説明

計測センサー、静電容量センサー、計測システム

【課題】精度良く信頼性が高い測定を簡便に行うことができる計測センサーを提供する。
【解決手段】屈曲自在に設けられ、互いに対向した状態で測定対象物と接触する第1電極41,第2電極42と、第1電極41,第2電極42の間の容量または該容量に基づいた物理量を計測し、計測結果を無線で外部に送信する無線タグと、第1電極41,第2電極42に係る無線タグ側の一端に設けられ、第1電極41,第2電極42を牽引するシールド線6と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物が接触している部分の長さを計測する計測センサー、計測センサーに用いることができる静電容量センサー、計測センサーを用いた計測システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、中空の構造物中に流動性を有する物質を充填する際に、充填の過程において当該物質がどの程度充填されたかを把握したいという要求がある。例えば、建築現場においてコンクリートを型枠に充填して打設する場合には、充填過程において生コンクリートの界面位置を極力揃えながら必要量を充填するほうが、高品質・高強度の構造物とすることができるため、これまでは、作業者が直接またはビデオカメラ等の撮像装置を利用して目視確認を行っていた。
【0003】
しかしながら、目視確認では精度が担保しにくく、また作業が繁雑となるため、簡便に精度良く充填高さを検出することが可能な技術が求められていた。このような課題に対し、コンクリートの充填確認を行うために、静電容量センサーを深さ方向の複数位置に配置し、各静電容量センサーにおける検出結果に基づいてコンクリートの充填高さを検出する技術が提案されている(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−218740号公報
【特許文献2】特開2004−108964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1,2の技術では、センサーが離散的に配置されており、検出結果も離散的に得られる。そのため、センサーが設けられた位置については生コンクリートの界面を把握できるが、隣り合うセンサー同士の間に界面がある場合には、どの程度の高さ位置にまで充填されているかを正確に把握することができない。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、精度良く信頼性が高い測定を簡便に行うことができる計測センサー、静電容量センサー、計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の計測センサーは、屈曲自在に設けられ、互いに対向した状態で測定対象物と接触する一対の電極と、前記一対の電極間の容量または該容量に基づいた物理量を計測し、計測結果を無線で外部に送信する無線タグと、前記一対の電極に係る前記無線タグ側の一端に設けられ、前記一対の電極を牽引する牽引手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、一対の電極の間の容量を測定し、測定された結果を基に一対の電極に対する測定対象物が接触している部分の割合を求めることができる。一対の電極の面積長さは設計情報として既知であるため、求めた割合と一対の電極の長さとから、測定対象物が接触している部分の長さを求めることが可能となる。さらに、一対の電極に接触する測定対象物の割合の変化に伴って、算出される容量が連続的に変化するため、測定対象物が接触している部分の長さを連続的に求めることが可能となる。
【0009】
このとき、牽引手段による牽引力で一対の電極に張力を加えることができるため、付設箇所において、屈曲自在に設けられた一対の電極に、うねりや撓みなどの容量の変動要因となる屈曲部分が生じにくくなる。したがって、一対の電極間の容量が安定する。または、測定される容量を用いて算出される物理量の値が安定する。
【0010】
さらに、求めた計測結果を無線により外部に送信することができることとしたため、測定箇所への設置が容易となり、簡便に測定を行うことが可能となる。
【0011】
これらによって、精度良く信頼性が高い測定を簡便に行うことができる計測センサーとすることができる。
【0012】
本発明においては、前記一対の電極のインダクタンスと、前記一対の電極間に形成されるコンデンサーと、により生じる異常発振を抑制する抑制回路を有することが望ましい。
一対の電極に屈曲部分が生じにくくなると、一対の電極のインダクタンスと一対の電極間の容量とによって異常発振を生じやすくなり、測定される容量が変動しやすくなる。しかし、この構成によれば、上述の異常発振を抑制する回路が設けられているため、測定される容量が安定し、精度良く信頼性が高い測定を行うことが可能となる。
【0013】
本発明においては、前記一対の電極に係る前記無線タグ側の端部に、前記抑制回路が設けられていることが望ましい。
この構成によれば、一対の電極の面積に応じた抑制回路を設けることが可能となる。したがって、確実に異常発振を抑制する抑制回路とすることが可能となり、精度良く信頼性が高い測定を行うことが可能となる。
【0014】
また、本発明においては、前記一対の電極と、前記無線タグとがシールド線を介して接続されていることが望ましい。
この構成によれば、シールド線は、外部磁場や電場の影響を受けず容量変化を起こさないため、容量変化を生じる一対の電極は、終端が明確な構造となる。そのため、センサーとして有効に機能する部分を予め規定しやすくなる。したがって、精度良く信頼性が高い測定を行うことが可能となる。
【0015】
本発明においては、前記シールド線を屈曲させたときの復元力を、前記牽引手段の牽引力とすることで、前記シールド線が前記牽引手段を兼ねることが望ましい。
この構成によれば、構成を簡略化することができる。
【0016】
本発明においては、計測結果を得るために次の3種の方式を採用することができる。
まず第1に、本発明においては、前記無線タグは、前記測定対象物の比誘電率を記憶する記憶部を有し、前記容量と前記比誘電率とに基づき、前記一対の電極全体に対する、前記一対の電極が前記測定対象物と接触している部分の割合を、前記計測結果として算出することが望ましい。
この構成によれば、記憶部に記憶させる測定対象物の比誘電率を変更することにより、種々の測定対象物に適応可能な計測センサーとすることができる。
【0017】
また第2に、本発明においては、前記一対の電極の間に接続され、前記一対の電極とともに発振回路を形成する抵抗を有し、前記無線タグは、前記発振回路における周波数を測定し、前記周波数と前記抵抗の抵抗値とに基づき、前記一対の電極が前記測定対象物と接触している部分の長さを、前記計測結果として算出することが望ましい。
発振回路における周波数(発振周波数)は、一対の電極間の容量に応じて変動するため、発振周波数を測定することにより、発振回路の式を用いて良好に一対の電極が測定対象物と接触している部分の長さを算出することが可能となる。
【0018】
また第3に、本発明においては、前記無線タグは、前記一対の電極に交流電圧を印加して、前記一対の電極の間に流れる電流値を検出し、前記電流値と前記交流電圧の電圧値とに基づき、前記一対の電極が前記測定対象物と接触している部分の長さを、前記計測結果として算出することが望ましい。
この構成によれば、検出する電流値と印加する交流電圧の電圧値とを用い、一対の電極間のリアクタンスを求めることができ、該リアクタンスの値から良好に一対の電極が測定対象物と接触している部分の長さを算出することが可能となる。
【0019】
本発明においては、前記交流電圧の周波数は、前記無線に用いる搬送波の周波数と異なることが望ましい。
この構成によれば、測定に用いる交流と無線通信に用いる電波とが干渉することなく、良好に測定と通信とを両立することが可能となる。
【0020】
また、本発明の静電容量センサーは、屈曲自在に設けられ、互いに対向した状態で測定対象物と接触する一対の電極と、前記一対の電極の端部に設けられ前記一対の電極を牽引する牽引手段と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、一対の電極間の容量を算出し、算出された結果を基に電極全体に対する測定対象物が接触している部分の割合を連続的に求めることができる。また、牽引手段による牽引力で一対の電極に張力を加えることができるため、付設箇所において、屈曲自在に設けられた一対の電極に、うねりや撓みなどの容量の変動要因となる屈曲部分が生じにくくなる。したがって、一対の電極間の容量が安定し、精度良く信頼性が高い測定を簡便に行うことができる静電容量センサーとすることができる。
【0021】
本発明においては、前記一対の電極のインダクタンスと、前記一対の電極間に形成されるコンデンサーと、により生じる異常発振を抑制する抑制回路を有することが望ましい。
一対の電極に屈曲部分が生じにくくなると、一対の電極のインダクタンスと一対の電極間の容量とによって異常発振を生じやすくなり、測定される容量が変動しやすくなる。しかし、この構成によれば、上述の異常発振を抑制する回路が設けられているため、測定される容量が安定し、精度良く信頼性が高い測定を行うことが可能となる。
【0022】
本発明においては、前記一対の電極と接続するシールド線を有し、前記一対の電極と前記シールド線との接続箇所に、前記抑制回路が設けられていることが望ましい。
この構成によれば、シールド線は、外部磁場や電場の影響を受けず容量変化を起こさないため、容量変化を生じる一対の電極は、終端が明確な構造となる。そのため、センサーとして有効に機能する部分を予め規定しやすくなる。したがって、精度良く信頼性が高い測定を行うことが可能となる。また、抑制回路が一対の電極の終端に配置されることとなるため、一対の電極の面積に応じた抑制回路を設けることが可能となる。したがって、確実に異常発振を抑制する抑制回路とすることが可能となり、精度良く信頼性が高い測定を行うことが可能となる。
【0023】
本発明においては、前記シールド線を屈曲させたときの復元力を、前記牽引手段の牽引力とすることで、前記シールド線が前記牽引手段を兼ねることが望ましい。
この構成によれば、構成を簡略化することができる。
【0024】
また、本発明の計測システムは、上述の計測センサーと、前記計測センサーから発信される計測結果を受信する記録装置と、の間で通信を行う計測システムであって、前記計測センサーは、前記一対の電極との間の容量を計測するとともに、計測結果を前記無線タグから前記記録装置に送信し、前記記録装置は、前記計測センサーから送信される前記計測結果を受信する受信部と、前記計測結果に基づいて、前記一対の電極の全長に対する、前記一対の電極が前記測定対象物と接触している部分の割合を算出する算出部と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、上述の計測センサーを有するために精度良く信頼性が高い測定を行うことができ、且つ、測定結果を無線で通信するため、測定箇所に対する取り付けが簡便であり、取り回しが容易となる。そのため、精度良く信頼性が高い測定を簡便に行うことができる、計測システムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態に係る計測システムを示す概略図である。
【図2】第1実施形態の計測システムの使用例を示す説明図である。
【図3】センサー部を説明する説明図である。
【図4】無線ユニットを示す分解斜視図である。
【図5】無線ユニットが有するRFIDタグを示すブロック図である。
【図6】制御部における生コンクリートの界面高さの算出方法を説明する概念図である。
【図7】シールド線の機能について説明する説明図である。
【図8】シールド線の機能について説明するグラフである。
【図9】検出されうる異常発振をするグラフである。
【図10】抑制回路の機能について説明するグラフである。
【図11】第2実施形態の無線ユニットが有するRFIDタグを説明する模式図である。
【図12】第2実施形態の無線ユニットの製造工程を示す工程図である。
【図13】第2実施形態の無線ユニットの製造工程を示す工程図である。
【図14】第2実施形態の無線ユニットの製造工程を示す工程図である。
【図15】第2実施形態の無線ユニットの製造工程を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
以下、図1〜図10を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る計測センサー、静電容量センサー、計測システムについて説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
【0027】
図1は、本実施形態に係る計測システムを示す概略図である。本実施形態の計測システム1は、計測センサー2と記録装置3とを有している。記録装置3は、本体31とアンテナ32とを有し、本体31は、アンテナ32を介して計測センサー2の測定結果を通信する通信部311と、測定結果を用いて必要に応じて計算するとともに、測定結果や計算結果記録を記録する制御部312と、を有している。
【0028】
センサー部4と、無線ユニット5と、センサー部4と無線ユニット5とを接続するシールド線(牽引手段)6と、センサー部とシールド線6との接続部分に設けられた抑制回路7と、を有している。これらは、いずれも屋外での使用を想定して、単体で、および各接続箇所において防水加工がなされている。また、センサー部4とシールド線6と抑制回路7とは、静電容量センサー10を形成している。
【0029】
センサー部4は、第1電極(一対の電極)41および第2電極(一対の電極)42を有している。第1電極41および第2電極42は、所定間隔を開け屈曲自在に形成されており、先端部が互いに接続しないように封止部43で封止されている。このような第1電極41および第2電極42は、例えば、平行フィーダー線のような電線や、帯状の導体薄膜を用いることができる。このようなセンサー部4の長さは、測定箇所の寸法、および作業効率に応じて設定可能である。
【0030】
無線ユニット5は、RFIDタグ(無線タグ)51と、RFIDタグ51を収容する収容部52と、を有している。シールド線6は、収容部52の側壁に設けられた取り出し部53に挿通され、RFIDタグ51に接続されている。
【0031】
RFIDタグ51は、不図示の集積回路が実装される回路基板511と、記録装置3との間で無線信号の授受を行うアンテナ512と、RFIDタグ51やセンサー部4を駆動させるための電力を供給する電池(電源)513と、を有している。アンテナ512は、アンテナ線512aと、アンテナ線512aが巻き付けられたフェライトコア512bと、を有している。フェライトコア512bは無くても良い。
【0032】
図2は、本実施形態の計測システム1の使用例を示す説明図である。ここでは、建築現場においてコンクリートを打設するときのコンクリートの充填量(充填高さ)を測定するために用いる場合を示す。
【0033】
例えば、型枠90の中に鉄筋91を縦横に組み上げたコンクリートの打設箇所において、計測システム1の使用者は、センサー部4の先端部を、縦方向(鉛直方向)の鉄筋91aの下端付近で繋止部材49を用いて繋止して、鉄筋91aに沿ってセンサー部4を延在させる。また、鉄筋91aの上端付近において、センサー部4に撓みがない状態で横方向の鉄筋91bに無線ユニット5を繋止する。なお、繋止部材49は、予めセンサー部4の端部に設けておくこととしてもよい。
【0034】
このような状態で、型枠90の内部に生コンクリート(測定対象物)200を充填すると、無線ユニット5は、センサー部4を用いて検出される生コンクリート92の充填高さを記録装置3に送信し本体31で記録する。計測システム1の使用者は、記録装置3の記録を参照して、生コンクリート92の充填高さを知ることができる。
【0035】
以下の説明では、計測システム1を図2に示したような使用状況で用いることとして説明を行う。
【0036】
図3は、センサー部4を説明する説明図である。センサー部4を構成する第1電極41および第2電極42は、一方が測定電極に該当し他方が設置電極に該当する。図に示すように、第1電極41および第2電極42は平行に配置され、両電極の間に連続して容量Cnが形成される。
【0037】
詳しくは後述するが、生コンクリート92の充填過程では、第1電極41と第2電極42との間に配置される誘電体の種類および量が変化するため、容量Cnの値が変動する。図1に示す無線ユニット5では、変動する容量Cnに基づいて生コンクリート92の充填高さを算出する。
【0038】
図4は、無線ユニット5を示す分解斜視図である。図に示すように、無線ユニット5の収容部52は、蓋材である第1部材521と、RFIDタグ51を内包する収容容器である第2部材522と、に分割することができる。静電容量センサー10は、シールド線6から延びる配線61の端部に設けられた端子でRFIDタグ51の回路基板511に接続しており、分割することにより、既に取り付けられている静電容量センサー10Aを、別体の静電容量センサー10Bと交換することが可能となる。
【0039】
図5は、RFIDタグ51を示すブロック図である。図に示すように、RFIDタグ51は、電池513の他に、センサー部4が接続される端子514、端子514と接続される切り替え部515、切り替え部515が接続される制御部(算出部)516、図1に示したアンテナ512を有し制御部516に接続される無線部517、および記憶部518を有している。
【0040】
電池513は、RFIDタグ51の各部およびセンサー部4に電力を供給する。
【0041】
切り替え部515は、電池513からセンサー部4への電力の供給状態を、供給または遮断のいずれか一方に切り替える回路であり、例えばプログラマブルなプルアップ抵抗を有して構成されている。電力の供給状態の切り替えは、制御部516から切り替え部515に入力される入力信号(エッジ割り込み)を用いて行われる。
【0042】
制御部516は、センサー部4が有する第1電極41に第1の周波数(測定用周波数)で変化する交流電圧を印加するとともに、交流電圧の印加時に流れる交流電流を検出し、RC発振のパルス数(発振周波数)をカウントして、これらの電流値とカウント数とに基づいて、センサー部4が有する第1電極41と第2電極42との間の容量を算出する。容量が算出されると、算出された容量と、記憶部518に記憶された生コンクリート92および空気の比誘電率とに基づいて、型枠90内に存在する生コンクリート92の界面高さを算出する。
【0043】
図6は、制御部516における生コンクリート92の界面高さの算出方法を説明する概念図である。まず、制御部516は、型枠90内に生コンクリート92が入れられていない状態における容量を計測し、自身の内部の記憶領域(メモリー)に基準容量として一時記憶する。制御部516は、生コンクリート92の充填過程において、センサー部4の容量の基準容量からの変動を計測する。
【0044】
すなわち、図6に示すように、型枠90の内部において下部に生コンクリート92が充填され、生コンクリート92の上部が空気93で覆われている場合、センサー部4は、先端である封止部43を基点として、基点から生コンクリート92の界面に対応する位置までは生コンクリート92で覆われ、残りが空気93で覆われることとなる。センサー部4の容量は、センサー部4全体に対する生コンクリート92が覆う部分の比に応じて変動することとなる。
【0045】
まず、制御部516は、記憶部518に記憶された生コンクリートの比誘電率a、および空気の比誘電率b(=1)、を読み出す。センサー部4の長さを1とすると、センサー部4が全て空気93に覆われている場合の容量(すなわち、基準容量)が1単位であり、センサー部4が全て生コンクリート92に覆われている場合の容量がa単位である。
【0046】
このとき、測定された容量をcとすると、下記の式(1)に基づいて、センサー部4全体に対し生コンクリート92が覆っている部分の割合xが求められ、既知の値であるセンサー部4の長さを用いて、センサー部4の先端から生コンクリート92の界面までの高さを算出することができる。
【0047】
[数1]
a×x+b×(1−x)=c …(1)
【0048】
図5に戻って、無線部517は、制御部516で算出された結果を、アンテナ512を介し無線を用いて記録装置3に送信する。ここでは、無線部517と記録装置3との通信に用いられる搬送波の周波数(搬送波周波数)は、第1の周波数と異なる第2の周波数が設定されている。これにより、容量を計測する際に用いられる交流電圧と、通信に用いる搬送波と、が干渉しないようになっている。例えば、測定用周波数は60kHzであり、搬送波周波数は131kHzである。図1に示すアンテナ512およびアンテナ32は、上述の搬送波周波数で共振するように調整されている。
【0049】
さらに、制御部516は、切り替え部515に対し、切り替え部515を電力遮断状態から電力供給状態へと切り替える切り替え信号を入力する。本実施形態においては、切り替え信号は、無線部517を介して記録装置3から供給される。無線部517では、記録装置3から供給される信号を受信し、制御部516に出力して、割り込み処理を発生させる。
【0050】
これにより、センサー部4への電力の供給状態を遮断から供給へと切り替えることができ、計測箇所に計測センサー2を設置するまではセンサー部4へ電力を供給しないこととしておき、設置後にセンサー部4へ電力を供給することとして、無用な電力消費を抑制することができる。
【0051】
ここで、発明者の検討により、以上のような算出方法で生コンクリート92の充填高さを求める場合、次のような課題が生じやすいことが分かった。
【0052】
まず第1の課題として、センサー部4を付設する際、センサー部4に弛みや撓みなどの屈曲部分があると、屈曲部分ではセンサー部4を構成する第1電極41と第2電極42との離間距離が変化し、測定される容量が安定しないことが分かった。
【0053】
また第2の課題として、センサー部4を弛みなく付設すると、測定される容量が安定する一方で、第1電極41および第2電極42のインダクタンスと容量とにより異常発振を生じやすく、測定される容量が安定しないことが分かった。
【0054】
そこで、本実施形態の計測センサー2では、以下のようにして上記課題を解決している。
【0055】
まず、第1の課題に対する解決方法を説明する。
図7は、第1の課題に対するシールド線6の機能について説明する説明図である。無線ユニット5を鉄筋91bに繋止する際、センサー部4が符号4Aで示すようなたるんだ状態とならないように、シールド線6をしならせセンサー部4を張った状態(符号4B)とする。このように無線ユニット5を付設すると、しならせたシールド線6の復元力Fによりセンサー部4を先端側からシールド線6側に牽引し、センサー部4が弛み無く張られた状態とすることができる。すなわちシールド線6は、センサー部4を弛み無く張った状態とするための牽引手段として用いられる。
【0056】
このようにすることで、センサー部4に弛みや撓みなどの屈曲部分が生じにくくなり、センサー部4で測定される容量を安定させることができる。また、このようにシールド線6を用いて、センサー部4を牽引する構成とするため、センサー部4は、シールド線6の復元力Fで牽引し弛み無く張ることが可能な程度の長さ、および形成材料とするとよい。
【0057】
図8は、シールド線6による牽引の効果を示すグラフであり、図8(a)はシールド線6による牽引が無い場合に発生する課題を示すグラフ、図8(b)は効果を示すグラフである。
【0058】
図8(a)には、各種のセンサー部4を用い、シールド線6による牽引無しで測定対象である水の深度を測定したの、深度に対するセンサー部4の容量の関係を示したグラフである。図では、センサー部4として、4種(平行線、フィーダー線、より対線、シールド線)の配線を用いた場合の測定結果を示している。測定時には、センサー部4を牽引していないため、センサー部4は弛んだ状態で測定箇所に付設されている。
【0059】
図に示すように、より対線およびシールド線では、弛みがなくても測定値に変化がないが、より対線およびシールド線は、外部環境により容量変化を生じないまたは生じにくいため、検出される容量値が一定値となり、水深変化に対する容量変化が見られない。そのため、これらはセンサー部4としては用いることができない。
【0060】
また、平行線およびフィーダー線は、水深変化に対して検出される容量変化が見られ、センサー部4として採用可能であるが、上述した第1の課題により、容量変化が一定の傾きを示さない。このような測定値の変化は、センサー部4の弛み方によって異なるため、センサー部4の付設の仕方により水深変化に対する容量変化が異なることとなり、測定誤差の原因となる。
【0061】
そこで、本実施形態のセンサー部4では、シールド線6の弾力(復元力)によって牽引されることとし、測定誤差の原因となる弛みを解消している。
【0062】
図8(b)には、平行線をセンサー部4として用い、シールド線6による牽引をしてセンサー部4を弛み無く付設した状態で、測定対象である水の深度を測定したの、深度に対するセンサー部4の容量の関係を示したグラフを示す。図に示すように、水深変化に対して検出される容量変化が一定の傾きを示すことから、測定される容量値から精度良く水深を測定することができる。
【0063】
次に、第2の課題に対する解決方法を説明する。
図9は、第2の課題を説明するグラフである。本実施形態の計測センサー2では、センサー部4を構成する第1電極、第2電極の間の静電容量をRC発振回路のC成分とみなし、発振させてRC発振のパルス数をカウントし、容量の計測を行う回路構成となっている。図9(a)には、良好な測定が可能なRC発振のパルスを示す。パルス数は、応答が所定値(図中、符号Tで示す)以上となるときのピーク値をカウントする。
【0064】
しかし、本実施形態の計測センサー2では、センサー部4が長い電線でかつ開放端であるため、インダクタンス成分およびセンサー部4の末端からの反射波が無視できず、図9(b)に示すように、RC発振周波数とはまったく異なる高い周波数での発振現象が発生してしまう。このとき、発生する高周波の波に、応答が所定値以上の成分(図中、符号αで示す)が含まれると、当該成分がRC発振のパルスとしてカウントされてしまうため、検出されるRC発振周波数が異なってしまい、それが計測誤差として現われてしまう。
【0065】
そこで、本実施形態の計測センサー2では、センサー部4とシールド線6との間に抑制回路7を設け、上述の高周波の発振を抑制することとしている。抑制回路7は、異常発振をキャンセルするための一種のローパスフィルター回路である。このような回路は、例えば追加キャパシターと抵抗成分を有して構成される。
【0066】
生じる異常発振は、用いるセンサー部4に応じて異なるため、センサー部4に応じた抑制回路7を設ける必要がある。すなわち、抑制回路7を設けたとしても、センサー部4の構成(インダクタンス成分、長さなど)によっては、異常発振を抑えきれず、図10(a)に示すように、異常発振の高周波成分(図中、符号βで示す)が残存することがある。このような場合には、抑制回路7、すなわちローパスフィルター回路を構成する抵抗成分の抵抗値を適宜調整することにより、図10(b)に示すように異常発振の高周波成分(図中、符号γで示す)を抑制し、RC発振のパルス数を精度良く測定することが可能となる。
【0067】
本実施形態では、抑制回路7をセンサー部4とシールド線6との間に設けることとしているため、抑制回路7は予めセンサー部4に応じて良好に異常発振を抑制する回路構成とすることが容易である。そして、計測センサー2に用いる静電容量センサー10は、センサー部4に応じた抑制回路7を予め備えていることとすることで、静電容量センサー10を交換した場合であっても、異常発振を抑え良好な測定が可能となる。
【0068】
本実施形態の計測センサー2では、以上のようにして第1の課題および第2の課題を解決し、良好な測定を可能としている。
【0069】
以上のような構成の計測センサー2によれば、第1電極41と第2電極42との間の容量を算出し、算出された結果を基にセンサー部4全体に対して生コンクリート92が接触している部分の割合を求め、生コンクリート92の界面高さを連続的に求めることができる。
【0070】
このとき、シールド線6による牽引力で第1電極41と第2電極42とに張力を加えることができるため、第1電極41および第2電極42にうねりや撓みなどの容量の変動要因となる屈曲部分が生じにくくなる。したがって、第1電極41と第2電極42との間の容量が安定する。
【0071】
さらに、算出結果を無線により外部に送信することができることとしたため、測定箇所への設置が容易となり、簡便に測定を行うことが可能となる。
【0072】
これらによって、精度良く信頼性が高い測定を簡便に行うことができる計測センサー2とすることができる。
【0073】
同様の理由により、以上のような構成の静電容量センサー10によれば、第1電極41と第2電極42との間の容量が安定し、精度良く信頼性が高い測定を簡便に行うことができる静電容量センサー10とすることができる。
【0074】
また、以上のような構成の計測システム1によれば、上記計測センサー2を有するために精度良く信頼性が高い測定を行うことができ、且つ、測定結果を無線で通信するため、測定箇所に対する取り付けが簡便であり、取り回しが容易となる。そのため、精度良く信頼性が高い測定を簡便に行うことができる、計測システムとすることができる。
【0075】
なお、本実施形態においては、シールド線6を牽引手段として用いることとしたが、これに限らず、別体の牽引手段を備えることとしても構わない。このような牽引手段としては、第1電極41と第2電極42とに張力を加えることができればよく、例えば、板ばねやコイルばね等の弾性部材を用いることができる。
【0076】
また、本実施形態においては、RFIDタグ51内において生コンクリート92の界面高さを算出し、記録装置3に送信することとしたが、これに限らず、容量の計測結果をRFIDタグ51から記録装置3に送信し、送信される容量の計測結果に基づいて、記録装置3において生コンクリート92の界面高さを算出することとしても構わない。その場合は、生コンクリートおよび空気の比誘電率を記憶する記憶部518は、記録装置3に設けられる。また、制御部312が、界面高さを算出する算出部として機能する。
【0077】
また、本実施形態においては、抑制回路7がセンサー部4とシールド線6との間に設けられることとしたが、回路基板511上であってセンサー部4からの信号が制御部516に入力される前に設けられることとしても、異常発振を抑制するという抑制回路7の機能を実現することができる。
【0078】
また、本実施形態においては、シールド線6によりセンサー部4と無線ユニット5とを接続することとしたが、シールド線6を用いることなく、センサー部4を無線ユニット5に直接接続することもできる。その場合、板ばねやコイルばね等の弾性部材を用いた牽引手段を別途設け、センサー部4に張力を加えることとする。
【0079】
また、本実施形態においては、生コンクリート92を充填する場合について説明したが、他の測定対象物についても適用可能である。例えば、測定対象物が水である場合、水の貯留場所に第1電極41と第2電極42とを鉛直方向に付設し、第1電極と第2電極との間の容量を求めることにより、貯留場所における水の界面高さを求めることが可能となる。
【0080】
また、本実施形態においては、第1電極41と第2電極42とを鉛直方向に付設し、生コンクリート92の界面高さを計測することとしたが、第1電極41と第2電極42との付設方向はこれに限らない。
【0081】
例えば、第1電極41と第2電極42とを水平方向に付設することとすると、第1電極41および第2電極42が行き渡る領域において、生コンクリート92が全領域に間違いなく充填されているか否かを判断する充填管理に利用することが可能である。すなわち、第1電極41および第2電極42が行き渡る領域の一部において、生コンクリート92が良好に充填されておらず、空隙を生じているとすると、全領域で充填された場合に得られる容量の値との間に差を生じる。そのため、測定される容量と、生コンクリート92が全領域で充填された場合に測定される容量の理論値と、に基づいて、確かに充填されているか否かを判断することができる。
【0082】
なお、本実施形態で採用した容量の算出方法の他に、以下に示すような算出方法を採用することもできる。以下の説明においては、図6を参照している。
【0083】
(第1の変形例)
第1の変形例では、制御部516は、第1の周波数を60kHzとし、この正弦波の交流電圧を第1電極41と第2電極42との間に印加して、電極間に生じる電流を計測する。そして制御部516は、電流値と電圧値とから、第1電極41と第2電極42との間のリアクタンスを求め、コンデンサーのインピーダンスを示すXc=1/(2πfc)の関係式から電極間の容量cを算出する。
【0084】
ここでは、生コンクリート92の比誘電率をε1、空気の比誘電率をε2とし、生コンクリート92の容量をc1、空気の容量をc2とすると、c=c1+c2であることから、第1電極41,第2電極42が同じものであるとすると、各容量c1,c2は以下の式(2)(3)のように表すことができる。
【0085】
[数2]
c1=ε1×x×w/d …(2)
【0086】
[数3]
c2=ε2×(h−x)×w/d …(3)
(w:第1電極41,第2電極42の幅、d:電極間の距離、h:第1電極41,第2電極42の全長)
【0087】
上記式(2)(3)に基づいてxを算出することにより、生コンクリート92の界面高さを算出することができる。
【0088】
(第2の変形例)
第2の変形例では、RFIDタグ51が、第1電極41と第2電極42との間の容量に対して直列に接続され、発振回路を形成する抵抗を有し、制御部516は、この発振回路における周波数を測定し、測定される周波数と発振回路が有する抵抗の抵抗値とから容量を算出する。
【0089】
この発振周波数は、第1電極41と第2電極42との間の容量に応じて変動する。ここでは、制御部516は、第1の周波数で変化する交流電圧を第1電極41に印加する。そして、発振周波数fを測定し、測定された発振周波数fと発振回路を形成する抵抗の抵抗値とから、発振回路の式を元に、容量cを算出する。容量cが得られた後は、上述の方法と同様に、生コンクリート92の界面高さを算出することができる。
【0090】
また、上述した算出方法は一例であって、センサー部4の容量を測定することができれば、上述の方法に限らず通常知られた方法を採用することができる。その場合、容量測定のために必要とする回路構成は、適宜追加することが可能である。
【0091】
[第2実施形態]
図11〜図15は、本発明の第2実施形態に係る計測センサーの説明図である。本実施形態の計測センサーは、第1実施形態の計測センサーと一部共通し、無線ユニット5の封止構造が異なっている。したがって、以下の説明においては、第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0092】
本実施形態の無線ユニット5は、防水加工を行うために特殊な事情を有している。すなわち、第1実施形態で示した無線ユニット5では、RFIDタグ51が収容部52の内部に収容されていることとしたが、本実施形態の無線ユニットでは、収容部がRFIDタグ51を包埋し封止する樹脂製の成型体となっている。より具体的には、無線ユニット5が有するRFIDタグ51は、電池513を実装しRFIDタグ51の各部に電力を供給している状態で樹脂材料に包埋されることで、樹脂製の収容部の中に包埋され封止される。
【0093】
このとき、通常の工程としては、RFIDタグ51を金型内に配置し、樹脂材料を金型の中に流し込んで包埋することが考えられるが、電池513を実装しているため、RFIDタグ51の配線や電池513の外装など、導電性を有する部材が金型に触れると、短絡しRFIDタグ51が破損するおそれがある。
【0094】
このような課題を解決するために、RFIDタグ51は以下に示すような構成を有している。図11は、無線ユニット5が有するRFIDタグ51を説明する模式図であり、図11(a)は平面図、図11(b)は裏面図、図11(c)は図11(a)の線分A−Aにおける矢視断面図である。
【0095】
図11に示すRFIDタグ51は、平面視矩形の回路基板511において一端側の辺にアンテナ512が接続され、該一端側の辺に対向する辺に複数の端子514が設けられ、不図示のセンサー部4に繋がるシールド線6が接続されている。シールド線6から引き出された複数の配線(図では2本)は、上述の対向する辺の略中央部に接続されている。回路基板511に対し、回路基板511の周縁部から突出する部材(オンボードセンサーなど)を設ける場合には、アンテナ512およびシールド線6が接続された辺とは異なる辺に接続する。
【0096】
アンテナ512は、後述する樹脂材料による封止の際、樹脂材料がアンテナ512の周囲を良好に取り囲むことができるように、回路基板511と一定の離間距離を有して配置されている。この離間距離は、用いる樹脂材料の成形時の流動性や流動速度などの成形条件によって、好適な値が定められる。
【0097】
また、アンテナ512、電池513、シールド線6は、回路基板511の一方の面(おもて面)511a側に実装されており、回路基板511の他方の面(裏面)511b側には、集積回路519が実装されている。集積回路519は、第1実施形態の図5の制御部516や記憶部518の機能を有するものである。もちろん、アンテナ512、電池513、シールド線6がおもて面511a側にすべて実装されることなく、一部が裏面511b側に実装される構成とすることもできる。
【0098】
さらに、図11(b)(c)に示すように、回路基板511の裏面511bには、複数箇所(図では3箇所)に、金属物が接触してもRFIDタグ51の回路が短絡しない、表面が誘電体材料で形成された非導通部Xが設けられている。非導通部Xは、回路基板511の重心Gを囲むようにして3箇所に配置されている。
【0099】
非導通部Xは、回路基板511において回路パターンを形成しないことにより、回路基板511上のソルダーレジストを用いて直接設けることとしても良く、また、回路基板511上に誘電体材料で形成された部材を貼付して設けることとしても良い。ここでは、回路基板511上に、誘電体材料で形成された部材を別途貼付することとして図示している。
【0100】
このようなRFIDタグ51は、以下のような工程により封止体の内部に封止し、無線ユニット5を製造する。図12〜15は無線ユニット5の製造工程を示す工程図である。無線ユニット5の製造においては、RFIDタグ51を2回に分けて封止する。
【0101】
まず。図12に示すように、RFIDタグ51を第1金型100内に配置する。第1金型100は、底面100aにRFIDタグ51を支持する複数(図では3つ)の突起110が設けられている。また、RFIDタグ51が有する非導通部Xは、各突起110と対応する位置に設けられている。すなわち、RFIDタグ51は、非導通部Xを介して突起110と接するようにして第1金型100内に配置される。これにより、短絡が生じること無く、第1金型100内にRFIDタグ51を配置することができる。
【0102】
また、第1金型100は、側壁100bにシールド線6の外径と同じ大きさの内径を有する開口部120が設けられている。したがって、RFIDタグ51を第1金型100内に配置したときには、シールド線6の位置が常に一定の位置に定まる。
【0103】
なお、第1金型100内にRFIDタグ51を配置すると、開口部120においてシールド線6を挟み込む形となり、開口部120にてRFIDタグ51を支持することとなる。そのため、開口部120を用いて突起110の機能の一部に代用させることが可能である。すなわち、RFIDタグ51を、開口部120と突起110とで支持することができる。この場合には、回路基板511の重心Gよりもシールド線6側の非導通部Xを一つ減らすことができる。
【0104】
さらに、第1金型100は、アンテナ512を支持する支持部130も有している。支持部130においても、アンテナ512を介して短絡しないように、アンテナ512と支持部130との接触面を誘電体で保護する。
【0105】
次いで、図13に示すように第1金型100の側壁100cに設けられた注入口(ゲート)140から、液状の樹脂材料を注入し、一度目の成型(仮成型)を行う。例えば、第1金型100を射出成型器に雪像し、溶融したポリエチレンを注入する。注入口140は、第1金型100内に配置されているRFIDタグ51において、アンテナ512およびシールド線6が接続された辺とは異なる辺に対向する第1金型100の側壁に設ける。このような配置とすることで、アンテナ512やシールド線6が、注入する樹脂材料の流れを妨げることなく、良好な成型ができる。
【0106】
注入した樹脂材料は、第1金型100内を流動し(図中、矢印で図示)、開口部120から第1金型100の外に一部が押し出される。このとき、開口部120にはシールド線6が挟み込まれているため、樹脂材料は、シールド線6の内部に流入して封止する。そのため、水分の侵入経路となりやすいシールド線6の周囲を確実に樹脂材料で封止することができる。
【0107】
このようにして仮成型を行い、図14に示すような仮成型体5Aを得る。仮成型体5Aは、突起110や支持部130に対応する位置には、樹脂材料で覆われていない欠損部111,131となっている。また、シールド線6内には樹脂材料が充填され(図中、符号6Aで示す)、シールド線6の内部からの水分の侵入を防止している。
【0108】
次いで、図15に示すように、第1金型100で仮成型された仮成型体5Aを第2金型200内に配置し、二度目の成型(本成型)を行う。本成型においては、仮成型体5Aの欠損部111,131に樹脂材料を充填するため、第2金型200内において、第1金型100内における配置と上下を反転させ、欠損部111,131を上方に露出させて配置し、仮成型体5Aの周囲を樹脂材料201で封止する。
【0109】
このようにして、仮成型において欠損していた、突起110や支持部130に対応する部分にも樹脂材料が充填され(図中、符号202で示す)、RFIDタグ51を完全に封止した収容部54を有する無線ユニット5を製造することができる。
【0110】
なお、図1における記録装置3の機能である通信や記録などを実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによりセンサー部4が測定対象物と接触する部分の長さを検出することとしてもよい。
【0111】
ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものとする。また、「コンピューターシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
【0112】
さらに、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピューターシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0113】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0114】
1…計測システム、2…計測センサー、3…記録装置、6…シールド線(牽引手段)、7…抑制回路、10…静電容量センサー、41…第1電極(一対の電極)、42…第2電極(一対の電極)、51…RFIDタグ(無線タグ)、311…通信部(受信部)、312…制御部(算出部)、518…記憶部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲自在に設けられ、互いに対向した状態で測定対象物と接触する一対の電極と、
前記一対の電極間の容量または該容量に基づいた物理量を計測し、計測結果を無線で外部に送信する無線タグと、
前記一対の電極に係る前記無線タグ側の一端に設けられ、前記一対の電極を牽引する牽引手段と、を有することを特徴とする計測センサー。
【請求項2】
前記一対の電極のインダクタンスと、前記一対の電極間に形成されるコンデンサーと、により生じる異常発振を抑制する抑制回路を有することを特徴とする請求項1に記載の計測センサー。
【請求項3】
前記一対の電極に係る前記無線タグ側の端部に、前記抑制回路が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の計測センサー。
【請求項4】
前記一対の電極と、前記無線タグとがシールド線を介して接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の計測センサー。
【請求項5】
前記シールド線を屈曲させたときの復元力を、前記牽引手段の牽引力とすることで、前記シールド線が前記牽引手段を兼ねることを特徴とする請求項4に記載の計測センサー。
【請求項6】
前記無線タグは、前記測定対象物の比誘電率を記憶する記憶部を有し、
前記容量と前記比誘電率とに基づき、前記一対の電極全体に対する、前記一対の電極が前記測定対象物と接触している部分の割合を、前記計測結果として算出することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の計測センサー。
【請求項7】
前記一対の電極の間に接続され、前記一対の電極とともに発振回路を形成する抵抗を有し、
前記無線タグは、前記発振回路における周波数を測定し、
前記周波数と前記抵抗の抵抗値とに基づき、前記一対の電極が前記測定対象物と接触している部分の長さを、前記計測結果として算出することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の計測センサー。
【請求項8】
前記無線タグは、前記一対の電極に交流電圧を印加して、前記一対の電極の間に流れる電流値を検出し、
前記電流値と前記交流電圧の電圧値とに基づき、前記一対の電極が前記測定対象物と接触している部分の長さを、前記計測結果として算出することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の計測センサー。
【請求項9】
前記交流電圧の周波数は、前記無線に用いる搬送波の周波数と異なることを特徴とする請求項8に記載の計測センサー。
【請求項10】
屈曲自在に設けられ、互いに対向した状態で測定対象物と接触する一対の電極と、
前記一対の電極の端部に設けられ前記一対の電極を牽引する牽引手段と、を有することを特徴とする静電容量センサー。
【請求項11】
前記一対の電極のインダクタンスと、前記一対の電極間に形成されるコンデンサーと、により生じる異常発振を抑制する抑制回路を有することを特徴とする請求項10に記載の静電容量センサー。
【請求項12】
前記一対の電極と接続するシールド線を有し、前記一対の電極と前記シールド線との接続箇所に、前記抑制回路が設けられていることを特徴とする請求項11に記載の静電容量センサー。
【請求項13】
前記シールド線を屈曲させたときの復元力を、前記牽引手段の牽引力とすることで、前記シールド線が前記牽引手段を兼ねることを特徴とする請求項12に記載の静電容量センサー。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか1項に記載の計測センサーと、前記計測センサーから発信される計測結果を受信する記録装置と、の間で通信を行う計測システムであって、
前記計測センサーは、前記一対の電極との間の容量を計測するとともに、計測結果を前記無線タグから前記記録装置に送信し、
前記記録装置は、前記計測センサーから送信される前記計測結果を受信する受信部と、
前記計測結果に基づいて、前記一対の電極の全長に対する、前記一対の電極が前記測定対象物と接触している部分の割合を算出する算出部と、を有することを特徴とする計測システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−103022(P2012−103022A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249451(P2010−249451)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】