記録材判別装置
【課題】 精度良く記録材の重送を判別するために、周囲環境や装置の配置等の変動による出力値の変化を検知する手段を設けて、検知した結果を閾値に反映させている。しかし、重送を判別する閾値の設定や周囲環境の補正係数の算出を行うために、専用の補正動作が必要となり、制御動作を行うことが生産性の低下につながってしまう。
【解決手段】 超音波が記録材を透過した1回目の測定結果であるピークの時間と1回目以降の測定結果であるピークの時間との差分を求める。そして、ピークの時間の差分に基づいて設定している重送判別閾値と比較することにより、環境や記録材の種類等の影響を受けることなく精度良く記録材の重送を判別する
【解決手段】 超音波が記録材を透過した1回目の測定結果であるピークの時間と1回目以降の測定結果であるピークの時間との差分を求める。そして、ピークの時間の差分に基づいて設定している重送判別閾値と比較することにより、環境や記録材の種類等の影響を受けることなく精度良く記録材の重送を判別する
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材が重送しているか否かを判別する記録材判別装置及び記録材判別装置を搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置は、画像形成部に記録材を1枚ずつ分離して搬送するような給紙搬送機構が備えられている。しかし、給紙搬送機構により分離されず、複数枚の記録材の一部、又は全体が重なって搬送されてしまう(以下、重送ともいう)ことがあった。記録材が重送して搬送されるとジャム等が発生する可能性がある。このため、記録材の重送を検知する装置が提供されている。
【0003】
記録材の重送を検知する方法の1つとして、超音波を用いた重送検知装置が提案されている。超音波による重送検知方式には、超音波の振幅の減衰から重送と検知する振幅検知方式と、超音波の位相シフトから重送を検知する位相検知方式との、主に2つの方式がある。
【0004】
特許文献1には、予め得られる振幅に対する重送判定閾値を設定した上で、記録材に対して超音波を照射し、記録材から透過した超音波の振幅を検知する振幅検知方式の検知方法が開示されている。このとき、記録材が重送されて搬送された場合に得られる超音波の振幅は、記録材が正常に1枚搬送された場合に得られる超音波の振幅と比較して大きく減衰する。従って、得られた超音波の振幅と重送判定閾値とを比較することによって、記録材の重送を検知することができる。
【0005】
また、特許文献2には、記録材に対して超音波を照射し、記録材から透過した超音波の位相情報を検知する位相方式の検知方法が開示されている。記録材が超音波発信器と超音波受信器との間に存在しない状態での位相情報と、検知した超音波との位相を比較する。位相差が重送判定するための閾値を超えた回数をカウントし、所定回数以上発生したところで重送と判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−160257
【特許文献2】特開2003−176063
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献に開示されている重送判別方法おいては、周囲環境やセンサの配置等の変動による出力値の変化を検知するために、記録材が無い状態でキャリブレーションを行う補正動作を行い、検知した結果を閾値に反映させている。これは、精度良く重送を判別するためである。しかし、重送を判別する閾値の設定や周囲環境の補正係数の算出を行うための補正動作を行うことが生産性の低下につながってしまうという可能性があった。
【0008】
本出願に係る発明は、以上のような状況を鑑みてなされたものであり、周囲環境やセンサの配置等の変動による閾値の補正を行うことなく、精度良く記録材の重送を判別することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、超音波を発信する発信手段と、前記発信手段から超音波を発信するための駆動信号を送信する送信手段と、前記発信手段から発信されて記録材を透過した超音波を受信する受信手段と、前記送信手段により駆動信号が送信されてから、前記受信手段により受信された超音波の受信信号のピークが検知されるまでの時間を計測する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記発信手段から複数回超音波を発信させ、前記時間を複数回計測し、複数回計測した前記時間の差分に基づいて記録材が重送しているか否かを判別することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の構成によれば、周囲環境やセンサの配置等の変動による閾値の補正を行うことなく、精度良く記録材の重送を判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の概略構成図
【図2】記録材判別装置の制御システムを示したブロック図
【図3】記録材Pを透過した超音波の受信信号の波形
【図4】超音波のピークの時間の差分に基づいた記録材Pの重送検知の方法を示したフローチャート
【図5】記録材Pが重送しているときとしていないときとにおいて測定されたピークの時間をプロットしたグラフ
【図6】図5の波数とは異なる波数で記録材Pが重送しているときとしていないときとにおいて測定されたピークの時間をプロットしたグラフ
【図7】超音波のピークの値の変化に基づいた記録材Pの重送検知の方法を示したフローチャート
【図8】記録材Pが重送しているときとしていないときとにおいて測定されたピークの値をプロットしたグラフ
【図9】図8の波数とは異なる波数で記録材Pが重送しているときとしていないときとにおいて測定されたピークの値をプロットしたグラフ
【図10】記録材Pを透過した超音波の受信信号の波形
【図11】超音波のピークの時間の変化量に基づいた記録材Pの重送検知の方法を示したフローチャート
【図12】超音波のピークの値の変化量に基づいた記録材Pの重送検知の方法を示したフローチャート
【図13】記録材Pの重送状態及び坪量の検知方法を示したフローチャート
【図14】記録材の坪量と透過係数との関係を示したグラフ
【図15】記録材Pの重送状態及び坪量の検知と調整の方法を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0013】
(第1の実施形態)
本実施形態の記録材判別装置は、例えば複写機やプリンタ等の画像形成装置で用いることが可能である。図1は、その一例として記録材判別装置を搭載している画像形成装置として、中間転写ベルトを採用し複数の画像形成部を並列にして構成した画像形成装置の概略構成図である。
【0014】
図1における画像形成装置1の各構成は以下のとおりである。2は、記録材Pを収納する給紙カセット2である。3は、記録材Pが積載される給紙トレイである。4aは、給紙カセット2から記録材Pを給紙する給紙ローラである。4bは、給紙トレイ3から記録材Pを給紙する給紙ローラである。5は、給紙された記録材Pを搬送する搬送ローラであり、6は搬送ローラ5に対向する搬送対向ローラである。11Y、11M、11C、11Kは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の現像剤を担持する夫々の感光ドラムである。12Y、12M、12C、12Kは、感光ドラム11Y、11M、11C、11Kを一様に所定の電位に帯電するための各色用の一次帯電手段としての帯電ローラである。13Y、13M、13C、13Kは、一次帯電手段によって帯電された感光ドラム11Y、11M、11C、11K上に各色の画像データに対応したレーザ光を照射し、静電潜像を形成するための光学ユニットである。
【0015】
14Y、14M、14C、14Kは、感光ドラム11Y、11M、11C、11K上に形成された静電潜像を可視化するための現像器である。15Y、15M、15C、15Kは、現像器14Y、14M、14C、14K内の現像剤を感光ドラム11Y、11M、11C、11Kと対向する部分に送り出すための現像剤搬送ローラである。16Y、16M、16C、16Kは、感光ドラム11Y、11M、11C、11K上に形成した画像を一次転写する各色用の一次転写ローラである。17は、一次転写された画像を担持する中間転写ベルトである。18は、中間転写ベルト17を駆動する駆動ローラである。19は、中間転写ベルト17上に形成された画像を記録材Pに転写するための二次転写ローラであり、20は、二次転写ローラ19に対向する二次転写対向ローラである。21は、記録材Pを搬送させながら、記録材Pに転写された現像剤像を溶融定着させる定着ユニットである。22は、定着ユニット21によって、定着が行われた記録材Pを排紙する排紙ローラである。
【0016】
なお、感光ドラム11Y、11M、11C、11K、及び帯電ローラ12Y、12M、12C、12K及び、現像器14Y、14M、14C、14K及び、現像剤搬送ローラ15Y、15M、15C、15Kは夫々色毎に一体化されている。このように、感光ドラムと帯電ローラと現像器とを一体化したものをカートリッジといい、各色のカートリッジは画像形成装置本体に対して簡易に脱着できるように構成されている。
【0017】
次に、画像形成装置1の画像形成動作について説明する。不図示のホストコンピュータ等から画像形成装置1に、印刷命令や画像情報等を含んだ印刷データが入力される。すると、画像形成装置1は印刷動作を開始し記録材Pは給紙ローラ4a又は給紙ローラ4bによって、給紙カセット2又は給紙トレイ3から給紙され搬送路に送り出される。記録材Pは、中間転写ベルト17上に形成する画像の形成動作と搬送のタイミングとの同期を取るため、搬送ローラ5及び搬送対向ローラ6に一旦停止して画像形成が行われるまで待機する。記録材Pが給紙される動作と共に、画像形成動作として、感光ドラム11Y、11M、11C、11Kは帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kによって、一定の電位に帯電される。入力された印刷データにあわせて光学ユニット13Y、13M、13C、13Kは、帯電された感光ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面をレーザビームによって露光走査して静電潜像を形成する。
【0018】
形成した静電潜像を可視化するために現像器14Y、14M、14C、14K及び現像剤搬送ローラ15Y、15M、15C、15Kによって現像を行う。感光ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面に形成された静電潜像は、現像器14Y、14M、14C、14Kにより夫々の色で画像として現像される。感光ドラム11Y、11M、11C、11Kは、中間転写ベルト17と接触しており、中間転写ベルト17の回転と同期して回転する。現像された各画像は、一次転写ローラ16Y、16M、16C、16Kにより中間転写ベルト17上に順次多重転写される。そして、二次転写ローラ19及び二次転写対向ローラ20により記録材P上に二次転写される。
【0019】
その後、画像形成動作に同期して、記録材P上に二次転写を行うため、記録材Pは二次転写部へと搬送される。記録材Pは、二次転写ローラ19及び二次転写対向ローラ20により、中間転写ベルト17上に形成された画像は転写される。記録材Pに転写された現像剤画像は、定着ローラ等から構成される定着ユニット21によって定着される。定着された記録材Pは排紙ローラ22によって不図示の排紙トレイに排出され、画像形成動作を終了する。
【0020】
図1の画像形成装置において、本発明の記録材判別装置30は搬送ローラ5及び搬送対向ローラ6よりも上流側に配置されており、給紙カセット2等から搬送された記録材Pの重送を反映した情報を検知することが可能である。本実施形態において記録材判別装置30による判別は、記録材Pが給紙カセット2等から画像形成装置内に送り出され、搬送ローラ5及び搬送対向ローラ6に挟持される前に搬送されているときに行われる。又は、搬送ローラ5及び搬送対向ローラ6に挟持されて搬送されているときに行われる。
【0021】
次に、本願発明の一実施形態による記録材判別装置30について、動作を制御する制御システムを示したブロック図である図2を用いて説明する。31は、記録材Pに対して超音波を発信する超音波発信手段である。32は、記録材Pから透過した超音波を受信する超音波受信手段である。本実施形態では、超音波発信手段31及び超音波受信手段32は、40kHzの周波数特性を持つ超音波を発信し、受信するように設定される。なお、超音波の周波数は予め設定されるものであり、超音波発信手段31および超音波受信手段32の構成、検知精度等に応じて適切な範囲の周波数を選択すればよく、これに限定されるものではない。33は、超音波を発信するための駆動信号を生成し、駆動信号を増幅する機能を持った送信手段としての送信制御部である。34は、超音波受信手段32で受信した超音波を電圧として検知し、信号を処理する機能を持った受信制御部である。これら各部と制御部10をあわせて記録材判別装置となる。また、制御部10で判別した結果は、例えばモータ駆動制御や定着搬送速度や定着温調温度等、画像形成条件の制御に使用可能である。
【0022】
次に、一連の動作について説明する。制御部10より測定開始を示す信号が駆動信号制御部341に入力される。入力信号を受け取ると、所定周波数の超音波を発信するために、駆動信号生成部331に対して、超音波発信信号の生成を通知する。駆動する信号は、記録材Pや搬送路周囲の部材による反射波等の外乱の影響を低減するために、超音波発信手段31が照射した直接波のみを超音波受信手段32で受信できるように、一定周期のパルス波を入力する。これは、バースト波と呼ばれている。本実施形態では、20msごとに40kHzのパルス波を5パルス連続入力している。また同時に、タイマ345をリセットし、カウンタをスタートさせる。駆動信号生成部331では、予め設定された周波数を持つ信号を生成し、出力する。増幅器332は、信号のレベル(電圧値)を増幅し、超音波発信手段31へ出力する。
【0023】
超音波受信手段32は、超音波発信手段31から発信された超音波、または、記録材Pを透過した超音波を受信して、受信制御部34の検知回路342に出力する。検知回路342では、信号の増幅機能と信号の整流機能を持っている。本実施形態の増幅機能は、記録材Pが超音波発信手段31と超音波受信手段32との間に存在しない状態と、存在する状態とで増幅率を可変できるようにしているがこれに限られるものでなく、例えば存在しない状態と存在する状態で同様の増幅率にしてもよい。また、整流機能は、半波整流を行っているがこれに限られるものではなく、例えば両波整流を行ってもよい。検知回路342で生成された信号をA−D変換343でアナログ信号からデジタル信号へ変換される。本実施形態では、検知回路342の出力に対応する12bitのデジタル信号に変換しているがこれに限定されるものでなく、適宜複数bitのデジタル信号に変換してもよい。ピーク抽出344では、変換されたデジタル信号に基づいて、信号のピーク(極大値)を抽出する。タイマ345では、超音波駆動信号開始よりタイマをリセットし、カウントを開始する。ピーク抽出344において、時系列で処理を行い、ピークを検知したタイミングで、タイマ345の値を抽出する。1回の測定終了のタイミングで、ピーク抽出344で抽出した値とタイマ345で抽出した値を一組として、記憶手段346に保存する。演算手段347では、複数回測定し、得られた値から、その値の差分を算出する。演算手段347で算出された値に基づいて、制御部10は、記録材Pの重送を判別し、その結果によって、画像形成装置の動作を制御する。
【0024】
本実施形態における記録材Pを透過した超音波の受信信号の波形を図3に示す。使用した記録材は坪量60g/m2である。図3(a)は、記録材Pが1枚で搬送されている場合のデータである。図3(b)は、記録材Pが搬送している途中から重送されている(以下、つれ重送とする)場合のデータである。図3(c)は、記録材Pがズレなく重なって搬送されている(以下、ぴったり重送とする)場合のデータである。それぞれのデータにおいて、3回の測定波形を重ねて記載している。
【0025】
記録材Pが1枚で搬送されている場合、複数回測定したピークの値及びピークの時間の差分は非常に小さい特性を示していることがわかる。記録材Pがつれ重送している場合、重送していない場合と比較するとピークの値は減衰し、さらにピークが現れる時間が遅れていることがわかる。また、3回の測定の結果がばらついて現れるという特性があることがわかる。記録材Pがぴったり重送している場合、重送していない場合と比較するとピークの値は減衰し、さらにピークが現れる時間が遅れていることがわかる。また、3回の測定の結果がばらついて現れるという特性があることがわかる。この特性により、記録材Pに対して複数回測定し、各測定結果の変化量に基づいて重送を判別することが可能である。
【0026】
次に、図4のフローチャートを用いて超音波のピークの時間の差分に基づいた記録材Pの重送検知の方法について説明する。S101において、制御部10は記録材判別装置30の超音波発信手段31と超音波受信手段32との間まで記録材Pを搬送させる。S102において、制御部10は超音波発信手段31により超音波を記録材Pに照射させる。記録材Pを透過した超音波は超音波受信手段32により受信される。制御部10は、受信した超音波よりピークの時間を計測する。計測した結果は記憶手段346に保存する。S103において、制御部は記録材Pのデータ取得回数が2回以上であるか否かを判断する。重送を判別するには、ピークの時間の差分を算出する必要があるため、データを複数回計測する必要がある。データ取得回数が1回の場合は、S102に戻りもう一度データを取得する。
【0027】
S104において、制御部10は1回目に取得したデータと2回目以降に取得したデータの差分を算出する。S105において、制御部10はS104で算出された値と予め設定した閾値とを比較する。比較した結果、算出した値が閾値より小さい場合は、記録材Pは重送してないと判断し、S106へ進む。算出した値が閾値より大きい場合は、記録材Pは重送していると判断し、終了とする。S106において、制御部10はデータ取得回数がデータ取得終了回数に達したかを判断する。データ取得終了回数に達していない場合は、S102に戻り、もう一度データを取得する。データ取得終了回数に達している場合は、記録材Pは重送していないと判断し、終了とする。なお、本実施形態では、一例としてデータ取得終了回数を20としている。この回数は、記録材Pが超音波発信手段31及び超音波受信手段32との間に存在している間に、超音波発信手段31により複数回超音波を発信し、超音波受信手段32により複数回超音波を受信できる回数である。測定回数の上限は、記録材Pの搬送速度や超音波の受信データを取得する時間等から適宜設定することが可能である。
【0028】
図5は、記録材Pが重送しているときとしていないときとにおいて測定されたそれぞれのピークの時間をプロットしたグラフである。図5(a)で使用した記録材Pは坪量60g/m2であり、図5(b)で使用した記録材Pは坪量160g/m2である。重送判別閾値となるカウンタ値は4カウントとした。なお、重送判別閾値は、本実施形態における一例であり、カウンタの周期やA−D変換のサンプリング周期によって、適宜設定可能である。
【0029】
図5(a)において、1枚搬送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの時間の差分は最大で約1カウントとなる。重送していない状態であれば、ピークを検出する時間にばらつきが少なくなる。よって、差分は閾値を上回らないため重送していないと判断できる。つれ重送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの時間の差分は1回目の測定結果と3回目の測定結果の差分が約15カウントとなっていることがわかる。つれ重送している状態であるので、最初の1枚搬送のピークの時間にばらつきは少ないが、重送となった部分のピークの時間は大きくばらつきが出ていることがわかる。よって、差分は閾値を上回るため重送していると判断できる。ぴったり重送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの時間の差分は1回目の測定結果と3回目の測定結果で約4カウントとなっていることがわかる。ぴったり重送している状態であるので、1枚搬送のときのピークの時間に比べて、全体的にばらつきが大きいことがわかる。よって、差分は閾値を上回るため重送していると判断できる。
【0030】
図5(b)において、1枚搬送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの時間の差分は最大で約2カウントとなる。重送していない状態であれば、ピークを検出する時間にばらつきが少なくなるため、重送していないと判断できる。つれ重送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの時間の差分は1回目の測定結果と6回目の測定結果の差分が約6カウントとなっていることがわかる。つれ重送している状態であるので、最初の1枚搬送のピークの時間にばらつきは少ないが、重送となった部分のピークの時間は大きくばらつきが出ていることがわかるため、重送していると判断できる。ぴったり重送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの時間の差分は1回目の測定結果と6回目の測定結果で約10カウントとなっていることがわかる。ぴったり重送している状態であるので、1枚搬送のときのピークの時間に比べて、全体的にばらつきが大きいことがわかるため、重送していると判断できる。
【0031】
なお、本実施形態では、変化量を算出する方法として1回目の測定結果との差分を求める方法を提案したが、これに限定されるものではない。例えば、1回毎に測定結果の差分を求め、差分の平均値を算出する等の方法を用いることも可能である。また、抽出したピークの時間は、1回の測定で1つ抽出する方法を示したが、図3に示すように、1回の測定で、複数のピークが存在している。複数のピークを検知し、それぞれのピークの時間を抽出して、複数の算出結果に基づき重送を判別することも可能である。
【0032】
図6に、図5のグラフとは超音波の波数が異なるときの記録材Pが重送しているときとしていないときとにおいて測定されたそれぞれのピークの時間をプロットしたグラフを示す。図5よりピークの時間の値が大きくなっているものの、図5と同様に薄紙及び厚紙ともに重送していない状態であれば、ピークを検出する時間にばらつきが少なくなるがわかる。また、重送している状態においては、ピークの時間のずれが大きくなることがわかる。よって、十分な出力値が得られている状態であれば、超音波の波数によらず記録材Pの重送状態を判別することができる。よって、例えば、1回目の測定値は2波目、以降の測定値は3波目というような検知方法でも、重送している状態としていない状態とを検知することも可能である。
【0033】
このように、ピークの時間の差分に基づいて重送判別閾値を設定することにより、環境や記録材の種類等の影響を受けることなく精度良く記録材の重送を判別することが可能となる。ピークの時間の差分は、記録材の種類(坪量)の違いによって変わることはないため、薄紙や厚紙の重送を確実に判別することができる。周囲の温度や湿度等の環境変動が起こったとしても、直前に取得したピークの時間の差分を算出し、重送状態を判別するため環境変動による補正データの取得動作を行わなくても、精度良く判別することが可能となる。また、記録材が搬送される搬送路は、メンテナンス性を考慮して、開閉動作できるように設計される場合が多い。そのため、搬送路を挟んで配置される超音波発信手段及び超音波受信手段の配置が変動することも考えられる。特に、超音波発信手段と超音波受信手段との距離の変動は、超音波の伝搬時間に大きく影響を受けてしまう。しかし、超音波発信手段及び超音波受信手段の配置が変動し距離が変動したとしても、直前に取得したピークの時間の差分を算出し、重送状態を判別するため、距離変動による補正データの取得動作を行わなくても、精度良く判別することが可能となる。
【0034】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、記録材Pを透過した超音波のピークの時間の差分に基づいて重送を判別する方法について説明した。本実施形態においては、記録材Pを透過した超音波のピークの値の変化に基づいて重送を判別する方法について説明する。なお、記録材判別装置等、先の第1の実施形態と同様の構成についてはここでの詳細な説明は省略する。
【0035】
図7のフローチャートを用いて超音波のピークの値の変化に基づいた記録材Pの重送検知の方法について説明する。S201において、制御部10は記録材判別装置30の超音波発信手段31と超音波受信手段32との間まで記録材Pを搬送させる。S202において、制御部10は超音波発信手段31により超音波を記録材Pに照射させる。記録材Pを透過した超音波は超音波受信手段32により受信させる。制御部10は、受信した超音波よりピークの値を測定する。測定した結果は記憶手段346に保存する。S203において、制御部10は記録材Pのデータ取得回数が2回以上であるか否かを判断する。重送を判別するには、ピークの値の変化率を算出する必要があるため、データ取得回数が1回の場合は、S202に戻りもう一度データを取得する。
【0036】
S204において、制御部10は1回目に取得したデータと2回目以降に取得したデータの変化率を算出する。S205において、制御部10はS204で算出された値と予め設定した値とを比較する。比較した結果、算出した値が設定した値より小さい場合は、記録材Pは重送してないと判断し、S206へ進む。算出した値が設定した値より大きい場合は、記録材Pは重送していると判断し、終了とする。S206において、制御部10はデータ取得回数がデータ取得終了回数に達したかを判断する。データ取得終了回数に達していない場合は、S202に戻り、もう一度データを取得する。データ取得終了回数に達している場合は、記録材Pは重送していないと判断し、終了とする。なお、本実施形態では、一例としてデータ取得終了回数を20としている。この回数は、記録材Pが超音波発信手段31及び超音波受信手段32との間に存在している間に、十分取得できる測定回数である。測定回数の上限は、記録材Pの搬送速度や超音波の受信データを取得する時間等から適宜設定することが可能である。
【0037】
図8は、記録材Pが重送しているときとしていないときとにおいて測定されたそれぞれのピークの値をプロットしたグラフである。図8(a)で使用した記録材Pは坪量60g/m2であり、図8(b)で使用した記録材は坪量160g/m2である。重送判別閾値となる値は10%とした。なお、重送判別閾値は、本実施形態における一例であり、カウンタの周期やA−D変換のサンプリング周期によって、適宜設定可能である。
【0038】
図8(a)において、1枚搬送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの値の変化率は最大で約8%となる。重送していない状態であれば、ピークの値にばらつきが少なくなるため、重送していないと判断できる。つれ重送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの値の変化率は1回目の測定結果と2回目の測定結果の変化率が約13%となっていることがわかるため、重送していると判断できる。ぴったり重送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの値の変化率は1回目の測定結果と6回目の測定結果の変化率が約12%となっていることがわかるため、重送していると判断できる。
【0039】
図8(b)において、1枚搬送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの値の変化率は最大で約7%となる。重送していない状態であれば、ピークの値の変化率にばらつきが少なくなるため、重送していないと判断できる。つれ重送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの値の変化率は1回目の測定結果と5回目の測定結果とから算出されるピークの値の変化率が約17%となっていることがわかるため、重送していると判断できる。ぴったり重送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの値の変化率は1回目の測定結果と4回目の測定結果とから算出されるピークの値の変化率が約22%となっていることわかるため、重送していると判断できる。
【0040】
なお、本実施形態では、変化量を算出する方法として1回目の測定結果との変化率を求める方法を提案したが、これに限定されるものではない。例えば、1回毎に測定結果の変化率を求め、変化率の平均値を算出する等の方法を用いることも可能である。また、抽出したピークの値は、1回の測定で1つ抽出する方法を示したが、図3に示すように、1回の測定で、複数のピークが存在している。複数のピークを検知し、それぞれのピークの値を抽出して、複数の算出結果に基づき重送を判別することも可能である。
【0041】
図9に、図8のグラフとは超音波の波数が異なるときの記録材Pが重送しているときとしていないときとにおいて測定されたそれぞれのピークの値をプロットしたグラフを示す。図8よりピークの値は大きくなっているものの、図8と同様に薄紙及び厚紙ともに重送していない状態であれば、ピークの値にばらつきが少なくなることがわかる。また、重送している状態においては、ピークの値にばらつきが大きくなることがわかる。よって、十分な出力値が得られている状態であれば、超音波の波数によらず記録材Pの重送状態を判別することができる。よって、例えば、1回目の測定値は2波目、以降の測定値は3波目というような検知方法でも、重送している状態としていない状態とを検知することも可能である。
【0042】
このようにピークの値の変化率に基づいて、重送判別閾値を設定することにより、環境や記録材の種類等の影響を受けることなく精度良く記録材の重送を判別することが可能となる。ピークの値の変化率は、記録材の種類(坪量)に応じた値となるため、得られるピークの値そのものは記録材の坪量によって大きく変わる。しかし、記録材の坪量が異なっても、1枚搬送時や重送時におけるピークの値の変化率は変わらないため、記録材の種類によらず、精度良く重送を判別することができる。また、周囲の温度や気圧等の環境変動が起こったとしても、直前に取得したピークの値の変化率を算出し、重送状態を判別するため環境変動による補正データの取得動作行わなくても、精度良く判別することが可能となる。
【0043】
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、記録材Pを透過した超音波のピークの時間の差分に基づいて重送を判別する方法について説明した。本実施形態においては、超音波発信手段31と超音波受信手段32との間に記録材Pが存在しない状態で受信された超音波のピークの時間に対して、記録材Pを透過した超音波のピークの時間の変化量に基づいて重送を判別する方法について説明する。なお、記録材判別装置等、先の第1の実施形態と同様の構成についてはここでの詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施形態における記録材Pを透過した超音波の受信信号の波形を図10に示す。図10には、超音波発信手段31と超音波受信手段32との間に記録材が存在しない状態の超音波の受信信号の波形と、記録材Pを透過した超音波の受信信号の波形を示している。使用した記録材は坪量60g/m2である。図10(a)は、記録材Pが1枚で搬送されている場合のデータである。図10(b)は、記録材Pがつれ重送されている場合のデータである。図10(c)は、記録材Pがぴったり搬送されている場合のデータである。それぞれのデータにおいて、3回の測定波形を重ねて記載している。
【0045】
記録材Pが1枚で搬送されている場合、複数回測定したピークの値の比及びピークの時間の差分のばらつきは非常に小さい特性を示していることがわかる。記録材Pがつれ重送している場合、重送していない場合と比較するとピークの値は減衰し、さらにピークが現れる時間が遅れていることがわかる。また、3回の測定の結果がばらついて現れるという特性があることがわかる。記録材Pがぴったり重送している場合、重送していない場合と比較するとピークの値は減衰し、さらにピークが現れる時間が遅れていることがわかる。また、3回の測定の結果がばらついて現れるという特性があることがわかる。この特性により、記録材Pに対して複数回測定し、各測定結果の変化量に基づいて重送を判別することが可能である。
【0046】
次に、図11のフローチャートを用いて超音波のピークの時間の変化量に基づいた記録材Pの重送検知の方法について説明する。S301において、制御部10は超音波発信手段31と超音波受信手段32との間に記録材Pが存在しない状態において、超音波発信手段31から超音波を照射させ、超音波を超音波受信手段32で受信させる。S302において、制御部10は受信した超音波より、ピークの時間を測定する。測定した結果は記憶手段346に保存する。S303において、制御部10は記録材判別装置30の超音波発信手段31と超音波受信手段32との間まで記録材Pを搬送させる。S304において、制御部10は超音波発信手段31により超音波を記録材Pに照射させる。記録材Pを透過した超音波は超音波受信手段32により受信される。制御部10は受信した超音波よりピークの時間を測定する。測定した結果は記憶手段346に保存する。
【0047】
S305において、制御部10はS302で得られた記録材Pを透過していないときのピークの時間とS304で得られた記録材Pを透過したときのピークの時間との差分をピーク時間差として算出する。S306において、制御部10は記録材Pのデータ取得回数が2回以上であるか否かを判断する。重送を判別するには、ピーク時間差の比率を算出する必要があるため、データを複数回計測する必要がある。データ取得回数が1回の場合は、S304に戻りもう一度データを取得する。
【0048】
S307において、制御部10は1回目に取得したデータと2回目以降に取得したデータの比率を算出する。図5(a)及び図10の条件において、記録材Pを透過していないときのピークの時間と1回目の測定結果のピークの時間とのピーク時間差を求めると、1枚搬送では約15カウント、つれ重送では約15カウント、ぴったり重送では約32カウントとなる。このピーク時間差と、記録材Pを透過していないときのピークの時間と2回目以降に取得したデータとのピーク時間差との比率を求める。1枚搬送は、1回目の測定結果のピーク時間差と1回目以降の測定結果のピーク時間差の差分が約1カウントとなるため、比率は1.0から約1.06となる。つれ重送は1回目の測定結果のピーク時間差と1回目以降の測定結果のピーク時間差の差分が約30カウントとなるため、比率は1.0から約3.0となる。ぴったり重送は1回目の測定結果のピーク時間差と1回目以降の測定結果のピーク時間差の差分が約−12カウントから約13カウントとなるため、比率は約0.6から約1.4となる。このように、記録材Pが重送状態であれば、ピーク時間差の比率の変化が大きくなる。
【0049】
S308において、制御部10はS307で算出された比率と予め設定した閾値とを比較する。閾値は例えば、1.0±0.15と設定し、この範囲を超えれば記録材Pは重送していると判断することができる。なお、この閾値は重送の判別精度等によって、適宜設定することが可能である。比較した結果、算出した比率が閾値を超えない場合は、記録材Pは重送してないと判断し、S308へ進む。算出した比率が閾値を超える場合は、記録材Pは重送していると判断し、終了とする。S309において、制御部10はデータ取得回数がデータ取得終了回数に達したかを判断する。データ取得終了回数に達していない場合は、S304に戻り、もう一度データを取得する。データ取得終了回数に達している場合は、記録材Pは重送していないと判断し、終了とする。この方法により、第1の実施形態と同様に記録材Pが重送しているか否かを判別することが可能となる。
【0050】
このように、ピーク時間差の変化量に基づいて、重送判別閾値を設定することにより、環境や記録材の種類等の影響を受けることなく精度良く記録材の重送を判別することが可能となる。また、記録材Pが超音波発信手段31と超音波受信手段32との間にない状態の測定結果との差分の比率を用いることで、超音波発信手段31及び超音波受信手段32の配置変動の影響を低減することができ精度良く重送を判別することが可能となる。
【0051】
(第4の実施形態)
第2の実施形態では、記録材Pを透過した超音波のピークの値の差分に基づいて重送を判別する方法について説明した。本実施形態においては、超音波発信手段31と超音波受信手段32との間に記録材Pが存在しない状態で受信された超音波のピークの値に対して、記録材Pを透過した超音波のピークの値の変化量に基づいて重送を判別する方法について説明する。なお、記録材判別装置等、先の第1の実施形態と同様の構成についてはここでの詳細な説明は省略する。また、記録材Pを透過した超音波の受信信号の波形は先の第3の実施形態の図10と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0052】
次に、図12のフローチャートを用いて超音波のピークの値の変化量に基づいた記録材Pの重送検知の方法について説明する。S401において、制御部10は超音波発信手段31と超音波受信手段32との間に記録材Pが存在しない状態において、超音波発信手段31から超音波を照射させ、超音波を超音波受信手段32で受信させる。S402において、制御部10は受信した超音波より、ピークの値を測定する。測定した結果は記憶手段346に保存する。S403において、制御部10は記録材判別装置30の超音波発信手段31と超音波受信手段32との間まで記録材Pを搬送させる。S404において、制御部10は超音波発信手段31により超音波を記録材Pに照射させる。記録材Pを透過した超音波は超音波受信手段32により受信される。制御部10は受信した超音波よりピークの値を測定する。測定した結果は記憶手段346に保存する。
【0053】
S405において、制御部10はS402で得られた記録材Pを透過していないときのピークの値とS404で得られた記録材Pを透過したときのピークの値との比率を透過係数として算出する。S406において、制御部10は記録材Pのデータ取得回数が2回以上であるか否かを判断する。重送を判別するには、透過係数の変化率を算出する必要があるため、データを複数回計測する必要がある。データ取得回数が1回の場合は、S404に戻りもう一度データを取得する。
【0054】
S407において、制御部10は1回目に取得したデータと2回目以降に取得したデータの比率を算出する。図8(a)及び図10の条件において、記録材Pを透過していないときのピークの値と1回目の測定結果のピークの値との透過係数を求めると、1枚搬送では約1.1、つれ重送では約1.2、ぴったり重送では約0.8となる。この透過係数と、記録材Pを透過していないときのピークの値と2回目以降に取得したデータのピークの値との透過係数との差分を求める。1枚搬送は、1回目の測定結果の透過係数と2回目以降の測定結果の透過係数との差分がほとんどないため、差分は約0.0となる。つれ重送は、1回目の測定結果の透過係数と2回目以降の測定結果の透過係数との差分が約0.0から約−0.9となる。ぴったり重送は、1回目の測定結果の透過係数と2回目以降の測定結果の透過係数との差分が約0.8から約0.9となる。このように、記録材Pが重送状態であれば、透過係数の差分が大きくなる。
【0055】
S408において、制御部10はS407で算出された差分と予め設定した閾値とを比較する。閾値は例えば±0.05と設定し、この範囲を超えれば記録材Pは重送していると判断することができる。なお、この閾値は重送の判別精度等によって、適宜設定することが可能である。比較した結果、算出した差分が閾値を超えない場合は、記録材Pは重送していないと判断し、S408へ進む。算出した差分が閾値を超える場合は、記録材Pが重送していると判断し、終了とする。S409において、制御部10はデータ取得回数がデータ取得終了回数に達したかを判断する。データ取得終了回数に達していない場合は、S404に戻り、もう一度データを取得する。データ取得終了回数に達している場合は、記録材Pは重送していないと判断し、終了とする。この方法により、第2の実施形態と同様に記録材Pが重送しているか否かを判別することが可能となる。
【0056】
このように、透過係数の変化量に基づいて、重送判別閾値を設定することにより、環境や記録材の種類等の影響を受けることなく精度良く記録材の重送を判別することが可能となる。また、記録材Pが超音波発信手段31と超音波受信手段32との間にない状態の測定結果との比率の比率を用いることで、超音波発信手段31及び超音波受信手段32の配置変動の影響を低減することができ精度良く重送を判別することが可能となる。
【0057】
(第5の実施形態)
第1乃至第4の実施形態においては、記録材Pの重送状態を検知する方法について説明した。本実施形態においては、記録材Pを透過した超音波のピーク時間差及びピークの値の変化量に基づいて重送を判別し、重送していないと判別されたときに、測定した結果から記録材Pの坪量の検知を行う方法について説明する。なお、記録材判別装置等、先の第1の実施形態と同様の構成についてはここでの詳細な説明は省略する。
【0058】
図13のフローチャートを用いて、記録材Pの重送状態及び坪量の検知方法について説明する。S501において、制御部10は超音波発信手段31と超音波受信手段32との間に記録材Pが存在しない状態において、超音波発信手段31から超音波を照射させ、超音波を超音波受信手段32で受信させる。S502において、制御部10は受信した超音波より、ピークの時間及びピークの値を測定する。測定した結果は記憶手段346に保存する。S503において、制御部10は記録材判別装置30の超音波発信手段31と超音波受信手段32との間まで記録材Pを搬送させる。S504において、制御部10は超音波発信手段31により超音波を記録材Pに照射させる。記録材Pを透過した超音波は超音波受信手段32により受信される。制御部10は受信した超音波よりピークの時間及びピークの値を測定する。測定した結果は記憶手段346に保存する。
【0059】
S505において、制御部10はS502で得られた記録材Pを透過していないときのピークの時間とS504で得られた記録材Pを透過したときのピークの時間との差分をピーク時間差として算出する。S506において、制御部10はS502で得られた記録材Pを透過していないときのピークの値とS504で得られた記録材Pを透過したときのピークの値との変化率である透過係数を算出する。S507において、制御部10は記録材Pのデータ取得回数が2回以上であるか否かを判断する。重送を判別するには、ピーク時間差及び透過係数を算出する必要があるため、データ取得回数が1回の場合は、S504に戻りもう一度データを取得する。S508において、制御部10は1回目に取得したピークの時間と2回目以降に取得したデータの差分であるピーク時間差の比率を算出する。S509において、制御部10はS508で算出された比率と予め設定した閾値とを比較する。比較した結果、算出した比率が閾値を超えない場合は、記録材Pは重送していないとして、S510へ進む。算出した比率が閾値を超える場合は、記録材Pが重送していると判断し、終了とする。
【0060】
S510において、制御部10は1回目に取得したピークの値から算出した透過係数と2回目以降に取得したピークの値から算出した透過係数の差分を算出する。S511において、制御部10はS510で算出された差分と予め設定した閾値とを比較する。比較した結果、算出した差分が閾値を超えない場合は、記録材Pは重送していないと判断し、S512へ進む。算出した差分が閾値を超える場合は、記録材Pが重送していると判断し、終了とする。S512において、制御部10はデータ取得回数がデータ取得終了回数に達したかを判断する。データ取得終了回数に達していない場合は、S504に戻り、もう一度データを取得する。データ取得終了回数に達している場合は、記録材Pが重送していないと判断する。S513において、制御部10はS506で複数回算出した透過係数に基づいて、記録材の坪量を検知する。まず、測定した回数分の透過係数の平均値を求める。そして、超音波発信手段31と超音波受信手段32との間に記録材Pが存在しない状態で、予め既知の環境下で得られたピークの値とS502で測定したピークの値との比を補正係数として、透過係数の平均値を補正する。なお、補正係数の決め方は本実施形態における一例であり、周囲の環境変動やセンサの配置等を考慮して補正係数は適宜設定することが可能である。補正された透過係数を用いて、図14に示した記録材Pの坪量と透過係数の関係より、搬送された記録材の坪量を検知する。また、抽出したピークの時間及びピークの値は、1回の測定で1つ抽出する方法を示したが、図3に示すように、1回の測定で、複数のピークが存在している。複数のピークを検知し、それぞれのピークの時間とピークの値を抽出して、複数の算出結果に基づき重送の判別及び記録材の坪量を検知することも可能である。
【0061】
図15のフローチャートを用いて、坪量を検知する際の調整及び補正動作について、別の方法を詳しく説明する。なお、超音波の補正は、超音波の振幅を調整する構成を用いて行う。超音波の振幅の調整は、制御部10内に構成されているパルス振幅の値を変化させて行う。パルス振幅の値は、増幅器332の信号レベルの増幅レベルに対応している。このパルス振幅を変化させることで、超音波発信手段31から照射される超音波の音圧を調整することができる。
【0062】
S601において、制御部10は超音波発信手段31を駆動するパルス振幅を設定する。S602において、制御部10は超音波発信手段31と超音波受信手段32との間に記録材Pが存在しない状態において、超音波発信手段31から超音波を照射し、超音波を超音波受信手段32で受信する。S603において制御部10は、受信した信号より、ピークの時間およびピークの値を測定する。測定した結果を記憶手段346に保存しておく。S604において、制御部10はS603で得られたピークの値が予め設定した値と比較する。比較した結果、設定した値に対して±3%の範囲に入っている場合、パルス振幅の調整は終了とし、S605に進む。範囲に入っていない場合、再度S601へ戻り、設定した値に近づけるようにS601で設定したパルス振幅の値を調整する。S605において、制御部10はS601で設定した値を記憶手段346に保存する。
【0063】
S606では、記録材判別装置30の超音波発信手段31と超音波受信手段32との間まで記録材Pを搬送させる。S607において、制御部10は記録材Pに対して、超音波を発信し、記録材Pを透過した超音波を超音波受信手段32で受信する。受信した信号より、ピークの時間及びピークの値を測定する。測定した結果を記憶手段346に保存する。S608において、制御部10はS603で得られたピークの時間とS607で得られたピークの時間との差分をピーク時間差として算出する。S609において、制御部10はS603で得られたピークの値とS607で得られたピークの値との比率を透過係数として算出する。
【0064】
S610において、制御部10は記録材Pのデータ取得回数について判断する。データ取得回数が1回の場合は、S607に戻り、もう一度データを取得する。重送を判別するには、ピーク時間差の比率及び透過係数の差分を算出する必要があるため、データ取得を2回以上行う。S611において、制御部10は1回目に取得したピーク時間差との比率を算出する。S612において、制御部10はS611で算出された値と予め設定した値とを比較する。比較した結果、算出した値が設定した値より小さい場合は、記録材Pは重送していないとして、S613へ進む。算出した値が設定した値より大きい場合は、記録材Pが重送していると判断し、終了とする。
【0065】
S613において、制御部10は1回目に取得した透過係数との差分を算出する。S614において、制御部10はS613で算出された値と予め設定した値とを比較する。比較した結果、算出した値が設定した値より小さい場合は、記録材Pは重送していないとして、S615へ進む。算出した値が設定した値より大きい場合は、記録材Pが重送していると判断し、終了とする。S615において、制御部10はデータ取得回数がデータ取得終了回数に達したかを判断する。データ取得終了回数に達していない場合は、S607に戻り、もう一度データを取得する。データ取得終了回数に達している場合は、記録材が重送していないと判断する。S616において、制御部10はS609で複数回算出した透過係数に基づいて、記録材の坪量を検知する。坪量の検知は、測定した回数分の透過係数を平均した平均値を用いて判別する。また、周囲の環境によって透過係数は異なるため、算出した透過係数に対して補正を行う。予め既知の環境下で調整して得られたパルス振幅とS605で現在の環境下で調整したパルス振幅の比を補正係数とする。これは、本実施形態における一例であり、周囲の環境変動を検知し、それに伴う係数であればよい。補正された透過係数の平均値を用いて、図14に示した記録材の坪量と透過係数の関係より、搬送された記録材の坪量を判別する。
【0066】
なお、図14に示した透過係数の値は、超音波発信手段と超音波受信手段との間に記録材が存在しない状態のピークの値と記録材のピークの値の比だけでなく、記録材の受信信号を検知するために検知回路342の増幅率の差を考慮した値になっている。この増幅率は一律一定の値であるため、考慮しなくても記録材の坪量と透過係数の関係は、変化しない。また、抽出したピークの時間及びピークの値は、1回の測定で1つ抽出する方法を示したが、図3に示すように、1回の測定で複数のピークを検知することもできる。複数のピークの夫々のピークの時間とピークの値を抽出して、複数の算出結果に基づき重送の判別および記録材の坪量を検知することが可能である。さらに、透過係数に対する補正をS615で行ったが、S609で透過係数を算出するときに補正することも可能である。
【0067】
このように、ピークの時間の差分とピークの値の変化量の2つのパラメータを組み合わせることにより、精度良く記録材Pの重送を判別することが可能である。また、記録材Pが重送していないと判別した後、重送の判別に用いた透過係数を使って、記録材Pの坪量を検知することも可能である。これにより、記録材Pの重送の判別と坪量の検知を別のユニット又は別の制御手段で行うことなく、共通のユニット及び制御手段を用いることができるようになり、コストダウンすることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 画像形成装置
10 制御部
31 超音波発信手段
32 超音波受信手段
P 記録材
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材が重送しているか否かを判別する記録材判別装置及び記録材判別装置を搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置は、画像形成部に記録材を1枚ずつ分離して搬送するような給紙搬送機構が備えられている。しかし、給紙搬送機構により分離されず、複数枚の記録材の一部、又は全体が重なって搬送されてしまう(以下、重送ともいう)ことがあった。記録材が重送して搬送されるとジャム等が発生する可能性がある。このため、記録材の重送を検知する装置が提供されている。
【0003】
記録材の重送を検知する方法の1つとして、超音波を用いた重送検知装置が提案されている。超音波による重送検知方式には、超音波の振幅の減衰から重送と検知する振幅検知方式と、超音波の位相シフトから重送を検知する位相検知方式との、主に2つの方式がある。
【0004】
特許文献1には、予め得られる振幅に対する重送判定閾値を設定した上で、記録材に対して超音波を照射し、記録材から透過した超音波の振幅を検知する振幅検知方式の検知方法が開示されている。このとき、記録材が重送されて搬送された場合に得られる超音波の振幅は、記録材が正常に1枚搬送された場合に得られる超音波の振幅と比較して大きく減衰する。従って、得られた超音波の振幅と重送判定閾値とを比較することによって、記録材の重送を検知することができる。
【0005】
また、特許文献2には、記録材に対して超音波を照射し、記録材から透過した超音波の位相情報を検知する位相方式の検知方法が開示されている。記録材が超音波発信器と超音波受信器との間に存在しない状態での位相情報と、検知した超音波との位相を比較する。位相差が重送判定するための閾値を超えた回数をカウントし、所定回数以上発生したところで重送と判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−160257
【特許文献2】特開2003−176063
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献に開示されている重送判別方法おいては、周囲環境やセンサの配置等の変動による出力値の変化を検知するために、記録材が無い状態でキャリブレーションを行う補正動作を行い、検知した結果を閾値に反映させている。これは、精度良く重送を判別するためである。しかし、重送を判別する閾値の設定や周囲環境の補正係数の算出を行うための補正動作を行うことが生産性の低下につながってしまうという可能性があった。
【0008】
本出願に係る発明は、以上のような状況を鑑みてなされたものであり、周囲環境やセンサの配置等の変動による閾値の補正を行うことなく、精度良く記録材の重送を判別することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、超音波を発信する発信手段と、前記発信手段から超音波を発信するための駆動信号を送信する送信手段と、前記発信手段から発信されて記録材を透過した超音波を受信する受信手段と、前記送信手段により駆動信号が送信されてから、前記受信手段により受信された超音波の受信信号のピークが検知されるまでの時間を計測する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記発信手段から複数回超音波を発信させ、前記時間を複数回計測し、複数回計測した前記時間の差分に基づいて記録材が重送しているか否かを判別することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の構成によれば、周囲環境やセンサの配置等の変動による閾値の補正を行うことなく、精度良く記録材の重送を判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の概略構成図
【図2】記録材判別装置の制御システムを示したブロック図
【図3】記録材Pを透過した超音波の受信信号の波形
【図4】超音波のピークの時間の差分に基づいた記録材Pの重送検知の方法を示したフローチャート
【図5】記録材Pが重送しているときとしていないときとにおいて測定されたピークの時間をプロットしたグラフ
【図6】図5の波数とは異なる波数で記録材Pが重送しているときとしていないときとにおいて測定されたピークの時間をプロットしたグラフ
【図7】超音波のピークの値の変化に基づいた記録材Pの重送検知の方法を示したフローチャート
【図8】記録材Pが重送しているときとしていないときとにおいて測定されたピークの値をプロットしたグラフ
【図9】図8の波数とは異なる波数で記録材Pが重送しているときとしていないときとにおいて測定されたピークの値をプロットしたグラフ
【図10】記録材Pを透過した超音波の受信信号の波形
【図11】超音波のピークの時間の変化量に基づいた記録材Pの重送検知の方法を示したフローチャート
【図12】超音波のピークの値の変化量に基づいた記録材Pの重送検知の方法を示したフローチャート
【図13】記録材Pの重送状態及び坪量の検知方法を示したフローチャート
【図14】記録材の坪量と透過係数との関係を示したグラフ
【図15】記録材Pの重送状態及び坪量の検知と調整の方法を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0013】
(第1の実施形態)
本実施形態の記録材判別装置は、例えば複写機やプリンタ等の画像形成装置で用いることが可能である。図1は、その一例として記録材判別装置を搭載している画像形成装置として、中間転写ベルトを採用し複数の画像形成部を並列にして構成した画像形成装置の概略構成図である。
【0014】
図1における画像形成装置1の各構成は以下のとおりである。2は、記録材Pを収納する給紙カセット2である。3は、記録材Pが積載される給紙トレイである。4aは、給紙カセット2から記録材Pを給紙する給紙ローラである。4bは、給紙トレイ3から記録材Pを給紙する給紙ローラである。5は、給紙された記録材Pを搬送する搬送ローラであり、6は搬送ローラ5に対向する搬送対向ローラである。11Y、11M、11C、11Kは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の現像剤を担持する夫々の感光ドラムである。12Y、12M、12C、12Kは、感光ドラム11Y、11M、11C、11Kを一様に所定の電位に帯電するための各色用の一次帯電手段としての帯電ローラである。13Y、13M、13C、13Kは、一次帯電手段によって帯電された感光ドラム11Y、11M、11C、11K上に各色の画像データに対応したレーザ光を照射し、静電潜像を形成するための光学ユニットである。
【0015】
14Y、14M、14C、14Kは、感光ドラム11Y、11M、11C、11K上に形成された静電潜像を可視化するための現像器である。15Y、15M、15C、15Kは、現像器14Y、14M、14C、14K内の現像剤を感光ドラム11Y、11M、11C、11Kと対向する部分に送り出すための現像剤搬送ローラである。16Y、16M、16C、16Kは、感光ドラム11Y、11M、11C、11K上に形成した画像を一次転写する各色用の一次転写ローラである。17は、一次転写された画像を担持する中間転写ベルトである。18は、中間転写ベルト17を駆動する駆動ローラである。19は、中間転写ベルト17上に形成された画像を記録材Pに転写するための二次転写ローラであり、20は、二次転写ローラ19に対向する二次転写対向ローラである。21は、記録材Pを搬送させながら、記録材Pに転写された現像剤像を溶融定着させる定着ユニットである。22は、定着ユニット21によって、定着が行われた記録材Pを排紙する排紙ローラである。
【0016】
なお、感光ドラム11Y、11M、11C、11K、及び帯電ローラ12Y、12M、12C、12K及び、現像器14Y、14M、14C、14K及び、現像剤搬送ローラ15Y、15M、15C、15Kは夫々色毎に一体化されている。このように、感光ドラムと帯電ローラと現像器とを一体化したものをカートリッジといい、各色のカートリッジは画像形成装置本体に対して簡易に脱着できるように構成されている。
【0017】
次に、画像形成装置1の画像形成動作について説明する。不図示のホストコンピュータ等から画像形成装置1に、印刷命令や画像情報等を含んだ印刷データが入力される。すると、画像形成装置1は印刷動作を開始し記録材Pは給紙ローラ4a又は給紙ローラ4bによって、給紙カセット2又は給紙トレイ3から給紙され搬送路に送り出される。記録材Pは、中間転写ベルト17上に形成する画像の形成動作と搬送のタイミングとの同期を取るため、搬送ローラ5及び搬送対向ローラ6に一旦停止して画像形成が行われるまで待機する。記録材Pが給紙される動作と共に、画像形成動作として、感光ドラム11Y、11M、11C、11Kは帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kによって、一定の電位に帯電される。入力された印刷データにあわせて光学ユニット13Y、13M、13C、13Kは、帯電された感光ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面をレーザビームによって露光走査して静電潜像を形成する。
【0018】
形成した静電潜像を可視化するために現像器14Y、14M、14C、14K及び現像剤搬送ローラ15Y、15M、15C、15Kによって現像を行う。感光ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面に形成された静電潜像は、現像器14Y、14M、14C、14Kにより夫々の色で画像として現像される。感光ドラム11Y、11M、11C、11Kは、中間転写ベルト17と接触しており、中間転写ベルト17の回転と同期して回転する。現像された各画像は、一次転写ローラ16Y、16M、16C、16Kにより中間転写ベルト17上に順次多重転写される。そして、二次転写ローラ19及び二次転写対向ローラ20により記録材P上に二次転写される。
【0019】
その後、画像形成動作に同期して、記録材P上に二次転写を行うため、記録材Pは二次転写部へと搬送される。記録材Pは、二次転写ローラ19及び二次転写対向ローラ20により、中間転写ベルト17上に形成された画像は転写される。記録材Pに転写された現像剤画像は、定着ローラ等から構成される定着ユニット21によって定着される。定着された記録材Pは排紙ローラ22によって不図示の排紙トレイに排出され、画像形成動作を終了する。
【0020】
図1の画像形成装置において、本発明の記録材判別装置30は搬送ローラ5及び搬送対向ローラ6よりも上流側に配置されており、給紙カセット2等から搬送された記録材Pの重送を反映した情報を検知することが可能である。本実施形態において記録材判別装置30による判別は、記録材Pが給紙カセット2等から画像形成装置内に送り出され、搬送ローラ5及び搬送対向ローラ6に挟持される前に搬送されているときに行われる。又は、搬送ローラ5及び搬送対向ローラ6に挟持されて搬送されているときに行われる。
【0021】
次に、本願発明の一実施形態による記録材判別装置30について、動作を制御する制御システムを示したブロック図である図2を用いて説明する。31は、記録材Pに対して超音波を発信する超音波発信手段である。32は、記録材Pから透過した超音波を受信する超音波受信手段である。本実施形態では、超音波発信手段31及び超音波受信手段32は、40kHzの周波数特性を持つ超音波を発信し、受信するように設定される。なお、超音波の周波数は予め設定されるものであり、超音波発信手段31および超音波受信手段32の構成、検知精度等に応じて適切な範囲の周波数を選択すればよく、これに限定されるものではない。33は、超音波を発信するための駆動信号を生成し、駆動信号を増幅する機能を持った送信手段としての送信制御部である。34は、超音波受信手段32で受信した超音波を電圧として検知し、信号を処理する機能を持った受信制御部である。これら各部と制御部10をあわせて記録材判別装置となる。また、制御部10で判別した結果は、例えばモータ駆動制御や定着搬送速度や定着温調温度等、画像形成条件の制御に使用可能である。
【0022】
次に、一連の動作について説明する。制御部10より測定開始を示す信号が駆動信号制御部341に入力される。入力信号を受け取ると、所定周波数の超音波を発信するために、駆動信号生成部331に対して、超音波発信信号の生成を通知する。駆動する信号は、記録材Pや搬送路周囲の部材による反射波等の外乱の影響を低減するために、超音波発信手段31が照射した直接波のみを超音波受信手段32で受信できるように、一定周期のパルス波を入力する。これは、バースト波と呼ばれている。本実施形態では、20msごとに40kHzのパルス波を5パルス連続入力している。また同時に、タイマ345をリセットし、カウンタをスタートさせる。駆動信号生成部331では、予め設定された周波数を持つ信号を生成し、出力する。増幅器332は、信号のレベル(電圧値)を増幅し、超音波発信手段31へ出力する。
【0023】
超音波受信手段32は、超音波発信手段31から発信された超音波、または、記録材Pを透過した超音波を受信して、受信制御部34の検知回路342に出力する。検知回路342では、信号の増幅機能と信号の整流機能を持っている。本実施形態の増幅機能は、記録材Pが超音波発信手段31と超音波受信手段32との間に存在しない状態と、存在する状態とで増幅率を可変できるようにしているがこれに限られるものでなく、例えば存在しない状態と存在する状態で同様の増幅率にしてもよい。また、整流機能は、半波整流を行っているがこれに限られるものではなく、例えば両波整流を行ってもよい。検知回路342で生成された信号をA−D変換343でアナログ信号からデジタル信号へ変換される。本実施形態では、検知回路342の出力に対応する12bitのデジタル信号に変換しているがこれに限定されるものでなく、適宜複数bitのデジタル信号に変換してもよい。ピーク抽出344では、変換されたデジタル信号に基づいて、信号のピーク(極大値)を抽出する。タイマ345では、超音波駆動信号開始よりタイマをリセットし、カウントを開始する。ピーク抽出344において、時系列で処理を行い、ピークを検知したタイミングで、タイマ345の値を抽出する。1回の測定終了のタイミングで、ピーク抽出344で抽出した値とタイマ345で抽出した値を一組として、記憶手段346に保存する。演算手段347では、複数回測定し、得られた値から、その値の差分を算出する。演算手段347で算出された値に基づいて、制御部10は、記録材Pの重送を判別し、その結果によって、画像形成装置の動作を制御する。
【0024】
本実施形態における記録材Pを透過した超音波の受信信号の波形を図3に示す。使用した記録材は坪量60g/m2である。図3(a)は、記録材Pが1枚で搬送されている場合のデータである。図3(b)は、記録材Pが搬送している途中から重送されている(以下、つれ重送とする)場合のデータである。図3(c)は、記録材Pがズレなく重なって搬送されている(以下、ぴったり重送とする)場合のデータである。それぞれのデータにおいて、3回の測定波形を重ねて記載している。
【0025】
記録材Pが1枚で搬送されている場合、複数回測定したピークの値及びピークの時間の差分は非常に小さい特性を示していることがわかる。記録材Pがつれ重送している場合、重送していない場合と比較するとピークの値は減衰し、さらにピークが現れる時間が遅れていることがわかる。また、3回の測定の結果がばらついて現れるという特性があることがわかる。記録材Pがぴったり重送している場合、重送していない場合と比較するとピークの値は減衰し、さらにピークが現れる時間が遅れていることがわかる。また、3回の測定の結果がばらついて現れるという特性があることがわかる。この特性により、記録材Pに対して複数回測定し、各測定結果の変化量に基づいて重送を判別することが可能である。
【0026】
次に、図4のフローチャートを用いて超音波のピークの時間の差分に基づいた記録材Pの重送検知の方法について説明する。S101において、制御部10は記録材判別装置30の超音波発信手段31と超音波受信手段32との間まで記録材Pを搬送させる。S102において、制御部10は超音波発信手段31により超音波を記録材Pに照射させる。記録材Pを透過した超音波は超音波受信手段32により受信される。制御部10は、受信した超音波よりピークの時間を計測する。計測した結果は記憶手段346に保存する。S103において、制御部は記録材Pのデータ取得回数が2回以上であるか否かを判断する。重送を判別するには、ピークの時間の差分を算出する必要があるため、データを複数回計測する必要がある。データ取得回数が1回の場合は、S102に戻りもう一度データを取得する。
【0027】
S104において、制御部10は1回目に取得したデータと2回目以降に取得したデータの差分を算出する。S105において、制御部10はS104で算出された値と予め設定した閾値とを比較する。比較した結果、算出した値が閾値より小さい場合は、記録材Pは重送してないと判断し、S106へ進む。算出した値が閾値より大きい場合は、記録材Pは重送していると判断し、終了とする。S106において、制御部10はデータ取得回数がデータ取得終了回数に達したかを判断する。データ取得終了回数に達していない場合は、S102に戻り、もう一度データを取得する。データ取得終了回数に達している場合は、記録材Pは重送していないと判断し、終了とする。なお、本実施形態では、一例としてデータ取得終了回数を20としている。この回数は、記録材Pが超音波発信手段31及び超音波受信手段32との間に存在している間に、超音波発信手段31により複数回超音波を発信し、超音波受信手段32により複数回超音波を受信できる回数である。測定回数の上限は、記録材Pの搬送速度や超音波の受信データを取得する時間等から適宜設定することが可能である。
【0028】
図5は、記録材Pが重送しているときとしていないときとにおいて測定されたそれぞれのピークの時間をプロットしたグラフである。図5(a)で使用した記録材Pは坪量60g/m2であり、図5(b)で使用した記録材Pは坪量160g/m2である。重送判別閾値となるカウンタ値は4カウントとした。なお、重送判別閾値は、本実施形態における一例であり、カウンタの周期やA−D変換のサンプリング周期によって、適宜設定可能である。
【0029】
図5(a)において、1枚搬送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの時間の差分は最大で約1カウントとなる。重送していない状態であれば、ピークを検出する時間にばらつきが少なくなる。よって、差分は閾値を上回らないため重送していないと判断できる。つれ重送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの時間の差分は1回目の測定結果と3回目の測定結果の差分が約15カウントとなっていることがわかる。つれ重送している状態であるので、最初の1枚搬送のピークの時間にばらつきは少ないが、重送となった部分のピークの時間は大きくばらつきが出ていることがわかる。よって、差分は閾値を上回るため重送していると判断できる。ぴったり重送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの時間の差分は1回目の測定結果と3回目の測定結果で約4カウントとなっていることがわかる。ぴったり重送している状態であるので、1枚搬送のときのピークの時間に比べて、全体的にばらつきが大きいことがわかる。よって、差分は閾値を上回るため重送していると判断できる。
【0030】
図5(b)において、1枚搬送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの時間の差分は最大で約2カウントとなる。重送していない状態であれば、ピークを検出する時間にばらつきが少なくなるため、重送していないと判断できる。つれ重送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの時間の差分は1回目の測定結果と6回目の測定結果の差分が約6カウントとなっていることがわかる。つれ重送している状態であるので、最初の1枚搬送のピークの時間にばらつきは少ないが、重送となった部分のピークの時間は大きくばらつきが出ていることがわかるため、重送していると判断できる。ぴったり重送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの時間の差分は1回目の測定結果と6回目の測定結果で約10カウントとなっていることがわかる。ぴったり重送している状態であるので、1枚搬送のときのピークの時間に比べて、全体的にばらつきが大きいことがわかるため、重送していると判断できる。
【0031】
なお、本実施形態では、変化量を算出する方法として1回目の測定結果との差分を求める方法を提案したが、これに限定されるものではない。例えば、1回毎に測定結果の差分を求め、差分の平均値を算出する等の方法を用いることも可能である。また、抽出したピークの時間は、1回の測定で1つ抽出する方法を示したが、図3に示すように、1回の測定で、複数のピークが存在している。複数のピークを検知し、それぞれのピークの時間を抽出して、複数の算出結果に基づき重送を判別することも可能である。
【0032】
図6に、図5のグラフとは超音波の波数が異なるときの記録材Pが重送しているときとしていないときとにおいて測定されたそれぞれのピークの時間をプロットしたグラフを示す。図5よりピークの時間の値が大きくなっているものの、図5と同様に薄紙及び厚紙ともに重送していない状態であれば、ピークを検出する時間にばらつきが少なくなるがわかる。また、重送している状態においては、ピークの時間のずれが大きくなることがわかる。よって、十分な出力値が得られている状態であれば、超音波の波数によらず記録材Pの重送状態を判別することができる。よって、例えば、1回目の測定値は2波目、以降の測定値は3波目というような検知方法でも、重送している状態としていない状態とを検知することも可能である。
【0033】
このように、ピークの時間の差分に基づいて重送判別閾値を設定することにより、環境や記録材の種類等の影響を受けることなく精度良く記録材の重送を判別することが可能となる。ピークの時間の差分は、記録材の種類(坪量)の違いによって変わることはないため、薄紙や厚紙の重送を確実に判別することができる。周囲の温度や湿度等の環境変動が起こったとしても、直前に取得したピークの時間の差分を算出し、重送状態を判別するため環境変動による補正データの取得動作を行わなくても、精度良く判別することが可能となる。また、記録材が搬送される搬送路は、メンテナンス性を考慮して、開閉動作できるように設計される場合が多い。そのため、搬送路を挟んで配置される超音波発信手段及び超音波受信手段の配置が変動することも考えられる。特に、超音波発信手段と超音波受信手段との距離の変動は、超音波の伝搬時間に大きく影響を受けてしまう。しかし、超音波発信手段及び超音波受信手段の配置が変動し距離が変動したとしても、直前に取得したピークの時間の差分を算出し、重送状態を判別するため、距離変動による補正データの取得動作を行わなくても、精度良く判別することが可能となる。
【0034】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、記録材Pを透過した超音波のピークの時間の差分に基づいて重送を判別する方法について説明した。本実施形態においては、記録材Pを透過した超音波のピークの値の変化に基づいて重送を判別する方法について説明する。なお、記録材判別装置等、先の第1の実施形態と同様の構成についてはここでの詳細な説明は省略する。
【0035】
図7のフローチャートを用いて超音波のピークの値の変化に基づいた記録材Pの重送検知の方法について説明する。S201において、制御部10は記録材判別装置30の超音波発信手段31と超音波受信手段32との間まで記録材Pを搬送させる。S202において、制御部10は超音波発信手段31により超音波を記録材Pに照射させる。記録材Pを透過した超音波は超音波受信手段32により受信させる。制御部10は、受信した超音波よりピークの値を測定する。測定した結果は記憶手段346に保存する。S203において、制御部10は記録材Pのデータ取得回数が2回以上であるか否かを判断する。重送を判別するには、ピークの値の変化率を算出する必要があるため、データ取得回数が1回の場合は、S202に戻りもう一度データを取得する。
【0036】
S204において、制御部10は1回目に取得したデータと2回目以降に取得したデータの変化率を算出する。S205において、制御部10はS204で算出された値と予め設定した値とを比較する。比較した結果、算出した値が設定した値より小さい場合は、記録材Pは重送してないと判断し、S206へ進む。算出した値が設定した値より大きい場合は、記録材Pは重送していると判断し、終了とする。S206において、制御部10はデータ取得回数がデータ取得終了回数に達したかを判断する。データ取得終了回数に達していない場合は、S202に戻り、もう一度データを取得する。データ取得終了回数に達している場合は、記録材Pは重送していないと判断し、終了とする。なお、本実施形態では、一例としてデータ取得終了回数を20としている。この回数は、記録材Pが超音波発信手段31及び超音波受信手段32との間に存在している間に、十分取得できる測定回数である。測定回数の上限は、記録材Pの搬送速度や超音波の受信データを取得する時間等から適宜設定することが可能である。
【0037】
図8は、記録材Pが重送しているときとしていないときとにおいて測定されたそれぞれのピークの値をプロットしたグラフである。図8(a)で使用した記録材Pは坪量60g/m2であり、図8(b)で使用した記録材は坪量160g/m2である。重送判別閾値となる値は10%とした。なお、重送判別閾値は、本実施形態における一例であり、カウンタの周期やA−D変換のサンプリング周期によって、適宜設定可能である。
【0038】
図8(a)において、1枚搬送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの値の変化率は最大で約8%となる。重送していない状態であれば、ピークの値にばらつきが少なくなるため、重送していないと判断できる。つれ重送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの値の変化率は1回目の測定結果と2回目の測定結果の変化率が約13%となっていることがわかるため、重送していると判断できる。ぴったり重送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの値の変化率は1回目の測定結果と6回目の測定結果の変化率が約12%となっていることがわかるため、重送していると判断できる。
【0039】
図8(b)において、1枚搬送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの値の変化率は最大で約7%となる。重送していない状態であれば、ピークの値の変化率にばらつきが少なくなるため、重送していないと判断できる。つれ重送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの値の変化率は1回目の測定結果と5回目の測定結果とから算出されるピークの値の変化率が約17%となっていることがわかるため、重送していると判断できる。ぴったり重送の場合、1回目の測定結果と1回目以降の測定結果とから算出されるピークの値の変化率は1回目の測定結果と4回目の測定結果とから算出されるピークの値の変化率が約22%となっていることわかるため、重送していると判断できる。
【0040】
なお、本実施形態では、変化量を算出する方法として1回目の測定結果との変化率を求める方法を提案したが、これに限定されるものではない。例えば、1回毎に測定結果の変化率を求め、変化率の平均値を算出する等の方法を用いることも可能である。また、抽出したピークの値は、1回の測定で1つ抽出する方法を示したが、図3に示すように、1回の測定で、複数のピークが存在している。複数のピークを検知し、それぞれのピークの値を抽出して、複数の算出結果に基づき重送を判別することも可能である。
【0041】
図9に、図8のグラフとは超音波の波数が異なるときの記録材Pが重送しているときとしていないときとにおいて測定されたそれぞれのピークの値をプロットしたグラフを示す。図8よりピークの値は大きくなっているものの、図8と同様に薄紙及び厚紙ともに重送していない状態であれば、ピークの値にばらつきが少なくなることがわかる。また、重送している状態においては、ピークの値にばらつきが大きくなることがわかる。よって、十分な出力値が得られている状態であれば、超音波の波数によらず記録材Pの重送状態を判別することができる。よって、例えば、1回目の測定値は2波目、以降の測定値は3波目というような検知方法でも、重送している状態としていない状態とを検知することも可能である。
【0042】
このようにピークの値の変化率に基づいて、重送判別閾値を設定することにより、環境や記録材の種類等の影響を受けることなく精度良く記録材の重送を判別することが可能となる。ピークの値の変化率は、記録材の種類(坪量)に応じた値となるため、得られるピークの値そのものは記録材の坪量によって大きく変わる。しかし、記録材の坪量が異なっても、1枚搬送時や重送時におけるピークの値の変化率は変わらないため、記録材の種類によらず、精度良く重送を判別することができる。また、周囲の温度や気圧等の環境変動が起こったとしても、直前に取得したピークの値の変化率を算出し、重送状態を判別するため環境変動による補正データの取得動作行わなくても、精度良く判別することが可能となる。
【0043】
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、記録材Pを透過した超音波のピークの時間の差分に基づいて重送を判別する方法について説明した。本実施形態においては、超音波発信手段31と超音波受信手段32との間に記録材Pが存在しない状態で受信された超音波のピークの時間に対して、記録材Pを透過した超音波のピークの時間の変化量に基づいて重送を判別する方法について説明する。なお、記録材判別装置等、先の第1の実施形態と同様の構成についてはここでの詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施形態における記録材Pを透過した超音波の受信信号の波形を図10に示す。図10には、超音波発信手段31と超音波受信手段32との間に記録材が存在しない状態の超音波の受信信号の波形と、記録材Pを透過した超音波の受信信号の波形を示している。使用した記録材は坪量60g/m2である。図10(a)は、記録材Pが1枚で搬送されている場合のデータである。図10(b)は、記録材Pがつれ重送されている場合のデータである。図10(c)は、記録材Pがぴったり搬送されている場合のデータである。それぞれのデータにおいて、3回の測定波形を重ねて記載している。
【0045】
記録材Pが1枚で搬送されている場合、複数回測定したピークの値の比及びピークの時間の差分のばらつきは非常に小さい特性を示していることがわかる。記録材Pがつれ重送している場合、重送していない場合と比較するとピークの値は減衰し、さらにピークが現れる時間が遅れていることがわかる。また、3回の測定の結果がばらついて現れるという特性があることがわかる。記録材Pがぴったり重送している場合、重送していない場合と比較するとピークの値は減衰し、さらにピークが現れる時間が遅れていることがわかる。また、3回の測定の結果がばらついて現れるという特性があることがわかる。この特性により、記録材Pに対して複数回測定し、各測定結果の変化量に基づいて重送を判別することが可能である。
【0046】
次に、図11のフローチャートを用いて超音波のピークの時間の変化量に基づいた記録材Pの重送検知の方法について説明する。S301において、制御部10は超音波発信手段31と超音波受信手段32との間に記録材Pが存在しない状態において、超音波発信手段31から超音波を照射させ、超音波を超音波受信手段32で受信させる。S302において、制御部10は受信した超音波より、ピークの時間を測定する。測定した結果は記憶手段346に保存する。S303において、制御部10は記録材判別装置30の超音波発信手段31と超音波受信手段32との間まで記録材Pを搬送させる。S304において、制御部10は超音波発信手段31により超音波を記録材Pに照射させる。記録材Pを透過した超音波は超音波受信手段32により受信される。制御部10は受信した超音波よりピークの時間を測定する。測定した結果は記憶手段346に保存する。
【0047】
S305において、制御部10はS302で得られた記録材Pを透過していないときのピークの時間とS304で得られた記録材Pを透過したときのピークの時間との差分をピーク時間差として算出する。S306において、制御部10は記録材Pのデータ取得回数が2回以上であるか否かを判断する。重送を判別するには、ピーク時間差の比率を算出する必要があるため、データを複数回計測する必要がある。データ取得回数が1回の場合は、S304に戻りもう一度データを取得する。
【0048】
S307において、制御部10は1回目に取得したデータと2回目以降に取得したデータの比率を算出する。図5(a)及び図10の条件において、記録材Pを透過していないときのピークの時間と1回目の測定結果のピークの時間とのピーク時間差を求めると、1枚搬送では約15カウント、つれ重送では約15カウント、ぴったり重送では約32カウントとなる。このピーク時間差と、記録材Pを透過していないときのピークの時間と2回目以降に取得したデータとのピーク時間差との比率を求める。1枚搬送は、1回目の測定結果のピーク時間差と1回目以降の測定結果のピーク時間差の差分が約1カウントとなるため、比率は1.0から約1.06となる。つれ重送は1回目の測定結果のピーク時間差と1回目以降の測定結果のピーク時間差の差分が約30カウントとなるため、比率は1.0から約3.0となる。ぴったり重送は1回目の測定結果のピーク時間差と1回目以降の測定結果のピーク時間差の差分が約−12カウントから約13カウントとなるため、比率は約0.6から約1.4となる。このように、記録材Pが重送状態であれば、ピーク時間差の比率の変化が大きくなる。
【0049】
S308において、制御部10はS307で算出された比率と予め設定した閾値とを比較する。閾値は例えば、1.0±0.15と設定し、この範囲を超えれば記録材Pは重送していると判断することができる。なお、この閾値は重送の判別精度等によって、適宜設定することが可能である。比較した結果、算出した比率が閾値を超えない場合は、記録材Pは重送してないと判断し、S308へ進む。算出した比率が閾値を超える場合は、記録材Pは重送していると判断し、終了とする。S309において、制御部10はデータ取得回数がデータ取得終了回数に達したかを判断する。データ取得終了回数に達していない場合は、S304に戻り、もう一度データを取得する。データ取得終了回数に達している場合は、記録材Pは重送していないと判断し、終了とする。この方法により、第1の実施形態と同様に記録材Pが重送しているか否かを判別することが可能となる。
【0050】
このように、ピーク時間差の変化量に基づいて、重送判別閾値を設定することにより、環境や記録材の種類等の影響を受けることなく精度良く記録材の重送を判別することが可能となる。また、記録材Pが超音波発信手段31と超音波受信手段32との間にない状態の測定結果との差分の比率を用いることで、超音波発信手段31及び超音波受信手段32の配置変動の影響を低減することができ精度良く重送を判別することが可能となる。
【0051】
(第4の実施形態)
第2の実施形態では、記録材Pを透過した超音波のピークの値の差分に基づいて重送を判別する方法について説明した。本実施形態においては、超音波発信手段31と超音波受信手段32との間に記録材Pが存在しない状態で受信された超音波のピークの値に対して、記録材Pを透過した超音波のピークの値の変化量に基づいて重送を判別する方法について説明する。なお、記録材判別装置等、先の第1の実施形態と同様の構成についてはここでの詳細な説明は省略する。また、記録材Pを透過した超音波の受信信号の波形は先の第3の実施形態の図10と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0052】
次に、図12のフローチャートを用いて超音波のピークの値の変化量に基づいた記録材Pの重送検知の方法について説明する。S401において、制御部10は超音波発信手段31と超音波受信手段32との間に記録材Pが存在しない状態において、超音波発信手段31から超音波を照射させ、超音波を超音波受信手段32で受信させる。S402において、制御部10は受信した超音波より、ピークの値を測定する。測定した結果は記憶手段346に保存する。S403において、制御部10は記録材判別装置30の超音波発信手段31と超音波受信手段32との間まで記録材Pを搬送させる。S404において、制御部10は超音波発信手段31により超音波を記録材Pに照射させる。記録材Pを透過した超音波は超音波受信手段32により受信される。制御部10は受信した超音波よりピークの値を測定する。測定した結果は記憶手段346に保存する。
【0053】
S405において、制御部10はS402で得られた記録材Pを透過していないときのピークの値とS404で得られた記録材Pを透過したときのピークの値との比率を透過係数として算出する。S406において、制御部10は記録材Pのデータ取得回数が2回以上であるか否かを判断する。重送を判別するには、透過係数の変化率を算出する必要があるため、データを複数回計測する必要がある。データ取得回数が1回の場合は、S404に戻りもう一度データを取得する。
【0054】
S407において、制御部10は1回目に取得したデータと2回目以降に取得したデータの比率を算出する。図8(a)及び図10の条件において、記録材Pを透過していないときのピークの値と1回目の測定結果のピークの値との透過係数を求めると、1枚搬送では約1.1、つれ重送では約1.2、ぴったり重送では約0.8となる。この透過係数と、記録材Pを透過していないときのピークの値と2回目以降に取得したデータのピークの値との透過係数との差分を求める。1枚搬送は、1回目の測定結果の透過係数と2回目以降の測定結果の透過係数との差分がほとんどないため、差分は約0.0となる。つれ重送は、1回目の測定結果の透過係数と2回目以降の測定結果の透過係数との差分が約0.0から約−0.9となる。ぴったり重送は、1回目の測定結果の透過係数と2回目以降の測定結果の透過係数との差分が約0.8から約0.9となる。このように、記録材Pが重送状態であれば、透過係数の差分が大きくなる。
【0055】
S408において、制御部10はS407で算出された差分と予め設定した閾値とを比較する。閾値は例えば±0.05と設定し、この範囲を超えれば記録材Pは重送していると判断することができる。なお、この閾値は重送の判別精度等によって、適宜設定することが可能である。比較した結果、算出した差分が閾値を超えない場合は、記録材Pは重送していないと判断し、S408へ進む。算出した差分が閾値を超える場合は、記録材Pが重送していると判断し、終了とする。S409において、制御部10はデータ取得回数がデータ取得終了回数に達したかを判断する。データ取得終了回数に達していない場合は、S404に戻り、もう一度データを取得する。データ取得終了回数に達している場合は、記録材Pは重送していないと判断し、終了とする。この方法により、第2の実施形態と同様に記録材Pが重送しているか否かを判別することが可能となる。
【0056】
このように、透過係数の変化量に基づいて、重送判別閾値を設定することにより、環境や記録材の種類等の影響を受けることなく精度良く記録材の重送を判別することが可能となる。また、記録材Pが超音波発信手段31と超音波受信手段32との間にない状態の測定結果との比率の比率を用いることで、超音波発信手段31及び超音波受信手段32の配置変動の影響を低減することができ精度良く重送を判別することが可能となる。
【0057】
(第5の実施形態)
第1乃至第4の実施形態においては、記録材Pの重送状態を検知する方法について説明した。本実施形態においては、記録材Pを透過した超音波のピーク時間差及びピークの値の変化量に基づいて重送を判別し、重送していないと判別されたときに、測定した結果から記録材Pの坪量の検知を行う方法について説明する。なお、記録材判別装置等、先の第1の実施形態と同様の構成についてはここでの詳細な説明は省略する。
【0058】
図13のフローチャートを用いて、記録材Pの重送状態及び坪量の検知方法について説明する。S501において、制御部10は超音波発信手段31と超音波受信手段32との間に記録材Pが存在しない状態において、超音波発信手段31から超音波を照射させ、超音波を超音波受信手段32で受信させる。S502において、制御部10は受信した超音波より、ピークの時間及びピークの値を測定する。測定した結果は記憶手段346に保存する。S503において、制御部10は記録材判別装置30の超音波発信手段31と超音波受信手段32との間まで記録材Pを搬送させる。S504において、制御部10は超音波発信手段31により超音波を記録材Pに照射させる。記録材Pを透過した超音波は超音波受信手段32により受信される。制御部10は受信した超音波よりピークの時間及びピークの値を測定する。測定した結果は記憶手段346に保存する。
【0059】
S505において、制御部10はS502で得られた記録材Pを透過していないときのピークの時間とS504で得られた記録材Pを透過したときのピークの時間との差分をピーク時間差として算出する。S506において、制御部10はS502で得られた記録材Pを透過していないときのピークの値とS504で得られた記録材Pを透過したときのピークの値との変化率である透過係数を算出する。S507において、制御部10は記録材Pのデータ取得回数が2回以上であるか否かを判断する。重送を判別するには、ピーク時間差及び透過係数を算出する必要があるため、データ取得回数が1回の場合は、S504に戻りもう一度データを取得する。S508において、制御部10は1回目に取得したピークの時間と2回目以降に取得したデータの差分であるピーク時間差の比率を算出する。S509において、制御部10はS508で算出された比率と予め設定した閾値とを比較する。比較した結果、算出した比率が閾値を超えない場合は、記録材Pは重送していないとして、S510へ進む。算出した比率が閾値を超える場合は、記録材Pが重送していると判断し、終了とする。
【0060】
S510において、制御部10は1回目に取得したピークの値から算出した透過係数と2回目以降に取得したピークの値から算出した透過係数の差分を算出する。S511において、制御部10はS510で算出された差分と予め設定した閾値とを比較する。比較した結果、算出した差分が閾値を超えない場合は、記録材Pは重送していないと判断し、S512へ進む。算出した差分が閾値を超える場合は、記録材Pが重送していると判断し、終了とする。S512において、制御部10はデータ取得回数がデータ取得終了回数に達したかを判断する。データ取得終了回数に達していない場合は、S504に戻り、もう一度データを取得する。データ取得終了回数に達している場合は、記録材Pが重送していないと判断する。S513において、制御部10はS506で複数回算出した透過係数に基づいて、記録材の坪量を検知する。まず、測定した回数分の透過係数の平均値を求める。そして、超音波発信手段31と超音波受信手段32との間に記録材Pが存在しない状態で、予め既知の環境下で得られたピークの値とS502で測定したピークの値との比を補正係数として、透過係数の平均値を補正する。なお、補正係数の決め方は本実施形態における一例であり、周囲の環境変動やセンサの配置等を考慮して補正係数は適宜設定することが可能である。補正された透過係数を用いて、図14に示した記録材Pの坪量と透過係数の関係より、搬送された記録材の坪量を検知する。また、抽出したピークの時間及びピークの値は、1回の測定で1つ抽出する方法を示したが、図3に示すように、1回の測定で、複数のピークが存在している。複数のピークを検知し、それぞれのピークの時間とピークの値を抽出して、複数の算出結果に基づき重送の判別及び記録材の坪量を検知することも可能である。
【0061】
図15のフローチャートを用いて、坪量を検知する際の調整及び補正動作について、別の方法を詳しく説明する。なお、超音波の補正は、超音波の振幅を調整する構成を用いて行う。超音波の振幅の調整は、制御部10内に構成されているパルス振幅の値を変化させて行う。パルス振幅の値は、増幅器332の信号レベルの増幅レベルに対応している。このパルス振幅を変化させることで、超音波発信手段31から照射される超音波の音圧を調整することができる。
【0062】
S601において、制御部10は超音波発信手段31を駆動するパルス振幅を設定する。S602において、制御部10は超音波発信手段31と超音波受信手段32との間に記録材Pが存在しない状態において、超音波発信手段31から超音波を照射し、超音波を超音波受信手段32で受信する。S603において制御部10は、受信した信号より、ピークの時間およびピークの値を測定する。測定した結果を記憶手段346に保存しておく。S604において、制御部10はS603で得られたピークの値が予め設定した値と比較する。比較した結果、設定した値に対して±3%の範囲に入っている場合、パルス振幅の調整は終了とし、S605に進む。範囲に入っていない場合、再度S601へ戻り、設定した値に近づけるようにS601で設定したパルス振幅の値を調整する。S605において、制御部10はS601で設定した値を記憶手段346に保存する。
【0063】
S606では、記録材判別装置30の超音波発信手段31と超音波受信手段32との間まで記録材Pを搬送させる。S607において、制御部10は記録材Pに対して、超音波を発信し、記録材Pを透過した超音波を超音波受信手段32で受信する。受信した信号より、ピークの時間及びピークの値を測定する。測定した結果を記憶手段346に保存する。S608において、制御部10はS603で得られたピークの時間とS607で得られたピークの時間との差分をピーク時間差として算出する。S609において、制御部10はS603で得られたピークの値とS607で得られたピークの値との比率を透過係数として算出する。
【0064】
S610において、制御部10は記録材Pのデータ取得回数について判断する。データ取得回数が1回の場合は、S607に戻り、もう一度データを取得する。重送を判別するには、ピーク時間差の比率及び透過係数の差分を算出する必要があるため、データ取得を2回以上行う。S611において、制御部10は1回目に取得したピーク時間差との比率を算出する。S612において、制御部10はS611で算出された値と予め設定した値とを比較する。比較した結果、算出した値が設定した値より小さい場合は、記録材Pは重送していないとして、S613へ進む。算出した値が設定した値より大きい場合は、記録材Pが重送していると判断し、終了とする。
【0065】
S613において、制御部10は1回目に取得した透過係数との差分を算出する。S614において、制御部10はS613で算出された値と予め設定した値とを比較する。比較した結果、算出した値が設定した値より小さい場合は、記録材Pは重送していないとして、S615へ進む。算出した値が設定した値より大きい場合は、記録材Pが重送していると判断し、終了とする。S615において、制御部10はデータ取得回数がデータ取得終了回数に達したかを判断する。データ取得終了回数に達していない場合は、S607に戻り、もう一度データを取得する。データ取得終了回数に達している場合は、記録材が重送していないと判断する。S616において、制御部10はS609で複数回算出した透過係数に基づいて、記録材の坪量を検知する。坪量の検知は、測定した回数分の透過係数を平均した平均値を用いて判別する。また、周囲の環境によって透過係数は異なるため、算出した透過係数に対して補正を行う。予め既知の環境下で調整して得られたパルス振幅とS605で現在の環境下で調整したパルス振幅の比を補正係数とする。これは、本実施形態における一例であり、周囲の環境変動を検知し、それに伴う係数であればよい。補正された透過係数の平均値を用いて、図14に示した記録材の坪量と透過係数の関係より、搬送された記録材の坪量を判別する。
【0066】
なお、図14に示した透過係数の値は、超音波発信手段と超音波受信手段との間に記録材が存在しない状態のピークの値と記録材のピークの値の比だけでなく、記録材の受信信号を検知するために検知回路342の増幅率の差を考慮した値になっている。この増幅率は一律一定の値であるため、考慮しなくても記録材の坪量と透過係数の関係は、変化しない。また、抽出したピークの時間及びピークの値は、1回の測定で1つ抽出する方法を示したが、図3に示すように、1回の測定で複数のピークを検知することもできる。複数のピークの夫々のピークの時間とピークの値を抽出して、複数の算出結果に基づき重送の判別および記録材の坪量を検知することが可能である。さらに、透過係数に対する補正をS615で行ったが、S609で透過係数を算出するときに補正することも可能である。
【0067】
このように、ピークの時間の差分とピークの値の変化量の2つのパラメータを組み合わせることにより、精度良く記録材Pの重送を判別することが可能である。また、記録材Pが重送していないと判別した後、重送の判別に用いた透過係数を使って、記録材Pの坪量を検知することも可能である。これにより、記録材Pの重送の判別と坪量の検知を別のユニット又は別の制御手段で行うことなく、共通のユニット及び制御手段を用いることができるようになり、コストダウンすることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 画像形成装置
10 制御部
31 超音波発信手段
32 超音波受信手段
P 記録材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を発信する発信手段と、
前記発信手段から超音波を発信するための駆動信号を送信する送信手段と、
前記発信手段から発信されて記録材を透過した超音波を受信する受信手段と、
前記送信手段により駆動信号が送信されてから、前記受信手段により受信された超音波の受信信号のピークが検知されるまでの時間を計測する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記発信手段から複数回超音波を発信させ、前記時間を複数回計測し、複数回計測した前記時間の差分に基づいて記録材が重送しているか否かを判別することを特徴とする記録材判別装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記時間の差分が第1の閾値を上回ると記録材が重送していると判断することを特徴とする請求項1に記載の記録材判別装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記発信手段から複数回超音波を発信させ、前記受信手段により受信された超音波の受信信号のピークの値を複数回測定し、複数回測定した前記ピークの値の差分に基づいて記録材の重送状態を判別することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録材判別装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記ピークの値の差分が第2の閾値を上回ると記録材が重送していると判断することを特徴とする請求項3に記載の記録材判別装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記記録材が重送していないと判断すると、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で検知した超音波の受信信号のピークの値と、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がある状態で検知した超音波の受信信号のピークの値との比に基づき、記録材の坪量を判別することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の記録材判別装置。
【請求項6】
前記制御手段は、現在の環境において前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で検知した超音波の受信信号のピークの値と、既知の環境において前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で検知した超音波の受信信号のピークの値との比に基づき、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で検知した超音波の受信信号のピークの値と、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がある状態で検知した超音波の受信信号のピークの値との比を補正することを特徴とする請求項5に記載の記録材判別装置。
【請求項7】
前記駆動信号のパルス振幅を調整する調整手段を備え、
前記制御手段は、現在の環境において前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で前記調整手段により調整した超音波のパルス振幅の値と、既知の環境において前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で前記調整手段により調整した超音波のパルス振幅の値との比に基づき、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で検知した超音波の受信信号のピークの値と、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がある状態で検知した超音波の受信信号のピークの値との比を補正することを特徴とする請求項5に記載の記録材判別装置。
【請求項8】
超音波を発信する発信手段と、
前記発信手段から超音波を発信するための駆動信号を送信する送信手段と、
前記発信手段から発信されて記録材を透過した超音波を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された超音波の受信信号のピークの値を測定する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記発信手段から複数回超音波を発信させ、前記ピークの値を複数回測定し、複数回測定した前記ピークの値の差分に基づいて記録材の重送状態を判別することを特徴とする記録材判別装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記ピークの値の差分が第2の閾値を上回ると記録材が重送していると判断することを特徴とする請求項8に記載の記録材判別装置。
【請求項10】
超音波を発信する発信手段と、
前記発信手段から超音波を発信するための駆動信号を送信する送信手段と、
前記発信手段から発信されて記録材を透過した超音波を受信する受信手段と、
前記送信手段により駆動信号が送信されてから、前記受信手段により受信された超音波の受信信号のピークが検知されるまでの時間を計測する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がない状態で超音波を発信させ測定した第1の時間と、
前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がある状態で1回目に超音波を発信させ測定した第2の時間と、
前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がある状態で2回目以降に超音波を発信させ測定した第3の時間と、を測定し、
前記第1の時間と前記第2の時間との第1の差分及び前記第1の時間と前記第3の時間との第2の差分を求め、前記第1の差分と前記第2の差分との比率に基づいて記録材の重送を判別することを特徴とする記録材判別装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記第1の差分と前記第2の差分との比率が閾値を超えると記録材が重送していると判断することを特徴とする請求項10に記載の記録材判別装置。
【請求項12】
超音波を発信する発信手段と、
前記発信手段から超音波を発信するための駆動信号を送信する送信手段と、
前記発信手段から発信されて記録材を透過した超音波を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された超音波の受信信号のピークの値を測定する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がない状態で超音波を発信させ測定した第1の値と、
前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がある状態で1回目に超音波を発信させ測定した第2の値と、
前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がある状態で2回目に超音波を発信させ測定した第3の値と、を測定し、
前記第1の値と前記第2の値との第1の比率及び前記第1の値と前記第2の値との第2の比率を求め、前記第1の比率と前記第2の比率との差分に基づいて記録材の重送を判別することを特徴とする記録材判別装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記第1の比率と前記第2の比率との差分が閾値を超えると記録材が重送していると判断することを特徴とする請求項12に記載の記録材判別装置。
【請求項14】
超音波を発信する発信手段と、
前記発信手段から超音波を発信するための駆動信号を送信する送信手段と、
前記発信手段から発信されて記録材を透過した超音波を受信する受信手段と、
前記送信手段により駆動信号が送信されてから、前記受信手段により受信された超音波の受信信号のピークが検知されるまでの時間を計測し、前記受信手段により受信された超音波の受信信号のピークの値を測定する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がない状態で超音波を発信させ測定した第1の時間と、
前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がある状態で1回目に超音波を発信させ測定した第2の時間と、
前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がある状態で2回目以降に超音波を発信させ測定した第3の時間と、
前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がない状態で超音波を発信させ測定した第1の値と、
前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がある状態で1回目に超音波を発信させ測定した第2の値と、
前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がある状態で2回目に超音波を発信させ測定した第3の値と、を測定し、
前記第1の時間と前記第2の時間との第1の差分及び前記第1の時間と前記第3の時間との第2の差分を求め、前記第1の差分と前記第2の差分との比率に基づいて、及び前記第1の値と前記第2の値との第1の比率及び前記第1の値と前記第2の値との第2の比率を求め、前記第1の比率と前記第2の比率との差分に基づいて記録材の重送を判別し、記録材が重送していないと判別されると、前記第2の値又は前記第3の値を用いて記録材の坪量を判別することを特徴とする記録材判別装置。
【請求項15】
前記制御手段は、現在の環境において前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で検知した超音波の受信信号のピークの値と、既知の環境において前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で検知した超音波の受信信号のピークの値との比に基づき、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で検知した超音波の受信信号のピークの値と、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がある状態で検知した超音波の受信信号のピークの値との比を補正することを特徴とする請求項14に記載の記録材判別装置。
【請求項16】
前記駆動信号のパルス振幅を調整する調整手段を備え、
前記制御手段は、現在の環境において前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で前記調整手段により調整した超音波のパルス振幅の値と、既知の環境において前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で前記調整手段により調整した超音波のパルス振幅の値との比に基づき、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で検知した超音波の受信信号のピークの値と、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がある状態で検知した超音波の受信信号のピークの値との比を補正することを特徴とする請求項14に記載の記録材判別装置。
【請求項1】
超音波を発信する発信手段と、
前記発信手段から超音波を発信するための駆動信号を送信する送信手段と、
前記発信手段から発信されて記録材を透過した超音波を受信する受信手段と、
前記送信手段により駆動信号が送信されてから、前記受信手段により受信された超音波の受信信号のピークが検知されるまでの時間を計測する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記発信手段から複数回超音波を発信させ、前記時間を複数回計測し、複数回計測した前記時間の差分に基づいて記録材が重送しているか否かを判別することを特徴とする記録材判別装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記時間の差分が第1の閾値を上回ると記録材が重送していると判断することを特徴とする請求項1に記載の記録材判別装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記発信手段から複数回超音波を発信させ、前記受信手段により受信された超音波の受信信号のピークの値を複数回測定し、複数回測定した前記ピークの値の差分に基づいて記録材の重送状態を判別することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録材判別装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記ピークの値の差分が第2の閾値を上回ると記録材が重送していると判断することを特徴とする請求項3に記載の記録材判別装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記記録材が重送していないと判断すると、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で検知した超音波の受信信号のピークの値と、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がある状態で検知した超音波の受信信号のピークの値との比に基づき、記録材の坪量を判別することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の記録材判別装置。
【請求項6】
前記制御手段は、現在の環境において前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で検知した超音波の受信信号のピークの値と、既知の環境において前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で検知した超音波の受信信号のピークの値との比に基づき、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で検知した超音波の受信信号のピークの値と、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がある状態で検知した超音波の受信信号のピークの値との比を補正することを特徴とする請求項5に記載の記録材判別装置。
【請求項7】
前記駆動信号のパルス振幅を調整する調整手段を備え、
前記制御手段は、現在の環境において前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で前記調整手段により調整した超音波のパルス振幅の値と、既知の環境において前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で前記調整手段により調整した超音波のパルス振幅の値との比に基づき、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で検知した超音波の受信信号のピークの値と、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がある状態で検知した超音波の受信信号のピークの値との比を補正することを特徴とする請求項5に記載の記録材判別装置。
【請求項8】
超音波を発信する発信手段と、
前記発信手段から超音波を発信するための駆動信号を送信する送信手段と、
前記発信手段から発信されて記録材を透過した超音波を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された超音波の受信信号のピークの値を測定する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記発信手段から複数回超音波を発信させ、前記ピークの値を複数回測定し、複数回測定した前記ピークの値の差分に基づいて記録材の重送状態を判別することを特徴とする記録材判別装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記ピークの値の差分が第2の閾値を上回ると記録材が重送していると判断することを特徴とする請求項8に記載の記録材判別装置。
【請求項10】
超音波を発信する発信手段と、
前記発信手段から超音波を発信するための駆動信号を送信する送信手段と、
前記発信手段から発信されて記録材を透過した超音波を受信する受信手段と、
前記送信手段により駆動信号が送信されてから、前記受信手段により受信された超音波の受信信号のピークが検知されるまでの時間を計測する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がない状態で超音波を発信させ測定した第1の時間と、
前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がある状態で1回目に超音波を発信させ測定した第2の時間と、
前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がある状態で2回目以降に超音波を発信させ測定した第3の時間と、を測定し、
前記第1の時間と前記第2の時間との第1の差分及び前記第1の時間と前記第3の時間との第2の差分を求め、前記第1の差分と前記第2の差分との比率に基づいて記録材の重送を判別することを特徴とする記録材判別装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記第1の差分と前記第2の差分との比率が閾値を超えると記録材が重送していると判断することを特徴とする請求項10に記載の記録材判別装置。
【請求項12】
超音波を発信する発信手段と、
前記発信手段から超音波を発信するための駆動信号を送信する送信手段と、
前記発信手段から発信されて記録材を透過した超音波を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された超音波の受信信号のピークの値を測定する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がない状態で超音波を発信させ測定した第1の値と、
前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がある状態で1回目に超音波を発信させ測定した第2の値と、
前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がある状態で2回目に超音波を発信させ測定した第3の値と、を測定し、
前記第1の値と前記第2の値との第1の比率及び前記第1の値と前記第2の値との第2の比率を求め、前記第1の比率と前記第2の比率との差分に基づいて記録材の重送を判別することを特徴とする記録材判別装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記第1の比率と前記第2の比率との差分が閾値を超えると記録材が重送していると判断することを特徴とする請求項12に記載の記録材判別装置。
【請求項14】
超音波を発信する発信手段と、
前記発信手段から超音波を発信するための駆動信号を送信する送信手段と、
前記発信手段から発信されて記録材を透過した超音波を受信する受信手段と、
前記送信手段により駆動信号が送信されてから、前記受信手段により受信された超音波の受信信号のピークが検知されるまでの時間を計測し、前記受信手段により受信された超音波の受信信号のピークの値を測定する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がない状態で超音波を発信させ測定した第1の時間と、
前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がある状態で1回目に超音波を発信させ測定した第2の時間と、
前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がある状態で2回目以降に超音波を発信させ測定した第3の時間と、
前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がない状態で超音波を発信させ測定した第1の値と、
前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がある状態で1回目に超音波を発信させ測定した第2の値と、
前記発信手段と前記受信手段との間に記録材がある状態で2回目に超音波を発信させ測定した第3の値と、を測定し、
前記第1の時間と前記第2の時間との第1の差分及び前記第1の時間と前記第3の時間との第2の差分を求め、前記第1の差分と前記第2の差分との比率に基づいて、及び前記第1の値と前記第2の値との第1の比率及び前記第1の値と前記第2の値との第2の比率を求め、前記第1の比率と前記第2の比率との差分に基づいて記録材の重送を判別し、記録材が重送していないと判別されると、前記第2の値又は前記第3の値を用いて記録材の坪量を判別することを特徴とする記録材判別装置。
【請求項15】
前記制御手段は、現在の環境において前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で検知した超音波の受信信号のピークの値と、既知の環境において前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で検知した超音波の受信信号のピークの値との比に基づき、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で検知した超音波の受信信号のピークの値と、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がある状態で検知した超音波の受信信号のピークの値との比を補正することを特徴とする請求項14に記載の記録材判別装置。
【請求項16】
前記駆動信号のパルス振幅を調整する調整手段を備え、
前記制御手段は、現在の環境において前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で前記調整手段により調整した超音波のパルス振幅の値と、既知の環境において前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で前記調整手段により調整した超音波のパルス振幅の値との比に基づき、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がない状態で検知した超音波の受信信号のピークの値と、前記発信手段と前記受信手段の間に記録材がある状態で検知した超音波の受信信号のピークの値との比を補正することを特徴とする請求項14に記載の記録材判別装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−40000(P2013−40000A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177141(P2011−177141)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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