貫通型積層コンデンサ
【課題】複数の静電容量成分を並列接続する回路を実現することが可能な貫通型積層コンデンサを提供すること。
【解決手段】第1の信号用内部電極20と第1の接地用内部電極30とは、コンデンサ素体1の少なくとも一部を挟んで対向する領域を有し、第2の信号用内部電極24と第2の接地用内部電極34とは、コンデンサ素体1の少なくとも一部を挟んで対向する領域を有している。第1の信号用内部電極20と第2の接地用内部電極34とは互いに対向せず、第2の信号用内部電極24と第1の接地用内部電極30とは互いに対向していない。第1の信号用内部電極20と第2の信号用内部電極24とは、信号用スルーホール導体29を通して接続され、第1の接地用内部電極30と第2の接地用内部電極34とは、接地用スルーホール導体39を通して接続されている。
【解決手段】第1の信号用内部電極20と第1の接地用内部電極30とは、コンデンサ素体1の少なくとも一部を挟んで対向する領域を有し、第2の信号用内部電極24と第2の接地用内部電極34とは、コンデンサ素体1の少なくとも一部を挟んで対向する領域を有している。第1の信号用内部電極20と第2の接地用内部電極34とは互いに対向せず、第2の信号用内部電極24と第1の接地用内部電極30とは互いに対向していない。第1の信号用内部電極20と第2の信号用内部電極24とは、信号用スルーホール導体29を通して接続され、第1の接地用内部電極30と第2の接地用内部電極34とは、接地用スルーホール導体39を通して接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通型積層コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
貫通型積層コンデンサとして、誘電体層と信号用内部電極及び接地用内部電極とが交互に積層されたコンデンサ素体と、当該コンデンサ素体に形成された信号用端子電極及び接地用端子電極とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平01−206615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、1つの素子で複数の静電容量成分を並列接続する回路を実現することが可能な貫通型積層コンデンサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
通常、電子機器には複数の貫通型積層コンデンサが搭載されている。そのため、搭載するコンデンサの数だけ電子機器内において実装スペースが消費されてしまう。そこで、本発明者等は、1つの素子で複数の並列回路を実現することができる貫通型積層コンデンサについて鋭意研究をした結果、本願発明に想到するに至った。
【0005】
本発明に係る貫通型積層コンデンサは、誘電特性を有するコンデンサ素体と、コンデンサ素体内に配置された、第1及び第2の信号用内部電極並びに第1及び第2の接地用内部電極と、コンデンサ素体の外表面に配置された、第1及び第2の信号用端子電極並びに第1及び第2の接地用端子電極と、を備えており、第1の信号用内部電極は、第1の信号用端子電極に接続され、第2の信号用内部電極は、第2の信号用端子電極に接続され、第1の接地用内部電極は、第1の接地用端子電極に接続され、第2の接地用内部電極は、第2の接地用端子電極に接続され、第1の信号用内部電極と第1の接地用内部電極とは、コンデンサ素体の少なくとも一部を挟んで対向する領域を有し、第2の信号用内部電極と第2の接地用内部電極とは、コンデンサ素体の少なくとも一部を挟んで対向する領域を有し、第1の信号用内部電極と第2の接地用内部電極とは、互いに対向せず、第2の信号用内部電極と第1の接地用内部電極とは、互いに対向せず、第1の信号用内部電極と第2の信号用内部電極とは、コンデンサ素体内に配置された信号用スルーホール導体を通して接続され、第1の接地用内部電極と第2の接地用内部電極とは、コンデンサ素体内に配置された接地用スルーホール導体を通して接続されていることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る貫通型積層コンデンサでは、第1の信号用内部電極と第1の接地用内部電極とが互いに対向する領域を有し、第2の信号用内部電極と第2の接地用内部電極とが互いに対向する領域を有している。そして、第1の信号用内部電極と第2の接地用内部電極とは、互いに対向せず、第2の信号用内部電極と第1の接地用内部電極とは、互いに対向していない。これらにより、上記貫通型積層コンデンサにおいて、第1の信号用内部電極と第1の接地用内部電極とが互いに対向する領域により形成される静電容量成分と、第2の信号用内部電極と第2の接地用内部電極とが互いに対向する領域により形成される静電容量成分と、が並列接続される回路が実現される。
【0007】
好ましくは、第1の信号用内部電極と第2の接地用内部電極とが、同じ層に位置し、第2の信号用内部電極と第1の接地用内部電極とが、同じ層に位置している。この場合、内部電極の層数が少なくなるため、貫通型積層コンデンサの低背化を図ることができる。
【0008】
好ましくは、第1及び第2の信号用内部電極並びに第1及び第2の接地用内部電極が、ミアンダ形状を呈している。この場合、貫通型積層コンデンサのインピーダンスを大きくすることができる。
【0009】
好ましくは、第1の信号用内部電極と第1の接地用内部電極とが対向する領域と、第2の信号用内部電極と第2の接地用内部電極とが対向する領域とは、面積が異なっている。この場合、上記二つの静電容量成分の大きさが異なることとなる。このため、貫通型積層コンデンサは、広帯域の周波数領域において低インピーダンスとなる。
【0010】
好ましくは、コンデンサ素体は、相対向する長方形状の第1及び第2の主面と、第1及び第2の主面間を連結するように第1及び第2の主面の短辺方向に伸びている第1及び第2の端面と、第1及び第2の主面間を連結するように第1及び第2の主面の長辺方向に伸びている第1及び第2の側面と、を有しており、第1及び第2の信号用端子電極は、第1の側面に配置され、第1及び第2の接地用端子電極は、第2の側面に配置され、信号用スルーホール導体は、第2の側面寄りに位置し、接地用スルーホール導体は、第1の側面寄りに位置している。この場合、信号用スルーホール導体と接地用スルーホール導体とが離れて配置されるため、上記二つの静電容量成分をより一層好適に分離して形成することができる。
【0011】
好ましくは、第1の信号用内部電極は、第1の接地用内部電極と対向する領域を含む主電極部と、該主電極部から伸びると共に第1の信号用端子電極に接続される引き出し部と、信号用スルーホール導体に接続される接続部と、を有し、第2の信号用内部電極は、第2の接地用内部電極と対向する領域を含む主電極部と、該主電極部から伸びると共に第2の信号用端子電極に接続される引き出し部と、信号用スルーホール導体に接続される接続部と、を有し、第1の接地用内部電極は、第1の信号用内部電極と対向する領域を含む主電極部と、該主電極部から伸びると共に第1の接地用端子電極に接続される引き出し部と、接地用スルーホール導体に接続される接続部と、を有し、第2の接地用内部電極は、第2の信号用内部電極と対向する領域を含む主電極部と、該主電極部から伸びると共に第2の接地用端子電極に接続される引き出し部と、接地用スルーホール導体に接続される接続部と、を有している。
【0012】
また、本発明に係る貫通型積層コンデンサは、誘電特性を有するコンデンサ素体と、コンデンサ素体の少なくとも一部を挟んで対向する領域を有するようにコンデンサ素体内に配置された信号用内部電極と接地用内部電極とをそれぞれ含む複数の内部電極群と、コンデンサ素体の外表面に配置された、第1及び第2の信号用端子電極並びに第1及び第2の接地用端子電極と、複数の内部電極群それぞれに含まれる各信号用内部電極は互いに電気的に接続されており、各信号用内部電極間の電気的な接続うち少なくとも一つの電気的な接続が、コンデンサ素体内に配置された信号用スルーホール導体により成され、複数の内部電極群それぞれに含まれる各接地用内部電極は、互いに電気的に接続されており、各接地用内部電極間の電気的な接続うち少なくとも一つの電気的な接続が、コンデンサ素体内に配置された接地用スルーホール導体により成され、複数の内部電極群それぞれに含まれる各信号用内部電極のうち一つの信号用内部電極が第1の信号用端子電極に接続され、複数の内部電極群それぞれに含まれる各信号用内部電極のうち一つの信号用内部電極を除くいずれか一つの信号用内部電極が第2の信号用端子電極に接続され、複数の内部電極群それぞれに含まれる各接地用内部電極のうち一つの接地用内部電極が第1の接地用端子電極に接続され、複数の内部電極群それぞれに含まれる各接地用内部電極のうち一つの接地用内部電極を除くいずれか一つの接地用内部電極が第2の接地用端子電極に接続され、複数の内部電極群のうち、それぞれ異なる内部電極群に含まれる信号用内部電極と接地用内部電極とは、互いに対向していない。
【0013】
本発明に係る貫通型積層コンデンサでは、各内部電極群において信号用内部電極と接地用内部電極とが互いに対向する領域を有している。そして、異なる内部電極群に含まれる信号用内部電極及び接地用内部電極同士は、互いに対向していない。これらにより、上記貫通型積層コンデンサにおいて、各内部電極群において静電容量成分が形成され、これらの形成された複数の静電容量成分は、並列接続される。したがって、本発明によれば、複数の静電容量成分が並列接続される回路が実現される。
【0014】
好ましくは、各信号用内部電極間の電気的な接続の全てが、コンデンサ素体内に配置された信号用スルーホール導体により成され、各接地用内部電極間の電気的な接続の全てが、コンデンサ素体内に配置された接地用スルーホール導体により成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、1つの素子で複数の静電容量成分を並列接続する回路を実現することが可能な貫通型積層コンデンサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0017】
(第1実施形態)
図1〜図3を参照して、第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサの斜視図である。図2は、第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。図3は、内部電極の構成を示す図である。図4は、第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサの等価回路図である。
【0018】
貫通型積層コンデンサC1は、図1に示されるように、コンデンサ素体1と、第1の信号用端子電極10、第2の信号用端子電極11、第1の接地用端子電極12、及び第2の接地用端子電極13を備えている。
【0019】
コンデンサ素体1は、略直方体状であり、互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面2,3と、第1及び第2の主面2,3間を連結するように第1及び第2の主面2,3の短辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の端面4,5と、第1及び第2の主面2,3を連結するように第1及び第2の主面2,3の長辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面6,7と、を有している。第1実施形態では、第2の主面3が、他の部品(例えば、回路基板や電子部品等)に対する実装面となる。
【0020】
コンデンサ素体1は、図2に示されるように、複数の絶縁体層9を有している。コンデンサ素体1は、複数の絶縁体層9が第1及び第2の主面2,3が対向する方向に積層されることにより構成されており、誘電特性を有している。各絶縁体層9は、例えば誘電体セラミック(BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、又は(Ba,Ca)TiO3系等の誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。なお、実際の貫通型積層コンデンサC1では、各絶縁体層9は、互いの間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0021】
第1及び第2の信号用端子電極10,11は、コンデンサ素体1の第1の側面6に配置されている。第1及び第2の信号用端子電極10,11それぞれは、第1の側面6の一部を第1及び第2の主面2,3の対向方向に沿って覆うように、第1及び第2の主面2,3に亘って形成されている。第1及び第2の信号用端子電極10,11は、コンデンサ素体1の表面上においては互いに電気的に絶縁されている。
【0022】
第1及び第2の接地用端子電極12,13は、コンデンサ素体1の第2の側面7に配置されている。第1及び第2の接地用端子電極12,13それぞれは、第2の側面7の一部を第1及び第2の主面2,3の対向方向に沿って覆うように、第1及び第2の主面2,3に亘って形成されている。第1及び第2の接地用端子電極12,13は、コンデンサ素体1の表面上においては互いに電気的に絶縁されている。
【0023】
第1及び第2の信号用端子電極10,11は、コンデンサ素体1の第1の側面6において、第1の端面4から第2の端面5に向う方向で、第1の信号用端子電極10、第2の信号用端子電極11の順で配置されている。第1及び第2の接地用端子電極12,13は、コンデンサ素体1の第2の側面7において、第1の端面4から第2の端面5に向う方向で、第1の接地用端子電極12、第2の接地用端子電極13の順で配置されている。第1の信号用端子電極10と第1の接地用端子電極12とは、第1及び第2の側面6,7の対向方向で対向している。第2の信号用端子電極11と第2の接地用端子電極13とは、第1及び第2の側面6,7の対向方向で対向している。
【0024】
各端子電極10〜13は、例えば導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストをコンデンサ素体1の外表面の付与し、焼き付けることによって形成される。必要に応じて、焼き付けられた端子電極10〜13の上にめっき層が形成されることもある。
【0025】
貫通型積層コンデンサC1は、図2に示されるように、第1の信号用内部電極20、第2の信号用内部電極24、第1の接地用内部電極30、及び第2の接地用内部電極34を備えている。第1及び第2の信号用内部電極20,24並びに第1及び第2の接地用内部電極30,34は、コンデンサ素体1内に配置されている。第1及び第2の信号用内部電極20,24並びに第1及び第2の接地用内部電極30,34は、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(例えば、卑金属であるNi等)からなる。第1及び第2の信号用内部電極20,24並びに第1及び第2の接地用内部電極30,34は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0026】
第1の信号用内部電極20は、図3中の(b)にも示されるように、主電極部21と、引き出し部22と,接続部23と、を有している。主電極部21と、引き出し部22と、接続部23とは、一体的に形成されている。引き出し部22は、主電極部21の第1の側面6側の縁から第1の側面6に端が露出するように伸びている。接続部23は、主電極部21の第2の側面7側の縁に位置している。
【0027】
第1の信号用端子電極10は、引き出し部22の第1の側面6に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し部22は、第1の信号用端子電極10に物理的且つ電気的に接続される。これにより、第1の信号用内部電極20は、第1の信号用端子電極10に接続されることとなる。
【0028】
第2の信号用内部電極24は、図3中の(a)にも示されるように、主電極部25と、引き出し部26と、接続部27と、を有している。主電極部25と、引き出し部26と、接続部27とは、一体的に形成されている。引き出し部26は、主電極部25の第1の側面6側の縁から第1の側面6に端が露出するように伸びている。接続部27は、主電極部25の第2の側面7側の縁に位置している。
【0029】
第2の信号用端子電極11は、引き出し部26の第1の側面6に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し部26は、第2の信号用端子電極11に物理的且つ電気的に接続される。これにより、第2の信号用内部電極24は、第2の信号用端子電極11に接続されることとなる。
【0030】
接続部23と接続部27とは、第1及び第2の主面2,3が対向する方向(複数の絶縁体層9の積層方向)から見て、少なくとも一部が重なっている。コンデンサ素体1内には、接続部23,27に対応して、絶縁体層9を厚み方向に貫通する信号用スルーホール導体29が配置されている。信号用スルーホール導体29は、第2の側面7寄りに位置しており、コンデンサ素体1内を積層方向に伸びて形成されている。信号用スルーホール導体29の一端は接続部23に物理的且つ電気的に接続され、信号用スルーホール導体29の他端は接続部27に物理的且つ電気的に接続されている。これにより、接続部23と接続部27とは、信号用スルーホール導体29により互いに電気的に接続される。したがって、第1の信号用内部電極20と第2の信号用内部電極24とは、信号用スルーホール導体29を通して電気的に接続されることとなる。
【0031】
第1の接地用内部電極30は、図3中の(a)にも示されるように、主電極部31と、引き出し部32と、接続部33と、を有している。主電極部31と、引き出し部32と、接続部33とは、一体的に形成されている。引き出し部32は、主電極部31の第2の側面7側の縁から第2の側面7に端が露出するように伸びている。接続部33は、主電極部31の第1の側面6側の縁に位置している。
【0032】
第1の接地用端子電極12は、引き出し部32の第2の側面7に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し部32は、第1の接地用端子電極12に物理的且つ電気的に接続される。これにより、第1の接地用内部電極30は、第1の接地用端子電極12に接続されることとなる。
【0033】
第2の接地用内部電極34は、図3中の(b)にも示されるように、主電極部35と、引き出し部36と、接続部37と、を有している。主電極部35と、引き出し部36と、接続部37とは、一体的に形成されている。引き出し部36は、主電極部35の第2の側面7側の縁から第2の側面7に端が露出するように伸びている。接続部37は、主電極部35の第1の側面6側の縁に位置している。
【0034】
第2の接地用端子電極13は、引き出し部36の第2の側面7に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し部36は、第2の接地用端子電極13に物理的且つ電気的に接続される。これにより、第2の接地用内部電極34は、第2の接地用端子電極13に接続されることとなる。
【0035】
接続部33と接続部37とは、複数の絶縁体層9の積層方向から見て、少なくとも一部が重なっている。コンデンサ素体1内には、接続部33,37に対応して、絶縁体層9を厚み方向に貫通する接地用スルーホール導体39が配置されている。接地用スルーホール導体39は、第1の側面6寄りに位置しており、コンデンサ素体1内を積層方向に伸びて形成されている。接地用スルーホール導体39の一端は接続部33に物理的且つ電気的に接続され、接地用スルーホール導体39の他端は接続部37に物理的且つ電気的に接続されている。これにより、接続部33と接続部37とは、接地用スルーホール導体39により互いに電気的に接続される。したがって、第1の接地用内部電極30と第2の接地用内部電極34とは、接地用スルーホール導体39を通して電気的に接続されることとなる。
【0036】
第1の信号用内部電極20の主電極部21と、第1の接地用内部電極30の主電極部31とは、コンデンサ素体1の一部である少なくとも一つの絶縁体層9を挟んで絶縁体層9の積層方向に互いに対向する領域を含んでいる。すなわち、第1の信号用内部電極20と、第1の接地用内部電極30とは、コンデンサ素体1の一部を挟んで絶縁体層9の積層方向に互いに対向する領域を有している。したがって、絶縁体層9のうち、第1の信号用内部電極20の主電極部21と第1の接地用内部電極30の主電極部31とに重なる部分は、一つの静電容量成分を実質的に生じさせる領域である。
【0037】
第2の信号用内部電極24の主電極部25と、第2の接地用内部電極34の主電極部35とは、コンデンサ素体1の一部である少なくとも一つの絶縁体層9を挟んで互いに対向する領域を含んでいる。すなわち、第2の信号用内部電極24と、第2の接地用内部電極34とは、コンデンサ素体1の一部を挟んで互いに対向する領域を有している。したがって、絶縁体層9のうち、第2の信号用内部電極24の主電極部25と第2の接地用内部電極34の主電極部35とに重なる部分は、一つの静電容量成分を実質的に生じさせる領域である。
【0038】
第1の信号用内部電極20と第2の接地用内部電極34とは、絶縁体層9の積層方向に対向していない。これにより、第1の信号用内部電極20と第2の接地用内部電極34との間で、静電容量成分が実質的に生じることはない。第1実施形態では、第1の信号用内部電極20と第2の接地用内部電極34とは、同じ層に位置しており、第1及び第2の端面4,5の対向方向に所定の間隔を有して位置している。第1の信号用内部電極20と第2の信号用内部電極24とは、異なる層に位置している。
【0039】
第2の信号用内部電極24と第1の接地用内部電極30とは、絶縁体層9の積層方向に対向していない。これにより、第2の信号用内部電極24と第1の接地用内部電極30との間で、静電容量成分が実質的に生じることはない。第1実施形態では、第2の信号用内部電極24と第1の接地用内部電極30とは、同じ層に位置しており、第1及び第2の端面4,5の対向方向に所定の間隔を有して位置している。第1の接地用内部電極30と第2の接地用内部電極34とは、異なる層に位置している。
【0040】
第1実施形態では、貫通型積層コンデンサC1は、第1の信号用内部電極20と第1の接地用内部電極30とを含む一つの内部電極群と、第2の信号用内部電極24と第2の接地用内部電極34とを含む一つの内部電極群と、を備えることとなる。そして、第1の信号用内部電極20と第2の信号用内部電極24とは、信号用スルーホール導体29により互いに電気的に接続され、第1の接地用内部電極30と第2の接地用内部電極34とは、接地用スルーホール導体39により互いに電気的に接続される。上述した二つの内部電極群は、コンデンサ素体1内において、第1及び第2の端面4,5の対向方向に併置される。
【0041】
信号用スルーホール導体29と接地用スルーホール導体39とは、第1の側面6と第2の側面7との対向方向で、離れている。各スルーホール導体29,39は、内部電極20,24,30,34と同じく、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(例えば、卑金属であるNi等)からなる。各スルーホール導体29,39は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0042】
図4に示されるように、貫通型積層コンデンサC1では、上述した内部電極群毎に静電容量成分C11,C12が形成される。すなわち、第1の信号用内部電極20の主電極部21と第1の接地用内部電極30の主電極部31とが対向する領域により静電容量成分C11が形成される。また、第2の信号用内部電極24の主電極部25と第2の接地用内部電極34の主電極部35とが対向する領域により静電容量成分C12が形成される。貫通型積層コンデンサC1は、図5に示されるように、第1及び第2の信号用端子電極10,11が信号線ラインSLに接続され、第1及び第2の接地用端子電極12,13がグランドラインGLに接続されることにより、他の部品に実装される。
【0043】
以上のように、第1実施形態では、静電容量成分C11を有するコンデンサと静電容量成分C12を有するコンデンサとが並列接続された回路を実現することができる。
【0044】
第1実施形態では、第1の信号用内部電極20と第2の接地用内部電極34とが、同じ層に位置し、第2の信号用内部電極24と第1の接地用内部電極30とが、同じ層に位置している。これにより、内部電極の層数が少なくなるため、貫通型積層コンデンサC1の低背化を図ることができる。
【0045】
第1実施形態では、第1及び第2の信号用端子電極10,11は、第1の側面6に配置され、第1及び第2の接地用端子電極12,13は、第2の側面7に配置されている。信号用スルーホール導体29は、第2の側面7寄りに位置し、接地用は、第1の側面6寄りに位置している。これにより、信号用スルーホール導体29と接地用スルーホール導体39とが離れて配置されるため、信号用スルーホール導体29と接地用スルーホール導体39との間隔が物理的に十分大きくなる。この結果、上記二つの静電容量成分C11,C12をより一層好適に分離して形成することができる。
【0046】
次に、図6〜図9に基づいて、第1実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサC1について説明する。本変形例に係る貫通型積層コンデンサは、第1及び第2の信号用内部電極20,24並びに第1及び第2の接地用内部電極30,34の形状の点で上述した実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1と異なる。図6及び図8は、第1実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を示す分解斜視図である。図7及び図9は、内部電極の構成を示す図である。
【0047】
図6及び図7に示された変形例では、第1及び第2の信号用内部電極20,24並びに第1及び第2の接地用内部電極30,34の各主電極部21,25,31,35がミアンダ形状を呈している。各主電極部21,25,31,35は、その幅が狭く、線路長が長くなるため、第1及び第2の信号用内部電極20,24並びに第1及び第2の接地用内部電極30,34の電気抵抗が比較的高くなる。この結果、貫通型積層コンデンサのインピーダンスを大きくすることができる。
【0048】
図8及び図9に示された変形例では、第1の信号用内部電極20の主電極部21と第1の接地用内部電極30の主電極部31とが対向する領域と、第2の信号用内部電極24の主電極部25と第2の接地用内部電極34の主電極部35とが対向する領域とは、その面積が異なっている。第1実施形態では、第1の信号用内部電極20の主電極部21と第1の接地用内部電極30の主電極部31とが対向する領域の面積が、第2の信号用内部電極24の主電極部25と第2の接地用内部電極34の主電極部35とが対向する領域の面積より狭い。したがって、上記静電容量成分C11は、静電容量成分C12よりも小さくなる。
【0049】
図10に、第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1、及び、図8及び図9に示された変形例に係る貫通型積層コンデンサそれぞれの周波数(Hz)に関するインピーダンス(Ω)特性を表すグラフを示す。図10に示したグラフの横軸は周波数(Hz)を表し、縦軸はインピーダンス(Ω)を表す。図10の破線で表された特性Z1が第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1に対応し、実線で表された特性Z2が図8及び図9に示された変形例に係る貫通型積層コンデンサに対応する。
【0050】
図10の特性Z1に示されるように、第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1では、コンデンサに形成された2つの静電容量成分が同じ値なので、当該静電容量に対応する自己共振周波数f1にのみインピーダンスが極小となる点を有する。一方、図10の特性Z2に示されるように、図8及び図9に示された変形例に係る貫通型積層コンデンサでは、コンデンサに形成された2つの静電容量成分の値が異なるので、異なる自己共振周波数f1,f2の双方にインピーダンスが極小となる点を有する。このように、図8及び図9に示された変形例に係る貫通型積層コンデンサは、2つの異なる静電容量成分を有しているため、1つの静電容量をもつ場合と比べ、広い周波数帯域にわたってインピーダンスを低くすることができる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、図11〜図12を参照して、第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサの構成について説明する図11は、第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。図12は、第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサの等価回路図である。
【0052】
第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサは、図示を省略するが、第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1と同じく、コンデンサ素体1と、第1の信号用端子電極10、第2の信号用端子電極11、第1の接地用端子電極12、及び第2の接地用端子電極13を備えている。
【0053】
第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサは、図11に示されるように、第1の信号用内部電極20、第2の信号用内部電極24、第3の信号用内部電極40、第1の接地用内部電極30、第2の接地用内部電極34、及び第3の接地用内部電極50を備えている。各内部電極20,24,30,34,40,50は、コンデンサ素体1内に配置されている。第3の信号用内部電極40及び第3の接地用内部電極50は、内部電極20,24,30,34と同じく、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(例えば、卑金属であるNi等)からなる。各内部電極20,24,30,34,40,50は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0054】
第1の信号用内部電極20は、主電極部21と、引き出し部22と、接続部23と、を有している。第1の信号用内部電極20は、第1の信号用端子電極10に接続されている。第2の信号用内部電極24は、主電極部25と、引き出し部26と、接続部27と、を有している。第2の信号用内部電極24は、第2の信号用端子電極11に接続されている。
【0055】
第3の信号用内部電極40は、主電極部41と、二つの接続部43a,43bと、を有している。主電極部41と、二つの接続部43a,43bとは、一体的に形成されている。接続部43a,43bは、主電極部41の第2の側面7寄りの部分に位置している。
【0056】
接続部23と接続部43aとは、複数の絶縁体層9の積層方向から見て、少なくとも一部が重なっている。コンデンサ素体1内には、接続部23,43aに対応して、絶縁体層9を厚み方向に貫通する信号用スルーホール導体49aが配置されている。信号用スルーホール導体49aは、第2の側面7寄りに位置しており、コンデンサ素体1内を積層方向に伸びて形成されている。信号用スルーホール導体49aの一端は接続部23に物理的且つ電気的に接続され、信号用スルーホール導体49aの他端は接続部43aに物理的且つ電気的に接続されている。これにより、接続部23と接続部43aとは、信号用スルーホール導体49aにより互いに電気的に接続される。
【0057】
接続部43bと接続部27とは、複数の絶縁体層9の積層方向から見て、少なくとも一部が重なっている。コンデンサ素体1内には、接続部27,43bに対応して、絶縁体層9を厚み方向に貫通する信号用スルーホール導体49bが配置されている。信号用スルーホール導体49bは、第2の側面7寄りに位置しており、コンデンサ素体1内を積層方向に伸びて形成されている。信号用スルーホール導体49bの一端は接続部43bに物理的且つ電気的に接続され、信号用スルーホール導体49bの他端は接続部27に物理的且つ電気的に接続されている。これにより、接続部43bと接続部27とは、信号用スルーホール導体49bにより互いに電気的に接続される。
【0058】
第1の接地用内部電極30は、主電極部31と、引き出し部32と、接続部33と、を有している。第1の接地用内部電極30は、第1の接地用端子電極12に接続されている。第2の接地用内部電極34は、主電極部35と、引き出し部36と、接続部37と、を有している。第2の接地用内部電極34は、第2の接地用端子電極13に接続されている。
【0059】
第3の接地用内部電極50は、主電極部51と、二つの接続部53a,53bと、を有している。主電極部51と、二つの接続部53a,53bとは、一体的に形成されている。接続部53a,53bは、主電極部51の第1の側面6寄りの部分に位置している。
【0060】
接続部33と接続部53aとは、複数の絶縁体層9の積層方向から見て、少なくとも一部が重なっている。コンデンサ素体1内には、接続部33,53aに対応して、絶縁体層9を厚み方向に貫通する接地用スルーホール導体59aが配置されている。接地用スルーホール導体59aは、第1の側面6寄りに位置しており、コンデンサ素体1内を積層方向に伸びて形成されている。接地用スルーホール導体59aの一端は接続部33に物理的且つ電気的に接続され、接地用スルーホール導体59aの他端は接続部53aに物理的且つ電気的に接続されている。これにより、接続部33と接続部53aとは、接地用スルーホール導体59aにより互いに電気的に接続される。
【0061】
接続部53bと接続部37とは、複数の絶縁体層9の積層方向から見て、少なくとも一部が重なっている。コンデンサ素体1内には、接続部37,53bに対応して、絶縁体層9を厚み方向に貫通する接地用スルーホール導体59bが配置されている。接地用スルーホール導体59bは、第1の側面6寄りに位置しており、コンデンサ素体1内を積層方向に伸びて形成されている。接地用スルーホール導体59bの一端は接続部53bに物理的且つ電気的に接続され、接地用スルーホール導体59bの他端は接続部37に物理的且つ電気的に接続されている。これにより、接続部53bと接続部37とは、接地用スルーホール導体59bにより互いに電気的に接続される。
【0062】
第1〜第3の信号用内部電極20,24,40は、信号用スルーホール導体49a,49bを通して、互いに電気的に接続されている。第1〜第3の接地用内部電極30,34,50は、接地用スルーホール導体59a,59bを通して、互いに電気的に接続されている。信号用スルーホール導体49a,49bと接地用スルーホール導体59a,59bとは、第1の側面6と第2の側面7との対向方向で、離れている。各スルーホール導体49a,49b,59a,59bは、各スルーホール導体29,39と同じく、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(例えば、卑金属であるNi等)からなる。各スルーホール導体49a,49b,59a,59bは、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0063】
第3の信号用内部電極40の主電極部41と、第3の接地用内部電極50の主電極部51とは、コンデンサ素体1の一部である少なくとも一つの絶縁体層9を挟んで絶縁体層9の積層方向に互いに対向する領域を含んでいる。すなわち、第3の信号用内部電極40と、第3の接地用内部電極50とは、コンデンサ素体1の一部を挟んで絶縁体層9の積層方向に互いに対向する領域を有している。したがって、絶縁体層9のうち、第3の信号用内部電極40の主電極部41と第3の接地用内部電極50の主電極部51とに重なる部分も、一つの静電容量成分を実質的に生じさせる領域である。
【0064】
第1の信号用内部電極20と、第3の接地用内部電極50と、第2の信号用内部電極24とは、同じ層に位置している。各内部電極20,24,50は、第1の端面4から第2の端面5に向う方向で、第1の信号用内部電極20、第3の接地用内部電極50、第2の信号用内部電極24の順で、それぞれ所定の間隔を有して配置されている。
【0065】
第1の接地用内部電極30と、第3の信号用内部電極40と、第2の接地用内部電極34とは、同じ層に位置している。各内部電極30,34,40は、第1の端面4から第2の端面5に向う方向で、第1の接地用内部電極30、第3の信号用内部電極40、第2の接地用内部電極34の順で、それぞれ所定の間隔を有して配置されている。
【0066】
第1の信号用内部電極20と、第2及び第3の接地用内部電極34,50とは、絶縁体層9の積層方向に対向していない。これにより、第1の信号用内部電極20と第2及び第3の接地用内部電極34,50との間で、静電容量成分が実質的に生じることはない。
【0067】
第2の信号用内部電極24と、第1及び第3の接地用内部電極30,50とは、絶縁体層9の積層方向に対向していない。これにより、第2の信号用内部電極24と第1及び第3の接地用内部電極30,50との間で、静電容量成分が実質的に生じることはない。
【0068】
第3の信号用内部電極40と、第1及び第2の接地用内部電極30,34とは、絶縁体層9の積層方向に対向していない。これにより、第2の信号用内部電極24と第1及び第2の接地用内部電極30,34との間で、静電容量成分が実質的に生じることはない。
【0069】
第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサは、第1の信号用内部電極20と第1の接地用内部電極30とを含む一つの内部電極群と、第2の信号用内部電極24と第2の接地用内部電極34とを含む一つの内部電極群と、第3の信号用内部電極40と第3の接地用内部電極50とを含む一つの内部電極群と、を備えることとなる。第1の信号用内部電極20と第2の信号用内部電極24と第3の信号用内部電極40との電気的な接続は、信号用スルーホール導体49a,49bにより成され、第1の接地用内部電極30と第2の接地用内部電極34と第3の接地用内部電極50との電気的な接続は、接地用スルーホール導体59a,59bにより成されている。上述した三つの内部電極群は、コンデンサ素体1内において、第1及び第2の端面4,5の対向方向に併置される。
【0070】
図12に示されるように、第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサでは、上述した内部電極群毎に静電容量成分C11,C12,C13が形成される。すなわち、第1の信号用内部電極20の主電極部21と第1の接地用内部電極30の主電極部31とが対向する領域により静電容量成分C11が形成される。第2の信号用内部電極24の主電極部25と第2の接地用内部電極34の主電極部35とが対向する領域により静電容量成分C12が形成される。第3の信号用内部電極40の主電極部41と第3の接地用内部電極50の主電極部51とが対向する領域により静電容量成分C13が形成される。
【0071】
以上のように、第2実施形態にあっても、静電容量成分C11を有するコンデンサと静電容量成分C12を有するコンデンサと静電容量成分C13を有するコンデンサとが並列接続された回路を実現することができる。
【0072】
次に、図13に基づいて、第2実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサについて説明する。本変形例に係る貫通型積層コンデンサは、各信号用内部電極20,24,40間の電気的な接続の形態及び各接地用内部電極30,34,50間の電気的な接続の形態の点で上述した第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサと異なる。図13は、第2実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を示す分解斜視図である。
【0073】
第1の信号用内部電極20の接続部23と第2の信号用内部電極24の接続部27とは、一体的に形成されている。接続部23,27は、主電極部21と主電極部25とを連結する連結導体として機能する。主電極部21と主電極部25とは、接続部23,27を通して電気的に接続されている。
【0074】
第3の信号用内部電極40は、主電極部41と、接続部43cと、を有している。主電極部41と、接続部43cとは、一体的に形成されている。接続部43cは、主電極部41の第2の側面7寄りの部分に位置している。
【0075】
接続部23,27と接続部43cとは、複数の絶縁体層9の積層方向から見て、少なくとも一部が重なっている。コンデンサ素体1内には、接続部23,27,43cに対応して、絶縁体層9を厚み方向に貫通する信号用スルーホール導体49cが配置されている。信号用スルーホール導体49cは、第2の側面7寄りに位置しており、コンデンサ素体1内を積層方向に伸びて形成されている。信号用スルーホール導体49cの一端は接続部23,27に物理的且つ電気的に接続され、信号用スルーホール導体49cの他端は接続部43cに物理的且つ電気的に接続されている。これにより、接続部23,27と接続部43cとは、信号用スルーホール導体49cにより互いに電気的に接続される。
【0076】
第1の接地用内部電極30の接続部33と第2の接地用内部電極34の接続部37とは、一体的に形成されている。接続部33,37は、主電極部31と主電極部35とを連結する連結導体として機能する。主電極部31と主電極部35とは、接続部33,37を通して電気的に接続されている。
【0077】
第3の接地用内部電極50は、主電極部51と、接続部53cと、を有している。主電極部51と、接続部53cとは、一体的に形成されている。接続部53cは、主電極部51の第1の側面6寄りの部分に位置している。
【0078】
接続部33,37と接続部53cとは、複数の絶縁体層9の積層方向から見て、少なくとも一部が重なっている。コンデンサ素体1内には、接続部33,37,53cに対応して、絶縁体層9を厚み方向に貫通する接地用スルーホール導体59cが配置されている。接地用スルーホール導体59cは、第1の側面6寄りに位置しており、コンデンサ素体1内を積層方向に伸びて形成されている。接地用スルーホール導体59cの一端は接続部53cに物理的且つ電気的に接続され、接地用スルーホール導体59cの他端は接続部33,37に物理的且つ電気的に接続されている。これにより、接続部33,37と接続部53cとは、接地用スルーホール導体59cにより互いに電気的に接続される。
【0079】
信号用スルーホール導体49cと接地用スルーホール導体59cとは、第1の側面6と第2の側面7との対向方向で、離れている。各スルーホール導体49c,59cも、各スルーホール導体29,39と同じく、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(例えば、卑金属であるNi等)からなる。各スルーホール導体49c,59cは、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0080】
第1の信号用内部電極20と第2の信号用内部電極24との電気的な接続は、接続部23,27により成されている。第1の信号用内部電極20と第3の信号用内部電極40との電気的な接続、及び、第2の信号用内部電極24と第3の信号用内部電極40との電気的な接続は、信号用スルーホール導体49cにより成されている。第1の接地用内部電極30と第2の接地用内部電極34との電気的な接続は、接続部33,37により成されている。第1の接地用内部電極30と第3の接地用内部電極50との電気的な接続、及び、第2の接地用内部電極34と第3の接地用内部電極50との電気的な接続は、接地用スルーホール導体59cにより成されている。
【0081】
図14に示されるように、図13に示された変形例に係る貫通型積層コンデンサにおいても、上述した内部電極群毎に静電容量成分C11,C12,C13が形成される。
【0082】
以上のように、本変形例にあっても、静電容量成分C11を有するコンデンサと静電容量成分C12を有するコンデンサと静電容量成分C13を有するコンデンサとが並列接続された回路を実現することができる。
【0083】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0084】
コンデンサ素体1に含まれる絶縁体層9の積層数及び各内部電極20,24,30,34,40,50の積層数は、上述した実施形態及び変形例にて示された数に限られない。内部電極群の数も、上述した実施形態に記載された数に限られない。
【0085】
各内部電極20,24,30,34,40,50の形状は、上述した実施形態及び変形例に示された形状に限られない。したがって、第2実施形態において、各内部電極20,24,30,34,40,50の形状をミアンダ形状としてもよく、また、信号用内部電極20,24,40の主電極部21,25,41と接地用内部電極30,34,50の主電極部31,35,51とが対向する各領域の面積が異なっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサの斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
【図3】内部電極の構成を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサの等価回路図である。
【図5】第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサを他の部品に実装した状態を示す図である。
【図6】第1実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を示す分解斜視図である。
【図7】内部電極の構成を示す図である。
【図8】第1実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を示す分解斜視図である。
【図9】内部電極の構成を示す図である。
【図10】第1実施形態及び当該第1実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサのインピーダンスの周波数特性を示す線図である。
【図11】第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
【図12】第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサの等価回路図である。
【図13】第2実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
【図14】第2実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサの等価回路図である。
【符号の説明】
【0087】
1…コンデンサ素体、2…第1の主面、3…第2の主面、4…第1の端面、5…第2の端面、6…第1の側面、7…第2の側面、9…絶縁体層、10…第1の信号用端子電極、11…第2の信号用端子電極、12…第1の接地用端子電極、13…第2の接地用端子電極、20…第1の信号用内部電極、21…主電極部、22…引き出し部、23…接続部、24…第2の信号用内部電極、25…主電極部、26…引き出し部、27…接続部、29…信号用スルーホール導体、30…第1の接地用内部電極、31…主電極部、32…引き出し部、33…接続部、34…第2の接地用内部電極、35…主電極部、36…引き出し部、37…接続部、39…接地用スルーホール導体、40…第3の信号用内部電極、41…主電極部、43a,43b,43c…接続部、49a,49b,49c…信号用スルーホール導体、50…第3の接地用内部電極、51…主電極部、53a,53b,53c…接続部、59a,59b,59c…接地用スルーホール導体、C1…貫通型積層コンデンサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通型積層コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
貫通型積層コンデンサとして、誘電体層と信号用内部電極及び接地用内部電極とが交互に積層されたコンデンサ素体と、当該コンデンサ素体に形成された信号用端子電極及び接地用端子電極とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平01−206615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、1つの素子で複数の静電容量成分を並列接続する回路を実現することが可能な貫通型積層コンデンサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
通常、電子機器には複数の貫通型積層コンデンサが搭載されている。そのため、搭載するコンデンサの数だけ電子機器内において実装スペースが消費されてしまう。そこで、本発明者等は、1つの素子で複数の並列回路を実現することができる貫通型積層コンデンサについて鋭意研究をした結果、本願発明に想到するに至った。
【0005】
本発明に係る貫通型積層コンデンサは、誘電特性を有するコンデンサ素体と、コンデンサ素体内に配置された、第1及び第2の信号用内部電極並びに第1及び第2の接地用内部電極と、コンデンサ素体の外表面に配置された、第1及び第2の信号用端子電極並びに第1及び第2の接地用端子電極と、を備えており、第1の信号用内部電極は、第1の信号用端子電極に接続され、第2の信号用内部電極は、第2の信号用端子電極に接続され、第1の接地用内部電極は、第1の接地用端子電極に接続され、第2の接地用内部電極は、第2の接地用端子電極に接続され、第1の信号用内部電極と第1の接地用内部電極とは、コンデンサ素体の少なくとも一部を挟んで対向する領域を有し、第2の信号用内部電極と第2の接地用内部電極とは、コンデンサ素体の少なくとも一部を挟んで対向する領域を有し、第1の信号用内部電極と第2の接地用内部電極とは、互いに対向せず、第2の信号用内部電極と第1の接地用内部電極とは、互いに対向せず、第1の信号用内部電極と第2の信号用内部電極とは、コンデンサ素体内に配置された信号用スルーホール導体を通して接続され、第1の接地用内部電極と第2の接地用内部電極とは、コンデンサ素体内に配置された接地用スルーホール導体を通して接続されていることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る貫通型積層コンデンサでは、第1の信号用内部電極と第1の接地用内部電極とが互いに対向する領域を有し、第2の信号用内部電極と第2の接地用内部電極とが互いに対向する領域を有している。そして、第1の信号用内部電極と第2の接地用内部電極とは、互いに対向せず、第2の信号用内部電極と第1の接地用内部電極とは、互いに対向していない。これらにより、上記貫通型積層コンデンサにおいて、第1の信号用内部電極と第1の接地用内部電極とが互いに対向する領域により形成される静電容量成分と、第2の信号用内部電極と第2の接地用内部電極とが互いに対向する領域により形成される静電容量成分と、が並列接続される回路が実現される。
【0007】
好ましくは、第1の信号用内部電極と第2の接地用内部電極とが、同じ層に位置し、第2の信号用内部電極と第1の接地用内部電極とが、同じ層に位置している。この場合、内部電極の層数が少なくなるため、貫通型積層コンデンサの低背化を図ることができる。
【0008】
好ましくは、第1及び第2の信号用内部電極並びに第1及び第2の接地用内部電極が、ミアンダ形状を呈している。この場合、貫通型積層コンデンサのインピーダンスを大きくすることができる。
【0009】
好ましくは、第1の信号用内部電極と第1の接地用内部電極とが対向する領域と、第2の信号用内部電極と第2の接地用内部電極とが対向する領域とは、面積が異なっている。この場合、上記二つの静電容量成分の大きさが異なることとなる。このため、貫通型積層コンデンサは、広帯域の周波数領域において低インピーダンスとなる。
【0010】
好ましくは、コンデンサ素体は、相対向する長方形状の第1及び第2の主面と、第1及び第2の主面間を連結するように第1及び第2の主面の短辺方向に伸びている第1及び第2の端面と、第1及び第2の主面間を連結するように第1及び第2の主面の長辺方向に伸びている第1及び第2の側面と、を有しており、第1及び第2の信号用端子電極は、第1の側面に配置され、第1及び第2の接地用端子電極は、第2の側面に配置され、信号用スルーホール導体は、第2の側面寄りに位置し、接地用スルーホール導体は、第1の側面寄りに位置している。この場合、信号用スルーホール導体と接地用スルーホール導体とが離れて配置されるため、上記二つの静電容量成分をより一層好適に分離して形成することができる。
【0011】
好ましくは、第1の信号用内部電極は、第1の接地用内部電極と対向する領域を含む主電極部と、該主電極部から伸びると共に第1の信号用端子電極に接続される引き出し部と、信号用スルーホール導体に接続される接続部と、を有し、第2の信号用内部電極は、第2の接地用内部電極と対向する領域を含む主電極部と、該主電極部から伸びると共に第2の信号用端子電極に接続される引き出し部と、信号用スルーホール導体に接続される接続部と、を有し、第1の接地用内部電極は、第1の信号用内部電極と対向する領域を含む主電極部と、該主電極部から伸びると共に第1の接地用端子電極に接続される引き出し部と、接地用スルーホール導体に接続される接続部と、を有し、第2の接地用内部電極は、第2の信号用内部電極と対向する領域を含む主電極部と、該主電極部から伸びると共に第2の接地用端子電極に接続される引き出し部と、接地用スルーホール導体に接続される接続部と、を有している。
【0012】
また、本発明に係る貫通型積層コンデンサは、誘電特性を有するコンデンサ素体と、コンデンサ素体の少なくとも一部を挟んで対向する領域を有するようにコンデンサ素体内に配置された信号用内部電極と接地用内部電極とをそれぞれ含む複数の内部電極群と、コンデンサ素体の外表面に配置された、第1及び第2の信号用端子電極並びに第1及び第2の接地用端子電極と、複数の内部電極群それぞれに含まれる各信号用内部電極は互いに電気的に接続されており、各信号用内部電極間の電気的な接続うち少なくとも一つの電気的な接続が、コンデンサ素体内に配置された信号用スルーホール導体により成され、複数の内部電極群それぞれに含まれる各接地用内部電極は、互いに電気的に接続されており、各接地用内部電極間の電気的な接続うち少なくとも一つの電気的な接続が、コンデンサ素体内に配置された接地用スルーホール導体により成され、複数の内部電極群それぞれに含まれる各信号用内部電極のうち一つの信号用内部電極が第1の信号用端子電極に接続され、複数の内部電極群それぞれに含まれる各信号用内部電極のうち一つの信号用内部電極を除くいずれか一つの信号用内部電極が第2の信号用端子電極に接続され、複数の内部電極群それぞれに含まれる各接地用内部電極のうち一つの接地用内部電極が第1の接地用端子電極に接続され、複数の内部電極群それぞれに含まれる各接地用内部電極のうち一つの接地用内部電極を除くいずれか一つの接地用内部電極が第2の接地用端子電極に接続され、複数の内部電極群のうち、それぞれ異なる内部電極群に含まれる信号用内部電極と接地用内部電極とは、互いに対向していない。
【0013】
本発明に係る貫通型積層コンデンサでは、各内部電極群において信号用内部電極と接地用内部電極とが互いに対向する領域を有している。そして、異なる内部電極群に含まれる信号用内部電極及び接地用内部電極同士は、互いに対向していない。これらにより、上記貫通型積層コンデンサにおいて、各内部電極群において静電容量成分が形成され、これらの形成された複数の静電容量成分は、並列接続される。したがって、本発明によれば、複数の静電容量成分が並列接続される回路が実現される。
【0014】
好ましくは、各信号用内部電極間の電気的な接続の全てが、コンデンサ素体内に配置された信号用スルーホール導体により成され、各接地用内部電極間の電気的な接続の全てが、コンデンサ素体内に配置された接地用スルーホール導体により成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、1つの素子で複数の静電容量成分を並列接続する回路を実現することが可能な貫通型積層コンデンサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0017】
(第1実施形態)
図1〜図3を参照して、第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサの斜視図である。図2は、第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。図3は、内部電極の構成を示す図である。図4は、第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサの等価回路図である。
【0018】
貫通型積層コンデンサC1は、図1に示されるように、コンデンサ素体1と、第1の信号用端子電極10、第2の信号用端子電極11、第1の接地用端子電極12、及び第2の接地用端子電極13を備えている。
【0019】
コンデンサ素体1は、略直方体状であり、互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面2,3と、第1及び第2の主面2,3間を連結するように第1及び第2の主面2,3の短辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の端面4,5と、第1及び第2の主面2,3を連結するように第1及び第2の主面2,3の長辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面6,7と、を有している。第1実施形態では、第2の主面3が、他の部品(例えば、回路基板や電子部品等)に対する実装面となる。
【0020】
コンデンサ素体1は、図2に示されるように、複数の絶縁体層9を有している。コンデンサ素体1は、複数の絶縁体層9が第1及び第2の主面2,3が対向する方向に積層されることにより構成されており、誘電特性を有している。各絶縁体層9は、例えば誘電体セラミック(BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、又は(Ba,Ca)TiO3系等の誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。なお、実際の貫通型積層コンデンサC1では、各絶縁体層9は、互いの間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0021】
第1及び第2の信号用端子電極10,11は、コンデンサ素体1の第1の側面6に配置されている。第1及び第2の信号用端子電極10,11それぞれは、第1の側面6の一部を第1及び第2の主面2,3の対向方向に沿って覆うように、第1及び第2の主面2,3に亘って形成されている。第1及び第2の信号用端子電極10,11は、コンデンサ素体1の表面上においては互いに電気的に絶縁されている。
【0022】
第1及び第2の接地用端子電極12,13は、コンデンサ素体1の第2の側面7に配置されている。第1及び第2の接地用端子電極12,13それぞれは、第2の側面7の一部を第1及び第2の主面2,3の対向方向に沿って覆うように、第1及び第2の主面2,3に亘って形成されている。第1及び第2の接地用端子電極12,13は、コンデンサ素体1の表面上においては互いに電気的に絶縁されている。
【0023】
第1及び第2の信号用端子電極10,11は、コンデンサ素体1の第1の側面6において、第1の端面4から第2の端面5に向う方向で、第1の信号用端子電極10、第2の信号用端子電極11の順で配置されている。第1及び第2の接地用端子電極12,13は、コンデンサ素体1の第2の側面7において、第1の端面4から第2の端面5に向う方向で、第1の接地用端子電極12、第2の接地用端子電極13の順で配置されている。第1の信号用端子電極10と第1の接地用端子電極12とは、第1及び第2の側面6,7の対向方向で対向している。第2の信号用端子電極11と第2の接地用端子電極13とは、第1及び第2の側面6,7の対向方向で対向している。
【0024】
各端子電極10〜13は、例えば導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストをコンデンサ素体1の外表面の付与し、焼き付けることによって形成される。必要に応じて、焼き付けられた端子電極10〜13の上にめっき層が形成されることもある。
【0025】
貫通型積層コンデンサC1は、図2に示されるように、第1の信号用内部電極20、第2の信号用内部電極24、第1の接地用内部電極30、及び第2の接地用内部電極34を備えている。第1及び第2の信号用内部電極20,24並びに第1及び第2の接地用内部電極30,34は、コンデンサ素体1内に配置されている。第1及び第2の信号用内部電極20,24並びに第1及び第2の接地用内部電極30,34は、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(例えば、卑金属であるNi等)からなる。第1及び第2の信号用内部電極20,24並びに第1及び第2の接地用内部電極30,34は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0026】
第1の信号用内部電極20は、図3中の(b)にも示されるように、主電極部21と、引き出し部22と,接続部23と、を有している。主電極部21と、引き出し部22と、接続部23とは、一体的に形成されている。引き出し部22は、主電極部21の第1の側面6側の縁から第1の側面6に端が露出するように伸びている。接続部23は、主電極部21の第2の側面7側の縁に位置している。
【0027】
第1の信号用端子電極10は、引き出し部22の第1の側面6に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し部22は、第1の信号用端子電極10に物理的且つ電気的に接続される。これにより、第1の信号用内部電極20は、第1の信号用端子電極10に接続されることとなる。
【0028】
第2の信号用内部電極24は、図3中の(a)にも示されるように、主電極部25と、引き出し部26と、接続部27と、を有している。主電極部25と、引き出し部26と、接続部27とは、一体的に形成されている。引き出し部26は、主電極部25の第1の側面6側の縁から第1の側面6に端が露出するように伸びている。接続部27は、主電極部25の第2の側面7側の縁に位置している。
【0029】
第2の信号用端子電極11は、引き出し部26の第1の側面6に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し部26は、第2の信号用端子電極11に物理的且つ電気的に接続される。これにより、第2の信号用内部電極24は、第2の信号用端子電極11に接続されることとなる。
【0030】
接続部23と接続部27とは、第1及び第2の主面2,3が対向する方向(複数の絶縁体層9の積層方向)から見て、少なくとも一部が重なっている。コンデンサ素体1内には、接続部23,27に対応して、絶縁体層9を厚み方向に貫通する信号用スルーホール導体29が配置されている。信号用スルーホール導体29は、第2の側面7寄りに位置しており、コンデンサ素体1内を積層方向に伸びて形成されている。信号用スルーホール導体29の一端は接続部23に物理的且つ電気的に接続され、信号用スルーホール導体29の他端は接続部27に物理的且つ電気的に接続されている。これにより、接続部23と接続部27とは、信号用スルーホール導体29により互いに電気的に接続される。したがって、第1の信号用内部電極20と第2の信号用内部電極24とは、信号用スルーホール導体29を通して電気的に接続されることとなる。
【0031】
第1の接地用内部電極30は、図3中の(a)にも示されるように、主電極部31と、引き出し部32と、接続部33と、を有している。主電極部31と、引き出し部32と、接続部33とは、一体的に形成されている。引き出し部32は、主電極部31の第2の側面7側の縁から第2の側面7に端が露出するように伸びている。接続部33は、主電極部31の第1の側面6側の縁に位置している。
【0032】
第1の接地用端子電極12は、引き出し部32の第2の側面7に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し部32は、第1の接地用端子電極12に物理的且つ電気的に接続される。これにより、第1の接地用内部電極30は、第1の接地用端子電極12に接続されることとなる。
【0033】
第2の接地用内部電極34は、図3中の(b)にも示されるように、主電極部35と、引き出し部36と、接続部37と、を有している。主電極部35と、引き出し部36と、接続部37とは、一体的に形成されている。引き出し部36は、主電極部35の第2の側面7側の縁から第2の側面7に端が露出するように伸びている。接続部37は、主電極部35の第1の側面6側の縁に位置している。
【0034】
第2の接地用端子電極13は、引き出し部36の第2の側面7に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し部36は、第2の接地用端子電極13に物理的且つ電気的に接続される。これにより、第2の接地用内部電極34は、第2の接地用端子電極13に接続されることとなる。
【0035】
接続部33と接続部37とは、複数の絶縁体層9の積層方向から見て、少なくとも一部が重なっている。コンデンサ素体1内には、接続部33,37に対応して、絶縁体層9を厚み方向に貫通する接地用スルーホール導体39が配置されている。接地用スルーホール導体39は、第1の側面6寄りに位置しており、コンデンサ素体1内を積層方向に伸びて形成されている。接地用スルーホール導体39の一端は接続部33に物理的且つ電気的に接続され、接地用スルーホール導体39の他端は接続部37に物理的且つ電気的に接続されている。これにより、接続部33と接続部37とは、接地用スルーホール導体39により互いに電気的に接続される。したがって、第1の接地用内部電極30と第2の接地用内部電極34とは、接地用スルーホール導体39を通して電気的に接続されることとなる。
【0036】
第1の信号用内部電極20の主電極部21と、第1の接地用内部電極30の主電極部31とは、コンデンサ素体1の一部である少なくとも一つの絶縁体層9を挟んで絶縁体層9の積層方向に互いに対向する領域を含んでいる。すなわち、第1の信号用内部電極20と、第1の接地用内部電極30とは、コンデンサ素体1の一部を挟んで絶縁体層9の積層方向に互いに対向する領域を有している。したがって、絶縁体層9のうち、第1の信号用内部電極20の主電極部21と第1の接地用内部電極30の主電極部31とに重なる部分は、一つの静電容量成分を実質的に生じさせる領域である。
【0037】
第2の信号用内部電極24の主電極部25と、第2の接地用内部電極34の主電極部35とは、コンデンサ素体1の一部である少なくとも一つの絶縁体層9を挟んで互いに対向する領域を含んでいる。すなわち、第2の信号用内部電極24と、第2の接地用内部電極34とは、コンデンサ素体1の一部を挟んで互いに対向する領域を有している。したがって、絶縁体層9のうち、第2の信号用内部電極24の主電極部25と第2の接地用内部電極34の主電極部35とに重なる部分は、一つの静電容量成分を実質的に生じさせる領域である。
【0038】
第1の信号用内部電極20と第2の接地用内部電極34とは、絶縁体層9の積層方向に対向していない。これにより、第1の信号用内部電極20と第2の接地用内部電極34との間で、静電容量成分が実質的に生じることはない。第1実施形態では、第1の信号用内部電極20と第2の接地用内部電極34とは、同じ層に位置しており、第1及び第2の端面4,5の対向方向に所定の間隔を有して位置している。第1の信号用内部電極20と第2の信号用内部電極24とは、異なる層に位置している。
【0039】
第2の信号用内部電極24と第1の接地用内部電極30とは、絶縁体層9の積層方向に対向していない。これにより、第2の信号用内部電極24と第1の接地用内部電極30との間で、静電容量成分が実質的に生じることはない。第1実施形態では、第2の信号用内部電極24と第1の接地用内部電極30とは、同じ層に位置しており、第1及び第2の端面4,5の対向方向に所定の間隔を有して位置している。第1の接地用内部電極30と第2の接地用内部電極34とは、異なる層に位置している。
【0040】
第1実施形態では、貫通型積層コンデンサC1は、第1の信号用内部電極20と第1の接地用内部電極30とを含む一つの内部電極群と、第2の信号用内部電極24と第2の接地用内部電極34とを含む一つの内部電極群と、を備えることとなる。そして、第1の信号用内部電極20と第2の信号用内部電極24とは、信号用スルーホール導体29により互いに電気的に接続され、第1の接地用内部電極30と第2の接地用内部電極34とは、接地用スルーホール導体39により互いに電気的に接続される。上述した二つの内部電極群は、コンデンサ素体1内において、第1及び第2の端面4,5の対向方向に併置される。
【0041】
信号用スルーホール導体29と接地用スルーホール導体39とは、第1の側面6と第2の側面7との対向方向で、離れている。各スルーホール導体29,39は、内部電極20,24,30,34と同じく、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(例えば、卑金属であるNi等)からなる。各スルーホール導体29,39は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0042】
図4に示されるように、貫通型積層コンデンサC1では、上述した内部電極群毎に静電容量成分C11,C12が形成される。すなわち、第1の信号用内部電極20の主電極部21と第1の接地用内部電極30の主電極部31とが対向する領域により静電容量成分C11が形成される。また、第2の信号用内部電極24の主電極部25と第2の接地用内部電極34の主電極部35とが対向する領域により静電容量成分C12が形成される。貫通型積層コンデンサC1は、図5に示されるように、第1及び第2の信号用端子電極10,11が信号線ラインSLに接続され、第1及び第2の接地用端子電極12,13がグランドラインGLに接続されることにより、他の部品に実装される。
【0043】
以上のように、第1実施形態では、静電容量成分C11を有するコンデンサと静電容量成分C12を有するコンデンサとが並列接続された回路を実現することができる。
【0044】
第1実施形態では、第1の信号用内部電極20と第2の接地用内部電極34とが、同じ層に位置し、第2の信号用内部電極24と第1の接地用内部電極30とが、同じ層に位置している。これにより、内部電極の層数が少なくなるため、貫通型積層コンデンサC1の低背化を図ることができる。
【0045】
第1実施形態では、第1及び第2の信号用端子電極10,11は、第1の側面6に配置され、第1及び第2の接地用端子電極12,13は、第2の側面7に配置されている。信号用スルーホール導体29は、第2の側面7寄りに位置し、接地用は、第1の側面6寄りに位置している。これにより、信号用スルーホール導体29と接地用スルーホール導体39とが離れて配置されるため、信号用スルーホール導体29と接地用スルーホール導体39との間隔が物理的に十分大きくなる。この結果、上記二つの静電容量成分C11,C12をより一層好適に分離して形成することができる。
【0046】
次に、図6〜図9に基づいて、第1実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサC1について説明する。本変形例に係る貫通型積層コンデンサは、第1及び第2の信号用内部電極20,24並びに第1及び第2の接地用内部電極30,34の形状の点で上述した実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1と異なる。図6及び図8は、第1実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を示す分解斜視図である。図7及び図9は、内部電極の構成を示す図である。
【0047】
図6及び図7に示された変形例では、第1及び第2の信号用内部電極20,24並びに第1及び第2の接地用内部電極30,34の各主電極部21,25,31,35がミアンダ形状を呈している。各主電極部21,25,31,35は、その幅が狭く、線路長が長くなるため、第1及び第2の信号用内部電極20,24並びに第1及び第2の接地用内部電極30,34の電気抵抗が比較的高くなる。この結果、貫通型積層コンデンサのインピーダンスを大きくすることができる。
【0048】
図8及び図9に示された変形例では、第1の信号用内部電極20の主電極部21と第1の接地用内部電極30の主電極部31とが対向する領域と、第2の信号用内部電極24の主電極部25と第2の接地用内部電極34の主電極部35とが対向する領域とは、その面積が異なっている。第1実施形態では、第1の信号用内部電極20の主電極部21と第1の接地用内部電極30の主電極部31とが対向する領域の面積が、第2の信号用内部電極24の主電極部25と第2の接地用内部電極34の主電極部35とが対向する領域の面積より狭い。したがって、上記静電容量成分C11は、静電容量成分C12よりも小さくなる。
【0049】
図10に、第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1、及び、図8及び図9に示された変形例に係る貫通型積層コンデンサそれぞれの周波数(Hz)に関するインピーダンス(Ω)特性を表すグラフを示す。図10に示したグラフの横軸は周波数(Hz)を表し、縦軸はインピーダンス(Ω)を表す。図10の破線で表された特性Z1が第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1に対応し、実線で表された特性Z2が図8及び図9に示された変形例に係る貫通型積層コンデンサに対応する。
【0050】
図10の特性Z1に示されるように、第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1では、コンデンサに形成された2つの静電容量成分が同じ値なので、当該静電容量に対応する自己共振周波数f1にのみインピーダンスが極小となる点を有する。一方、図10の特性Z2に示されるように、図8及び図9に示された変形例に係る貫通型積層コンデンサでは、コンデンサに形成された2つの静電容量成分の値が異なるので、異なる自己共振周波数f1,f2の双方にインピーダンスが極小となる点を有する。このように、図8及び図9に示された変形例に係る貫通型積層コンデンサは、2つの異なる静電容量成分を有しているため、1つの静電容量をもつ場合と比べ、広い周波数帯域にわたってインピーダンスを低くすることができる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、図11〜図12を参照して、第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサの構成について説明する図11は、第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。図12は、第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサの等価回路図である。
【0052】
第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサは、図示を省略するが、第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサC1と同じく、コンデンサ素体1と、第1の信号用端子電極10、第2の信号用端子電極11、第1の接地用端子電極12、及び第2の接地用端子電極13を備えている。
【0053】
第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサは、図11に示されるように、第1の信号用内部電極20、第2の信号用内部電極24、第3の信号用内部電極40、第1の接地用内部電極30、第2の接地用内部電極34、及び第3の接地用内部電極50を備えている。各内部電極20,24,30,34,40,50は、コンデンサ素体1内に配置されている。第3の信号用内部電極40及び第3の接地用内部電極50は、内部電極20,24,30,34と同じく、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(例えば、卑金属であるNi等)からなる。各内部電極20,24,30,34,40,50は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0054】
第1の信号用内部電極20は、主電極部21と、引き出し部22と、接続部23と、を有している。第1の信号用内部電極20は、第1の信号用端子電極10に接続されている。第2の信号用内部電極24は、主電極部25と、引き出し部26と、接続部27と、を有している。第2の信号用内部電極24は、第2の信号用端子電極11に接続されている。
【0055】
第3の信号用内部電極40は、主電極部41と、二つの接続部43a,43bと、を有している。主電極部41と、二つの接続部43a,43bとは、一体的に形成されている。接続部43a,43bは、主電極部41の第2の側面7寄りの部分に位置している。
【0056】
接続部23と接続部43aとは、複数の絶縁体層9の積層方向から見て、少なくとも一部が重なっている。コンデンサ素体1内には、接続部23,43aに対応して、絶縁体層9を厚み方向に貫通する信号用スルーホール導体49aが配置されている。信号用スルーホール導体49aは、第2の側面7寄りに位置しており、コンデンサ素体1内を積層方向に伸びて形成されている。信号用スルーホール導体49aの一端は接続部23に物理的且つ電気的に接続され、信号用スルーホール導体49aの他端は接続部43aに物理的且つ電気的に接続されている。これにより、接続部23と接続部43aとは、信号用スルーホール導体49aにより互いに電気的に接続される。
【0057】
接続部43bと接続部27とは、複数の絶縁体層9の積層方向から見て、少なくとも一部が重なっている。コンデンサ素体1内には、接続部27,43bに対応して、絶縁体層9を厚み方向に貫通する信号用スルーホール導体49bが配置されている。信号用スルーホール導体49bは、第2の側面7寄りに位置しており、コンデンサ素体1内を積層方向に伸びて形成されている。信号用スルーホール導体49bの一端は接続部43bに物理的且つ電気的に接続され、信号用スルーホール導体49bの他端は接続部27に物理的且つ電気的に接続されている。これにより、接続部43bと接続部27とは、信号用スルーホール導体49bにより互いに電気的に接続される。
【0058】
第1の接地用内部電極30は、主電極部31と、引き出し部32と、接続部33と、を有している。第1の接地用内部電極30は、第1の接地用端子電極12に接続されている。第2の接地用内部電極34は、主電極部35と、引き出し部36と、接続部37と、を有している。第2の接地用内部電極34は、第2の接地用端子電極13に接続されている。
【0059】
第3の接地用内部電極50は、主電極部51と、二つの接続部53a,53bと、を有している。主電極部51と、二つの接続部53a,53bとは、一体的に形成されている。接続部53a,53bは、主電極部51の第1の側面6寄りの部分に位置している。
【0060】
接続部33と接続部53aとは、複数の絶縁体層9の積層方向から見て、少なくとも一部が重なっている。コンデンサ素体1内には、接続部33,53aに対応して、絶縁体層9を厚み方向に貫通する接地用スルーホール導体59aが配置されている。接地用スルーホール導体59aは、第1の側面6寄りに位置しており、コンデンサ素体1内を積層方向に伸びて形成されている。接地用スルーホール導体59aの一端は接続部33に物理的且つ電気的に接続され、接地用スルーホール導体59aの他端は接続部53aに物理的且つ電気的に接続されている。これにより、接続部33と接続部53aとは、接地用スルーホール導体59aにより互いに電気的に接続される。
【0061】
接続部53bと接続部37とは、複数の絶縁体層9の積層方向から見て、少なくとも一部が重なっている。コンデンサ素体1内には、接続部37,53bに対応して、絶縁体層9を厚み方向に貫通する接地用スルーホール導体59bが配置されている。接地用スルーホール導体59bは、第1の側面6寄りに位置しており、コンデンサ素体1内を積層方向に伸びて形成されている。接地用スルーホール導体59bの一端は接続部53bに物理的且つ電気的に接続され、接地用スルーホール導体59bの他端は接続部37に物理的且つ電気的に接続されている。これにより、接続部53bと接続部37とは、接地用スルーホール導体59bにより互いに電気的に接続される。
【0062】
第1〜第3の信号用内部電極20,24,40は、信号用スルーホール導体49a,49bを通して、互いに電気的に接続されている。第1〜第3の接地用内部電極30,34,50は、接地用スルーホール導体59a,59bを通して、互いに電気的に接続されている。信号用スルーホール導体49a,49bと接地用スルーホール導体59a,59bとは、第1の側面6と第2の側面7との対向方向で、離れている。各スルーホール導体49a,49b,59a,59bは、各スルーホール導体29,39と同じく、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(例えば、卑金属であるNi等)からなる。各スルーホール導体49a,49b,59a,59bは、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0063】
第3の信号用内部電極40の主電極部41と、第3の接地用内部電極50の主電極部51とは、コンデンサ素体1の一部である少なくとも一つの絶縁体層9を挟んで絶縁体層9の積層方向に互いに対向する領域を含んでいる。すなわち、第3の信号用内部電極40と、第3の接地用内部電極50とは、コンデンサ素体1の一部を挟んで絶縁体層9の積層方向に互いに対向する領域を有している。したがって、絶縁体層9のうち、第3の信号用内部電極40の主電極部41と第3の接地用内部電極50の主電極部51とに重なる部分も、一つの静電容量成分を実質的に生じさせる領域である。
【0064】
第1の信号用内部電極20と、第3の接地用内部電極50と、第2の信号用内部電極24とは、同じ層に位置している。各内部電極20,24,50は、第1の端面4から第2の端面5に向う方向で、第1の信号用内部電極20、第3の接地用内部電極50、第2の信号用内部電極24の順で、それぞれ所定の間隔を有して配置されている。
【0065】
第1の接地用内部電極30と、第3の信号用内部電極40と、第2の接地用内部電極34とは、同じ層に位置している。各内部電極30,34,40は、第1の端面4から第2の端面5に向う方向で、第1の接地用内部電極30、第3の信号用内部電極40、第2の接地用内部電極34の順で、それぞれ所定の間隔を有して配置されている。
【0066】
第1の信号用内部電極20と、第2及び第3の接地用内部電極34,50とは、絶縁体層9の積層方向に対向していない。これにより、第1の信号用内部電極20と第2及び第3の接地用内部電極34,50との間で、静電容量成分が実質的に生じることはない。
【0067】
第2の信号用内部電極24と、第1及び第3の接地用内部電極30,50とは、絶縁体層9の積層方向に対向していない。これにより、第2の信号用内部電極24と第1及び第3の接地用内部電極30,50との間で、静電容量成分が実質的に生じることはない。
【0068】
第3の信号用内部電極40と、第1及び第2の接地用内部電極30,34とは、絶縁体層9の積層方向に対向していない。これにより、第2の信号用内部電極24と第1及び第2の接地用内部電極30,34との間で、静電容量成分が実質的に生じることはない。
【0069】
第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサは、第1の信号用内部電極20と第1の接地用内部電極30とを含む一つの内部電極群と、第2の信号用内部電極24と第2の接地用内部電極34とを含む一つの内部電極群と、第3の信号用内部電極40と第3の接地用内部電極50とを含む一つの内部電極群と、を備えることとなる。第1の信号用内部電極20と第2の信号用内部電極24と第3の信号用内部電極40との電気的な接続は、信号用スルーホール導体49a,49bにより成され、第1の接地用内部電極30と第2の接地用内部電極34と第3の接地用内部電極50との電気的な接続は、接地用スルーホール導体59a,59bにより成されている。上述した三つの内部電極群は、コンデンサ素体1内において、第1及び第2の端面4,5の対向方向に併置される。
【0070】
図12に示されるように、第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサでは、上述した内部電極群毎に静電容量成分C11,C12,C13が形成される。すなわち、第1の信号用内部電極20の主電極部21と第1の接地用内部電極30の主電極部31とが対向する領域により静電容量成分C11が形成される。第2の信号用内部電極24の主電極部25と第2の接地用内部電極34の主電極部35とが対向する領域により静電容量成分C12が形成される。第3の信号用内部電極40の主電極部41と第3の接地用内部電極50の主電極部51とが対向する領域により静電容量成分C13が形成される。
【0071】
以上のように、第2実施形態にあっても、静電容量成分C11を有するコンデンサと静電容量成分C12を有するコンデンサと静電容量成分C13を有するコンデンサとが並列接続された回路を実現することができる。
【0072】
次に、図13に基づいて、第2実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサについて説明する。本変形例に係る貫通型積層コンデンサは、各信号用内部電極20,24,40間の電気的な接続の形態及び各接地用内部電極30,34,50間の電気的な接続の形態の点で上述した第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサと異なる。図13は、第2実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を示す分解斜視図である。
【0073】
第1の信号用内部電極20の接続部23と第2の信号用内部電極24の接続部27とは、一体的に形成されている。接続部23,27は、主電極部21と主電極部25とを連結する連結導体として機能する。主電極部21と主電極部25とは、接続部23,27を通して電気的に接続されている。
【0074】
第3の信号用内部電極40は、主電極部41と、接続部43cと、を有している。主電極部41と、接続部43cとは、一体的に形成されている。接続部43cは、主電極部41の第2の側面7寄りの部分に位置している。
【0075】
接続部23,27と接続部43cとは、複数の絶縁体層9の積層方向から見て、少なくとも一部が重なっている。コンデンサ素体1内には、接続部23,27,43cに対応して、絶縁体層9を厚み方向に貫通する信号用スルーホール導体49cが配置されている。信号用スルーホール導体49cは、第2の側面7寄りに位置しており、コンデンサ素体1内を積層方向に伸びて形成されている。信号用スルーホール導体49cの一端は接続部23,27に物理的且つ電気的に接続され、信号用スルーホール導体49cの他端は接続部43cに物理的且つ電気的に接続されている。これにより、接続部23,27と接続部43cとは、信号用スルーホール導体49cにより互いに電気的に接続される。
【0076】
第1の接地用内部電極30の接続部33と第2の接地用内部電極34の接続部37とは、一体的に形成されている。接続部33,37は、主電極部31と主電極部35とを連結する連結導体として機能する。主電極部31と主電極部35とは、接続部33,37を通して電気的に接続されている。
【0077】
第3の接地用内部電極50は、主電極部51と、接続部53cと、を有している。主電極部51と、接続部53cとは、一体的に形成されている。接続部53cは、主電極部51の第1の側面6寄りの部分に位置している。
【0078】
接続部33,37と接続部53cとは、複数の絶縁体層9の積層方向から見て、少なくとも一部が重なっている。コンデンサ素体1内には、接続部33,37,53cに対応して、絶縁体層9を厚み方向に貫通する接地用スルーホール導体59cが配置されている。接地用スルーホール導体59cは、第1の側面6寄りに位置しており、コンデンサ素体1内を積層方向に伸びて形成されている。接地用スルーホール導体59cの一端は接続部53cに物理的且つ電気的に接続され、接地用スルーホール導体59cの他端は接続部33,37に物理的且つ電気的に接続されている。これにより、接続部33,37と接続部53cとは、接地用スルーホール導体59cにより互いに電気的に接続される。
【0079】
信号用スルーホール導体49cと接地用スルーホール導体59cとは、第1の側面6と第2の側面7との対向方向で、離れている。各スルーホール導体49c,59cも、各スルーホール導体29,39と同じく、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(例えば、卑金属であるNi等)からなる。各スルーホール導体49c,59cは、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0080】
第1の信号用内部電極20と第2の信号用内部電極24との電気的な接続は、接続部23,27により成されている。第1の信号用内部電極20と第3の信号用内部電極40との電気的な接続、及び、第2の信号用内部電極24と第3の信号用内部電極40との電気的な接続は、信号用スルーホール導体49cにより成されている。第1の接地用内部電極30と第2の接地用内部電極34との電気的な接続は、接続部33,37により成されている。第1の接地用内部電極30と第3の接地用内部電極50との電気的な接続、及び、第2の接地用内部電極34と第3の接地用内部電極50との電気的な接続は、接地用スルーホール導体59cにより成されている。
【0081】
図14に示されるように、図13に示された変形例に係る貫通型積層コンデンサにおいても、上述した内部電極群毎に静電容量成分C11,C12,C13が形成される。
【0082】
以上のように、本変形例にあっても、静電容量成分C11を有するコンデンサと静電容量成分C12を有するコンデンサと静電容量成分C13を有するコンデンサとが並列接続された回路を実現することができる。
【0083】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0084】
コンデンサ素体1に含まれる絶縁体層9の積層数及び各内部電極20,24,30,34,40,50の積層数は、上述した実施形態及び変形例にて示された数に限られない。内部電極群の数も、上述した実施形態に記載された数に限られない。
【0085】
各内部電極20,24,30,34,40,50の形状は、上述した実施形態及び変形例に示された形状に限られない。したがって、第2実施形態において、各内部電極20,24,30,34,40,50の形状をミアンダ形状としてもよく、また、信号用内部電極20,24,40の主電極部21,25,41と接地用内部電極30,34,50の主電極部31,35,51とが対向する各領域の面積が異なっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサの斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
【図3】内部電極の構成を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサの等価回路図である。
【図5】第1実施形態に係る貫通型積層コンデンサを他の部品に実装した状態を示す図である。
【図6】第1実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を示す分解斜視図である。
【図7】内部電極の構成を示す図である。
【図8】第1実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体を示す分解斜視図である。
【図9】内部電極の構成を示す図である。
【図10】第1実施形態及び当該第1実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサのインピーダンスの周波数特性を示す線図である。
【図11】第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
【図12】第2実施形態に係る貫通型積層コンデンサの等価回路図である。
【図13】第2実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
【図14】第2実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサの等価回路図である。
【符号の説明】
【0087】
1…コンデンサ素体、2…第1の主面、3…第2の主面、4…第1の端面、5…第2の端面、6…第1の側面、7…第2の側面、9…絶縁体層、10…第1の信号用端子電極、11…第2の信号用端子電極、12…第1の接地用端子電極、13…第2の接地用端子電極、20…第1の信号用内部電極、21…主電極部、22…引き出し部、23…接続部、24…第2の信号用内部電極、25…主電極部、26…引き出し部、27…接続部、29…信号用スルーホール導体、30…第1の接地用内部電極、31…主電極部、32…引き出し部、33…接続部、34…第2の接地用内部電極、35…主電極部、36…引き出し部、37…接続部、39…接地用スルーホール導体、40…第3の信号用内部電極、41…主電極部、43a,43b,43c…接続部、49a,49b,49c…信号用スルーホール導体、50…第3の接地用内部電極、51…主電極部、53a,53b,53c…接続部、59a,59b,59c…接地用スルーホール導体、C1…貫通型積層コンデンサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電特性を有するコンデンサ素体と、
前記コンデンサ素体内に配置された、第1及び第2の信号用内部電極並びに第1及び第2の接地用内部電極と、
前記コンデンサ素体の外表面に配置された、第1及び第2の信号用端子電極並びに第1及び第2の接地用端子電極と、を備えており、
前記第1の信号用内部電極は、前記第1の信号用端子電極に接続され、
前記第2の信号用内部電極は、前記第2の信号用端子電極に接続され、
前記第1の接地用内部電極は、前記第1の接地用端子電極に接続され、
前記第2の接地用内部電極は、前記第2の接地用端子電極に接続され、
前記第1の信号用内部電極と前記第1の接地用内部電極とは、前記コンデンサ素体の少なくとも一部を挟んで対向する領域を有し、
前記第2の信号用内部電極と前記第2の接地用内部電極とは、前記コンデンサ素体の少なくとも一部を挟んで対向する領域を有し、
前記第1の信号用内部電極と前記第2の接地用内部電極とは、互いに対向せず、
前記第2の信号用内部電極と前記第1の接地用内部電極とは、互いに対向せず、
前記第1の信号用内部電極と前記第2の信号用内部電極とは、前記コンデンサ素体内に配置された信号用スルーホール導体を通して接続され、
前記第1の接地用内部電極と前記第2の接地用内部電極とは、前記コンデンサ素体内に配置された接地用スルーホール導体を通して接続されていることを特徴とする貫通型積層コンデンサ。
【請求項2】
前記第1の信号用内部電極と前記第2の接地用内部電極とが、同じ層に位置し、
前記第2の信号用内部電極と前記第1の接地用内部電極とが、同じ層に位置していることを特徴とする請求項1に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項3】
前記第1及び第2の信号用内部電極並びに前記第1及び第2の接地用内部電極が、ミアンダ形状を呈していることを特徴とする請求項1又は2に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項4】
前記第1の信号用内部電極と前記第1の接地用内部電極とが対向する前記領域と、前記第2の信号用内部電極と前記第2の接地用内部電極とが対向する前記領域とは、面積が異なっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項5】
前記コンデンサ素体は、相対向する長方形状の第1及び第2の主面と、前記第1及び第2の主面間を連結するように前記第1及び第2の主面の短辺方向に伸びている第1及び第2の端面と、前記第1及び第2の主面間を連結するように前記第1及び第2の主面の長辺方向に伸びている第1及び第2の側面と、を有しており、
前記第1及び第2の信号用端子電極は、前記第1の側面に配置され、
前記第1及び第2の接地用端子電極は、前記第2の側面に配置され、
前記信号用スルーホール導体は、前記第2の側面寄りに位置し、
前記接地用スルーホール導体は、前記第1の側面寄りに位置していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項6】
前記第1の信号用内部電極は、前記第1の接地用内部電極と対向する前記領域を含む主電極部と、該主電極部から伸びると共に前記第1の信号用端子電極に接続される引き出し部と、前記信号用スルーホール導体に接続される接続部と、を有し、
前記第2の信号用内部電極は、前記第2の接地用内部電極と対向する前記領域を含む主電極部と、該主電極部から伸びると共に前記第2の信号用端子電極に接続される引き出し部と、前記信号用スルーホール導体に接続される接続部と、を有し、
前記第1の接地用内部電極は、前記第1の信号用内部電極と対向する前記領域を含む主電極部と、該主電極部から伸びると共に前記第1の接地用端子電極に接続される引き出し部と、前記接地用スルーホール導体に接続される接続部と、を有し、
前記第2の接地用内部電極は、前記第2の信号用内部電極と対向する前記領域を含む主電極部と、該主電極部から伸びると共に前記第2の接地用端子電極に接続される引き出し部と、前記接地用スルーホール導体に接続される接続部と、を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項7】
誘電特性を有するコンデンサ素体と、
前記コンデンサ素体の少なくとも一部を挟んで対向する領域を有するように前記コンデンサ素体内に配置された信号用内部電極と接地用内部電極とをそれぞれ含む複数の内部電極群と、
前記コンデンサ素体の外表面に配置された、第1及び第2の信号用端子電極並びに第1及び第2の接地用端子電極と、
前記複数の内部電極群それぞれに含まれる前記各信号用内部電極は互いに電気的に接続されており、前記各信号用内部電極間の電気的な接続うち少なくとも一つの電気的な接続が、前記コンデンサ素体内に配置された信号用スルーホール導体により成され、
前記複数の内部電極群それぞれに含まれる前記各接地用内部電極は、互いに電気的に接続されており、前記各接地用内部電極間の電気的な接続うち少なくとも一つの電気的な接続が、前記コンデンサ素体内に配置された接地用スルーホール導体により成され、
前記複数の内部電極群それぞれに含まれる前記各信号用内部電極のうち一つの信号用内部電極が前記第1の信号用端子電極に接続され、前記複数の内部電極群それぞれに含まれる前記各信号用内部電極のうち前記一つの信号用内部電極を除くいずれか一つの信号用内部電極が前記第2の信号用端子電極に接続され、
前記複数の内部電極群それぞれに含まれる前記各接地用内部電極のうち一つの接地用内部電極が前記第1の接地用端子電極に接続され、前記複数の内部電極群それぞれに含まれる前記各接地用内部電極のうち前記一つの接地用内部電極を除くいずれか一つの接地用内部電極が前記第2の接地用端子電極に接続され、
前記複数の内部電極群のうち、それぞれ異なる内部電極群に含まれる信号用内部電極と接地用内部電極とは、互いに対向していないことを特徴とする貫通型積層コンデンサ。
【請求項8】
前記各信号用内部電極間の電気的な接続の全てが、前記コンデンサ素体内に配置された信号用スルーホール導体により成され、
前記各接地用内部電極間の電気的な接続の全てが、前記コンデンサ素体内に配置された接地用スルーホール導体により成されていることを特徴とする請求項7に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項1】
誘電特性を有するコンデンサ素体と、
前記コンデンサ素体内に配置された、第1及び第2の信号用内部電極並びに第1及び第2の接地用内部電極と、
前記コンデンサ素体の外表面に配置された、第1及び第2の信号用端子電極並びに第1及び第2の接地用端子電極と、を備えており、
前記第1の信号用内部電極は、前記第1の信号用端子電極に接続され、
前記第2の信号用内部電極は、前記第2の信号用端子電極に接続され、
前記第1の接地用内部電極は、前記第1の接地用端子電極に接続され、
前記第2の接地用内部電極は、前記第2の接地用端子電極に接続され、
前記第1の信号用内部電極と前記第1の接地用内部電極とは、前記コンデンサ素体の少なくとも一部を挟んで対向する領域を有し、
前記第2の信号用内部電極と前記第2の接地用内部電極とは、前記コンデンサ素体の少なくとも一部を挟んで対向する領域を有し、
前記第1の信号用内部電極と前記第2の接地用内部電極とは、互いに対向せず、
前記第2の信号用内部電極と前記第1の接地用内部電極とは、互いに対向せず、
前記第1の信号用内部電極と前記第2の信号用内部電極とは、前記コンデンサ素体内に配置された信号用スルーホール導体を通して接続され、
前記第1の接地用内部電極と前記第2の接地用内部電極とは、前記コンデンサ素体内に配置された接地用スルーホール導体を通して接続されていることを特徴とする貫通型積層コンデンサ。
【請求項2】
前記第1の信号用内部電極と前記第2の接地用内部電極とが、同じ層に位置し、
前記第2の信号用内部電極と前記第1の接地用内部電極とが、同じ層に位置していることを特徴とする請求項1に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項3】
前記第1及び第2の信号用内部電極並びに前記第1及び第2の接地用内部電極が、ミアンダ形状を呈していることを特徴とする請求項1又は2に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項4】
前記第1の信号用内部電極と前記第1の接地用内部電極とが対向する前記領域と、前記第2の信号用内部電極と前記第2の接地用内部電極とが対向する前記領域とは、面積が異なっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項5】
前記コンデンサ素体は、相対向する長方形状の第1及び第2の主面と、前記第1及び第2の主面間を連結するように前記第1及び第2の主面の短辺方向に伸びている第1及び第2の端面と、前記第1及び第2の主面間を連結するように前記第1及び第2の主面の長辺方向に伸びている第1及び第2の側面と、を有しており、
前記第1及び第2の信号用端子電極は、前記第1の側面に配置され、
前記第1及び第2の接地用端子電極は、前記第2の側面に配置され、
前記信号用スルーホール導体は、前記第2の側面寄りに位置し、
前記接地用スルーホール導体は、前記第1の側面寄りに位置していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項6】
前記第1の信号用内部電極は、前記第1の接地用内部電極と対向する前記領域を含む主電極部と、該主電極部から伸びると共に前記第1の信号用端子電極に接続される引き出し部と、前記信号用スルーホール導体に接続される接続部と、を有し、
前記第2の信号用内部電極は、前記第2の接地用内部電極と対向する前記領域を含む主電極部と、該主電極部から伸びると共に前記第2の信号用端子電極に接続される引き出し部と、前記信号用スルーホール導体に接続される接続部と、を有し、
前記第1の接地用内部電極は、前記第1の信号用内部電極と対向する前記領域を含む主電極部と、該主電極部から伸びると共に前記第1の接地用端子電極に接続される引き出し部と、前記接地用スルーホール導体に接続される接続部と、を有し、
前記第2の接地用内部電極は、前記第2の信号用内部電極と対向する前記領域を含む主電極部と、該主電極部から伸びると共に前記第2の接地用端子電極に接続される引き出し部と、前記接地用スルーホール導体に接続される接続部と、を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の貫通型積層コンデンサ。
【請求項7】
誘電特性を有するコンデンサ素体と、
前記コンデンサ素体の少なくとも一部を挟んで対向する領域を有するように前記コンデンサ素体内に配置された信号用内部電極と接地用内部電極とをそれぞれ含む複数の内部電極群と、
前記コンデンサ素体の外表面に配置された、第1及び第2の信号用端子電極並びに第1及び第2の接地用端子電極と、
前記複数の内部電極群それぞれに含まれる前記各信号用内部電極は互いに電気的に接続されており、前記各信号用内部電極間の電気的な接続うち少なくとも一つの電気的な接続が、前記コンデンサ素体内に配置された信号用スルーホール導体により成され、
前記複数の内部電極群それぞれに含まれる前記各接地用内部電極は、互いに電気的に接続されており、前記各接地用内部電極間の電気的な接続うち少なくとも一つの電気的な接続が、前記コンデンサ素体内に配置された接地用スルーホール導体により成され、
前記複数の内部電極群それぞれに含まれる前記各信号用内部電極のうち一つの信号用内部電極が前記第1の信号用端子電極に接続され、前記複数の内部電極群それぞれに含まれる前記各信号用内部電極のうち前記一つの信号用内部電極を除くいずれか一つの信号用内部電極が前記第2の信号用端子電極に接続され、
前記複数の内部電極群それぞれに含まれる前記各接地用内部電極のうち一つの接地用内部電極が前記第1の接地用端子電極に接続され、前記複数の内部電極群それぞれに含まれる前記各接地用内部電極のうち前記一つの接地用内部電極を除くいずれか一つの接地用内部電極が前記第2の接地用端子電極に接続され、
前記複数の内部電極群のうち、それぞれ異なる内部電極群に含まれる信号用内部電極と接地用内部電極とは、互いに対向していないことを特徴とする貫通型積層コンデンサ。
【請求項8】
前記各信号用内部電極間の電気的な接続の全てが、前記コンデンサ素体内に配置された信号用スルーホール導体により成され、
前記各接地用内部電極間の電気的な接続の全てが、前記コンデンサ素体内に配置された接地用スルーホール導体により成されていることを特徴とする請求項7に記載の貫通型積層コンデンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−33044(P2009−33044A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197837(P2007−197837)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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