説明

記録制御装置、データ書込方法、データ書込プログラムおよび記録媒体

【課題】他の処理の状況を考慮してデータの書込をおこなうこと。
【解決手段】記録制御装置100は、書込部101、検知部102、制御部103によって構成される。書込部101は、第1の記録部111に記録されているデータを第2の記録部112に書き込む。検知部102は、第1の記録部111または第2の記録部112に記録されている地図データを用いた処理をおこなう処理部121による処理の状況を検知する。制御部103は、検知部102によって検知された処理部121による処理の状況に基づいて、書込部101を制御する。制御部103は、たとえば、処理部121によって所定の処理がおこなわれている間は、書込を実行しないように書込部101を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録媒体に記録されているデータを他の記録媒体に書き込む際に用いる記録制御装置、データ書込方法、データ書込プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自装置が有するハードディスクに、CDなどに記録された楽曲データを記録して、車内で楽曲を楽しむことができるようにしたナビゲーション装置が知られている。このようなナビゲーション装置では、たとえば、車両内で音楽情報を再生しつつ、短時間で複写記録する必要がある場合において効率よく当該複写記録をおこなうことを可能とするため、DVDオーディオディスクに記録されている音楽情報をハードディスクに複写記録しつつ、当該複写記録された音楽情報を再生する場合に、DVDディスクからの音楽情報の複写記録における記録速度を、当該音楽情報のハードディスクからの再生における速度以上とする(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−155411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術によれば、ナビゲーション装置の起動後、未録音の楽曲が記録されたCDが挿入されている場合には、必ず録音処理(楽曲データの書込処理)をおこなうこととなる。このため、ナビゲーション装置の起動処理と楽曲データの記録処理とがおこなわれるタイミングが重なってしまい、ナビゲーション装置の起動に時間がかかってしまうという問題点が一例として挙げられる。
【0005】
また、ナビゲーション装置の起動時におこなわれる地図データの表示処理は、ハードディスクなどに記録された地図データの読み出しを伴う。このため、地図データの表示処理と楽曲データの書込処理とを同時に実行すると、ハードディスクへのアクセス負荷が増大してしまうという問題点が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる記録制御装置は、第1の記録手段に記録されているデータを第2の記録手段に書き込む書込手段と、前記第1の記録手段または前記第2の記録手段に記録されている地図データを用いた処理をおこなう処理手段による処理の状況を検知する検知手段と、前記検知手段によって検知された前記処理手段による処理の状況に基づいて、前記書込手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項5の発明にかかるデータ書込方法は、第1の記録手段または第2の記録手段に記録されている地図データを用いた処理をおこなう処理手段の状況を検知する検知工程と、前記検知工程で検知された前記処理手段による処理の状況に基づいて、前記第1の記録手段に記録されているデータを前記第2の記録手段に書き込む書込工程と、を含んだことを特徴とする。
【0008】
また、請求項6の発明にかかるデータ書込プログラムは、請求項5に記載のデータ書込方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項7の発明にかかる記録媒体は、請求項6に記載のデータ書込プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能なことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる記録制御装置、データ書込方法、データ書込プログラムおよび記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態)
はじめに、実施の形態にかかる記録制御装置100の機能的構成について説明する。図1は、記録制御装置の機能的構成を示すブロック図である。記録制御装置100は、書込部101、検知部102、制御部103によって構成される。
【0012】
書込部101は、第1の記録部111に記録されているデータを第2の記録部112に書き込む。第1の記録部111は、たとえば、楽曲データを記録したCDであり、第2の記録部112は、たとえば、車両に搭載されたナビゲーション装置のハードディスクである。また、第1の記録部111または第2の記録部112には地図データが記録されている。
【0013】
検知部102は、第1の記録部111または第2の記録部112に記録されている地図データを用いた処理をおこなう処理部121による処理の状況を検知する。処理部121は、たとえば、地図データの表示処理(地図表示処理)をおこなう。また、処理部121は、たとえば、移動体の目的地点までの経路探索処理や経路誘導処理をおこなうものであってもよい。
【0014】
制御部103は、検知部102によって検知された処理部121による処理の状況に基づいて、書込部101を制御する。制御部103は、たとえば、処理部121によって所定の処理がおこなわれている間は、第2の記録部112への書き込みを実行しないように書込部101を制御する。ここで、所定の処理とは、たとえば、処理部121によって処理された地図データを出力する出力装置の、起動時における地図表示処理である。
【0015】
制御部103は、たとえば、処理部121による起動時の地図表示処理がおこなわれている間は、第2の記録部112への書き込みを実行しないように書込部101を制御し、起動時の地図表示処理が終了した後に、書き込みを開始するように書込部101を制御する。このとき、制御部103は、たとえば、起動してから起動時の地図表示処理が終了するまでの所要時間を予測し、起動してから所要時間が経過した後に書き込みを開始するように書込部101を制御する。
【0016】
つぎに、記録制御装置100による記録制御処理について説明する。図2は、記録制御装置による記録制御処理の手順を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、まず、検知部102は、処理部121がおこなう起動時の地図表示処理の状況を検知する(ステップS201)。
【0017】
処理部121によって地図表示処理がおこなわれている場合(ステップS202:Yes)には、制御部103は、書込部101に対して書き込みを実行しないよう制御をおこなう(ステップS203)。一方、地図表示処理がおこなわれていない場合(ステップS202:No)には、ステップS206に移行する。
【0018】
つづいて、制御部103は、処理部121による地図表示処理が終了するまでの所要時間を予測する(ステップS204)。そして、制御部103は、ステップS204で予測した所要時間が経過するまで待機して(ステップS205:Noのループ)、所要時間が経過した場合(ステップS205:Yes)には、書込部101に対して書き込みを開始するよう制御をおこなって(ステップS206)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0019】
以上説明したように、記録制御装置100によれば、地図データを用いた処理をおこなう処理部121による処理の状況に基づいて、第1の記録部111に記録されているデータの第2の記録部112への書き込みを制御する。これにより、第1の記録部111または第2の記録部112に記録されているデータへの過度なアクセスを防止することができる。
【0020】
また、記録制御装置100は、起動時の地図表示処理がおこなわれている間は書き込みを実行せず、地図表示処理が終了した後に書き込みを開始するように制御する。これにより、地図表示処理と書込処理とが同時におこなわれることによる処理負荷の増大を抑制することができる。特に、起動時に必要以上の負荷がかかるのを防止するため、起動までの所要時間を短縮することができる。
【0021】
また、地図表示処理が終了するまでの所要時間を予測し、起動してから所要時間が経過した後に書き込みを開始することによって、地図表示処理が終了したか否かを監視する監視負担を軽減することができる。
【実施例】
【0022】
つぎに、上述した実施の形態にかかる記録制御装置100の実施例について説明する。以下の実施例においては、記録制御装置100を、車両に搭載されたナビゲーション装置300に適用した場合について説明する。
【0023】
(ナビゲーション装置300の周辺機器構成)
はじめに、ナビゲーション装置300の周辺機器構成について説明する。図3は、ナビゲーション装置が設置された車両のダッシュボード付近を示す説明図である。ナビゲーション装置300は、車両のダッシュボードに設置されている。ナビゲーション装置300は、目的地点までの経路探索および情報記録をおこなう他、DVD,CDなどの再生、テレビ放送の受信・録画、インターネットへの接続などの各種機能を有している。
【0024】
また、ナビゲーション装置300の下方には、オーディオ装置310が設置されている。オーディオ装置310は、CD,MDなど、おもに楽曲が録音された記録媒体の再生の他、MP3などの楽曲データの再生、ラジオ放送の受信などをおこなうことができる。また、オーディオ装置310は、オートイコライザー機能などを有し、車内の音響特性を詳細に調整する。
【0025】
ナビゲーション装置300とオーディオ装置310とは接続されており、たとえば、ナビゲーション装置300で再生するDVDの音声を、オーディオ装置310を介して出力したり、ナビゲーション装置300のディスプレイ414(図4参照)を用いてCDに録音された楽曲の再生順序を設定して、オーディオ装置310によってプログラム再生することができる。
【0026】
また、ナビゲーション装置300は、光ディスクドライブ406を有しており(図4参照)、ナビゲーション装置300本体にCDやDVD(光ディスク407の一例)を挿入して再生することも可能である。さらに、ナビゲーション装置300は、磁気ディスクドライブ404および磁気ディスク405を有しており(図4参照)、CDやDVDに記録された楽曲データを記録することができる。なお、以下、ナビゲーション装置300に搭載された磁気ディスクドライブ404、磁気ディスク405をハードディスクとして説明する。
【0027】
ナビゲーション装置300に搭載されたハードディスクは、CDなどに比べ記憶容量が大きく、ランダムアクセスなどの再生制御を迅速におこなうことができる。ナビゲーション装置300のハードディスクに楽曲データを記録することによって、たとえば、異なるアーティストの楽曲をプログラム再生したり、その時々の気分に適合した曲調の楽曲を再生することができる。すなわち、楽曲データの利用の幅を広げ、より有効に楽曲データを利用することができる。
【0028】
なお、ハードディスクに記録する楽曲データは、オーディオ装置310に挿入されたメディアに記録されているものでもよいし、ナビゲーション装置300に挿入されたメディアに記録されているものであってもよい。また、楽曲データを記録している記録媒体は、CDやDVDなどのメディアに限らず、小型メモリや小型ハードディスクなどであってもよい。
【0029】
(ナビゲーション装置300のハードウェア構成)
つぎに、ナビゲーション装置300のハードウェア構成について説明する。図4は、ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図4において、ナビゲーション装置300は、CPU401と、ROM402と、RAM(メモリ)403と、磁気ディスクドライブ404と、磁気ディスク405と、光ディスクドライブ406と、光ディスク407と、音声I/F(インターフェース)408と、マイク409と、スピーカ410と、入力デバイス411と、映像I/F412と、カメラ413と、ディスプレイ414と、通信I/F415と、GPSユニット416と、各種センサ417、外部接続用I/F418とを備えている。また、各構成部401〜418はバス420によってそれぞれ接続されている。
【0030】
まず、CPU401は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM402は、ブートプログラム、通信プログラム、データベース作成プログラム、データ解析プログラムなどのプログラムを記録している。RAM403は、CPU401のワークエリアとして使用される。
【0031】
磁気ディスクドライブ404は、CPU401の制御に従って磁気ディスク405に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク405は、磁気ディスクドライブ404の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク405としては、たとえば、ハードディスク(HD)やフレキシブルディスク(FD)を用いることができる。なお、前述のように、ナビゲーション装置300に搭載されている磁気ディスクドライブ404、磁気ディスク405はハードディスクである。
【0032】
光ディスクドライブ406は、CPU401の制御に従って光ディスク407に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク407は、光ディスクドライブ406の制御に従ってデータが読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク407は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。また、この着脱可能な記録媒体として、光ディスク407のほか、MO、メモリカードなどであってもよい。
【0033】
磁気ディスク405または光ディスク407に記録される情報の一例として、経路探索・経路誘導などに用いる地図データが挙げられる。地図データは、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)を表す背景データと、道路の形状を表す道路形状データとを有しており、ディスプレイ414の表示画面において2次元または3次元に描画される。ナビゲーション装置300が経路誘導中の場合は、地図データと後述するGPSユニット416によって取得された自車の現在位置とが重ねて表示されることとなる。なお、本実施例において、地図データは、磁気ディスク405(ハードディスク)に記録されているものとする。
【0034】
音声I/F408は、音声入力用のマイク409および音声出力用のスピーカ410に接続される。マイク409に受音された音声は、音声I/F408内でA/D変換される。また、スピーカ410からは音声が出力される。なお、マイク409から入力された音声は、音声データとして磁気ディスク405あるいは光ディスク407に記録可能である。
【0035】
入力デバイス411は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、マウス、タッチパネルなどが挙げられる。さらに、入力デバイス411は、デジタルカメラや携帯電話端末などの他の情報処理端末を接続し、データの入出力をおこなうことができる。
【0036】
映像I/F412は、映像入力用のカメラ413および映像出力用のディスプレイ414と接続される。映像I/F412は、具体的には、たとえば、ディスプレイ414全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいて、ディスプレイ414を表示制御する制御ICなどによって構成される。
【0037】
カメラ413は、車両内外の映像を撮像し、画像データとして出力する。カメラ413で撮像された画像は、画像データとして磁気ディスク405あるいは光ディスク407に記録可能である。ディスプレイ414には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。このディスプレイ414は、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。
【0038】
通信I/F415は、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とCPU401とのインターフェースとして機能する。通信網には、LAN、WAN、公衆回線網や携帯電話網などがある。
【0039】
GPSユニット416は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在位置(ナビゲーション装置300の現在位置)を示す情報を出力する。GPSユニット416の出力情報は、後述する各種センサ417の出力値とともに、CPU401による車両の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
【0040】
各種センサ417は、車速センサや加速度センサ、角速度センサなどの、車両の位置や挙動を判断することが可能な情報を出力する。各種センサ417の出力値は、CPU401による車両の現在位置の算出や、速度や方位の変化量の測定に用いられる。
【0041】
外部接続用I/F418は、オーディオ装置310(図3参照)や携帯楽曲再生端末、携帯通信端末、車内空調装置など、外部の機器と接続するためのインターフェース類である。外部接続用I/F418は、たとえば、専用の接続ケーブルのポートや赤外線通信用ポートなどによって構成される。
【0042】
なお、実施の形態にかかる記録制御装置100の構成のうち、書込部101は磁気ディスクドライブ404および光ディスクドライブ406によって、検知部102および制御部103はCPU401によって、第1の記録部111は光ディスク407によって、第2の記録部112は磁気ディスク405によって、処理部121はCPU401、磁気ディスクドライブ404、磁気ディスク405、映像I/F412、ディスプレイ414によって、それぞれの機能を実現する。
【0043】
(ナビゲーション装置300による楽曲データ記録処理)
つづいて、ナビゲーション装置300による楽曲データ記録処理について説明する。前述のように、ナビゲーション装置300は、自装置やオーディオ装置310に挿入されたCDなどのメディアに記録された楽曲データを、自装置のハードディスクに記録する。これにより、楽曲データの利用の幅を広げ、より有効に楽曲データを利用することができる。なお、以下の説明では、ナビゲーション装置300の光ディスクドライブ406に挿入されたCDから楽曲データを得ることとする。
【0044】
図5は、ナビゲーション装置による楽曲データ記録処理の手順を示すフローチャートである。図5のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置300のCPU401は、まず、光ディスクドライブ406に楽曲データが記録されたCDが挿入されるまで待機する(ステップS501:Noのループ)。
【0045】
CDが挿入されると(ステップS501:Yes)、CPU401は、CDに記録されているデータ内容を示す識別情報を読み出す(ステップS502)。識別情報とは、具体的には、たとえば、CD内の曲数情報や演奏時間情報が含まれるTOU(Table Of Contents)情報や、個々のディスクを識別する識別ID、記録されている楽曲データの識別コードなどである。
【0046】
そして、取得した識別情報を用いて、挿入されたCDが未録音(ハードディスクに記録されていない)の楽曲データを含むか否かを判断する(ステップS503)。具体的には、たとえば、すでにハードディスクに記録されている楽曲データの識別情報(記録済み楽曲情報)と今回挿入されたCDの識別情報とを照合する。未録音の楽曲データを含む場合は(ステップS503:Yes)、未録音の楽曲データをハードディスク(HD)に書き込む(ステップS504)。
【0047】
書き込みが終了すると(ステップS505:Yes)、記録済み楽曲情報を更新して(ステップS506)、本フローチャートによる処理を終了する。すなわち、記録済み楽曲情報に今回記録した楽曲の識別情報を追加する。
【0048】
また、書き込みが終了しない間は(ステップS505:No)、ナビゲーション装置300の電源がオフにされたか否かを判断する(ステップS507)。電源がオフにされない間は(ステップS507:No)、ステップS504に戻り、楽曲データの書き込みを継続する。一方、楽曲データが書き込み中にもかかわらず電源がオフにされた場合は(ステップS507:Yes)、楽曲データの書き込みを中止し、書き込み中のCDの識別情報および録音終了位置情報を記録して(ステップS508)、本フローチャートによる処理を終了する。録音終了位置情報とは、CDが記録しているデータのうち、書き込みが終了した箇所を示す情報である。
【0049】
なお、ステップS503で、未録音の楽曲データを含んでいないと判断された場合は、(ステップS503:No)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0050】
以上のような処理によって、ナビゲーション装置300はCDに記録された楽曲データをハードディスクに記録する。ところで、ハードディスクへの楽曲データ書き込み中にナビゲーション装置300の電源がオフにされた場合(図5のステップS507:Yes)、CPU401は楽曲データの書き込みを中止する。このとき、光ディスクドライブ406には、CDが挿入されたまま電源がオフにされることとなる。
【0051】
一般に、ナビゲーション装置300でCDの出し入れをおこなうためには、ナビゲーション装置300の電源がオンでなければならないため、ナビゲーション装置300には、書き込み途中のCDが挿入されたままとなっている。この状態でナビゲーション装置300の電源がオンにされる(再起動される)と、起動時に未録音の楽曲データの書き込みが再開されることとなる。
【0052】
一方で、ナビゲーション装置300の起動時には、地図データの表示や現在位置の算出などをおこなうため、CPU401の処理負荷が増大している。また、地図データはハードディスクに記録されており、地図データへのアクセスに伴う負荷も増大する。このため、ナビゲーション装置300は、起動時に未録音の楽曲データを記録したCDが挿入されている場合、起動処理(具体的には地図データの表示処理)が終了した後に、楽曲データの書き込みをおこなう。これにより、楽曲データの書き込みに伴う負荷の増大を回避して、起動処理を迅速におこなうことができる。
【0053】
図6は、再起動時における楽曲データ記録処理の手順を示すフローチャートである。図6のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置300のCPU401は、ナビゲーション装置300の電源がオンにされるまで待機する(ステップS601:Noのループ)。電源がオンにされると(ステップS601:Yes)、光ディスクドライブ406に挿入されているCDがあるか否かを判断する(ステップS602)。
【0054】
挿入されているCDがない場合は(ステップS602:No)、本フローチャートによる処理を終了する。一方、挿入されたCDがある場合は(ステップS602:Yes)、識別情報を取得して(ステップS603)、未録音の楽曲データを含むか否かを判断する(ステップS604)。未録音の楽曲データがない場合は(ステップS604:No)、そのまま本フローチャートによる処理を終了する。
【0055】
未録音の楽曲データがある場合は(ステップS604:Yes)、楽曲データの書き込みを待機することによって、楽曲の再生に影響がないか否かを判断する(ステップS605)。楽曲の再生に影響がない場合は(ステップS605:Yes)、ディスプレイ414への地図データの表示処理が完了するまでの所要時間を算出する(ステップS606)。そして、ステップS606で算出した所要時間の経過以降に、楽曲データの書き込み開始時刻を設定する(ステップS607)。すなわち、楽曲データの書き込みを書き込み開始時刻まで待機する。
【0056】
そして、CPU401は、GPSユニット416から出力されたGPS情報などを用いて、車両の現在位置を算出し(ステップS608)、ハードディスクから現在位置周辺の地図データを読み出して(ステップS609)、ディスプレイ414にステップS608で算出した現在位置およびステップS609で読み出した地図データを表示する(ステップS610)。すなわち、ナビゲーション装置300の起動処理を完了させる。
【0057】
CPU401は、ステップS607で設定した書き込み開始時刻になるまで待機して(ステップS611:Noのループ)、書き込み開始時刻になった場合は(ステップS611:Yes)、ハードディスクに未録音の楽曲データを書き込む(ステップS612)。このとき、図5のステップS508で記録した録音終了位置情報を参照して、前回の電源オフ時に書き込みが中断した箇所から楽曲データを書き込む。
【0058】
未録音の楽曲データの書き込みが終了するまでは(ステップS613:No)、ステップS612に戻り、楽曲データの書き込みを継続し、書き込みが終了すると(ステップS613:Yes)、本フローチャートによる処理を終了する。なお、ステップS605で楽曲データの書き込みを待機することによって、楽曲の再生に影響があると判断された場合は(ステップS605:No)、ステップS612に移行して、楽曲データの書き込みをおこなう。
【0059】
また、上述した説明のように、地図データの表示が完了するまでの所要時間を算出するのではなく、地図データの表示処理の完了を待って書き込み処理をおこなってもよい。また、地図データの表示が完了したことをもって、起動処理が終了したものとしたが、たとえば、目的地点の設定や経路の探索などの処理が終了するまで楽曲データの書き込みをおこなわないこととしてもよい。
【0060】
以上説明したように、ナビゲーション装置300によれば、地図データを用いた処理、具体的には、ナビゲーション装置300の起動時の地図表示処理の進捗状況に基づいて、ハードディスクへの楽曲データの書き込みを制御する。これにより、ハードディスクに記録されているデータへの過度なアクセスを防止することができる。
【0061】
また、ナビゲーション装置300によれば、起動時の地図表示処理がおこなわれている間は書き込みを実行せず、地図表示処理が終了した後に書き込みを開始するように制御する。これにより、地図表示処理と書き込み処理とが同時におこなわれることによる処理負荷の増大を抑制することができる。特に、起動時に必要以上の負荷がかかるのを防止するため、起動までの所要時間を短縮することができる。
【0062】
また、地図表示処理が終了するまでの所要時間を予測し、起動してから所要時間が経過した後に書き込みを開始することによって、地図表示処理が終了したか否かを監視する監視負担を軽減することができる。
【0063】
なお、本実施の形態で説明したデータ書込方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】記録制御装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】記録制御装置による記録制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】ナビゲーション装置が設置された車両のダッシュボード付近を示す説明図である。
【図4】ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】ナビゲーション装置による楽曲データ記録処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】再起動時における楽曲データ記録処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
100 記録制御装置
101 書込部
102 検知部
103 制御部
111 第1の記録部
112 第2の記録部
121 処理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の記録手段に記録されているデータを第2の記録手段に書き込む書込手段と、
前記第1の記録手段または前記第2の記録手段に記録されている地図データを用いた処理をおこなう処理手段による処理の状況を検知する検知手段と、
前記検知手段によって検知された前記処理手段による処理の状況に基づいて、前記書込手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする記録制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記処理手段によって所定の処理がおこなわれている間は、書き込みを実行しないように前記書込手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の記録制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記処理手段による起動時の地図表示処理がおこなわれている間は、書き込みを実行しないように前記書込手段を制御し、
前記起動時の地図表示処理が終了した後に、書き込みを開始するように前記書込手段を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の記録制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、起動してから前記起動時の地図表示処理が終了するまでの所要時間を予測し、起動してから前記所要時間が経過した後に書き込みを開始するように前記書込手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の記録制御装置。
【請求項5】
第1の記録手段または第2の記録手段に記録されている地図データを用いた処理をおこなう処理手段の状況を検知する検知工程と、
前記検知工程で検知された前記処理手段による処理の状況に基づいて、前記第1の記録手段に記録されているデータを前記第2の記録手段に書き込む書込工程と、
を含んだことを特徴とするデータ書込方法。
【請求項6】
請求項5に記載のデータ書込方法をコンピュータに実行させることを特徴とするデータ書込プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のデータ書込プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−278722(P2007−278722A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101863(P2006−101863)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(502196463)株式会社テック・エキスパーツ (37)
【Fターム(参考)】