説明

記録媒体制御装置および記録媒体制御装置の制御プログラム

【課題】互換性を十分に検証していないメモリカードが市場に流通しており、このようなメモリカードを電子機器で利用した場合に、データの読み書きが正常に行えない場合があった。
【解決手段】上記課題を解決するために、メモリカードなどの着脱可能な記録媒体を制御する記録媒体制御装置は、記録媒体を装着する装着部と、受容可能な記録媒体の固有情報を記述した内部リストを記憶する記憶部と、装着部に装着された記録媒体の固有情報を記録媒体から読み出し、内部リストに記述された固有情報と照合する照合部とを備え、照合部は、装着部に装着された記録媒体の固有情報が、内部リストに記述された固有情報のいずれとも一致しない場合には、外部機器に記憶され、記録媒体の固有情報を記述した外部リストとの照合結果を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体制御装置および記録媒体制御装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどの電子機器に装着されて利用されるメモリカードは、多種多様な製品として流通している。メモリカードに記録されたデータへの不正なアクセスを防ぐべく、そのメモリカード固有のパスワードによりアクセス権を管理する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2003−296196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
メモリカードを利用する電子機器の高機能化、メモリカード自体の高性能化に伴い、相互間のデータの読み出し、書き込みは、規格化されたルールに則ってより厳密に行われるようになっている。また、電子機器、メモリカード双方の進化により、規格ルール自体も修正され続けている。一方で、このような互換性を十分に検証していないメモリカードが市場に流通しており、このようなメモリカードを電子機器で利用した場合に、データの読み書きが正常に行えない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様における記録媒体制御装置は、着脱可能な記録媒体を装着する装着部と、受容可能な記録媒体の固有情報を記述した内部リストを記憶する記憶部と、装着部に装着された記録媒体の固有情報を記録媒体から読み出し、内部リストに記述された固有情報と照合する照合部とを備え、照合部は、装着部に装着された記録媒体の固有情報が、内部リストに記述された固有情報のいずれとも一致しない場合には、外部機器に記憶され、記録媒体の固有情報を記述した外部リストとの照合結果を取得する。
【0005】
本発明の第2の態様における記録媒体制御装置の制御プログラムは、装着部に装着された記録媒体の固有情報を、内部リストに記述された受容可能な記録媒体の固有情報と照合する照合ステップと、照合ステップにおいて、装着部に装着された記録媒体の固有情報が、内部リストに記述された固有情報のいずれとも一致しない場合に、外部機器に記憶され、記録媒体の固有情報を記述した外部リストとの照合結果を取得する取得ステップとをコンピュータに実行させる。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態に係るメモリ管理システム全体の概略図である。
【図2】本実施形態に係るカメラおよびメモリカードの内部構成図である。
【図3】本実施形態に係る管理サーバの内部構成図である。
【図4】メモリカードがカメラに装着されて開始される動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、本実施形態に係るメモリ管理システム全体の概略図である。本実施形態に係るメモリ管理システムは、カメラ100と、カメラ100に対して着脱可能に装着されるメモリカード200と、カメラ100と接続されるPC300を含む。さらに、メモリ管理システムは、PC300が接続されるネットワーク400と、ネットワーク400に接続され、メモリカード200の固有情報であるカードIDを管理する管理サーバ500を含む。
【0010】
本実施形態においては、メモリ管理システムにより、電子機器に対するメモリカードの互換性のチェックを確実に行い、互換性が保証されていないメモリカードの使用による電子機器の不具合の発生、記録されるべきデータの消失等を防ぐ。メモリカードは、電子機器に装着されて電子機器で生成されたデータの記録保持を担う、例えばCFカードなどの記録媒体である。電子機器は、メモリカードへのデータの書き込み、メモリカードからのデータの読み出しを行う記録媒体制御部を内包する、例えばデジタルカメラ、携帯電話、ポータブルゲーム機器等の機器である。本実施形態においては、カメラ100とメモリカード200を例として、メモリ管理システムを説明する。
【0011】
カメラ100は、メモリカード200が装着された状態で、ユーザに携帯されて使用され得る。カメラ100で生成された画像データは、メモリカード200に記録されて保持される。メモリカード200の記録容量の上限まで画像データ等を記録した場合、ユーザは、他のメモリカード200に交換して更に記録を続けることができる。もちろん、記録容量の上限まで記録させない場合でも、例えばカメラ100を使用するユーザごとにメモリカード200を使い分けて利用することもできる。
【0012】
メモリカード200は、カメラ100などの電子機器に広く使用されるように、規格化されたインターフェイスが採用されている。このインターフェイスに準拠したメモリカード200は、記録容量、駆動回路等において様々なバリエーションが多くのメーカーから用意されている。したがって、ユーザは、多種多様に製品化されたバリエーションの中から自らの用途に合わせたメモリカード200を選択することができる。例えば、プロカメラマンであれば、データサイズの大きな画像データを短時間で処理するカメラ100に合わせて、大容量かつ高速読み書きができる製品を選ぶ傾向がある。
【0013】
メモリカード200とカメラ100などの電子機器との間の規格は、端子などの物理的なインターフェイスに限らず、データ領域に対する駆動回路のアクセスなどの制御上のルールについても定められている。したがって、電子機器は、メモリカード200との通信により最適な制御ルールを確定してデータの読み書きを実行する。メモリカード200のメーカーは、自らの製品に対して性能を保証できる互換性検証を行った上で、データの読み書き速度などの適用条件をメモリカード200に記録する。電子機器側は、記録された適用条件を確認して、メモリカード200に対するデータの授受条件を設定する。規格化されたルールは、電子機器、メモリカード200の双方の進化に伴って修正され続け、新しい製品同士の組み合わせにおいては、より大容量、より高速読み書きに対応できるようにシステム全体が構築されている。
【0014】
したがって、互換性検証が正しくなされたメモリカード200を使用する限りでは、電子機器とメモリカード200のデータの授受にエラーが発生することは稀である。しかしながら、市場に流通するメモリカード200の中には、互換性検証が十分に行われていなかったり、偽った適用条件が記録されたものがある。このようなメモリカード200を例えばカメラ100で利用した場合、生成された画像データがメモリカード200に記録されていないという事態が生じうる。また、結果的に不適正な書き込み制御を実行することになるので、カメラ100側に故障を生じさせる場合もある。
【0015】
そこで、本実施形態においては、正当なメモリカード製造会社、電子機器メーカーなどのコンソーシアムによって管理、運営される管理サーバ500に、市場に流通する様々なメモリカード200の固有情報であるカードIDを集合させて外部リストとして蓄積する。そして、ユーザが使用しようとするメモリカード200に記録されたカードIDが、管理サーバ500に蓄積されたカードIDと一致するかを電子機器に確認させ、その結果により電子機器のメモリカード200に対する制御条件を変更する。
【0016】
図1に戻って更に説明を続ける。カメラ100は、PC300と接続され得るが、接続には例えばUSBケーブル等による有線接続、無線LAN等による無線接続のいずれであっても良い。カメラ100とPC300の通信が確立された状態で、データの送受信が実行される。外部リストの要求、外部リストの転送は、カメラ100とPC300の通信が確立された状態で実行される。もちろん、相互通信の確立により、メモリカード200に記録された画像データをPC300へ転送したり、PC300側からカメラ100の遠隔操作を行うように構成することもできる。
【0017】
PC300はネットワーク400を介して、外部リストの少なくとも一部を管理サーバ500から取得する。管理サーバ500には、上述のように様々なメモリカード200のカードIDが記述された外部リストが記録されており、管理サーバ500は、ネットワーク400を介して受信される要求信号に応えて、少なくとも一部の外部リストを要求端末であるPC300へ送信する。
【0018】
図2は、本実施形態に係るカメラ100およびメモリカード200の内部構成図である。カメラ100は光学系101を備える。光学系101は、ズームレンズ、フォーカスレンズ等により構成される。被写体像は光軸に沿って光学系101に入射し、撮像素子102の結像面に結像する。
【0019】
撮像素子102は、光学系101を透過して入射する被写体像である光学像を光電変換する素子であり、例えば、CCD、CMOSセンサが用いられる。撮像素子102は、システム制御部103によって制御される駆動部104によって、電荷読み出し等の同期が計られ、駆動される。読み出された電荷は増幅された後にアナログ信号としてA/D変換器105へ転送され、A/D変換器105でアナログ信号からデジタル信号に変換される。
【0020】
デジタル信号に変換された被写体像は、画像データとして順次処理される。A/D変換器105によりデジタル信号に変換された画像データは、システム制御部103にの制御に従い、一旦SDRAM106に記憶される。SDRAM106は、高速で読み書きのできるランダムアクセスメモリである。SDRAM106は、連写撮影、動画撮影において高速に連続して画像データが生成される場合に、画像処理の順番を待つバッファメモリとしての役割を担う。また、画像処理部107が行う画像処理、圧縮処理において、ワークメモリとしての役割も担う。更に、後述する照合作業において、カードIDを展開する領域としての役割も担う。したがって、SDRAM106は、これらの役割を担うに相当する十分なメモリ容量を備える。
【0021】
画像処理部107は、設定されている撮影モード、ユーザからの指示に則して、画像データを所定の画像フォーマットに従った画像データに変換する。例えば、静止画像としてJPEGファイルを生成する場合、色変換処理、ガンマ処理、ホワイトバランス処理等の画像処理を行った後に適応離散コサイン変換等を施して圧縮処理を行う。また、動画像としてMPEGファイルを生成する場合、所定の画素数に縮小されて生成された連続する静止画としてのフレーム画像に対して、フレーム内符号化、フレーム間符号化を施して圧縮処理を行う。そして、変換された画像データは再びSDRAM106に保管される。画像処理部107によって処理された静止画像データ、動画像データは、システム制御部103の制御により、SDRAM106からメモリカードIF108を介して、不揮発性メモリであるメモリカード200に記録される。
【0022】
画像処理部107は、記録用に処理される画像データに並行して、表示用の画像データを生成する。生成された表示用の画像データは、表示制御部109の制御に従って、液晶パネル等で構成される表示部110に表示される。また、表示制御部109は、画像の表示と共に、もしくは画像を表示することなく、カメラ100の各種設定に関する様々なメニュー項目も、表示部110に表示することができる。
【0023】
カメラ100は、上記の画像処理における各々の要素も含めて、システム制御部103により直接的または間接的に制御される。システム制御部103は、フラッシュメモリ111とデータの送受信を行う。フラッシュメモリ111は、電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、カメラ100の動作時に必要な定数、変数、プログラム等を、カメラ100の非動作時にも失われないように記録している。システム制御部103は、定数、変数、プログラム等を適宜SDRAM106に展開して、カメラ100の制御に利用する。
【0024】
フラッシュメモリ111は更に、カメラ100が受容し得るメモリカード200のカードIDを列挙した内部リスト112を記憶している。内部リスト112は、それぞれのカードIDに関連して、当該カードIDを持つメモリカード200が装着されたときの制御条件を記述する領域を有する。内部リスト112の詳細については後述する。
【0025】
光学系101は、レンズ制御部113によって制御される。レンズ制御部113は、例えば、ユーザの指示に応じてズームレンズを駆動し、被写体像の画角を変更する。また、AF情報に基づいてフォーカスレンズを駆動し、被写体像を撮像素子102の受光面上で合焦させる。
【0026】
カメラ100は、ユーザからの操作を受け付ける操作部材114を複数備えているが、システム制御部103は、これら操作部材114が操作されたことを検知し、操作に応じた動作を実行する。特に、操作部材114としてのレリーズスイッチが操作されたことを検知したときには、システム制御部103は、被写体像を光電変換して画像データを生成する一連の撮影動作を実行する。
【0027】
外部接続IF115は、カメラ100を外部機器と接続する場合に用いられるインターフェイスである。例えば、上述のUSBケーブルを接続するUSBインターフェイスであり、無線LAN接続を実現する無線LANインターフェイスである。
【0028】
メモリカードIF108は、メモリカード200を物理的に装着する装着部として、カードコネクタ116を備える。メモリカード200の機器IF201も、カードコネクタ116と結合する結合部として機器コネクタ202を備える。
【0029】
機器IF201は、コントローラ203に接続されている。コントローラ203は、カメラ100との間でデータ、コマンド等の様々な制御信号の授受を制御する。特に、コントローラ203は、記録部204のデータ領域205に割り当てたアドレスに、カメラ100のシステム制御部103から書き込み指令を受けた画像データを書き込む。また、システム制御部103が過去の画像データを表示させる場合には、コントローラ203は、システム制御部103から読み込み指令を受けて、当該過去の画像データをデータ領域205から読み出してカメラ100へ送信する。更に、コントローラ203は、システム制御部103からのカードID要求に従って、プロテクト領域206に記録されたカードID207を読み出してカメラ100へ送信する。
【0030】
システム制御部103は、メモリカードIF108を介してクロック信号の周期等を制御することにより、予め定められた制御条件によりデータの授受を実行する。しかしながら、当該制御条件により、温度センサ117の検出温度が異常に高温となったり、読み書きにエラーが生じた場合には、読み書きの速度を遅くするなど、制御条件を変更する。変更された制御条件は、カードID207に対応する内部リスト112の制御条件領域に記録され、以後当該カードID207を持つメモリカード200がカメラ100に装着された場合は、この制御条件が参照されて適用される。
【0031】
システム制御部103は、メモリカード200が装着されたことを検知すると、メモリカード200からカードID207を読み出す。一方で、フラッシュメモリ111から内部リスト112を読み出してSDRAM106へ展開する。そして、システム制御部103は、メモリカード200から読み出したカードID207を、内部リスト112に記述されたカードIDと照合して、一致するカードIDが内部リスト112に記述されているか否かを判断する。一致するカードIDが内部リスト112に記述されていれば、特に機能上の制限を施すことなく、当該メモリカード200の使用を許可する。
【0032】
一方、内部リスト112にカードID207と一致するカードIDの記述が存在しなければ、システム制御部103は、外部接続IF115を介して、外部機器であるPC300または管理サーバ500に記録された外部リストの少なくとも一部を取得する。そして、カードID207を当該外部リストに記述されたカードIDと照合する。それでも一致するカードIDが存在しなければ、当該メモリカード200の使用に対して機能上の制限を施す。
【0033】
図3は、本実施形態に係る管理サーバ500の内部構成図である。上述のように、管理サーバ500は、正当なメモリカード製造会社、電子機器メーカーなどのコンソーシアムによって管理、運営されており、流通するメモリカード200が増えるに従って、以下に説明するデータベースも逐次更新される。
【0034】
カメラ100のシステム制御部103は、接続されたPC300およびネットワーク400を介して、管理サーバ500に外部リスト501の要求信号を送信する。管理サーバ500側では、当該要求信号を受信部502が受け取り、外部リスト抽出部503へ引き渡す。要求信号には、カメラ100に装着されたメモリカード200が保持するカードID207が含まれており、カードID207は、例えば製造メーカー記号、ロット番号、製造日、駆動回路としてのコントローラ203のバージョンなどの識別情報を含み得る。
【0035】
外部リストDB504には、外部リスト501として、市場に流通する正当なメモリカード200のカードIDがほぼ漏れなく列挙されている。外部リスト抽出部503は、上記の識別情報を手掛かりとして、当該カードID207と一致する可能性のある外部リスト501を外部リストDB504から抽出し、サブセットを生成する。すなわち、大きなデータサイズを有する外部リスト501をそのままコピーするのではなく、照合に適し、かつ、カメラ100のリソースを消耗しない程度の大きさの、外部リスト501のサブセットをカメラ100への送信用外部リストとして生成する。
【0036】
上述のように、外部リスト501に列挙されたカードIDには、当該カードIDを持つメモリカード200が電子機器で利用された場合の、最適制御条件が関連付けられている。例えば、当該メモリカード200がカメラ100で使用される場合の制御条件として、データの読み書き速度が規定されている。その他、ある携帯電話で使用された場合、ゲーム機器で使用された場合など、使用可能な機器ごとに最適制御条件が記述されて関連付けられている。このような制御条件は、制御条件DB505に記録されており、外部リスト501の各カードIDとの間にリンク情報が付与されて関連付けられている。
【0037】
もちろん、全てのカードIDに対してあらゆる電子機器の最適制御条件が関連付けられていなくても良い。そのメモリカード200が使用される頻度の高い対象機器に対する最適制御条件がリンクされているだけでも、ユーザにとっては利便性の高い情報となる。メーカー側にとっては、電子機器における安定的な動作保証を確保すると共に、メモリカード200と電子機器との相性の良さを訴求することもできる。
【0038】
そこで、外部リスト抽出部503は、生成した外部リスト501のサブセットに含まれる各カードIDに関連付けられた制御条件が存在するか確認し、存在すれば当該制御条件を制御条件DB505から抽出する。外部リスト抽出部503は、このように制御条件付きの外部リストサブセットを生成したら、送信部506へ引き渡す。送信部506は、ネットワーク400およびPC300を介してカメラ100へ、当該外部リストサブセットを送信する。
【0039】
なお、市場に流通するメモリカード200は、その製造メーカー、製品のバリエーション等、刻々と変化するものであり、それに伴い外部リスト501も更新される。管理サーバ500の管理者は、外部リスト入力部507へ最新のカードID情報を入力する。外部リスト入力部507は、入力された最新のカードIDを外部リスト501へ追加、修正する。同様に、管理者は、制御条件入力部508へ最新の制御条件を入力する。制御条件入力部508は、入力された最新の制御条件を制御条件DB505の記録領域へ追加、修正する。
【0040】
上記の本実施形態においては、管理サーバ500に外部リスト抽出部503を設けて外部リストサブセットを生成させ、PC300をカメラ100と管理サーバ500の中継機器として利用したが、外部リスト抽出部503をPC300に設けても良い。また、カメラ100に設けられた外部接続IF115に、直接ネットワーク400へ接続する機能を付与して、システム制御部103が直接管理サーバ500へアクセスできるように構成しても良い。
【0041】
次に、カメラ100によるメモリカード200の一連の制御について説明する。図4は、メモリカード200がカメラ100に装着されて開始される動作フロー図である。具体的には、カードコネクタ116が機器コネクタ202と接続されて特定の端子が短絡することによりメモリカード200の装着が検出されて、フローが開始される。
【0042】
システム制御部103は、ステップS101で、メモリカードIF108を介したメモリカード200との通信が成功したか否かを判断する。通信が確立しなければ、そもそもそのメモリカード200に対して読み書き等のアクセスを実行することができない。そこで、システム制御部103は、ステップS102へ進み、アクセスを試みることにより不要なエラーを招かないように、メモリカード200へのアクセス自体を禁止して、メモリカード200に対する制御を終了する。この場合、同時に表示部110へ、不良メモリである旨の警告を表示しても良い。
【0043】
ステップS101でメモリカード200との通信に成功してアクセス可能な状態となったら、システム制御部103は、ステップS103で、メモリカード200のカードID207を取得して、SDRAM106上に展開する。そして、ステップS104で、フラッシュメモリ111に記憶された内部リスト112を、同様にSDRAM106上に展開する。
【0044】
そしてステップS105へ進み、システム制御部103は、SDRAM106上で展開したカードID207を、内部リスト112に列挙されたカードIDの各々と照合する。照合の結果、内部リスト112中に一致するカードIDが存在すれば、ステップS106へ進む。
【0045】
ステップS106で、システム制御部103は、当該一致したカードIDに制御条件情報が関連付けられているか否かを判断する。上述のように、制御条件情報は、当該カードIDが内部リスト112に追加されるときに当該カードIDと共に管理サーバ500から送信されて関連付けられる場合と、実際の制御工程において生じた不具合に基づいて変更された制御条件が関連付けられる場合とがある。いずれの場合であっても、これからメモリカード200を制御するにあたっては、関連付けられた制御条件を適用することが好ましい。
【0046】
そこで、ステップS106で、一致したカードIDに制御条件情報が関連付けられている場合には、ステップS107へ進み、システム制御部103は、関連付けられた制御条件情報に従った制御を実行する。例えば、制御条件情報として書き込み速度がX倍速駆動、読み込み速度がY倍速駆動といったように記述されていれば、その速度で駆動されるようにクロック信号を調整する。
【0047】
ステップS106で、制御条件情報が関連付けられていなければ、ステップS108へ進み、システム制御部103は、初期設定に従った制御を実行する。例えば、初期設定として、ダミーデータの送受信によりアクセス速度を決定することが設定されていれば、当該ダミーデータを確実に授受できる速度を実験的に確定する。
【0048】
ステップS107またはステップS108によりメモリカード200へのアクセスが完了したら、システム制御部103は、一連の制御フローを終了する。
【0049】
ステップS105で、一致するカードIDが内部リスト112に存在しなければ、ステップS109へ進む。ステップS109では、システム制御部103は、外部機器である管理サーバ500への接続を試みる。上述のように、PC300を介在させる場合には、PC300がネットワーク400とも接続されて通信可能状態であることを要する。
【0050】
管理サーバ500への接続に成功したら、システム制御部103は、ステップS110へ進み、外部リストを要求する要求信号を管理サーバ500へ向けて発信する。要求信号を受信した管理サーバ500は、上述のように外部リストサブセットを生成して、カメラ100へ送信する。システム制御部103は、外部接続IF115を介して外部リストサブセットを取得して、SDRAM106上に展開する。
【0051】
外部リストサブセットを取得したらステップS111へ進み、システム制御部103は、カードID207を、外部リストサブセットに列挙されたカードIDの各々と照合する。照合の結果、外部リストサブセット中に一致するカードIDが存在すれば、ステップS112へ進む。
【0052】
システム制御部103は、ステップS112で、一致したカードIDを内部リスト112へ追加して、内部リスト112を更新する。さらに、ステップS113で、システム制御部103は、当該一致したカードIDに制御条件情報が関連付けられているか否かを判断する。関連付けられていなければ、ステップS114へ進み、システム制御部103は、初期設定に従った制御を実行する。関連付けられていれば、ステップS115へ進み、システム制御部103は、当該関連付けられた制御条件情報を、追加したカードIDに関連付けるべく内部リスト112に記述する。そして、ステップS116で、システム制御部103は、関連付けられた制御条件情報に従った制御を実行する。
【0053】
ステップS114またはステップS115によりメモリカード200へのアクセスが完了したら、システム制御部103は、一連の制御フローを終了する。
【0054】
ステップS109で、管理サーバ500への接続に失敗した場合、または、ステップS111で照合の結果、外部リストサブセット中に一致するカードIDが存在しなかった場合には、ステップS117へ進む。この場合、内部リスト112との照合においても、外部リスト501との照合においても、装着されたメモリカード200のカードID207と一致するカードIDが結果的に発見されなかったことになる。そこで、システム制御部103は、ステップS117で、メモリカード200に対して機能制限を設定してアクセス制御を実行する。
【0055】
機能制限としては、例えば、読み出し動作は許可するが、書き込み動作を禁止するなどの制限が挙げられる。このように、正当性が不明なメモリカード200へ機能を制限してアクセスすることにより、不慮のエラー発生を未然に防ぐことができる。このように機能を制限してメモリカード200にアクセスする場合には、表示部110へその旨を表示すると共に、要求された動作が完了したか否かを併せて表示すると良い。ステップS117によりメモリカード200へのアクセスが完了したら、システム制御部103は、一連の制御フローを終了する。
【0056】
以上、本実施形態におけるシステムの構成と動作フローについて説明したが、他のバリエーションも多様に適用し得る。例えば、フラッシュメモリ111に記憶された内部リスト112は、列挙するカードIDの個数の上限が設定され得る。カードIDが上限に達している場合に、更に外部リストサブセットから新たなカードIDを追加する状況においては、既存のカードIDから、予め定められた削除条件に合致するものを削除する。削除条件としては、内部リスト112に記述された日時が最も古いことを適用することができるし、また、照合された頻度が最も小さいことを適用することもできる。このような条件を適用する場合には、システム制御部103は、各カードIDに対して内部リスト112に追加された日時の情報を関連付け、あるいは、参照された頻度の情報を関連付ける管理を行う。
【0057】
以上説明した本実施形態の適用によって、使用を開始するメモリカード200を電子機器に装着したときの、最初のコンフィグレーション時間を短縮することができる。また、制御開始時より安定する動作条件で制御できるので、使用途中でエラーが発生しにくい。
【0058】
なお、以上説明した本実施形態においては、システム制御部103は、ステップS110で外部リストサブセットを取得し、ステップS111でカードID207を、外部リストサブセットに列挙されたカードIDの各々と照合した。しかし、システム制御部103は、カードID207を管理サーバ500へ送信して、管理サーバ500で実行される外部リスト501との照合処理の結果を取得するように構成することもできる。
【0059】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0060】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0061】
100 カメラ、101 光学系、102 撮像素子、103 システム制御部、104 駆動部、105 A/D変換器、106 SDRAM、107 画像処理部、108 メモリカードIF、109 表示制御部、110 表示部、111 フラッシュメモリ、112 内部リスト、113 レンズ制御部、114 操作部材、115 外部接続IF、116 カードコネクタ、117 温度センサ、200 メモリカード、201 機器IF、202 機器コネクタ、203 コントローラ、204 記録部、205 データ領域、206 プロテクト領域、207 カードID、300 PC、400 ネットワーク、500 管理サーバ、501 外部リスト、502 受信部、503 外部リスト抽出部、504 外部リストDB、505 制御条件DB、506 送信部、507 外部リスト入力部、508 制御条件入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能な記録媒体を装着する装着部と、
受容可能な前記記録媒体の固有情報を記述した内部リストを記憶する記憶部と、
前記装着部に装着された前記記録媒体の前記固有情報を前記記録媒体から読み出し、前記内部リストに記述された前記固有情報と照合する照合部と
を備え、
前記照合部は、前記装着部に装着された前記記録媒体の前記固有情報が、前記内部リストに記述された前記固有情報のいずれとも一致しない場合には、外部機器に記憶され、前記記録媒体の固有情報を記述した外部リストとの照合結果を取得する記録媒体制御装置。
【請求項2】
前記装着部に装着された前記記録媒体に対する動作を制限する制限部を備え、
前記制限部は、前記装着部に装着された前記記録媒体の前記固有情報が、前記外部リストに記述された前記固有情報のいずれとも一致しない前記照合結果を取得した場合に、前記記録媒体に対する動作を制限する請求項1に記載の記録媒体制御装置。
【請求項3】
前記制限部は、前記記録媒体への書き込みを禁止する請求項2に記載の記録媒体制御装置。
【請求項4】
前記照合部が前記外部リストを取得して照合した場合に、前記外部リストに基づいて前記内部リストを更新する更新部を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の記録媒体制御装置。
【請求項5】
前記更新部は、前記内部リストに新たな前記固有情報を追加する場合に、予め定められた削除条件に合致する前記固有情報を前記内部リストから削除する請求項4に記載の記録媒体制御装置。
【請求項6】
前記更新部は、照合された頻度が最も小さいことを前記削除条件とする請求項5に記載の記録媒体制御装置。
【請求項7】
前記更新部は、前記内部リストに記述された日時が最も古いことを前記削除条件とする請求項5に記載の記録媒体制御装置。
【請求項8】
前記内部リストは、前記固有情報に関連させて、前記記録媒体の制御条件に関する情報を有する請求項1から7のいずれか1項に記載の記録媒体制御装置。
【請求項9】
前記照合部が前記外部リストとの照合結果を取得した場合に、前記制御条件を前記外部機器から取得する請求項8に記載の記録媒体制御装置。
【請求項10】
前記照合部による照合結果の取得後に前記記録媒体の前記制御条件を変更した場合には、変更後の前記制御条件を前記固有情報に関連させる請求項8または9に記載の記録媒体制御装置。
【請求項11】
前記固有情報は、前記記録媒体の製造メーカーを識別する情報を含む請求項1から10のいずれか1項に記載の記録媒体制御装置。
【請求項12】
前記固有情報は、前記記録媒体に組み込まれた駆動回路を識別する情報を含む請求項1から11のいずれか1項に記載の記録媒体制御装置。
【請求項13】
装着部に装着された記録媒体の固有情報を、内部リストに記述された受容可能な前記記録媒体の前記固有情報と照合する照合ステップと、
前記照合ステップにおいて、前記装着部に装着された前記記録媒体の前記固有情報が、前記内部リストに記述された前記固有情報のいずれとも一致しない場合に、外部機器に記憶され、前記記録媒体の固有情報を記述した外部リストとの照合結果を取得する取得ステップと
をコンピュータに実行させる記録媒体制御装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−141850(P2012−141850A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222(P2011−222)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】