説明

記憶装置用材料及びセル構造

本発明はメモリ用組成物に関し、同組成物と、2つの電極とからなるメモリセルに関する。さらに本発明は、微細電子部品の製造方法及び微細電子部品の製造における本発明の組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記憶装置用組成物に関し、同組成物と、2つの電極とからなるメモリセルに関する。さらに本発明は、微細電子部品の製造方法及び微細電子部品の製造における本発明の組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
電子用及び光電子用有機半導体には、発光ダイオード、電界効果トランジスタ、スイッチングメモリ用装置、メモリ素子、論理素子及び複合レーザが含まれる。材料系電子工学から分子系電子工学への産業の変化を通じて、共役有機化合物における電圧誘起スイッチング現象がより詳細に調査される傾向にある。この現象が最初に観察されたのは、30年よりも前である。
【0003】
不揮発性でかつ高速なメモリは、例えば、ラップトップ、PDA、移動体電話、デジタルカメラ、HDTVデバイス等、多くの携帯デバイスの基本要件である。そうしたデバイスでは、スイッチをオンとする起動の際にブート処理が不要であり、急な電源停止によりデータ損失が発生することもない。強誘電性を有する材料や、又は磁気トンネル接合(MTJ)からなるメモリ素子のほか、2つの安定な状態間で可逆的に抵抗を変化させる(抵抗効果)ことが可能な材料は不揮発性メモリに特に適切である。この2つの異なる抵抗値は電流により検知可能である。例えば、強誘電性効果によるメモリと比較して、この抵抗メモリのさらなる利点は、読み出しの際にメモリ状態が消去されないため再書き込みが不要なことである。MTJからなる、複数の複合層の連続から構成されるメモリ素子と比較して、抵抗材料からなるメモリ素子の構造は非常に単純である。
【0004】
メモリ素子として用いることが可能なスイッチングデバイスでは、同じ印加電圧において2つの異なる伝導状態が観察される。この2つの異なる伝導状態は一定の大きさの電圧までは安定であるが、閾値電圧を超えると一方の伝導状態から他方の伝導状態へと変換され得る。この2つの異なる伝導状態間の可逆的スイッチングは、一般に、電圧極性の反転により行われるが、電圧の大きさがそれぞれの閾値電圧よりも幾分大きいことが必要である。2つの異なる伝導状態を検知するため、即ち、抵抗の検知のためには、他方の伝導状態への変換を避けるように、印加電圧が閾値電圧より低いことが必要である。2つの伝導状態が存在することを説明するため、幾つかの機構が検討されている。
【0005】
アントラセン薄膜において及びCrドープされた無機酸化膜による構造において観察された伝導状態はトラップ(Falle)の存在に由来するものであり、このトラップが強力な電界の下で満たされることにより、フィラメント状態による高い電荷キャリヤ移動度が生じると考えられている。複雑な3層構造においては、電荷貯蔵のため及び高伝導度(2つの状態間の電流比であるオン:オフの比=10)のスイッチングを提供するため、2つの活性な有機層の間に追加の金属層が導入された。これらの高性能デバイスにおいてはスイッチング機構がかさ高く、それらのデバイスを分子程度の大きさまで縮小することは制限される。
【0006】
単層の分子スイッチングデバイスにおいてはオン・オフ比が一般に低く(50〜80)、メモリは数分しか持続しない(ニトロアミン系で約15分)。高伝導状態は分子の電子還元による共役の変化に由来するものと考えられている。オン・オフ比を増大させる方法は、オン状態の電流を増大させるか又はオフ状態の電流を減少させることによる。従来技術では、非常に低伝導性のオフ状態を有する分子を生成する目的で、ローズベンガルが選択された。ローズベンガルでは、分子の全面を通じて電子受容基が分布している。供与基
が存在しない場合、ベンゼン環の電子分布密度は減少し、分子の共役が大きな影響を受ける。
【0007】
非特許文献1には、分子の共役を回復させることにより、ローズベンガルにおいて高いオン・オフ比で伝導性をスイッチングすることが報告されている。それらの構造をデータ記憶装置において動作させることが可能なデバイスにおける、メモリ効果も記載されている。非特許文献1に開示されているデバイスでは、多くのサイクルに渡り状態を書き込むこと又は消去することや、その状態を読み出すことが可能であった。スイッチングデバイスにおいては、活性な半導体は、阻止電圧により消去されるまで自身の伝導状態を保持した。電子還元による分子の共役の回復により、高伝導状態が生じた。同時期のスイッチデバイスと比較して、単層サンドイッチ構造におけるそうした高オン・オフ比は、オフ状態における低クリープ電流又は低リーク電流によるものと考えられる。分子に供与基を付加することにより、オフ状態の電流が増大し、したがってオン・オフ比が低下したことから、超分子構造において共役の回復の概念が確認された。上述の非特許文献1には、分子スイッチングデバイスにおいて高オン・オフ比を達成する有機分子の選択に関して、幾つかの一般化された例が示されている。
【0008】
上述のように、有機材料が不揮発性メモリとして機能できることは一般に知られている。しかしながら、上述の非特許文献1において記載されている材料は、非常に不便な製法(真空下で数時間のオーブン処理)を必要とするとともに、インジウムスズ酸化物電極に依存し、3V以上の電圧においてのみスイッチングする(例えば、非特許文献1の図5を参照)。
【非特許文献1】エイ.ボンドパッダエ(A.Bandyopadhyay)ら、「データ記憶装置用有機分子における大きな伝導性スイッチング及びメモリ効果(Large conductance switching and memory effects in organic molecules for data−storage applications)」、アプライド・フィジックス・レターズ(Applied Physics Letters)、2003年2月24日、第82巻、第8号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これに鑑みて、本発明の目的は、異なる抵抗の2つの安定な状態間でスイッチング可能であり、したがって不揮発性メモリとして機能できる材料を提供することである。本発明のさらなる目的は、上述の目的のために機能するとともに、例えば、スピンコート等、微細電子工学において慣用的な方法により加工可能であり、微細電子工学において用いられる電極の使用によりスイッチング可能な材料を提供することである。本発明のさらなる目的は、不揮発性メモリとして、低電圧にてスイッチングする有機材料を提供することである。
【0010】
本発明による材料は1V以下の低電圧においてスイッチング可能であるため、特に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、本発明において記憶装置用の新規な材料を提供することにより達成される。この材料は単量体M1を含有し、さらに単量体M2及びM3のうちの少なくとも一方を含有する。
【0012】
詳細には、本発明は以下の態様及び実施形態による。
第1の態様においては、本発明は記憶装置用組成物に関する。この組成物は、次の成分を含有する:
a)次の化学式1により表される単量体M1、
【0013】
【化1】

【0014】
[ここで、R,R,R及びRは各々独立に、H,F,Cl,Br,I,OH,SH、置換若しくは未置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、S−アルキル、S−アルケニル、S−アルキニル、アリール、ヘテロアリール、O−アリール、S−アリール、O−ヘテロアリール又はS−ヘテロアリールであるか、−(CF−CF,−CF((CFCF,−Q−(CF−CF,−CF(CF又は−C(CFであり;
n=0〜10である;]
b)次の化学式2,3により表される単量体M2,M3のうちの少なくとも一方、
【0015】
【化2】

【0016】
[ここで、R,R10,R11及びR12は各々独立に、F,Cl,Br,I,CN,NO、置換若しくは未置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、S−アルキル、S−アルケニル、S−アルキニル、アリール、ヘテロアリール、O−アリール、S−アリール、O−ヘテロアリール、S−ヘテロアリール、アラルキル又はアリールカルボニルである;]
Qは、−O−又は−S−である。
【0017】
したがって、本発明においては、単量体M1及びM2の組み合わせ、M1及びM3の組み合わせ、又はM1、M2及びM3の組み合わせが可能である。
好適な一実施形態では、化学式1において、R,R,R及びRは各々独立に、置換若しくは未置換のアルキル、O−アルキル、S−アルキル、アリール、ヘテロアリール、O−アリール、S−アリール、O−ヘテロアリール又はS−ヘテロアリールである。
【0018】
好適には、化学式2及び3のうちの少なくとも一方において、R,R10,R11及びR12は各々独立に、Cl,CN又はNOである。
特に好適には、化学式2及び3のうちの少なくとも一方において、R,R10,R11及びR12は各々独立に、次の化学式である。
【0019】
【化3】

【0020】
M1に特に好適な単量体はテトラチオフルバレン(R〜R=H)であり、M2に特に好適な単量体はクロラニル(R及びR10=Cl)である。
本明細書において用いられる用語「アルキル」には、炭素数1〜10、特に好適には炭素数1〜6の直鎖及び分岐鎖のアルキル基並びにシクロアルキル基が含まれる。同様に、本明細書において用いられる用語「アルケニル」、「アルキニル」は、それぞれ、炭素数1〜10、特に好適には炭素数1〜6の直鎖及び分岐鎖のアルケニル基、アルキニル基に関する。
【0021】
本明細書において用いられる用語「アリール」は、好適には炭素数6〜18、特に好適には炭素数6〜10の芳香族炭化水素基に関し、それらを含む。
特に好適な一実施形態では、本発明の組成物は重合体材料を含有する。単量体M1,M2及びM3のうちの少なくとも1つは、一般的な適切な溶媒中で、この重合体材料と共に配合される。続いて、この配合は、例えば、スピンコート等により、問題なく処理される。
【0022】
好適な重合体材料は、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリキノリン、ポリキノキサリン、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリメタクリレート又はポリイミド、並びにこれらの前駆体、こ
れらの混合物、及びこれらの共重合体である。
【0023】
先に述べたように、この混合物は好適には溶媒に溶解される。好適には、この溶媒は、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、メトキシプロピルアセテート、エトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエチレングリコールエーテル、エトキシエチルプロピオネート及びエチルアセテートから選択される。
【0024】
単量体M1,M2及びM3のうちの少なくとも1つの提供及びそれに続く混合に代えて、これらの単量体が重合体材料に対し化学的に結合され、続いて、溶媒に溶解されてもよい。
【0025】
第2の態様においては、本発明はメモリセルに関する。このメモリセルは上述の組成物と、2つの電極とからなり、組成物は2つの電極の間に配置されている。
微細電子工学において慣用的な全ての材料が電極に適切であるが、特に、AlSi、AlSiCu、銅、アルミニウム、チタン、タンタル、窒化チタン及び窒化タンタルを含む電極が好適である。
【0026】
好適には、電極は構造化されている。好適には、この構造化はシャドウマスク法又はフォトリソグラフィー法により行われている。
組成物及び電極の層厚は、それぞれ、好適には20nm〜2000nm、特に好適には50nm〜200nmである。
【0027】
接着向上剤を用いることにより、例えば、シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、窒化タンタル、タンタル、銅、アルミニウム、チタン又は窒化チタン等、重合体材料の微細電子工学に関連する表面に対する接着を強化できる。
【0028】
好適には、次の化合物を接着向上剤として用いることができる。
【0029】
【化4】

【0030】
さらなる一実施形態では、メモリセルはダイオード、PINダイオード若しくはZダイオード又はトランジスタと組み合わせられている。
第3の態様においては、本発明は微細電子部品の製造方法に関する。この製造方法は、
a)シリコンウエハに対し第1の電極を付着させる工程と、
b)工程a)にて形成された電極に対し本発明の組成物を付着させる工程と、
c)工程b)にて形成された層に対し第2の電極を付着させる工程とからなる。
【0031】
好適な一実施形態では、工程a)及び工程c)において、付着は蒸着又はスパッタリングにより行われる。
好適には、工程b)において、組成物はスピンコートにより付着され、続いて乾燥される。
【0032】
さらなる一実施形態では、組成物に存在する単量体は真空蒸着と同時に又は真空蒸着の直後に付着される。
好適には、本発明の組成物は、微細電子部品の製造において用いられるか、又はメモリ媒体として用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
[実施例]
実施例1:底部電極の作製
底部電極の金属は高真空蒸着法又はスパッタリング法により、SiO又はSiNの絶縁表面を有するシリコンウエハに対し付着される。この金属には、例えば、銅、アルミニウム、金、チタン、タンタル、タングステン、窒化チタン又は窒化タンタル等、微細電子工学に関連する全ての金属が用いられてよい。金属の構造化は、シャドウマスク法による金属の付着により行われてもよく、又は、表面全体に付着された金属を公知の手法によりリソグラフィー法で構造化し、続いてエッチングすることにより行われてもよい。
【0034】
実施例2:重合体溶液の調整
25gのポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズイミダゾール又はポリメタクリレート、5gのテトラチアフルバレン及び5.98gのクロラニルを、75gの蒸留したN−メチルピロリドン(VLSI−Selectipur(登録商標))又は蒸留したγ−ブチロラクトン(VLSI−Selectipur(登録商標))に溶解する。便法としては、この溶解処理は室温にて振とう機により行われる。続いて、この溶液を加圧下で0.2μmのフィルタを通して清浄な無塵サンプル管へと濾過する。重合体溶液の粘度は、溶解した重合体の質量により変化し得る。
【0035】
実施例3:重合体溶液の調整
25gのポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズイミダゾール又はポリメタクリレート、4gのテトラチアフルバレン及び4.78gのクロラニルを、75gの蒸留したN−メチルピロリドン(VLSI−Selectipur(登録商標))又は蒸留したγ−ブチロラクトン(VLSI−Selectipur(登録商標))に溶解する。便法としては、この溶解処理は室温にて振とう機により行われる。続いて、この溶液を加圧下で0.2μmのフィルタを通して清浄な無塵サンプル管へと濾過する。重合体溶液の粘度は、溶解した重合体の質量により変化し得る。
【0036】
実施例4:重合体溶液の調整
25gのポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズイミダゾール又はポリメタクリレート、5gのテトラメチルテトラチアフルバレン及び4.35gのジクロロジシアノ−p−ベンゾキノンを、75gの蒸留したN−メチルピロリドン(VLSI−Selectipur(登録商標))又は蒸留したγ−ブチロラクトン(VLSI−Selectipur(登録商標))に
溶解する。便法としては、この溶解処理は室温にて振とう機により行われる。続いて、この溶液を加圧下で0.2μmのフィルタを通して清浄な無塵サンプル管へと濾過する。重合体溶液の粘度は、溶解した重合体の質量により変化し得る。
【0037】
実施例5:接着向上剤溶液による接着の強化
接着向上剤を用いることにより、例えば、シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、窒化タンタル、タンタル、銅、アルミニウム、チタン又は窒化チタン等、重合体材料の微細電子工学に関連する表面に対する接着を強化できる。
【0038】
例えば、次の化合物を接着向上剤として用いることができる。
【0039】
【化5】

【0040】
室温にて、清浄な無塵サンプル管中、0.5gの接着向上剤(例えば、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等)を、95gのメタノール、エタノール又はイソプロパノール(VLSI−Selectipur(登録商標))及び5gの脱塩水に溶解する。室温で24時間後、接着向上剤溶液は使用可能となる。この溶液を用いることができるのは3週間以内である。接着向上剤により、表面に単分子層を形成させる。便法として、スピンコート法により接着向上剤を付着させることができる。この目的において、接着向上剤溶液は0.2μmのプレフィルタを通して付着され、5000回転/分にて30秒間回転される。続いて、100℃、60秒間の乾燥工程が行われる。
【0041】
実施例6:スピンコート法による重合体の付着
実施例2〜4による濾過した重合体溶液を、実施例1により処理したシリコンウエハ又は実施例5により前処理された処理済みのシリコンウエハに対し、シリンジを用いて付着させ、スピンコーターにより均一に分布させる。層厚は50〜500nmの範囲である。この後に、ホットプレート上で120℃で1分間及び200℃で4分間、重合体を加熱する。
【0042】
実施例7:有効成分の蒸着
重合体中の溶解した有効成分(供与体及び受容体)をスピンコートにより付着させる方法のほか、公知の共蒸着法により、成分M1と、M2又はM3とを付着させることも可能
である。実施例1により処理したシリコンウエハに対し、共蒸着により、2つの成分M1及びM2は、モル比1:1にて、10〜300nmの層厚で付着される。ウエハは10〜30℃に冷却される。
【0043】
実施例8:シャドウマスク法による頂部電極の作製
頂部電極の金属は、高真空蒸着法又はスパッタリング法を用いて実施例6又は7により処理されたシリコンウエハに対し、シャドウマスク法により付着される。この金属には、例えば、銅、アルミニウム、金、チタン、タンタル、タングステン、窒化チタン又は窒化タンタル等、微細電子工学に関連する全ての金属が用いられてよい。
【0044】
実施例9:リソグラフィー処理による頂部電極の作製
頂部電極の金属は、高真空蒸着法又はスパッタリング法を用いて実施例6又は7により処理されたシリコンウエハに対し、表面全体に付着される。この金属には、例えば、銅、アルミニウム、金、チタン、タンタル、タングステン、窒化チタン又は窒化タンタル等、微細電子工学に関連する全ての金属が用いられてよい。頂部電極を構造化するために、スピンオン法によりフォトレジストが金属に対し付着され、露出されるとともに、構造化される。続いて、公知の手法のエッチングにより、フォトレジストにより覆われていない金属は除去される。残存するフォトレジストは適切な剥離剤を用いて除去される。
【0045】
実施例10:リフトオフ法による頂部電極の作製
実施例6又は7により処理されたシリコンウエハに対し、公知の手法によりフォトレジストが付着され、露出されるとともに、構造化される。続いて、高真空蒸着法又はスパッタリング法により、頂部電極の金属が表面全体に付着される。この金属には、例えば、銅、アルミニウム、金、チタン、タンタル、タングステン、窒化チタン又は窒化タンタル等、微細電子工学に関連する全ての金属が用いられてよい。リフトオフ処理により、フォトレジストと、フォトレジストに接着している金属とは除去される。
【0046】
実施例11:I(U)特性の測定
I(U)特性の測定は、図2に示す回路により行われる。
測定には、KEITHLEY(登録商標)のSOURCEMETER(登録商標)2400シリーズを用いた。セルが示す典型的なI(U)特性を図3に示す。
【0047】
セルはCuにおいて約0.6Vにて、高インピーダンス状態から安定な低インピーダンス状態へとスイッチングし、Cuにおいて−0.3Vにて、安定な高インピーダンス状態へとスイッチングする。この2つの異なる抵抗状態は電圧が印加されない場合にも安定である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】SiO表面、銅(スパッタされた)層、頂部層として本発明の材料、及びチタンのパッドを備えるシリコン基板からなる、本発明によるメモリセルの例示的なセル構造の図。
【図2】本発明によるメモリセルのI(U)特性を測定するために用いられる回路の図。測定には、KEITHLEY(登録商標)のSOURCEMETER(登録商標)2400シリーズを用いた。
【図3】本発明によるメモリセルの典型的なI(U)特性の図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)次の化学式1により表される単量体M1と、
【化1】

[ここで、R,R,R及びRは各々独立に、H,F,Cl,Br,I,OH,SH、置換若しくは未置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、S−アルキル、S−アルケニル、S−アルキニル、アリール、ヘテロアリール、O−アリール、S−アリール、O−ヘテロアリール又はS−ヘテロアリールであるか、−(CF−CF,−CF((CFCF,−Q−(CFCF,−CF(CF又は−C(CFであり;
n=0〜10である;]
b)次の化学式2,3により表される単量体M2,M3のうちの少なくとも一方とを含有し、
【化2】

[ここで、R,R10,R11及びR12は各々独立に、F,Cl,Br,I,CN,NO、置換若しくは未置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、S−アルキル、S−アルケニル、S−アルキニル、アリール、ヘテロアリール、O−アリール、S−アリール、O−ヘテロアリール、S−ヘテロアリール、アラルキル又はアリールカルボニルである;]
Qは、−O−又は−S−である記憶装置用の組成物。
【請求項2】
化学式1において、R,R,R及びRは各々独立に、置換若しくは未置換のアルキル、O−アルキル、S−アルキル、アリール、ヘテロアリール、O−アリール、S−アリール、O−ヘテロアリール又はS−ヘテロアリールである請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
化学式2及び3のうちの少なくとも一方において、R,R10,R11及びR12は各々独立に、Cl,CN又はNOである請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
化学式2及び3のうちの少なくとも一方において、R,R10,R11及びR12は各々独立に、次の化学式である請求項1又は2に記載の組成物。
【化3】

【請求項5】
M1はテトラチオフルバレンであり、M2はクロラニルである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
重合体材料を含有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
重合体材料は、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリキノリン、ポリキノキサリン、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリメタクリレート又はポリイミド、並びにこれらの前駆体、これらの混合物、及びこれらの共重合体から選択される請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
溶媒を含有する請求項6又は7に記載の組成物。
【請求項9】
溶媒は、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、メトキシプロピルアセテート、エトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエチレングリコールエーテル、エトキシエチルプロピオネート及びエチルアセテートから選択される請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
単量体M1,M2及びM3のうちの少なくとも1つは重合体材料に対し化学的に結合されている請求項6乃至9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の組成物と、2つの電極とからなるメモリセルであって、組成物は2つの電極の間に配置されているメモリセル。
【請求項12】
電極は、AlSi、AlSiCu、銅、アルミニウム、チタン、タンタル、窒化チタン及び窒化タンタル並びにこれらの組み合わせから選択される請求項11に記載のメモリセル。
【請求項13】
電極は構造化されている請求項11又は12に記載のメモリセル。
【請求項14】
構造化はシャドウマスク法又はフォトリソグラフィー法により行われている請求項13に記載のメモリセル。
【請求項15】
組成物及び電極の層厚はそれぞれ20nm〜2000nmである請求項11乃至14のいずれか一項に記載のメモリセル。
【請求項16】
組成物及び電極の層厚はそれぞれ50nm〜200nmである請求項15に記載のメモリセル。
【請求項17】
重合体材料の関連する表面に対する接着を強化するための接着向上剤が使用されている請求項11乃至16のいずれか一項に記載のメモリセル。
【請求項18】
接着向上剤は次の化合物のうちの1つを含有する請求項17に記載のメモリセル。
【化4】

【請求項19】
ダイオード、PINダイオード、Zダイオード又はトランジスタと組み合わせられている請求項11乃至18のいずれか一項に記載のメモリセル。
【請求項20】
微細電子部品の製造方法であって、
a)シリコンウエハに対し第1の電極を付着させる工程と、
b)工程a)にて形成された電極に対し請求項1乃至10のいずれか一項に記載の組成物を付着させる工程と、
c)工程b)にて形成された層に対し第2の電極を付着させる工程とからなる方法。
【請求項21】
工程a)及び工程c)において、付着は蒸着又はスパッタリングにより行われる請求項20に記載の方法。
【請求項22】
工程b)において、組成物はスピンコートにより付着され、続いて乾燥される請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
組成物中の単量体は真空蒸着と同時に又は真空蒸着の直後に付着される請求項20又は21に記載の方法。
【請求項24】
微細電子部品の製造における請求項1乃至10のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項25】
メモリ及びスイッチ媒体としての請求項1乃至10のいずれか一項に記載の組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−507869(P2007−507869A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530053(P2006−530053)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010924
【国際公開番号】WO2005/034172
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(501085762)インフィネオン テヒノロギーズ アーゲー (22)
【氏名又は名称原語表記】Infineon TechnologiesAG
【Fターム(参考)】