説明

試薬の展開方法および装置ならびに基板洗浄方法

【課題】簡素な構成でありながら、スライドガラス等の基板に適性かつ均一に試薬を展開可能にする。
【解決手段】試薬を展開すべき基板100を収容支持する処理槽11と、処理槽11内で試薬を霧化する試薬霧化手段12とを有し、霧化した試薬を処理槽11内に行き渡らせることにより、基板表面100に試薬を展開する。試薬霧化手段12として、処理槽11の底部に配設した1または複数の超音波振動子を有する。超音波振動子によって試薬を加振して霧化する。処理槽11の内表面に撥水処理を施す。試薬霧化手段12の配設部位周辺が概略すり鉢状に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極めて微量な試薬を基板(スライドガラス)に展開させる試薬の展開方法および装置、ならびに試薬が展開された基板を洗浄する基板洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所謂、ISH(In Situ Hybridyzation)法は特定遺伝子の機能を解析する最も有力な方法の1つとして、遺伝子研究の分野で利用されている。この手法は、熟練した研究者が3日間に及ぶ複雑な操作を行う必要があり、研究のスピード化や省力化が望まれていた。
【0003】
手作業で行われる用手法ISH法の全工程は、切片作成、試薬処理および観察の3つの作業に分けられる。試薬処理工程はさらに脱パラフィン、前処理、ハイブリダイゼーション、洗浄および免疫染色の各工程に分類される。各工程は、スライドガラス等に貼付られた生物組織を、30種類に及ぶ試薬に浸しながら洗浄、過熱、攪拌、インキュベーション等の処理を順次繰り返し行う。各試薬での処理時間は、5分〜16時間に及び、試薬処理作業に要する時間は、3日間に達することもある。
【0004】
ISH法の全工程を手作業で行うと極めて多大な作業時間を要するため、特に試薬処理作業を自動化する技術が開発されている。従来、たとえばハイブリダイゼーション処理工程においてパットを用い、微量の試薬がスライドガラス上のサンプル(切片)に展開される。
【0005】
図8に示されるように、サンプルが添着されている面が表側になるように背中合せにした一対のスライドガラス100の両側から、試薬溜め内に微量(150μl以下)の試薬Mが充填されたパッド101を接合する。パッド101には、その試薬溜めから試薬Mが出るようにした細口が形成されている。図8(b)のようにスライドガラス100とパッド101を接合することで、表面張力により試薬Mがスライドガラス100の表面に伸展するようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開平11−209876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の方法もしくは装置ではパッド101に反り等があると、スライドガラス100の表面における試薬Mの展開にムラが発生してしまう原因になっていた。このようなムラが生じるとサンプル処理結果に影響し、正確な分析が行えない場合がある。また、試薬Mが展着されたスライドガラス100を洗浄する際、洗浄液中に浸漬したスライドガラス100を上下動させる機構が必要になり、装置が大掛かりにならざるを得なかった。
【0008】
なお、特許文献1には、低蒸気圧液体反応材料を使用して薄膜を形成する際、液体反応材料が超音波振動子によって霧化され、基板上に噴霧される薄膜形成方法が開示されている。
【0009】
本発明はかかる実情に鑑み、簡素な構成でありながら、スライドガラス等の基板に適性かつ均一に試薬を展開可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による試薬の展開方法は、試薬を展開すべき基板を処理槽内で支持し、前記処理槽内で前記試薬を霧化して、霧化した前記試薬を前記処理槽内に行き渡らせることにより、前記基板表面に前記試薬を展開することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の試薬の展開方法において、前記処理槽内の適所で、液状の前記試薬に超音波振動を付与することにより霧化することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の試薬の展開方法において、少なくとも前記処理槽の内表面に付着した前記試薬を滴下させ、滴下回収した前記試薬に超音波振動を付与して、その試薬を再度霧化する工程を反復することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の試薬の展開方法において、前記処理槽内に1または複数の前記基板を垂架または横架し、霧化した前記試薬に送風して前記処理槽内で循環させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明による試薬の展開装置は、試薬を展開すべき基板を収容支持する処理槽と、前記処理槽内で前記試薬を霧化する試薬霧化手段とを有し、霧化した前記試薬を前記処理槽内に行き渡らせることにより、前記基板表面に前記試薬を展開するようにしたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の試薬の展開装置において、前記処理槽は処理槽本体と前記基板を保持する基板ホルダを含み、前記基板ホルダを前記処理槽本体に閉合可能に構成したことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の試薬の展開装置において、前記試薬霧化手段として、前記処理槽の底部に配設した1または複数の超音波振動子を有し、前記超音波振動子によって液状の前記試薬を加振して霧化することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の試薬の展開装置において、前記処理槽の内表面に撥水処理を施すとともに、その天井部を傾斜配置し、前記試薬霧化手段の配設部位周辺が概略すり鉢状に形成されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の試薬の展開装置において、霧化した前記試薬に送風して前記処理槽内で循環させる送風手段を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明による基板洗浄方法は、試薬が展開された基板を処理槽内で支持するとともに、前記処理槽内に洗浄試薬を貯留し、該洗浄試薬中に前記基板を浸漬して前記洗浄試薬に超音波振動を付与することにより、前記基板表面を洗浄することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、処理槽に試薬霧化手段を配設し、微量試薬を霧化して試薬ミストを発生させ、基板であるスライドガラスの表面に効率よくかつ均一に試薬を展開することができる。その際、処理槽の内表面に撥水処理を施し、また、試薬霧化手段の配設部位周辺を傾斜させる等の構造的特徴を有し、試薬を効率よく回収することができる。回収した試薬は再び試薬霧化手段によって霧化され、試薬ミストとなって処理槽内を循環し、試薬のアジテーション効果に優れている。
【0021】
また、大量試薬を使用する洗浄工程に適用すれば、試薬霧化手段を利用することによって試薬に振動を付与することで洗浄効率を高めることができる。この場合、スライドガラスを静置したままで済み、大掛かりな上下動機構を省略することで装置の小型・コンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づき、本発明による試薬の展開方法および装置ならびに基板洗浄方法の好適な実施の形態を説明する。
本実施形態において前述したようにハイブリダイゼーション工程に本発明を適用するものとし、サンプル(切片)が貼付されたスライドガラス(基板)の表面に微量の試薬が展開される。
【0023】
図1は、この実施形態における本発明装置の概略構成を示している。試薬の展開装置10は、微量の試薬を展開すべきスライドガラス100を収容・支持する処理槽11と、処理槽11内で試薬を霧化する試薬霧化手段12とを有する。この試薬霧化手段12により霧化された試薬(試薬ミスト)を処理槽11内に行き渡らせることにより、スライドガラス100の表面に試薬を展開するようにしたものである。
【0024】
処理槽11は、処理槽本体11Aとスライドガラス100を保持する基板ホルダ11Bを含み、基板ホルダ11Bを処理槽本体11Aに閉合可能に構成されている。処理槽11は典型的には概略箱型を呈し、処理槽本体11Aおよび基板ホルダ11Bが閉合することで密閉される。スライドガラス100は、サンプルが添着されている面が表側になるように背中合せにしたものを一対とし、装架部材13を介して複数のスライドガラス100がほぼ等間隔で垂架されるようになっている。
【0025】
この実施形態では試薬霧化手段12として、処理槽11の底部に配設した超音波振動子を有する。この超音波振動子によって試薬を加振して霧化し、試薬ミストを発生するものである。発生した試薬ミストは処理槽11内に充満し、スライドガラス100の表面に付着する。
【0026】
ここで、処理槽11の内表面には撥水処理が施される。基本的には処理槽11の内部に露出する全ての部位(壁面、天井部、床部)に撥水処理を施すとよい。また、天井部(基板ホルダ11Bの上部内表面11Ba)は適度な角度で傾斜配置される。また、試薬霧化手段12である超音波振動子の配設部位周辺が、たとえば概略すり鉢状もしくはテーパ状に形成される。図示例では単一の超音波振動子を設けているが、その周囲の床面11Aaが該超音波振動子に向って傾斜するようになっている。なお、処理槽11の底部に複数の超音波振動子を配設してもよく、その場合、各超音波振動子の周囲が概略すり鉢状等に形成される。
【0027】
試薬霧化手段12である超音波振動子が設けられたミスト発生部には、防水ラバー等を敷設し、防水処置が施される。また、後述するようにハイブリダイゼーション工程においてスライドガラス100上のサンプルを、所定温度(たとえば60〜70°C程度)で試薬と反応させるが、超音波振動子の作動により発生する熱をサンプル反応時の加温手段の一部として利用することができる。なお、超音波振動子の発振周波数は可変であり、試薬の粘性等の物性等に応じて最適条件となるように設定される。処理槽11全体の温度制御については、ペルチェモジュールを用いて制御することができる。
【0028】
また、本発明の展開装置において、試薬ミストに送風して処理槽11内で循環させる送風手段を有することで、試薬ミストを処理槽11内で満遍なく行き渡らせ、スライドガラス100の表面に効率よくかつ均一に試薬を展着する上で有効に作用する。送風手段として図1に示されるように、たとえば天井部等にファン14を設け、処理槽11内で送風するとよい。
【0029】
つぎに、本発明の試薬の展開装置10によるハイブリダイゼーション処理を行うにあたり、ハイブリダイゼーション処理システムについて説明する。
図2は、この実施形態におけるハイブリダイゼーション処理システム20の概略構成を示している。図において、小量試薬容器21内の小量試薬は、送液ポンプ22によって電磁弁23を介して処理槽11内へ送液される。また、大量試薬容器24内の大量試薬はそれぞれ電磁弁25を介して送液ポンプ26に供給され、さらに該送液ポンプ26によって電磁弁27を介して処理槽11内へ送液される。
【0030】
一方、処理終了後、処理槽11内の試薬は廃液ポンプ28によって、電磁弁29を介して廃液ボトル30へ廃液される。また、処理槽11内の温度制御は、ペルチェモジュール31による加温あるいは冷却で行われる。この場合、試薬霧化手段12、送液ポンプ22,26、電磁弁23,25,27,29、廃液ポンプ28およびペルチェモジュール31はそれぞれコントローラ32に接続され、コントローラ32はそれらを個々にあるいはシステム全体を所定のシーケンスに従って適性に制御する。
【0031】
つぎに、ハイブリダイゼーション処理システム20における処理工程の例を説明する。
先ず準備段階として、サンプルが添着された複数のスライドガラス100を基板ホルダ11Bに保持し、これを処理槽本体11Aに閉合する。また、小量試薬容器21に小量試薬を、大量試薬容器24には大量試薬をそれぞれ予めセットしておく。
【0032】
サンプル処理工程ではハイブリダイゼーション処理が行われる。ハイブリダイゼーション処理工程では先ず、予めセットしてある微量試薬を送液ポンプ22により、処理槽11内の試薬霧化手段12(超音波振動子)へ送液する。
微量試薬としてたとえば、デキストラン、ホルムアミドおよびSSC等の混合溶液が使用される。
【0033】
送液された試薬は、超音波振動子によって霧化され、図3に示されるように試薬ミストM1が処理槽11内に充満する。このとき電子冷却器31により処理槽11内の温度を所定温度に設定・管理し、たとえば通常60°C前後、16時間に制御される。
【0034】
処理中は処理槽11内に霧化状態に維持し、試薬が処理槽11内で循環するように制御する。この際、ファン14を作動させることで、試薬ミストM1を処理槽11で循環させ、満遍なく行き渡らせる。かかる条件下で試薬ミストM1を形成することにより、スライドガラス100の表面に効率よくかつ均一に試薬を展開することができる。
【0035】
この場合、処理槽11の内表面に撥水処理が施され、また、超音波振動子の配設部位周辺を傾斜させることで、処理中に処理槽11の内表面に付着した試薬ミストを流れ落ち易くし、処理槽11の内表面やスライドガラス100の表面から滴下した試薬を試薬霧化手段12の部位に効率よく回収することができる。
【0036】
つぎに洗浄処理では規定の処理時間経過後、排出口から微量試薬を排出する。この後、大量の洗浄試薬を送液ポンプ26により、処理槽11内へ送液する。この場合、図4に示されるようにスライドガラス100に添着されたサンプルが、洗浄試薬M2に十分に浸漬されるまで送液する。
洗浄試薬としてとえば、キシレン、リン酸緩衝化生理食塩水、エタノール、ホルムアミド等々が、これらを用いた各洗浄処理(もしくはステップ)ごとに使用される。
【0037】
洗浄試薬の注入後、超音波振動子を作動し、その試薬に振動を付与することで洗浄効率を高めることができる。規定の処理時間経過後、廃液ポンプ28を作動させ排出口から洗浄試薬を廃液する。引き続き同様の処理が行われる。
【0038】
上記の場合、本システムではサンプルに応じた同様な工程がソフトウエアに入力されており、なお、試薬処理および洗浄処理の合計はたとえば30工程(もしくはステップ)に達し、各工程は数〜十数時間を要し、所定のプロトコルに従って自動で全ての工程が実行される。
【0039】
上記のようにハイブリダイゼーション処理において、処理槽11に試薬霧化手段12としての超音波振動子を配設し、微量試薬を霧化して試薬ミストを発生させ、スライドガラス100の表面に効率よくかつ均一に試薬を展開することができる。その際、従来用いていた試薬用の展開パッド等を使用しないで済み、装置構造あるいは構成を格段に簡素化することができる。また、パッドの反り等に起因する展開ムラ等の発生を防ぎ、均一かつ適性な試薬展開を保証することができる。
【0040】
さらに、処理槽11の内表面に撥水処理を施し、また、超音波振動子の配設部位周辺を傾斜させる等の構造的特徴を有する。これにより処理中に処理槽11の内表面に付着した試薬ミストを流れ落ち易くし、処理槽11の内表面やスライドガラス100の表面から流れ落ちた試薬を試薬霧化手段12の部位に効率よく回収することができる。回収した試薬は再び試薬霧化手段12によって霧化され、試薬ミストとなって処理槽11内を循環し、試薬のアジテーション効果により処理工程の効率化を図ることができる。
【0041】
また、大量試薬を使用する洗浄工程では、前述のように超音波振動子によって試薬に振動を付与することで洗浄効率を高めることができる。この場合、スライドガラス100を静置したままで済み、すなわち従来のようなスライドガラス100を上下動させる機構がもはや必要でなくなるため、装置の小型・コンパクト化を図ることができる。このように均一かつ適性な試薬展開を保証しながら、装置構成の簡素化、コンパクト化等を図り、結果的にコストダウンを実現することができる。
【0042】
つぎに、本発明による試薬の展開装置10の第2の実施形態を説明する。
図5は、第2の実施形態における本発明装置の概略構成を示している。この実施形態においても試薬の展開装置10は、試薬を展開すべきスライドガラス100を収容・支持する処理槽11と、処理槽11内で試薬を霧化する試薬霧化手段12とを有する。この試薬霧化手段12により霧化された試薬を処理槽11内に行き渡らせることにより、スライドガラス100の表面に試薬を展開する。
【0043】
第2の実施形態では特に、スライドガラス100は、サンプルが添着されている面が上側になるようにそれぞれ単体で、装架部材13を介して複数段ほぼ等間隔で各々横架されるようになっている。
【0044】
なお、この実施形態においても試薬霧化手段12として、処理槽11の底部に配設した超音波振動子を有する。その他の構成についても、実質的に第1の実施形態の場合と同様であり、したがって処理槽11の内表面には撥水処理が施され、また、天井部は適度な角度で傾斜配置される。試薬霧化手段12である超音波振動子の配設部位周辺が、概略すり鉢状もしくはテーパ状に形成される。
【0045】
第2の実施形態において、ハイブリダイゼーション処理システム20(図2)を第1の実施形態の場合と同様に作動させる。スライドガラス100が横架された処理槽11内で試薬霧化手段12により試薬を霧化して、図6のように試薬ミストM1を発生させ、各スライドガラス100の表面に効率よくかつ均一に試薬を展開することができる。この場合にも、従来用いていた試薬用の展開パッド等を使用しないで済み、装置構造あるいは構成を格段に簡素化することができる。また、パッドの反り等に起因する展開にムラ等の発生を防ぎ、均一かつ適性な試薬展開を保証することができる。
【0046】
さらに、本発明による試薬の展開装置10の第3の実施形態を説明する。
図7は、第3の実施形態における本発明装置の概略構成を示している。この実施形態においても試薬の展開装置10は、試薬を展開すべきスライドガラス100を収容・支持する処理槽11と、処理槽11内で試薬を霧化する試薬霧化手段12とを有する。この試薬霧化手段12により霧化された試薬を処理槽11内に行き渡らせることにより、スライドガラス100の表面に試薬を展開する。
【0047】
第3の実施形態において、スライドガラス100は第2の実施形態の場合と同様に、サンプルが添着されている面が上側になるようにそれぞれ単体で、装架部材13を介して複数段ほぼ等間隔で各々横架されるようになっている。
【0048】
第3の実施形態では特に、試薬霧化手段12として横方向吐出タイプの超音波霧化器を有する。図7のように処理槽11内に試薬ミストM1を吐出し、各スライドガラス100の表面に効率よくかつ均一に試薬を展開することができる。
この場合、処理槽11の内表面やスライドガラス100の表面から流れ落ちた試薬を、処理槽11の底部に集めて回収する。回収した試薬は試薬供給管15を通って、再び試薬霧化手段12に供給される。
【0049】
試薬霧化手段12として超音波霧化器の場合の他、たとえば空気圧を利用するエア吐出タイプを用いることができる。
【0050】
以上、本発明を種々の実施形態とともに説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
たとえば、試薬霧化手段12として用いる超音波振動子あるいは超音波霧化器の設置個数または設置部位等は、必要に応じて適宜増減あるいは変更可能であり、いずれの場合も上記各実施形態の場合と同様な作用効果を得ることができる。
また、上述の各実施形態で説明した具体的数値例等は、それらにのみ限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施形態における装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明に係るハイブリダイゼーション処理システムの概略構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における作用を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における作用を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における装置の概略構成を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における作用を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施形態における装置の概略構成を示す図である。
【図8】従来の試薬の展開方法の例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
10 展開装置
11 処理槽
11A 処理槽本体
11B 基板ホルダ
12 試薬霧化手段
13 装架部材
14 ファン
15 試薬供給管
20 ハイブリダイゼーション処理システム
21 小量試薬容器
22,26 送液ポンプ
23,25,27,29 電磁弁
31 ペルチェモジュール
32 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬を展開すべき基板を処理槽内で支持し、前記処理槽内で前記試薬を霧化して、霧化した前記試薬を前記処理槽内に行き渡らせることにより、前記基板表面に前記試薬を展開することを特徴とする試薬の展開方法。
【請求項2】
前記処理槽内の適所で、液状の前記試薬に超音波振動を付与することにより霧化することを特徴とする請求項1に記載の試薬の展開方法。
【請求項3】
少なくとも前記処理槽の内表面に付着した前記試薬を滴下させ、滴下回収した前記試薬に超音波振動を付与して、その試薬を再度霧化する工程を反復することを特徴とする請求項2に記載の試薬の展開方法。
【請求項4】
前記処理槽内に1または複数の前記基板を垂架または横架し、霧化した前記試薬に送風して前記処理槽内で循環させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の試薬の展開方法。
【請求項5】
試薬を展開すべき基板を収容支持する処理槽と、前記処理槽内で前記試薬を霧化する試薬霧化手段とを有し、霧化した前記試薬を前記処理槽内に行き渡らせることにより、前記基板表面に前記試薬を展開するようにしたことを特徴とする試薬の展開装置。
【請求項6】
前記処理槽は処理槽本体と前記基板を保持する基板ホルダを含み、前記基板ホルダを前記処理槽本体に閉合可能に構成したことを特徴とする請求項5に記載の試薬の展開装置。
【請求項7】
前記試薬霧化手段として、前記処理槽の底部に配設した1または複数の超音波振動子を有し、前記超音波振動子によって液状の前記試薬を加振して霧化することを特徴とする請求項5または6に記載の試薬の展開装置。
【請求項8】
前記処理槽の内表面に撥水処理を施すとともに、その天井部を傾斜配置し、前記試薬霧化手段の配設部位周辺が概略すり鉢状に形成されることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の試薬の展開装置。
【請求項9】
霧化した前記試薬に送風して前記処理槽内で循環させる送風手段を有することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の試薬の展開装置。
【請求項10】
試薬が展開された基板を処理槽内で支持するとともに、前記処理槽内に洗浄試薬を貯留し、該洗浄試薬中に前記基板を浸漬して前記洗浄試薬に超音波振動を付与することにより、前記基板表面を洗浄することを特徴とする基板洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−211981(P2006−211981A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29548(P2005−29548)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(390029791)アロカ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】