説明

赤外線反射性コーティング及びプラスチック中のテトラベンゾジアザジケトペリレン着色剤

式(I)のテトラベンゾジアザジケトペリレン着色剤(顔料又は染料)を、波長800〜1200nmで50パーセントを超える赤外線反射率を有機又は無機の基材に付与するのに有効な量、基材中に又はその表面に組込むことにより、成形ポリマー品、フィルム、繊維及びコーティングならびに他の有機及び無機の材料を含む赤外線反射基材を製造する方法。このように得られ、かつ特許請求された基材は、反射されなかったIR放射線の多くを透過させ、多層構造のポリマー製品のような、レーザー溶接も可能な製品が製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラベンゾジアザジケトペリレン顔料又は染料を、基材中に又は基材の表面に有効量組込むことによる、ポリマー成形品、フィルム、繊維及びコーティングならびに他の有機及び無機の材料などの赤外線反射基材を製造する方法に属する。本発明の顔料及び染料は、反射されなかった赤外(IR)放射線の多くを透過させるというさらなる性質を有する。よって、非常に少量のIR放射線がこれら暗色の顔料又は染料により吸収され、温度上昇を更に制限し、かつレーザー溶接品の製造を可能にする。
【0002】
赤外線(IR)反射特性を有する材料は、現在の多くの用途において有効であることが証明されてきた。これらの材料は、IRに起因する温度上昇を低減し、自動車用及び船舶用コーティング、容器、ヴァイナル・サイディングのような着色プラスチック等に用途を見出している。熱に強い組成物は、温度上昇の低減が望まれる無機及び有機の透明板ガラスならびに航空宇宙、建築及び他のガラスやセラミックの装飾用にも用途を見出している。
【0003】
IR反射性材を利用した他の用途には、軍事用途の防護用カモフラージュが含まれる。
【0004】
共に参照によりその全体が本明細書に組み込まれるUS-6,171,383及びUS-6,221,147は、温度上昇特性を改善したIR反射性ビスマスマンガンオキシド緑色顔料を開示している。
【0005】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれるUS-5,028,643は、テトラベンゾジアザジケトペリレン顔料及びそれらの調製方法を開示している。
【0006】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれるUS-6,989,056は、ハロゲン化銅フタロシアニンとペリレンテトラカルボン酸ジイミドとを含有するIR反射性黒色顔料組成物を開示している。
【0007】
当該技術においてなされた数々の進歩にもかかわらず、新規で安定なIR反射性組成物が依然として求められている。
【0008】
驚くべきことに、テトラベンゾジアザジケトペリレン(TBDKP)着色剤(顔料又は染料)をプラスチック又はコーティングに混和することにより、プラスチック又はコーティングをIR反射性にすることが見出された。本発明の着色剤は、暗色(黒色及び褐色など)のIR反射性基材の製造を可能にする。
【0009】
本明細書において、用語「IR反射性」とは、約700nmを超える波長での材料の反射特性を意味する。すなわち、約700nmを超える波長での電磁放射線が反射される。本発明により製造される製品の反射特性は、IR放射線の吸収による温度上昇が最小にされ、かつIRセンサーによる検知が最小にされる用途において非常に有利である。
【0010】
暗色、例えば、黒色及び褐色の色合いである、本発明の顔料及び染料はまた、反射されなかった赤外(IR)放射線の多くを透過させることが見出されている。その顔料及び染料を、例えば、カーボンブラック顔料着色ポリマーのようなIR吸収材を含有する基材と接触する層に混和することにより、レーザーなどからのIR放射線を、本発明の顔料を含有する層からその下にある基材へと通し、照射点で「レーザー溶接」させる、すなわち、2つの材料を溶かし合わせるのに十分な熱を発生させる。
【0011】
赤外線(IR)反射性の有機又は無機の基材を製造する方法が提供され、この方法は、
【0012】
式(I):
【化5】

【0013】
(式中、X、Y、Z及びGは、互いに独立して、直鎖もしくは分岐鎖のC〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12アラルキル、C〜C10アリール、飽和又は不飽和のC〜C複素環、ハロゲン、OR、CF、COOR、CONR’R”、NO、NR’R”、SOH又はSONR’R”であり;
【0014】
R’及びR”は、互いに独立して、水素、直鎖もしくは分岐鎖のC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール又はC〜C12アラルキルであり、窒素に結合する場合、R’及びR”は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、非中断又はO、NHもしくはN(C〜Cアルキル)により中断されている5−、6−又は7−員環を形成することもでき;
【0015】
m、n、o及びpは、独立して、0、1、2、3又は4であり、m、n、o又はpが、2、3又は4の場合、各X、Y、Z又はG置換基は、他のすべてから独立して、上記で定義した基である)
【0016】
のテトラベンゾジアザジケトペリレン(TBDKP)顔料又は染料を、波長800〜1200nmで50パーセントを超える赤外線(IR)反射率を有機又は無機の基材に付与するために有効な量含有する組成物を、基材に混和するか、基材の表面に適用することを含む。
【0017】
無機又は有機の基材は、例えば、天然に存在するポリマー又は合成ポリマー、例えば、熱可塑性、ゴム弾性、本質的に架橋性又は架橋性のポリマーであってもよい。例えば、熱可塑性、ゴム弾性、架橋性又は本質的に架橋性のポリマーに、波長800〜1200nmで約50パーセントを超える赤外線反射率をその熱可塑性、ゴム弾性、架橋性又は本質的に架橋性のポリマーに付与するのに有効な量の式(I)のテトラベンゾジアザジケトペリレン顔料又は染料(TBDKP)を混和することを含む方法である。
【0018】
特に、X、Y、Z及びGは、互いに独立して、直鎖もしくは分岐鎖のC〜C12アルキル、C〜C12アラルキル、C〜C10アリール、F、Cl、Br、I、OR’、COOR’、CONR’R”、NO、NR’R”、SOH又はSONR’R”であり、m、n、o及びpは、独立して、0、1、2、3又は4である。
【0019】
好ましくは、X、Y、Z及びGは、互いに独立して、直鎖もしくは分岐鎖のC〜C12アルキル、C〜C12アラルキル、C〜C10アリール、F、Cl、Br、OR’、COOR’、CONR’R”、NO、NR’R”、SOH又はSONR’R”であり、m、n、o及びpは、独立して、0、1又は2である。
【0020】
特に好ましくは、X、Y、Z及びGは、互いに独立して、直鎖もしくは分岐鎖のC〜C12アルキル、F、Cl、OR、NO、NR’R”又はSOHであり、m、n、o及びpは、独立して、0、1又は2である。
【0021】
例えば、m、n、o及びpは、各々0であり、式(I)のテトラベンゾジアザジケトペリレン顔料は、
【化6】

【0022】
である。
【0023】
アルキル又は分岐鎖のアルキルは、特定の炭素原子数の直鎖又は分岐鎖であって、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシルである。
【0024】
テトラベンゾジアザジケトペリレン顔料又は染料を含有する組成物は、完全に顔料又は染料で構成されていてもよく、あるいは本明細書に開示される他の材料が存在してもよい。
【0025】
本発明のテトラベンゾジアザジケトペリレン顔料及び染料は、US-5,028,643又はPCT/EP2006/068373の方法にしたがって調製される。
【0026】
本明細書において、用語「IR反射性」とは、約700nmを超える波長での材料の反射特性を意味する。すなわち、約700nmを超える波長の電磁放射線が反射される。本発明の顔料又は染料を含有する基材、あるいは本発明の顔料又は染料を含有する組成物で被覆された製品は、典型的には、波長800〜1200nm、特に波長約1000nmで約50パーセントを超えるIR反射率を有し、さらに高い波長、例えば、約1200nmから2000nmで測定可能なIR反射率を有する。
【0027】
これらの反射特性は、IR放射線の吸収による温度上昇が最小にされ、かつIRセンサーによる検知が最小にされる用途において非常に有利である。
【0028】
典型的には、TBDKP顔料又は染料は、熱可塑性、熱硬化性、ゴム弾性、本質的に架橋性又は架橋性のポリマーを含む組成物に混和される。ポリマーは、例えば、フィルム、シート、射出成形品、押出加工品、繊維、ラミネート、フェルト又は織物の形態であってもよい。ポリマーはまた、コーティング組成物の一部であってもよい。
【0029】
TBDKP顔料又は染料は、基材に直接混和するか、基材の表面に適用する。
【0030】
基材の表面に適用する場合、TBDKP顔料又は染料は、コーティング組成物の一部であってもよい。コーティングは、任意のコーティング系、又は予備成形されたフィルムをも含み得るが、両者とも基材に接着し、TBDKP顔料又は染料と相溶であり、例えば、自動車用コーティング、船舶用コーティング、塗料、インク、積層板、印刷用の受容層、又は他の、ガラス板用途に使用されるコーティングやフィルムなどの防護用もしくは装飾用コーティングである。TBDKP顔料又は染料は、繊維処理剤の一部であってもよい。
【0031】
本発明の顔料又は染料を混和するか被覆してよい、熱可塑性、熱硬化性、ゴム弾性、本質的に架橋性又は架橋性のポリマーの例を以下に列挙する。
【0032】
1.モノ−及びジ−オレフィンのポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリイソプレン又はポリブタジエン、及びシクロ−オレフィン、例えば、シクロペンテン又はノルボルネンの重合生成物;そしてさらにポリエチレン(場合により、架橋されていてよい)、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、高分子量の高密度ポリエチレン(HDPE−HMW)、超高分子量の高密度ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ならびに直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)及び(ULDPE)。
【0033】
ポリオレフィン、すなわち、前段落で例示されているような、モノ−オレフィンのポリマー、特にポリエチレン及びポリプロピレンは、様々な方法、特に下記の方法により調製することができる:
a)ラジカル重合(通常、高圧及び高温で);
b)触媒による方法、触媒は、通常、IVb、Vb、VIb又はVIII族の金属を1つ以上含有する。これらの金属は、通常、酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニル及び/又はアリールのような、π−又はσ−配位のいずれかであってもよい配位子を1つ以上有する。これらの金属錯体は、遊離しているか、担体、例えば、活性化された塩化マグネシウム、塩化チタン(III)、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素に固定されていてよい。このような触媒は、重合媒体中で可溶性又は不溶性であってもよい。触媒は、重合中で活性であることが可能であるか、あるいは更なる活性剤を使用してもよく、例えば、アルキル金属、金属水素化物、アルキル金属ハロゲン化物、アルキル金属酸化物又はアルキル金属オキサンであり、これら金属は、Ia、IIa及び/又はIIIa族の元素である。活性剤は、例えば、更なるエステル、エーテル、アミン又はシリルエーテル基で改質されたものであってもよい。
【0034】
2.1.)で述べたポリマー混合物、例えば、ポリプロピレンとポリイソブチレンとの混合物、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物(例えば、PP/HDPE、PP/LDPE)、及び異なる種類のポリエチレンの混合物(例えば、LDPE/HDPE)。
【0035】
3.モノオレフィンとジオレフィンどうしの、又は他のビニルモノマーとのコポリマー、例えば、エチレン/プロピレンコポリマー、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)とのその混合物、プロピレン/ブテン−1コポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブテン−1コポリマー、エチレン/ヘキサンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/アルキルアクリラートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリラートコポリマー、エチレン/ビニルアセタートコポリマー及びそれらと一酸化炭素とのコポリマー、又はエチレン/アクリル酸コポリマー及びそれらの塩(イオノマー)、ならびにエチレンとプロピレンと、ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデンノルボルネンのようなジエンとのターポリマー;そしてさらに、このようなコポリマーどうしの、又は1.)で挙げたポリマーとの混合物、例えば、ポリプロピレン−エチレン/プロピレンコポリマー、LDPE−エチレン/ビニルアセタートコポリマー、LDPE−エチレン/アクリル酸コポリマー、LLDPE−エチレン/ビニルアセタートコポリマー、LLDPE−エチレン/アクリル酸コポリマー及び交互に又はランダムに構成されたポリアルキレン−一酸化炭素コポリマーならびにそれらと他のポリマー、例えば、ポリアミドとの混合物。
【0036】
4.その水素化改質物(例えば、粘着付与剤樹脂)を含む炭化水素樹脂(例えば、C〜C)及びポリアルキレンとデンプンとの混合物。
【0037】
5.ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)。
【0038】
6.スチレン又はα−メチルスチレンとジエン又はアクリル誘導体とのコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/アルキルメタクリラート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリラート及びメタクリラート、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリラート;スチレンコポリマーと他のポリマー、例えば、ポリアクリラート、ジエンポリマー又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーからなる耐衝撃性混合物;ならびにスチレンのブロックコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン−ブチレン/スチレン又はスチレン/エチレン−プロピレン/スチレン。
【0039】
7.スチレン又はα−メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えば、ポリブタジエン上のスチレン、ポリブタジエン/スチレン又はポリブタジエン/アクリロニトリルコポリマー上のスチレン、ポリブタジエン上のスチレン及びアクリロニトリル(又はメタクリロニトリル);ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリラート;ポリブタジエン上のスチレン及び無水マレイン酸;ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリル及び無水マレイン酸又はマレイン酸イミド;ポリブタジエン上のスチレン及びマレイン酸イミド、ポリブタジエン上のスチレン及びアルキルアクリラート又はアルキルメタクリラート、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマー上のスチレン及びアクリロニトリル、ポリアルキルアクリラート又はポリアルキルメタクリラート上のスチレン及びアクリロニトリル、アクリラート/ブタジエンコポリマー上のスチレン及びアクリロニトリル、及びそれらと6.)で述べたコポリマーとの混合物、例えば、いわゆる、ABS、MBS、ASA又はAESポリマーとして既知のもの。
【0040】
8.ハロゲン含有ポリマー、例えば、ポリクロロプレン、塩化ゴム、イソブチレン/イソプレンの塩化及び臭化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩化又はクロロスルホン化ポリエチレン、エチレン及び塩化エチレンのコポリマー、エピクロロヒドリンホモ−及びコポリマー、特にハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン;ならびに塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/ビニルアセタート又は塩化ビニリデン/ビニルアセタートのようなそれらのコポリマー。
【0041】
9.α,β−不飽和酸及びその誘導体から誘導されたポリマー、例えば、ポリアクリラート及びポリメタクリラート又はブチルアクリラートで耐衝撃改質されたポリメチルメタクリラート、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリル。
【0042】
10.9.)で述べたモノマーどうしの又は他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えば、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリラートコポリマー、アクリロニトリル/アルコキシアルキルアクリラートコポリマー、アクリロニトリル/ビニルハライドコポリマー又はアクリロニトリル/アルキルメタクリラート/ブタジエンターポリマー。
【0043】
11.不飽和アルコールとアミン又はそれらのアシル誘導体あるいはアセタールから誘導されたポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタート、ポリビニルステアラート、ポリビニルベンゾアート又はポリビニルマレアート、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタラート、ポリアリルメラミン;及び、1.)で挙げたオレフィンとそれらとのコポリマー。
【0044】
12.環式エーテルのホモポリマー及びコポリマー、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド又はビスグリシジルエーテルとそれらとのコポリマー。
【0045】
13.ポリアセタール、例えば、ポリオキシメチレン、及びコモノマー、例えば、エチレンオキシドを含むこれらのポリオキシメチレン;熱可塑性ポリウレタン、アクリラート又はMBSで改質されたポリアセタール。
【0046】
14.ポリフェニレンオキシド及びスルフィド、及びそれらとスチレンポリマー又はポリアミドとの混合物。
【0047】
15.一方においてヒドロキシル基末端を、他方において脂肪族又は芳香族のポリイソシアナートを有するポリエーテル、ポリエステル及びポリブタジエンから誘導されたポリウレタン、ならびにそれらの初期生成物。
【0048】
16.ジアミシとジカルボン酸とから及び/又はアミノカルボン酸あるいは対応するラクタムから誘導されたポリアミド及びコポリアミド、例えば、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレン、ジアミン及びアジピン酸から誘導された芳香族ポリアミド;へキサメチレンジアミンとイソ−及び/又はテレ−フタル酸から、ならびに、場合により、改質剤としてのエラストマーから調製されたポリアミド、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ−m−フェニレンイソフタルアミド。上述されたポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、イオノマー又は化学的に結合されたかグラフトされたエラストマーとのブロックコポリマー;又はポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコール、とのブロックコポリマー。さらにEPDM又はABSで改質されたポリアミド又はコポリアミド;及び加工中に縮合されたポリアミド(「RIMポリアミド系」)。
【0049】
17.ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンゾイミダゾール。
【0050】
18.ジカルボン酸とジアルコールとから及び/又はヒドロキシカルボン酸又は対応するラクトンから誘導されたポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタラート、ポリヒドロキシベンゾアート、ならびにヒドロキシル末端基を有するポリエーテルから誘導されたブロックポリエーテルエステル;さらに、ポリカーボナート又はMBSで改質されたポリエステル。
【0051】
19.ポリカーボナート及びポリエステルカーボナート。
【0052】
20.ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン。
【0053】
21.一方においてアルデヒド、他方においてフェノール、尿素又はメラミンから誘導された架橋ポリマー、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂及びメラミン−ホルムアルデヒド樹脂。
【0054】
22.乾性及び非乾性アルキド樹脂。
【0055】
23.飽和及び不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとのコポリエステル、そしてさらに架橋剤としてのビニル化合物から誘導される不飽和ポリエステル樹脂ならびにそのハロゲン含有難燃性改質体。
【0056】
24.置換されたアクリルエステル、例えばエポキシアクリラート、ウレタンアクリラート又はポリエステルアクリラートから誘導された架橋性アクリル樹脂。
【0057】
25.メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアナート、イソシアヌラート、ポリイソシアナート又はエポキシ樹脂で架橋されたアルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリラート樹脂。
【0058】
26.脂肪族、脂環式、複素環式又は芳香族グリシジル化合物から誘導される架橋されたエポキシ樹脂、例えば、慣用の硬化剤、例えば、促進剤を伴うか又は伴わない酸無水物又はアミンを使用して架橋されたビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテルの生成物。
【0059】
27.天然ポリマー、例えば、セルロース、天然ゴム、ゼラチン、又はポリマー相同的に化学的に改質されたそれらの誘導体、例えば、セルロースアセタート、プロピオナート及びブチラート、ならびにメチルセルロースのようなセルロースエーテル;さらにコロフォニウム樹脂及び誘導体。
【0060】
28.前述のポリマーの混合物(ポリブレンド)、例えばPP/EPDM、ポリアミド/EPDM又はABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリラート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリラート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6及びコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS又はPBT/PET/PC。
【0061】
熱可塑性、ゴム弾性、架橋性又は本質的に架橋性のポリマーは、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリラート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボナート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアセタール、天然もしくは合成のゴム又はPVCのようなハロゲン化ビニルポリマーである。ポリマーは、コポリマー、ポリマーブレンド又は複合体の一部であってもよい。
【0062】
本発明のTBDKP顔料及び染料は、様々な公知の方法にしたがって、ポリマー樹脂に混和してもよい。例えば、化合物は、加工に先立ち、樹脂の混合中、例えば、樹脂の乾式混合中に、個別の成分として添加されてもよく、あるいは化合物は、加工に先立ち、他の物質中に、ブレンド、マスターバッチ、フラッシュ又は他の濃縮物として添加してよい。化合物は、加工工程中に添加してもよい。ポリマー樹脂の標準加工工程は、文献において周知であり、押出、共押出、圧縮成形、ブラベンダー溶融加工、フィルム形成、射出成形、吹き込み成形、他の成型及びシート成形加工、繊維形成等が含まれる。
【0063】
式(I)の化合物は、乾式混合、表面含浸、懸濁、分散及びコーティング技術において公知の他の方法によっても混和される。
【0064】
本発明の顔料又は染料がフィルム中に使用された場合、フィルムは、表面に、例えば、接着剤を使用して貼り付けるか、表面に共押出される。予備成形されたフィルムを、カレンダー仕上げ、溶融貼り付け、シュリンクラップ等、熱により貼り付けることもできる。
【0065】
TBDKP顔料又は染料を含有するIR反射性コーティングで基材を被覆する際、コーティングは、通常、ポリマーバインダーを含有するが、そのバインダーは、業界で慣用のものであれば、原則としていずれであることもでき、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Edition, Vol.A18, pp. 368-426, VCH, Weinheim 1991に記載のそれらである。一般的に、熱可塑性又は熱硬化性樹脂、例えば、熱硬化性樹脂をベースとするフィルム形成バインダーである。それらの例は、アルキド樹脂、アクリル樹脂、アクリルアミド樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂及びポリウレタン樹脂である。
【0066】
例えば、本発明に有用な、一般的なコーティングバインダーの非限定的な例には、シリコン含有ポリマー、フッ素化ポリマー、不飽和ポリエステル、不飽和ポリアミド、ポリイミド、置換されたアクリルエステルから誘導される架橋性アクリル樹脂(例えば、エポキシアクリラート、ウレタンアクリラート、ポリエステルアクリラート)、ビニルアセタート、ビニルアルコール及びビニルアミンのポリマーが含まれる。コーティングバインダーポリマーは、コポリマー、ポリマーブレンド又はポリマー複合体であってもよい。
【0067】
コーティングは、しばしば、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアナート、イソシアヌラート、ポリイソシアナート、エポキシ樹脂、無水物、ポリ酸及びアミンと、促進剤を伴って又は伴わずに架橋される。
【0068】
バインダーは、常温硬化性又は熱硬化性のバインダーであることができる。多くの場合、染料よりもテトラベンゾジアザジケトペリレン顔料を使用することが望ましい。これらの場合、バインダーは、テトラベンゾジアザジケトペリレン顔料の分解を引き起こすほどの高温でなければ、常温硬化性又は熱硬化性のバインダーであることができる。硬化触媒の添加が有利であろう。バインダーの硬化を促進する適切な触媒は、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Edition, Vol. A18, p.469, VCH Verlagsgesellschaft, Weinheim 1991に記載されている。
【0069】
バインダーは、空気中で乾燥するか又は室温で硬化する表面コーティング樹脂であってもよい。そのようなバインダーの例は、ニトロセルロース、ポリビニルアセタート、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアクリラート、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及び特にアルキド樹脂である。バインダーはまた、異なる表面コーティング樹脂の混合物であってもよい。バインダーが硬化性のバインダーであるならば、それらは、通常、硬化剤及び/又は促進剤と共に用いられる。
【0070】
特定のバインダーを含有するコーティング組成物の例は:
1.常温もしくは熱架橋性のアルキド、アクリラート、ポリエステル、エポキシ又はメラミン樹脂あるいはこれらの樹脂の混合物(所望ならば、硬化触媒を添加)に基づくコーティング;
2.ヒドロキシル含有アクリラート、ポリエステル又はポリエーテル樹脂及び脂肪族もしくは芳香族イソシアナート、イソシアヌラート又はポリイソシアナートに基づく2成分ポリウレタンコーティング;
3.ベーキングの間に非ブロック化される、ブロックイソシアナート、イソシアヌラート又はポリイソシアナート(所望ならば、メラミン樹脂を添加)に基づく1成分ポリウレタンコーティング;
4.トリスアルコキシカルボニルトリアジン架橋剤及びアクリラート樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエステル樹脂のような、ヒドロキシル基含有樹脂に基づく1成分ポリウレタンコーティング;
5.遊離アミノ基をウレタン構造内に有する、脂肪族もしくは芳香族ウレタンアクリラート又はポリウレタンアクリラート及びメラミン樹脂又はポリエステル樹脂(必要ならば硬化触媒を添加した)に基づく、1成分ポリウレタンコーティング;
6.(ポリ)ケチミン及び脂肪族もしくは芳香族イソシアナート、イソシアヌラート又はポリイソシアナートに基づく2成分コーティング;
7.(ポリ)ケチミン及び不飽和アクリラート樹脂又はポリアセトアセタート樹脂又はメタクリルアミドグリコラートメチルエステルに基づく2成分コーティング;
8.カルボキシル−もしくはアミノ含有ポリアクリラート及びポリエポキシドに基づく2成分コーティング;
9.無水物基を含有するアクリラート樹脂及びポリヒドロキシ又はポリアミノ成分に基づく2成分コーティング;
10.アクリラート含有無水物及びポリエポキシドに基づく2成分コーティング;
11.(ポリ)オキサゾリン及び無水物基を含有するアクリラート樹脂又は不飽和アクリラート樹脂、あるいは脂肪族もしくは芳香族イソシアナート、イソシアヌラート又はポリイソシアナートに基づく2成分コーティング;
12.不飽和ポリアクリラート及びポリマロナートに基づく2成分コーティング;
13.熱可塑性アクリラート樹脂又はエーテル化メラミンン樹脂との組み合わせで、外側で架橋しているアクリラート樹脂に基づく熱可塑性ポリアクリラートコーティング;及び
14.シロキサン−改質又はフッ素改質アクリラート樹脂に基づく塗料系。
【0071】
水に分散性の、アクリル、メタクリル及びポリアクリルアミドのポリマーならびにコポリマーは、本発明のバインダーとして容易に使用でき、例えば、アクリル、メタクリル及びアクリルアミドの分散体ポリマーならびにコポリマーである。
【0072】
例えば、アクリラートポリマーからなるコーティング又はフィルムは、本発明に有用である。
【0073】
コーティング組成物は、また、更なる成分を含むことができ、例は、溶媒、顔料、染料、可塑剤、安定剤、チキソトロピー剤、乾燥触媒及び/又はレベリング剤である。可能な成分の例は、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Edition, Vol. A18, pp. 429-471, VCH, Weinheim 1991に記載されているそれらである。
【0074】
可能な乾燥触媒又は硬化触媒は、例えば、有機金属化合物、アミン、アミノ含有樹脂及び/又はホスフィンである。有機金属化合物の例は、金属カルボキシラート、特に金属Pb、Mn、Co、Zn、ZrもしくはCuのそれら、又は金属キレート、特に金属Al、Ti又はZrのそれら、あるいは、例えば、有機スズ化合物のような有機金属化合物である。
【0075】
金属カルボキシラートの例は、Pb、MnもしくはZnのステアラート、Co、ZnもしくはCuのオクトアート、MnもしくはCoのナフテナート又は対応するリノレアート、レジナートもしくはタラートである。
【0076】
金属キレートの例は、アセチルアセトン、エチルアセチルアセタート、サリチルアルデヒド、サリチルアルドキシム、o−ヒドロキシアセトフェノン又はエチルトリフルオロアセチルアセタートのアルミニウム、チタニウム又はジルコニウムキレート及びそれらの金属のアルコキシドである。
【0077】
有機スズ化合物の例は、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウラート又はジブチルスズジオクトアートである。
【0078】
アミンの例は、特に、第三級アミン、例えばトリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン又はジアザビシクロオクタン(トリエチレンジアミン)及びそれらの塩である。更なる例は、第四級アンモニウム塩、例えば、塩化トリメチルベンジルアンモニウムである。
【0079】
アミノ含有樹脂は、同時にバインダーであり硬化触媒である。その例は、アミノ含有アクリラートコポリマーである。
【0080】
用いられる硬化触媒は、ホスフィン、例えば、トリフェニルホスフィンであることもできる。
【0081】
コーティング組成物は、放射線硬化性コーティング組成物であることもできる。この場合、バインダーは、実質的にエチレン性不飽和結合を含有するモノマー性又はオリゴマー性の化合物であり、それは、適用後に、化学線照射により硬化する、すなわち、架橋された高分子量形態に変換される。
【0082】
系が、UV硬化系であるとき、それは一般に、光開始剤をも含有する。相当する系は、上述の刊行物、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Edition, Vol.A18, pages 451-453に記載されている。放射線硬化性コーティング組成物において、新規な安定剤も、立体障害アミンの添加なしに用いることができる。
【0083】
コーティングは、放射線硬化性の、光重合性化合物の無溶媒の配合物であってもよい。説明的な例は、アクリラート又はメタクリラート、不飽和ポリエステル/スチレン混合物又は他のエチレン性不飽和モノマーもしくはオリゴマーの混合物である。
【0084】
コーティング組成物は、バインダーが可溶である有機溶媒又は溶媒混合物を含むことができる。コーティング組成物は、その他、水性溶液又は分散体であることもできる。ビヒクルは、有機溶媒と水との混合物であることもできる。コーティング組成物は、高固型塗料であってもよく、又は無溶媒であることもできる(例えば、粉体コーティング材)。粉体コーティングは、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Edition, Vol. A18, pages 438-444に記載されているようなそれらである。粉体コーティング材は、粉体のスラリー(好ましくは水中の粉体の分散物)形態であってもよい。
【0085】
テトラベンゾジアザジケトペリレン顔料又は染料がコーティング中に存在してもよい場合は、次いでそれ自体が、保護コーティングのような、もうひとつのコーティングで被覆される、多層系であることも可能である。
【0086】
コーティングに使用する場合は、式(I)の化合物を、当該技術において常法により、コーティングに混和することができる。
【0087】
本発明によるコーティング組成物は、任意の所望の基材、例えば金属、木材、プラスチック、複合体、ガラス又はセラミック材基材にも、慣用の方法、例えば刷毛、噴霧、注入、ドローダウン、スピンコーティング、含浸、電気泳動により、適用することができる。Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Edition, Vol.A18, pp. 491-500も参照のこと。
【0088】
TBDKP顔料又は染料は、IR反射性組成物中に、「有効量」、すなわち、基材に対する所望レベルの着色又はコーティング及び所望のIR反射性の両方を提供する量で存在する。
【0089】
例えば、TBDKP顔料又は染料は、組成物の総重量に対し、約0.01重量%〜約50重量%、特に0.01〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%のテトラベンゾジアザジケトペリレン顔料又は染料で存在する。コーティングである場合、組成物は十分に乾燥し、硬化したコーティングである。
【0090】
基材の表面に適用した場合、TBDKP顔料又は染料が、薄い層の中又は積層構造の一部である層のように、さらに多量に、100%近くで存在してもよい。
【0091】
本TBDKP顔料又は染料からなる組成物は、場合により、酸化防止剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン又は他の光安定剤、ホスファイト又はホスホナイト、ベンゾフラン−2−オン、チオ相乗剤、ポリアミド安定剤、メタルステアラート、核形成剤、充填剤、補強剤、潤滑剤、乳化剤、染料、顔料、分散剤、蛍光増白剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤等の他の添加剤をその中に混和するか、その上に適用することができる。
【0092】
本発明はさらに、有機又は無機の基材、典型的には、ポリマー基材と、波長800〜1200nmで約50パーセントを超える赤外線反射率をその有機又は無機の基材に付与するのに有効な量の式(I)のテトラベンゾジアザジケトペリレン顔料又は染料とを含む、IR反射性組成物又は製品を提供する。IR反射性組成物又は製品は、コーティング、フィルム、シート又は成型もしくは他の方法で成形された製品である。
【0093】
例えば、熱可塑性、ゴム弾性、架橋性又は本質的に架橋性のポリマーと、波長800〜1200nmで約50パーセントを超える赤外線反射率を当該組成物に付与するのに有効な量の、式(I)のテトラベンゾジアザジケトペリレン顔料又は染料(TBDKP)とを含む、赤外線反射性組成物。
【0094】
さらに、式(I)のTBDKP顔料又は染料を含むIR反射性コーティング又はフィルムで被覆された基材を含むIR反射性製品も提供される。
【0095】
本発明の更なる態様は、溶融可能な基材、好ましくは、カーボンブラック着色ポリマーのようなIR吸収材を含有するポリマー基材の表面と接触する、ポリマー組成物に、式(I)のTBDKP顔料又は染料を混和し、次いで、レーザーからのようなIR放射線を、本発明の顔料を含有する層からその下にあるIR吸収材に通し、「レーザー溶接」に十分な熱を放射点において発生させる、すなわち、2つの材料を一緒に溶融させる、層状製品のレーザー溶接の方法を提供する。
【0096】
用いられるレーザーは、波長約700〜約2000nm、例えば、約800〜約1500nmで放射する市販のレーザーである。
【0097】
以下の実施例は、本発明を説明するが、その範囲を限定しない。(他に記載がない限り、「%」は、常に重量%である。):
【0098】
実施例 1: テトラベンゾジアザジケトペリレン1gとポリプロピレン(Profax(登録商標)6301、Himont、Wilmington、Del./US)999gとの混合物を、35mmの二軸スクリュー押出機を使用して200℃で押出し、次いで、少なくとも250℃の温度で、2mm厚のチップに射出成型した。得られた黒色のチップのIR反射率を測定し、800〜1200nmで60〜80%、1300〜1400nmで40%〜60%、さらに、約1600nmで30%を超えたことがわかった。
【0099】
実施例 2: 塩化テトラベンゾジアザジケトペリレン1gを使用して、実施例1の手順を繰り返し、実施例1と同様のIR反射率を有する褐色のポリプロピレンチップを製造した。
【0100】
実施例 3: テトラベンゾジアザジケトペリレンのトナー2.3g、DISPERBYK(登録商標)161 1.2g、アクリルミルベース16.9g及びレットダウン39.3gの混合物を、SKANDEX(登録商標)摩砕機を使用して、2mmのガラスビーズ100gで摩砕した。得られた塗料をビーズから分離した。
【0101】
100μm湿潤フィルムを巻いた棒とKCCオートマチック・フィルムアプリケーターを使用して、塗料のドローダウンを作成し、白色/黒色のレネタカード上で乾燥した。チップのIR反射率を測定し、800〜1300nmで80%を超え、1300〜1500nmで60%〜80%、約1800nmで60%を超え、約2000nmで50%を超えたことがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


(式中、X、Y、Z及びGは、互いに独立して、直鎖もしくは分岐鎖のC〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12アラルキル、C〜C10アリール、飽和又は不飽和のC〜C複素環、ハロゲン、OR、CF、COOR、CONR’R”、NO、NR’R”、SOH又はSONR’R”であり;
R’及びR”は、互いに独立して、水素、直鎖もしくは分岐鎖のC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール又はC〜C12アラルキルであり、窒素に結合する場合、R’及びR”は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、非中断又はO、NHもしくはN(C〜Cアルキル)により中断されている5−、6−又は7−員環を形成することもでき;
m、n、o及びpは、独立して、0、1、2、3又は4であり、m、n、o又はpが、2、3又は4の場合、各X、Y、Z又はG置換基は、他のすべてから独立して、上記で定義した基である)
のテトラベンゾジアザジケトペリレン(TBDKP)着色剤を、波長800〜1200nmで50パーセントを超える赤外線(IR)反射率を有機又は無機の基材に付与するために有効な量含有する組成物を、基材に混和するか、基材の表面に適用することを含む赤外線(IR)反射性の有機又は無機の基材の製造方法。
【請求項2】
式(I)の着色剤が、熱可塑性、ゴム弾性、架橋性又は本質的に架橋性のポリマーに混和される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
X、Y、Z及びGが、互いに独立して、直鎖もしくは分岐鎖のC〜C12アルキル、C〜C12アラルキル、C〜C10アリール、F、Cl、Br、I、OR’、COOR’、CONR’R”、NO、NR’R”、SOH又はSONR’R”であり、m、n、o及びpが、独立して、0、1、2、3又は4であり、好ましくは、X、Y、Z及びGが、互いに独立して、直鎖もしくは分岐鎖のC〜C12アルキル、C〜C12アラルキル、C〜C10アリール、F、Cl、Br、OR’、COOR’、CONR’R”、NO、NR’R”、SOH又はSONR’R”であり、m、n、o及びpが、独立して、0、1又は2であり、最も好ましくは、着色剤が、式:
【化2】


である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
テトラベンゾジアザジケトペリレンが、基材の表面に適用されるコーティング組成物に混和される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
式(I)のテトラベンゾジアザジケトペリレン着色剤が、顔料であり、ポリマーが、好ましくは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリラート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボナート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアセタール、天然もしくは合成ゴム又はハロゲン化ビニルポリマーである、請求項2記載の方法。
【請求項6】
テトラベンゾジアザジケトペリレン顔料又は染料が、基材の表面に適用されるフィルム又はコーティングの形態、あるいは繊維、シート又は他の成型もしくは成形品の形態である、熱可塑性、ゴム弾性、架橋性又は本質的に架橋性のポリマーに混和される、請求項2記載の方法。
【請求項7】
波長800〜1200nm、好ましくは波長1000nmで約50パーセントを超える反射率を有する赤外線反射性組成物であって、熱可塑性、ゴム弾性、架橋性又は本質的に架橋性のポリマーと式(I):
【化3】


(式中、X、Y、Z及びGは、互いに独立して、直鎖もしくは分岐鎖のC〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12アラルキル、C〜C10アリール、飽和もしくは不飽和のC〜C複素環、ハロゲン、OR、CF、COOR、CONR’R”、NO、NR’R”、SOH又はSONR’R”であり;
R’及びR”は、互いに独立して、水素、直鎖もしくは分岐鎖のC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール又はC〜C12アラルキルであり、窒素に結合する場合、R’及びR”は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、非中断又はO、NHもしくはN(C〜Cアルキル)により中断されている5−、6−又は7−員環を形成することもでき;
m、n、o及びpは、独立して、0、1、2、3又は4であり、m、n、o又はpが、2、3又は4の場合、各X、Y、Z又はG置換基は、他のすべてから独立して、上記で定義した基である);
のテトラベンゾジアザジケトペリレン(TBDKP)着色剤とを含む組成物。
【請求項8】
X、Y、Z及びGが、互いに独立して、直鎖もしくは分岐鎖のC〜C12アルキル、C〜C12アラルキル、C〜C10アリール、F、Cl、Br、I、OR’、COOR’、CONR’R”、NO、NR’R”、SOH又はSONR’R”であり、m、n、o及びpが、独立して、0、1、2、3又は4であり、好ましくは、X、Y、Z及びGが、互いに独立して、直鎖もしくは分岐鎖のC〜C12アルキル、C〜C12アラルキル、C〜C10アリール、F、Cl、Br、OR’、COOR’、CONR’R”、NO、NR’R”、SOH又はSONR’R”であり、m、n、o及びpが、独立して、0、1又は2であり、最も好ましくは、着色剤が、式:
【化4】


である、請求項7記載の赤外線反射性組成物。
【請求項9】
ポリマーが、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリラート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボナート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアセタール、天然もしくは合成ゴム又はハロゲン化ビニルポリマーである、請求項7又は8記載の赤外線反射性組成物。
【請求項10】
コーティング組成物である、請求項7又は8記載の赤外線反射性組成物。
【請求項11】
請求項10記載の組成物で被覆された基材を含む製品。
【請求項12】
請求項1記載の式(I)のTBDKP着色剤を、IR吸収材を含有する溶融可能な基材の表面と接するポリマー組成物に混和し、次いで、好ましくは700〜2000nmの波長範囲のレーザーからのIR放射線を、式(I)の着色剤を含有する層からその下にある基材に通し、放射点において、2つの材料を一緒に溶融させるのに十分な熱を発生させる、製品のレーザー溶接の方法。

【公表番号】特表2009−523870(P2009−523870A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550714(P2008−550714)
【出願日】平成19年1月8日(2007.1.8)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050146
【国際公開番号】WO2007/082811
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.
【Fターム(参考)】