超仕上げ砥石の製造方法、その方法により製造された超仕上げ砥石、及び、転がり軸受の超仕上げ方法
【課題】砥石交換後1個目から精度のよい超仕上げ加工が可能な転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石の製造方法、その方法により製造された超仕上げ砥石、及び、転がり軸受の超仕上げ方法を提供する。
【解決手段】ロータリードレッサー50で成形される、転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石の製造方法であって、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して超仕上げ砥石の中心線Yをオフセットさせた状態で、超仕上げ砥石の先端部11をロータリードレッサー50に押し付けて成形する少なくとも2回のプランジ加工を行うことで先端部11の一方側と他方側にそれぞれ湾曲面12a、12bを形成させて、先端の尖った頂部13を形成する。
【解決手段】ロータリードレッサー50で成形される、転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石の製造方法であって、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して超仕上げ砥石の中心線Yをオフセットさせた状態で、超仕上げ砥石の先端部11をロータリードレッサー50に押し付けて成形する少なくとも2回のプランジ加工を行うことで先端部11の一方側と他方側にそれぞれ湾曲面12a、12bを形成させて、先端の尖った頂部13を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石の製造方法、その方法により製造された超仕上げ砥石、及び、転がり軸受の超仕上げ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、転がり軸受の軌道面は、軸受の内輪または外輪を回転させて軌道面に砥石を押圧接触させて超仕上げを行っている。ところが、新しく交換した砥石は棒状であるので軌道面形状と一致していないため、目残りや精度不良を生じさせる可能性が高い。
【0003】
例えば、玉軸受の軌道溝を超仕上げ加工する場合には、研削の目残りや精度不良を防ぐため、交換した砥石を交換直後に軌道溝の形状になじませる必要がある。そこで、砥石の先端形状を特殊な形状に形成し、砥石交換直後から砥石を軌道溝の形状にならわせ、研削の目残りや精度不良を生じさせることを防止する方法が知られている。
【0004】
特許文献1には、砥石の先端を外輪の軌道溝の曲率半径よりも若干大きい曲率半径の円筒面部分と、この円筒面部分の軸方向両側に続く先細り部分とからなる形状にすることが記載されている。そして、砥石の形状を上記のようにしておくことにより、軌道溝と砥石の接触面積が小さくなって面圧が上がり、砥粒の脱落が進行しやすくなる。これにより、砥石の形状が短時間で軌道溝の形状にならい、いわゆるあたりが連続するようになる。その結果、研削の目残りが発生せず、精度不良による加工不良品として廃棄や再加工がなくなり、砥石交換直後の1つめの軸受から良品とすることができることが記載されている。しかしながら、特許文献1には、砥石の先端形状が特殊な形状を有しているにもかかわらず、砥石の製造方法については何ら記載されていない。
【0005】
従来から、玉軸受の軌道溝加工用の従来の超仕上げ砥石の成形を容易かつ低コストで行う方法として、図9(a)及び(b)に示すような断面略円弧状のドレス溝51が設けられたロータリードレッサー50で成形されるのが一般的である。
【0006】
例えば、図10に示すように、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石100の中心線Yを合わせて砥石100の先端部をドレス溝51に押し付けて成形すると、またぎ方向から見ると先端部に向かって凸となる円弧状であり、幅方向(紙面に垂直な方向)から見ると凹状に窪んだ形状となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第2600506号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記したように、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石の中心線Yを合わせて先端部を形成した砥石100は、内輪の軌道溝形状には一致するものの、外輪1の軌道溝形状とまたぎ方向には一致せず凹形状となるため(図11参照)、外輪1の軌道溝2の形状にならうまでに、即ち、図11の点線で示した軌道溝2の形状に沿うような形状に成形されるまでに、時間を要するという問題があった。
【0009】
本発明は、上述の様な事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、既存の設備を利用して砥石交換後1個目から精度のよい超仕上げ加工が可能な転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石の製造方法、その方法により製造された超仕上げ砥石、及び、転がり軸受の超仕上げ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成される。
(1)ロータリードレッサーで成形される、転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石の製造方法であって、
前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して前記超仕上げ砥石の中心線をオフセットさせた状態で、前記超仕上げ砥石の先端部を前記ロータリードレッサーに押し付けて成形する少なくとも2回のプランジ加工を行うことで前記先端部の一方側と他方側にそれぞれ湾曲面を形成させて、先端の尖った第1の頂部を形成することを特徴とする超仕上げ砥石の製造方法。
(2)前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して前記超仕上げ砥石の中心線を、前記超仕上げ砥石のまたぎ幅の半分の長さ分オフセットさせることを特徴とする上記(1)に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
(3)前記超仕上げ砥石の中心線を前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して平行に維持しながらオフセットさせることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
(4)前記少なくとも2回のプランジ加工は、前記先端部の一方側に湾曲面を形成する1回目のプランジ加工と、前記先端部の他方側に湾曲面を形成する2回目のプランジ加工と、を含み、
前記1回目のプランジ加工と前記2回目のプランジ加工との間で、前記砥石をまたぎ方向に上下反転させて、前記1回目のプランジ加工と前記2回目のプランジ加工とを前記ロータリードレッサーの同じ位置で行うことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の超仕上げ砥石の製造方法。
(5)前記少なくとも2回のプランジ加工は、前記先端部の一方側に湾曲面を形成する1回目のプランジ加工と、前記先端部の他方側に湾曲面を形成する2回目のプランジ加工と、を含み、
前記1回目のプランジ加工と前記2回目のプランジ加工との間で、前記砥石をまたぎ方向に上下反転させずに、前記1回目のプランジ加工と前記2回目のプランジ加工とを前記ロータリードレッサーの中心軸線に対し線対称の位置で行うことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の超仕上げ砥石の製造方法。
(6)ロータリードレッサーで成形される、転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石の製造方法であって、
前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して前記超仕上げ砥石の中心線を傾斜させた状態で、前記超仕上げ砥石の先端部を前記ロータリードレッサーの中心軸線に対し垂直に移動させることで成形する少なくとも2回のトラバース加工を行うことで前記先端部の一方側と他方側にそれぞれ傾斜面を形成させて、先端の尖った第1の頂部を形成することを特徴とする超仕上げ砥石の製造方法。
(7)前記少なくとも2回のトラバース加工は、前記先端部の一方側に傾斜面を形成する1回目のトラバース加工と、前記先端部の他方側に傾斜面を形成する2回目のトラバース加工と、を含み、
前記1回目のトラバース加工と前記2回目のトラバース加工との間で、前記砥石をまたぎ方向に上下反転させて、前記1回目のトラバース加工と前記2回目のトラバース加工とを同じ方向から行うことを特徴とする上記(6)に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
(8)前記少なくとも2回のトラバース加工は、前記先端部の一方側に傾斜面を形成する1回目のトラバース加工と、前記先端部の他方側に傾斜面を形成する2回目のトラバース加工と、を含み、
前記1回目のトラバース加工と前記2回目のトラバース加工との間で、前記砥石をまたぎ方向に上下反転させずに、前記1回目のトラバース加工と前記2回目のトラバース加工とを反対方向から行うことを特徴とする上記(6)に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
(9)前記第1の頂部を形成した後、さらに、前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して前記超仕上げ砥石の中心線をあわせて、前記第1の頂部を前記ロータリードレッサーに押し付けて成形するプランジ加工を行うことで、先端の尖った2つの第2の頂部を形成することを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の超仕上げ砥石の製造方法。
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の超仕上げ砥石の製造方法によって製造されたことを特徴とする、転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石。
(11)上記(10)に記載の超仕上げ砥石を用いて、前記超仕上げ砥石の第1の頂部又は第2の頂部を前記外輪軌道に押圧して超仕上げ加工をすることを特徴とする転がり軸受の超仕上げ方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、超仕上げ砥石がロータリードレッサーで成形されるので、既存の設備を利用して、精度のよい超仕上げ加工が可能な超仕上げ砥石を低コストで容易に製造することができる。また、超仕上げ砥石は、幅方向から見た先端部形状が全体として凸状で、超仕上げ加工の対象である外輪の形状になじむ(連続的に当たるようになる)までに要する砥石の摩耗量が少なくてすむ。また、先端部に先端の尖った第1の頂部を有するので、軌道溝と砥石の接触面積が小さくなり面圧が上がり砥石の脱落が進行しやすくなり、短時間であたりが連続するようになる。その結果、研削目残りが発生せず加工不良品として廃棄、再加工することがなくなり、交換後1個目から精度のよい超仕上げ加工が可能となる。
さらに、上記(9)の場合、より外輪の形状になじむまでに要する砥石の摩耗量を少なくできるので、さらに短時間で当たりが連続するようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の超仕上げ砥石の第1実施形態の製造方法を説明する説明図であり、(a)は1回目のプランジ加工を説明する説明図であり、(b)は2回目のプランジ加工を説明する説明図である。
【図2】本発明の一実施形態の製造方法で製造された超仕上げ砥石の先端部の斜視図である。
【図3】(a)は超仕上げ砥石の先端部をまたぎ方向(図2のIIIA)から見た図であり、(b)は超仕上げ砥石の先端部を幅方向(図2のIIIB)から見た図である。
【図4】図1の製造方法で製造された超仕上げ砥石を用いて、玉軸受の外輪の超仕上げを説明する説明図である。
【図5】本発明の超仕上げ砥石の第2実施形態の製造方法を説明する説明図であり、(a)は1回目のトラバース加工を説明する説明図であり、(b)は2回目のトラバース加工を説明する説明図である。
【図6】図5(a)の1回目のトラバース加工後の超仕上げ砥石の先端部の斜視図である。
【図7】本発明の超仕上げ砥石の第3実施形態の製造方法を説明する説明図である。
【図8】図7の製造方法で製造された超仕上げ砥石を用いて、玉軸受の外輪の超仕上げを説明する説明図である。
【図9】(a)はロータリードレッサーを上方から見た図であり、(b)は(a)のIXB-IXB線断面図である。
【図10】従来のロータリードレッサーで砥石を成形する方法を説明する説明図である。
【図11】図10で成形された砥石で外輪の軌道溝を超仕上げ加工している状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態に係る超仕上げ砥石の製造方法について図面を参照して詳細に説明する。なお、超仕上げ砥石(以下、単に砥石と呼ぶ。)の製造に用いられるロータリードレッサーは、図9に示した従来と同様のものであるため、説明は省略する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、本発明の超仕上げ砥石の第1実施形態の製造方法を説明する説明図である。
先ず、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石10Aの中心線Yをオフセットさせた状態で配置する。具体的には、砥石10Aの中心線Yが直交線Xと平行になるように維持し、砥石10Aのまたぎ幅(T)の例えば半分の長さ(T/2)の位置だけまたぎ方向上方にずらした状態に配置する。この状態で、砥石10Aを直交線Xと平行にロータリードレッサー50側に移動させてロータリードレッサー50のドレス溝51に押し付けて成形する1回目のプランジ加工を行う。これにより、砥石10Aの先端部11の一方側の面16が円弧状に成形され、先端部11の一方側に第1湾曲面12aが形成される。
【0015】
続いて、砥石10Aをまたぎ方向に上下反転させて、ロータリードレッサー50に対して同じ位置に砥石10Aを配置する。即ち、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石10Aのまたぎ幅(T)の半分の長さ(T/2)の位置だけまたぎ方向上方にずらした位置に、砥石10Aの中心線Yが一致するように配置する。このとき、砥石10Aを反転させることで、第1湾曲面12aがまたぎ方向上方を向くことなり、成形されていない他方側の面18が下方を向いてロータリードレッサー50の近くに配置される。この状態で、砥石10Aを直交線Xと平行にロータリードレッサー50側に移動させてロータリードレッサー50のドレス溝51に押し付けて成形する2回目のプランジ加工を行う。これにより、砥石10Aの先端部11の他方側の面18も円弧状に成形され、先端部11の他方側にも第2湾曲面12bが形成される。
【0016】
図2は第1実施形態の製造方法で製造された砥石の先端部の斜視図であり、図3(a)は超仕上げ砥石の先端部をまたぎ方向(図2のIIIA)から見た図であり、図3(b)は超仕上げ砥石の先端部を幅方向(図2のIIIB)から見た図である。
このように製造された砥石10Aは、先端部11のまたぎ方向中央に円弧状の頂部13を有し、頂部13は、互いに中心位置の異なる円弧状の第1及び第2湾曲面12a、12bにより、先端に向かうに従ってまたぎ幅が減少するように、鋭利な尖った形状を有している。
【0017】
なお、上記実施形態では、砥石10Aを反転させて、1回目のプランジ加工と同じ位置に砥石10Aを配置することで2回目のプランジ加工を行ったが、これに限らず、1回目のプランジ加工位置とまたぎ方向で対称位置、即ち、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石10Aのまたぎ幅(T)の半分の長さ(T/2)の位置だけまたぎ方向下方にずらした位置に、砥石10Aの中心線Yが直交線Xと平行になるように維持し、砥石10Aを反転させずに2回目のプランジ加工してもよい。また、砥石10Aの初期形状は、典型的には直方体であるが、特にこれに限定されるものではない。
【0018】
また、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対する、砥石10Aの中心線Yの距離は任意に調整することができる。
【0019】
図4は、図1の製造方法で製造された玉軸受の外輪の超仕上げ処理を説明する説明図である。
加工対象である玉軸受(図示せず)の外輪1は、加工時に回転機構(図示せず)によって回転される。この外輪1は、転動体(図示せず)が転がり接触する軌道溝2を有し、この軌道溝2の回転中心軸を含む断面の曲率中心軸回りで砥石10Aが押圧機構によって押圧されつつ揺動することになる。
【0020】
外輪1の軌道溝2を超仕上げ処理する場合、砥石10Aが所定の揺動振幅で揺動しながら加圧して軌道溝2を超仕上げする。このとき、またぎ方向の先端部形状(幅方向から見た先端部形状)が全体として凸状で、超仕上げ加工に伴い砥石10Aの形状が外輪の形状になじむまでの砥石10Aの摩耗量が少なくてすむ。また、砥石10Aの頂部13が尖っているため、軌道溝2と砥石10Aの接触面積が小さくなり面圧が上がり砥石10Aの脱落が進行しやすくなり、短時間であたりが連続するようになる。したがって、交換した砥石10Aは、極めて迅速に、外輪1の軌道溝2になじむこととなる。図4中の点線は、所定時間経過後、外輪1の軌道溝2になじんだ砥石10Aの形状を示している。
【0021】
以上説明したように、本実施形態に記載の砥石10Aの製造方法によれば、ロータリードレッサー50で砥石10Aが成形されるので、既存の設備を利用して、玉軸受の外輪軌道溝加工用の砥石10Aを製造することができる。
【0022】
また、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石10Aの中心線Yをオフセットさせた状態で、砥石10Aの先端部11をドレス溝51に押し付けて成形する少なくとも2回のプランジ加工を行うことで先端部11の一方側と他方側にそれぞれ湾曲面(第1湾曲面12a、第2湾曲面12b)を形成させて、先端の尖った頂部13を形成するので、外輪1の形状になじむまでに脱落する砥石10Aの量が少なくてすみ、また、外輪1の軌道溝2と砥石10Aの接触面積が小さくなり面圧が上がり砥石10Aの脱落が進行しやすくなり、短時間であたりが連続するようになる。その結果、研削目残りが発生せず加工不良品として廃棄、再加工することがなくなり、交換後1個目から外輪1の軌道溝2を精度よく超仕上げ加工することが可能となる。
【0023】
<第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態の砥石の製造方法について説明する。
図5は、本発明の超仕上げ砥石の第2実施形態の製造方法を説明する説明図である。
先ず、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石10Bの中心線Yを所定角度αだけ傾斜させた状態で配置する。具体的には、砥石10Bの中心線Yが直交線Xに対し所定角度αだけ後傾させることで、先端部11が後端部よりも上方に位置するように砥石10Bを維持する。この状態で、砥石10Bを直交線Xに対して垂直に上方から下方に移動させながらドレス溝51を通過させることで1回目のトラバース加工を行う。これにより、図6に示すように砥石10Bの一方側の面16から他方側の面18に向かって先端部11の一方側の面から他方側の面にかけて直線状に成形され、先端部11に幅方向から見ると直線状で、またぎ方向から見ると湾曲した形状の第1傾斜面12a′が形成される。このとき、成形量は一方側の面16で多くなる。
【0024】
続いて、一度トラバース加工した砥石10Bをまたぎ方向に上下反転させて、ロータリードレッサー50に対して砥石10Bを配置する。即ち、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石10Bの中心線Yを所定角度αだけ後傾させることで、先端部11が後端部よりも上方に位置するように配置する。このように砥石10Bを反転させることで、先端部11の一方側の面16が上方を向くことなり、他方側の面18が下方を向いてロータリードレッサー50に近くに配置される。この状態で、先ほどの同様に、砥石10Bを直交線Xに対して垂直に上方から下方に移動させながらドレス溝51を通過させることで2回目のトラバース加工を行う。これにより、砥石10Bの先端部11の他方側の面18も一方側の面16の成形量と同じだけ直線状に成形され、先端部11の一方側に第1傾斜面12a′が形成され、他方側に第2傾斜面12b′が形成され、先端部11のまたぎ方向中央に頂部13が形成される。頂部13は、第1及び第2傾斜面12a′、12b′により、先端に向かうに従ってまたぎ幅が減少するような尖った形状を有する。
【0025】
このように、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石10Bの中心線Yを傾斜させた状態で、砥石10Bの先端部11がドレス溝51を通過するように成形する少なくとも2回のトラバース加工を行うことで先端部11の一方側と他方側にそれぞれ傾斜面(第1傾斜面12a′、第2傾斜面12b′)を形成させて、先端の尖った頂部13を形成することができ、既存の設備を利用して、精度のよい超仕上げ加工が可能な砥石10Bを製造することができる。砥石10Bは、第1実施形態の砥石10Aと同様に、全体として先端が凸状なので外輪1の形状になじむまでに脱落する砥石10Bの量は少なくてすむ。また、砥石10Bの頂部13が尖っているため、軌道溝2と砥石10Bの接触面積が小さくなり面圧が上がり砥石10Bの脱落が進行しやすくなり、短時間であたりが連続するようになる。その結果、研削目残りが発生せず加工不良品として廃棄、再加工することがなくなり、交換後1個目から精度のよい超仕上げ加工が可能となる。
【0026】
なお、上記第2実施形態では、2回のトラバース加工を同じ方向(図5で上方から下方に向かう方向)としたが、2回目のトラバース加工を逆方向(図5で下方から上方に向かう方向)にトラバース加工するようにしてもよい。即ち、砥石10Bを上下反転させず、角度αだけ先端部11が後端部より下方に位置するように砥石10Bを維持し、下方から上方へ2回目のトラバース加工を行うようにしてもよい。
【0027】
<第3実施形態>
続いて、本発明の第3実施形態の砥石の製造方法について説明する。
図7は、本発明の超仕上げ砥石の第3実施形態の製造方法を説明する説明図である。
【0028】
本実施形態の製造方法は、第1実施形態において製造された砥石10Aをさらに、ロータリードレッサー50で成形するものである。第1実施形態において製造された砥石10Aは、上述したように、先端部11のまたぎ方向中央に円弧状の頂部13を有し、頂部13が、互いに中心位置の異なる円弧状の第1及び第2湾曲面12a、12bにより、先端に向かうに従ってまたぎ幅が減少するように、鋭利な尖った形状を有している。
【0029】
この砥石10Aの中心線Yを、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xにあわせて、頂部13をドレス溝51に押し付けてプランジ加工することで、2つの円弧状の頂部14を形成する。
【0030】
このように製造された砥石10Cは、先端部11の中心線Yを挟んで両側に円弧状の頂部14を有し、頂部14は、互いに中心位置の異なる円弧状の第1及び第2湾曲面12a、12bと頂部14、14間に位置する第3湾曲面12cにより、頂部14の先端に向かうに従ってまたぎ幅が減少するように、鋭利な尖った形状を有している。
【0031】
図8は、図7の製造方法で製造された玉軸受の外輪の超仕上げを説明する説明図である。
外輪1の軌道溝2を超仕上げ処理する場合、砥石10Cが所定の揺動振幅で揺動しながら加圧して軌道溝2を超仕上げする。このとき、交換した砥石10Cは、第1実施形態の砥石10Aに比べて外輪1の軌道溝2になじむまでに、除去される砥石10Cの量が少ないため、より短時間であたりが連続するようになる。また、砥石10Cの頂部14が尖っているため、軌道溝2と砥石10Cの接触面積が小さくなり面圧が上がり砥石10Cの脱落が進行しやすくなり、短時間であたりが連続するようになる。その結果、研削目残りが発生せず加工不良品として廃棄、再加工することがなくなり、交換後1個目から精度のよい超仕上げ加工が可能となる。図8中の点線は、所定時間経過後、外輪1の軌道溝2になじんだ砥石10Cの形状を示している。
【0032】
なお、第2実施形態において製造された砥石10Bを、上記と同様に、さらにロータリードレッサー50で成形することにより、同様に2つの頂部14を有する砥石を得るようにしてもよい。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に記載の砥石10Cの製造方法においても、ロータリードレッサー50で砥石10Cが成形されるので、既存の設備を利用して、低コスト且つ容易に精度のよい超仕上げ加工が可能な超仕上げ砥石を製造することができる。
【0034】
また、第1及び第2実施形態に記載の方法で砥石10A、10Bに頂部13を形成した後、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石10A、10Bの中心線Yをあわせて、頂部13をドレス溝51に押し付けてプランジ加工することで、円弧状の2つの頂部14が、先端に向かうに従ってまたぎ幅が減少するように鋭利な形状を有する砥石10Cが製造される。これにより、外輪1の形状にならうようになるまでに除去される砥石10Cの量が少なくてすみ、また、外輪1の軌道溝2と砥石10Cの接触面積が小さくなり面圧が上がり砥石10Cの脱落が進行しやすくなり、短時間であたりが連続するようになる。その結果、研削目残りが発生せず加工不良品として廃棄、再加工することがなくなり、交換後1個目から精度のよい超仕上げ加工が可能となる。
【0035】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、適宜、変更、改良等が可能である。
例えば、上記実施形態では、玉軸受用外輪を加工対象とする場合を述べたが、円筒状あるいは円錐状のころを転動体とする転がり軸受を加工対象とする超仕上げ砥石にも適用できる。この場合、ロータリードレッサーの外周面は、円筒状等のものを用いて上記各実施形態のいずれかの方法で成形を行うことにより、幅方向に直線状の断面形状の砥石を得ることができる。外輪の軌道面を超仕上げ加工する際は、外輪の軸方向に往復直線運動となるように揺動させる。
【符号の説明】
【0036】
1 外輪
2 軌道溝
10A、10B、10C 超仕上げ砥石
11 先端部
12a 第1湾曲面(湾曲面)
12b 第2湾曲面(湾曲面)
12a′ 第1傾斜面(傾斜面)
12b′ 第2傾斜面(傾斜面)
13 第1の頂部(頂部)
14 第2の頂部(頂部)
50 ロータリードレッサー
51 ドレス溝
O ロータリードレッサーの中心軸線
X 直交線
Y 超仕上げ砥石の中心線
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石の製造方法、その方法により製造された超仕上げ砥石、及び、転がり軸受の超仕上げ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、転がり軸受の軌道面は、軸受の内輪または外輪を回転させて軌道面に砥石を押圧接触させて超仕上げを行っている。ところが、新しく交換した砥石は棒状であるので軌道面形状と一致していないため、目残りや精度不良を生じさせる可能性が高い。
【0003】
例えば、玉軸受の軌道溝を超仕上げ加工する場合には、研削の目残りや精度不良を防ぐため、交換した砥石を交換直後に軌道溝の形状になじませる必要がある。そこで、砥石の先端形状を特殊な形状に形成し、砥石交換直後から砥石を軌道溝の形状にならわせ、研削の目残りや精度不良を生じさせることを防止する方法が知られている。
【0004】
特許文献1には、砥石の先端を外輪の軌道溝の曲率半径よりも若干大きい曲率半径の円筒面部分と、この円筒面部分の軸方向両側に続く先細り部分とからなる形状にすることが記載されている。そして、砥石の形状を上記のようにしておくことにより、軌道溝と砥石の接触面積が小さくなって面圧が上がり、砥粒の脱落が進行しやすくなる。これにより、砥石の形状が短時間で軌道溝の形状にならい、いわゆるあたりが連続するようになる。その結果、研削の目残りが発生せず、精度不良による加工不良品として廃棄や再加工がなくなり、砥石交換直後の1つめの軸受から良品とすることができることが記載されている。しかしながら、特許文献1には、砥石の先端形状が特殊な形状を有しているにもかかわらず、砥石の製造方法については何ら記載されていない。
【0005】
従来から、玉軸受の軌道溝加工用の従来の超仕上げ砥石の成形を容易かつ低コストで行う方法として、図9(a)及び(b)に示すような断面略円弧状のドレス溝51が設けられたロータリードレッサー50で成形されるのが一般的である。
【0006】
例えば、図10に示すように、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石100の中心線Yを合わせて砥石100の先端部をドレス溝51に押し付けて成形すると、またぎ方向から見ると先端部に向かって凸となる円弧状であり、幅方向(紙面に垂直な方向)から見ると凹状に窪んだ形状となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第2600506号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記したように、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石の中心線Yを合わせて先端部を形成した砥石100は、内輪の軌道溝形状には一致するものの、外輪1の軌道溝形状とまたぎ方向には一致せず凹形状となるため(図11参照)、外輪1の軌道溝2の形状にならうまでに、即ち、図11の点線で示した軌道溝2の形状に沿うような形状に成形されるまでに、時間を要するという問題があった。
【0009】
本発明は、上述の様な事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、既存の設備を利用して砥石交換後1個目から精度のよい超仕上げ加工が可能な転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石の製造方法、その方法により製造された超仕上げ砥石、及び、転がり軸受の超仕上げ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成される。
(1)ロータリードレッサーで成形される、転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石の製造方法であって、
前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して前記超仕上げ砥石の中心線をオフセットさせた状態で、前記超仕上げ砥石の先端部を前記ロータリードレッサーに押し付けて成形する少なくとも2回のプランジ加工を行うことで前記先端部の一方側と他方側にそれぞれ湾曲面を形成させて、先端の尖った第1の頂部を形成することを特徴とする超仕上げ砥石の製造方法。
(2)前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して前記超仕上げ砥石の中心線を、前記超仕上げ砥石のまたぎ幅の半分の長さ分オフセットさせることを特徴とする上記(1)に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
(3)前記超仕上げ砥石の中心線を前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して平行に維持しながらオフセットさせることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
(4)前記少なくとも2回のプランジ加工は、前記先端部の一方側に湾曲面を形成する1回目のプランジ加工と、前記先端部の他方側に湾曲面を形成する2回目のプランジ加工と、を含み、
前記1回目のプランジ加工と前記2回目のプランジ加工との間で、前記砥石をまたぎ方向に上下反転させて、前記1回目のプランジ加工と前記2回目のプランジ加工とを前記ロータリードレッサーの同じ位置で行うことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の超仕上げ砥石の製造方法。
(5)前記少なくとも2回のプランジ加工は、前記先端部の一方側に湾曲面を形成する1回目のプランジ加工と、前記先端部の他方側に湾曲面を形成する2回目のプランジ加工と、を含み、
前記1回目のプランジ加工と前記2回目のプランジ加工との間で、前記砥石をまたぎ方向に上下反転させずに、前記1回目のプランジ加工と前記2回目のプランジ加工とを前記ロータリードレッサーの中心軸線に対し線対称の位置で行うことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の超仕上げ砥石の製造方法。
(6)ロータリードレッサーで成形される、転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石の製造方法であって、
前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して前記超仕上げ砥石の中心線を傾斜させた状態で、前記超仕上げ砥石の先端部を前記ロータリードレッサーの中心軸線に対し垂直に移動させることで成形する少なくとも2回のトラバース加工を行うことで前記先端部の一方側と他方側にそれぞれ傾斜面を形成させて、先端の尖った第1の頂部を形成することを特徴とする超仕上げ砥石の製造方法。
(7)前記少なくとも2回のトラバース加工は、前記先端部の一方側に傾斜面を形成する1回目のトラバース加工と、前記先端部の他方側に傾斜面を形成する2回目のトラバース加工と、を含み、
前記1回目のトラバース加工と前記2回目のトラバース加工との間で、前記砥石をまたぎ方向に上下反転させて、前記1回目のトラバース加工と前記2回目のトラバース加工とを同じ方向から行うことを特徴とする上記(6)に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
(8)前記少なくとも2回のトラバース加工は、前記先端部の一方側に傾斜面を形成する1回目のトラバース加工と、前記先端部の他方側に傾斜面を形成する2回目のトラバース加工と、を含み、
前記1回目のトラバース加工と前記2回目のトラバース加工との間で、前記砥石をまたぎ方向に上下反転させずに、前記1回目のトラバース加工と前記2回目のトラバース加工とを反対方向から行うことを特徴とする上記(6)に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
(9)前記第1の頂部を形成した後、さらに、前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して前記超仕上げ砥石の中心線をあわせて、前記第1の頂部を前記ロータリードレッサーに押し付けて成形するプランジ加工を行うことで、先端の尖った2つの第2の頂部を形成することを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の超仕上げ砥石の製造方法。
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の超仕上げ砥石の製造方法によって製造されたことを特徴とする、転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石。
(11)上記(10)に記載の超仕上げ砥石を用いて、前記超仕上げ砥石の第1の頂部又は第2の頂部を前記外輪軌道に押圧して超仕上げ加工をすることを特徴とする転がり軸受の超仕上げ方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、超仕上げ砥石がロータリードレッサーで成形されるので、既存の設備を利用して、精度のよい超仕上げ加工が可能な超仕上げ砥石を低コストで容易に製造することができる。また、超仕上げ砥石は、幅方向から見た先端部形状が全体として凸状で、超仕上げ加工の対象である外輪の形状になじむ(連続的に当たるようになる)までに要する砥石の摩耗量が少なくてすむ。また、先端部に先端の尖った第1の頂部を有するので、軌道溝と砥石の接触面積が小さくなり面圧が上がり砥石の脱落が進行しやすくなり、短時間であたりが連続するようになる。その結果、研削目残りが発生せず加工不良品として廃棄、再加工することがなくなり、交換後1個目から精度のよい超仕上げ加工が可能となる。
さらに、上記(9)の場合、より外輪の形状になじむまでに要する砥石の摩耗量を少なくできるので、さらに短時間で当たりが連続するようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の超仕上げ砥石の第1実施形態の製造方法を説明する説明図であり、(a)は1回目のプランジ加工を説明する説明図であり、(b)は2回目のプランジ加工を説明する説明図である。
【図2】本発明の一実施形態の製造方法で製造された超仕上げ砥石の先端部の斜視図である。
【図3】(a)は超仕上げ砥石の先端部をまたぎ方向(図2のIIIA)から見た図であり、(b)は超仕上げ砥石の先端部を幅方向(図2のIIIB)から見た図である。
【図4】図1の製造方法で製造された超仕上げ砥石を用いて、玉軸受の外輪の超仕上げを説明する説明図である。
【図5】本発明の超仕上げ砥石の第2実施形態の製造方法を説明する説明図であり、(a)は1回目のトラバース加工を説明する説明図であり、(b)は2回目のトラバース加工を説明する説明図である。
【図6】図5(a)の1回目のトラバース加工後の超仕上げ砥石の先端部の斜視図である。
【図7】本発明の超仕上げ砥石の第3実施形態の製造方法を説明する説明図である。
【図8】図7の製造方法で製造された超仕上げ砥石を用いて、玉軸受の外輪の超仕上げを説明する説明図である。
【図9】(a)はロータリードレッサーを上方から見た図であり、(b)は(a)のIXB-IXB線断面図である。
【図10】従来のロータリードレッサーで砥石を成形する方法を説明する説明図である。
【図11】図10で成形された砥石で外輪の軌道溝を超仕上げ加工している状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態に係る超仕上げ砥石の製造方法について図面を参照して詳細に説明する。なお、超仕上げ砥石(以下、単に砥石と呼ぶ。)の製造に用いられるロータリードレッサーは、図9に示した従来と同様のものであるため、説明は省略する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、本発明の超仕上げ砥石の第1実施形態の製造方法を説明する説明図である。
先ず、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石10Aの中心線Yをオフセットさせた状態で配置する。具体的には、砥石10Aの中心線Yが直交線Xと平行になるように維持し、砥石10Aのまたぎ幅(T)の例えば半分の長さ(T/2)の位置だけまたぎ方向上方にずらした状態に配置する。この状態で、砥石10Aを直交線Xと平行にロータリードレッサー50側に移動させてロータリードレッサー50のドレス溝51に押し付けて成形する1回目のプランジ加工を行う。これにより、砥石10Aの先端部11の一方側の面16が円弧状に成形され、先端部11の一方側に第1湾曲面12aが形成される。
【0015】
続いて、砥石10Aをまたぎ方向に上下反転させて、ロータリードレッサー50に対して同じ位置に砥石10Aを配置する。即ち、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石10Aのまたぎ幅(T)の半分の長さ(T/2)の位置だけまたぎ方向上方にずらした位置に、砥石10Aの中心線Yが一致するように配置する。このとき、砥石10Aを反転させることで、第1湾曲面12aがまたぎ方向上方を向くことなり、成形されていない他方側の面18が下方を向いてロータリードレッサー50の近くに配置される。この状態で、砥石10Aを直交線Xと平行にロータリードレッサー50側に移動させてロータリードレッサー50のドレス溝51に押し付けて成形する2回目のプランジ加工を行う。これにより、砥石10Aの先端部11の他方側の面18も円弧状に成形され、先端部11の他方側にも第2湾曲面12bが形成される。
【0016】
図2は第1実施形態の製造方法で製造された砥石の先端部の斜視図であり、図3(a)は超仕上げ砥石の先端部をまたぎ方向(図2のIIIA)から見た図であり、図3(b)は超仕上げ砥石の先端部を幅方向(図2のIIIB)から見た図である。
このように製造された砥石10Aは、先端部11のまたぎ方向中央に円弧状の頂部13を有し、頂部13は、互いに中心位置の異なる円弧状の第1及び第2湾曲面12a、12bにより、先端に向かうに従ってまたぎ幅が減少するように、鋭利な尖った形状を有している。
【0017】
なお、上記実施形態では、砥石10Aを反転させて、1回目のプランジ加工と同じ位置に砥石10Aを配置することで2回目のプランジ加工を行ったが、これに限らず、1回目のプランジ加工位置とまたぎ方向で対称位置、即ち、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石10Aのまたぎ幅(T)の半分の長さ(T/2)の位置だけまたぎ方向下方にずらした位置に、砥石10Aの中心線Yが直交線Xと平行になるように維持し、砥石10Aを反転させずに2回目のプランジ加工してもよい。また、砥石10Aの初期形状は、典型的には直方体であるが、特にこれに限定されるものではない。
【0018】
また、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対する、砥石10Aの中心線Yの距離は任意に調整することができる。
【0019】
図4は、図1の製造方法で製造された玉軸受の外輪の超仕上げ処理を説明する説明図である。
加工対象である玉軸受(図示せず)の外輪1は、加工時に回転機構(図示せず)によって回転される。この外輪1は、転動体(図示せず)が転がり接触する軌道溝2を有し、この軌道溝2の回転中心軸を含む断面の曲率中心軸回りで砥石10Aが押圧機構によって押圧されつつ揺動することになる。
【0020】
外輪1の軌道溝2を超仕上げ処理する場合、砥石10Aが所定の揺動振幅で揺動しながら加圧して軌道溝2を超仕上げする。このとき、またぎ方向の先端部形状(幅方向から見た先端部形状)が全体として凸状で、超仕上げ加工に伴い砥石10Aの形状が外輪の形状になじむまでの砥石10Aの摩耗量が少なくてすむ。また、砥石10Aの頂部13が尖っているため、軌道溝2と砥石10Aの接触面積が小さくなり面圧が上がり砥石10Aの脱落が進行しやすくなり、短時間であたりが連続するようになる。したがって、交換した砥石10Aは、極めて迅速に、外輪1の軌道溝2になじむこととなる。図4中の点線は、所定時間経過後、外輪1の軌道溝2になじんだ砥石10Aの形状を示している。
【0021】
以上説明したように、本実施形態に記載の砥石10Aの製造方法によれば、ロータリードレッサー50で砥石10Aが成形されるので、既存の設備を利用して、玉軸受の外輪軌道溝加工用の砥石10Aを製造することができる。
【0022】
また、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石10Aの中心線Yをオフセットさせた状態で、砥石10Aの先端部11をドレス溝51に押し付けて成形する少なくとも2回のプランジ加工を行うことで先端部11の一方側と他方側にそれぞれ湾曲面(第1湾曲面12a、第2湾曲面12b)を形成させて、先端の尖った頂部13を形成するので、外輪1の形状になじむまでに脱落する砥石10Aの量が少なくてすみ、また、外輪1の軌道溝2と砥石10Aの接触面積が小さくなり面圧が上がり砥石10Aの脱落が進行しやすくなり、短時間であたりが連続するようになる。その結果、研削目残りが発生せず加工不良品として廃棄、再加工することがなくなり、交換後1個目から外輪1の軌道溝2を精度よく超仕上げ加工することが可能となる。
【0023】
<第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態の砥石の製造方法について説明する。
図5は、本発明の超仕上げ砥石の第2実施形態の製造方法を説明する説明図である。
先ず、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石10Bの中心線Yを所定角度αだけ傾斜させた状態で配置する。具体的には、砥石10Bの中心線Yが直交線Xに対し所定角度αだけ後傾させることで、先端部11が後端部よりも上方に位置するように砥石10Bを維持する。この状態で、砥石10Bを直交線Xに対して垂直に上方から下方に移動させながらドレス溝51を通過させることで1回目のトラバース加工を行う。これにより、図6に示すように砥石10Bの一方側の面16から他方側の面18に向かって先端部11の一方側の面から他方側の面にかけて直線状に成形され、先端部11に幅方向から見ると直線状で、またぎ方向から見ると湾曲した形状の第1傾斜面12a′が形成される。このとき、成形量は一方側の面16で多くなる。
【0024】
続いて、一度トラバース加工した砥石10Bをまたぎ方向に上下反転させて、ロータリードレッサー50に対して砥石10Bを配置する。即ち、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石10Bの中心線Yを所定角度αだけ後傾させることで、先端部11が後端部よりも上方に位置するように配置する。このように砥石10Bを反転させることで、先端部11の一方側の面16が上方を向くことなり、他方側の面18が下方を向いてロータリードレッサー50に近くに配置される。この状態で、先ほどの同様に、砥石10Bを直交線Xに対して垂直に上方から下方に移動させながらドレス溝51を通過させることで2回目のトラバース加工を行う。これにより、砥石10Bの先端部11の他方側の面18も一方側の面16の成形量と同じだけ直線状に成形され、先端部11の一方側に第1傾斜面12a′が形成され、他方側に第2傾斜面12b′が形成され、先端部11のまたぎ方向中央に頂部13が形成される。頂部13は、第1及び第2傾斜面12a′、12b′により、先端に向かうに従ってまたぎ幅が減少するような尖った形状を有する。
【0025】
このように、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石10Bの中心線Yを傾斜させた状態で、砥石10Bの先端部11がドレス溝51を通過するように成形する少なくとも2回のトラバース加工を行うことで先端部11の一方側と他方側にそれぞれ傾斜面(第1傾斜面12a′、第2傾斜面12b′)を形成させて、先端の尖った頂部13を形成することができ、既存の設備を利用して、精度のよい超仕上げ加工が可能な砥石10Bを製造することができる。砥石10Bは、第1実施形態の砥石10Aと同様に、全体として先端が凸状なので外輪1の形状になじむまでに脱落する砥石10Bの量は少なくてすむ。また、砥石10Bの頂部13が尖っているため、軌道溝2と砥石10Bの接触面積が小さくなり面圧が上がり砥石10Bの脱落が進行しやすくなり、短時間であたりが連続するようになる。その結果、研削目残りが発生せず加工不良品として廃棄、再加工することがなくなり、交換後1個目から精度のよい超仕上げ加工が可能となる。
【0026】
なお、上記第2実施形態では、2回のトラバース加工を同じ方向(図5で上方から下方に向かう方向)としたが、2回目のトラバース加工を逆方向(図5で下方から上方に向かう方向)にトラバース加工するようにしてもよい。即ち、砥石10Bを上下反転させず、角度αだけ先端部11が後端部より下方に位置するように砥石10Bを維持し、下方から上方へ2回目のトラバース加工を行うようにしてもよい。
【0027】
<第3実施形態>
続いて、本発明の第3実施形態の砥石の製造方法について説明する。
図7は、本発明の超仕上げ砥石の第3実施形態の製造方法を説明する説明図である。
【0028】
本実施形態の製造方法は、第1実施形態において製造された砥石10Aをさらに、ロータリードレッサー50で成形するものである。第1実施形態において製造された砥石10Aは、上述したように、先端部11のまたぎ方向中央に円弧状の頂部13を有し、頂部13が、互いに中心位置の異なる円弧状の第1及び第2湾曲面12a、12bにより、先端に向かうに従ってまたぎ幅が減少するように、鋭利な尖った形状を有している。
【0029】
この砥石10Aの中心線Yを、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xにあわせて、頂部13をドレス溝51に押し付けてプランジ加工することで、2つの円弧状の頂部14を形成する。
【0030】
このように製造された砥石10Cは、先端部11の中心線Yを挟んで両側に円弧状の頂部14を有し、頂部14は、互いに中心位置の異なる円弧状の第1及び第2湾曲面12a、12bと頂部14、14間に位置する第3湾曲面12cにより、頂部14の先端に向かうに従ってまたぎ幅が減少するように、鋭利な尖った形状を有している。
【0031】
図8は、図7の製造方法で製造された玉軸受の外輪の超仕上げを説明する説明図である。
外輪1の軌道溝2を超仕上げ処理する場合、砥石10Cが所定の揺動振幅で揺動しながら加圧して軌道溝2を超仕上げする。このとき、交換した砥石10Cは、第1実施形態の砥石10Aに比べて外輪1の軌道溝2になじむまでに、除去される砥石10Cの量が少ないため、より短時間であたりが連続するようになる。また、砥石10Cの頂部14が尖っているため、軌道溝2と砥石10Cの接触面積が小さくなり面圧が上がり砥石10Cの脱落が進行しやすくなり、短時間であたりが連続するようになる。その結果、研削目残りが発生せず加工不良品として廃棄、再加工することがなくなり、交換後1個目から精度のよい超仕上げ加工が可能となる。図8中の点線は、所定時間経過後、外輪1の軌道溝2になじんだ砥石10Cの形状を示している。
【0032】
なお、第2実施形態において製造された砥石10Bを、上記と同様に、さらにロータリードレッサー50で成形することにより、同様に2つの頂部14を有する砥石を得るようにしてもよい。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に記載の砥石10Cの製造方法においても、ロータリードレッサー50で砥石10Cが成形されるので、既存の設備を利用して、低コスト且つ容易に精度のよい超仕上げ加工が可能な超仕上げ砥石を製造することができる。
【0034】
また、第1及び第2実施形態に記載の方法で砥石10A、10Bに頂部13を形成した後、ロータリードレッサー50の中心軸線Oに直交する直交線Xに対して砥石10A、10Bの中心線Yをあわせて、頂部13をドレス溝51に押し付けてプランジ加工することで、円弧状の2つの頂部14が、先端に向かうに従ってまたぎ幅が減少するように鋭利な形状を有する砥石10Cが製造される。これにより、外輪1の形状にならうようになるまでに除去される砥石10Cの量が少なくてすみ、また、外輪1の軌道溝2と砥石10Cの接触面積が小さくなり面圧が上がり砥石10Cの脱落が進行しやすくなり、短時間であたりが連続するようになる。その結果、研削目残りが発生せず加工不良品として廃棄、再加工することがなくなり、交換後1個目から精度のよい超仕上げ加工が可能となる。
【0035】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、適宜、変更、改良等が可能である。
例えば、上記実施形態では、玉軸受用外輪を加工対象とする場合を述べたが、円筒状あるいは円錐状のころを転動体とする転がり軸受を加工対象とする超仕上げ砥石にも適用できる。この場合、ロータリードレッサーの外周面は、円筒状等のものを用いて上記各実施形態のいずれかの方法で成形を行うことにより、幅方向に直線状の断面形状の砥石を得ることができる。外輪の軌道面を超仕上げ加工する際は、外輪の軸方向に往復直線運動となるように揺動させる。
【符号の説明】
【0036】
1 外輪
2 軌道溝
10A、10B、10C 超仕上げ砥石
11 先端部
12a 第1湾曲面(湾曲面)
12b 第2湾曲面(湾曲面)
12a′ 第1傾斜面(傾斜面)
12b′ 第2傾斜面(傾斜面)
13 第1の頂部(頂部)
14 第2の頂部(頂部)
50 ロータリードレッサー
51 ドレス溝
O ロータリードレッサーの中心軸線
X 直交線
Y 超仕上げ砥石の中心線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリードレッサーで成形される、転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石の製造方法であって、
前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して前記超仕上げ砥石の中心線をオフセットさせた状態で、前記超仕上げ砥石の先端部を前記ロータリードレッサーに押し付けて成形する少なくとも2回のプランジ加工を行うことで前記先端部の一方側と他方側にそれぞれ湾曲面を形成させて、先端の尖った第1の頂部を形成することを特徴とする超仕上げ砥石の製造方法。
【請求項2】
前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して前記超仕上げ砥石の中心線を、前記超仕上げ砥石のまたぎ幅の半分の長さ分オフセットさせることを特徴とする請求項1に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
【請求項3】
前記超仕上げ砥石の中心線を前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して平行に維持しながらオフセットさせることを特徴とする請求項1又は2に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
【請求項4】
前記少なくとも2回のプランジ加工は、前記先端部の一方側に湾曲面を形成する1回目のプランジ加工と、前記先端部の他方側に湾曲面を形成する2回目のプランジ加工と、を含み、
前記1回目のプランジ加工と前記2回目のプランジ加工との間で、前記砥石をまたぎ方向に上下反転させて、前記1回目のプランジ加工と前記2回目のプランジ加工とを前記ロータリードレッサーの同じ位置で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
【請求項5】
前記少なくとも2回のプランジ加工は、前記先端部の一方側に湾曲面を形成する1回目のプランジ加工と、前記先端部の他方側に湾曲面を形成する2回目のプランジ加工と、を含み、
前記1回目のプランジ加工と前記2回目のプランジ加工との間で、前記砥石をまたぎ方向に上下反転させずに、前記1回目のプランジ加工と前記2回目のプランジ加工とを前記ロータリードレッサーの中心軸線に対し線対称の位置で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
【請求項6】
ロータリードレッサーで成形される、転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石の製造方法であって、
前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して前記超仕上げ砥石の中心線を傾斜させた状態で、前記超仕上げ砥石の先端部を前記ロータリードレッサーの中心軸線に対し垂直に移動させることで成形する少なくとも2回のトラバース加工を行うことで前記先端部の一方側と他方側にそれぞれ傾斜面を形成させて、先端の尖った第1の頂部を形成することを特徴とする超仕上げ砥石の製造方法。
【請求項7】
前記少なくとも2回のトラバース加工は、前記先端部の一方側に傾斜面を形成する1回目のトラバース加工と、前記先端部の他方側に傾斜面を形成する2回目のトラバース加工と、を含み、
前記1回目のトラバース加工と前記2回目のトラバース加工との間で、前記砥石をまたぎ方向に上下反転させて、前記1回目のトラバース加工と前記2回目のトラバース加工とを同じ方向から行うことを特徴とする請求項6に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
【請求項8】
前記少なくとも2回のトラバース加工は、前記先端部の一方側に傾斜面を形成する1回目のトラバース加工と、前記先端部の他方側に傾斜面を形成する2回目のトラバース加工と、を含み、
前記1回目のトラバース加工と前記2回目のトラバース加工との間で、前記砥石をまたぎ方向に上下反転させずに、前記1回目のトラバース加工と前記2回目のトラバース加工とを反対方向から行うことを特徴とする請求項6に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
【請求項9】
前記第1の頂部を形成した後、さらに、前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して前記超仕上げ砥石の中心線をあわせて、前記第1の頂部を前記ロータリードレッサーに押し付けて成形するプランジ加工を行うことで、先端の尖った2つの第2の頂部を形成することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の超仕上げ砥石の製造方法によって製造されたことを特徴とする、転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石。
【請求項11】
請求項10に記載の超仕上げ砥石を用いて、前記超仕上げ砥石の第1の頂部又は第2の頂部を前記外輪軌道に押圧して超仕上げ加工をすることを特徴とする転がり軸受の超仕上げ方法。
【請求項1】
ロータリードレッサーで成形される、転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石の製造方法であって、
前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して前記超仕上げ砥石の中心線をオフセットさせた状態で、前記超仕上げ砥石の先端部を前記ロータリードレッサーに押し付けて成形する少なくとも2回のプランジ加工を行うことで前記先端部の一方側と他方側にそれぞれ湾曲面を形成させて、先端の尖った第1の頂部を形成することを特徴とする超仕上げ砥石の製造方法。
【請求項2】
前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して前記超仕上げ砥石の中心線を、前記超仕上げ砥石のまたぎ幅の半分の長さ分オフセットさせることを特徴とする請求項1に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
【請求項3】
前記超仕上げ砥石の中心線を前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して平行に維持しながらオフセットさせることを特徴とする請求項1又は2に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
【請求項4】
前記少なくとも2回のプランジ加工は、前記先端部の一方側に湾曲面を形成する1回目のプランジ加工と、前記先端部の他方側に湾曲面を形成する2回目のプランジ加工と、を含み、
前記1回目のプランジ加工と前記2回目のプランジ加工との間で、前記砥石をまたぎ方向に上下反転させて、前記1回目のプランジ加工と前記2回目のプランジ加工とを前記ロータリードレッサーの同じ位置で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
【請求項5】
前記少なくとも2回のプランジ加工は、前記先端部の一方側に湾曲面を形成する1回目のプランジ加工と、前記先端部の他方側に湾曲面を形成する2回目のプランジ加工と、を含み、
前記1回目のプランジ加工と前記2回目のプランジ加工との間で、前記砥石をまたぎ方向に上下反転させずに、前記1回目のプランジ加工と前記2回目のプランジ加工とを前記ロータリードレッサーの中心軸線に対し線対称の位置で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
【請求項6】
ロータリードレッサーで成形される、転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石の製造方法であって、
前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して前記超仕上げ砥石の中心線を傾斜させた状態で、前記超仕上げ砥石の先端部を前記ロータリードレッサーの中心軸線に対し垂直に移動させることで成形する少なくとも2回のトラバース加工を行うことで前記先端部の一方側と他方側にそれぞれ傾斜面を形成させて、先端の尖った第1の頂部を形成することを特徴とする超仕上げ砥石の製造方法。
【請求項7】
前記少なくとも2回のトラバース加工は、前記先端部の一方側に傾斜面を形成する1回目のトラバース加工と、前記先端部の他方側に傾斜面を形成する2回目のトラバース加工と、を含み、
前記1回目のトラバース加工と前記2回目のトラバース加工との間で、前記砥石をまたぎ方向に上下反転させて、前記1回目のトラバース加工と前記2回目のトラバース加工とを同じ方向から行うことを特徴とする請求項6に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
【請求項8】
前記少なくとも2回のトラバース加工は、前記先端部の一方側に傾斜面を形成する1回目のトラバース加工と、前記先端部の他方側に傾斜面を形成する2回目のトラバース加工と、を含み、
前記1回目のトラバース加工と前記2回目のトラバース加工との間で、前記砥石をまたぎ方向に上下反転させずに、前記1回目のトラバース加工と前記2回目のトラバース加工とを反対方向から行うことを特徴とする請求項6に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
【請求項9】
前記第1の頂部を形成した後、さらに、前記ロータリードレッサーの中心軸線に直交する直交線に対して前記超仕上げ砥石の中心線をあわせて、前記第1の頂部を前記ロータリードレッサーに押し付けて成形するプランジ加工を行うことで、先端の尖った2つの第2の頂部を形成することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の超仕上げ砥石の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の超仕上げ砥石の製造方法によって製造されたことを特徴とする、転がり軸受の外輪軌道加工用の超仕上げ砥石。
【請求項11】
請求項10に記載の超仕上げ砥石を用いて、前記超仕上げ砥石の第1の頂部又は第2の頂部を前記外輪軌道に押圧して超仕上げ加工をすることを特徴とする転がり軸受の超仕上げ方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−52453(P2013−52453A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190475(P2011−190475)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]