説明

識別手段移動装置およびピッキング設備

【課題】作業者の数を削減でき、さらに、集品容器の識別性を向上できる識別手段移動装置および識別手段移動装置を備えたピッキング設備を提供することを目的とする。
【解決手段】第1の搬送装置23の搬送面と直角方向を回動面とする無端ベルト29を有する第1の識別手段移動装置26を、第1の搬送装置23と平行に設け、前記無端ベルト29に複数のプレートPを取り付け、無端ベルト29の往路側を移動されているプレートPの移動位置に対応させて、第1の搬送装置23により集品容器10を搬送する。これにより、集品容器10に対してクリップやラベル等の取り付け・取り外しを行う作業が不要になり、このような作業を行う作業者を削減でき、プレートPが集品容器10に対応して移動するため、集品容器10の識別性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキング設備において、物品を集品する集品容器の識別の用に供される装置およびこのような装置を備えたピッキング設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のピッキング設備における集品容器を識別する方式が、例えば、特許文献1に開示されている。
この特許文献1に開示されたピッキング設備は、集品される物品が保管されるストレージラインと、物品を収納する集品容器を順送りする集品ラインとを備えている。このピッキング設備では、物品の集品作業を開始する前に、前記ストレージラインよりピッキングされた物品を投入する集品容器を識別するためのカラー付きのクリップを集品容器に取り付ける作業が行われる。前記クリップのカラーは複数の種類が用意され、複数のカラーを順に繰り返すように、各カラーのクリップを各集品容器に取り付け、カラーを指定することで、間違いなく物品を投入できる集品容器を指定できるようにしている。クリップのカラーが集品容器を識別するための識別符号となっている。
【0003】
前記クリップが取り付けられた集品容器が順に前記集品ラインに投入され、搬送され、ピッキング作業を行う作業者は、ストレージラインから取り出した保管物品を投入すべき対象の集品容器を、集品容器に取り付けられたクリップのカラーにより識別し、この対象の集品容器へ取り出した保管物品の投入を行う。集品容器への物品の集品作業が全て完了すると、作業者により不要となったクリップを集品容器から取り外す作業が行われ、集品された物品が出荷される。
【0004】
このように、各集品容器に、カラーを識別符号とするクリップを取り付ける方式により、集品容器の識別性を向上して、ピッキング作業ミスの削減を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−233419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような従来の方式では、集品容器を集品ラインに投入する前に、集品容器に識別手段(カラー付きのクリップ)を取り付ける前作業が必要であり、前作業を実行する作業者が必要であった。さらに、集品が完了した後、出荷前に集品容器に取り付けられた前記識別手段を取り外す作業が必要であり、このような取り外し作業を実行する作業者が必要であった。したがって、実際にピッキング作業を行う作業者以外に作業者を必要としていた。
また、このようなクリップ等は、失いやすく、また非使用時の保管場所・管理方法に苦慮する場合があった。
さらに、集品容器にクリップを取り付けると、集品容器毎にクリップの取り付け位置にバラつきが生じる場合があり、このような場合、クリップが作業者にとって見え辛くなり、集品容器の識別性の低下を招くおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、作業者の数を削減でき、さらに、集品容器の識別性を向上できる識別手段移動装置およびこのような識別手段移動装置を備えたピッキング設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、物品を収納する複数の物品収納部を有する物品保管手段と、仕分け先、あるいは仕分け先の物品要求情報の物品要求情報がそれぞれ割り付けられた複数の集品容器を、前記物品保管手段に沿って搬送する搬送手段を備え、前記集品容器にそれぞれ対応する識別符号を用いて、前記物品収納部から取り出した物品を投入する集品容器を特定するピッキング設備において、前記識別符号を表示した識別手段を、前記搬送手段に沿って移動する識別手段移動装置であって、前記搬送手段による集品容器の搬送方向と平行に設けられ、前記搬送手段と同期して駆動される、複数の前記識別手段が取り付けられた無端回動体を備え、前記搬送方向と同方向に前記各識別手段を移動させる前記無端回動体の往路側では、前記各識別手段に表示された識別符号を、視認可能に構成し、前記搬送方向と反対方向に前記各識別手段を移動する前記無端回動体の復路側では、前記各識別手段に表示された識別符号を、視認不能に構成したことを特徴とするものである。
【0009】
上記構成によれば、搬送手段の集品容器の搬送方向と同方向に前記各識別手段を移動する無端回動体の往路側では、各識別手段に表示された識別符号を視認可能な状態で、各識別手段が、前記搬送手段により搬送される各集品容器に同期して移動される。また搬送手段の集品容器の搬送方向と反対方向に前記各識別手段を移動する無端回動体の復路側では、各識別手段に表示された識別符号は、視認不能な状態で移動される。
これにより、作業者は、各集品容器に対応して、無端回動体の往路側を移動される識別手段に表示される識別符号を目視で確認することにより、各集品容器を識別・特定することが可能になり、また無端回動体の復路側では、各識別手段に表示される識別符号が視認不能とされるため、復路側を移動する識別符号に惑わされることなく、作業者は作業を行うことができる。また集品容器に対して識別符号を表示したクリップやラベル等の取り付けを行う必要がなく、このようなクリップやラベル等の取り付け・取り外しを行う作業者が不要になり、作業者の数を削減できる。
【0010】
また、無端回動体の往路側において、各識別手段が各集品容器の搬送位置に対応して移動するように、無端回動体が前記搬送手段と同期して駆動されるため、集品容器と識別手段に表示される識別符号との位置関係が、集品容器毎にバラつくことがなくなり、集品容器の識別性を向上できる。
【0011】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、前記無端回動体が回動する回動面の向きを、前記搬送手段の集品容器の搬送面に対して略直角方向の向きにしたことを特徴とするものである。
【0012】
上記構成によれば、無端回動体が回動する回動面の向きが、搬送手段の集品容器の搬送面に対して略直角方向の向きにされることにより、無端回動体が搬送手段の幅方向において占めるスペースをコンパクトにできる。
【0013】
また請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明であって、前記識別手段は、前記識別符号を表示する表示面を有するプレートから構成され、前記プレートは、その表示面が、前記無端回動体と所定角度を形成するように無端回動体に取り付けられ、前記無端回動体の配置位置によって、前記所定角度は、前記無端回動体の往路側において、前記プレートの表示面が作業者の目線高さ位置を向くように設定されることを特徴とするものである。
【0014】
上記構成によれば、識別手段は、識別符号を表示する表示面を有するプレートから構成され、このプレートは、表示面が無端回動体と所定角度を形成するように無端回動体に取り付けられ、無端回動体の配置位置によって、前記所定角度は、無端回動体の往路側において、プレートの表示面が作業者の目線高さ位置を向くように設定されることにより、作業者は、プレートの表示面に表示された識別符号を認識し易くなり、集品容器に対応する識別手段の識別符号を作業者が見誤ることを防止でき、集品容器の識別性を向上できる。
【0015】
また請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明であって、前記無端回動体を収納する本体部を備え、前記本体部に、前記無端回動体の往路側を移動する前記各識別手段に対して外部からの接触を阻止する、透光性を有する保護カバー部材を設けたことを特徴とするものである。
【0016】
上記構成によれば、無端回動体を収納する本体部に、各識別手段を覆う透光性を有する保護カバー部材を設けることにより、各識別手段に表示された識別符号が視認できる状態を維持しつつ、移動中の識別手段に作業者が接触する恐れが無くなり安全性が向上し、また、識別手段が破損することが防止される。
【0017】
また請求項5に記載の発明は、物品を収納する複数の物品収納部を有する物品保管手段と、仕分け先、あるいは仕分け先の物品要求情報がそれぞれ割り付けられた複数の集品容器を、前記物品保管手段に沿って搬送する搬送手段を備え、前記集品容器にそれぞれ対応する識別符号を用いて、前記物品収納部から取り出した物品を投入する集品容器を特定するピッキング設備において、前記搬送手段が、それぞれ集品容器を搬送する、第1の搬送装置と、前記第1の搬送装置に対して、前記物品保管手段より離れて配置される第2の搬送装置とから構成され、前記第1の搬送装置と前記第2の搬送装置との間に、第1の搬送装置により搬送される集品容器に対応して、前記第1の搬送装置による集品容器の搬送方向と平行に前記第1の搬送装置と同期して駆動される、前記識別符号を表示した識別手段が複数取り付けられた第1の無端回動体を備え、前記第1の無端回動体が回動する回動面の向きを、前記第1の搬送装置の集品容器の搬送面に対して略直角方向の向きとし、前記搬送方向と同方向に前記各識別手段を移動させる前記第1の無端回動体の往路側では、前記各識別手段に表示された識別符号を、前記第1の搬送装置の集品容器へ物品を投入する作業者側から視認可能に構成し、前記搬送方向と反対方向に前記各識別手段を移動する前記第1の無端回動体の復路側では、前記各識別手段に表示された識別符号を、前記作業者側から視認不能に構成した第1の識別手段移動装置と、前記第2の搬送装置の前記第1の搬送装置とは反対の側に、第2の搬送装置により搬送される集品容器に対応して、前記第2の搬送装置による集品容器の搬送方向と平行に、前記第2の搬送装置と同期して駆動される、前記識別符号を表示した識別手段が複数取り付けられた第2の無端回動体を備え、前記第2の無端回動体が回動する回動面の向きを、前記第2の搬送装置の集品容器の搬送面に対して略直角方向の向きとし、前記搬送方向と同方向に前記各識別手段を移動させる前記第2の無端回動体の往路側では、前記各識別手段に表示された識別符号を、前記第2の搬送装置の集品容器へ物品を投入する作業者側から視認可能に構成し、前記搬送方向と反対方向に前記各識別手段を移動する前記第2の無端回動体の復路側では、前記各識別手段に表示された識別符号を、前記作業者側から視認不能に構成した第2の識別手段移動装置とを備えることを特徴とするものである。
【0018】
上記構成によれば、無端回動体が回動する回動面の向きが、前記第1の搬送装置の集品容器の搬送面に対して略直角方向の向きとされた第1の識別手段移動装置が、第1の搬送装置と第2の搬送装置との間に配置されることにより、第1の搬送装置に第2の搬送装置を近づけて配置することが可能となる。これにより、作業者から第2の搬送装置により搬送される集品容器までの距離が近くなるため、集品容器の識別性が向上し、第2の搬送装置により搬送される集品容器に物品の投入が行いやすくなる。
【0019】
また第2の搬送装置にも、第2の搬送装置により搬送される集品容器に対応して、無端回動体が回動する回動面の向きが、前記第2の搬送装置の集品容器の搬送面に対して略直角方向の向きとされた第2の識別手段移動装置が配置されることにより、これら第1の搬送装置と第2の搬送装置と2台の識別手段移動装置の設置スペースを少なくでき、省スペースが図られる。
【0020】
また請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明であって、前記第1の搬送装置に対応する第1の識別手段移動装置と前記第2の搬送装置に対応する第2の識別手段移動装置において、前記識別手段は、前記識別符号を表示する表示面を有するプレートから構成され、前記プレートは、その表示面が、前記無端回動体と所定角度を形成するように無端回動体に取り付けられており、各識別手段移動装置における前記プレートの所定角度はそれぞれ、各識別手段移動装置の配置位置に応じて、無端回動体の往路側において、前記プレートの表示面が作業者の目線高さ位置を向くように設定されていることを特徴とするものである。
【0021】
上記構成によれば、各識別手段移動装置の前記所定角度は、各識別手段移動装置の配置位置に応じて、プレートの表示面が作業者の目線高さ位置を向くように設定されることにより、作業者は、プレートの表示面に表示された識別符号を認識し易くなり、集品容器に対応する識別手段の識別符号を作業者が見誤ることを防止でき、集品容器の識別性を向上できる。
【0022】
また請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6に記載の発明であって、複数のランプを有し、前記搬送装置により搬送される、作業対象の集品容器の搬送位置に追随して前記ランプを点灯するガイドランプ装置を、各識別手段移動装置の本体部の上方に配置したことを特徴とするものである。
【0023】
上記構成によれば、集品容器の搬送位置に対応して、無端回動体の往路側を移動される識別手段に表示される識別符号により、作業対象の集品容器を識別・特定することが可能であることに加えて、上方に設けられたガイドランプ装置により、作業対象の集品容器の搬送位置に追随してランプが点灯されて、作業対象の集品容器が指示される。これにより、識別手段とガイドランプ装置の2つの方式で作業対象の集品容器が指示されるため、集品容器の識別性をさらに向上できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の識別手段移動装置によれば、搬送手段の集品容器の搬送方向と同方向に前記各識別手段を移動する無端回動体の往路側では、各識別手段に表示された識別符号を視認可能な状態で各識別手段が各集品容器の搬送位置に対応して移動するように無端回動体と搬送手段とが同期して駆動されることにより、作業者は、各集品容器に対応して、移動される識別手段の識別符号を目視で確認することによって、各集品容器を識別・特定することが可能になり、また搬送手段の集品容器の搬送方向と反対方向に前記各識別手段を移動する無端回動体の復路側では、各識別手段に表示された識別符号を視認不能な状態で移動されることにより、作業者は、復路側を移動する識別符号に惑わされることなく、作業を行うことができ、作業性を向上できる。また、集品容器に対して識別符号を表示したクリップやラベル等の取り付けを行う必要がなく、このようなクリップやラベル等の取り付け・取り外しを行う作業者が不要になり、作業者の数を削減でき、さらに、無端回動体の往路側において、各識別手段が各集品容器の搬送位置に対応して移動するように、無端回動体が前記搬送手段と同期して駆動されるため、集品容器と識別手段に表示される識別符号との位置関係が、集品容器毎にバラつくことがなくなり、集品容器の識別性を向上できる。
【0025】
また本発明のピッキング設備によれば、無端回動体が回動する回動面の向きが、前記第1の搬送装置の集品容器の搬送面に対して略直角方向の向きとされた第1の識別手段移動装置が、第1の搬送装置と第2の搬送装置との間に配置されることにより、第1の搬送装置に第2の搬送装置を近づけて配置することが可能となることにより、作業者から第2の搬送装置により搬送される集品容器までの距離が近くなるため、集品容器の識別性が向上し、第2の搬送装置により搬送される集品容器に物品の投入が行いやすくなり、また第2の搬送装置にも、第2の搬送装置により搬送される集品容器に対応して、無端回動体が回動する回動面の向きが、前記第2の搬送装置の集品容器の搬送面に対して略直角方向の向きとされた第2の識別手段移動装置が配置されることにより、これら第1の搬送装置と第2の搬送装置と2台の識別手段移動装置の設置スペースを少なくでき、省スペースを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態における識別手段移動装置を備えたピッキング設備の概略斜視図である。
【図2】同ピッキング設備の概略平面図である。
【図3】同ピッキング設備の側面図である。
【図4】同ピッキング設備の正面図である。
【図5】同ピッキング設備の識別手段移動装置の拡大断面図である。
【図6】同ピッキング設備の識別手段移動装置の正面図である。
【図7】同ピッキング設備の拡大表示器の説明図である。
【図8】本発明の他の形態における識別手段移動装置の拡大断面図である。
【図9】同識別手段移動装置の正面図である。
【図10】本発明の他の形態における識別手段移動装置の拡大断面図である。
【図11】本発明の他の形態における識別手段移動装置の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の識別手段移動装置は、ピッキング設備において使用される。このピッキング設備は、個別の予め登録されたユーザー(仕分け先の一例)から注文を受けた物品を、ユーザーを割り当てられた集品容器に集めて、出荷・配送を行う設備であり、識別手段移動装置は、前記集品容器にそれぞれ対応する独自のナンバー(識別符号の一例)をピッキング作業者に認識させるために、前記ナンバーを表示したプレート(ナンバープレート;識別手段の一例)を、集品容器を搬送する搬送ラインに沿って移動する装置である。
【0028】
まず識別手段移動装置を備えたピッキング設備について説明する。 図1に本発明の実施の形態における識別手段移動装置が使用されたピッキング設備の概略斜視図を示す。ピッキング設備は、集品容器に対して物品の集品が実行される集品エリアを有し、この集品エリアには、集品される物品11が保管されるストレージラインAと、ユーザーからの注文(物品要求情報の一例)毎に、ストレージラインAからピッキングされた物品11が投入される、コンテナからなる集品容器10を連続搬送する集品ラインB(搬送手段の一例)が備えられている。
ストレージラインAおよび集品ラインBには、ピッキング作業を実行する複数のゾーンZが設定されており、各ゾーンZにおいて、ストレージラインAに保管されている物品11を取り出し、集品ラインBにより連続搬送されてくる各集品容器10内へと投入するピッキング作業を実行するように構成されている。
【0029】
[ストレージラインA];ストレージラインAは、図1,図2等に示すように、例えば、フローラック(物品保管手段の一例)12から構成されている。フローラック12には、複数の間口14が備えられ(本実施の形態1では、3段×5列の15個)、各間口14には、それぞれ、原則として、1種類の物品11が収納されている(あるいは物品を収納した収納箱が収納されている)。複数の間口14毎に、前記ゾーンZが形成されている。
またフローラック12の各間口14の前面にはそれぞれ、取出す物品11の数量を表示する数量表示器15Aと、ランプ部を有する完了押釦スイッチ15Bから構成された間口表示器15が設けられている。
またゾーンZ毎に、ゾーンZ内のピッキング対象となる物品11が収納される間口14の段を表示するランプを、段毎に備えたベイ表示器50が設けられている。
作業者Hは、このベイ表示器50の表示によりピッキング対象の物品11が収納される間口14の段数を特定し、間口表示器15の表示に従って間口14より物品11を取り出して集品容器10に投入する。
【0030】
[集品ラインB];集品ラインBは、図1,図2等に示すように、例えば、フローラック12側に配置された第1搬送ライン21と、この第1搬送ライン21に対して、フローラック12より離れて配置される第2搬送ライン22とを備えている。
各搬送ライン21,22毎に、集品エリアに、各搬送ライン21,22により搬送される集品容器10に対応するナンバーが表示されたプレートPを搬送ライン21,22に沿って移動させる識別手段移動装置26,27が設けられている。
【0031】
『第1搬送ライン21』;前記第1搬送ライン21は、第1の搬送装置23と、第1の搬送装置23のフローラック12より離れた側面側に配置される第1の識別手段移動装置26とから構成されている。
【0032】
「第1の搬送装置23」;第1の搬送装置23は、ベルトコンベヤ装置から構成され、複数の集品容器10を連続搬送する。集品容器10の搬送手段としてベルトコンベヤ装置を用いることにより、集品容器10の搬送位置がずれることを防止している。
【0033】
「第1の識別手段移動装置26」;第1の識別手段移動装置26は、図3に示すように、第1の搬送装置23のフローラック12から離れた側の側面に固定して立設された支持部材34により、第1の搬送装置23の側面上方に固定して配置され、第1の搬送装置23による集品容器10の搬送方向に沿って、第1の搬送装置23と平行に設けられた本体部28を備えている。
【0034】
図6に示すように、この本体部28の内部には、上下流方向の端部に、それぞれ、駆動プーリー30と従動プーリー31とが垂直な姿勢で対向して配置され、これらプーリー30,31に無端ベルト(無端回動体,第1の無端回動体の一例)29が巻きつけられて収納されている。よって無端ベルト29が回動する回動面の向きは、第1の搬送装置23の集品容器10の搬送面に対して略直角方向の向きとされている。このように、無端ベルト29が回動する回動面の向きが、第1の搬送装置23の集品容器10の搬送面に対して略直角方向の向きにされることにより、無端ベルト29が第1の搬送装置23の幅方向において占めるスペース、すなわち、本体部28の幅(前記直角方向の幅)をコンパクトにでき、よって、作業者Hの作業スペースを広くとることができ、また他の機器等の設置スペースを確保できる。
また、このように、第1の識別手段移動装置26は、幅方向に占めるスペースがコンパクトであるため、第2の搬送ライン22を第1の搬送ライン21に近接して配置することができ、第2の搬送ライン22により搬送される集品容器10に対して、物品11の投入を行いやすくなる。
【0035】
前記無端ベルト29は、歯付きベルトから構成されていることが好適である。このとき、プーリー30,31には、歯付きベルトの歯にかみ合う歯が形成されたものが用いられる。歯付きベルトは、歯を噛み合わせて駆動されるため、摩擦のみで駆動されるVベルトや平ベルトのようにスリップによる位相ずれが起きない。このため、無端ベルト29を歯付きベルトとすることにより、第1の搬送装置23により搬送される集品容器10の搬送位置とプレートPの移動位置との同期関係に狂いが生じることを防止でき、集品容器の識別性を良好に維持することができる。(同期については後述する。)
【0036】
この無端ベルト29上には、前記第1の搬送装置23により搬送される集品容器10の間隔(一定間隔)に応じて、各集品容器10に対応できるように、プレートP(識別手段の一例)が複数、設けられている。プレートPは、作業者Hが集品容器10を判別するための独自の識別符号の一例であるナンバーを表示する表示面36を有しており、この表示面36が、無端ベルト29と所定角度を形成するようにアタッチメント(図示せず)を介して、無端ベルト29に取り付けられ、第1の識別手段移動装置26の本体部28(無端ベルト29)の配置位置によって、この所定角度が、無端ベルト29の往路側(第1の搬送装置23が集品容器10を搬送する方向と同方向に、プレートPを本体部28の上側で移動させる側)において、プレートPの表示面36が作業者Hの目線高さ位置を向くように設定されている。各プレートPの表示面36には、例えば、集品容器10を特定するナンバー(“1”〜“49”までの連続番号)が表示される。
【0037】
また無端ベルト29は、前記往路側と、第1の搬送装置23が集品容器10を搬送する方向と反対方向に、プレートPを本体部28の下側で移動させる復路側とに、領域を分けることができ、往路側を移動される各プレートPに表示されたナンバーを、本体部28の外方より作業者Hから(フローラック12側から)視認可能となるように、本体部28には、無端ベルト29の往路側を移動する各プレートPの移動位置に対応して、透光性を有する保護カバー部材37が設けられている。また復路側を移動される各プレートPは、表示されたナンバーを作業者Hから視認不能となるように、本体部28内部を移動している。
ここで、「視認不能」とは、無端ベルト29の復路側を搬送されるプレートPの表示面36が作業者Hから(フローラック12側から)見えなくされている状態であればよい。このため、無端ベルト29の復路側を移動されるプレートPを本体部28により完全に遮蔽して作業者Hから見えなく構成する(図5等)、無端ベルト29の復路側を移動されるプレートPを、第1の搬送装置23により搬送される集品容器10で隠して作業者Hから見えなくする等の種々の方法を採用することができる。
【0038】
また駆動プーリー30の回転軸は、駆動チェーン32を介して駆動軸33に連結されており、この駆動軸33は、第1の搬送装置23による集品容器10の搬送速度と、第1の識別手段移動装置26によるプレートPの移動速度が同じ速度になるように第1の搬送装置23の駆動軸と同期して駆動される。よって、第1の搬送装置23と第1の識別手段移動装置26とは同期して駆動され、すなわち、第1の搬送装置23が集品容器10を搬送する速度と、第1の識別手段移動装置26がプレートPを搬送する速度が同じ速度とされ、プレートPは、第1の搬送装置23により搬送される集品容器10の搬送位置と同期して移動される。
【0039】
また第1の搬送装置23には、一定間隔で移動する各プレートPの移動位置に対応するように、集品容器10が投入され、第1の識別手段移動装置26のプレートPが、第1の搬送装置23により搬送される集品容器10に対応付けされる。
また第1の識別手段移動装置26の上方には、ガイドランプ装置52が設けられている。
【0040】
『第2搬送ライン22』;第2搬送ライン22は、第2の搬送装置24と、フローラック12より離れて第2の搬送装置24の第1の搬送装置23とは反対の側に配置される第2の識別手段移動装置27とから構成されている。よって、第1の識別手段移動装置26は、第1の搬送装置23と第2の搬送装置24との間に配置される。
【0041】
「第2の搬送装置24」;第2の搬送装置24は、第2の搬送装置24により搬送される集品容器10に物品11を投入しやすくするために、第1の搬送装置23よりも集品容器10の搬送面が高い位置に設定されている。
第2の搬送装置24のその他の構成は、第1の搬送装置23と同様である。
【0042】
「第2の識別手段移動装置27」;第2の識別手段移動装置27は、第2の搬送装置24のフローラック12から離れた側の側面に固定して立設された支持部材35により、第2の搬送装置24の側面上方に固定して配置されている。
第2の識別手段移動装置27の構成は、第1の識別手段移動装置26と同様であるが、第2の識別手段移動装置27の無端ベルト(無端回動体,第2の無端回動体の一例)29に取り付けられるプレートPは、第1の識別手段移動装置26の無端ベルト29に取り付けられるプレートPとは、無端ベルト29に対する取り付ける角度を異ならせている。第2の識別手段移動装置27は、第1の識別手段移動装置27よりも設置位置が高く、フローラック12からさらに離れた位置に配置されるため、作業者Hの目線高さを向く表示面36の方向が異なるためである。
【0043】
また第2の識別手段移動装置27は、同様に第2の搬送装置24と同期して駆動され、第2の搬送装置24が集品容器10を搬送する速度と、第2の識別手段移動装置27がプレートPを搬送する速度が同じ速度とされ、プレートPは、第2の搬送装置24により搬送される集品容器10の搬送位置と同期して移動される。各プレートPの表示面36には、例えば、第1の識別手段移動装置26のプレートPとは異なる、集品容器10を特定するナンバー(“51”〜“99”までの連続番号)が表示される。
【0044】
また第2の搬送装置24には、一定間隔を空けて移動される各プレートPの移動位置に対応するように、集品容器10が投入され、第2の識別手段移動装置27のプレートPが、第2の搬送装置24により搬送される集品容器10に対応付けされる。
また第2の識別手段移動装置27の上方にも、ガイドランプ装置53が設けられている。
また搬送装置23,24を構成するベルトコンベヤ装置の駆動軸にはそれぞれ、エンコーダが備えられ、各エンコーダのパルスをカウントし、カウント値を出力することにより、最初の集品容器10が投入されてからの各集品容器10の搬送位置が検出可能とされている。
【0045】
また図1〜図4に示すように、各ゾーンZの上流側には、第1搬送ライン21および第2搬送ライン22の上方に支持部材43に支持されて拡大表示器41が設けられている。
「拡大表示器41」;拡大表示器41は、第1搬送ライン21および第2搬送ライン22を搬送される集品容器10に対してピッキング作業を行うようゾーンZの作業者Hに指示を行う装置である。
拡大表示器41は、図7に示すように、現在ピッキング対象となっている集品容器10に対応するプレートPのナンバーを表示する投入表示部44と、続けてピッキング対象となる第1搬送ライン21上の集品容器10に対応するプレートPのナンバーを表示する第1表示部42Aと、続けてピッキング対象となる第2搬送ライン22上の集品容器10に対応するプレートPのナンバーを表示する第2表示部42Bとを備え、第1表示部42Aと第2表示部42Bはそれぞれ、第1先行投入表示部46、第2先行投入表示部47、第3先行投入表示部48、第4先行投入表示部49とから構成される。
これら投入表示部44、第1先行投入表示部46、第2先行投入表示部47、第3先行投入表示部48、第4先行投入表示部49はそれぞれ、ナンバー表示部41Aとランプ部41Bとを備えている。
【0046】
現在ピッキング作業対象となっている集品容器10に対応するプレートPのナンバーと移動しているゾーンZの情報は、投入表示部44に表示される。また第1搬送ライン21または第2搬送ライン22でそれぞれ、先行ピッキング作業対象となっている集品容器10に対応するプレートPのナンバーおよびゾーンZの情報は、第1表示部42Aまたは第2表示部42Bに表示される。すなわち、次にピッキング対象となっている集品容器10に対応するプレートPのナンバーと移動しているゾーンZの情報は、第1先行投入表示部46に表示され、次の次に投入対象となっている集品容器10の情報は第2先行投入表示部47に表示され、さらに次に投入対象となっている集品容器10の情報は第3先行投入表示部48に表示され、さらに次に投入対象となっている集品容器10の情報は、第4先行投入表示部49に表示される。
投入表示部44および第1表示部42Aと第2表示部42Bにおける先行表示部46〜49の各ナンバー表示部41Aには、集品容器10に割り当てられたプレートPに印字されたナンバー(プレートPのナンバー)が表示される。
【0047】
また各ランプ部41Bの色は、ピッキング対象の集品容器10が現在移動しているゾーンZに合わせて更新される(色が変わる)。すなわち、ランプ部41Bは、ピッキング対象の集品容器10が自分のゾーンZ(自ゾーン)を移動しているとき、赤色で点灯表示され、ピッキング対象の集品容器10が、1つまたは2つ上流のゾーンZ内を移動しているとき、橙色で点灯表示され、ピッキング対象の集品容器10が、3つ以上上流のゾーンZを移動しているとき、緑色で点灯表示される。また投入表示部44のランプ41Bは、ピッキング作業を実行するとき点滅表示される。
【0048】
「テープスイッチ16」;ゾーンZ毎に、第1搬送ライン21に沿って、第1の搬送装置23とフローラック12との間に、長尺状のスイッチであるテープスイッチ16が設けられている。テープスイッチ16は、ゾーンZにおいて集品対象の集品容器10への物品11の投入が終了したときに操作される。
【0049】
「ガイドランプ装置52,53」;上述したガイドランプ装置52,53はそれぞれ、複数のガイドランプにより構成されている。
第1の識別手段移動装置26の上方に設けられたガイドランプ装置52は、第1搬送ライン21によりゾーンZ内に順次搬入されてくる集品容器10のうちピッキング対象(物品を投入する対象)となる集品容器10が搬送されてくると、ガイドランプ装置52を構成するガイドランプのうち集品容器10の集品容器長(搬送方向の長さ)に相当する個数分のガイドランプを単位として、搬送される集品容器10に追従して順次点灯して作業者Hに報知する。
また第2の識別手段移動装置27の上方に設けられたガイドランプ装置53は、第2搬送ライン22によりゾーンZ内に順次搬入されてくる集品容器10のうちピッキング対象となる集品容器10が搬送されてくると、ガイドランプ装置53を構成するガイドランプのうち集品容器10の集品容器長(搬送方向の長さ)に相当する個数分のガイドランプを単位として、搬送される集品容器10に追従して順次点灯して作業者Hに報知する。
作業者Hは、ピッキング対象の集品容器10を、拡大表示器41、プレートP、ガイドランプ装置52,53の各表示により特定することができる。
【0050】
「制御」;上記構成の制御は、次のようになされる。
各集品容器10には、各搬送装置23,24に投入される順に、仕分け先(あるいは、仕分け先の物品要求情報)が予め設定され、各識別手段移動装置26,27により移動されるプレートPのナンバーが割り付けられ、各搬送装置23,24と各識別手段移動装置26,27が同期して駆動されると、移動されるプレートPのナンバーに合わせて集品容器10が投入される。
また搬送装置23,24により搬送されている各集品容器10の搬送位置(現在位置)が検出されており、各集品容器10が現在位置するゾーンZ(ナンバー)が検出されている。
【0051】
さて、ゾーンZ毎に配置された作業者Hに対して、物品11を取り出すフローラック12の間口14を指示し、取り出した物品11を指示するために、間口表示器15と、ベイ表示器50と、拡大表示器41と、ガイドランプ装置52,53が組み合わせて制御される。
【0052】
すなわち、ゾーンZ毎に、ゾーンZ、およびこのゾーンZの上流に位置する、集品容器10(ナンバー)を搬送位置により確認し、続いて確認した集品容器10に割り付けられた(プレートPの)ナンバーにより仕分け先を確認し、確認した各集品容器10(仕分け先)に対してゾーンZにおいて投入する物品11の有無を確認する。確認したゾーンZにおける集品対象の集品容器10の中から、最も下流に位置する集品容器10と、各搬送ライン21,22それぞれにつき、下流側から順に4個の集品容器10をピックアップする。
【0053】
そして、最も下流に位置する集品容器10のデータを、拡大表示器41の投入表示部44に表示し、各搬送ライン21,22の4個の集品容器10のデータを、第1表示部42Aと第2表示部42Bにおける先行表示部46〜49に表示する。このとき、各ナンバー表示部41Aには、集品容器10に割り当てられたプレートPに印字されたナンバー(プレートPのナンバー)が表示され、各ランプ部41Bの色は、ピッキング対象の集品容器10が現在移動しているゾーンZに合わせて表示される。
【0054】
またピックアップした最も下流に位置する集品容器10の位置を、ガイドランプ装置52または53のガイドランプにより追従して表示し、またこの集品容器10に投入する物品11が収納されている間口14の間口表示器15を表示し、間口14が位置する段をベイ表示器50により表示する。間口表示器15には、取出す物品11の数量を数量表示器15Aに表示し、完了押釦スイッチ15Bのランプ部を点灯する。
【0055】
そして、間口表示器15の完了押釦スイッチ15Bの操作とテープスイッチ17の操作により、集品対象の最も下流に位置する集品容器10への物品11の投入終了が確認されると、ゾーンZにおいて取り出された物品11が、この集品容器10へ投入が終了したものとして、再び、ゾーンZ、およびゾーンZの上流に位置する、集品容器10を確認し集品容器10に割り付けられたプレートPのナンバーにより仕分け先を確認し、確認した各集品容器10に対してゾーンZにおいて投入する物品11の有無を確認すると、確認したゾーンZにおける集品対象の集品容器10の中から、最も下流に位置する集品容器10と、各搬送ライン21,22それぞれについて、下流から4個の集品容器10をピックアップし、上記拡大表示器41と間口表示器15とベイ表示器50の表示を行う。このように、各ゾーンZ毎に、最も下流側に位置する集品対象の集品容器10を確認して、制御が実行される。
【0056】
『ピッキング作業』;ゾーンZに配置された作業者Hのピッキング作業の一例を説明する。
ゾーンZに配置された作業者Hは、拡大表示器41による表示と、ベイ表示器50による表示と、各間口表示器15による表示と、第1のガイドランプ装置52による表示と、第2のガイドランプ装置53による表示に基づいて、ゾーンZ内のフローラック12の各間口14から集品容器10へと物品11のピッキング作業を行う。
【0057】
すなわち、拡大表示器41の表示を確認し、ランプ部41Bが点滅している投入表示部44のナンバー表示部41AのプレートPの番号と、ランプ部41Bのランプの色を確認する。確認したプレートPの番号に対応する集品容器10へピッキング作業を行うことを確認し、ランプ部41Bの色により、ピッキング対象の集品容器10の現在位置を確認する。例えば、ランプ部41Bの色が赤色に点灯しているとき、対象の集品容器10が自ゾーンZ内を搬送され、ランプ部41Bが橙色に点灯しているとき、対象の集品容器10が上流に隣接するゾーンZ内もしくは自ゾーンZより2つ上流のゾーンZ内を搬送され、ランプ部41Bが緑色に点灯しているとき、対象の集品容器10が自ゾーンZより3つ以上上流のゾーンZ内を搬送されていることが判断できる。
【0058】
また拡大表示器41の先行表示部46〜49には、番号とランプの色により、搬送ライン21,22毎に、次以降にピッキング作業の対象となる集品容器10に対応するプレートPの番号と、現在位置(自ゾーンZ内を搬送中,自ゾーンZに隣接する上流ゾーンZ内もしくは自ゾーンZより2つ上流のゾーンZ内を搬送中,または自ゾーンZより3つ以上上流のゾーンZ内を搬送中のいずれか)が予告して表示されるため、作業者Hは、予め作業の時間配分などを段取りできるため、ピッキング作業を計画的に行うことができる。
【0059】
続いて、ベイ表示器50の表示と、各間口表示器15の表示に基づいて、前記集品容器10へ投入するための物品11を間口14から取り出し、間口14から取り出し数量の物品11を取り出すと、物品11を取り出した間口表示器15の完了押釦スイッチ15Bを押し、対象の集品容器10へ取り出した物品11の投入を行う。対象となっている間口14全てから物品11の取り出し・集品容器10への投入が完了すると、テープスイッチ16を操作し、対象の集品容器10に対する物品11のピッキング作業を終了する。
【0060】
このように、作業者Hは、拡大表示器41に表示される番号をもとに、移動中のプレートPの番号を探索し、探索したプレートPの番号に対応する集品容器10に対して、取り出した物品11を投入するという構成をとっているため、集品容器10の搬送位置に関わらず物品11の投入を行うことができる。すなわち、集品容器10がどこのゾーンZを搬送されていても、集品容器10に対応するプレートPの番号に基づいて、集品容器10に対して物品11の投入を行うことができる。
【0061】
また対象の集品容器10が自ゾーンZを搬送されているとき、集品容器10の搬送位置に追随するように、ガイドランプ装置52,53のガイドランプが点灯して、集品容器10の搬送位置が作業者Hに示される。これにより、プレートPとガイドランプ装置の2つの方法により対象の集品容器10が指示されるため、集品容器10の識別性をさらに向上できる。
【0062】
以上のように、本実施の形態によれば、第1の搬送装置23の集品容器10の搬送方向と同方向に各プレートPを移動する無端ベルトの往路側では、各プレートPに表示されたナンバーを本体部38の外方から視認不能に移動されることにより、作業者Hは、各集品容器10に対応して、無端ベルト29の往路側を移動されるプレートPに表示されるナンバーを目視で確認して、各集品容器10を識別・特定することが可能になり、また無端ベルト29の復路側では、各プレートPに表示されるナンバーが視認不能とされるため、復路側を移動する識別符号に惑わされることなく、作業者Hは作業を行うことができる。また集品容器10に対して識別符号を表示したクリップやラベル等の取り付けを行う必要がなく、このようなクリップやラベル等の取り付け・取り外しを行う作業者が不要になり、作業者の数を削減でき、また、無端ベルト29の往路側において、各プレートPが各集品容器10の搬送位置に対応して、移動するように、無端ベルト29が搬送装置23,24と同期して駆動されるため、集品容器10とプレートPに表示されるナンバーとの位置関係が、集品容器10毎にバラつくことがなくなり、集品容器10の識別性を向上できる。
【0063】
また本実施の形態によれば、識別手段移動装置26,27において無端ベルト29の回動する回動面の向きが、搬送装置23,24の集品容器10の搬送面に対して略直角方向の向きにされることにより、本体部28の幅を狭くコンパクトにでき、よって、識別手段移動装置26,27が搬送ライン21,22の幅方向において占めるスペースをコンパクトにでき、設置スペースを少なくでき、作業者Hの作業スペースを広くとることができ、また他の機器などの設置スペースを確保でき、省スペースを実現できる。
また第2の搬送装置24を第1の搬送装置23に近接させて配置することができ、これにより、作業者Hから第2の搬送装置24により搬送される集品容器10までの距離が近くなるため、集品容器10の識別性が向上し、第2の搬送装置24により搬送される集品容器10に物品11の投入が行いやすくできる。
【0064】
また本実施の形態によれば、ナンバーを表示する表示面36を有するプレートPは、表示面36が無端ベルト29と所定角度を形成するように無端ベルト29に取り付けられ、各識別手段移動装置26,27の配置位置に応じて、所定角度は、無端ベルト29の往路側において、プレートPの表示面36が作業者Hの目線高さ位置を向くように設定されることにより、作業者Hは、プレートPの表示面36に表示されたナンバーを認識し易くなり、集品容器10に対応するプレートPのナンバーを認識し易くなり、集品容器10に対するプレートPのナンバーを作業者Hが見誤ることを防止でき、集品容器10の識別性を向上できる。
【0065】
また本実施の形態によれば、本体部28に、各プレートPを覆う透光性を有する保護カバー部材37を設けることにより、各プレートPに表示されたナンバーが視認できる状態を維持しつつ、移動中のプレートPに作業者Hが接触する恐れが無くなり安全性を向上でき、また、プレートPが破損することを防止できる。
【0066】
また本実施の形態によれば、無端ベルト29を歯付きベルトにすることにより、摩擦のみで駆動されるVベルトや平ベルトのようにスリップによる位相ずれが起きないため、集品容器10の搬送位置とプレートPの移動位置との同期関係に狂いが生じることを防止でき、集品容器10の識別性を良好に維持することができる。
【0067】
また本実施の形態によれば、集品容器10の搬送位置に対応して、無端ベルト29の往路側を移動されるプレートPに表示されるナンバーにより、作業対象の集品容器10を特定するが可能であることに加えて、上方に設けられたガイドランプ装置52,53により、作業対象の集品容器10の搬送位置に追随してガイドランプが点灯され、作業対象の集品容器10が指示されることにより、プレートPとガイドランプ装置52,53の2つの方式で作業対象の集品容器10が指示されるため、集品容器10の識別性をさらに向上できる。
【0068】
[識別手段移動装置26,27の他の実施の形態];識別手段移動装置26,27の他の実施の形態を説明する。
「他の形態1」;他の形態1の識別手段移動装置26’,27’は、上記識別手段移動装置26,27においてプレートPを移動する無端ベルト29を無端チェーン(無端回動体の一例)29’に変更したものである。またプーリー30,31に代えて、スプロケット30’,31’を使用している。
図8に、識別手段移動装置26’,27’の拡大断面図、図9に同識別手段移動装置26’ ,27’の正面図を示す。
この他の形態1によれば、無端チェーン29’は、金属により構成されるため、ゴム等の弾性体により構成される無端ベルト29と比較して、耐久性・剛性が高く、また無端ベルト29は、小径のプーリーを用いることができず、ベルト幅も剛性を確保するため一定以上の断面積にするため、幅をある程度大きくすることが要求されるが、無端チェーン29’の場合は、小径のスプロケットであっても問題なく運用でき、幅方向に占めるスペースが大きくならないため、識別手段移動装置26’,27’をコンパクトに構成できる。
【0069】
「他の形態2」;他の形態2の識別手段移動装置26’’,27’’は、上記識別手段移動装置26,27においてプレートPを移動する無端ベルト29の回動面を水平に変えたものである。
図10に識別手段移動装置26’’,27’’の拡大断面図を示す。
この他の形態2によれば、識別手段移動装置26,27と比較して、高さ方向に占める識別手段移動装置26’’,27’’のスペースを小さくすることができる。
【0070】
「他の形態3」;他の形態3の識別手段移動装置26’’’,27’’’は、上記識別手段移動装置26,27においてプレートPを移動する無端ベルト29を無端チェーン29’に変え、その回動面を水平に変えたものである。またプーリー30,31に代えて、スプロケット30’,31’を使用している。
図11に識別手段移動装置26’’’,27’’’ の拡大断面図を示す。
この他の形態3によれば、識別手段移動装置26’’’,27’’’が高さ方向に占めるスペースを小さくすることができ、さらに、装置をコンパクトに構成できる。
【0071】
なお、本実施の形態では、集品ラインBは、第1搬送ライン21と、第2搬送ライン22から構成しているが、第1搬送ライン21のみであってもよく、またこれら搬送ライン21,22に仮置台を設けてもよい。
また本実施の形態では、第2搬送ライン22の搬送面は、第1搬送ライン21の搬送面より高くされているが、第2搬送ライン22の搬送面を第1搬送ライン21側に向かって下り傾斜状に構成したりすることもできる。
また本実施の形態では、集品容器10としてコンテナを用いているが、この集品容器10は、物品11を一時的に収納することができればどのようなものでもよく、例えば、段ボール、パレット等も含む。
【0072】
また本実施の形態では、集品容器10を特定する符号として数字を使用しているが、アルファベットなどの文字や絵文字、画像などを使用することもできる。このとき、文字や絵文字、画像に順を決めて、その順に集品容器10に割付けて第1搬送ライン21および第2搬送ライン22へ投入する。
また本実施の形態では、完了入力手段として、テープスイッチ16を使用しているが、単にピッキング作業を完了入力するスイッチであればよく、単なる押釦スイッチでもよい。
【0073】
また本実施の形態では、各ゾーンZは、1人の作業者Hを配置する構成としているが、各ゾーンZに複数(例えば、2人)の作業者Hを配置する構成とすることもできる。これにより、ゾーンZ内にピッキング対象の集品容器10が間を置くことなく搬入される状況にあっても、ゾーンZ内の作業速度が向上するため、集品ラインBを緊急停止する状況が発生する可能性を低減でき、ピッキング作業の効率を向上できる。
また本実施の形態では、仕分け先をユーザー別としているが、ユーザーに限ることはなく、店舗別、商品などのカテゴリー別あるいは区分別、地域別、搬送トラック別などとすることもできる。
また本実施の形態では、ランプ部41Bの色を変えることにより、作業者Hに集品容器10のゾーン情報を伝達する方式としているが、作業者Hがゾーン情報を認識できる方式であればどのような方式でもよく、ランプの光の強弱により伝達する方式としてもよい。
【0074】
また本実施の形態では、物品保管手段の一例として、搬送ライン21,22に沿って配置されるフローラック12を挙げて説明したが、物品収納部毎に物品が保管できればよいので、このようなフローラック12に限らず、物品11または収納箱が移動しない一般棚を使用してもよいし、搬送ライン21,22と直角方向を向いた物品収納棚を設けてもよいし、床面を線引きなどして区画して物品収納部としてもよい。
また本実施の形態では、識別手段移動装置26,27に保護カバー部材37を設けているが、第2の識別手段移動装置27の保護カバー部材37は、作業者Hが誤って接触してしまうおそれがない場合は設けなくてもよい場合がある。
【符号の説明】
【0075】
B 集品ライン
H 作業者
P プレート
Z ゾーン
10 集品容器
11 物品
21 第1搬送ライン
22 第2搬送ライン
23 第1の搬送装置
24 第2の搬送装置
26,26’,26’’,26’’’ 第1の識別手段移動装置
27,27’,27’’,27’’’ 第2の識別手段移動装置
28 本体部
29 無端ベルト
29’ 無端チェーン
30 駆動プーリー
30’ 駆動スプロケット
31 従動プーリー
31’ 従動スプロケット
32 駆動チェーン
33 駆動軸
36 表示面
37 保護カバー部材
52,53 ガイドランプ装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する複数の物品収納部を有する物品保管手段と、仕分け先、あるいは仕分け先の物品要求情報がそれぞれ割り付けられた複数の集品容器を、前記物品保管手段に沿って搬送する搬送手段を備え、前記集品容器にそれぞれ対応する識別符号を用いて、前記物品収納部から取り出した物品を投入する集品容器を特定するピッキング設備において、前記識別符号を表示した識別手段を、前記搬送手段に沿って移動する識別手段移動装置であって、
前記搬送手段による集品容器の搬送方向と平行に設けられ、前記搬送手段と同期して駆動される、複数の前記識別手段が取り付けられた無端回動体
を備え、
前記搬送方向と同方向に前記各識別手段を移動させる前記無端回動体の往路側では、前記各識別手段に表示された識別符号を、視認可能に構成し、
前記搬送方向と反対方向に前記各識別手段を移動する前記無端回動体の復路側では、前記各識別手段に表示された識別符号を、視認不能に構成したこと
を特徴とする識別手段移動装置。
【請求項2】
前記無端回動体が回動する回動面の向きを、前記搬送手段の集品容器の搬送面に対して略直角方向の向きにしたこと
を特徴とする請求項1に記載の識別手段移動装置。
【請求項3】
前記識別手段は、前記識別符号を表示する表示面を有するプレートから構成され、
前記プレートは、その表示面が、前記無端回動体と所定角度を形成するように無端回動体に取り付けられ、
前記無端回動体の配置位置によって、前記所定角度は、前記無端回動体の往路側において、前記プレートの表示面が作業者の目線高さ位置を向くように設定されること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の識別手段移動装置。
【請求項4】
前記無端回動体を収納する本体部を備え、
前記本体部に、前記無端回動体の往路側を移動する前記各識別手段に対して外部からの接触を阻止する、透光性を有する保護カバー部材を設けたこと
を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の識別手段移動装置。
【請求項5】
物品を収納する複数の物品収納部を有する物品保管手段と、仕分け先、あるいは仕分け先の物品要求情報がそれぞれ割り付けられた複数の集品容器を、前記物品保管手段に沿って搬送する搬送手段を備え、前記集品容器にそれぞれ対応する識別符号を用いて、前記物品収納部から取り出した物品を投入する集品容器を特定するピッキング設備において、
前記搬送手段が、それぞれ集品容器を搬送する、第1の搬送装置と、前記第1の搬送装置に対して、前記物品保管手段より離れて配置される第2の搬送装置とから構成され、
前記第1の搬送装置と前記第2の搬送装置との間に、第1の搬送装置により搬送される集品容器に対応して、前記第1の搬送装置による集品容器の搬送方向と平行に、前記第1の搬送装置と同期して駆動される、前記識別符号を表示した識別手段が複数取り付けられた第1の無端回動体を備え、前記第1の無端回動体が回動する回動面の向きを、前記第1の搬送装置の集品容器の搬送面に対して略直角方向の向きとし、前記搬送方向と同方向に前記各識別手段を移動させる前記第1の無端回動体の往路側では、前記各識別手段に表示された識別符号を、前記第1の搬送装置の集品容器へ物品を投入する作業者側から視認可能に構成し、前記搬送方向と反対方向に前記各識別手段を移動する前記第1の無端回動体の復路側では、前記各識別手段に表示された識別符号を、前記作業者側から視認不能に構成した第1の識別手段移動装置と、
前記第2の搬送装置の前記第1の搬送装置とは反対の側に、第2の搬送装置により搬送される集品容器に対応して、前記第2の搬送装置による集品容器の搬送方向と平行に、前記第2の搬送装置と同期して駆動される、前記識別符号を表示した識別手段が複数取り付けられた第2の無端回動体を備え、前記第2の無端回動体が回動する回動面の向きを、前記第2の搬送装置の集品容器の搬送面に対して略直角方向の向きとし、前記搬送方向と同方向に前記各識別手段を移動させる前記第2の無端回動体の往路側では、前記各識別手段に表示された識別符号を、前記第2の搬送装置の集品容器へ物品を投入する作業者側から視認可能に構成し、前記搬送方向と反対方向に前記各識別手段を移動する前記第2の無端回動体の復路側では、前記各識別手段に表示された識別符号を、前記作業者側から視認不能に構成した第2の識別手段移動装置と
を備えることを特徴とするピッキング設備。
【請求項6】
前記第1の搬送装置に対応する第1の識別手段移動装置と前記第2の搬送装置に対応する第2の識別手段移動装置において、前記識別手段は、前記識別符号を表示する表示面を有するプレートから構成され、前記プレートは、その表示面が、前記無端回動体と所定角度を形成するように無端回動体に取り付けられており、
各識別手段移動装置における前記プレートの所定角度はそれぞれ、各識別手段移動装置の配置位置に応じて、無端回動体の往路側において、前記プレートの表示面が作業者の目線高さ位置を向くように設定されていること
を特徴とする請求項5に記載のピッキング設備。
【請求項7】
複数のランプを有し、前記搬送装置により搬送される、作業対象の集品容器の搬送位置に追随して前記ランプを点灯するガイドランプ装置を、各識別手段移動装置の本体部の上方に配置したこと
を特徴とする請求項5または請求項6に記載のピッキング設備。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−121636(P2012−121636A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270998(P2010−270998)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】