説明

試錐管

【課題】
地中に貫入して汚染土壌への浄化剤の供給と地下水の採取とを行なう際は、それらの作業を良好に行うことができると共に安価な試錐管を提供することを目的とする。
【解決手段】
地中に貫入された状態で、試錐管1の側面に穿設された貫通孔7を介して地下水の採取と汚染土壌への浄化剤の供給とを可能とする。貫通孔7は、その周縁となるべき部位に沿ってレーザービームを照射して穿設する。レーザービームの試錐管1に対する照射角度を貫通孔7の周縁における部位によって異ならせる。レーザービームによって穿設された貫通孔7を試錐管1の内側から貫通孔7の内周面全体を臨む視線で見たとき、試錐管1の内周面側における貫通孔7の開口によって試錐管1の外周面側における貫通孔7の開口が囲まれるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に貫入して地下水の採取と汚染土壌への浄化剤の供給とを行うことができる試錐管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されている従来の試錐管は、地中に存在するトリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等の揮発性有機化合物(volatile organic compounds 以下「VOCs」という。)からなる汚染物質を無害化するために、地中に貫入して地中の汚染土壌に浄化剤を供給したり、その浄化剤を供給した地中から地下水を採取したりするための長尺のパイプからなる。該パイプは金属製のパイプからなり、周壁には、該周壁を貫通する連通孔がパイプの長手方向に沿って所定のピッチで複数穿設されており、これらの複数の連通孔を介して、地下水の採取や地中への浄化剤の供給が行なわれる。
【特許文献1】特開2007−61663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の試錐管の各連通孔には、土砂の通過は禁止するが、ガスや液体の通過は許容するフィルターが配設されていたため、その分、試錐管が高価になっていた。
また、試錐管を地中に貫入して地下水を採取している間に、地下水に混入した細かい土砂によってフィルターが目詰まりしてしまい、そのような目詰まりを生じた状態で試錐管を使用すると、浄化剤の供給や地下水の採取を良好に行うことができなかった。
【0004】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、地中に貫入して汚染土壌への浄化剤の供給と地下水の採取とを行なう際は、それらの作業を良好に行うことができると共に安価な試錐管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明に係る試錐管は、地中に貫入された状態で、側面に穿設された貫通孔を介して地下水の採取と汚染土壌への浄化剤の供給とを可能とする試錐管において、前記貫通孔を穿設する前の試錐管の外周面の部位であって前記貫通孔の周縁となるべき部位に沿ってレーザービームを照射して前記貫通孔を穿設するようにし、前記レーザービームの前記試錐管に対する照射角度を前記貫通孔の周縁における部位によって異ならせ、前記レーザービームによって穿設された貫通孔を前記試錐管の内側から該貫通孔の内周面全体を臨む視線で見たとき、前記試錐管の内周面側における前記貫通孔の開口によって前記試錐管の外周面側における前記貫通孔の開口が囲まれるようにしたものである。
【0006】
請求項2に記載した発明に係る試錐管は、請求項1に記載の試錐管において、前記貫通孔を、前記試錐管の長手方向に長いスリットで構成したことを特徴とするものである。
【0007】
請求項3に記載した発明に係る試錐管は、請求項2に記載の試錐管において、前記試錐管をその長手方向に沿う視線で見たとき、前記スリットの向かい合う対向面を前記試錐管の内周面側から外周面側に向かう方向にそれぞれ延長した仮想平面同士が前記試錐管の外側方で交差するようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、レーザービームの試錐管に対する照射角度を貫通孔の周縁における部位によって異ならせ、レーザービームによって穿設された貫通孔を試錐管の内側から見たとき、試錐管の内周面側における貫通孔の開口によって試錐管の外周面側における貫通孔の開口が囲まれるようにしたので、貫通孔をその大きさが、試錐管の外周面側より内周面側の方が大きくなるように容易に形成することができる。
このように形成された貫通孔を有する試錐管を介して地下水を採取すれば、地下水に混入した土砂のうち大きな砂粒は外周面側の貫通孔の小さな開口で堰き止めることができ、堰き止められなかった小さな土砂だけを地下水と共に外周面側の貫通孔の開口を通過させることができる。しかも、外周面側の貫通孔の開口を通過した土砂は、貫通孔を通過するにつれて該貫通孔の横断面が大きくなっているため、貫通孔内で目詰まりすることなく地下水と共に貫通孔を通過して試錐管内に流入することができる。この結果、試錐管外の、貫通孔の近傍に存在する地中の大きな砂粒の隙間と該貫通孔とによって地中と試錐管内との間に流路が形成され、その流路を介して地下水を良好に採取することができる。
また、試錐管の貫通孔は殆ど目詰まりしないので、該試錐管を使用して地中に浄化剤を貫通孔から良好に供給することもできる。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、貫通孔を、試錐管の長手方向に長いスリットで構成したので、試錐管の強度を殆ど低下させることなく所望の大きさの貫通孔を穿設することができる。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、スリットの向かい合う対向面をそれぞれ延長した仮想平面同士が試錐管の外側方で交差するようにしたので、スリットの向かい合う対向面を穿孔する際のレーザービームの試錐管に対する照射角度を、対向面ごとに一定にしたまま試錐管の長手方向に沿って一方向に試錐管をレーザービームに対して相対的に移動させるだけで、貫通孔をその大きさが、試錐管の外周面側より内周面側の方が大きくなるように形成することができ、該貫通孔の形成作業を単純にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る試錐管の外観を示す側面図であり、図2は試錐管の軸芯に沿って破断した状態を示す縦断面図であり、図3の(a),(b)は図1における矢視A−A,矢視B−Bにそれぞれ沿う拡大断面図であり、図4はレーザー加工装置により試錐管に貫通孔を穿設している状態を示す側面図であり、図5の(a),(b)は試錐管に貫通孔を穿設している状態を拡大して示す断面図であり、図6は試錐管に貫通孔を穿設している途中の状態の試錐管の両端部を拡大して示す側面図であり、図7は図6の状態における試錐管の全体を示す側面図であり、図8の(a),(b)はレーザービームの試錐管に対する照射角度を変更する前後の状態を拡大して示す断面図であり、図9は試錐管に一部の貫通孔を穿設し終えた状態の試錐管の両端部を拡大して示す側面図であり、図10は図9の状態における試錐管の全体を示す側面図であり、図11は試錐管を使用して地下水を採取している状態を示す側面図であり、図12は試錐管を使用して地中に浄化剤を供給している状態を示す側面図である。各図において符号1は、この実施の形態に係る試錐管を示している。なお、この試錐管1は長尺であるので、作図の都合上、図7および図10では長手方向中途部で二分割して左右にずらして試錐管1の全体を図示している。
【0012】
この試錐管1は、ステンレス製または鉄製の円管状の1本の部材からなり、外径が34ミリメートル、内径が25ミリメートルで長さが1.5メートルを有する。試錐管1の一端部(図1および図2では上端部)の外周部の外径寸法は、試錐管1の中途部の外周部の外径寸法より小径とされ、この小径とされた部分には雄ねじ部3が刻設されている。一方、試錐管1の他端部(図1および図2では下端部)の内周部には雌ねじ部5が刻設されている(図2を参照)。
試錐管1の雌ねじ部5に、他の試錐管1の雄ねじ部3を螺合して複数の試錐管1を次々に連結することによって長尺の1本の連結試錐管が構成される。なお、試錐管1の雄ねじ部3および雌ねじ部5はテーパねじ構造とされ、互いに強固に螺合することによって緩み難くされている。
【0013】
また、図1および図2に示すように、試錐管1には、該試錐管1の長手方向に長いスリットで構成された複数の貫通孔7が穿設されている。貫通孔7は、試錐管1の外周面側の開口の幅寸法T(図3を参照)が0.2ミリメートルないし0.3ミリメートルで長さ(軸芯Oに沿う方向の寸法)が10ミリメートルないし30ミリメートルの長孔からなっており、高密度のレーザービームの照射によって穿設される。また、貫通孔7の対向面7aと対向面7bとのなす角度θ(図3を参照)は5度ないし40度に設定されている。このため、貫通孔7は、その大きさが、試錐管1の外周面側より内周面側の方が大きくなっている。要は、貫通孔7を、内周面側の方が大きくなるように形成すればよく、そのためには前記角度θを40度以上に設定してもよい。
この結果、貫通孔7を試錐管1の内側から該貫通孔7の内周面全体を臨む視線で見たとき、図2に一つの貫通孔7を拡大して示すように、試錐管1の内周面側における貫通孔7の開口7cによって試錐管1の外周面側における貫通孔7の開口7dが囲まれるようになる。
【0014】
また、貫通孔7は、試錐管1の軸芯Oに沿う方向に、雄ねじ部3と雌ねじ部5との間に亘って一定の間隔を隔てて12箇所にそれぞれ2個ずつ穿設されている。これらの2個ずつの貫通孔7は、図3に示すように、軸芯Oに沿う方向から見て、軸芯Oを挟んで180度の対向する位置に1個ずつ穿設されていると共に試錐管1の軸芯Oに沿う方向に交互に、軸芯O回りに90度だけ角度がずれた位置に穿設されている。すなわち、図3の(a)と(b)とを対比して見ると分かるように、(a)と(b)とで示す各貫通孔7の位置は、軸芯O回りに90度だけ角度がずれている。なお、試錐管1に複数の貫通孔7を穿設する位置は、前述したように交互に角度が90度ずれた位置でもよく、90度以外の任意の角度ずつ千鳥足状にずれた位置でもよく、または、角度がずれることなく試錐管1の軸芯Oに沿って同じ位置に一直線上に並ぶようにしてもよく、任意に設定することができる。
【0015】
(穿孔作業の工程)
次に、試錐管1の各貫通孔7をレーザービームの照射によって穿孔する穿孔作業の工程について説明する。該穿孔作業では、試錐管1の外周面の部位であって貫通孔7の周縁となるべき部位に沿ってレーザービームを照射して貫通孔7を穿設する。なお、この説明では、試錐管1の軸芯Oに沿う方向に一直線上に並設される6個の貫通孔7ごとに穿孔作業を行なう例について述べる。
【0016】
(1)まず、図4に示すように、レーザー加工装置11の基台11a上に配置された加工台11b上に2ないし3個の固定治具13を試錐管1の長さの範囲内で一定の間隔を隔てて一直線上に並べて固定し、該固定治具13上に、貫通孔7を穿設する前の試錐管1を載置する。この実施の形態では、試錐管1の両端部の雄ねじ部3と雌ねじ部5とは、予め刻設しておく例を示しているが、貫通孔7の穿孔作業が終了した後に刻設するようにしてもよい。
【0017】
レーザー加工装置11は、基台11aと、該基台11a上に配置され試錐管1等の加工対象物が載置される加工台11bと、該基台11aの一端部から上方に向かって延設された支柱11cと、該支柱11cの上部に、数値制御されて鉛直方向に進退自在に支持されたシリンダ11dと、該シリンダ11dの上端部に固定され水平方向に延設された梁部11eと、該梁部11eの延設された端部の下面に固定されたビーム照射部11fとを備えている。加工台11bは、鉛直方向と直交し図4の紙面に平行な方向と、図4の紙面に垂直な方向とにそれぞれ数値制御されて移動自在に基台11a上に支持されている。ビーム照射部11fは、その下端から鉛直方向下方に向かって高密度のレーザービームZを照射し、前記シリンダ11dの進退に伴って鉛直方向に移動する。
【0018】
また、図5に示すように、固定治具13は、試錐管1の軸芯Oが水平方向に沿う状態に置かれた試錐管1の下側面を支持する一対の傾斜面13a,13aを備え、該一対の傾斜面13a,13aは、上方に向かって開放する略V字状に形成されている。各固定治具13の一対の傾斜面13a,13aが互いに平行になるように一直線上に各固定治具13を並べた状態で加工台11b上に各固定治具13を固定する。図4では、各固定治具13を図4の紙面に垂直な方向に一直線上に並べた状態を示している。このため、一対の傾斜面13a,13a上に試錐管1を載置するだけで、試錐管1の長手方向に直交する水平方向(図5の(a),(b)にそれぞれ矢印Xで示す方向)の位置決めがなされる。
(2)次に、固定治具13の一対の傾斜面13a,13a上に試錐管1を載置した状態で、固定部材(図示せず)のねじ部材を締め付けることによって試錐管1を固定治具13に固定する。これによって、試錐管1は、固定治具13に対して相対的な移動や軸芯O回りの回転ができなくなる。
【0019】
(3)次に、試錐管1と略同一の長さを有する遮蔽部材15を試錐管1内に挿入する。
なお、遮蔽部材15は、横断面の形状が矩形をした鉄製の四角柱材からなり、レーザービームZを照射して試錐管1に貫通孔7を穿設する際に、図5の(a),(b)において試錐管1の上部側の内周面を貫通したレーザービームZによって試錐管1の下部側の内周面を穿孔しないように試錐管1内に挿入してレーザービームZを遮蔽するためのものである。遮蔽部材15は、レーザービームZを確実に遮蔽するために横断面形状の矩形の長辺が略水平方向を指向するように試錐管1内に配置する。
【0020】
(4)次に、加工台11bを適宜移動させて、貫通孔7を穿設する所定の部位(図6に示す点P11)を、ビーム照射部11fから照射されるレーザービームZの経路上に位置させる。なお、図7のP1ないしP6は、試錐管1の軸芯Oに沿う方向に一直線上に並設される6個の貫通孔7を穿設する際に、レーザービームZでなぞる略逆コの字状の線部分を示し、図6の点P11は線部分P1の始点となる。線部分P1ないしP6のうち線部分P1は、雄ねじ部3に最も近い貫通孔7を穿設する際にレーザービームZでなぞる線部分を示し、図7の線部分P1ないしP6の数字は、6個の貫通孔7が試錐管1の軸芯Oに沿う方向に一直線上に並ぶ順番と対応している。
【0021】
(5)次に、ビーム照射部11fと点P11との距離がレーザービームZを照射する際に適切な距離となる位置まで梁部11eを下降させる。
(6)次に、レーザー加工装置11のビーム照射部11fからレーザービームZを照射しながら、図6に示す点P11と点P12とを結ぶ直線部分と、点P12と点P13とを結ぶ直線部分と、点P13と点P14とを結ぶ直線部分とを点P11→点P12→点P13→点P14の順にレーザービームZがなぞるように加工台11bを試錐管1等と共に基台11a上で適宜移動させる。図5の(a)は、点P12から点P13まで穿孔した状態を示している。
これによって、線部分P1がレーザービームZの照射によって略逆コの字状に穿孔される。なお、線部分P1の点P12と点P13とを結ぶ直線部分の穿孔によって、図3の(a)に示す貫通孔7の対向面7aが形成される。
【0022】
(7)次に、レーザービームZの照射を中断し、試錐管1の軸芯Oに沿う方向で隣に位置する貫通孔7を穿設する所定の部位(図6に示す点P21)を、ビーム照射部11fから照射されるレーザービームZの経路上に位置させる。点P21は線部分P2の始点となる。
(8)次に、ビーム照射部11fからレーザービームZを照射しながら、図6に示す点P21と点P22とを結ぶ直線部分と、点P22と点P23とを結ぶ直線部分と、点P23と点P24とを結ぶ直線部分とを点P21→点P22→点P23→点P24の順にレーザービームZがなぞるように加工台11bを試錐管1等と共に基台11a上で適宜移動させる。
これによって、試錐管1の側面における点P21ないし点P24を結ぶ線部分がレーザービームZの照射によって略逆コの字状に穿孔される。なお、点P22と点P23とを結ぶ直線部分の穿孔によって、図3の(a)に示す貫通孔7の対向面7aが形成される。
【0023】
(9)次に、前記(7)および(8)の工程と同様の工程を繰り返して、図7に示す線部分P3,P4,P5およびP6をレーザービームZでそれぞれなぞり、略逆コの字状にそれぞれ穿孔する。図6は、点P61→点P62→点P63→点P64の順にレーザービームZがなぞって線部分P6まで穿孔した状態を示している。図8の(a)は、レーザービームZにより穿孔された線部分P6の点P62と点P63とを結ぶ直線部分の中途部を破断した状態を示している。
(10)次に、レーザービームZの照射を中断し、前記固定部材のねじ部材を緩めて、固定治具13に試錐管1を載置した状態で軸芯O回りに、図8に示す仮想直線L(図8において点P62と軸芯Oとを通る直線)が図8の(a)に示す角度位置から図8の(b)に示す角度位置になるまで試錐管1を所定の角度だけ回転させたのち、固定部材のねじ部材を再び締め付けて試錐管1を固定治具13上に固定する。このときの試錐管1の回転角度は、レーザービームZの照射による穿孔で形成される貫通孔7の対向面7b(図3の(a)を参照)が図8の(b)において鉛直方向を指向する角度とする。また、遮蔽部材15が試錐管1内で傾斜している場合は、図8の(b)に示すように、横断面形状の矩形の長辺が略水平方向を指向するように配置し直す。
【0024】
(11)次に、加工台11bを適宜移動させて、図8の(b)および図9に示す点Q61を、ビーム照射部11fから照射されるレーザービームZの経路上に位置させる。点Q61は、線部分P6上の点であると共に図3の(a)に示す貫通孔7の対向面7b上の点となるものでもある。
(12)次に、ビーム照射部11fからレーザービームZを照射しながら、図9に示す点Q61と点Q62とを結ぶ直線部分を点Q61から点Q62までレーザービームZがなぞるように加工台11bを試錐管1等と共に基台11a上で移動させる。図5の(b)は、点Q61から点Q62まで穿孔した状態を示している。
これによって、点Q61と点Q62とを結ぶ直線部分がレーザービームZの照射によって穿孔され、図3の(a)に示す貫通孔7の対向面7bが形成される。この結果、点Q61,点Q62,点P62,点63によって囲まれる矩形状の部分が切断されて、図1および図10に示す貫通孔7のうち最も下側の貫通孔7が穿設される。
【0025】
しかも、前記工程(10)で試錐管1を所定の角度だけ回転することによって、貫通孔7の周縁における部位(点P62と点P63とを結ぶ直線部分と、点Q61と点Q62とを結ぶ直線部分)によってレーザービームZの試錐管1に対する照射角度を異ならせたので、貫通孔7をその大きさが、試錐管1の外周面側より内周面側の方が大きくなるように形成することができる。
この結果、レーザービームZによって穿設された貫通孔7を試錐管1の内側から該貫通孔7の内周面全体を臨む視線で見たとき、図2に一つの貫通孔7を拡大して示すように、試錐管1の内周面側における貫通孔7の開口7cによって試錐管1の外周面側における貫通孔7の開口7dが囲まれるようになる。そして、開口7cと開口7dとは共に長方形状でそれらの長辺に当る部分は同じ長さで、短辺に当る部分は開口7cの方が開口7dより長く、短辺に当る部分同士は重なっている。
【0026】
また、貫通孔7は、試錐管1の長手方向に長いスリットで構成され、図3の(a)に示すように、試錐管1の長手方向(試錐管1の軸芯Oに沿う方向)に沿う視線で試錐管1を見たとき、該スリットの向かい合う対向面7a,7bを試錐管1の内周面側から外周面側に向かう方向にそれぞれ延長した仮想平面S1,S2同士が試錐管1の外側方で交差している。
なお、貫通孔7の周縁における一方の部位(点P62と点P63とを結ぶ直線部分)と他方の部位(点Q61と点Q62とを結ぶ直線部分)とのレーザービームZの試錐管1に対するそれぞれの照射角度について、互いに異なる場合とは、図3の(a)に示す仮想平面S1とS2とが図3の(a)に示すように互いに交差する場合をいい、互いに同一となる場合とは、仮想平面S1とS2とが交差しないで互いに平行となる場合をいう。
【0027】
(13)次に、レーザービームZの照射を中断し、図9に示す点Q51を、ビーム照射部11fから照射されるレーザービームZの経路上に位置させる。点Q51は、線部分P5上の点であると共に図3の(a)に示す貫通孔7の対向面7b上の点となるものでもある。
(14)次に、図9に示す点Q51と点Q52とを結ぶ直線部分を点Q51から点Q52までレーザービームZがなぞるように加工台11bを試錐管1等と共に基台11a上で移動させる。そしてさらに、前記(13)および(12)の工程と同様の工程を繰り返して、線部分P1上の点Q11,点Q12を結ぶ直線部分までそれぞれ穿孔したのち、レーザービームZの照射を中断する。点Q11,点Q12は、線部分P1上の点であると共に図3の(a)に示す貫通孔7の対向面7b上の点となるものでもある。
これによって、図10に示すように、試錐管1の軸芯Oに沿う方向に一直線上に並んだ6個の貫通孔7が穿設され、しかも、各貫通孔7はその大きさが、試錐管1の外周面側より内周面側の方が大きくなるように形成される。
【0028】
(15)次に、試錐管1の軸芯Oに沿う方向に一直線上に並ぶ他の6個の貫通孔7の穿孔作業を行うべく、前記固定部材のねじ部材を緩めて、固定治具13に載置された状態で試錐管1を軸芯O回りに所定の角度だけ回転させたのち、固定部材のねじ部材を再び締め付けて試錐管1を固定治具13に固定する。
(16)前記(4),(6)ないし(14)の工程と同様の工程を繰り返して、試錐管1の軸芯Oに沿う方向に一直線上に並ぶ他の6個の貫通孔7の穿孔作業を行い、さらに、該穿孔作業と同様の作業を行って24個の全ての貫通孔7を穿設する。
【0029】
(17)次に、加工台11bおよびビーム照射部11fを最初の位置に移動させたのち、試錐管1内から遮蔽部材15を抜き取り、さらに、前記固定部材のねじ部材を緩めて、固定治具13から試錐管1を取り外す。
以上で、レーザー加工装置11による1本の試錐管1の貫通孔7の穿孔作業が終了する。
なお、以上説明した試錐管1の穿孔作業工程(1)ないし(17)は、本発明の要旨または思想に反しない範囲で、順序や内容を必要に応じて適宜変更することができる。
【0030】
(地下水の採取方法)
次に、複数の試錐管1を連結してなる長尺の1本の連結試錐管を使用して、地中の土壌の汚染状態の調査等を行うために地下水を採取する方法の一例について図11により説明する。なお、作図の都合上、図11では、連結試錐管の最上部に位置する試錐管1の上部側を図示している。
【0031】
試錐装置(図示せず)により地面に穿った穴内に前記連結試錐管を挿入して地中Mに連結試錐管を貫入したのち、該連結試錐管内に地中挿入用具50を挿入する。地中挿入用具50は、鉄製の円筒状の1本の外管53と、この外管53の長手方向に所定の間隔を隔てて外管53の外周に嵌合された3個の膨張管55a,55b,55cと、3本の内管57a,57b,57cとを備えている。3個の膨張管55a,55b,55cの、外管53の長手方向における配置間隔は、試錐管1の貫通孔7が穿設された間隔(試錐管1の長手方向の間隔)と同一とされている。内管57a,57b,57cは、それぞれの一端側が外管53の一端側から突出した状態で他端側がそれぞれ外管53内に挿入されている。膨張管55a,55b,55cは、拡径可能な弾性材料たるゴム材からなり、膨張管55a,55b,55cのそれぞれの両端部は円環状の締め付け部材によって外管53の外周に気密に緊縛され、かつ、膨張管55a,55b,55cと外管53とのそれぞれの間隙に、外部と気密に区画された円環状の区画室がそれぞれ形成されている。
【0032】
外管53の長手方向において各膨張管55a,55b,55cが隣り合う間の外管53の部位には、外管53内と外部とを連通する連通孔59が一つずつ穿設され、内管57a,57bと各連通孔59とはそれぞれ対応して個別に連通されている。詳しくは、膨張管55a,55b間の連通孔59と内管57aとが連通し、膨張管55b,55c間の連通孔59と内管57bとが連通している。なお、図11では、膨張管55b,55c間の連通孔59のみ図示している。
一方、各膨張管55a,55b,55cに対応する外管53の部位には、前記各区画室と外管53内とを連通する空気供給孔が各区画室に対応してそれぞれ穿設されており、各空気供給孔と内管57cとが連通している。外管53の内周と内管57a,57b,57cの外周との間隙には、エポキシ系樹脂等の樹脂等からなる充填材が充填され固化されている。外管53および内管57a,57b,57cの下端側の開口部は、栓部材(図示せず)がそれぞれ固着され密栓されている。
【0033】
地中挿入用具50の各膨張管55a,55b,55cのうちの隣り合う膨張管間に、地下水を採取したい地中の深度に位置する貫通孔7が位置付けられるように試錐管1内に地中挿入用具50を挿入する。
地中挿入用具50の内管57cは空気供給管60を介して空気供給装置65に接続され、内管57a,57bには、それぞれ流通管66a,66bを介して吸水装置67に接続されている。吸水装置67は流通管66a,66bの流通管のうち何れか一方の流通管を任意に選択して、その選択した流通管だけを介して吸水することができる。
【0034】
而して、空気供給装置65を作動させて、空気供給管60と内管57cとを介して、膨張管55a,55b,55cと外管53とのそれぞれの間隙に形成された区画室に所定の高圧の空気を供給し、各区画室内を所定の圧力に保持する。これによって、膨張管55a,55b,55cが拡径され、膨張管55a,55b,55cのそれぞれの外周面が試錐管1の内周面に圧接された状態で保持される。次に、吸水装置67を作動させて、まず流通管66aを選択して該流通管66aを介して地下水の採取を行い、その採取に引き続いて、流通管66bを選択して該流通管66bを介して地下水の採取を行う。図11は、膨張管55b,55c間に位置する試錐管1の貫通孔7と内管57bと流通管66bとを介して地下水の採取を行っている状態を示している。
【0035】
試錐管1の各貫通孔7をその大きさが、試錐管1の外周面側より内周面側の方が大きくなるように形成しているので、地下水を採取している際に、地下水に混入した土砂のうち大きな砂粒は外周面側の貫通孔7の小さな開口で堰き止めることができ、堰き止められなかった小さな土砂だけを地下水と共に外周面側の貫通孔7の開口を通過させることができる。しかも、外周面側の貫通孔7の開口を通過した土砂は、貫通孔7を通過するにつれて該貫通孔7の横断面が大きくなっているため、貫通孔7内で目詰まりすることなく地下水と共に貫通孔7を通過して試錐管1内に流入することができる。この結果、試錐管1外の貫通孔7の近傍に存在する地中Mの大きな砂粒の隙間と該貫通孔7とによって地中Mと試錐管1内との間に流路が形成され、その流路を介して地下水を良好に採取することができる。
【0036】
地中Mの深度のさらに深い部位の地下水を採取する場合は、空気供給装置65の作動を停止して、前記各区画室内の空気圧を低下させ、膨張管55a,55b,55cを縮径させたのち、地下水を採取したい深度に位置する試錐管1の貫通孔7が、膨張管55a,55bの間または膨張管55b,55cの間に位置付けられるように試錐管1内で地中挿入用具50を下方に移動させる。
そして、前述した吸水作業と同様の作業を行って地下水を採取することで、地中Mの深度の浅い部位から深い部位までの地下水が採取される。
【0037】
VOCsからなる汚染物質によって土壌が汚染されている地中Mから採取された地下水には該汚染物質が溶解しているので、地下水に溶解している該汚染物質の濃度を地中Mの深度ごとに計測装置によって測定することで、地中Mの深度ごとの土壌汚染の状態を把握することができる。
なお、前記地中挿入用具50は、3個の膨張管55a,55b,55cおよび3本の内管57a,57b,57c等で構成される例を示したが、これに代えて、膨張管を2個または4個以上にすると共に、それに対応して内管の本数,膨張管間の連通孔の個数および空気供給孔の個数等を変更するようにしてもよい。
【0038】
(汚染土壌の浄化方法)
次に、前記連結試錐管を使用して、地中の汚染土壌を浄化する方法の一例について図12により説明する。なお、この汚染土壌の浄化方法では、前述した地下水の採取方法で説明した地中挿入用具50,空気供給管60,空気供給装置65および流通管66a,66bと同一のものを使用する場合について説明し、それらの部材については、図11と同一符号を付し詳細な説明は省略する。また、作図の都合上、図12では、連結試錐管の最上部に位置する試錐管1の上部側を図示している。
地中挿入用具50の内管57a,57bは、それぞれ流通管66a,66bを介して浄化装置69に接続されている。該浄化装置69は、組成ガスとしてオゾンを含む浄化用ガスを地中Mに供給するための装置である。浄化装置69は流通管66a,66bの2本の流通管のうち何れか一方の流通管を任意に選択して、その選択した流通管だけを介して浄化用ガスを供給することができる。
【0039】
空気供給装置65の作動を停止して膨張管55a,55b,55cを縮径させた状態で、汚染された地中Mの深度に位置する試錐管1の貫通孔7の部位まで地中挿入用具50を試錐管1内に挿入する。そして、空気供給装置65を作動させて、膨張管55a,55b,55cと外管53とのそれぞれの間隙に形成された各区画室に所定の高圧の空気を供給し、各区画室内を所定の圧力に保持して膨張管55a,55b,55cを拡径する。
【0040】
次に、浄化装置69を作動させて、汚染された地中Mの深度に位置する試錐管1の貫通孔7を介して浄化用ガスを地中Mに供給する。図12では、汚染された地中Mの深度に位置する試錐管1の貫通孔7を膨張管55b,55c間に位置付けて、その間に位置する外管53の連通孔59と、該連通孔59に連通する内管57bと流通管66bとを介して浄化用ガスを供給している状態を示している。前述したように、地下水を採取する場合でも試錐管1の貫通孔7は目詰まりしないので、該試錐管1を使用して地中に浄化剤を貫通孔7から良好に供給することができる。
地中Mの広範の深度に亘って土壌が汚染されている場合は、前述した地下水の採取方法と同様に地中挿入用具50を試錐管1内で適宜移動させて、浄化用ガスを供給するようにする。
【0041】
また、面積の広い領域に亘って地中Mの土壌が汚染されている場合は、汚染された領域に、適当な間隔を隔てて複数の連結試錐管を貫入したのち、それらの連結試錐管にそれぞれ地中挿入用具50を挿入すると共に空気供給管60および流通管66a,66bを介して空気供給装置65および浄化装置69をそれぞれ各地中挿入用具50に接続し、流通管66a,66bおよび地中挿入用具50を介して浄化用ガスを地中Mに供給する。そのとき、地中Mの地点や深度によって土壌汚染の程度が異なる場合は、供給する浄化用ガスの単位時間当たりの供給量または供給時間を各地中挿入用具50ごとにまたは各地中挿入用具50の流通管66a,66bごとに適宜調整して浄化用ガスを供給するようにする。
【0042】
また、面積の広い領域に亘って適当な間隔を隔てて複数の連結試錐管を地中Mに貫入したのち、それらの連結試錐管にそれぞれ地中挿入用具50を挿入し、それらの地中挿入用具50のうち、前記領域の中央部に貫入した一部の地中挿入用具50に浄化装置69を接続する一方、前記一部の地中挿入用具50の周囲に貫入した残りの地中挿入用具50に吸水装置67を接続して、一部の地中挿入用具50を介して浄化用ガスを地中Mに供給しながら残りの地中挿入用具50を介して地下水の採取を行うようにしてもよい。これによって、採取した地下水に溶解している汚染物質の濃度を測定しながら、地中Mの汚染の状態に応じて浄化用ガスを地中Mに供給することができる。
【0043】
前述したように構成された試錐管1によれば、地中Mに貫入した状態で、側面に穿設された貫通孔7を介して地下水の採取と汚染土壌への浄化剤の供給とを支障なく行なうことができる。また、レーザービームZの試錐管1に対する照射角度を貫通孔7の周縁における部位によって異ならせ、レーザービームZによって穿設された貫通孔7を試錐管1の内側から見たとき、試錐管1の内周面側における貫通孔7の開口によって試錐管1の外周面側における貫通孔7の開口が囲まれるようにしたので、貫通孔7をその大きさが、試錐管1の外周面側より内周面側の方が大きくなるように容易に形成することができる。
【0044】
また、試錐管1の各貫通孔7の大きさが、試錐管1の外周面側より内周面側の方が大きくなっているので、地下水を採取している際に、試錐管1の貫通孔7が土砂等によって目詰まりすることがなく、地下水を良好に採取することができる。また、試錐管1の貫通孔7は目詰まりしないので、該試錐管1を使用して地中に浄化剤を貫通孔7から良好に供給することもできる。
また、この実施の形態による試錐管1によれば、各貫通孔7を、試錐管1の長手方向に長いスリットで構成したので、試錐管1の強度を殆ど低下させることなく所望の大きさの貫通孔7を穿設することができる。
【0045】
さらにまた、この実施の形態による試錐管1によれば、貫通孔7を、試錐管1の長手方向に長いスリットで構成し、図3の(a)に示すように、該スリットの向かい合う対向面7a,7bをそれぞれ延長した仮想平面S1,S2同士が試錐管1の外側方で交差するようにしたので、スリットの向かい合う対向面7a,7bを穿孔する際のレーザービームZの試錐管1に対する照射角度を、対向面7a,7bごとに一定にしたまま試錐管1の長手方向に沿って一方向に試錐管1をレーザービームZに対して相対的に移動させるだけで、貫通孔7をその大きさが、試錐管1の外周面側より内周面側の方が大きくなるように形成することができ、該貫通孔7の形成作業を単純にすることができる。
【0046】
なお、前述した実施の形態は本発明を説明するための一例であり、本発明は、前記の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と明細書との全体から読み取れる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更後の試錐管もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
例えば、前述した実施の形態においては、レーザー加工装置11は、ビーム照射部11fから照射されるレーザービームZの照射角度が鉛直方向の一方向のみとし、試錐管1を移動させたり固定治具13上で回転させたりしてレーザービームZによる穿孔の位置や角度を調整する例を示したが、本発明は、このような構成に囚われることなく、ビーム照射部11fを水平方向の全ての方向に数値制御して移動自在としたり、レーザービームZ自体の照射角度を適宜変更できるようにして、試錐管1を移動させたり固定治具13上で回転させたりする作業を削減または省略するようにしてもよい。
【0047】
要は、試錐管1に対するレーザービームZの相対的な照射位置および照射角度を適宜変更して、貫通孔7の周縁となるべき部位に沿ってレーザービームZを照射して貫通孔7を穿設することができ、かつ、レーザービームZの試錐管1に対する照射角度を貫通孔7の周縁における部位によって異ならせて、貫通孔7をその大きさが、試錐管1の外周面側より内周面側の方が大きくなるようにすることができればよい。
【0048】
また、前述した実施の形態においては、試錐管1の貫通孔7を、試錐管1の長手方向に長いスリットで構成する例を示したが、これに代えて、貫通孔7の形状を、試錐管1の外周面側より内周面側の方が大きくなるような略円錐台形状に形成してもよい。
【0049】
さらにまた、前述した実施の形態においては、試錐管1の雌ねじ部5に、他の試錐管1の雄ねじ部3を螺合して複数の試錐管1を連結することによって長尺の1本の連結試錐管を構成する例を示したが、これに代えて、両端部にねじ部が刻設された管継手を介して複数の試錐管1を螺合連結するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係る試錐管の外観を示す側面図である。
【図2】図2は試錐管の軸芯に沿って破断した状態を示す縦断面図である。
【図3】図3の(a),(b)は図1における矢視A−A,矢視B−Bにそれぞれ沿う拡大断面図である。
【図4】図4はレーザー加工装置により試錐管に貫通孔を穿設している状態を示す側面図である。
【図5】図5の(a),(b)は試錐管に貫通孔を穿設している状態を拡大して示す断面図である。
【図6】図6は試錐管に貫通孔を穿設している途中の状態の試錐管の両端部を拡大して示す側面図である。
【図7】図7は図6の状態における試錐管の全体を示す側面図である。
【図8】図8の(a),(b)はレーザービームの試錐管に対する照射角度を変更する前後の状態を拡大して示す断面図である。
【図9】図9は試錐管に一部の貫通孔を穿設し終えた状態の試錐管の両端部を拡大して示す側面図である。
【図10】図10は図9の状態における試錐管の全体を示す側面図である。
【図11】図11は試錐管を使用して地下水を採取している状態を示す側面図である。
【図12】図12は試錐管を使用して地中に浄化剤を供給している状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 試錐管
7 貫通孔
7a 対向面
7b 対向面
7c 開口
7d 開口
S1 仮想平面
S2 仮想平面
M 地中
Z レーザービーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に貫入された状態で、側面に穿設された貫通孔を介して地下水の採取と汚染土壌への浄化剤の供給とを可能とする試錐管において、
前記貫通孔を穿設する前の試錐管の外周面の部位であって前記貫通孔の周縁となるべき部位に沿ってレーザービームを照射して前記貫通孔を穿設するようにし、
前記レーザービームの前記試錐管に対する照射角度を前記貫通孔の周縁における部位によって異ならせ、
前記レーザービームによって穿設された貫通孔を前記試錐管の内側から該貫通孔の内周面全体を臨む視線で見たとき、前記試錐管の内周面側における前記貫通孔の開口によって前記試錐管の外周面側における前記貫通孔の開口が囲まれるようにしたことを特徴とする試錐管。
【請求項2】
請求項1に記載の試錐管において、
前記貫通孔を、前記試錐管の長手方向に長いスリットで構成したことを特徴とする試錐管。
【請求項3】
請求項2に記載の試錐管において、
前記試錐管をその長手方向に沿う視線で見たとき、前記スリットの向かい合う対向面を前記試錐管の内周面側から外周面側に向かう方向にそれぞれ延長した仮想平面同士が前記試錐管の外側方で交差するようにしたことを特徴とする試錐管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−190004(P2009−190004A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36111(P2008−36111)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(591211711)カルト株式会社 (20)
【Fターム(参考)】