説明

試料のX線解析を実行する方法及び装置

本発明は、試料のX線回折(XRD)解析及び/又はX線蛍光(XRF)解析を実行する方法であって、X線源からのX線を試料に照射し、走査波長選択器と波長選択器により選択されたX線を検出するX線検出器とを備えるXRD・XRF複合検出装置を提供し、走査波長選択器を使用して試料により回折されるX線の固定波長を選択してX線検出器を使用して試料での1つ又は複数の値の回折角φでの選択された固定波長のX線を検出することにより試料のXRD解析を実行し、及び/又は、走査波長選択器を使用して試料により発せられたX線の波長を走査してX線検出器を使用して走査された波長のX線を検出することにより試料のXRF解析を実行する方法を提供する。試料のXRD解析及びXRF解析の両方を実行する装置であって、走査波長選択器と、XRD・XRF複合検出装置を備える装置も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料のX線解析を実行する方法及び装置に関し、特に、試料のX線回折解析及びX線蛍光解析の両方の実行に関する。
【背景技術】
【0002】
X線を使用することによる試料の解析は周知である。X線回折(XRD:X-ray diffraction)の技法は、結晶試料の構造的(すなわち、結晶学的)特性を特定するために使用される。XRDでは通常、X線回折計は、通常、コリメート又は焦点合わせされて、解析すべき試料を照射し、例えば、8.043keVの強い特徴的なX線ラインを有する単色X線源と、試料による回折の後、この放射線を検出するように最適化された検出器とを組み込む。通常、X線源及び検出器は両方とも、試料の周囲を角度移動(回転)して、回折角(φ)を走査し、この角度を図1に示す。特定の用途に最適化された回折セットアップの多くの変形がある。通常、解析すべき試料は多結晶であり、多結晶は、小さなサイズの晶子が試料内で等方的且つランダムに分布することを意味する。方向に応じて、入射X線は1組の晶子に到達することができ、1組の晶子は、結晶面が、これらの晶子からの集合的な回折が所与の検出方向、すなわち、ブラッグの法則によって決まる所与の回折角(φ)に沿って生じるように向けられた状態で分布する。入射及び試料内部の経路長に沿った回折ビーム減衰に関する問題もあり、この問題は、試料の表面の近傍にある晶子からの回折を優先することにより軽減することができる。これは、試料を傾けることにより行うことができる。ある範囲の角度にわたる回折X線の検出は、ブラッグの法則の条件が満たされる場合、回折強度の特徴的なピークを有する角度回折パターン又はディフラクトグラムを提供し、解析される試料の結晶構造についての情報を、この角度回折パターンから取得することができる。しかし、XRDは、試料の元素組成についての情報を提供しない。
【0003】
試料の元素組成についての情報を得るために、化学的(例えば、滴定)又は分光(例えば、光学的放射)等の異なる技法を使用することができ、すべてが各自の利点及び欠点を有する。X線蛍光(XRF:X-ray fluorescence)現象を使用して、元素解析を実行し、試料の正確な定量的組成情報を非破壊的に取得することができる。XRF技法では、試料はX線ビームで照射され、X線ビームは、材料の構成元素の波長特徴を有する二次X線の放射を誘導する。最も広い様々な材料でX線蛍光を誘導するために、多色X線源を使用して、可能な限り広い範囲の波長にアクセスする。XRF分光計は、エネルギー分散(EDXRF:Energy Dispersive XRF)型又は波長分散(WDXRF:Wavelength dispersive SRF)型である。WDXRF装置の主な特徴は、多色性、通常は発散X線源、関心のある波長ピークを選択する分散手段、及びX線検出器である。分散手段は通常、平坦又は湾曲した結晶であり、平行又は合焦ビーム光学系をそれぞれ有する。結晶と検出器との角度(θ)を変更することにより、発せられた二次X線の、検出器に達する波長を走査することができる。最新技術のXRF装置は、それぞれが各自の結晶と、同時に検出する関連する固定波長とを有するいくつかの静的又は同時検出チャネル及び/又は関心のある波長を順次走査する回転装置を組み込むことができる。しかし、XRF技法は、試料の構造又は結晶相についての情報を提供しない。
【0004】
上記考察に鑑みて、XRD技法及びXRF技法の両方を1つの機器で提供して、解析性能を高めると共に、研究室でのコスト及び設置面積の両方を低減することが望ましいことが分かる。しかし、これは、2つの技法の要件が上述したようにかなり異なるため、複雑である。
【0005】
同じ機器を使用してXRF及びXRDを実行するいくつかの従来技術による装置がある。いくつかの従来技術による解決策は、例えば、米国特許出願公開第3,344,274号明細書(特許文献1)及び国際公開第2008/107108A1号パンフレット(特許文献2)に記載のように、2つのX線源を利用する。そのような設計は明らかに複雑で高価である。別の従来技術による設計は、欧州特許第183,043号明細書(特許文献3)に記載されており、これは、1つのX線源を使用するが、XRF及びXRDの両方が可能な装置を生成するために、ゴニオメータという複雑な装置を必要とする。後者の設計は、装置のジオメトリが変更された場合に、必要な精密性及び再現性による困難性を生じることがある。
【0006】
別の従来技術による解決策は米国特許第5,406,608号明細書(特許文献4)に記載されており、これは、1つの垂直に搭載されたX線源を使用し、X線管の周囲に方位角的に搭載された複数のXRFチャネルを実施する。XRFチャネルは、XRF測定のみに使用可能である。XRFチャネルに加えて、試料の周囲を回転する別個のXRF単色検出装置がある。XRD検出装置は、コリメータと、結晶と、検出器とを備える。この装置は、XRDパターンを記録するアクチュエータにより試料の周囲を移動可能な支持体に搭載される。この検出装置は、XRD測定専用であり、検出器と結晶との角度は、XRDに最適化されるように固定される。しかし、この設計は、XRD検出がXRF検出とは別個であり、追加の空間と、複数の構成要素とを必要とする欠点を有する。
【0007】
国際公開第97/25614号パンフレット(特許文献5)では、コスト、サイズ、及び複雑性の増大を犠牲にして、別個の検出システムを有する装置が提案されている(XRF用に最適化された1つの走査WDXRF及びXRD用の固定された単色システム)。その場合、さらに、回折角が、一次コリメータの傾斜のみを使用して、すなわち、ゴニオメータを使用せずに走査され、回折スペクトルの非常に限られた部分しか走査することができないことに留意する。2つの別個の検出システムを有する別の装置が、国際公開第97/13142号パンフレット(特許文献6)に提案されている。
【0008】
例えば、米国特許出願公開第2006/088139A1号明細書(特許文献7)又は米国特許第6,798,863号明細書(特許文献8)に記載のように、XRD及びXRFの測定で試料の照射に使用される1つ又は複数の単色XRD源を有する既知の従来技術による設計がある。しかし、この機器は、蛍光により測定可能な組成の範囲をかなり制限する特定のXRD放射源を使用するため、効率的な最新技術のX線蛍光測定を実行することができない。加えて、これらの場合、XRF検出器はエネルギー分散(EDX)型であり、それに従って、XRF性能は、波長分散型を使用する場合と比較して制限される。さらに、米国特許第6,798,863号明細書(特許文献8)では、XRDパターンは、CCDライン又はストリップ検出器を使用して記録され、ここでも、この検出器は、性能を制限し、XRD用途のみに使用される特定の追加の構成要素を必要とする。ストリップ検出器により、回折パターンの同時取得が可能であるが、多くの欠点として、平行(コリメート)ジオメトリと併用できないこと、スペクトルが歪む潜在性があること、エネルギー弁別が不十分なこと、データ取得電子回路が複雑なこと、及びピーク追跡に使用できないこと、並びに通常はコストが高いことが挙げられる。
【0009】
XRF及びXRDの両方を実行する共通の検出装置は、例えば、X線源、結晶の種類、及びコリメータ発散の選択に関する妥協を必要とするため、達成が簡単ではない。XRFに一般に使用される検出器を使用してのXRDの波長検出も、X線のエネルギースペクトルがXRDとXRFとでかなり異なるため、普通ではない。米国特許第4,263,510号明細書(特許文献9)には、XRD−XRF装置が開示されており、この装置はここでも、主にXRDに最適化され、これは、XRDに使用されるX線管(単色X線管)に一般に使用される陽極ジオメトリのタイプに最適化された点様源コリメータにより示される。X線管は、試料から比較的遠くに位置決めもされ、その結果、XRF装置が、最大蛍光強度を得るために、試料の可能な限り近くに配置された多色X線源を使用して、試料表面上の可能な限り広い面積を照明すべきであるため、X線蛍光信号が低減する。X線検出器の場合、米国特許第4,263,510号明細書(特許文献9)は、エネルギー分散(EDX)又は波分散(WDX)解析器の使用を参照するが、この明細書内の図面は、示される検出器のコンパクト性により、エネルギー分散検出の必要性を強く暗示している。さらに、試料から遠いXRD X線管の位置により、且つ単色管であるように見えることにより、X線信号が、波分散解析により効率的に検出するには遅すぎるため、検出器は、XRF装置として任意の実際用途を有する装置の場合、エネルギー分散型である必要があり、確実に、ポリクロメータよりもむしろ波長走査装置(モノクロメータ)を使用する波長分散解析ではない。これは、装置を使用して行うことができるXRF測定の範囲及び柔軟性をひどく制限する。したがって、良好な感度並びにXRDを使用してXRFを記録するには、一般に、上述したように、XRF及びXRDに2つの別個の検出システムが必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第3,344,274号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/107108A1号パンフレット
【特許文献3】欧州特許第183,043号明細書
【特許文献4】米国特許第5,406,608号明細書
【特許文献5】国際公開第97/25614号パンフレット
【特許文献6】国際公開第97/13142号パンフレット
【特許文献7】米国特許出願公開第2006/088139A1号明細書
【特許文献8】米国特許第6,798,863号明細書
【特許文献9】米国特許第4,263,510号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記背景に鑑みて、本発明が成された。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の態様によれば、試料のX線回折(XRD)解析及び/又はX線蛍光(XRF)解析を実行する方法であって、
X線源からのX線を試料に照射するステップと、
走査波長選択器と、波長選択器により選択されたX線を検出する少なくとも1つのX線検出器とを備える、XRD・XRF複合検出装置を提供するステップと、を含み、さらに、
走査波長選択器を使用して、試料により回折されるX線の少なくとも1つの固定波長を選択し、少なくとも1つのX線検出器を使用して、試料での1つ又は複数の値の回折角φでの選択された固定波長のX線を検出することにより、試料のXRD解析を実行するステップと、
走査波長選択器を使用して試料により発せられたX線の波長を走査し、少なくとも1つのX線検出器を使用して、走査された波長のX線を検出することにより、試料のXRF解析を実行するステップの一方又は双方を含む方法が提供される。
【0013】
本発明の別の態様によれば、試料のX線回折(XRD)解析及び/又はX線蛍光(XRF)解析を実行する装置であって、
X線源と、
試料にX線源からのX線を照射することができるように、試料を保持する試料ホルダと、
走査波長選択器及び波長選択器により選択されるX線を検出する少なくとも1つのX線検出器を備えるXRD・XRF複合検出装置とを備え、装置は、
(i)走査波長選択器を使用して、試料により回折されるX線の少なくとも1つの固定波長を選択し、少なくとも1つのX線検出器を使用して、試料での1つ又は複数の値の回折角φでの選択された波長のX線を検出することにより、XRD解析を実行し、
(ii)波長選択器を使用して試料により発せられたX線の波長を走査し、X線検出器を使用して、走査された波長のX線を検出することにより、試料のXRF解析を実行する
ように動作可能である装置が提供される。
【0014】
本発明は、XRD解析の回折計及びXRF解析の分光計の両方として機能する同じ構成要素(すなわち、XRD・XRF複合検出装置の構成要素)を使用できるようにする。換言すれば、XRD・XRF複合検出装置は、試料のXRD測定及びXRF測定の両方の場合にX線を検出可能である。有利なことに、本発明は、一方の技法から他方の技法に切り替える際に複雑性を含まない。受け取ったX線蛍光放射の波長を走査することによる波長分散XRF(WDXRF)測定又は適切な1つ若しくは複数の波長を選択して固定し、試料での回折角を走査することによるXRD解析のいずれにも使用可能な、1つの複合検出装置を使用することにより、本発明は、装置の構成要素のコスト及びスペースの両方が大きく節約される。したがって、装置は、XRD測定とXRF測定とを1つの機器に組み合わせる既存の設計よりも安く小さく作ることができ、研究室又は現場でのより小さな設置面積に繋がる。さらに、本発明は、1つのX線源を使用して実施することができ、ここでも、コスト及びスペースの理由により有利である。本発明は、単純な実施形態では、1つのみの波長選択器と、XRD解析及びXRF解析の両方に使用されるX線検出のみを使用して実施することができ、それにより、コンパクトで安価なXRD/XRF複合機器を提供する。
【0015】
好ましくは、X線は多色性である。すなわち、X線源は、好ましくは、多色X線源である。走査波長選択器と組み合わせて、これは、両方とも同じ検出装置を使用して広範囲の試料でXRFに最適化されると共に、XRDを実行可能な装置及び方法を提供する。
【0016】
好ましくは、本発明は、試料が平行X線ビームで照射されるように、第1の又は一次コリメート要素をX線源と試料との間に提供することを含む。
【0017】
好ましくは、X線源は、試料に90度未満の角度で搭載される。
【0018】
XRDパターン(すなわち、回折角に対する回折X線強度のパターン)を記録するために、試料での回折角φが変更され、選択された波長のX線が、複数の値のφで検出される。φの変更は、例えば、1つの回折ピークの検出が要求される場合、回折ピークの中心に、複合検出器装置を位置合わせするためにも望ましいことがある。したがって、XRDの場合、本発明の方法は、好ましくは、X線の選択された固定波長の試料での回折角φを変更すること、すなわち、試料での複数の値の回折角φでの選択された固定波長のX線を検出することを含む。したがって、装置は、好ましくは、波長選択器を使用して試料により回折されるX線の少なくとも1つの固定波長を選択し、選択された波長のX線の試料での回折角φを変更し、X線の選択された波長を検出することにより、試料のXRD解析を実行するように動作可能である。したがって、好ましくは、角度走査手段が提供されて、走査波長選択器により選択されるX線の試料での回折角φを変更する。角度走査手段は、好ましくは、以下のうちの1つを含む:複合検出器装置及び/又はX線源を移動させる手段、X線源と試料との間に位置決めされた一次コリメータを移動(例えば、傾斜)させる手段。角度走査手段は、より好ましくは、ゴニオメータを含む。本明細書で使用される場合、ゴニオメータという用語は、当分野において既知のように、搭載された構成要素を精密な角度位置に回転させることができる任意の機構を意味するものである。例えば、ゴニオメータを提供して、複合検出器装置及び/又はX線源を移動させて、試料でのX線の回折角を精密に変更することができる。したがって、実施形態では、好ましくは、X線源及びXRD・XRF複合検出装置のうちの一方又は両方をゴニオメータに搭載して、走査波長選択器により選択されるX線の試料での回折角φを変更し、そのようなゴニオメータは、本明細書では、一次ゴニオメータと称する。XRD・XRF複合検出装置は、好ましくは、波長分散要素(例えば、結晶)でのX線の角度θを変更する少なくとも1つのゴニオメータも備え、そのようなゴニオメータは、本明細書では二次ゴニオメータと称する。したがって、二次ゴニオメータは、好ましくは、一次ゴニオメータに搭載される。特に、X線検出器を二次ゴニオメータに搭載するのがよい。いくつかの実施形態では、例えば、角度φを小さく変更するために、装置は、好ましくは、源からのX線をコリメートする一次コリメータをさらに備え、一次コリメータは、回転可能(すなわち、傾斜可能)に搭載されて、走査波長選択器により選択されるX線の試料での回折角φを変更する。
【0019】
好ましくは、X線の選択された固定波長の試料での回折角φを変更することは、以下のうちの1つ又は複数を含む:
i)XRD・XRF複合検出装置を試料の周囲で角度移動させること、
ii)X線源を試料の周囲で角度移動させること、及び
iii)試料に対して第1のコリメート要素を傾斜させること。
【0020】
換言すれば、装置は、好ましくは、試料での回折角φを変更するために、以下のうちの1つ又は複数を含む:
i)XRD・XRF複合検出装置が、試料の周囲で角度移動可能であること、
ii)X線源が試料の周囲で角度移動可能であること、及び
iii)第1のコリメート要素が、試料に対して傾斜可能であること。
【0021】
いくつかの実施形態では、試料の傾斜により、多結晶の異なる平面にアクセスすることが可能になる。したがって、そのような実施形態では、試料ホルダが、好ましくは、試料を傾斜させるように動作可能である。
【0022】
好ましくは、本発明は、走査波長選択器、例えば、波長選択器の波長分散要素において回折角θを固定することにより、X線源の1つ又は複数の特徴的な放射線をXRD解析での固定波長として選択することを含む。
【0023】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明は、XRD解析において、2つ以上の固定波長を選択すること、及び2つ以上のX線検出器を使用して2つ以上の固定波長X線を検出することを含む。したがって、いくつかの好ましい実施形態では、装置は、異なる波長のX線を検出する2つ以上のX線検出器を備えるとよい。2つ以上の検出器は、好ましくは、X線を順次検出する。
【0024】
好ましくは、本発明は、XRF解析において、試料での回折角φを固定し(一定に保ち)ながら、波長選択器の波長分散要素での回折角θを走査することにより、試料が発するX線の波長を走査することを含む。好ましい実施形態では、各X線検出器は、検出されたX線の波長分散要素での回折角θを変更するゴニオメータに搭載される。各検出器は、回折角θを変更する別個のゴニオメータに搭載するとよい。
【0025】
好ましくは、走査波長選択器は、入力コリメート要素と、波長分散要素と、少なくとも1つの出力コリメート要素とを備え、入力及び出力コリメート要素は、波長分散要素の両側に位置決めされ、少なくとも1つのX線検出器が、少なくとも1つの出力コリメート要素の後に位置決めされ、入力及び出力コリメート要素は、波長分散要素に対して角度θで位置決めされ、角度θを変更させて、X線の波長を選択又は走査することができる。
【0026】
好ましくは、入力及び出力コリメート要素のそれぞれは、コリメータであり、波長分散要素は平坦な結晶である。
【0027】
XRD解析は、試料により回折されるX線の1つまたは2つ以上の固定波長を選択することにより実行することができる。したがって、本明細書では、試料により回折されるX線の固定波長を選択する特徴は、X線の少なくとも1つの固定波長を選択することを意味する。XRDに選択される波長は、本明細書では、XRD解析中に検出に選択され、XRD解析中に変更されない波長であるため、固定波長と呼ばれる。選択される固定波長は、好ましくは、X線源/管の特徴的な放射線であるように選択される。簡易性及びコストの視点から有利である特定の実施形態では、試料により回折されるX線の1つの固定波長が、走査波長選択器を使用して検出に選択される。そのような実施形態では、X線の選択された波長の検出に必要なのは、1つのみのX線検出器であることができ、結果として生成される1つのXRDパターン(例えば、強度と回折角との関係)が得られる。正確性の視点から有利であるいくつかの他の実施形態では、試料により回折されるX線の2つ以上の固定波長が、走査波長選択器を使用して検出に選択される。そのような実施形態では、走査波長選択器は、回折X線の波長を分散させ、選択された各固定波長を別個の検出器に送ることができる。試料により回折されるX線の2つ以上の固定波長が選択され、同時に検出される場合、結果として生成される2つ以上のXRDパターンを同様に同時に得ることができる。
【0028】
少なくとも1つのX線検出器が、XRD・XRF検出装置に提供される。1つのX線検出器を、コスト及び簡易性を理由として提供することができる。しかし、2つ以上のX線検出器のそれぞれを提供して、試料からX線の異なる波長範囲、すなわち、単色X線を同時に、又はより好ましくは順次検出して、2つ以上のXRDパターン(XRDモードの場合)を同時又は順次、記録し、且つ/又はXRFスペクトルをより高速に取得し、若しくはより広い波長範囲にアクセスし、若しくは感度を向上させることができ、その理由は、波長が波長選択器により走査される場合(XRFモードの場合)、各検出器が異なる範囲の波長を検出可能なためである。各検出器は、特定のX線波長範囲に最適な感度を有して、性能を向上させることができる。例えば、低エネルギー範囲のスペクトルの場合、好ましくは、フロー比例計数器(FPC)等のガス検出器又はシール検出器が使用され、高エネルギー範囲のスペクトルの場合、シンチレータのような他の検出器が好ましい。
【0029】
本発明のさらなる変形は、複数(すなわち、2つ以上)の波長分散要素、例えば、複数の結晶をXRD・XRF複合検出装置内で使用して、XRFの波長範囲を拡張し、又はXRD測定を向上さえることを含む。したがって、いくつかの実施形態では、複数の結晶を設けることができ、複数の結晶は、例えば、自動交換手段(例えば、回転式タレット)により検出装置内で交換することができる。
【0030】
XRD測定を拡張するため、又はXRF性能を向上させるために、X線源に、例えば、複数の陽極材料を有するX線管を提供することにより、複数の特徴的な放射線を提供することができる。
【0031】
これより、本発明について添付図面を参照して単なる例としてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による装置の実施形態の側面図を概略的に示す。
【図2】XRD測定の場合に回折角を変更する異なる方法を示す、本発明による装置の様々なさらなる実施形態の側面図を概略的に示す。
【図3】XRD測定の場合に回折角を変更する異なる方法を示す、本発明による装置の様々なさらなる実施形態の側面図を概略的に示す。
【図4】XRD測定の場合に回折角を変更する異なる方法を示す、本発明による装置の様々なさらなる実施形態の側面図を概略的に示す。
【図5】XRD測定の場合に回折角を変更する異なる方法を示す、本発明による装置の様々なさらなる実施形態の側面図を概略的に示す。
【図6】複数のX線検出器を備えた本発明による装置の別の実施形態の側面図を概略的に示す。
【図7】構成要素の可能な移動モード及び可能な搭載構成のいくつかを示す本発明の実施形態の斜視図を概略的に示す。
【図8】第1の検出器を使用するXRF解析の場合の動作を示す本発明の実施形態の斜視図を概略的に示す。
【図9】第1の検出器を使用するXRF解析の場合の動作を示す本発明の実施形態の斜視図を概略的に示す。
【図10】図8及び図9と同様であるが、第2の検出器を使用するXRF解析の場合の動作を示す図を示す。
【図11】XRD解析の場合の様々な動作モードを示す本発明の実施形態の斜視図を概略的に示す。
【図12】XRD解析の場合の様々な動作モードを示す本発明の実施形態の斜視図を概略的に示す。
【図13】XRD解析の場合の様々な動作モードを示す本発明の実施形態の斜視図を概略的に示す。
【図14】XRD解析の場合の様々な動作モードを示す本発明の実施形態の斜視図を概略的に示す。
【図15】図15A、15Bは、XRD解析の場合の様々な動作モードを示す本発明の実施形態の斜視図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1を参照して、本発明による装置1の実施形態を概略的に示す。装置1は通常(必ずしもではないが)、チャンバ(図示せず)内部に収容され、チャンバには適切なガスの排気且つ/又は流入を行って、XRD及びXRFの分野で既知のように、雰囲気環境を制御することができる。装置1は、試料ホルダ(図示せず)に保持された試料4を照射するX線源2を備える。源2からのX線は、ビーム照射軸8に沿って試料4に移動する照射ビーム7の形態である。照射軸は通常、X線源の長軸と略同軸である。
【0034】
本発明のX線源は、好ましくは、多色X線源であり、より好ましくは多色X線管である。多色X線管は、望ましくは、XRF測定に通常利用されるタイプのものである。本発明は、好ましくは、1つのX線源、例えば、1つのX線管を利用し、この1つのX線源を用いて、XRD及びXRFの両方を実行することができ、大きなコスト削減に繋がる。したがって、適したX線源は、以下のタイプのX線管のうちの1つを含むことができる:端部窓X線管(end−window X−ray tube)、側部窓X線管(side−window X−ray tube)、二重陽極X線管、及びトランスミッション陽極X線管(transmission anode X−ray tube)。X線管の典型的な陽極材料はRhであるが、特別な用途では、以下の材料のうちの1つ又は複数を含む他の陽極材料を使用することができる:Pd、Cr、Mo、W、Sc、Cu、Au、又はPt。X線源は、好ましくは、試料表面の近傍に位置決めされ、例えば、一次コリメータをX線源と試料との間に位置決めできるようにしながら、可能な限り近くに位置決めされる。
【0035】
源からのX線は、少なくともXRD測定の場合、好ましくは、平行ビームのX線の形態である。したがって、最も好ましくは、X線源は多色性平行ビームX線源である。したがって、試料は、好ましくは、源からのX線の平行ビームで照射される。好都合なことに、X線は、X線管から、本明細書では第1、一次、又はソースコリメータと呼ばれる第1、一次、又はソースコリメート要素、好ましくは、コリメータにX線を通すことにより、平行ビームとして得られる。本発明での使用に好ましいコリメータは、ソラーコリメータである。したがって、試料は、好ましくは、X線源を用いて一次ソラーコリメータを通して照射される。2つ以上のコリメート要素(例えば、2つ以上のコリメータ)を提供することができ、2つ以上のコリメート要素は、X線ビーム内に交換可能に位置決めして、試料へのビームのコリメートを変更することができる。図では、一次コリメータ6はX線源2の前に示されている。いくつかの実施形態では、一次コリメータ6は退避可能であり、それにより、所望のようにX線ビーム内外に横方向において移動可能であり、例えば、XRFのみを実行すべき場合にはビームから出るように移動させ、XRDを実行すべき場合にはビーム内に移動させることができる。図1を参照すると、一次コリメータは、ページの平面において、又はページに垂直にX線ビーム内外に横方向において移動できる。一次コリメータは、駆動装置(図示せず)、例えば、線形駆動装置によりそのように移動できる。したがって、本発明は、一次コリメータの横方向位置を移動させる駆動装置を備えるのがよい。いくつかの実施形態では、より詳細に後述するように、一次コリメータ6は、一次コリメータ6に入るX線ビームに対して傾斜して、試料に衝突するビーム照射軸の角度を変更させる(ひいては、後述するように角度φを変更させる)ことができる。一次コリメータは、駆動装置、例えば、一次コリメータの横方向位置を移動させる同じ又は異なる駆動装置により傾斜させることができる。コリメータを傾斜させる駆動装置は、回転駆動装置でもよい。図1では、XRF管が、蛍光に最適化され、コリメータ6を介して試料に平行ビーム入射を提供する多色性放射線を発する源2として使用される。
【0036】
X線源は、試料に対して任意の適した角度で搭載することができる(すなわち、任意の適した角度で照射軸を提供するように)。より詳細に後述するように、いくつかの実施形態では、X線源(ひいては照射軸)は、試料の周囲で角度移動可能(例えば、回転可能)であることができ、その一方で、他の実施形態では、所定位置に固定してもよい。X線源は、試料に垂直に(すなわち、直交して)(すなわち、X線ビーム軸8が試料表面に垂直であり、任意選択的に、試料と略同軸の状態で)搭載してもよく、又は本明細書では傾斜と呼ばれる90度未満の角度で(すなわち、X線ビーム軸8が試料表面に対して90度未満の状態で)搭載してもよい。好ましくは、X線源(それにより、照射軸8)は、試料に傾斜して搭載される。これは、米国特許第5,406,608号明細書に記載の従来技術とは対照的であり、米国特許第5,406,608号明細書に記載の従来技術では、X線管は、管の周囲に方位角的にXRFチャネルを収容すると共に、片側に別個のXRD検出チャネルを収容する必要性により、試料に対して垂直に搭載される。X線管の搭載は通常、走査可能な回折角範囲を制限するため、本発明は、好ましくは、試料表面に対して90度未満の角度で搭載されて、より詳細に後述するように、より広い範囲の回折角を走査できるようにする。好ましくは、X線源は、試料表面に対して10〜90度、より好ましくは15〜85度、さらに好ましくは60〜80度の角度で搭載される。X線源が試料の周囲を角度移動する実施形態では、源は、例えば、より詳細に後述するように、試料表面に対して50〜80度で角度移動できる。X線源は、X線源が角度位置を移動しない実施形態では、固定マウント(図示せず)に搭載することができ、又はX線源の角度位置の移動が必要な実施形態では、可動マウント(例えば、ゴニオメータのアーム)に搭載することができる。後者のタイプの実施形態では、ゴニオメータの別のアームに、任意選択的に、複合検出装置を搭載できる。
【0037】
ソースからのX線ビームは試料と相互作用して、X線ビームの回折並びに試料からの二次X線の放射の両方を生じさせる。試料からのX線は、好ましくは、ビームコリメート軸、すなわち、図1に示される軸9に沿って受け取られる。試料でのX線の回折角φ、すなわち、照射軸とビームコリメート軸との回折角が図1に示される。回折ビームは、試料の構造の特徴であり、二次X線放射は、試料の元素組成の特徴である。試料から回折されるX線及び/又は放射されたX線は、XRD・XRF複合検出装置10により解析される。X線は、収集軸9に沿って検出装置10により試料から受け取られる。
【0038】
XRD・XRF複合検出装置10は、走査波長選択器を備えたモノクロメータである。波長選択器は走査選択器であり、その理由は、移動可能であり、したがって、走査可能な範囲内の任意の所望の値での波長を選択でき、又はXRF測定の場合では、波長範囲を順次走査できるようにする、すなわち、X線を検出に対して単色にできるようにするためである。したがって、XRD・XRF複合検出装置は、順次XRF検出チャネルである。走査波長選択器は、好ましくは、駆動装置により移動可能である。これは従来技術による設計と対照をなし、従来技術による設計では、XRD用のモノクロメータは、明らかにXRF測定に使用することはできない静的な波長選択器を備え、したがって、XRF用に追加の検出装置を提供する必要がある。波長選択器は、好ましくは、波長分散要素を備える。波長分散要素は、好ましくは、回折結晶、より好ましくは平坦な結晶を含む。適した結晶の例は、以下のうちの任意を含む:フッ化リチウム、高配向熱分解グラファイト(HOPG)、ペンタエリスリトール、アンチモン化インジウム、ゲルマニウム、合成多層疑似結晶、好ましくは、HOPG及び多層。波長分散要素には、好ましくは、コリメート要素(本明細書では、入力コリメート要素と呼ぶ)が前置される。入力コリメート要素は、好ましくは、本明細書では二次コリメータと呼ばれる(それにより、X線源の前で使用する一次コリメータと区別する)コリメータである。図1では、二次コリメータ14は、分散要素から上流に(すなわち、試料のより近くに)位置決めされ、それにより、収集軸(図1の軸9)を定義する。2つ以上の入力コリメート要素(例えば、2つ以上のコリメータ)を提供し得、2つ以上の入力コリメート要素は、X線ビーム内に交換可能に位置決めして、ビームのコリメーションを変更することができる。したがって、使用に際して、試料から回折又は放射されたX線は、収集軸に沿って二次コリメータを通ってから波長分散要素により分散し、X線の選択された1つ又は複数の波長のみが、分散要素でのブラッグの法則の適用によりX線検出器に届く。波長分散要素の後には、好ましくは、別のコリメート要素(本明細書では出力コリメート要素と呼ばれる)が続き、このコリメート要素は、検出器前に位置決めされる。2つ以上の検出器がある場合、通常、2つ以上の出力コリメート要素があり、好ましくは、各検出器前に1つのコリメート要素が位置決めされる。出力コリメート要素は、好ましくは、図1に示されるように、検出器と波長選択器との間に位置決めされるコリメータ(本明細書では第3のコリメータと呼ばれる)であり、図1では、コリメータ17は、結晶12と検出器16の間で、検出器16の前に位置決めされる。第3のコリメータは、検出器軸11を定義して、検出器と波長選択器との間に角度的な位置合わせを提供する。2つ以上の出力コリメート要素(例えば、2つ以上のコリメータ)を提供し得、2つ以上の出力コリメート要素は、X線ビーム内に交換可能に位置決めされて、検出器へのビームのコリメートを変更することができる。図1では、波長選択器は、波長分散要素として結晶12を備え、入力コリメート要素として二次コリメータ14を備え、出力コリメート要素として第3のコリメータ17を備える。二次コリメータ14及び第3のコリメータ17は(X線検出器16と共に)、結晶表面に対して角度θで結晶12の両側に搭載される。したがって、走査波長選択器は、好ましくは、波長分散要素(例えば、結晶)を備え、結晶には、X線を受ける側でX線コリメート要素(例えば、コリメータ)が前置され、検出側で別のX線コリメート要素(例えば、コリメータ)が後置され、X線コリメート要素は、好ましくは、波長分散要素の表面に対して角度θで位置決めされる。コリメート要素は、角度θを可能にし、ひいては選択される波長の変更を可能にするように、ゴニオメータの別個のアームに搭載するのがよい。検出器は、勿論、検出器コリメート要素と共に、ゴニオメータの同じ各アームに搭載される。ゴニオメータの位置決め、ひいては角度φは、好ましくは、光学エンコーダにより制御される。検出側で、X線コリメート要素後、X線、すなわち、単色X線が検出器で受光される。X線検出器は、当分野で既知のXRD及びXRFに適した任意のX線検出器、例えば、ガス充填計数器(gas filled counter)、又はシンチレーション検出器、又は固体状態検出器(例えば、シリコンドリフト検出器)を含んでもよい。好ましくは、検出器はガス充填比例計数器を含む。
【0039】
走査波長選択器は、可変波長選択器である。すなわち、X線検出器に届けるために選択する波長を変更することができる。XRD動作モードでは、走査波長選択器は、少なくとも1つのX線検出器により検出される1つ又は複数の波長を選択し、固定する(本明細書では、XRDパターン取得中に変更されないため、固定波長と呼ばれる)。好ましくは、XRDでは、走査又は可変波長選択器は、選択された波長に対応する角度θで使用又は設定される。すなわち、XRD解析の場合、角度θは、選択される波長に対応する角度で一定に保たれる。XRF動作モードでは、可変波長選択器は、好ましくは、角度θを走査することにより、XRFスペクトルがカバーしたい波長範囲を走査し、好ましくは、角度φを、XRF解析を通して一定に保ち(すなわち、固定し)ながら、少なくとも1つのX線検出器での検出波長を順次選択する。
【0040】
X線検出器16での検出への波長選択器によるX線の波長の選択は、異なるメカニズムにより達成することができる。波長分散要素での角度θは、異なる波長を選択するように可変である。本発明は、好ましくは、波長選択器の回折角θを変更する駆動装置を備える。すなわち、波長選択器は、駆動装置により移動可能であり、X線の波長を選択する。駆動装置は、本明細書では、1つ又は複数の個々の駆動装置、アクチュエータ等を含む任意の駆動手段を指す。駆動装置は、装置の任意のゴニオメータを駆動するために提供される。例えば、結晶12でのコリメータ14とコリメータ17(ひいては検出器16)との間の角度は、可変であり(例えば、コリメータ14及びコリメータ17/検出器16をゴニオメータの別個のアームに搭載することにより)、それに対応して、平坦な結晶12での回折角θが変更する。代替又は追加として、結晶12を回転させて、θを変更することができる。好ましい実施形態では、図に示されるように、結晶12は、例えば、光学エンコーダにより、コリメータ17/検出器16(それにより、検出軸11)が収集軸9に対して角度2θで位置決めされた状態で、コリメータ14/収集軸9に対して角度θで位置決めすることができる。角度θが、例えば、コリメータ14及び/又は結晶12を移動させることにより(例えば、駆動装置がゴニオメータを駆動することにより)変更される場合、コリメータ17/検出器16はそれと同期して移動して、角度2θを維持し(例えば、ここでも駆動装置がゴニオメータを駆動することにより)、それにより、異なる波長が異なる角度で回折され、検出器16により検出される。XRDの場合、θは好ましくは、XRD測定の持続時間にわたって設定(固定)され、それにより、X線源からの放射のうちの少なくとも1つの波長が、検出器に渡されるものとして選ばれる(固定される)(次に、角度φはXRD測定に向けて変更され、検出器は、試料での1つ又は複数の異なる値の回折角φに選択された固定波長のX線を検出する)。
【0041】
試料から回折されるX線の回折角は、本明細書では、第1の回折角φと称する。この用語は、第1の回折角φを、波長選択器の結晶からのX線の回折角と区別するために使用し得、結晶からのX線の回折角は、本明細書では第2の回折角θと称する。
【0042】
角度φは、XRDの場合、以下の方法のうちの1つ又は複数により変更可能である:
i)例えば、図1の弓形方向18に沿って、試料の周囲でXRD・XRF複合検出装置10を角度移動(例えば、回転)させることにより、
ii)例えば、図1の弓形方向20に沿って、試料の周囲でX線源を角度移動(例えば、回転)させることにより、
iii)試料に対して第1のコリメート要素(一次コリメータ6)を角度移動(例えば、回転)又は傾斜させることにより。
【0043】
上記方法i)、ii)及びiii)のうちの任意の1つ又は複数は、単独で、又は任意の組み合わせで、例えば、i)とii)との組み合わせ、若しくはi)とiii)との組み合わせ、若しくはi)と、ii)と、iii)との組み合わせ等で使用することができる。
【0044】
経済的な方法は上記iii)であるが、一次コリメータの傾斜だけでは、限られた分解能及び角度範囲しか達成できない。しかし、限られた角度範囲のφ走査が、用途によっては、例えば、ユーザが特定の構造位相のみ、例えば、セメント試料内の遊離石灰相に関してのみ試料を解析したい場合に適切である。i)とii)との組み合わせは、最も広い範囲の回折角φ及び良好な分解能を与える最も柔軟性の高い方法を提供する。X線源の移動は、試料内部の侵入深さを調整可能であるという追加の利点を与える。しかし、重量があるX線源を正確に移動させる機構の提供は、コスト及び複雑性を追加するため、好ましい実施形態では、柔軟性とコストとの妥協の視点から、角度φは、上記方法i)により変更可能である。本発明は、好ましくは、試料での回折角φを変更する駆動装置を備える。
【0045】
XRD・XRF複合検出装置10を角度移動させる場合、これは、X線収集軸9が照射軸8となす角度を変更し、すなわち、収集角度を変更し、ひいては検出が行われる回折角φを変更する。同様に、X線源及び/又は一次コリメータを角度移動させる場合、これは、照射軸8が収集軸9となす角度を変更し、すなわち、照射角度を変更し、ひいては検出が行われる回折角φを変更する。
【0046】
図1に示される装置の多くの変形を実施することができ、変形は、XRD測定の場合に試料での第1の回折角φを変更する異なる機構を提供する。そのような変形の例について、これより説明する。
【0047】
上記の方法i)を実施する装置の第1の変形を図2に概略的に示し、図2では、図1に一般に示されるように、装置は、試料4に対して固定されたX線管2及び一次コリメータ6を備え、したがって、固定された照射軸8及び回折角φが、弓形方向お18で検出器装置10(すなわち、二次コリメータ14、結晶12、コリメータ17、及び検出器16をまとめて)を角度移動させ、それにより、試料に対する収集軸9の角度を変更することにより、走査される。照射ビーム軸は、試料に対して垂直とは異なる角度であることもできる。例示のみのために、X線管2は、試料4に対して垂直に搭載されて示される(すなわち、照射軸が垂直)が、実際にはこうである必要はなく、実際には、試料に対して傾斜して管を搭載し、検出器装置10により広い範囲の角度移動を提供し、そして追加の結晶構造へのアクセスを可能にし、それにより、より完全な構造特定を可能にすることが好ましいであろう。管を試料に対して傾斜して搭載することの別の理由は、複合XRD/XRF検出装置により多くの空間を可能にすると共に、管を試料のより近くに位置決めし、それにより、試料からより多くの信号を達成できるようにするためである。複合検出器装置10は、例えば、ゴニオメータ、すなわち、角度θを結晶12で可変なように、ゴニオメータの対向アーム上に二次コリメータ14及びX線検出器16を有するゴニオメータを備えるとよい。図2に示される装置変形では、次に、検出装置のゴニオメータ全体は、例えば、駆動装置(図示せず)により試料に対して角度移動して、ビーム軸8と9との間の回折角φを変更することができる。したがって、本発明は、好ましくは、試料での回折角φを変更する駆動装置を備える。本発明は、より好ましくは、複合検出装置の角度移動を制御して、試料での回折角φを変更する駆動装置を備える。
【0048】
上記の方法ii)を実施する装置の第2の変形を図3に概略的に示し、図3では、図2に一般に示される装置が示されるが、この変形では、複合検出装置10は、試料に対して角度的に固定され、したがって、収集軸9を角度的に固定し、その代わり、X線源2及び一次コリメータ6(ひいては照射軸8)がまとめて、例えば、弓形方向20に沿って試料の周囲を角度的に移動可能であり(例えば、図示されない駆動装置により)、それにより、回折角φが変更される。
【0049】
図2及び図3に示される移動機構の両方を実施する装置の第3の変形は、図4に概略的に示され、図4では、図1〜図3に一般に示される装置が示されるが、この変形では、複合検出装置10及びX線源2(一次コリメータと共に)の両方がそれぞれ、試料の周囲で移動可能であり(例えば、弓形方向18及び20のそれぞれに沿って)、それにより、回折角φが変更される。例えば、複合検出装置10及びX線源2(一次コリメータと共に)をゴニオメータ(図示せず)の別個のアームに搭載して、試料での回折角φを変更してもよい。この変形は、試料での回折角φの最大走査程度を提供する。
【0050】
上記の方法iii)を実施する装置の第4の変形は、図5に概略的に示され、図5では、図1〜図4に一般に示されるように装置が示されるが、この変形では、X線源2及び複合検出装置10の両方が、試料に対して角度的に固定され、試料での回折角φは、例えば、示される方向19に一次コリメータ6を傾斜させることにより変更されて、試料でのビームの照射軸8の角度を変更する。図5は、一次コリメータ6が傾斜しない場合の照射軸8の位置合わせ(8’)及び一次コリメータ6が傾斜する場合の照射軸8の位置合わせ(8’’)の両方を示す。
【0051】
いくつかの実施形態では、試料は、例えば、照射軸及び/又は収集軸に対して回転又は傾斜することができるように角度移動可能でもよく、それにより、試料内部の異なる深さでの晶子の異なる平面にアクセスすると共に、試料内部のX線ビーム経路長を低減し、ひいては吸収を低減する。それに従って、そのような実施形態での試料のホルダを駆動装置により駆動して、試料ホルダ及びそこに支持される試料を移動させるのがよい。試料を変更できるように、試料ホルダが装置から取り外し可能であることが好ましい。
【0052】
XRD・XRF複合検出装置は、X線検出器を備え、これは、装置が少なくとも1つのX線検出器を備えることを意味する。コスト及び簡易性の視点から好ましい実施形態では、1つのみのX線検出器を利用し得、これは適切である。しかし、より洗練された実施形態では、2つ以上のX線検出器を利用して、例えば、アクセス可能なXRF波長範囲を拡張し、又はXRD測定を向上させることができる。各検出器は、性能を向上させるために、特定のX線波長範囲に最適な感度を有するのがよい。例えば、低エネルギー範囲のスペクトルの場合、好ましくは、フロー比例計数器(FPC:flow proportional counter)等のガス検出器又はシール検出器が使用され、高エネルギー範囲のスペクトルの場合、シンチレータのような他の検出器が好ましい。複数の検出器を有するそのような実施形態の一例を図6に概略的に示す。図6では、他の点では図1〜図5に示されるような装置であり、1つの検出器16に代えて、所与のスペクトル部分にそれぞれ最適化された異なるスペクトル感度を有する2つのX線検出器26及び28を有する装置が示される。一方の検出器は、所与の結晶の所与の範囲のθに対応する低エネルギー範囲のX線蛍光スペクトル(長波長)に利用され、他方の検出器は、別の所与の範囲のθに対応する高エネルギー範囲(短波長)に利用される。測定中、好ましくは、一度に一方の検出器が使用されて、その検出器の最適波長範囲に対応するθ角にわたるX線を検出し、他方の検出を続けて使用して、第1の検出器よりも好感度である別のスペクトル範囲のX線を検出する。したがって、そのような実施形態では、検出装置の波長選択器は、2つ以上の固定波長、この場合では、2つの固定波長を選択して、例えば、XRDにX線の2つ以上のシングルX線放射線を選択するように構成される。したがって、各検出器は、管の異なる特徴的な放射線を検出するように選択することができる。これにより、XRF解析での感度を向上させ、XRD解析で追加の異なる位相にアクセスすることが可能である。そのような実施形態では、各検出器は、各自の波長選択器又は分散要素(例えば、結晶)からのX線を検出するように構成してもよいし、2つ以上の検出器が共通の波長選択器の使用を共用してもよい。低及び高エネルギー検出器の両方に使用可能な結晶、例えば、LIF200があるが、低(又は高)エネルギーのみで使用すべき結晶もある。したがって、実際には、解析のエネルギー範囲を変更する場合、ある結晶−検出器対から別の結晶−検出器対に切り替えることが有利である。異なる結晶を回転タレットに搭載して、切り替えを可能にしてもよい。
【0053】
好ましい実施形態では、当分野で既知のように、1つ又は複数のスペクトルフィルタをX線源と試料との間に組み込んで、XRF又はXRDの性能を向上させることができる。例えば、フィルタをXRF解析に使用して、解析すべき波長に干渉し得るX線管が発する特徴的な放射線を抑圧してもよい(例えば、Rh線を抑圧するCuフィルタ等)。フィルタを使用して、重い元素が軽い母材内に埋め込まれている試料内の連続体によるスペクトル背景を最小化することもできる(例えば、Pbを解析するためのAlフィルタ等)。XRDの場合、フィルタを使用して、例えば、管が発する関心のある1つの線を選択(単色化)することができる。図6では、フィルタ24が示され、フィルタ24は、X線源2と一次コリメータ6との間でX線ビームの内外に横方向25において反復移動することができる。
【0054】
X線源は、好ましくはX線管であり、1つ又は複数の特徴的な放射線を有するのがよい。2つ以上の放射線を有するために、X線管は、異なる材料の複数の異なる陽極又は多重陽極を含むのがよい。共通陽極は、以下のうちの1つの標的材料を含む(例えば):Rh、Pd、Cr、Mo、W、Sc、Cu、Pt、及びAu。標的材料の選択は、勿論、解析すべき試料の性質によって決まる。この特徴により、装置はXRD測定を拡張し、又はXRF性能を向上させることができる。X線源の複数の放射線が存在する場合、複数のこれらの放射線は、上述したように、XRD解析の固定波長として選択するとよい。
【0055】
XRD測定の場合、好ましいいくつかの実施形態では、波長選択器を順次位置決めして、管の2つ以上のシングルX線放射線を選択することができ、すなわち、2つ以上のXRDパターンを、異なるX線放射線に基づいて順次記録することができる。換言すれば、2つ以上のXRDパターンを、それぞれ異なる固定波長を使用して順次記録するとよい。これにより、他の回折位相へのアクセスが可能である。
【0056】
XRD・XRF複合検出装置は、2つ以上の波長分散要素、例えば、2つ以上の結晶を備えて、XRFの波長範囲を拡張し、又はXRD測定を向上させることができる。したがって、いくつかの実施形態では、複数の結晶を提供し得、複数の結晶は、例えば、自動交換手段により検出装置内で交換することができる。
【0057】
装置は、好ましくは、チャンバを備え、チャンバ内に、装置の他の構成要素、例えば、X線源、試料ホルダ、XRD・XRF複合検出装置、及び角度走査手段が収容され、チャンバにはガスの排気及び/又は流入を行うことができ、ガスは、検出すべき波長において実質的にスペクトル的に透明であり、より好ましくは、チャンバは排気可能である。
【0058】
使用に際して、本発明の装置は、2つのモードのいずれかで動作することができる。
1)XRD測定モード:波長選択器の角度θは、最適なXRD性能のために関心のある選択固定波長に対応する値に固定され、回折されるX線の強度が、1つ又は複数の値のφで検出器により測定され、例えば、角度φを変更して、試料での回折角を走査する。XRDモードで検出されるX線の波長は固定されるため、源からのX線を平行にした状態で、これにより、ブラッグの法則を適用して、XRD測定を実行することが可能になる。
2)XRF測定モード:波長選択器の角度θを変更して、試料から発せられる二次蛍光X線の関心のある波長を走査し、X線検出器を使用して強度を測定する。したがって、最新技術のXRF測定を順次実行することができる(試料での角度φは通常、XRF測定の持続時間中、固定される)。
【0059】
試料のXRF解析の場合、場合によっては、異なる値の角度φでのXRFスペクトルを記録することが望ましいことがある。角度φの変更に2つの潜在的な恩恵がある。第1に、φの変更により、ユーザは試料内部のX線の侵入深さを調整することができる。例えば、極端な場合、XRF解析を、試料表面に斜入射で実行して、試料の上の薄い層を探ることができる。第2に、φの変更により、ユーザは、特定の値の角度φを選ぶことにより、試料による連続体の回折による最終的な干渉を低減して、XRFスペクトル内の関心のあるピークからそのような干渉をさらに遠ざけることができる。
【0060】
したがって、装置は、1つの検出装置を使用して、XRD及びXRFの両方を実行し、さらに、1つのみのX線源を使用する。これは、解析すべき材料の範囲に関して高レベルの多用途性を保ちながら、コンパクト性及び最小数の構成要素の使用の点でいくつかの利点を提供する。
【0061】
本発明は、試料、特に結晶試料の元素及び構造組成を解析する有利な方法及び装置を提供する。本明細書では、結晶試料という用語は、少なくとも部分が結晶質である試料を意味する。すなわち、結晶試料は、全体的又は部分的な結晶でもよい。解析すべき試料は、多結晶でもよい。すなわち、試料内に等方的且つランダムに分布する晶子を含む多結晶でもよい。本発明の装置で解析すべき試料が非晶質であり得、その場合、XRFのみが試料の解析に有用であることが理解されよう。XRD解析では、試料内の結晶構造を解析することができる。XRF解析では、試料の元素及び/又は化学組成を特定することができる。一例として、本発明の装置は、元素及び化学組成に加えて、遊離石灰並びに他の相等の酸化カルシウムの様々な構造形態の内容を特定することも望ましいセメント試料の解析に有用である。
【0062】
XRD解析は、XRD・XRF複合検出装置の波長選択器を使用して、回折X線の波長を選択し固定することにより実行される。選択により回折X線の波長を固定した状態で、角度φが変更され、最大角度走査の場合、これは、好ましくは、X線源(源の一次コリメータの協調した移動を含む)及びXRD・XRF複合検出装置のうちの一方又は両方を試料の周囲で角度移動させ、すなわち、これらのうちの一方又は両方を少なくとも部分的に試料の周囲で移動させ、異なる回折角φでの選択波長の回折X線を検出できるようにすることにより行われる。
【0063】
いくつかの実施形態では、試料での回折角φを固定することができ、それにより、走査波長選択器により選択される選択波長のXRD強度は、1つの固定値のφでのみ検出される。しかし、固定値のφは、好ましくは、検出すべき特定の構造位相の既知のXRDピークに対応して確立される。換言すれば、検出は、関心のある回折ピークの最大にセンタリングされた調整された位置で行われる。それにより、そのような実施形態では、装置は、XRDの観点から、1つの特定の構造位相の解析専用であるが、完全なXRF走査性能を維持する。
【0064】
単純な好ましい実施形態では、角度φは、小さな程度、例えば、+/−4度以下で可変であり、関心のある1つのXRDピーク、例えば、遊離石灰XRDピークのみを走査する。セメント業界での遊離石灰用途の場合、ピーク位置の中心は、試料構造に関連するいくつかのパラメータに応じて可変であるため、角度φを絶対的に固定することは好ましくなく、むしろ、φに少なくともいくらかの可変性を有することが好ましい。φの値の可変性が制限された最も単純な実施形態では、φ角は、好ましくは、X線源の前にある一次コリメータを傾斜させることにより変更される。
【0065】
遊離石灰等のたった1つのXRDピークよりもXRDで他の用途をカバーするより洗練された実施形態の場合、より広いφの可変性が必要とされ、好ましくは、φを変更する本明細書に記載のさらなる手段が利用される。次に、XRDパターンを記録することができる。
【0066】
XRF解析は、波長選択器を使用して試料が発したX線の波長を走査し、X線検出器を使用して、走査された波長のX線を検出することにより実行される。したがって、XRD・XRF複合検出装置を使用して実行されるXRF技法は、波長分散XRF(WDXRF)である。WDXRFは、エネルギー分散XRF(EDXRF)と比較して有利であり、その理由は、WDXRFの高スペクトル分解能、高ダイナミックレンジ、良好な安定性、及び柔軟性並びに測定すべき波長の数に依存する感度増大である。XRF解析では、試料での回折角φは、好ましくは、固定され、すなわち、XRD・XRF複合検出装置がXRF解析中に試料に対して角度移動しないように固定される。
【0067】
例えば、コストを低減する特定の好ましい実施形態では、本発明の装置は、他のXRF検出チャネルを備えず、すなわち、XRD・XRF複合検出装置以外のXRF又はXRD検出チャネル又は装置を備えない。XRD・XRF複合検出装置により提供される順次XRF検出は、すべての一般的なXRF波長の検出に効率的である。XRF解析の速度がユーザにとって重要な要因である場合、本発明の装置は、1つ又は複数の追加のXRF検出チャネルをさらに備えることができる。そのような1つ又は複数の追加のXRFチャネルは、1つ又は複数の静的XRFチャネル(すなわち、固定X線波長を検出する)又は順次XRFチャネル(すなわち、可変X線波長を検出する)を備えるとよい。
【0068】
X線源及び複合検出器装置が固定位置の場合、すなわち、試料での回折角φが固定される場合、ブラッグの法則により、格子寸法はX線の回折角及び波長の両方に関連するため、連続範囲内の波長(角度θ)の走査により、回折スペクトルを直接抽出することが可能である。したがって、固定回折角で連続波長を照射することにより、回折強度と波長との関係を記録することで、回折パターンが得られる。
【0069】
上述したXRDモード又はXRFモードのいずれかの選択と、例えば、駆動装置及び/又はゴニオメータを介する各モードの構成要素に要求される対応する移動とが、好ましくは、コンピュータの制御下であることが理解される。同じ又は別のコンピュータは、好ましくは、例えば、XRDパターン又はXRFスペクトルとして、続く出力のために複合検出装置からデータを取得するためにも提供される。
【0070】
本発明のさらなる例示的な実施形態を図7〜図14に示す。図7は、本発明の実施形態の概略斜視図を示し、可能な移動モードの多くを示す。特に、本発明の任意の所与の実施形態は、本明細書での本発明の説明から理解されるように、これらの移動モードのすべてを含んでもよく、又はこれらのすべて未満(すなわち、すべてのうちのいくつかのみ)を含んでもよい。図7は一般に、上述したように、試料ホルダ105の上面170に搭載された試料104にX線を照射するX線源102を示す。X線は一次コリメータ106を通過することができ、一次コリメータ106は、示される矢印161の方向でX線ビームの内外に横方向において退避可能である。一次コリメータ106は、矢印163に示される方向でのコリメータ106の限られた回転により、試料表面に対して傾斜させることもできる。一次コリメータ106の軸のそのような傾斜は、試料表面172への照射軸の入射角を変更し、ひいては上述したように、試料の回折角φを変更する。試料ホルダ105を入射X線に対して傾斜させることもでき、それにより、試料の異なる結晶平面にアクセスすることができる。試料ホルダ105の傾斜は、矢印方向171で表される。X線源102は、試料での回折角φを変更するゴニオメータのゴニオメータアーム140に搭載される。φを変更するゴニオメータの他方のアーム142には、概して110で示されるXRD・XRF複合検出装置が搭載される。使用に際して、ゴニオメータアーム140及び142は、矢印141及び143で示される弓形方向で移動して、試料での回折角φを変更することができる(勿論、図中、矢印で示される移動は、逆方向での移動も含む。すなわち、構成要素の移動は逆にすることができる)。本明細書の図では、ゴニオメータ駆動装置は、制御コンピュータ及びゴニオメータの動作を制御する関連の制御要素と同様に、便宜上、省略されている。しかし、駆動装置及びコンピュータ制御要素は単純に、ゴニオメータの移動の制御に適した任意の既知の種類のものでもよい。検出装置110は、ソラー型の入力コリメータ114(X線収集軸109を定義する)と、X線を分散させる平坦な結晶112と、この場合、2つのX線検出器D1及びD2とを有するモノクロメータを備え、各X線検出器は、前にそれぞれのコリメータ117及び118(検出軸111を定義する)を有し、これらのコリメータもソラー型である。検出器D1及びD2のそれぞれは、異なる波長範囲に最適化された感度を有する。結晶112は回転可能なマウント130に搭載され、結晶112を矢印131で示される方向に回転させて、結晶112での角度θを変更できるようにする。結晶112での角度θを変更することにより、上述した結晶の移動に加えて、検出器D1及びD2のそれぞれも、各ゴニオメータアーム150及び152に搭載されて、矢印151及び153でそれぞれ示される弓形方向に移動する。そして、検出器が搭載されたゴニオメータ150、152は、ゴニオメータアーム142に搭載され、ゴニオメータアーム142には、XRD・XRF複合検出装置全体が搭載される。
【0071】
これより、XRF及びXRDの装置の動作について、図8〜図14を参照してより完全に説明する。
【0072】
図8及び図9を参照して、XRF解析の動作を示す、図7に示される装置と同様の装置を示す。この実施形態では、XRFの場合、X線管102は、試料表面172に対して垂直に搭載されて示され、試料の照明を向上させることができる。一次コリメータ106は、XRF測定では、X線ビームの外に退避して、感度を増大させる。試料での回折角φは、XRF動作では、コンピュータ制御下でゴニオメータ140、142を適切な角度に設定することにより、固定される。φが固定された状態で、試料にX線管102から照射軸108に沿ってX線を照射して、二次X線を放射させる。二次X線はコリメータ114に入り、次に、コリメートされたX線は、平坦な結晶112によりその波長に従って分散する。図8では、検出器D1が結晶112から分散したX線を受け取るように、すなわち、結晶112がそのような角度にコンピュータ制御下で回転し、ゴニオメータ150が、検出器D1が結晶での角度θの第1の値に従って所望の波長の分散X線を受け取るように、複合検出装置が設定された状態で示される。実際には、検出器D1は、第1の波長範囲のX線を検出するように最適化され、検出器D2は、通常は第1の波長範囲と相補的な第2の波長範囲のX線を検出するように最適化される。検出器D1が波長範囲にわたるX線の強度を走査するために、結晶112及びゴニオメータ150は、矢印131及び151で示されるようにそれぞれ角度移動して、θを変更する。図9は、第1の位置112’での結晶112の位置を示すと共に、それに対応して第1の位置D1’での検出器D1を示し、それにより、第1の値のθに対応して、第1の波長のX線を検出することができる。次に、結晶112を第2の位置112’’に移動させ、それに対応して検出器D1を第2の位置D1’’に移動させ、それにより、第2の値のθに対応する第2の波長のX線を検出することができる。次に、結晶及び検出器を適切な対応する第3、第4等の位置に移動させて、θが変更される際、所望の波長範囲にわたる二次X線の強度を順次検出する。検出されたX線強度は、信号として検出器からコンピュータ(θ決定のために角度位置情報、ひいては検出された波長も受信する)に送られ、データ処理、及び/又は記憶、及び/又は、例えば、XRFスペクトルとしての出力を行う。1つのX線検出器の使用が、多くの用途で適切であるが、場合によっては、最適な感度で特定の波長範囲をカバーするために、図7〜図10に示される、関心のある波長範囲に最適化された感度を有する検出器D2等の第2の検出器を利用することが有用である。図10に示されるように、検出器D1に最適化された波長範囲にわたる検出後、検出器D1は、ゴニオメータ150により検出器D2’の移動範囲から出るように移動する。次に、結晶112は、検出器D2による検出に適切な波長のX線を分散させるように設定される。次に、検出器D2による波長の走査が、結晶112及び検出器ゴニオメータ152を移動させて、検出器D2のθを変更することにより、検出器D1に関して上述した方法と同様に実行される。
【0073】
図11〜図13を参照して、XRD解析の場合の図8〜図10に示される装置の動作を示す。図11を参照すると、まず、XRD・XRF複合検出装置110は、X線管102の特徴的な波長のX線が検出器D1(又は代替としてD2)に送られるように、結晶112での適した回折角θに調整される。次に、このようにして回折X線波長に設定された角度θは、XRD解析を通して一定のままである。X線管102が、好ましくは、示されるように、ゴニオメータアーム140の適した角度設定により、コリメート軸109に対して傾斜して位置決めされる。一次コリメータ106は、X線管からのX線ビーム内に位置決めされて、試料表面を照射するビームをコリメートし、試料での回折角φを定義できるようにする。複合検出装置110も、示されるように、ゴニオメータアーム142により試料に対して傾斜して設定される。照射軸108及び収集軸109により定義される試料での回折角φは、図11に示される。第1の回折角φ1は、X線管が第1の示される角度位置102’にある場合に設定される。試料が第1の位置にある間、試料は管102からのX線で照射される。XRD・XRF複合検出装置110により設定される波長のX線は、試料で回折され、X線の強度が検出器D1により検出される。次に、X線管は、方向141でのゴニオメータアーム140の移動により、位置102’’示される第2の角度に移動し、それにより、第2の回折角φ2を定義する。コリメータ106は、X線管102と協調して移動する。次に、X線管102(及び一次コリメータ106)は、適切な対応する第3、第4等の角度位置に移動して、回折角φの所望の範囲にわたる固定波長の回折X線の強度を順次検出する。検出されたX線強度は、検出器からコンピュータ(φ決定のために角度位置情報も受信する)に送られ、データ処理、及び/又は記憶、及び/又は、例えば、XRDパターン(すなわち、X線強度とφとの関係)としての出力を行う。
【0074】
図12を参照すると、ここでも、XRD・XRF複合検出装置110は、X線管102の特徴的な波長のX線が、示されるように検出器D1(又は代替としてD2)に送られるように、結晶112での適した回折角θに調整され、次に、このように設定された角度θは、XRD解析を通して一定のままである。しかし、図11を参照して説明した動作モードとは対照的に、図12に示される動作モードは、X線管102が固定位置にあり、XRD・XRF複合検出装置110が示される第1の角度位置110’にある状態で設定される第1の回折角φ1を含む。検出装置が第1の位置110’にある間、試料は管102からのX線で照射される。X線は試料で回折され、検出装置110により設定される波長のX線の強度が、検出器D1により検出される。次に、検出装置110は、方向143でのゴニオメータ142の移動により、示される第2の角度位置110’’に移動し、それにより、第2の回折角φ2を定義する。次に、検出装置110は、適切な対応する第3、第4等の角度位置に移動し、回折角φの所望の範囲にわたる固定波長の回折X線の強度を順次検出する。検出されたX線強度は、コンピュータ(図示せず)を使用して上述したように処理等される。
【0075】
図11及び図12に示されるXRDの場合に試料での回折角φを変更する方法及び手段を、図13に示されるように、一緒に利用できることが理解される。この実施形態では、ここでもまた、XRD・XRF複合検出装置110は、X線管102の特徴的な波長のX線が、示されるように検出器D1(又は代替としてD2)に送られるように、結晶112での適切な回折角θに調整され、このように設定された角度θは、XRD解析を通して一定のままである。X線管102及び複合検出装置110は、この場合、それぞれのゴニオメータアーム140及び142によりそれぞれの第1の角度位置102’及び110’に設定される。それにより、試料104での第1の回折角φ1が定義される。X線管からのX線は、試料により回折し、φ1において検出器D1により検出される。次に、X線管102及び複合検出装置110は、それぞれのゴニオメータアーム140及び142によりそれぞれの第2の角度位置102’’及び110’’に設定され、それにより、試料での第2の回折角φ2が定義され、回折したX線が、今回はφ2において検出器D1により再び検出される。X線管102及び複合検出装置110は続けて、それぞれの第3、第4等の角度位置に設定され、XRDパターンを回折角φの範囲にわたって取得することができる。
【0076】
図14に示されるさらなる実施形態では、試料104での回折角φは、一次コリメータ106を傾斜させることにより変更される。前の実施形態でのように、XRD動作の場合、XRD・XRF複合検出装置110は、X線管102の特徴的な波長のX線が、検出器D1(又は代替としてD2)に送られるように、結晶112での適した回折角θに調整され、このように設定された角度θは、XRD解析を通して一定のままである。図14の実施形態では、ゴニオメータアーム140及び142は、XRD解析中、移動せず、その代わり、試料での回折角φは、一次コリメータ106を傾斜させることにより変更される。例えば、第1の回折角φ1は、一次コリメータ106が示される第1の角度位置106’にある場合に設定される。一次コリメータ106が第1の位置106’にある間、試料は管102からのX線で照射され、検出装置110により設定された波長のX線が、試料で回折し、検出器D1により検出される。次に、一次コリメータ106が、方向163でのアーム107の回転移動により、示される第2の角度位置106’’に傾斜し、それにより、第2の回折角φ2を定義する。これは、図15A(第1のコリメータ位置106’)及び図15B(第2のコリメータ位置106’’)の概略図により明確に示される。次に、検出一次コリメータ106は、適切な対応する第3、第4等の角度位置に移動して、回折角φの所望の範囲にわたる固定波長の回折X線の強度を順次検出する。一次コリメータ106のみを移動することによりアクセス可能な角度φの範囲は、ゴニオメータアーム140及び142のいずれかを移動させる場合と比較してかなり制限されるが、アクセスする必要があるのが小さな範囲の角度φのみである場合、例えば、セメント試料内の遊離石灰等の1つのみのXRDピークの走査が要求される場合、低コストで簡易な選択肢を提供することが理解される。検出されたX線強度は、コンピュータ(図示せず)により上述したように処理等され、コンピュータは、例えば、XRDパターンを提供するために、一次コリメータ106の角度位置についての情報も受信し、回折角φを決定する。
【0077】
例えば、(i)X線管102の移動、(ii)検出装置110の移動、及び(iii)一次コリメータ106の傾斜のうちの任意の2つ以上の組み合わせを使用して、図11〜図15に示した実施形態の様々な混成を、XRD解析のために実行することができることが理解される。
【0078】
やはり本発明の範囲内にありながら、本発明の上記実施形態への変形を行うことができることが理解される。本明細書に開示される各特徴は、別記される場合を除き、同じ、均等、又は同様の目的を果たす代替の特徴で置換することができる。したがって、別記される場合を除き、開示される各特徴は、均等又は同様の特徴の一般的なシリーズの一例にすぎない。
【0079】
文脈から明らかに別のことが示される場合を除き、本明細書で使用される場合、本明細書での単数形の用語は、複数形を含むものとして解釈されるべきであり、逆も同様である。
【0080】
本明細書の説明及び特許請求の範囲を通して、「備える」、「含む」、「有する」、及び「含む」という言葉並びにそれらの言葉の変形、例えば、「備えている」及び「備えた」等は、「〜を含むが、それ(ら)に限定されない」を意味し、他の構成要素を除外しようするものではない(そして、他の構成要素を除外しない)。
【0081】
本明細書に提供されるありとあらゆる例又は例示的な言葉(「例として」、「等」、「例えば」、「例えれば」等を含む)は、単に本発明をよりよく説明しようとするものであり、特許請求の範囲において別記される場合を除き、本発明の範囲への制限を示さない。
【0082】
本明細書で説明されたいかなるステップも、別のことが示されるか、又は文脈により別のことが要求される場合を除き、任意の順序又は同時に実行することができる。
【0083】
本明細書に開示されるすべての特徴は、そのような特徴及び/又はステップの少なくともいくつかが相互に排他的な組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせることができる。特に、本発明の好ましい特徴は、本発明のすべての態様に適用可能であり、任意の組み合わせで使用することができる。同様に、非必須の組み合わせで説明される特徴は別個に(組み合わせではなく)使用することができる。
【0084】
特に好ましい実施形態の上述された特徴の多くが、本発明の実施形態の一部としてのみならず、各自の権利で発明性を有することが理解される。目下特許請求されるあらゆる発明に対する追加又は代替として、これらの特徴に対する独立した保護が求められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料のX線回折(XRD)解析及び/又はX線蛍光(XRF)解析を実行する方法であって、
多色X線源からのX線を試料に照射するステップと、
走査波長選択器と、前記波長選択器によって選択されたX線を検出する少なくとも1つのX線検出器とを備える、XRD・XRF複合検出装置を提供するステップと、
を含み、さらに、
前記走査波長選択器を使用して、前記試料により回折されるX線の少なくとも1つの固定波長を選択し、前記X線検出器を使用して、前記試料での1つ又は複数の値の回折角φでの前記選択された固定波長のX線を検出することにより、前記試料のXRD解析を実行するステップと、
前記走査波長選択器を使用して前記試料により発せられたX線の波長を走査し、前記X線検出器を使用して、前記走査された波長のX線を検出することにより、前記試料のXRF解析を実行するステップと、
の一方又は双方を含む、方法。
【請求項2】
前記X線源と前記試料との間に、前記試料を平行X線で照射する第1のコリメート要素を提供するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記XRD解析を実行するステップは、前記選択される固定波長のX線の前記試料での前記回折角φを変更するステップと、複数の値の前記回折角φで前記選択される固定波長のX線を検出するステップとを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記X線の選択される固定波長の前記試料での前記回折角φを変更するステップは、以下の:
iv)前記XRD・XRF複合検出装置を前記試料の周囲で角度移動させるステップ、
v)前記試料の周囲で前記X線源を角度移動させるステップ、及び、
vi)前記試料に対して前記第1のコリメート要素を傾斜させるステップ
のうちの1つ又は複数を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記試料を傾斜させるステップを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記波長選択器の波長分散要素での回折角θを固定することによって、前記XRD解析での前記固定波長として前記X線源の1つ又は複数の特徴的な放射線を選択するステップを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記XRD解析において、2つ以上の固定波長を選択し、2つ以上のX線検出器を使用して2つ以上の固定波長X線を検出するステップを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記XRF解析において、前記試料での前記回折角φを固定しながら、前記波長選択器の波長分散要素での回折角θを走査することにより、前記試料が発するX線の波長を走査するステップを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
試料のX線回折(XRD)解析及びX線蛍光(XRF)解析を実行する装置であって、
X線源と、
試料に前記X線源からのX線を照射することができるように、前記試料を保持する試料ホルダと、
走査波長選択器及び前記波長選択器により選択されるX線を検出する少なくとも1つのX線検出器を備えるXRD・XRF複合検出装置と、
を備え、
前記装置は、
(i)前記走査波長選択器を使用して、前記試料により回折されるX線の少なくとも1つの固定波長を選択し、前記X線検出器を使用して、前記試料での1つ又は複数の値の回折角φでの前記選択された波長のX線を検出することにより、XRD解析を実行し、
(ii)前記走査波長選択器を使用して前記試料により発せられたX線の波長を走査し、前記X線検出器を使用して、前記走査された波長のX線を検出することにより、前記試料のXRF解析を実行する
ように動作可能である、装置。
【請求項10】
前記走査波長選択器により選択されるX線の前記試料での前記回折角φを変更する角度走査手段を更に備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記X線源及び前記XRD・XRF複合検出装置のうちの一方又は両方は、前記走査波長選択器により選択されるX線の前記試料での前記回折角φを変更する一次ゴニオメータに搭載される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記源からのX線をコリメートする一次コリメータをさらに備え、前記一次コリメータは、回転可能に搭載されて、前記走査波長選択器により選択されるX線の前記試料での前記回折角φを変更する、請求項9〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記XRD・XRF複合検出装置は、前記XRD・XRF複合検出装置の前記走査波長選択器でのX線の角度θを変更する少なくとも1つの二次ゴニオメータを更に備える、請求項9〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
請求項11に従属する場合、前記二次ゴニオメータは前記一次ゴリオメータに搭載される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記X線源と前記試料ホルダとの間に、前記試料を平行X線ビームで照射するための第1のコリメート要素を更に備える、請求項9〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記X線源は、前記試料に対して90度未満の角度で搭載される、請求項9〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記試料での前記回折角φを変更する以下の手段:
i)前記XRD・XRF複合検出装置が、前記試料の周囲で角度移動可能であること、
ii)前記X線源が、前記試料の周囲で角度移動可能であること、及び、
iii)前記第1のコリメート要素が、前記試料に対して移動可能であること
のうちの1つ又は複数を備える、請求項9〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記試料ホルダは前記試料を傾斜させるように動作可能である、請求項9〜17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記走査波長選択器は、入力コリメート要素と、波長分散要素と、少なくとも1つの出力コリメート要素とを備え、前記入力及び出力コリメート要素は、前記波長分散要素の両側に位置決めされ、前記少なくとも1つのX線検出器は、少なくとも1つの出力コリメート要素の後に位置決めされ、前記入力及び出力コリメート要素は、前記波長分散要素に対して角度θで位置決めされ、前記角度θはX線の波長を選択又は走査するように可変である、請求項9〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
2つ以上のX線検出器を使用して、2つ以上の異なる波長でX線を検出することを含む、請求項9〜19のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【公表番号】特表2013−514527(P2013−514527A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543663(P2012−543663)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069540
【国際公開番号】WO2011/073148
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(511141744)
【Fターム(参考)】