説明

計器ユニットの固定構造

【課題】時間の経過や設置環境によらず、良好かつ安定した固定力を維持し、信頼性を高めることが可能な計器ユニットの固定構造を提供すること。
【解決手段】周方向に複数に分割された係止爪55を先端部に有し、回路基板12に形成された取付孔13へ先端部が差し込まれことにより、回路基板12の裏面側における取付孔13の縁部を係止する円筒係合部53と、前記円筒係合部53の係止爪55に囲まれる係合孔52bに押し込まれることにより、係止爪55を径方向外方へ広げるボス63と、係合孔52bに押し込まれたボス63の係合孔52bへの押し込み方向と逆方向への移動を規制する移動規制部54a、64とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の計器装置に用いられる、指針を回転駆動させる計器ユニットをフレームや基板に固定する計器ユニットの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、車両速度を指示する車両速度メータ、エンジン回転数を指示するエンジン回転数メータ、燃料残量を指示する燃料残量メータ、冷却水の温度を指示する水温メータ、等の種々のメータ(計器)が装備されており、これらの各種メータ機能を取り込んだ、所謂コンビネーションメータ型の車両用計器装置が用いられている。
【0003】
このような計器装置に用いられる計器ユニットを電気回路基板へ取り付ける固定構造として、例えば、計器装置の合成樹脂製のケースに一体に形成された係止爪を回路基板に形成され孔部へ差し込み、係止爪を孔部の開口縁に係止させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−138759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように、孔部の開口縁に係止爪を係止させる固定構造においては、時間が経過するにしたがって、経年変化によって係止爪が変形し、回路基板への固定力が低下するおそれがある。特に、車両の駆動源からの振動あるいは走行時の振動を受けることにより、固定力の低下が顕著に生じてしまう。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、時間の経過や設置環境によらず、良好かつ安定した固定力を維持し、信頼性を高めることが可能な計器ユニットの固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る計器ユニットの固定構造は、下記(1)〜(4)を特徴としている。
(1) 計器ユニットのハウジングに設けられた固定機構部によって前記計器ユニットを取付板に固定する計器ユニットの固定構造であって、
前記固定機構部には、周方向に複数に分割された係止爪を先端部に有し、前記取付板に形成された取付孔へ先端部が差し込まれことにより、前記取付板の裏面側における前記取付孔の縁部を係止する円筒係合部と、
前記円筒係合部の前記係止爪に囲まれる係合孔に押し込まれることにより、前記係止爪を径方向外方へ広げるボスと、
前記係合孔に押し込まれた前記ボスの前記係合孔への押し込み方向と逆方向への移動を規制する移動規制部とを備えたこと。
(2) 上記(1)の構成の計器ユニットの固定構造において、
前記移動規制部は、
前記ボスに形成されて径方向外方へ広がる弾性変形可能なアーム部と、
前記係合孔に形成された、前記ボスが該係合孔の係合位置へ押し込まれた状態で前記アーム部が配置可能な係合溝部とを有し、
前記アーム部は、前記ボスが前記係合孔へ向かって押し込まれると、該係合孔の内周面に当接して径方向内方へ弾性変形し、前記ボスが該係合孔の係合位置まで押し込まれると、前記係合溝部に到達して復元し、前記係合溝部に係合すること。
(3) 上記(1)または(2)の構成の計器ユニットの固定構造において、
前記ボスは、前記ハウジングに一体に形成され、前記係合孔へ向かう押圧力によって前記ハウジングから分離可能とされていること。
(4) 上記(1)から(3)のいずれかの構成の計器ユニットの固定構造において、
前記ハウジングは、前記円筒係合部を有する下側ケースと、前記ボスを有する上側ケースとから構成され、前記下側ケースに前記上側ケースを装着することにより、前記円筒係合部に対して前記ボスが位置決めされること。
【0008】
上記(1)の構成の計器ユニットの固定構造では、円筒係合部の先端を取付板の取付孔へ差し込むことにより、係止爪を取付孔の裏面側における縁部へ係止させ、計器ユニットを取付板に固定することができる。
この状態にて、ボスが円筒係合部の係合孔における係合位置まで押し込まれると、係止爪が径方向外方へ広げられ、取付板の取付孔の縁部へ係止爪が確実に係止され、取付板に強固に固定された状態となる。
しかも、この状態にて、ボスは、移動規制部によって係合孔への押し込み方向と逆方向への移動が規制されるので、ボスが係合位置から移動して抜け出すことが防止される。これにより、時間の経過や振動などによらず、取付板への計器ユニットの良好な固定力を安定して維持することができ、その係止の信頼性を高めることができる。
上記(2)の構成の計器ユニットの固定構造では、ボスが係合位置へ向かって押し込まれると、係合孔の内周面に当接して径方向内方へ弾性変形し、ボスが係合位置まで押し込まれると、係合溝部に到達して復元し、係合溝部に係合するアーム部を有するので、ボスを容易に係合位置へ押し込むことができるとともに、アーム部と係合溝部との係合力によって、係合位置へ押し込んだボスの押し込み方向と逆方向への移動を確実に規制することができる。このように、移動規制部が、係合溝部とボスに形成されたアーム部とからなる簡単な構成とされているので、時間の経過や振動などによらず、取付板への計器ユニットの良好な固定力を維持することができる固定構造を低コストにて実現することができる。
上記(3)の構成の計器ユニットの固定構造では、ハウジングにボスが一体に形成され、係合孔へ向かう押圧力によってボスが分離可能とされているので、別体のボスを用いる場合と比較して、部品点数の削減による低コスト化を図ることができ、また、別体のボスが紛失しないように管理するような煩雑な手間を不要とすることができる。
上記(4)の構成の計器ユニットの固定構造では、下側ケースに上側ケースを装着することにより、円筒係合部に対してボスが位置決めすることができ、この位置決めされたボスを係合孔の係合位置まで押し込んで、取付板に対する計器ユニットの固定状態を確実に維持させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、時間の経過や設置環境によらず、良好かつ安定した固定力を維持し、信頼性を高めることが可能な計器ユニットの固定構造を提供できる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る計器ユニットの固定構造を説明する回路基板に固定された計器ユニットの斜視図である。
【図2】回路基板に固定された計器ユニットの側面図である。
【図3】回路基板に固定された計器ユニットの背面図である。
【図4】計器ユニットのハウジングと回路基板との分解斜視図である。
【図5】計器ユニットのハウジングの裏面側から視た分解斜視図である。
【図6】固定機構部の構成及び構造を説明する分解斜視図である。
【図7】固定機構部の構成及び構造を説明する断面図である。
【図8】アーム部の連結部の拡大断面図である。
【図9】(a)〜(c)は計器ユニットの固定機構部が回路基板に固定される際の動きを説明するそれぞれ断面図である。
【図10】円筒係合部に対して、別体のボスを差し込む固定機構部の参考例を示す断面図である。
【図11】円筒係合部にボスが一体化された固定機構部の参考例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る計器ユニットの固定構造を説明する回路基板に固定された計器ユニットの斜視図である。図2は、回路基板に固定された計器ユニットの側面図である。図3は、回路基板に固定された計器ユニットの背面図である。図4は、計器ユニットのハウジングと回路基板との分解斜視図である。図5は、計器ユニットのハウジングの裏面側から視た分解斜視図である。図6は、固定機構部の構成及び構造を説明する分解斜視図である。図7は、固定機構部の構成及び構造を説明する断面図である。図8は、アーム部の連結部の拡大断面図である。
【0014】
図1から図3に示すように、計器ユニット11は、本実施形態の固定構造によって回路基板(取付板)12に固定されている。
【0015】
計器ユニット11は、車両の速度メータ、エンジン回転数メータ、燃料残量メータ、水温メータ、等の指標となる目盛や数字などを指示する、指針を回転駆動させるための駆動装置である。
【0016】
この計器ユニット11は、ハウジング20の内部に、ステッピングモータ等の電気式ムーブメント(図示略)が収容されており、このムーブメントは、車両速度、エンジン回転数、燃料残量、冷却水の温度、等の計測値に応じて駆動する。この計器ユニット11は、ムーブメントによって回転される指針軸14が設けられており、この指針軸14に、指標を指示するための指針(図示略)が取り付けられる。
【0017】
図4及び図5に示すように、ハウジング20は、例えば合成樹脂を射出成形して形成されており、下側ケース30及び上側ケース40から構成されている。
【0018】
下側ケース30は、その内部が、ムーブメントが収容されるムーブメント収容空間31とされており、また、この下側ケース30には、その周面に、爪部32が形成されている。
【0019】
上側ケース40には、その上面に、指針軸14が挿通される挿通孔41が形成されており、また、この上側ケース40には、その周面に、窓部42aを有する固定片42が形成されている。
【0020】
そして、この下側ケース30に対して上側ケース40を被せると、下側ケース30の爪部32が、上側ケース40の固定片42の窓部42aに入り込んで係合し、これにより、下側ケース30に対して上側ケース40が取り付けられる。
【0021】
上記構造の下側ケース30と上側ケース40とからなるハウジング20には、その周囲の2箇所に、計器ユニット11を回路基板12に固定するための固定機構部21が設けられている。これらの固定機構部21は、回路基板12に形成された取付孔13へ嵌合されるようになっている。
【0022】
図6及び図7に示すように、固定機構部21は、下側ケース30側に一体に形成された下側固定機構部51と、上側ケース40側に一体に形成された上側固定機構部61とを備えている。
【0023】
下側固定機構部51は、中心に孔部52が形成された円筒状の円筒係合部53を有しており、この円筒係合部53の下端部が回路基板12の取付孔13へ嵌合される。この円筒係合部53は、その下端側が、軸方向に形成された複数のスリット54によって周方向に分割された複数の係止爪55とされている。
【0024】
この下側固定機構部51は、円筒係合部53の下端における外周に、径方向外方へ膨出する爪部56を有しており、円筒係合部53の下端部を回路基板12の取付孔13に挿入することにより、爪部56が回路基板12の裏面側へ配置され、取付孔13の縁部へ係止する。
【0025】
また、円筒係合部53の孔部52は、スリット54よりも上方側が拡径テーパ孔52aとされており、上方へ向かって次第に拡径されている。また、この孔部52は、拡径テーパ孔52aよりも下方のスリット54が形成された部分は、後述するボス63が押し込まれる係合孔52bとされている。ここで、円筒係合部53の下端部を回路基板12の取付孔13へ嵌合させると、それぞれの係止爪55が弾性変形して窄まる。これにより、円筒係合部53の係合孔52bは、径が変わらない上端での内径Aに対して下端の内径Bが小さくなる。
【0026】
また、この下側固定機構部51の上端には、上方へ突出する円筒突出部57が係止されており、この円筒突出部57には、互いに対向する位置にガイド溝57aが形成されている。これらのガイド溝57aは、その周方向の位置が、円筒係合部53の下端に形成された複数のスリット54のうちの対向して配置されたスリット(係合溝部)54aと周方向の同一位置に配置されている。
【0027】
上側固定機構部61は、環状に形成された環状部62を有しており、下側ケース30に対して上側ケース40を取り付けることにより、この上側固定機構部61の環状部62が、下側固定機構部51の円筒係合部53に重なるようになっている。また、このとき、円筒係合部53に形成された円筒突出部57が環状部62に嵌合され、これにより、円筒係合部53と環状部62とが連結されて位置決めされる。
【0028】
上側固定機構部61の環状部62の内周側には、ボス63が形成されている。このボス63は、断面円形に形成されたもので、その上端には、環状部62の上端に延びるアーム部64が形成されている。これらのアーム部64は、その上端に、側方へ延びる連結部65を有しており、この連結部65の先端部が環状部62に連結されている。これにより、ボス63は、環状部62の中心における下方側に配置された状態に支持されている。また、環状部62に連結されたアーム部64は、互いに対向位置に形成されており、下側固定機構部51の円筒係合部53に上側固定機構部61の環状部62が重ね合わされる際に、円筒係合部53の円筒突出部57に形成されたガイド溝57aへアーム部64が嵌合されて位置決めされるようになっている。
【0029】
図8に示すように、アーム部64の連結部65は、環状部62側へ向かって次第に厚みが薄くされており、これにより、連結部65は、ボス63に対して下側固定機構部51側へ向かう押圧力が付与されると、環状部62との連結箇所にて破断されるようになっている。なお、連結部65の厚みを同じにし、連結部65の環状部62側の端部に切欠きを形成しても良く、この場合も、ボス63に対して下側固定機構部51側へ向かう押圧力が付与されると、環状部62との連結箇所にて破断される。
【0030】
ボス63は、下端側へ向かって僅かに窄まる断面テーパ形状に形成されており、その下端における外径Cは、回路基板12の取付孔13へ下側固定機構部51の円筒係合部53の下端部を嵌合させた状態にて、その円筒係合部53の係合孔52bの上端の内径Aよりも小径とされ、かつ係合孔52bの下端の内径Bよりも大径とされている。
【0031】
また、ボス63から延びるアーム部64は、その連結部65の端部同士の間隔Dが、円筒係合部53の係合孔52bの上端側の内径Aよりも大きくされている。
【0032】
次に、上記の計器ユニット11を回路基板12へ固定する場合について説明する。
【0033】
図9は計器ユニット11の固定機構部21が回路基板12に固定される際の動きを説明する図である。
【0034】
まず、下側ケース30に上側ケース40を装着する。すると、上側固定機構部61の環状部62が、下側固定機構部51の円筒係合部53に重なり、円筒係合部53の円筒突出部57が環状部62に嵌合され、円筒係合部53と環状部62とが連結される。そして、円筒係合部53の円筒突出部57に形成されたガイド溝57aにアーム部64が嵌合されて位置決めされ、これにより、円筒係合部53に対してボス63も位置決めされる。
【0035】
上記のように、下側ケース30に上側ケース40を装着したら、固定機構部21の下端部を回路基板12に形成された取付孔13へ、下側固定機構部51の円筒係合部53に形成された爪部56が回路基板12の裏面側へ到達するまで差し込む。
【0036】
すると、円筒係合部53の中心側へ変形された係止爪55が復元して外側へ広がり、爪部56が回路基板12の裏面側における取付孔13の開口縁部に係止する。これにより、計器ユニット11が回路基板12に仮固定される。
【0037】
次に、図9(a)に示すように、固定機構部21の上方側から棒状の工具Tによってボス63を下方である回路基板12側へ向かって押し込む。
【0038】
すると、図9(b)に示すように、ボス63のアーム部64が、その厚さが一番薄くされた環状部62との連結箇所にて破断する。これにより、ボス63が下側固定機構部51の係合孔52bへ押し込まれる。また、このとき、アーム部64は、円筒係合部53の拡径テーパ孔52aの内周面に対して摺動しながら中心側へ向かって弾性変形される。
【0039】
ボス63がさらに係合孔52bへ押し込まれると、円筒係合部53の各係止爪55が径方向外方へ弾性変形されて押し広げられ、爪部56がさらに確実に回路基板12を係止する。このように、係止爪55が押し広げられるボス63の位置が係合位置とされている。
【0040】
そして、ボス63が係合位置に到達すると、アーム部64の上端が拡径テーパ孔52aを超えて係合孔52bに達し、図9(c)に示すように、アーム部64が径方向外方へ復元し、円筒係合部53のスリット54a内へ入り込む。これにより、係合孔52bへ嵌合されたボス63は、アーム部64がスリット54a内へ入り込んでいることより、係合孔52bへの押し込み方向と逆方向への移動が規制される。つまり、ボス63が押し込み方向と逆方向へ移動されようとしても、アーム部64がスリット54aの端部に係合するので、ボス63が押し込み方向と逆方向へ移動することなく、係合孔52bの係合位置に嵌合した状態に維持される。これにより、計器ユニット11は、回路基板12に対して強固に固定された状態とされる。このように、固定機構部21には、スリット54aとアーム部64とから、係合位置に押し込まれたボス63の押し込み方向と逆方向への移動を規制する移動規制部が設けられている。
【0041】
以上、説明したように、上記実施形態おける計器ユニットの固定構造によれば、ボス63が円筒係合部53の係合孔52bにおける係合位置まで押し込まれると、係止爪55が径方向外方へ広げられ、回路基板12の取付孔13の縁部へ係止爪55が確実に係止され、計器ユニット11が取付板12に強固に固定された状態となる。
【0042】
しかも、ボス63が係合位置へ向かって押し込まれると、係合孔52bの内周面に当接して径方向内方へ弾性変形し、ボス63が係合位置まで押し込まれると、スリット54aに到達して復元し、スリット54aに係合するアーム部64を有するので、ボス63を容易に係合位置へ押し込むことができるとともに、アーム部64とスリット54aの縁部との係合力によって、係合位置へ押し込んだボス63の押し込み方向と逆方向への移動を確実に規制することができる。
【0043】
つまり、ボス63は、スリット54aとアーム部64とからなる移動規制部によって係合孔52bへの押し込み方向と逆方向への移動が規制されるので、ボス63が係合位置から移動して抜け出すことが防止される。これにより、時間の経過や振動などによらず、回路基板12への計器ユニット11の良好な固定力を安定して維持することができ、計器ユニット11の指示特性を安定させて信頼性を高めることができる。
【0044】
また、ボス63の押し込み方向と逆方向への移動を規制する移動規制部が、スリット54aとボス63に形成されたアーム部64とからなる簡単な構成とされているので、時間の経過や振動などによらず、回路基板12への計器ユニット11の良好な固定力を維持することができる固定構造を低コストにて実現することができる。
【0045】
しかも、ハウジング20を構成する上側ケース40にボス63が一体に形成され、係合孔52bへ向かう押圧力によってボス63が分離可能とされているので、別体のボスを用いる場合と比較して、部品点数の削減による低コスト化を図ることができ、また、別体のボスが紛失しないように管理するような煩雑な手間を不要とすることができる。
【0046】
また、下側ケース30に上側ケース40を装着することにより、円筒係合部53に対してボス63が位置決めすることができ、この位置決めされたボス63を係合孔52bの係合位置まで押し込んで、回路基板12に対する計器ユニット11の固定状態を確実に維持させることができる。
【0047】
ここで、本発明の更なる優位性を説明するため、図10及び図11に参考例を示す。
【0048】
図10に示すものは、円筒係合部53に対して、その下端側から係合孔52bへボス63を差し込む固定機構部である。
【0049】
また、図11に示すものは、本実施形態と同様に、円筒係合部53に一体化されたボス63を上方側から押圧することにより、円筒係合部53とボス63との連結箇所を破断させ、円筒係合部53の係合孔52bへ押し込む固定機構部である。
【0050】
これら図10及び図11に示す固定機構部においても、円筒係合部53の係止爪55を径方向外方へ広げることにより、回路基板12の取付孔13への係止力を維持することができる。
【0051】
しかし、上記の固定機構部では、いずれもボス63が円筒係合部53の係合孔52b内に摩擦力によって保持される構造であるので、時間の経過や振動によってボス63が押し込み方向と逆方向へ移動してしまい、回路基板12への固定力が低下するおそれがある。
【0052】
特に、ボス63が別部品である図10の構造の固定機構部では、部品点数が多くなり、コストアップを招くとともに、別体のボスが紛失しないように管理するような煩雑な手間を要することとなる。
【0053】
なお、上記実施形態では、メータ等の計器ユニット11を回路基板12からなる取付板に固定する場合を例にとって説明したが、取付板に固定する計器ユニットはメータ等の計器ユニットに限定されず、また、計器ユニットが固定される取付板も回路基板に限定されない。
【0054】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0055】
11 計器ユニット
12 回路基板(取付板)
13 取付孔
20 ハウジング
21 固定機構部
30 下側ケース
40 上側ケース
53 円筒係合部
54a スリット(係合溝部,移動規制部)
55 係止爪
63 ボス
64 アーム部(移動規制部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計器ユニットのハウジングに設けられた固定機構部によって前記計器ユニットを取付板に固定する計器ユニットの固定構造であって、
前記固定機構部には、周方向に複数に分割された係止爪を先端部に有し、前記取付板に形成された取付孔へ先端部が差し込まれことにより、前記取付板の裏面側における前記取付孔の縁部を係止する円筒係合部と、
前記円筒係合部の前記係止爪に囲まれる係合孔に押し込まれることにより、前記係止爪を径方向外方へ広げるボスと、
前記係合孔に押し込まれた前記ボスの前記係合孔への押し込み方向と逆方向への移動を規制する移動規制部とを備えたことを特徴とする計器ユニットの固定構造。
【請求項2】
前記移動規制部は、
前記ボスに形成されて径方向外方へ広がる弾性変形可能なアーム部と、
前記係合孔に形成された、前記ボスが該係合孔の係合位置へ押し込まれた状態で前記アーム部が配置可能な係合溝部とを有し、
前記アーム部は、前記ボスが前記係合孔へ向かって押し込まれると、該係合孔の内周面に当接して径方向内方へ弾性変形し、前記ボスが該係合孔の係合位置まで押し込まれると、前記係合溝部に到達して復元し、前記係合溝部に係合することを特徴とする請求項1に記載の計器ユニットの固定構造。
【請求項3】
前記ボスは、前記ハウジングに一体に形成され、前記係合孔へ向かう押圧力によって前記ハウジングから分離可能とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の計器ユニットの固定構造。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記円筒係合部を有する下側ケースと、前記ボスを有する上側ケースとから構成され、前記下側ケースに前記上側ケースを装着することにより、前記円筒係合部に対して前記ボスが位置決めされることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の計器ユニットの固定構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−196946(P2011−196946A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66852(P2010−66852)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】