説明

褥瘡治療薬

【課題】 褥瘡の治療と同時に感染症予防機能を有し、深度の深い褥瘡や再発した褥瘡にも効果を有する褥瘡治療用経口剤及び褥瘡治療用軟膏を提供すること。
【解決手段】 有効成分として少なくとも、竹エキスと、マリンコラーゲンと、イソマルトオリゴ糖と、糖セラミドとを含んだ褥瘡治療用経口剤及び褥瘡治療用軟膏。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は褥瘡治療薬に係り、特に、発症から時間の経過した褥瘡や再発した褥瘡にも効果がある褥瘡治療薬に関する。
【背景技術】
【0002】
褥瘡は「床ずれ」とも呼ばれ、病気などの理由で長期にわたり同じ体勢で寝たきりになった場合に、敷き布団と身体との接触部分で末梢血管が閉塞し、組織が壊死することにより起こるものである。褥瘡が進行すると皮膚に穴が開き、場合によっては筋肉や骨まで達することもある。
【0003】
褥瘡の治療方法は、大きく分けて、薬物投与などによる保存的治療と、手術による外科的治療との2つに分けられる。初発の褥瘡であり、且つ発症から2〜3週間以内の比較的新しいものである場合には、保存的治療を行うことが多い。具体的には、患部の湿潤環境を整え創傷被覆材で覆い、患部が便などにより汚染されないようにし、場合によってはワセリン系の軟膏なども用いる。
【0004】
一方、発症から3週間以上経過している褥瘡の場合には、患者の年齢や褥瘡の深さ、褥瘡が初発であるか再発であるか等を総合的に検討し、外科的処置を行うか保存的治療を行うかを判断する。具体的には、先ず患部から壊死した組織を可能な限り除去する。その上で、
1.生理食塩水で創面を洗浄し創傷滲出液を除く。患部に抗菌剤と充填材を一緒に投与し、死腔を塞いで滲出液の吸収を促し、新生表皮成長作用を有する軟膏やスプレーを用いる。
2.閉鎖療法を行う。
3.褥瘡の原因となる「ずれ力」の排除に努める。
などの対処が考えられる。
【0005】
このような褥瘡の治療の際には、各種の分類により褥瘡の程度を判断するということが一般的に行われている。褥瘡の治療に関する分類としては、以下の3種の分類が知られている。
1)SheaまたはDanielの分類 治療を目的としたもの
2)NPUAP 予防を考慮したもの
3)大浦 創傷治癒と手術を考慮したもの
【0006】
これらの分類のうち、大浦の分類には、手術計画に必要な「ステージ5」が加えられており、さらに、治癒に伴い浅くなった褥瘡の深さの評価も含まれていることから、治療経過を観るのには適切である。従って、本願の実施例においては、患者の褥瘡を大浦の分類にて判断する。なお、大浦の分類は以下の5段階によってなる。
ステージ1:紅斑(圧迫しても蒼白にならない)
ステージ2:真皮浅層あるいは深層に至る損傷、もしくはこれと同程度の深さに盛り上がった肉芽創
ステージ3:皮膚全層あるいは皮下深在性筋膜に至る損傷、もしくはこれと同程度の深さに盛り上がった肉芽創
ステージ4:筋肉・骨・支持組織に至る損傷あるいはそれ以上の深さの損傷、もしくはこれと同程度の深さに盛り上がった肉芽創
ステージ5:関節腔、体腔(直腸、膣など)に及んだ損傷または嚢包に沿って広範囲となった深い損傷
【0007】
ところで、患者が高齢者である場合には褥瘡が初発且つ発症後間もないものであることは稀であり、一旦治癒した褥瘡が再発したものであったり、長期に亘って治療は行っているが未だ完治に至らない、といったケースが多い。このような高齢者の褥瘡への対処では、初発であるか再発であるか、再発である場合には前回の褥瘡の深さがはっきりしているか等様々な事項を考慮する必要があり、それぞれのケース毎に治療工程が異なるため高齢者の褥瘡治療は困難なものとなることが多い。
【0008】
このような褥瘡治療を目的とする褥瘡治療薬として、スルデヒドロアビエチン酸又はその塩を有効成分として含有した褥瘡治療剤が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平10−338632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従前の褥瘡治療薬は深度の深い褥瘡や再発した褥瘡への適用が検討されておらず、高齢者の褥瘡治療に十分なものではなかった。
【0010】
本発明はこのような問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、深度の深い褥瘡や再発した褥瘡にも効果的な褥瘡治療薬の提供をすることにある。
【0011】
また、本発明の他の目的とするところは、褥瘡の治療と同時に感染症予防機能を有する褥瘡治療薬を提供することにある。
【0012】
この発明のさらに他の目的並びに作用効果は、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本願の褥瘡治療薬は、有効成分として少なくとも、竹エキスと、マリンコラーゲンと、イソマルトオリゴ糖と、糖セラミドとを含んだ褥瘡治療用経口剤である。
【0014】
また、本願の褥瘡治療薬は、有効成分として少なくとも、竹エキスと、マリンコラーゲンと、イソマルトオリゴ糖と、糖セラミドとを含んだ褥瘡治療用軟膏として提供してもよい。
【0015】
また、本願の褥瘡治療用経口剤及び褥瘡治療用軟膏においては、有効成分として、更にビタミンA、ビタミンC、ビタミンD3、ビタミンEを含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の褥瘡治療用経口剤によれば、マリンコラーゲン、イソマルトオリゴ糖、糖セラミドにより褥瘡部の組織修復が行われるため比較的深い褥瘡や再発した褥瘡にも効果があり、また、竹エキスにより各種感染症の感染防御が行われるため免疫力が低下した高齢の患者でも褥瘡部からの感染症を防御することができる。
【0017】
また、本発明の褥瘡治療用軟膏によれば、経口剤と同様に褥瘡治療効果と感染防御効果があることに加えて、軟膏としたことにより摂食障害等により治療薬の経口摂取が困難な患者にも褥瘡治療薬を用いることが可能となる。
【0018】
更に、褥瘡治療用経口剤及び褥瘡治療用軟膏にビタミンA、ビタミンC、ビタミンD3、ビタミンEを加えると、細胞の増殖等により産生される活性酸素より細胞を保護する効果が期待でき、また皮膚細胞の栄養源ともなり、よりスムーズに褥瘡の治療を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、この発明の好適な実施の一形態を添附図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
先にも述べたように、本発明の褥瘡治療用経口剤及び褥瘡治療用軟膏は、有効成分として竹エキスと、マリンコラーゲンと、イソマルトオリゴ糖と、糖セラミドとを含むものであり、深度の深い褥瘡や再発した褥瘡の治療にも効果が期待できるものである。本発明の褥瘡治療用経口剤及び褥瘡治療用軟膏に含まれる有効成分は、それぞれ以下のような作用機序で効果を発揮しているものだと推測される。
【0021】
コラーゲンは人体を構成する蛋白質の1種であり、骨、皮膚の基礎となる物質である。マリンコラーゲンは、魚の鱗、皮、浮袋などから抽出される水溶性のコラーゲンであり、組織が分解しやすく人体に吸収されやすいたた本発明ではこのマリンコラーゲンを用いる。本願の褥瘡治療薬に用いるマリンコラーゲンの抽出方法は特に限定せず公知の方法で行うことができる。また、市販のマリンコラーゲン抽出物等を用いても良い。
【0022】
イソマルトオリゴ糖はオリゴ糖の1種であり、イソマルトース、パノース、イソマルトシルマルトースなどが知られており、マクロファージ、リンパ球の皮下層への遊走促進と細胞機能の活性化とを行い、創傷面における日和見感染防御作用が期待できる。本願においてイソマルトオリゴ糖の合成は公知の方法で行うことが可能であり、市販のイソマルトオリゴ糖を用いても良い。
【0023】
セラミドは皮膚の角質層の細胞と細胞の間にある脂質であり、細胞膜においてセラミドドメイン形成の素材成分となり表皮基底層を形成する。糖セラミドはセラミドの1種であり、コラゲナーゼ、エラスターゼの阻害作用を有し、これにより皮膚の維持に必要なコラーゲン、エラスチンの分解を防ぐ機能を有する。糖セラミドは、哺乳動物や魚の組織、また、小麦粉や米ぬか等から抽出することが可能であり、化学合成により得ることもできる。本願において用いる糖セラミドはいずれの方法で得られたものでもよいが、小麦由来の糖セラミドが供給の安定性の面から好ましい。
【0024】
マリンコラーゲン、イソマルトオリゴ糖、糖セラミドの各有効成分はそれぞれ単独でも上記のような効果を有するものだが、これらを同時に摂取することにより次のようにより顕著な相乗効果が生じるものと推測される。
【0025】
先ず、イソマルトオリゴ糖がマクロファージに取り込まれて、リンパ細胞を始めとする免疫細胞部に対して損傷した組織の修復指令を出し、代謝活性を行う。これと同時にコラーゲンは髪や骨などの栄養素となり、その一部が皮膚担当酵素に取り込まれる。コラーゲンが皮膚担当酵素に取り込まれた後に、糖セラミドが骨や髪などの栄養分解酵素を抑制し、これにより皮膚栄養分解酵素が働き、担当細胞が皮膚の修復を開始する。
【0026】
褥瘡治療においては、褥瘡部の組織修復と同時に損傷部位からのMRSA等の重症感染症に対する防御を行う必要があるが、患者の多くは高齢者であり加齢による免疫機能の低下、更に糖尿病による末梢循環障害、便や尿による汚染など、多くの危険要因を抱えている。そこで本願の褥瘡治療用軟膏及び褥瘡治療用経口剤においては、有効成分として抗菌性を有する竹エキスを加えることとした。褥瘡治療薬に竹エキスを加えることにより、マリンコラーゲン、糖セラミド、イソマルトオリゴ糖などによる修復機能に加えて竹エキスの感染防御機能をも得ることができ、修復機能を有する成分のみで用いた場合よりも治癒日数の短縮が期待できる。本願において竹エキスの抽出方法は特に特定しないが、たとえば、竹をアルコールや熱湯等に浸し、得られた抽出液を濾過・精製することにより得てもよく、市販の竹エキスを用いても良い。
【0027】
また、本願の褥瘡治療薬においては、ビタミンA、C、D3、Eなどを加えても良い。これらのビタミン類は、細胞機能の活性化や増殖等により産生される活性酸素の消去を促進し、皮膚再生に関与する細胞を保護する機能を有する。また皮膚細胞の栄養源ともなるため、これらのビタミン類を加えることにより、褥瘡治療がよりスムーズに行われる。
【0028】
<マウス実験>
竹エキスによる感染防御効果と、マリンコラーゲン、糖セラミド、イソマルトオリゴ糖と竹エキスとを一緒に用いた場合の相乗効果を検証するために、マウスにて治癒効果観察の実験を行った。
【0029】
被験体のマウスに電気ドライヤで創傷を作り、創傷面にMRSA菌0.1ml(108CFU/ml)を滅菌綿棒で塗布し感染させて褥瘡を人工的に再現させ、この褥瘡面に有効成分を含むジェルa〜c,レファレンスジェルのいずれかを塗布し続け患部を観察する。それぞれのジェルの評価は、MRSA感染直後、7日目、14日目、21日目の褥瘡部の面積を写真から計測することで行う。
被験体:ddyマウス メス 30匹、7週齢
ジェルa:有効成分として竹エキス0.25%を含有したジェル
ジェルb:有効成分としてコラーゲンとセラミドとイソマルコオリゴ糖とビタミンA,C,D3,Eとを含む混合物25%を含有したジェル
ジェルc:有効成分として竹エキス0.25%と、コラーゲンとセラミドとイソマルコオリゴ糖とビタミンA,C,D3,Eとを含む混合物25%とを含有したジェル
レファレンスジェル:有効成分を含まない対照ジェル
【0030】
マウス実験における褥瘡面積の推移を表したグラフが図1に、ジェルaを塗布したマウスの創面の推移が図2に、ジェルbを塗布したマウスの創面の推移が図3に、ジェルcを塗布したマウスの創面の推移が図4に、レファレンスジェルを塗布したマウスの創面の推移が図5に、それぞれ示されている。図2〜5において、それぞれ(a)はジェル塗布前の創面、(b)はジェル塗布開始から7日後の創面、(b)はジェル塗布開始から14日後の創面、(b)はジェル塗布開始から21日後の創面、である。
【0031】
図1〜5より、有効成分を含んだジェルa〜cを塗布したマウスは、7日後、14日後の時点でレファレンスジェルを塗布したマウスよりも治癒が早く褥瘡部の面積が小さくなっており、竹エキスのみ(ジェルa)、褥瘡治療用成分のみ(ジェルb)、竹エキスと褥瘡治療用成分との併用(ジェルc)のいずれについても効果があることがわかる。また、竹エキスと褥瘡治療用成分の両方を含むジェルcは、14日後、21日後において褥瘡治療用成分のみを含むジェルbよりも褥瘡面積が小さくなっており、併用することにより相乗効果が得られたものと推測される。なお、21日目の結果では混合ジェルaがレファレンスより褥瘡面積が大きいとなっているが、混合ジェルa塗布21日後の図2(d)とレファレンスジェル塗布21日後の図5(d)とを比較すると、21日後の時点ではいずれの被験体もほぼ完治しており、誤差の範囲であると思われる。
【0032】
本願の褥瘡治療薬は、経口投与、皮膚からの直接摂取、点滴による投与など、いずれの方法で患者に与えてもよい。但し、高齢等の理由で経口摂取が困難な患者の場合には、軟膏やスプレー等の損傷部位に直接用いることができる形態のものが望ましい。
【0033】
本発明の褥瘡治療用経口剤及び褥瘡治療用軟膏において有効成分をどの程度配合するかについては現在検討されている。褥瘡治療用経口剤として提供する場合には、従前の褥瘡治療用経口薬の配合(1錠300mg中に83.3%の有効成分が含まれ1日に780〜1180mgの有効成分を摂取する)を参考とし、これと同程度の有効成分を配合することが望ましい。
【0034】
また、褥瘡治療用軟膏として提供する場合には、経口剤と同程度の有効成分を摂取できるように有効成分が配合されることが望ましい。広範囲に塗布する場合の1回あたりの使用量が2〜3g程度であり、これを1日に3回塗布すると1日あたりの使用量が6〜9gとなる。軟膏6〜9g中に有効成分が780〜1180mg程度含まれるようにするには、有効成分の含有量は8〜20%程度が好ましいと考えられ、最も好ましいのは13%前後だと思われる。また、褥瘡治療薬を軟膏乃至クリームの形状で提供する場合には、クリーム基材をベースとするとクリーム状にしやすい。
【0035】
本発明の褥瘡治療用経口剤と褥瘡治療用軟膏とは併用してもよい。両者を併用する場合の使用量は、それぞれを単独で用いるときの使用量をそのまま適用してもよく、いずれか一方もしくは両方の量を減らしてもよい。それぞれの患者の状況に応じて適宜判断するとよい。
【実施例1】
【0036】
以下において、本願にかかる治療薬の投与試験結果を説明する。本願はこれにより特定されるものではない。
【0037】
はじめに、マリンコラーゲンペプチド、セラミド含有小麦抽出物、イソマルトオリゴ糖を混合した粉末Aを作る。この粉末A80%と、粉末状ビタミンE20%(カワイ)と、ビタミンD30.13%(理研)とを混合し混合粉末を作る。
【0038】
<褥瘡治療用軟膏(クリーム)>
クリーム基材86.5%、混合粉末13.0%、竹エキス0.5%を混ぜて褥瘡治療用クリームを得た。
【0039】
<褥瘡治療用錠剤の製法>
混合粉末83.3%、結晶セルロース14.7%、グリセリン脂肪酸エステル2.0%を混ぜ合わせ打錠し、褥瘡治療用錠剤を得た。
【0040】
<実施例1>
患者:女性、92歳
使用量:褥瘡治療用軟膏と褥瘡治療用錠剤とを併用。褥瘡治療用軟膏は1日に3〜4回患部に塗布、褥瘡治療用錠剤は1日に6錠服用。
褥瘡危険要因:自力体位変換3点、病的骨突出度0点、関節拘祝1点
最初の褥瘡:平成15年9月30日発症、患部は仙骨部。治癒
2度目の褥瘡:平成17年3月1日発症、患部は前回同様仙骨部。洗浄した患部に皮膚伸長軟膏を塗布しガーゼで被覆するなどして処置したが、好転せず。
患者の状況:要介護状態区分1(生活の一部について部分的介護を要する状態)
治療時の褥瘡の状態:大浦の分類に準拠すればステージ2〜3の状況。
また、褥瘡治療用軟膏と褥瘡治療用経口剤との使用とあわせて、以下の3点を心がけた。
1.傷口被覆が外れないようにする
2.座位時除圧を心がける
3.栄養摂取を心がける(低蛋白状態の患者だった)
【0041】
<実施例2>
患者:女性、80歳
使用量:褥瘡治療用軟膏を単独使用し、1日に3〜4回患部に塗布した。
最初の褥瘡:平成15年7月31日、患部は右大腿骨大転子部。
2度目の褥瘡:平成17年2月4日、右大腿骨大転子部。
3度目の発症:平成17年10月3日、右大腿骨大転子部。
患者の状況:寝たきり度B2(屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが座位を保つ。車椅子への移乗には解除が必要)
治療時の褥瘡の状態:大浦の分類に準拠すればステージ2。
【0042】
患者1,2の治療開始前、治療終了後の血液及び尿の検査結果が図8に示されている。2名の患者に共通する変化として、アルブミンの増加が見られる。
【0043】
<結果1>
患者1の褥瘡部の推移が図6に表されている。同図において、(a)は治療開始時の褥瘡の状態、(b)は治療開始2週間後の褥瘡の状態、(c)は治療開始4週間後の褥瘡の状態、(d)は治療開始6週間後の褥瘡の状態を表す図である。開始時の褥瘡の大きさは1.7cm×1.7cm程度であったが、3週間目の時点で褥瘡の大きさは1.4cm×1.4cm程度とわずかに小さくなっていた。2週間後、4週間後と徐々に褥瘡の状況が改善し、6週間後には治癒に至っていることがわかる。これにより、本発明の褥瘡治療用経口剤と褥瘡治療用軟膏が再発した褥瘡にも効果があることがわかった。
【0044】
<結果2>
患者2の褥瘡部の推移が図7に表されている。同図において、(a)は治療開始時の褥瘡の状態を表す図である。(b)は治療開始2週間後の褥瘡の状態を表す図である。(c)は治療開始3週間後の褥瘡の状態を表す図である。2週間目の時点では褥瘡部は白苔に覆われていたが、3週間目には治癒した。これにより、本発明の褥瘡治療用経口剤と褥瘡治療用軟膏が再発した褥瘡にも効果があり、ベッド上で過ごすことが多い患者にも効果があることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上より明らかなように、本願の褥瘡治療用経口剤及び褥瘡治療用軟膏は、発症から時間が経過した褥瘡や再発した褥瘡にも効果があり、また、高齢者にも効果が見られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】マウス実験における褥瘡面積の推移を表す図である。
【図2】ジェルaを塗布したマウスの創面の推移を表す図である。
【図3】ジェルbを塗布したマウスの創面の推移を表す図である。
【図4】ジェルcを塗布したマウスの創面の推移を表す図である。
【図5】レファレンスジェルを塗布したマウスの創面の推移を表す図である。
【図6】患者1の褥瘡の推移を表す図である。
【図7】患者2の褥瘡の推移を表す図である。
【図8】患者1,2の治療前後の血液及び尿の検査結果を表す図表である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として少なくとも、竹エキスと、マリンコラーゲンと、イソマルトオリゴ糖と、糖セラミドとを含んだ褥瘡治療用経口剤。
【請求項2】
有効成分として少なくとも、竹エキスと、マリンコラーゲンと、イソマルトオリゴ糖と、糖セラミドとを含んだ褥瘡治療用軟膏。
【請求項3】
有効成分として、更にビタミンA、ビタミンC、ビタミンD3、ビタミンEを含むことを特徴とする請求項1に記載の褥瘡治療用経口剤。
【請求項4】
有効成分として、更にビタミンA、ビタミンC、ビタミンD3、ビタミンEを含むことを特徴とする請求項2に記載の褥瘡治療用軟膏。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−44916(P2008−44916A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224258(P2006−224258)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(302068667)株式会社ユウコーエンタープライズ (1)
【Fターム(参考)】