説明

賦形シートの製造方法及び賦形シート

【課題】粒状物を用いなくても表面に凹凸を形成できる賦形シートの製造方法を提供する。
【解決手段】
基材上に電離放射線硬化樹脂を塗布して電離放射線硬化樹脂層を形成する(S1)。続いて、電離放射線硬化樹脂が形成された面と反対側の基材面に複数の開口部を有するマスクを敷設し、マスク側から電離放射線を照射する(S2)。このとき、電離放射線硬化樹脂層のうち、マスク開口部に対応する部分が硬化する。マスクを除いた後、電離放射線硬化樹脂側から電離放射線を照射する(S3)。このとき、電離放射線硬化樹脂の未硬化部分が硬化し、表面に凹凸が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、賦形シートの製造方法に関し、さらに詳しくは、ニュートンリングの発生を抑制する賦形シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやタッチパネルでは、ニュートンリングの抑制が求められる。これらの機器では、拡散シートやプリズムシート、導光板といった複数の光学シートが積層されるが、積層された光学シートの間に所定の間隔で空気層が介在することにより、ニュートンリングが発生する。
【0003】
このようなニュートンリングの発生を抑制するアンチニュートンリング性フィルムが特開平11−227088号公報に開示されている。この文献に開示されたアンチニュートンリング性フィルムは、透明支持体上に、透明な粒状物を含有する電離放射線硬化樹脂層を備える。電離放射線硬化樹脂層内の粒状物が部分的に表面に突出することにより、電離放射線硬化樹脂層の表面には凹凸が形成される。この凹凸により、反射光の干渉を抑え、ニュートンリングの発生を抑制できるとしている。
【0004】
しかしながら、上述の文献では、電離放射線硬化樹脂層の表面に凹凸を形成するために透明な樹脂粒子を含有する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−227088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、粒状物を用いなくても表面に凹凸を形成できる賦形シートの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明による賦形シートの製造方法は、基材を準備する工程と、基材の主面上に未硬化の電離放射線硬化樹脂層を形成する工程と、複数の開口部を有するマスクを介して電離放射線硬化樹脂層に電離放射線を照射する第1の露光工程と、マスクを除いた後、電離放射線硬化樹脂層に電離放射線を照射する第2の露光工程とを備える。
【0008】
本発明による賦形シートの製造方法では、第1の露光工程で電離放射線硬化樹脂層を部分的に硬化し、第2の露光工程で電離放射線硬化樹脂層の未硬化部分をさらに硬化する。これにより、樹脂粒子を用いなくても表面に凹凸が形成された賦形シートを製造することができる。
【0009】
好ましくは、第1の露光工程では、マスクを基材の主面と反対側の裏面上に配置し、基材の裏面側から電離放射線を照射する。
【0010】
この場合、第1の露光工程時に、マスクが未硬化の電離放射線硬化樹脂層に接触するのを防止できる。
【0011】
好ましくは、第2の露光工程では、電離放射線硬化樹脂層側から電離放射線を照射する。
【0012】
この場合、電離放射線が基材を介することなく電離放射線硬化樹脂に照射される。そのため、電離放射線は、電離放射線硬化樹脂層に届く前に基材で吸収されることはなく、電離放射線を効率的に利用できる。
【0013】
本発明による賦形シートは、上述の製造方法により製造される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態による賦形シートの断面図である。
【図2】図1に示した賦形シートの製造工程を示すフロー図である。
【図3】図2中のステップS1で形成された基材及び電離放射線硬化樹脂層の断面図である。
【図4】図2中のステップS2で使用するマスクの上面図である。
【図5】図2中のステップS2における基材及び電離放射線硬化樹脂層と、マスクとの配置関係を示す図である。
【図6】図5と異なる、基材及び電離放射線硬化樹脂層と、マスクとの配置関係を示す図である。
【図7】図2中のステップS3における基材及び電離放射線硬化樹脂と、電離放射線の照射方向との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0016】
[賦形シートの構成]
図1を参照して、賦形シート1は、基材10と、基材10上に形成された賦形層20とを備える。
【0017】
基材10は、シート状又はフィルム状であり、可視光に対して透明である。基材10は主面11と、主面11と反対側の裏面12とを有する。主面11と裏面12とは、実質的に平面であるのが好ましいが、主面11及び/又は裏面12が凹凸を有する構造化された面であってもよい。
【0018】
基材10は、たとえば、ガラスや樹脂である。樹脂はたとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、アクリル、ポリ塩化ビニル等である。好ましくは、基材10は、二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートである。二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートは、強度等の機械的特性と、形状安定性とに優れるからである。
【0019】
賦形層20は、主面11上に形成される。賦形層20の表面21は凹凸を有する。賦形層20を上方から見ると、表面21の複数の凸部分は格子状又はマトリックス状に配列されている。なお、複数の凸部分の配列は不規則であってもよい。
【0020】
表面21に形成された凹凸により、ニュートンリングの発生が抑制される。一例として、賦形シート1上に透明で表面が平滑な光学シート(たとえばPETフィルム)が敷設された場合を想定する。このとき、光学シート側から入射した光のうちの一部は光学シートの下面で反射する。また、光学シート側から入射した光のうちの他の一部は、光学シートの下面を透過し、賦形シート1の表面21で反射する。この場合、表面21に凹凸が形成されていなければ、光学シートの下面で反射した光と表面21で反射した光とが干渉してニュートンリングが発生し得る。しかしながら、賦形シート1の表面21は凹凸を有するため、表面21入射した光は光学シートの下面で反射した光と異なる方向に反射する。その結果、光学シートの下面で反射した光と表面21で反射した光とが干渉しにくく、ニュートンリングの発生を抑制できる。
【0021】
賦形層20は、電離放射線硬化樹脂を硬化して形成される。電離放射線硬化樹脂とは、紫外線や電子線等の電離放射線により硬化する樹脂である。電離放射線硬化樹脂は、ラジカル硬化系組成物であってもよいし、カチオン硬化系組成物であってもよい。
【0022】
ラジカル硬化系組成物は、電離放射線硬化モノマー及び/又は電離放射線硬化オリゴマーと開始剤とを含有する。電離放射線硬化モノマーはたとえば、単官能モノマー及び/又は多官能モノマーである。単官能モノマーはたとえば、アクリレート系モノマーやビニル系モノマーである。ビニル系モノマーはたとえば、ビニルピロリドン、ビニルホルムアミド等である。アクリレート系モノマーはたとえば、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、(メタ)ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の窒素含有(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族系(メタ)アクリレート等である。
【0023】
多官能モノマーはたとえば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等である。また、3官能以上の多官能モノマーはたとえば、共栄社化学社製の商品名AH−600、UA−306Hや、新中村化学社製の商品名NKオリゴU−6HA、U−15HA等である。
【0024】
重合開始剤は、電離放射線の種類に応じて適宜選択される。重合開始剤はたとえば、ベンジル、ジアセチル等のα−ジケトン類、ベンゾイン等のアシロイン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸等のチオキサントン類、ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、アセトフェノン、2−(4−トルエンスルホニルオキシ)−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α'−ジメトキシアセトキシベンゾフェノン、2,2'−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン類、アントラキノン、1,4−ナフトキノン等のキノン類、フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン、トリス(トリハロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン化合物、アシルホスフィンオキシド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物等である。これらの重合開始剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0025】
カチオン硬化系組成物は、エポキシ系やオキセタン系、ビニルエーテル系の化合物と、重合開始剤とを含有する。重合開始剤は、公知の光酸発生剤を用いることができる。
【0026】
[製造方法]
賦形シート1は、電離放射線による露光を2回行うことにより製造される。以下、賦形シート1の製造方法の詳細を説明する。
【0027】
図2に本実施の形態による賦形シートの製造工程を示す。初めに、基材10を準備する。そして、準備された基材10の主面11に上述の電離放射線硬化樹脂を塗布し、図3に示すように基材10上に電離放射線硬化樹脂層25を形成する(S1)。電離放射線硬化樹脂は、公知のコーティング方法で主面11に塗布される。供給装置としてはダイコータやアプリケータ等が用いられる。
【0028】
電離放射線硬化樹脂層25を形成後、マスクを用いて1回目の露光を実行する。(第1露光工程:S2)。図4にマスク30の上面図を示し、図5にマスク30の断面図を示す。マスク30は透明なガラスや樹脂フィルム等からなる基板33と、基板33上に形成され、クロムやエマルジョン等からなる開口パターン部32とを備える。開口パターン部32には複数の開口部31が形成されている。つまり、マスク30は複数の開口部31を有する。図4では、複数の開口部31は、六方最密格子状に配列されているが、行列状に配列されてもよいし、不規則な配列であってもよい。また、図4では、開口部31の形状を円形状としたが、開口部31の形状は円形状以外の形状であってもよい。たとえば、矩形状や多角形状であってもよいし、楕円形状であってもよい。
【0029】
第1露光工程では、図5に示すように、マスク30を基材10の裏面12側に配置し、裏面12側から電離放射線硬化樹脂層25に向かって平行光(電離放射線)を照射し、マスク30を介して電離放射線硬化樹脂層25を硬化する。このとき、電離放射線硬化樹脂層25のうち、開口部31上に位置する部分(以下、露光部という)251が平行光を受けて硬化する。マスク30の開口部31が図4に示すように円形状であれば、露光部251の形状は円柱状になる。一方、電離放射線硬化樹脂層25のうち、マスク30により平行光が遮蔽された部分(以下、遮蔽部という)252は硬化しない。要するに、第1露光工程では、電離放射線硬化樹脂25のうち、マスク30の開口部31に対応する部分を硬化させる。図5では、マスク30が基材10の裏面12に敷設されているが、マスク30を基材10から所定の距離だけ離して配置してもよい。また、マスク30を基材10上に敷設するとき、マスク30と基材10との接触により基材10にキズが発生するのを抑制するために、裏面12に図示しない保護シートを敷設してもよい。
【0030】
なお、第1露光工程では、図6に示すように、マスク30を電離放射線硬化樹脂層25上に、電離放射線硬化樹脂層25と所定距離だけ離して配置してもよい。この場合であっても、マスク30と電離放射線硬化樹脂層25との距離を所定の範囲内に制御することで、露光部251を硬化することができる。
【0031】
マスク30を用いた露光を完了した後、マスク30を除く。そして、図7に示すように電離放射線硬化樹脂層25に対して2回目の露光を実行する。(第2露光工程:S3)。この露光により、未硬化状態の遮蔽部252が硬化して賦形層20が形成され、賦形シート1が製造される。このとき、遮蔽部252の硬化収縮に起因して、賦形層20の表面21に凹凸が形成される。
【0032】
上述のとおり、本実施の形成による賦形シートの製造方法では、2段階の露光(第1及び第2露光工程)を行うことで、透明な粒状物を用いなくても、賦形シート1の表面21に凹凸を形成することができる。露光部251を先に硬化させ、その後、遮蔽部252を硬化することにより凹凸が形成される理由については定かではないが、露光部251の硬化時期と遮蔽部252の硬化時期とが異なることが、硬化部分と未硬化部分の界面における硬化収縮の度合いに影響を与え、その結果、凹凸が形成されると推定される。
【0033】
図1を参照して、製造された賦形シート1の賦形層20の凹凸差ΔH、つまり、凸部の頂上C21と、凹部の底B21との高さの差は、好ましくは、1μm以上である。凹凸差ΔHが1μm未満の場合、可視光領域での干渉縞が見えることが考えられ、ニュートンリングの発生を抑制しにくい。一方、凹凸差ΔHの上限は特に限定されないが、好ましくは10μm以下である。ただし、10μmを越えても、ニュートンリングの発生を抑制できる。第1露光工程(S2)における電離放射線の積算光量や電離放射線硬化樹脂の組成を調整することで、凹凸差ΔHを上述の範囲に調整することができる。
【0034】
第1露光工程(S2)では、マスク30の配置は、図5及び図6の2種類存在するが、図5のようにマスク30を基材10上に配置するのが好ましい。図6のようにマスク30を電離放射線硬化樹脂層25上に配置する場合、マスク30が電離放射線硬化樹脂層25に近すぎれば、電離放射線硬化樹脂層25に接触して未硬化の電離放射線硬化樹脂がマスク30に付着する可能性がある。したがって、図6の配置を採用する場合、マスク30が電離放射線硬化樹脂層25と接触しないように、電離放射線硬化樹脂層25と適切な距離を保つようマスク30の配置を制御する必要がある。図5のように基材10上にマスク30を配置すれば、マスク30が電離放射線硬化樹脂層25と接触するのを防止できる。
【0035】
なお、基材10の厚さが300μm以下であれば、図5の配置によりマスク30及び基材10を介して電離放射線を電離放射線硬化樹脂層25に照射したとき、マスク30上の開口パターン像のぼやけは発生しにくく、遮蔽部252が露光されるのをさらに抑制できる。
【0036】
また、上述の第2露光工程(S3)では、図7に示すとおり、電離放射線硬化樹脂層25側から電離放射線の平行光を照射したが、基材10側から電離放射線硬化樹脂層25に向かって平行光を照射してもよい。ただしこの場合、電離放射線が基材10を通過するため、電離放射線が基材10である程度吸収され、照射効率が低下する。したがって、図7に示すように、平行光を電離放射線硬化樹脂層25側から照射するのが好ましい。
【実施例】
【0037】
表1に示すとおり、種々の製造条件でシート番号1〜5の賦形シートを製造し、各賦形シートのアンチニュートンリング性について調査した。
【表1】

シート番号1の賦形シートは以下の方法で製造した。基材として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを準備した。紫外線硬化樹脂をアプリケータによりPETフィルム上に均一に塗布し、紫外線硬化樹脂層を形成した。形成された紫外線硬化樹脂層の厚さは20μmであった。紫外線硬化樹脂には、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学製)を重量%で80%、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学製)を15%、開始材であるイルガキュア907(チバガイギー社製)を5%含有したものを使用した。
【0038】
続いて、複数の開口部が図4のように配置された開口パターンを有するマスクを準備した。開口部の直径D31(図4参照)は60μmであり、隣り合う開口部の中心間距離P31(図4参照)は200μmであった。
【0039】
準備したマスクを図5に示すようにPETフィルム上に敷設した後、マスク側から紫外線硬化樹脂層に向けて紫外線の平行光を照射して紫外線硬化樹脂層を硬化した。このときの積算光量は表1に示すとおり435mJ/cmであった。続いて、マスクを外して、図7に示すように、紫外線硬化樹脂側から400mW/cmの紫外線照射を行い、紫外線硬化樹脂層中の未硬化部分を硬化して賦形シートを製造した。製造した賦形シートの表面には凹凸が形成されており、その凹凸差ΔHは表1に示すとおり1μmであった。また、図1を参照して、賦形シートの各凸部のうち、頂上C21との高低差ΔTが0.1μm以下の表面領域(第1露光工程で硬化された円柱状の露光部の上底面に相当、以下、上底面という)を特定した。そして、賦形シートを真上から見たときの50個の凸部の上底面の直径D21を測定し、その平均値D21aveを求めた。求めた平均値D21aveを表1に示す。平均値D31aveは60μmであり、マスクの開口部の直径D31と同じであった。
【0040】
シート番号2〜5の賦形シートもシート番号1と同じマスクを用い、同様の方法で製造した。ただし、シート番号2〜5の賦形シートの第1露光工程時の紫外線の積算光量は表1に示す通りであり、シート番号1よりも大きかった。また、シート番号5では、厚さは188μmのPETフィルムを用いた。その他の条件はシート番号1と同じとした。
【0041】
製造されたシート番号2〜5の賦形シートの凹凸差ΔHは表1に示すとおりであり、いずれのシート番号においても、表面に凹凸を有する賦形シートが製造された。各賦形シートの平均値D21ave、表1に示すとおり、積算光量が大きい方が、大きくなった。また、平均値D21aveが大きいほど、凹凸差ΔHが大きかった。
【0042】
製造されたシート番号1〜5の賦形シートのアンチニュートンリング性を調査した。具体的には、各賦形シートの賦形層上に100μmの厚さのPETフィルム(以下、調査用フィルムという)を敷設し、賦形層と調査用フィルムとを密着させた。その後、PETフィルムを押して、ニュートンリングの発生の有無を目視により観察した。観察した結果、シート番号1〜5のいずれの賦形シートでも、ニュートンリングは発生していなかった。
【0043】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の製造方法によって製造される賦形シートは、ニュートンリングの発生が懸念される機器に適用可能であり、たとえば、液晶表示装置やタッチパネル等に好適である。
【符号の説明】
【0045】
1 賦形シート
10 基材
11 主面
12 裏面
20 賦形層
21 表面
25 電離放射線硬化樹脂層
30 マスク
31 開口部
251 露光部
252 遮蔽部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を準備する工程と、
前記基材の主面上に電離放射線硬化樹脂層を形成する工程と、
複数の開口部を有するマスクを介して前記電離放射線硬化樹脂層に電離放射線を照射する第1の露光工程と、
前記マスクを除いた後、前記電離放射線硬化樹脂層に電離放射線を照射する第2の露光工程とを備えることを特徴とする賦形シートの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の賦形シートの製造方法であって、
前記第1の露光工程では、前記マスクを前記基材の主面と反対側の裏面上に配置し、前記基材の裏面側から電離放射線を照射することを特徴とする賦形シートの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の賦形シートの製造方法であって、
前記第2の露光工程では、前記電離放射線硬化樹脂層側から電離放射線を照射することを特徴とする賦形シートの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により製造された賦形シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−179593(P2010−179593A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25984(P2009−25984)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】