説明

計測装置および計測方法

【課題】対象面の面形状を計測する。
【解決手段】対象面に向かって光ビームを投射する投射部と、対象面で反射された光ビームを受光して対象面の局所的形状を特定する特定部と、光ビームの投射角度を維持しつつ光ビームを並進させる並進部と、光ビームの並進に伴って特定部が順次特定する局所的形状を蓄積して、対象面の連続的形状を算出する算出部と、光ビームの投射角度を変更する変更部と、変更部が投射角度を第一角度から第二角度に変更した場合に、特定部に、第一角度による対象面への投射位置に第二角度により光ビームを投射させ、且つ、当該投射位置における局所的形状を再び特定させる制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置および計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続した曲面を有する計測対象に光ビームを投射して、投射光と当該対象面による反射光との関係から当該対象面の曲面形状を計測する計測装置がある(特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2003−344028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、精度の高い計測装置は計測範囲が狭いので、計測対象の寸法が限られる。一方、光ビームを変位させる光学系を加えて測定対象範囲を拡げると測定精度が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明の第一態様として、対象面に向かって光ビームを投射する投射部と、対象面で反射された光ビームを受光して対象面の局所的形状を特定する特定部と、光ビームの投射角度を維持しつつ光ビームを並進させる並進部と、光ビームの並進に伴って特定部が順次特定する局所的形状を蓄積して、対象面の連続的形状を算出する算出部と、光ビームの投射角度を変更する変更部と、変更部が投射角度を第一角度から第二角度に変更した場合に、特定部に、第一角度による対象面への投射位置に第二角度により光ビームを投射させ、且つ、当該投射位置における局所的形状を再び特定させる制御部とを備え、対象面の形状を計測する計測装置が提供される。
【0005】
また、本発明の第二態様として、対象面に向かって光ビームを投射する投射段階と、対象面で反射された光ビームを受光して対象面の局所的形状を特定する特定段階と、光ビームの投射角度を維持しつつ光ビームを並進させて、局所的形状を順次蓄積する蓄積段階と、蓄積された局所的形状から対象面の連続的形状を算出する算出段階と、対象面で反射された光ビームの投射角度を変更する変更段階と、投射角度を第一角度から第二角度に変更した場合に、第一角度による対象面への投射位置に第二角度により光ビームを投射し、当該投射位置における局所的形状を再び特定する再特定段階とを備え、対象面の形状を計測する計測方法が提供される。
【0006】
上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションも発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】計測装置100の構造を示す模式的正面図である。
【図2】計測装置100を用いた計測手順を示す流れ図である。
【図3】計測装置100の動作を示す模式的正面図である。
【図4】計測装置100の動作を示す模式的正面図である。
【図5】計測装置100の動作を示す模式的正面図である。
【図6】計測装置100の動作を示す模式的正面図である。
【図7】計測装置100の動作を示す模式的正面図である。
【図8】計測装置100の他の構造を示す模式的正面図である。
【図9】計測装置100の他の構造を示す模式的正面図である。
【図10】計測装置100の他の構造を示す模式的平面図である。
【図11】計測装置100の構造を示す模式的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、計測装置100の構造を示す模式的正面図である。計測装置100は、枠体110と、枠体110に装着されたオートコリメータ120、並進テーブル130、回転テーブル140および光学系150を備える。
【0010】
枠体110は、水平な定盤116と、定盤116上に起立する複数の支柱114と、支柱114に水平に支持されたガイドレール112とを有する。ガイドレール112、支柱114および定盤116はそれぞれ高剛性な材料により形成される。これにより、後述する計測装置100の動作に伴う反力が作用した場合も枠体110は変形しない。なお、定盤116の上面には、計測装置100に形状を計測される対象となる試料160が置かれる。
【0011】
オートコリメータ120は、支柱114のひとつに水平に支持されて、水平な光ビームBを出射する。光ビームBは、後述する固定鏡154および回転鏡152に順次反射されて、試料160上面の投射位置Pに投射される。
【0012】
なお、オートコリメータ120は、試料160に投射した光ビームBの反射光を受光して、光ビームBが投射された投射位置Pにおける試料160表面の傾きを測定する。換言すれば、オートコリメータ120の測定範囲は、出射した光ビームBの反射光を、オートコリメータ120自体が受光できる範囲に制限される。
【0013】
並進テーブル130は、ガイドレール112から支持されつつ、図示していない駆動部に駆動されて、ガイドレール112に沿って水平に並進する。ここで、ガイドレール112および並進テーブル130には、図示していないリニアスケールおよびリニアエンコーダ等が配され、並進テーブル130の移動量を検出できる。
【0014】
また、並進テーブル130には、回転テーブル140および光学系150が搭載される。並進テーブル130が移動した場合、回転テーブル140および光学系150も並進テーブル130と共に移動する。
【0015】
光学系150は、回転鏡152および固定鏡154を含む。固定鏡154は、並進テーブル130に直接に固定され、並進テーブル130が移動した場合は共に並進する。また、固定鏡154は、オートコリメータ120が出射した水平な光ビームBを、並進テーブル130の位置に関わりなく、回転鏡152に向かって反射する。
【0016】
回転鏡152は、並進テーブル130に搭載された回転テーブル140に対して固定される。回転テーブル140は、光ビームBおよび並進テーブル130の並進方向に直交する回転軸の回りに回転する。回転鏡152は、回転テーブル140の回転軸と平行な反射面を有する。
【0017】
なお、回転テーブル140および並進テーブル130の間には、図示していないロータリースケールおよびロータリエンコーダが配される。これにより、回転テーブル140が回転した場合の回転角度を計測できる。
【0018】
これにより、回転テーブル140が回転した場合、回転鏡152は、固定鏡154から受けた光ビームBの試料160に対する投射角度を変化させることができる。光ビームBの投射角度を変化させた場合は、試料160による光ビームBの反射光の反射角度も変化する。ただし、光ビームBの投射角度を変化させた場合、定盤116上における試料160に対する光ビームBの投射位置Pも変化する。
【0019】
回転テーブル140を固定した状態で並進テーブル130を並進させた場合は、試料160に対する光ビームBの投射角度を維持したまま、光ビームBを並進させることができる。これにより、光ビームBの試料160に対する照射角度を維持したまま、照射位置Pを移動させることができる。
【0020】
ここで、回転鏡152および固定鏡154の一対の反射鏡を組み合わせて光ビームBを誘導することにより、ガイドレール112の不陸等に起因する並進テーブル130の並進に伴う傾きの変化等を自律的に打ち消すことができる。これにより、並進テーブル130を移動させながら計測した場合の計測精度が維持される。
【0021】
なお、制御部118は、上記並進テーブル130および回転テーブル140の動作を制御する。また、並進テーブル130を並進させた場合、および、回転テーブル140を回転させた場合、制御部118は、その移動量および回転量を測定して保持する。更に、制御部118は、オートコリメータ120の測定結果に基づいて、後述するように試料160の形状を算出する。
【0022】
図2は、計測装置100を用いた計測手順を示す流れ図である。また、図3から図7は、計測装置100の動作を、その段階毎に示す。以下、図3から図7までを順次参照しつつ、図2に示す計測手順を説明する。なお、図2から図7までにおいて、図1と同じ要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0023】
まず、定盤116に試料160を載置し、次いでオートコリメータ120を起動して、図1に示したように、固定鏡154および回転鏡152を介して、光ビームBを試料160に投射する(ステップS101)。ここで、制御部118は、投射された光ビームBの、試料160による反射光がオートコリメータ120に受光されているか否かを調べる(ステップS102)。
【0024】
図3に示すように、試料160による反射光がオートコリメータ120に受光されている場合(ステップS102:YES)、オートコリメータ120が、光ビームBが投射された位置における試料160の表面の傾きを測定し、制御部118が測定結果を記録する(ステップS103)。これにより、光ビームBが投射された投射位置Pにおける試料160の局所的な形状が特定される。
【0025】
更に、投射位置Pにおける試料160の局所的な形状を特定できた場合に、制御部118は、当該局所的形状を最後に特定できた投射位置を記録する。更に、以下のステップで局所的形状が特定される毎に、制御部118は当該投射位置を更新する(ステップS104)。
【0026】
なお、試料160に対する光ビームBの投射位置は、例えば、光ビームBの投射位置に他の光源から投射したビームマーカにより記録できる。また、並進テーブル130の位置および光ビームBの投射角度に基づいて、制御部118が光ビームBの投射位置を算出して、制御部118がその値を保持してもよい。
【0027】
次に、図4に矢印Mで示すように、制御部118は、並進テーブル130をガイドレール112に沿って移動させる(ステップS105)。並進テーブル130を移動させた後には、投射した光ビームBが試料160に投射されているか否かを調べる(ステップS106)。
【0028】
光ビームBの投射位置が試料160の存在する範囲を通りすぎている場合(ステップS106:NO)は、試料160の形状計測を終了する。なお、光ビームBの投射位置が試料160の存在する範囲を通りすぎていることは、試料160の既知の仕様から予測することもできるし、オートコリメータ120による測定結果が突然に大きく変化したことにより検知することもできる。
【0029】
並進テーブル130の移動後も光ビームBが試料160に投射されている場合(ステップS106:YES)は、ステップS102からステップS106までを繰り返すことにより、例えば、図4に示すように、投射位置PからPまで、試料160の表面の局所的な傾きを次々に計測して蓄積できる。このとき、回転テーブル140は固定されており、光ビームBの試料160に対する投射角度は角度αに保たれる。
【0030】
ただし、例えば、図5に示すように光ビームBの投射位置がPまで移動して、試料160表面の傾きが大きく変化した場合、光ビームBの反射光がオートコリメータ120に受光されなくなる(ステップS102:NO)。このような場合、制御部118は、図6に矢印Rで示すように、回転テーブル140を回転させて回転鏡152の角度を角度βに変更する(ステップS107)。
【0031】
更に、制御部118は、投射角度を角度βに保ったまま、図7に矢印Mで示すように、並進テーブル130を移動させて、光ビームBの試料160に対する投射位置を、局所的形状を特定できた最後の投射位置として記録されている投射位置Pに合わせる(ステップS108)。この状態で、再び、光ビームBの試料160による反射光がオートコリメータ120に受光されているか否かを調べる(ステップS102)。
【0032】
以下、光ビームBの反射光がオートコリメータ120に受光されるまで、上記のステップS102、S107およびS108を繰り返すことにより、新たな投射角度で、最後に局部的形状を特定できた投射位置Pから、試料160の形状特定を再開できる。これにより、試料160が存在する範囲から光ビームBの投射位置がはずれるまで、試料160の表面の局所的形状を繰り返し特定できる。こうして得られた局所的形状を積分することにより、試料160の表面形状を、正確且つ連続的に計測できる。
【0033】
なお、上記の例では、投射角度の変更(ステップS107)、投射位置合わせ(ステップS108)および反射光の受光確認(ステップS102)を繰り返すと記載した。しかしながら、試料160の表面形状は、多くの場合滑らかに連続しているので、直前の計測内容から、次に設定すべき投射角度と、当該投射角度に応じた投射位置合わせに求められる並進テーブル130の移動量を予測することができる。
【0034】
また、上記の説明では、オートコリメータ120が反射光を受光しなくなってから投射角度を変更する手順を説明した。しかしながら、オートコリメータ120による試料160表面の測定値が、オートコリメータ120の測定限界にある程度近づいた時点で、投射角度を変更してもよい。これにより、オートコリメータ120の測定可能範囲の中央付近を使って、より高い精度で試料160の局所的形状を特定できる。
【0035】
図8は、計測装置100の他の構造を示す模式的正面図である。なお、図8に示した計測装置100は、以下に説明する部分を除くと、図1に示した計測装置100と同じ構造を有する。そこで、共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0036】
図8に示す計測装置100は、オートコリメータ120に換えて、1対のレーザ測長機172、174を備える点に固有の特徴がある。即ち、一対のレーザ測長機172、174は、僅かな間隔をおいて平行な光ビームB、Bを出射して、固定鏡154および回転鏡152を介して試料160に照射する。
【0037】
一対のレーザ測長機172、174の各々は、測定対象までの距離を測定できるが、上記のような構成とすることにより、差動レーザ測長機170を形成できる。これにより、個々のレーザ測長機172、174の測定誤差を打ち消して、光ビームB、Bの投射位置までの距離を高精度に特定できる。よって、試料160の表面に沿って繰り返し計測した投射位置を蓄積して積分することにより、試料160の表面の形状を高精度に計測できる。
【0038】
なお、この計測装置100の場合も、試料160に対する光ビームB、Bの投射角度を変更した場合に、最後に形状を特定できた位置と同じ、試料160の表面における投射位置に光ビームB、Bを投射して計測を再開する。これにより、高い測定精度を連続的に継続させた表面形状を計測できる。
【0039】
上記のような計測装置100においては、1対のレーザ測長機172、174が発生する2本の光ビームB、Bの間隔を変更できる。よって、計測に求められる計測精度が低い場合は、光ビームB、Bの間隔をより広くして、測定作業にかかる時間を短縮できる。なお、局所的形状の測定間隔を拡げることによっても同様の効果が得られる。
【0040】
図9は、計測装置100のまた他の構造を示す模式的正面図である。なお、図9に示した計測装置100も、以下に説明する部分を除くと、図1に示した計測装置100と同じ構造を有する。そこで、共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0041】
図9に示す計測装置100は、並進テーブル130上の回転テーブル140に、回転鏡152に換えて、他のオートコリメータ124を搭載する点に固有の特徴がある。オートコリメータ124が出射する光ビームBは、定盤116上の試料160に直接に投射される。
【0042】
また、計測装置100は、並進テーブル130に固定された固定鏡156と、支柱114のひとつに水平に固定されたオートコリメータ122とを備える。固定鏡156は、オートコリメータ122が出射した光ビームBを反射して、再びオートコリメータ122に返す。これにより、並進テーブル130の移動に伴ってオートコリメータ124に生じた傾き等をオートコリメータ122により検出して、オートコリメータ124による計測値を補正できる。
【0043】
更に、この計測装置100の場合も、回転テーブル140を回転させて試料160に対する光ビームBの投射角度を変更した場合に、その直前に試料の局部的形状を特定できた位置に、再び光ビームBを投射して、同じ位置の局部的形状を、異なる投射角度の光ビームBにより特定する。これにより、高い測定精度を連続的に継続させた表面形状を計測できる。
【0044】
上記のような計測装置100においては、計測に使用する光ビームB、Bの各々の光路長が短い。これにより、計測環境の温度変化、雰囲気の揺らぎ等の影響を受け難く、測定精度の向上と安定が得られる。
【0045】
なお、上記の計測装置100において、回転するオートコリメータ124は、当該オートコリメータ124の光軸と回転テーブル140の回転軸とが交差するように配置されてもよい。これにより、試料160の全体の形状を算出する場合の計算が容易になる。ただし、オートコリメータ124の光軸と回転テーブル140の回転軸とが交差していない場合であっても、両者のずれ量が判っていれば、試料160の正確な形状を算出できる。換言すれば、当該ずれ量の測定を誤った場合は、測定結果に誤差が生じる。
【0046】
図10は、計測装置100の他の構造を示す模式的平面図である。また、図11は、図10に示した計測装置100の、図中Y方向から見た側面図である。図10および図11においても、他の計測装置100と共通の要素に同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0047】
計測装置100は、定盤116から起立した支柱の上端面に、一対のガイドレール182を備える。ガイドレール182は、図11において紙面に直交し、図10に示すY方向に延在する。また、ガイドレール182は、X方向に延在する移動ガイドレール184の両端と係合する。これにより、移動ガイドレール184は、ガイドレール182に沿って、図11において紙面に直交するY方向に移動する。
【0048】
また、一方の支柱114の上端に、ガイドレール182と平行に、オートコリメータ120が支持される。オートコリメータ120は、ガイドレール182と平行に、移動ガイドレール184の側面に向かって光ビームBを出射する。
【0049】
移動ガイドレール184の側面には、水平面上で光ビームBの伝播方向を変更する導入鏡186が配される。導入鏡186により反射されることにより、光ビームBは、ガイドレール182上の移動ガイドレール184の位置如何にかかわらず、移動ガイドレール184の長手方向に、移動ガイドレール184と平行に伝播する。
【0050】
また、移動ガイドレール184の側面には、並進テーブル130と、並進テーブル130に搭載された回転テーブル140とが配される。並進テーブル130には固定鏡154が、回転テーブル140には回転鏡152がそれぞれ搭載される。
【0051】
並進テーブル130は、図示していない駆動部に駆動されて、移動ガイドレール184に沿って水平に並進する。固定鏡154は、並進テーブル130と共に並進する。固定鏡154は、導入鏡186により反射された光ビームBを受けて、並進テーブル130の位置に関わりなく回転鏡152に向かって反射する。
【0052】
回転鏡152は、固定鏡154から受けた光ビームBの投射角度を変化させることができる。光ビームBの投射角度を変化させた場合、定盤116上における試料160に対する光ビームBの投射位置Pも変化する。よって、回転鏡152を適切に回転させることにより、試料160に対する光ビームBの投射位置Pを変更できる。
【0053】
また、回転テーブル140を固定した状態で並進テーブル130を並進させた場合、試料160に対する光ビームBの照射角度を維持したまま、光ビームBを並進させることができる。これにより、光ビームBの試料160に対する照射角度を維持したまま、照射位置Pを移動させることができる。
【0054】
よって、移動ガイドレール184が停止している場合、移動ガイドレール184を、図1におけるガイドレール112と見做すことにより、移動ガイドレール184と平行なひとつの面で切った試料160の表面形状を、図1に示した計測装置100と同様に計測できる。
【0055】
更に、移動ガイドレール184を移動させることにより、他の面で切った場合の試料160の表面形状を計測できる。従って、移動ガイドレール184を繰り返し移動させることにより、試料160の表面の二次元的な形状を計測できる。
【0056】
なお、定盤116上で試料160を支持する試料台190を回転可能にすることにより、レンズのように回転体形状を有する試料160の形状を効率よく計測できる。
【0057】
なお、上記の実施形態はいずれの場合も、水平の定盤116または試料台190に試料160を載置して、その上面の形状を計測している。しかしながら、計測時の光ビームの方向がこれに限られるわけではない。また、光学素子の表面形状の計測等では、試料の形状への重力の影響も加味して、実装状態の光学素子の表面形状を測定する場合もある。このような場合は、いわば、試料160に対して計測装置100を取り付けて形状を測定する。
【0058】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0059】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を、後の処理で用いる場合でない限り、任意の順序で実現しうることに留意されたい。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0060】
100 計測装置、110 枠体、112、182 ガイドレール、114 支柱、116 定盤、118 制御部、120、122、124 オートコリメータ、130 並進テーブル、140 回転テーブル、150 光学系、152 回転鏡、154、156 固定鏡、160 試料、170 差動レーザ測長機、172、174 レーザ測長機、184 移動ガイドレール、186 導入鏡、190 試料台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象面に向かって光ビームを投射する投射部と、
前記対象面で反射された前記光ビームを受光して前記対象面の局所的形状を特定する特定部と、
前記光ビームの投射角度を維持しつつ前記光ビームを並進させる並進部と、
前記光ビームの並進に伴って前記特定部が順次特定する前記局所的形状を蓄積して、前記対象面の連続的形状を算出する算出部と、
前記光ビームの投射角度を変更する変更部と、
前記変更部が前記投射角度を第一角度から第二角度に変更した場合に、前記特定部に、前記第一角度による前記対象面への投射位置に前記第二角度により前記光ビームを投射させ、且つ、当該投射位置における局所的形状を再び特定させる制御部と
を備え、前記対象面の形状を計測する計測装置。
【請求項2】
前記変更部は、前記対象面により反射された前記光ビームが、前記特定部に受光される範囲に前記投射角度を変更する請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記変更部は、前記対象面による前記光ビームの反射角度がより小さくなるように前記投射角度を変更する請求項1または請求項2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記対象面の局所的な傾斜を特定する請求項1から請求項3までのいずれかに記載の計測装置。
【請求項5】
前記特定部は、前記対象面までの距離を特定する請求項1から請求項3までのいずれかに記載の計測装置。
【請求項6】
前記算出部は、蓄積された前記局所的形状を積分して前記連続的形状を算出する請求項1から請求項5までのいずれかに記載の計測装置。
【請求項7】
前記変更部は、
発生した前記光ビームを反射する固定鏡と、
前記固定鏡が反射した光ビームを更に反射して前記対象面に投射し、且つ、揺動して前記投射角度を変更する可動鏡と
を有する請求項1から請求項6までのいずれかに記載の計測装置。
【請求項8】
前記変更部は、
前記対象面に向かって光ビームを投射するオートコリメータと、
前記オートコリメータを支持しつつ回転する回転台と
を有する請求項1から請求項6までのいずれかに記載の計測装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第一角度および前記第一角度で前記局所的形状を特定した場合の前記対象面までの距離から、前記投射位置を特定する請求項1から請求項8までのいずれかに記載の計測装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記対象面にマーカビームを投射して前記第一角度による投射位置を表示する表示部を有する請求項1から請求項8までのいずれかに記載の計測装置。
【請求項11】
対象面に向かって光ビームを投射する投射段階と、
前記対象面で反射された前記光ビームを受光して前記対象面の局所的形状を特定する特定段階と、
前記光ビームの投射角度を維持しつつ前記光ビームを並進させて、前記局所的形状を順次蓄積する蓄積段階と、
蓄積された前記局所的形状から前記対象面の連続的形状を算出する算出段階と、
前記対象面で反射された前記光ビームの投射角度を変更する変更段階と、
前記投射角度を第一角度から第二角度に変更した場合に、前記第一角度による前記対象面への投射位置に前記第二角度により前記光ビームを投射し、当該投射位置における局所的形状を再び特定する再特定段階と
を備え、前記対象面の形状を計測する計測方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−179891(P2011−179891A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42774(P2010−42774)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】