説明

試料の測光検査装置、試料の測光検査方法および液体試料の自動検査用分析機器

【課題】故障し難くかつ個々の検出ユニット間における精度のばらつきを回避できる試料の測光検査装置を提供する。
【解決手段】少なくとも2つの試料容器を保持する保持手段(15)を有する試料ホルダ装置(11)と、測定装置と、可動装置(14)とを少なくとも備え、試料ホルダ装置(11)は固定され、測定装置は可動装置(14)上に配置されて可動装置によって変位可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の測光検査装置、試料の測光検査方法および液体試料の自動検査用分析機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近ごろ、分析、科学捜査、微生物学、及び、臨床診断において日常的に用いられている自動分析機器は、光学的処理によって迅速で正確で且つ再現可能に液体のさまざまな特性を測定する必要がある(例えば、血液凝固検査の場合)。基本的に、止血分析機器には現在2つの異なる測定原理が用いられている。まず、例えば固定測光器のような固定検出装置と、ディスク形状の可動試料ホルダ(いわゆる試料カルーセル)とを備えた機器が利用される。試料ホルダ内の試料は、順次検出装置を通過させられ、試験される。従って、試料カルーセルは、新しい試料がカルーセルに導入される毎に、または、既に試験済みの試料がカルーセルから取除かれる毎に停止しなければならない。従って、これらのステップは効率のかなりの損失を伴うことになる。代替案として、グリッパで、回転する試料カルーセルから試料を取除くことも実行可能であるが、こうした構成は極めて故障しやすい。
【0003】
もう1つの測定原理では、複数の固定光学検出装置が利用される。この場合、試料毎にそれぞれ1つの検出装置が設けられる。これは、いつでも同時に複数の試料を測定する可能性をもたらす。しかしながら、この測定原理では、全ての検出装置がそれぞれ専用の光学的機構を有し、そのため、材料及び生産コストが増大し、装置が故障しやすくなり、整備が面倒になり、さらに、個々の検出ユニット間における精度のばらつきというリスクも抱えることになるが、このばらつきは制御が困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、従来技術に関して説明した機器の欠点を回避する試料の測光検査装置および試料の測光検査方法ならびに液体試料の自動検査用分析機器を提供することにある。
【0005】
さらに、本発明の課題は、測定中、試料容器内に試薬をピペットで連続して加えることができるように該装置および方法を構成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの課題は、独立請求項の特徴によって実現することが可能である。従属請求項には好ましい実施態様が明記されている。
【0007】
すなわち、試料の測光検査装置に関する課題は、本発明によれば、試料の測光検査装置であって、
少なくとも2つの試料容器を保持する保持手段を有する試料ホルダ装置と、
測定装置と、
可動装置とを少なくとも備え、
試料ホルダ装置は固定され、測定装置は、可動装置上に配置されて可動装置によって変位可能であることによって解決される。
【0008】
試料の測光検査装置に関する本発明の実施態様は次の通りである。
(1) 試料容器を保持する保持手段が、試料ホルダ装置上に線状配列をなすように配置され、測定装置が、該線状配列に対して平行に変位可能である。
(2) 試料容器を保持する保持手段が、試料ホルダ装置上に円弧状配列をなすように配置され、測定装置が、該円弧状配列の周りを回転しながら変位可能である。
(3) 測定装置が、少なくとも1つの光源および/または少なくとも1つの光検出器を備える。 光源がLED(発光ダイオード)またはLD(レーザダイオード)を備える。
(4) 測光検査装置が複数の測定装置を備える。
(5) 少なくとも1つの測定装置が、プロセス中、可動装置によって連続的に測定できるように形成されている。
(6) 可動装置が試料ホルダ装置の下方に配置されている。
(7) 測光検査装置が、さらに、試料ホルダ装置上に配置された少なくとも1つの混合装置を備える。混合装置が磁気混合装置である。測光検査装置が複数の混合装置を備える。
【0009】
試料の測光検査方法に関する課題は、本発明によれば、試料の測光検査を行うために本発明による試料の測光検査装置が用いられることによって解決される。
【0010】
試料の測光検査方法に関する課題は、本発明によれば、試料を収容した少なくとも2つの試料容器が1つの試料ホルダ装置上に配置され、試料の少なくとも1つの光学特性が測定装置によって測定される試料の測光検査方法であって、試料ホルダ装置が固定状態に保たれ、測定装置が、可動装置によって、試料を収容した試料容器の配列に沿って変位させられることによっても解決される。
【0011】
試料の測光検査方法に関する本発明の実施態様は次の通りである。
(1) 試料を収容した試料容器が、試料ホルダ装置上に円弧状に配列され、測定装置が、試料を収容した試料容器の円弧状配列に沿った可動装置の回転運動によって変位させられる。可動装置の回転周波数は約0.02〜約25Hzの範囲内にある、好ましくは約0.2〜約10Hzの範囲内にある。
(2) 試料の少なくとも1つの光学特性が連続して測定される。
(3) 試料の少なくとも1つの光学特性が、波長約300nm〜約1100nmの光によって測定される。
(4) 測光検査前および/または測光検査中に、1つ又は複数の試料が試料容器内で混合される。試料が、磁性ピンまたは強磁性ピンが試料容器内で回転電磁場および/または振動電磁場によって駆動されることにより混合される。混合速度が約0.01〜約1500rpmの範囲内にある。
(5) 体液試料、好ましくは血液、血漿、および/または、血清の測光検査に用いられる。
(6) 方法が溶血測定および/または止血測定に用いられる。
【0012】
液体試料の自動検査用分析機器に関する課題は、本発明によれば、試料容器内に試料液を等分(すなわち等量分配)するための少なくとも1つの装置と、試料容器内に試薬液を等分(すなわち等量分配)するための少なくとも1つの装置と、これらの装置の制御手段とを備え、さらに、本発明による試料の測光検査装置を備えることによって解決される。
【0013】
本発明については、下記で示され、論じられる図を用いてさらに詳細に説明される。ここで留意すべきは、それらの図が単なる説明用であって、本発明の制限を意図したものでは全くないという点である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明による試料の測光検査装置の1つの実施形態に関する平面図である。この実施形態の場合、装置は1つの測定装置だけしか備えていない。さらに、測定の時間的進行が示されている。
【図2】図2は図1に従って測定手順の時間的進行を例示した概略図である。
【図3】図3は図1に従って本発明による試料の測光検査装置を示す断面図である。
【図4】図4は本発明による試料の測光検査装置のもう1つの実施形態を示す図である。この実施形態は図1の実施形態に相当するが、1つではなく3つの測定装置が存在する点で異なる。
【図5】図5は試料容器を2列に同心配置した本発明による試料の測光検査装置のもう1つの実施形態を示す図である。
【図6】図6は本発明による試料の測光検査装置の3次元図(斜視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明によれば、試料の測光検査装置が提供される。この試料の測光検査装置は、少なくとも2つの試料容器のための1つの試料ホルダ装置と、1つの測定装置と、1つの可動装置とを備えている。ここで、試料ホルダ装置は固定配置されるように形成されており、測定装置は可動装置に配置されて、可動装置によって変位させることができる。
【0016】
本事例において用いられるように、用語「測光検査」は、電磁波を用いた吸収測定、反射測定、回折測定、蛍光測定、燐光測定、化学ルミネセンス測定、および/または、散乱測定に関する。ここで、先ず可視スペクトル(約350nm〜約750nmの波長)の電磁波が着目されるが、赤外(IR)スペクトル(約750nm〜約1mmの波長)及び紫外(UV)スペクトル(約350nm〜約50nmの波長)の電磁波も適用可能である。
【0017】
従来技術とは違って、本発明による試料の測光検査装置ではもはや試料容器は変位させられず、1つまたは複数の測定装置だけが変位させられる。この結果、まず、全体として移動させられる質量が減少するという利点が生じる。さらに、液体試料の場合、変位によって生じる液体のこぼれまたは起こり得る動きが回避される。当該液体のこぼれまたは動きは測定結果の歪曲をもたらす可能性がある。
【0018】
このような理由から、既知の機器は、さらに試料を移動させる駆動速度を適応させ、相応じて減速させること、すなわち、減速プロセスと加速プロセスとの組合わせを常に必要とした。従って、本発明による試料の測光検査装置のもう1つの利点は、今やこの必要性をなくすことが可能になり、従って、装置の駆動速度を増すことが可能になり、その結果測定頻度(毎秒の測定回数)を増すことが可能になるという点である。
【0019】
さらに、可動試料プレートとは異なり、本発明による試料の測光検査装置の場合、加熱素子及びセンサシステムの電源が固定部分に配置されているので、技術的に簡単に試料を加熱することが可能である。
【0020】
さらに、本発明による試料の測光検査装置の場合、試料容器自体は移動されないので、いつでも各試料に接近して取扱うことが可能になる。特に、個々の試料容器を順次に試験するのではなく、対象を絞って個々の試料容器に接近し試験することが可能である。とりわけ、これは、測定装置の変位方向を僅かな労力で変えることを可能にする。実際上、これは、従来技術による既述のカルーセル装置を用いると、質量増大による複雑性の増大を伴ってしか実施することができない。
【0021】
さらに、本発明による試料の測光検査装置は、この構成によってほぼ連続した高頻度測定が可能になるので有利である。これについてはさらに詳細に後述する。
【0022】
以下において、用語「試料ホルダ装置」は、少なくとも2つの試料容器を装着し保持することができる装置を表すものとする。このため、試料ホルダ装置は、少なくとも2つの試料容器を保持する保持手段を備えている。一例として、与えられた試料容器をぴったり嵌るように挿入しさらに取除くことができるように形成された試料ホルダ装置の本体の欠損部(ボア、打抜かれた穴、凹部)が、試料容器の保持に適している。適切に装備された(例えば雄ねじを備える領域または構成部品が設けられた)試料容器を試料ホルダ装置に一時的に固定することを可能にする機械的手段(例えば雌ねじを備えた構成部品)も適している。とりわけ、試料ホルダ装置は、例えば、下から、横から、上から、あるいは、それらの3つの選択肢全ての組合せによる試料の測定を可能する(図3参照)。
【0023】
試料ホルダ装置は、試料容器内の試料温度を調節できるように構成されていると好ましい。このため、試料ホルダ装置は、熱伝導材料を含み、また、電気エネルギを熱エネルギに変換する電気部品、すなわち、例えば加熱コイル、バンドヒータ、または、加熱スリーブとして構成された熱抵抗器を含んでいると好ましい。試料ホルダ装置は、試料を約37℃まで加熱するのがとりわけ好ましい。
【0024】
当業者であれば、試料容器の装着及び試料容器の取外しが安全且つ効率よく実施されるようにするには、試料ホルダ装置をどのように構成しなければならないかが分かっている。試料ホルダ装置への試料容器の装着及び試料容器の取除きは、ユーザが手動で行うことができる。自動分析機器には、試料容器を移送することができるグリッパアームのような被制御装置を設けるのが好ましい。
【0025】
以下において、用語「試料容器」は、測定すべき試料または試料−試薬混合物が収容されている容器を表わすものとする。試料容器は、迅速で正確で且つ再現可能に測定を実施できるように構成されるべきである。さらに、試料容器は、機械内において容易に移送させることができるのが好ましい。その都度用いられる波長スペクトルに対して透明でかつ自己吸収性の低い材料から構成され、費用効率よく製造することもできるキュベットが、一般には好ましい。前記キュベットは、例えば、ポリカーボネートまたはポリメチルメタクリレートのような透明プラスチックから構成することができる。とりわけ紫外光が用いられる用途には、石英キュベットを用いることも可能である。
【0026】
用語「測定装置」は、測光測定の実施に不可欠な構成部品、すなわち、少なくとも1つの光源または少なくとも1つの光検出器を含む装置を表している。測定装置は、少なくとも1つの光源と少なくとも1つの光検出器とを含むと好ましい。
【0027】
以下において、用語「可動装置」は、移動可能である、すなわち、測定装置をさまざまな位置まで駆動することが可能であり、それによってさまざまな位置における試料の試験を可能にする装置を表すものとする。1つの実施形態では、可動装置は、軸に取り付けられて、この軸(回転軸)の周りを回転することができるロッド状構成部品である。
【0028】
試料ホルダ装置上に線状配列をなすように配置される試料容器、及び、可動装置により前述の線状配列に対して平行に変位させることができる測定装置を設けると好ましい。
【0029】
代替案として、試料ホルダ装置上に同心配置をなすように、すなわち、互いに同心状に配置された少なくとも2つの円の形状をなすように配置される試料容器を設けるのも好ましい。これにより、より多くの試料容器を装置に収容することができる(図5)。
【0030】
さらに、試料ホルダ装置上に円弧状配列をなすように配置される試料容器、及び、可動装置により試料容器の円弧状配列のまわりを回転しながら変位させることができる測定装置を設けるのも好ましい。
【0031】
ここでは、固定の非回転ディスク(以下において「円筒状に形成されたキュベット受入れ部」または「円筒状キュベット受入れ部」とも呼ばれる)のような試料容器が配置され、一方、測定装置は回転し、その回転過程において個々の試料容器の位置を通過する。測定装置の回転軸は、試料容器の円弧状配列の中心または同心状に配置された試料容器の共通中心に一致すると好ましい。
【0032】
とりわけ好ましい実施形態の場合、測光検査装置は、例えば25個のキュベット(キュベット間の角間隔が14.4°)を備え、測定装置は2Hzで回転する、すなわち、各キュベットの内容物が、毎秒2回ずつ測定される。ここで、25の位置のうちの1つの位置は、基準値またはブランクが測定される基準位置として用いることができる。
【0033】
さらに、測定装置は、少なくとも1つの光源および/または少なくとも1つの光検出器を備える。測定装置は、少なくとも1つの光検出器と少なくとも1つの光源とを備えると好ましい。円筒状キュベット受入れ部にキュベットを円弧状に配置する場合、光源または光検出器は円筒状キュベット受入れ部の中心まわりに固定配置することが可能であり、その都度1つの光検出器または1つの光源だけが回転することになる。これによって、技術的複雑性を軽減することが可能になる。さらに、この構成によれば、個々の検出ユニット間における精度のばらつきという前述のリスクも回避される。
【0034】
光源はLED(発光ダイオード)を備えるのがさらに好ましい。こうした光源は、従来技術によって既知の他の光源よりも構造サイズが小さく、重量が軽い。これによって、構成が大幅に単純化されることになり、軽量化によって、大質量の測定装置の回転によって生じ得るアンバランスが軽減される。さらに、LEDはほとんど熱を発生せず、LEDの波長スペクトルは正確に決めることが可能であり、従って冷却および/またはフィルタなしで済ますことが可能になり、これによりさらに重量が減り、複雑性が軽減され、構造サイズが縮小し、従ってコストが低下し、アンバランスが抑えられる。さらに、LEDの利用を支援する、衝突及び衝撃に対する大きい反発弾性と迅速なスイッチング及び変調能力がある。
【0035】
しかしながら、適応する設計を施したレーザダイオード、白熱灯、ガス放電ランプ、または、アークランプである光源を設けることも同様に可能である。
【0036】
光検出器は、内部光電効果によって可視光を(実施形態によってはIR光またはUV光も)電流または電圧に変換するフォトダイオードである。
【0037】
あるいはまた、光検出器はCCDセンサである。CCDセンサは、感光性フォトダイオードのマトリックスまたは列を含んでいる。CCDセンサの利用は、測光検査装置が2つ以上の測定装置を備えている場合、例えば測定装置が異なる波長で実施するように意図されている場合、とりわけ好都合である。この場合、CCDセンサの各素子は、1つの測定装置のために光検出器として機能することが可能であり、これにより技術的設計が大幅に単純化される。
【0038】
しかしながら、光電セル、シリコン光検出器、アバランシェ光検出器、または、光電子増倍管である光検出器を設けることも同様に可能である。
【0039】
原理上、測定装置は、さらにその上、フィルタ、光学素子(例えば集光器を構成するためのレンズ)、制御電子装置、評価及び読取り電子装置、および/または、電圧源を備えることが可能である。
【0040】
1つの好ましい実施形態では、測光検査装置は複数の測定装置を備えている。このため、単一の可動装置上に複数の測定装置を一緒に配置すると好ましい(図4参照)。代替案として、その都度1つ又は複数の測定装置が配置される複数の可動装置を設けることも可能である。
【0041】
結果として、いくつかの波長で試料を順次測定することが可能になる。波長は約300nm〜約1100nmの範囲内にあるのが好ましい。とりわけ、波長340nm、405nm、470nm、600nm、及び、850nmは止血検査に特に適しているので、測定検査に用いるのが好ましい。
【0042】
しかしながら、本発明による試料の測光検査装置によって実施される他の測定プロトコルでは、異なる波長を利用することも可能である。当業者であれば、特定の測定のためにどの波長を利用すべきかが分かっている。
【0043】
止血は、血管の負傷時に生じる出血を止める極めて重要な過程であると理解されている。止血系は2つの相反する目的を特徴とする。一方では、持続的な抗凝血によって血液の連続流を確保しなければならず、他方では、必要があれば、止血(すなわち血液凝固)はできるだけ速く導入しなければならず、また負傷位置に正確に限定されなければならない。
【0044】
凝固能力の判定には特殊な試験が利用され、この試験では、血液または血漿試料におけるフィブリン形成速度を測定することによって単一またはいくつかの血液凝固因子の活性度が判定される。こうした凝固試験の典型的な例が、プロトロンビン時間(PT)(クイック試験またはトロンボプラスチン時間とも呼ばれる)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、トロンビン時間(TT)、バトロキソビン時間(BT)、または、エカリン凝固時間(ECT)である。
【0045】
実際の検出反応は、不溶性高分子フィブリンへの初期可溶性のフィブリンの重合に束縛されるので、測光測定が行われる波長の選択が重要である。一般に、測光測定には500nmを超える波長が選択される。これによって、試料(ビリルビン及びヘモグロビン)中における最も一般的な障害が最小限に抑えられる。
【0046】
溶血は、細胞膜の破壊、及び、それに関連したヘモグロビン及び他の細胞血漿成分(例えば乳酸脱水素酵素)の解離による赤血球の分解と理解されている。
【0047】
溶血性血液の場合、血漿及び赤血球の分離によって、例えば血漿中のヘモグロビン含有量の測光定量化が可能になる。血液の測光決定は医学における標準的方法である。従って、溶血は、膜成分、毒性破壊、寄生虫、細菌酵素、及び、構造的特性に対する免疫応答を含むさまざまな基礎疾病の指標として利用することが可能である。
【0048】
溶血測定または止血測定において求めるべき変量には、例えば、ハプトグロビン、網状赤血球、間接型ビリルビン、LDH、及び、カリウム(大量溶血の場合)が含まれる。
【0049】
シアンメトヘモグロビン法の場合、散乱細胞成分の除去後、あらゆる形態のヘモグロビン(Hb)が安定シアンメトヘモグロビン(HbCN)に転換されるが、これは、以前の還元状態または酸化状態とは無関係なスペクトル吸収係数の変化に関連している。等吸収波長における酸化および還元ヘモグロビンの特性吸収スペクトルによって、血液中における酸素飽和度の定量測定が可能になる。さらに、それらの特異吸収スペクトルに基づいて、HbCO(カルボキシルヘモグロビン)、MetHb(メトヘモグロビン)、及び、HbF(胎児性ヘモグロビン)といったヘモグロビン系の濃度を測定することも可能である。一例として、一酸化炭素中毒の場合には、HbCOの増大値を測定することが可能であり、亜硝酸または窒素酸化物吸入の場合には、MetHbの増大値を測定することが可能である。
【0050】
検査された変量に基づいて、溶血測定または止血測定には異なる波長が用いられる。一例として、乳酸脱水素酵素の指示反応(NADHの還元)は340nmで生じると好ましい。
【0051】
試料容器の円弧状配列の場合、複数の測定装置は、可動装置上において一様に円周方向に配置されたアレイをなすように配置することが可能である(図4参照)。
【0052】
こうした配置を施すと、変位可能な測定装置のとりわけ円滑な運転特性が生じ、測定値分析において単純化を実現することが可能になる。
【0053】
さらに、少なくとも1つの測定装置は、可動装置を用いてプロセス中に連続してまたはほぼ連続して測定できるように構成すると好ましい。
【0054】
こうした実施形態の場合、評価電子装置または後続の制御ソフトウェアは、例えば、既知の角度によって、または、例えば測定装置を変位させるステップモータを制御するトリガ信号によって、測定装置と少なくとも2つの試料容器との相互の空間配置を常に知り、決定する。従って、電子装置は、例えば吸収信号のような発生された信号を特定の位置(すなわち、例えば特定のキュベット)にいつでも割り当てることが可能である。一例として、ガラスエッジまたは空隙によって生じた信号と試料によって生じた実際の測定信号との識別を行うことが可能である(図2参照)。
【0055】
ここで用いられる用語「連続して測定する」は、測定装置のアナログ読取りを表している。しかしながら、これは、同様に、例えば>1000Hzといった高読取り速度によるほぼ連続したディジタル読取りを表わす場合もある。
【0056】
さらに、測定精度を高めるために、得られた測定値の少なくとも一部がある特定の時間窓にわたって平均化されるようにすることも可能である。
【0057】
好ましい実施形態の場合、可動装置は試料ホルダ装置の下方に配置される(図3参照)。これによって、全てのキュベットへの好都合にいつでも可能な接近と、連続測定との最も単純な組合せが得られる。これによって、さらに、測定手順中、試料容器内にピペットで試薬をほぼ連続して加えることが可能になる。
【0058】
他の実施形態では、可動装置は試料ホルダ装置の上方に配置されている。こうした実施形態の場合、試料容器は、例えば下から試料ホルダ装置に挿入することが可能である。これによって、試料容器への接近がいつでも可能になるが、この実施形態では、試料容器に対する液体の連続添加が不可能である。
【0059】
さらに、試料ホルダ装置上に配置された少なくとも1つの混合装置を備える測光検査装置を設けることも可能である。
【0060】
溶血測定および止血測定では、特に、必ずしも測定中における試料の連続混合を必要とするわけではないが(場合によっては、これは望ましくないことさえある)、例えば、とりわけ混濁した試料の場合または血小板凝集測定の場合のように、混合が有効である試験要件が存在する。
【0061】
混合装置は磁気混合装置であると好ましい。この好ましい実施形態の場合、混合装置には、例えば、回転電磁場および/または振動電磁場を発生する回転駆動磁石または他の手段を含むことが可能である。磁気混合装置は、例えば、ロッド形状のスターラとしてまたは試料容器内に収容された粒子(いわゆるビード)として形成された第2の磁性体または強磁性体に作用して、これらを動かし、その結果、試料液または試料−試薬混合物が試料容器内で混合される。
【0062】
しかしながら、例えば超音波を利用して混合し、従って試料容器内に磁性体または強磁性体を必要としないような他の混合装置も実現可能である。混合装置は、振動を試料容器に伝達することが可能である回転偏心器またはラウドスピーカを備えることも同様に可能である。
【0063】
測光検査装置が複数の混合装置を備えると好ましい。前述のように1つ又は複数の測定装置と共に試料容器を円弧状に配置する場合、混合装置は、例えば試料容器の25の位置のうち4つに配置することが可能である。全ての試験要件に混合が必要とされるわけではないので、こうした実施形態は、とりわけ溶血測定または止血測定にとって価値のあることが立証されている。
【0064】
本発明のもう1つの対象は、本発明による試料の測光検査装置が含まれている液体試料の自動検査用分析機器である。こうした液体試料の自動検査用分析機器は、通常、例えば第1の自動ピペッタとして構成された試料容器内の試料液を等分するための少なくとも1つの装置と、例えば第2の自動ピペッタとして構成された試料容器内における試薬液を等分するための少なくとも1つの装置と、これらの装置を制御するための手段(ソフトウェア、コンピュータプログラム、アルゴリズム)とを含んでいる。
【0065】
さらに、本発明による試料の測光検査装置を用いた試料の測光検査方法が好ましい。
【0066】
測光検査装置が分析機器の一部をなす該方法は次のように進行する。まず、試料ホルダ装置に、ピペット位置において例えば血液、血漿、および/または、血清のような液体試料を後で充填する例えばキュベットのような試料容器が装着される。次のステップでは、ピペット位置で分析試薬が添加される。この例では、測定前に試料の混合が必要とされるので、試料は、このケースでは測光器である測定装置による試験の前に、分析機器の設定に従ってこのケースでは回転磁石である混合装置によって混合される。この例では、キュベットは円弧状に配置され、5つの測光器が2Hzの速度でキュベットのまわりを回る。測定中、試料は測光器のLEDからの光によって照射される。このケースでは、測光器の光検出器はフォトダイオードである。フォトダイオードは、キュベットを通過する光の強度に比例した電気信号を発生する。試料の試験後、試料が納められたキュベットは、さらに、例えば冷却装置またはPCR機器のような他の機器に移送されるか、または、廃棄容器内に捨てられる。取除かれたキュベットの位置には、新しい試料を収容したキュベットが再び配置される。
【0067】
典型的な例で丁度今説明した手順の代替案として、試料ホルダ装置に試料容器が装着されている場合、および/または、事前の混合なしで測定プロセスが直ちに開始される場合には、試料が試料容器内に収容済みであるようにすることも可能である。
【0068】
従って、本発明のもう1つの対象は、試料を収容した少なくとも2つの試料容器が試料ホルダ装置上に配置され、試料の少なくとも1つの光学特性が測定装置によって測定され、試料ホルダ装置が固定状態に保たれ、測定装置が可動装置によって試料を収容した試料容器の配列に沿って変位させられる試料の測光検査方法である。
【0069】
1つの好ましい実施形態では、試料を収容した試料容器は試料ホルダ装置上に円弧状に配置され、測定装置は試料を収容した試料容器の配列に沿った可動装置の回転運動によって変位させられる。可動装置の回転周波数は約0.02〜約25Hzの範囲内、特に約0.2〜約10Hzの範囲内にあると好ましい。
【0070】
本発明による試料の測光検査方法のもう1つの好ましい実施形態では、試料の少なくとも1つの光学特性が連続して測定される。これは、アナログ式に測定装置を読取ることによって実施可能であるが、例えば>1000Hzの高読取り速度でほぼ連続してディジタル式に読取ることによっても実施可能である。
【0071】
本発明による試料の測光検査方法のもう1つの好ましい実施形態では、試料の少なくとも1つの光学特性が、約300nm〜約1100nmの波長の光によって測定される。波長は、340nm、405nm、470nm、600nm、800nm、または、850nmであると好ましい。
【0072】
本発明による試料の測光検査方法のもう1つの好ましい実施形態では、1つ又は複数の試料または試料−試薬混合物が、測光検査前および/または測光検査中に試料容器内で混合される。試料は磁性ピンまたは強磁性ピンが、回転電磁場および/または振動電磁場によって試料容器内で駆動されることによって混合される。混合速度は約0.01〜約1500rpm(毎分の回転数)の範囲内にあると好ましい。
【0073】
本発明による試料の測光検査方法は、体液試料、好ましくは血液、血漿、および/または、血清試料の測光検査に特に適しており、凝固および/またはフィブリン溶解パラメータの測定、すなわち、溶血測定および/または止血測定に利用すると好ましい。
【0074】
図1には、本発明による試料の測光検査装置の概略図が示されている。この例の場合、試料の測光検査装置10は分析機器の一部である。試料の測光検査装置10は、試料容器を保持する8つの保持手段15を備えた円筒状キュベット受入れ部11として構成された試料ホルダ装置と、LED12及びフォトダイオード13を備える測定装置(このケースでは測光器)と、可動装置14とを具備している。円筒状キュベット受入れ部11は、固定されるように構成され、LED12及びフォトダイオード13は可動装置14上に配置され、LED12は保持手段15に配置されたキュベットの外側を回り、フォトダイオード13はキュベットの内側を回る。LED12とフォトダイオード13とから構成された測定装置は、キュベット内の試料の測光検査を行うために試料を通過する光ビームの強度を連続測定し、その場合、吸収を測定する(対応する基準変量が既知である場合)。プロセス進行中、可動装置が例えば2Hzの速度で時計廻り方向に連続移動する。従って、時点t1で1つの試料が測定され、時点t2で次の試料が測定される。
【0075】
可動装置は、代替案として、反時計廻りに移動するかまたは移動方向を変化させることも可能である。同様に、測定装置は、代替案として、反射、回折、蛍光、燐光、および/または、散乱の測定を実施することも可能である。当業者であれば、特定のケースにおいて、これら他の測定原理に合せて測定装置をどのように構成しなければならないかが分かっている。
【0076】
図2には、図1による連続測定手順の概略図が示されている。斜線部分は、測定装置の測定ビームがキュベットを通過する時間期間をそれぞれ表わしている。1つのキュベットの内容物すなわち1つの試料がちょうど試験されている時点t1において、測定信号は一定である。対照的に、測定ビームが現在2つのキュベット間に位置している場合、LEDからの光がキュベットのガラスエッジでまたは空隙で屈折するので、発生信号は大幅に不均一になる。再び1つのキュベット位置に達するとすぐに、この場合にはt2において(図1参照)、信号は再び均一になる。
【0077】
評価ソフトウェアは、それによってキュベット(試料)に測定値を割り当て、試料に属する測定値と試料間において記録された測定値とを区別することが可能になる。
【0078】
代替案として、評価電子装置は、例えば既知の角度及び角速度を利用して測定装置と試料容器との相互の空間配置を常に知り、従って、発生した信号を特定位置にいつでも割り当てることが可能である。一例として、これによって、ガラスエッジまたは空隙によって発生した信号と試料によって発生した実際の測定信号との区別が可能になる。
【0079】
さらに、測定精度を高めるために、得られた測定値の少なくとも一部が特定の時間窓にわたって平均化されるようにすることも可能である。
【0080】
25個のキュベットを備え、2Hzの回転周波数を持つ試料ホルダ装置の場合、測定ビームは、例えば1秒間に2回ずつ各キュベットを通過する。
【0081】
測定信号が1kHzのサンプリングレートで記録される場合、1回転毎に500個の測定値が記録されるが、その一部(例えば50%)はキュベット間またはそのガラスエッジにおいて発生したものである。従って、1回転毎に250個の評価可能な測定値すなわち「真の」測定値が記録されることになるが、これは、試料ホルダ装置10に25個のキュベットがある場合、キュベット当り10個の「真の」測定値に相当する。この場合、それぞれ、最初の3つの「真の」測定値が廃棄され、次の4つの測定値が平均され、最後の3つの測定値がやはり廃棄されるようにすることが可能である。この場合、測定信号はこのように高サンプリングレートで記録されるので、測光器は、固定キュベットの位置を通過する際、測定変量を求めるのに必要な十分な数の測定値を記録することができる。
【0082】
本発明による試料の測光検査方法が、(例えば異なる波長を持つ)複数の測定装置によって実施される場合、上述のプロセスは、2つのサンプリングチャネルで同時に実施される。
【0083】
本発明によれば、さらに、大幅に高いサンプリングレートが可能になり、それによって平均値算出範囲が広くなるので、最終的にはより高い測定精度が得られる。
【0084】
図3には、本発明による試料の測光検査装置の断面図が示されている。この例の場合、試料の測光検査装置30は、キュベット35のための円筒状キュベット受入れ部31として構成された試料ホルダ装置と、LED32及びフォトダイオード33を備える測光器として構成された測定装置と、可動装置34とを具備している。円筒状キュベット受入れ部31は固定されるように形成され、LED32及びフォトダイオード33は可動装置34上に配置されて、測定中、LED32はキュベット35の外側を回り、フォトダイオード33はキュベット35の内側を回る。可動装置34は円筒状キュベット受入れ部31の下方に配置されている。これにより、例えばグリッパアームによっていつでもキュベット35を把持することが可能になる。
【0085】
図4には、本発明による試料の測光検査装置のもう1つの実施形態が示されている。この実施形態は図1の実施形態に対応するが、1つだけではなく3つの測定装置が存在する点で異なる。さらに詳述すると、試料の測光検査装置40は、キュベットとして構成された試料容器を保持する保持手段45を8つ備えた円筒状キュベット受入れ部41として構成された試料ホルダ装置と、それぞれ1つのLED42及び1つのフォトダイオード43を備える測光器として構成された3つの測定装置と、1つの可動装置44とを具備している。LEDは、目的にかなうように異なる波長で発光するので、複数の波長で試料を測定することが可能である。円筒状キュベット受入れ部41は固定されるように形成され、LED42及びフォトダイオード43は可動装置44上に配置されて、LED42は保持手段45に配置されたキュベットの外側を回り、フォトダイオード43はキュベットの内側を回る。代替案として、可動装置は4つ以上の測定装置(例えば5つ)を備えることが可能である。代替案として、フォトダイオードはCCD素子に置換することが可能である。
【0086】
図5には、試料容器を2列に同心配置した本発明による試料の測光検査装置のもう1つの実施形態が示されている。試料の測光検査装置50は、キュベットとして構成された試料容器を保持する保持手段55を16個備えた円筒状キュベット受入れ部51として構成された試料ホルダ装置と、LED52及びフォトダイオード53を備えた測定装置と、1つの可動装置54とを具備している。円筒状キュベット受入れ部51は固定されるように構成されている。2つの同心円環をなすようにキュベットを配置することによって、キュベット密度、従って検査される試料の個数を全体的に増すことが可能になる。
【0087】
図6には、本発明による試料の測光検査装置60の3次元図(斜視図)が示されている。試料の測光検査装置60は、キュベット65として構成された25個の試料容器のための円筒状キュベット受入れ部61として構成された試料ホルダ装置と、5個の測定装置を具備している。それぞれの測定装置は、共通の可動装置上に配置されたフォトダイオードから成る光検出器を保持するための外側ホルダ62及びLEDから成る光源を保持するための内側ホルダ72を含む。円筒状キュベット受入れ部61は固定されるように構成されている。可動装置は、円筒状キュベット受入れ部61の下方に配置されている。これによって、全てのキュベットへの接近と連続測定とを最も簡単にいつでも組み合わせることができる。さらに、これによって、測定手順中、試料容器内にピペットで試薬をほぼ連続して加えることが可能になる。
【0088】
図とは異なり、LEDがキュベットの内側を回り、フォトダイオードがキュベットの外側を回るようにすることも可能である。
【0089】
もちろん、図1、4、5、及び、6に示す代替実施形態は、個々にまたは互いに多重的に組み合わせることが可能である。
【0090】

本発明による装置は、実現可能性及びオペラビリティを立証するため、下記のように実施された。
【0091】
この例の場合、血液試料における止血を監視するために、(I、I0)吸収つまり吸光/濁度測定が実施される。試料ホルダ装置は、試料ホルダ装置上に円弧状に配置される25個のキュベット用として設計されている。試料ホルダ装置の4つの位置に、それぞれ、マグネチックスターラーとして構成された1つの混合装置が配置されている。さらに、測光検査装置は、340nm、405nm、470nm、600nm、及び、850nmの波長における測定のためにそれぞれ1個ずつ、合計で5個の測光器を含んでいる。
【0092】
【表1】

【0093】
測光器は、2Hzの速度で試料容器の周りを回る可動装置に配置されている。回転はステップモータによって生じさせるのが好ましい。
【0094】
25個の試料容器のうちの1個の試料容器は、I0を決定する制御容器として用いられ、従って標準液だけが充填される。測定装置の読取り速度は、150kHzである、すなわち、予め定められた軌道においてキュベット1個当り及び1回転当り3000個の測定値が記録される。これから中心窓が定められ、それからさらに平均値が計算される。この平均値は定められた波長に関する試料の吸収度を反映する。
【符号の説明】
【0095】
10 試料の測光検査装置
11 円筒状キュベット受入れ部として構成された試料ホルダ装置
12 LEDから成る光源
13 フォトダイオードから成る光検出器
14 可動装置
15 試料容器を保持する保持手段
30 試料の測光検査装置
31 円筒状キュベット受入れ部として構成された試料ホルダ装置
32 LEDから成る光源
33 フォトダイオードから成る光検出器
34 可動装置
35 キュベットとして構成された試料容器
40 試料の測光検査装置
41 円筒状キュベット受入れ部として構成された試料ホルダ装置
42 LEDから成る光源
43 フォトダイオードから成る光検出器
44 可動装置
45 試料容器を保持する保持手段
50 試料の測光検査装置
51 円筒状キュベット受入れ部として構成された試料ホルダ装置
52 LEDから成る光源
53 フォトダイオードから成る光検出器
54 可動装置
55 試料容器を保持する保持手段
60 試料の測光検査装置
61 円筒状キュベット受入れ部として構成された試料ホルダ装置
62 光検出器を保持するための外側ホルダ
65 キュベットとして構成された試料容器
72 光源を保持するための内側ホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の測光検査装置(10、30、40、50、60)であって、
少なくとも2つの試料容器を保持する保持手段(15、45、55)を有する試料ホルダ装置(11、31、41、51、61)と、
測定装置と、
可動装置(14、34、44、54)とを少なくとも備え、
前記試料ホルダ装置(11、31、41、51、61)は固定され、前記測定装置は、前記可動装置(14、34、44、54)上に配置されて前記可動装置によって変位可能である
ことを特徴とする試料の測光検査装置。
【請求項2】
前記試料容器を保持する保持手段が、前記試料ホルダ装置上に線状配列をなすように配置され、前記測定装置が、前記線状配列に対して平行に変位可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記試料容器を保持する保持手段(15、45、55)が、前記試料ホルダ装置(11、31、41、51、61)上に円弧状配列をなすように配置され、前記測定装置が、前記円弧状配列の周りを回転しながら変位可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記測定装置が、少なくとも1つの光源(12、32、42、52)および/または少なくとも1つの光検出器(13、33、43、53)を備えることを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載の装置。
【請求項5】
前記光源(12、32、42、52)がLED(発光ダイオード)またはLD(レーザダイオード)を備えることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記測光検査装置が複数の測定装置を備えることを特徴とする請求項1乃至5の1つに記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つの測定装置が、プロセス中、前記可動装置(14、34、44、54)によって連続的に測定できるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の1つに記載の装置。
【請求項8】
前記可動装置(14、34、44、54)が前記試料ホルダ装置(11、31、41、51)の下方に配置されていることを特徴とする請求項1乃至7の1つに記載の装置。
【請求項9】
前記測光検査装置が、さらに、前記試料ホルダ装置(11、31、41、51、61)上に配置された少なくとも1つの混合装置を備えることを特徴とする請求項1乃至8の1つに記載の装置。
【請求項10】
前記混合装置が磁気混合装置であることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記測光検査装置が複数の混合装置を備えることを特徴とする請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
試料の測光検査を行うために請求項1乃至11の1つに記載の装置(10、30、40、50、60)が用いられる試料の測光検査方法。
【請求項13】
試料を収容した少なくとも2つの試料容器が1つの試料ホルダ装置(11、31、41、51、61)上に配置され、前記試料の少なくとも1つの光学特性が測定装置によって測定される試料の測光検査方法であって、前記試料ホルダ装置が固定状態に保たれ、前記測定装置が、可動装置(14、34、44、54)によって、試料を収容した前記試料容器の配列に沿って変位させられる試料の測光検査方法。
【請求項14】
試料を収容した前記試料容器が、前記試料ホルダ装置上に円弧状に配列され、前記測定装置が、試料を収容した前記試料容器の円弧状配列に沿った前記可動装置の回転運動によって変位させられることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記可動装置の回転周波数が0.02〜25Hzの範囲内にあることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記試料の少なくとも1つの光学特性が連続して測定されることを特徴とする請求項13乃至15の1つに記載の方法。
【請求項17】
前記試料の少なくとも1つの光学特性が、波長300nm〜1100nmの光によって測定されることを特徴とする請求項13乃至16の1つに記載の方法。
【請求項18】
測光検査前および/または測光検査中に、1つ又は複数の試料が前記試料容器内で混合されることを特徴とする請求項13乃至17の1つに記載の方法。
【請求項19】
磁性ピンまたは強磁性ピンが前記試料容器内で回転電磁場および/または振動電磁場によって駆動されることにより試料が混合されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
混合速度が0.01〜1500rpmの範囲内にあることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
体液試料の測光検査に用いられる請求項12乃至20の1つに記載の方法。
【請求項22】
前記方法が溶血測定および/または止血測定に用いられることを特徴とする請求項12乃至21の1つに記載の方法。
【請求項23】
液体試料の自動検査用分析機器であって、試料容器内に試料液を等分するための少なくとも1つの装置と、試料容器内に試薬液を等分するための少なくとも1つの装置と、これらの装置の制御手段とを備え、さらに、請求項1乃至11の1つに記載の試料の測光検査装置(10、30、40、50、60)を備えることを特徴とする液体試料の自動検査用分析機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−75560(P2011−75560A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218809(P2010−218809)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(510259921)シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス プロダクツ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (11)
【Fターム(参考)】