説明

走行誘導障害物検出装置および車両用制御装置

【課題】自車両の前方に存在する立体物の中から車線分離標やパイロン等の走行誘導障害物を的確に検出することが可能な走行誘導障害物検出装置を提供する。
【解決手段】走行誘導障害物検出装置1は、自車両前方の道路を含む風景を撮像して画素ごとに輝度値p1ijを有する一対の画像を出力する撮像手段2と、撮像された一対の画像に基づいて少なくとも一方の画像Tの各画素について実空間における距離Zijを算出する画像処理手段6と、輝度値p1ijおよび距離Zijの情報に基づいて一方の画像Tから立体物Snを検出し、立体物Snの実空間上の大きさを算出する検出手段9とを備え、検出手段9は、立体物Snの実空間上の大きさが予め設定された閾値以内で、かつ一方の画像T中に検出された立体物Snの上下方向の輝度変化が一定のパターンを有する場合にその立体物Snを走行誘導障害物Knとして検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行誘導障害物検出装置および車両用制御装置に係り、特に、自車両前方の撮像画像中から車線分離標やパイロン等の走行誘導障害物を検出する走行誘導障害物検出装置とそれを用いた車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車等の車両における走行の安定性や安全性の向上等に向けての自動制御を行うためには、自車両の左右の道路面上に標示された車線や自車両の前方に存在する先行車や駐車車両、歩行者等の立体物等をできるだけ正確に検出して自車両の走行環境を的確に認識することが必要となる。
【0003】
そのため、近年、自車両前方の撮像画像中から車線を認識したり(例えば特許文献1等参照)、道路形状を認識したり(例えば特許文献2、3等参照)、走行レーン上またはその周辺の立体物や車両を認識する(例えば特許文献2、4〜6等参照)等の技術が開発されている。
【0004】
なお、本発明では、追い越し禁止線等の道路中央線や車両通行帯境界線、路側帯と車道とを区画する区画線等の道路面上に標示された連続線や破線を車線といい、車線と車線との間の車両が走行する車両通行帯を走行レーンという。また、図17(A)に示すような車線分離標や、図17(B)に示すような道路上に置かれたカラーコーン(登録商標)とも呼ばれるパイロン等を、車両の走行を誘導する障害物を表すものとして走行誘導障害物という。
【特許文献1】特開2001−92970号公報
【特許文献2】特開平5−265547号公報
【特許文献3】特開平11−203458号公報
【特許文献4】特開平10−283461号公報
【特許文献5】特開平10−283477号公報
【特許文献6】特開2006−47057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自車両の走行レーン上またはその周辺に配置される走行誘導障害物のうち、車線分離標は、例えば車道中央線を表す標識として車線の代わりに道路中央に立設されている場合がある。このような場合には、車線分離標を検出して初めて走行レーンの右端位置を認識することが可能となり、それに沿うようにキープレーン制御等の自動制御を行うことが可能となる。
【0006】
また、道路工事や土木工事等でパイロンが走行レーン内に置かれている場合には、自車両の左側や右側の車線に沿うのではなく、そのパイロンの配置位置を正確に検出してそのパイロンの誘導に従ってパイロンに沿うように制御を行わなければ適切に自車両を走行させることができない。
【0007】
一方、自車両の周囲に存在する車両を認識する技術においてはレーダ装置が用いられることが多い。レーダから発射された電波は、図17(A)、(B)に示した車線分離標やパイロンの表面に塗布され或いは巻きつけられた反射材Rに強く反射されるため、車両に搭載される安価なレーダでは車線分離標やパイロン等の走行誘導障害物を車両であると誤認識してしまう場合がある。
【0008】
そのため、道路上に静止した走行誘導障害物を車両と誤認識してそれとの衝突を避けるために自車両を自動的に停止させてしまったり、或いは車線分離標やパイロン等の走行誘導障害物に沿うように走行させることができなくなるという問題が生じる。このように、自車両の前方に存在する立体物の中から特に走行誘導障害物を誤認識することなく走行誘導障害物として検出することを可能とする技術の開発が望まれる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、自車両の前方に存在する立体物の中から車線分離標やパイロン等の走行誘導障害物を的確に検出することが可能な走行誘導障害物検出装置を提供することを目的とする。また、この走行誘導障害物検出装置を有効に用いた車両用制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の問題を解決するために、第1の発明は、
走行誘導障害物検出装置において、
自車両前方の道路を含む風景を撮像して画素ごとに輝度値を有する一対の画像を出力する撮像手段と、
前記撮像された一対の画像に基づいて少なくとも一方の画像の各画素について実空間における距離を算出する画像処理手段と、
前記輝度値および前記距離の情報に基づいて前記一方の画像から立体物を検出し、前記立体物の実空間上の大きさを算出する検出手段と
を備え、
前記検出手段は、前記立体物の実空間上の大きさが予め設定された閾値以内で、かつ前記一方の画像中に検出された前記立体物の上下方向の輝度変化が一定のパターンを有する場合にその立体物を走行誘導障害物として検出することを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、第1の発明の走行誘導障害物検出装置において、前記検出手段は、前記立体物の実空間上の位置を算出するとともに前記一方の画像中に走行誘導障害物として検出された複数の立体物の配置を直線または曲線で近似し、近似により得られた直線または曲線を自車両から遠方の領域に延長し、延長された直線上または曲線上にある前記検出された立体物を走行誘導障害物として検出することを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第1の発明の走行誘導障害物検出装置において、前記検出手段は、前記立体物の実空間上の位置を算出するとともに自車両の挙動により前記一方の画像中に見出されなくなった過去の走行誘導障害物の位置を前記自車両の挙動に基づいて更新して記録し、前記過去の走行誘導障害物の位置と、前記一方の画像中に走行誘導障害物として検出された立体物の位置との配置を直線または曲線で近似し、近似により得られた直線または曲線を自車両から遠方の領域に延長し、延長された直線上または曲線上またはその近傍にある前記検出された立体物を走行誘導障害物として検出することを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、車両用制御装置において、
第1から第3のいずれかの発明の走行誘導障害物検出装置と、
自車両周囲の立体物についての情報を前記撮像手段以外により収集する情報収集手段と、
前記情報収集手段により収集された立体物の情報と、前記走行誘導障害物検出装置により検出された走行誘導障害物の情報とが対応する場合に、前記立体物を走行誘導障害物として認識する制御装置を有することを特徴とする。
【0014】
第5の発明は、第4の発明の車両用制御装置において、前記制御装置は、自車両から見て前記走行誘導障害物として認識された立体物より外側にある立体物を、立体物との距離を調整する制御の制御対象から除外することを特徴とする。
【0015】
第6の発明は、車両用制御装置において、
第1から第3のいずれかの発明の走行誘導障害物検出装置と、
ドライバに対して警報を発する警報装置と、
自車両が前記走行誘導障害物として認識された立体物に接近している場合、前記警報装置に警報を出力させる制御装置を有することを特徴とする。
【0016】
第7の発明は、第6の発明の車両用制御装置において、
自車両の左右に車線を検出する車線検出手段を備え、
前記制御装置は、前記車線検出手段により検出された車線に自車両が接近している場合に警報を発し、前記走行誘導障害物として認識された立体物が前記車線検出手段により検出された車線の近傍にある場合には、車線のみの場合よりも警報を発するタイミングを早めることを特徴とする。
【0017】
第8の発明は、車両用制御装置において、
第1から第3のいずれかの発明の走行誘導障害物検出装置と、
前記走行誘導障害物として認識された立体物に沿って走行するように自車両の走行を制御する制御装置を有することを特徴とする。
【0018】
第9の発明は、第8の発明の車両用制御装置において、
自車両の左右に車線を検出する車線検出手段を備え、
前記制御装置は、前記車線検出手段により検出された車線に沿って自車両が走行するように自車両の走行を制御し、前記走行誘導障害物として認識された立体物が前記車線検出手段により検出された車線の近傍にある場合には、車線のみが検出された場合よりも車線からの離間距離を拡大して走行するように自車両の走行を制御することを特徴とする。
【0019】
第10の発明は、車両用制御装置において、
第1から第3のいずれかの発明の走行誘導障害物検出装置と、
自車両の左右に車線を検出する車線検出手段と、
前記車線検出手段により検出された車線の内側またはその近傍に検出された立体物であって前記走行誘導障害物として認識された立体物がパイロンであるか否かを判断し、パイロンである場合には自車両が走行中の道路が工事中であると判断する制御装置を有することを特徴とする。
【0020】
第11の発明は、第10の発明の車両用制御装置において、前記制御装置は、自車両が走行中の道路が工事中であると判断した場合には、車線逸脱の回避制御を停止することを特徴とする。
【0021】
第12の発明は、第10の発明の車両用制御装置において、前記制御装置は、自車両が走行中の道路が工事中であると判断した場合には、車線追従制御を停止することを特徴とする。
【0022】
第13の発明は、第10の発明の車両用制御装置において、前記制御装置は、自車両が走行中の道路が工事中であると判断した場合には、自車両が前記パイロンに沿って走行するように追従制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
第1の発明によれば、前記一方の画像中に検出された立体物の幅や高さに基づいて大きさによる選別を行い、さらに輝度の繰り返しパターンにより選別を行うことで、自車両の前方に存在する立体物の中から車線分離標やパイロン等の走行誘導障害物を的確に検出することが可能となる。そのため、走行誘導障害物である立体物を例えば車両等と誤認識することなく、走行誘導障害物として適切に検出することが可能となる。
【0024】
第2の発明によれば、自車両から遠方にある等の理由で輝度の繰り返しパターンが検出されずに除外されてしまった立体物について、立体物の実空間上の位置を算出して検出された複数の走行誘導障害物の配置を直線や曲線で近似し、その直線や曲線上或いはその近傍にある立体物は走行誘導障害物として検出する。そのため、輝度の繰り返しパターンが検出されなかった立体物についても的確に走行誘導障害物であるか否かを判断して走行誘導障害物として適切に検出することが可能となり、前記発明の効果がより的確に発揮される。
【0025】
第3の発明によれば、一方の画像中に検出された複数の走行誘導障害物のみならず、自車両の挙動により一方の画像中に見出されなくなった過去の走行誘導障害物を追跡してその配置を含めて直線や曲線で近似し、その直線や曲線上或いはその近傍にある立体物は走行誘導障害物として検出することで、前記第2の発明の効果をより効果的に発揮させることが可能となる。
【0026】
第4の発明によれば、前述したようにレーダ装置等を用いる場合、走行誘導障害物を例えば車両であると誤認識してしまう場合があるが、本発明の走行誘導障害物検出装置を用い、レーダ装置等で抽出された立体物の情報と走行誘導障害物検出装置で検出された走行誘導障害物の情報とを対照して、対応する立体物を走行誘導障害物として認識することで、走行誘導障害物を車両等と誤認識することを確実に防止することが可能となる。
【0027】
第5の発明によれば、立体物の中から走行誘導障害物を特定し、その外側にある立体物を立体物との距離を調整する制御の制御制御の対象から除外することで、前記発明の効果に加え、制御のための演算処理を軽減することが可能となり、制御装置の演算負荷を低減することが可能となるとともに、処理速度の向上を図ることが可能となる。
【0028】
第6の発明によれば、車線分離標等の走行誘導障害物を確実に検出して、自車両がそれに接近する場合に警報を発することで、ドライバの注意を効果的に喚起して走行誘導障害物に接触したり車線を逸脱することを適切に防止することが可能となる。
【0029】
第7の発明によれば、走行誘導障害物が近傍に立設され車線逸脱が強く禁止されている車線で、走行誘導障害物がない車線のみの場合よりも警報を発するタイミングを早めることで、ドライバの注意を早期に喚起して車線逸脱を確実に防止し、自車両が走行誘導障害物に接触したり衝突することを的確に防止することが可能となり、前記発明の効果をより効果的に発揮することが可能となる。
【0030】
第8の発明によれば、車線分離標等の走行誘導障害物を確実に検出して、自車両がそれに沿って走行するように車線追従制御を行うことで、道路面上に車線が標示されておらず車線分離標等の走行誘導障害物のみが立設されている場合にも自車両をそれに沿って自動走行させることが可能となる。
【0031】
第9の発明によれば、走行誘導障害物が近傍に立設され車線逸脱が強く禁止されている車線で、走行誘導障害物がない車線のみの場合よりも車線から大きく離間させることで、車線逸脱を確実に防止し、自車両が走行誘導障害物に接触したり衝突することを的確に防止することが可能となり、前記発明の効果をより効果的に発揮することが可能となる。
【0032】
第10の発明によれば、走行誘導障害物検出装置において車線分離標とパイロンとを区別して検出し、検出した走行誘導障害物がパイロンであることを判断することで、自車両が走行中の道路が道路工事や土木工事等のために工事中であることを的確に判断することが可能となり、適切な車両制御を行うことが可能となる。
【0033】
第11の発明によれば、道路が工事中であれば自車両が走行レーンを逸脱して車線を跨ぐように走行したり隣の走行レーンに車線変更したりすることが想定される。そのため、自車両が走行中の道路が工事中であると判断した場合には車線逸脱の回避制御を停止することで、ドライバが意図的に車線を逸脱しようとする場合には車線逸脱の回避制御が停止されるから、ドライバの意図に反して自車両が元の走行レーンに引き戻されるように制御されて走行が不安定になることを防止することが可能となる。
【0034】
第12の発明によれば、自車両が走行中の道路が工事中であると判断した場合にもドライバはパイロンに衝突しないように意図的に車線を逸脱しようとするが、前記と同様に、そのような場合に車線に対する追従制御を停止することで、ドライバの意図に反して自車両が元の走行レーンに引き戻されるように制御されて走行が不安定になることを防止することが可能となる。
【0035】
第13の発明によれば、自車両が走行誘導障害物検出装置により検出されたパイロンに沿って走行するように応動部に指示信号を発して追従制御を行うため、例えば走行レーンの内側にパイロンが置かれている場合には、それに沿って自車両が走行することが可能となり、パイロンとの接触や衝突を適切に回避することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明に係る走行誘導障害物検出装置および車両用制御装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0037】
[第1の実施の形態]
まず、走行誘導障害物検出装置について説明する。本実施形態に係る走行誘導障害物検出装置1は、図1に示すように、主に撮像手段2と、画像処理手段6と、検出手段9とで構成されている。
【0038】
撮像手段2は、車両周辺を撮像するものであり、所定のサンプリング周期で車両前方の道路を含む風景を撮像して一対の画像を出力するように構成されている。本実施形態では、互いに同期が取られたCCDやCMOSセンサ等のイメージセンサがそれぞれ内蔵された一対のメインカメラ2aおよびサブカメラ2bからなるステレオカメラが用いられている。本実施形態では、メインカメラ2aおよびサブカメラ2bにはCCDカメラが用いられている。
【0039】
メインカメラ2aとサブカメラ2bは、例えば、ルームミラー近傍に車幅方向に所定の間隔をあけて取り付けられている。前記一対のステレオカメラのうち、運転者に近い方のカメラが後述するように各画素について距離が算出され車線が検出される基となる画像を撮像するメインカメラ2a、運転者から遠い方のカメラが前記距離等を求めるために比較される画像を撮像するサブカメラ2bとされている。
【0040】
メインカメラ2aおよびサブカメラ2bには、変換手段3としてのA/Dコンバータ3a、3bがそれぞれ接続されている。A/Dコンバータ3a、3bでは、メインカメラ2aおよびサブカメラ2bから出力されてきた一対のアナログ画像がそれぞれ画素ごとに例えば256階調のグレースケール等の所定の輝度階調の輝度値を有するデジタル画像に変換されるように構成されている。そして、前述した各画素について距離が算出され車線が検出される基となる画像から変換されたデジタル画像が基準画像として、また距離等を求めるために比較される画像から変換されたデジタル画像が比較画像として出力されるようになっている。
【0041】
A/Dコンバータ3a、3bには、画像補正部4が接続されている。画像補正部4では、A/Dコンバータ3a、3bから出力されてきた基準画像および比較画像に対してメインカメラ2aおよびサブカメラ2bの取付位置の誤差に起因するずれやノイズの除去等を含む輝度値の補正等の画像補正がアフィン変換等を用いて行われるようになっている。
【0042】
なお、例えば、基準画像Tは図2に示されるような水平方向が512画素、垂直方向が200画素分の輝度値からなる画像データとして、比較画像は図示を省略するが水平方向が640画素、垂直方向が200画素分の輝度値からなる画像データとしてそれぞれ画像補正部4から出力されるように構成されている。また、それぞれの画像データは画像補正部4に接続された画像データメモリ5に格納され、同時に検出手段9に送信されるようになっている。
【0043】
前述したように、本実施形態では、メインカメラ2a等にCCDカメラが用いられている。メインカメラ2aやサブカメラ2bは、自車両前方の風景を下側から順に水平方向にライン状に走査して撮像し、各水平ラインごとに撮像されたデータを順次変換手段3に送信する。そして、変換手段3で送信させてきた水平ラインの各画素ごとに撮像データを所定の輝度階調の輝度値に変換され、画像補正部4で画像補正が行われた後、各水平ラインごとの画像データが画像データメモリ5に格納されると同時に検出手段9に順次送信されるようになっている。
【0044】
また、画像データメモリ5には、メインカメラ2aとサブカメラ2bから一定の時間間隔をおいて送信され、画像補正等を受けた画像のデジタルデータが時系列的に格納されるようになっている。
【0045】
画像補正部4には、画像処理手段6が接続されており、画像処理手段6は、主に、イメージプロセッサ7と距離データメモリ8とで構成されている。
【0046】
イメージプロセッサ7では、ステレオマッチング処理とフィルタリング処理により画像補正部4から出力された基準画像Tおよび比較画像のデジタルデータに基づいて基準画像Tの各画素または複数画素で構成するブロックからなる各設定領域について実空間における距離を算出するための視差dを算出するようになっている。この視差dの算出については、本願出願人により先に提出された特開平5−114099号公報に詳述されているが、以下、その要点を簡単に述べる。
【0047】
イメージプロセッサ7は、512×200画素を有する基準画像Tについて4×4画素の画素ブロックごとに1つの視差dを算出するようになっている。1つの画素ブロックを構成する16画素には、前述したようにそれぞれ0〜255の輝度値p1ijが割り当てられており、その16画素の輝度値p1ijがその画素ブロック特有の輝度値特性を形成している。
【0048】
なお、輝度値p1ijの添字iおよびjは、基準画像Tの画像平面の左下隅を原点とし、水平方向をi座標軸、垂直方向をj座標軸とした場合の画素ブロックの左下隅の画素のi座標およびj座標を表す。また、比較画像については基準画像Tの原点に予め対応付けられた画素を原点として同様にi座標、j座標を取る。
【0049】
イメージプロセッサ7におけるステレオマッチング処理では、前記のように基準画像Tを4×4画素ごとに最大128×50個の画素ブロックに分割し、比較画像を水平方向に延在する4画素幅の水平ラインに分割する。そして、基準画像Tの1つの画素ブロックを取り出してそれに対応する比較画像の水平ライン上を1画素ずつ水平方向、すなわちi方向にシフトさせながら下記(1)式で求められるシティブロック距離CBが最小となる水平ライン上の画素ブロック、すなわち基準画像Tの画素ブロックと似た輝度値特性を有する比較画像上の画素ブロックを探索するようになっている。
CB=Σ|p1ij−p2ij| …(1)
【0050】
なお、p2ijは比較画像上の座標(i,j)の画素の輝度値を表す。また、本実施形態では、前述したように画像補正部4から水平ラインごとの画像データが出力されるため、イメージプロセッサ7では、水平ライン4本分の画像データが入力されるごとに前記4×4画素の画素ブロックに対するステレオマッチング処理を行うようになっている。
【0051】
イメージプロセッサ7は、このようにして特定した比較画像上の画素ブロックともとの基準画像T上の画素ブロックとのずれ量を算出し、そのずれ量を視差dとして基準画像T上の画素ブロックに割り付けるようになっている。
【0052】
この視差dは、前記メインカメラ2aおよびサブカメラ2bの一定距離の離間に由来する基準画像Tおよび比較画像における同一物体の写像位置に関する水平方向の相対的なずれ量であり、メインカメラ2aおよびサブカメラ2bの中央位置から物体までの距離と視差dとを三角測量の原理に基づいて対応付けることができる。
【0053】
具体的には、実空間上で、メインカメラ2aおよびサブカメラ2bの中央真下の道路面上の点を原点とし、自車両の車幅方向すなわち左右方向にX軸、車高方向にY軸、車長方向すなわち距離方向にZ軸を取ると、画像上の点(i,j,d)から実空間上の点(X,Y,Z)への座標変換は下記の(2)〜(4)式に基づいて行われる。
X=CD/2+Z×PW×(i−IV) …(2)
Y=CH+Z×PW×(j−JV) …(3)
Z=CD/(PW×(d−DP)) …(4)
【0054】
すなわち、メインカメラ2aおよびサブカメラ2bの中央位置、正確には中央真下の道路面上の点から物体までの距離と視差dとは、前記(4)式のZを距離とすることで一意に対応付けられる。ここで、CDはメインカメラ2aとサブカメラ2bとの間隔、PWは1画素当たりの視野角、CHはメインカメラ2aとサブカメラ2bの取り付け高さ、IVおよびJVは自車両正面の無限遠点のi座標およびj座標、DPは消失点視差を表す。
【0055】
また、イメージプロセッサ7は、視差dの信頼性を向上させる目的から、このようにして求めた視差dに対してフィルタリング処理を施し、有効とされた視差dのみを出力するようになっている。すなわち、例えば、車道の映像のみからなる特徴に乏しい4×4画素の画素ブロックを比較画像の4画素幅の水平ライン上で走査しても、比較画像の車道が撮像されている部分ではすべて相関が高くなり、対応する画素ブロックが特定されて視差dが算出されてもその視差dの信頼性は低い。そのため、そのような視差dは前記フィルタリング処理で無効とされ、視差dの値として0を出力するようになっている。
【0056】
したがって、イメージプロセッサ7から出力される基準画像Tの各画素の距離Z、すなわち基準画像Tの各画素ブロックについて実空間における距離を算出するための視差dは、通常、基準画像Tの左右方向に隣り合う画素間で輝度値p1ijの差が大きいいわゆるエッジ部分についてのみ有効な値を持つデータとなる。
【0057】
イメージプロセッサ7で算出された基準画像Tの各画素ブロックの視差dは距離データとして画像処理手段6の距離データメモリ8に格納されるようになっている。また、距離データメモリ8には、イメージプロセッサ7から一定の時間間隔をおいて送信されてくる距離データが時系列的に格納されるようになっている。
【0058】
なお、下記の検出手段9における処理では、基準画像Tの1つの画素ブロックは4×4個の画素として扱われ、1画素ブロックに属する16個の画素は同一の視差dを有する独立した画素として処理されるようになっている。なお、以下、距離データメモリ8に記憶されている各画素に視差dが割り付けられた擬似画像を距離画像という。
【0059】
検出手段9は、車線検出手段91と、立体物検出手段92と、走行誘導障害物検出手段93と、過去障害物更新手段94とを備えている。
【0060】
また、検出手段9には、図示しないI/Oインターフェースを介して車速センサやヨーレートセンサ等のセンサ類Aが接続されており、センサ類Aから車速Vやヨーレートγ等が入力されるようになっている。なお、ヨーレートセンサを用いる代わりに、例えば、特開2004−249812号公報に記載の車両運動モデル生成装置等のヨーレート推定装置を接続することも可能である。
【0061】
車線検出手段91は、基準画像Tの各画素の輝度値p1ijと各画素の実空間における距離Zijに基づいて基準画像T上に車線候補点を検出し、検出した車線候補点に基づいて自車両の左右の車線位置を検出するようになっている。
【0062】
車線検出手段91は、基準画像Tから車線位置を検出できるものであればよく、車線位置検出の手法は特定の手法に限定されない。本実施形態では、車線検出手段91は前記特許文献1等に記載の車線認識装置をベースに構成されている。詳細な構成の説明は同公報に委ねるが、以下、簡単にその構成を説明する。
【0063】
車線検出手段91は、画像データメモリ5から基準画像Tの各画素の輝度値p1ijの情報を読み出し、また、距離データメモリ8から距離画像の各画素の視差dの情報を読み出す。そして、基準画像T上の1画素幅の水平ラインj上を左右方向に1画素ずつオフセットしながら探索し、図3に示すように、基準画像Tの各画素の輝度値p1ijに基づいて各画素の輝度微分値すなわちエッジ強度が閾値以上に大きく変化する等の条件を満たす画素を車線候補点(Ij,Jj)としてそれぞれ検出するようになっている。
【0064】
その際、基準画像Tに対応する距離画像に割り付けられた各画素の視差dの情報に基づいて各画素の距離Zijを算出し、検出された画素が道路面上にない場合は除外し、車線候補点としては検出しないようになっている。
【0065】
車線検出手段91は、探索を行う水平ラインjを基準画像Tの下側から上向きに1画素幅ずつオフセットさせながら順次車線候補点の検出を行い、図4に示すように、自車両の右側の領域Aおよび左側の領域Bにそれぞれ車線候補点を検出する。そして、それらの中から整合性を取れない車線候補点を除外して残りの車線候補点を結ぶことで、図5に示すように基準画像T上で自車両の右側に右車線位置LRを、左側に左車線位置LLをそれぞれ検出するようになっている。左右の車線位置LR、LLはそれぞれ実空間における車線位置LR、LLにも変換されるようになっている。
【0066】
なお、車線候補点の探索は、基準画像T上に探索領域を設定して行われるようになっている。すなわち、今回の検出処理では、前回の検出処理で検出された車線位置に基づいてその車線位置を含む基準画像T上の一定の範囲に探索領域を設定する。また、今回の検出で基準画像Tの下側から上向きに水平ラインjを1画素幅ずつオフセットさせながら順次画素の検出を行う際に、ある水平ラインjで前記条件を満たす画素が検出されなかった場合には、次の水平ラインでは探索領域を拡大して車線候補点の探索を行うようになっている。
【0067】
車線検出手段91は、このようにして検出した左右の車線位置LR、LLの情報を図示しないメモリに保存するとともに、装置外に出力するようになっている。
【0068】
立体物検出手段92は、距離画像の各画素の視差dから算出される実空間における距離Zijに基づいて基準画像T上に立体物を検出するようになっている。立体物検出手段92は、道路面より高い位置に存在する立体物を精度良く検出できるものであればよく、検出の手法は特定の手法に限定されない。本実施形態では、立体物検出手段92は前記特許文献5等に記載の車外監視装置をベースに構成されており、詳細な構成の説明は同公報に委ねる。以下、簡単にその構成を説明する。
【0069】
立体物検出手段92は、まず、距離データメモリ8から読み出した距離画像を所定の画素幅で垂直方向に延びる短冊状の区分に分割する。そして、短冊状の各区分に属する各画素の視差dから各画素について距離Zijを算出し、道路面より高い位置に存在すると位置付けられる距離Zijに関するヒストグラムを作成して、度数が最大の区間までの距離をその短冊状の区分に含まれる立体物の距離とする。これを全区分について行う。
【0070】
例えば、図2に示した基準画像Tに対応する距離画像を短冊状の区分に分割して得られた各区分の距離を実空間上の点に変換すると、図6に示すように、立体物の自車両MCに面した部分に対応する部分に多少バラツキを持って各点がプロットされる。
【0071】
立体物検出手段92は、図7に示すように、各点の距離や方向性に基づいて各点をグループG1〜G7にグループ化し、図8に示すように、各点が略X軸方向に並ぶグループには正面O1〜O3とラベルし、各点が略Z軸方向に並ぶグループには側壁W1〜W4とラベルして、立体物を“正面”および“側壁”として検出するようになっている。
【0072】
ここで、X軸方向とは自車両の進行方向に向かって垂直の車幅方向すなわち左右方向、Z軸方向とは車長方向すなわち前後方向をいい、原点はメインカメラ2aおよびサブカメラ2bの中央位置の真下の道路面上の点にとられる。なお、Y軸方向は車高方向すなわち上下方向をいう。
【0073】
立体物検出手段92は、図8中の正面O1と側壁W1のように、“正面”と“側壁”とがそれぞれ1つの立体物に属する場合には、“正面”と“側壁”との組み合わせを立体物Sとして認識し、正面O1と側壁W1との境目のような立体物の角部をコーナー点Cとして算出するように構成されている。
【0074】
このようにして検出された正面On、側壁Wnおよび立体物Snを枠線で囲うようにして基準画像Tに重ねて表示させた場合には、図9に示すような画像として表示される。なお、以下では、正面On、側壁Wnおよび立体物Snをあわせて立体物Snという。
【0075】
立体物検出手段92は、このようにして検出した各立体物Snのグループのそれぞれ左端と右端の座標および高さの情報等をメモリに保存するとともに、装置外に出力するようになっている。
【0076】
走行誘導障害物検出手段93は、立体物検出手段92により検出された各立体物Snの中から図17(A)、(B)に示したような反射材Rが塗布され或いは巻きつけられた走行誘導障害物を検出するようになっている。
【0077】
具体的には、例えば図10に示すような車両や車線、車線分離標等が撮像された基準画像Tから前記立体物検出手段92により検出された図11に示すような立体物S1〜S15に対して、走行誘導障害物検出手段93は、各立体物Snのグループの左端から右端までの実空間上の距離すなわち各立体物Snの幅を算出するようになっている。なお、図10および図11では、立体物S1〜S5等で表される車線分離標の白黒の縞模様の明暗が実際とは逆に示されている。
【0078】
そして、走行誘導障害物検出手段93は、立体物Snの大きさによる選別を行うようになっている。すなわち、立体物Snの幅が予め設定された閾値内にあり、かつ、高さが予め設定された閾値内にある立体物Snを選別し、他の立体物Snを除外するようになっている。
【0079】
本実施形態では、走行誘導障害物の幅の閾値および高さの閾値は、走行誘導障害物が図10等に示した車線分離標である場合とパイロンである場合とで別々に設けられている。車線分離標は、通常、パイロンよりも細く、高さも異なることから、それぞれの閾値はそれらを区別できるように適宜設定される。
【0080】
走行誘導障害物検出手段93は、続いて、前記大きさによる選別で該当するとして選別された立体物Snのそれぞれについて、輝度パターンによる選別を行うようになっている。輝度パターンの検出では、走行誘導障害物検出手段93は、図12に示すように、選別された立体物Snの左右端の中心を上端から下方に向かって1画素ずつオフセットしながら各画素の輝度値p1ijを検出し、さらに各画素の輝度値p1ijとその直下の画素の輝度値との差分Δpをとるようになっている。
【0081】
続いて、走行誘導障害物検出手段93は、図12中にQで示される輝度値の差分Δpが大きく変化する画素部分を走行誘導障害物の反射材がある明部Bと反射材がない暗部Dとの境界として検出し、境界の画素以外の画素部分で各明部Bおよび各暗部Dの輝度値の平均値pbnave、pdnaveをそれぞれ算出する。
【0082】
そして、すべての明部Bについて各明部Bの輝度平均値pbnaveの分布を求めてその最大値と最小値の差Δpbを算出する。また、すべての暗部Dについても各暗部Dの輝度平均値pdnaveの分布を求めてその最大値と最小値の差Δpdを算出する。さらにすべての明部Bの輝度平均値pbaveとすべての暗部Dの輝度平均値pdaveを算出する。
【0083】
走行誘導障害物検出手段93は、各明部Bについての輝度平均値の最大値と最小値の差Δpbおよび各暗部Dについての輝度平均値の最大値と最小値の差Δpdがいずれも所定の規定値以内であり、かつ、すべての明部Bの輝度平均値pbaveとすべての暗部Dの輝度平均値pdaveとの差が所定の規定値以上である場合に、その立体物Snが走行誘導障害物に特有の輝度の繰り返しパターンを有すると判定するようになっている。そして、そのような輝度パターンを有する立体物Snを走行誘導障害物として選別するようになっている。
【0084】
走行誘導障害物検出手段93は、さらに距離画像に基づいて、走行誘導障害物として選別された立体物Snの各明部Bの上下方向の実空間上の長さが反射材として一般的に採用される長さと大きく異なる場合には、その立体物Snを走行誘導障害物から除外するようになっている。
【0085】
走行誘導障害物検出手段93は、このようにして最終的に選別されて生き残った立体物Snを走行誘導障害物として検出するようになっている。
【0086】
また、走行誘導障害物検出手段93は、前記輝度パターンによる選別で走行誘導障害物には該当しないとして除外した立体物Snのうち、検出された走行誘導障害物Knの配置から見て走行誘導障害物である判断される立体物Snを改めて走行誘導障害物として検出するようになっている。
【0087】
本実施形態では、走行誘導障害物検出手段93は、前記のようにして走行誘導障害物として検出した立体物Snの実空間上の位置と、後述する過去障害物更新手段94により更新され記録されている過去の走行誘導障害物の実空間上の位置との配置に基づいてより遠方の立体物Snが走行誘導障害物であるか否かを判断して検出するようになっている。
【0088】
具体的には、図13に示すように、前記輝度パターンによる選別により検出された走行誘導障害物K1〜K3の位置と、自車両の挙動により基準画像T上に見出され得る自車両MCに最も近い位置Pより手前側に移動してしまったために基準画像T上に見出されなくなった過去の走行誘導障害物Kus1〜Kus3の位置の配置に対して最小自乗法を施して曲線Cで曲線近似するようになっている。なお、本実施形態では曲線Cを2次曲線として近似するが、例えばハフ変換等により直線近似することも可能である。
【0089】
続いて、曲線Cを自車両MCから遠方に延長し、前記輝度パターンによる選別で走行誘導障害物には該当しないとして除外された立体物Snのうち、延長された曲線C上または曲線Cから所定距離以内にある立体物Snを改めて走行誘導障害物Knとして検出するようになっている。
【0090】
走行誘導障害物検出手段93は、このようにして検出した各走行誘導障害物Knの情報等をメモリに保存するとともに、装置外に出力するようになっている。
【0091】
過去障害物更新手段94は、自車両の挙動により基準画像T中に見出されなくなった過去の走行誘導障害物Kusを追跡して記録し、それらの実空間上の座標を自車両の挙動に基づいて次回の検出タイミングにおける座標に更新するようになっている。
【0092】
例えば、図10等に示されている走行誘導障害物K1は、自車両が前進したり転回したりすると、基準画像T中には見出されなくなる。しかし、立体物検出手段92により走行誘導障害物K1の実空間上の座標が検出されている。
【0093】
そこで、本実施形態では、過去障害物更新手段94は、車速センサおよびヨーレートセンサから送信されてくる現在の車速Vおよびヨーレートγで自車両MCが前進や転回した場合に、走行誘導障害物K1だった走行誘導障害物すなわち自車両の挙動で基準画像T中に見出されなくなり過去の走行誘導障害物Kus1となる走行誘導障害物の座標が次回の撮像タイミングではどの位置になるかを算出するようになっている。
【0094】
本実施形態では、過去障害物更新手段94は、過去の走行誘導障害物として3個の走行誘導障害物の座標を記憶するようになっており、このように新たに走行誘導障害物を過去の走行誘導障害物として記憶すると、最も過去の走行誘導障害物すなわち図13の例で言えば過去の走行誘導障害物Kus3の記録を抹消するようになっている。
【0095】
また、過去障害物更新手段94は、他の過去の走行誘導障害物の座標についても現在の車速Vおよびヨーレートγに基づいて次回の撮像タイミングにおける座標を算出して更新するようになっている。なお、上記のように新たに過去の走行誘導障害物Kus1が記録される場合、図13の過去の走行誘導障害物Kus1、Kus2はそれぞれ過去の走行誘導障害物Kus2、Kus3としてその座標が更新される。
【0096】
過去障害物更新手段94は、このようにして更新した過去の走行誘導障害物Kus1〜Kus3の座標をメモリに保存するようになっている。これらの座標を装置外に出力するように構成することも可能である。
【0097】
次に、本実施形態に係る走行誘導障害物検出装置1の作用について説明する。
【0098】
走行誘導障害物検出装置1の検出手段9の走行誘導障害物検出手段93は、立体物検出手段92により例えば図11に示した基準画像T中から立体物S1〜S15が検出されると、それらの立体物S1〜S15に対して、各立体物Snのグループの幅と高さがそれぞれ予め設定された閾値内にある立体物S1〜S5と立体物S14を選別し、他の立体物Snを除外する。
【0099】
走行誘導障害物検出手段93は、続いて、選別された立体物S1〜S5と立体物S14に対して前述したような輝度パターンによる選別を行い、立体物の上下方向の輝度変化が一定のパターンを有する立体物S1〜S3を走行誘導障害物K1〜K3として検出し、立体物S4、S5、S14を除外する。
【0100】
しかし、除外された立体物S4、S5、S14は、自車両MCから遠くにある等のために走行誘導障害物であるが輝度パターンが明確に見えなくなっているだけである可能性が残る。
【0101】
そのため、走行誘導障害物検出手段93は、検出した走行誘導障害物K1〜K3の配置や過去障害物更新手段94により自車両の挙動に基づいて位置が更新されている過去の走行誘導障害物Kus1〜Kus3の配置に基づいてそれらの並び方の形状を直線または曲線で近似し、その直線または曲線の延長線上にある立体物S4、S5を走行誘導障害物K4、K5であるとして検出する。
【0102】
立体物S14は、近似された直線または曲線から大きく離れているため走行誘導障害物としては検出されない。
【0103】
なお、例えば、輝度パターンによる選別の結果、立体物S2が走行誘導障害物として検出されず立体物S1とS3のみが走行誘導障害物として検出された場合、立体物S2は、走行誘導障害物S1とS2の配置に基づく近似直線または近似曲線上或いはその近傍に存在する立体物と判定されるため、改めて走行誘導障害物S2として検出される。
【0104】
以上のように、本実施形態に係る走行誘導障害物検出装置1によれば、基準画像T中に検出された立体物Snについて幅や高さに基づいて大きさによる選別を行い、さらに輝度の繰り返しパターンにより選別を行うことで、自車両の前方に存在する立体物の中から車線分離標やパイロン等の走行誘導障害物を的確に検出することが可能となる。
【0105】
そのため、走行誘導障害物である立体物を例えば車両等と誤認識することなく、走行誘導障害物として適切に検出することが可能となる。
【0106】
また、大きさによる選別では選別されたが自車両から遠方にある等の理由で輝度の繰り返しパターンが検出されずに前記走行誘導障害物の検出において除外されてしまった立体物Snについて、検出された走行誘導障害物や基準画像Tに見出されなくなった過去の走行誘導障害物の配置を直線や曲線で近似し、その直線や曲線上或いはその近傍にある立体物は走行誘導障害物として検出する。
【0107】
そのため、輝度の繰り返しパターンが検出されなかった立体物についても的確に走行誘導障害物であるか否かを判断し、走行誘導障害物として適切に検出することが可能となる。
【0108】
なお、本実施形態では、基準画像T上に検出された走行誘導障害物Knの位置と過去の走行誘導障害物Kusnの位置との配置に基づいて直線近似や曲線近似によって輝度パターンが検出されなかった立体物を新たに走行誘導障害物として検出することについて述べた。しかし、基準画像T上に検出された走行誘導障害物Knの配置のみに基づいて直線近似や曲線近似を行うように構成することも可能であり、また、基準画像T上に走行誘導障害物Knが検出されない場合でも、過去の走行誘導障害物Kusnの配置のみに基づいて直線近似や曲線近似を行って基準画像T上の輝度パターンが検出されなかった立体物を新たに走行誘導障害物として検出するように構成することも可能である。
【0109】
[第2の実施の形態]
次に、以下の実施形態では、前記第1の実施形態に係る走行誘導障害物検出装置1を用いた種々の車両用制御装置について説明する。
【0110】
第2の実施形態では、前記第1の実施形態に係る走行誘導障害物検出装置1を用いた車線逸脱防止装置としての車両用制御装置について説明する。本実施形態に係る車両用制御装置10は、図14に示すように、前記第1の実施形態に係る走行誘導障害物検出装置1と、制御装置11と、警報装置12とを備えている。
【0111】
制御装置11は、自車両が走行誘導障害物検出装置1により検出された左右いずれかの車線位置を逸脱する可能性があると判断した場合に、接続された警報装置12にそのスピーカ等から警報を発するように指示を出すようになっている。なお、車線検出手段を前記第1の実施形態に係る走行誘導障害物検出装置1とは別の装置として設けることも可能である。
【0112】
また、制御装置11は、走行誘導障害物検出装置1により検出された走行誘導障害物に自車両が所定距離以内に接近している場合にも、接続された警報装置12にそのスピーカ等から警報を発するように指示を出すようになっている。
【0113】
さらに、制御装置11は、走行誘導障害物検出装置1により検出された走行誘導障害物が左右いずれかの車線の近傍にある場合には、車線のみの場合よりも警報を発するタイミングを早めるようになっている。
【0114】
このように、本実施形態に係る車両用制御装置10によれば、車線分離標等の走行誘導障害物を確実に検出して、自車両がそれに接近する場合に警報を発することで、ドライバの注意を効果的に喚起して車線逸脱を適切に防止することが可能となる。
【0115】
また、走行誘導障害物が近傍に立設され車線逸脱が強く禁止されている車線で、走行誘導障害物がない車線のみの場合よりも警報を発するタイミングを早めることで、ドライバの注意を早期に喚起して車線逸脱を確実に防止し、自車両が走行誘導障害物に接触したり衝突することを的確に防止することが可能となる。
【0116】
なお、警報を発する代わりに或いはそれと並行して、自車両を自動的に走行レーンに引き戻すように各種アクチュエータ等を自動制御するように構成することも可能である。
【0117】
[第3の実施の形態]
第3の実施形態では、前記第1の実施形態に係る走行誘導障害物検出装置1を用いた追従支援装置としての車両用制御装置について説明する。本実施形態に係る車両用制御装置20は、図15に示すように、前記第1の実施形態に係る走行誘導障害物検出装置1と、制御装置21とを備えており、制御装置21には、ステアリングサーボ機能を有する制御システムを含む応動部Bが接続されている。
【0118】
制御装置21は、自車両が走行誘導障害物検出装置1により検出された左右の車線位置に区画される走行レーン内を走行するように、自車両が走行すべきラインを設定し或いは自車両の所定距離前方に目標点を設定し、応動部Bに指示信号を発して車線に対する追従制御を行うようになっている。
【0119】
また、制御装置21は、自車両が走行誘導障害物検出装置1により検出された走行誘導障害物に沿って走行するように応動部Bに指示信号を発して走行誘導障害物に対する追従制御を行うようになっている。
【0120】
さらに、制御装置21は、走行誘導障害物検出装置1により検出された走行誘導障害物が左右いずれかの車線の近傍にある場合には、車線のみの場合よりも車線からの離間距離を拡大して走行レーンの中央に近い位置を走行するように自車両の走行を制御するようになっている。
【0121】
このように、本実施形態に係る車両用制御装置20によれば、車線分離標等の走行誘導障害物を確実に検出して、自車両がそれに沿って走行するように追従制御を行うことで、道路面上に車線が標示されておらず車線分離標等の走行誘導障害物のみが立設されている場合にも自車両をそれに沿って自動走行させることが可能となる。
【0122】
また、走行誘導障害物が近傍に立設され車線逸脱が強く禁止されている車線で、走行誘導障害物がない車線のみの場合よりも車線から大きく離間させることで、車線逸脱を確実に防止し、自車両が走行誘導障害物に接触したり衝突することを的確に防止することが可能となる。
【0123】
[第4の実施の形態]
第1の実施形態に係る走行誘導障害物検出装置1は、走行誘導障害物の幅の閾値および高さの閾値を適切に設定することで、車線分離標とパイロンとを区別して検出することができる。
【0124】
そのため、前記第2および第3の実施形態に係る車両用制御装置10、20の制御装置11、21で、パイロンを検出するように前記閾値を設定し、車線の内側やその近傍に検出された立体物がパイロンである場合には、自車両が走行中の道路が道路工事や土木工事等のために工事中であると判断するように構成することができる。
【0125】
そして、道路が工事中であれば、自車両が走行レーンを逸脱して車線を跨ぐように走行したり隣の走行レーンに車線変更したりすることが想定される。そのため、第2の実施形態に係る車線逸脱防止装置としての車両用制御装置10において、制御装置11を、自車両が走行中の道路が工事中であると判断した場合には車線逸脱回避制御を停止するように構成することができる。
【0126】
このように構成すれば、道路が工事中でドライバが意図的に車線を逸脱しようとする場合には車線逸脱回避制御が停止されるから、ドライバの意図に反して自車両が元の走行レーンに引き戻されるように制御されて走行が不安定になることを防止することが可能となる。
【0127】
また、第3の実施形態に係る車線追従支援装置としての車両用制御装置20では、制御装置21は、自車両が走行誘導障害物検出装置1により検出されたパイロンに沿って走行するように応動部Bに指示信号を発して走行誘導障害物に対する追従制御を行う。そのため、例えば走行レーンの内側にパイロンが置かれている場合には、それに沿って自車両が走行することが可能となり、パイロンとの接触や衝突を適切に回避することが可能となる。
【0128】
なお、第3の実施形態に係る車線追従支援装置としての車両用制御装置20で、制御装置21が、自車両を走行誘導障害物検出装置1により検出されたパイロンに沿って走行させるように構成されていない場合には、車線追従制御を停止するように構成することが好ましい。このように構成すれば、ドライバがパイロンに衝突しないように車線を逸脱しようとする場合に、自車両が無理に元の走行レーンに引き戻されるように制御されて走行が不安定になることを防止することが可能となる。
【0129】
[第5の実施の形態]
第5の実施形態に係る車両用制御装置30は、図16に示すように、前記第1の実施形態に係る走行誘導障害物検出装置1と、制御装置31と、情報収集手段32としてのレーダ装置とを備えている。本実施形態に係る車両用制御装置30は、例えば、自車両の周囲の先行車を検出するための先行車検出装置として用いることができる。
【0130】
レーダ装置は自車両の先端に設けられており、例えば30GHzから100GHzの電波を自車両周囲に送信し、反射されて戻ってくる電波を受信することで、自車両周囲の立体物の位置や大きさ等の情報を収集するようになっている。レーダ装置は、送受信データを制御装置31に送信するようになっている。
【0131】
制御装置31は、レーダ装置から送信されてくる送受信データに基づいて電波が立体物に反射されて戻ってくるまでの時間差を計測し、自車両から立体物までの相対距離を算出するようになっている。また、前記相対距離の分布状態から、同一の距離の値が連続する部分を1つの立体物として抽出し、図示しないメモリに記録するようになっている。
【0132】
また、制御装置31は、前回抽出された立体物のデータをメモリから読み出して、今回抽出した立体物と同一である確率を求め、確率が予め設定された閾値以上であれば今回抽出したデータで立体物のデータを更新して立体物として継続登録するようになっている。また、対応する過去のデータがない場合には新たな立体物として登録するようになっている。
【0133】
さらに、制御装置31は、走行誘導障害物検出装置1から送信されてくる走行誘導障害物の位置等の情報と、レーダ装置からの送受信データに基づいて収集された立体物の位置等の情報とを対照して、位置がほぼ一致し、大きさが所定範囲内で対応する場合には、レーダ装置からの送受信データに基づいて収集された立体物を走行誘導障害物として認識し、その立体物に走行誘導障害物としてラベル付けをしてメモリに記録するようになっている。
【0134】
また、本実施形態では、制御装置31は、自車両から見て走行誘導障害物として認識された立体物より外側にある立体物を、立体物との距離を調整する制御の制御対象から除外するようになっている。すなわち、車両用制御装置30は例えば先行車検出装置として用いられている場合には、走行誘導障害物の外側にある立体物を先行車として検出せず、例えばメモリから抹消するようになっている。
【0135】
このように、本実施形態に係る車両用制御装置30によれば、レーダ装置により抽出された立体物の情報と走行誘導障害物検出装置1により検出された走行誘導障害物の情報とを対照して、対応する立体物を走行誘導障害物として認識することで、走行誘導障害物を例えば先行車と誤認識することを確実に防止することが可能となる。
【0136】
また、自車両から見て走行誘導障害物の外側にある車両は走行誘導障害物を乗り越えて自車両の走行レーンに進入してくることは通常の状態では考え難い。そのため、前記のように立体物の中から走行誘導障害物を特定し、その外側にある立体物を立体物との距離を調整する制御の制御対象から除外することで制御のための演算処理を軽減することが可能となり、制御装置31の演算負荷を低減することが可能となるとともに、処理速度の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】第1の実施形態に係る走行誘導障害物検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】基準画像の一例を示す図である。
【図3】水平ラインj上に検出された車線候補点を説明する図である。
【図4】検出された車線候補点を示す図である。
【図5】最終的に検出された右車線位置および左車線位置を示す図である。
【図6】距離画像の各区分の距離を実空間上の点としてプロットした図である。
【図7】図6の各点をグループ化して形成された各グループを示す図である。
【図8】図7の各グループをラベルして検出された物体と側壁を示す図である。
【図9】物体や側壁を示す枠線を重ね合わせて表示した基準画像を示す図である。
【図10】車線分離標が撮像された基準画像の一例を示す図である。
【図11】図10の基準画像中に検出された立体物を表す図である。
【図12】各画素の輝度値およびその差分のパターンを表すグラフである。
【図13】検出された走行誘導障害物、過去の走行誘導障害物および曲線Cを表す図である。
【図14】第2の実施形態に係る車両用制御装置の構成を示すブロック図である。
【図15】第3の実施形態に係る車両用制御装置の構成を示すブロック図である。
【図16】第5の実施形態に係る車両用制御装置の構成を示すブロック図である。
【図17】(A)は車線分離標の例を表す図であり、(B)はパイロンの例を表す図である。
【符号の説明】
【0138】
1 走行誘導障害物検出装置
2 撮像手段
6 画像処理手段
9 検出手段
91 車線検出手段
10、20、30 車両用制御装置
11、21、31 制御装置
12 警報装置
32 情報収集手段
p1ij 輝度値
MC 自車両
T 基準画像
Zij 距離
Sn 立体物
Kn 走行誘導障害物
Kusn 過去の走行誘導障害物
C 曲線
LR、LL 車線位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両前方の道路を含む風景を撮像して画素ごとに輝度値を有する一対の画像を出力する撮像手段と、
前記撮像された一対の画像に基づいて少なくとも一方の画像の各画素について実空間における距離を算出する画像処理手段と、
前記輝度値および前記距離の情報に基づいて前記一方の画像から立体物を検出し、前記立体物の実空間上の大きさを算出する検出手段と
を備え、
前記検出手段は、前記立体物の実空間上の大きさが予め設定された閾値以内で、かつ前記一方の画像中に検出された前記立体物の上下方向の輝度変化が一定のパターンを有する場合にその立体物を走行誘導障害物として検出することを特徴とする走行誘導障害物検出装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記立体物の実空間上の位置を算出するとともに前記一方の画像中に走行誘導障害物として検出された複数の立体物の配置を直線または曲線で近似し、近似により得られた直線または曲線を自車両から遠方の領域に延長し、延長された直線上または曲線上にある前記検出された立体物を走行誘導障害物として検出することを特徴とする請求項1に記載の走行誘導障害物検出装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記立体物の実空間上の位置を算出するとともに自車両の挙動により前記一方の画像中に見出されなくなった過去の走行誘導障害物の位置を前記自車両の挙動に基づいて更新して記録し、前記過去の走行誘導障害物の位置と、前記一方の画像中に走行誘導障害物として検出された立体物の位置との配置を直線または曲線で近似し、近似により得られた直線または曲線を自車両から遠方の領域に延長し、延長された直線上または曲線上またはその近傍にある前記検出された立体物を走行誘導障害物として検出することを特徴とする請求項1に記載の走行誘導障害物検出装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の走行誘導障害物検出装置と、
自車両周囲の立体物についての情報を前記撮像手段以外により収集する情報収集手段と、
前記情報収集手段により収集された立体物の情報と、前記走行誘導障害物検出装置により検出された走行誘導障害物の情報とが対応する場合に、前記立体物を走行誘導障害物として認識する制御装置を有することを特徴とする車両用制御装置。
【請求項5】
前記制御装置は、自車両から見て前記走行誘導障害物として認識された立体物より外側にある立体物を、立体物との距離を調整する制御の制御対象から除外することを特徴とする請求項4に記載の車両用制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の走行誘導障害物検出装置と、
ドライバに対して警報を発する警報装置と、
自車両が前記走行誘導障害物として認識された立体物に接近している場合、前記警報装置に警報を出力させる制御装置を有することを特徴とする車両用制御装置。
【請求項7】
自車両の左右に車線を検出する車線検出手段を備え、
前記制御装置は、前記車線検出手段により検出された車線に自車両が接近している場合に警報を発し、前記走行誘導障害物として認識された立体物が前記車線検出手段により検出された車線の近傍にある場合には、車線のみの場合よりも警報を発するタイミングを早めることを特徴とする請求項6に記載の車両用制御装置。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の走行誘導障害物検出装置と、
前記走行誘導障害物として認識された立体物に沿って走行するように自車両の走行を制御する制御装置を有することを特徴とする車両用制御装置。
【請求項9】
自車両の左右に車線を検出する車線検出手段を備え、
前記制御装置は、前記車線検出手段により検出された車線に沿って自車両が走行するように自車両の走行を制御し、前記走行誘導障害物として認識された立体物が前記車線検出手段により検出された車線の近傍にある場合には、車線のみが検出された場合よりも車線からの離間距離を拡大して走行するように自車両の走行を制御することを特徴とする請求項8に記載の車両用制御装置。
【請求項10】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の走行誘導障害物検出装置と、
自車両の左右に車線を検出する車線検出手段と、
前記車線検出手段により検出された車線の内側またはその近傍に検出された立体物であって前記走行誘導障害物として認識された立体物がパイロンであるか否かを判断し、パイロンである場合には自車両が走行中の道路が工事中であると判断する制御装置を有することを特徴とする車両用制御装置。
【請求項11】
前記制御装置は、自車両が走行中の道路が工事中であると判断した場合には、車線逸脱の回避制御を停止することを特徴とする請求項10に記載の車両用制御装置。
【請求項12】
前記制御装置は、自車両が走行中の道路が工事中であると判断した場合には、車線追従制御を停止することを特徴とする請求項10に記載の車両用制御装置。
【請求項13】
前記制御装置は、自車両が走行中の道路が工事中であると判断した場合には、自車両が前記パイロンに沿って走行するように追従制御を行うことを特徴とする請求項10に記載の車両用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−280132(P2007−280132A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106701(P2006−106701)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】