説明

誘導木材板及び誘導木材板の製造方法

誘導木材から製造された少なくとも3層を有し、その少なくとも中心層は誘導木材と発泡プラスチック(3)の混合物から製造されている誘導木材板であって、前記中心層が少なくとも1つの発泡性天然産物(4)を更に含むことを特徴とする誘導木材板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質材料からなる3層以上の層を有し、その少なくとも1層の中心層が、木質材料と発泡プラスチック材料との混合物からなる木質板、及び、木質板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の木質板は、例えば、参照によりここに取り込まれる特許文献1において公知である。この木質板を可能な限り軽くするために、中心層は、平均密度が0.4−0.85g/cmである木材粒子を30−95質量%含有する軽量の木質材料を含む。軽量の木質材料に対し、充填材として20質量%以下のポリスチレン及び/又はスチレン共重合体が存在し、この充填材は、10−100kg/mのバルク密度を有する。2.5−50質量%のバインダーも存在し、軽量木質材料の平均原料密度(raw density)は600kgm未満である。
【0003】
軽量木質板の原料密度が低減するにつれ、機械的技術的パラメーターも低減し、この種の板は、平均原料密度が500kgm未満では使用され得ない。
【0004】
木質板は、板状のベニヤ板、合板(プレス平板、押し出し板、OSB板又は高級家具製造板等)、木質繊維のファイバーボード(例えば、MDF又はHDF繊維)、更に他の木質板、例えば、積層木質板、木質型板、その他のプレスラミネート木材などである。特に家具製造産業における木質板に存在する問題点は、しっかりした板はその厚みのために比較的重いということであり、特にセルフアセンブラに運送問題をもたらし得る。
【0005】
特許文献2には、2つの木質層の間に発泡プラスチック材料の層が組み込まれ、そのプラスチック材料の層が木質板のコアを形成している木質板が記載されている。この木質板の上側と下側は、木質繊維又は木片からなる。この木質板において、前記コアは木質繊維又は木片と架橋している。発泡プラスチック材料の木質材料への結合を改善するために、2つの外側木質層の間に粒状プラスチック材料が散布されている。
【0006】
特許文献3には、断熱性能が改善された木質セメント板の製造方法が記載されている。この方法では、木質材料とセメントの混合物が鋳型に導入される。樹脂の発泡ビーズがこの第一の層上に散布される。次いで、この樹脂の発泡ビーズの層には、再び木質材料とセメントの層が塗布される。
【0007】
この中間産物はプレス機内で圧縮成形され、発泡樹脂は圧縮成形体の中心層にとどまる。圧縮成形体は、次いでスチームプレス機内で高温蒸気に晒され、樹脂の発泡粒子が硬化する。
【0008】
特許文献4には、発泡プラスチック材料のコア層と、その両側に塗布され得る、繊維質セメント組成物の支持体層を有するサンドイッチボードの製造方法が記載され、そこでは支持体層もセメントと木毛との混合物からなり得る。
【0009】
特許文献5には、少なくとも1層のOSB板を含むコア層を有し、発泡性接着剤を使用して、該コア層の表面に接着された、更なるOSB板の少なくとも1層の表面層を備えた木質板が記載されている。この板は、約1〜2MPaの圧力下、150〜200℃の範囲の温度においてホットプレス機で製造され、このプレス機内で発泡が生じる。
【0010】
特許文献6には、発泡合成樹脂が含浸された天然繊維から形成され、天然繊維からなる2層の外側層と該外側層に挟まれた中心層から構成される成形品が記載されている。この中心層は、少なくとも一部は発泡合成樹脂から形成され、とりわけ、充填材として木片、木材チップ、木の皮、更には針葉樹の葉をも含有し得る。外側層用の天然繊維と中心層用の合成樹脂の混合物が、加熱された鋳型内に置かれる。加熱された鋳型が閉じられた後、合成樹脂の温度が、例えば、樹脂が発泡して繊維質層に浸透する60℃にされる。
【0011】
特許文献7には、フラットエレメントと、2つの木質板の間に発泡ポリスチレン層を有する木質板とが記載されている。2つの既製の木質板が断熱板と共に接着剤を介して接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】DE202006020503 U1
【特許文献2】EP1561554 B1
【特許文献3】JP2002−338373 A1
【特許文献4】DE1185806 B
【特許文献5】US5554429 A
【特許文献6】DE4226988 A1
【特許文献7】EP1253257 A1
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】対称線までの木質板の形成された中心層の平面図である。
【図2】図1のIIの拡大詳細図である。
【図3】木質板の断面にわたる原料密度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、先に述べた木質板を改善し、原料密度がいかに減少しようとも良好な機械的/技術的パラメーターを維持し、且つ、アルデヒドの放出を減少させることにある。
【0015】
この課題は、所定の木質板が、少なくとも1層の中心層における構成成分として少なくとも1つの発泡天然材料を含有することにより解決される。
【0016】
構成成分としての天然材料は、例えば、トウモロコシ(メイズ:maize)米、小麦、又はこれらの混合物であり得る。構成成分としての天然材料は、構成成分としての従来の材料と比較して強度が高い一方、木質繊維又は木片より低密度であるという利点を有する。これにより、平均原料密度が500kg/m未満でありながら、表面層の原料密度は500kg/m超であることが可能となる。
【0017】
中心層の原料密度が450kg/m未満であり、且つ、平均原料密度からの偏差が±50kg/mを超えないことが好ましい。
【0018】
中心層は、更なる補強手段として繊維質又はフィラメント状の構成物質を含有してもよい。これらの構成物質は、好ましくは天然材料からなり、より好ましくは亜麻である。
【0019】
しかしながら、繊維質又はフィラメント状の構成物質は、プラスチック材料からなっていてもよく、より好ましくは、カーボン、PE、PP、PET、又はガラス成分、又は2成分であることが更に好ましい。
【0020】
表面層は、好ましくは従来の木質種を利用する。中心層は、例えばポプラ材又はハンの木のような原料密度が低い木材であることが好ましい。しかしながら、他の好適な木材種もまた使用できる。
【0021】
少なくとも1層の中心層は、プラスチック材料、好ましくはポリウレタン発泡体系及び/又はポリスチレン発泡体系から構成される充填材を更に含有してもよい。
【0022】
中心層は、木質板の蓄熱容量を増大させるために潜熱蓄熱媒体を更に含有してもよい。有用な潜熱蓄熱媒体は、例えば“Micronal PCM”の名称でBASF社により市販されているような、純粋なワックスのコアを有するプラスチック製カプセルを含有する。室温がプラスチック材料の微小カプセルの製造の過程において切り替え温度として設定される23〜26℃を超えると、マイクロカプセル内部のワックスが溶け、室内の過剰な熱を吸収する。温度が下がるとワックスが固まり、室内にその熱を再び発する。溶けること及び固まることの周期的な連続は、夜と昼の間の自然の温度差により確保される。このように、潜熱蓄熱媒体は昼間の温度の急激な上昇を吸収するのに貢献する。
【0023】
樹脂処理された木質繊維、木片又は木質ストランドが、充填材及び更なる軽量成分と共に層に形成され、次いでホットプレス法により圧力をかけて互いに結合される。好適な樹脂接着剤は、UF、MUF、MUPF、PF、TFを含み、それらはすべて任意にタンパク分屑、例えば、pPF、大豆系粘着物、pMDI又はこれらの混合物を含有し得る。
【0024】
各層が樹脂処理された木質材料から形成される3層以上の層から構成される木質板の製造方法は、発泡性天然産物、特にトウモロコシ、米又は麦を少なくとも1層の中心層に加えること、形成された層を所望の厚さを有する板に成形すること、及び、プレス工程の間に前記天然産物を発泡させることにより区別された。
【0025】
ホットプレスの間に天然産物を発泡させることの代わりに、少し前に予め天然産物を発泡させてもよい。同じことが天然産物に適用される。ある天然構成物質(例えば、トウモロコシ)は、加熱中の熱により単純に発泡する。他の天然構成物質(例えば、麦又は米)は、通常、水分が少なすぎてプレス中に発泡することができず、そのため中心層に導入される前に発泡する必要がある。
【0026】
少なくとも1層の中心層は、天然産物に加え、プレスの間に発泡するポリウレタン発泡体系又はポリスチレン発泡体系のプラスチック材料の充填材が混合されることが好ましい。
【0027】
天然産物は開口部を破裂させることにより発泡し、結果として、木質繊維又は木片の間の隙間を充填する。発泡天然産物は、更に、アルデヒド除去効果を有する。この効果は、板母体中での固定した結合により持続する点で特に有意である。
【0028】
本発明の典型的な態様を図面を用いて簡潔に説明する。
【0029】
木質板は、各層をケーキ状に形成し、該ケーキを所望とする板厚になるまで加圧することにより製造される。木質繊維又は木片を樹脂処理し、形成し、プレスする方法は、長く知られている。DE102004006385が例として参照される。
【0030】
図1は、木質板の少なくとも1層の中心層1の一部を示し、対称線Aに対して対称に形成されている。この中心層1は、木片又は木質繊維2と、通常は、ポリスチレン、ポリウレタン又はポリオールなどの充填材3、及び発泡剤を含有する。更に、層1は、トウモロコシ、米又は麦などの発泡性天然物質4を含有する。フィラメント状の補強繊維5もまた提供される。下層としての表面層上に形成された、この中心層1は、その上に形成された少なくとも1層の上層としての表面層を有し、形成されたケーキは次いでプレスされる。
【0031】
図3は、本発明の木質板の厚さ方向の原料密度プロファイルを示す。表面層6が中心層1より有意に大きな密度を有することが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質材料の3層以上を具備し、その少なくとも1層の中心層(1)が、木質材料と発泡プラスチック材料(4)の混合物からなる木質板であって、中心層(1)が、構成成分(4)として少なくとも1つの発泡天然材料を更に含有することを特徴とする木質板。
【請求項2】
構成構成(4)としての前記天然材料が、トウモロコシ、米、小麦、又はこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の木質板。
【請求項3】
中心層(1)の木質材料が、外側層の木質材料よりも密度が低いことを特徴とする、請求項1又は2に記載の木質板。
【請求項4】
平均原料密度が500kg/mであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の木質板。
【請求項5】
中心層(1)の原料密度が450kg/m未満であることを特徴とする、請求項4に記載の木質板。
【請求項6】
表面層の原料密度が500kg/mを超えていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の木質板。
【請求項7】
平均原料密度からの偏差が±50kg/mを超えないことを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載の木質板。
【請求項8】
中心層(1)が、繊維質又はフィラメント状の構成物質(5)を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の木質板。
【請求項9】
繊維質又はフィラメント状の構成物質(5)が、構成成分としての天然材料、特に亜麻からなることを特徴とする、請求項8に記載の木質板。
【請求項10】
前記繊維質又はフィラメント状の構成要素が、プラスチック材料、特にカーボン、PE、PP、PET、又はガラス繊維からなることを特徴とする、請求項8に記載の木質板。
【請求項11】
繊維質又はフィラメント状の構成要素(5)が、2成分からなることを特徴とする、請求項9又は10に記載の木質板。
【請求項12】
少なくとも中心層(1)が、プラスチック材料、好ましくはポリウレタン発泡体系及び/又はポリスチレン発泡体系から構成された充填材を更に含有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の木質板。
【請求項13】
中心層(1)が潜熱蓄熱媒体を更に含有して蓄熱容量を増加させていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の木質板。
【請求項14】
前記潜熱蓄熱媒体がマイクロカプセル中に入っていることを特徴とする、請求項13に記載の木質板。
【請求項15】
3層以上からなる木質板の製造方法であって、樹脂処理された木質繊維又は木片の各層を形成すること、発泡性天然産物、特に、トウモロコシ、米又は小麦を少なくとも一層の中心層に加えること、ホットプレス下において形成された層を所望の厚さを有する板に成形すること、プレス工程の直前又はプレス工程中に前記天然産物を発泡させることを含む方法。
【請求項16】
少なくとも1層の中心層(1)にプラスチック材料、好ましくはポリウレタン発泡体系及び/又はポリスチレン発泡体系の充填材(3)が加えられ、該充填材がプレス工程中に更に発泡することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
強化用繊維(5)及び、任意に潜熱蓄熱媒体が少なくとも1層の中心層に加えられることを特徴とする、請求項15又は16に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2012−518563(P2012−518563A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551437(P2011−551437)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001139
【国際公開番号】WO2010/097209
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(501206633)クロノテック・アーゲー (6)
【氏名又は名称原語表記】Kronotec AG
【Fターム(参考)】