説明

貫通型フィルタを実装するための方法および装置

【課題】電子回路基板にフィルタを実装する方法を提供すること。
【解決手段】方法は、フィルタの第1部分が電子回路基板の第1面に固定され、フィルタの第1のリード線が電子回路基板の第1面上のはんだパッドまで延在するように、電子回路基板に形成される開口にフィルタの第2部分を挿入することを含む。方法はまた、第2のリード線が電子回路基板の第2面上のはんだパッドまで延在するように、第2のリード線をフィルタの第2の接触子に結合することを含む。方法はまた、第1のリード線が電子回路基板の第1面にはんだ付けされ、第2のリード線が電子回路基板の第2面にはんだ付けされるように、回路基板をリフローすることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に電磁干渉(EMI)フィルタに関し、より詳細には貫通型EMIフィルタを実装するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
EMIの多くの発生源、およびこのようなEMIの少なくともいくつかは、多くの電子システムの作動に影響を与える傾向を有する。詳細には、特定の周波数で電子システムを作動すると、1つまたは複数の異なる周波数での信号によって悪影響を受けまたは干渉されることがある。異なる周波数での信号は、自然発生的および人為的の両方がありうる。EMIの自然発生源は、雷、宇宙放射線および強風を含めてよい。人為的発生源は、電子機器、照明、レーダ送信機、コンピュータ装置およびモータを含めてよい。EMIの発生源から今日の電子システムの大半を保護することが必要である。1つの手法は、EMIの除去を促進させるために電子システムの信号経路内にフィルタを配置することである。詳細には、このフィルタは電子システムの作動周波数の範囲外の周波数を包含する信号経路内の任意の信号のためのグラウンドへの分路として機能する。
【0003】
EMIフィルタの1つの知られたタイプは貫通型フィルタである。貫通型フィルタは、このフィルタの一部がプリント回路基板(PCB)の両側で維持されるように、PCBを貫通して挿入されるように構成される。このフィルタの機能の1つは、回路作動周波数範囲外の周波数を受信し接地することである。このフィルタの別の機能は、信号が回路を通って継続するように信号経路内の低周波信号を通すことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貫通型フィルタの一実施形態を実装するために、フィルタは、PCBにプレス嵌めされる、または堅く締められた留めねじによってPCB内に保持されるかのいずれかでなければならない。次いで電線がフィルタの各側でリード線にはんだ付けされる。それぞれの電線はその後PCBにはんだ付けされる。貫通型フィルタを実装するためのこのような方法は、他の電子回路用の構成要素もPCBに手動ではんだ付けされる場合には妥当であるが、他の電子構成要素を表面実装するために自動式実装システムを使用する場合には、この方法は望ましくない。表面実装する際、構成要素は、構成要素の電気接触がPCBの信号パッド上に延在するように、PCBの表面上の信号パッドのはんだペーストに圧入される。すべての構成要素が所定の位置に配置されると、PCBは、電子構成要素が信号パッドにはんだ付けされて接続部を形成する地点まで回路基板が加熱されるリフロー(reflow)工程を行う。現在の貫通型フィルタ設計では、リフロー工程の間PCBの信号パッドにフィルタをはんだ付けすることができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、第1の接触子および第1の幅を有する第1部分と、第2の接触子、および第1の幅より狭い第2の幅を有する第2部分とを含むフィルタを電子回路基板に実装する方法が提供される。フィルタはまた第1の接触子から延在する第1のリード線および第2のリード線を含む。方法は、第1部分が電子回路基板の第1面に固定され、第1のリード線が電子回路基板の第1面上のはんだパッドまで延在するように、電子回路基板に形成される開口に第2部分を挿入することを含む。方法はまた、第2のリード線が電子回路基板の第2面上のはんだパッドまで延在するように、第2のリード線を第2の接触子に結合することを含む。方法はまた、第1のリード線が電子回路基板の第1面にはんだ付けされ、第2のリード線が電子回路基板の第2面にはんだ付けされるように回路基板をリフロー(reflow)することを含む。
【0006】
別の態様において、第1の接触子および第1の幅を有する第1部分と、第2の接触子、および第1の幅より狭い第2の幅を有する第2部分とを含み、電子回路基板に実装するように構成されるフィルタが提供される。第2部分は電子回路基板の開口に挿入されるように構成される。フィルタはまた、第1の接触子から延在し電子回路基板の第1面上のはんだパッドまで延在するように構成される第1のリード線と、第2の接触子に結合するように構成され電子回路基板の第2面上のはんだパッドまで延在するように構成される第2のリード線とを含み、はんだパッドと第1および第2のリード線が接触することにより電子回路基板をリフローすることが可能になる。
【0007】
さらに別の態様において、第1面および第2面と、少なくとも1つのEMIフィルタとを有する電子回路基板を含み、リフローされるように構成される電子システムが提供される。それぞれのEMIフィルタは、第1の接触子および第1の幅を有する第1部分と、第2の接触子、および第1の幅より狭い第2の幅を有する第2部分とを含む。第2部分は、第1部分が電子回路基板の第1面に固定されるように電子回路基板に挿入される。それぞれのEMIフィルタはまた、第1の接触子から該電子回路基板の第1面上のはんだパッドまで延在する第1のリード線と、第2の接触子に結合され、電子回路基板の第2面上のはんだパッドまで延在する第2のリード線とを含み、はんだパッドと第1および第2のリード線が接触することにより電子回路システムをリフローすることが可能になる。
【0008】
さらに別の態様において、貫通型フィルタの接触子と係合するように構成される装着部材と、本体から延出し、電子回路基板をリフローできるように電子回路基板のはんだパッドに接触するように構成される伸長部材とを含む、貫通型フィルタ用のリード線が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は既知のEMIフィルタ10の電気的概略図である。フィルタ10は、フィルタ10を通る信号経路を形成する一組のリード線12および14を含む。インダクタ16は信号経路内に配置され、グラウンド18はインダクタ16に静電結合される。作動中、リード線12と14の間を電気信号が流れる。信号がインダクタ16を通って流れると、静電結合によって信号の高周波成分が除去されグラウンド18に送られる。このようにして、低周波成分のみが信号経路内で継続することが可能である。
【0010】
図2は、回路基板52に挿入された従来技術の貫通型フィルタ50の概略断面図である。フィルタ50は回路基板52内に形成される開口56の幅より広い幅を有する第1部分54を含む。フィルタ50は、第1部分54が回路基板の第1面58に固定されるように、開口56を通って延在する。フィルタ50の第2部分60は、回路基板52を通って延在し回路基板の第2面62を越える。図示の実施形態で、第2部分60は留めねじ64の収容を容易にするためにねじ山を付けられる。留めねじ64は、留めねじ64が回路基板の第2面62に固定されるまで第2部分60にねじ込まれる。このようにして、フィルタ50は回路基板52に固定される。
【0011】
回路基板52は、第1面信号パッド68、第2面信号パッド70およびグラウンド面72を含む。信号パッド68および70は、回路基板52内に信号経路の一部を形成する。フィルタ50は、例えばグランド面72に送られる高周波信号(例えばEMI)に対して小さな抵抗を与えることによって、信号パッド68から信号パッド70へ進む信号にフィルタをかけるように構成される。フィルタ50は第1面信号パッド68および第2面信号パッド70の両方に結合される。詳細には、第1の電線74は第1部分54の第1接触子76から第1面信号パッド68まで延在し、第2の電線78は第2部分60の第2接触子80から第2面信号パッド70まで延在する。
【0012】
フィルタ50を回路基板52に実装するために、まず第1部分54が回路基板の第1面58に固定されるまで第2部分60が開口56に挿入される。次いでフィルタ50が回路基板52内に固定されるまで留めねじ64を第2部分60に対して締める。次いで電線74が接触子76および第1面信号パッド68にはんだ付けされ、電線78が接触子80および第2面信号パッド70にはんだ付けされる。留めねじ64を締める、および電線74および78をはんだ付けする工程は共に時間がかかり費用もかさむ。さらにこの工程は、電線74および78を手動で信号パッド68および70にはんだ付けしなければならないので、自動式実装装置の使用には不適合である。
【0013】
図3は電子回路基板102に挿入された貫通型フィルタ100の一実施形態の概略断面図である。フィルタ100は、第1部分104および第2部分106を含む。第1部分104は、第2部分の幅110より広い幅108を有する。第2部分106は、第1部分104が回路基板の第1面114に固定されるように、回路基板の開口112を通って延在する。絶縁体116は第2部分106に結合される。
【0014】
第2部分接触子118は絶縁体116から延出し、回路基板の第2面120を越える。第2部分リード線122は第2部分接触子118と係合し、電子回路基板の第2面120上に配置される第2面信号パッド124まで延在する。詳細には、第2部分リード線122は装着部材126および伸長部材128を含む。装着部材126は第2部分接触子118と係合し、伸長部材128は第2面信号パッド124まで延在する。このようにして、第2部分リード線122は、フィルタ100と電子回路基板102間の電気接続を実現する。
【0015】
図示の実施形態で、第2部分接触子118および第2部リード線装着部材126は、第2部分リード線122が第2部分接触子118に固定されるように連結するように構成される対応する突出部を含む。代替の実施形態で、第2部分接触子118および装着部材126は、摩擦力など第2部分リード線122を第2部分接触子118に固定することができる別の機構を含んでよい。さらに一実施形態で装着部材126は、第2部分接触子118の円筒形形状と係合するように構成された管状形状を有する。他の実施形態で装着部材126および第2部分接触子118は対応する異なる形状を含んでよい。
【0016】
第1部分リード線130は、第1部分接触子132から延出し、回路基板の第1面114上に配置される第1面信号パッド134と接触する。リード線122と信号パッド124、およびリード線130と信号パッド134がそれぞれ接触することにより、電子回路基板102のリフローが可能になる。さらにリード線122と信号パッド124、およびリード線130と信号パッド134がそれぞれ接触することにより、信号パッド134からフィルタ100を通り信号パッド124までの電気信号の流れが可能になる。
【0017】
第1部分リード線130および第2部分リード線122は共に、回路基板組立リフロー工程中はんだ付けが可能な任意の導電物質から製造される。さらに、リード線130および122は共にばね様の特性を有するように製造される。このようにして、リード線130および122の両方のばね力は、リード線130と信号パッド134、およびリード線122と信号パッド124のそれぞれの接続を維持する。さらに第2部分リード線122のばね力は、フィルタ第1部分104が電子回路基板102に固定式に維持されるように、電子回路基板102内にフィルタ100を保持するように構成される。
【0018】
図示の実施形態で、第1部分104はまた、第1部分104のグラウンド接触子138に塗布されるめっき136を含む。めっき136は、回路基板組立リフロー工程中はんだ付けが可能な任意の物質である。フィルタ100は、めっき136が回路基板の第1面114上に配置されるグラウンド面140に固定されるように、電子回路基板102内に配置される。詳細には、めっき136がグラウンド接触子138およびグラウンド面140の密封を促進してフィルタ100の周りで360度の密封を形成するように、グラウンド面140は開口112の周りに360度延在する。別の実施形態で、フィルタ100は、はんだ付けが可能な物質から製造されるので、グラウンド接触子138をグラウンド面140に対して密封するためのめっき136を必要としない。
【0019】
一実施形態で、第1部分リード線130はフィルタ100を実装する前に第1部分接触子132にはんだ付けされる。実装する間フィルタ第2部分106は、グラウンド接触子138がグラウンド面140に固定されるまで開口112を通って挿入される。この位置で第1部分リード線130は、第1面信号パッド134まで延在しこれと接触する。第1部分リード線130は圧縮状態でこの位置で保持される。絶縁体116は回路基板の第2面120とほぼ水平に配置され、第2部分接触子118は回路基板の第2面120を越えて延在する。第2部分リード線122は第2部分接触子118上に配置される。第2部分リード線122は、第2面信号パッド124まで延在し、これと接触する。第2部リード線122は圧縮状態でこの位置で保持される。リード線122および130に作用するばね力によりフィルタ100が回路基板102内に保持され、回路基板102に実装組立装置を備える他の構成要素が実装される。
【0020】
組立工程後、回路基板102はリフロー工程を施される。リフロー工程中、フィルタ100は回路基板102にはんだ付けされる。詳細には、リード線122および130と、信号パッド124および134とは、リフロー工程中溶解し冷えるはんだパッドを含んでよく、またはリフロー中はんだ合金がリード線122および130と、信号パッド124および134とに付加されてよい。リード線122と信号パッド124、およびリード線130と信号パッド134がそれぞれ接触することにより、はんだパッドが冷える際に接合部を形成するのを容易にする。リード線122と信号パッド124、およびリード線130と信号パッド134のそれぞれの接合部によってフィルタ100が回路基板102内に保持され、フィルタ100を通り信号パッド134から信号パッド124までの信号経路を実現するのを容易にする。図示の実施形態で、めっき136はまた、グラウンド接触子138とグラウンド面140の間の接合部をはんだ付けするために溶解し冷える。代替の実施形態で、グラウンド接触子138はリード線122のばね様の特性によってグラウンド面140に固定される。
【0021】
図4は、電子回路基板202に挿入された貫通型フィルタ200の代替の実施形態の概略断面図である。フィルタ200は第1部分204および第2の部206を含む。第1部分204は、第2部分の幅210より広い幅208を有する。第2部分206は、そこから延出し回路基板開口216の幅より広い幅214を有する突出部212を含む。さらに突出部212は、第2部分206が開口216を通って挿入されうるように圧縮可能である。突出部212が開口216を出て、フィルタ200と回路基板202の間にくさびを形成するために部分的に回路基板の第2面220に渡って延在するように、第2部分206は回路基板開口216を通って延在する。この位置において、第1部分204は回路基板の第1面222に固定される。
【0022】
第2部分接触子224は第2部分206から延出する。第2部分リード線226は、第2部分接触子224と係合し、回路基板の第2面信号パッド228まで延在する。詳細には、第2部分リード線226は装着部材230および伸長部材232を含む。装着部材230は第2部分接触子224と係合し、伸長部材232は第2面信号パッド228まで延在する。このようにして、第2部分リード線226は、フィルタ200と電子回路基板202の間の電気接続を実現する。
【0023】
図示の実施形態で、第2部分接触子224および第2部分リード線装着部材230は、第2部分リード線226が第2部分接触子224に固定されるように連結するように構成される対応する突出部を含む。代替の実施形態で、第2部分接触子224および装着部材230は、摩擦力など第2部分リード線226を第2部分接触子224に固定することができる別の機構を含んでよい。さらに一実施形態で、装着部材230は、第2部分接触子224の円筒形形状と係合するように構成された管状形状を有する。他の実施形態で装着部材230および第2部分接触子224は異なる対応する形状を含んでよい。
【0024】
第1部分リード線234は、第1部分接触子236から延出し、回路基板の第1面222上に配置される第1面信号パッド238と接触する。リード線226と信号パッド228、およびリード線234と信号パッド238がそれぞれ接触することにより、電子回路基板202のリフローが可能になる。さらにリード線226と信号パッド228、およびリード線234と信号パッド238それぞれが接触することにより、信号パッド238からフィルタ200を通り信号パッド228までの電気信号の流れが可能になる。
【0025】
第1部分リード線234および第2部分リード線226は共に、回路基板組立リフロー工程中はんだ付けが可能な任意の導電物質から製造される。さらに、リード線234および226は共にばね様の特性を有するように製造される。このようにして、リード線234および226両方のばね力は、リード線234と信号パッド238、およびリード線226と信号パッド228のそれぞれの接続を維持する。
【0026】
図示の実施形態で、第1部分204はまた、第1部分204のグラウンド接触子242に塗布されるめっき240含む。めっき240は、回路基板組立リフロー工程中はんだ付けが可能な任意の物質である。フィルタ200は、めっき240が回路基板の第1面222上に配置されるグラウンド面244に固定されるように、電子回路基板202内に配置される。詳細には、めっき240がグラウンド接触子242およびグラウンド面244の密封を促進してフィルタ200の周りで360度の密封を形成するように、グラウンド面244は開口216の周りに360度延在する。別の実施形態で、フィルタ200は、はんだ付けが可能な物質から製造されるので、グラウンド接触子242をグラウンド面244対して密封するためのめっき240を必要としない。
【0027】
一実施形態で、第1部分リード線234はフィルタ200を実装する前に第1部分接触子236にはんだ付けされる。実装する間フィルタ第2部分206は、突出部212が開口216を出て回路基板の第2面220に渡って延在するまで開口112を通って挿入される。このようにして、突出部212は、実装装置内で回路基板202を組み立てる際、回路基板202内にフィルタ200を保持するのを容易にする。この位置で第1部分リード線234は、第1面信号パッド238まで延在しこれと接触する。第2部分リード線226は第2部分接触子224に固定される。第2部分リード線226は、第2面信号パッド228まで延在しこれと接触する。さらにフィルタ200はグラウンド接触子242がグラウンド面244に固定されるように配置される。
【0028】
回路基板202に実装装置内の他の構成要素が実装され、次いでリフロー工程が施される。リフロー工程中、フィルタ200は回路基板202にはんだ付けされる。詳細には、リード線226および234と、信号パッド228および238は、リフロー工程中溶解し冷えるはんだパッドを含んでよく、またはリフロー中はんだ合金がリード線226および234と、信号パッド228および238に付加されてよい。リード線226と信号パッド228、およびリード線234と信号パッド238がそれぞれ接触することにより、はんだパッドが冷える際接合部を形成するのを容易にする。リード線226と信号パッド228、およびリード線234と信号パッド238間のそれぞれの接合部によりフィルタ200が回路基板202内に保持され、フィルタ200を通り信号パッド238から信号パッド228までの信号経路の実現が容易になる。図示の実施形態で、めっき240はまた、グラウンド接触子242とグラウンド面244の間の接合部をはんだ付けするために溶解し冷える。代替の実施形態で、回路基板202内で突出部212がフィルタ200に嵌ると、グラウンド接触子242はグラウンド面244に固定される。
【0029】
一実施形態で、第1の接触子および第1の幅を有する第1部分と、第2の接触子、および第1の幅より狭い第2の幅を有する第2部分とを含むフィルタを電子回路基板に実装するための方法が提供される。フィルタはまた、第1の接触子から延出する第1のリード線と、第2のリード線とを含む。方法は、第1部分が電子回路基板の第1面に固定され、第1のリード線が電子回路基板の第1面上のはんだパッドまで延在するように、電子回路基板に形成される開口に第2部分を挿入することを含む。方法はまた、第2のリード線が電子回路基板の第2面上のはんだパッドまで延在するように、第2の接触子に第2のリード線を結合することを含む。方法はまた、第1のリード線が電子回路基板の第1面にはんだ付けされ、第2のリード線が電子回路基板の第2面にはんだ付けされるように回路基板をリフローすることを含む。
【0030】
上述の装置および方法は、実装装置およびリフロー工程と共に使用することが可能な貫通型フィルタを提供し、フィルタと回路基板間の質の高い電子接続を維持する。詳細には、フィルタは実装工程の前に回路基板に挿入することができる。リード線のばね力によって、リフロー工程までおよびリフロー工程中フィルタの所定の位置での保持が容易になる。さらにリード線と信号パッドを接続することによって、フィルタから回路基板に手動ではんだ付けされるリード線の必要性がなくなる。
【0031】
本明細書で使用されるように、単数形の、および単語「a」または「an」に続く要素またはステップは、そのような除外が明示的に記載されない限りは、複数の該要素またはステップを除外しないことを理解するべきである。さらに本発明の「一実施形態」に対する参照は、記載の特徴も組み込む付加的な実施形態の存在を除外するように解釈されることを意図するものではない。
【0032】
本明細書に記載される装置および方法は、回路基板用の貫通形フィルタの文脈において記載されるが、装置および方法は貫通形フィルタまたは回路基板に限定されるものではないことを理解されたい。同様に、図示の貫通形フィルタ構成要素は、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されず、むしろ貫通形フィルタの構成要素は、本明細書に記載される他の構成要素から独立しておよび別個に利用することができる。
【0033】
本発明は種々の特定の実施形態に関して記載されてきたが、当業者は、特許請求の範囲の精神および範囲内の修正と共に本発明を実施することができることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】既知のEMIフィルタの電気的概略図である。
【図2】電子回路基板に挿入された従来技術の貫通型フィルタの概略断面図である。
【図3】電子回路基板に挿入された貫通型フィルタの一実施形態の概略断面図である。
【図4】電子回路基板に挿入された貫通型フィルタの代替の実施形態の概略断面図である。
【符号の説明】
【0035】
10、50、100、200 フィルタ
12、14 リード線
16 インダクタ
18 グラウンド
52、102、202 電子回路基板
56、112、216 開口
54、104、204 第1部分
58、114、222 回路基板の第1面
60、106、206 第2部分
62、120、220 回路基板の第2面
64 留めねじ
68、134、238 第1面信号パッド
70、124、228 第2面信号パッド
72、140、244 グラウンド面
74、78 電線
76、132、235 第1部分の接触子
80、118、224 第2部分の接触子
110、210 第2部分の幅
108、208、214 幅
116 絶縁体
122、226 第2部分リード線
126、230 装着部材
128、232 伸長部材
130、234 第1部分リード線
138、242 グラウンド接触子
136、240 めっき
212 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の接触子および第1の幅を有する第1部分と、第2の接触子、および前記第1の幅より狭い第2の幅を有する第2部分とを含み、また前記第1の接触子から延在する第1のリード線および第2のリード線を含むフィルタを電子回路基板に実装する方法であって、
前記第1部分が前記電子回路基板の第1面に固定され、前記第1のリード線が前記電子回路基板の第1面上のはんだパッドまで延在するように、前記電子回路基板に形成される開口に前記第2部分を挿入するステップと、
前記第2のリード線が電子回路基板の第2面上のはんだパッドまで延在するように、前記第2のリード線を前記第2の接触子に結合するステップと、
前記第1のリード線が前記電子回路基板の第1面にはんだ付けされ、前記第2のリード線が前記電子回路基板の第2面にはんだ付けされるように前記回路基板をリフローするステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1および前記第2のリード線がそれぞればね様の特性を有し、
前記第1および前記第2のリード線の前記ばね様の特性を使用して前記はんだパッドを前記第1および前記第2のリード線に接触させるステップと、
前記第2のリード線の前記ばね様の特性を使用して前記電子回路基板内に前記フィルタを保持するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2部分接触子が前記第2部分から延出し、前記第2の接触子に前記第2のリード線を結合する前記ステップが前記第2のリード線と前記第2接触子を係合するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の接触子および前記第2のリード線が共に複数の突出部を含み、前記第2のリード線と前記第2の接触子を係合する前記ステップが前記第2のリード線の複数の突出部を前記第2の接触子の複数の突出部と連結させるステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1部分の一部が、はんだ付け可能なめっきを含み、前記方法が、電子回路基板グラウンド面に対する前記第1部分のはんだ付けを容易にするために、前記めっきを前記電子回路基板グラウンド面に固定するように配置するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2部分がそこから延出する突出部を含み、前記方法が、前記突出部が前記電子回路基板の第2面の少なくとも一部に渡って延在するように前記第2部分を前記開口に挿入するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1の接触子および第1の幅を有する第1部分と、
第2の接触子、および前記第1の幅より狭い第2の幅を有し、電子回路基板内の開口に挿入されるように構成される第2部分と、
前記第1接触子から延出し、前記電子回路基板の第1面上のはんだパッドまで延在するように構成される第1のリード線と、
前記第2の接触子に結合し、前記電子回路基板の第2面上のはんだパッドまで延在するように構成され、前記はんだパッドと前記第1および第2のリード線間の接触により前記電子回路基板をリフローすることが可能になる第2のリード線と
を備え前記電子回路基板に実装するように構成されるフィルタ。
【請求項8】
前記第1および第2のリード線が、前記第1および第2のリード線が前記電子回路基板上の前記はんだパッドに接触するのを可能にするばね様の特性を有する、請求項7に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記第2のリード線の前記ばね様の特性が、前記フィルタを前記電子回路基板内に保持するように構成される、請求項8に記載のフィルタ。
【請求項10】
前記第2部分接触子が前記第2部分から延出し、前記第2のリード線が前記第2部分接触子と係合するように構成される、請求項7に記載のフィルタ。
【請求項11】
前記第2部分接触子および前記第2のリード線が共に複数の突出部を備え、前記第2のリード線の複数の突出部が前記第2部分接触子の複数の突出部と連結するように構成される、請求項10に記載のフィルタ。
【請求項12】
前記第1部分が、前記第1部分を前記電子回路基板のグラウンド面にはんだ付けするように構成されるめっきを備える、請求項7に記載のフィルタ。
【請求項13】
前記第2部分がそこから延出し、前記電子回路基板内の前記フィルタに嵌るように構成される突出部を備える、請求項7に記載のフィルタ。
【請求項14】
第1面および第2面を有する電子回路基板と、
それぞれのEMIフィルタが
第1の接触子および第1の幅を有する第1部分と、
第2の接触子、および前記第1の幅より狭い第2の幅を有し、前記第1部分が前記電子回路基板の第1面に固定されるように前記電子回路基板内に挿入される第2部分と、
前記第1接触子から前記電子回路基板の第1面のはんだパッドまで延在する第1のリード線と、
前記第2の接触子に結合し、前記電子回路基板の第2面のはんだパッドまで延在し、前記はんだパッドと前記第1および第2のリード線間の接触により電子システムをリフローすることが可能になる第2のリード線と
を備える少なくとも1つのEMIフィルタと
を備えリフローされるように構成される電子システム。
【請求項15】
前記第1および第2のリード線が、前記第1および第2のリード線が前記電子回路基板の前記はんだパッドに接触するのを可能にするばね様の特性を有する、請求項14に記載の電子システム。
【請求項16】
前記第2のリード線の前記ばね様の特性が前記フィルタを前記電子回路基板内に保持する、請求項15に記載の電子システム。
【請求項17】
前記第2の接触子が前記第2部分から延出し、前記第2のリード線が前記第2の接触子と係合する、請求項14に記載の電子システム。
【請求項18】
前記第2の接触子から延出する複数の突出部と、前記第2のリード線から延出する複数の突出部とをさらに備え、前記第2の接触子の複数の突出部が前記第2のリード線の複数の突出部と連結する、請求項17に記載の電子システム。
【請求項19】
前記第1部分が前記電子回路基板のグラウンド面にはんだ付けされる、請求項14に記載の電子システム。
【請求項20】
前記第2部分がそこから延出し、前記電子回路基板の第2面の少なくとも一部に渡って延在する突出部を備える、請求項14に記載の電子システム。
【請求項21】
貫通型フィルタの接触子と係合するように構成される装着部材と、
前記本体から延出し、電子回路基板をリフローできるように前記電子回路基板のはんだパッドに接触するように構成される伸長部材と
を備える、貫通型フィルタのリード線。
【請求項22】
前記伸長部材が、前記リード線の前記電子回路基板の前記はんだパッドへの接触を維持することを可能にするばね様の特性を有する、請求項21に記載のリード線。
【請求項23】
前記伸長部材が、前記リード線が前記電子回路基板内に前記フィルタを保持することを可能にするばね様の特性を有する、請求項21に記載のリード線。
【請求項24】
前記装着部材が摩擦力で前記フィルタ接触子上に保持される、請求項21に記載のリード線。
【請求項25】
前記装着部材が前記フィルタ接触子の複数の突出部と連結するように構成される複数の突出部をさらに備える、請求項21に記載のリード線。
【請求項26】
前記装着部材が管状に成形され、円筒形のフィルタ接触子に係合するように構成される、請求項21に記載のリード線。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−91878(P2008−91878A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−208211(P2007−208211)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】