誘導型放射線療法又は手術を用いて患者の肺を治療するシステム及び方法
患者の肺を治療するシステム及び方法。この方法の一実施形態は、標的に関連してリード線無しマーカを患者の肺の中に位置決めするステップと、マーカの位置データを収集するステップとを有する。この方法は、収集した位置データに基づいて外部座標系中でのマーカの存在場所を突き止めるステップと、マーカの動きに応答する客観的出力を外部座標系中に出すステップとを更に有する。客観的出力は、臨床的に許容できる追跡誤差範囲内で標的の存在場所をリアルタイムで適切に追跡する周波数(周期性)で提供される。加うるに、客観的出力は又、マーカの存在場所を突き止めるために用いられる位置データの収集と少なくとも実質的に同時に提供されるのがよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、患者の肺の中の標的の存在場所を正確に突き止め、この標的を追跡するシステム及び方法に関する。
【0002】
〔関連出願の参照〕
本願は、2004年6月24日に出願された米国仮特許出願第60/582,733号の権益主張出願であり、この米国仮特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
肺癌は、肺の細胞で始まる病気である。一般に、肺癌には2つの主要なカテゴリ、即ち、非小細胞肺癌と小細胞肺癌がある。非小細胞肺癌は、手術、放射線及び(又は)化学療法を用いて治療できる。肺癌は、人によって様々なので、全ての患者に有効な単一の治療法は無い場合がある。肺癌を治療する典型的な手術としては、肺葉切除術(肺の葉全体を除去する)、肺切除術(肺全体を切除する)及び楔(けつ)状又は区域切除術(肺の僅かな部分を切除する)が挙げられる。手術は、癌が両方の肺、胸部の他の構造、リンパ節又は他の器官に広がっていれば一般的には利用されない。または、手術は、除去が可能ではない肺の中央の場所に位置する腫瘍を治療するには用いられず、又、小細胞肺癌の場合にも用いられない。したがって、手術は、多くの患者にとって実施可能なオプションではない。また、手術による治療を行うと、その結果として、麻酔と関連した合併症又は感染が生じる場合があり、しかも、手術による治療は、長くて有痛性の回復期間が必要な場合がある。
【0004】
放射線療法は、肺癌、脳腫瘍及び他の多くのタイプの限局性癌を治療する上で効果があって成功率の高い方法になっている。放射線療法は、手術により除去することができない中央に位置する腫瘍及び(又は)小細胞癌に特に有用である。放射線治療は、治癒が可能ではない場合、治癒的処理又は緩和(姑息的)療法として利用できる。加うるに、手術及び化学療法を放射線療法と組み合わせて利用できる。
【0005】
放射線療法の手順は一般に、(a)放射線のパラメータ(例えば、線量、形状等)を決定する計画プロセス、(b)標的を放射線ビームに対して所望の場所に位置決めする患者準備プロセス、(c)癌を照射する放射線セッション及び(d)放射線セッションをの効果を評価する認定プロセスを含む。多くの放射線治療手順は、約5〜45日の期間にわたる数回の放射線セッションを有する。放射線治療における最近の技術進歩として、例えば、三次元原体外部ビーム照射、強度変調放射線治療(IMRT)、定位放射線外科療法及び近接照射療法(密封小線源治療)が、癌にとって有効な治療となっている。これら新たな種類の治療は、非常に高い線量の放射線を腫瘍に送り出すことができるので、これまでの放射線療法よりも効果が高い場合が多い。
【0006】
放射線療法による限局性癌の治療を一段と向上させるため、放射線の線量を増大させることが望ましい。というのは、線量が高いと、大抵の癌を破壊する上で効果が高いからである。しかしながら、放射線量を増大させると、健常な組織への合併症発症の恐れも増大する。したがって、放射線療法の効果は、腫瘍に送り出される放射線の総線量と腫瘍の隣りの通常の組織に送り出される放射線の線量の両方に依存している。腫瘍の隣りの通常の組織を保護するため、放射線は、健常な組織の照射を回避するために標的周りの狭い治療マージン又はボリュームに合わせて処方されるべきである。例えば、肺癌に関する治療マージンは、健常な肺組織の照射を回避するよう選択されるべきである。したがって、腫瘍に送り出される放射線量を増大させることが望ましいだけでなく、照射を受ける健常な組織の量及びかかる健常な組織に送り出される放射線の線量を減少させることが望ましい。
【0007】
放射線治療の1つの問題は、放射線セッション中か放射線セッション相互間かのいずれかにおいて患者の体内の標的の移動を補償することにある。これは、中央に位置する腫瘍の場合に特に当てはまる。例えば、肺内の腫瘍は、呼吸機能や心機能(例えば、心拍や血管系の狭窄/拡張)のために放射線セッション中、相当な距離移動する。かかる移動を補償するため、治療マージンは、一般に望ましいレベルよりも大きく、その結果、腫瘍は、治療ボリュームから出ないようになる。これは、広い治療マージンにより、より多くの通常の組織が照射される場合があるので、望ましい解決策とは言えない。
【0008】
放射線治療におけるもう1つの課題は、腫瘍を放射線ビームのアイソセンタと正確に位置合わせすることにある。現行の準備手順では、一般に、放射線投与装置用の視覚的位置合わせガイドにより外部基準マークを患者の上に位置合わせする。例えば、まず最初にイメージング(画像化)システム(例えば、X線、コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)又は超音波システム)を用いて患者の体内の腫瘍を識別又は確認し、次に、体内の腫瘍の適当な存在場所を患者の外部に設けられた2つ又は3つ以上の位置合わせ点に位置合わせする。準備中、外部マークを放射線投与装置の座標系に位置合わせして治療対象の標的を放射線ビームのビームアイソセンタ(これを本明細書では、器械アイソセンタともいう)のところで患者の体内に位置決めする。外部マークを用いる従来型準備手順は、一般に不適当である。というのは、標的は、患者計画手順と治療セッションとの間及び(又は)治療セッション中、外部マークに対して移動する場合があるからである。したがって、標的は、外部マークが標的を器械アイソセンタに位置決めするためのこれらの所定の場所に位置している場合であっても、器械アイソセンタからオフセットしている場合がある。かかるオフセットを軽減し又は無くすことが望ましい。というのは、標的と放射線ビームとの間に初期の位置合わせ不良があると、通常の組織を照射することになるからである。さらに、標的が呼吸又は心機能のために治療中移動する場合、初期位置合わせ不良により、通常の組織の照射具合が一段と悪化する可能性が多分にある。かくして、放射線治療準備の際の日毎の変化や瞬間瞬間の変化及び標的の移動は、患者に投与される放射線量を増大させる上で大きな問題を提起している。
【発明の開示】
【0009】
本発明の一特徴によれば、患者の肺の中の標的を治療する方法であって、
リード線無しマーカを前記標的に関連して前記患者の前記肺の中に位置決めするステップと、
前記マーカの位置データを収集するステップと、
前記収集した位置データに基づいて外部座標系内における前記マーカの存在場所を突き止めるステップと、
(a)前記マーカの動きに応答し、(b)臨床的に許容できる追跡誤差範囲内で前記標的の前記存在場所をリアルタイムで追跡する頻度で提供される客観的出力を前記外部座標系中に提供するステップとを有する、方法が提供される。
【0010】
本発明の別の特徴によれば、放射線ビームを用いる放射線治療において、患者の肺の中の標的を治療する方法であって、
磁気マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に前記標的に関連して配置するステップを有し、前記磁気マーカは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、前記励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含むトランスポンダを有し、
前記放射線ビームの座標系に対する前記磁気マーカの存在場所を突き止め、前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所に応じて前記患者を移動させることにより前記標的を前記放射線ビームの前記座標系中の所望の位置に位置決めするステップを有し、前記磁気マーカの存在場所を突き止める前記ステップは、(a)パルス化磁界をワイヤレスで送り出して前記磁気マーカにエネルギーを与えるステップと、(b)前記磁気マーカからのパルス化ロケーション信号を前記患者の外部の場所にワイヤレスで送るステップと、(c)前記パルス化ロケーション信号を前記患者の外部に設けられたセンサで検出するステップと、(d)前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を周期的に計算するステップとを含み、
前記磁気マーカの前記計算された存在場所により前記標的が前記座標系中の前記所望の位置にあることが分かると、前記患者に前記放射線ビームを照射するステップを有する、方法が提供される。
【0011】
本発明の更に別の特徴によれば、患者の肺の中の標的を追跡する方法であって、
磁気マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に前記標的に関連して配置するステップを有し、前記磁気マーカは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、前記励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含むトランスポンダを有し、
磁界をワイヤレスで送り出して前記磁気マーカにエネルギーを与えるステップと、
前記磁気マーカからのロケーション信号を前記患者の外部の場所にワイヤレスで送るステップと、
前記ロケーション信号を前記患者の外部に設けられたセンサで検出するステップと、
前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を周期的に計算するステップとを有する、方法が提供される。
【0012】
本発明の更に別の特徴によれば、マーカを患者の肺の中に配備する装置であって、
前記患者の前記肺の中の通路に通されるよう形作られている遠位部分を備えた細長い本体と、
トランスポンダを備えていて、前記本体の前記遠位部分で放出自在に支持されたリード線無しマーカと、
前記遠位部分のところに設けられた配備機構体とを有し、前記配備機構体は、前記マーカを前記本体の前記遠位部分から放出するよう構成されている、装置が提供される。
【0013】
本発明の更に別の特徴によれば、患者の肺の中に配置されるマーカであって、
所在が突き止められるよう形作られたマーカ部分と、
前記マーカ部分に取り付けられたアンカとを有し、前記アンカは、第1の寸法を持つ収納位置と前記第1の寸法よりも大きな第2の寸法を持つ配備位置との間で動く拡張可能な部材を有する、マーカが提供される。
【0014】
本発明の更に別の特徴によれば、患者の体内に植え込み可能なマーカであって、
カプセルを有し、
前記カプセル内に設けられたトランスポンダを有し、前記トランスポンダは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、前記励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含み、
前記カプセルに取り付けられたアンカを有し、前記アンカは、第1の寸法を持つ収納位置と前記第1の寸法よりも大きな第2の寸法を持つ配備位置との間で動く拡張可能な部材を有する、マーカが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図中、同一の参照符号は、互いに類似した要素又はコンポーネントを示している。図中の要素の寸法及び相対位置は、必ずしも縮尺通りには作成されていない。例えば、種々の要素の形状及び角度は、縮尺通りには示されておらず、これら要素のうちの幾つかは、図面を分かりやすくするために恣意的に拡大されたり配置されている。さらに、記載されている要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関する情報を備えることを意図しておらず、図面を分かりやすくするために選択されているに過ぎない。
【0016】
以下の説明において、本発明の種々の実施形態の完全な理解を提供するよう或る特定の細部が記載されている。しかしながら、当業者であれば、本発明は、これら特定の細部のうち1つ又は2つ以上を備えていない状態で又は他の方法、コンポーネント、材料等を用いて実施できることは理解されよう。他の場合、標的所在突き止め及び追跡システムと関連した周知の構造体は、本発明の実施形態の説明を不必要にぼかさないようにするために図示されておらず又は詳細には説明されていない。
【0017】
文脈上別段の必要がなければ、原文明細書及び添付の特許請求の範囲全体を通じ、“comprise”(訳文では、「〜を有する」又は「〜を含む」と訳し、場合によっては「〜から成る」と訳している場合がある)という用語及びその派生語、例えば、“comprises”及び“comprising”は、オープンで包括的な意味に、即ち、「〜を含むが、〜には限定されない」として解釈されるべきである。
【0018】
本明細書全体を通じ「一実施形態」又は「実施形態」という用語は、実施形態と関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも一実施形態に含まれることを意味している。かくして、明細書全体にわたり種々の場所で「一実施形態では」又は「実施形態では」という表現が見えても、これらは、必ずしも全てが同一の実施形態を意味しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造又は特性を1つ又は2つ以上の実施形態において任意適当なやり方で組み合わせることができる。
【0019】
本明細書において記載された見出しは、便宜上のものであるに過ぎず、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲又は意味を説明しているわけではない。
【0020】
A.概観
図1〜図28は、本発明の実施形態により患者の肺の中にある標的の存在場所を突き止め、これを追跡してモニタするためのシステム及び幾つかのコンポーネントを示している。システム及びコンポーネントは、標的をより効果的に治療するよう放射線療法を誘導する。図1〜図28を参照して以下に説明するコンポーネントのうちの幾つかも又、本発明の他の特徴に従って体の他の部分内の標的を治療するのに利用できる。加うるに、種々の図全体を通じ、同一の参照符号は、同一のコンポーネント及び特徴を示している。
【0021】
本発明の一特徴は、患者の肺を治療する方法に関する。かかる方法の一実施形態は、標的に関連してリード線無しマーカを患者の肺の中に位置決めするステップと、マーカの位置データを収集するステップとを有する。この方法は、収集した位置データに基づいて外部座標系中でのマーカの存在場所を突き止めるステップと、マーカの動きに応答する客観的出力を外部座標系中に出すステップとを更に有する。客観的出力は、臨床的に許容できる追跡誤差範囲内で標的の存在場所をリアルタイムで適切に追跡する周波数(周期性)で提供される。加うるに、客観的出力は又、マーカの存在場所を突き止めるために用いられる位置データの収集と少なくとも実質的に同時に提供されるのがよい。
【0022】
かかる方法の別の実施形態は、磁気マーカを患者の肺の近くに且つ(或いは)患者の肺の中に標的に関連して配置するステップと、放射線ビームの座標系に対する磁気マーカの存在場所を突き止め、座標系中の磁気マーカの存在場所に応じて患者を移動させることにより標的を放射線ビームの座標系中の所望の位置に位置決めするステップとを有する。磁気マーカは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含むトランスポンダを有する。磁気マーカの存在場所を突き止めるには、(a)パルス化磁界をワイヤレスで送り出して磁気マーカにエネルギーを与えるステップと、(b)磁気マーカからのパルス化ロケーション信号を患者の外部の場所にワイヤレスで送るステップと、(c)パルス化ロケーション信号を患者の外部に設けられたセンサで検出するステップと、(d)座標系中の磁気マーカの存在場所を周期的に計算するステップとを含む。この方法は、磁気マーカの計算された存在場所により標的が座標系中の所望の位置にあることが分かると、患者に放射線ビームを照射するステップを更に有する。
【0023】
患者の肺の中の標的を追跡する方法の別の実施形態は、磁気マーカを患者の肺の近くに且つ(或いは)患者の肺の中に標的に関連して配置するステップを有する。磁気マーカは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含むトランスポンダを有する。かかる方法のこの実施形態は、磁界をワイヤレスで送り出して磁気マーカにエネルギーを与えるステップと、磁気マーカからのロケーション信号を患者の外部の場所にワイヤレスで送るステップと、ロケーション信号を患者の外部に設けられたセンサで検出するステップと、座標系中の磁気マーカの存在場所を周期的に計算するステップとを有する。
【0024】
他の方法は、マーカを患者の肺の中へ又は全体として患者の肺の近くに配備することに関する。かかる方法の一実施形態は、運搬器具をリード線無しマーカと共に患者の体内を通って案内してマーカを患者の肺の中又はその近くに位置する標的に関連して所望の部位に位置決めするステップを有する。マーカは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーを受け取り、この励振エネルギーに応答してワイヤレスで送信されるロケーション信号を生じさせるよう構成されたトランスポンダを有する。この方法は、リード線無しマーカを所望の部位で放出するステップと、マーカを所望の部位で患者に固定するステップとを更に有する。例えば、ステント又は他の拡張可能な器具、突刺、縫合糸及び(又は)接着剤を用いてマーカを固定するのがよい。
【0025】
本発明の別の特徴は、マーカを患者の肺の中に配備する装置に関する。かかる装置の一実施形態は、患者の肺の中の通路に通されるよう形作られている遠位部分を備えた細長い本体と、トランスポンダを備えたリード線無しマーカとを有する。リード線無しマーカは、本体の遠位部分で放出自在に支持される。この装置は、遠位部分のところに設けられた配備機構体を更に有し、配備機構体は、マーカを本体の遠位部分から放出するよう構成されている。別の実施形態では、この装置は、遠位部分を差し向けるよう構成された舵取り機構体を更に有する。例えば、舵取り機構体は、本体の遠位部分の一方の側に取り付けられた遠位端部及び遠位部分を撓曲させるよう本体に対して軸方向に動くことができる近位部分を備えたワイヤを有するのがよい。さらに別の実施形態では、リード線無しマーカのトランスポンダは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含む磁気トランスポンダから成る。
【0026】
本発明の別の特徴は、患者の体内に植え込み可能なマーカに関する。かかるマーカの一実施形態は、カプセルと、カプセル内に設けられたトランスポンダと、カプセルに取り付けられたアンカとを有する。トランスポンダは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含む。アンカは、第1の半径を持つ収納位置と第1の半径よりも大きな第2の半径を持つ配備位置との間で動く拡張可能な部材を有する。
【0027】
マーカの別の実施形態は、所在が突き止められるよう形作られたマーカ部分と、マーカ部分に取り付けられたアンカとを有する。アンカは、第1の寸法を持つ収納位置と第1の寸法よりも大きな第2の寸法を持つ配備位置との間で動く拡張可能な部材を有する。アンカは例えば、ステント、傘状の拡張可能な部材又は拡張可能な円筒形部分であるのがよい。
【0028】
本発明の種々の実施形態を、これら実施形態の完全な理解及び実施可能要件を満たす説明のために特定の細部を提供するようこの項目において説明する。しかしながら、当業者であれば、本発明は、これら細部のうちの幾つかが無い状態でも実施でき、又、追加の細部を本発明に追加できることは理解されよう。文脈が許す限り、単数又は複数の用語は又、それぞれ複数又は単数の用語を含む。さらに、「又は(“or”)」という用語は、少なくとも2つの構成要素のリストに関して単一の構成要素のみを他の構成要素から排除して意味するものと明示して制限されない限り、かかるリスト中の「又は(“or”)」の使用は、(a)リスト中の任意の単一の構成要素、(b)リスト中の構成要素の全て、又は(c)リスト中の構成要素の任意の組合せを含むものとして解釈されるべきである。加うるに、「〜を含む又は〜を有する(comprising)」という用語は、多数の同一の特徴及び(又は)多数のタイプの他の特徴又はコンポーネントが排除されないように少なくとも記載した特徴を含むことを意味するものとして明細書全体にわたって用いられている。
【0029】
B.リアルタイム追跡システムを備えた誘導型放射線療法システム
図1及び図2は、誘導型放射線療法を患者6の肺4内の標的2(例えば、腫瘍)に適用するための放射線療法システム1の種々の特徴を示している。放射線療法システム1は、追跡システム及び放射線投与装置を有している。追跡システムは、患者の準備中、イオン化放射線を放射線投与装置から標的に当てながら標的2の実際の位置をリアルタイムで突き止めて追跡する。かくして、標的2が上述したような呼吸、器官の充満/排出、心機能又は他の内部運動のために患者の体内で動く場合があるが、所在突き止めシステム10は、標的の動きを患者の外部に設けられた外部基準に関連して正確に追跡して放射線を標的の周りの狭い領域内に正確に送り出す。所在突き止めシステム10は又、マーカの形態及び軌道をモニタしてイオン化放射線を用いないで腫瘍中の変化の早期の指標をもたらすことができる。さらに、所在突き止めシステム10は、標的を連続して追跡して客観的データ(例えば、絶対座標系における三次元座標)を記憶装置、ユーザインターフェイス、線形加速器及び(又は)他の装置に提供する。システム1は、患者の肺の中の腫瘍又は他の標的を治療するための誘導型放射線療法との関連で以下に説明されるが、このシステムは、他の治療及び(又は)診断目的で患者の体内の他の標的を追跡したりモニタするために利用できる。
【0030】
図示の実施形態の放射線送出し源は、イオン化放射線装置20(即ち、線形加速器)である。適当な線形加速器は、カリフォルニア州パーロ・アルト所在のバリアン・メディカル・システムズ・インコーポレイテッド(Varian Medical Systems, Inc.)、ニュージャージー州アイスリン所在のシーメンス・メディカル・システムズ・インコーポレイテッド(Siemens Medical Systems, Inc. )、ニュージャージー州アイスリン所在のエレクタ・インストラメンツ・インコーポレイテッド(Electa Instruments, Inc.)、又は日本国の三菱電機株式会社によって製造されている。かかる線形加速器は、種々の治療計画ソフトウェアシステムと関連して、従来型一門又は多門照射療法、3D原体照射療法(3D CRT)、強度変調放射線療法(IMRT)、定位放射線療法及び切断療法(tomo therapy)を提供することができる。放射線送出し源20は、イオン化放射線のゲートされ、輪郭付けられ又は付形されたビーム21を可動ガントリ22から放射線送出し源20に対して外部座標系中の既知の場所のところに位置する領域又はボリュームに送り出す。器械アイソセンタと呼ばれるこの空間中の点は、イオン化放射線ビーム21が差し向けられる点である。
追跡システムは、所在突き止めシステム10及び1つ又は2つ以上のマーカ40を有している。所在突き止めシステム10は、三次元座標系中のマーカ40の実際の存在場所を突き止め、マーカ40は代表的には、患者6の体内に植え込まれる。図1及び図2に示す実施形態では、より具体的に説明すると、マーカ40a〜40cとして個々に区別された3つのマーカが、標的2内又はその近くの場所で患者6の肺4の中に植え込まれている。他の用途では、特定の用途に応じて単一のマーカ、2つのマーカ又は4つ以上のマーカを用いることができる。例えば、2つのマーカが非常に望ましい。というのは、標的の存在場所を正確に突き止めることができ、又、経時的なマーカ相互間の相対変位を用いて患者の体内におけるマーカの移動をモニタできるからである。マーカ40は、かかるマーカ40が標的2に対して少なくとも実質的に固定されるように(例えば、マーカが標的と一緒にすぐに動き又は少なくとも標的の運動に正比例して動くように)望ましくは標的2に関連して配置される。マーカ40と標的2の標的アイソセンタTとの間の相対位置を、患者を台の上に載せる前の治療計画段階の際に、CTスキャナ又は他形式のイメージング又は画像化システムにより定められた外部座標系に対して求めるのがよい。図1及び図2に示すシステム1の特定の実施形態では、所在突き止めシステム10は、患者準備プロセス中、患者への照射を行いながら、外部絶対座標系に対するマーカ40の三次元座標をリアルタイムで追跡して隣接の健常な組織に対する付随的作用効果を軽減すると共に所要の線量が標的に当てられるようにする。
【0031】
1.選択されたマーカ及び所在突き止めシステムの一般的動作原理
図3は、患者の肺の中の腫瘍又は他の標的を治療するための所在突き止めシステム10及びマーカ40a〜40cの実施形態の動作原理を示す略図である。所在突き止めシステム10及びマーカ40a〜40cは、放射線セッション前、放射線セッション中及び放射線セッション後における標的2(図1及び図2)の存在場所を突き止めるために使用される。具体的に説明すると、所在突き止めシステム10は、マーカ40a〜40cの存在場所を突き止め、客観的標的位置データを、準備、治療、配備、シミュレーション、手術及び(又は)他の医療手技中にリアルタイムで記憶装置、ユーザインターフェイス、線形加速器及び(又は)他の装置にリアルタイムで提供する。所在突き止めシステムの一実施形態では、リアルタイムという用語は、客観的座標の指標が(a)データ中の中断が人間には識別可能ではないように十分に高い再生速度(即ち、周波数)で且つ(b)原信号の測定と少なくとも実質的に同時であるほど十分低い潜伏性でユーザインターフェイスに提供されることを意味している。他の実施形態では、リアルタイムは、客観的データを放射線送出し装置に提供するために高い周波数範囲及び低い潜伏性範囲によって定義され、或いは、更に他の実施形態では、リアルタイムは、マーカの存在場所に応答して客観的データを提供する(例えば、標的の存在場所をリアルタイムで且つ(或いは)マーカの位置データを得るのと少なくとも実質的に同時である潜伏性で適切に追跡する周期性又は周波数で)ものとして定義される。
【0032】
所在突き止めシステム10は、励振源60(例えば、パルス化磁界発生器)、センサ組立体70及び励振源60とセンサ組立体70の両方に結合されたコントローラ80を有する。励振源60は、励振エネルギーを発生させて患者6(図1)の体内のマーカ40a〜40cのうち少なくとも1つにエネルギーを与える。図3に示す励振源60の実施形態は、パルス化磁界を互いに異なる周波数で生じさせる。例えば、励振源60は、第1のマーカ40aにエネルギーを与える第1の周波数E1、第2のマーカ40bにエネルギーを与える第2の周波数E2及び第3のマーカ40cにエネルギーを与える第3の周波数E3で磁界を周波数分割多重化できる。励振エネルギーに応答して、マーカ40a〜40cは、ロケーション信号L1〜L3を固有の応答周波数で発生させる。具体的に説明すると、第1のマーカ40aは、第1の周波数E1の励振エネルギーに応答して第1の周波数の第1のロケーション信号L1を発生し、第2のマーカ40bは、第2の周波数E2の励振エネルギーに応答して第2の周波数の第2のロケーション信号L2を発生し、第3のマーカ40cは、第3の周波数E3の励振エネルギーに応答して第3の周波数の第3のロケーション信号L3を発生する。2つのマーカを備えた変形実施形態では、励振源は、周波数E1,E2で磁界を発生させ、マーカ40a,40bは、それぞれ、ロケーション信号L1,L2を発生する。
【0033】
センサ組立体70は、マーカ40a〜40cからのロケーション信号L1〜L3を検出する複数個のコイルを有するのがよい。センサ組立体70は、互いに対し少なくとも実質的に同一平面上に位置する複数個のコイルを備えたフラットパネルであるのがよい。他の実施形態では、センサ組立体70は、コイルの非平面状アレイであってもよい。
【0034】
コントローラ80は、励振エネルギーを互いに異なる周波数E1〜E3で多重化するよう励振源60を動作させる命令を含むハードウェア、ソフトウェア又は他のコンピュータ操作可能な媒体を有する。例えば、コントローラ80により、励振源60は、第1の励振期間の間、第1の周波数E1の励振エネルギーを発生し、次に、コントローラ80により、励振源60は、第1の検出段階の間、第1の周波数E1の励振エネルギーを停止させ、かかる第1の検出段階中、センサ組立体70は、第1の周波数E1の励振エネルギーが存在しない状態で、第1のマーカ40aからの第1のロケーション信号L1を検出する。次に、コントローラ80により、励振源60は、(a)第2の励振期間の間、第2の周波数E2の第2の励振エネルギーを発生し、(b)第2の検出段階の間、第2の周波数E2の励振エネルギーを停止させ、かかる第2の検出段階の間、センサ組立体70は、第2の周波数E2の第2の励振エネルギーが存在していない状態で、第2のマーカ40bからの第2のロケーション信号L2を検出する。次に、コントローラ80は、第3の周波数E3の第3の励振エネルギーについてこの動作を繰り返し実施し、その結果、第3のマーカ40cが第3の検出段階中、第3のロケーション信号L3をセンサ組立体に送るようになっている。したがって、励振源60は、励振期間中、パルス化磁界の形態をした励振エネルギーをマーカ40a〜40cの共振周波数でワイヤレスにより送り、マーカ40a〜40cは、検出段階中、ロケーション信号L1〜L3をセンサ組立体70にワイヤレスで送る。励振段階及び検出段階を繰り返し実施すると、検出した信号の平均化を行ってノイズを減少させることができることは理解されよう。
【0035】
コントローラ80又は別個の信号プロセッサ内のコンピュータにより操作可能な媒体も又、マーカ40a〜40cの各々の絶対位置を三次元座標系で突き止める命令を含む。センサ組立体70によって出力され、ロケーション信号L1〜L3の各々の振幅に対応する信号に基づいて、コントローラ80及び(又は)別個の信号プロセッサは、三次元座標系におけるマーカ40a〜40cの各々の絶対座標を計算する。
【0036】
2.リアルタイム追跡
所在突き止めシステム10及びマーカ40により、治療中、計画中、準備中、放射線セッション中及び放射線療法プロセスの他の時点において、患者の外部に設けられた器械アイソセンタ又は別の外部座標系に関連した標的2のリアルタイム追跡が可能になる。多くの実施形態では、リアルタイム追跡は、マーカの位置データを収集し、外部座標系(即ち、患者の外部の座標系)でマーカの存在場所を突き止め、マーカの存在場所に応答した客観的出力を外部座標系に提出することを意味する。客観的出力は、標的をリアルタイムで適切に追跡する周波数/周期性で且つ(或いは)位置データの収集と少なくとも実質的に同時の(例えば、全体として同じ期間内の)待ち時間で提供される。
【0037】
例えば、リアルタイム追跡の幾つかの実施形態が、マーカの存在場所を突き止め、器械アイソセンタに対する標的の存在場所を、(a)ユーザインターフェイスのところでの標的存在場所の表示における中断が手順を妨害せず又は人間によって容易に識別できるような十分に高い周波数/周期性で且つ(b)マーカからのロケーション信号の測定と少なくとも実質的に同時であるほど十分に短い待ち時間で計算するものとして構成される。変形例として、リアルタイムという用語は、ロケーション又は所在突き止めシステム10が、個々のマーカ40の各々の絶対位置及び(又は)標的の存在場所を約1ミリ秒〜5秒という周期性で、多くの場合、約10〜100ミリ秒という周期性で、或いは幾つかの特定の用途では、約20〜50ミリ秒という周期性で計算することを意味する。ユーザインターフェイス向きの用途では、例えば、周期性は、12.5ミリ秒(即ち、80Hzの周波数)、16.667ミリ秒(60Hz)、20ミリ秒(50Hz)及び(又は)50ミリ秒(20Hz)であるのがよい。加うるに、リアルタイム追跡は更に、ロケーションシステム10がマーカ40及び(又は)標的2の絶対存在場所を記憶装置、ユーザインターフェイス、線形加速器又は他の装置に、所在突き止め信号がマーカ40から送られた時点から10ミリ秒〜5秒の待ち時間内に提供することを意味するのがよい。より特定の用途では、ロケーションシステムは一般に、マーカ40及び(又は)標的2の存在場所を約20〜50ミリ秒の待ち時間内で提供する。したがって、ロケーションシステム10は、リアルタイム追跡を行って放射線療法の効果を高めることが期待される仕方でマーカ40及び(又は)標的2の位置を外部座標系に関してモニタする。というのは、高い放射線量を標的に当てることができ、健常な組織に対する付随的効果を軽減できるからである。
【0038】
変形例として、リアルタイム追跡は更に、ロケーションシステム10がマーカ40及び(又は)標的2の絶対存在場所を記憶装置、ユーザインターフェイス、線形加速器又は他の装置に、所在突き止め信号がマーカ40から送られた時点から10ミリ秒〜5秒の待ち時間内に提供することを意味してもよい。より特定の用途では、ロケーションシステムは一般に、マーカ40及び(又は)標的2の存在場所を約20〜50ミリ秒の待ち時間内で提供する。したがって、ロケーションシステム10は、リアルタイム追跡を行って放射線療法の効果を高めることが期待される仕方でマーカ40及び(又は)標的2の位置を外部座標系に関してモニタする。というのは、高い放射線量を標的に当てることができ、健常な組織に対する付随的効果を軽減できるからである。
【0039】
変形例として、リアルタイム追跡を更に、追跡誤差によって定義できる。移動中の標的の位置の測定は、一般に追跡誤差と呼ばれる運動により引き起こされる誤差を生じる。本発明の特徴によれば、所在突き止めシステム10及び少なくとも1つのマーカ40により、臨床的に有意味な限度内にある追跡誤差で器械アイソセンタ又は別の外部座標系と関連した標的2のリアルタイム追跡が可能になる。
【0040】
追跡誤差は、実際の測定システムに関連した2つの制限、具体的には、(a)標的位置が検出される時点と位置測定が可能になる時点との間の待ち時間及び(b)測定の周期性によるサンプリング遅延に起因している。例えば、標的が5cm/sで動き、測定システムの待ち時間が、200ミリ秒であれば、位置測定は、1cmの誤差を生じることになる。この例における誤差は、任意他の測定誤差とは無関係に待ち時間のみに起因しており、この誤差は、単に、標的が、その位置が検出される時点と位置測定が利用可能になる時点との間で動いたことによるものである。この例示の測定システムは200ミリ秒のサンプリング周期性(即ち、5Hzのサンプリング周波数)を更に有する場合、ピーク追跡誤差は、2cmまで増大し、平均追跡誤差は、1.5cmである。
【0041】
リアルタイム追跡システムが医療用途で有用であるようにするためには、追跡誤差を臨床的に有意味な限度内に保つことが望ましい。例えば、放射線療法に関し、肺内での腫瘍の動きを追跡するシステムでは、追跡誤差を5mm内に保つことが望ましい場合がある。許容可能な追跡誤差は、放射線療法に関し他の器官を追跡する場合、これよりも小さくてもよい。本発明の特徴によれば、リアルタイム追跡は、臨床的に有意味な限度内にある追跡誤差で標的位置及び(又は)回転の測定を行うことを意味している。
【0042】
本明細書において説明するシステムは、標的の存在場所、回転及び動きを特徴付ける位置合わせ点として役立つ1つ又は2つ以上のマーカを利用する。本発明の特徴によれば、マーカは、標的に対して実質的に一定の関係を有する。マーカが標的と実質的に一定の関係を有していない場合、別のタイプの追跡誤差が生じることになる。一般に、このためには、マーカを追跡誤差が臨床的に有意味な限度内にあるようにするために標的に十分に密接して固定し又は植え込む必要があり、かくして、マーカは、標的の代表的な動きを示す組織又は骨内に配置されるのがよい。例えば、前立腺部に関し、標的の動きを表す組織は、前立腺部に密接し又はこれに隣接して位置する組織を含む。前立腺部を含む標的に隣接した組織としては、前立腺、腫瘍それ自体又は標的から規定された半径方向距離内に位置する組織が挙げられる。前立腺部に関し、標的から5cmの半径方向距離のところに位置する組織を追跡することにより、標的の動きに対して臨床的に有用な代表的な動きが得られる。標的追跡対象の別の存在場所に応じて、半径方向距離は、これよりも長く又は短い場合がある。
【0043】
本発明の特徴によれば、マーカの動きは、標的の動きの代わりである。したがって、マーカは、これが追跡されている標的と極めて明確な相関性をなして動くように配置される。追跡されるべき標的に応じて、標的とマーカとの間の極めて明確な相関関係は、様々であろう。例えば、長骨では、マーカを長骨中における標的の動きと極めて明確な相関関係をなす動きをもたらすよう長骨に沿うどこかの場所に配置するのがよい。実質的に骨に関係した解剖学的構造、例えば、頭及び頸に応答して動く軟組織に関し、標的の動きと極めて明確な相関性をなす代わりとしての動きをもたらすようマーカをバイトブロック内に配置するのがよい。軟組織に関し、上記において詳細に説明したように、標的を隣接の軟組織内に配置して標的の動きと極めて明確な相関性を持つ代用手段を提供するのがよい。
【0044】
図4は、標的の存在場所及び状態をモニタするリアルタイム追跡の幾つかの特徴及び使用法を示す流れ図である。この実施形態では、放射線療法のための一体型方法90は、放射線を多くの放射線フラクションにより患者に当てるための計画を決定する放射線計画立案(プランニング)手順91を有する。放射線計画立案手順91は代表的には、X線、CT、MRI又は超音波イメージングを用いて腫瘍又は他のタイプの標的の画像を得るイメージング段階を有する。人が画像を分析してマーカ相互間の相対距離及び標的とマーカとの間の相対位置を測定する。図5Aは、例えば、患者6、標的2及びマーカ40を断面で示すCT画像の代表例である。図5Bを参照すると、CTスキャナの座標系RCTにおけるマーカ40の座標(x0,y0,z0)をオペレータにより求めることができる。マーカと標的との間の相対距離を確かめるのと同様なやり方で腫瘍の座標を求めることができる。
【0045】
放射線計画立案手順91は、イメージング機器から離れた観察領域に設けられた所在突き止めシステム10(図3)を用いて標的を追跡する段階を更に有するのがよい。マーカ40(図3)を追跡すると、経時的な標的の形態(例えば、寸法/形状)の変化を識別し、患者の体内での標的の運動により引き起こされる標的の軌道を求めることができる(例えば、シミュレーション法)。多くの治療計画に関し、コンピュータは、マーカ又は標的の存在場所に関する客観的な出力データをリアルタイムでユーザに提供する必要はないが、データをリアルタイムで記録するのがよい。イメージング段階中に得られた画像及びシミュレーション法で所在突き止めシステム10を用いるイメージング段階後にマーカを追跡することにより得られた追加のデータに基づき、放射線を標的に当てるための治療計画を立てる。
【0046】
所在突き止めシステム10及びマーカ40により、放射線を投与するための自動化患者準備プロセスの実現が可能である。治療計画を立てた後、この方法90は、準備手順92を有し、この準備手順において、患者を可動支持テーブル上に載せて標的及びマーカが全体として、センサ組立体に隣接して位置するようにする。上述したように、励振源を作動させてマーカにエネルギーを与え、センサは、マーカからの信号の強度を測定する。次に、コンピュータのコントローラは、(a)器械アイソセンタに対するマーカ及び標的の存在場所の客観値を計算し、(b)標的と器械アイソセンタとの間の客観的なオフセット値を求める。図6を参照すると、例えば、客観的なオフセット値をユーザインターフェイスに提供するのがよく、このユーザインターフェイスは、器械アイソセンタに対する標的の垂直位置、側方位置及び長手方向位置を表示する。所在突き止めシステム10の幾つかの実施形態の1つの特徴は、客観的値が、フィールドセンサ70からの位置データをフィールドセンサ70により受け取られたデータの人による介在無しに、コントローラ80又は他のコンピュータで処理することによりユーザインターフェイス又は他の装置に提供されることにある。オフセット値が許容可能な範囲の外にある場合、コンピュータは、支持テーブルの制御システムを自動的に作動させてテーブルトップを標的アイソセンタが器械アイソセンタと一致するまで器械アイソセンタに対して移動させる。コンピュータコントローラは一般に、オフセットの客観的出力データを上述したようにリアルタイムでテーブル制御システムに提供する。例えば、出力が放射線投与装置に提供されるので、出力は、高いレート(1〜20ミリ秒)及び短い待ち時間(10〜20ミリ秒)の状態にあるのがよい。出力データがテーブルコントローラに加えて又はこれに代えてユーザインターフェイスに提供される場合、この出力データは、比較的低いレート(20〜50ミリ秒)及び長い待ち時間(50〜200ミリ秒)の状態にあるのがよい。
【0047】
一実施形態では、コンピュータコントローラは又、シミュレートされるマーカの位置及び向きに対するマーカの位置及び向きを求める。シミュレートされるマーカの存在場所は、実際のマーカがシミュレートされるマーカに関する選択された場所に位置している場合、標的が器械アイソセンタのところに位置するように選択される。マーカがシミュレートされるマーカに正しい位置合わせ及び向きにない場合、支持テーブルを正しいマーカ位置合わせが得られるよう必要に応じて調節する。このマーカの位置合わせにより、標的が6つの次元、即ち、X、Y、Z、ピッチ、ヨー及びロールに沿って正しく位置決めされる。したがって、患者は、標的に対する放射線療法の正確な適用が得られるよう器械アイソセンタに対して正しい位置に自動的に位置決めされる。
【0048】
図4に戻ってこれを参照すると、方法90は、放射線セッション93を更に有する。図7は、自動化プロセスの別の特徴を示しており、この場合、所在突き止めシステム10は、放射線セッション93中標的を追跡し、標的と器械アイソセンタとの間のオフセットに応じて放射線投与装置20を制御する。例えば、標的の位置が器械アイソセンタから許容変位度又は範囲の外にある場合、所在突き止めシステム10は、信号を送って放射線の投与を中断させ又はビームの初期作動を阻止する。別の実施形態では、所在突き止めシステム10は、信号を送ってテーブルトップ27及び患者6を(一ユニットとして)自動的に再位置決めして標的アイソセンタがたとえ標的が動いていても放射線セッション93中器械アイソセンタの所望の範囲内に留まるようにする。さらに別の実施形態では、所在突き止めシステム10は、信号を送って標的が器械アイソセンタの所望範囲内に位置したときにのみ放射線を活性化させる(例えば、ゲーテッド療法(gated therapy))。肺の中の標的を治療する場合、ゲーテッド療法の一実施形態は、吸気/呼気中、標的を追跡する段階と、患者を吸気/呼気サイクルの終わりに息を止めさせる段階と、コンピュータ80により標的と器械アイソセンタとの間の客観的オフセット値が所望の範囲内にあることが判定されると、ビーム21を活性化させる段階とを有する。したがって、所在突き止めシステムは、患者への照射を行いながらテーブル27及び(又は)ビーム21の動的調整をリアルタイムで可能にする。これは、放射線が標的の周りに広いマージンを必要とすることなく標的に正確に投与されるようにすることが期待される。
【0049】
所在突き止めシステムは、オフセット及び(又は)回転に関する客観的データを上述したようにリアルタイムで線形加速器及び(又は)患者支持テーブルに提供する。例えば、準備手順92中に患者の支持テーブルを自動的に位置決めすることに関して上述したように、所在突き止めシステムは一般に、マーカの位置データを得るのと少なくとも実質的に同時に客観的出力を放射線投与装置に提供する。客観的出力は、例えば、ビーム21を制御する信号を放射線セッション中、同じ期間のうちに放射線投与装置20に送ることができるよう短い周期性(1〜20ミリ秒)及び短い待ち時間(10〜20ミリ秒)で提供されるのがよい。放射線ビームを停止させ又は活性化させる場合又はビームコリメータのリーフ(leaf)を調節する場合、一般に、周波数を極力大きくすると共に待ち時間を極力短くすることが望ましい。したがって、幾つかの実施形態では、所在突き止めシステムは、標的存在場所及び(又は)マーカ存在場所の客観的出力データを10ミリ秒以下の周期性及び10ミリ秒以下の待ち時間で提供するのがよい。
【0050】
方法90は、確認又は認定手順94を更に有し、この手順では、放射線セッション93からのリアルタイム客観的出力データを放射線ビームのパラメータの状態と比較する。例えば、標的の存在場所を放射線セッション93中の対応の時間間隔でビーム強度、ビーム位置及びコリメータ形態と相関させるのがよい。この相関を用いると、標的内及び標的の周りの別々の領域に送り出される放射線の線量を求めることができる。この情報は又、標的の形態又は標的軌道の変化に着目することにより、標的の或る特定の領域に対する放射線の効果を求めるために使用することもできる。
【0051】
方法90は、第1の決定(ブロック95)を更に有するのがよく、この第1の決定では、確認手順94からのデータを分析して治療が完了したかどうかを判定する。治療が完了していない場合、方法90は、第2の決定(ブロック96)を更に有し、この第2の決定では、確認手順の結果を分析して治療計画が標的の変化を補償するために修正されるべきであるかどうかを判定する。修正が必要な場合、この方法は、計画立案手順91の繰り返しに進むのがよい。他方、治療計画が適切な結果をもたらしている場合、この方法90は、放射線療法のその後の部分において準備手順92、放射線セッション93及び確認手順94を繰り返し行うことにより進むのがよい。
【0052】
所在突き止めシステム10は、高線量の放射線を狭いマージン内の標的に正確に投与する性能を高める幾つかの特徴を個々に又は互いに組み合わせて提供する。例えば、所在突き止めシステムの多くの実施形態は、患者の体内に植え込まれるリード線無し(リードレス)マーカを用い、これらリード線無しマーカが標的に対して実質的に固定されるようにする。したがって、マーカは、標的と共に直接動くか標的の動きに対し比例関係をなして動くかのいずれかを行う。その結果、呼吸、器官の充満、心機能又は他の要因によって引き起こされる標的の内部運動を医療手技前、医療手技中及び医療手技後に識別すると共に正確に追跡することができる。さらに、所在突き止めシステム10は、多くの特徴として、非イオン化エネルギーを用いて客観的出力をもたらす仕方でリード線無しマーカを外部の絶対座標系で追跡する。一般に、客観的出力は、所在突き止めシステム10が標的を追跡して客観的出力を提供している間、人にデータ(例えば、画像)を解釈させないで、コンピュータで求められる。これにより、マーカの位置を検出する時点と客観的出力が装置又はユーザに提供される時点との間の待ち時間が大幅に減少する。例えば、これにより、標的の存在場所に応答する客観的出力をマーカの位置データの収集と少なくとも実質的に同時に提供できる。このシステムも又、データ(例えば、画像)の主観的な解釈に付きもののユーザ自身に関わるばらつきを効果的に無くす。
【0053】
上述した実施形態では、マーカ40は、マーカが患者の体内で標的2と一緒に動くようにするために標的2内又はその隣りに皮下的に植え込まれるものとして説明されると共に図示されている。変形実施形態では、マーカを標的2の近くに植え込むのに加えて、患者の外面に実装してもよい。かかる表面取付け型マーカをテープ又は他のタイプの接着剤を用いて患者に実質的に固定された位置で着脱自在に付着させるのがよい。
【0054】
表面取付け型マーカは、放射線治療プログラムの実施中、患者のベースライン(基線)胴回り(前後寸法及び横寸法)をモニタするのに有用な場合がある。患者分離値と呼ばれるベースライン胴回り測定値は、化学療法又は放射線療法の効果のために経時的に変化する場合がある。患者分離値のかかる変化は、治療計画を無効にする場合がある。というのは、放射線ビームを減衰させるのに有効な組織の量が少ないからである。コントローラ80は、表面取付け型マーカ相互間の相対距離の測定結果に基づいて患者分離値の変化の程度を検出することができる。患者分離値の変化の測定された程度が所定の限度を超えている場合、コントローラ80は、治療計画を練り直す旨の警告メッセージを送ることができる。
【0055】
表面取付け型マーカは、放射線療法手順の実施前及び(又は)実施中、患者準備手順を改良するために使用することもできる。例えば、表面マーカの存在場所を用いると、患者の外皮と線形アクチュエータ又はテーブルトップとの間の標的と皮膚との間の距離(Target Skin Distance)又は源と皮膚の間の距離(Source Skin Distance)を計算することができる。
【0056】
C.運搬器具、マーカ及び所在突き止めシステムの特定の実施形態
運搬器具、マーカ、励振源、センサ及びコントローラの以下の特定の実施形態は、図1〜図7を参照して上述したシステム及び方法を実施する上での追加の詳細を提供する。本発明者は、多くの課題を解決して(a)ワイヤレスで送られる励振エネルギーに応答してワイヤレスで送られるロケーション信号を生じさせ、(b)患者の肺の中又はその近くに植え込まれるのに十分小さな断面を持つマーカの存在場所を正確に突き止める運搬器具、マーカ及び所在突き止めシステムを開発した。これら特徴を備えたシステムは、幾つかの実用上の利点を有し、かかる利点としては、(a)イオン化放射線が不要であること、(b)マーカとセンサとの間に視準線(line-of-sight)が不要であること、(c)標的の存在場所及び(又は)回転の客観的な測定が行えることが挙げられる。当業者が患者の肺の中にある腫瘍に関する放射線療法のためのかかる所在突き止めシステムを構成してこれを利用することができるよう以下の特定の実施形態について十分詳細に説明するが、本発明は、運搬器具、マーカ、励振源、センサ組立体及び(又は)コントローラの以下の実施形態には限定されない。
【0057】
1.運搬器具
本発明の幾つかの実施形態の一特徴は、マーカ40を患者の肺の中に位置する腫瘍の中に又は少なくともその近くに送り込み又は配備することにある。図8は、マーカ40を患者の体内に配備するための運搬器具800の断面図である。運搬器具800は、患者の呼吸器系内の管腔を通るよう形作られた気管支鏡、カテーテル又は他の器具であるのがよい。運搬器具800は、取っ手802及び取っ手802に取り付けられた細長い本体804を有する。より詳細に説明すると、細長い本体804は、取っ手802のところに位置する近位部分806及び呼吸器系の管腔を通るよう形作られた遠位部分808を有する。多くの実施形態では、細長い本体804の遠位部分808は、可撓性(フレキシブル)であるが、他の実施形態では、細長い本体全体が可撓性又は剛性であってよい。マーカ40は、患者の体内への配備が可能なように細長い本体804の遠位部分808によって支持されている。幾つかの実施形態では、運搬器具800は、マーカ40を患者の体内に放出するよう取っ手802から操作可能な配備機構体810を更に有する。配備機構体810は、マーカ40を細長い本体804の遠位部分808から押し出すプッシュロッドであるのがよい。変形実施形態では、配備機構体810は、カニューレ及びカニューレ内に摺動自在に受け入れられたスタイレットを有してもよい。この実施形態では、カニューレ及びスタイレットは、細長い本体804の遠位部分808を越えて遠位側へ突き出るよう一緒に動くよう構成され、この場合、マーカを患者の体内に放出するためにカニューレをスタイレットに対して近位側へ引っ込めるのがよい。運搬器具800に使用できるカニューレ及びスタイレットの例示の実施形態について図9を参照して以下に説明する。
【0058】
運搬器具800は、取っ手802から操作できる舵取り機構体812を更に有している。舵取り機構体812は、遠位部分808のところに設けられた取付け箇所及び細長い本体804に対して長手方向に動くよう構成された摺動可能な部材814を有するのがよい。摺動可能な部材814の長手方向の運動により、遠位部分808は、呼吸器系の管腔の曲り部及び二股部を通って運搬器具800を舵取りする仕方で撓む。他の実施形態では、舵取り機構体は、可撓性支持要素及び可撓性支持要素に取り付けられた可撓性制御要素を有し、制御要素に張力が加えられると、可撓性支持要素が撓むようになっている。適当な舵取り機構体が、米国特許第6,702,780号明細書及び米国特許出願公開第2003/0208101号明細書に記載されており、これら両方の特許文献を参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。
【0059】
図9は、本発明の別の実施形態の運搬器具820の等角図である。運搬器具820は、マーカ40を患者の肺の中に経胸郭的経皮的に植え込むための針又は他形式の導入器であるのがよい。運搬器具820は、取っ手822、取っ手822内に受け入れられたスライダ824及びスライダ824に取り付けられたアクチュエータ826を有する。運搬器具820は、スライダ824に取り付けられたカニューレ828及び取っ手822に固定的に取り付けられたスタイレット829を更に有する。使用にあたり、カニューレ828及びスタイレット829を患者の体内に経皮的に挿入する。マーカ40が標的に対して所望の場所に位置したとき、アクチュエータ826を近位側へ引いてスライダ824を取っ手822内で近位側へ移動させる。この移動により、カニューレ828がスタイレット829上でこれに沿って引っ込められてマーカ40が患者の体内に放出される。マーカの経皮植え込みを可能にする運搬器具820及び運搬器具の幾つかの他の実施形態が、米国特許出願第60/590,521号明細書及び同第10/334,699号明細書に記載されており、これら両方の特許文献を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0060】
図10は、本発明の方法の実施形態によるマーカの配備方法の概略断面図である。図10は特に、患者の呼吸器系850の一部を示している。呼吸器系850は、胸郭870内に位置し、胸部872及び横隔膜876によって形成された空間を占める。呼吸器系850は、気管852、左主気管支854、右主気管支856及び主気管支から互いに枝分かれした複数本の気管支858を更に有している。例えば、気管支858としては、一次気管支(肺葉気管支)、一次気管支から枝分かれした二次気管支(分節気管支)及び二次気管支から枝分かれした三次気管支(区画気管支)が挙げられる。気管支は、肺葉861,862,863,864,865に通じる通路となる。
【0061】
本発明による装置及び方法の幾つかの実施形態の一特徴は、運搬器具800を標的に関連して所望の部位に正確に案内することにある。一実施形態では、運搬器具の遠位部分を案内するのに、マーカを上述したマーカ40a〜40cの所在突き止めと類似した仕方で放出する前に、マーカ40の所在をリアルタイムで突き止めるのがよい。他の実施形態では、運搬器具800は、上述した方法に従って本体804に固定され、所在場所が突き止められるマーカ40と類似した別個のリード線無しマーカを有するのがよく、又は、運搬器具800は、X線透視による所在突き止めが可能なように本体に固定された放射線不透過性マーカを有するのがよい。さらに別の実施形態では、運搬器具800は、カテーテルの先端部の存在場所を電磁的に突き止める複数個のセンサ及び(又は)トランスポンダを備えたワイヤードシステムを有するのがよい。ワイヤードマーカは、運搬器具800に取り付けられ、リード線無しマーカ40に加えて、細長い本体804の遠位部分808のところで放出可能に支持される。適当なワイヤードナビゲーションシステムは、以下の米国特許及び米国特許出願公開、即ち、米国特許第6,833,814号、米国特許第6,711,429号、米国特許第6,615,155号、米国特許第6,574,498号、米国特許第6,558,333号、米国特許第6,188,355号、同第6,226,543号、同第6,593,884号、米国特許出願公開第2004/0006268号、同第2002/0193686号、同第2003/0074011号、同第2003/0216639号、同第2001/0031985号、同第2003/0160721号、同第2002/0062203号、同第2002/0042571号、及び同第2002/0005719号に開示されており、これら特許文献を参照により引用し、これらの開示内容全体を本明細書の一部とする。変形実施形態では、運搬器具800を当該技術分野において知られた蛍光透視又は光学(例えば、気管支鏡)手技下で案内できる。
【0062】
マーカを呼吸器系の管腔内に配備するため、代表的には、細長い本体804の遠位部分808を患者の口又は鼻に通して気管852内に挿入する。細長い本体804が剛性の場合、代表的には、細長い本体の遠位部分を気管852又は気管852の全体として近位側の肺の別の通路に沿って位置決めする。図10に示す実施形態では、細長い本体804は、可撓性であり、この細長い本体を案内して多くの気管支内に舵取りしてマーカを肺の中へより深く位置決めするのがよい。細長い本体804の遠位部分808を、磁気、光学又はX線透視誘導システムを用いて上述したような場所に案内することができる。加うるに、上述した舵取り機構体又は遠位部分808の方向を変化させる他の適当な機構体を用いて細長い本体804の遠位部分808を舵取りすることができる。マーカ40が腫瘍と関連した所望の場所にあるとき、マーカ40を細長い本体804から放出し、肺の特定の通路内に植え込む。
【0063】
変形実施形態では、細長い本体804の遠位部分808を通路のうちの1本の管腔壁に通してマーカ40を肺の組織又は肺の近くに位置する他の組織内に植え込む。別の変形実施形態では、経皮インプラント、例えば図9に示す運搬器具820を胸郭870に通してマーカを肺の組織内に植え込む。
【0064】
2.マーカ
図11Aは、マーカ40のうちの1つの実施形態を示す断面図である。この実施形態では、マーカ40は、トランスポンダ42を有し、このトランスポンダは、コア44、コア44の周りに設けられたコイル46及びコイル46に電気的に結合されたキャパシタ48を有する。コア44は代表的には、フェライトで構成され、コイル46は、コア44の周りに施されたワイヤの複数本の巻線を有する。トランスポンダ42を患者の体内に植え込まれるよう構成されたカプセル49に収納するのがよい。カプセル49は代表的には、生体適合性材料で作られる。トランスポンダ42は、多くの用途で小さな断面寸法を有する。例えば、トランスポンダ42は、直径が0.5〜3mm、望ましくは1〜2mmの円筒形部分を有するのがよい。トランスポンダ42は、ワイヤレスで送られた励振エネルギーを受け取り、この励振エネルギーに応答してワイヤレスで送られるロケーション信号を出す共振磁気回路である。したがって、トランスポンダ42は、励振エネルギーがトランスポンダに電力供給する共振周波数を有する。所在突き止めシステム10及びマーカ40の種々の実施形態の幾つかの特定の細部について図11B〜図24を参照して以下に説明する。
【0065】
図11Aに示すマーカ40は、マーカ40を患者6の肺4の中又はこれに隣接して位置する通路に取り付けるアンカを更に有している。図11Aに示すアンカ50は、カプセル49に取り付けられた螺旋ステントである。アンカ50は、引っ込み位置と配備位置との間でマーカの長手方向軸線に関して半径方向に動く。アンカ50は例えば、引っ込み位置では、気管支鏡又は経皮経胸郭導入器に嵌まり込む第1の直径D1を有するのがよい。アンカ50は、導入器から突き出された後、配備位置において管腔(例えば、呼吸路)の内壁に係合する、第1の直径D1よりも大きな第2の直径D2に拡張する。使用にあたり、アンカ50は、管腔の内壁に半径方向外方に圧接してマーカ40を通路内に保持する。アンカ50は、米国特許出願第10/438,550号明細書(この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする)に記載されているような他の実施形態を更に有することができ、アンカ50を図12A〜図16を参照して以下に説明するマーカのうち任意のものに使用することができる。
【0066】
図11Bは、マーカ40を患者6の肺4の中又はこの近くの通路内に固定するアンカ880の別の実施形態を備えたマーカ40を示している。アンカ880は、複数個のリンク884により支持された傘状カバー882を有し、これらリンクは、実線で示す収納位置から破線で示す配備位置に外方へ(矢印O)動く。アンカ880は、マーカ40をアンカ880に連結するテザー又は取付け器具886を更に有している。使用にあたり、アンカ880は、マーカをカテーテル又は気管支鏡から放出したときに、配備位置に拡張してマーカを管腔内に保持する。
【0067】
図11Cは、本発明の別の実施形態によるアンカ890を備えたマーカ40を示している。この実施形態では、アンカ890は、円筒形部分892及び円筒形部分892に取り付けられていて、円筒形部分892を半径方向外方へ押圧する弾性部材894を更に有している。アンカ890は、マーカ40をアンカ890に取り付けるテザー896を更に有している。アンカ880,890及びマーカ40の配備のための他の適当なアンカは、以下の米国特許及び米国特許出願公開、即ち、米国特許第6,258,100号、米国特許第6,592,594号及び米国特許出願第2003/0212412号に開示されており、これら特許文献を参照により引用し、これらの開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0068】
図12Aは、所在突き止めシステム10(図1〜図7)に用いられるマーカ100の等角図である。図12Aに示すマーカ100の実施形態は、ケーシング110及びケーシング110内に設けられた磁気トランスポンダ120(例えば、共振回路)を有する。ケーシング110は、患者の体内に植え込まれ又は器械の本体内に収納されるよう形作られたバリヤである。変形例として、ケーシング110は、患者の皮膚に外部からくっつけられるよう構成されていてもよい。ケーシング110は、小径の導入器、例えば、気管支鏡又は経皮経胸郭インプラントのボア内に嵌まり込むよう寸法決めされた全体として円筒形のカプセルであるのがよいが、ケーシング110は、他の形態を有すると共にこれよりも大きな又は小さいものであってよい。ケーシング110は、例えば、ケーシング110を軟組織内に定着させる棘又は他の特徴部、或いは、ケーシング110を患者の皮膚に外部から取り付ける接着剤を有するのがよい。マーカ100を患者に固定する適当な定着機構体が、米国を指定国とする国際公開第02/39917号パンフレットに開示されており、この国際公開を参照により引用し、この開示内容を本明細書の一部とする。一実施形態では、ケーシング110は、(a)閉鎖端部114及び開口端部116を備えたカプセル又はシェル112及び(b)シェル112の開口端部116内に設けられたシーラント118を有している。ケーシング110及びシーラント118は、プラスチック、セラミック、ガラス又は他の適当な生体適合性材料で作られたものであるのがよい。
【0069】
磁気トランスポンダ120は、上述したようにワイヤレスで送られた励振場に応答してロケーション信号をワイヤレスで送る共振回路を有するのがよい。この実施形態では、磁気トランスポンダ120は、導体124の複数本の巻線で構成されたコイル122を有している。磁気トランスポンダ120の多くの実施形態は、コイル122に結合されたキャパシタ126を更に有する。コイル122は、選択された共振周波数で共振する。コイル122は、キャパシタを設けていない状態で、巻線の寄生キャパシタンスを用いるだけで共振周波数で共振することができ、又は、コイル122とキャパシタ126の組合せを用いて共振周波数を生じさせることができる。したがって、コイル122は、それ自体によるかキャパシタ126との組合せによるかのいずれかで励振エネルギーに応答して選択された共振周波数で交番磁界を発生させる。図示の実施形態の導体124は、ゲージ(番数)が約45〜52の熱風又はアルコール結合ワイヤであるのがよい。コイル122は、800〜1,000個のターンを有するのがよく、巻線は好ましくは、密な成層コイルの状態に巻回される。磁気トランスポンダ120は、適当な透磁率を有する材料で構成されたコア128を更に有するのがよい。例えば、コア128は、フェライト又は別の材料で構成された強磁性要素であるのがよい。磁気トランスポンダ120を接着剤129によってケーシング110に固定するのがよい。
【0070】
マーカ100は、マーカをX線撮影像中で一層識別可能にするよう、マーカのX線撮影像を際立たせるイメージング要素を更に有する。イメージング要素は、X線撮影像中にX線撮影プロフィールを更に有し、従って、マーカは、磁気トランスポンダ120の磁気中心と少なくともほぼ一致したX線写真中心を有するようになる。以下に詳細に説明するように、X線写真中心及び磁気中心は、互いに正確に一致する必要がなく、それどころか、許容可能な範囲内にあればよい。
【0071】
図12Bは、図12Aの12B−12B線に沿って取ったマーカ100の断面図であり、この図12Bは、本発明の実施形態によるイメージング要素130を示している。図12A及び図12Bに示すイメージング要素130は、第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134を有している。第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134は全体として、マーカ100が磁気トランスポンダ120の磁気中心Mcと少なくとも実質的に一致するX線写真中心Rcを有するように磁気トランスポンダ120に対して構成されている。例えば、イメージング要素130が2つのコントラスト要素を有している場合、コントラスト要素は、磁気トランスポンダ120及び(又は)互いに対して対称に配置されるのがよい。コントラスト要素は又、磁気トランスポンダ120からX線撮影的に別個のものであるのがよい。かかる実施形態では、互いに別個のコントラスト要素の対称配置により、X線撮影像中のマーカ100のX線写真中心を正確に見極める性能が向上する。
【0072】
図12A及び図12Bに示す第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134は、コア128の互いに反対側の端部のところに位置決めされた連続リングである。第1のコントラスト要素132は、コア128の第1の端部136aのところ又はその辺りに位置するのがよく、第2のコントラスト要素134は、コア128の第2の端部136bのところ又はその辺りに位置するのがよい。図12A及び図12Bに示す連続リングは、実質的に同一の直径及び厚さのものである。他の実施形態では、しかしながら、第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134は、他の形態を有すると共に(或いは)コア128に対して他の場所に位置してもよい。例えば、第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134は、直径及び(又は)厚さの互いに異なるリングであってもよい。
【0073】
イメージング要素130により生じた画像のX線写真中心は、磁気中心Mcと絶対に一致している必要はなく、それどころか、X線写真中心及び磁気中心は、許容可能な範囲にあることが必要である。例えば、X線写真中心Rcは、X線写真中心Rcと磁気中心Mcとの間のオフセットが約5mm以下である場合、磁気中心Mcと少なくともほぼ一致していると考えることができる。より厳格な用途では、磁気中心Mc及びX線写真中心Rcは、これら中心相互間のオフセットが2mm又は1mm未満である場合、互いに少なくとも実質的に一致していると考えられる。他の用途では、磁気中心Mcは、磁気中心McとX線写真中心Rcが磁気トランスポンダ120及び(又は)マーカ100の長さの半分以下の距離だけ互いに間隔を置いて位置している場合、X線写真中心Rcと少なくともほぼ一致している。
【0074】
イメージング要素130は、X線撮影像を生じさせるのに用いられる放射線ビームの入射光子の高いフラクションを吸収する材料で作られると共に適切に構成されたものであるのがよい。例えば、イメージング放射線がメガボルト範囲内の高い加速電圧を有している場合、イメージング要素130は、イメージング要素に入射する光子フリューエンスのうち、結果的に得られるX線写真中に見えるに足るほどの量を吸収するのに十分な厚さ及び断面積を備えた高密度材料で作られる。治療に用いられる多くの高エネルギービームは、6MV〜25MVの加速電圧を有し、これらビームは、5MV〜10MV、又はより具体的には6MV〜8MVのX線写真像を生じさせるために用いられる場合が多い。したがって、イメージング要素130は、5MV〜10MVの加速電圧、又はより具体的には6MV〜8MVの加速電圧を持つビームを用いて得られる像中に見える入射光子フリューエンスを十分に吸収する材料で作られるのがよい。
【0075】
イメージング要素130の幾つかの特定の実施形態を金、タングステン、白金及び(又は)他の高密度金属で作るのがよい。これら実施形態では、イメージング要素130は、19.25g/cm3の密度(タングステンの密度)及び(又は)21.4g/cm3の密度(白金の密度)を有する材料で構成されるのがよい。したがって、イメージング要素130の多くの実施形態は、密度が19g/cm3以上である。しかしながら、他の実施形態では、イメージング要素130の材料は、密度が実質的にこれよりも低くてもよい。例えば、低密度材料で構成されたイメージング要素は、X線写真像を作るのに低エネルギー放射線を用いる用途に適している。さらに、第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134は、第1のコントラスト要素132が第1の材料で作られ、第2のコントラスト要素134が、第2の材料で作られるように互いに異なる材料で構成されるのがよい。
【0076】
図12Bを参照すると、マーカ100は、キャパシタ126から見てコア128の反対側の端部のところにモジュール140を更に有するのがよい。図12Bに示すマーカ100の実施形態では、モジュール140は、X線撮影像の対称性を高めるようキャパシタ126に対して対称であるように構成されている。第1及び第2のコントラスト要素132,134の場合と同様、モジュール140及びキャパシタ126は、マーカの磁気中心がマーカ100のX線写真中心と少なくともほぼ一致する。モジュール140は、キャパシタ126と同一の別のキャパシタであってもよく、或いは、モジュール140は、電気的に不活性な要素であってもよい。適当な電気的に不活性のモジュールとしては、キャパシタ126のような形状をしていて、互いに対称であるようにコイル122、コア128及びイメージング要素130に関連して配置されたセラミックブロックが挙げられる。さらに別の実施形態では、モジュール140は、磁気トランスポンダ120に電気的に結合された異なるタイプの電気的に活性な要素であってもよい。
【0077】
マーカを用いる特定の一方法では、第1のモダリティを用いてマーカを画像化し、次に第2のモダリティを用いて患者の標的及び(又は)マーカを追跡する。例えば、標的に対するマーカの存在場所を突き止めるには、放射線を用いてマーカ及び標的を画像化するのがよい。次に、励振エネルギーに応答してマーカにより生じた磁界を用いてマーカ及び(又は)標的の所在を突き止めてこれらを追跡してもよい。
【0078】
図12A〜図12Bに示すマーカ100は、マーカと患者の標的との間の相対位置をより正確に求めるために従来型磁気マーカと比較して高度化されたX線撮影像を提供することが見込まれる。図12Cは、例えば、マーカ100のX線撮影像150及び患者の標的Tを示している。第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134は、X線撮影像150中においてより明確であることが見込まれる。というのは、これらコントラスト要素は、磁気トランスポンダ120のコンポーネントよりも高い密度の材料で構成されている場合があるからである。したがって、第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134は、磁気トランスポンダ120のコンポーネントが像中に見える用途においてダンベル形状の球状端部として見える場合がある。或る特定のメガボルト用途では、磁気トランスポンダ120のコンポーネントは、X線撮影像150上で全く見えない場合があり、従って、第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134は、互いに別々の明確に区分された領域として見えることになろう。いずれの実施形態においても、第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134は、マーカ100のX線写真中心Rcの存在場所を像150中に突き止めることができる座標系を提供する。さらに、イメージング要素130は、X線写真中心Rcが磁気中心Mcと少なくともほぼ一致するよう構成されているので、標的Tと磁気中心Mcとの間の相対的なオフセット又は位置は、マーカ100を用いて正確に求めることができる。したがって、図12A〜図12Cに示すマーカ100の実施形態は、X線写真像中のマーカのX線写真中心及び磁気中心を不正確に推定することにより生じる誤差を軽減することが見込まれる。
【0079】
図13Aは、内部コンポーネントを示すための切除部分を備えたマーカ200の等角図であり、図13Bは、図13Aの13B−13B線に沿って取ったマーカ200の断面図である。マーカ200は、上記の図12Aに示すマーカ100とほぼ同じであり、かくして、同一の参照符号は、同一のコンポーネントを示している。マーカ200は、マーカ200が単一のコントラスト要素により構成されるイメージング要素230を有している点においてマーカ100とは異なっている。イメージング要素230は一般に、磁気トランスポンダ120に対して、マーカ200のX線写真中心が磁気トランスポンダ120の磁気中心と少なくともほぼ一致するように構成されている。イメージング要素230は、より具体的に説明すると、磁気トランスポンダ120の中間領域のところでコイル122の周りに延びるリングである。イメージング要素230は、図12A及び図12Bのイメージング要素130に関して上述したのと同じ材料で構成されるのがよい。イメージング要素230は、コイル122の外径にほぼ等しい内径及びケーシング110内の外径を有するのがよい。しかしながら、図13Bに示すように、イメージング要素230の内周部とコイル122の外周部との間にスペーサ231を設けるのがよい。
【0080】
マーカ200は、上述したマーカ100とほぼ同じ仕方で動作することが見込まれる。しかしながら、マーカ200は、X線写真像中に2つの明確で別々な点をもたらす2つの別々のコントラスト要素を備えていない。イメージング要素230は、これがX線写真像中のマーカ200のX線写真中心を識別する点において依然として非常に有用であり、このイメージング要素は、マーカ200のX線写真中心が磁気トランスポンダ120の磁気中心と少なくともほぼ一致するように構成されているのがよい。
【0081】
図14Aは、切除部分を備えたマーカ300の等角図であり、図14Bは、図14Aの14B−14B線に沿って取ったマーカ300の断面図である。マーカ300は、図13A及び図13Bに示すマーカ200と実質的に同じであり、かくして、同一の参照符号は、図12A〜図14Bにおいて同一のコンポーネントを示している。イメージング要素330は、磁気トランスポンダ120に対して、マーカ300のX線写真中心が磁気トランスポンダ120の磁気中心と少なくともほぼ一致するように構成された高密度リングであるのがよい。マーカ300は、具体的に説明すると、ケーシング110の周りに設けられたイメージング要素330を有する。マーカ300は、図13A及び図13Bに示すマーカ200と非常によく似た仕方で動作することが見込まれる。
【0082】
図15は、本発明の別の実施形態によるマーカ400を示す切除部分を備えた等角図である。マーカ400は、図12A〜図12Cに示すマーカ100とほぼ同じであり、かくして、同一の参照符号は、これらの図における同一のコンポーネントを示している。マーカ400は、磁気トランスポンダ120の一端部のところに設けられた第1のコントラスト要素432及び磁気トランスポンダ120の別の端部のところに設けられた第2のコントラスト要素434を含むイメージング要素430を有している。第1のコントラスト要素432及び第2のコントラスト要素434は、適当な高密度材料で構成された球体である。コントラスト要素432,434は例えば、金、タングステン、白金又はX線撮影画像化に用いられる他の適当な高密度材料で構成されるのがよい。マーカ400は、上述したように、マーカ100と同様な仕方で動作することが見込まれる。
【0083】
図16は、本発明の更に別の実施形態によるマーカ500の切除部分を備えた等角図である。マーカ500は、図12A及び図15に示すマーカ100,400と実質的に同じであり、かくして、同一の参照符号は、これらの図において同一のコンポーネントを示している。マーカ500は、第1のコントラスト要素532及び第2のコントラスト要素534を含むイメージング要素530を有している。第1のコントラスト要素532及び第2のコントラスト要素534を磁気トランスポンダ120の互いの反対側の端部の近くに位置決めするのがよい。第1のコントラスト要素532及び第2のコントラスト要素534は、渦電流を減少させるための隙間535を備えた不連続リングであるのがよい。コントラスト要素532,534は、本発明の他の実施形態の他のイメージング要素のコントラスト要素に関し上述したのと同一の材料で構成されるのがよい。
【0084】
本発明のマーカの追加の実施形態は、ケーシング110、磁気トランスポンダ120のコア128(図12B)及び(又は)ケーシング内に設けられた接着剤129(図12B)に組み込まれ又は違ったやり方でこれらと一体のイメージング要素を有するのがよい。例えば、高密度材料の粒子をフェライトと混合して押し出してコア128を形成するのがよい。変形実施形態では、高密度材料の粒子とガラス又は別の材料を混合してケーシング110を形成し又はケーシング110を高密度材料で被覆してもよい。さらに別の実施形態では、高密度材料を接着剤129と混合してケーシング110内に射出してもよい。これら実施形態のうちどれも、ケーシング110、コア128及び(又は)接着剤129の組合せに高密度材料を混ぜ込むのがよい。適当な高密度材料としては、上述したようなタングステン、金及び(又は)白金が挙げられる。
【0085】
図12A〜図16を参照して上述したマーカは、所在突き止めシステム10(図1〜図7)のマーカ40に使用できる。所在突き止めシステム10は、同じタイプのイメージング要素を備えた幾つかのマーカを有してもよく、或いは、種々のイメージング要素を備えたマーカを本器械に用いてもよい。これらマーカ及びマーカの他の実施形態の幾つかの追加の細部は、米国特許出願第10/334,698号明細書及び同第10/746,888号明細書に記載されており、これら米国特許出願を参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。例えば、マーカは、低エネルギー放射線を含む用途に関しイメージング要素を備えていなくてもよく、或いは、マーカは、米国特許出願第10/334,698号明細書に記載されているようなMRIイメージングとの問題を軽減するよう量を減少させたフェライト及び金属を有してもよい。
【0086】
3.所在突き止めシステム
図17は、座標系に対するマーカ40(概略的に示されている)の絶対存在場所を突き止める所在突き止めシステム1000の概略ブロック図である。所在突き止めシステム1000は、励振源1010、センサ組立体1012、センサ組立体1012に作動的に結合された信号プロセッサ1014、及び励振源1010及び信号プロセッサ1014に作動的に結合されたコントローラ1016を有する。励振源1010は、図3を参照して上述した励振源60の一実施形態であり、センサ組立体1012は、図3を参照して上述したセンサ組立体70の一実施形態であり、コントローラ1016は、図3を参照して上述したコントローラ80の一実施形態である。
【0087】
励振源1010は、マーカ40の共振周波数に一致する選択された周波数のエネルギーを持つ波形を有する磁界を発生させるよう調節可能である。励振源1010により生じる磁界は、マーカにこれらのそれぞれの周波数でエネルギーを与える。マーカ40にエネルギーを与えた後、励振源1010は、瞬間的に「オフ」位置に切り替わり、従ってパルス化励振磁場が停止される一方でマーカは、ロケーション信号をワイヤレスで送るようになっている。これにより、センサ組立体1012は、励振源1010からのかなり強力な磁場に起因する測定可能な干渉無く、マーカ40からのロケーション信号を検出することができる。したがって、励振源1010により、センサ組立体1012は、マーカ40からのロケーション信号を十分なSN比で測定することができ、従って、信号プロセッサ1014又はコントローラ1016は、基準系に対するマーカ40の絶対存在場所を正確に計算することができるようになっている。
【0088】
a.励振源
依然として図17を参照すると、励振源1010は、高電圧電源1040、電源1040に結合されたエネルギー貯蔵装置1042、及びエネルギー貯蔵装置1042に結合された切り換えネットワーク1044を有している。励振源1010は、切り換えネットワーク1044に結合されたコイル組立体1046を更に有している。一実施形態では、電源1040は、500ボルト電源である。ただし、これよりも高い電圧又は低い電圧の他の電源を使用してもよい。エネルギー貯蔵装置1042は、一実施形態では、電源1040により充電でき、比較的一定の充電状態に維持できる高電圧キャパシタである。エネルギー貯蔵装置1042は変形例として、エネルギーを放出したりコイル組立体1046のコイルからエネルギーを受け取る。
【0089】
エネルギー貯蔵装置1042における電圧降下を減少させるのに適切なエネルギーを貯蔵でき、他方、電力損を減少させるよう低い直列抵抗を備える。エネルギー貯蔵装置1042は又、コイル組立体1046をより効率的に駆動するよう低い直列インダクタンスを有する。エネルギー貯蔵装置1042に適したキャパシタとしては、フラッシュエネルギー用途に用いられるアルミニウム電解キャパシタ(コンデンサ)が挙げられる。変形例としてのエネルギー貯蔵装置としては又、NiCd電池、鉛電池並びに他のキャパシタタイプ、例えば、タンタル、フィルム等が挙げられる。
【0090】
切り換えネットワーク1044は、個々のH−ブリッジスイッチ1050(個々に参照符号1050a〜1050dで示されている)を有し、コイル組立体1046は、個々のソースコイル1052(個々に参照符号1052a〜1052dで示されている)を有する。各H−ブリッジスイッチ1050は、エネルギー貯蔵装置1042とソースコイル1052のうちの1つとの間のエネルギーの流れを制御する。例えば、H−ブリッジスイッチ#11050aは、ソースコイル#11052aへのエネルギーの流入/流出を別個独立に制御し、H−ブリッジスイッチ#21050bは、ソースコイル#21052bへのエネルギーの流入/流出を別個独立に制御し、H−ブリッジスイッチ#31050cは、ソースコイル#31052cへのエネルギーの流入/流出を別個独立に制御し、H−ブリッジスイッチ#41050dは、ソースコイル#41052dへのエネルギーの流入/流出を別個独立に制御する。したがって、切り換えネットワーク1044は、ソースコイル1052a〜1052dの各々により別個独立に発生する磁界の位相を制御する。H−ブリッジ1050は、全てのソースコイル1052に関する電気信号が同相(位相が同じ)であるように構成されてもよく、或いは、H−ブリッジスイッチ1050は、ソースコイル1052のうちの1つ又は2つ以上の位相が180°ずれるように構成されてもよい。さらに、H−ブリッジスイッチ1050は、ソースコイル1052の1つ又は2つ以上に関する電気信号の位相が、互いに異なる位相を持つ磁界を同時に生じさせるよう0°〜180°ずれるように構成されたものであってもよい。
【0091】
ソースコイル1052を座標系に対して固定された同一平面上に位置するアレイの状態に配置するのがよい。各ソースコイル1052は、平らで実質的に矩形のコイルを形成するよう配置された正方形の平面状巻線であるのがよい。ソースコイル1052は、種々の実施形態において他の形状及び他の形態を有していてもよい。一実施形態では、ソースコイル1052は、プリント回路板の層中に形成された個々の導電性ライン又はフォームフレーム中のワイヤの巻線である。変形例として、ソースコイル1052を互いに異なる基板に形成してもよく又はソースコイルのうち2つ又は3つ以上が互いに同一平面上に位置しないように配置されてもよい。加うるに、本発明の変形実施形態は、図17に示す数よりも少ない又は多いソースコイルを有してもよい。
【0092】
ソースコイル1052からの選択された磁界は、互いに組み合わさって、マーカ40を励振ボリューム内で任意の空間配向状態で励振するよう互いに異なる三次元形状を有するのがよい調節可能な励振場を形成する。ソースコイル1052の平面状アレイが全体として水平である場合、励振ボリュームは、コイル組立体1046の中央領域にほぼ一致する領域の上方に位置決めされる。励振ボリュームは、コイル組立体1046に隣接して位置する三次元空間であり、かかる空間内では、磁界の強度は、マーカ40に適切にエネルギーを与えるのに十分である。
【0093】
図18〜図20は、交番電気信号が図示のXYZ座標系に対して種々の軸線回りに励振場を発生させるよう位相の種々の組合せの状態でソースコイルに提供されるソースコイル1052の平面状アレイの略図である。各ソースコイル1052は、2つの外方側部1112及び2つの内方側部1114を有する。1つのソースコイル1052の各内方側部1114は、別のソースコイル1052の内方側部1114のすぐ隣りに位置するが、全てのソースコイル1052の外方側部1112は、他のどのソースコイル1052にも隣接して位置していない。
【0094】
図18の実施形態では、ソースコイル1052a〜1052dは各々、同一位相の交番電気信号を同時に受け取る。その結果、電流が、ソースコイル1052a〜1052dの全てを通って同一方向に流れ、1つのソースコイル(例えば、ソースコイル1052a)の内方側部1114に沿って流れる電流の方向1113が、2つの隣り合うソースコイル(例えば、ソースコイル1052c,1052d)の内方側部1114に沿って流れる電流の方向1113とは逆であるようになっている。したがって、内方側部1114に沿って生じる磁界は、互いに打ち消し合い、その結果、磁界は、ソースコイルの外方側部1112に沿って流れる電流から効果的に生じるようになっている。図18に示すソースコイル1052a〜1052dからの磁界の組合せにより形成される結果的に得られる励振場は、全体として励振ボリューム1109内のZ方向に向いた磁気モーメント1115を有する。この励振場は、Z軸に平行なマーカ又は角度成分がZ軸に沿って位置した(即ち、Z軸に直交していない)状態で位置決めされたマーカにエネルギーを与える。
【0095】
図19は、交番電気信号が異なる空間配向状態の第2の励振場を発生させるよう位相の第2の組合せ状態で出力されるソースコイル1052a〜1052dの略図である。この実施形態では、ソースコイル1052a,1052cは、互いに位相が合っており、ソースコイル1052b,1052dは、互いに位相が合っている。しかしながら、ソースコイル1052a,1052cは、ソースコイル1052b,1052dと位相が180°ずれている。ソースコイル1052a〜1052dからの磁界は、互いに組み合わさって、励振ボリューム1109内で全体としてY軸方向の磁気モーメント1217を有する励振場を発生させる。したがって、この励振場は、Y軸に平行なマーカ又は角度成分がY軸に沿って位置した状態で位置決めされたマーカにエネルギーを与える。
【0096】
図20は、交番電気信号が異なる空間配向状態の第2の励振場を発生させるよう位相の第3の組合せ状態で出力されるソースコイル1052a〜1052dの略図である。この実施形態では、ソースコイル1052a,1052bは、互いに位相が合っており、ソースコイル1052c,1052dは、互いに位相が合っている。しかしながら、ソースコイル1052a,1052bは、ソースコイル1052c,1052dと位相が180°ずれている。ソースコイル1052a〜1052dからの磁界は、互いに組み合わさって、励振ボリューム1109内で全体としてX軸方向の磁気モーメント1319を有する励振場を発生させる。したがって、この励振場は、X軸に平行なマーカ又は角度成分がX軸に沿って位置した状態で位置決めされたマーカにエネルギーを与える。
【0097】
図21は、ソースコイル1052a〜1052dの略図であり、Y軸に平行な長手方向軸線を備えたマーカ40にエネルギーを与えるための励振場1424を発生させる電流の流れを示している。切り換えネットワーク1044(図17)は、ソースコイル1052a〜1052dに送られる交番電気信号の位相が図18の形態とほぼ同じであるように構成されている。これにより、マーカ40にエネルギーを与えるY方向の磁気モーメントを備えた励振場1424が発生する。
【0098】
図22は、互いに異なる空間配向状態にあるマーカ40のうち任意のものにエネルギーを与える仕方で励振場を空間的に調節できることを更に示している。この実施形態では、切り換えネットワーク1044(図17)は、ソースコイル1052a〜1052dに送られる交番電気信号の位相が図18の形態とほぼ同じであるように構成されている。これにより、Z軸に平行な長手方向軸線を備えるマーカ40にエネルギーを与えるZ方向の磁気モーメントを備えた励振場が生じる。
【0099】
励振ボリューム1109内の励振場の空間形態を迅速に調節するには、切り換えネットワークを操作してソースコイル1052a〜1052dに送られる電気信号の位相を変化させるのがよい。その結果、磁気励振場全体を変化させると、励振ボリューム1109内でX方向、Y方向又はZ方向かのいずれかに差し向けることができる。励振場の空間配向状態のこの調節により、励振ボリューム1109内のブラインドスポットが減少し又は無くなる。したがって、励振ボリューム1109内のマーカ40を、リード線無しマーカの空間配向状態とは無関係にソースコイル1052a〜1052dによりエネルギーを与えることができる。
【0100】
一実施形態では、励振源1010は、センサ組立体1012に結合されていて、切り換えネットワーク1044(図17)がセンサ組立体により受け取られた信号の強度に応じて、X軸、Y軸及びZ軸に沿う励振場のパルス化発生の向きを調節するようになっている。マーカ40からのロケーション信号が不十分な場合、切り換えネットワーク1044は、次のソースコイル1052a〜1052dのパルス化中、励振場の空間配向状態を自動的に変化させて異なる軸線の方向又は軸線相互間の方向にモーメントを備えた励振場を発生させることができる。切り換えネットワーク1044をセンサ組立体1012がマーカから十分なロケーション信号を受け取るまで操作するのがよい。
【0101】
図17に示す励振源1010は、マーカ40に電力供給するよう励振位相中、ソースコイル1052a〜1052dに交互にエネルギーを与え、次に、センサ組立体1012がマーカ40によりワイヤレスで送られた減衰中のロケーション信号を検出する検出段階中、ソースコイル1052a〜1052dを能動的に消勢する。ソースコイル1052a〜1052dを能動的にエネルギーを与えたり消勢するため、切り換えネットワーク1044は、交互に、蓄えられているエネルギーをエネルギー貯蔵装置1042からソースコイル1052a〜1052dに送ったり、次にソースコイル1052a〜1052dからのエネルギーをエネルギー貯蔵装置1042に再び送り戻すよう構成されている。切り換えネットワーク1044は、交互に第1の「オン」位置と第2の「オン」位置を取ってソースコイル1052に加わる電圧が正の極性と負の極性を交互に取るようになっている。例えば、切り換えネットワーク1044が第1の「オン」位置に切り換えられると、エネルギー貯蔵装置1042中のエネルギーは、ソースコイル1052a〜1052dに流れる。切り換えネットワーク1044が第2の「オン」位置に切り換えられると、極性が逆になってソースコイル1052a〜1052d中のエネルギーが能動的にソースコイル1052a〜1052dから引き出されてエネルギー貯蔵装置1042に戻されるようになる。その結果、ソースコイル1052a〜1052d中のエネルギーは、エネルギー貯蔵装置1042に迅速に送り戻されてソースコイル1052a〜1052dから送られる励振場を急停止させ、エネルギー貯蔵装置1042により消費される電力を節約する。これにより、環境からの励振エネルギーが除去され、その結果、センサ組立体1012は、励振源1010からのかなり大きな励振エネルギーからの妨害を受けないで、マーカ40からのロケーション信号を検出することができる。励振源1010の幾つかの追加の詳細及び変形実施形態は、2002年8月7日に出願された米国特許出願第10/213,980号明細書に開示されており、この米国特許出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0102】
b.センサ組立体
図23Aは、所在突き止めシステム1000(図17)に用いられるセンサ組立体1012の幾つかのコンポーネントを示す分解組立て等角図である。センサ組立体1012は、パネル1604上に形成され又はこのパネルにより支持された複数個のコイル1602を有する検出ユニット1601を含む。コイル1602は、センサアレイ1605の状態に配置されたフィールドセンサ又は磁束センサであるのがよい。
【0103】
パネル1604は、実質的に非導電性の材料、例えばデュポン(DuPont)社製のKAPTON(登録商標)のシートであるのがよい。KAPTON(登録商標)は、極めて安定して丈夫であり且つ薄いフィルムが必要である場合(例えば、放射線ビームによる汚染を回避するため)、特に有用であるが、パネル1604は、他の材料で作られると共に他の形態を有してもよい。例えば、FR4(エポキシガラス基板)、GETEK又は他のテフロン(登録商標)を利用した基板及び他の市販の材料をパネル1604に用いることができる。加うるに、パネル1604は平らで平面度が高い構造体であるのがよいが、他の実施形態では、パネルは、少なくとも1つの軸線に沿って湾曲していてもよい。いずれの実施形態においても、フィールドセンサ(例えば、コイル)は、1つのフィールドセンサの平面が隣りのフィールドセンサの平面と少なくとも実質的に同一平面上に位置する局所的に平面状のアレイの状態に配置される。例えば、1つのコイルにより定められる平面と隣接のコイルにより定められる平面との間の角度は、約0°〜10°、より一般的には5°未満であるのがよい。しかしながら、場合によっては、コイルのうち1つ又は2つ以上は、アレイ中の他のコイルに対して10°よりも大きな角度をなしていてもよい。
【0104】
図23Aに示すセンサ組立体は、パネル1604に積層されたコア1620を更に有するのがよいが、このようにするかどうかは任意である。コア1620は、剛性材料で作られた支持部材であってもよく、或いは、コア1620は、低密度フォーム、例えば独立気泡ロハセル(Rohacell)フォームであってもよい。コア1620は好ましくは、センサ組立体1012の形状及びコイル1602相互間の相対的な向きが動作温度範囲にわたり規定された範囲内のままであるように低い熱膨張率を有する安定した層である。
【0105】
センサ組立体1012は、検出サブシステムの一方の側に設けられた第1の外部カバー1630a及び反対側に設けられた第2の外部カバー1630bを更に有するのがよい。第1の外部カバー1630a及び第2の外部カバー1630bは、薄くて熱的に安定した層、例えばケブラー(Kevlar)又はサーマウント(Thermount)フィルムであるのがよい。第1の外部カバー1630a及び第2の外部カバー1630bは各々、望ましくない外部電界がコイル1602に達するのを阻止する電気遮蔽体1632を有するのがよい。電気遮蔽体1632は、一般にファラデー遮蔽体と呼ばれている櫛形遮蔽体を構成するよう金めっきの銅製ストリップの複数本の互いに平行な脚部であるのがよい。遮蔽体を遮蔽に適した他の材料で作ってもよいことは理解されよう。プリント回路板製造技術又は他の技術を用いて電気遮蔽体を第1及び第2の外部カバー上に形成することができる。
【0106】
コイル1602を備えたパネル1604は、感圧接着剤又は別の種類の接着剤を用いてコア1620に積層される。第1の外部カバー1630a及び第2の外部カバー1630bはこれと同様に、パネル1604とコア1620の組立体に積層される。積層組立体は、コイル1602の配置状態を広い動作温度範囲にわたり規定された形態に固定的に保持する剛性構造体を形成する。したがって、センサ組立体1012は、動作中、その表面全体にわたり実質的に撓むことはない。センサ組立体1012は例えば、撓みが±0.5mm以下、場合によっては、±0.3mm以下の状態でコイル1602のアレイを一定の位置に保持することができる。検出サブシステムの剛性により、リード線無しマーカの正確な存在場所をリアルタイムで非常に正確に且つ繰り返しモニタできる。
【0107】
さらに別の実施形態では、センサ組立体1012は、励振源1010のコンポーネントである複数個のソースコイルを更に有するのがよい。センサ組立体1012とソースコイルを組み合わせる適当なアレイの1つは、2002年12月30日に出願された米国特許出願第10/334,700号(発明の名称:PANEL-TYPE SENSOR/SOURCE ARRAY ASSEMBLY)に開示されており、この米国特許出願を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。
【0108】
図23Bは、検出ユニット1601の実施形態を更に示している。この実施形態では、検出ユニット1601は、32個のセンサコイル1602を有し、各コイル1602は、別々のチャネル1606(個々にチャネル“Ch 0”〜“Ch 31”として示されている)と関連している。パネル1604の全体寸法は、約40cm×54cmであるのがよいが、アレイ1605は、約40cmの第1の寸法D1及び約40cmの第2の寸法D2を有している。アレイ1605は、変形実施形態では他の寸法又は他の形態(例えば、円形)を有していてもよい。加うるに、アレイ1605は、これよりも多い又は少ない数のコイル、例えば8〜64個のコイルを有してもよく、コイルの数は、更に2の累乗であるのがよい。
【0109】
コイル1602は、パネル1604上に形成された銅又は別の適度に導電性の金属の導電性トレース又は被着物であるのがよい。各コイル1602は、幅が約0.15mmであり、各コイル内の隣り合うターン相互間の間隔が約0.13mmのトレースを有する。コイル1602は、約15〜90個のターンを有するのがよく、特定の用途では、各コイルは、約40個のターンを有する。15個未満のターンを備えたコイルは、幾つかの用途では、十分には感度が高くない場合があり、コイルが90個以上のターンを有すると、コイルの自己共振周波数が低くなる結果として、励振中、ソース信号から過剰の電圧が生じると共に過剰の整定時間が必要になる場合がある。しかしながら、他の用途では、コイル1602は、15個未満のターン又は90個よりも多くのターンを有してもよい。
【0110】
図23Bに示すように、コイル1602は、正方形の螺旋体として構成されている。ただし、他の形態、例えば、円、相互に組み合わさった六角形、三角形等のアレイを採用してもよい。かかる正方形の螺旋体は、SN比を向上させるよう表面積の大きな割合を利用している。正方形コイルは又、円形コイルと比較してアレイの設計レイアウト及びモデル化を単純にし、例えば、円形コイルは、マーカ40からの磁束をリンクさせるために表面積を無駄にする場合がある。コイル1602は、約40mmの内寸及び約60mmの外寸を有する。ただし、用途に応じて他の寸法が可能である。製造公差が所与の場合、内寸をできるだけ外寸に近いものにすると感度を向上させることができる。幾つかの実施形態では、コイル1602は、互いに同一であり、又は少なくとも実質的に同じように構成される。
【0111】
アレイ1605中のコイル1602のピッチは、少なくとも或る程度はマーカとコイルアレイとの間の最小距離の関数である。一実施形態では、コイルは、約67mmのピッチで配置されている。この特定の配置状態は、ワイヤレスマーカ40がセンサ組立体1012から約7〜27cmのところに位置決めされる場合に特に適している。ワイヤレスマーカが互いに7cmよりも近い場合、検出サブシステムは、これよりも小さなピッチで配置されたセンサコイルを有するのがよい。一般に、ワイヤレスマーカがコイルのアレイから比較的僅かな距離を置いたところで検出される場合、ピッチの小さいことが望ましい。コイル1602のピッチは、例えば、マーカとアレイとの間の最小距離の約50%〜200%である。
【0112】
一般に、アレイ1605の寸法及び形態並びにアレイ中のコイル1602の寸法及び形態は、これらが動作しようとする周波数範囲、マーカ40からアレイまでの距離、マーカの信号強度及び他の幾つかの要因で決まる。当業者であれば容易に認識されるように、少なくとも或る程度は所望の周波数範囲及びマーカからコイルまでの距離に応じて他の寸法及び形態を採用できる。
【0113】
アレイ1605は、マーカにより出された磁界を測定するために大きなアパーチュアを提供するよう寸法決めされる。ワイヤレスで送られたエネルギー源に応答してマーカ信号をワイヤレスで送る植え込み型マーカにより出力される信号を正確に測定することは、特に難題である場合がある。というのは、マーカ信号は、ソース信号及び室内の他の磁界(例えば、CRT等からの磁界)よりも非常に微弱だからである。アレイ1605の寸法は、遠方場からの妨害を軽減しながらマーカの近接場を優先的に測定するよう選択されているのがよい。一実施形態では、アレイ1605は、コイルによって占められた領域の表面全体にわたり最大寸法D1又はD2を有するよう寸法決めされ、この寸法は、マーカがコイルの平面から離されるべき所定の最大検出距離の約100%〜300%である。かくして、アレイ1605の寸法は、マーカ信号を正確に測定するようマーカがアレイから離隔されるべき距離を割り出し、次にアレイの最大寸法がその距離の約100%〜300%であるようにコイルを配置することにより決定される。アレイ1605の最大寸法は、例えば、マーカがアレイ1605から見て配置されるべき検出距離の約200%であるのがよい。特定の一実施形態では、マーカ40は、20cmの検出距離を有し、コイル1602のアレイの最大寸法は、20cm〜60cm、具体的には40cmである。
【0114】
上述したような最大寸法を持つコイルアレイは、これが本来的に、遠方場源からの妨害を軽減するフィルタとなるので特に有用である。したがって、本発明の幾つかの実施形態の一特徴は、アレイをマーカからの信号に基づいて寸法決めしてアレイが近接場源(即ち、マーカにより生じた場)を優先的に測定し、遠方場源からの妨害を除くようにすることにある。
【0115】
コイル1602は、ワイヤレスマーカ40により生じた磁束を受け取り、各コイルの内側部分又は内側領域を通る磁界の成分の量又は大きさを表し又はこれに比例する電流信号を出力する電磁場センサである。この磁界成分は又、各コイル1602の平面に垂直である。各コイルは、別個のチャネルを表し、かくして、各コイルは、信号を32個の出力ポート1606の各々にそれぞれ出力する。以下に説明する前置増幅器を各出力ポート1606のところに設けるのがよい。前置増幅器(又はインピーダンスバッファ)をコイルの近くに配置することにより、本明細書において説明するコイルに加わる容量性負荷が最小限に抑えられる。図示していないが、検出ユニット1601は、各コイル1602からの信号をその対応の出力ポート1606に送り、それにより別々のチャネルを形成する導電性トレース又は導電性経路を更に有する。ポートは、パネル1604上に形成されたコネクタ1608に結合され、適当に形作られたプラグ及び関連のケーブルをこのコネクタに取り付けることができる。
【0116】
検出ユニット1601は、例えば電気的消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)1610により示された搭載型メモリ又は他の回路を更に有するのがよい。EEPROM1610は、製造情報、例えば、シリアル番号、改訂番号、製造日等をストレージすることができる。EEPROM1610は、チャネル毎の較正データ並びにランタイムの記録も又ストレージすることができる。ランタイムは、アレイに当てられた総放射線量の指標を与え、それにより、交換用検出サブシステムが必要な場合にシステムに警告を出すことができる。
【0117】
一平面でしか示されていないが、追加のコイル又は電磁場センサは、ワイヤレスマーカ40の三次元存在場所を突き止めるのを助けるようパネル1604に垂直に配置されるのがよい。コイル又はセンサを他の寸法で追加することにより、ワイヤレスマーカ40から受け取る全エネルギーが増大するが、かかるアレイの複雑さにより、不均化性が増大することになる。本発明者は、図23A及び図23Bに示す平面状アレイを用いると、ワイヤレスマーカ40の三次元座標を見出すことができることを発見した。
【0118】
センサ組立体1012を具体化するには、幾つかの事項を検討しなければならない場合がある。第1に、コイル1602は、理想的な開回路を備えた状態で提供できない。それどころか、かかるコイルには、主としてコイル1602を前置増幅器に接続するトレース又は導電経路、減衰ネットワーク(以下に説明する)及び前置増幅器の入力インピーダンス(なお、低いインピーダンスが好ましい)により寄生キャパシタンスによって十分に装荷される場合がある。これら負荷の組合せの結果として、コイル1602が変化する磁束と結合すると、電流の流れが生じることになる。この場合、どれか1つのコイル1602が、ワイヤレスマーカ40からだけでなく他の全てのコイルからの磁束を結合する。これら電流の流れは、下流側の信号処理において考慮されるべきである。
【0119】
第2の検討事項は、コイル1602に対する容量性負荷である。一般に、コイル1602に加わる容量性負荷を最小限に抑えることが望ましい。容量性負荷は、コイルそれ自体を備えた共振回路を形成し、それにより、励振源1010にエネルギーを与えたときに過剰の電圧オーバーシュートが生じる。かかる電圧オーバーシュートは、コイル1602全体にわたり減衰又は「緩衝(snubbing)」ネットワークで制限され又は減衰されるべきである。容量性負荷が大きい場合、低インピーダンスの減衰ネットワークが必要であり、その結果として、減衰ネットワーク中で相当多くの電力消費量及び加熱が生じる場合がある。
【0120】
別の検討事項は、ノイズの低い前置増幅器を用いることである。前置増幅も又、放射線に対して耐性を持っているのがよい。というのは、センサ組立体1012に関する一用途は、線形加速器(LINAC)を用いる放射線治療システムであるからである。その結果、PNPバイポーラトランジスタ及びディスクリートの要素が好ましい。さらに、良好な整定時間をAC回路又は出力で達成できない場合、特に、アナログ−ディジタル変換器がAC出力信号中の大きな振れを取り扱うことができない場合、直流結合回路が好ましい場合がある。
【0121】
図24は、例えば、差動増幅器1704を有する緩衝ネットワーク1702の実施形態を示している。緩衝ネットワーク1702は、2対の直列接続抵抗器及びこれらの間をブリッジしたキャパシタを有する。バイアス回路1706が、差動増幅器の調節を可能にし、較正入力1708により、差動増幅器の入力レッグの両方のバランスを取ることができる。コイル1602は、差動増幅器1704の入力に結合され、次に1対の高電圧保護ダイオード1710に結合されている。DCオフセットは、差動増幅器1704の入力トランジスタのベース(ゼロの値を持つものとして示されている)に結合された1対の抵抗器により調節できる。出力のところに、追加の保護回路、例えば、ESD保護ダイオード1712並びにフィルタリングキャパシタ(10nFの値を持つものとして示されている)が設けられる。
【0122】
c.信号プロセッサ及びコントローラ
図17に示す信号プロセッサ1014及びコントローラ1016は、センサ組立体1012から信号を受け取り、座標系中のマーカ40の絶対位置を計算する。適当な信号処理システム及びアルゴリズムは、米国特許出願第10/679,801号、同第10/749,478号、同第10/750,456号、同第10/750,164号、同第10/750,165号、同第10/749,860号及び同第10/750,453号に記載されており、これら全ての米国特許出願を参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。
【0123】
実施例
概観
このシステムの有効性をリアルタイム追跡について判定するために実験模型を利用した研究を行った。この実験では、3つの軸線における恣意的な運動を各寸法において最高10cm/秒までの速度につき精度を0.3mmにして可能にするよう特注の4Dステージを構成した。位置の精度をステージシステムに取り付けられた3Dディジタル化アームにより測定した。図25に示すように、ピーク間(peak to peak)運動が2cm、4cm及び2cmであり、x方向、y方向及びz方向においてそれぞれ1cm、2cm及び1cmの2つの楕円を作った。1分間当たり15回、17回及び20回の呼吸に対応して3つの期間を用いた。単一のトランスポンダを33ミリ秒、67ミリ秒及び100ミリ秒の積分時間で用い、2つのトランスポンダを67ミリ秒及び100ミリ秒の積分時間で用いた。トランスポンダを4Dステージに取り付けられた特注の模型内に配置した。アイソセンタをAC磁気アレイから14cmのところに配置して実験を行って平均的な肺癌患者の位置をシミュレートした。4Dステージは、リアルタイム追跡システムがトランスポンダの位置を測定しながら各軌道を走った。測定位置を模型位置と比較した。楕円寸法、速度、トランスポンダの個数及び積分時間の効果を特性付けた。
【0124】
実験の要約
図26に示すように、二乗平均(RMS)誤差は、各楕円、期間及びトランスポンダ積分時間について1mm未満であった。このシステムは、楕円の経路、例えば、1分間当たり17回の呼吸で動く大きな楕円の軌道全体を通じ点を追跡できた。図27は、誤差範囲が測定された各点について低いことを示す所在突き止め誤差のヒストグラムである。図28に示すように、RMS誤差は、大抵の軌道において速度の増大領域において高かった。この実験に関し、単一のトランスポンダシステムは、デュアルトランスポンダシステムよりも僅かに良好に稼働し、最適なシステムは、積分時間が67ミリ秒の単一のトランスポンダであった。
【0125】
結論
要約書に記載された内容を含む図示の実施形態の上述の説明は、排他的ではなく、本発明を開示した形態そのものに限定するものではない。特定の実施形態及び実施例は例示目的で本明細書において説明されているが、当業者には認識されるように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の均等な改造例を想到できる。本明細書において提供した本発明の教示は、必ずしも全体を上述した例示のシステムではなく、標的の存在場所突き止め及び追跡システムに適用できる。
【0126】
上述の種々の実施形態は、別の実施形態を提供するよう組み合わせることができる。本明細書において言及すると共に(或いは)出願データシートに一覧表示された米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許刊行物を全て参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。本発明の特徴は、上述の種々の特許、出願及び刊行物のシステム、装置及び技術的思想を用いて、本発明の更に別の実施形態を提供するよう必要に応じて改造できる。
【0127】
上述の詳細な説明に照らして本発明の上記変更及び他の変更を行うことができる。一般に、添付の特許請求の範囲において、用いられる用語は、本発明を本明細書及び特許請求の範囲に開示した特定の実施形態に限定するものと解釈されてはならず、体内の選択された標的の位置を突き止め、モニタすると共に(或いは)追跡する装置及び方法を提供するよう特許請求の範囲に従って動作する全ての標的存在場所突き止め及びモニタシステムを含むものと解釈されるべきである。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載にのみ基づいて定められる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の実施形態による標的の所在を突き止めてモニタする際に用いられる追跡システムの側面図であり、励振可能なマーカが患者の肺の中の標的内に植え込まれ又はこれに隣接した状態で示されている図である。
【図2】可動支持テーブルに載せられていて、マーカが植え込まれた患者の概略立面図である。
【図3】本発明の実施形態に従って所在突き止めシステム及び患者の肺の中に植え込まれた複数個のマーカを概略的に示す側面図である。
【図4】本発明の実施形態に従って患者の肺を治療する放射線療法のためにリアルタイム標的追跡方式を用いた一体形治療法の流れ図である。
【図5A】放射線治療及び他の医療用途において標的のリアルタイム追跡を行うシステム及び方法の特徴を示すCT画像の略図である。
【図5B】CTスキャナの座標系を概略的に示す略図である。
【図6】本発明の実施形態による客観的出力を表示するユーザインターフェイスのスクリーンショット図である。
【図7】本発明の実施形態による放射線セッションの等角図である。
【図8】本発明の実施形態による運搬器具の断面図である。
【図9】本発明の別の実施形態による運搬器具を示す部分断面等角図である。
【図10】本発明の実施形態による運搬器具の動作原理を示す概略断面図である。
【図11A】本発明の実施形態によるマーカ及びアンカの断面図である。
【図11B】本発明の別の実施形態によるマーカ及びアンカの等角図である。
【図11C】本発明の別の実施形態によるマーカ及びアンカの等角図である。
【図12A】本発明の実施形態による所在突き止めシステムに用いられるマーカの等角図である。
【図12B】図12Aのマーカの12B−12B矢視断面図である。
【図12C】図12A及び図12BのマーカのX線写真像の略図である。
【図13A】本発明の別の実施形態による所在突き止めシステムに用いられるマーカの等角図である。
【図13B】図13Aのマーカの13B−13B矢視断面図である。
【図14A】本発明の別の実施形態による所在突き止めシステムに用いられるマーカの等角図である。
【図14B】図14Aのマーカの14B−14B矢視断面図である。
【図15】本発明の別の実施形態による所在突き止めシステムに用いられるマーカの等角図である。
【図16】本発明の更に別の実施形態による所在突き止めシステムに用いられるマーカの等角図である。
【図17】本発明の実施形態による標的を追跡する際に用いられる所在突き止めシステムの概略ブロック図である。
【図18】第1の励振場を発生させるよう電気信号を位相に関し第1の組合せ状態で伝えるコプレーナソースコイルのアレイの略図である。
【図19】第2の励振場を発生させるよう電気信号を位相に関し第2の組合せ状態で伝えるコプレーナソースコイルのアレイの略図である。
【図20】第3の励振場を発生させるよう電気信号を位相に関し第3の組合せ状態で伝えるコプレーナソースコイルのアレイの略図である。
【図21】第1の空間配向状態にあるマーカにエネルギーを与えるための磁気励振(励磁)場を示すコプレーナソースコイルのアレイの略図である。
【図22】第2の空間配向状態にあるマーカにエネルギーを与えるための磁気励振(励磁)場を示すコプレーナソースコイルのアレイの略図である。
【図23A】本発明の実施形態による所在突き止めシステムに用いられるセンサ組立体の個々の構成部品を示す分解組立て等角図である。
【図23B】図23Aのセンサ組立体に用いられる検出ユニットの平面図である。
【図24】図23Aのセンサ組立体に用いられる前置増幅器の略図である。
【図25】所在突き止めシステムの実験模型を利用した研究から得られた腫瘍の例示の運動楕円のグラフ図である。
【図26】所在突き止めシステムの実験模型を利用した研究から得られた二乗平均(RMS)誤差のグラフ図である。
【図27】所在突き止めシステムの実験模型を利用した研究から得られた所在突き止め誤差の例示のヒストグラムである。
【図28】所在突き止めシステムの実験模型を利用した研究から得られた速度の関数としての位置誤差のグラフ図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、患者の肺の中の標的の存在場所を正確に突き止め、この標的を追跡するシステム及び方法に関する。
【0002】
〔関連出願の参照〕
本願は、2004年6月24日に出願された米国仮特許出願第60/582,733号の権益主張出願であり、この米国仮特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
肺癌は、肺の細胞で始まる病気である。一般に、肺癌には2つの主要なカテゴリ、即ち、非小細胞肺癌と小細胞肺癌がある。非小細胞肺癌は、手術、放射線及び(又は)化学療法を用いて治療できる。肺癌は、人によって様々なので、全ての患者に有効な単一の治療法は無い場合がある。肺癌を治療する典型的な手術としては、肺葉切除術(肺の葉全体を除去する)、肺切除術(肺全体を切除する)及び楔(けつ)状又は区域切除術(肺の僅かな部分を切除する)が挙げられる。手術は、癌が両方の肺、胸部の他の構造、リンパ節又は他の器官に広がっていれば一般的には利用されない。または、手術は、除去が可能ではない肺の中央の場所に位置する腫瘍を治療するには用いられず、又、小細胞肺癌の場合にも用いられない。したがって、手術は、多くの患者にとって実施可能なオプションではない。また、手術による治療を行うと、その結果として、麻酔と関連した合併症又は感染が生じる場合があり、しかも、手術による治療は、長くて有痛性の回復期間が必要な場合がある。
【0004】
放射線療法は、肺癌、脳腫瘍及び他の多くのタイプの限局性癌を治療する上で効果があって成功率の高い方法になっている。放射線療法は、手術により除去することができない中央に位置する腫瘍及び(又は)小細胞癌に特に有用である。放射線治療は、治癒が可能ではない場合、治癒的処理又は緩和(姑息的)療法として利用できる。加うるに、手術及び化学療法を放射線療法と組み合わせて利用できる。
【0005】
放射線療法の手順は一般に、(a)放射線のパラメータ(例えば、線量、形状等)を決定する計画プロセス、(b)標的を放射線ビームに対して所望の場所に位置決めする患者準備プロセス、(c)癌を照射する放射線セッション及び(d)放射線セッションをの効果を評価する認定プロセスを含む。多くの放射線治療手順は、約5〜45日の期間にわたる数回の放射線セッションを有する。放射線治療における最近の技術進歩として、例えば、三次元原体外部ビーム照射、強度変調放射線治療(IMRT)、定位放射線外科療法及び近接照射療法(密封小線源治療)が、癌にとって有効な治療となっている。これら新たな種類の治療は、非常に高い線量の放射線を腫瘍に送り出すことができるので、これまでの放射線療法よりも効果が高い場合が多い。
【0006】
放射線療法による限局性癌の治療を一段と向上させるため、放射線の線量を増大させることが望ましい。というのは、線量が高いと、大抵の癌を破壊する上で効果が高いからである。しかしながら、放射線量を増大させると、健常な組織への合併症発症の恐れも増大する。したがって、放射線療法の効果は、腫瘍に送り出される放射線の総線量と腫瘍の隣りの通常の組織に送り出される放射線の線量の両方に依存している。腫瘍の隣りの通常の組織を保護するため、放射線は、健常な組織の照射を回避するために標的周りの狭い治療マージン又はボリュームに合わせて処方されるべきである。例えば、肺癌に関する治療マージンは、健常な肺組織の照射を回避するよう選択されるべきである。したがって、腫瘍に送り出される放射線量を増大させることが望ましいだけでなく、照射を受ける健常な組織の量及びかかる健常な組織に送り出される放射線の線量を減少させることが望ましい。
【0007】
放射線治療の1つの問題は、放射線セッション中か放射線セッション相互間かのいずれかにおいて患者の体内の標的の移動を補償することにある。これは、中央に位置する腫瘍の場合に特に当てはまる。例えば、肺内の腫瘍は、呼吸機能や心機能(例えば、心拍や血管系の狭窄/拡張)のために放射線セッション中、相当な距離移動する。かかる移動を補償するため、治療マージンは、一般に望ましいレベルよりも大きく、その結果、腫瘍は、治療ボリュームから出ないようになる。これは、広い治療マージンにより、より多くの通常の組織が照射される場合があるので、望ましい解決策とは言えない。
【0008】
放射線治療におけるもう1つの課題は、腫瘍を放射線ビームのアイソセンタと正確に位置合わせすることにある。現行の準備手順では、一般に、放射線投与装置用の視覚的位置合わせガイドにより外部基準マークを患者の上に位置合わせする。例えば、まず最初にイメージング(画像化)システム(例えば、X線、コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)又は超音波システム)を用いて患者の体内の腫瘍を識別又は確認し、次に、体内の腫瘍の適当な存在場所を患者の外部に設けられた2つ又は3つ以上の位置合わせ点に位置合わせする。準備中、外部マークを放射線投与装置の座標系に位置合わせして治療対象の標的を放射線ビームのビームアイソセンタ(これを本明細書では、器械アイソセンタともいう)のところで患者の体内に位置決めする。外部マークを用いる従来型準備手順は、一般に不適当である。というのは、標的は、患者計画手順と治療セッションとの間及び(又は)治療セッション中、外部マークに対して移動する場合があるからである。したがって、標的は、外部マークが標的を器械アイソセンタに位置決めするためのこれらの所定の場所に位置している場合であっても、器械アイソセンタからオフセットしている場合がある。かかるオフセットを軽減し又は無くすことが望ましい。というのは、標的と放射線ビームとの間に初期の位置合わせ不良があると、通常の組織を照射することになるからである。さらに、標的が呼吸又は心機能のために治療中移動する場合、初期位置合わせ不良により、通常の組織の照射具合が一段と悪化する可能性が多分にある。かくして、放射線治療準備の際の日毎の変化や瞬間瞬間の変化及び標的の移動は、患者に投与される放射線量を増大させる上で大きな問題を提起している。
【発明の開示】
【0009】
本発明の一特徴によれば、患者の肺の中の標的を治療する方法であって、
リード線無しマーカを前記標的に関連して前記患者の前記肺の中に位置決めするステップと、
前記マーカの位置データを収集するステップと、
前記収集した位置データに基づいて外部座標系内における前記マーカの存在場所を突き止めるステップと、
(a)前記マーカの動きに応答し、(b)臨床的に許容できる追跡誤差範囲内で前記標的の前記存在場所をリアルタイムで追跡する頻度で提供される客観的出力を前記外部座標系中に提供するステップとを有する、方法が提供される。
【0010】
本発明の別の特徴によれば、放射線ビームを用いる放射線治療において、患者の肺の中の標的を治療する方法であって、
磁気マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に前記標的に関連して配置するステップを有し、前記磁気マーカは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、前記励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含むトランスポンダを有し、
前記放射線ビームの座標系に対する前記磁気マーカの存在場所を突き止め、前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所に応じて前記患者を移動させることにより前記標的を前記放射線ビームの前記座標系中の所望の位置に位置決めするステップを有し、前記磁気マーカの存在場所を突き止める前記ステップは、(a)パルス化磁界をワイヤレスで送り出して前記磁気マーカにエネルギーを与えるステップと、(b)前記磁気マーカからのパルス化ロケーション信号を前記患者の外部の場所にワイヤレスで送るステップと、(c)前記パルス化ロケーション信号を前記患者の外部に設けられたセンサで検出するステップと、(d)前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を周期的に計算するステップとを含み、
前記磁気マーカの前記計算された存在場所により前記標的が前記座標系中の前記所望の位置にあることが分かると、前記患者に前記放射線ビームを照射するステップを有する、方法が提供される。
【0011】
本発明の更に別の特徴によれば、患者の肺の中の標的を追跡する方法であって、
磁気マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に前記標的に関連して配置するステップを有し、前記磁気マーカは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、前記励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含むトランスポンダを有し、
磁界をワイヤレスで送り出して前記磁気マーカにエネルギーを与えるステップと、
前記磁気マーカからのロケーション信号を前記患者の外部の場所にワイヤレスで送るステップと、
前記ロケーション信号を前記患者の外部に設けられたセンサで検出するステップと、
前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を周期的に計算するステップとを有する、方法が提供される。
【0012】
本発明の更に別の特徴によれば、マーカを患者の肺の中に配備する装置であって、
前記患者の前記肺の中の通路に通されるよう形作られている遠位部分を備えた細長い本体と、
トランスポンダを備えていて、前記本体の前記遠位部分で放出自在に支持されたリード線無しマーカと、
前記遠位部分のところに設けられた配備機構体とを有し、前記配備機構体は、前記マーカを前記本体の前記遠位部分から放出するよう構成されている、装置が提供される。
【0013】
本発明の更に別の特徴によれば、患者の肺の中に配置されるマーカであって、
所在が突き止められるよう形作られたマーカ部分と、
前記マーカ部分に取り付けられたアンカとを有し、前記アンカは、第1の寸法を持つ収納位置と前記第1の寸法よりも大きな第2の寸法を持つ配備位置との間で動く拡張可能な部材を有する、マーカが提供される。
【0014】
本発明の更に別の特徴によれば、患者の体内に植え込み可能なマーカであって、
カプセルを有し、
前記カプセル内に設けられたトランスポンダを有し、前記トランスポンダは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、前記励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含み、
前記カプセルに取り付けられたアンカを有し、前記アンカは、第1の寸法を持つ収納位置と前記第1の寸法よりも大きな第2の寸法を持つ配備位置との間で動く拡張可能な部材を有する、マーカが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図中、同一の参照符号は、互いに類似した要素又はコンポーネントを示している。図中の要素の寸法及び相対位置は、必ずしも縮尺通りには作成されていない。例えば、種々の要素の形状及び角度は、縮尺通りには示されておらず、これら要素のうちの幾つかは、図面を分かりやすくするために恣意的に拡大されたり配置されている。さらに、記載されている要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関する情報を備えることを意図しておらず、図面を分かりやすくするために選択されているに過ぎない。
【0016】
以下の説明において、本発明の種々の実施形態の完全な理解を提供するよう或る特定の細部が記載されている。しかしながら、当業者であれば、本発明は、これら特定の細部のうち1つ又は2つ以上を備えていない状態で又は他の方法、コンポーネント、材料等を用いて実施できることは理解されよう。他の場合、標的所在突き止め及び追跡システムと関連した周知の構造体は、本発明の実施形態の説明を不必要にぼかさないようにするために図示されておらず又は詳細には説明されていない。
【0017】
文脈上別段の必要がなければ、原文明細書及び添付の特許請求の範囲全体を通じ、“comprise”(訳文では、「〜を有する」又は「〜を含む」と訳し、場合によっては「〜から成る」と訳している場合がある)という用語及びその派生語、例えば、“comprises”及び“comprising”は、オープンで包括的な意味に、即ち、「〜を含むが、〜には限定されない」として解釈されるべきである。
【0018】
本明細書全体を通じ「一実施形態」又は「実施形態」という用語は、実施形態と関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも一実施形態に含まれることを意味している。かくして、明細書全体にわたり種々の場所で「一実施形態では」又は「実施形態では」という表現が見えても、これらは、必ずしも全てが同一の実施形態を意味しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造又は特性を1つ又は2つ以上の実施形態において任意適当なやり方で組み合わせることができる。
【0019】
本明細書において記載された見出しは、便宜上のものであるに過ぎず、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲又は意味を説明しているわけではない。
【0020】
A.概観
図1〜図28は、本発明の実施形態により患者の肺の中にある標的の存在場所を突き止め、これを追跡してモニタするためのシステム及び幾つかのコンポーネントを示している。システム及びコンポーネントは、標的をより効果的に治療するよう放射線療法を誘導する。図1〜図28を参照して以下に説明するコンポーネントのうちの幾つかも又、本発明の他の特徴に従って体の他の部分内の標的を治療するのに利用できる。加うるに、種々の図全体を通じ、同一の参照符号は、同一のコンポーネント及び特徴を示している。
【0021】
本発明の一特徴は、患者の肺を治療する方法に関する。かかる方法の一実施形態は、標的に関連してリード線無しマーカを患者の肺の中に位置決めするステップと、マーカの位置データを収集するステップとを有する。この方法は、収集した位置データに基づいて外部座標系中でのマーカの存在場所を突き止めるステップと、マーカの動きに応答する客観的出力を外部座標系中に出すステップとを更に有する。客観的出力は、臨床的に許容できる追跡誤差範囲内で標的の存在場所をリアルタイムで適切に追跡する周波数(周期性)で提供される。加うるに、客観的出力は又、マーカの存在場所を突き止めるために用いられる位置データの収集と少なくとも実質的に同時に提供されるのがよい。
【0022】
かかる方法の別の実施形態は、磁気マーカを患者の肺の近くに且つ(或いは)患者の肺の中に標的に関連して配置するステップと、放射線ビームの座標系に対する磁気マーカの存在場所を突き止め、座標系中の磁気マーカの存在場所に応じて患者を移動させることにより標的を放射線ビームの座標系中の所望の位置に位置決めするステップとを有する。磁気マーカは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含むトランスポンダを有する。磁気マーカの存在場所を突き止めるには、(a)パルス化磁界をワイヤレスで送り出して磁気マーカにエネルギーを与えるステップと、(b)磁気マーカからのパルス化ロケーション信号を患者の外部の場所にワイヤレスで送るステップと、(c)パルス化ロケーション信号を患者の外部に設けられたセンサで検出するステップと、(d)座標系中の磁気マーカの存在場所を周期的に計算するステップとを含む。この方法は、磁気マーカの計算された存在場所により標的が座標系中の所望の位置にあることが分かると、患者に放射線ビームを照射するステップを更に有する。
【0023】
患者の肺の中の標的を追跡する方法の別の実施形態は、磁気マーカを患者の肺の近くに且つ(或いは)患者の肺の中に標的に関連して配置するステップを有する。磁気マーカは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含むトランスポンダを有する。かかる方法のこの実施形態は、磁界をワイヤレスで送り出して磁気マーカにエネルギーを与えるステップと、磁気マーカからのロケーション信号を患者の外部の場所にワイヤレスで送るステップと、ロケーション信号を患者の外部に設けられたセンサで検出するステップと、座標系中の磁気マーカの存在場所を周期的に計算するステップとを有する。
【0024】
他の方法は、マーカを患者の肺の中へ又は全体として患者の肺の近くに配備することに関する。かかる方法の一実施形態は、運搬器具をリード線無しマーカと共に患者の体内を通って案内してマーカを患者の肺の中又はその近くに位置する標的に関連して所望の部位に位置決めするステップを有する。マーカは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーを受け取り、この励振エネルギーに応答してワイヤレスで送信されるロケーション信号を生じさせるよう構成されたトランスポンダを有する。この方法は、リード線無しマーカを所望の部位で放出するステップと、マーカを所望の部位で患者に固定するステップとを更に有する。例えば、ステント又は他の拡張可能な器具、突刺、縫合糸及び(又は)接着剤を用いてマーカを固定するのがよい。
【0025】
本発明の別の特徴は、マーカを患者の肺の中に配備する装置に関する。かかる装置の一実施形態は、患者の肺の中の通路に通されるよう形作られている遠位部分を備えた細長い本体と、トランスポンダを備えたリード線無しマーカとを有する。リード線無しマーカは、本体の遠位部分で放出自在に支持される。この装置は、遠位部分のところに設けられた配備機構体を更に有し、配備機構体は、マーカを本体の遠位部分から放出するよう構成されている。別の実施形態では、この装置は、遠位部分を差し向けるよう構成された舵取り機構体を更に有する。例えば、舵取り機構体は、本体の遠位部分の一方の側に取り付けられた遠位端部及び遠位部分を撓曲させるよう本体に対して軸方向に動くことができる近位部分を備えたワイヤを有するのがよい。さらに別の実施形態では、リード線無しマーカのトランスポンダは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含む磁気トランスポンダから成る。
【0026】
本発明の別の特徴は、患者の体内に植え込み可能なマーカに関する。かかるマーカの一実施形態は、カプセルと、カプセル内に設けられたトランスポンダと、カプセルに取り付けられたアンカとを有する。トランスポンダは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含む。アンカは、第1の半径を持つ収納位置と第1の半径よりも大きな第2の半径を持つ配備位置との間で動く拡張可能な部材を有する。
【0027】
マーカの別の実施形態は、所在が突き止められるよう形作られたマーカ部分と、マーカ部分に取り付けられたアンカとを有する。アンカは、第1の寸法を持つ収納位置と第1の寸法よりも大きな第2の寸法を持つ配備位置との間で動く拡張可能な部材を有する。アンカは例えば、ステント、傘状の拡張可能な部材又は拡張可能な円筒形部分であるのがよい。
【0028】
本発明の種々の実施形態を、これら実施形態の完全な理解及び実施可能要件を満たす説明のために特定の細部を提供するようこの項目において説明する。しかしながら、当業者であれば、本発明は、これら細部のうちの幾つかが無い状態でも実施でき、又、追加の細部を本発明に追加できることは理解されよう。文脈が許す限り、単数又は複数の用語は又、それぞれ複数又は単数の用語を含む。さらに、「又は(“or”)」という用語は、少なくとも2つの構成要素のリストに関して単一の構成要素のみを他の構成要素から排除して意味するものと明示して制限されない限り、かかるリスト中の「又は(“or”)」の使用は、(a)リスト中の任意の単一の構成要素、(b)リスト中の構成要素の全て、又は(c)リスト中の構成要素の任意の組合せを含むものとして解釈されるべきである。加うるに、「〜を含む又は〜を有する(comprising)」という用語は、多数の同一の特徴及び(又は)多数のタイプの他の特徴又はコンポーネントが排除されないように少なくとも記載した特徴を含むことを意味するものとして明細書全体にわたって用いられている。
【0029】
B.リアルタイム追跡システムを備えた誘導型放射線療法システム
図1及び図2は、誘導型放射線療法を患者6の肺4内の標的2(例えば、腫瘍)に適用するための放射線療法システム1の種々の特徴を示している。放射線療法システム1は、追跡システム及び放射線投与装置を有している。追跡システムは、患者の準備中、イオン化放射線を放射線投与装置から標的に当てながら標的2の実際の位置をリアルタイムで突き止めて追跡する。かくして、標的2が上述したような呼吸、器官の充満/排出、心機能又は他の内部運動のために患者の体内で動く場合があるが、所在突き止めシステム10は、標的の動きを患者の外部に設けられた外部基準に関連して正確に追跡して放射線を標的の周りの狭い領域内に正確に送り出す。所在突き止めシステム10は又、マーカの形態及び軌道をモニタしてイオン化放射線を用いないで腫瘍中の変化の早期の指標をもたらすことができる。さらに、所在突き止めシステム10は、標的を連続して追跡して客観的データ(例えば、絶対座標系における三次元座標)を記憶装置、ユーザインターフェイス、線形加速器及び(又は)他の装置に提供する。システム1は、患者の肺の中の腫瘍又は他の標的を治療するための誘導型放射線療法との関連で以下に説明されるが、このシステムは、他の治療及び(又は)診断目的で患者の体内の他の標的を追跡したりモニタするために利用できる。
【0030】
図示の実施形態の放射線送出し源は、イオン化放射線装置20(即ち、線形加速器)である。適当な線形加速器は、カリフォルニア州パーロ・アルト所在のバリアン・メディカル・システムズ・インコーポレイテッド(Varian Medical Systems, Inc.)、ニュージャージー州アイスリン所在のシーメンス・メディカル・システムズ・インコーポレイテッド(Siemens Medical Systems, Inc. )、ニュージャージー州アイスリン所在のエレクタ・インストラメンツ・インコーポレイテッド(Electa Instruments, Inc.)、又は日本国の三菱電機株式会社によって製造されている。かかる線形加速器は、種々の治療計画ソフトウェアシステムと関連して、従来型一門又は多門照射療法、3D原体照射療法(3D CRT)、強度変調放射線療法(IMRT)、定位放射線療法及び切断療法(tomo therapy)を提供することができる。放射線送出し源20は、イオン化放射線のゲートされ、輪郭付けられ又は付形されたビーム21を可動ガントリ22から放射線送出し源20に対して外部座標系中の既知の場所のところに位置する領域又はボリュームに送り出す。器械アイソセンタと呼ばれるこの空間中の点は、イオン化放射線ビーム21が差し向けられる点である。
追跡システムは、所在突き止めシステム10及び1つ又は2つ以上のマーカ40を有している。所在突き止めシステム10は、三次元座標系中のマーカ40の実際の存在場所を突き止め、マーカ40は代表的には、患者6の体内に植え込まれる。図1及び図2に示す実施形態では、より具体的に説明すると、マーカ40a〜40cとして個々に区別された3つのマーカが、標的2内又はその近くの場所で患者6の肺4の中に植え込まれている。他の用途では、特定の用途に応じて単一のマーカ、2つのマーカ又は4つ以上のマーカを用いることができる。例えば、2つのマーカが非常に望ましい。というのは、標的の存在場所を正確に突き止めることができ、又、経時的なマーカ相互間の相対変位を用いて患者の体内におけるマーカの移動をモニタできるからである。マーカ40は、かかるマーカ40が標的2に対して少なくとも実質的に固定されるように(例えば、マーカが標的と一緒にすぐに動き又は少なくとも標的の運動に正比例して動くように)望ましくは標的2に関連して配置される。マーカ40と標的2の標的アイソセンタTとの間の相対位置を、患者を台の上に載せる前の治療計画段階の際に、CTスキャナ又は他形式のイメージング又は画像化システムにより定められた外部座標系に対して求めるのがよい。図1及び図2に示すシステム1の特定の実施形態では、所在突き止めシステム10は、患者準備プロセス中、患者への照射を行いながら、外部絶対座標系に対するマーカ40の三次元座標をリアルタイムで追跡して隣接の健常な組織に対する付随的作用効果を軽減すると共に所要の線量が標的に当てられるようにする。
【0031】
1.選択されたマーカ及び所在突き止めシステムの一般的動作原理
図3は、患者の肺の中の腫瘍又は他の標的を治療するための所在突き止めシステム10及びマーカ40a〜40cの実施形態の動作原理を示す略図である。所在突き止めシステム10及びマーカ40a〜40cは、放射線セッション前、放射線セッション中及び放射線セッション後における標的2(図1及び図2)の存在場所を突き止めるために使用される。具体的に説明すると、所在突き止めシステム10は、マーカ40a〜40cの存在場所を突き止め、客観的標的位置データを、準備、治療、配備、シミュレーション、手術及び(又は)他の医療手技中にリアルタイムで記憶装置、ユーザインターフェイス、線形加速器及び(又は)他の装置にリアルタイムで提供する。所在突き止めシステムの一実施形態では、リアルタイムという用語は、客観的座標の指標が(a)データ中の中断が人間には識別可能ではないように十分に高い再生速度(即ち、周波数)で且つ(b)原信号の測定と少なくとも実質的に同時であるほど十分低い潜伏性でユーザインターフェイスに提供されることを意味している。他の実施形態では、リアルタイムは、客観的データを放射線送出し装置に提供するために高い周波数範囲及び低い潜伏性範囲によって定義され、或いは、更に他の実施形態では、リアルタイムは、マーカの存在場所に応答して客観的データを提供する(例えば、標的の存在場所をリアルタイムで且つ(或いは)マーカの位置データを得るのと少なくとも実質的に同時である潜伏性で適切に追跡する周期性又は周波数で)ものとして定義される。
【0032】
所在突き止めシステム10は、励振源60(例えば、パルス化磁界発生器)、センサ組立体70及び励振源60とセンサ組立体70の両方に結合されたコントローラ80を有する。励振源60は、励振エネルギーを発生させて患者6(図1)の体内のマーカ40a〜40cのうち少なくとも1つにエネルギーを与える。図3に示す励振源60の実施形態は、パルス化磁界を互いに異なる周波数で生じさせる。例えば、励振源60は、第1のマーカ40aにエネルギーを与える第1の周波数E1、第2のマーカ40bにエネルギーを与える第2の周波数E2及び第3のマーカ40cにエネルギーを与える第3の周波数E3で磁界を周波数分割多重化できる。励振エネルギーに応答して、マーカ40a〜40cは、ロケーション信号L1〜L3を固有の応答周波数で発生させる。具体的に説明すると、第1のマーカ40aは、第1の周波数E1の励振エネルギーに応答して第1の周波数の第1のロケーション信号L1を発生し、第2のマーカ40bは、第2の周波数E2の励振エネルギーに応答して第2の周波数の第2のロケーション信号L2を発生し、第3のマーカ40cは、第3の周波数E3の励振エネルギーに応答して第3の周波数の第3のロケーション信号L3を発生する。2つのマーカを備えた変形実施形態では、励振源は、周波数E1,E2で磁界を発生させ、マーカ40a,40bは、それぞれ、ロケーション信号L1,L2を発生する。
【0033】
センサ組立体70は、マーカ40a〜40cからのロケーション信号L1〜L3を検出する複数個のコイルを有するのがよい。センサ組立体70は、互いに対し少なくとも実質的に同一平面上に位置する複数個のコイルを備えたフラットパネルであるのがよい。他の実施形態では、センサ組立体70は、コイルの非平面状アレイであってもよい。
【0034】
コントローラ80は、励振エネルギーを互いに異なる周波数E1〜E3で多重化するよう励振源60を動作させる命令を含むハードウェア、ソフトウェア又は他のコンピュータ操作可能な媒体を有する。例えば、コントローラ80により、励振源60は、第1の励振期間の間、第1の周波数E1の励振エネルギーを発生し、次に、コントローラ80により、励振源60は、第1の検出段階の間、第1の周波数E1の励振エネルギーを停止させ、かかる第1の検出段階中、センサ組立体70は、第1の周波数E1の励振エネルギーが存在しない状態で、第1のマーカ40aからの第1のロケーション信号L1を検出する。次に、コントローラ80により、励振源60は、(a)第2の励振期間の間、第2の周波数E2の第2の励振エネルギーを発生し、(b)第2の検出段階の間、第2の周波数E2の励振エネルギーを停止させ、かかる第2の検出段階の間、センサ組立体70は、第2の周波数E2の第2の励振エネルギーが存在していない状態で、第2のマーカ40bからの第2のロケーション信号L2を検出する。次に、コントローラ80は、第3の周波数E3の第3の励振エネルギーについてこの動作を繰り返し実施し、その結果、第3のマーカ40cが第3の検出段階中、第3のロケーション信号L3をセンサ組立体に送るようになっている。したがって、励振源60は、励振期間中、パルス化磁界の形態をした励振エネルギーをマーカ40a〜40cの共振周波数でワイヤレスにより送り、マーカ40a〜40cは、検出段階中、ロケーション信号L1〜L3をセンサ組立体70にワイヤレスで送る。励振段階及び検出段階を繰り返し実施すると、検出した信号の平均化を行ってノイズを減少させることができることは理解されよう。
【0035】
コントローラ80又は別個の信号プロセッサ内のコンピュータにより操作可能な媒体も又、マーカ40a〜40cの各々の絶対位置を三次元座標系で突き止める命令を含む。センサ組立体70によって出力され、ロケーション信号L1〜L3の各々の振幅に対応する信号に基づいて、コントローラ80及び(又は)別個の信号プロセッサは、三次元座標系におけるマーカ40a〜40cの各々の絶対座標を計算する。
【0036】
2.リアルタイム追跡
所在突き止めシステム10及びマーカ40により、治療中、計画中、準備中、放射線セッション中及び放射線療法プロセスの他の時点において、患者の外部に設けられた器械アイソセンタ又は別の外部座標系に関連した標的2のリアルタイム追跡が可能になる。多くの実施形態では、リアルタイム追跡は、マーカの位置データを収集し、外部座標系(即ち、患者の外部の座標系)でマーカの存在場所を突き止め、マーカの存在場所に応答した客観的出力を外部座標系に提出することを意味する。客観的出力は、標的をリアルタイムで適切に追跡する周波数/周期性で且つ(或いは)位置データの収集と少なくとも実質的に同時の(例えば、全体として同じ期間内の)待ち時間で提供される。
【0037】
例えば、リアルタイム追跡の幾つかの実施形態が、マーカの存在場所を突き止め、器械アイソセンタに対する標的の存在場所を、(a)ユーザインターフェイスのところでの標的存在場所の表示における中断が手順を妨害せず又は人間によって容易に識別できるような十分に高い周波数/周期性で且つ(b)マーカからのロケーション信号の測定と少なくとも実質的に同時であるほど十分に短い待ち時間で計算するものとして構成される。変形例として、リアルタイムという用語は、ロケーション又は所在突き止めシステム10が、個々のマーカ40の各々の絶対位置及び(又は)標的の存在場所を約1ミリ秒〜5秒という周期性で、多くの場合、約10〜100ミリ秒という周期性で、或いは幾つかの特定の用途では、約20〜50ミリ秒という周期性で計算することを意味する。ユーザインターフェイス向きの用途では、例えば、周期性は、12.5ミリ秒(即ち、80Hzの周波数)、16.667ミリ秒(60Hz)、20ミリ秒(50Hz)及び(又は)50ミリ秒(20Hz)であるのがよい。加うるに、リアルタイム追跡は更に、ロケーションシステム10がマーカ40及び(又は)標的2の絶対存在場所を記憶装置、ユーザインターフェイス、線形加速器又は他の装置に、所在突き止め信号がマーカ40から送られた時点から10ミリ秒〜5秒の待ち時間内に提供することを意味するのがよい。より特定の用途では、ロケーションシステムは一般に、マーカ40及び(又は)標的2の存在場所を約20〜50ミリ秒の待ち時間内で提供する。したがって、ロケーションシステム10は、リアルタイム追跡を行って放射線療法の効果を高めることが期待される仕方でマーカ40及び(又は)標的2の位置を外部座標系に関してモニタする。というのは、高い放射線量を標的に当てることができ、健常な組織に対する付随的効果を軽減できるからである。
【0038】
変形例として、リアルタイム追跡は更に、ロケーションシステム10がマーカ40及び(又は)標的2の絶対存在場所を記憶装置、ユーザインターフェイス、線形加速器又は他の装置に、所在突き止め信号がマーカ40から送られた時点から10ミリ秒〜5秒の待ち時間内に提供することを意味してもよい。より特定の用途では、ロケーションシステムは一般に、マーカ40及び(又は)標的2の存在場所を約20〜50ミリ秒の待ち時間内で提供する。したがって、ロケーションシステム10は、リアルタイム追跡を行って放射線療法の効果を高めることが期待される仕方でマーカ40及び(又は)標的2の位置を外部座標系に関してモニタする。というのは、高い放射線量を標的に当てることができ、健常な組織に対する付随的効果を軽減できるからである。
【0039】
変形例として、リアルタイム追跡を更に、追跡誤差によって定義できる。移動中の標的の位置の測定は、一般に追跡誤差と呼ばれる運動により引き起こされる誤差を生じる。本発明の特徴によれば、所在突き止めシステム10及び少なくとも1つのマーカ40により、臨床的に有意味な限度内にある追跡誤差で器械アイソセンタ又は別の外部座標系と関連した標的2のリアルタイム追跡が可能になる。
【0040】
追跡誤差は、実際の測定システムに関連した2つの制限、具体的には、(a)標的位置が検出される時点と位置測定が可能になる時点との間の待ち時間及び(b)測定の周期性によるサンプリング遅延に起因している。例えば、標的が5cm/sで動き、測定システムの待ち時間が、200ミリ秒であれば、位置測定は、1cmの誤差を生じることになる。この例における誤差は、任意他の測定誤差とは無関係に待ち時間のみに起因しており、この誤差は、単に、標的が、その位置が検出される時点と位置測定が利用可能になる時点との間で動いたことによるものである。この例示の測定システムは200ミリ秒のサンプリング周期性(即ち、5Hzのサンプリング周波数)を更に有する場合、ピーク追跡誤差は、2cmまで増大し、平均追跡誤差は、1.5cmである。
【0041】
リアルタイム追跡システムが医療用途で有用であるようにするためには、追跡誤差を臨床的に有意味な限度内に保つことが望ましい。例えば、放射線療法に関し、肺内での腫瘍の動きを追跡するシステムでは、追跡誤差を5mm内に保つことが望ましい場合がある。許容可能な追跡誤差は、放射線療法に関し他の器官を追跡する場合、これよりも小さくてもよい。本発明の特徴によれば、リアルタイム追跡は、臨床的に有意味な限度内にある追跡誤差で標的位置及び(又は)回転の測定を行うことを意味している。
【0042】
本明細書において説明するシステムは、標的の存在場所、回転及び動きを特徴付ける位置合わせ点として役立つ1つ又は2つ以上のマーカを利用する。本発明の特徴によれば、マーカは、標的に対して実質的に一定の関係を有する。マーカが標的と実質的に一定の関係を有していない場合、別のタイプの追跡誤差が生じることになる。一般に、このためには、マーカを追跡誤差が臨床的に有意味な限度内にあるようにするために標的に十分に密接して固定し又は植え込む必要があり、かくして、マーカは、標的の代表的な動きを示す組織又は骨内に配置されるのがよい。例えば、前立腺部に関し、標的の動きを表す組織は、前立腺部に密接し又はこれに隣接して位置する組織を含む。前立腺部を含む標的に隣接した組織としては、前立腺、腫瘍それ自体又は標的から規定された半径方向距離内に位置する組織が挙げられる。前立腺部に関し、標的から5cmの半径方向距離のところに位置する組織を追跡することにより、標的の動きに対して臨床的に有用な代表的な動きが得られる。標的追跡対象の別の存在場所に応じて、半径方向距離は、これよりも長く又は短い場合がある。
【0043】
本発明の特徴によれば、マーカの動きは、標的の動きの代わりである。したがって、マーカは、これが追跡されている標的と極めて明確な相関性をなして動くように配置される。追跡されるべき標的に応じて、標的とマーカとの間の極めて明確な相関関係は、様々であろう。例えば、長骨では、マーカを長骨中における標的の動きと極めて明確な相関関係をなす動きをもたらすよう長骨に沿うどこかの場所に配置するのがよい。実質的に骨に関係した解剖学的構造、例えば、頭及び頸に応答して動く軟組織に関し、標的の動きと極めて明確な相関性をなす代わりとしての動きをもたらすようマーカをバイトブロック内に配置するのがよい。軟組織に関し、上記において詳細に説明したように、標的を隣接の軟組織内に配置して標的の動きと極めて明確な相関性を持つ代用手段を提供するのがよい。
【0044】
図4は、標的の存在場所及び状態をモニタするリアルタイム追跡の幾つかの特徴及び使用法を示す流れ図である。この実施形態では、放射線療法のための一体型方法90は、放射線を多くの放射線フラクションにより患者に当てるための計画を決定する放射線計画立案(プランニング)手順91を有する。放射線計画立案手順91は代表的には、X線、CT、MRI又は超音波イメージングを用いて腫瘍又は他のタイプの標的の画像を得るイメージング段階を有する。人が画像を分析してマーカ相互間の相対距離及び標的とマーカとの間の相対位置を測定する。図5Aは、例えば、患者6、標的2及びマーカ40を断面で示すCT画像の代表例である。図5Bを参照すると、CTスキャナの座標系RCTにおけるマーカ40の座標(x0,y0,z0)をオペレータにより求めることができる。マーカと標的との間の相対距離を確かめるのと同様なやり方で腫瘍の座標を求めることができる。
【0045】
放射線計画立案手順91は、イメージング機器から離れた観察領域に設けられた所在突き止めシステム10(図3)を用いて標的を追跡する段階を更に有するのがよい。マーカ40(図3)を追跡すると、経時的な標的の形態(例えば、寸法/形状)の変化を識別し、患者の体内での標的の運動により引き起こされる標的の軌道を求めることができる(例えば、シミュレーション法)。多くの治療計画に関し、コンピュータは、マーカ又は標的の存在場所に関する客観的な出力データをリアルタイムでユーザに提供する必要はないが、データをリアルタイムで記録するのがよい。イメージング段階中に得られた画像及びシミュレーション法で所在突き止めシステム10を用いるイメージング段階後にマーカを追跡することにより得られた追加のデータに基づき、放射線を標的に当てるための治療計画を立てる。
【0046】
所在突き止めシステム10及びマーカ40により、放射線を投与するための自動化患者準備プロセスの実現が可能である。治療計画を立てた後、この方法90は、準備手順92を有し、この準備手順において、患者を可動支持テーブル上に載せて標的及びマーカが全体として、センサ組立体に隣接して位置するようにする。上述したように、励振源を作動させてマーカにエネルギーを与え、センサは、マーカからの信号の強度を測定する。次に、コンピュータのコントローラは、(a)器械アイソセンタに対するマーカ及び標的の存在場所の客観値を計算し、(b)標的と器械アイソセンタとの間の客観的なオフセット値を求める。図6を参照すると、例えば、客観的なオフセット値をユーザインターフェイスに提供するのがよく、このユーザインターフェイスは、器械アイソセンタに対する標的の垂直位置、側方位置及び長手方向位置を表示する。所在突き止めシステム10の幾つかの実施形態の1つの特徴は、客観的値が、フィールドセンサ70からの位置データをフィールドセンサ70により受け取られたデータの人による介在無しに、コントローラ80又は他のコンピュータで処理することによりユーザインターフェイス又は他の装置に提供されることにある。オフセット値が許容可能な範囲の外にある場合、コンピュータは、支持テーブルの制御システムを自動的に作動させてテーブルトップを標的アイソセンタが器械アイソセンタと一致するまで器械アイソセンタに対して移動させる。コンピュータコントローラは一般に、オフセットの客観的出力データを上述したようにリアルタイムでテーブル制御システムに提供する。例えば、出力が放射線投与装置に提供されるので、出力は、高いレート(1〜20ミリ秒)及び短い待ち時間(10〜20ミリ秒)の状態にあるのがよい。出力データがテーブルコントローラに加えて又はこれに代えてユーザインターフェイスに提供される場合、この出力データは、比較的低いレート(20〜50ミリ秒)及び長い待ち時間(50〜200ミリ秒)の状態にあるのがよい。
【0047】
一実施形態では、コンピュータコントローラは又、シミュレートされるマーカの位置及び向きに対するマーカの位置及び向きを求める。シミュレートされるマーカの存在場所は、実際のマーカがシミュレートされるマーカに関する選択された場所に位置している場合、標的が器械アイソセンタのところに位置するように選択される。マーカがシミュレートされるマーカに正しい位置合わせ及び向きにない場合、支持テーブルを正しいマーカ位置合わせが得られるよう必要に応じて調節する。このマーカの位置合わせにより、標的が6つの次元、即ち、X、Y、Z、ピッチ、ヨー及びロールに沿って正しく位置決めされる。したがって、患者は、標的に対する放射線療法の正確な適用が得られるよう器械アイソセンタに対して正しい位置に自動的に位置決めされる。
【0048】
図4に戻ってこれを参照すると、方法90は、放射線セッション93を更に有する。図7は、自動化プロセスの別の特徴を示しており、この場合、所在突き止めシステム10は、放射線セッション93中標的を追跡し、標的と器械アイソセンタとの間のオフセットに応じて放射線投与装置20を制御する。例えば、標的の位置が器械アイソセンタから許容変位度又は範囲の外にある場合、所在突き止めシステム10は、信号を送って放射線の投与を中断させ又はビームの初期作動を阻止する。別の実施形態では、所在突き止めシステム10は、信号を送ってテーブルトップ27及び患者6を(一ユニットとして)自動的に再位置決めして標的アイソセンタがたとえ標的が動いていても放射線セッション93中器械アイソセンタの所望の範囲内に留まるようにする。さらに別の実施形態では、所在突き止めシステム10は、信号を送って標的が器械アイソセンタの所望範囲内に位置したときにのみ放射線を活性化させる(例えば、ゲーテッド療法(gated therapy))。肺の中の標的を治療する場合、ゲーテッド療法の一実施形態は、吸気/呼気中、標的を追跡する段階と、患者を吸気/呼気サイクルの終わりに息を止めさせる段階と、コンピュータ80により標的と器械アイソセンタとの間の客観的オフセット値が所望の範囲内にあることが判定されると、ビーム21を活性化させる段階とを有する。したがって、所在突き止めシステムは、患者への照射を行いながらテーブル27及び(又は)ビーム21の動的調整をリアルタイムで可能にする。これは、放射線が標的の周りに広いマージンを必要とすることなく標的に正確に投与されるようにすることが期待される。
【0049】
所在突き止めシステムは、オフセット及び(又は)回転に関する客観的データを上述したようにリアルタイムで線形加速器及び(又は)患者支持テーブルに提供する。例えば、準備手順92中に患者の支持テーブルを自動的に位置決めすることに関して上述したように、所在突き止めシステムは一般に、マーカの位置データを得るのと少なくとも実質的に同時に客観的出力を放射線投与装置に提供する。客観的出力は、例えば、ビーム21を制御する信号を放射線セッション中、同じ期間のうちに放射線投与装置20に送ることができるよう短い周期性(1〜20ミリ秒)及び短い待ち時間(10〜20ミリ秒)で提供されるのがよい。放射線ビームを停止させ又は活性化させる場合又はビームコリメータのリーフ(leaf)を調節する場合、一般に、周波数を極力大きくすると共に待ち時間を極力短くすることが望ましい。したがって、幾つかの実施形態では、所在突き止めシステムは、標的存在場所及び(又は)マーカ存在場所の客観的出力データを10ミリ秒以下の周期性及び10ミリ秒以下の待ち時間で提供するのがよい。
【0050】
方法90は、確認又は認定手順94を更に有し、この手順では、放射線セッション93からのリアルタイム客観的出力データを放射線ビームのパラメータの状態と比較する。例えば、標的の存在場所を放射線セッション93中の対応の時間間隔でビーム強度、ビーム位置及びコリメータ形態と相関させるのがよい。この相関を用いると、標的内及び標的の周りの別々の領域に送り出される放射線の線量を求めることができる。この情報は又、標的の形態又は標的軌道の変化に着目することにより、標的の或る特定の領域に対する放射線の効果を求めるために使用することもできる。
【0051】
方法90は、第1の決定(ブロック95)を更に有するのがよく、この第1の決定では、確認手順94からのデータを分析して治療が完了したかどうかを判定する。治療が完了していない場合、方法90は、第2の決定(ブロック96)を更に有し、この第2の決定では、確認手順の結果を分析して治療計画が標的の変化を補償するために修正されるべきであるかどうかを判定する。修正が必要な場合、この方法は、計画立案手順91の繰り返しに進むのがよい。他方、治療計画が適切な結果をもたらしている場合、この方法90は、放射線療法のその後の部分において準備手順92、放射線セッション93及び確認手順94を繰り返し行うことにより進むのがよい。
【0052】
所在突き止めシステム10は、高線量の放射線を狭いマージン内の標的に正確に投与する性能を高める幾つかの特徴を個々に又は互いに組み合わせて提供する。例えば、所在突き止めシステムの多くの実施形態は、患者の体内に植え込まれるリード線無し(リードレス)マーカを用い、これらリード線無しマーカが標的に対して実質的に固定されるようにする。したがって、マーカは、標的と共に直接動くか標的の動きに対し比例関係をなして動くかのいずれかを行う。その結果、呼吸、器官の充満、心機能又は他の要因によって引き起こされる標的の内部運動を医療手技前、医療手技中及び医療手技後に識別すると共に正確に追跡することができる。さらに、所在突き止めシステム10は、多くの特徴として、非イオン化エネルギーを用いて客観的出力をもたらす仕方でリード線無しマーカを外部の絶対座標系で追跡する。一般に、客観的出力は、所在突き止めシステム10が標的を追跡して客観的出力を提供している間、人にデータ(例えば、画像)を解釈させないで、コンピュータで求められる。これにより、マーカの位置を検出する時点と客観的出力が装置又はユーザに提供される時点との間の待ち時間が大幅に減少する。例えば、これにより、標的の存在場所に応答する客観的出力をマーカの位置データの収集と少なくとも実質的に同時に提供できる。このシステムも又、データ(例えば、画像)の主観的な解釈に付きもののユーザ自身に関わるばらつきを効果的に無くす。
【0053】
上述した実施形態では、マーカ40は、マーカが患者の体内で標的2と一緒に動くようにするために標的2内又はその隣りに皮下的に植え込まれるものとして説明されると共に図示されている。変形実施形態では、マーカを標的2の近くに植え込むのに加えて、患者の外面に実装してもよい。かかる表面取付け型マーカをテープ又は他のタイプの接着剤を用いて患者に実質的に固定された位置で着脱自在に付着させるのがよい。
【0054】
表面取付け型マーカは、放射線治療プログラムの実施中、患者のベースライン(基線)胴回り(前後寸法及び横寸法)をモニタするのに有用な場合がある。患者分離値と呼ばれるベースライン胴回り測定値は、化学療法又は放射線療法の効果のために経時的に変化する場合がある。患者分離値のかかる変化は、治療計画を無効にする場合がある。というのは、放射線ビームを減衰させるのに有効な組織の量が少ないからである。コントローラ80は、表面取付け型マーカ相互間の相対距離の測定結果に基づいて患者分離値の変化の程度を検出することができる。患者分離値の変化の測定された程度が所定の限度を超えている場合、コントローラ80は、治療計画を練り直す旨の警告メッセージを送ることができる。
【0055】
表面取付け型マーカは、放射線療法手順の実施前及び(又は)実施中、患者準備手順を改良するために使用することもできる。例えば、表面マーカの存在場所を用いると、患者の外皮と線形アクチュエータ又はテーブルトップとの間の標的と皮膚との間の距離(Target Skin Distance)又は源と皮膚の間の距離(Source Skin Distance)を計算することができる。
【0056】
C.運搬器具、マーカ及び所在突き止めシステムの特定の実施形態
運搬器具、マーカ、励振源、センサ及びコントローラの以下の特定の実施形態は、図1〜図7を参照して上述したシステム及び方法を実施する上での追加の詳細を提供する。本発明者は、多くの課題を解決して(a)ワイヤレスで送られる励振エネルギーに応答してワイヤレスで送られるロケーション信号を生じさせ、(b)患者の肺の中又はその近くに植え込まれるのに十分小さな断面を持つマーカの存在場所を正確に突き止める運搬器具、マーカ及び所在突き止めシステムを開発した。これら特徴を備えたシステムは、幾つかの実用上の利点を有し、かかる利点としては、(a)イオン化放射線が不要であること、(b)マーカとセンサとの間に視準線(line-of-sight)が不要であること、(c)標的の存在場所及び(又は)回転の客観的な測定が行えることが挙げられる。当業者が患者の肺の中にある腫瘍に関する放射線療法のためのかかる所在突き止めシステムを構成してこれを利用することができるよう以下の特定の実施形態について十分詳細に説明するが、本発明は、運搬器具、マーカ、励振源、センサ組立体及び(又は)コントローラの以下の実施形態には限定されない。
【0057】
1.運搬器具
本発明の幾つかの実施形態の一特徴は、マーカ40を患者の肺の中に位置する腫瘍の中に又は少なくともその近くに送り込み又は配備することにある。図8は、マーカ40を患者の体内に配備するための運搬器具800の断面図である。運搬器具800は、患者の呼吸器系内の管腔を通るよう形作られた気管支鏡、カテーテル又は他の器具であるのがよい。運搬器具800は、取っ手802及び取っ手802に取り付けられた細長い本体804を有する。より詳細に説明すると、細長い本体804は、取っ手802のところに位置する近位部分806及び呼吸器系の管腔を通るよう形作られた遠位部分808を有する。多くの実施形態では、細長い本体804の遠位部分808は、可撓性(フレキシブル)であるが、他の実施形態では、細長い本体全体が可撓性又は剛性であってよい。マーカ40は、患者の体内への配備が可能なように細長い本体804の遠位部分808によって支持されている。幾つかの実施形態では、運搬器具800は、マーカ40を患者の体内に放出するよう取っ手802から操作可能な配備機構体810を更に有する。配備機構体810は、マーカ40を細長い本体804の遠位部分808から押し出すプッシュロッドであるのがよい。変形実施形態では、配備機構体810は、カニューレ及びカニューレ内に摺動自在に受け入れられたスタイレットを有してもよい。この実施形態では、カニューレ及びスタイレットは、細長い本体804の遠位部分808を越えて遠位側へ突き出るよう一緒に動くよう構成され、この場合、マーカを患者の体内に放出するためにカニューレをスタイレットに対して近位側へ引っ込めるのがよい。運搬器具800に使用できるカニューレ及びスタイレットの例示の実施形態について図9を参照して以下に説明する。
【0058】
運搬器具800は、取っ手802から操作できる舵取り機構体812を更に有している。舵取り機構体812は、遠位部分808のところに設けられた取付け箇所及び細長い本体804に対して長手方向に動くよう構成された摺動可能な部材814を有するのがよい。摺動可能な部材814の長手方向の運動により、遠位部分808は、呼吸器系の管腔の曲り部及び二股部を通って運搬器具800を舵取りする仕方で撓む。他の実施形態では、舵取り機構体は、可撓性支持要素及び可撓性支持要素に取り付けられた可撓性制御要素を有し、制御要素に張力が加えられると、可撓性支持要素が撓むようになっている。適当な舵取り機構体が、米国特許第6,702,780号明細書及び米国特許出願公開第2003/0208101号明細書に記載されており、これら両方の特許文献を参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。
【0059】
図9は、本発明の別の実施形態の運搬器具820の等角図である。運搬器具820は、マーカ40を患者の肺の中に経胸郭的経皮的に植え込むための針又は他形式の導入器であるのがよい。運搬器具820は、取っ手822、取っ手822内に受け入れられたスライダ824及びスライダ824に取り付けられたアクチュエータ826を有する。運搬器具820は、スライダ824に取り付けられたカニューレ828及び取っ手822に固定的に取り付けられたスタイレット829を更に有する。使用にあたり、カニューレ828及びスタイレット829を患者の体内に経皮的に挿入する。マーカ40が標的に対して所望の場所に位置したとき、アクチュエータ826を近位側へ引いてスライダ824を取っ手822内で近位側へ移動させる。この移動により、カニューレ828がスタイレット829上でこれに沿って引っ込められてマーカ40が患者の体内に放出される。マーカの経皮植え込みを可能にする運搬器具820及び運搬器具の幾つかの他の実施形態が、米国特許出願第60/590,521号明細書及び同第10/334,699号明細書に記載されており、これら両方の特許文献を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0060】
図10は、本発明の方法の実施形態によるマーカの配備方法の概略断面図である。図10は特に、患者の呼吸器系850の一部を示している。呼吸器系850は、胸郭870内に位置し、胸部872及び横隔膜876によって形成された空間を占める。呼吸器系850は、気管852、左主気管支854、右主気管支856及び主気管支から互いに枝分かれした複数本の気管支858を更に有している。例えば、気管支858としては、一次気管支(肺葉気管支)、一次気管支から枝分かれした二次気管支(分節気管支)及び二次気管支から枝分かれした三次気管支(区画気管支)が挙げられる。気管支は、肺葉861,862,863,864,865に通じる通路となる。
【0061】
本発明による装置及び方法の幾つかの実施形態の一特徴は、運搬器具800を標的に関連して所望の部位に正確に案内することにある。一実施形態では、運搬器具の遠位部分を案内するのに、マーカを上述したマーカ40a〜40cの所在突き止めと類似した仕方で放出する前に、マーカ40の所在をリアルタイムで突き止めるのがよい。他の実施形態では、運搬器具800は、上述した方法に従って本体804に固定され、所在場所が突き止められるマーカ40と類似した別個のリード線無しマーカを有するのがよく、又は、運搬器具800は、X線透視による所在突き止めが可能なように本体に固定された放射線不透過性マーカを有するのがよい。さらに別の実施形態では、運搬器具800は、カテーテルの先端部の存在場所を電磁的に突き止める複数個のセンサ及び(又は)トランスポンダを備えたワイヤードシステムを有するのがよい。ワイヤードマーカは、運搬器具800に取り付けられ、リード線無しマーカ40に加えて、細長い本体804の遠位部分808のところで放出可能に支持される。適当なワイヤードナビゲーションシステムは、以下の米国特許及び米国特許出願公開、即ち、米国特許第6,833,814号、米国特許第6,711,429号、米国特許第6,615,155号、米国特許第6,574,498号、米国特許第6,558,333号、米国特許第6,188,355号、同第6,226,543号、同第6,593,884号、米国特許出願公開第2004/0006268号、同第2002/0193686号、同第2003/0074011号、同第2003/0216639号、同第2001/0031985号、同第2003/0160721号、同第2002/0062203号、同第2002/0042571号、及び同第2002/0005719号に開示されており、これら特許文献を参照により引用し、これらの開示内容全体を本明細書の一部とする。変形実施形態では、運搬器具800を当該技術分野において知られた蛍光透視又は光学(例えば、気管支鏡)手技下で案内できる。
【0062】
マーカを呼吸器系の管腔内に配備するため、代表的には、細長い本体804の遠位部分808を患者の口又は鼻に通して気管852内に挿入する。細長い本体804が剛性の場合、代表的には、細長い本体の遠位部分を気管852又は気管852の全体として近位側の肺の別の通路に沿って位置決めする。図10に示す実施形態では、細長い本体804は、可撓性であり、この細長い本体を案内して多くの気管支内に舵取りしてマーカを肺の中へより深く位置決めするのがよい。細長い本体804の遠位部分808を、磁気、光学又はX線透視誘導システムを用いて上述したような場所に案内することができる。加うるに、上述した舵取り機構体又は遠位部分808の方向を変化させる他の適当な機構体を用いて細長い本体804の遠位部分808を舵取りすることができる。マーカ40が腫瘍と関連した所望の場所にあるとき、マーカ40を細長い本体804から放出し、肺の特定の通路内に植え込む。
【0063】
変形実施形態では、細長い本体804の遠位部分808を通路のうちの1本の管腔壁に通してマーカ40を肺の組織又は肺の近くに位置する他の組織内に植え込む。別の変形実施形態では、経皮インプラント、例えば図9に示す運搬器具820を胸郭870に通してマーカを肺の組織内に植え込む。
【0064】
2.マーカ
図11Aは、マーカ40のうちの1つの実施形態を示す断面図である。この実施形態では、マーカ40は、トランスポンダ42を有し、このトランスポンダは、コア44、コア44の周りに設けられたコイル46及びコイル46に電気的に結合されたキャパシタ48を有する。コア44は代表的には、フェライトで構成され、コイル46は、コア44の周りに施されたワイヤの複数本の巻線を有する。トランスポンダ42を患者の体内に植え込まれるよう構成されたカプセル49に収納するのがよい。カプセル49は代表的には、生体適合性材料で作られる。トランスポンダ42は、多くの用途で小さな断面寸法を有する。例えば、トランスポンダ42は、直径が0.5〜3mm、望ましくは1〜2mmの円筒形部分を有するのがよい。トランスポンダ42は、ワイヤレスで送られた励振エネルギーを受け取り、この励振エネルギーに応答してワイヤレスで送られるロケーション信号を出す共振磁気回路である。したがって、トランスポンダ42は、励振エネルギーがトランスポンダに電力供給する共振周波数を有する。所在突き止めシステム10及びマーカ40の種々の実施形態の幾つかの特定の細部について図11B〜図24を参照して以下に説明する。
【0065】
図11Aに示すマーカ40は、マーカ40を患者6の肺4の中又はこれに隣接して位置する通路に取り付けるアンカを更に有している。図11Aに示すアンカ50は、カプセル49に取り付けられた螺旋ステントである。アンカ50は、引っ込み位置と配備位置との間でマーカの長手方向軸線に関して半径方向に動く。アンカ50は例えば、引っ込み位置では、気管支鏡又は経皮経胸郭導入器に嵌まり込む第1の直径D1を有するのがよい。アンカ50は、導入器から突き出された後、配備位置において管腔(例えば、呼吸路)の内壁に係合する、第1の直径D1よりも大きな第2の直径D2に拡張する。使用にあたり、アンカ50は、管腔の内壁に半径方向外方に圧接してマーカ40を通路内に保持する。アンカ50は、米国特許出願第10/438,550号明細書(この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする)に記載されているような他の実施形態を更に有することができ、アンカ50を図12A〜図16を参照して以下に説明するマーカのうち任意のものに使用することができる。
【0066】
図11Bは、マーカ40を患者6の肺4の中又はこの近くの通路内に固定するアンカ880の別の実施形態を備えたマーカ40を示している。アンカ880は、複数個のリンク884により支持された傘状カバー882を有し、これらリンクは、実線で示す収納位置から破線で示す配備位置に外方へ(矢印O)動く。アンカ880は、マーカ40をアンカ880に連結するテザー又は取付け器具886を更に有している。使用にあたり、アンカ880は、マーカをカテーテル又は気管支鏡から放出したときに、配備位置に拡張してマーカを管腔内に保持する。
【0067】
図11Cは、本発明の別の実施形態によるアンカ890を備えたマーカ40を示している。この実施形態では、アンカ890は、円筒形部分892及び円筒形部分892に取り付けられていて、円筒形部分892を半径方向外方へ押圧する弾性部材894を更に有している。アンカ890は、マーカ40をアンカ890に取り付けるテザー896を更に有している。アンカ880,890及びマーカ40の配備のための他の適当なアンカは、以下の米国特許及び米国特許出願公開、即ち、米国特許第6,258,100号、米国特許第6,592,594号及び米国特許出願第2003/0212412号に開示されており、これら特許文献を参照により引用し、これらの開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0068】
図12Aは、所在突き止めシステム10(図1〜図7)に用いられるマーカ100の等角図である。図12Aに示すマーカ100の実施形態は、ケーシング110及びケーシング110内に設けられた磁気トランスポンダ120(例えば、共振回路)を有する。ケーシング110は、患者の体内に植え込まれ又は器械の本体内に収納されるよう形作られたバリヤである。変形例として、ケーシング110は、患者の皮膚に外部からくっつけられるよう構成されていてもよい。ケーシング110は、小径の導入器、例えば、気管支鏡又は経皮経胸郭インプラントのボア内に嵌まり込むよう寸法決めされた全体として円筒形のカプセルであるのがよいが、ケーシング110は、他の形態を有すると共にこれよりも大きな又は小さいものであってよい。ケーシング110は、例えば、ケーシング110を軟組織内に定着させる棘又は他の特徴部、或いは、ケーシング110を患者の皮膚に外部から取り付ける接着剤を有するのがよい。マーカ100を患者に固定する適当な定着機構体が、米国を指定国とする国際公開第02/39917号パンフレットに開示されており、この国際公開を参照により引用し、この開示内容を本明細書の一部とする。一実施形態では、ケーシング110は、(a)閉鎖端部114及び開口端部116を備えたカプセル又はシェル112及び(b)シェル112の開口端部116内に設けられたシーラント118を有している。ケーシング110及びシーラント118は、プラスチック、セラミック、ガラス又は他の適当な生体適合性材料で作られたものであるのがよい。
【0069】
磁気トランスポンダ120は、上述したようにワイヤレスで送られた励振場に応答してロケーション信号をワイヤレスで送る共振回路を有するのがよい。この実施形態では、磁気トランスポンダ120は、導体124の複数本の巻線で構成されたコイル122を有している。磁気トランスポンダ120の多くの実施形態は、コイル122に結合されたキャパシタ126を更に有する。コイル122は、選択された共振周波数で共振する。コイル122は、キャパシタを設けていない状態で、巻線の寄生キャパシタンスを用いるだけで共振周波数で共振することができ、又は、コイル122とキャパシタ126の組合せを用いて共振周波数を生じさせることができる。したがって、コイル122は、それ自体によるかキャパシタ126との組合せによるかのいずれかで励振エネルギーに応答して選択された共振周波数で交番磁界を発生させる。図示の実施形態の導体124は、ゲージ(番数)が約45〜52の熱風又はアルコール結合ワイヤであるのがよい。コイル122は、800〜1,000個のターンを有するのがよく、巻線は好ましくは、密な成層コイルの状態に巻回される。磁気トランスポンダ120は、適当な透磁率を有する材料で構成されたコア128を更に有するのがよい。例えば、コア128は、フェライト又は別の材料で構成された強磁性要素であるのがよい。磁気トランスポンダ120を接着剤129によってケーシング110に固定するのがよい。
【0070】
マーカ100は、マーカをX線撮影像中で一層識別可能にするよう、マーカのX線撮影像を際立たせるイメージング要素を更に有する。イメージング要素は、X線撮影像中にX線撮影プロフィールを更に有し、従って、マーカは、磁気トランスポンダ120の磁気中心と少なくともほぼ一致したX線写真中心を有するようになる。以下に詳細に説明するように、X線写真中心及び磁気中心は、互いに正確に一致する必要がなく、それどころか、許容可能な範囲内にあればよい。
【0071】
図12Bは、図12Aの12B−12B線に沿って取ったマーカ100の断面図であり、この図12Bは、本発明の実施形態によるイメージング要素130を示している。図12A及び図12Bに示すイメージング要素130は、第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134を有している。第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134は全体として、マーカ100が磁気トランスポンダ120の磁気中心Mcと少なくとも実質的に一致するX線写真中心Rcを有するように磁気トランスポンダ120に対して構成されている。例えば、イメージング要素130が2つのコントラスト要素を有している場合、コントラスト要素は、磁気トランスポンダ120及び(又は)互いに対して対称に配置されるのがよい。コントラスト要素は又、磁気トランスポンダ120からX線撮影的に別個のものであるのがよい。かかる実施形態では、互いに別個のコントラスト要素の対称配置により、X線撮影像中のマーカ100のX線写真中心を正確に見極める性能が向上する。
【0072】
図12A及び図12Bに示す第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134は、コア128の互いに反対側の端部のところに位置決めされた連続リングである。第1のコントラスト要素132は、コア128の第1の端部136aのところ又はその辺りに位置するのがよく、第2のコントラスト要素134は、コア128の第2の端部136bのところ又はその辺りに位置するのがよい。図12A及び図12Bに示す連続リングは、実質的に同一の直径及び厚さのものである。他の実施形態では、しかしながら、第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134は、他の形態を有すると共に(或いは)コア128に対して他の場所に位置してもよい。例えば、第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134は、直径及び(又は)厚さの互いに異なるリングであってもよい。
【0073】
イメージング要素130により生じた画像のX線写真中心は、磁気中心Mcと絶対に一致している必要はなく、それどころか、X線写真中心及び磁気中心は、許容可能な範囲にあることが必要である。例えば、X線写真中心Rcは、X線写真中心Rcと磁気中心Mcとの間のオフセットが約5mm以下である場合、磁気中心Mcと少なくともほぼ一致していると考えることができる。より厳格な用途では、磁気中心Mc及びX線写真中心Rcは、これら中心相互間のオフセットが2mm又は1mm未満である場合、互いに少なくとも実質的に一致していると考えられる。他の用途では、磁気中心Mcは、磁気中心McとX線写真中心Rcが磁気トランスポンダ120及び(又は)マーカ100の長さの半分以下の距離だけ互いに間隔を置いて位置している場合、X線写真中心Rcと少なくともほぼ一致している。
【0074】
イメージング要素130は、X線撮影像を生じさせるのに用いられる放射線ビームの入射光子の高いフラクションを吸収する材料で作られると共に適切に構成されたものであるのがよい。例えば、イメージング放射線がメガボルト範囲内の高い加速電圧を有している場合、イメージング要素130は、イメージング要素に入射する光子フリューエンスのうち、結果的に得られるX線写真中に見えるに足るほどの量を吸収するのに十分な厚さ及び断面積を備えた高密度材料で作られる。治療に用いられる多くの高エネルギービームは、6MV〜25MVの加速電圧を有し、これらビームは、5MV〜10MV、又はより具体的には6MV〜8MVのX線写真像を生じさせるために用いられる場合が多い。したがって、イメージング要素130は、5MV〜10MVの加速電圧、又はより具体的には6MV〜8MVの加速電圧を持つビームを用いて得られる像中に見える入射光子フリューエンスを十分に吸収する材料で作られるのがよい。
【0075】
イメージング要素130の幾つかの特定の実施形態を金、タングステン、白金及び(又は)他の高密度金属で作るのがよい。これら実施形態では、イメージング要素130は、19.25g/cm3の密度(タングステンの密度)及び(又は)21.4g/cm3の密度(白金の密度)を有する材料で構成されるのがよい。したがって、イメージング要素130の多くの実施形態は、密度が19g/cm3以上である。しかしながら、他の実施形態では、イメージング要素130の材料は、密度が実質的にこれよりも低くてもよい。例えば、低密度材料で構成されたイメージング要素は、X線写真像を作るのに低エネルギー放射線を用いる用途に適している。さらに、第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134は、第1のコントラスト要素132が第1の材料で作られ、第2のコントラスト要素134が、第2の材料で作られるように互いに異なる材料で構成されるのがよい。
【0076】
図12Bを参照すると、マーカ100は、キャパシタ126から見てコア128の反対側の端部のところにモジュール140を更に有するのがよい。図12Bに示すマーカ100の実施形態では、モジュール140は、X線撮影像の対称性を高めるようキャパシタ126に対して対称であるように構成されている。第1及び第2のコントラスト要素132,134の場合と同様、モジュール140及びキャパシタ126は、マーカの磁気中心がマーカ100のX線写真中心と少なくともほぼ一致する。モジュール140は、キャパシタ126と同一の別のキャパシタであってもよく、或いは、モジュール140は、電気的に不活性な要素であってもよい。適当な電気的に不活性のモジュールとしては、キャパシタ126のような形状をしていて、互いに対称であるようにコイル122、コア128及びイメージング要素130に関連して配置されたセラミックブロックが挙げられる。さらに別の実施形態では、モジュール140は、磁気トランスポンダ120に電気的に結合された異なるタイプの電気的に活性な要素であってもよい。
【0077】
マーカを用いる特定の一方法では、第1のモダリティを用いてマーカを画像化し、次に第2のモダリティを用いて患者の標的及び(又は)マーカを追跡する。例えば、標的に対するマーカの存在場所を突き止めるには、放射線を用いてマーカ及び標的を画像化するのがよい。次に、励振エネルギーに応答してマーカにより生じた磁界を用いてマーカ及び(又は)標的の所在を突き止めてこれらを追跡してもよい。
【0078】
図12A〜図12Bに示すマーカ100は、マーカと患者の標的との間の相対位置をより正確に求めるために従来型磁気マーカと比較して高度化されたX線撮影像を提供することが見込まれる。図12Cは、例えば、マーカ100のX線撮影像150及び患者の標的Tを示している。第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134は、X線撮影像150中においてより明確であることが見込まれる。というのは、これらコントラスト要素は、磁気トランスポンダ120のコンポーネントよりも高い密度の材料で構成されている場合があるからである。したがって、第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134は、磁気トランスポンダ120のコンポーネントが像中に見える用途においてダンベル形状の球状端部として見える場合がある。或る特定のメガボルト用途では、磁気トランスポンダ120のコンポーネントは、X線撮影像150上で全く見えない場合があり、従って、第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134は、互いに別々の明確に区分された領域として見えることになろう。いずれの実施形態においても、第1のコントラスト要素132及び第2のコントラスト要素134は、マーカ100のX線写真中心Rcの存在場所を像150中に突き止めることができる座標系を提供する。さらに、イメージング要素130は、X線写真中心Rcが磁気中心Mcと少なくともほぼ一致するよう構成されているので、標的Tと磁気中心Mcとの間の相対的なオフセット又は位置は、マーカ100を用いて正確に求めることができる。したがって、図12A〜図12Cに示すマーカ100の実施形態は、X線写真像中のマーカのX線写真中心及び磁気中心を不正確に推定することにより生じる誤差を軽減することが見込まれる。
【0079】
図13Aは、内部コンポーネントを示すための切除部分を備えたマーカ200の等角図であり、図13Bは、図13Aの13B−13B線に沿って取ったマーカ200の断面図である。マーカ200は、上記の図12Aに示すマーカ100とほぼ同じであり、かくして、同一の参照符号は、同一のコンポーネントを示している。マーカ200は、マーカ200が単一のコントラスト要素により構成されるイメージング要素230を有している点においてマーカ100とは異なっている。イメージング要素230は一般に、磁気トランスポンダ120に対して、マーカ200のX線写真中心が磁気トランスポンダ120の磁気中心と少なくともほぼ一致するように構成されている。イメージング要素230は、より具体的に説明すると、磁気トランスポンダ120の中間領域のところでコイル122の周りに延びるリングである。イメージング要素230は、図12A及び図12Bのイメージング要素130に関して上述したのと同じ材料で構成されるのがよい。イメージング要素230は、コイル122の外径にほぼ等しい内径及びケーシング110内の外径を有するのがよい。しかしながら、図13Bに示すように、イメージング要素230の内周部とコイル122の外周部との間にスペーサ231を設けるのがよい。
【0080】
マーカ200は、上述したマーカ100とほぼ同じ仕方で動作することが見込まれる。しかしながら、マーカ200は、X線写真像中に2つの明確で別々な点をもたらす2つの別々のコントラスト要素を備えていない。イメージング要素230は、これがX線写真像中のマーカ200のX線写真中心を識別する点において依然として非常に有用であり、このイメージング要素は、マーカ200のX線写真中心が磁気トランスポンダ120の磁気中心と少なくともほぼ一致するように構成されているのがよい。
【0081】
図14Aは、切除部分を備えたマーカ300の等角図であり、図14Bは、図14Aの14B−14B線に沿って取ったマーカ300の断面図である。マーカ300は、図13A及び図13Bに示すマーカ200と実質的に同じであり、かくして、同一の参照符号は、図12A〜図14Bにおいて同一のコンポーネントを示している。イメージング要素330は、磁気トランスポンダ120に対して、マーカ300のX線写真中心が磁気トランスポンダ120の磁気中心と少なくともほぼ一致するように構成された高密度リングであるのがよい。マーカ300は、具体的に説明すると、ケーシング110の周りに設けられたイメージング要素330を有する。マーカ300は、図13A及び図13Bに示すマーカ200と非常によく似た仕方で動作することが見込まれる。
【0082】
図15は、本発明の別の実施形態によるマーカ400を示す切除部分を備えた等角図である。マーカ400は、図12A〜図12Cに示すマーカ100とほぼ同じであり、かくして、同一の参照符号は、これらの図における同一のコンポーネントを示している。マーカ400は、磁気トランスポンダ120の一端部のところに設けられた第1のコントラスト要素432及び磁気トランスポンダ120の別の端部のところに設けられた第2のコントラスト要素434を含むイメージング要素430を有している。第1のコントラスト要素432及び第2のコントラスト要素434は、適当な高密度材料で構成された球体である。コントラスト要素432,434は例えば、金、タングステン、白金又はX線撮影画像化に用いられる他の適当な高密度材料で構成されるのがよい。マーカ400は、上述したように、マーカ100と同様な仕方で動作することが見込まれる。
【0083】
図16は、本発明の更に別の実施形態によるマーカ500の切除部分を備えた等角図である。マーカ500は、図12A及び図15に示すマーカ100,400と実質的に同じであり、かくして、同一の参照符号は、これらの図において同一のコンポーネントを示している。マーカ500は、第1のコントラスト要素532及び第2のコントラスト要素534を含むイメージング要素530を有している。第1のコントラスト要素532及び第2のコントラスト要素534を磁気トランスポンダ120の互いの反対側の端部の近くに位置決めするのがよい。第1のコントラスト要素532及び第2のコントラスト要素534は、渦電流を減少させるための隙間535を備えた不連続リングであるのがよい。コントラスト要素532,534は、本発明の他の実施形態の他のイメージング要素のコントラスト要素に関し上述したのと同一の材料で構成されるのがよい。
【0084】
本発明のマーカの追加の実施形態は、ケーシング110、磁気トランスポンダ120のコア128(図12B)及び(又は)ケーシング内に設けられた接着剤129(図12B)に組み込まれ又は違ったやり方でこれらと一体のイメージング要素を有するのがよい。例えば、高密度材料の粒子をフェライトと混合して押し出してコア128を形成するのがよい。変形実施形態では、高密度材料の粒子とガラス又は別の材料を混合してケーシング110を形成し又はケーシング110を高密度材料で被覆してもよい。さらに別の実施形態では、高密度材料を接着剤129と混合してケーシング110内に射出してもよい。これら実施形態のうちどれも、ケーシング110、コア128及び(又は)接着剤129の組合せに高密度材料を混ぜ込むのがよい。適当な高密度材料としては、上述したようなタングステン、金及び(又は)白金が挙げられる。
【0085】
図12A〜図16を参照して上述したマーカは、所在突き止めシステム10(図1〜図7)のマーカ40に使用できる。所在突き止めシステム10は、同じタイプのイメージング要素を備えた幾つかのマーカを有してもよく、或いは、種々のイメージング要素を備えたマーカを本器械に用いてもよい。これらマーカ及びマーカの他の実施形態の幾つかの追加の細部は、米国特許出願第10/334,698号明細書及び同第10/746,888号明細書に記載されており、これら米国特許出願を参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。例えば、マーカは、低エネルギー放射線を含む用途に関しイメージング要素を備えていなくてもよく、或いは、マーカは、米国特許出願第10/334,698号明細書に記載されているようなMRIイメージングとの問題を軽減するよう量を減少させたフェライト及び金属を有してもよい。
【0086】
3.所在突き止めシステム
図17は、座標系に対するマーカ40(概略的に示されている)の絶対存在場所を突き止める所在突き止めシステム1000の概略ブロック図である。所在突き止めシステム1000は、励振源1010、センサ組立体1012、センサ組立体1012に作動的に結合された信号プロセッサ1014、及び励振源1010及び信号プロセッサ1014に作動的に結合されたコントローラ1016を有する。励振源1010は、図3を参照して上述した励振源60の一実施形態であり、センサ組立体1012は、図3を参照して上述したセンサ組立体70の一実施形態であり、コントローラ1016は、図3を参照して上述したコントローラ80の一実施形態である。
【0087】
励振源1010は、マーカ40の共振周波数に一致する選択された周波数のエネルギーを持つ波形を有する磁界を発生させるよう調節可能である。励振源1010により生じる磁界は、マーカにこれらのそれぞれの周波数でエネルギーを与える。マーカ40にエネルギーを与えた後、励振源1010は、瞬間的に「オフ」位置に切り替わり、従ってパルス化励振磁場が停止される一方でマーカは、ロケーション信号をワイヤレスで送るようになっている。これにより、センサ組立体1012は、励振源1010からのかなり強力な磁場に起因する測定可能な干渉無く、マーカ40からのロケーション信号を検出することができる。したがって、励振源1010により、センサ組立体1012は、マーカ40からのロケーション信号を十分なSN比で測定することができ、従って、信号プロセッサ1014又はコントローラ1016は、基準系に対するマーカ40の絶対存在場所を正確に計算することができるようになっている。
【0088】
a.励振源
依然として図17を参照すると、励振源1010は、高電圧電源1040、電源1040に結合されたエネルギー貯蔵装置1042、及びエネルギー貯蔵装置1042に結合された切り換えネットワーク1044を有している。励振源1010は、切り換えネットワーク1044に結合されたコイル組立体1046を更に有している。一実施形態では、電源1040は、500ボルト電源である。ただし、これよりも高い電圧又は低い電圧の他の電源を使用してもよい。エネルギー貯蔵装置1042は、一実施形態では、電源1040により充電でき、比較的一定の充電状態に維持できる高電圧キャパシタである。エネルギー貯蔵装置1042は変形例として、エネルギーを放出したりコイル組立体1046のコイルからエネルギーを受け取る。
【0089】
エネルギー貯蔵装置1042における電圧降下を減少させるのに適切なエネルギーを貯蔵でき、他方、電力損を減少させるよう低い直列抵抗を備える。エネルギー貯蔵装置1042は又、コイル組立体1046をより効率的に駆動するよう低い直列インダクタンスを有する。エネルギー貯蔵装置1042に適したキャパシタとしては、フラッシュエネルギー用途に用いられるアルミニウム電解キャパシタ(コンデンサ)が挙げられる。変形例としてのエネルギー貯蔵装置としては又、NiCd電池、鉛電池並びに他のキャパシタタイプ、例えば、タンタル、フィルム等が挙げられる。
【0090】
切り換えネットワーク1044は、個々のH−ブリッジスイッチ1050(個々に参照符号1050a〜1050dで示されている)を有し、コイル組立体1046は、個々のソースコイル1052(個々に参照符号1052a〜1052dで示されている)を有する。各H−ブリッジスイッチ1050は、エネルギー貯蔵装置1042とソースコイル1052のうちの1つとの間のエネルギーの流れを制御する。例えば、H−ブリッジスイッチ#11050aは、ソースコイル#11052aへのエネルギーの流入/流出を別個独立に制御し、H−ブリッジスイッチ#21050bは、ソースコイル#21052bへのエネルギーの流入/流出を別個独立に制御し、H−ブリッジスイッチ#31050cは、ソースコイル#31052cへのエネルギーの流入/流出を別個独立に制御し、H−ブリッジスイッチ#41050dは、ソースコイル#41052dへのエネルギーの流入/流出を別個独立に制御する。したがって、切り換えネットワーク1044は、ソースコイル1052a〜1052dの各々により別個独立に発生する磁界の位相を制御する。H−ブリッジ1050は、全てのソースコイル1052に関する電気信号が同相(位相が同じ)であるように構成されてもよく、或いは、H−ブリッジスイッチ1050は、ソースコイル1052のうちの1つ又は2つ以上の位相が180°ずれるように構成されてもよい。さらに、H−ブリッジスイッチ1050は、ソースコイル1052の1つ又は2つ以上に関する電気信号の位相が、互いに異なる位相を持つ磁界を同時に生じさせるよう0°〜180°ずれるように構成されたものであってもよい。
【0091】
ソースコイル1052を座標系に対して固定された同一平面上に位置するアレイの状態に配置するのがよい。各ソースコイル1052は、平らで実質的に矩形のコイルを形成するよう配置された正方形の平面状巻線であるのがよい。ソースコイル1052は、種々の実施形態において他の形状及び他の形態を有していてもよい。一実施形態では、ソースコイル1052は、プリント回路板の層中に形成された個々の導電性ライン又はフォームフレーム中のワイヤの巻線である。変形例として、ソースコイル1052を互いに異なる基板に形成してもよく又はソースコイルのうち2つ又は3つ以上が互いに同一平面上に位置しないように配置されてもよい。加うるに、本発明の変形実施形態は、図17に示す数よりも少ない又は多いソースコイルを有してもよい。
【0092】
ソースコイル1052からの選択された磁界は、互いに組み合わさって、マーカ40を励振ボリューム内で任意の空間配向状態で励振するよう互いに異なる三次元形状を有するのがよい調節可能な励振場を形成する。ソースコイル1052の平面状アレイが全体として水平である場合、励振ボリュームは、コイル組立体1046の中央領域にほぼ一致する領域の上方に位置決めされる。励振ボリュームは、コイル組立体1046に隣接して位置する三次元空間であり、かかる空間内では、磁界の強度は、マーカ40に適切にエネルギーを与えるのに十分である。
【0093】
図18〜図20は、交番電気信号が図示のXYZ座標系に対して種々の軸線回りに励振場を発生させるよう位相の種々の組合せの状態でソースコイルに提供されるソースコイル1052の平面状アレイの略図である。各ソースコイル1052は、2つの外方側部1112及び2つの内方側部1114を有する。1つのソースコイル1052の各内方側部1114は、別のソースコイル1052の内方側部1114のすぐ隣りに位置するが、全てのソースコイル1052の外方側部1112は、他のどのソースコイル1052にも隣接して位置していない。
【0094】
図18の実施形態では、ソースコイル1052a〜1052dは各々、同一位相の交番電気信号を同時に受け取る。その結果、電流が、ソースコイル1052a〜1052dの全てを通って同一方向に流れ、1つのソースコイル(例えば、ソースコイル1052a)の内方側部1114に沿って流れる電流の方向1113が、2つの隣り合うソースコイル(例えば、ソースコイル1052c,1052d)の内方側部1114に沿って流れる電流の方向1113とは逆であるようになっている。したがって、内方側部1114に沿って生じる磁界は、互いに打ち消し合い、その結果、磁界は、ソースコイルの外方側部1112に沿って流れる電流から効果的に生じるようになっている。図18に示すソースコイル1052a〜1052dからの磁界の組合せにより形成される結果的に得られる励振場は、全体として励振ボリューム1109内のZ方向に向いた磁気モーメント1115を有する。この励振場は、Z軸に平行なマーカ又は角度成分がZ軸に沿って位置した(即ち、Z軸に直交していない)状態で位置決めされたマーカにエネルギーを与える。
【0095】
図19は、交番電気信号が異なる空間配向状態の第2の励振場を発生させるよう位相の第2の組合せ状態で出力されるソースコイル1052a〜1052dの略図である。この実施形態では、ソースコイル1052a,1052cは、互いに位相が合っており、ソースコイル1052b,1052dは、互いに位相が合っている。しかしながら、ソースコイル1052a,1052cは、ソースコイル1052b,1052dと位相が180°ずれている。ソースコイル1052a〜1052dからの磁界は、互いに組み合わさって、励振ボリューム1109内で全体としてY軸方向の磁気モーメント1217を有する励振場を発生させる。したがって、この励振場は、Y軸に平行なマーカ又は角度成分がY軸に沿って位置した状態で位置決めされたマーカにエネルギーを与える。
【0096】
図20は、交番電気信号が異なる空間配向状態の第2の励振場を発生させるよう位相の第3の組合せ状態で出力されるソースコイル1052a〜1052dの略図である。この実施形態では、ソースコイル1052a,1052bは、互いに位相が合っており、ソースコイル1052c,1052dは、互いに位相が合っている。しかしながら、ソースコイル1052a,1052bは、ソースコイル1052c,1052dと位相が180°ずれている。ソースコイル1052a〜1052dからの磁界は、互いに組み合わさって、励振ボリューム1109内で全体としてX軸方向の磁気モーメント1319を有する励振場を発生させる。したがって、この励振場は、X軸に平行なマーカ又は角度成分がX軸に沿って位置した状態で位置決めされたマーカにエネルギーを与える。
【0097】
図21は、ソースコイル1052a〜1052dの略図であり、Y軸に平行な長手方向軸線を備えたマーカ40にエネルギーを与えるための励振場1424を発生させる電流の流れを示している。切り換えネットワーク1044(図17)は、ソースコイル1052a〜1052dに送られる交番電気信号の位相が図18の形態とほぼ同じであるように構成されている。これにより、マーカ40にエネルギーを与えるY方向の磁気モーメントを備えた励振場1424が発生する。
【0098】
図22は、互いに異なる空間配向状態にあるマーカ40のうち任意のものにエネルギーを与える仕方で励振場を空間的に調節できることを更に示している。この実施形態では、切り換えネットワーク1044(図17)は、ソースコイル1052a〜1052dに送られる交番電気信号の位相が図18の形態とほぼ同じであるように構成されている。これにより、Z軸に平行な長手方向軸線を備えるマーカ40にエネルギーを与えるZ方向の磁気モーメントを備えた励振場が生じる。
【0099】
励振ボリューム1109内の励振場の空間形態を迅速に調節するには、切り換えネットワークを操作してソースコイル1052a〜1052dに送られる電気信号の位相を変化させるのがよい。その結果、磁気励振場全体を変化させると、励振ボリューム1109内でX方向、Y方向又はZ方向かのいずれかに差し向けることができる。励振場の空間配向状態のこの調節により、励振ボリューム1109内のブラインドスポットが減少し又は無くなる。したがって、励振ボリューム1109内のマーカ40を、リード線無しマーカの空間配向状態とは無関係にソースコイル1052a〜1052dによりエネルギーを与えることができる。
【0100】
一実施形態では、励振源1010は、センサ組立体1012に結合されていて、切り換えネットワーク1044(図17)がセンサ組立体により受け取られた信号の強度に応じて、X軸、Y軸及びZ軸に沿う励振場のパルス化発生の向きを調節するようになっている。マーカ40からのロケーション信号が不十分な場合、切り換えネットワーク1044は、次のソースコイル1052a〜1052dのパルス化中、励振場の空間配向状態を自動的に変化させて異なる軸線の方向又は軸線相互間の方向にモーメントを備えた励振場を発生させることができる。切り換えネットワーク1044をセンサ組立体1012がマーカから十分なロケーション信号を受け取るまで操作するのがよい。
【0101】
図17に示す励振源1010は、マーカ40に電力供給するよう励振位相中、ソースコイル1052a〜1052dに交互にエネルギーを与え、次に、センサ組立体1012がマーカ40によりワイヤレスで送られた減衰中のロケーション信号を検出する検出段階中、ソースコイル1052a〜1052dを能動的に消勢する。ソースコイル1052a〜1052dを能動的にエネルギーを与えたり消勢するため、切り換えネットワーク1044は、交互に、蓄えられているエネルギーをエネルギー貯蔵装置1042からソースコイル1052a〜1052dに送ったり、次にソースコイル1052a〜1052dからのエネルギーをエネルギー貯蔵装置1042に再び送り戻すよう構成されている。切り換えネットワーク1044は、交互に第1の「オン」位置と第2の「オン」位置を取ってソースコイル1052に加わる電圧が正の極性と負の極性を交互に取るようになっている。例えば、切り換えネットワーク1044が第1の「オン」位置に切り換えられると、エネルギー貯蔵装置1042中のエネルギーは、ソースコイル1052a〜1052dに流れる。切り換えネットワーク1044が第2の「オン」位置に切り換えられると、極性が逆になってソースコイル1052a〜1052d中のエネルギーが能動的にソースコイル1052a〜1052dから引き出されてエネルギー貯蔵装置1042に戻されるようになる。その結果、ソースコイル1052a〜1052d中のエネルギーは、エネルギー貯蔵装置1042に迅速に送り戻されてソースコイル1052a〜1052dから送られる励振場を急停止させ、エネルギー貯蔵装置1042により消費される電力を節約する。これにより、環境からの励振エネルギーが除去され、その結果、センサ組立体1012は、励振源1010からのかなり大きな励振エネルギーからの妨害を受けないで、マーカ40からのロケーション信号を検出することができる。励振源1010の幾つかの追加の詳細及び変形実施形態は、2002年8月7日に出願された米国特許出願第10/213,980号明細書に開示されており、この米国特許出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0102】
b.センサ組立体
図23Aは、所在突き止めシステム1000(図17)に用いられるセンサ組立体1012の幾つかのコンポーネントを示す分解組立て等角図である。センサ組立体1012は、パネル1604上に形成され又はこのパネルにより支持された複数個のコイル1602を有する検出ユニット1601を含む。コイル1602は、センサアレイ1605の状態に配置されたフィールドセンサ又は磁束センサであるのがよい。
【0103】
パネル1604は、実質的に非導電性の材料、例えばデュポン(DuPont)社製のKAPTON(登録商標)のシートであるのがよい。KAPTON(登録商標)は、極めて安定して丈夫であり且つ薄いフィルムが必要である場合(例えば、放射線ビームによる汚染を回避するため)、特に有用であるが、パネル1604は、他の材料で作られると共に他の形態を有してもよい。例えば、FR4(エポキシガラス基板)、GETEK又は他のテフロン(登録商標)を利用した基板及び他の市販の材料をパネル1604に用いることができる。加うるに、パネル1604は平らで平面度が高い構造体であるのがよいが、他の実施形態では、パネルは、少なくとも1つの軸線に沿って湾曲していてもよい。いずれの実施形態においても、フィールドセンサ(例えば、コイル)は、1つのフィールドセンサの平面が隣りのフィールドセンサの平面と少なくとも実質的に同一平面上に位置する局所的に平面状のアレイの状態に配置される。例えば、1つのコイルにより定められる平面と隣接のコイルにより定められる平面との間の角度は、約0°〜10°、より一般的には5°未満であるのがよい。しかしながら、場合によっては、コイルのうち1つ又は2つ以上は、アレイ中の他のコイルに対して10°よりも大きな角度をなしていてもよい。
【0104】
図23Aに示すセンサ組立体は、パネル1604に積層されたコア1620を更に有するのがよいが、このようにするかどうかは任意である。コア1620は、剛性材料で作られた支持部材であってもよく、或いは、コア1620は、低密度フォーム、例えば独立気泡ロハセル(Rohacell)フォームであってもよい。コア1620は好ましくは、センサ組立体1012の形状及びコイル1602相互間の相対的な向きが動作温度範囲にわたり規定された範囲内のままであるように低い熱膨張率を有する安定した層である。
【0105】
センサ組立体1012は、検出サブシステムの一方の側に設けられた第1の外部カバー1630a及び反対側に設けられた第2の外部カバー1630bを更に有するのがよい。第1の外部カバー1630a及び第2の外部カバー1630bは、薄くて熱的に安定した層、例えばケブラー(Kevlar)又はサーマウント(Thermount)フィルムであるのがよい。第1の外部カバー1630a及び第2の外部カバー1630bは各々、望ましくない外部電界がコイル1602に達するのを阻止する電気遮蔽体1632を有するのがよい。電気遮蔽体1632は、一般にファラデー遮蔽体と呼ばれている櫛形遮蔽体を構成するよう金めっきの銅製ストリップの複数本の互いに平行な脚部であるのがよい。遮蔽体を遮蔽に適した他の材料で作ってもよいことは理解されよう。プリント回路板製造技術又は他の技術を用いて電気遮蔽体を第1及び第2の外部カバー上に形成することができる。
【0106】
コイル1602を備えたパネル1604は、感圧接着剤又は別の種類の接着剤を用いてコア1620に積層される。第1の外部カバー1630a及び第2の外部カバー1630bはこれと同様に、パネル1604とコア1620の組立体に積層される。積層組立体は、コイル1602の配置状態を広い動作温度範囲にわたり規定された形態に固定的に保持する剛性構造体を形成する。したがって、センサ組立体1012は、動作中、その表面全体にわたり実質的に撓むことはない。センサ組立体1012は例えば、撓みが±0.5mm以下、場合によっては、±0.3mm以下の状態でコイル1602のアレイを一定の位置に保持することができる。検出サブシステムの剛性により、リード線無しマーカの正確な存在場所をリアルタイムで非常に正確に且つ繰り返しモニタできる。
【0107】
さらに別の実施形態では、センサ組立体1012は、励振源1010のコンポーネントである複数個のソースコイルを更に有するのがよい。センサ組立体1012とソースコイルを組み合わせる適当なアレイの1つは、2002年12月30日に出願された米国特許出願第10/334,700号(発明の名称:PANEL-TYPE SENSOR/SOURCE ARRAY ASSEMBLY)に開示されており、この米国特許出願を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。
【0108】
図23Bは、検出ユニット1601の実施形態を更に示している。この実施形態では、検出ユニット1601は、32個のセンサコイル1602を有し、各コイル1602は、別々のチャネル1606(個々にチャネル“Ch 0”〜“Ch 31”として示されている)と関連している。パネル1604の全体寸法は、約40cm×54cmであるのがよいが、アレイ1605は、約40cmの第1の寸法D1及び約40cmの第2の寸法D2を有している。アレイ1605は、変形実施形態では他の寸法又は他の形態(例えば、円形)を有していてもよい。加うるに、アレイ1605は、これよりも多い又は少ない数のコイル、例えば8〜64個のコイルを有してもよく、コイルの数は、更に2の累乗であるのがよい。
【0109】
コイル1602は、パネル1604上に形成された銅又は別の適度に導電性の金属の導電性トレース又は被着物であるのがよい。各コイル1602は、幅が約0.15mmであり、各コイル内の隣り合うターン相互間の間隔が約0.13mmのトレースを有する。コイル1602は、約15〜90個のターンを有するのがよく、特定の用途では、各コイルは、約40個のターンを有する。15個未満のターンを備えたコイルは、幾つかの用途では、十分には感度が高くない場合があり、コイルが90個以上のターンを有すると、コイルの自己共振周波数が低くなる結果として、励振中、ソース信号から過剰の電圧が生じると共に過剰の整定時間が必要になる場合がある。しかしながら、他の用途では、コイル1602は、15個未満のターン又は90個よりも多くのターンを有してもよい。
【0110】
図23Bに示すように、コイル1602は、正方形の螺旋体として構成されている。ただし、他の形態、例えば、円、相互に組み合わさった六角形、三角形等のアレイを採用してもよい。かかる正方形の螺旋体は、SN比を向上させるよう表面積の大きな割合を利用している。正方形コイルは又、円形コイルと比較してアレイの設計レイアウト及びモデル化を単純にし、例えば、円形コイルは、マーカ40からの磁束をリンクさせるために表面積を無駄にする場合がある。コイル1602は、約40mmの内寸及び約60mmの外寸を有する。ただし、用途に応じて他の寸法が可能である。製造公差が所与の場合、内寸をできるだけ外寸に近いものにすると感度を向上させることができる。幾つかの実施形態では、コイル1602は、互いに同一であり、又は少なくとも実質的に同じように構成される。
【0111】
アレイ1605中のコイル1602のピッチは、少なくとも或る程度はマーカとコイルアレイとの間の最小距離の関数である。一実施形態では、コイルは、約67mmのピッチで配置されている。この特定の配置状態は、ワイヤレスマーカ40がセンサ組立体1012から約7〜27cmのところに位置決めされる場合に特に適している。ワイヤレスマーカが互いに7cmよりも近い場合、検出サブシステムは、これよりも小さなピッチで配置されたセンサコイルを有するのがよい。一般に、ワイヤレスマーカがコイルのアレイから比較的僅かな距離を置いたところで検出される場合、ピッチの小さいことが望ましい。コイル1602のピッチは、例えば、マーカとアレイとの間の最小距離の約50%〜200%である。
【0112】
一般に、アレイ1605の寸法及び形態並びにアレイ中のコイル1602の寸法及び形態は、これらが動作しようとする周波数範囲、マーカ40からアレイまでの距離、マーカの信号強度及び他の幾つかの要因で決まる。当業者であれば容易に認識されるように、少なくとも或る程度は所望の周波数範囲及びマーカからコイルまでの距離に応じて他の寸法及び形態を採用できる。
【0113】
アレイ1605は、マーカにより出された磁界を測定するために大きなアパーチュアを提供するよう寸法決めされる。ワイヤレスで送られたエネルギー源に応答してマーカ信号をワイヤレスで送る植え込み型マーカにより出力される信号を正確に測定することは、特に難題である場合がある。というのは、マーカ信号は、ソース信号及び室内の他の磁界(例えば、CRT等からの磁界)よりも非常に微弱だからである。アレイ1605の寸法は、遠方場からの妨害を軽減しながらマーカの近接場を優先的に測定するよう選択されているのがよい。一実施形態では、アレイ1605は、コイルによって占められた領域の表面全体にわたり最大寸法D1又はD2を有するよう寸法決めされ、この寸法は、マーカがコイルの平面から離されるべき所定の最大検出距離の約100%〜300%である。かくして、アレイ1605の寸法は、マーカ信号を正確に測定するようマーカがアレイから離隔されるべき距離を割り出し、次にアレイの最大寸法がその距離の約100%〜300%であるようにコイルを配置することにより決定される。アレイ1605の最大寸法は、例えば、マーカがアレイ1605から見て配置されるべき検出距離の約200%であるのがよい。特定の一実施形態では、マーカ40は、20cmの検出距離を有し、コイル1602のアレイの最大寸法は、20cm〜60cm、具体的には40cmである。
【0114】
上述したような最大寸法を持つコイルアレイは、これが本来的に、遠方場源からの妨害を軽減するフィルタとなるので特に有用である。したがって、本発明の幾つかの実施形態の一特徴は、アレイをマーカからの信号に基づいて寸法決めしてアレイが近接場源(即ち、マーカにより生じた場)を優先的に測定し、遠方場源からの妨害を除くようにすることにある。
【0115】
コイル1602は、ワイヤレスマーカ40により生じた磁束を受け取り、各コイルの内側部分又は内側領域を通る磁界の成分の量又は大きさを表し又はこれに比例する電流信号を出力する電磁場センサである。この磁界成分は又、各コイル1602の平面に垂直である。各コイルは、別個のチャネルを表し、かくして、各コイルは、信号を32個の出力ポート1606の各々にそれぞれ出力する。以下に説明する前置増幅器を各出力ポート1606のところに設けるのがよい。前置増幅器(又はインピーダンスバッファ)をコイルの近くに配置することにより、本明細書において説明するコイルに加わる容量性負荷が最小限に抑えられる。図示していないが、検出ユニット1601は、各コイル1602からの信号をその対応の出力ポート1606に送り、それにより別々のチャネルを形成する導電性トレース又は導電性経路を更に有する。ポートは、パネル1604上に形成されたコネクタ1608に結合され、適当に形作られたプラグ及び関連のケーブルをこのコネクタに取り付けることができる。
【0116】
検出ユニット1601は、例えば電気的消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)1610により示された搭載型メモリ又は他の回路を更に有するのがよい。EEPROM1610は、製造情報、例えば、シリアル番号、改訂番号、製造日等をストレージすることができる。EEPROM1610は、チャネル毎の較正データ並びにランタイムの記録も又ストレージすることができる。ランタイムは、アレイに当てられた総放射線量の指標を与え、それにより、交換用検出サブシステムが必要な場合にシステムに警告を出すことができる。
【0117】
一平面でしか示されていないが、追加のコイル又は電磁場センサは、ワイヤレスマーカ40の三次元存在場所を突き止めるのを助けるようパネル1604に垂直に配置されるのがよい。コイル又はセンサを他の寸法で追加することにより、ワイヤレスマーカ40から受け取る全エネルギーが増大するが、かかるアレイの複雑さにより、不均化性が増大することになる。本発明者は、図23A及び図23Bに示す平面状アレイを用いると、ワイヤレスマーカ40の三次元座標を見出すことができることを発見した。
【0118】
センサ組立体1012を具体化するには、幾つかの事項を検討しなければならない場合がある。第1に、コイル1602は、理想的な開回路を備えた状態で提供できない。それどころか、かかるコイルには、主としてコイル1602を前置増幅器に接続するトレース又は導電経路、減衰ネットワーク(以下に説明する)及び前置増幅器の入力インピーダンス(なお、低いインピーダンスが好ましい)により寄生キャパシタンスによって十分に装荷される場合がある。これら負荷の組合せの結果として、コイル1602が変化する磁束と結合すると、電流の流れが生じることになる。この場合、どれか1つのコイル1602が、ワイヤレスマーカ40からだけでなく他の全てのコイルからの磁束を結合する。これら電流の流れは、下流側の信号処理において考慮されるべきである。
【0119】
第2の検討事項は、コイル1602に対する容量性負荷である。一般に、コイル1602に加わる容量性負荷を最小限に抑えることが望ましい。容量性負荷は、コイルそれ自体を備えた共振回路を形成し、それにより、励振源1010にエネルギーを与えたときに過剰の電圧オーバーシュートが生じる。かかる電圧オーバーシュートは、コイル1602全体にわたり減衰又は「緩衝(snubbing)」ネットワークで制限され又は減衰されるべきである。容量性負荷が大きい場合、低インピーダンスの減衰ネットワークが必要であり、その結果として、減衰ネットワーク中で相当多くの電力消費量及び加熱が生じる場合がある。
【0120】
別の検討事項は、ノイズの低い前置増幅器を用いることである。前置増幅も又、放射線に対して耐性を持っているのがよい。というのは、センサ組立体1012に関する一用途は、線形加速器(LINAC)を用いる放射線治療システムであるからである。その結果、PNPバイポーラトランジスタ及びディスクリートの要素が好ましい。さらに、良好な整定時間をAC回路又は出力で達成できない場合、特に、アナログ−ディジタル変換器がAC出力信号中の大きな振れを取り扱うことができない場合、直流結合回路が好ましい場合がある。
【0121】
図24は、例えば、差動増幅器1704を有する緩衝ネットワーク1702の実施形態を示している。緩衝ネットワーク1702は、2対の直列接続抵抗器及びこれらの間をブリッジしたキャパシタを有する。バイアス回路1706が、差動増幅器の調節を可能にし、較正入力1708により、差動増幅器の入力レッグの両方のバランスを取ることができる。コイル1602は、差動増幅器1704の入力に結合され、次に1対の高電圧保護ダイオード1710に結合されている。DCオフセットは、差動増幅器1704の入力トランジスタのベース(ゼロの値を持つものとして示されている)に結合された1対の抵抗器により調節できる。出力のところに、追加の保護回路、例えば、ESD保護ダイオード1712並びにフィルタリングキャパシタ(10nFの値を持つものとして示されている)が設けられる。
【0122】
c.信号プロセッサ及びコントローラ
図17に示す信号プロセッサ1014及びコントローラ1016は、センサ組立体1012から信号を受け取り、座標系中のマーカ40の絶対位置を計算する。適当な信号処理システム及びアルゴリズムは、米国特許出願第10/679,801号、同第10/749,478号、同第10/750,456号、同第10/750,164号、同第10/750,165号、同第10/749,860号及び同第10/750,453号に記載されており、これら全ての米国特許出願を参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。
【0123】
実施例
概観
このシステムの有効性をリアルタイム追跡について判定するために実験模型を利用した研究を行った。この実験では、3つの軸線における恣意的な運動を各寸法において最高10cm/秒までの速度につき精度を0.3mmにして可能にするよう特注の4Dステージを構成した。位置の精度をステージシステムに取り付けられた3Dディジタル化アームにより測定した。図25に示すように、ピーク間(peak to peak)運動が2cm、4cm及び2cmであり、x方向、y方向及びz方向においてそれぞれ1cm、2cm及び1cmの2つの楕円を作った。1分間当たり15回、17回及び20回の呼吸に対応して3つの期間を用いた。単一のトランスポンダを33ミリ秒、67ミリ秒及び100ミリ秒の積分時間で用い、2つのトランスポンダを67ミリ秒及び100ミリ秒の積分時間で用いた。トランスポンダを4Dステージに取り付けられた特注の模型内に配置した。アイソセンタをAC磁気アレイから14cmのところに配置して実験を行って平均的な肺癌患者の位置をシミュレートした。4Dステージは、リアルタイム追跡システムがトランスポンダの位置を測定しながら各軌道を走った。測定位置を模型位置と比較した。楕円寸法、速度、トランスポンダの個数及び積分時間の効果を特性付けた。
【0124】
実験の要約
図26に示すように、二乗平均(RMS)誤差は、各楕円、期間及びトランスポンダ積分時間について1mm未満であった。このシステムは、楕円の経路、例えば、1分間当たり17回の呼吸で動く大きな楕円の軌道全体を通じ点を追跡できた。図27は、誤差範囲が測定された各点について低いことを示す所在突き止め誤差のヒストグラムである。図28に示すように、RMS誤差は、大抵の軌道において速度の増大領域において高かった。この実験に関し、単一のトランスポンダシステムは、デュアルトランスポンダシステムよりも僅かに良好に稼働し、最適なシステムは、積分時間が67ミリ秒の単一のトランスポンダであった。
【0125】
結論
要約書に記載された内容を含む図示の実施形態の上述の説明は、排他的ではなく、本発明を開示した形態そのものに限定するものではない。特定の実施形態及び実施例は例示目的で本明細書において説明されているが、当業者には認識されるように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の均等な改造例を想到できる。本明細書において提供した本発明の教示は、必ずしも全体を上述した例示のシステムではなく、標的の存在場所突き止め及び追跡システムに適用できる。
【0126】
上述の種々の実施形態は、別の実施形態を提供するよう組み合わせることができる。本明細書において言及すると共に(或いは)出願データシートに一覧表示された米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許刊行物を全て参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。本発明の特徴は、上述の種々の特許、出願及び刊行物のシステム、装置及び技術的思想を用いて、本発明の更に別の実施形態を提供するよう必要に応じて改造できる。
【0127】
上述の詳細な説明に照らして本発明の上記変更及び他の変更を行うことができる。一般に、添付の特許請求の範囲において、用いられる用語は、本発明を本明細書及び特許請求の範囲に開示した特定の実施形態に限定するものと解釈されてはならず、体内の選択された標的の位置を突き止め、モニタすると共に(或いは)追跡する装置及び方法を提供するよう特許請求の範囲に従って動作する全ての標的存在場所突き止め及びモニタシステムを含むものと解釈されるべきである。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載にのみ基づいて定められる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の実施形態による標的の所在を突き止めてモニタする際に用いられる追跡システムの側面図であり、励振可能なマーカが患者の肺の中の標的内に植え込まれ又はこれに隣接した状態で示されている図である。
【図2】可動支持テーブルに載せられていて、マーカが植え込まれた患者の概略立面図である。
【図3】本発明の実施形態に従って所在突き止めシステム及び患者の肺の中に植え込まれた複数個のマーカを概略的に示す側面図である。
【図4】本発明の実施形態に従って患者の肺を治療する放射線療法のためにリアルタイム標的追跡方式を用いた一体形治療法の流れ図である。
【図5A】放射線治療及び他の医療用途において標的のリアルタイム追跡を行うシステム及び方法の特徴を示すCT画像の略図である。
【図5B】CTスキャナの座標系を概略的に示す略図である。
【図6】本発明の実施形態による客観的出力を表示するユーザインターフェイスのスクリーンショット図である。
【図7】本発明の実施形態による放射線セッションの等角図である。
【図8】本発明の実施形態による運搬器具の断面図である。
【図9】本発明の別の実施形態による運搬器具を示す部分断面等角図である。
【図10】本発明の実施形態による運搬器具の動作原理を示す概略断面図である。
【図11A】本発明の実施形態によるマーカ及びアンカの断面図である。
【図11B】本発明の別の実施形態によるマーカ及びアンカの等角図である。
【図11C】本発明の別の実施形態によるマーカ及びアンカの等角図である。
【図12A】本発明の実施形態による所在突き止めシステムに用いられるマーカの等角図である。
【図12B】図12Aのマーカの12B−12B矢視断面図である。
【図12C】図12A及び図12BのマーカのX線写真像の略図である。
【図13A】本発明の別の実施形態による所在突き止めシステムに用いられるマーカの等角図である。
【図13B】図13Aのマーカの13B−13B矢視断面図である。
【図14A】本発明の別の実施形態による所在突き止めシステムに用いられるマーカの等角図である。
【図14B】図14Aのマーカの14B−14B矢視断面図である。
【図15】本発明の別の実施形態による所在突き止めシステムに用いられるマーカの等角図である。
【図16】本発明の更に別の実施形態による所在突き止めシステムに用いられるマーカの等角図である。
【図17】本発明の実施形態による標的を追跡する際に用いられる所在突き止めシステムの概略ブロック図である。
【図18】第1の励振場を発生させるよう電気信号を位相に関し第1の組合せ状態で伝えるコプレーナソースコイルのアレイの略図である。
【図19】第2の励振場を発生させるよう電気信号を位相に関し第2の組合せ状態で伝えるコプレーナソースコイルのアレイの略図である。
【図20】第3の励振場を発生させるよう電気信号を位相に関し第3の組合せ状態で伝えるコプレーナソースコイルのアレイの略図である。
【図21】第1の空間配向状態にあるマーカにエネルギーを与えるための磁気励振(励磁)場を示すコプレーナソースコイルのアレイの略図である。
【図22】第2の空間配向状態にあるマーカにエネルギーを与えるための磁気励振(励磁)場を示すコプレーナソースコイルのアレイの略図である。
【図23A】本発明の実施形態による所在突き止めシステムに用いられるセンサ組立体の個々の構成部品を示す分解組立て等角図である。
【図23B】図23Aのセンサ組立体に用いられる検出ユニットの平面図である。
【図24】図23Aのセンサ組立体に用いられる前置増幅器の略図である。
【図25】所在突き止めシステムの実験模型を利用した研究から得られた腫瘍の例示の運動楕円のグラフ図である。
【図26】所在突き止めシステムの実験模型を利用した研究から得られた二乗平均(RMS)誤差のグラフ図である。
【図27】所在突き止めシステムの実験模型を利用した研究から得られた所在突き止め誤差の例示のヒストグラムである。
【図28】所在突き止めシステムの実験模型を利用した研究から得られた速度の関数としての位置誤差のグラフ図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の肺の中の標的を治療する方法であって、
リード線無しマーカを前記標的に関連して前記患者の前記肺の中に位置決めするステップと、
前記マーカの位置データを収集するステップと、
前記収集した位置データに基づいて外部座標系内における前記マーカの存在場所を突き止めるステップと、
(a)前記マーカの動きに応答し、(b)臨床的に許容できる追跡誤差範囲内で前記標的の前記存在場所をリアルタイムで追跡する頻度で提供される客観的出力を前記外部座標系中に提供するステップとを有する、方法。
【請求項2】
前記客観的出力を用いて前記標的を放射線投与装置の外部座標系中の所望の位置に位置決めするステップと、前記患者に前記放射線投与装置の放射線ビームを照射するステップとを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記放射線投与装置を制御して、前記マーカの前記突き止められた存在場所により前記標的が前記所望の位置にあることが分かると、前記放射線ビームを作動させ、前記マーカの前記突き止められた存在場所により前記標的が前記所望の位置の外部に位置していることが分かると、前記放射線ビームを作動停止させるステップを更に有する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記マーカの前記突き止められた存在場所に基づいてロボットを動かすことにより前記放射線投与装置を制御するステップを更に有する、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記マーカの前記突き止められた存在場所に基づいて前記ビームの位置を関節運動させることにより前記放射線投与装置を制御するステップを更に有する、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記マーカの前記突き止められた存在場所に基づいて前記ビームの形状を制御するステップを更に有する、請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記客観的出力を用いて前記標的を追跡しながら、手術器械を前記標的に対して動かすステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記手術器械は、ナイフを有し、前記方法は、前記患者の前記肺の一部を切断して除去するステップを更に有する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記手術器械は、アブレーション器具を有し、前記方法は、前記肺の一部を焼灼するステップを更に有する、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記手術器械は、低温装置を有し、前記方法は、細胞を低温で壊死させるステップを更に有する、請求項7記載の方法。
【請求項11】
前記リード線無しマーカを位置決めする前記ステップは、カテーテルを前記肺の中に挿入し、前記カテーテルから前記マーカを放出することにより前記マーカを前記肺の中に配備するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記カテーテルを挿入する前記ステップは、前記肺の管腔中に前記カテーテルを案内するステップから成り、前記マーカを放出する前記ステップは、前記マーカを前記肺の中に定着させるステップを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記カテーテルを挿入する前記ステップは、呼吸器系中の管腔を穿刺するステップを含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記マーカを位置決めする前記ステップは、針を患者の喉に通し、前記マーカを前記針から前記患者の前記肺の中に放出するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記マーカを位置決めする前記ステップは、前記マーカを前記肺に外科的に取り付けるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記収集手順、前記突き止め手順及び前記提供手順を繰り返し実施して前記肺の中における前記マーカの位置をモニタするステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記位置データは、或る時点tnで収集され、前記標的の前記存在場所に応答して前記客観的出力を提供する前記ステップは、前記客観的出力を待ち時間内で前記時点tnと少なくとも実質的に同時にユーザインターフェイス、記憶装置、コンピュータ及び医療装置のうち少なくとも1つに提供するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記待ち時間は、前記時点tnから約2秒以下であり、約2秒以下の周期性を有する、請求項11記載の方法。
【請求項19】
前記待ち時間は、前記時点tnから約200ミリ秒以下であり、約200ミリ秒以下の周期性を有する、請求項11記載の方法。
【請求項20】
前記待ち時間は、前記時点tnから約100ミリ秒以下であり、約100ミリ秒以下の周期性を有する、請求項11記載の方法。
【請求項21】
前記患者を通って運搬器具を光学的に案内し、前記リード線無しマーカを所望の位置に放出することにより前記リード線無しマーカを配備するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記患者を通って運搬器具をX線透視下で案内し、前記リード線無しマーカを所望の位置に放出することにより前記リード線無しマーカを配備するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記患者を通って運搬器具を磁気的に案内し、前記リード線無しマーカを所望の位置に放出することにより前記リード線無しマーカを配備するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項24】
放射線ビームを用いる放射線治療において、患者の肺の中の標的を治療する方法であって、
磁気マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に前記標的に関連して配置するステップを有し、前記磁気マーカは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、前記励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含むトランスポンダを有し、
前記放射線ビームの座標系に対する前記磁気マーカの存在場所を突き止め、前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所に応じて前記患者を移動させることにより前記標的を前記放射線ビームの前記座標系中の所望の位置に位置決めするステップを有し、前記磁気マーカの存在場所を突き止める前記ステップは、(a)パルス化磁界をワイヤレスで送り出して前記磁気マーカにエネルギーを与えるステップと、(b)前記磁気マーカからのパルス化ロケーション信号を前記患者の外部の場所にワイヤレスで送るステップと、(c)前記パルス化ロケーション信号を前記患者の外部に設けられたセンサで検出するステップと、(d)前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を周期的に計算するステップとを含み、
前記磁気マーカの前記計算された存在場所により前記標的が前記座標系中の前記所望の位置にあることが分かると、前記患者に前記放射線ビームを照射するステップを有する、方法。
【請求項25】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置するステップは、2つの磁気マーカを前記患者の前記肺の中に植え込むステップを更に含み、前記2つのマーカは、第1の共振周波数を持つトランスポンダを有する第1の磁気マーカと、第2の共振周波数を持つ第2の磁気マーカとを含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置するステップは、3つの磁気マーカを前記患者の前記肺の中に植え込むステップを更に含み、前記3つのマーカは、第1の共振周波数を持つトランスポンダを有する第1の磁気マーカと、第2の共振周波数を持つ第2の磁気マーカと、第3の共振周波数を持つ第3の磁気マーカとを含む、請求項24記載の方法。
【請求項27】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置する前記ステップは、前記磁気マーカを前記肺の中に経皮的に植え込むステップを更に含む、請求項24記載の方法。
【請求項28】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置する前記ステップは、前記マーカを前記肺に対して気管支鏡下で配置するステップを更に含む、請求項24記載の方法。
【請求項29】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置する前記ステップは、ステントに取り付けられた磁気マーカを前記ステントが前記磁気マーカを前記患者に定着させるように配備するステップを更に含む、請求項24記載の方法。
【請求項30】
前記患者を移動させる前記ステップは、前記磁気マーカの前記計算された存在場所に基づいて患者支持体を自動的に動かすステップを含む、請求項24記載の方法。
【請求項31】
前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を周期的に計算する前記ステップは、前記マーカの前記存在場所を少なくとも100ミリ秒毎に且つ前記磁気マーカからの前記パルス化ロケーション信号の検出から1秒以内にコンピュータ処理するステップを含む、請求項24記載の方法。
【請求項32】
前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を周期的に計算し、対応の時間間隔で前記マーカの前記計算された存在場所に基づいて、前記座標系中の前記標的の前記存在場所を経時的に記録することにより前記患者への照射を行いながら前記標的を追跡するステップを更に有する、請求項24記載の方法。
【請求項33】
前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を少なくとも100ミリ秒毎に且つ前記磁気マーカからの前記パルス化ロケーション信号の検出時点から1秒以内に計算し、対応の時間間隔で前記マーカの前記計算された存在場所に基づいて、前記座標系中の前記標的の前記存在場所を経時的に記録することにより前記患者への照射を行いながら前記標的をリアルタイムで追跡するステップを更に有する、請求項24記載の方法。
【請求項34】
前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を周期的に計算し、対応の時間間隔で前記マーカの前記計算された存在場所に基づいて、前記座標系中の前記標的の前記存在場所を経時的に記録することにより前記患者への照射を行いながら前記標的を追跡するステップと、
前記磁気マーカの前記計算された存在場所により、前記標的が前記所望の位置から所定の範囲の外に位置していることが分かると、患者に照射しないように前記放射線ビームをゲートするステップとを更に有する、請求項24記載の方法。
【請求項35】
前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を周期的に計算し、対応の時間間隔で前記マーカの前記計算された存在場所に基づいて、前記座標系中の前記標的の前記存在場所を経時的に記録することにより前記患者への照射を行いながら前記標的を追跡するステップと、
前記磁気マーカの前記計算された存在場所により、前記標的が前記所望の位置の所定範囲の外に位置していることが分かると、前記患者への照射を行いながら前記患者を移動させるステップとを更に有する、請求項24記載の方法。
【請求項36】
前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を周期的に計算し、対応の時間間隔で前記マーカの前記計算された存在場所に基づいて、前記座標系中の前記標的の前記存在場所を経時的に記録することにより前記患者への照射を行いながら前記標的を追跡するステップと、
前記磁気マーカの前記計算された存在場所により、前記標的が前記所望の位置の所定範囲の外に位置していることが分かると、前記患者に照射しないよう前記放射線ビームを制御するステップとを更に有する、請求項24記載の方法。
【請求項37】
患者の肺の中の標的を追跡する方法であって、
磁気マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に前記標的に関連して配置するステップを有し、前記磁気マーカは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、前記励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含むトランスポンダを有し、
磁界をワイヤレスで送り出して前記磁気マーカにエネルギーを与えるステップと、
前記磁気マーカからのロケーション信号を前記患者の外部の場所にワイヤレスで送るステップと、
前記ロケーション信号を前記患者の外部に設けられたセンサで検出するステップと、
前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を周期的に計算するステップとを有する、方法。
【請求項38】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置するステップは、2つの磁気マーカを前記患者の前記肺の中に植え込むステップを更に含み、前記2つのマーカは、第1の共振周波数を持つトランスポンダを有する第1の磁気マーカと、第2の共振周波数を持つ第2の磁気マーカとを含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置するステップは、3つの磁気マーカを前記患者の前記肺の中に植え込むステップを更に含み、前記3つのマーカは、第1の共振周波数を持つトランスポンダを有する第1の磁気マーカと、第2の共振周波数を持つ第2の磁気マーカと、第3の共振周波数を持つ第3の磁気マーカとを含む、請求項37記載の方法。
【請求項40】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置する前記ステップは、前記磁気マーカを前記肺の中に経皮的に植え込むステップを更に含む、請求項37記載の方法。
【請求項41】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置する前記ステップは、前記マーカを前記肺に対して気管支鏡下で配置するステップを更に含む、請求項37記載の方法。
【請求項42】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置する前記ステップは、ステントに取り付けられた磁気マーカを前記ステントが前記磁気マーカを前記患者に定着させるように配備するステップを更に含む、請求項37記載の方法。
【請求項43】
対応の時間間隔で前記マーカの前記計算された存在場所に基づいて、前記座標系中の前記標的の前記存在場所を経時的に記録するステップを更に有する、請求項37記載の方法。
【請求項44】
前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を少なくとも100ミリ秒毎に且つ前記磁気マーカからの前記パルス化ロケーション信号の検出時点から1秒以内に計算し、対応の時間間隔で前記マーカの前記計算された存在場所に基づいて、前記座標系中の前記標的の前記存在場所を経時的に記録することにより前記患者への照射を行いながら前記標的をリアルタイムで追跡するステップを更に有する、請求項37記載の方法。
【請求項45】
前記患者を通って運搬器具を光学的に案内し、前記リード線無しマーカを所望の位置に放出することにより前記リード線無しマーカを配備するステップを更に有する、請求項37記載の方法。
【請求項46】
前記患者を通って運搬器具をX線透視下で案内し、前記リード線無しマーカを所望の位置に放出することにより前記リード線無しマーカを配備するステップを更に有する、請求項37記載の方法。
【請求項47】
前記患者を通って運搬器具を磁気的に案内し、前記リード線無しマーカを所望の位置に放出することにより前記リード線無しマーカを配備するステップを更に有する、請求項37記載の方法。
【請求項48】
マーカを患者の肺の中に配備する装置であって、
前記患者の前記肺の中の通路に通されるよう形作られている遠位部分を備えた細長い本体と、
トランスポンダを備えていて、前記本体の前記遠位部分で放出自在に支持されたリード線無しマーカと、
前記遠位部分のところに設けられた配備機構体とを有し、前記配備機構体は、前記マーカを前記本体の前記遠位部分から放出するよう構成されている、装置。
【請求項49】
前記遠位部分を差し向けるよう構成された舵取り機構体を更に有する、請求項48記載の装置。
【請求項50】
前記舵取り機構体は、前記本体の前記遠位部分の一方の側に取り付けられた遠位端部及び前記遠位部分を撓曲させるよう前記本体に対して軸方向に動くことができる近位部分を備えたワイヤを有する、請求項48記載の装置。
【請求項51】
前記舵取り機構体は、可撓性支持要素に取り付けられた可撓性制御要素とを有し、前記制御要素に加えられた張力により、前記可撓性支持要素が撓曲するようになっている、請求項48記載の装置。
【請求項52】
前記トランスポンダは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、前記励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含む磁気トランスポンダから成る、請求項48記載の装置。
【請求項53】
前記本体の前記遠位部分のところに設けられた舵取り機構体を更に有する、請求項52記載の装置。
【請求項54】
前記トランスポンダは、フェライトコア及び前記フェライトコアの周りに施された複数本の巻線を含むコイルを備えた交番磁気回路を有する、請求項52記載の装置。
【請求項55】
前記トランスポンダは、フェライトコア及び前記フェライトコアの周りに設けられたコイルを有し、前記マーカは、前記マーカの長手方向軸線に垂直であって、2mm以下の断面寸法を持つカプセルを更に有する、請求項52記載の装置。
【請求項56】
前記配備機構体は、前記本体に沿って長手方向に動くことができるカニューレ及び前記カニューレ内に収められたスタイレットを有し、前記マーカは、前記カニューレ内に装填されると共に前記スタイレットの遠位側に位置決めされる、請求項52記載の装置。
【請求項57】
前記カニューレは、尖った遠位縁部及び前記遠位縁部の近位側に設けられた内方突起を有する、請求項56記載の装置。
【請求項58】
患者の肺の中に配置されるマーカであって、
所在が突き止められるよう形作られたマーカ部分と、
前記マーカ部分に取り付けられたアンカとを有し、前記アンカは、第1の寸法を持つ収納位置と前記第1の寸法よりも大きな第2の寸法を持つ配備位置との間で動く拡張可能な部材を有する、マーカ。
【請求項59】
前記アンカは、前記収納位置から前記配備位置に向かって半径方向外方へ拡張する螺旋コイルから成る、請求項58記載のマーカ。
【請求項60】
前記アンカは、前記収納位置から前記配備位置に向かって半径方向外方に動くニチノール部材から成る、請求項58記載のマーカ。
【請求項61】
前記マーカ部分は、直径が2mm以下の円筒形部分を有する、請求項58記載のマーカ。
【請求項62】
前記アンカは、拡張可能な円筒形部分及び前記拡張可能な円筒形部分に取り付けられた弾性部材を有し、前記弾性部材は、前記収納位置では非拡張状態を有し、前記配備位置では拡張状態を有する、請求項58記載のマーカ。
【請求項63】
患者の体内に植え込み可能なマーカであって、
カプセルを有し、
前記カプセル内に設けられたトランスポンダを有し、前記トランスポンダは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、前記励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含み、
前記カプセルに取り付けられたアンカを有し、前記アンカは、第1の寸法を持つ収納位置と前記第1の寸法よりも大きな第2の寸法を持つ配備位置との間で動く拡張可能な部材を有する、マーカ。
【請求項64】
前記アンカは、前記収納位置から前記配備位置に向かって半径方向外方へ拡張する螺旋コイルから成る、請求項63記載のマーカ。
【請求項65】
前記アンカは、前記収納位置から前記配備位置に向かって半径方向外方に動くニチノール部材から成る、請求項63記載のマーカ。
【請求項66】
前記マーカ部分は、直径が2mm以下の円筒形部分を有する、請求項63記載のマーカ。
【請求項67】
前記アンカは、円筒形部分及び前記円筒形部分に取り付けられた弾性部材を有し、前記弾性部材は、非拡張状態及び拡張状態を有する、請求項63記載のマーカ。
【請求項1】
患者の肺の中の標的を治療する方法であって、
リード線無しマーカを前記標的に関連して前記患者の前記肺の中に位置決めするステップと、
前記マーカの位置データを収集するステップと、
前記収集した位置データに基づいて外部座標系内における前記マーカの存在場所を突き止めるステップと、
(a)前記マーカの動きに応答し、(b)臨床的に許容できる追跡誤差範囲内で前記標的の前記存在場所をリアルタイムで追跡する頻度で提供される客観的出力を前記外部座標系中に提供するステップとを有する、方法。
【請求項2】
前記客観的出力を用いて前記標的を放射線投与装置の外部座標系中の所望の位置に位置決めするステップと、前記患者に前記放射線投与装置の放射線ビームを照射するステップとを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記放射線投与装置を制御して、前記マーカの前記突き止められた存在場所により前記標的が前記所望の位置にあることが分かると、前記放射線ビームを作動させ、前記マーカの前記突き止められた存在場所により前記標的が前記所望の位置の外部に位置していることが分かると、前記放射線ビームを作動停止させるステップを更に有する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記マーカの前記突き止められた存在場所に基づいてロボットを動かすことにより前記放射線投与装置を制御するステップを更に有する、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記マーカの前記突き止められた存在場所に基づいて前記ビームの位置を関節運動させることにより前記放射線投与装置を制御するステップを更に有する、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記マーカの前記突き止められた存在場所に基づいて前記ビームの形状を制御するステップを更に有する、請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記客観的出力を用いて前記標的を追跡しながら、手術器械を前記標的に対して動かすステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記手術器械は、ナイフを有し、前記方法は、前記患者の前記肺の一部を切断して除去するステップを更に有する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記手術器械は、アブレーション器具を有し、前記方法は、前記肺の一部を焼灼するステップを更に有する、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記手術器械は、低温装置を有し、前記方法は、細胞を低温で壊死させるステップを更に有する、請求項7記載の方法。
【請求項11】
前記リード線無しマーカを位置決めする前記ステップは、カテーテルを前記肺の中に挿入し、前記カテーテルから前記マーカを放出することにより前記マーカを前記肺の中に配備するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記カテーテルを挿入する前記ステップは、前記肺の管腔中に前記カテーテルを案内するステップから成り、前記マーカを放出する前記ステップは、前記マーカを前記肺の中に定着させるステップを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記カテーテルを挿入する前記ステップは、呼吸器系中の管腔を穿刺するステップを含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記マーカを位置決めする前記ステップは、針を患者の喉に通し、前記マーカを前記針から前記患者の前記肺の中に放出するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記マーカを位置決めする前記ステップは、前記マーカを前記肺に外科的に取り付けるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記収集手順、前記突き止め手順及び前記提供手順を繰り返し実施して前記肺の中における前記マーカの位置をモニタするステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記位置データは、或る時点tnで収集され、前記標的の前記存在場所に応答して前記客観的出力を提供する前記ステップは、前記客観的出力を待ち時間内で前記時点tnと少なくとも実質的に同時にユーザインターフェイス、記憶装置、コンピュータ及び医療装置のうち少なくとも1つに提供するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記待ち時間は、前記時点tnから約2秒以下であり、約2秒以下の周期性を有する、請求項11記載の方法。
【請求項19】
前記待ち時間は、前記時点tnから約200ミリ秒以下であり、約200ミリ秒以下の周期性を有する、請求項11記載の方法。
【請求項20】
前記待ち時間は、前記時点tnから約100ミリ秒以下であり、約100ミリ秒以下の周期性を有する、請求項11記載の方法。
【請求項21】
前記患者を通って運搬器具を光学的に案内し、前記リード線無しマーカを所望の位置に放出することにより前記リード線無しマーカを配備するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記患者を通って運搬器具をX線透視下で案内し、前記リード線無しマーカを所望の位置に放出することにより前記リード線無しマーカを配備するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記患者を通って運搬器具を磁気的に案内し、前記リード線無しマーカを所望の位置に放出することにより前記リード線無しマーカを配備するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項24】
放射線ビームを用いる放射線治療において、患者の肺の中の標的を治療する方法であって、
磁気マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に前記標的に関連して配置するステップを有し、前記磁気マーカは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、前記励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含むトランスポンダを有し、
前記放射線ビームの座標系に対する前記磁気マーカの存在場所を突き止め、前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所に応じて前記患者を移動させることにより前記標的を前記放射線ビームの前記座標系中の所望の位置に位置決めするステップを有し、前記磁気マーカの存在場所を突き止める前記ステップは、(a)パルス化磁界をワイヤレスで送り出して前記磁気マーカにエネルギーを与えるステップと、(b)前記磁気マーカからのパルス化ロケーション信号を前記患者の外部の場所にワイヤレスで送るステップと、(c)前記パルス化ロケーション信号を前記患者の外部に設けられたセンサで検出するステップと、(d)前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を周期的に計算するステップとを含み、
前記磁気マーカの前記計算された存在場所により前記標的が前記座標系中の前記所望の位置にあることが分かると、前記患者に前記放射線ビームを照射するステップを有する、方法。
【請求項25】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置するステップは、2つの磁気マーカを前記患者の前記肺の中に植え込むステップを更に含み、前記2つのマーカは、第1の共振周波数を持つトランスポンダを有する第1の磁気マーカと、第2の共振周波数を持つ第2の磁気マーカとを含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置するステップは、3つの磁気マーカを前記患者の前記肺の中に植え込むステップを更に含み、前記3つのマーカは、第1の共振周波数を持つトランスポンダを有する第1の磁気マーカと、第2の共振周波数を持つ第2の磁気マーカと、第3の共振周波数を持つ第3の磁気マーカとを含む、請求項24記載の方法。
【請求項27】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置する前記ステップは、前記磁気マーカを前記肺の中に経皮的に植え込むステップを更に含む、請求項24記載の方法。
【請求項28】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置する前記ステップは、前記マーカを前記肺に対して気管支鏡下で配置するステップを更に含む、請求項24記載の方法。
【請求項29】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置する前記ステップは、ステントに取り付けられた磁気マーカを前記ステントが前記磁気マーカを前記患者に定着させるように配備するステップを更に含む、請求項24記載の方法。
【請求項30】
前記患者を移動させる前記ステップは、前記磁気マーカの前記計算された存在場所に基づいて患者支持体を自動的に動かすステップを含む、請求項24記載の方法。
【請求項31】
前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を周期的に計算する前記ステップは、前記マーカの前記存在場所を少なくとも100ミリ秒毎に且つ前記磁気マーカからの前記パルス化ロケーション信号の検出から1秒以内にコンピュータ処理するステップを含む、請求項24記載の方法。
【請求項32】
前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を周期的に計算し、対応の時間間隔で前記マーカの前記計算された存在場所に基づいて、前記座標系中の前記標的の前記存在場所を経時的に記録することにより前記患者への照射を行いながら前記標的を追跡するステップを更に有する、請求項24記載の方法。
【請求項33】
前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を少なくとも100ミリ秒毎に且つ前記磁気マーカからの前記パルス化ロケーション信号の検出時点から1秒以内に計算し、対応の時間間隔で前記マーカの前記計算された存在場所に基づいて、前記座標系中の前記標的の前記存在場所を経時的に記録することにより前記患者への照射を行いながら前記標的をリアルタイムで追跡するステップを更に有する、請求項24記載の方法。
【請求項34】
前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を周期的に計算し、対応の時間間隔で前記マーカの前記計算された存在場所に基づいて、前記座標系中の前記標的の前記存在場所を経時的に記録することにより前記患者への照射を行いながら前記標的を追跡するステップと、
前記磁気マーカの前記計算された存在場所により、前記標的が前記所望の位置から所定の範囲の外に位置していることが分かると、患者に照射しないように前記放射線ビームをゲートするステップとを更に有する、請求項24記載の方法。
【請求項35】
前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を周期的に計算し、対応の時間間隔で前記マーカの前記計算された存在場所に基づいて、前記座標系中の前記標的の前記存在場所を経時的に記録することにより前記患者への照射を行いながら前記標的を追跡するステップと、
前記磁気マーカの前記計算された存在場所により、前記標的が前記所望の位置の所定範囲の外に位置していることが分かると、前記患者への照射を行いながら前記患者を移動させるステップとを更に有する、請求項24記載の方法。
【請求項36】
前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を周期的に計算し、対応の時間間隔で前記マーカの前記計算された存在場所に基づいて、前記座標系中の前記標的の前記存在場所を経時的に記録することにより前記患者への照射を行いながら前記標的を追跡するステップと、
前記磁気マーカの前記計算された存在場所により、前記標的が前記所望の位置の所定範囲の外に位置していることが分かると、前記患者に照射しないよう前記放射線ビームを制御するステップとを更に有する、請求項24記載の方法。
【請求項37】
患者の肺の中の標的を追跡する方法であって、
磁気マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に前記標的に関連して配置するステップを有し、前記磁気マーカは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、前記励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含むトランスポンダを有し、
磁界をワイヤレスで送り出して前記磁気マーカにエネルギーを与えるステップと、
前記磁気マーカからのロケーション信号を前記患者の外部の場所にワイヤレスで送るステップと、
前記ロケーション信号を前記患者の外部に設けられたセンサで検出するステップと、
前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を周期的に計算するステップとを有する、方法。
【請求項38】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置するステップは、2つの磁気マーカを前記患者の前記肺の中に植え込むステップを更に含み、前記2つのマーカは、第1の共振周波数を持つトランスポンダを有する第1の磁気マーカと、第2の共振周波数を持つ第2の磁気マーカとを含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置するステップは、3つの磁気マーカを前記患者の前記肺の中に植え込むステップを更に含み、前記3つのマーカは、第1の共振周波数を持つトランスポンダを有する第1の磁気マーカと、第2の共振周波数を持つ第2の磁気マーカと、第3の共振周波数を持つ第3の磁気マーカとを含む、請求項37記載の方法。
【請求項40】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置する前記ステップは、前記磁気マーカを前記肺の中に経皮的に植え込むステップを更に含む、請求項37記載の方法。
【請求項41】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置する前記ステップは、前記マーカを前記肺に対して気管支鏡下で配置するステップを更に含む、請求項37記載の方法。
【請求項42】
マーカを前記患者の前記肺の近くに且つ(或いは)前記患者の前記肺の中に配置する前記ステップは、ステントに取り付けられた磁気マーカを前記ステントが前記磁気マーカを前記患者に定着させるように配備するステップを更に含む、請求項37記載の方法。
【請求項43】
対応の時間間隔で前記マーカの前記計算された存在場所に基づいて、前記座標系中の前記標的の前記存在場所を経時的に記録するステップを更に有する、請求項37記載の方法。
【請求項44】
前記座標系中の前記磁気マーカの前記存在場所を少なくとも100ミリ秒毎に且つ前記磁気マーカからの前記パルス化ロケーション信号の検出時点から1秒以内に計算し、対応の時間間隔で前記マーカの前記計算された存在場所に基づいて、前記座標系中の前記標的の前記存在場所を経時的に記録することにより前記患者への照射を行いながら前記標的をリアルタイムで追跡するステップを更に有する、請求項37記載の方法。
【請求項45】
前記患者を通って運搬器具を光学的に案内し、前記リード線無しマーカを所望の位置に放出することにより前記リード線無しマーカを配備するステップを更に有する、請求項37記載の方法。
【請求項46】
前記患者を通って運搬器具をX線透視下で案内し、前記リード線無しマーカを所望の位置に放出することにより前記リード線無しマーカを配備するステップを更に有する、請求項37記載の方法。
【請求項47】
前記患者を通って運搬器具を磁気的に案内し、前記リード線無しマーカを所望の位置に放出することにより前記リード線無しマーカを配備するステップを更に有する、請求項37記載の方法。
【請求項48】
マーカを患者の肺の中に配備する装置であって、
前記患者の前記肺の中の通路に通されるよう形作られている遠位部分を備えた細長い本体と、
トランスポンダを備えていて、前記本体の前記遠位部分で放出自在に支持されたリード線無しマーカと、
前記遠位部分のところに設けられた配備機構体とを有し、前記配備機構体は、前記マーカを前記本体の前記遠位部分から放出するよう構成されている、装置。
【請求項49】
前記遠位部分を差し向けるよう構成された舵取り機構体を更に有する、請求項48記載の装置。
【請求項50】
前記舵取り機構体は、前記本体の前記遠位部分の一方の側に取り付けられた遠位端部及び前記遠位部分を撓曲させるよう前記本体に対して軸方向に動くことができる近位部分を備えたワイヤを有する、請求項48記載の装置。
【請求項51】
前記舵取り機構体は、可撓性支持要素に取り付けられた可撓性制御要素とを有し、前記制御要素に加えられた張力により、前記可撓性支持要素が撓曲するようになっている、請求項48記載の装置。
【請求項52】
前記トランスポンダは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、前記励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含む磁気トランスポンダから成る、請求項48記載の装置。
【請求項53】
前記本体の前記遠位部分のところに設けられた舵取り機構体を更に有する、請求項52記載の装置。
【請求項54】
前記トランスポンダは、フェライトコア及び前記フェライトコアの周りに施された複数本の巻線を含むコイルを備えた交番磁気回路を有する、請求項52記載の装置。
【請求項55】
前記トランスポンダは、フェライトコア及び前記フェライトコアの周りに設けられたコイルを有し、前記マーカは、前記マーカの長手方向軸線に垂直であって、2mm以下の断面寸法を持つカプセルを更に有する、請求項52記載の装置。
【請求項56】
前記配備機構体は、前記本体に沿って長手方向に動くことができるカニューレ及び前記カニューレ内に収められたスタイレットを有し、前記マーカは、前記カニューレ内に装填されると共に前記スタイレットの遠位側に位置決めされる、請求項52記載の装置。
【請求項57】
前記カニューレは、尖った遠位縁部及び前記遠位縁部の近位側に設けられた内方突起を有する、請求項56記載の装置。
【請求項58】
患者の肺の中に配置されるマーカであって、
所在が突き止められるよう形作られたマーカ部分と、
前記マーカ部分に取り付けられたアンカとを有し、前記アンカは、第1の寸法を持つ収納位置と前記第1の寸法よりも大きな第2の寸法を持つ配備位置との間で動く拡張可能な部材を有する、マーカ。
【請求項59】
前記アンカは、前記収納位置から前記配備位置に向かって半径方向外方へ拡張する螺旋コイルから成る、請求項58記載のマーカ。
【請求項60】
前記アンカは、前記収納位置から前記配備位置に向かって半径方向外方に動くニチノール部材から成る、請求項58記載のマーカ。
【請求項61】
前記マーカ部分は、直径が2mm以下の円筒形部分を有する、請求項58記載のマーカ。
【請求項62】
前記アンカは、拡張可能な円筒形部分及び前記拡張可能な円筒形部分に取り付けられた弾性部材を有し、前記弾性部材は、前記収納位置では非拡張状態を有し、前記配備位置では拡張状態を有する、請求項58記載のマーカ。
【請求項63】
患者の体内に植え込み可能なマーカであって、
カプセルを有し、
前記カプセル内に設けられたトランスポンダを有し、前記トランスポンダは、ワイヤレスで送られた励振エネルギーによってエネルギーを与えられ、前記励振エネルギーに応答して磁気ロケーション信号をワイヤレスで送るよう構成された回路を含み、
前記カプセルに取り付けられたアンカを有し、前記アンカは、第1の寸法を持つ収納位置と前記第1の寸法よりも大きな第2の寸法を持つ配備位置との間で動く拡張可能な部材を有する、マーカ。
【請求項64】
前記アンカは、前記収納位置から前記配備位置に向かって半径方向外方へ拡張する螺旋コイルから成る、請求項63記載のマーカ。
【請求項65】
前記アンカは、前記収納位置から前記配備位置に向かって半径方向外方に動くニチノール部材から成る、請求項63記載のマーカ。
【請求項66】
前記マーカ部分は、直径が2mm以下の円筒形部分を有する、請求項63記載のマーカ。
【請求項67】
前記アンカは、円筒形部分及び前記円筒形部分に取り付けられた弾性部材を有し、前記弾性部材は、非拡張状態及び拡張状態を有する、請求項63記載のマーカ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公表番号】特表2008−507996(P2008−507996A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518329(P2007−518329)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/022568
【国際公開番号】WO2006/002396
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(504233731)カリプソー メディカル テクノロジーズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/022568
【国際公開番号】WO2006/002396
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(504233731)カリプソー メディカル テクノロジーズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
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