説明

詰まり除去機構および検査装置

【課題】小物物品を高速搬送し、詰まりが生じた際に、その詰まりを除去することが可能な詰まり除去機構を備え、所定の整列処理能力を向上できるようにした小物物品の検査装置を提供すること。
【解決手段】錠剤Tの詰まりが生じた際に、幅規制ガイド42aを移動させることで第1の整列用搬送路10aの幅を拡張させて、詰まりの原因となった錠剤および搬送の滞った錠剤を錠剤回収箱84に落下させて回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煩雑な状態で送られてくる錠剤等の小物物品を所定の姿勢で整列させて検査を行う小物物品の検査装置に関し、特に、検査装置に用いられる、小物物品の搬送中の詰まりを除去することが可能な詰まり除去機構および小物物品の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤等の小物物品の整列搬送装置として、出願人は、特許文献1や特許文献2に示されるような平坦な搬送路と側面ガイドを利用して高速搬送を可能とする整列搬送装置を既に提案してきている。
【0003】
図7は、特許文献2に提案されている小物物品の整列搬送装置の一部を示した部分拡大概略図である。整列搬送装置は、概略、搬送ベルト111上に画定される錠剤Tを整列搬送する搬送路110、搬送ベルト111に乗って移動する錠剤Tを整列させる搬送路110を画定するガイド部材120、同じく搬送路110を画定する部材であって、高さを規制するゲート部材(不図示)、同じく搬送路110を画定する部材であって、幅を規制するゲート部材を構成する幅規制ガイド130、及び搬送路110から振分、排除された錠剤を整列搬送装置の上流の戻すための還元用搬送路140を備えている。
【0004】
ガイド部材120は、具体的には搬送における上流において、搬送ベルト111上を斜めに遮るように横断し、整列用搬送路110を次第に狭めるように画定し(不図示)、下流において、幅規制ガイド130との間に錠剤Tが一列に整列して搬送されるように整列用搬送路110を画定する。幅規制ガイド130の上流側先端部は、錠剤を振分けるように構成されており、例えば、振分ピン等が設けられていてもよい。
【0005】
整列搬送装置に定量的に放出された錠剤Tは、図7において、搬送ベルト111上を左から右に搬送される。高さ規制ガイドで所定の姿勢にされた錠剤Tは、幅規制ガイド130の上流側先端部で振り分けられる。搬送路110側に振り分けられた錠剤Tは、ガイド部材120と幅規制ガイド130とで画定される搬送路110を通過することで一列に整列されて、整列搬送装置の下流に設けられている処理装置、例えば、検査装置に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−128233号公報
【特許文献2】特開2006−131355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図7に示される従来例において、錠剤Tは、上記したように、幅規制ガイド130の上流側先端部で振り分けられる。しかしながら、素錠で摩擦係数の高い錠剤や粉の飛散が多い錠剤や楕円形状等の異形状の錠剤、また割れてしまった錠剤等おいては、幅規制ガイド130の上流側先端部での円滑な振り分けができずにブレーキがかかり搬送路110上で錠剤が詰まることがある。このような錠剤の詰まりが生じた場合、従来はオペレータが手作業で詰まりを除去することが行われていた。このような錠剤の詰まりが発生すると検査装置全体としての処理能力の低下を招く。
【0008】
よって本発明の目的は、このような問題点に鑑み、小物物品を高速搬送し、詰まりが生じた際に、その詰まりを除去することが可能な詰まり除去機構を備え、所定の整列処理能力を向上できるようにした小物物品の検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのため本発明の詰まり除去機構は、搬送路にて小物物品を載せて搬送する搬送ベルトと、該搬送ベルト上に配置され、小物物品を案内するガイド側面を有するガイド部材と、前記搬送ベルト上を搬送される小物物品が安定した姿勢で且つ一つのみ通過できるように、前記ガイド部材のガイド側面との間で前記搬送路における整列用搬送路の幅を規制する側面を有する幅規制ガイドと、該幅規制ガイドの上流側端部に配置された、搬送されてきた前記小物物品を振り分けるための回転軸と、前記搬送ベルトの搬送方向終端部に設けられた小物物品回収箱と、を含む錠剤詰まり除去機構において、前記幅規制ガイドは、移動することで前記整列用搬送路の幅を拡張することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の検査装置は、上記の詰まり除去機構と、該詰まり除去機構と接続され、前記詰まり除去機構の後工程で、小物物品の検査を行う錠剤検査処理機構と、を備え、小物物品の搬送中に詰まりが生じた際に、前記詰まり除去機構と前記検査処理機構との接続を解除し、前記幅規制ガイドが移動することで前記整列用搬送路の幅を拡張することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば詰まり除去機構は、幅規制ガイドが移動することで整列用搬送路の幅を拡張する。これによって、小物物品を高速搬送し、詰まりが生じた際に、その詰まりを除去することが可能な詰まり除去機構を備え、所定の整列処理能力を向上できるようにした小物物品の検査装置を実現することができた。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例に係る小物物品の検査装置における整列搬送装置の概略平面図である。
【図2】図1に示される整列搬送装置の第2ゲート部を上から見た要部拡大概略図である。
【図3】図1に示される整列搬送装置の振り分け機構を斜め上から見た斜視図である。
【図4】図3に示される振り分け機構の要部断面図である。
【図5】図3に示す振り分け機構が取り付けられた整列搬送装置を、理解を容易にするために搬送ベルトを取り除いた状態で、斜め下から見た要部斜視図である。
【図6】本発明の小物物品の整列搬送装置の一部を示した部分拡大概略図である。
【図7】従来の小物物品の整列搬送装置の一部を示した部分拡大概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1ないし図6を用いて本発明にかかる実施例につき詳細に説明する。本実施例においては、概ね扁平な状剤を搬送する装置として説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0014】
図1は、本発明の実施例に係る小物物品の検査装置100における整列搬送装置1の概略平面図である。図2は、図1に示される整列搬送装置の第2ゲート部を上から見た要部拡大概略図である。図3は、図1に示される整列搬送装置1の振り分け機構を斜め上から見た斜視図である。図4は、図3に示される振り分け機構の要部断面図である。図5は、図3に示す振り分け機構が取り付けられた整列搬送装置を、理解を容易にするために搬送ベルトを取り除いた状態で、斜め下から見た要部斜視図である。図6は、本発明の小物物品の検査装置100における整列搬送装置の一部を示した部分拡大概略図である。以下では、小物物品として錠剤を例に本発明の説明を行う。
【0015】
検査装置100は、主に搬送装置86、整列搬送装置1、検査処理装置85を備えており、搬送装置86で搬送されてきた錠剤Tは、整列搬送装置1で所望の状態に整列されて、検査処理装置85に受け渡される。錠剤Tを整列状態で受け渡された検査処理装置85は、カメラによって錠剤Tの欠けや異物混入の有無の検査を行う。また検査処理装置85では搬送における錠剤Tの詰まりを検知することができる。
【0016】
錠剤Tを搬送する整列搬送装置1は、概略、第1の整列用搬送路10a、第2の搬送路10b、該2つの搬送路10a、10bの間に配置される還元用搬送路80とから構成される。2つの搬送路10a、10bは、略水平に設置され、中心に配置される傾斜した還元用搬送路80を挟んで対称形をなしている。第1の整列用搬送路10aは、錠剤Tを主搬送方向(矢印X方向)に搬送する搬送ベルト11a、錠剤Tを案内するガイド側面21aが形成されているガイド部材20a、第1のゲート部30a及び第2のゲート部40aを含んでいる。搬送ベルト11aは、無端ベルトのコンベアであり、錠剤Tの搬送面が前段の搬送装置86から後段の錠剤検査処理装置85にまで延在するように2つのプーリー間に渡され駆動される。
【0017】
ガイド部材20aは、搬送ベルト11aの直上に配置され、上述したように錠剤Tを案内するガイド側面21aを有する。このガイド側面21aは、錠剤Tの主搬送方向上流側の錠剤受け入れ部では、第1の整列用搬送路10aを搬送ベルト11aの幅に略等しく画定しているが、下流に向かって搬送ベルト11aを斜めに遮って横断するように形成されている。すなわち、ガイド部材20aのガイド側面21aは、下流に行くにしたがい錠剤Tを還元用搬送路80側に寄せ、結果として、漸次錠剤Tの第1の整列用搬送路10aの幅を漸次狭めるように、該第1の整列用搬送路10aを画定している。この場合、搬送ベルト11aを斜めに遮って横断するように形成されているガイド側面21aは、直線的であってもよいし、曲線的であってもよい。ガイド側面21aは、さらに、図2に詳細に示されるように、後述する第2ゲート部材40aの入口近傍において第1の整列用搬送路10aの幅が最も狭くなり、搬送される錠剤Tの直径に略等しい幅にまでなるように第1の整列用搬送路10aを画定する。ガイド側面21aは、最終的には主搬送方向(矢印X方向)に平行になるように形成され、後述する第2ゲート部材40aの幅規制ガイド42aとともに、搬送される錠剤T1個分の幅、すなわち搬送される錠剤Tの直径に略等しい幅、となるように第1の整列用搬送路10aを画定する。したがって、ガイド側面21aは、搬送ベルト11aを斜めに遮って横断する傾斜面から搬送ベルト11aの主搬送方向(矢印X方向)に平行となる平行面に向きを変更する構成をとる。
【0018】
なお、ガイド部材20aは、本実施例に示されるように、水平方向であって、且つ主搬送方向(矢印X方向)に対して直交する方向に移動可能に構成し、位置調整ツマミ16aにより、ガイド部材20aを、したがってガイド側面21aを移動させ、搬送される錠剤Tの大きさに対応して第1の整列用搬送路10aの幅を調整できるように構成されることが好ましい。なお、符号17aは、ガイド部材20aを基台に固定するためのクランパを示している。
【0019】
第1ゲート部30aは、第1の整列用搬送路10aの略中間に、該第1の整列用搬送路10aを構成するガイド側面21aに沿って設けられている。第1ゲート部30aは、搬送されてくる錠剤Tに対応して高さを規制する第1の高さ規制ゲート31aから構成される。この第1の高さ規制ゲート31aは、その底面が第1の整列用搬送路10aの搬送面より所定の距離、例えば、錠剤Tの高さより若干長い距離だけ離れ、該搬送面に対して平行になるように、ガイド部材20aに取り付けられている。また、第1の高さ規制ゲート31aには、第1の整列用搬送路10aを斜めに横切り還元用搬送路80にまで延在する側面32aが、高さ規制ゲート31aの底面に対して垂直に形成されている。第1の高さ規制ゲート31aを備える第1ゲート部材30aが第1の整列用搬送路10aの略中間に設けられていることにより、搬送されてくる錠剤Tのうち、立っていたり、重なっていたりする錠剤Tは、ゲート31aの側面32aにより横に倒されたり、重なりを解かれたり、言い換えれば、姿勢を安定した状態にさせられる。あるいは、該側面32aに沿って第1の整列用搬送路10aから還元用搬送路80に向けて排除される。なお、第1の高さ規制ゲート31aは、高さ調整用ツマミ35aにより、その高さ(第1の整列用搬送路10aの搬送面からの距離)を調整できるようにされていることが好ましい。
【0020】
第2ゲート部40aは、第1の整列用搬送路10aの下流に、傾斜面から平行面に向きを変更するガイド側面21aに沿って設けられる。第2ゲート部40aは、図2に示されるように、第2の高さ規制ゲート41a、幅規制ガイド42a、振り分け機構、第1サイドガイド43a及び第2サイドガイド44aから構成されている。本実施例では、幅規制ガイド42aは可動することが可能であり、必要に応じて搬送路の幅を広げることができる。この幅規制ガイド42aの動きの詳細については後述する。
【0021】
第2の高さ規制ゲート41aの外側(還元用搬送路80側)は、その上流側で、第1の整列用搬送路10aを斜めに横切り還元用搬送路80にまで延在し、第2の高さ規制ゲート41aの底面に対して垂直な側面45a、及び後述する振り分け機構を構成する回転軸55a先端が第2の高さ規制ゲート41aの下方に突出し、第1の整列用搬送路10a上に臨むことを可能とする溝46aを備えている。該溝46aの深さは、振り分け機構を構成する回転軸55aが第1の整列用搬送路10aの還元用搬送路80側縁部、すなわち搬送ベルト11aの還元用搬送路80側縁部、の近傍に配置できるように設定される。なお、溝46aは、第2の高さ規制ゲート41aを上下方向(図2において、紙面に垂直な方向)に貫通する貫通孔であってもよい。
【0022】
第2の高さ規制ゲート41aの内側は、ガイド部材20aのガイド側面21aに沿うように、また、上記第1の高さ規制ゲート31aと同様に、その底面が第1の整列用搬送路10aの搬送面より所定の距離、例えば、錠剤Tの高さより若干長い距離だけ離れ、該搬送面10aに対して平行になるように、ガイド部材20aに取り付けられる。第2の高さ規制ゲート41aの底面に対して垂直な側面45aは、依然として不安定な姿勢にある錠剤Tを、還元用搬送路80に排除する。本実施例において、幅規制ガイド42aは、第2の高さ規制ゲート41aの溝46aから下流側に延在している。この構成から、振り分け機構を構成する回転軸55aは、幅規制ガイド42aの上流側端部の近くに配置されることが理解される。幅規制ガイド42aは、また、その内側側面がガイド部材20aのガイド側面21aに対して所定の距離、例えば、錠剤Tの直径より若干長い距離だけ離れ、該ガイド側面21aに対して平行になるように配置される。結果として、幅規制ガイド42aの内側側面48aとガイド部材20aのガイド側面21aとで錠剤Tの直径分の幅を有する第1の整列用搬送路10a、すなわち、錠剤Tを一列に整列させて搬送させる搬送路10aが形成される。さらに、幅規制ガイド42aの外側(還元用搬送路80側)は、図2、5に示されるように、上流側が先細りになるように傾斜側面47aが形成されていることが好ましい。傾斜側面47aを備えることにより、後述する振り分け機構(より詳細には、回転軸55a)で還元用搬送路80側に振り分けられた錠剤Tが円滑に還元用搬送路80に落下することができる。しかしながら、幅規制ガイド42aは、傾斜側面47aを備えていなくてもよい。例えば、幅規制ガイド42aの外側形状は、第2の高さゲート41aの外側形状と同じであってもよい。なお、第2の高さ規制ゲート41aは、高さを調整できるように構成されていることが好ましい。
【0023】
図3ないし図5に該振り分け機構の詳細図が示されている。図3、5に示されるように、該振り分け機構は、概略、風車50a及び風力ブロック60aを備えている。風車50aは、風車本体51a、凹凸車52a、回転軸55a、第1軸受部56a及び第2軸受部57aを備えている。風車本体51aは、凹凸車52aを支持する部材であり、中心部に貫通孔が形成されている円筒状をなしている。風車本体51aの中心貫通孔を回転軸55aが貫通し、風車本体51aに形成されている軸固定用孔54aを介してネジ等により風車本体51aと回転軸55aが一体化される。凹凸車52aは、風車本体51a上に配置され、適宜の手段で風車本体51aに固定される。凹凸車52aは、外周に複数の凸部53a(図4参照)が形成され、中心部に回転軸55aが貫通する貫通孔が形成されている。凹凸車52aの外周に形成される凸部53aは、歯車の歯の形状をしていてもよいし、平板状の羽根のような形状であってもよい。要は、圧縮空気の吹き付けを受け止めることができる形状であればどのような形状であってもよい。回転軸55aは、錠剤Tを振り分ける部材であり、風車本体51a、凹凸車52aそれぞれの貫通孔を貫通し、風車本体51a及び凹凸車52aを挟んで両側に配置されている第1軸受部56a及び第2軸受部57aにより回転可能に支持される。
【0024】
また、回転軸55aは、図に示されるように、下方端部を第2軸受部57aから所定の長さ突出させ、該突出部分の自由端を、錠剤Tを振り分ける部材として機能させる。回転軸55aは、どのような材料を用いて作られてもよいが、表面がテフロン(登録商標)処理されたステンレス鋼(SUS)で作られるのが好ましい。さらに、回転軸55aの直径は、錠剤Tが扁平な円形状の錠剤(丸錠)である場合、その径より若干小さい(約1mm小さい)径であることが好ましい。例えば、錠剤Tの径が5mmであるとすると、回転軸55aの径は4mmであることが好ましい。あるいは、錠剤が楕円やオーバル形状のような断面長円形状の錠剤(異形錠)である場合、回転軸55aの直径は、短軸のほうの長さより若干小さいことが好ましい。回転軸55aの径は、大きすぎると、錠剤が詰まりやすく、小さすぎると、回転軸55aの強度が弱くなり、該軸55aが曲がってしまう恐れがある。風力ブロック60aは、風車50aを回転可能に支持するとともに、図4に示されるように、風車50aの凹凸車52aに圧縮空気を吹き付ける機能を備える。圧縮空気を吹き付けることにより、一体化されている風車本体51a、凹凸車52a及び回転軸55aを反時計方向、すなわち、錠剤を整列用搬送路に取り込む方向、に回転させる。風力ブロック60aは、ブロック本体61a、及び第1の軸受保持体67aを備えている。
【0025】
ブロック本体61aは、縦ブロック62a、ベース65aを有し、該縦ブロック62aとベース65aとで略L字形をなしている。縦ブロック62aには、空気供給管71aから管継手72a及び通路63aを介して送られてくる圧縮空気を風車50aの凹凸車52aに吹き付ける吹き付け孔64aが設けられている。ベース65aは、第2の軸受保持体を構成するとともに、固定孔66aが形成されている。ブロック本体61aは、固定孔66aを介してネジ等で第2ゲート部40aの第2高さ規制ゲート41a上に着脱自在に取り付けられる(図5参照)。第1の軸受け保持体67aは、ネジ部材68a等で縦ブロック62a上に固定される。また、第1の軸受保持体67a及びベース65aは、それぞれに形成されている取り付け孔に上記風車50aの第1軸受部56a及び第2軸受部57aをそれぞれ圧入する等の固定方法を採用して、該風車50aを回動可能に支持する。
【0026】
図5に示されるように、振り分け機構を構成する風車50a及び風力ブロック60aが第2の高さ規制ゲート45a上に組み立てられると、風車50aの回転軸55aの下方先端部は、第2高さ規制ゲート41aの溝46aを通り抜け、第1の整列用搬送路10aに臨むことになる。この場合、風車50aの回転軸55aの下方自由端は、第1の整列用搬送路10aを構成する搬送ベルト11aの上面に対して搬送される錠剤Tの高さ(厚さ)より小さいが、搬送ベルト11の上面に触れない距離だけ離れて配置されることが理解されるであろう。また、回転軸55aは、幅規制ガイド42aの上流側端部近傍であって、ガイド側面21aが傾斜面から平行面に向きを変更する箇所に第1の整列用搬送路10aを挟んで対向する、搬送ベルト11aの還元用搬送路80側縁部近傍に配置される。なお、図示されていないが、振り分け機構は、整列搬送装置1として組み立てられたとき、全体がカバー等で覆われていることがより好ましい。
【0027】
本実施例における振り分け機構は、上述のような構成を備えることで、吹き付け孔64aから吐出される圧縮空気が、図4に示されるように、凹凸車52aの凸部53aに当たることで凹凸車52aが図において反時計方向に回転する。それにより、該凹凸車52aと一体に形成されている風車本体51aも回転する。結果として、風車本体51aと一体化されている回転軸55aが、反時計方向、すなわち、錠剤を第1の整列用搬送路10aに取り込む方向に回転し、回転軸55aにぶつかってくる錠剤Tを円滑に第1の整列用搬送路10aに導き、錠剤Tの停滞を阻止することができる。仮に、錠剤Tが、回転軸55aとガイド部材20aのガイド側面21aとの間に挟み込まれて停滞しようとしても、従来例にも存在する後続する錠剤の押し込み作用に加えて、回転軸55aの回転力による取り込み作用が働くことより錠剤Tはほとんど停滞することがない。また、回転軸55aの回転は、圧縮空気の吹き付け力によるものであるから、瞬間的に停滞が起こって回転軸55aに負荷がかかったとしても、回転軸55aの回転が容易に減速または停止する。それにより、本実施例における振り分け機構は、モーター等で回転軸55を強制的に駆動することに比べて錠剤Tに無理な力がかからず、錠剤Tを破損させることもない。
【0028】
なお、回転軸55aの回転速度の制御は、圧縮空気の圧力や流量を調整することにより、凹凸車52aに吹き付けられる空気の速度を変えることで容易に行なうことができる。また、圧縮空気供給源としては、搬送ベルトの清掃や検査用カメラの防塵用等の装置に供
給される工場施設内に備えられているコンプレッサ等を使用する。
【0029】
図6は、本発明の特徴的な構成である幅規制ガイド42aの開閉動作を説明するための図である。幅規制ガイド42aと第1サイドガイド43aとは一体で構成されている部材であるため、開閉動作の際は一体となって移動する。幅規制ガイド42aは不図示のリニアスライドを介して支持部材80aに取り付けられている。また、幅規制ガイド42aの一端部は、エアシリンダ82aと接続されている。また、エアシリンダ82aはブラケット81aを介して支持部材80aに取り付けられており、その取り付け位置は、長穴によって調整が可能となっている。幅規制ガイド42aは、エアシリンダ82aを駆動させることで、矢印α方向への移動によって整列用搬送路10aの開閉動作を行うことができる。なお、本明細書では、幅規制ガイド42aの移動動作に「開閉動作」という言葉を用いているが、後述する説明からも明らかなように、「閉」の状態で実際に幅規制ガイド42aが整列用搬送路10aを閉じて遮断しているものではなく、整列用搬送路10aの幅を狭くしている状態を「閉」の状態と言うものとする。
【0030】
第1サイドガイド43a、第2サイドガイド44aは、幅規制ガイド42aの内側側面48aとガイド部材20aのガイド側面21aとで画成される搬送路から送られてくる錠剤Tを後工程の錠剤検査処理装置85へ受け渡すための構成要素である。したがって通常運転が行われている場合は、第1サイドガイド43aと第2サイドガイド44aとは、錠剤Tの直径より若干長い距離だけ離れ、かつ互いに対して平行になるように配置されて、幅規制ガイド42aの開閉動作における「閉」の状態(図6の実線で示した位置)で錠剤の搬送が行われる。この時、第1サイドガイド43aと第2サイドガイド44aとの幅は、不図示のマイクロメータヘッドによってその間の距離を調整可能に構成されている。従って、搬送する錠剤Tの寸法に合わせて適宜幅を変更することが可能である。この第1サイドガイド43aと第2サイドガイド44aとで画成される搬送路は、錠剤Tの主搬送方向(矢印X方向)にも平行に形成される。
【0031】
また、錠剤Tが幅規制ガイド42aにガイドされてから一列に整列するまでの間のいずれかで詰まりが生じて、錠剤検査処理装置85で詰まりが検知されたた場合には、エアシリンダ82aを駆動させて、幅規制ガイド42aを開閉動作における「開」の位置(図6の二点鎖線で示した位置)まで移動させて、第1の整列用搬送路10aの幅を拡張させる。幅規制ガイド42aの移動量は、錠剤の形状、寸法によって適宜変更することが好ましい。なお本実施例では、第1の整列用搬送路10aの幅を4mm拡張させるように幅規制ガイド42aを移動させるが、基本的には、搬送ベルト11aの側端部から錠剤が落下しなければよい。幅規制ガイド42aが「開」の位置まで移動すると、錠剤除去エアノズル83aから搬送路の上流側に向けて空気が吹き出される。搬送路を搬送されてくる錠剤Tは、錠剤除去エアノズル83aから吹き出された空気によって、搬送を妨げられ、錠剤除去エアノズル83aよりも下流には進入することができなくなる。その間に、既に錠剤除去エアノズル83aを通過して、整列した錠剤Tおよび詰まりを生じさせた錠剤Tは、幅を拡張させた整列用搬送路10aを通過する。
【0032】
この整列搬送装置1は、錠剤Tの搬送下流側において、この後工程で用いられる検査処理装置85と接続されている。通常運転、つまり錠剤の詰まりが生じていない場合には、一列に整列された錠剤Tが検査処理装置85に受け渡される。しかし、錠剤Tの詰まり除去動作が行われると、検査処理装置85は上昇して、整列搬送装置1と検査処理装置85との接続を解除し、検査処理装置85への錠剤Tの受け渡しが行われないようにする。したがって、詰まりが生じた際に、既に錠剤除去エアノズル83aを通過した、整列している錠剤Tおよび詰まりを生じさせた錠剤Tは全て、整列搬送装置1に搬送方向後端部に設けられた錠剤回収箱84に落下して回収される。
【0033】
このように錠剤Tが回収され、錠剤の詰まりが除去されると、改めてエアシリンダ82aを駆動させて、幅規制ガイド42aを「閉」の位置まで移動する。そして、検査処理装置85を下降させて整列搬送装置1と再接続させ、錠剤除去エアノズル83aからの空気の吹き出しを止める。このように、幅規制ガイド42aでガイドされる箇所における錠剤Tの詰まりが解消された状態で、再び通常運転が開始される。
【0034】
なお、振り分け機構は本体側に固定されているため、錠剤Tの詰まり発生時に幅規制ガイド42aが移動しても振り分け機構自体が移動することは無い。
【0035】
また、図2に示されるように、この第1サイドガイド43aと第2サイドガイド44aとで画成される搬送路は、後工程の錠剤検査処理装置85へ受け渡すべく第2の高さ規制ガイド41aには覆われていない。
【0036】
このように、錠剤Tの詰まりが生じた際に、幅規制ガイド42aを移動させることで第1の整列用搬送路10aの幅を拡張させて、詰まりの原因となった錠剤および搬送の滞った錠剤を錠剤回収箱84に落下させて回収する。そして、回収後に再び通常運転を開始する。このように詰まりを除去することが可能な錠剤詰まり除去機構によって、所定の整列処理能力を向上させることができる。
【0037】
第2の整列用搬送路(図1において、還元用搬送路80を挟んで整列用搬送路10aと対向する位置にある搬送路)10bは、第1の整列用搬送路10aと対をなしており、実質的に同じ構造をしているので説明は省略する(各構成要素は、第1の整列用搬送路の構成要素と同じ数字にアルファベットのaに替えてbを付している)。
【0038】
還元用搬送路80は、図1に示されるように、対称形状を有する第1の整列用搬送路10aと第2の整列用搬送路10bとの間に配置され、第1、第2の整列用搬送路10a、10bから排除される錠剤Tを、各整列搬送装置10a、10bの上流に配置される搬送装置86に戻し、再度第1の整列用搬送路10a又は第2の整列用搬送路10bを通過させ、整列させるためのものである。還元用搬送路80の具体的構成は、従来例と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0039】
次に、本実施例の整列搬送装置1における錠剤Tの搬送動作を説明する。不図示のホッパなどから定量的に放出される錠剤Tは、搬送装置86で振動を与えられ、搬送装置86下流に設けられるフィンF1a、F1bにより適宜振り分けられ、本実施例の整列搬送装置1の各整列用搬送路10a、10bに送られてくる。この時、フィンF1a、F1bにより、錠剤Tは、各整列用搬送路10a、10bのそれぞれのガイド側面21a、21bに向けられるように案内される。各整列搬送路10a、10bを搬送される錠剤Tは、第1ゲート部30a、30bで安定した姿勢の錠剤のみ通過するように取捨選択され、第2ゲート部40a、40bで、安定した姿勢で且つ一個の錠剤のみが取捨選択され、結果として一列に整列される。第2ゲート部40a、40bの第1サイドガイド43a、43bと第2サイドガイド44a、44bとでそれぞれ画成される各整列搬送路10a、10bに到達した錠剤Tは、整列搬送装置1全体としては2列に整列されて後段の錠剤検査処理装置85に受け渡される。
【0040】
以上、本発明に係る錠剤の検査装置100に関して説明を行ったが、本発明は、このような錠剤の搬送に限られないことは言うまでもない。特に、本発明は、楕円、オーバル形状等のような断面長円形状の錠剤(異形錠)やRのきつい錠剤等の整列搬送に有効である。また、本実施例の検査装置100における整列搬送装置1では、2つの整列用搬送路と1つの還元用搬送路を備えているが、1つの整列用搬送路と1つの還元用搬送路とを備えたものであってもよいし、その他の組み合わせであってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 整列搬送装置
10a 第1の整列搬送路
10b 第2の整列搬送路
30a 第1ゲート部
40a 第2ゲート部
42a 幅規制ガイド
43a 第1サイドガイド
44a 第2サイドガイド
80 還元用搬送路
82a エアシリンダ
84 錠剤回収箱
85 錠剤検査処理装置
86 搬送装置
100 検査装置
T 錠剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路にて小物物品を載せて搬送する搬送ベルトと、該搬送ベルト上に配置され、小物物品を案内するガイド側面を有するガイド部材と、前記搬送ベルト上を搬送される小物物品が安定した姿勢で且つ一つのみ通過できるように、前記ガイド部材のガイド側面との間で前記搬送路における整列用搬送路の幅を規制する側面を有する幅規制ガイドと、該幅規制ガイドの上流側端部に配置された、搬送されてきた前記小物物品を振り分けるための回転軸と、前記搬送ベルトの搬送方向終端部に設けられた小物物品回収箱と、を含む詰まり除去機構において
前記幅規制ガイドは、移動することで前記整列用搬送路の幅を拡張することを特徴とする詰まり除去機構。
【請求項2】
前記幅規制ガイドは、搬送中の前記小物物品に詰まりが生じた際に前記整列用搬送路の幅を拡張することを特徴とする請求項1に記載の詰まり除去機構。
【請求項3】
前記幅規制ガイドの搬送方向における上流側に、小物物品除去エアノズルを備えており、前記幅規制ガイドが移動する際に、前記小物物品除去エアノズルから搬送方向上流側に向けて空気を吹き出すことで、前記小物物品除去エアノズルから下流側への前記小物物品の搬送を妨げることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の詰まり除去機構。
【請求項4】
前記幅規制ガイドが移動して前記整列用搬送路が拡張されると、前記幅規制ガイドによってガイドされている搬送中の小物物品および前記小物物品除去エアノズルから搬送方向下流側にある小物物品は、前記小物物品回収箱に回収されることを特徴とする請求項3に記載の詰まり除去機構。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の詰まり除去機構と、
該詰まり除去機構と接続され、前記詰まり除去機構の後工程で、小物物品の検査を行う検査処理機構と、を備え、小物物品の搬送中に詰まりが生じた際に、前記詰まり除去機構と前記検査処理機構との接続を解除し、前記幅規制ガイドが移動することで前記整列用搬送路の幅を拡張することを特徴とする検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−12131(P2012−12131A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147930(P2010−147930)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000209751)池上通信機株式会社 (123)
【Fターム(参考)】