトラゾロ[1,5−b]ピリダジニル];1から2個の酸素原子および1から3個の窒素原子を含有する不飽和縮合複素環式基[例えば、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル];1から2個の硫黄原子および1から3個の窒素原子を含有する不飽和縮合複素環式基[例えば、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル];ならびに1から2個の酸素または硫黄原子を含有する飽和、部分不飽和および不飽和縮合複素環式基[例えば、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニルおよびジヒドロベンゾフリル]も包含する。好ましい複素環式基には、5から10員融合または非融合基が含まれる。ヘテロアリール基のより好ましい例には、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ピリジル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、フリル、およびピラジニルが含まれる。他の好ましいヘテロアリール基は、チエニル、フリル、ピロリル、インダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピペリジニルおよびピラジニルから選択される、硫黄、窒素および酸素から選択される1または2個のヘテロ原子を含有する5または6員ヘテロアリールである。
【0100】
非窒素含有ヘテロシクリルの特定の例には、ピラニル、2−フリル、3−フリル、
2−チエニル、3−チエニル、ベンゾフリル、ベンゾチエニルなどが含まれる。
【0101】
部分飽和および飽和ヘテロシクリルの特定の例には、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピロリニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリジニル、ジヒドロチエニル、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキサニル、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾフリル、イソクロマニル、クロマニル、1,2−ジヒドロキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリル、2,3,4,4a,9,9a−ヘキサヒドロ−1H−3−アザ−フルオレニル、5,6,7−トリヒドロ−1,2,4−トリアゾロ[3,4−a]イソキノリニル、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジニル、ベンゾ[1,4]ジオキサニル、2,3−ジヒドロ−1H−1λ’−ベンゾ[d]イソチアゾール−6−イル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフリルおよびジヒドロチアゾリルなどが含まれる。
【0102】
「カルボキシ」または「カルボキシル」という用語は、単独で使用されるまたは「カルボキシアルキル」などの他の用語と一緒に使用されるにかかわらず−COHを意味する。
【0103】
「カルボニル」という用語は、単独で使用されるまたは「アミノカルボニル」などの他の用語と一緒に使用されるにかかわらず、−(C=O)−を意味する。
【0104】
「アミノカルボニル」という用語は、式−C(=O)NHのアミド基を意味する。
【0105】
「N−アルキルアミノカルボニル」および「N,N−ジアルキルアミノカルボニル」という用語は、それぞれ1または2個のアルキル基で独立に置換されたアミノカルボニル基を意味する。より好ましいのは、アミノカルボニル基に結合している上記に記載された低級アルキル基を有する「低級アルキルアミノカルボニル」である。
【0106】
「N−アリールアミノカルボニル」および「N−アルキル−N−アリールアミノカルボニル」という用語は、それぞれ1個のアリール基、または1個のアルキルおよび1個のアリール基で置換されたアミノカルボニル基を意味する。
【0107】
「ヘテロシクリルアルキレニル」および「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、複素環で置換されたアルキル基を包含する。より好ましいヘテロシクリルアルキル基は、1から6個の炭素原子のアルキル部分および5または6員ヘテロアリール基を有する「5または6員ヘテロアリールアルキル」基である。より一層好ましいのは、1から3個の炭素原子のアルキル部分を有する低級ヘテロアリールアルキレニル基である。例には、ピリジルメチルおよびチエニルメチルなどの基が含まれる。
【0108】
「アラルキル」(または「アリールアルキル」)という用語は、アリールで置換されたアルキル基を包含する。好ましいアラルキル基は、1から6個の炭素原子を有するアルキル基に結合しているアリール基を有する「低級アラルキル」基である。より一層好ましいのは、1から3個の炭素原子を有するアルキル部分に結合している「フェニルアルキレニル」である。このような基の例には、ベンジル、ジフェニルメチルおよびフェニルエチルが含まれる。前記アラルキル中のアリールは、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル(halkoalkyl)およびハロアルコキシでさらに置換され得る。
【0109】
「アルキルアミノ」という用語は、アミノ基が、それぞれ1個のアルキル基で、および2個のアルキル基で独立に置換されている「N−アルキルアミノ」および「N,N−ジアルキルアミノ」を包含する。より好ましいアルキルアミノ基は、窒素原子に結合している、1から6個の炭素原子の1または2個のアルキル基を有する「低級アルキルアミノ」基である。より一層好ましいのは、1から3個の炭素原子を有する低級アルキルアミノ基である。適切なアルキルアミノ基は、N−メチルアミノ、N−エチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノなどのモノまたはジアルキルアミノである。
【0110】
「アリールアミノ」という用語は、N−フェニルアミノなどの、1または2個のアリール基で置換されているアミノ基を意味する。アリールアミノ基は、この基のアリール環部分でさらに置換され得る。
【0111】
「ヘテロアリールアミノ」という用語は、N−チエニルアミノなどの、1または2個のヘテロアリール基で置換されているアミノ基を意味する。「ヘテロアリールアミノ」基は、この基のヘテロアリール環部分でさらに置換され得る。
【0112】
「アラルキルアミノ」という用語は、1または2個のアラルキル基で置換されているアミノ基を意味する。より好ましいのは、N−ベンジルアミノなどのフェニル−C−C−アルキルアミノ基である。アラルキルアミノ基は、アリール環部分でさらに置換され得る。
【0113】
「N−アルキル−N−アリールアミノ」および「N−アラルキル−N−アルキルアミノ」という用語は、1個のアミノ基に対してそれぞれ1個のアラルキルおよび1個のアルキル基、または1個のアリールおよび1個のアルキル基で独立に置換されているアミノ基を意味する。
【0114】
「アミノアルキル」という用語は、それらのいずれの1つも、1個以上のアミノ基で置換され得る、1から約10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基を包含する。より好ましいアミノアルキル基は、1から6個の炭素原子および1個以上のアミノ基を有する「低級アミノアルキル」基である。このような基の例には、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチルおよびアミノヘキシルが含まれる。より一層好ましいのは、1から3個の炭素原子を有する低級アミノアルキル基である。
【0115】
「アルキルアミノアルキル」という用語は、アルキルアミノ基で置換されたアルキル基を包含する。より好ましいアルキルアミノアルキル基は、1から6個の炭素原子のアルキル基を有する「低級アルキルアミノアルキル」基である。より一層好ましいのは、1から3個の炭素原子のアルキル基を有する低級アルキルアミノアルキル基である。適切なアルキルアミノアルキル基は、N−メチルアミノメチル、N,N−ジメチル−アミノエチル、N,N−ジエチルアミノメチルなどのモノまたはジアルキル置換されたものであり得る。
【0116】
「アルキルアミノアルコキシ」という用語は、アルキルアミノ基で置換されたアルコキシ基を包含する。より好ましいアルキルアミノアルコキシ基は、1から6個の炭素原子のアルコキシ基を有する「低級アルキルアミノアルコキシ」基である。より一層好ましいのは、1から3個の炭素原子のアルキル基を有する低級アルキルアミノアルコキシ基である。適切なアルキルアミノアルコキシ基は、N−メチルアミノエトキシ、N,N−ジメチルアミノエトキシ、N,N−ジエチルアミノエトキシなどのモノまたはジアルキル置換されたものであり得る。
【0117】
「アルキルアミノアルコキシアルコキシ」という用語は、アルキルアミノアルコキシ基で置換されたアルコキシ基を包含する。より好ましいアルキルアミノアルコキシアルコキシ基は、1から6個の炭素原子のアルコキシ基を有する「低級アルキルアミノアルコキシアルコキシ」基である。より一層好ましいのは、1から3個の炭素原子のアルキル基を有する低級アルキルアミノアルコキシアルコキシ基である。適切なアルキルアミノアルコキシアルコキシ基は、N−メチルアミノメトキシエトキシ、N−メチルアミノエトキシエトキシ、N,N−ジメチルアミノエトキシエトキシ、N,N−ジエチルアミノメトキシメトキシなどのモノまたはジアルキル置換されたものであり得る。
【0118】
用語「カルボキシアルキル」は、それらのいずれの1つも、1個以上のカルボキシ基で置換され得る、1から約10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基を包含する。より好ましいカルボキシアルキル基は、1から6個の炭素原子および1個のカルボキシ基を有する「低級カルボキシアルキル」基である。このような基の例には、カルボキシメチル、カルボキシプロピルなどが含まれる。より一層好ましいのは、1から3個のCH基を有する低級カルボキシアルキル基である。
【0119】
「アリールオキシ」という用語は、酸素原子に結合している、上記で定義された置換されたアリール基を包含する。このような基の例には、フェノキシが含まれる。
【0120】
「アリールアルコキシ」という用語は、酸素原子を介して他の基に結合しているオキシ含有アラルキル基を包含する。より好ましいアラルコキシ基は、上記に記載された低級アルコキシ基に結合している置換されたフェニル基を有する「低級アラルコキシ」基である。
【0121】
「ヘテロアリールオキシ」という用語は、酸素原子に結合している、上記に定義された置換されたヘテロアリール基を包含する。
【0122】
「ヘテロアリールアルコキシ」という用語は、酸素原子を介して他の基に結合しているオキシ含有ヘテロアリールアルキル基を包含する。より好ましいヘテロアリールアルコキシ基は、上記に記載された低級アルコキシ基に結合している、置換されたヘテロアリール基を有する「低級ヘテロアリールアルコキシ」基である。
【0123】
「シクロアルキル」という用語には、飽和炭素環式基が含まれる。好ましいシクロアルキル基には、C−C環が含まれる。より好ましい化合物には、シクロペンチル、シクロプロピル、およびシクロヘキシルが含まれる。
【0124】
「シクロアルキルアルキル」という用語は、シクロアルキルで置換されたアルキル基を包含する。好ましいシクロアルキルアルキル基は、1から6個の炭素原子を有するアルキル基に結合しているシクロアルキル基を有する「低級シクロアルキルアルキル」基である。より一層好ましいのは、1から3個の炭素原子を有するアルキル部分に結合している「5−6員シクロアルキルアルキル」である。このような基の例には、シクロヘキシルメチルが含まれる。前記基中のシクロアルキルは、ハロ、アルキル、アルコキシおよびヒドロキシで置換され得る。
【0125】
「シクロアルケニル」という用語には、「シクロアルキルジエニル」化合物を含めた、1個以上の炭素−炭素二重結合を有する炭素環式基が含まれる。好ましいシクロアルケニル基には、C−C環が含まれる。より好ましい化合物には、例えば、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニルおよびシクロヘプタジエニルが含まれる。
【0126】
「含んでいる」という用語は、制限のないことが意図されており、指示された成分を含むが、他の要素を排除しない。
【0127】
「式I−IV」という用語は、任意の下位式を含む。
【0128】
本発明の化合物は、Lck、KDRおよび/またはc−Met阻害活性などのキナーゼ阻害活性が賦与されている。
【0129】
本発明は、前述されたものを含めた、血管形成により媒介される疾患状態の短期的または長期的な治療用の薬剤の製造における本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩の使用も含む。本発明の化合物は、抗癌薬の製造において有用である。本発明の化合物は、Lck、KDRおよび/またはc−Metの阻害により障害を弱毒化または予防するための薬剤の製造においても有用である。
【0130】
本発明は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、アジュバントまたは希釈剤と共に治療有効量の式I−IVの化合物を含む医薬組成物を含む。
【0131】
本発明は、このような障害を有するまたはこのような障害に感染しやすい患者における血管形成に関連した障害の治療方法も含み、この方法は、治療有効量の式I−IVの化合物で患者を治療することを含む。
【0132】
併用
本発明の化合物は、単独の活性薬剤として投与し得るが、これらは、本発明または他の薬剤の1種以上の化合物との併用でも使用し得る。併用で投与される場合、治療薬は、同時にまたは異なる時間に逐次的に投与される別々の組成物として製剤化することができ、または治療薬は、単一組成物として得ることができる。
【0133】
本発明の化合物および他の薬剤の使用の定義における「共療法」(または併用療法)という句は、薬物併用の有益な効果を提供する投薬計画における逐次方式でのそれぞれの薬剤の投与を包含することが意図されており、これらの活性薬剤の一定比率を有する単一カプセルでの、またはそれぞれの薬剤の多数の別々のカプセルなどでの実質的に同時方式でのこれらの薬剤の共投与も包含することが意図されている。
【0134】
特に、本発明の化合物の投与は、放射線療法または細胞増殖抑制剤もしくは細胞毒性剤などの、新形成の予防または治療における当業者に知られたさらなる療法との併用であり得る。
【0135】
一定用量として製剤化される場合、このような併用製品は、許容される用量範囲内で本発明の化合物を使用する。式Iの化合物は、併用製剤が不適当である場合、既知の抗癌剤または細胞毒性剤と共に逐次的に投与することもできる。本発明は、投与の順序で制限されず、本発明の化合物は、既知の抗癌剤または細胞毒性剤の投与の前に、投与と同時にまたは投与後のいずれかに投与し得る。
【0136】
現在、原発腫瘍の標準の治療は、外科的切除に続いての放射線またはIV投与される化学療法のいずれかからなる。典型的な化学療法の投薬計画は、DNAアルキル化剤、DNA挿入剤、CDK阻害剤、または微小管毒のいずれかからなる。使用される化学療法用量は、最大耐量をほんの少し下回り、したがって用量規定毒性には、典型的に、悪心、嘔吐、下痢、抜け毛、好中球減少症などが含まれる。
【0137】
商業的使用において、臨床的評価においておよび前臨床開発において利用可能な多数の抗腫瘍薬が存在し、これらは、併用薬物化学療法による新形成の治療のために選択される。このような抗腫瘍薬は、いくつかの主要なカテゴリー、すなわち、抗生物質型薬剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、ホルモン剤、免疫剤、インターフェロン型薬剤およびその他の薬剤のカテゴリーに分類される。
【0138】
本発明の化合物との併用で使用し得る抗腫瘍薬の第1のファミリーは、代謝拮抗剤型/チミジレートシンターゼ阻害剤抗腫瘍薬からなる。適切な代謝拮抗剤抗腫瘍薬は、それだけには限らないが、5−FU−フィブリノーゲン、アカンチホリン酸(acanthifolic acid)、アミノチアジアゾール、ブレキナールナトリウム(brequinar sodium)、カルモフール、Ciba−Geigy CGP−30694、シクロペンチルシトシン、シタラビンリン酸ステアリン酸、シタラビン複合体、Lilly DATHF、Merrel Dow DDFC、デザグアニン、ジデオキシシチジン、ジデオキシグアノシン、ジドックス(didox)、吉富薬品株式会社 DMDC、ドキシフルリジン、Wellcome EHNA、Merck & Co.EX−015、ファザラビン、フロキシウリジン、リン酸フルダラビン、5−フルオロウラシル、N−(2’−フラニジル)−5−フルオロウラシル、第一製薬株式会社 FO−152、イソプロピルピロリジン、Lilly LY−188011、Lilly LY−264618、メトベンザプリム、メトトレキセート、Wellcome MZPES、ノルスペルミジン、NCI NSC−127716、NCI NSC−264880、NCI NSC−39661、NCI NSC−612567、Warner−Lambert PALA、ペントスタチン、ピリトレキシム、プリカマイシン、旭化成株式会社 PL−AC、武田薬品工業株式会社 TAC−788、チオグアニン、チアゾフリン、Erbamont TIF、トリメトレキセート、チロシンキナーゼ阻害剤、大鵬薬品工業株式会社 UFT、およびウリシチン(uricytin)からなる群から選択され得る。
【0139】
本発明の化合物との併用で使用し得る抗腫瘍薬の第2のファミリーは、アルキル化型抗腫瘍薬からなる。適切なアルキル化型抗腫瘍薬は、それだけには限らないが、塩野義製薬株式会社 254−S、アルド−ホスファミド類似体、アルトレタミン、アナキシロン、Boehringer Mannheim BBR−2207、ベストラブシル、ブドチタン、湧永製薬株式会社 CA−102、カルボプラチン、カルムスチン、Chinoin−139、Chinoin−153、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、American Cyanamid CL−286558、Sanofi CY−233、シプラテート、Degussa D−19−384、住友製薬株式会社 DACHP(Myr)2、ジフェニルスピロムスチン、二白金細胞増殖抑制剤、Erba ジスタマイシン誘導体、中外製薬株式会社 DWA−2114R、ITI E09、エルムスチン、Erbamont FCE−24517、エストラムスチンリン酸ナトリウム、ホテムスチン、Unimed G−6−M、Chinoin GYKI−17230、ヘプスル−ファム、イホスファミド、イプロプラチン、ロムスチン、マホスファミド、ミトラクトール、日本化薬株式会社 NK−121、NCI NSC−264395、NCI NSC−342215、オキサリプラチン、Upjohn PCNU、プレドニムスチン、Proter PTT−119、ラニムスチン、セムスチン、SmithKline SK&F−101772、株式会社ヤクルト本社 SN−22、スピロムスチン(spiromus−tine)、田辺製薬株式会社 TA−077、タウロムスチン、テモゾロミド、テロキシロン、テトラプラチンおよびトリメラモールからなる群から選択され得る。
【0140】
本発明の化合物との併用で使用し得る抗腫瘍薬の第3のファミリーは、抗生物質型抗腫瘍薬からなる。適切な抗生物質型抗腫瘍薬は、それだけには限らないが、大鵬薬品工業株式会社 4181−A、アクラルビシン、アクチノマイシンD、アクチノプラノン、Erbamont ADR−456、エアロプリシニン誘導体、味の素株式会社 AN−201−II、味の素株式会社 AN−3、日本曹達株式会社 アニソマイシン、アントラシクリン、アジノ−マイシン−A、ビスカベリン、Bristol−Myers BL−6859、Bristol−Myers BMY−25067、Bristol−Myers BMY−25551、Bristol−Myers BMY−26605、Bristol−Myers BMY−27557、Bristol−Myers BMY−28438、硫酸ブレオマイシン、ブリオスタチン−1、大鵬薬品工業株式会社 C−1027、カリケマイシン、クロモキシマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、協和発酵工業株式会社 DC−102、協和発酵工業株式会社 DC−79、協和発酵工業株式会社 DC−88A、協和発酵工業株式会社 DC89−A1、協和発酵工業株式会社 DC92−B、ジトリサルビシンB、塩野義製薬株式会社 DOB−41、ドキソルビシン、ドキソルビシン−フィブリノーゲン、エルサマイシン−A、エピルビシン、エルブスタチン、エソルビシン、エスペラマイシン−A1、エスペラマイシン−A1b、Erbamont FCE−21954、藤沢薬品工業株式会社 FK−973、ホストリエシン、藤沢薬品工業株式会社 FR−900482、グリドバクチン、グレガチン−A、グリンカマイシン、ヘルビマイシン、イダルビシン、イルジン、カズサマイシン、ケサリロジン、協和発酵工業株式会社 KM−5539、麒麟麦酒株式会社 KRN−8602、協和発酵工業株式会社 KT−5432、協和発酵工業株式会社 KT−5594、協和発酵工業株式会社 KT−6149、American Cyanamid LL−D49194、明治製菓株式会社 ME 2303、メノガリル、マイトマイシン、ミトザントロン、SmithKline M−TAG、ネオエナクチン、日本化薬株式会社 NK−313、日本化薬株式会社 NKT−01、SRI International NSC−357704、オキサリシン、オキサウノマイシン、ペプロマイシン、ピラチン、ピラルビシン、プロトラマイシン、ピリンダマイシンA(pyrindanycin A)、東菱薬品工業株式会社 RA−I、ラパマイシン、リゾキシン、ロドルビシン、シバノマイシン、シウェンマイシン、住友製薬株式会社 SM−5887、雪印乳業株式会社 SN−706、雪印乳業株式会社 SN−07、ソランギシン−A、スパルソマイシン、エスエス製薬株式会社 SS−21020、エスエス製薬株式会社 SS−7313B、エスエス製薬株式会社 SS−9816B、ステフィマイシンB、大鵬薬品工業株式会社 4181−2、タリソマイシン、武田薬品工業株式会社 TAN−868A、テルペンテシン、トラジン、トリクロザリンA、Upjohn U−73975、協和発酵工業株式会社 UCN−10028A、藤沢薬品工業株式会社 WF−3405、吉富薬品株式会社 Y−25024、およびゾルビシンからなる群から選択され得る。
【0141】
本発明の化合物との併用で使用し得る抗腫瘍薬の第4のファミリーは、それだけには限らないが、α−カロチン、α−ジフルオロメチル−アルギニン、アシトレチン、Biotec AD−5、杏林製薬株式会社 AHC−52、アルストニン、アモナフィド、アンフェチニル、アムサクリン、Angiostat、アンキノマイシン、アンチネオプラストンA10、アンチネオプラストンA2、アンチネオプラストンA3、アンチネオプラストンA5、アンチネオプラストンAS2−1、Henkel APD、グリシン酸アフィジコリン、アスパラギナーゼ、Avarol、バッカリン、バトラシリン、ベンフルロン、ベンゾトリプト、Ipsen−Beaufour BIM−23015、ビサントレン、Bristol−Myers BMY−40481、Vestar ボロン−10、ブロモホスファミド、Wellcome BW−502、Wellcome BW−773、カラセミド、塩酸カルメチゾール、味の素株式会社 CDAF、クロルスルファキノキサロン、Chemes CHX−2053、Chemex CHX−100、Warner−Lambert CI−921、Warner−Lambert CI−937、Warner−Lambert CI−941、Warner−Lambert CI−958、クランフェヌール、クラヴィリデノン、ICN コンパウンド1259、ICN コンパウンド4711、Contracan、株式会社ヤクルト本社 CPT−11、クリスナトール、クラデルム、サイトカラシンB、シタラビン、シトシチン、Merz D−609、DABIS マレエート、ダカルバジン、ダテリプチニウム(datelliptinium)、ジデムニン−B、ジヘマトポルフィリンエーテル、ジヒドロレンペロン、ジナリン、ジスタマイシン、東洋ファルマー株式会社 DM−341、東洋ファルマー株式会社 DM−75、第一製薬株式会社 DN−9693、ドセタキセルエリプラビン、酢酸エリプチニウム、株式会社ツムラ EPMTC、エポチロン類、エルゴタミン、エトポシド、エトレチネート、フェンレチニド、藤沢薬品工業株式会社 FR−57704、硝酸ガリウム、ゲンクアダフニン、中外製薬株式会社 GLA−43、Glaxo GR−63178、グリホラン NMF−5N、ヘキサデシルホスホコリン、株式会社ミドリ十字 HO−221、ホモハリントニン、ヒドロキシ尿素、BTG ICRF−187、イルモホシン、イソグルタミン、イソトレチノイン、大塚製薬株式会社 JI−36、Ramot K−477、大塚製薬株式会社 K−76COONa(Otsuak K−76COONa)、呉羽化学工業株式会社 K−AM、MECT Corp KI−8110、American Cyanamid L−623、ロイコレグリン、ロニダミン、Lundbeck LU−23−112、Lilly LY−186641、NCI (US) MAP、マリシン、Merrel Dow MDL−27048、Medco MEDR−340、メルバロン、メロシアニン(merocyanlne)誘導体、メチルアニリノアクリジン、Molecular Genetics MGI−136、ミナクチビン、ミトナフィド、ミトキドンモピダモール、モトレチニド、全薬工業株式会社 MST−16、N−(レチノイル)アミノ酸、日清製粉株式会社 N−021、N−アシル化−デヒドロアラニン、ナファザトロム、大正製薬株式会社 NCU−190、ノコダゾール誘導体、Normosang、NCI NSC−145813、NCI NSC−361456、NCI NSC−604782、NCI NSC−95580、オクレオチド、小野薬品工業株式会社 ONO−112、オキザノシン、Akzo Org−10172、パクリタキセル、パンクラチスタチン、パゼリプチン、Warner−Lambert PD−111707、Warner−Lambert PD−115934、Warner−Lambert PD−131141、Pierre Fabre PE−1001、ICRT ペプチドD、ピロキサントロン、ポリヘマトポルフィリン、ポリプレン酸、Efamol プロフィリン、プロビマン、プロカルバジン、プログルミド、Invitron プロテアーゼネキシンI、東菱薬品工業株式会社 RA−700、ラゾキサン、サッポロビール株式会社 RBS、レストリクチン−P、レテリプチン、レチノイン酸、Rhone−Poulenc RP−49532、Rhone−Poulenc RP−56976、SmithKline SK&F−104864、住友製薬株式会社 SM−108、株式会社クラレ SMANCS、SeaPharm SP−10094、スパトール、スピロシクロプロパン誘導体、スピロゲルマニウム、Unimed、エスエス製薬株式会社 SS−554、ストリポルジノン、Stypoldione、サントリー株式会社 SUN 0237、サントリー株式会社 SUN 2071、スーパーオキシドジスムターゼ、富山化学工業株式会社 T−506、富山化学工業株式会社 T−680、タキソール、帝人株式会社 TEI−0303、テニポシド、サリブラスチン、Eastman Kodak TJB−29、トコトリエノール、トポテカン、Topostin、帝人株式会社 TT−82、協和発酵工業株式会社 UCN−01、協和発酵工業株式会社 UCN−1028、ウクライン、Eastman Kodak USB−006、硫酸ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンエストラミド、ビンオレルビン、ビントリプトール、ビンゾリジン、ウイザノリドおよび山之内製薬株式会社 YM−534からなる群から選択される、チューブリン相互作用薬、トポイソメラーゼII阻害剤、トポイソメラーゼI阻害剤およびホルモン薬を含めた抗腫瘍薬のその他のファミリーからなる。
【0142】
別法として、本化合物は、アセマンナン、アクラルビシン、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミホスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、ANCER、アンセスチム、ARGLABIN、三酸化ヒ素、BAM 002(Novelos)、ベキサロテン、ビカルタミド、ブロクスウリジン、カペシタビン、セルモロイキン、セトロレリックス、クラドリビン、クロトリマゾール、シタラビンオクホスファート、DA 3030(Dong−A)、ダクリズマブ、デニロイキンジフチトクス、デスロレリン、デキスラゾキサン、ジラゼップ、ドセタキセル、ドコサノール、ドキセルカルシフェロール、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ブロモクリプチン、カルムスチン、シタラビン、フルオロウラシル、HITジクロフェナク、インターフェロンアルファ、ダウノルビシン、ドキソルビシン、トレチノイン、エデルホシン、エドレコロマブ、エフロルニチン、エミテフル、エピルビシン、エポエチンベータ、リン酸エトポシド、エキセメスタン、エクシスリンド、ファドロゾール、フィルグラスチム、フィナステリド、リン酸フルダラビン、ホルメスタン、ホテムスチン、硝酸ガリウム、ゲムシタビン、ゲムツズマブゾガマイシン、ギメラシル/オテラシル/テガフル併用薬、グリコピン、ゴセレリン、ヘプタプラチン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト胎児アルファフェトプロテイン、イバンドロン酸、イダルビシン、(イミキモッド、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ、天然、インターフェロンアルファ−2、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2b、インターフェロンアルファ−N1、インターフェロンアルファ−n3、インターフェロンアルファコン−1、インターフェロンアルファ、天然、インターフェロンベータ、インターフェロンベータ−1a、インターフェロンベータ−1b、インターフェロンガンマ、天然インターフェロンガンマ−1a、インターフェロンガンマ−1b、インターロイキン−1ベータ、イオベンガン、イリノテカン、イルソグラジン、ランレオチド、LC 9018(株式会社ヤクルト本社)、レフルノミド、レノグラスチム、硫酸レンチナン、レトロゾール、ロイコサイトアルファインターフェロン、ロイプロレリン、レバミソール+フルオロウラシル、リアロゾール、ロバプラチン、ロニダミン、ロバスタチン、マソプロコール、メラルソプロール、メトクロプラミド、ミフェプリストン、ミルテホシン、ミルイモスチム、ミスマッチ二本鎖RNA、ミトグアゾン、ミトラクトール、ミトキサントロン、モルグラモスチム、ナファレリン、ナロキソン+ペンタゾシン、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ニルタミド、ノスカピン、新規赤血球生成促進タンパク質、NSC 631570 オクトレオチド、オプレルベキン、オサテロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロン酸、ペグアスパルガーゼ、ペグインターフェロンアルファ−2b、ペントサン多硫酸ナトリウム、ペントスタチン、ピシバニル、ピラルビシン、ウサギ抗胸腺細胞ポリクローナル抗体、ポリエチレングリコールインターフェロンアルファ−2a、ポルフィマーナトリウム、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラスブリカーゼ、レニウム Re 186 エチドロネート、RII レチナミド、リツキシマブ、ロムルチド、サマリウム(153 Sm)レキシドロナム、サルグラモスチン、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソネルミン、塩化ストロンチウム−89、スラミン、タソネルミン、タザロテン、テガフール、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、サリドマイド、チマルファシン、チロトロピンアルファ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ−ヨウ素 131、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トリロスタン、トリメトレキセート、トリプトレリン、腫瘍壊死因子アルファ、天然、ウベニメクス、膀胱癌ワクチン、丸山ワクチン、黒色腫溶解ワクチン、バルルビシン、ベルテポルフィン、ビノレルビン、VIRULIZIN、ジノスタチンスチマラマー、またはゾレドロン酸;アバレリクス;AE 941(Aeterna)、アンバムスチン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、bcl−2(Genta)、APC 8015(Dendreon)、セツキシマブ、デシタビン、デキサアミノグルテチミド、ジアジキオン、EL 532(Elan)、EM 800(Endorecherche)、エニルラシル、エタニダゾール、フェンレチニド、フィルグラスチム SD01(Amgen)、フルベストラント、ガロシタビン、ガストリン17免疫原、HLA−B7遺伝子療法(Vical)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、二塩酸ヒスタミン、イブリツモマブチウキセタン、イロマスタット、IM 862(Cytran)、インターロイキン−2、イプロキシフェン、LDI 200(Milkhaus)、レリジスチム、リンツズマブ、CA 125 MAb(Biomira)、癌MAb(日本薬品開発株式会社)、HER−2およびFc MAb(Medarex)、イディオタイプの105AD7 MAb(CRC Technology)、イディオタイプのCEA MAb(Trilex)、LYM−1−ヨウ素 131 MAb(Techniclone)、多形上皮ムチン−イットリウム 90 MAb(Antisoma)、マリマスタット、メノガリル、ミツモマブ、モテキサフィンガドリニウム、MX 6(Galderma)、ネララビン、ノラトレキセド、P30タンパク質、ペグビソマント、ペメトレキセド、ポルフィロマイシン、プリノマスタット、RL 0903(Shire)、ルビテカン、サトラプラチン、フェニル酢酸ナトリウム、スパルホス酸(sparfosic acid)、SRL 172(SR Pharma)、SU 5416(SUGEN)、TA 077(田辺製薬株式会社)、テトラチオモリブデン酸塩、タリブラスチン、トロンボポイエチン、スズエチルエチオプルプリン、チラパザミン、癌ワクチン(Biomira)、黒色腫ワクチン(New York University)、黒色腫ワクチン(Sloan Kettering Institute)、黒色腫腫瘍溶解物ワクチン(New York Medical College)、ウイルス性黒色腫細胞溶解物ワクチン(Royal Newcastle Hospital)、またはバルスポダールなどの他の抗腫瘍薬との共療法でも使用され得る。
【0143】
別法として、本化合物は、p38阻害剤およびCDK阻害剤を含めた他のキナーゼ阻害剤、TNF阻害剤、マトリックス金属タンパク分解酵素阻害剤(MMP)、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パレコシキブ、バルデコキシブ、およびエトリコキシブを含めたCOX−2阻害剤、NSAID、SOD疑似体またはαβ阻害剤、および抗炎症薬などの他の薬剤との共療法でも使用され得る。
【0144】
本発明は、式I−IVの化合物の調製のための方法を含む。
【0145】
式I−IVの化合物のファミリーに同様に含まれるのは、薬学的に許容されるこれらの塩である。「薬学的に許容される塩」という用語は、アルカリ金属塩を形成するためおよび遊離酸または遊離塩基の付加塩を形成するために一般的に使用される塩を包含する。それが、薬学的に許容される限り、塩の性質は重要ではない。式I−IVの化合物の適切な薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸からまたは有機酸から調製され得る。このような無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸およびリン酸である。適切な有機酸は、有機酸の脂肪族、脂環式、芳香族、アリール脂肪族、ヘテロ環式、カルボン酸、およびスルホン酸の種類から選択することができ、これらの例は、ギ酸、酢酸、アジピン酸、酪酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、樟脳酸、樟脳スルホン酸、ジグルコン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ドデシルスルホン酸、グルコヘプタン酸、グリセロリン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ニコチン酸、2−ナフタレンスルホン酸、シュウ酸、パルモン酸(palmoic acid)、ペクチン酸、過硫酸、2−フェニルプロピオン酸、ピクリン酸、ピバル酸、プロピオン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、メシル酸、ウンデカン酸、ステアリン酸、アルギン酸、β−ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸である。式I−IVの化合物の適切な薬学的に許容される塩基付加塩には、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛から作られる塩などの金属塩、またはカフェイン、アルギニン、ジエチルアミン、N−エチルピペリジン、アイスチジン(aistidine)、グルカミン、イソプロピルアミン、リシン、モルホリン、N−エチルモルホリン、ピペラジン、ピペリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミンなどの第1級アミン、第2級アミンおよび第3級アミン、環式アミンを含めた置換アミンを含めた有機塩基から作られる塩が含まれる。これらの塩の全ては、例えば、適切な酸または塩基を式I−IVの化合物と反応させることによって、本発明の対応する化合物から通常の手段によって調製することができる。塩基性基および酸性基が、同一分子中に存在する場合、式I−IVの化合物は、内部塩も形成し得る。
【0146】
一般的合成手順
本発明の化合物は、スキーム1−11の次の手順により合成することができ、ここで、置換基は、さらに記載された場合を除き、上記で式I−IVについて定義された通りである。
【0147】
次の略語が、明細書を通して使用される。
AcOH − 酢酸
BINAP − 2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル
BBr − 三臭化ホウ素
BH−THF − ボラン−テトラヒドロフラン錯体
BOC − t−ブトキシカルボニル
BSA − ウシ血清アルブミン
n−BuLi − n−ブチルリチウム
CO − 一酸化炭素
Clまたは(COCl) − 塩化オキサリル
CsCO − 炭酸セシウム
CHCl − クロロホルム
EtO − ジエチルエーテル
DCM、CHCl − 塩化メチレン
DIBAL − ジイソブチルアルミニウム水素化物
DIEA、DIPEA、ヒューニッヒ塩基 − ジイソプロピルエチルアミン
DMF − ジメチルホルムアミド
dppa − ジフェニルホスホリルアジド
DPPP − 1,3−ジフェニルホスフィノプロパン
DMAP − 4−ジメチルアミノピリジン
EtOAc、EA − 酢酸エチル
EtOH − エタノール
EtO − ジエチルエーテル
EDC、EDCI − 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
EtNH − エチルアミン
FBS − ウシ胎児血清
g − グラム
h − 時間
HCl − 塩酸
HOAt − 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
HOBt − 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
− 水素
O − 水
− 過酸化水素
HATU − O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル−)N,N,N’,N’,テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
KOH − 水酸化カリウム
CO − 炭酸カリウム
PO − リン酸カリウム
KMnO − 過マンガン酸カリウム
LAH − リチウムアルミニウム水素化物
LiHMDS − リチウム−ビス(トリメチルシリル)−アミド
LiOH − 水酸化リチウム
MgSO − 硫酸マグネシウム
MCPBA − メタ−クロロ過安息香酸
MeOH、CHOH − メタノール
MeNH − メチルアミン
NHCl − 塩化アンモニウム
NHOH − 水酸化アンモニウム
NMP − N−メチルピロリジノン
NaHCO − 重炭酸ナトリウム
NaN − アジ化ナトリウム
NaSO − 硫酸ナトリウム
NaOH − 水酸化ナトリウム
NaH − 水素化ナトリウム
NaSO − 硫酸ナトリウム
NaOt−Bu − tert−ブトキシドナトリウム
NaHB(OAc) − ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド
− 窒素
O/N − 一晩
POCl − オキシ塩化リン
Pd/C − 炭素上パラジウム
Pd(dba) − ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム
Pd(OAC) − 酢酸パラジウム(II)
P(t−bu) − トリ(tert−ブチル)ホスフィン
PBS − リン酸緩衝食塩水
PyBop − ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
RT − 室温
SOCl − 塩化チオニル
TBTU − O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
TBAI − テトラブチルアンモニウムヨウ化物
TFA − トリフルオロ酢酸
THF − テトラヒドロフラン
TEA,EtN − トリエチルアミン
【0148】
スキームで定義された出発化合物は、必要に応じて官能基が保護された形態でおよび/または塩の形態で存在してもよく、但し、塩形成基は存在し、塩形態での反応は可能である。所望に応じて、式Iの一化合物は、式Iの別の化合物、例えば、このN−酸化物に変換することができ、式Iの化合物は、塩に変換することができ、式Iの化合物の塩は、遊離化合物または別の塩に変換することができ、および/または式Iの異性体化合物の混合物は、個別の異性体に分離することができる。
【0149】
N−酸化物は、約0℃−RTなどの約−10−35℃の間の温度で、不活性溶媒(例えば、CHCl、または水および(MeOHまたはEtOHなどの)アルコールの混合物)中で、式Iの化合物を過酸化水素、オキソン、または過酸(例えば、mCPBA)と反応させることによって既知の方法で得ることができる。
【0150】
1種以上の他の官能基、例えば、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、またはメルカプトが、これらが反応に関与すべきではないために、式Iの化合物においてまたは式Iの化合物の調製において保護されているまたは保護される必要がある場合、これらは、ペプチド化合物、および同様にセファロスポリンおよびペニシリン、ならびに核酸誘導体および糖の合成において通常使用される基である。
【0151】
保護基は、前駆体中に既に存在してよく、(アシル化、エーテル化、エステル化、酸化、加溶媒分解、および類似の反応などの)望ましくない二次反応に対して関係した官能基を保護しなくてはならない。それらは、一般的に加溶媒分解、還元、光分解によって、または同様に(例えば、生理的状態に類似した条件下での)酵素活性によって(望ましくない二次反応を伴わずに)容易に除去されること、およびそれらは、最終製品中に存在しないことは、保護基の特徴である。専門家は、どの保護基が、上記および以下に記載された反応に適するかを容易に確立し得る。
【0152】
このような保護基によるこのような官能基の保護、保護基これら自体、およびこれらの除去反応は、(例えば、J.F.W.McOmie、“Protective Groups in Organic Chemistry”、Plenum Press、London and New York(1973年)、T.W.Greene、“Protective Groups in Organic Synthesis”、Wiley、New York(1981年)中、“The Peptides”、3巻、E.GrossおよびJ.Meienhofer編、Academic Press、London and New York(1981年)中、“Methoden der organischen Chemie”(Methods of Organic Chemistry)、Houben Weyl、第4版、Volume 15/1、Georg Thieme Verlag,Stuttgart(1974年)中、H.−D.JakubkeおよびH.Jescheit、“Aminosauren,Peptide,Proteine”(Amino Acids,Peptides,Proteins)、Verlag Chemie,Weinheim,Deerfield Beach,and Basel(1982年)中、およびJochen Lehmann、“Chemie der Kohlenhydrate:Monosaccharide und Derivate”(Chemistry of carbohydrates:monosaccharides and derivatives)、Georg Thieme Verlag、Stuttgart(1974年)中などの)標準の参考資料に記載されている。
【0153】
所望どおりに実施されたさらなる工程段階において、反応に関与すべきでない出発化合物の官能基は、保護されていない形態で存在してよく、または、例えば、上記に「保護基」のところで記載された保護基の1種以上によって保護されていてよい。次いで、保護基は、ここで記載された方法の1つによって完全にまたは部分的に除去される。
【0154】
塩形成基を有する式Iの化合物の塩は、それ自体周知の方法で調製され得る。したがって、式Iの化合物の酸付加塩は、酸による処理または適切なアニオン交換試薬による処理によって得られる。2つの酸分子を有する塩(例えば、式Iの化合物のジハロゲン化物)は、化合物当たり1つの酸分子を有する塩(例えば、モノハロゲン化物)に変換することもでき;これは、加熱溶融することによって、または例えば高温(例えば、130から170℃)で、高真空下で固体として加熱して、式Iの化合物の分子当たり酸の1分子が放出されることによって行われ得る。
【0155】
塩は、通常、例えば、適切な塩基性薬剤(例えば、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、またはアルカリ金属水酸化物、典型的には、炭酸カリウムまたは水酸化ナトリウム)で処理することにより遊離化合物に変換し得る。
【0156】
本明細書に記載された全ての工程段階は、既知の反応条件下で、好ましくは、明確に記載された条件下で、(好ましくは、使用される試薬に対して不活性であり、これらを溶解できるものなどの)溶媒または希釈剤の不存在下でまたは一般的に存在下で、反応のタイプおよび/または反応物質に応じて、触媒、縮合剤または中和剤(例えば、イオン交換体、一般的には、カチオン交換体、例えば、H型)の不存在下または存在下で、低温で、常温で、または高温で、例えば、約−100℃から約190℃の範囲で、好ましくは、約−80℃から約150℃で、例えば、約−80℃から約60℃、室温で、約−20℃から40℃で、または使用される溶媒の沸点で、大気圧下でまたは密閉容器中で、適切ならば圧力下で、および/または不活性な雰囲気下で、例えば、アルゴンまたは窒素下で実施され得る。
【0157】
塩は、それらが塩形成基を含む場合、全ての出発化合物および中間体に存在し得る。塩は、反応がそれによって妨害されない限り、このような化合物の反応中にも存在し得る。
【0158】
特定の場合、典型的に水素化工程において、立体選択的反応を達成して、例えば、個別の異性体のより容易な回収を可能にすることは可能である。
【0159】
問題の反応に適するものがそれらから選択され得る溶媒には、工程の説明に特に指定のない限り、例えば、水、エステル(典型的には、低級アルキル−低級アルカノエート、例えば、EtOAc)、エーテル(典型的には、脂肪族エーテル、例えば、EtO、もしくは環状エーテル、例えば、THF)、液体芳香族炭化水素(典型的には、ベンゼンもしくはトルエン)、アルコール(典型的には、MeOH、EtOHもしくは1−プロパノール、IPOH)、ニトリル(典型的には、CHCN)、ハロゲン化炭化水素(典型的には、CHCl)、酸アミド(典型的には、DMF)、塩基(典型的には、複素環式窒素塩基、例えば、ピリジン)、カルボン酸(典型的には、低級アルカンカルボン酸、例えば、AcOH)、カルボン酸無水物(典型的には、低級アルカン酸無水物、例えば、無水酢酸)、環式、直鎖、もしくは分枝鎖炭化水素(典型的には、シクロヘキサン、ヘキサン、もしくはイソペンタン)、またはこれらの溶媒の混合物、例えば、水溶液が含まれる。このような溶媒混合物は、処理に、例えば、クロマトグラフィーにも使用し得る。
【0160】
本発明は、中間体として任意のステージで入手可能な化合物から出発し欠けている段階を実施する、または任意のステージで工程を中止する、または反応条件下で出発原料を形成する、または反応性誘導体もしくは塩の形態で前記出発原料を使用する、または本発明による方法を用いて得られる化合物を生成し前記化合物をその場で処理する工程の形態にも関する。好ましい実施形態においては、好ましいとして上記に記載された化合物をもたらす出発原料から出発する。
【0161】
それらの塩を含めた式Iの化合物は、水和物の形態でも得ることができ、またはこれらの結晶は、例えば結晶化に使用された溶媒を含み得る(溶媒和物として存在する)。
【0162】
新しい出発原料および/または中間体、ならびにこれらの調製の方法は、同様に本発明の対象である。好ましい実施形態においては、好ましい化合物が得られるように出発原料を使用し反応条件を選択する。
【0163】
本発明の出発原料は、知られており、市販されており、当技術分野で知られた方法と同様にまたはこれに従って合成され得る。
【0164】
出発原料の調製において、反応に関与しない存在する官能基は、必要に応じて、保護されなければならない。好ましい保護基、これらの導入およびこれらの除去は、上記にまたは実施例に記載されている。
【0165】
全ての残りの出発原料は知られており、既知の方法に従って調製することができ、または市販されており;特に、これらは、実施例に記載された方法を用いて調製され得る。
【0166】
本発明の化合物は、一般的に、1個以上の不斉炭素原子を有することができ、したがってこれらの光学異性体の形態およびラセミまたは非ラセミ混合物の形態で存在し得る。光学異性体は、通常の方法によるラセミ混合物の分割によって、例えば、光学活性酸または光学活性塩基での処理により、ジアステレオマー塩の形成により得ることができる。適切な酸の例は、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸、およびカンファースルホン酸であり、次いで、結晶化に続いてのこれらの塩からの光学活性塩基の遊離によりジアステレオマーの混合物を分離する。光学異性体の分離の異なる方法は、鏡像異性体の分離を最大化するために選択されるキラルクロマトグラフィーカラムの使用を含む。さらに別の利用可能な方法は、本発明の化合物を活性化された形態の光学的に純粋な酸または光学的に純粋なイソシアネートと反応させることによる共有結合ジアステレオマー分子の合成を含む。合成されたジアステレオマーは、(クロマトグラフィー、蒸留、結晶化また昇華などの)通常の手段によって分離し、次いで、加水分解して鏡像異性的に純粋な化合物を得ることができる。本発明の光学活性な化合物は、同様に、光学活性な出発原料を使用することによって得ることができる。これらの異性体は、遊離酸、遊離塩基、エステルまたは塩の形態であってよい。
【0167】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を含むことがあり、したがって、ラセミ体およびラセミ混合物、スカレミ混合物、単一の鏡像異性体、個別のジアステレオマーおよびジアステレオマー混合物として生じ得る。これらの化合物の全てのこのような異性体は、本発明に明確に含まれる。
【0168】
本発明の化合物は、複数の互変異性体で、例えば、下記に図解されたように表すこともできる。
【0169】
【化9】

【0170】
本発明は、本明細書に記載された化合物の全ての互変異性体を明確に含む。
【0171】
上記化合物は、シス−もしくはトランス−またはE−もしくはZ−二重結合異性体でも生じ得る。このような化合物の全てのこのような異性体は、本発明に明確に含まれる。本明細書に記載された化合物の全ての結晶形は、本発明に明確に含まれる。
【0172】
環部分上の置換基(例えば、フェニル、チエニルなど)は、特定の原子に結合していてよく、これにより、これらは、この原子に固定されていることを意味し、またはこれらは、特定の原子に結合せずに描かれてよく、これにより、これらは、(H(水素)以外の原子によって既に置換されていない)任意の利用可能な原子に結合していることを意味する。
【0173】
本発明の化合物は、別の環系に結合している複素環式環系を含み得る。このような複素環式環系は、この環系における炭素原子またはヘテロ原子を介して結合していてよい。
【0174】
別法として、本明細書に記載された式のいずれかの化合物は、本明細書に記載された方法のいずれかに従って合成され得る。本明細書に記載された方法において、段階は、代わりの順序で実施されてよく、必要に応じて追加の保護段階/脱保護段階が先に実施されてよく、または後に実施されてよい。上記方法は、不活性溶媒、塩基(例えば、LDA、DIEA、ピリジン、KCOなど)、触媒、および上記の塩形態などの追加の試薬を含めた適切な反応条件の使用をさらに含み得る。中間体は、単離することができ、または精製してまたは精製することなくそのまま運ぶことができる。精製方法は、当技術分野で知られており、例えば、結晶化、クロマトグラフィー(液相および気相など)、抽出、蒸留、摩砕、逆相HPLCなどを含む。温度、持続時間、圧力、および雰囲気(不活性ガス、周囲)などの反応条件は、当技術分野で知られており、反応に応じて適切に調節され得る。
【0175】
当業者によって理解されるように、上記の合成スキームは、本出願に記載され特許請求された化合物を合成し得る全ての手段の総覧を含むことを目的としていない。さらなる方法は、当業者には明らかである。さらに、上記に記載された様々な合成段階は、代わりの順番または順序で実施して所望の化合物を得ることができる。本明細書に記載された阻害剤化合物の合成において有用な合成化学変換および保護基方法論(保護および脱保護)は、当技術分野で知られており、例えば、R.Larock、“Comprehensive Organic Transformations”、VCH Publishers(1989年);T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、“Protective Groups in Organic Synthesis”、第3版、John Wiley and Sons(1999年);L.FieserおよびM.Fieser、“Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis”、John Wiley and Sons(1994年);A.KatritzkyおよびA.Pozharski、“Handbook of Heterocyclic Chemistry”、第2版(2001年);M.Bodanszky,A.Bodanszky、“The Practice of Peptide Synthesis”、Springer−Verlag,Berlin Heidelberg(1984年);J.Seyden−Penne,“Reductions by the Alumino−and Borohydrides in Organic Synthesis”、第2版、Wiley−VCH、(1997年);ならびにL.Paquette編、“Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis”、John Wiley and Sons(1995年)に記載されたものなどを含む。
【0176】
本発明の化合物は、適切な官能基を追加することによって修飾して選択的な生物学的性質を高めることができる。このような修飾は、当技術分野で知られており、所与の生物学的コンパートメント(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的透過を増す修飾、経口アベイラビリティを増す修飾、溶解性を増して注射による投与を可能にする修飾、代謝を変化させる修飾、および排泄率を変化させる修飾を含む。
【0177】
これらの詳細な記載は、本範囲内に入り、本発明の部分を形成する上記に記載された一般的合成手順を例示する助けとなる。これらの詳細な記載は、単に説明を目的として提示され、本発明の範囲を制限するためのものではない。
【0178】
【化10】

【実施例1】
【0179】
【化11】

N−(4−クロロフェニル)−2−(ピリジン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミド
【0180】
段階(a) メチル2−(ピリジン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレートの調製。
5−メトキシカルボニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン塩酸塩(1g、4.39mmol)およびトリエチルアミン(666mg、6.58mmol)を、テトラヒドロフラン(30mL)中にほとんど溶解した。次いで、4−ピリジンカルボキシアルデヒド(Pyridinecarboxaldehyde)(494mg、4.61mmol)およびナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(1.3g、6.15mmol)を、この混合物に添加した。この反応混合物を、室温において一晩撹拌した。反応を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液でクエンチした。テトラヒドロフランを真空下で除去し、残留物を酢酸エチルに溶解し、次いで、飽和重炭酸ナトリウム水溶液および食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮して薄黄色の油として1.29gのメチル2−(ピリジン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレートを得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:283.0(M+1)。
【0181】
段階(b) ナトリウム2−(ピリジン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレートの調製。
メチル2−(ピリジン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレート(1.14g、4.04mmol)を、ジオキサン(15mL)および水(5mL)中に溶解し、次いで、2N水酸化ナトリウム水溶液(2.22mL、4.45mmol)を添加した。この反応混合物を、室温で2日間撹拌し、次いで真空下で濃縮した。残った油をトルエンと共に共沸し、高真空下で乾燥して淡黄色の油/泡沫として1.25gのナトリウム2−(ピリジン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレートを得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:269.0(M+1)。
【0182】
段階(c) N−(4−クロロフェニル)−2−(ピリジン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレートの調製。
ナトリウム2−(ピリジン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレート(80mg、0.276mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解し、次いで、4−クロロアニリン(42mg、0.331mmol)、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(133mg、0.414mmol)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(56mg、0.552mmol)を添加した。この反応混合物を、室温で一晩撹拌した。この混合物を、真空下で濃縮した。残った橙色の油を、シリカゲルクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン中の1%から3%の7Nアンモニア)によって精製して薄黄色固体としてN−(4−クロロフェニル)−2−(ピリジン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレート(89mg)を得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:378.0(M+1)。
【0183】
次の化合物を、方法1に記載された通り合成した。それぞれの場合において、適切なアニリンを、最終のカップリング段階において使用した。
【0184】
【表1】

【0185】
【化12】

【実施例2】
【0186】
【化13】

N−(4−クロロフェニル)−2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミド
【0187】
段階(a) メチル2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレートの調製。
出発原料であるメチル2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレートを、方法1の段階(a)について上記に記載されたものと類似の方法を用いて調製した。4−キノリンカルボキシアルデヒドを、この反応のためのアルデヒド源として使用した。
【0188】
段階(b) 2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボン酸の調製。
メチル2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレート(1.2g、3.61mmol)を、ジオキサン(15mL)および水(5mL)に溶解し、次いで、2N水酸化ナトリウム水溶液(1.90mL、3.80mmol)を添加した。この反応混合物を、室温で2日間撹拌し、次いで、真空下で濃縮してジオキサンを除去した。残った水溶液を、水で希釈し、次いで、1N水性塩酸(3.8mL)を添加してこの混合物をpH7にした。沈殿が生じ、これをガラスフリット上に回収し、最小量の水で洗浄し、次いでジクロロメタンで洗浄した。この固体を、高真空下で乾燥して白色固体として1.06gの2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボン酸を得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:319.1(M+1)。
【0189】
段階(c) N−(4−クロロフェニル)−2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミドの調製。
2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボン酸(80mg、0.251mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(1.2mL)に懸濁し、次いで、4−クロロアニリン(45mg、0.351mmol)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(34mg、0.251mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(72mg、0.376mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(89mg、0.878mmol)を添加した。この反応混合物を、室温で2日間撹拌し、次いで、真空下で濃縮した。この粗製材料を、シリカゲルクロマトグラフィー(50%から67%の酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して白色固体としてN−(4−クロロフェニル)−2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミド(92mg)を得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:428.1(M+1)。
【実施例3】
【0190】
【化14】

N−(3,3−ジメチルインドリン−6−イル)−2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミド
【0191】
N−(1−アセチル−3,3−ジメチルインドリン−6−イル)−2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミドの調製。
N−(1−アセチル−3,3−ジメチルインドリン−6−イル)−2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミドを、方法2に記載された通りに調製した。
【0192】
N−(3,3−ジメチルインドリン−6−イル)−2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミドの調製。
N−(1−アセチル−3,3−ジメチルインドリン−6−イル)−2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミド(55mg、0.109mmol)を、エタノール(1.25mL)にほとんど溶解し、次いで、濃塩酸(0.745mL)を添加した。この反応混合物を、60℃において6時間加熱した。この混合物を、真空下で濃縮し、残留物を、少量の水で希釈した。この溶液を、6N水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH9−10にした。沈殿が生じ、これをガラスフリット上に回収し、最小量の水で洗浄し、次いでジクロロメタンで洗浄した。この固体を、高真空下で乾燥して黄褐色固体として35mgのN−(3,3−ジメチルインドリン−6−イル)−2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミドを得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:463.2(M+1)
次の化合物を、方法2に記載された通りに合成した。それぞれの場合において、適切なアニリンを、最終のカップリング段階において使用した。
【0193】
【表2】


【実施例4】
【0194】
【化15】

N−(4−tert−ブチルフェニル)−2−((3,5−ジクロロピリジン−4−イル)メチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミド
N−(4−tert−ブチルフェニル)−2−((3,5−ジクロロピリジン−4−イル)メチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミドを、方法1に記載されたものと類似の方法を用いて調製した。段階(a)において、3,5−ジクロロ−4−ピリジンカルボキシアルデヒド(pyridinecarboxaldehyde)をアルデヒド源として使用し、段階(b)において、反応物を、40℃に一晩加熱した。MS(ESI、陽イオン)m/z:468.1(M+1)。
【0195】
【化16】

【実施例5】
【0196】
【化17】

1−(2−フルオロフェニル)−3−(2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−イル)尿素
【0197】
段階(a) 2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−アミンの調製
1,2,3,4−テトラヒドロ−5−アミノイソキノリン(500mg、3.37mmol)を、テトラヒドロフラン(15mL)に溶解し、次いで、4−キノリンカルボキシアルデヒド(quinolincarboxaldehyde)(556mg、3.54mmol)およびナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(786mg、3.71mmol)を添加した。反応混合物を、室温において一晩撹拌した。反応を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液でクエンチし、次いで真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチルに溶解し、次いで、飽和重炭酸ナトリウム水溶液および食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。粗製材料をシリカゲルクロマトグラフィー(50%から80%の酢酸エチル/ヘキサン)を用いて精製して黄色固体として2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−アミン(805mg)を得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:290.1(M+l)。
【0198】
段階(b) 1−(2−フルオロフェニル)−3−(2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−イル)尿素の調製。
2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−アミン(80mg、0.277mmol)を、テトラヒドロフラン(1mL)に懸濁し、次いで、2−フルオロフェニルイソシアネート(38mg、0.277mmol)のテトラヒドロフラン(0.5mL)中の溶液を添加した。この反応混合物を、室温において2日間撹拌した。生成物が反応混合物から沈殿し、これをガラスフリット上で回収し、最小量のテトラヒドロフランで洗浄し、次いでジクロロメタンで洗浄した。この固体を、高真空下で乾燥して白色固体として78mgの1−(2−フルオロフェニル)−3−(2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−イル)尿素を得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:427.1(M+1)。
【0199】
次の化合物を、方法3を用いて合成した。それぞれの場合において、適切なイソシアネートを、最終段階において使用した。最終化合物の沈殿が生じなかった場合、シリカゲルクロマトグラフィーによる精製を使用した。
【0200】
【表3】


【0201】
【化18】

【実施例6】
【0202】
【化19】

4−tert−ブチル−N−(2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−イル)ベンズアミド
【0203】
段階(a) 2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−アミンの調製。
出発原料である2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−アミンを方法3の段階(a)に先に記載された通りに調製した。
【0204】
段階(b) 4−tert−ブチル−N−(2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−イル)ベンズアミドの調製。
2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−アミン(80mg、0.277)を、ジクロロメタン(1mL)に懸濁し、次いで、4−tert−ブチルベンゾイルクロリド(57mg、0.291mmol)のジクロロメタン(0.5mL)中の溶液およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(56mg、0.554mmol)を添加した。この反応混合物を、室温において2日間撹拌した。この反応混合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(40%から60%の酢酸エチル/ヘキサン)を使用して直接に精製して薄黄色固体として4−tert−ブチル−N−(2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−イル)ベンズアミド(107mg)を得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:450.2(M+1)。
【0205】
次の化合物を、方法4を用いて合成した。それぞれの場合において、適切な塩化ベンゾイルを、最終段階において使用した。
【0206】
【表4】

【0207】
【化20】

【実施例7】
【0208】
【化21】

N−(3,4−ジメチルフェニル)−1−オキソ−2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミド
【0209】
段階(a) メチル2−(ピリジン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレートの調製。
メチル2−(ピリジン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレートを、方法1の段階(a)に先に記載された通りに調製した。
【0210】
段階(b) メチル1−オキソ−2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレートの調製。
メチル2−(ピリジン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレート(500mg、1.51mmol)を、ジクロロメタン(5mL)に溶解し、次いで、18−クラウン−6(40mg、0.151mmol)を添加し、次いで、過マンガン酸カリウム(358mg、2.26mmol)を、ゆっくりと添加した。この反応混合物を、室温において一晩撹拌した。反応を、この混合物が無色になるまで飽和メタ重亜硫酸ナトリウム水溶液でクエンチした。水性1N塩酸を、沈殿が溶解し、この混合物が透明になるまで、この混合物に添加した。この反応混合物を、水で希釈し、次いでジクロロメタンによって抽出した。有機層を、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。粗製材料を、シリカゲルクロマトグラフィー(67%から75%の酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して白色固体としてメチル1−オキソ−2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレート(395mg)を得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:347.1(M+1)。
【0211】
段階(c) 1−オキソ−2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボン酸の調製。
1−オキソ−2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボン酸を、方法2の段階(b)に先に記載された通りに調製した。
【0212】
段階(d) N−(3,4−ジメチルフェニル)−1−オキソ−2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミドの調製。
N−(3,4−ジメチルフェニル)−1−オキソ−2−(キノリン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミドを、3,4−ジメチルアニリンを用いて方法2の段階(c)に先に記載された通りに調製した。MS(ESI、陽イオン)m/z:436.2(M+1)。
【0213】
次の化合物を、方法5を用いて合成した。それぞれの場合において、適切なアニリンを、最終段階において使用した。
【0214】
【表5】

【0215】
【化22】

【実施例8】
【0216】
【化23】

N−(4−tert−ブチルフェニル)−2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミド
【0217】
段階(a) メチル6,7−ジメトキシキノリン−4−カルボキシレートの調製。
4−クロロ−6,7−ジメトキシキノリン(3g、13.45mmol)、酢酸パラジウム(605mg、2.69mmol)および1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(1.39g、3.36mmol)を、圧力管に添加し、次いで、N,N−ジメチルホルムアミド(25mL)に溶解した。一酸化炭素ガスを、10−15分間この混合物に通気した。この反応混合物を、85℃において一晩加熱した。追加の酢酸パラジウム(303mg、1.35mmol)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(277mg、0.671mmol)およびメタノール(2mL)を、この反応混合物に添加し、次いで、一酸化炭素を、10分間この溶液に通気した。次いで、この反応混合物を、85℃において再び一晩加熱した。この混合物を、真空下で濃縮した。粗製材料を、シリカゲルクロマトグラフィー(1%メタノール/ジクロロメタン、次いで50%−67%の酢酸エチル/ヘキサン)によって2回精製して薄黄色固体としてメチル6,7−ジメトキシキノリン−4−カルボキシレート(2.07g)を得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:248.0(M+1)。
【0218】
段階(b) (6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メタノールの調製。
水素化アルミニウムリチウム(262mg、6.90mmol)を、テトラヒドロフラン(20mL)に懸濁し、次いで−78℃に冷却した。メチル6,7−ジメトキシキノリン−4−カルボキシレート(1.55g、6.27mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)中の溶液を、一滴ずつ添加した。この反応混合物を、−78℃において4時間撹拌した。反応を、酢酸エチル(6mL)によってクエンチし、次いで、硫酸ナトリウム十水和物を添加し、この混合物を室温に温め、一晩撹拌した。この混合物を、ろ過し、ろ液を真空下で濃縮した。残った固体を、ジクロロメタンと共に磨砕し、ろ過し、高真空下で乾燥して薄黄色固体として1.2gの(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メタノールを得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:220.0(M+1)。
【0219】
段階(c) 4−(クロロメチル)−6,7−ジメトキシキノリン塩酸塩の調製。
(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メタノール(1.11g、5.07mmol)を、0℃において塩化チオニル(10mL)に溶解した。この反応混合物を、0℃において20分間撹拌し、次いで、室温に温め、3.5時間撹拌した。この反応混合物を、ベンゼン(20ml)によって希釈し、次いで、真空下で濃縮した。残った固体を、ベンゼンと共に磨砕し、次いで、高真空下で乾燥して黄色固体として1.35gの4−(クロロメチル)−6,7−ジメトキシキノリン塩酸塩を得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:238.0(M+1)。
【0220】
段階(d) メチル2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレートの調製。
5−メトキシカルボニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン塩酸塩(582mg、2.56mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(9mL)に懸濁し、次いで、トリエチルアミン(833mg、8.23mmol)およびヨウ化ナトリウム(137mg、0.915mmol)を添加した。この反応混合物を、室温において一晩撹拌した。この混合物を、真空下で濃縮し、残留物を酢酸エチルに溶解した。有機層を、飽和含水重炭酸ナトリウムおよび食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮して黄色の泡沫として(640mg)のメチル2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレートを得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:393.1(M+l)。
【0221】
段階(e) 2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボン酸の調製。
2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボン酸を、方法2の段階(b)に先に記載された通りに調製した。
【0222】
段階(f) N−(4−tert−ブチルフェニル)−2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミドの調製。
N−(4−tert−ブチルフェニル)−2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミドを、4−tert−ブチルアニリンを用いて方法2の段階(c)において記載された通りに調製した。MS(ESI、陽イオン)m/z:510.2(M+1)。
【0223】
次の化合物を、方法6を用いて合成した。それぞれの場合において、適切なアニリンまたはアミンを、最終段階において使用した。
【0224】
【表6】


【0225】
【化24】

【実施例9】
【0226】
【化25】

N−(4−tert−ブチルフェニル)−2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミド
【0227】
メチル2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレートの調製。
メチル2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキシレートを、方法6に先に記載された通りに調製した。
【0228】
N−(4−tert−ブチルフェニル)−2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミドの調製。
N−(4−tert−ブチルフェニル)−2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミドを、方法5に先に記載された通りに調製した。MS(ESI、陽イオン)m/z:524.2(M+1)。
【0229】
次の化合物を、方法7に記載された通りに合成した。適切なアニリンを、最終段階において使用した。
【0230】
【表7】

【0231】
【化26】

【実施例10】
【0232】
【化27】

2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−N−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミド
【0233】
2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボン酸の調製。
2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボン酸を、方法7に先に記載された通りに調製した。
【0234】
2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボニルクロリドの調製。
2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボン酸(126mg、0.321mmol)を、ジクロロメタン(4mL)に懸濁し、次いで、N,N−ジメチルホルムアミド(3−4滴)および塩化オキサリル(0.442mL、0.643mmol)を添加した。この反応混合物を、室温において4.5時間撹拌した。この混合物を、真空下で濃縮し、次いで、高真空下で一晩乾燥して薄黄色固体として2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボニルクロリド(150mg)を得た。メチルエステルについてMS(ESI、陽イオン)m/z:407.1(M+1)。
【0235】
2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−N−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミドの調製。
2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボニルクロリド(75mg、0.168mmol)を、ジクロロメタン(1mL)に懸濁し、次いで、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルアニリン(36mg、0.201mmol)のジクロロメタン(0.5mL)中の溶液およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(65mg、0.504mmol)を添加した。この反応混合物を、室温で2日間撹拌した。この反応混合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(3%メタノール/ジクロロメタン)によって直接に精製して淡黄色固体として2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−N−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−カルボキサミド(46mg)を得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:554.2(M+1)。
【0236】
次の化合物を、方法8を用いて合成した。適切なアニリンを、最終段階に使用した。
【0237】
【表8】

【0238】
【化28】

【実施例11】
【0239】
【化29】

6−クロロ−2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)イソキノリン−1(2H)−オン
【0240】
段階(a) 4−クロロ−2−ジアゾニウムテトラフルオロボレート安息香酸の調製。
−15℃における氷−アセトン浴中の窒素下の二口フラスコに、ボロントリフルオリドジエチルエーテレート(0.94ml、7.5mmol)を添加した。次いで、テトラヒドロフラン(10ml)中の2−アミノ−4−クロロ安息香酸(0.86g、5.0mmol)を添加し、次いで、テトラヒドロフラン(5ml)中の亜硝酸t−ブチル(0.71ml、6.0mmol)を、急速に撹拌している溶液に10分かけて一滴ずつ添加した。この反応混合物を、−15℃において10分間撹拌し、次いで、5℃において20分間撹拌した。ペンタン(40ml)を添加した。この沈殿を、ろ過によって回収した。この固体を、冷エーテルで洗浄し、真空ポンプで乾燥して所望の4−クロロ−2−ジアゾニウムテトラフルオロボレート安息香酸を得た。
【0241】
段階(b) 4−クロロ−2−ビニル安息香酸の調製。
4−クロロ−2−ジアゾニウムテトラフルオロボレート安息香酸(0.68g、2.5mmol)、カリウムトリメチル(ビニル)ボレート(0.40g、3.0mmol)およびトランス−ジ(D−アセタト)ビス[−(ジ−o−トリル−ホスフィノ)ベンジル]ジパラジウム(dipallsdium)(II)(0.12g、0.13mmol)を、窒素下のフラスコ中で混合し、脱気したメタノール(5ml)を添加した。この反応混合物を、室温において30分間撹拌し、次いで、エーテルで希釈し、食塩水で3回洗浄した。有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製材料を、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン中の2%酢酸)によって精製して4−クロロ−2−ビニル安息香酸を得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:183(M+1)。
【0242】
段階(cおよびd) (6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メタンアミニウムクロリドの調製。
4−クロロ−6,7−ジメトキシキノリン(2.0g、9.0mmol)を、N,N−ジメチルアセトアミド(12ml)に溶解した。この混合物を、窒素下で脱気した。次いで、シアン化亜鉛(II)(0.66g、5.8mml)、亜鉛(0.084g、1.3mmol)、トリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(0)(0.17g、0.19mmol)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.23g、0.41mmol)を添加した。この反応混合物を、150℃においてマイクロ波中で10分間加熱した。溶媒を除去し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンから酢酸エチル)によって精製して6,7−ジメトキシキノリン−4−カルボニトリルが得られ、これをエタノール中の5%塩酸(濃)に溶解し、Pd/C(触媒)と共に水素バルーン下で撹拌した。セライトを通してろ過した後、ろ液を回収し、濃縮して(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メタンアミニウムクロリドを得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:219(M+1)。
【0243】
段階(e) 4−クロロ−N−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−2−ビニルベンズアミドの調製。
(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メタンアミニウムクロリド(0.80g、2.8mmol)、4−クロロ−2−ビニル安息香酸(0.46g、2.5mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.58g、3.0mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(0.41g、3.0mmol)を、塩化メチレン(30ml)中で混合し、次いで、トリエチルアミン(1.4ml、10.0mmol)を添加した。この反応混合物を、室温で一晩撹拌した。溶媒を除去し、残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル)によって精製して4−クロロ−N−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−2−ビニルベンズアミドを得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:383(M+1)。
【0244】
段階(f) 6−クロロ−2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)イソキノリン−1(2H)−オンの調製。
4−クロロ−N−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)−2−ビニルベンズアミド(0.084g、0.22mmol)、酢酸ナトリウム(0.036g、0.44mmol)、および酢酸パラジウム(0.002g、0.011mmol)を、DMSO(5ml)中で混合した。この反応混合物を、100℃において酸素バルーン下で一晩撹拌した。この混合物を、水に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を、水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製材料を、酢酸エチルを用いる分取TLCプレートによって精製して6−クロロ−2−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)イソキノリン−1(2H)−オンを得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:381(M+1)。H NMR(CDCl):4.03(6H,s)、4.80(1H,d)、5.95(1H,d)、5.40(2H,s)、7.05(1H,d)、7.40(1H,s)、7.56(2H,m)、7.70(1H,s)、7.87(1H,d)、8.64(1H,d)。
【0245】
【化30】

【実施例12】
【0246】
【化31】

1−(4−クロロフェニル)−3−(1−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)ピペリジン−4−イル)尿素
【0247】
段階(a) 4−(クロロメチル)−6,7−ジメトキシキノリン塩酸塩の調製。
【0248】
【化32】

4−(クロロメチル)−6,7−ジメトキシキノリン塩酸塩を、方法6に先に記載された通りに調製した。
【0249】
段階(b) tert−ブチル1−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)ピペリジン−4−イルカルバメートの調製。
4−(クロロメチル)−6,7−ジメトキシキノリン塩酸塩(0.75g、2.74mmol)、tert−ブチルピペリジン−4−イルカルバメート(0.77g、3.84mmol)、および炭酸セシウム(2.68g、8.23mmol)を、DMF(14mL)に溶解し、撹拌しながら80℃に加熱した。4時間後、この反応物を冷却し、DMFを除去し、この化合物を、DCM(150mL)および水(20mL)に溶解した。水層をDCM(50mL)で2回抽出した。有機分を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して所望の生成物であるtert−ブチル1−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)ピペリジン−4−イルカルバメート(1.04g、2.60mmol、95%収率)を得た。MS(ESI 陽イオン)m/z:402.2(MH+)。C2231について計算した正確な質量:401HNMR(400MHz,CDCl3):8.64−8.65(d,J=4.4Hz,1H)、7.58(s,1H)、7.42(s,1H)、7.23−7.24(d,J=4.4Hz,1H)、4.57−4.59(m,1H)、4.03(s,3H)、4.01(s,3H)、3.83(s,2H)、2.82−2.85(bd,J=11.6Hz,2H)、2.18−2.24(bt,J=10.8Hz,2H)、1.92−1.95(bd,J=12.4Hz,2H)、1.44(s,9H)、1.41−1.44(m,2H,重複)。
【0250】
段階(c) 1−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)ピペリジン−4−アミンの調製。
tert−ブチル1−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)ピペリジン−4−イルカルバメート(1g、2.49mmol)を、DCM(25mL)に溶解した。撹拌しながら、TFA(1.9mL、25mmol)を、室温において一滴ずつ添加し、この反応物を、15時間撹拌した。溶媒を除去し、粗製化合物を、EtOAc(150mL)に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム(20mL)で洗浄した。有機分を、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。この混合物を、100%DCMから7%MeOHを用いてカラム溶出して所望の生成物である1−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)ピペリジン−4−アミン(0.54g、1.79mmol、72%収率)を得た。MS(EST 陽イオン)m/z:302.2(MH+)。C1723について計算した正確な質量:301。HNMR(400MHz,CDCl3):8.63−8.64(d,J=4.4Hz,1H)、7.63(s,1H)、7.41(s,1H)、7.22−7.23(d,J=4.4Hz,1H)、4.03(s,3H)、4.01(s,3H)、3.83(s,2H)、2.84−2.87(bd,J=12.0Hz,2H)、2.70−2.73(m,1H)、2.11−2.16(bt,J=11.2Hz,2H)、1.78−1.82(bd,J=12.8Hz,2H)、1.37−1.41(m,2H)。
【0251】
段階(d) 1−(4−クロロフェニル)−3−(1−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)ピペリジン−4−イル)尿素の調製。
1−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)ピペリジン−4−アミン(150mg、0.50mmol)を、DCM(5mL)に溶解した。撹拌しながら、4−クロロフェニルイソシアネート(84uL、0.65mmol)を、室温において一滴ずつ添加し、この反応物を、15時間撹拌した。溶媒を除去し、粗製化合物を、100%DCMから5%MeOHを用いてカラム溶出して所望の生成物である1−(4−クロロフェニル)−3−(1−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)ピペリジン−4−イル)尿素(50mg、0.11mmol、22%収率)を得た。MS(ESI 陽イオン)m/z:455.2(MH+)。C2427について計算した正確な質量:454。
【0252】
次の化合物を、方法10を用いて合成した。それぞれの場合に、適切なイソシアネートを、最終段階において使用した。
【0253】
【表9】


【0254】
【化33】

【実施例13】
【0255】
【化34】

1−(1−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)ピペリジン−4−イル)−3−(5−メチルイソオキサゾール−3−イル)尿素
【0256】
段階(a−e) 1−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)ピペリジン−4−アミンの調製。
1−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)ピペリジン−4−アミンを、方法10に先に記載された通りに調製した。
【0257】
段階(f) 4−ニトロフェニルチアゾール−2−イルカルバメートの調製。
5−メチルイソオキサゾール−3−アミン(250mg、2.59mmol)およびp−ニトロフェニルクロロフォルメート(539mg、2.68mmol)のTHF(6mL)中の溶液を、室温において15分間撹拌した後、この溶液を、真空中で濃縮した。表題化合物を、さらに精製することなく直ちに次の反応において使用した。MS(ESI、陽イオン)m/z:264.1(M+1)。C11について計算した質量:263。HNMR(400MHz,CDCl3):8.30−8.32(d,J=9.2Hz,2H)、7.72(bs,1H)、7.39−7.41(d,J=8.8Hz,2H)、6.54(s,1H)、2.41(s,3H)。
【0258】
段階(g) 1−(1−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)ピペリジン−4−イル)−3−(5−メチルイソオキサゾール−3−イル)尿素の調製。
1−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)ピペリジン−4−アミン(150mg、0.50mmol)および4−ニトロフェニルチアゾール−2−イルカルバメート(144mg、0.55mmol)のDCM(5mL)中の撹拌している溶液に、RTにおいてDIPEA(173uL、1.00mmol)を添加した。この混合物を、15h撹拌した後、この溶液を真空中で濃縮した。15:1のDCM:MeOHを用いる分取TLCプレートによる精製によって、所望の化合物である1−(1−((6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)メチル)ピペリジン−4−イル)−3−(5−メチルイソオキサゾール−3−イル)尿素(80mg、0.19mmol、38%収率)が得られた。MS(EST 陽イオン)m/z:426.2(MH+)。C2227について計算した正確な質量:425。HNMR(400MHz,CDCl3):8.66−8.67(d,J=4.4Hz,1H)、8.36(bs,1H)、7.60(s,1H)、7.45(s,1H)、7.27−7.28(m,1H,残在溶媒で隠れている)、5.83(s,1H)、4.05(s,6H)、3.87(s,2H)、3.83−3.85(m,1H)、2.83−2.85(bd,J=10.0Hz,2H)、2.37(s,3H)、2.31−2.36(bt,J=10.4Hz,2H重複)、1.99−2.02(bd,J=11.2Hz,2H)、1.58−1.66(m,2H)。
【0259】
式I−IVの化合物の薬理学的性質は、一般的に構造変化により変わるが、式I−IVの化合物によって所持される活性は、インビボで明らかにされ得る。本発明の化合物の薬理学的性質は、多くの薬理学的インビトロアッセイによって確認され得る。以下の例示された薬理学的アッセイは、本発明による化合物およびこれらの塩を用いて実施された。本発明の化合物は、10μM未満の用量においてLckキナーゼの阻害を示した。本発明の化合物は、10μM未満の用量においてVEGFRキナーゼの阻害も示した。
【0260】
生物学的試験
本発明の化合物の薬理学的性質は、以下に記載されたものなどのインビトロアッセイ、および当技術分野で知られた他の方法によって確認され得る。
【0261】
HUVEC増殖アッセイ
ヒト臍静脈内皮細胞を、ドナーのプールから採取された冷凍保存細胞としてClonetics,Inc.から購入する。継代1のこれらの細胞を、解凍し、継代2または3までEBM−2完全培地中で増殖させる。細胞を、トリプシン処理し、DMEM+10%FBS+抗生物質中で洗浄し、1000rpmで10分間スピンする。細胞の遠心分離前に、少量を細胞計数用に回収する。遠心分離後、培地を廃棄し、細胞を、適切な量のDMEM+10%FBS+抗生物質中に再懸濁して3×10細胞/mLの濃度にする。別の細胞計数を実施して細胞濃度を確認する。細胞を、DMEM+10%FBS+抗生物質中の3×10細胞/mLに希釈し、100μLの細胞を、96ウェルプレートに添加した。細胞を37℃において22h温置する。
【0262】
温置期間の完了前に、化合物希釈溶液を調製する。5点5倍系列希釈溶液を、所望の最終濃度より400倍高い濃度でDMSO中に調製する。2.5μLの各化合物希釈溶液を、全量1mLのDMEM+10%FBS+抗生物質中にさらに希釈する(400×希釈溶液)。0.25%DMSOを含有する培地も0μM化合物サンプル用に調製する。22hの時点において、培地を細胞から除去し、100μLの各化合物希釈液を添加する。細胞を37℃において2−3h温置する。
【0263】
化合物のプレ温置期間中、成長因子を適切な濃度に希釈する。次の濃度:50、10、2、0.4、0.08、および0ng/mLでVEGFまたはbFGFのいずれかを含有するDMEM+10%FBS+抗生物質の溶液を調製する。化合物で処理された細胞については、それぞれの10μLを細胞に添加するため(110μL最終体積)、それぞれ50ng/mLまたは20ng/mLの最終濃度用に550ng/mLのVEGFまたは220ng/mLのbFGFの溶液を調製する。化合物を添加した後、適時に成長因子を添加する。VEGFを、一組のプレートに添加するが、bFGFを、もう一組のプレートに添加する。成長因子対照曲線については、プレート1および2のウェルB4−G6上の培地を、様々な濃度(50−0ng/mL)でVEGFまたはbFGFを含有する培地で置き換える。細胞を37℃でさらに72h温置する。
【0264】
72hの温置期間の完了において、培地を除去し、細胞をPBSによって2回洗浄する。PBSによる2回目の洗浄後、プレートを穏やかに軽くたたいて過剰なPBSを除去し、細胞を、−70℃に少なくとも30分間置く。細胞を解凍し、CyQuant蛍光染料(Molecular Probes C−7026)を用いて製造者の推奨基準に従って分析する。プレートを、485nm/530nm(励起/発光)においてVictor/Wallac 1420ワークステーションで読み取る。生データを収集しXLFitで4パラメーターフィット方程式を用いて分析する。次いで、IC50値を決定する。
【0265】
ラット角膜新血管形成マイクロポケットモデル
生存時の態様:約250gの体重の雌のSprague Dawleyラットを、5つの処置群の1つに無作為に割り付けた。ビヒクルまたは化合物による前処置を、手術の24h前に経口投与し、さらに7日間、1日に1回継続した。手術の日に、ラットに、イソフルオランガス室(2.5リットル/分の酸素+イソフルオランを供給する)中で一時的に麻酔をかけた。次いで、オトスコープを、動物の口の中に配置して声帯が目に見えるようにした。先端を鈍らせたワイヤーを、声帯間に送り、気管内テフロンチューブ(Small Parts Inc.TFE−standard Wall R−SWTT−l8)の配置のためのガイドとして使用した。体積制御ベンチレーター(Harvard Apparatus,Inc.Model 683)を、気管内チューブに接続して酸素および3%イソフルオランの混合物を供給した。深い麻酔を達成した後、ひげを短く刈り、眼域および眼を、Betadine石鹸で穏やかに洗浄し、無菌食塩水ですすいだ。角膜に、プロパラカインHCl眼科用局所麻酔溶液(0.5%)(Bausch and Lomb Pharmaceuticals、Tampa FL)の1から2滴を注いだ。次いで、ラットを、解剖顕微鏡下に置き、角膜表面に焦点を合わせた。垂直な切開を、ダイヤモンドブレードナイフを用いて角膜の中線上に行った。ポケットを、先のとがった鋏を用いて作製して、間質の結合組織層を分離し眼の角膜輪部に向けてトンネルを作製した。ポケットの先端および角膜輪部の間の距離は、約1.5mmであった。ポケットを作製した後、浸漬ニトロセルロースディスクフィラー(Gelman Sciences、Ann Arbor MI.)を、ポケットの縁の下に挿入した。この外科的処置を両方の眼に行った。rHu−bFGF浸漬ディスクを、右眼の中に配置し、rHu−VEGF浸漬ディスクを、左眼の中に配置した。ビヒクル浸漬ディスクを両方の眼に配置した。ディスクを、輪部血管からの所望の距離の位置に押し入れた。眼科系抗生物質軟膏を眼に塗布して乾燥および感染症を防止した。7日後、ラットを、CO窒息によって安楽死させ、眼を摘出した。眼の網膜半球を開窓して固定を促進し、眼をホルマリンに一晩浸けた。
死後の態様:固定液中の24h後、先のとがった鉗子およびかみそりの刃を用いて対象の角膜領域を眼から切り取った。網膜半球を切り取り、レンズを抜き取り廃棄した。角膜ドームを二分し、余分な角膜を切り落とした。次いで、虹彩、結膜および関連周縁腺を注意深く細かく切り落とした。最終的な切断を行って、ディスク、角膜輪部、および新血管形成の全領域を含む3×3mm四方を作製した。
全体画像記録:角膜検体を、Nikon SMZ−U立体顕微鏡(A.G.Heinz)に搭載したSony CatsEye DKC5000カメラ(A.G.Heinz、Irvine CA)を用いてデジタル写真撮影した。角膜を、蒸留水中に沈め、約5.0倍の倍率で透過照明によって写真撮影した。
画像解析:数値端点を、切除後に全載角膜から収集されたデジタル顕微鏡写真を用いて作製し、Metamorph画像解析システム(Universal Imaging Corporation、West Chester PA)での画像解析用に使用した。3つの測定値を取った。すなわち、角膜輪部からのディスク配置距離、ディスク配置距離の中間点における2.0mm垂直線に交わる血管の数、および閾値化により決定された拡散の血管面積パーセントである。
【0266】
一般的配合:
PBSビヒクル中の0.1%BSA:0.025gのBSAを、25.0mLの無菌1×リン酸緩衝食塩水に添加し、完全に溶解するまで穏やかに振とうし、0.2μmでろ過した。個々の1.0mLサンプルを25個の使い捨てバイアルに等分し、使用するまで−20℃で貯蔵した。rHu−bFGFディスクのために、1バイアルのこの0.1%BSA溶液を、RTで解凍した。解凍の後、DTTの100mM保存溶液の10μLを、1mlのBSAバイアルに添加して0.1%BSA中の1mMのDTTの最終濃度にした。
rHu−VEGF希釈:ディスク移植手術前に、上記の0.1%BSAビヒクルの23.8μLを、10μgのrHu−VEGF凍結乾燥バイアルに添加して10μMの最終濃度にした。
rHu−bFGF:180ng/μLの保存濃度:R&D rHu−bFGF:上記の適切なビヒクルの139μLを、25μgバイアル凍結乾燥バイアルに添加した。13.3μLの[180ng/μL]保存バイアルおよび26.6μLのビヒクルを添加して3.75μM濃度の最終濃度を得た。
ニトロセルロースディスク調製:20ゲージの針の先端を、まっすぐに切断し、エメリーペーパーによって斜角をつけてポンチを作製した。次いで、この先端を使用してニトロセルロース濾紙シート(Gelman Sciences)から0.5mm直径のディスクを切り出した。次いで、調製したディスクを、PBSビヒクル中の0.1%BSA、10μMのrHu−VEGF(R&D Systems、Minneapolis、MN)、または3.75μMのrHu−bFGF(R&D Systems、Minneapolis、MN)のいずれかの溶液を収容しているEppendorf小型遠心分離管に置き、使用前の45−60分間浸漬した。各ニトロセルロース濾紙ディスクは、約0.1μLの溶液を吸収する。
【0267】
腫瘍モデル
A431細胞(ATCC)を培地中で増殖し、回収し、5−8週齢の雌ヌードマウス(CD1 nu/nu、Charles River Labs)(n=5−15)に皮下注射する。経口胃管栄養法(10−200mpk/用量)による化合物のその後の投与は、腫瘍細胞抗原投与後0日から29日のいつからでも開始し、一般的に実験の期間中1日に1回または2回のいずれかで続く。腫瘍成長の進行を、3次元キャリパーでの測定によって追跡し、時間の関数として記録する。初期の統計解析を、分散の反復測定分析(RMANOVA)によって行い、次いで多重比較のためのScheffe事後試験行う。ビヒクル単独(Ora−Plus、pH2.0)は、陰性対照である。
LCK−均質時間分割蛍光(HTRF)キナーゼアッセイ:
LCK HTRFアッセイは、ATPの存在下で、LCKで開始し、ビオチニル化ペプチドガストリンをリン酸化する。この反応物は90分間温置する。アッセイをクエンチするために、検出試薬を添加し、これは、EDTAの存在により酵素を希釈することおよび金属をキレートすることの両方によって反応を停止する。検出試薬を添加した後、アッセイは、30分間温置し、検出試薬を平衡させる。
【0268】
LCK HTRFアッセイは、40μLの最終体積について、100%DMSO中の10μLの化合物、15μLのATPおよびビオチニル化ガストリン、ならびに15μLのLCK KD GST(225−509)からなる。ガストリンの最終濃度は、1.2μMである。ATPの最終濃度は、0.5μM(Km app=0.6μM+/−0.1)であり、LCKの最終濃度は、250pMである。緩衝条件は、次の通りである。すなわち、50mM HEPES pH7.5、50mM NaCl、20mM MgCl、5mM MnCl、2mM DTT、0.05% BSAである。
【0269】
アッセイを、160μLの検出試薬によってクエンチし停止する。検出試薬は、次の通りである。すなわち、50mMトリスからなる緩衝液、pH7.5、100mM NaCl、3mM EDTA、0.05% BSA、0.1% Tween20。読み取り前にこの緩衝液に添加されるのは、0.0004mg/mLのアッセイ中の最終濃度のステプタビジンアロフィコシアニン(SA−APC)、および0.025nMの最終濃度のユーロピウム標識された(europilated)抗ホスホチロシンAb(Eu−anti−PY)である。
【0270】
アッセイプレートを、DiscoveryまたはRubyStarのいずれかで読み取る。eu−anti−PYは、320nmにおいて励起され615nmにおいて発光してSA−APCを励起し、このSA−APCはまた655nmにおいて発光する。655nmにおけるSA−APC(ペプチドのリン酸化のためにEu−anti−PYに極めて近いために励起される)の615nmにおける遊離Eu−anti−PYに対する比は、基質のリン酸化をもたらす。
【0271】
本明細書で例示された化合物は、評価され、0.6nmから3μmの範囲にKDR Kを示している。実例となる活性値が、次表に提供されている。
【0272】
【表10】

【0273】
次の特許および特許出願において記載された他の化合物は、併用療法において使用され得る。米国特許第6,258,812号明細書、米国特許出願公開第2003/0105091号明細書、国際公開第01/37820号パンフレット、米国特許第6,235,764号明細書、国際公開第01/32651号パンフレット、米国特許第6,630,500号明細書、米国特許第6,515,004号明細書、米国特許第6,713,485号明細書、米国特許第5,521,184号明細書、米国特許第5,770,599号明細書、米国特許第5,747,498号明細書、国際公開第02/68406号パンフレット、国際公開第02/66470号パンフレット、国際公開第02/55501号パンフレット、国際公開第04/05279号パンフレット、国際公開第04/07481号パンフレット、国際公開第04/07458号パンフレット、国際公開第04/09784号パンフレット、国際公開第02/59110号パンフレット、国際公開第99/45009号パンフレット、国際公開第00/59509号パンフレット、国際公開第99/61422号パンフレット、米国特許第5,990,141号明細書、国際公開第00/12089号パンフレットおよび国際公開第00/02871号パンフレット。
【0274】
いくつかの実施形態においては、併用は、少なくとも1種の抗血管形成剤と組み合わせた本発明の組成物を含む。薬剤は、それだけには限らないが、インビトロ合成的に調製された化学組成物、抗体、抗原結合領域、放射性核種、ならびにこれらの組合せおよび複合体を含む。一薬剤は、アゴニスト、アンタゴニスト、アロステリック調節因子、毒素であってよく、または、より一般的に、その標的(例えば、受容体または酵素活性化または阻害)を阻害するまたは刺激するよう作用してよく、これにより細胞死を促進し、または細胞成長を止める。
【0275】
例示的な抗腫瘍剤には、乳癌および癌の他の形態を治療するのに使用され得るHERCEPTIN(商標)(トラツズマブ)、ならびに非ホジキンリンパ腫および癌の他の形態を治療するのに使用され得るRITUXAN(商標)(リツキシマブ)、ZEVALIN(商標)(イブリツモマブチウキセタン)、およびLYMPHOCIDE(商標)(エプラツズマブ)、慢性骨髄性白血病および消化管間質腫瘍を治療するのに使用され得るGLEEVAC(商標)、ならびに非ホジキンリンパ腫の治療用に使用され得るBEXXAR(商標)(ヨウ素 131 トシツモマブ)が含まれる。
【0276】
例示的な抗血管形成剤には、ERBITUX(商標)(IMC−C225)、KDR(キナーゼドメイン受容体)阻害剤(例えば、キナーゼドメイン受容体に特異的に結合する抗体および抗原結合領域)、AVASTIN(商標)またはVEGF−TRAP(商標)などの抗VEGF剤(例えば、VEGF、または可溶性VEGF受容体またはこれらのリガンド結合領域に特異的に結合する抗体および抗原結合領域)、ならびに抗VEGF受容体剤(例えば、これらに特異的に結合する抗体または抗原結合領域)、ABX−EGF(パニツムマブ)、IRESSA(商標)(ゲフィチニブ)、TARCEVA(商標)(エルロチニブ)などのEGFR阻害剤(例えば、これらに特異的に結合する抗体または抗原結合領域)、抗Ang1および抗Ang2剤(例えば、これらにまたはこれらの受容体、例えばTie2/Tekに特異的に結合する抗体または抗原結合領域)、ならびに抗Tie2キナーゼ阻害剤(例えば、これらに特異的に結合する抗体または抗原結合領域)が含まれる。本発明の医薬組成物は、肝細胞成長因子(HGF、拡散因子としても知られる)のアンタゴニスト、およびこの受容体「c−met」に特異的に結合する抗体または抗原結合領域などの成長因子に特異的に結合し成長因子の活性を阻害する1種以上の薬剤(例えば、抗体、抗原結合領域、または可溶性受容体)も含み得る。
【0277】
他の抗血管形成剤には、Campath、IL−8、B−FGF、Tekアンタゴニスト(Cerettiら、米国特許出願公開第2003/0162712号明細書;米国特許第6,413,932号明細書)、抗TWEAK剤(例えば、特異的結合抗体または抗原結合領域、または可溶性TWEAK受容体アンタゴニスト;Wiley、米国特許第6,727,225号明細書を参照されたい。)、インテグリンのこのリガンドへの結合に拮抗するADAM ディスインテグリンドメイン(Fanslowら、米国特許出願公開第2002/0042368号明細書)、特異的結合抗eph受容体および/または抗エフリン抗体または抗原結合領域(米国特許第5,981,245号明細書;米国特許第5,728,813号明細書;米国特許第5,969,110号明細書;米国特許第6,596,852号明細書;米国特許第6,232,447号明細書;米国特許第6,057,124号明細書およびこれらのパテントファミリーメンバー)、および抗PDGF−BBアンタゴニスト(例えば、特異的結合抗体または抗原結合領域)ならびにPDGF−BBリガンドに特異的に結合する抗体または抗原結合領域、およびPDGFRキナーゼ阻害剤(例えば、これらに特異的に結合する抗体または抗原結合領域)が含まれる。
【0278】
さらなる抗血管形成剤/抗腫瘍剤には、SD−7784(Pfizer、米国);シレンギチド(Merck KGaA、ドイツ、欧州特許出願公開第770622号明細書);ペガプタニブ・八ナトリウム(Gilead Sciences、米国);Alphastatin(BioActa、英国)、M−PGA(Celgene、米国、米国特許第5712291号明細書);イロマスタット(Arriva、米国、米国特許第5892112号明細書);エマキサニブ(Pfizer、米国、米国特許第5792783号明細書);バタラニブ(Novartis、スイス);2−メトキシエストラジオール(EntreMed、米国);TLC ELL−12(Elan、アイルランド);酢酸アネコルターブ(Alcon、米国);アルファ−Dl48Mab(Amgen、米国);CEP−7055(Cephalon、米国);抗Vn Mab(Crucell、オランダ)DAC:抗血管形成剤(ConjuChem、カナダ);Angiocidin(InKine Pharmaceutical、米国);KM−2550(協和発酵株式会社、日本);SU−0879(Pfizer、米国);CGP−79787(Novartis、スイス、欧州特許第970070号明細書);ARGENT technology(Ariad、米国);YIGSR−Stealth(Johnson & Johnson、米国);フィブリノーゲン−Eフラグメント(BioActa、英国);血管形成阻害剤(Trigen、英国);TBC−1635(Encysive Pharmaceuticals、米国);SC−236(Pfizer、米国);ABT−567(Abbott、米国);Metastatin(EntreMed、米国);血管形成阻害剤(Tripep、スウェーデン);マスピン(株式会社そーせい、日本);2−メトキシエストラジオール(Oncology Sciences Corporation、米国);ER−68203−00(IVAX、米国);Benefin(Lane Labs、米国);Tz−93(株式会社ツムラ、日本);TAN−1120(武田薬品工業株式会社、日本);FR−111142(藤沢薬品工業株式会社、日本、特開平02−233610公報);血小板第4因子(RepliGen、米国、欧州特許第407122号明細書);血管内皮細胞増殖因子アンタゴニスト(Borean、デンマーク);癌療法剤(University of South Carolina、米国);ベバシズマブ(pINN)(Genentech、米国);血管形成阻害剤(SUGEN、米国);XL 784(Exelixis、米国);XL 647(Exelixis、米国);MAb、アルファ5ベータ3インテグリン、第二世代(Applied Molecular Evolution、米国、およびMedlmmune、米国);遺伝子療法剤、網膜症(Oxford BioMedica、英国);塩酸エンザスタウリン(USAN)(Lilly、米国);CEP 7055(Cephalon、米国、およびSanofi−Synthelabo、フランス);BC1(Genoa Institute of Cancer Research、イタリア);血管形成阻害剤(Alchemia、オーストラリア);VEGFアンタゴニスト(Regeneron、米国);rBPI 21およびBPI由来抗血管形成剤(XOMA、米国);PI 88(Progen、オーストラリア);シレンギチド(pINN)(Merck KGaA、ドイツ;Munich Technical University、ドイツ、Scripps Clinic and Research Foundation、米国);セツキシマブ(INN)(Aventis、フランス);AVE 8062(味の素株式会社、日本);AS 1404(Cancer Research Laboratory、ニュージーランド);SG 292(Telios、米国);Endostatin(Boston Childrens Hospital、米国);ATN 161(Attenuon、米国);ANGIOSTATIN(Boston Childrens Hospital、米国);2−メトキシエストラジオール(Boston Childrens Hospital、米国);ZD 6474(AstraZeneca、英国);ZD 6126(Angiogene Pharmaceuticals、英国);PPI 2458(Praecis、米国);AZD 9935(AstraZeneca、英国);AZD 2171(AstraZeneca、英国);バタラニブ(pINN)(Novartis、スイスおよびSchering AG、ドイツ);組織因子経路阻害剤(EntreMed、米国);ペガプタニブ(Pinn)(Gilead Sciences、米国);キサントリゾール(Yonsei University、韓国);ワクチン、遺伝子ベース、VEGF−2(Scripps Clinic and Research Foundation、米国);SPV5.2(Supratek、カナダ);SDX 103(University of California、San Diego校、米国);PX 478(ProlX、米国);METASTATIN(EntreMed、米国);トロポニンI(Harvard University、米国);SU 6668(SUGEN、米国);OXI 4503(OXiGENE、米国);o−グアニジン(Dimensional Pharmaceuticals、米国);モツポラミンC(British Columbia University、カナダ);CDP 791(Celltech Group、英国);アチプリモッド(pINN)(GlaxoSmithKline、英国);E 7820(エーザイ株式会社、日本);CYC 381(Harvard University、米国);AE 941(Aeterna、カナダ);ワクチン、血管形成(EntreMed、米国);ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子阻害剤(Dendreon、米国);オゴルファニド(pINN)(Melmotte、米国);HIF−1アルファ阻害剤(Xenova、英国);CEP 5214(Cephalon、米国);BAY RES 2622(Bayer、ドイツ);Angiocidin(InKine、米国);A6(Angstrom、米国);KR 31372(Korea Research Institute of Chemical Technology、韓国);GW 2286(GlaxoSmithKline、英国);EHT 0101(ExonHit、フランス);CP 868596(Pfizer、米国);CP 564959(OSI、米国);CP 547632(Pfizer、米国);786034(GlaxoSmithKline、英国);KRN 633(麒麟麦酒株式会社、日本);ドラッグデリバリーシステム、眼内、2−メトキシエストラジオール(EntreMed、米国);アンジネックス(Maastricht University、オランダ、およびMinnesota University、米国);ABT 510(Abbott、米国);AAL 993(Novartis、スイス);VEGI(ProteomTech、米国);腫瘍壊死因子−アルファ阻害剤(National Institute on Aging、米国);SU 11248(Pfizer、米国、およびSUGEN、米国);ABT 518(Abbott、米国);YH16(Yantai Rongchang、中国);S−3APG(Boston Childrens Hospital、米国、およびEntreMed、米国);MAb、KDR(ImClone Systems、米国);MAb、アルファ5ベータ1(Protein Design、米国);KDRキナーゼ阻害剤(Celltech Group、英国、およびJohnson & Johnson、米国);GFB 116(South Florida University、米国、およびYale University、米国);CS 706(三共株式会社、日本);コンブレタスタチンA4プロドラッグ(Arizona State University、米国);コンドロイチナーゼAC(IBEX、カナダ);BAY RES 2690(Bayer、ドイツ);AGM 1470(Harvard University、米国、武田製薬工業株式会社、日本、およびTAP、米国);AG 13925(Agouron、米国);テトラチオモリブデート(University of Michigan、米国);GCS 100(Wayne State University、米国);CV 247(Ivy Medical、英国);CKD 732(Chong Kun Dang、韓国);MAb、血管内皮細胞増殖因子(Xenova、英国);イルソグラジン(INN)(日本新薬株式会社、日本);RG 13577(Aventis、フランス);WX 360(Wilex、ドイツ);スクアラミン(pINN)(Genaera、米国);RPI 4610(Sirna、米国);癌療法剤(Marinova、オーストラリア);ヘパラナーゼ阻害剤(InSight、イスラエル);KL 3106(Kolon、韓国);Honokiol(Emory University、米国);ZK CDK(Schering AG、ドイツ);ZK Angio(Schering AG、ドイツ);ZK 229561(Novartis、スイス、およびSchering AG、ドイツ);XMP 300(XOMA、米国);VGA 1102(大正製薬株式会社、日本);VEGF受容体モジュレータ(Pharmacopeia、米国);VE−カドヘリン−2アンタゴニスト(ImClone Systems、米国);Vasostatin(National Institutes of Health、米国);ワクチン、Flk−1(ImClone Systems、米国);TZ 93(株式会社ツムラ、日本);TumStatin(Beth Israel Hospital、米国);トランケート型可溶性FLT 1(血管内皮細胞増殖因子受容体1)(Merck & Co、米国);Tie−2リガンド(Regeneron、米国);ならびにトロンボスポンジン1阻害剤(Allegheny Health,Education and Research Foundation、米国)が含まれる。
【0279】
製剤
本発明内に同様に包含されるのは、1種以上の無毒の薬学的に許容される担体および/または希釈剤および/またはアジュバント(本明細書で「担体」材料と集合的に呼ばれる)ならびに、所望に応じて他の活性成分と共に式I−IVの活性化合物を含む医薬組成物のクラスである。本発明の活性化合物は、任意の適切な経路によって、好ましくはこのような経路に適合された医薬組成物の形態および目的とする治療に有効な用量で投与され得る。本発明の化合物および組成物は、例えば、(通常の薬学的に許容される担体、アジュバント、およびビヒクルを含有する)用量単位製剤において、経口で、粘膜的に、局所的に、直腸的に、(吸入スプレーによるなどの)経肺的に、または(血管内、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、胸骨内および注入技術を含めた)非経口で(parentally)投与され得る。
【0280】
本発明の薬学的に活性な化合物は、製薬の通常の方法に従って加工されてヒトおよび他の哺乳類を含めた患者への投与用の薬剤が生産され得る。
【0281】
経口投与については、医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル、懸濁液または液体の形態であってよい。医薬組成物は、特定の量の活性成分を含有する用量単位の形態に作製されることが好ましい。このような用量単位の例は、錠剤またはカプセルである。例えば、これらは、約1から2000mgの量の活性成分を含有し、好ましくは約1から500mgの量の活性成分を含有し得る。ヒトまたは他の哺乳類に適する日用量は、患者の状態および他の要因に応じて広く変わり得るが、やはり、通常の方法を用いて決定され得る。
【0282】
本発明の化合物および/または組成物によって疾患状態を治療するための投与される化合物の量および投与計画は、対象の年齢、体重、性および病状、疾患の種類、疾患の重篤性、投与の経路および頻度、ならびに使用された特定の化合物を含めた様々な要因によって決まる。したがって、投与計画は、広く変わり得るが、標準の方法を用いて普通に決定され得る。体重kgあたり約0.01から100mg/kg、または約0.01から約20mg/kgの間、または約0.01から約10mg/kgの間の日用量が適切であり得る。日用量は、1日に1から4回の投与量で投与され得る。
【0283】
治療目的により本発明の活性化合物は、投与の指示された経路に適した1種以上のアジュバントとたいてい組み合わされる。経口投与される場合、化合物は、ラクトース、スクロース、でんぷん粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウムおよびカルシウム塩、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、および/またはポリビニルアルコールと混合され、次いで好都合な投与用に錠剤化またはカプセル化され得る。このようなカプセルまたは錠剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース中の活性化合物の分散液で提供され得る放出制御製剤を収容し得る。
【0284】
乾癬および他の皮膚状態の場合、本発明の化合物の局所製剤を患部に1日に2から4回塗布することが好ましいことがある。
【0285】
局所投与に適する製剤には、皮膚を通した浸透に適した液体または半液体製剤(例えば、リニメント、ローション、軟膏、クリーム、またはペースト)および眼、耳、または鼻への投与に適した滴剤が含まれる。本発明の化合物の活性成分の適切な局所用量は、1日に1から4回、好ましくは1または2回投与される0.1mgから150mgである。局所投与について、活性成分は、製剤の10%(重量/重量)もの多くを構成し得るが、好ましくは最高で5%(重量/重量)までを構成し、より好ましくは0.1%から1%を構成し得るが、活性成分は、製剤の0.001%から10%(重量/重量)、例えば1重量%から2重量%を構成し得る。
【0286】
軟膏に製剤化された場合、活性成分は、パラフィン系または水混和性軟膏ベースのいずれかと共に使用され得る。別法として、活性成分は、水中油クリームベースと共にクリームに製剤化され得る。必要に応じて、クリームベースの水層は、例えば、少なくとも30%(重量/重量)の(プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物などの)多価アルコールを含み得る。局所製剤は、望ましくは、皮膚または他の患部を通しての活性成分の吸収または浸透を高める化合物を含み得る。このような皮膚浸透促進剤の例には、DMSOおよび関連類似体が含まれる。
【0287】
本発明の化合物は、経皮デバイスによっても投与し得る。経皮投与は、レザバータイプおよび多孔質膜タイプのパッチまたは固体マトリックス類のパッチのいずれかを用いて達成されることが好ましい。いずれの場合も、活性薬剤は、レザバーまたはマイクロカプセルから膜を通して(受容者の皮膚または粘膜と接触している)活性薬剤浸透性の粘着剤に連続的に供給される。活性薬剤が皮膚を通して吸収される場合、活性薬剤の制御された所定の流れが受容者に投与される。マイクロカプセルの場合、封入剤は、膜としても機能し得る。
【0288】
本発明の乳濁液の油相は、既知の成分から既知の方法で構成され得る。この相は、乳化剤のみを含み得るが、この相は、少なくとも1種の乳化剤の脂肪もしくは油とのまたは脂肪および油の両方との混合物を含み得る。親水性乳化剤は、安定剤として作用する親油性乳化剤と一緒に含まれることが好ましい。油および脂肪の両方を含むことも好ましい。全体として、安定剤を含むまたは含まない乳化剤は、いわゆる乳化ワックスを構成し、このワックスは、油および脂肪と一緒に、いわゆる乳化軟膏ベースを構成し、これは、クリーム製剤の油性分散相を形成する。本発明の製剤における使用に適した乳化剤および乳濁液安定剤には、単体またはワックスを含むTween 60、Span 80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ラウリル硫酸ナトリウム、ジステアリン酸グリセリル、当技術分野で周知の他の材料が含まれる。
【0289】
製剤に適した油または脂肪の選択は、所望の化粧特性を達成することに基づいてなされる。というのは、乳濁液製剤に使用される可能性がある大部分の油における活性化合物の可溶性は非常に低いためである。したがって、クリームは、好ましくは、チューブまたは他の容器からの漏れを避けるのに適した粘稠度を有する油っぽくなく、非汚染性で洗い流すことができる製品でなければならない。(ジイソアジペート、イソセチルステアレート、ヤシ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、イソプロピルミリステート、デシルオレエート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、2−エチルヘキシルパルミテートまたは分枝鎖エステルのブレンドなどの)直鎖または分枝鎖の一塩基性または二塩基性アルキルエステルが使用され得る。これらは、求められる性質に応じて単独でまたは組み合わせて使用され得る。別法として、白色軟パラフィンおよび/または流動パラフィンまたは他の鉱油などの高融点脂質が使用され得る。
【0290】
眼への局所投与に適した製剤には、活性成分が、活性成分に適した担体(特に水性溶媒)に溶解されたまたは懸濁された点眼薬も含まれる。活性成分は、好ましくは、このような製剤中に、0.5から20%の濃度で存在し、有利には0.5から10%の濃度で存在し、特には約1.5%(重量/重量)の濃度で存在する。
【0291】
非経口投与用の製剤は、水性または非水性等張無菌注射液または懸濁液の形態であってよい。これらの溶液および懸濁液は、経口投与用製剤における使用について記載された1種もしくは複数の担体または希釈剤を用いて、または他の適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤を用いて無菌粉末もしくは顆粒から調製され得る。化合物は、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、EtOH、とうもろこし油、綿実油、落花生油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、トラガカントゴム、および/または種々の緩衝液に溶解され得る。他のアジュバントおよび投与の方法は、製薬分野において公知である。活性成分は、食塩水、ブドウ糖、あるいは水を含めた適切な担体を含む、またはシクロデキストリン(すなわち、Captisol)、共溶媒可溶化剤(すなわち、プロピレングリコール)もしくはミセル可溶化剤(すなわち、Tween 80)を含む組成物として注射によっても投与され得る。
【0292】
無菌の注射用製剤は、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液のような、無毒の非経口的に許容される希釈剤また溶媒中の無菌の注射液または懸濁液であってもよい。使用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発性油は、溶媒または懸濁化媒体として通常使用される。この目的については、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含めて、いずれの無刺激性の不揮発性油も使用され得る。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製において用途を見いだしている。
【0293】
肺投与については、医薬組成物は、エーロゾルの形態でまたは乾燥粉末エーロゾルを含む吸入器を用いて投与され得る。
【0294】
薬物の直腸投与用の坐剤は、(常温で固体であるが直腸の温度で液体であり、このため直腸で溶けて薬物を放出するココアバターおよびポリエチレングリコールなどの)適切な非刺激性の賦形剤と薬物を混合することによって調製され得る。
【0295】
医薬組成物は、滅菌などの通常の製薬操作を受けさせることができ、および/または保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤などの通常のアジュバントを含有することができる。錠剤および丸剤は、さらに腸溶コーティングを用いて調製され得る。このような組成物は、湿潤剤、甘味料、着香料、および香料などのアジュバントも含み得る。
【0296】
前述したことは、本発明を例証しているにすぎず、本発明を開示された化合物に制限するものではない。当業者には明らかである変形および変更は、添付の特許請求の範囲において定義された本発明の範囲および性質に含まれることが意図されている。
【0297】
前述した説明より、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に解明することができ、これらの趣旨および範囲を逸脱することなく、本発明の様々な変更および修正を加えて、これを様々な用途および条件に適合させることができる。
【0298】
本発明の化合物が、本発明に従って投与される場合、許容されない毒性(toxological)効果は予想されない。
【0299】
全ての言及された参考文献、特許、出願および刊行物は、あたかも本明細書に記載されているかのように、これらの全体を参照により本明細書に組み込む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、
【化35】

該化合物の鏡像異性体、ジアステレオマー、および塩
[式中、
Xは、CRまたはNであり;ならびに
Yは、(C−C)アルキレン、または(C−C)アルケニレンであり、ここで、同一炭素原子上または隣接した炭素原子上の置換基は、結合してCからC員シクロアルキル環、またはC−Cヘテロシクリル環を形成することができ;
Zは、
【化36】

であり;
pおよびpは、それぞれ独立に存在しないまたは結合であり;
は、出現ごとに、独立に
a)H、ハロ、または
b)アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、またはヘテロシクロアルキル(いずれも、1つ以上のR10で独立に置換されていてよい。)であり;
は、H、NR、NHC(=O)NR、NHC(=S)NRであり、
またはRおよびRは、これらが結合している環と一緒になって結合して、キノリン、キナゾリン、アザインドール、ピロロ[2,3−d]ピリミジン、アザベンゾチオフェン、チエノ[3,2−b]ピリジン、ナフチリジン、およびアザインダゾール(いずれも1つ以上のR10で独立に置換されていてよい。)から選択される環を形成し;
は、H、NHR、C(=O)NHR、NHC(=O)NR、NHC(=S)NRであり;
およびR4aは、H、およびアルキルから独立に選択され、またはRおよびR4aは、結合して=Oを形成し;
は、H、C(=O)NHR、NHC(=O)NHRまたはNHC(=O)Rであり;
は、H、ハロ、C(=O)NHRまたはNHC(=O)R、NHC(=O)NRであり;
は、出現ごとに独立に
a)H、または
b)アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、アルキル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、および2,3−ジヒドロインドール(いずれも1つ以上のR10で独立に置換されていてよい。)であり;
10は、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シアノ、ニトロ、−NRまたは−C(=O)NR、NHC(=O)NRであり;
およびRは、独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、およびヘテロシクロアルキル(いずれも1つ以上のR10で独立に置換されていてよい。)である。]。
【請求項2】
Zが
【化37】

である、請求項1の化合物。
【請求項3】
Zが
【化38】

である、請求項1の化合物。
【請求項4】
pが結合である、請求項2の化合物。
【請求項5】
pが存在しない、請求項2の化合物。
【請求項6】
YがCHである、請求項1の化合物。
【請求項7】
およびRが、それぞれ水素である、請求項5の化合物。
【請求項8】
およびRが、これらが結合している環と一緒になって結合して6,7−ジメトキシキノリン、およびキノリンから選択される環を形成する、請求項5の化合物。
【請求項9】
Yが、CHであり;ならびに
が、C(=O)NHR、またはNHC(=O)RまたはNHC(=O)NHRである、請求項8の化合物。
【請求項10】
およびRが、独立にフェニル、シクロアルキルまたは2,3−ジヒドロインドール(いずれも1つ以上のR10で独立に置換されていてもよい。)である、請求項9の化合物。
【請求項11】
【化39】





から選択される、請求項1の化合物。
【請求項12】
【化40】


から選択される、請求項1の化合物。
【請求項13】
式IIの化合物、
【化41】

該化合物の鏡像異性体、ジアステレオマー、および塩
[式中、
およびRは、独立にHまたはアルコキシであり;
およびR4aは、それぞれ水素であり、またはRおよびRは、結合して=Oを形成し;
pは、存在しないまたは結合であり;
Xは、−C(=O)NH−、−NHC(=O)NH−または−NHC(=O)−であり、
10は、出現ごとに、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シアノ、ニトロ、−NRまたは−C(=O)NRから独立に選択され、
およびRは、独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、およびヘテロシクロアルキル(いずれも1つ以上のR10で独立に置換されていてよい。)であり、
nは、0、1、2または3である。]。
【請求項14】
式IIIの化合物、
【化42】

該化合物の鏡像異性体、ジアステレオマー、および塩
[式中、
およびR4aは、それぞれ水素であり、またはRおよびRは、結合して=Oを形成し;
pは、存在しないまたは結合であり;
Xは、−C(=O)NH−、−NHC(=O)NH−または−NHC(=O)−であり;
10は、出現ごとに、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シアノ、ニトロ、−NRまたは−C(=O)NRから独立に選択され、
およびRは、独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、およびヘテロシクロアルキル(いずれも1つ以上のR10で独立に置換されていてよい。)であり;
nは、0、1、2または3である。]。
【請求項15】
薬学的に許容される担体および請求項1の化合物を含む医薬組成物。
【請求項16】
薬学的に許容される担体および請求項13の化合物を含む医薬組成物。
【請求項17】
薬学的に許容される担体および請求項14の化合物を含む医薬組成物。
【請求項18】
請求項1の化合物の有効量を投与することを含む、対象における癌の治療方法。
【請求項19】
抗生物質型薬剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、ホルモン剤、免疫剤、インターフェロン型薬剤およびその他の薬剤から選択される化合物との併用を含む、請求項15の方法。
【請求項20】
請求項1の化合物の有効量を投与することを含む、対象における血管形成の治療方法。
【請求項21】
請求項1の化合物の有効量を投与することを含む、哺乳類における増殖に関連した障害の治療方法。
【請求項22】
請求項1の化合物の有効量を投与することを含む、対象における腫瘍中の血流の低減方法。
【請求項23】
請求項1の化合物の有効量を投与することを含む、対象における腫瘍サイズの低減方法。
【請求項24】
請求項1の化合物の有効量を投与することを含む、対象における糖尿病性網膜症の治療方法。
【請求項25】
請求項1の化合物の治療有効量を哺乳類に投与することを含む、哺乳類における炎症の治療方法。
【請求項26】
請求項1の化合物の治療有効量を哺乳類に投与することを含む、哺乳類におけるT細胞活性化の阻害方法。
【請求項27】
請求項1の化合物の治療有効量を哺乳類に投与することを含む、哺乳類における関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、または骨関節炎の治療方法。
【請求項28】
請求項1の化合物の治療有効量を哺乳類に投与することを含む、哺乳類における臓器移植拒絶、急性移植拒絶または異種移植片拒絶または同種移植片拒絶、または移植寛容誘導の治療方法。
【請求項29】
請求項1の化合物の治療有効量を哺乳類に投与することを含む、哺乳類における虚血性傷害または再かん流傷害、心筋梗塞、または脳卒中の治療方法。
【請求項30】
請求項1の化合物の治療有効量を哺乳類に投与することを含む、哺乳類における多発性硬化、(潰瘍性大腸炎、クローン病、ループス、接触過敏症、遅延型過敏症、グルテン過敏性腸疾患を含めた)炎症性腸疾患、1型糖尿病、乾癬、接触性皮膚炎、橋本甲状腺炎、シェーグレン症候群、自己免疫性甲状腺機能亢進症、アジソン病、自己免疫性多腺疾患、自己免疫性脱毛症、悪性貧血、白斑、自己免疫性下垂体機能低下症、ギラン・バレー症候群、糸球体腎炎、血清病、じんましん(uticaria)、アレルギー疾患、ぜんそく、枯草熱、アレルギー性鼻炎、スクレラシエルマ、菌状息肉腫、皮膚筋炎、円形脱毛、慢性光線性皮膚炎、湿疹、ベーチェット病、掌蹠膿疱症(Pustulosis palmoplanteris)、壊疽性膿皮症(Pyoderma gangrenum)、セザリー症候群、アトピー性皮膚炎、全身性強皮症、原局性強皮症またはアトピー性皮膚炎の治療方法。

【公表番号】特表2010−513523(P2010−513523A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542923(P2009−542923)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/026064
【国際公開番号】WO2008/079292
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(500049716)アムジエン・インコーポレーテツド (242)
【Fターム(参考)】