試験装置、試験方法およびプログラム
【課題】交換機の物理メモリ使用量が、メモリ開放閾値を基準として安定状態にあるか否かを確認する試験を、より短時間で行うこと。
【解決手段】試験装置100は、交換機110に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求部202と、交換機110に対して、試験用呼処理以外の他の試験用処理を繰り返し要求する他処理要求部208と、交換機110が試験用呼処理及び他の処理の各々を行っているときに用いる物理メモリ領域の物理メモリ使用量に関するメモリ使用量情報を交換機110から取得するメモリ使用量取得部210と、取得されたメモリ使用量情報に基づいて、物理メモリ使用量が予め設定されているメモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断部212と、安定化判断部212による判断結果を通知する通知部214とを備える。
【解決手段】試験装置100は、交換機110に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求部202と、交換機110に対して、試験用呼処理以外の他の試験用処理を繰り返し要求する他処理要求部208と、交換機110が試験用呼処理及び他の処理の各々を行っているときに用いる物理メモリ領域の物理メモリ使用量に関するメモリ使用量情報を交換機110から取得するメモリ使用量取得部210と、取得されたメモリ使用量情報に基づいて、物理メモリ使用量が予め設定されているメモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断部212と、安定化判断部212による判断結果を通知する通知部214とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換機を試験するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ATM交換機に対して擬似的に呼処理を要求し、複数のコネクションを確立させることで、ATM交換機の高負荷試験を行う試験方法が開示されている。一方、交換機の中には、メモリ開放閾値を設定でき、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値に達すると、バッファオーバフローを起こさないように、アプリケーションプログラムに割り当てられたメモリ領域の開放および割り当てを繰り返す、いわゆる安定化動作を行うものがある。このような交換機による安定的な連続運転を保証するためには、このような交換機に対して、安定化動作が正しく行われるかといった試験や、安定化動作が行われた場合であっても呼処理が正しく行われるかといった試験を行う必要がある。そこで、この試験方法として、交換機に対して、呼処理を連続して行わせることにより、物理メモリ使用量を徐々に増加させ、意図的に当該物理メモリ使用量がメモリ開放閾値に達するようにして、安定化動作及び呼処理が正しく行われるかを確認するという試験方法が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−215138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した試験方法では、交換機に呼処理を連続して行わせることで物理メモリ使用量を徐々に増加させているため、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値に達するまで、多くの時間を要してしまい、試験を短時間で行うことができない。そこで、本発明の目的は、交換機における物理メモリ使用量がメモリ開放閾値を基準として安定状態にあるか否かを確認する試験を、より短時間で行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る試験装置は、交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求部と、前記交換機に対して、前記試験用呼処理以外の他の試験用処理を繰り返し要求する他処理要求部と、前記交換機が前記試験用呼処理及び前記他の試験用処理の各々を行っているときに用いる物理メモリ領域の物理メモリ使用量に関するメモリ使用量情報を、前記交換機から取得するメモリ使用量取得部と、取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が予め決められているメモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断部と、前記安定化判断部による判断結果を通知する通知部とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る試験装置は、交換機が処理に用いる物理メモリ領域における試験用のメモリ開放閾値を、当該交換機が通信網において稼動して処理を行うときに設定される値よりも低く設定する閾値設定部と、前記メモリ開放閾値が設定された前記交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求部と、前記交換機が前記試験用呼処理を行っているときの前記物理メモリ領域の使用量に関するメモリ使用量情報を、当該交換機から取得するメモリ使用量取得部と、取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が、前記閾値設定部により設定された前記メモリ開放閾値近辺を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断部と、前記安定化判断部による判断結果を通知する通知部とを備えることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記試験用呼処理は、前記交換機において1つの当該試験用呼処理に対して割り当てられた前記物理メモリ領域の開放が、当該1つの試験用呼処理が終了するまでの間は許されないものであり、前記他の試験用処理は、前記交換機において1つの当該他の試験用処理に対して割り当てられた前記物理メモリ領域の開放が、当該1つの他の試験用処理が終了するまでの間であっても許されるものである。
【0008】
好ましくは、前記安定化判断部は、取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が上昇傾向から下降傾向に転じた時刻Tと、当該時刻Tの前記物理メモリ使用量Yとをそれぞれ特定し、前記時刻T以降に取得された複数の前記物理メモリ使用量の平均値と、前記物理メモリ使用量Yとの差分が、予め定められた範囲内であることをもって、前記物理メモリ使用量が前記メモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定したと判断するとよい。
【0009】
また、本発明に係る試験方法は、交換機を試験する試験装置による試験方法であって、 前記交換機に対して、試験用呼処理と、当該試験用呼処理以外の他の試験用処理とを、それぞれ繰り返し要求する処理要求工程と、前記交換機が前記試験用呼処理及び前記他の処理の各々を行っているときに用いる物理メモリ領域の物理メモリ使用量に関するメモリ使用量情報を、前記交換機から取得するメモリ使用量取得工程と、取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が予め設定されているメモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断工程と、前記安定化判断工程における判断結果を通知する通知工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る試験方法は、交換機を試験する試験装置による試験方法であって、前記交換機が処理に用いる物理メモリ領域における試験用のメモリ開放閾値を、当該交換機が通信網において稼動して処理を行うときに設定される値よりも低く設定する閾値設定工程と、前記メモリ開放閾値が設定された前記交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求工程と、前記交換機が前記試験用呼処理を行っているときの前記物理メモリ領域の使用量に関するメモリ使用量情報を、当該交換機から取得するメモリ使用量取得工程と、取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が、前記閾値設定部により設定された前記メモリ開放閾値近辺を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断工程と、前記安定化判断工程における判断結果を通知する通知工程とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求手段と、前記交換機に対して、前記試験用呼処理以外の他の試験用処理を繰り返し要求する他処理要求手段と、前記交換機が前記試験用呼処理及び前記他の試験用処理の各々を行っているときに用いる物理メモリ領域の物理メモリ使用量に関するメモリ使用量情報を、前記交換機から取得するメモリ使用量取得手段と、取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が予め決められているメモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断手段と、前記安定化判断手段による判断結果を通知する通知手段として機能させるためのプログラムである。
【0012】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、交換機が処理に用いる物理メモリ領域における試験用のメモリ開放閾値を、当該交換機が通信網において稼動して処理を行うときに設定される値よりも低く設定する閾値設定手段と、前記メモリ開放閾値が設定された前記交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求手段と、前記交換機が前記試験用呼処理を行っているときの前記物理メモリ領域の使用量に関するメモリ使用量情報を、当該交換機から取得するメモリ使用量取得手段と、取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が、前記閾値設定手段により設定された前記メモリ開放閾値近辺を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断手段と、前記安定化判断手段による判断結果を通知する通知手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、交換機における物理メモリ使用量がメモリ開放閾値を基準として安定状態にあるか否かを確認する試験を、より短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る通信システム10の全体構成を示す。
【図2】交換機110の物理メモリ使用量の安定化の概念を示す。
【図3】試験装置100による試験時間の短縮化の概念を示す。
【図4】第1実施形態に係る試験装置100の機能構成を示す。
【図5】第1実施形態に係る試験装置100による処理の手順を示す。
【図6】試験装置100による安定化判断処理の概念を示す。
【図7】試験装置100のハードウェア構成の一例を示す。
【図8】第2実施形態に係る試験装置100による試験時間の短縮化の概念を示す。
【図9】第2実施形態に係る試験装置100の機能構成を示す。
【図10】第2実施形態に係る試験装置100による処理の手順を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る通信システム10の全体構成を示す。通信システム10は、試験装置100及び交換機110を有している。
【0016】
交換機110は、例えばIMT−2000に準拠し、通信方式としてW−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)を用いる移動体通信網に設けられる装置である。交換機110は、基地局を介して移動体通信網に接続された携帯電話機からの要求に応じて呼処理を行い、携帯電話機同士の通信経路を確立する等の交換処理を主に行う装置である。
【0017】
ここで、図2を用いて、交換機110の物理メモリ使用量の安定化について説明する。図2は、交換機110における物理メモリ使用量の安定化の概念を示す。交換機110においては、そのOS(Operating System)として、汎用OSであるLinux(登録商標)が用いられている。このLinux上では、交換機110の物理メモリ領域が、「Free領域」、「Cached領域」、「Buffer領域」、及び「共有メモリ領域」に区別されている。このうち、「共有メモリ領域」とは、アプリケーションプログラムを実行するときにそのプログラムに随時割り当てられる領域である。
【0018】
ここで、交換機110においては、図2の「増加期間」に対応するグラフが示すように、呼処理等の手順が記述された各アプリケーションプログラムが実行されると、時間が経過するにつれ、物理メモリ領域の物理メモリ使用量(以下、単に「物理メモリ使用量」という。)が徐々に増加していく。そして、図2の「安定化期間」に対応するグラフが示すように、物理メモリ使用量が予め設定されたメモリ開放閾値Vに達すると、当該物理メモリ領域においては、アプリケーションプログラムのプロセスに割り当てられた物理メモリ領域の開放と、当該開放された物理メモリ領域に対する次のプロセスの割り当てとが次々と繰り返される。これにより、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値Vを基準とした所定の範囲において収束することとなり、この状態を、「物理メモリ使用量が安定化する」という。このように、交換機110の物理メモリ使用量が安定化するということは、サービスの停止が許されない交換機110が安定して連続稼動するためには、なくてはならない要件となっている。
【0019】
そこで、試験装置100は、交換機110の物理メモリ使用量が安定化するか否かについて試験を行うのである。具体的には、試験装置100は、通信ケーブルによって、交換機110と通信接続される。そして、試験装置100は、交換機110に対して、試験用に生成した試験用呼処理(以下、単に「呼処理」と示す。)を行わせるための処理要求を連続して送信することで、当該呼処理を交換機110に連続して行わせ、物理メモリ使用量を徐々に増加させる。この間、試験装置100は、交換機110の物理メモリ使用量をモニタリングし、当該物理メモリ使用量が安定化したか否かを判断すると共に、要求した呼処理の各々が正常に行われたかを判断する。試験装置100は、例えばディスプレイ、ランプ、スピーカ、プリンタ等の出力デバイス1560(図7参照)を備えており、この出力デバイス1560によって、上記試験結果を試験担当者等のユーザに通知することで、当該ユーザは、上記試験結果を確認することができるのである。
【0020】
図3は、第1実施形態に係る試験装置100による試験時間の短縮化の概念を示す。図3において、従来の試験方法では、交換機に呼処理を複数回行わせることで、物理メモリ使用量を徐々に増加させている。このため、従来の試験方法では、図中の点線で示すように、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値Vに達し、安定化動作が行われているかを確認するまでに、多くの時間を要する。一方、図3において、この第1実施形態の試験装置100による試験方法(以下、「本試験方法」と示す。)では、交換機に呼処理を行わせるとともに、呼処理以外の他の試験用処理(以下、単に「他の試験用処理」と示す。)を行わせることにより、物理メモリ使用量の単位時間あたりの増加量を従来の試験方法よりも増やしている。このため、図中の実線で示すように、本試験方法では、従来の試験方法よりも早く、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値Vに達する。よって、本試験方法では、安定化動作が行われているかを確認するまでの試験を、従来の試験方法よりも短時間で行うことができる。
【0021】
ここで、交換機に対して要求する処理の量を増やせば物理メモリ使用量が増加すると考えて、従来の試験方法において単位時間当たりの呼処理の要求数を単純に増加させれば、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値Vに達するまでの時間が短くなる、ということにはならない。呼処理は、交換機にとって最優先の処理であるから、この呼処理を実行中に当該呼処理に割り当てられた物理メモリ領域を開放するということが交換機のOSにおいて許容されないようになっている(もちろん、1つの呼処理が終了すれば、その呼処理に割り当てられていた物理メモリ領域は開放される)。したがって、上述した他の試験用処理として、呼処理のような物理メモリ領域の開放が許されない処理を用いた場合には、たとえ交換機に対して要求する処理の回数や頻度を大きくしたとしても、物理メモリ領域の開放及び割り当てが次々と繰り返し行われるという物理メモリ領域の安定化動作にはなかなか至らない。特に、交換機の保護の観点からは、交換機において受け付けられる呼処理の数の上限が決められていることもあって、この上限の範囲内で呼処理を要求し続けても、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値Vのレベルに達することも難しい。これに対し、この第1実施形態では、呼処理以外の他の試験用処理を交換機に対して要求することで、メモリ開放閾値V付近の安定化動作に実現しやすくし、且つ、メモリ開放閾値Vに達するまでの時間も短縮している。このような、他の試験用処理としては、物理メモリ領域の安定化動作に至らしめるような、物理メモリ領域の開放が許される処理、その一例としてFTP(File Transfer Protocol)を用いてファイル転送を行わせる処理(以下、FTP処理という)などが好適である。なお、ここでいう、物理メモリ領域の開放が許される処理とは、実行中の1つの処理が終了するまでの間に、他の優先的な処理の割り込みが起こると、実行中の処理であっても物理メモリ領域の開放がなされる、というような処理のことである。例えばFTPの場合、1つのファイル転送処理を実行している間に、他の優先的な処理の割り込みが起こると、実行中のファイル転送処理に割り当てられていた物理メモリ領域が開放されるようになっている。
【0022】
図4は、第1実施形態に係る試験装置100の機能構成を示す。試験装置100は、呼処理要求部202、呼処理結果取得部204、呼処理結果判断部206、他処理要求部208、メモリ使用量取得部210、安定化判断部212、及び通知部214を備える。
【0023】
呼処理要求部202は、交換機110との通信を介して、交換機110に対して、呼処理を繰り返し要求する。呼処理結果取得部204は、交換機110との通信を介して、当該交換機110から、当該交換機110が行った呼処理の処理結果を取得する。呼処理結果判断部206は、呼処理結果取得部204によって取得された呼処理の処理結果に基づいて、当該呼処理が正常に行われたか否か、すなわち呼損が生じていないかどうかを判断する。
【0024】
他処理要求部208は、交換機110との通信を介して、交換機110に対して、呼処理以外の、他の試験用処理であるFTP処理を繰り返し要求する。ここで、他処理要求部208によるFTP処理の要求は、呼処理要求部202による呼処理の要求と並行して行われる。これにより、試験装置100は、交換機110に対し、呼処理とFTP処理とを並行して行わせて、物理メモリ使用量の単位時間あたりの増加量を増やしているのである。
【0025】
交換機110は、自身のメモリの状態を管理するメモリ管理システムを備えているので、このメモリ管理システムが、物理メモリ領域の物理メモリ使用量に関する情報であるメモリ使用量情報を試験装置100に対して出力する。ここで、メモリ使用量情報は、例えばメモリ使用量そのものの値であるとか、物理メモリ領域の総量に対するメモリ使用量の割合などの、物理メモリ使用量の指標となる情報である。メモリ使用量取得部210は、交換機110との通信を介して、当該交換機110から、当該交換機110のメモリ使用量情報を例えば一定の周期で繰り返し取得する。安定化判断部212は、メモリ使用量取得部210によって取得されたメモリ使用量情報に基づいて、交換機110の物理メモリ領域の物理メモリ使用量(以下、「物理メモリ使用量」と示す)がメモリ開放閾値で安定したか否かを判断する。より具体的には、安定化判断部212は、安定化判断部212自身が安定化状態(つまり物理メモリ使用量がメモリ開放閾値V付近で収束している状態、詳しくは後述)であると判断し、且つ、呼処理結果判断部206が呼損などの異常な状態を検出していない場合には、物理メモリ使用量」がメモリ開放閾値で安定したと判断する。通知部214は、安定化判断部212による判断結果及び呼処理結果判断部206による判断結果の各々を通知する。この第1実施形態では、通知部214は、物理メモリ使用量が安定化した、と安定化判断部212が判断した場合に、この旨を通知する。また、通知部214は、試験用処理が正常に行われなかった、と呼処理結果判断部206が判断した場合にも、この旨を通知する。
【0026】
図5は、第1実施形態に係る試験装置100による処理の手順を示す。まず、呼処理要求部202が、交換機110に対して、呼処理を繰り返し要求する(ステップS501)。次に、他処理要求部208が、交換機110に対して、呼処理以外のFTP処理を繰り返し要求する(ステップS502)。交換機110の物理メモリ使用量を徐々に増加させるため、呼処理要求部202による呼処理の要求及び他処理要求部208によるFTP処理の要求は、当該一連の試験処理が終了するまで、繰り返し行われる。これらの要求に応じて、交換機110が呼処理及びFTP処理を繰り返しおこなっている間、試験装置100は、呼処理の処理結果又はメモリ使用量情報を取得すると、その都度、以下に説明するような処理を行う。
【0027】
呼処理結果取得部204が、交換機110から呼処理の処理結果を取得すると(ステップS503:Yes)、呼処理結果判断部206が、ステップS503で取得された処理結果に基づいて、呼処理が正常に行われたかを判断する(ステップS504)。呼処理が正常に行われたと判断した場合(ステップS504:Yes)、試験装置100の処理はステップS503に戻る。一方、呼処理が正常に行われなかったと判断した場合(ステップS504:No)、通知部214が、ステップS504の判断結果、すなわち呼処理が正常に行われなかった旨を通知する(ステップS505)。そして、試験装置100は、一連の試験処理を終了する。
【0028】
ステップS503において、呼処理結果取得部204が交換機110から呼処理の処理結果を取得せず(ステップS503:No)、メモリ使用量取得部210が、交換機110からメモリ使用量情報を取得すると(ステップS506:Yes)、安定化判断部212が、ステップS506で取得されたメモリ使用量情報に基づいて、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値付近で安定したかを判断する(ステップS507)。「物理メモリ使用量がメモリ開放閾値付近で安定した」と判断した場合(ステップS507:Yes)、通知部214が、ステップS507の判断結果、すなわち物理メモリ使用量がメモリ開放閾値付近で安定した旨を通知する(ステップS508)。そして、試験装置100は、一連の試験処理を終了する。一方、ステップS507において、「物理メモリ使用量がメモリ開放閾値付近で安定していない」と判断した場合(ステップS507:No)、試験装置100の処理はステップS503に戻る。
【0029】
ここで、図6を用いて、試験装置100による、物理メモリ使用量の安定化状態を判断する処理(以下、「安定化判断処理」と示す。)について説明する。図6は、試験装置100による安定化判断処理の概念を示す。試験装置100は、以下の手順で安定化判断処理を行うことにより、物理メモリ使用量が安定化したか否かを判断する。この安定化判断処理は、メモリ使用量情報が予め決められているメモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定化したか否かを判断する処理である。
【0030】
(手順1)メモリ使用量取得部210が、サンプリング周期aとして、定期的にメモリ使用量情報を取得する。
【0031】
(手順2)メモリ使用量取得部210がメモリ使用量情報を取得する毎に、安定化判断部212が、今回のサンプリング時の時刻をXjとし、前回のサンプリング時の時刻をXj-1とし、今回のサンプリング時の物理メモリ使用量をYjとし、前回のサンプリング時の物理メモリ使用量をYj−1として、以下の数式1を用いて、前回のサンプリング時から今回のサンプリング時までの単位時間あたりの物理メモリ使用量の増加量Kjを求める。
【0032】
Kj=Yj−Yj-1/Xj−Xj-1・・・(数式1)
【0033】
(手順3)試験装置100は、上記数式の算出結果が0未満(マイナス)になるまで、メモリ使用量情報を取得するたびに、上記(手順1)及び上記(手順2)を繰り返し行う。すなわち、試験装置100は、増加傾向にあった物理メモリ使用量が、減少傾向に転じるまで、上記(手順1)及び上記(手順2)を繰り返し行う。
【0034】
(手順4)安定化判断部212は、上記数式の算出結果が0未満(マイナス)になると、その時の物理メモリ使用量Yjを安定動作の開始時の物理メモリ使用量Yとし、その時のサンプリング時刻Xjを安定動作の開始時刻Tとして設定する。上記数式の算出結果が0未満(マイナス)になるということは、交換機110のメモリにおいて物理メモリ使用量がメモリ開放閾値に達して、メモリの開放がなされていることを意味するが、この時点では、安定化判断部212は、まだ物理メモリ使用量が安定化したとは判断しない。
【0035】
(手順5)開始時刻T以降も、メモリ使用量取得部210は、引き続き、サンプリング周期aとして、定期的にメモリ使用量情報を取得する。
【0036】
(手順6)
安定化判断部212は、以下の数式2及び数式3の各々が満たされた場合、物理メモリ使用量が安定化したと判断する。すなわち、安定化判断部212は、開始時刻T以降に計測された複数の物理メモリ使用量の平均値と、開始時刻Tの物理メモリ使用量Yとの差分が、予め定められた範囲内であることをもって、物理メモリ使用量が安定したと判断する。このような差分が予め定められた範囲に収まるということは、メモリ使用量情報がメモリ開放閾値を基準とした或る範囲に収まるということ、つまり安定化したことを意味する。なお、数式2において、tは、安定動作の開始時の時刻Tからの経過時間を示す。また、数式3において、Mは、交換機110の物理メモリの全容量と交換機110に行わせる処理のメモリ使用量とに基づいて予め設定された値である。
【0037】
【数1】
【0038】
【数2】
【0039】
以上説明したように、第1実施形態の試験装置100によれば、交換機110に対して、呼処理を行わせるとともに、他の試験用処理を行わせることにより、物理メモリ使用量の単位時間あたりの増加量を増やして、物理メモリ使用量を徐々に増加させることとした。これにより、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値Vに達し、安定化動作が行われているかを確認するまでにかかる試験時間を、短時間化することができる。また、他の試験用処理として、物理メモリ領域の開放が許されるFTP処理を用いたので、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値に達したにも関わらず物理メモリ領域が開放されないといった不具合も生じない。
【0040】
図7は、試験装置100のハードウェア構成の一例を示す。試験装置100は、CPU(Central Processing Unit)1505、ROM(Read Only Memory)1510、RAM(Random Access Memory)1520、HD(ハードディスク)ドライブ1525、通信インターフェース1530、外部メモリドライブ1540、外部メモリ1542、入力デバイス1550、および出力デバイス1560を備える。
【0041】
ROM1510およびRAM1520は、各種データおよび各種プログラムを格納する。CPU1505は、ROM1510またはRAM1520に格納されたプログラムを実行することで、各種データ処理および各種ハードウェア制御を行う。通信インターフェース1530は、通信ケーブルを介して交換機110などの外部装置に接続し、この外部装置との通信を行う。外部メモリドライブ1540は、外部メモリ1542に対するデータの読み取り及び書き込みを行う。外部メモリ1542としては、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリカード等が挙げられる。
【0042】
入力デバイス1550は、ユーザによって操作されることにより、CPU1505によって実行される各種アプリケーションプログラムに対し、各種情報を入力する。入力デバイス1550としては、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等が挙げられる。出力デバイス1560は、CPU1505によって実行された各種アプリケーションプログラムからの出力指示に応じて、各種情報を出力する。出力デバイス1560としては、例えば、ディスプレイ、ランプ、スピーカ、プリンタ等が挙げられる。
【0043】
例えば、試験装置100においては、CPU1505が、ROM1510、RAM1520、または外部メモリ1542に格納されている試験プログラムを実行して、出力デバイス1560を制御することにより、図4で説明した通知部214として機能する。また、試験装置100においては、CPU1505が、上記試験プログラムを実行することにより、図4で説明した安定化判断部212及び呼処理結果判断部206として機能する。また、試験装置100においては、CPU1505が、上記試験プログラムを実行して、通信インターフェース1530を制御することにより、図4で説明した呼処理要求部202、呼処理結果取得部204、他処理要求部208、及びメモリ使用量取得部210として機能する。
【0044】
上記試験プログラムは、例えば、試験装置100にインストールされた状態で、ユーザに提供される。他の例として、上記試験プログラムは、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されてユーザに提供され、外部メモリドライブ1540を介して試験装置100にインストールされてもよい。この他にも、上記試験プログラムは、外部装置から通信インターフェース1530を介して試験装置100にインストールされてもよい。
【0045】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。第1実施形態では、呼処理に加えてFTP処理を交換機110に行わせることで、物理メモリ使用量の単位時間あたりの増加量を増やして、物理メモリ使用量が安定化するまでの時間を短縮する事とした。この第2実施例では、第1実施形態とは異なる方法を用いて、交換機110の物理メモリ使用量が安定化するまでの時間を短縮する例を説明する。なお、以降の説明においては、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と重複する部分についての説明は省略する。
【0046】
図8は、第2実施形態に係る試験装置100による試験時間の短縮化の概念を示す。図8において、従来の試験方法では、呼処理を行わせることで、物理メモリ使用量を徐々に増加させている。このため、従来の試験方法では、物理メモリ使用量が本番稼動用のメモリ開放閾値V1に達し、安定化動作が行われているかを確認するまでに、多くの時間を要する。本番稼動とは、通信サービスを提供するべく交換機が通信網において稼動して実際に処理を行うことである。一方、図8において、この第2実施形態の試験装置100による試験方法(以下、「本試験方法」と示す。)では、交換機110に対して、試験用のメモリ開放閾値V2を本番稼動時におけるメモリ開放閾値よりも予め低く設定しておいたうえで、呼処理を行わせる。前述したように、1つの呼処理が終了すれば、その呼処理に割り当てられていた物理メモリ領域は開放されるが、交換機に対して呼処理を繰り返し要求していくと、或る瞬間においてはメモリ開放とメモリ割り当てのタイミングが一致しないという現象が発生するから、徐々にメモリ使用量が増加することになる。前述したように、交換機においては、受け付け可能な呼処理の数の上限が予め決められているが、本試験方法では、本番稼動時よりも小さいメモリ開放閾値を用いているから、本番稼動時と共通のメモリ開放閾値を用いている従来の試験方法よりも早く、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値V2に達する。よって、本試験方法では、安定化動作が行われているかを確認するまでの試験を、従来の試験方法よりも短時間で行うことができる。
【0047】
図9は、第2実施形態に係る試験装置100の機能構成を示す。第2実施形態の試験装置100は、メモリ開放閾値設定部216を備え、他処理要求部208を備えていない点で、第1実施形態の試験装置100と相違する。メモリ開放閾値設定部216は、交換機110の物理メモリ領域のメモリ開放閾値を、交換機110の本番稼動時に設定される値よりも予め低く設定しておく。例えば、図8に示したように、メモリ開放閾値設定部216は、交換機110の物理メモリ領域のメモリ開放閾値を、本番稼動用のメモリ開放閾値V1から、それよりも低い試験用のメモリ開放閾値V2に予め設定しておく。試験装置100においては、CPU1505が、上記試験プログラムを実行して、通信インターフェース1530を制御してメモリ開放閾値V2を交換機110に設定することにより、このメモリ開放閾値設定部216として機能する。なお、メモリ開放閾値設定部216が設定するメモリ開放閾値は、試験装置100のユーザが任意に設定できる。このメモリ閾値が低すぎる場合は、交換機110がダウンしてしまうことも考えられる。そこで、メモリ開放閾値は、1つの呼処理(物理メモリ領域の開放が許されない処理)に割り当てられる物理メモリ使用量を下回らない値が適当である。
【0048】
ここで、交換機110のOSであるLinux(登録商標)には、メモリ開放閾値Vを決定付けるパラメータとして、物理メモリ領域の空き容量の下限値を設定する「vm.min_free_kbytes」が用意されている。例えば、上記下限値を「1000000(Kbyte)」として設定する場合、メモリ開放閾値設定部216は、交換機110に対して、「sysctl −w vm.min_free_kbytes=“1000000”」というコマンドを供給することにより、この設定を行うことができる。この設定が行われた交換機110においては、物理メモリ領域の全容量−「1000000(Kbyte)」が、メモリ開放閾値Vとして暗黙的に決定され、物理メモリ使用量がこのメモリ開放閾値Vに達すると、安定化動作を行うようになる。
【0049】
また、交換機110のOSであるLinux(登録商標)には、メモリ開放閾値Vを決定付けるパラメータとして、物理メモリ領域の全容量に対するダーティページの割合を設定する「vm.dirty_background_ratio」が用意されている。例えば、上記割合を「1(%)」として設定する場合、メモリ開放閾値設定部216は、交換機110に対して、「sysctl −w vm.dirty_background_ratio=“1”」というコマンドを供給することにより、この設定を行うことができる。この設定が行われた交換機110においては、物理メモリ領域の全容量に対するダーティページの割合が「1(%)」に達すると、pdflushデーモンが起動され、当該pdflushデーモンによってメモリ開放処理が開始される。
【0050】
図10は、第2実施形態に係る試験装置100による処理の手順を示す。第2実施形態に係る試験装置100による処理は、呼処理を要求する処理(ステップS501)の前に、ステップS500の処理が設けられている点と、FTP処理を要求する処理(ステップS502)が設けられていない点で、図5で説明した第1実施形態に係る試験装置100による処理の手順と異なる。ステップS500の処理は、メモリ開放閾値設定部216が、交換機110の物理メモリ領域のメモリ開放閾値を、交換機110の本番稼動時に設定される値よりも予め低く設定しておく、という処理である。ステップS503以降の処理は、第1実施形態に係る試験装置100による処理の手順と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
以上説明したように、第2実施形態の試験装置100によれば、交換機110に対して、メモリ開放閾値Vを本番稼動時よりも予め低く設定しておき、物理メモリ使用量が安定化するかを確認する試験を行うこととした。これにより、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値Vに達し、安定化動作が行われているかを確認するまでにかかる試験時間を、短時間化することができる。
【0052】
(変形例)
上述した実施形態を次のように変形してもよい。また、次の各変形例を組み合わせてもよい。
【0053】
(変形例1)
各実施形態では、通知部214は、交換機110の物理メモリ使用量が安定したと判断されたタイミング、及び呼処理が正しく行われなかったと判断されたタイミングで、これらの判断結果を通知することとした。通知部214は、これらのタイミング以外でこれらの判断結果を通知してもよい。また、通知部214は、これら判断結果以外の情報を通知してもよい。例えば、通知部214は、サンプリングされた交換機110の物理メモリ使用量や試験経過時間等をリアルタイムに表示するようにしてもよい。
【0054】
(変形例2)
各実施形態において、試験装置100は、安定化判断部212による判断結果及び呼処理結果判断部206による判断結果を、メモリ等の記録媒体に記憶させておき、ユーザからの要求があった時に、記録媒体に記憶されているこれらの判断結果をユーザに通知するようにしてもよい。また、試験装置100は、遠隔地に存在する情報処理装置との通信を介して、遠隔地にいるユーザに対して上記判断結果を通知するようにしてもよい。
【0055】
(変形例3)
各実施形態において、試験装置100は、通信ケーブルによって交換機110と通信接続される例について説明したが、試験装置100と交換機110との通信接続形態は、これに限らない。例えば、試験装置100は、無線通信によって交換機110と通信接続されてもよく、移動体通信網やLAN等の通信ネットワークを介して交換機110と通信接続されてもよい。
【0056】
(変形例4)
第1実施形態では、呼処理以外の、他の試験用処理の一例として、FTP処理を用いたが、他の試験用処理は、これに限らない。他の試験用処理は、呼処理以外でメモリを使用する処理であり、且つ割り当てられた物理メモリ領域の開放が許されるものであれば、例えば交換機110において用いられるデータをバックアップする処理等、どのような処理であってもよい。
【0057】
(変形例5)
各実施形態では、呼処理正しく行われなかった場合、及び物理メモリ量が安定化した場合に、試験処理を終了することとしたが、引き続き、交換機110に処理を行わせて、物理メモリ使用量をサンプリングするようにしてもよい。この場合、試験装置100のユーザが指定した任意のタイミングで、試験処理を終了するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…通信システム、100…試験装置、110…交換機、202…呼処理要求部、204…呼処理結果取得部、206…呼処理結果判断部、208…他処理要求部、210…メモリ使用量取得部、212…安定化判断部、214…通知部、216…メモリ開放閾値設定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換機を試験するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ATM交換機に対して擬似的に呼処理を要求し、複数のコネクションを確立させることで、ATM交換機の高負荷試験を行う試験方法が開示されている。一方、交換機の中には、メモリ開放閾値を設定でき、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値に達すると、バッファオーバフローを起こさないように、アプリケーションプログラムに割り当てられたメモリ領域の開放および割り当てを繰り返す、いわゆる安定化動作を行うものがある。このような交換機による安定的な連続運転を保証するためには、このような交換機に対して、安定化動作が正しく行われるかといった試験や、安定化動作が行われた場合であっても呼処理が正しく行われるかといった試験を行う必要がある。そこで、この試験方法として、交換機に対して、呼処理を連続して行わせることにより、物理メモリ使用量を徐々に増加させ、意図的に当該物理メモリ使用量がメモリ開放閾値に達するようにして、安定化動作及び呼処理が正しく行われるかを確認するという試験方法が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−215138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した試験方法では、交換機に呼処理を連続して行わせることで物理メモリ使用量を徐々に増加させているため、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値に達するまで、多くの時間を要してしまい、試験を短時間で行うことができない。そこで、本発明の目的は、交換機における物理メモリ使用量がメモリ開放閾値を基準として安定状態にあるか否かを確認する試験を、より短時間で行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る試験装置は、交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求部と、前記交換機に対して、前記試験用呼処理以外の他の試験用処理を繰り返し要求する他処理要求部と、前記交換機が前記試験用呼処理及び前記他の試験用処理の各々を行っているときに用いる物理メモリ領域の物理メモリ使用量に関するメモリ使用量情報を、前記交換機から取得するメモリ使用量取得部と、取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が予め決められているメモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断部と、前記安定化判断部による判断結果を通知する通知部とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る試験装置は、交換機が処理に用いる物理メモリ領域における試験用のメモリ開放閾値を、当該交換機が通信網において稼動して処理を行うときに設定される値よりも低く設定する閾値設定部と、前記メモリ開放閾値が設定された前記交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求部と、前記交換機が前記試験用呼処理を行っているときの前記物理メモリ領域の使用量に関するメモリ使用量情報を、当該交換機から取得するメモリ使用量取得部と、取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が、前記閾値設定部により設定された前記メモリ開放閾値近辺を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断部と、前記安定化判断部による判断結果を通知する通知部とを備えることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記試験用呼処理は、前記交換機において1つの当該試験用呼処理に対して割り当てられた前記物理メモリ領域の開放が、当該1つの試験用呼処理が終了するまでの間は許されないものであり、前記他の試験用処理は、前記交換機において1つの当該他の試験用処理に対して割り当てられた前記物理メモリ領域の開放が、当該1つの他の試験用処理が終了するまでの間であっても許されるものである。
【0008】
好ましくは、前記安定化判断部は、取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が上昇傾向から下降傾向に転じた時刻Tと、当該時刻Tの前記物理メモリ使用量Yとをそれぞれ特定し、前記時刻T以降に取得された複数の前記物理メモリ使用量の平均値と、前記物理メモリ使用量Yとの差分が、予め定められた範囲内であることをもって、前記物理メモリ使用量が前記メモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定したと判断するとよい。
【0009】
また、本発明に係る試験方法は、交換機を試験する試験装置による試験方法であって、 前記交換機に対して、試験用呼処理と、当該試験用呼処理以外の他の試験用処理とを、それぞれ繰り返し要求する処理要求工程と、前記交換機が前記試験用呼処理及び前記他の処理の各々を行っているときに用いる物理メモリ領域の物理メモリ使用量に関するメモリ使用量情報を、前記交換機から取得するメモリ使用量取得工程と、取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が予め設定されているメモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断工程と、前記安定化判断工程における判断結果を通知する通知工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る試験方法は、交換機を試験する試験装置による試験方法であって、前記交換機が処理に用いる物理メモリ領域における試験用のメモリ開放閾値を、当該交換機が通信網において稼動して処理を行うときに設定される値よりも低く設定する閾値設定工程と、前記メモリ開放閾値が設定された前記交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求工程と、前記交換機が前記試験用呼処理を行っているときの前記物理メモリ領域の使用量に関するメモリ使用量情報を、当該交換機から取得するメモリ使用量取得工程と、取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が、前記閾値設定部により設定された前記メモリ開放閾値近辺を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断工程と、前記安定化判断工程における判断結果を通知する通知工程とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求手段と、前記交換機に対して、前記試験用呼処理以外の他の試験用処理を繰り返し要求する他処理要求手段と、前記交換機が前記試験用呼処理及び前記他の試験用処理の各々を行っているときに用いる物理メモリ領域の物理メモリ使用量に関するメモリ使用量情報を、前記交換機から取得するメモリ使用量取得手段と、取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が予め決められているメモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断手段と、前記安定化判断手段による判断結果を通知する通知手段として機能させるためのプログラムである。
【0012】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、交換機が処理に用いる物理メモリ領域における試験用のメモリ開放閾値を、当該交換機が通信網において稼動して処理を行うときに設定される値よりも低く設定する閾値設定手段と、前記メモリ開放閾値が設定された前記交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求手段と、前記交換機が前記試験用呼処理を行っているときの前記物理メモリ領域の使用量に関するメモリ使用量情報を、当該交換機から取得するメモリ使用量取得手段と、取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が、前記閾値設定手段により設定された前記メモリ開放閾値近辺を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断手段と、前記安定化判断手段による判断結果を通知する通知手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、交換機における物理メモリ使用量がメモリ開放閾値を基準として安定状態にあるか否かを確認する試験を、より短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る通信システム10の全体構成を示す。
【図2】交換機110の物理メモリ使用量の安定化の概念を示す。
【図3】試験装置100による試験時間の短縮化の概念を示す。
【図4】第1実施形態に係る試験装置100の機能構成を示す。
【図5】第1実施形態に係る試験装置100による処理の手順を示す。
【図6】試験装置100による安定化判断処理の概念を示す。
【図7】試験装置100のハードウェア構成の一例を示す。
【図8】第2実施形態に係る試験装置100による試験時間の短縮化の概念を示す。
【図9】第2実施形態に係る試験装置100の機能構成を示す。
【図10】第2実施形態に係る試験装置100による処理の手順を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る通信システム10の全体構成を示す。通信システム10は、試験装置100及び交換機110を有している。
【0016】
交換機110は、例えばIMT−2000に準拠し、通信方式としてW−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)を用いる移動体通信網に設けられる装置である。交換機110は、基地局を介して移動体通信網に接続された携帯電話機からの要求に応じて呼処理を行い、携帯電話機同士の通信経路を確立する等の交換処理を主に行う装置である。
【0017】
ここで、図2を用いて、交換機110の物理メモリ使用量の安定化について説明する。図2は、交換機110における物理メモリ使用量の安定化の概念を示す。交換機110においては、そのOS(Operating System)として、汎用OSであるLinux(登録商標)が用いられている。このLinux上では、交換機110の物理メモリ領域が、「Free領域」、「Cached領域」、「Buffer領域」、及び「共有メモリ領域」に区別されている。このうち、「共有メモリ領域」とは、アプリケーションプログラムを実行するときにそのプログラムに随時割り当てられる領域である。
【0018】
ここで、交換機110においては、図2の「増加期間」に対応するグラフが示すように、呼処理等の手順が記述された各アプリケーションプログラムが実行されると、時間が経過するにつれ、物理メモリ領域の物理メモリ使用量(以下、単に「物理メモリ使用量」という。)が徐々に増加していく。そして、図2の「安定化期間」に対応するグラフが示すように、物理メモリ使用量が予め設定されたメモリ開放閾値Vに達すると、当該物理メモリ領域においては、アプリケーションプログラムのプロセスに割り当てられた物理メモリ領域の開放と、当該開放された物理メモリ領域に対する次のプロセスの割り当てとが次々と繰り返される。これにより、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値Vを基準とした所定の範囲において収束することとなり、この状態を、「物理メモリ使用量が安定化する」という。このように、交換機110の物理メモリ使用量が安定化するということは、サービスの停止が許されない交換機110が安定して連続稼動するためには、なくてはならない要件となっている。
【0019】
そこで、試験装置100は、交換機110の物理メモリ使用量が安定化するか否かについて試験を行うのである。具体的には、試験装置100は、通信ケーブルによって、交換機110と通信接続される。そして、試験装置100は、交換機110に対して、試験用に生成した試験用呼処理(以下、単に「呼処理」と示す。)を行わせるための処理要求を連続して送信することで、当該呼処理を交換機110に連続して行わせ、物理メモリ使用量を徐々に増加させる。この間、試験装置100は、交換機110の物理メモリ使用量をモニタリングし、当該物理メモリ使用量が安定化したか否かを判断すると共に、要求した呼処理の各々が正常に行われたかを判断する。試験装置100は、例えばディスプレイ、ランプ、スピーカ、プリンタ等の出力デバイス1560(図7参照)を備えており、この出力デバイス1560によって、上記試験結果を試験担当者等のユーザに通知することで、当該ユーザは、上記試験結果を確認することができるのである。
【0020】
図3は、第1実施形態に係る試験装置100による試験時間の短縮化の概念を示す。図3において、従来の試験方法では、交換機に呼処理を複数回行わせることで、物理メモリ使用量を徐々に増加させている。このため、従来の試験方法では、図中の点線で示すように、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値Vに達し、安定化動作が行われているかを確認するまでに、多くの時間を要する。一方、図3において、この第1実施形態の試験装置100による試験方法(以下、「本試験方法」と示す。)では、交換機に呼処理を行わせるとともに、呼処理以外の他の試験用処理(以下、単に「他の試験用処理」と示す。)を行わせることにより、物理メモリ使用量の単位時間あたりの増加量を従来の試験方法よりも増やしている。このため、図中の実線で示すように、本試験方法では、従来の試験方法よりも早く、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値Vに達する。よって、本試験方法では、安定化動作が行われているかを確認するまでの試験を、従来の試験方法よりも短時間で行うことができる。
【0021】
ここで、交換機に対して要求する処理の量を増やせば物理メモリ使用量が増加すると考えて、従来の試験方法において単位時間当たりの呼処理の要求数を単純に増加させれば、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値Vに達するまでの時間が短くなる、ということにはならない。呼処理は、交換機にとって最優先の処理であるから、この呼処理を実行中に当該呼処理に割り当てられた物理メモリ領域を開放するということが交換機のOSにおいて許容されないようになっている(もちろん、1つの呼処理が終了すれば、その呼処理に割り当てられていた物理メモリ領域は開放される)。したがって、上述した他の試験用処理として、呼処理のような物理メモリ領域の開放が許されない処理を用いた場合には、たとえ交換機に対して要求する処理の回数や頻度を大きくしたとしても、物理メモリ領域の開放及び割り当てが次々と繰り返し行われるという物理メモリ領域の安定化動作にはなかなか至らない。特に、交換機の保護の観点からは、交換機において受け付けられる呼処理の数の上限が決められていることもあって、この上限の範囲内で呼処理を要求し続けても、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値Vのレベルに達することも難しい。これに対し、この第1実施形態では、呼処理以外の他の試験用処理を交換機に対して要求することで、メモリ開放閾値V付近の安定化動作に実現しやすくし、且つ、メモリ開放閾値Vに達するまでの時間も短縮している。このような、他の試験用処理としては、物理メモリ領域の安定化動作に至らしめるような、物理メモリ領域の開放が許される処理、その一例としてFTP(File Transfer Protocol)を用いてファイル転送を行わせる処理(以下、FTP処理という)などが好適である。なお、ここでいう、物理メモリ領域の開放が許される処理とは、実行中の1つの処理が終了するまでの間に、他の優先的な処理の割り込みが起こると、実行中の処理であっても物理メモリ領域の開放がなされる、というような処理のことである。例えばFTPの場合、1つのファイル転送処理を実行している間に、他の優先的な処理の割り込みが起こると、実行中のファイル転送処理に割り当てられていた物理メモリ領域が開放されるようになっている。
【0022】
図4は、第1実施形態に係る試験装置100の機能構成を示す。試験装置100は、呼処理要求部202、呼処理結果取得部204、呼処理結果判断部206、他処理要求部208、メモリ使用量取得部210、安定化判断部212、及び通知部214を備える。
【0023】
呼処理要求部202は、交換機110との通信を介して、交換機110に対して、呼処理を繰り返し要求する。呼処理結果取得部204は、交換機110との通信を介して、当該交換機110から、当該交換機110が行った呼処理の処理結果を取得する。呼処理結果判断部206は、呼処理結果取得部204によって取得された呼処理の処理結果に基づいて、当該呼処理が正常に行われたか否か、すなわち呼損が生じていないかどうかを判断する。
【0024】
他処理要求部208は、交換機110との通信を介して、交換機110に対して、呼処理以外の、他の試験用処理であるFTP処理を繰り返し要求する。ここで、他処理要求部208によるFTP処理の要求は、呼処理要求部202による呼処理の要求と並行して行われる。これにより、試験装置100は、交換機110に対し、呼処理とFTP処理とを並行して行わせて、物理メモリ使用量の単位時間あたりの増加量を増やしているのである。
【0025】
交換機110は、自身のメモリの状態を管理するメモリ管理システムを備えているので、このメモリ管理システムが、物理メモリ領域の物理メモリ使用量に関する情報であるメモリ使用量情報を試験装置100に対して出力する。ここで、メモリ使用量情報は、例えばメモリ使用量そのものの値であるとか、物理メモリ領域の総量に対するメモリ使用量の割合などの、物理メモリ使用量の指標となる情報である。メモリ使用量取得部210は、交換機110との通信を介して、当該交換機110から、当該交換機110のメモリ使用量情報を例えば一定の周期で繰り返し取得する。安定化判断部212は、メモリ使用量取得部210によって取得されたメモリ使用量情報に基づいて、交換機110の物理メモリ領域の物理メモリ使用量(以下、「物理メモリ使用量」と示す)がメモリ開放閾値で安定したか否かを判断する。より具体的には、安定化判断部212は、安定化判断部212自身が安定化状態(つまり物理メモリ使用量がメモリ開放閾値V付近で収束している状態、詳しくは後述)であると判断し、且つ、呼処理結果判断部206が呼損などの異常な状態を検出していない場合には、物理メモリ使用量」がメモリ開放閾値で安定したと判断する。通知部214は、安定化判断部212による判断結果及び呼処理結果判断部206による判断結果の各々を通知する。この第1実施形態では、通知部214は、物理メモリ使用量が安定化した、と安定化判断部212が判断した場合に、この旨を通知する。また、通知部214は、試験用処理が正常に行われなかった、と呼処理結果判断部206が判断した場合にも、この旨を通知する。
【0026】
図5は、第1実施形態に係る試験装置100による処理の手順を示す。まず、呼処理要求部202が、交換機110に対して、呼処理を繰り返し要求する(ステップS501)。次に、他処理要求部208が、交換機110に対して、呼処理以外のFTP処理を繰り返し要求する(ステップS502)。交換機110の物理メモリ使用量を徐々に増加させるため、呼処理要求部202による呼処理の要求及び他処理要求部208によるFTP処理の要求は、当該一連の試験処理が終了するまで、繰り返し行われる。これらの要求に応じて、交換機110が呼処理及びFTP処理を繰り返しおこなっている間、試験装置100は、呼処理の処理結果又はメモリ使用量情報を取得すると、その都度、以下に説明するような処理を行う。
【0027】
呼処理結果取得部204が、交換機110から呼処理の処理結果を取得すると(ステップS503:Yes)、呼処理結果判断部206が、ステップS503で取得された処理結果に基づいて、呼処理が正常に行われたかを判断する(ステップS504)。呼処理が正常に行われたと判断した場合(ステップS504:Yes)、試験装置100の処理はステップS503に戻る。一方、呼処理が正常に行われなかったと判断した場合(ステップS504:No)、通知部214が、ステップS504の判断結果、すなわち呼処理が正常に行われなかった旨を通知する(ステップS505)。そして、試験装置100は、一連の試験処理を終了する。
【0028】
ステップS503において、呼処理結果取得部204が交換機110から呼処理の処理結果を取得せず(ステップS503:No)、メモリ使用量取得部210が、交換機110からメモリ使用量情報を取得すると(ステップS506:Yes)、安定化判断部212が、ステップS506で取得されたメモリ使用量情報に基づいて、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値付近で安定したかを判断する(ステップS507)。「物理メモリ使用量がメモリ開放閾値付近で安定した」と判断した場合(ステップS507:Yes)、通知部214が、ステップS507の判断結果、すなわち物理メモリ使用量がメモリ開放閾値付近で安定した旨を通知する(ステップS508)。そして、試験装置100は、一連の試験処理を終了する。一方、ステップS507において、「物理メモリ使用量がメモリ開放閾値付近で安定していない」と判断した場合(ステップS507:No)、試験装置100の処理はステップS503に戻る。
【0029】
ここで、図6を用いて、試験装置100による、物理メモリ使用量の安定化状態を判断する処理(以下、「安定化判断処理」と示す。)について説明する。図6は、試験装置100による安定化判断処理の概念を示す。試験装置100は、以下の手順で安定化判断処理を行うことにより、物理メモリ使用量が安定化したか否かを判断する。この安定化判断処理は、メモリ使用量情報が予め決められているメモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定化したか否かを判断する処理である。
【0030】
(手順1)メモリ使用量取得部210が、サンプリング周期aとして、定期的にメモリ使用量情報を取得する。
【0031】
(手順2)メモリ使用量取得部210がメモリ使用量情報を取得する毎に、安定化判断部212が、今回のサンプリング時の時刻をXjとし、前回のサンプリング時の時刻をXj-1とし、今回のサンプリング時の物理メモリ使用量をYjとし、前回のサンプリング時の物理メモリ使用量をYj−1として、以下の数式1を用いて、前回のサンプリング時から今回のサンプリング時までの単位時間あたりの物理メモリ使用量の増加量Kjを求める。
【0032】
Kj=Yj−Yj-1/Xj−Xj-1・・・(数式1)
【0033】
(手順3)試験装置100は、上記数式の算出結果が0未満(マイナス)になるまで、メモリ使用量情報を取得するたびに、上記(手順1)及び上記(手順2)を繰り返し行う。すなわち、試験装置100は、増加傾向にあった物理メモリ使用量が、減少傾向に転じるまで、上記(手順1)及び上記(手順2)を繰り返し行う。
【0034】
(手順4)安定化判断部212は、上記数式の算出結果が0未満(マイナス)になると、その時の物理メモリ使用量Yjを安定動作の開始時の物理メモリ使用量Yとし、その時のサンプリング時刻Xjを安定動作の開始時刻Tとして設定する。上記数式の算出結果が0未満(マイナス)になるということは、交換機110のメモリにおいて物理メモリ使用量がメモリ開放閾値に達して、メモリの開放がなされていることを意味するが、この時点では、安定化判断部212は、まだ物理メモリ使用量が安定化したとは判断しない。
【0035】
(手順5)開始時刻T以降も、メモリ使用量取得部210は、引き続き、サンプリング周期aとして、定期的にメモリ使用量情報を取得する。
【0036】
(手順6)
安定化判断部212は、以下の数式2及び数式3の各々が満たされた場合、物理メモリ使用量が安定化したと判断する。すなわち、安定化判断部212は、開始時刻T以降に計測された複数の物理メモリ使用量の平均値と、開始時刻Tの物理メモリ使用量Yとの差分が、予め定められた範囲内であることをもって、物理メモリ使用量が安定したと判断する。このような差分が予め定められた範囲に収まるということは、メモリ使用量情報がメモリ開放閾値を基準とした或る範囲に収まるということ、つまり安定化したことを意味する。なお、数式2において、tは、安定動作の開始時の時刻Tからの経過時間を示す。また、数式3において、Mは、交換機110の物理メモリの全容量と交換機110に行わせる処理のメモリ使用量とに基づいて予め設定された値である。
【0037】
【数1】
【0038】
【数2】
【0039】
以上説明したように、第1実施形態の試験装置100によれば、交換機110に対して、呼処理を行わせるとともに、他の試験用処理を行わせることにより、物理メモリ使用量の単位時間あたりの増加量を増やして、物理メモリ使用量を徐々に増加させることとした。これにより、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値Vに達し、安定化動作が行われているかを確認するまでにかかる試験時間を、短時間化することができる。また、他の試験用処理として、物理メモリ領域の開放が許されるFTP処理を用いたので、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値に達したにも関わらず物理メモリ領域が開放されないといった不具合も生じない。
【0040】
図7は、試験装置100のハードウェア構成の一例を示す。試験装置100は、CPU(Central Processing Unit)1505、ROM(Read Only Memory)1510、RAM(Random Access Memory)1520、HD(ハードディスク)ドライブ1525、通信インターフェース1530、外部メモリドライブ1540、外部メモリ1542、入力デバイス1550、および出力デバイス1560を備える。
【0041】
ROM1510およびRAM1520は、各種データおよび各種プログラムを格納する。CPU1505は、ROM1510またはRAM1520に格納されたプログラムを実行することで、各種データ処理および各種ハードウェア制御を行う。通信インターフェース1530は、通信ケーブルを介して交換機110などの外部装置に接続し、この外部装置との通信を行う。外部メモリドライブ1540は、外部メモリ1542に対するデータの読み取り及び書き込みを行う。外部メモリ1542としては、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリカード等が挙げられる。
【0042】
入力デバイス1550は、ユーザによって操作されることにより、CPU1505によって実行される各種アプリケーションプログラムに対し、各種情報を入力する。入力デバイス1550としては、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等が挙げられる。出力デバイス1560は、CPU1505によって実行された各種アプリケーションプログラムからの出力指示に応じて、各種情報を出力する。出力デバイス1560としては、例えば、ディスプレイ、ランプ、スピーカ、プリンタ等が挙げられる。
【0043】
例えば、試験装置100においては、CPU1505が、ROM1510、RAM1520、または外部メモリ1542に格納されている試験プログラムを実行して、出力デバイス1560を制御することにより、図4で説明した通知部214として機能する。また、試験装置100においては、CPU1505が、上記試験プログラムを実行することにより、図4で説明した安定化判断部212及び呼処理結果判断部206として機能する。また、試験装置100においては、CPU1505が、上記試験プログラムを実行して、通信インターフェース1530を制御することにより、図4で説明した呼処理要求部202、呼処理結果取得部204、他処理要求部208、及びメモリ使用量取得部210として機能する。
【0044】
上記試験プログラムは、例えば、試験装置100にインストールされた状態で、ユーザに提供される。他の例として、上記試験プログラムは、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されてユーザに提供され、外部メモリドライブ1540を介して試験装置100にインストールされてもよい。この他にも、上記試験プログラムは、外部装置から通信インターフェース1530を介して試験装置100にインストールされてもよい。
【0045】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。第1実施形態では、呼処理に加えてFTP処理を交換機110に行わせることで、物理メモリ使用量の単位時間あたりの増加量を増やして、物理メモリ使用量が安定化するまでの時間を短縮する事とした。この第2実施例では、第1実施形態とは異なる方法を用いて、交換機110の物理メモリ使用量が安定化するまでの時間を短縮する例を説明する。なお、以降の説明においては、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と重複する部分についての説明は省略する。
【0046】
図8は、第2実施形態に係る試験装置100による試験時間の短縮化の概念を示す。図8において、従来の試験方法では、呼処理を行わせることで、物理メモリ使用量を徐々に増加させている。このため、従来の試験方法では、物理メモリ使用量が本番稼動用のメモリ開放閾値V1に達し、安定化動作が行われているかを確認するまでに、多くの時間を要する。本番稼動とは、通信サービスを提供するべく交換機が通信網において稼動して実際に処理を行うことである。一方、図8において、この第2実施形態の試験装置100による試験方法(以下、「本試験方法」と示す。)では、交換機110に対して、試験用のメモリ開放閾値V2を本番稼動時におけるメモリ開放閾値よりも予め低く設定しておいたうえで、呼処理を行わせる。前述したように、1つの呼処理が終了すれば、その呼処理に割り当てられていた物理メモリ領域は開放されるが、交換機に対して呼処理を繰り返し要求していくと、或る瞬間においてはメモリ開放とメモリ割り当てのタイミングが一致しないという現象が発生するから、徐々にメモリ使用量が増加することになる。前述したように、交換機においては、受け付け可能な呼処理の数の上限が予め決められているが、本試験方法では、本番稼動時よりも小さいメモリ開放閾値を用いているから、本番稼動時と共通のメモリ開放閾値を用いている従来の試験方法よりも早く、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値V2に達する。よって、本試験方法では、安定化動作が行われているかを確認するまでの試験を、従来の試験方法よりも短時間で行うことができる。
【0047】
図9は、第2実施形態に係る試験装置100の機能構成を示す。第2実施形態の試験装置100は、メモリ開放閾値設定部216を備え、他処理要求部208を備えていない点で、第1実施形態の試験装置100と相違する。メモリ開放閾値設定部216は、交換機110の物理メモリ領域のメモリ開放閾値を、交換機110の本番稼動時に設定される値よりも予め低く設定しておく。例えば、図8に示したように、メモリ開放閾値設定部216は、交換機110の物理メモリ領域のメモリ開放閾値を、本番稼動用のメモリ開放閾値V1から、それよりも低い試験用のメモリ開放閾値V2に予め設定しておく。試験装置100においては、CPU1505が、上記試験プログラムを実行して、通信インターフェース1530を制御してメモリ開放閾値V2を交換機110に設定することにより、このメモリ開放閾値設定部216として機能する。なお、メモリ開放閾値設定部216が設定するメモリ開放閾値は、試験装置100のユーザが任意に設定できる。このメモリ閾値が低すぎる場合は、交換機110がダウンしてしまうことも考えられる。そこで、メモリ開放閾値は、1つの呼処理(物理メモリ領域の開放が許されない処理)に割り当てられる物理メモリ使用量を下回らない値が適当である。
【0048】
ここで、交換機110のOSであるLinux(登録商標)には、メモリ開放閾値Vを決定付けるパラメータとして、物理メモリ領域の空き容量の下限値を設定する「vm.min_free_kbytes」が用意されている。例えば、上記下限値を「1000000(Kbyte)」として設定する場合、メモリ開放閾値設定部216は、交換機110に対して、「sysctl −w vm.min_free_kbytes=“1000000”」というコマンドを供給することにより、この設定を行うことができる。この設定が行われた交換機110においては、物理メモリ領域の全容量−「1000000(Kbyte)」が、メモリ開放閾値Vとして暗黙的に決定され、物理メモリ使用量がこのメモリ開放閾値Vに達すると、安定化動作を行うようになる。
【0049】
また、交換機110のOSであるLinux(登録商標)には、メモリ開放閾値Vを決定付けるパラメータとして、物理メモリ領域の全容量に対するダーティページの割合を設定する「vm.dirty_background_ratio」が用意されている。例えば、上記割合を「1(%)」として設定する場合、メモリ開放閾値設定部216は、交換機110に対して、「sysctl −w vm.dirty_background_ratio=“1”」というコマンドを供給することにより、この設定を行うことができる。この設定が行われた交換機110においては、物理メモリ領域の全容量に対するダーティページの割合が「1(%)」に達すると、pdflushデーモンが起動され、当該pdflushデーモンによってメモリ開放処理が開始される。
【0050】
図10は、第2実施形態に係る試験装置100による処理の手順を示す。第2実施形態に係る試験装置100による処理は、呼処理を要求する処理(ステップS501)の前に、ステップS500の処理が設けられている点と、FTP処理を要求する処理(ステップS502)が設けられていない点で、図5で説明した第1実施形態に係る試験装置100による処理の手順と異なる。ステップS500の処理は、メモリ開放閾値設定部216が、交換機110の物理メモリ領域のメモリ開放閾値を、交換機110の本番稼動時に設定される値よりも予め低く設定しておく、という処理である。ステップS503以降の処理は、第1実施形態に係る試験装置100による処理の手順と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
以上説明したように、第2実施形態の試験装置100によれば、交換機110に対して、メモリ開放閾値Vを本番稼動時よりも予め低く設定しておき、物理メモリ使用量が安定化するかを確認する試験を行うこととした。これにより、物理メモリ使用量がメモリ開放閾値Vに達し、安定化動作が行われているかを確認するまでにかかる試験時間を、短時間化することができる。
【0052】
(変形例)
上述した実施形態を次のように変形してもよい。また、次の各変形例を組み合わせてもよい。
【0053】
(変形例1)
各実施形態では、通知部214は、交換機110の物理メモリ使用量が安定したと判断されたタイミング、及び呼処理が正しく行われなかったと判断されたタイミングで、これらの判断結果を通知することとした。通知部214は、これらのタイミング以外でこれらの判断結果を通知してもよい。また、通知部214は、これら判断結果以外の情報を通知してもよい。例えば、通知部214は、サンプリングされた交換機110の物理メモリ使用量や試験経過時間等をリアルタイムに表示するようにしてもよい。
【0054】
(変形例2)
各実施形態において、試験装置100は、安定化判断部212による判断結果及び呼処理結果判断部206による判断結果を、メモリ等の記録媒体に記憶させておき、ユーザからの要求があった時に、記録媒体に記憶されているこれらの判断結果をユーザに通知するようにしてもよい。また、試験装置100は、遠隔地に存在する情報処理装置との通信を介して、遠隔地にいるユーザに対して上記判断結果を通知するようにしてもよい。
【0055】
(変形例3)
各実施形態において、試験装置100は、通信ケーブルによって交換機110と通信接続される例について説明したが、試験装置100と交換機110との通信接続形態は、これに限らない。例えば、試験装置100は、無線通信によって交換機110と通信接続されてもよく、移動体通信網やLAN等の通信ネットワークを介して交換機110と通信接続されてもよい。
【0056】
(変形例4)
第1実施形態では、呼処理以外の、他の試験用処理の一例として、FTP処理を用いたが、他の試験用処理は、これに限らない。他の試験用処理は、呼処理以外でメモリを使用する処理であり、且つ割り当てられた物理メモリ領域の開放が許されるものであれば、例えば交換機110において用いられるデータをバックアップする処理等、どのような処理であってもよい。
【0057】
(変形例5)
各実施形態では、呼処理正しく行われなかった場合、及び物理メモリ量が安定化した場合に、試験処理を終了することとしたが、引き続き、交換機110に処理を行わせて、物理メモリ使用量をサンプリングするようにしてもよい。この場合、試験装置100のユーザが指定した任意のタイミングで、試験処理を終了するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…通信システム、100…試験装置、110…交換機、202…呼処理要求部、204…呼処理結果取得部、206…呼処理結果判断部、208…他処理要求部、210…メモリ使用量取得部、212…安定化判断部、214…通知部、216…メモリ開放閾値設定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求部と、
前記交換機に対して、前記試験用呼処理以外の他の試験用処理を繰り返し要求する他処理要求部と、
前記交換機が前記試験用呼処理及び前記他の試験用処理の各々を行っているときに用いる物理メモリ領域の物理メモリ使用量に関するメモリ使用量情報を、前記交換機から取得するメモリ使用量取得部と、
取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が予め決められているメモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断部と、
前記安定化判断部による判断結果を通知する通知部と
を備えることを特徴とする試験装置。
【請求項2】
交換機が処理に用いる物理メモリ領域における試験用のメモリ開放閾値を、当該交換機が通信網において稼動して処理を行うときに設定される値よりも低く設定する閾値設定部と、
前記メモリ開放閾値が設定された前記交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求部と、
前記交換機が前記試験用呼処理を行っているときの前記物理メモリ領域の使用量に関するメモリ使用量情報を、当該交換機から取得するメモリ使用量取得部と、
取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が、前記閾値設定部により設定された前記メモリ開放閾値近辺を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断部と、
前記安定化判断部による判断結果を通知する通知部と
を備えることを特徴とする試験装置。
【請求項3】
前記試験用呼処理は、前記交換機において1つの当該試験用呼処理に対して割り当てられた前記物理メモリ領域の開放が、当該1つの試験用呼処理が終了するまでの間は許されないものであり、
前記他の試験用処理は、前記交換機において1つの当該他の試験用処理に対して割り当てられた前記物理メモリ領域の開放が、当該1つの他の試験用処理が終了するまでの間であっても許されるものである
ことを特徴とする請求項1に記載の試験装置。
【請求項4】
前記安定化判断部は、
取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が上昇傾向から下降傾向に転じた時刻Tと、当該時刻Tの前記物理メモリ使用量Yとをそれぞれ特定し、前記時刻T以降に取得された複数の前記物理メモリ使用量の平均値と、前記物理メモリ使用量Yとの差分が、予め定められた範囲内であることをもって、前記物理メモリ使用量が前記メモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定したと判断する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の試験装置。
【請求項5】
交換機を試験する試験装置による試験方法であって、
前記交換機に対して、試験用呼処理と、当該試験用呼処理以外の他の試験用処理とを、それぞれ繰り返し要求する処理要求工程と、
前記交換機が前記試験用呼処理及び前記他の処理の各々を行っているときに用いる物理メモリ領域の物理メモリ使用量に関するメモリ使用量情報を、前記交換機から取得するメモリ使用量取得工程と、
取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が予め設定されているメモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断工程と、
前記安定化判断工程における判断結果を通知する通知工程と
を備えることを特徴とする試験方法。
【請求項6】
交換機を試験する試験装置による試験方法であって、
前記交換機が処理に用いる物理メモリ領域における試験用のメモリ開放閾値を、当該交換機が通信網において稼動して処理を行うときに設定される値よりも低く設定する閾値設定工程と、
前記メモリ開放閾値が設定された前記交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求工程と、
前記交換機が前記試験用呼処理を行っているときの前記物理メモリ領域の使用量に関するメモリ使用量情報を、当該交換機から取得するメモリ使用量取得工程と、
取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が、前記閾値設定部により設定された前記メモリ開放閾値近辺を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断工程と、
前記安定化判断工程における判断結果を通知する通知工程と
を備えることを特徴とする試験方法。
【請求項7】
コンピュータを、
交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求手段と、
前記交換機に対して、前記試験用呼処理以外の他の試験用処理を繰り返し要求する他処理要求手段と、
前記交換機が前記試験用呼処理及び前記他の試験用処理の各々を行っているときに用いる物理メモリ領域の物理メモリ使用量に関するメモリ使用量情報を、前記交換機から取得するメモリ使用量取得手段と、
取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が予め決められているメモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断手段と、
前記安定化判断手段による判断結果を通知する通知手段と
して機能させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
交換機が処理に用いる物理メモリ領域における試験用のメモリ開放閾値を、当該交換機が通信網において稼動して処理を行うときに設定される値よりも低く設定する閾値設定手段と、
前記メモリ開放閾値が設定された前記交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求手段と、
前記交換機が前記試験用呼処理を行っているときの前記物理メモリ領域の使用量に関するメモリ使用量情報を、当該交換機から取得するメモリ使用量取得手段と、
取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が、前記閾値設定手段により設定された前記メモリ開放閾値近辺を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断手段と、
前記安定化判断手段による判断結果を通知する通知手段と
して機能させるためのプログラム。
【請求項1】
交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求部と、
前記交換機に対して、前記試験用呼処理以外の他の試験用処理を繰り返し要求する他処理要求部と、
前記交換機が前記試験用呼処理及び前記他の試験用処理の各々を行っているときに用いる物理メモリ領域の物理メモリ使用量に関するメモリ使用量情報を、前記交換機から取得するメモリ使用量取得部と、
取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が予め決められているメモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断部と、
前記安定化判断部による判断結果を通知する通知部と
を備えることを特徴とする試験装置。
【請求項2】
交換機が処理に用いる物理メモリ領域における試験用のメモリ開放閾値を、当該交換機が通信網において稼動して処理を行うときに設定される値よりも低く設定する閾値設定部と、
前記メモリ開放閾値が設定された前記交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求部と、
前記交換機が前記試験用呼処理を行っているときの前記物理メモリ領域の使用量に関するメモリ使用量情報を、当該交換機から取得するメモリ使用量取得部と、
取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が、前記閾値設定部により設定された前記メモリ開放閾値近辺を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断部と、
前記安定化判断部による判断結果を通知する通知部と
を備えることを特徴とする試験装置。
【請求項3】
前記試験用呼処理は、前記交換機において1つの当該試験用呼処理に対して割り当てられた前記物理メモリ領域の開放が、当該1つの試験用呼処理が終了するまでの間は許されないものであり、
前記他の試験用処理は、前記交換機において1つの当該他の試験用処理に対して割り当てられた前記物理メモリ領域の開放が、当該1つの他の試験用処理が終了するまでの間であっても許されるものである
ことを特徴とする請求項1に記載の試験装置。
【請求項4】
前記安定化判断部は、
取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が上昇傾向から下降傾向に転じた時刻Tと、当該時刻Tの前記物理メモリ使用量Yとをそれぞれ特定し、前記時刻T以降に取得された複数の前記物理メモリ使用量の平均値と、前記物理メモリ使用量Yとの差分が、予め定められた範囲内であることをもって、前記物理メモリ使用量が前記メモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定したと判断する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の試験装置。
【請求項5】
交換機を試験する試験装置による試験方法であって、
前記交換機に対して、試験用呼処理と、当該試験用呼処理以外の他の試験用処理とを、それぞれ繰り返し要求する処理要求工程と、
前記交換機が前記試験用呼処理及び前記他の処理の各々を行っているときに用いる物理メモリ領域の物理メモリ使用量に関するメモリ使用量情報を、前記交換機から取得するメモリ使用量取得工程と、
取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が予め設定されているメモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断工程と、
前記安定化判断工程における判断結果を通知する通知工程と
を備えることを特徴とする試験方法。
【請求項6】
交換機を試験する試験装置による試験方法であって、
前記交換機が処理に用いる物理メモリ領域における試験用のメモリ開放閾値を、当該交換機が通信網において稼動して処理を行うときに設定される値よりも低く設定する閾値設定工程と、
前記メモリ開放閾値が設定された前記交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求工程と、
前記交換機が前記試験用呼処理を行っているときの前記物理メモリ領域の使用量に関するメモリ使用量情報を、当該交換機から取得するメモリ使用量取得工程と、
取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が、前記閾値設定部により設定された前記メモリ開放閾値近辺を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断工程と、
前記安定化判断工程における判断結果を通知する通知工程と
を備えることを特徴とする試験方法。
【請求項7】
コンピュータを、
交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求手段と、
前記交換機に対して、前記試験用呼処理以外の他の試験用処理を繰り返し要求する他処理要求手段と、
前記交換機が前記試験用呼処理及び前記他の試験用処理の各々を行っているときに用いる物理メモリ領域の物理メモリ使用量に関するメモリ使用量情報を、前記交換機から取得するメモリ使用量取得手段と、
取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が予め決められているメモリ開放閾値を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断手段と、
前記安定化判断手段による判断結果を通知する通知手段と
して機能させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
交換機が処理に用いる物理メモリ領域における試験用のメモリ開放閾値を、当該交換機が通信網において稼動して処理を行うときに設定される値よりも低く設定する閾値設定手段と、
前記メモリ開放閾値が設定された前記交換機に対して、試験用呼処理を繰り返し要求する呼処理要求手段と、
前記交換機が前記試験用呼処理を行っているときの前記物理メモリ領域の使用量に関するメモリ使用量情報を、当該交換機から取得するメモリ使用量取得手段と、
取得された前記メモリ使用量情報に基づいて、前記物理メモリ使用量が、前記閾値設定手段により設定された前記メモリ開放閾値近辺を基準とした或る範囲で安定したか否かを判断する安定化判断手段と、
前記安定化判断手段による判断結果を通知する通知手段と
して機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−49974(P2012−49974A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192335(P2010−192335)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(503220750)ドコモ・テクノロジ株式会社 (58)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(503220750)ドコモ・テクノロジ株式会社 (58)
【Fターム(参考)】
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