説明

試験装置及び試験方法

【課題】実使用環境下により近い状態で発光装置の信頼性を検査し、より確実に不具合品を早く検出し易くする試験装置および試験方法を提供する。
【解決手段】試験装置1は、恒温恒湿槽10内に設置された発光装置70外の雰囲気の温度及び湿度を制御する第1の制御手段(制御部40)と、この雰囲気に晒された発光装置70を断続的な通電により発熱させるために、発光装置70に通電させる電流の電流値及び時間を制御する第2の制御手段(制御部20)と、を備えている。そして、試験装置1を用いて、恒温恒湿槽10内に設置された発光装置70の雰囲気の温度及び湿度を制御しながら、発光装置70を断続的な通電により発熱させるために、発光装置70に通電させる電流の電流値及び時間を制御しながら、発光装置70の加速寿命試験を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置を試験する試験装置及びその試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の劣化を試験する方法として、例えば、半導体素子に断続的にスイッチング動作をさせる断続通電試験がある。
この方法では、トランジスタに通電させるオン期間と、通電を遮断するオフ期間を設け、オン期間とオフ期間とを繰り返す。オン期間では、電力損失によりトランジスタが発熱して温度上昇し、オフ期間では、放熱により温度降下が生じる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−027817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、LED(Light Emitting Diode)等の半導体素子が設けられた発光装置の試験装置及び試験方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、発光装置を収容可能な試験槽と、前記試験槽の内部の温度及び湿度を制御する第1の制御手段と、前記試験槽の中に設置された前記発光装置に通電される電流を制御して断続的に通電させる第2の制御手段と、を備えたことを特徴とする試験装置が提供される。
【0006】
また、本発明の一態様によれば、試験槽の内部に発光装置を設置し、前記試験槽の内部の温度及び湿度を制御しながら、前記発光装置に断続的に通電して、前記発光装置の劣化の有無を調べることを特徴とする試験方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、実使用環境下での発光装置の不具合がより検出し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施の形態に係わる試験装置の要部図である。
【図2】発光装置の試験方法を説明するためのフロー図である。
【図3】発光装置のスイッチング動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本実施の形態に係る試験装置の要部図である。図1(a)では、試験装置1のほか、被検体である発光装置70が試験装置1内に取り付けられた状態が示されている。また、図1(b)には、発光装置70の要部断面が示されている。発光装置70とは、例えば、LED(Light Emitting Diode)パッケージが該当する。
【0011】
図1(a)に示すように、試験装置1は、恒温恒湿槽(試験槽)10と、恒温恒湿槽10内に配置された端子盤(支持台)11と、端子盤11上に、発光装置70が載置された状態で、この発光装置70の点灯を制御可能な制御部20と、発光装置70に電力を供給する電源(定電流電源)30と、恒温恒湿槽10内の雰囲気の温度または湿度の調整(制御)を行う制御部40と、を備える。制御部20,40、電源30は、恒温恒湿槽10外に配置されている。
【0012】
制御部40は、恒温恒湿槽10内の雰囲気(例えば、空気)の温度並びに湿度を所定時間の範囲で一定に保つ制御をしたり、所定時間の範囲で異なる温度、湿度に変化させたりする制御をする。例えば、温度を60〜110℃の範囲、湿度を60〜100%RH(RH:相対湿度)の範囲にそれぞれ制御することができる。一実施形態においては、例えば、恒温恒湿槽10内の雰囲気を、一般的な車載環境試験で過酷な環境条件である、85℃、85%Rhに設定することもできる。また、恒温恒湿槽10内の雰囲気においては、必要に応じて上記範囲以外の環境条件にも設定することができる。例えば、雰囲気温度を常温(約25℃)、−40℃とすることもできる。あるいは、必要に応じて、雰囲気を上記範囲以外の湿度に調整することもできる。
【0013】
また、試験装置1では、実装基板80に実装させた、少なくとも一つの発光装置70を、実装基板80を介して端子盤11上に配置することができる。ここで、実装基板80を端子盤11上に載置すると、端子盤11に設けた電極端子(図示しない)と実装基板80に設けた電極端子(図示しない)とが電気的に接続される。
これにより、電源30から、それぞれの発光装置70に電力を供給することができ、それぞれの発光装置70を発光させることができる。また、電源30と端子盤11との間に介在させた制御部20によって、それぞれの発光装置70の点滅動作が可能になる。点滅動作とは、例えば、断続的な通電等が該当する(後述)。なお、制御部20には、例えば、半導体型リレーのスイッチング素子が組み込まれている。
【0014】
また、実装基板80は、その主面に回路や電極端子などが選択的に配置された回路基板であり、発光装置70を、例えば、はんだ付けで実装することができる。このような実装基板80は、プリント基板、配線基板とも称される。また、試験装置1の端子盤11は、実使用の実装基板が搭載可能なように加工が施されている。
【0015】
次に、実装基板80に実装させた発光装置70の構造について説明する。なお、以下に例示する発光装置70は、一例であり、図示する構成以外の発光装置であってもよい。 図1(b)に示すように、発光装置70は、基体である樹脂ステム70sと、樹脂ステム70sに封止された、2つのリードフレーム70lと、一方のリードフレーム70l上に接着材71を介して搭載された、発光素子70cと、を含む。発光素子70cは、例えば、LEDであり、その下部電極が接着材71によりリードフレーム70lに接合されている。接着材71は、例えば、銀(Ag)ペーストである。また、発光素子70cの上部電極には、金属ワイヤ70wが接合され、この金属ワイヤ70wの端は他方のリードフレーム70l上に接合されている。
【0016】
さらに、発光装置70においては、発光素子70c、金属ワイヤ70w等が封止用樹脂70rにより封止されている。封止用樹脂70rの材質は、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等である。封止用樹脂70rの表面は、例えば集光性を高めるために凸状とされている。また、発光装置70のリードフレーム70lは、接着材72によって、実装基板80の電極端子(図示しない)に接合されている。接着材72は、例えば、鉛(Pb)フリーはんだである。
このような発光装置70の発光素子70cから光が放出されると、その光は凸状の封止用樹脂70rにより集光され、放出される。
【0017】
そして、このような発光装置70は、例えば、自動車のリアコンビネーションランプ等の車載用照明として用いられることがある。従って、発光装置70は、熱帯気候の地域など高温高湿の過酷な条件で使用されることがある。
さらに、一般的にリアコンビネーションランプは樹脂カバーで被覆されているので、発光装置70を点灯させると、発光素子70cの周囲は即座に高温になる。また、多湿気候だけでなく、雨天時や洗車後においても、その外部雰囲気が高湿度になる場合もある。このような高温高湿下でブレーキを踏むごとに発光装置70が点滅し、その熱履歴によって発光素子70cの周囲は、大きな熱応力が印加され続ける。
このように、発光装置70は、過酷な条件で使用されることが多い。
【0018】
次に、試験装置1を用いた発光装置70の試験方法について説明する。
図2は、発光装置の試験方法を説明するためのフロー図である。
また、図3は、発光装置の点滅動作を説明する図である。これらの図2及び図3を併用しながら発光装置70の試験方法について説明する。また、図2に例示されるフロー、及び図3に例示される温度変化は、上述した制御部20,40により自動的に行われる。あるいは、設定温度や湿度など諸条件を公知のユーザインターフェイスを介して手動で調整可能に構成してもよい。
【0019】
まず、少なくとも一つの発光装置70を実装基板80に実装して、発光装置70及び実装基板80を試験装置1内に配置する。すなわち、発光装置70を実装した実装基板80を端子盤11上に載置して、被検体である発光装置70を試験装置1内に設置する(ステップS10)。発光装置70と共に、実装基板80を試験装置1内に設置するのは、なるべく実使用に近い状態で評価するためである。すなわち、リアコンビネーションランプなどとして実使用される際には、実装基板80と同様の成型体に複数の発光装置70がマウントされる。なお、発光装置70の実装基板80への実装は、例えば、はんだリフロー炉(温度245℃)によって、発光装置70を実装基板80へはんだ付けする。
【0020】
次に、恒温恒湿槽10内の雰囲気温度、湿度を所定の条件に設定する(ステップS20)。
例えば、発光装置70を車載用途とした場合の過酷な環境下(高温かつ高湿度)を想定し、恒温恒湿槽10内の雰囲気を、高温高湿の地域、直射日光下、雨天時、入梅時等を想定して、例えば、温度85℃、湿度85%Rhに設定する。
【0021】
次に、それぞれの発光装置70に印加する電流値(または、電圧値)の設定を行う(ステップS30)。
例えば、電流値(または、電圧値)の設定条件としては、温度85℃、湿度85%Rhの雰囲気で、(1)電流の印加による発光素子70cのチップ破壊が起きない程度の電流値(または、電圧値)になること、および(2)発光素子70cの発熱によって封止用樹脂70rが加熱されたとき、封止用樹脂70rの温度が封止用樹脂70rのガラス転移温度Tgを超えない程度の電流値(または、電圧値)になること、のどちらも満たす条件とされる。
(1)および(2)の一つでも満たさないと、試験中に、チップ破壊が生じてしまい、寿命試験が遂行できなくなるからである。例えば、電流値としては、120mA程度である。
さらに、これら(1)および(2)の両方を満たしつつ、できるだけ大きな電流(または、高い電圧)とすれば、より厳しい条件の試験をすることができる。
【0022】
そして、このような電流値で発光装置70に通電させると、発光素子70cが発熱し、発光装置70が加熱される。このとき、発光素子70cの周囲温度が上述した(2)を満たす温度に制御されて、試験が遂行される。
例えば、封止用樹脂70rのガラス転移温度Tgが100℃〜150℃の範囲にあり、電流による発光素子70cの破壊が起きない場合、本試験での発光素子70cのジャンクション温度としては、100℃〜150℃の範囲で、かつガラス転移温度Tgよりも低い温度に設定することができる。そして、このような電流値(または、電圧値)の制御は、上述した制御部20により行われる。
なお、電流値の設定は、発光素子70cの規格に応じて適宜変更される。
【0023】
本試験において、このような過酷な電流値(または、電圧値)を設定する理由は、発光素子70cまたは封止用樹脂70rの破壊寸前にまで、発光装置70の温度を上昇させて、厳しい条件の試験を行なうためである。すなわち、発光装置70になるべく大きな負荷をかけて加速試験を行なうためである。このような厳しい条件は、例えば自動車のブレーキ灯として用いられるリアコンビネーションランプの実使用状態に、より近い状態での加速試験条件となる。
但し、点滅動作中の電流信号に過大なサージ電流が上乗せされると、発光素子70cがこの時点で容易に破壊されてしまう。これは、本試験では電流による発光素子70cの破壊が起こらない程度の最大電流(または、最大電圧)を常時、通電させるからである。従って、電流値の設定に関しては、上記(1)および(2)に加え、サージ電流の最大値が設定電流値(通電時の電流値)の少なくとも10%以内に抑えられているという条件を別に付加することが望ましい。
【0024】
次に、発光装置70を点滅動作させる。例えば、発光装置70の発光素子70cには、所定の時間を通電状態(ステップS40a)とし、所定の時間を不通状態(ステップS40b)とするように断続的に通電する。より具体的には、例えば、5秒間の通電(オン)状態と、5秒間の不通(オフ)状態を繰り返すように発光素子70cへの給電を制御する。
【0025】
ここで、断続的な通電方法について、図3を用いて説明する。図3(a)には、点滅動作の通電オン時の時間と電流の関係が示されている。図3(a)の横軸には、時間が示され、縦軸には、電流値が示されている。
図3(a)に示すように、通電開始と共に、電流値が急に立ち上がり、通電終了と共に、電流値が急に立ち下がる。
また、図3(a)に示すように、断続的に通電させる電流について、その電流信号の最大値の10%から90%まで増大するまでの立ち上がり時間、及び電流信号の最大値の90%から10%まで減少するまでの立ち下がり時間は、100ミリ秒(ms)以内に制御される。これは、通常、発光素子70cに電流を流し、発光装置70の温度を変化させると、ジャンクション部の温度変化は、100ms以内で対応するからである。このような温度変化によって生じる膨張あるいは収縮によって、発光装置70に急峻な応力変化を生じさせて、その影響を試験することができる。
また、通電状態及び不通状態の時間は、1秒〜10秒以内とすることができる(上述した例では、5秒)。
【0026】
通電が開始(オン)されると、これと同時または若干遅れて、ジャンクション温度が上昇する。また、通電が終了(オフ)すると、これと同時または若干遅れて、ジャンクション温度が下降する。
図3(b)には、ジャンクション温度の時間依存が示され、断続的な通電を繰り返した場合のジャンクション温度の変化の様子が示されている。また、図3(b)の右上には、温度変化の拡大図が示されている。
図3(b)に示すように、通電開始前(0秒)においては、発光装置70が恒温恒湿槽10内の雰囲気に晒されているために、ジャンクション温度は、雰囲気温度(本実施の形態では、85℃)になっている。
【0027】
そして、発光素子70cの通電を開始させ、通電のオン・オフを繰り返すと、ジャンクション温度は、上昇・下降を繰り返しながら平均温度Tavが上昇して、ある時間Aを経過後に平均温度Tavが定常状態になる。そして、平均温度Tavが定常状態に達した後は、ジャンクション温度は、この定常状態の平均温度Tavを維持しながら、上昇・下降を繰り返す。すなわち、通電状態及び不通状態の時間をそれぞれ5秒とすると、5秒での温度上昇と5秒での温度下降が発光素子70cに印加され続けることになる。
【0028】
なお、通電状態及び不通状態の時間を1秒〜10秒以内とする理由は、次の事項による。
【0029】
被検体である発光装置70のオン時の温度の立ち上がりは、通電開始から1秒程度で立ち上がり、その後は温度上昇が緩やかになる。また、オフ時の温度の立ち下がりも、通電オフから1秒程度で立ち下がり、その後は温度下降が緩やかになる。すなわち、通電状態及び不通状態のそれぞれの時間が1秒もあれば、十分な温度変化を発光装置70に与えることができる。従って、通電状態及び不通状態の時間については、1秒を最短としている。
【0030】
また、実際に自動車運転中にブレーキが踏まれて、リアコンビネーションランプ(発光装置70)が点灯している時間は、長い信号待ちなどの停車中を除くと、通常10秒以内である。従って、通電状態及び不通状態のそれぞれの時間については、10秒を最長時間としている。
【0031】
このような理由により、通電状態及び不通状態のそれぞれの時間を1秒〜10秒としている。また、この範囲内のサイクルであれば、発光装置70の冷熱回数(温度の下降と上昇の回数)が増加し、実使用に近い熱衝撃が発光装置70に与えられるからである。
【0032】
そして、このような断続的な通電を所定の回数実行したか、あるいは、試験開始から所定の時間が経過すると、発光装置70に不具合が発生しているか否かの判断を行う(ステップS50)。
ここで、発光装置70の不具合とは、例えば、発光素子70cとリードフレーム70lとを接合している接着材71の一部が剥離したり、発光素子70cから金属ワイヤ70wが切れたりする現象をいう。あるいは、発光素子70cの劣化が相当する。
【0033】
そして、断続的な通電が所定の回数に達してしない場合、あるいは、発光装置70に不具合が発生していない場合は、ステップS40aに戻り、断続的な通電を繰り返す。また、断続的な通電が所定の回数に達している場合、あるいは、発光装置70に不具合が発生した場合は、発光装置70に実使用での電流値(または、電圧値)を通電させて、その際の順方向電圧、輝度、波長、配光の少なくとも1つ以上の特性を評価する(ステップS60)。そして、この試験においては、断続的な通電回数と発光装置70の特性とを対応させて、そのデータベース化を図る。
【0034】
次に、評価した特性に基づいて、試験中の発光装置70に破壊(例えば、不点灯)があるか否かの判断を行う(ステップS70)。破壊が認められなければ、断続的な通電の回数が終了回数か否かの判断を行う(ステップS80)。ここで、終了回数でなければ、ステップS40aに戻り、断続的な通電を繰り返す。また、終了回数であれば、試験を終了させる(ステップS90)。また、発光装置70に破壊が認められれば、その破壊が発光装置70の全数であるか否かの判断を行う(ステップS100)。ここで、破壊が発光装置70の全数に及んでいれば、試験を終了させる(ステップS110)。また、破壊が発光装置70の全数に及んでいない場合は、破壊品の発光装置70のみを取り除き(ステップS120)、残りの発光装置70に、再び断続的な通電を繰り返して、試験を再開させる。このような方法により、発光装置70の試験が遂行される。
【0035】
このように、本実施の形態での試験装置1は、恒温恒湿槽10内に設置された発光装置70外の雰囲気の温度及び湿度を制御する第1の制御手段(制御部40)と、この雰囲気に晒された発光装置70を断続的な通電により発熱させるために、発光装置70に通電させる電流の電流値及び時間を制御する第2の制御手段(制御部20)と、を備えている。そして、試験装置1を用いて、恒温恒湿槽10内に設置された発光装置70の雰囲気の温度及び湿度を制御しながら、発光装置70を断続的な通電により発熱させるために、発光装置70に通電させる電流の電流値及び時間を制御しながら、発光装置70の劣化試験を行っている。
【0036】
従前の信頼性試験では、熱サイクル試験または通電試験のいずれか一方のみの試験を行うに過ぎなかった。すなわち、発光装置70を発光させた状態で、かつ、高温高湿度という過酷な環境下での加速試験を行うことができず、実使用条件下での発光装置の不具合品を検出し難かった。
また、一般的な熱衝撃試験では、例えば、−40℃から100℃まで急熱したり、100℃から−40℃まで急冷させることが多く、実使用以上の熱応力が発光装置に印加されしまい、実使用に近い条件での加速試験に対応していなかった。
【0037】
然るに、本実施の形態では、例えば、85℃、85%Rhという高温高湿度の過酷な環境下に発光装置70を据え置き、断続的な通電制御(点滅動作)を施して、試験を実行している。これにより、発光装置70は、実使用に近い条件で試験される。
従って、試験装置1を用いた試験結果を基に、発光装置の設計・開発を行えば、より高信頼性の発光装置を実現させることができる。
また、試験装置1を用いれば、発光装置70を量産する前に、実使用に近い条件での試験結果を予め認識ことができるので、開発段階中に的確な問題点を抽出し易い。従って、発光装置70の開発効率を大きく向上させることができる。そして、試験結果をクリアした発光装置70を量産することにより、その信頼性を向上させることができる。
【0038】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本実施の形態はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、以上の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて複合させることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば容易に相当し得る、各種の変更例及び修正例も含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1 試験装置
10 恒温恒湿槽
11 端子盤
20、40 制御部
30 電源
70 発光装置
70c 発光素子
70l リードフレーム
70r 封止用樹脂
70s 樹脂ステム
70w 金属ワイヤ
71、72 接着材
80 実装基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光装置を収容可能な試験槽と、
前記試験槽の内部の温度及び湿度を制御する第1の制御手段と、
前記試験槽の中に設置された前記発光装置に通電される電流を制御して断続的に通電させる第2の制御手段と、
を備えたことを特徴とする試験装置。
【請求項2】
前記第1の制御手段は、前記試験槽の内部の温度を60〜110℃に維持し、湿度を60〜100%Rhに維持する制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記第2の制御手段は、前記発光装置の封止樹脂の温度がそのガラス転移温度を超えない範囲において電流を断続的に通電させることを特徴とする請求項1に記載の試験装置。
【請求項4】
前記発光装置内の発光素子のジャンクション温度は、100℃〜150℃の範囲で制御されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の試験装置。
【請求項5】
前記第2の制御手段により断続的に通電させる電流の通電時間は1秒〜10秒の範囲にあり、電流の不通時間は1秒〜10秒の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の試験装置。
【請求項6】
前記第2の制御手段により断続的に通電させる電流は、その電流信号の最大値の10%から90%まで増大するときの立ち上がり時間および電流信号の最大値の90%から10%まで減少するまでの立ち下がり時間が100ミリ秒以内に制御されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の試験装置。
【請求項7】
前記第2の制御手段により通電時の電流に上乗せられるサージ電流の最大値は、通電時の電流値の10%以内に制御されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の試験装置。
【請求項8】
試験槽の内部に発光装置を設置し、前記試験槽の内部の温度及び湿度を制御しながら、前記発光装置に断続的に通電して、前記発光装置の劣化の有無を調べることを特徴とする試験方法。
【請求項9】
前記発光装置の封止樹脂の温度がそのガラス転移温度を超えない範囲において電流を断続的に通電させることを特徴とする請求項8に記載の試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−245348(P2010−245348A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93353(P2009−93353)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】