説明

認可されたデジタルコンテンツ配信のためのシステム及び方法

デジタルコンテンツ配信システムは、ユーザAからユーザBといったような、ユーザの一人からもう一人への転送リクエストに対して一連の任意のテストを行うデジタル権利管理コントローラを用いる。このテストが成功すると、DRMは暗号鍵を転送するユーザAに送る。この暗号鍵Eは、コンテンツの権利者など、外部の権限者からDRMコントローラに提供された暗号鍵/ハッシュのペアの表から得られる。ユーザAは、DRMコントローラによって提供された鍵を用いてコンテンツを暗号化し、暗号化された形式のコンテンツE(X)に対してオプションとしてハッシュを計算し、この値をDRMコントローラに返信する。返信されたハッシュを表からのハッシュに対してチェックすることにより、DRMコントローラは、ユーザAが実際にデジタルコンテンツを良好な状態で有していることがわかる。DRMコントローラはそして、ユーザA及びBに両者に転送を続行していいという指示を出す。暗号化された形式のコンテンツE(X)は、AからBへと転送される。コンテンツの転送が完了すると、Bは受信したコンテンツが不揮発性の格納器に物理的に書き込まれた(次のステップにおけるクラッシュなどを考慮して)ことを確認する。Bは、受信したコンテンツのハッシュを計算し、この値をDRMコントローラに返信する。もしこの値が既に与えられた値と合致すれば転送は成功であり、DRMコントローラは如何なる適当な中央記録をも更新し、同時に復号鍵をBに返信してBがコンテンツを復号できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(相互参照及び関連出願情報)
本出願は、2005年1月26日出願の「デジタルコンテンツ配信」と題する米国予備出願60/647.044の優先権を主張する。本出願は、ここに同時に出願され「インテリジェントサービスコントロールポイントを用いたデジタルコンテンツ配信のための支払いシステム」と題する米国特許出願___(APP1592)に関連する。
【0002】
本発明は、テレコミュニケーションネットワークにおけるデジタルコンテンツ配信一般に関し、特に、ピアツーピア(P2P: peer to peer)環境内におけるデジタルコンテンツの認可された適法な配信のための支払いメカニズムに関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ピアツーピアP2Pネットワークは、デジタルコンテンツを有するコンピュータユーザが、そのコンテンツを中央サーバに転送または中央サーバからダウンロードする必要なくデジタルコンテンツを他のユーザと共有できるようにするネットワークである。P2Pネットワークは、概して大きく成功を収めてきたが、ほとんどの法的フレームワークの外で存在してきた。これにより、裁判所の差し止め命令や他の法的問題による多くのピアツーピアネットワークのシャットダウンなど、かなりの物議を醸すことにつながった。この問題は、デジタル権利管理(DRM: Digital Rights Management)問題と共に解決したかに見えたが、DRMをデジタルコンテンツ配信(DCD: Digital Contents Distribution)と分離することにより、革新的な差別化につながった。それでもこの問題は、一般的なP2Pインフラストラクチャでは解決されず、より中央化された環境をもたらす結果となった。
【0004】
現行のP2Pは、法的フレームワークの外側で作成されたものであり、著作権者からの繰り返しの攻撃にさらされる。その増加は、RIAAや同様の組織によって助長される潜在的ユーザの内心の、適法性への継続的な懸念により制限される。
【0005】
現行のDRMソリューションは、権利保持者に由来した部分が多く、従って、消費者がビデオカセット録画器(VCR: Videocassette Recorder)やコンパクトカセットに期待するようになった制限を大いに上回る追加の制限を購入物に対して課しがちである。これにより、消費者の怒りを買った。DRMソリューションはさらに、本来的に中央化されたものであるため、限定的な、または非常に高価なシステムになってしまう。
【0006】
P2Pオペレータは、歴史的には、コンテンツのトラッキング及び追跡可能性(traceability)や、P2Pインフラストラクチャの法的オーバーレイの実施に対して気遣っていなかった。伝統的なDRMプロバイダは、自身の価値をコンテンツ配信コンポーネントでなくDRMソリューションであることに見出し、コンテンツ配信コンポーネントには典型的には市販のソリューションを用いていた。
【0007】
従って、デジタル権利管理の概念を統合し、音楽、映画、本などのデジタルコンテンツを配信することを、これら著作物の権利者への正当な補償を提供しつつ可能にする、ピアツーピア(P2P)配信スキームの必要がある。
【0008】
プリペイドの携帯電話アカウントなど、プリペイドのアカウントに課金できるP2Pデジタルコンテンツ配信システム及び方法が望まれる。
【0009】
さらに、コンテンツの品質を保証し、それによりダウンロードされたデジタルファイルは破損しておらず、ウィルスまたは、合法な利用を妨げる他の問題を含んでいないことを確認する証明を提供するP2Pデジタルコンテンツ配信システムが望まれる。
【0010】
さらに、デジタルコンテンツの他のユーザ/カスタマーへの更なる配信に対してカスタマーにクレジットを提供するP2Pデジタルコンテンツ配信システムが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、オペレータがコンテンツについての直接の知識やコンテンツ有することを必要としない法的フレームワークにおいて、デジタルコンテンツの合法なP2P配信を可能にし、それによりオペレータがコンテンツ環境において「コモン・キャリア」と同様のステータスを主張できるようにする。かつてDRMコントローラに登録されていた2人の共有ユーザA,Bは、一つのデジタルコンテンツXをお互いが交換したがっているということを任意の方法で発見する。BはデジタルコンテンツのコピーをAに要求し、Aはそれを提供するつもりであり、AはBに確認(Acknowledgement)を送り返す。A,Bは共に、コンテンツXに共に興味があることをDRMコントローラに登録する。一般的には、ある要求に対して一人以上の送信者(つまりAに相当)が存在することに注意されたい。
【0012】
DRMコントローラは、転送リクエストに対して一連の任意のテスト(例えばBの資金が十分であるか、AはXを正式かつ適法に有しているか、Aがコンテンツを配信することを許されている時期に該当するかなど)を行い、これらのテストが成功したと仮定すると、暗号鍵EをAに転送する。この暗号鍵Eは、デジタルコンテンツXの著作権者またはデジタルコンテンツXのデジタル配信を制御する団体といった外部権限者がDRMコントローラに提供した暗号鍵/ハッシュのペアの表から取られたものである。
【0013】
ユーザAは、DRMコントローラによって提供された鍵を用いてコンテンツを暗号化し、暗号化された形式のコンテンツE(X)のハッシュを計算し、この値をDRMコントローラに返信する。暗号鍵Eが前もって知られていないので、ユーザAはハッシュの値を事前に知ることができず、暗号化/ハッシュ計算ステップを実行することによってのみ計算できる。返信されたハッシュを表のハッシュと比べてチェックすることにより、DRMコントローラはユーザAが実際にコンテンツ要素Xを所有しそれが良好な状態にあること(つまり、鍵/ハッシュのペアを生成するのに用いられた形態からデジタル的に変更されていないこと)を確かめる。DRMコントローラはそして、A及びBに対し転送を進めてもよいという指示を出す。
【0014】
暗号化された形式のコンテンツE(X)は、ユーザAからユーザBに、当該分野で公知である任意の方法によって転送される。コンテンツの転送が完了すると、Bは(次のステップにおけるクラッシュなどを考慮して)受信したコンテンツが不揮発性の記憶格納器に物理的に書かれていることを確認する。Bは受信したコンテンツのハッシュを計算し、その値をDRMコントローラに返信する。この値が以前に与えられた値と合致すれば、転送は成功であり、DRMコントローラは適当な中央記録を更新し、Bがコンテンツを復号できるようBに復号鍵を返信する。転送の記録は、一定期間の間保管され、Bが完全なコンテンツを受領してから復号鍵を受領しコンテンツを復号するまでの期間にBがクラッシュした場合、Bは追加請求の負担なしに当該鍵を再リクエストすることができる。
【0015】
DRMコントローラはコンテンツを“見る”必要がなかったことに注意されたい。一連の暗号鍵/ハッシュのペアを要するのみである。これらのペアが外部の責任ある権限者によって生成されている場合、DRMコントローラを運営する組織はコンテンツの要素が何であるか見る必要も知る必要もない。本発明の拡張として、鍵/ハッシュのペアが消費されると、これがコンテンツの権利所有者によって監査及びトラッキングのようなものとして機能し、さらに、鍵/ハッシュのペアの再利用に基づく起こり得る攻撃を防止する。
【0016】
こうしてDRMコントローラは、問題のコンテンツへのアクセスを得る必要全くなしに転送を認証することができる。コンテンツ所有者が、鍵及び署名を提供できる。転送が進行すべきか、またすべきでないかは、バックエンドシステムが決定するため、送信者も受信者も個人でシステムを回避することができない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1には、本発明に係るデジタルコンテンツ配信システムのアーキテクチャが示されている。ユーザAは、ユーザAが所有またはコントロールしているコンテンツの配信に関する様々な情報を入力するための装置130aを用いてDRMサーフサービスウェブサイト100と通信する。装置130aは、インターネットと有線または無線で通信しかつ図6に関連して以下に説明するようなユーザ入力スクリーンを一つまたは複数を表示できる、如何なる種類の汎用パーソナルコンピュータ(PC)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA),携帯ハンドセット、携帯電話または他のハンドヘルド装置でもよい。装置130aは、DRMサーフサービスウェブサイト100との間でデータを送受信するため、インターネットブラウザ、ワイヤレスアクセスプロトコル(WAP)ブラウザ、または他の類似のソフトウェアを備えている必要がある。この種のソフトウェアは、当業界では公知である。
【0018】
ユーザAは、ユーザBやユーザCなどの一人または複数の他のユーザとの間でのコンテンツの転送に関する様々なパラメータを特定するために、装置130aを用いてDRMサーフサービスウェブサイト100と通信する。図1は、典型的な運転可能なデジタルコンテンツ配信システム内のコンポーネントの配置を示している。この例では、ユーザAが所有またはコントロールしているデジタルコンテンツの転送は、ユーザB及びユーザCの間で、関連するDRMコントローラ120を用いて行われる。他のコンポーネントは、物理的なシステム構築には重要であるが、本願発明にとっては、DRMコントローラ120ほど重要ではない。
【0019】
DRMコントローラ120は、ユーザBからユーザCへのデジタルコンテンツ転送など、一人のユーザからもう一人のユーザへのデジタルコンテンツの転送をどのように処理するかに関する情報を受信するためにDRMサーフサービスウェブサイト100と通信する。ユーザBとユーザCとは、DRMコントローラ120と、及びお互いと、装置130b及び130cを用いて通信する。装置130b及び130cは、上述の装置130aと同様に有効化されているが、装置130b及び130cは、実際の人間によって用いられるインタフェースを含むべきである。典型的なトランザクションは、ユーザBとユーザCとの間の何らかのダイアログで始まり、それにより、一方が他方と共有したいコンテンツを有するということを両者が判断するに至る。
【0020】
経理コンテンツウェブ(ACW)ウェブサーバ140は、デジタルコンテンツの転送とデジタルコンテンツの支払いとをトラッキングすることのできる、汎用コンピュータで実施されるソフトウェアを備えている。ACWサーバ140は、ユーザAのようなユーザがユーザBやユーザCのような他のユーザの間でのデジタルコンテンツ転送に対していくら補償を受け取ることを希望しているのかなどの情報を受信するため、DRMサーフサービスウェブサイト100と通信する。ACWサーバ140はさらに、コンテンツの転送に対して支払いをするユーザのアカウントを減少し、コンテンツを転送するユーザ及び/または転送されたコンテンツの所有者の一つまたは複数のアカウントを増加することのできるインテリジェントサービスコントロールポイントである、SCPプリペイウェブサービスサーバ160と通信している。こうして、コンテンツ所有者の認識及び了解のもと、コンテンツ所有者に転送に対する正当な補償をして、デジタルコンテンツのP2P転送を達成することができる。SCPプリペイウェブサービスサーバ160は、デジタルコンテンツの転送及びそのような転送への支払いに関する記録の保管所であるデジタル権利サーバ(DRS)と通信している。SCPプリペイウェブサービスサーバ160は、テルコーディア集中アプリケーションサーバ(Telcordia Converged application Server)及び/またはリアルタイムチャージシステム(Real-Time Charging System)など、いくつかの公知のインテリジェントサービスコントロールポイントのいずれでもよい。
【0021】
図2は、本発明に係るデジタルコンテンツ配信システムのより詳細な実施形態を示す。再びユーザAは、ユーザAによって所有またはコントロールされているデジタルコンテンツの配信に関する様々な情報の入力のために、装置(図示なし)を用いインターネット220を経由して一つまたはそれ以上にDRMセルフサービスサーバ/サーブレット230と通信する。ACWサーバ140は、2つのコンポーネントに別れている:コンテンツ登録ウェブサーバ140a及びコンテンツ経理ウェブサーバ(デジタル権利管理プラットフォーム)(“DRMP”)140bである。コンテンツ登録ウェブサーバ140aは、コンテンツのユーザ間における転送を許可するのに役割を果たす情報を管理している。つまり、従来のDRMシステムで規定されていた交換権のような、コンテンツ交換の許可に関する、ユーザまたはコンテンツ所有者の「嗜好(preference」を含んでいる。コンテンツ経理ウェブサービス140bは、特定のデジタルコンテンツの転送についてユーザがいくら所望するかをトラッキングし、シンプルオブジェクトアクセスプロトコル(SOAP)を用いインターネット220を介してISCPプリペイウェブサービス160と通信し、ユーザ及びコンテンツ所有者のアカウントが支払いスキームに従って正しく減少及び増加されるようにする。コンテンツ経理ウェブサーバ140bは、ジャバデータベース接続(JDBC: Java Data Base Connectivity)を用いてDRS180と通信し、デジタルコンテンツ配信システムのユーザの記録に直接アクセスすることができる。
【0022】
図1と同様、ユーザB及びユーザCは、DRMコントローラ120と通信することによってデジタルコンテンツ転送の許可を得る。DRMコントローラ120は、コンテンツ経理ウェブサーバ140b及びコンテンツ登録ウェブサーバ140aと通信する。前者の場合、DRMコントローラ120は、ユーザアカウントの正しい増加及び減少ができるよう、転送に関する情報を送る。例えば、ユーザBからユーザCへのデジタルコンテンツの転送は、ユーザCのアカウントの減少及びユーザA及びユーザBのアカウントの増加につながる。ユーザAは、デジタルコンテンツの所有者として、ユーザCによる支払いの大部分を受け取るが、ユーザBも、ユーザ/所有者Aのためにコンテンツを配信した者であることの報償として、少し支払いを受け取るかもしれない。
【0023】
図3は、DRMコントローラ120がシステムのユーザに対して表示するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)スクリーンをいくつか示している。インタフェーススクリーン320はP2P転送制御スクリーンである。インタフェーススクリーン320は、図1,2の例示的トランザクションにおけるユーザCのような、受信側ピアまたはユーザが見るインタフェースである。インタフェーススクリーン330は、ユーザBのような送信側ピア/ユーザが見るインタフェースである。
【0024】
ユーザBとユーザCとの間の、コンテンツ転送プロセスのフローが、図4に示されている。ユーザBとユーザCとは、DRMコントローラ120にすでに登録しており、図4のステップ400において、1つのデジタルコンテンツXを交換しようと何らかの任意の方法で決めている。ユーザCはステップ405/410で、デジタルコンテンツXのコピーをユーザBにリクエストする。ユーザBはリクエストを受理するつもりであり、ステップ415で確認をユーザCに返信する。ユーザBおよびユーザCは共に、ステップ420および425においてそれぞれ、デジタルコンテンツXへの興味をDRMコントローラ120に登録する。一般的には、一つの受理に対し、転送者(つまりユーザAに相当)が一人以上いるかもしれないことに注意されたい。デジタルコンテンツXは、デジタル音楽、映画、本、雑誌、コンピュータソフトウェア、オーディオブックなどが含まれるがこれらに限られない、如何なる種類のデジタル情報でもよい。
【0025】
ステップ430で、DRMコントローラ120は転送要求に対して一連の任意のテストを行う。例えばDRMコントローラ120は、ユーザが十分な資金を有しているかを調べるように設計されている。若しくは、DRMコントローラは、ユーザBがデジタルコンテンツXのコピーを合法的に有しているか、またはユーザAがコンテンツを配信してもよい期間であるかを調べる。任意のテストはいくつでも生成される。これらのテストが成功したと仮定して、DRMコントローラ120はステップ435で確認(ACK)メッセージをユーザCに返信し、かつ/またはステップ440で暗号鍵Eと共に確認(ACK)メッセージをユーザBに返信する。この暗号鍵Eは、外部権限者からDRMコントローラに提供された暗号鍵/ハッシュのペアの表から提供されたものである。例えば、暗号鍵/ハッシュのペアは、デジタルコンテンツXの所有者またはライセンスを得た配信者であるユーザAにより提供される。
【0026】
ユーザBは、DRMコントローラ120に提供された鍵を用いてコンテンツを暗号化する。ユーザBは、暗号化されたデジタルコンテンツに対してハッシュ関数(望ましくはMD5)を行い、図4に示されていないオプショナルのステップでこのハッシュをDRMコントローラ120に返信する。もし、このハッシュがDRMコントローラ120のデータベースのものと一致すれば、DRMコントローラは、図4に示さない追加オプショナルステップにおいて、転送を続行してもよいという指示をユーザA及びユーザBに送る。ユーザBはステップ445において、当業界では公知である任意の方法で、暗号化されたコンテンツをユーザCに転送する。
【0027】
コンテンツ転送が完了すると、ユーザCは図4に図示されないステップで、受信したコンテンツが不揮発性格納器(クラッシュを考慮して)に物理的に書き込まれたことを確認する。ユーザCは、暗号化されたコンテンツE(X)に対してハッシュを計算し、このハッシュ値をステップ450でDRMコントローラ120に返信する。暗号鍵Eは前もって知られていないので、ユーザCはハッシュの値を事前に知ることができず、暗号/ハッシュ計算ステップを行うことによってのみ計算できる。返信されたハッシュ値を表のハッシュに比してチェックすることによって、DRMコントローラ120は、ユーザCが本当にデジタルコンテンツXを有しておりデジタルコンテンツが良好な状態にあることがわかる。この値がコンテンツ所有者ユーザAに提供されDRMコントローラに格納された値に合致すれば、正当なコンテンツの転送が成功しており、DRMコントローラはステップ455で如何なる適当な中央記録をも更新し、同時に確認(ACK)メッセージを復号鍵と共にユーザCに返信して、ユーザCがデジタルコンテンツXを復号できるようにする。転送の記録は一定期間保管され、完全なコンテンツを取得してから復号鍵を受信しコンテンツを復号するまでの期間中にユーザCがクラッシュすると、追加料金を発生することなく当該鍵を再びリクエストすることができるようになっている。
【0028】
DRMコントローラ120は、デジタルコンテンツを「見たり」、その実際のコピーを所有したりする必要がなかったことに注意されたい。DRMコントローラ120は、一連の暗号鍵/ハッシュのペアのみを要する。これらのペアが外部の責任ある権限者によって生成されていれば、DRMコントローラを運営する団体がデジタルコンテンツXを見たりそれが何であるかの知識を得たりする必要は全くない。
【0029】
発明の延長として、鍵/ハッシュのペアが消費されると、これが、コンテンツ権利者のための監査及びトラッキングのようなものとして機能し、鍵/ハッシュペアの再利用による起こりえる攻撃も防ぐ。「消費される」とは、DRMサーバが鍵/ハッシュペアを一つの、一つのみのトランザクションに用い、トランザクションが以降のトランザクションに再利用されることはないことを意味する。さらに、ユーザがコンテンツの転送を行うときに、外部の記録所が鍵/ハッシュのペアを必要に応じてDRMサーバに供給できる。
【0030】
図5は、ユーザの一人からもう一人に転送されるデジタルコンテンツの例を示している。フィールド510は、転送されるデジタルコンテンツのファイル名を含んでいる。この例では、デジタルコンテンツはMP3エンコードされた音楽ファイルである。フィールド520は、暗号及び/または復号鍵を含み、フィールド530は関連するMD5チェックサムハッシュを含む。DRMコントローラ120が特定の転送を検証するのに必要なのは、図5に示すファイルの1行だけである。
【0031】
図6A−Eは、DRMセルフサービスウェブサーバ100がデジタルコンテンツの所有者から情報を集めるのに用いる、一連のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)のスクリーンである。図6Aのスクリーン610は、このようなサーバのユーザログインスクリーンである。図6Bのスクリーン620では、所有者/ユーザがアカウントバランスや、請求活動や、メディアを見ることを選択したり、“プリペイ”アカウントバランスに支払い(トップアップ ”top-up”)をしたりすることができる。図6Cのスクリーン630は、アカウントバランスの情報を提供する。HG 6Dのスクリーン640は、ユーザが他のソースから転送したデジタルコンテンツを見られるようにする。図6Eのスクリーン650は、将来的なデジタルコンテンツの購入のためにプリペイ財布に金額を追加するためのインタフェースである。
【0032】
上記の説明は、発明を記載し説明するためだけに提供されたものである。これは網羅的であることを意図するものではなく、記載された特定の形式に本発明を限定することを意図するものでもない。上記の教示により、様々な修正や変更が可能である。記載された適用例は、発明の理論と実用的な適用例を最もよく説明できるように選択及び記述されており、他の当業者が、意図される特定の利用方法に適した様々な修正と共に、本発明を様々なアプリケーションに対して最良に用いることができるようにするものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係るデジタルコンテンツ配信システムの一実施形態のアーキテクチャを示す図である。
【図2】本発明に係るデジタルコンテンツ配信システムの他の実施形態のアーキテクチャを示す図である。
【図3】本発明に係るデジタルコンテンツ配信システムのファイル共有プロセスのユーザによる使用のためのグラフィカルユーザインタフェースを示す図である。
【図4】本発明に係るデジタルコンテンツ配信システムのファイル共有プロセスのプロセスフローを示す図である。
【図5】本発明に係るデジタルコンテンツ配信システムにおいて共有されるコンテンツの例を示す図である。
【図6A】本発明に係るデジタルコンテンツ配信システムのDRMセルフサービスウェブサイトにおけるインタフェースを形成するグラフィカルユーザインタフェーススクリーンを示す図である。
【図6B】本発明に係るデジタルコンテンツ配信システムのDRMセルフサービスウェブサイトにおけるインタフェースを形成するグラフィカルユーザインタフェーススクリーンを示す図である。
【図6C】本発明に係るデジタルコンテンツ配信システムのDRMセルフサービスウェブサイトにおけるインタフェースを形成するグラフィカルユーザインタフェーススクリーンを示す図である。
【図6D】本発明に係るデジタルコンテンツ配信システムのDRMセルフサービスウェブサイトにおけるインタフェースを形成するグラフィカルユーザインタフェーススクリーンを示す図である。
【図6E】本発明に係るデジタルコンテンツ配信システムのDRMセルフサービスウェブサイトにおけるインタフェースを形成するグラフィカルユーザインタフェーススクリーンを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル権利管理(DRM)コントローラとの通信における第1ユーザから第2ユーザへのデジタルコンテンツ認可された配信方法であって、DRMコントローラはデジタルコンテンツのコピーを有さないが前記デジタルコンテンツの所有者から提供された鍵/ハッシュのペアを有する方法であって、
DRMコントローラが、前記デジタルコンテンツを前記第2ユーザに転送するリクエストを第1ユーザから受信するステップと、
暗号鍵をDRMコントローラから前記第1ユーザに送るステップと、
前記第1ユーザがデジタルコンテンツを暗号化するステップと、
前記デジタルコンテンツを前記第1ユーザから前記第2ユーザに転送するステップと、
前記第2ユーザが前記暗号化されたデジタルコンテンツのハッシュ関数を実行するステップと、
前記ハッシュ関数の結果を前記DRMコントローラに送るステップと、
前記DRMコントローラが、前記第2ユーザによって送られたハッシュ関数の結果を前記デジタルコンテンツの所有者から提供された鍵/ハッシュペアと比較することによって、前記ハッシュ関数が前記デジタルコンテンツにとって正しいかを判断するステップと、
前記ハッシュ関数が正しければ、復号鍵を前記DRMコントローラから前記第2ユーザに送るステップと、
前記第2ユーザが前記デジタルコンテンツを復号化するステップと、
を有することを特徴とするデジタルコンテンツ配信方法。
【請求項2】
前記暗号化ステップと前記ハッシュ関数の結果を前記DRMコントローラに送るステップとの後に、前記第1ユーザが前記ハッシュ関数を実行するステップと、
前記DRMコントローラが、前記第1ユーザによって送られたハッシュ関数の結果と前記デジタルコンテンツの所有者から提供された鍵/ハッシュペアとを比較するステップと、
前記第1ユーザによって送られたハッシュ関数の結果と前記デジタルコンテンツの所有者から提供された鍵/ハッシュペアとが同じであれば、前記DRMコントローラが前記転送を許可するステップと、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のデジタルコンテンツ配信方法。
【請求項3】
前記DRMコントローラが、一つまたはそれ以上の任意のテストを行うことにより、デジタルコンテンツの転送が認可されているかを判断することを特徴とする請求項1に記載のデジタルコンテンツ配信方法。
【請求項4】
前記任意のテストは、前記第1ユーザが前記デジタルコンテンツの合法的コピーを有するかを判断することを特徴とする請求項3に記載のデジタルコンテンツ配信方法。
【請求項5】
前記任意のテストは、前記第2ユーザが前記デジタルコンテンツの所有者に支払うに十分な資金を有するアカウントを持っているかを判断することを特徴とする請求項3に記載のデジタルコンテンツ配信方法。
【請求項6】
前記鍵/ハッシュのペアは、前記第1ユーザから前記第2ユーザへの前記デジタルコンテンツの転送にのみ用いられ、他の如何なる転送にも用いられないことを特徴とする請求項1に記載のデジタルコンテンツ配信方法。
【請求項7】
前記第2ユーザが所望するデジタルコンテンツを前記第1ユーザが有しているということを、前記DRMコントローラを用いずに判断するステップをさらに有することを特徴とする請求項1に記載のデジタルコンテンツ配信方法。
【請求項8】
前記第1ユーザから前記第2ユーザへのデジタルコンテンツの転送のリクエストを前記第1ユーザ及び/または前記第2ユーザから前記DRMコントローラに送るステップをさらに有することを特徴とする請求項1に記載のデジタルコンテンツ配信方法。
【請求項9】
前記転送が認可されたという確認を前記DRMコントローラから第1ユーザ及び/または前記第2ユーザに送るステップをさらに有することを特徴とする請求項3に記載のデジタルコンテンツ配信方法。
【請求項10】
前記デジタルコンテンツのコピーを格納することなしに、第1ユーザから前記第2ユーザへの前記デジタルコンテンツの転送の記録を格納するステップをさらに有することを特徴とする請求項1に記載のデジタルコンテンツ配信方法。
【請求項11】
前記記録を格納するステップは、経理及びコンテンツウェブサーバを用いることによって達成されることを特徴とする請求項10に記載のデジタルコンテンツ配信方法。
【請求項12】
第1ユーザから前記第2ユーザへの前記デジタルコンテンツの転送に伴って、前記デジタルコンテンツの所有者のアカウントが増加されることを特徴とする請求項11に記載のデジタルコンテンツ配信方法。
【請求項13】
第1ユーザから前記第2ユーザへの前記デジタルコンテンツの転送に伴って、前記第1ユーザのアカウントが増加されることを特徴とする請求項11に記載のデジタルコンテンツ配信方法。
【請求項14】
第1ユーザから前記第2ユーザへの前記デジタルコンテンツの転送に伴って、前記第2ユーザのアカウントが減少されることを特徴とする請求項11に記載のデジタルコンテンツ配信方法。
【請求項15】
第1ユーザと第2ユーザとの間におけるデジタルコンテンツの認可された配信のためのシステムであり、前記デジタルコンテンツが第3者に所有されているシステムであって、
デジタル権利管理(DRM)コントローラと、
DRMセルフサービスウェブサーバと、
経理及びコンテンツウェブサーバと、
インテリジェントなサービスコントロールポイントプリペイドプラットフォームと
を備えたことを特徴とするシステム。
【請求項16】
前記DRMコントローラは、前記デジタルコンテンツと関連付けられた暗号鍵とハッシュ関数の結果とを格納するが、前記デジタルコンテンツのコピーを格納しないことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記DRMコントローラは、第1ユーザから前記第2ユーザへの前記デジタルコンテンツの転送認可のリクエストを、第1ユーザ及び/または前記第2ユーザから受信することができることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記DRMコントローラは、一つまたはそれ以上の任意のテストによって、前記転送が認可されているかを判断することができることを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記DRMコントローラによって利用される任意のテストは、前記第1ユーザが前記デジタルコンテンツの合法的なコピーを有するかであることを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1ユーザが前記デジタルコンテンツに行ったハッシュ関数の結果と、前記DRMコントローラに前記デジタルコンテンツに関連させて格納された鍵及びハッシュ関数の結果との、前記DRMコントローラによる比較が、前記第1ユーザが前記デジタルコンテンツの合法的なコピーを有するかの判断に用いられることを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記DRMコントローラによって用いられる前記任意のテストは、前記デジタルコンテンツの所有者及び/または前記第1ユーザに支払うに十分な資金を有するアカウントを前記第2ユーザが持っているかを判断することを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記DRMコントローラは、前記第2ユーザへの転送の前に、前記デジタルコンテンツの暗号化を可能にするために前記第1ユーザに暗号鍵を送ることができることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項23】
前記デジタルコンテンツが前記第1ユーザから前記第2ユーザへと転送されたと判断すると前記DRMコントローラは前記第2ユーザに復号鍵を送ることができることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項24】
前記DRMコントローラは、前記デジタルコンテンツが第1ユーザから第2ユーザへと転送されたかを、前記第2ユーザが前記第1ユーザからの前記転送の後に前記DRMコントローラに送るハッシュ関数の結果を比較することにより判断することを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項25】
前記暗号鍵と前記ハッシュとは一つの転送のみに用いられることを特徴とする請求項24に記載のシステム。

【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【公表番号】特表2008−529419(P2008−529419A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553246(P2007−553246)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/002847
【国際公開番号】WO2006/081381
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(399047921)テルコーディア テクノロジーズ インコーポレイテッド (61)
【Fターム(参考)】