説明

超疎水性フィルムを付与するための化粧用組成物

【課題】典型的な化粧品と比べて顕著に改善された撥水性を付与するために用いることができるような、超疎水性を化粧品に付与するための組成物及び方法を提供する。
【解決手段】本発明の組成物は、疎水性塗膜形成剤と疎水性粒子のエマルジョンからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面にフィルムを付与するための組成物及び方法に関する。特に、本発明は、肌又は髪に超疎水性フィルムを付与するための化粧用組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓮の葉は、顕著な撥水性と自浄性とを示す。蓮は沼沢地に生息するが、その花と葉とは汚れずほとんど湿りもしない。これは、蓮の花と葉とに極めて疎水性の高い表面が形成されているためである。蓮の葉の上に水が落ちると、その水滴は縮んで、概ね球形の雫となり、葉の表面を転がり落ちて、途中で出会った汚れの粒子を拭い去る。
【0003】
極めて親水性の高い表面の場合、水滴はすっかり広がって、有効接触角はほとんど0°になる。こうしたことは、吸水性材料などの水への親和性の高い表面で生じる。多くの親水性表面では、水滴は約10から30°の有効接触角を示す。一方、水と親和性の低い疎水性表面では、より大きな有効接触角、典型的には、約70から90°若しくはそれ以上の範囲の有効接触角が観察される。極めて疎水性の材料、例えば、疎水性表面のベンチマークとして広くみなされているテフロン(登録商標)などは、120から130°にものぼる水接触角を示す。
【0004】
こうした背景にあっても、蓮の葉が示す約160°という水接触角は顕著であり、蓮の葉はテフロン(登録商標)よりもずっと疎水性が高い。そのため、蓮の葉は『超疎水性』表面の1つの例となる。ここでは、超疎水性表面とは、水接触角が約140°を超えるような表面のことを指すだろう。蓮の葉の示す顕著な効果は、ワックス結晶の自己組織化によってナノ又はマイクロメートル規模の凹凸ができているような、蓮の葉の3次元表面構造によるものと考えられる。疎水性表面の隆起は、水との有効接触表面積を減らし、水との付着を阻害するので、葉の上を水が広がっていくこととなる。
【0005】
蓮の葉の上記のような特性の発見及びその機構の解明は、さまざまな超疎水性表面の設計につながった。こうした超疎水性表面は、140から180°近くの範囲の水接触角を持っている。こうした表面は、極めて濡れづらい。これら表面の上では、水滴は、単に表面の上に留まり、表面を気に留まるほど湿らせることがない。超疎水性表面は、さまざまな方法で手にいれることができる。こうした極めて疎水性の高い材料のいくつかは、自然界で発見される。その他の超疎水性材料は、人工的に合成され、ときとして、天然材料の模倣物として合成される。
【0006】
特許文献1は、多孔性で且つ疎水性表面を持つような微細粉末からなる濡れづらい表面を与える塗装用組成物であって、粉末との割合が1:4となるように塗膜形成結合剤と混ぜ合わせて使用されるものを、開示する。
特許文献2は、自浄用途向けの超疎水性材料の製造工程を開示する。
特許文献3は、自浄式表示装置を開示する。
【0007】
特許文献4は、織物、生地、又は、薄織物の仕上げに用いるための撥水性の仕上げ相を塗装する方法を開示する。
特許文献5は、ガラス、セラミック、及び、プラスチックからなる自浄式物質の製造方法を開示する。
特許文献6は、2多峰の粒子径分布を備えるような疎水性金属酸化物からなる粗い粒子のフィルムを塗膜することで水に溶ける薬剤の量を減らす方法を開示する。
【0008】
疎水性又は超疎水性の材料が、上記特許文献に記載されているものの、肌、髪、又は、爪などの表面に超疎水性フィルムを付与するような化粧用組成物に用いることができるような疎水性又は超疎水性の材料が望まれている。従来の耐水性又は撥水性の化粧用組成物は、一般的に、水中油型又は油中水型エマルジョンから製造される。油中水型エマルジョンは、油っぽい感じになりがちなので、使途が限られる。耐水性又は撥水性の化粧用組成物を処方する従来の方法では、耐水バリアを形成するために疎水性の塗膜形成剤(例えば、ワックス)が用いられる。こうした従来の化粧品は、本発明に係る超疎水性フィルムとは異なり、高々疎水性でしかない。
【0009】
従来の耐水性又は撥水性の局所組成物が超疎水性でない主な理由は、ナノスケール又はマイクロスケールの表面の凹凸を有していないためである。ナノ又はマイクロメートル規模の凹凸を持たないため、現在知られている疎水性材料から製造された滑らかなフィルムは、140°未満の、超疎水性の範囲には入らないような接触角を示す。撥水性、自浄性、及び、長付着性を改善するような超疎水性フィルムを付与する化粧品フィルムの提供が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6683126号
【特許文献2】米国特許第6852389号
【特許文献3】米国特許第6946170号
【特許文献4】米国特許第7056845号
【特許文献5】米国特許第6800354号
【特許文献6】米国特許第5500216号
【特許文献7】米国特許第7037515号
【特許文献8】米国特許第6685952号
【特許文献9】米国特許第6464969号
【特許文献10】米国特許第6264933号
【特許文献11】米国特許第5911980号
【特許文献12】米国特許第7150878号
【特許文献13】欧州特許出願第1640419号
【特許文献14】米国特許第3393155号
【特許文献15】米国特許第2705206号
【特許文献16】米国特許第7083828号
【特許文献17】米国特許出願第2006/0110542号
【特許文献18】米国特許第6315990号
【特許文献19】米国特許出願第2005/0000531号
【特許文献20】米国特許第4781917号
【特許文献21】米国特許第4122029号
【特許文献22】米国特許第5688831号
【特許文献23】米国特許第5000937号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】“INCI Ingredient Dictionary and Handbook”11版、2006年
【非特許文献2】“Volatile Silicone Fluids for Cosmetics”、トッド等著、Cosmetics and Toiletries刊、91号、27−32頁、1976年
【0012】
本発明の目的は、肌、髪、又は、爪に塗布され、超疎水性フィルムを形成するような化粧用組成物を提供することである。本発明のさらなる目的は、耐水性、自浄性、及び/又は、長付着性を達成するために肌、髪、及び、爪に超疎水性フィルムを付与する方法を提供することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の又はその他の目的を達成するため、本発明は、表面に、好ましくは、肌、爪、又は、髪などの生体表面に、超疎水性フィルムを形成するような組成物及び方法を提供する。本発明に係る組成物は、油中水型又はシリコーン中水型のエマルジョンの形態である。定義からして親水性である水は表面の疎水性を減じるであろうと考えられていたことから、超疎水性フィルムが水を含む組成物から製造可能であることは予想外である。しかし、驚くべきことに、水性エマルジョンの組成は、他の構成成分が臨界範囲内であれば、超疎水性フィルムを提供することが可能であることがわかった。そこで、無水性組成物では得られない美的又は機能的特性を持つようなエマルジョンの形態をしたさまざまな製品を設計することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のある態様では、疎水性フィルムを付与するための本組成物は、油中水型エマルジョンからなる。この油中水型エマルジョンは、(i)連続な油相と、(ii)不連続な(油相にくるまれる)水相と、(iii)10未満の、好ましくは、8.5未満の、HVL値を持つ乳化剤と、(iv)1種以上の疎水性塗膜形成剤と、(v)約5nmから約1mmの間の中央粒子径を持つ1種以上の疎水性粒子状材料と、を含有する。
【0015】
本発明の関連する態様では、疎水性フィルムを付与するための本組成物は、シリコーン中水型エマルジョンからなる。このシリコーン中水型エマルジョンは、(i)連続な油相と、(ii)不連続な水相と、(iii)―(EO)m―及び/又は―(PO)n―の官能基を持つオルガノシロキサン(ただし、mとnとは0から約25の間の整数であり、mとnとの合計は少なくとも1であり且つ約50以下であり、当該側鎖の末端は水素基又は低級アルキル基である)を含有する乳化剤と、(iv)1種以上の疎水性塗膜形成剤と、(v)約5nmから約1mmの間の中央粒子径を持つ1種以上の疎水性粒子状材料と、を含有する。
【0016】
油中水型エマルジョン及びシリコーン中水型エマルジョンのどちらにおいても、1種以上の疎水性塗膜形成剤と1種以上の疎水性粒子状材料との重量比は、約1:5から5:1の間が適切であり、粒子状材料の割合が高いほど好ましい。また、油中水型エマルジョン又はシリコーン中水型エマルジョンの重量に対する1種以上の疎水性塗膜形成剤と1種以上の疎水性粒子状材料とを合計した割合は、少なくとも約1%、好ましくは、約2%、より好ましくは、約5%である。
【0017】
所望の超疎水性効果を得るためには、エマルジョン中の不揮発性で水溶性又は水分散性の全有機成分(即ち、不揮発性疎水性有機分子)の総重量の割合は、15重量%未満、好ましくは、5重量%未満、理想的には、2重量%未満であるべきである。また、保湿性のグリセリンなどを含む全多価アルコールの割合は、エマルジョンの全重量に対して、合計で、5重量%未満、好ましくは、2重量%未満、理想的には、1重量%未満であるべきである。なぜならこれらの含有成分は、水を引きつけ、フィルムの表面を覆い、結果として、フィルムの疎水性を減少させる虞があるからである。
【0018】
1種以上の疎水性粒子状材料は、典型的には、酸化シリコン、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化鉄、及び、これらの組み合わせ、からなる群より選択される酸化物粒子からなる。このとき、この酸化物粒子は、その表面に共有結合しているような疎水性基、例えば、アルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、シロキサン基、アルキルシロキサン基、フルオロアルキルシロキサン基、及び/又は、パーフルオロアルキルシロキサン基など、を有している。好ましい疎水性粒子は、表面処理したヒュームド(熱分解)シリカ粒子、又は、表面処理したヒュームド(熱分解)アルミナ粒子であり、これらは、典型的には、約7から40nmの間の中央粒子径を有する。
【0019】
1種以上の疎水性塗膜形成剤は、ヒトの外皮と相性の良い任意の疎水性塗膜形成剤を含み、例えば、アクリル酸アルキル、ポリウレタン、フルオロポリマー、シリコーン、及び、これらのコポリマーからなる群から選択されてもよい。今のところ好ましいのは、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマーである。
【0020】
本組成物は、揮発性成分が蒸発した後に、水接触角が、約140°を、好ましくは、約145°を、最も好ましくは、約150°を、超えることを特徴とするフィルムを表面に付与することが可能である。
【0021】
このエマルジョンは、さまざまな製品に有効であり、数種類挙げると、例えば、化粧品製品(マスカラ、ファンデーションなど)、スキンケア製品、日焼け止め剤、ヘアケア製品、ペットケア製品などに有効である。
【0022】
また、肌又は髪に疎水性フィルムを付与する方法も提供する。この方法は、一般的に、本発明に係るエマルジョンを肌又は髪上に載せる工程と、エマルジョン中の揮発性成分を蒸発させることで、少なくとも140°の水滴接触角を特徴とする疎水性フィルムを形成する工程と、からなる。
【0023】
当業者は、本発明のこれら及びその他の態様を、以下の発明の詳細な説明、図面、及び、請求項を参照することで明らかに理解することができるだろう。
【0024】
〔課題を解決するための手段〕
以下に、本発明と好ましい態様について述べる。
1.油中水型エマルジョンからなる、表面に超疎水性フィルムを付与する組成物であって、前記油中水型エマルジョンは、(i)連続な油相と、(ii)不連続な水相と、(iii)10未満のHVL値を持つ乳化剤と、(iv)1種以上の疎水性塗膜形成剤と、(v)約5nmから約1mmの間の中央粒子径を持つ1種以上の疎水性粒子状材料と、からなり、前記1種以上の疎水性塗膜形成剤と前記1種以上の疎水性粒子状材料との重量比が約1:5から5:1の間であり、前記油中水型エマルジョンの重量に対する前記1種以上の疎水性塗膜形成剤と前記1種以上の疎水性粒子状材料とを合計した割合は少なくとも約5%であり、前記油中水型エマルジョンの全重量に対する当該エマルジョン中の不揮発性で水溶性又は水分散性の全有機成分の総重量の割合が15重量%未満であり、前記組成物が、揮発性成分が蒸発した後での接触角が約140°を超えることで特徴付けられるような表面上のフィルムを提供することが可能であることを特徴とする組成物。
2.前記1種以上の疎水性粒子状材料は、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化鉄、及び、これらの組み合わせ、からなる群より選択される酸化物粒子からなり、前記酸化物粒子は、当該酸化物粒子の表面に共有結合している疎水性基を持つことを特徴とする、1.に記載の組成物。
3.前記酸化物粒子は、二酸化ケイ素からなる、2.に記載の組成物。
4.前記二酸化ケイ素は、ヒュームドシリカである、3.に記載の組成物。
5.前記酸化物粒子は、酸化アルミニウムからなる、2.に記載の組成物。
6.前記酸化アルミニウムは、ヒュームドアルミナである、3.に記載の組成物。
7.前記疎水性基は、アルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、シロキサン基、アルキルシロキサン基、フルオロアルキルシロキサン基、又は、パーフルオロアルキルシロキサン基、の1種以上からなる、2.に記載の方法。
8.前記1種以上の疎水性塗膜形成剤と前記1種以上の疎水性粒子状材料との重量比が、約1:5から2:1である、1.に記載の組成物。
9.前記1種以上の疎水性塗膜形成剤と前記1種以上の疎水性粒子状材料との重量比が、約1:1である、8.に記載の組成物。
10.前記1種以上の疎水性粒子状材料の少なくとも1種は、約7から40nmの間の中央粒子径をもつ、1.に記載の組成物。
11.前記乳化剤は、8.5未満のHLB値を持つ、1.に記載の組成物。
12.前記エマルジョン中の不揮発性で水溶性又は水分散性の全有機成分の総重量の割合が5重量%未満である、1.に記載の組成物。
13.前記エマルジョン中の不揮発性で水溶性又は水分散性の全有機成分の総重量の割合が2重量%未満である、12.に記載の組成物。
14.全多価アルコールの割合が合計で1重量%未満である、12.に記載の組成物。
15.前記1種以上の疎水性塗膜形成剤は、アクリル酸アルキル、ポリウレタン、フルオロポリマー、シリコーン、及び、これらのコポリマーからなる群から選択される、1.に記載の組成物。
16.前記1種以上の疎水性塗膜形成剤は、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマーからなる、15.に記載の組成物。
17.シリコーン中水型エマルジョンからなる、表面に超疎水性フィルムを付与する組成物であって、前記シリコーン中水型エマルジョンは、(i)連続な油相と、(ii)不連続な水相と、(iii)―(EO)m―及び/又は―(PO)n―の官能基を持つ側鎖(ただし、mとnとの合計は約50以下であり、当該側鎖の末端は水素基又は低級アルキル基である)を含有する乳化剤と、(iv)1種以上の疎水性塗膜形成剤と、(v)約5nmから約1mmの間の中央粒子径を持つ1種以上の疎水性粒子状材料と、からなり、前記1種以上の疎水性塗膜形成剤と前記1種以上の疎水性粒子状材料との重量比が約1:5から5:1の間であり、前記シリコーン中水型エマルジョンの重量に対する前記1種以上の疎水性塗膜形成剤と前記1種以上の疎水性粒子状材料とを合計した割合は少なくとも約2%であり、前記シリコーン中水型エマルジョンの全重量に対する当該エマルジョン中の不揮発性で水溶性又は水分散性の全有機成分の総重量の割合が15重量%未満であり、前記組成物が、揮発性成分が蒸発した後での接触角が約140°を超えることで特徴付けられるような表面上のフィルムを提供することが可能であることを特徴とする組成物。
18.前記1種以上の疎水性粒子状材料は、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化鉄、及び、これらの組み合わせ、からなる群より選択される酸化物粒子からなり、前記酸化物粒子は、当該酸化物粒子の表面に共有結合している疎水性基を持つことを特徴とする、17.に記載の組成物。
19.前記酸化物粒子は、二酸化ケイ素からなる、18.に記載の組成物。
20.前記二酸化ケイ素は、ヒュームドシリカである、19.に記載の組成物。
21.前記酸化物粒子は、酸化アルミニウムからなる、18.に記載の組成物。
22.前記酸化アルミニウムは、ヒュームドアルミナである、21.に記載の組成物。
23.前記疎水性基は、アルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、シロキサン基、アルキルシロキサン基、フルオロアルキルシロキサン基、又は、パーフルオロアルキルシロキサン基、の1種以上からなる、18.に記載の方法。
24.前記1種以上の疎水性塗膜形成剤と前記1種以上の疎水性粒子状材料との重量比が、約1:5から2:1である、17.に記載の組成物。
25.前記1種以上の疎水性塗膜形成剤と前記1種以上の疎水性粒子状材料との重量比が、約1:1である、24.に記載の組成物。
26.前記1種以上の疎水性粒子状材料の少なくとも1種は、約7から40nmの間の中央粒子径をもつ、17.に記載の組成物。
27.前記エマルジョン中の不揮発性で水溶性又は水分散性の全有機成分の総重量の割合が5重量%未満である、17.に記載の組成物。
28.前記エマルジョン中の不揮発性で水溶性又は水分散性の全有機成分の総重量の割合が2重量%未満である、27.に記載の組成物。
29.全多価アルコールの割合が合計で1重量%未満である、17.に記載の組成物。
30.前記1種以上の疎水性塗膜形成剤は、アクリル酸アルキル、ポリウレタン、フルオロポリマー、シリコーン、及び、これらのコポリマーからなる群から選択される、17.に記載の組成物。
31.前記1種以上の疎水性塗膜形成剤は、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマーからなる、30.に記載の組成物。
32.1.に記載の組成物からなる化粧品製品。
33.1.に記載の組成物からなるスキンケア製品。
34.1.に記載の組成物からなる日焼け止め剤。
35.1.に記載の組成物からなるヘアケア製品。
36.17.に記載の組成物からなる化粧品製品。
37.17.に記載の組成物からなるスキンケア製品。
38.17.に記載の組成物からなる日焼け止め剤。
39.17.に記載の組成物からなるヘアケア製品。
40.17.に記載の組成物からなるマスカラ製品。
41.17.に記載の組成物からなるファンデーション製品。
42.1.に記載の組成物を肌又は髪上に載せる工程と、前記組成物中の揮発性成分を蒸発させることで、少なくとも140°の水滴接触角を持つことで特徴付けられる疎水性フィルムを形成する工程と、からなる、肌又は髪上に疎水性フィルムを付与する方法。
43.17.に記載の組成物を肌又は髪上に載せる工程と、前記組成物中の揮発性成分を蒸発させることで、少なくとも140°の水滴接触角を持つことで特徴付けられる疎水性フィルムを形成する工程と、からなる、肌又は髪上に疎水性フィルムを付与する方法。
44.前記組成物は、動物の外皮に撥水性を付与するために、当該外皮に適用される、40.に記載の方法。
45.前記組成物は、動物の外皮に撥水性を付与するために、当該外皮に適用される、41.に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るエマルジョンを適用することで超疎水性フィルムが堆積されているスライドガラス上に水滴を載せた様子を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書では、『超疎水性』という用語は、通常、水接触角が140°を超える表面を指す。超疎水性は、接触角測定器又は類似する周知の方法を用いて水接触角を測定することで、定量的に評価される。或は、超疎水性を、目視検査又は撥水性の観察によって、即ち、鋳型成形されたフィルム上を転がり落ちる水滴を観察することによって、定量的に評価することもできる。
【0027】
超疎水性は、表面に撥水性を与え、その結果、肌、爪、又は、髪に適用した後の化粧用組成物における長付着性及び自浄性に影響を与える。さらに、本発明に係る組成物は、表面エネルギーの不整合によって、肌、爪、又は、髪への汚染物質及び汚れなどの接着力を減少させる。この結果、汚染物質及び汚れなどは、水の有無に関わらずより簡単に取り除かれ、自浄性がもたらされる。さらに重要なことに、本組成物は、肌又は髪が汗又は雨などの水と触れても濡れないような、或は、少ししか濡れないようなバリアを提供する。
【0028】
本発明に係る超疎水性フィルムを付与する化粧用組成物は、一般的に、1種以上の化粧用塗膜形成剤と、約10nmから約1mmの間の中央粒子径を持つ1種以上の疎水性又は疎水化粒子状材料と、1種以上の乳化剤と、を含有する油中水型エマルジョンからなる。本明細書中では、油中水型エマルジョンという用語は、シリコーン中水型エマルジョンを含むものとして用いる。
【0029】
本組成物は、好ましくは、揮発性成分が蒸発した後に、水滴接触角が、約140°を、好ましくは、約145°を、より好ましくは、約150°を、超えることを特徴とするフィルムを表面に付与することが可能である。接触角は、表面の疎水性の尺度であり、液体/蒸気境界面が固体表面と交わるところの角度である。接触角は、接触角測定器を用いて適切に測定される。
【0030】
本発明に係る組成物の第1の必要成分は、塗膜形成剤である。塗膜形成剤は、好ましくは、疎水性材料からなる。疎水性塗膜形成剤は、化粧用組成物での使用が適切な疎水性塗膜形成剤であればなんでもよく、こうした塗膜形成剤としては、例えば、これに制限されるわけではないが、疎水性塗膜形成ポリマーが挙げられる。塗膜形成ポリマーという用語は、それ自身で、又は、少なくとも1種の塗膜形成助剤の存在下で、表面に付着して粒子状材料の結合剤として機能するような連続するフィルムを形成することが可能なポリマーを示すものとして理解されるだろう。『疎水性』塗膜形成ポリマーという用語は、典型的には、25℃の水への溶解度が1重量%未満であるポリマー、又は、ポリマーのモノマー単位のそれぞれが25℃の水への溶解度が1重量%未満であるポリマーを指す。また、代わりに、『疎水性』塗膜形成ポリマーという用語は、当量の水及びオクタノールの混合物と混和したとき、主にオクタノール相に分画されるポリマーを指して用いられることもある。「主に」という用語は、オクタノール相に分画されること割合が、50重量%を、好ましくは、75重量%を、より好ましくは、95重量%を超えることを意味する。
【0031】
塗膜形成剤は、天然又は合成の、ポリマー性又は非ポリマー性の、低分子量又は高分子量の、樹脂又は結合剤のいずれかであり得る。ポリマー性の塗膜形成剤は、天然又は合成の、添加又は濃縮による、ホモ鎖又はヘテロ鎖の、単分散性又は多分散性の、有機性又は無機性の、直線状又は分枝状又架橋状の、帯電性又は非帯電性の、熱可塑性の又は熱硬化性の、エラストマー性の、結晶質又は非結晶質又はその両方の、イソタクチック又はシンジオタチック又はアタクチックの、ホモポリマー又はコポリマーのいずれかであり得る。
【0032】
ポリマー性の塗膜形成剤としては、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリアクリレート、ポリウレタン、シリコーン、ポリアミド、ポリエステル、フルオロポリマー、ポリエーテル、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリイミド、ゴム、エポキシ樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、及び、これらのホモポリマー及びコポリマーなどが挙げられる。
【0033】
適切な疎水性(親油性)塗膜形成剤ポリマーとしては、カラフスキーらの特許文献7、マーらの特許文献8、デ・ラ・ポテリエらの特許文献9、ボデリンらの特許文献10、ケラーらの特許文献1、サミュエルらの特許文献11などに記載のものが挙げられ、これらの開示を本明細書に参照により取り込む。
【0034】
ポリアルキレンについて、特に、C−C20のアルケンコポリマーの具体例としては、例えば、ポリブテン、直線状又は分枝状で飽和又は不飽和のC−Cアルキルラジカルによるアルキルセルロース、(例えば、エチルセルロース及びプロピルセルロースなど)、ビニルピロリドンコポリマー(VP)、特にCからC40の、より良くは、CからC20のアルケンとビニルピロリドンとのコポリマー(例えば、ビニルピロリドンとエイコセン又はドデカンモノマーとのコポリマーなど、Ganex V 220及びGanex V 216ポリマーの商標名で販売されている(米国ニュージャージー州ウェーンのISP社))、シリコーンポリマー及びポリオルガノシロキサン(例えば、制限されるわけではないが、ポリアルキルシロキサン、ポリアリルシロキサン、又は、ポリアルキルアリルシロキサン、特記すればポリジメチルシロキサン)、ポリ酸無水物樹脂(例えば、ChevronからPA−18の商標名で市販されているものなど)、無水マレイン酸とCからC40のアルケン(例えば、オクタデセン−1など)とに由来するコポリマー、ポリウレタンポリマー(例えば、Performa V 825(New Phase Technologies社製)、及び、ゴンザレスらの特許文献12に開示されているもの。なお、この開示を本明細書に参照により取り込む)、ビニル酸単量体のエステルからなるポリマー及びコポリマー(制限されるわけではないが、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリレートとも呼ばれる)、例えば、アルキル(メタ)アクリレート(ただし、アルキル基は、直鎖状の、分枝状の、及び、環状の、(C−C30)アルキル基からなる群より選択される)などがあり、例えば、(C−C20)アルキル(メタ)アクリレート、及び、さらに、(C−C10)アルキル(メタ)アクリレートなどがある)などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、イソメタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及び、メタクリル酸ラウリルなどが挙げられる。アリル(メタ)アクリレートとしては、アクリル酸ベンジル、及び、アクリル酸フェニルなどが挙げられる。上記エステルのアルキル基は、例えば、フッ素化及び過フッ素化アルキル基から選択されてもよい。言い換えれば、アルキル基の水素原子のいくつか又は全てがフッ素原子で置換されてもよい。酸単量体からなる(メタ)アクリルアミドなどの、アミドとしては、例えば、(C−C20)アルキルなどのN−アルキル(メタ)アクリルアミド、これらに制限されるわけではないが、N−エチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド、及び、N−ウンデシルアクリルアミドなどが挙げられる。疎水性塗膜形成ポリマー用のビニルポリマーは、ビニルエステル、オレフィン(例えば、フルオロオレフィン)、ビニルエーテル、及び、スチレンモノマーから選択される少なくとも1種のモノマーの単重合又は共重合から得ることもできる。例えば、これらのモノマーを、上記のような、少なくとも1種の酸モノマー、それらのエステル、及び、それらのアミドと共重合させることで得ることができる。ビニルエステルの例としては、これらに制限されるわけではないが、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、及び、t−ブチル安息香酸ビニルなどが挙げられる。オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン、オクテン、及び、オクタデセン、などが挙げられる、また、多フッ素化オレフィンとしては、例えば、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロペン、及び、クロロトリフルオロエチレンなどが挙げられる。スチレンモノマーとしては、例えば、スチレン、及び、α―メチルスチレンなどが挙げられる。ここで挙げたモノマーは、本発明を制限するものではなく、疎水性フィルムをもたらすようなアクリル及びビニルモノマーとして分類され、当業者にとって周知なモノマーであればいかなるものを用いてもかまわない。このような点から、市販されている塗膜形成剤であるシクロペンタシロキサン・(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー混合物(KP−545、信越化学)が挙げられる。
【0035】
当業者にとって周知の他の塗膜形成剤を本組成物に用いることも有利である。こうした塗膜形成剤としては、例えば、アクリレートコポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸アルキル(C1222))コポリマー、(アクリレート/オクチルアクリルアミド)コポリマー、(アクリレート/VA)コポリマー、アモジメチコン、アクリル酸アルキルコポリマーAMP、ベヘニル/イソステアリル、ブチル化PVP、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸ブチル)コポリマー、(カルシウム・ナトリウムPVM/MA)コポリマー、ジメチコン、ジメチコンコポリマー、(ジメチコン/メルカプトプロピルメチコン)コポリマー、ジメチコーンプロピルエチレンジアミンベヘネート、ジメチコノールエチルセルロース(dimethicolnol ethylcellulose)、(エチレン/アクリル酸)コポリマー、(エチレン/MA)コポリマー、(エチレン/VA)コポリマー、フルオロアルキル(C)ジメチコン、(C3038オレフィン/マレイン酸イソプロピル/MA)コポリマー、水添(スチレン/ブタジエン)コポリマー、エトキシヒドロキシエチルセルロース、(イソブチレン/MA)コポリマー、メタクリル酸メチルクロスポリマー、(メタクリル酸エチルベタイン/アクリレーツ)コポリマー、(オクタデセン/MA)コポリマー、(オクタデセン/無水マレイン酸)コポリマー、オクチルアクリルアミド/アクリレート/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマー、酸化ポリエチレン、パーフルオロポリメチルイソプロピルエーテル、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリプロピレン、(PVM/MA/デカジエン)クロスポリマー、(PVM/MA)コポリマー、PVP、(PVP/デセン)コポリマー、(PVP/エイコセン)コポリマー、(PVP/ヘキサデセン酸)コポリマー、(PVP/MA)コポリマー、(PVP/VA)コポリマー、(アクリル酸ナトリウム/ビニルアルコール)コポリマー、ステアロキシジメチコン、ステアロキシトリメチルシラン、ステアリルアルコール、(ステアリルビニルエーテル/MA)コポリマー、(スチレン/DVB)コポリマー、(スチレン/MA)コポリマー、テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、トリコンタニルPVP、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、(VA/クロトン酸)コポリマー、(VA/クロトン酸/プロピオン酸ビニル)コポリマー、(VA/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニル)コポリマー、(ビニルカプロラクタム/PVP/メタクリル酸ジメチルアミノエチル)コポリマー、及び、ビニルジメチコンなどが挙げられる。
【0036】
疎水性塗膜形成剤ポリマーのさらなる例としては、これらに制限されるわけではないが、ポリウレタン、ポリウレタン−アクリル、ポリウレタン−ポリビニルピロリドン、ポリエーテル−ポリウレタン、ポリエーテル−ポリウレタン、ポリ尿素、及び、ポリ尿素/ポリウレタンなどの重縮合物が挙げられる。ポリウレタンとしては、例えば、脂肪族の、脂環式の、及び、芳香族のポリウレタン、ポリ尿素ウレタン、並びに、脂肪族ポリエステル由来、脂環式ポリエステル由来、及び、芳香族ポリエステル由来の少なくとも1種の配列と、分枝状及び非分枝状シリコーンからなる少なくとも1種の配列(例えば、ポリジメチルシロキサン及びポリメチルフェニルシロキサンなど)と、フッ化基からなる少なくとも1種の配列と、のうち少なくとも1種からなるポリ尿素コポリマーなどが挙げられる。重縮合物のさらなる例としては、これらに制限されるわけではないが、ポリエステル、ポリエステルアミド、脂肪鎖ポリエステル、ポリアミド樹脂、エポキシエステル樹脂、アルリスルホンアミド−エポキシ樹脂、及び、アルデヒドとアリルスルホンアミドとの縮合によって生じる樹脂などが挙げられる。
【0037】
また、肌、爪、又は、髪に適用された後に硬化するような樹脂を用いることで、適用されたその場所に疎水性フィルムを形成することもできる。このような、疎水性フィルムとしては、ヒドロシランとオレフィン置換シロキサンとの適用場所でのヒドロシル化によって、又は、アルコキシ官能化シロキサンの適用場所での重縮合によって形成されたポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
【0038】
好ましいポリマー性塗膜形成剤としては、アクリル酸エステル、アクリル酸アルキル、ポリウレタン、フルオマー(ポリパーフルオロパーハイドロフェナンスレン)などのフルオロポリマー、及び、シリコーンポリマーなどが挙げられる。特に好ましいものとしては、アクリル酸シリコーン、例えば、KP−545又はKP−550(信越化学)の商標名で販売される(アクリレート/ジメチコン)コポリマーが挙げられる。
【0039】
使用することができるその他の塗膜形成剤としては、これらに制限されるわけではないが、天然ワックス、鉱物ワックス、及び/又は、合成ワックスが挙げられる。天然ワックスとしては、動物由来のもの、例えば、これらに制限されるわけではないが、ミツロウ、ゲイロウ、ラノリン、セラックロウなど、および、植物由来のもの、例えば、これらに制限されるわけではないが、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、シロヤマモモロウ、サトウキビロウなどが挙げられる。有効であると期待される鉱物ワックスとしては、オゾケライトワックス、セレシンワックス、モンタンロウ、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、石油ワックス、および、ワセリンなどが挙げられる。合成ワックスとしては、例えば、フィッシャートロプシュ(FT)ワックス、および、ポリオレフィンワックス、例えば、エチレンホモポリマー、(エチレン/プロピレン)コポリマー、(エチレン/ヘキセン)コポリマーなどが挙げられる。代表的なエチレンホモポリマーワックスが、POLYWAX(登録商標)ポリエチレン(ベーカー・ヒューズ社)の商標名で市販されている。市販のエチレン−α−オレフィンコポリマーワックスとしては、PETROLITE(登録商標)コポリマー(ベーカー・ヒューズ社)の商標名で販売されているものが挙げられる。適切なその他のワックスとしては、ULTRABEEOジメチコノールエステルとしてノベオン社から市販されているジメチコノールミツロウが挙げられる。
【0040】
いくつかの実施形態では、拡散性、エマルジョンの安定性などを改善するために、親水性又は水溶性の塗膜形成剤(例えば、セルロース誘導体、多糖類、ポリクオタニウムなど)を、本組成物に添加することが望まれ得る。あまり好ましくはないが、こうした親水性又は水溶性の塗膜形成剤を含有する組成物も、本発明の範囲である。親水性又は水溶性の塗膜形成剤の量には制限はないが、その濃度が高濃度(例えば、塗膜形成剤の全重量に対して20重量%を超えるなど)の場合、表面の疎水性の減少を補うために、塗膜形成剤に対する疎水性粒子の割合を増加させる必要があるかもしれない。いくつかの実施形態では、全塗膜形成剤の合計重量に対する親水性又は水溶性の塗膜形成剤全体の割合は、約20重量%未満、好ましくは、約15重量%未満、より好ましくは、約10重量%未満、さらに好ましくは、約5重量%である。好ましい実施形態では、親水性塗膜形成剤は、エマルジョン中の塗膜形成剤の全重量に対して、約2重量%未満である。ある実施形態では、存在する水溶性塗膜形成剤の量が、それを含まないことを除いては同一の組成物と比較したときの水接触角に測定可能なほどの差をもたらさないように、エマルジョンは水溶性塗膜形成剤を実質的に含まない。
【0041】
また、上記の塗膜形成剤を任意に組み合わせたものも本発明に適合可能であると考えられ、こうしたものとしては、ポリマー性の塗膜形成剤と非ポリマー性の塗膜形成剤との組み合わせが挙げられる。
【0042】
本発明に係る組成物に第2の必要成分は、もともと疎水性であるか、又は、表面処理などで疎水化された粒子状材料である。理論に制約されることを望むわけではないが、この粒子状材料は、ナノスケール(1nm〜1000nm)又はマイクロスケール(1μm〜200μm)の表面粗度又はフィルム上の構造物をもたらす。こうした表面粗度又はフィルム上の構造物は、水滴が載る場所に隆起をもたし、これにより水と表面との接触を全体として最小化することで、即ち、表面の付着を減少させることで、超疎水性を与える。表面粗度は、AFM及びSEMなどで観察又は測定され得る。全てではないがいくつかの実施形態では、粒子状材料は多孔性ではない。
【0043】
本発明に係る好ましい粒子状材料としては、疎水化シリカ(SiO)粉末、例えば、ヒュームドシリカ又は熱分解シリカ(例えば、粒子径が約7から40nmのもの)などが挙げられる。その他の注目すべき粒子状材料としては、疎水化金属酸化物、例えば、これらに制限されるわけではないが、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、及び、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0044】
有利なことに、この粒子状材料は、本組成物に追加の機能を与えるようなものであってもよい。こうした機能としては、例えば、紫外線(UV)吸収性又は分散性などがあり、これらは、例えば、酸化チタン及び酸化亜鉛の粒子の場合に与えられる。また、粒子状材料は、美的特徴、例えば、色(色素など)及び真珠光沢(雲母など)などを与えるものであってもよい。粒子状材料は、例えば、有機性又は無機性の粒子状色素を基にしたものでもよい。有機性粒子状色素の例としては、レーキ、特に、アルミニウムレーキ、ストロンチウムレーキ、及び、バリウムレーキなどが挙げられる。無機性粒子状色素の例としては、酸化鉄、特に、赤酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄など、酸化チタン、酸化亜鉛、フェリシアン化カリウム(KFe(CN))、フェロシアン化カリウム(KFe(CN))、フェロシアン化カリウム三水和物(KFe(CN)・3HO)、及び、これらの混合物などが挙げられる。また、粒子状材料は、無機充填剤に基づくものであってもよく、例えば、タルク、雲母、シリカ、及び、これらの混合物、又は、特許文献13に開示される任意の粘土などが挙げられる。この特許文献に記載を本明細書に参照により取り込む。
【0045】
ある実施形態では、粒子状材料は、その表面に疎水性コーティングを付与するように表面処理される。疎水化粒子及び疎水化粒子の製造方法は、当技術分野で周知であり、例えば、シュッテらの特許文献14、ワーグナーらの特許文献15、ワーグナーらの特許文献6、ケラーらの特許文献1及び、ミューラーらの特許文献16、及び、ディーツらの特許文献17などに記載されている。これら文献の記載を本明細書に参照により取り込む。ある実施形態では、本発明の実施形態に係る疎水性粒子は、非極性基によって表面を(例えば、共有結合などで)覆われている酸化物粒子(例えば、金属酸化物、及び、酸化シリコーンなど)から形成され得る。こうした非極性基としては、例えば、アルキル基、シリコーン基、シロキサン基、アルキルシロキサン基、オルガノシロキサン基、フッ素化シロキサン基、パーフルオロシロキサン基、オルガノシラン基、アルキルシラン基、フッ素化シラン基、過フッ素化シラン、及び/又は、ジシラザン基などが挙げられる。ファーラーらの特許文献18は、本発明に適合可能なフルオロシラン修飾粒子を開示する(なお、この文献の記載を本明細書に参照により取り込む)。この粒子は、酸素又は水酸基などの求核基を備える粒子を、少なくとも1つのフッ素原子によって置換されたヒドロカルビル基と求核試薬によって置換可能な反応性のヒドロカルビルオキシ基とを備えるシリコン含有化合物に反応させることで形成される。こうした化合物の例としては、DYNASILANE(登録商標)F8261の商標名で米国ニュージャージー州ピスカタウェイのシベント社から市販されているトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランが挙げられる。ディーツらの特許文献17に記載の疎水化シリカ材料は、特に、本発明に適している。なお、この文献の記載を本明細書に参照により取り込む。
【0046】
また、ケラーらの特許文献1に記載の疎水化粒子状材料も本発明に有用であると考えられ、これらに制限されるわけではないが、金属酸化物(例えば、SiO、TiOなど)を、酸化物担体粒子の表面付近の水酸基と化学反応する反応性官能基(パーフルオロ)を少なくとも1つ含むアルキル含有化合物で処理することで得られるもの、例えば、ヘキサメチルジシラザン、オクチルトリメトキシシラン、シリコーン油、クロロトリメチルシラン、及び、ジクロロジメチルシランなどが挙げられる。なお、この文献の記載を本明細書に参照により取り込む。
【0047】
適切な疎水化ヒュームドシリカ粒子としては、これらに制限されるわけではないが、米国ニュージャージー州パーシップニーのデグッサ社から市販されているアエロシル(登録商標)R202、アエロシル(登録商標)R805、アエロシル(登録商標)R812、アエロシル(登録商標)R812S、アエロシル(登録商標)R972、アエロシル(登録商標)R974、アエロシル(登録商標)R8200、アエロキサイド(登録商標)LE−1、アエロキサイド(登録商標)LE−2、及び、アエロキサイド(登録商標)LE−3などが挙げられる。その他の適切な粒子としては、テグトップ(登録商標)105(デグッサゴールドシュミットケミカル社)の商標名で市販されている粒子状シリコンワックス、及び、ミンコール(登録商標)(BASF社)の商標名で市販されている粒子状ビニルポリマーが挙げられる。シリカ(SiO)及び疎水化シリカは、いくつかの実施形態で特に有用であると考えられるが、その他の実施形態では、本組成物は、シリカ又は疎水化シリカを実質的に含まないだろう。シリカ又は疎水化シリカを実質的に含まないとは、1種以上の粒子状材料の重量に対するこれら成分の割合が、約2重量%未満、好ましくは、約1%未満、さらに好ましくは、0.5%未満であることを意味する。適切な疎水化アルミナ粒子としては、デグッサ社から市販されているALU C 805が挙げられる。
【0048】
また、1種以上の粒子状材料は、微細粉末として形成されている粒子状有機ポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、及び、ポリ塩化ビニルなどからなっていてもよい。代わりに、粒子状材料は、特許文献19に記載の任意のシェル材料からなるマイクロカプセルであってもよい。この文献の記載を本明細書に参照により取り込む。
【0049】
1種以上の粒子状材料は、典型的には、約1nmから約1mmの間、より典型的には、約5nmから500μmの間、好ましくは、約7nmから約1μm、5μm、20μm、50μm、又は、約100μmの間の中央粒子径を有する粉末の形態である。2種以上の粒子状材料を用いる場合(例えば、処理済みのTiO及び処理済みのSiOなど)、粉末の中央粒子径は、好ましくは、それぞれ、上記の範囲内にある。
【0050】
約1mmを超える中央粒子径を有する粒子状材料は、当該粒子自身が適切な粒子径範囲の表面粗度を備えているのでない限り、大きすぎる。例えば、大きな粒子を20nmの範囲のポリマー鎖で表面処理することで、本発明に使用可能な表面粗度を得ることができる。この結果生じるフィルムの粗度は、主な粒子の大きさによって、凝集体中の凝集した粒子の大きさによって、又は、粒子径分布によって特徴付けられ得る。
【0051】
本発明に係る組成物中の各成分の割合は、所望の超疎水性効果を備える組成物を得られるよう制御される。例えば、疎水性塗膜形成剤と粒子状材料との重量比は、約1:2から約2:1の間であり、例えば、約1:2、約1:1.75、約1:1.25、約1:1、約1.25:1、約1.5:1、約1.75:1、及び、約2:1などである。疎水性塗膜形成剤と粒子状材料との重量比が約1:1であるとき、特に良い結果が得られる。
【0052】
エマルジョン中の不揮発性部分の重量に対する疎水性塗膜形成剤と粒子状材料との全体の割合は、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、又は、少なくとも約80重量%であってもよい。典型的には、エマルジョン中の不揮発性部分の重量に対する疎水性塗膜形成剤と粒子状材料との全体の割合は、約95重量%未満、約90重量%未満、又は、約85重量%未満である。ある実施形態では、エマルジョン中の不揮発性部分の重量に対する疎水性塗膜形成剤と粒子状材料との全体の割合は、約80重量%(又は80重量%以上)から約90重量%である。
【0053】
油中水型エマルジョン
本発明に係る組成物は、好ましくは、油中水型エマルジョンとして処方される。これらのエマルジョンは、油を含有する連続相と水の不連続な相とからなる。
【0054】
エマルジョンの全重量に対する油含有相の割合は、典型的には、約10重量%から99重量%、好ましくは、約20重量%から約85重量%、より好ましくは、約30重量%から約70重量%である。また、エマルジョンの全重量に対する水相の割合は、典型的には、約1重量%から約90重量%、好ましくは、約5重量%から約70重量%、より好ましくは、約20重量%から約60重量%である。水重量に対する水相の割合は、典型的には、約25重量%から約100重量%、より典型的には、約50重量%から約95重量%であろう。
【0055】
油含有相は、単一の油、又は、異なる油の混合物から構成されてもよい。実質的にどんな油も本発明に有用であると考えられるが、疎水性が高い油が好ましい。本発明に適合可能な例としては、これらに制限されるわけではないが、植物油、エステル(例えば、パルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び、パルミチン酸イソプロピルなど)、エーテル(例えば、ジカプリリルエーテルなど)、脂肪アルコール(例えば、セタノール、ステアリルアルコール、及び、ベヘニルアルコールなど)、イソパラフィン(例えば、イソオクタンなど)、イソドデカン及びイソヘキサデカン、シリコーン油(例えば、ジメチコン、環状シリコーン、及び、ポリシロキサンなど)、炭化水素油(例えば、鉱物油、ペトロラタム、イソエイコサン、及び、ポリイソブテンなど)、天然又は合成ワックスなどが挙げられる。
【0056】
適切な疎水性炭化水素油は、飽和又は不飽和であり得、脂肪族的特徴を有し得、直線状又は分枝状であり得、或は、脂環又は芳香環を含み得る。炭化水素油としては、炭素数6−20の、より好ましくは、炭素数10−16のものが挙げられる。炭化水素の例としては、デカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカン、及び、イソパラフィン(C20)が挙げられる。パラフィン性炭化水素は、イソパルスの商標名でエックソン社から市販されているもの、及び、ペルメチル社から市販されているものが挙げられる。さらに、パラフィン(C20)性炭化水素、例えば、ペルメチル社からペルメチル99ATMの商標名で市販されているC12イソパラフィンなど、も本発明に適合可能であると考えられる。また、さまざまな市販のC16イソパラフィン、例えば、イソヘキサデカン(商標名ペルメチルRTM)なども本発明に適合可能である。好ましい揮発性炭化水素の例としては、イソドデカン及びイソデカンが挙げられ、例えば、ペルメチル−99A(プレスパース社)、及び、例えば、エックソンケミカルから市販のイソパーシリーズなどのC−CからC12−C15のイソパラフィンが挙げられる。炭化水素溶媒の代表例としては、イソドデカンが挙げられる。
【0057】
エマルジョンは、従来の保湿剤のいくつかを含む僅かな又は不揮発性の親水性成分を含有することが重要である。グリセリン及び多価アルコール、(例えば、プロピレングリコール、エトキシジグルコール、グリセリン、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、及び、ヘキシレングリコールなど)などの成分は、除去されるか、或は、不揮発性親水性成分の総量が、15重量%、好ましくは、10重量%、5重量%、2重量%、又は、1重量%を超えないような濃度で保たれるべきである。グリセリンは、超疎水性を得ることを特に阻害することが判明しているため、2重量%未満の水準で維持するか、又は、完全に除去するかすべきである。
【0058】
より優れた疎水性を提供するようなフィルムを得るためには、乳化剤の選択及び量が需要であることが判明している。乳化剤自身は超疎水性フィルムの形成を阻害しうるため、本組成物は、好ましくは、安定したエマルジョンを形成することが可能な最低限の量でのみ乳化剤を含有する。本組成物の全重量に対する乳化剤量の割合は、典型的には、約0.001重量%から約10重量%、しかし、好ましくは、約0.01重量%から約5重量%、最も好ましくは、約0.1重量%から約1重量%である。
【0059】
油中水型エマルジョンに関して、乳化剤自身は、低いHLB値、好ましくは、10未満、より好ましくは、8.5未満であるべきである。1種以上の乳化剤の組み合わせも本発明の範囲内にあるものと考えられるが、こうした各乳化剤も低いHLB値であるべきである。そのため、高HLB及び低HLBの乳化剤の使用は、その組み合わせのHLBが低くても(例えば、8.5未満であっても)、あまり望ましくない。なぜなら、この系を組み合わせたHLBが8.5未満であっても、より高いHLBを備える乳化剤の寄与によって、超疎水性フィルムの形成が阻害されるからである。もし存在するのであれば、10を超えるHLBの乳化剤の量は、1重量%未満、より好ましくは、0.5重量%未満、さらに好ましくは、0.2重量%未満である。
【0060】
乳化剤が、化学式―(CHCHO)n―で表される鎖からなるポリエトキシ化型(例えば、ポリオキシエチレンエーテル又はエステルなど)である場合、nは一般的に20未満であり、好ましくは、10未満であり、さらに好ましくは、7未満であり、最も好ましくは、5未満である。また、プロポキシル化された乳化剤も本発明に適合可能であると考えられる。プロポキシル化された乳化剤は、典型的には、20未満の、好ましくは、10未満の、最も好ましくは、5未満の酸化プロピレンの繰り返し単位を有する。
【0061】
本発明に係る組成物中で用いることができる乳化剤としては、これらに制限されるわけではないが、わずかばかりを挙げれば、ソルビタンエステル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−3、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、グリセロールエステル(例えば、グリセロールモノステアレート、及び、グリセロールモノオレエート)、ポリオキシエチレンフェノール(例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェノール、及びポリオキシエチレンノニルフェノール)、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、及び、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなど)、ポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ジメチコンコポリオール、ポリグリセリルエステル(例えば、ジイソステアリル酸ポリグリセリルなど)、ラウリン酸グリセリル、ステアレス−2、及び、ステアレス−6などが挙げられる。非特許文献1にはさらに多くの乳化剤が記載されており、この記載を本明細書に参照により取り込む。
【0062】
本発明に適合可能であると考えられる極めて低いHLBを持つ乳化剤としては、3.7のHBL値を持つ、2:1のモル比のモノステアレートとジオレエートとからなるセシクイエステル(sesquiester)であるスパン83が挙げられる。ソルビタンモノステアレート(INCI名、Sorbitan monostearate)もまた本発明に適合可能であり、4.7のHLB値を持つ。
【0063】
水相は、1種以上の追加の溶媒、好ましくは、揮発性溶媒を含有してもよく、例えば、エタノール、及び、イソプロパノールなどの低級アルコールを含んでもよい。揮発性溶媒は、化粧用に使用可能なエステル(例えば、酢酸ブチル、又は、酢酸エチルなど)、及び、ケトン(例えば、アセトン、又はエチルメチルケトンなど)などであってもよい。水相中に存在する場合、水相の全重量に対する揮発性溶媒の割合は、典型的には、約0.1重量%から約75重量%、より典型的には、約35重量%までであり、好ましくは、約15重量%までである。水と追加の揮発性溶媒とは、当該溶媒の揮発に伴って粒子をフィルム表面に押し出す傾向があるため、超疎水性フィルムの形成を改善すると考えられる。
【0064】
シリコーン中水型エマルジョン
有用であることが判明している油中水型エマルジョンの1種として、シリコーン油を含有する連続相と水の不連続相とからなるシリコーン中水型エマルジョンがある。
【0065】
エマルジョンの全重量に対するシリコーン含有相の割合は、典型的には、約20重量%から約95重量%の、好ましくは、約25重量%から約85重量%、より好ましくは、約35重量%から約70重量%である。また、エマルジョンの全重量に対する水相の割合は、典型的には、約5重量%から約90重量%、好ましくは、約10重量%から約70重量%、より好ましくは、約20重量%から約60重量%である。水重量に対する水相の割合は、典型的には、約25重量%から約100重量%、より典型的には、約50重量%から約95重量%であろう。
【0066】
シリコーン油相としては、揮発性シリコーン油、不揮発性シリコーン油、及び、これらの組み合わせなどが挙げられる。揮発性シリコーン油とは、室温で容易に蒸発するものを意味する。典型的には、揮発性シリコーン油は、25℃で約1Paから約2kPaの範囲の蒸気圧を示す。また好ましくは、揮発性シリコーン油は、25℃で、約0.1から約10センチストークの、好ましくは、5センチストーク以下の、より好ましくは、約2センチストーク以下の粘度を有する。そして、揮発性シリコーン油は、大気圧条件下では、約35℃から約250℃で沸騰する。
【0067】
揮発性シリコーンとしては、環状又は直線状の揮発性ジメチルシロキサンシリコーンが挙げられる。ある実施形態では、揮発性シリコーンは、シクロジメチコン、例えば、四量体(D4)、五量体(D5)、及び、六量体(D6)のシクロジメチコン、並びに、これらの混合物などを含み得る。揮発性シクロジメチコンの具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、及び、デカメチルシクロペンタシロキサンなどが挙げられる。適切なジメチコンは、0.65から600000センチストーク以上の範囲の粘度を有し、こうしたジメチコンとしては、ダウコーニング社からダウコーニング200(登録商標)液が挙げられる。その他の本発明に適合可能な非極性揮発性液状シリコーン油が、特許文献20に開示され、この文献の内容を本明細書に参照により取り込む。さらなる揮発性シリコーン材料が、非特許文献2に記載され、この文献の内容を本明細書に参照により取り込む。直線状揮発性シリコーンは、一般的に、25℃で約5センチストーク未満の粘度を有し、一方、環状揮発性シリコーンは、25℃で約10センチストーク未満の粘度を有する。さまざまな粘度の揮発性シリコーンの例としては、ダウコーニング200、ダウコーニング244、ダウコーニング245、ダウコーニング344、ダウコーニング345(以上全てダウコーニング社製)、SF−1204、SF−1202(それぞれG.E.シリコーン社製)、GE7207及び7158(それぞれジェネラルエレクトリック社製)、並びに、SWS−03314(SWSシリコーン社製)が挙げられる。直線状の揮発性シリコーンとしては、低分子量のポリジメチルシロキサン化合物、例えば、わずかばかりに触れて言えば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、及び、ドデカメチルペンタシロキサンなどが挙げられる。
【0068】
不揮発性シリコーン油は、典型的には、ポリアルキルシロキサン、ポリアリルシロキサン、ポリアルキルアリルシロキサン、又は、これらの混合物からなる。ポリジメチルシロキサンは、好ましくは、不揮発性シリコーン油である。不揮発性シリコーン油は、典型的には、25℃で約10から約60000センチストークの間の、好ましくは、約10から約10000センチストークの間の、より好ましくは、約10から約500センチストークの粘度を有し、大気圧条件下で250℃を超える沸点を有する。例としては、これらに制限されるわけではないが、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、フェニルトリメチコン、及び、ジフェニルジメチコンなどが挙げられる。
【0069】
揮発性及び不揮発性のシリコーン油は、さまざまな官能基により随意に置換されてもよく、例えば、数種を挙げれば、アルキル基、アリル基、アミン基、ビニル基、ヒドロキシル基、ハロアルキル基、アルキルアリル基、及び、アクリレート基などがある。
【0070】
シリコーン中水型エマルジョンは、非イオン性界面活性剤(乳化剤)によって乳化される。適切な乳化剤としては、(ポリジオルガノシロキサン/ポリオキシアルキレン)ブロックコポリマーが挙げられ、例えば、特許文献21に記載のものなどがある。なお、この文献の記載を本明細書に参照により取り込む。これらの乳化剤は、一般的に、ポリジオルガノシロキサン骨格、典型的には、ポリジメチルシロキサンを含んでおり、−(EO)m−及び/又は−(PO)n−官能基からなる側鎖を有している。なお、このとき、EOはエチレンオキシ基、POは1,2−プロピレンオキシ基を示し、側鎖の末端は、典型的には、水素又はアルキル基(例えば、C1−6の、典型的には、C1−3のもの)である。側鎖は、好ましくは、50単位以下のEO及び/又はPO(例えば、m+n=<50)からなり、より好ましくは、20単位以下の、さらに好ましくは、10単位以下のEO及び/又はPOからなる。また、シリコーン乳化剤は、アルコキシル化された側鎖に加えて、シリコーン骨格から延びるアルキル鎖も含み得る。本発明に適合可能なその他のシリコーン中水型乳化剤が、特許文献8に開示され、この文献の記載を本明細書に参照により取り込む。市販のシリコーン中水型乳化剤としては、ダウコーニング社から3225C及び5225C FORMULATION AIDの商標名で販売されているもの、ジェネラルエレクトリック社から販売されているSF1528、ゴールドシュミットケミカル社(米国バージニア州ホープウェル)から販売されているABIL EM90及びEM97、並びに、OSIスペシャリティ(米国コネティカット州ダンベリー)から販売されている乳化剤のSILWET(商標)シリーズなどが挙げられる。
【0071】
シリコーン中水型乳化剤の例として、これらに制限されるわけではないが、(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマー、ジメチコンコポリオール、セチルジメチコンコポリオール、(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、ラウリルメチコンクロスポリマー、シクロメチコン及びジメチコンコポリオール、ジメチコンコポリオール・カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド混合物、イソステアリン酸ポリグリセリル−4・セチルジメチコンコポリオール・ラウリン酸ヘキシル混合物、及び、ジメチコンコポリオール・シクロペンタシロキサン混合物などが挙げられる。
【0072】
シリコーン中水型乳化剤の好ましい例としては、これらに制限されるわけではないが、PEG/PPG−18/18ジメチコン(商標名5225C、ダウコーニング社)、PEG/PPG−19/19ジメチコン(商標名BY25−337、ダウコーニング社)、セチルPEG/PPG−10/1ジメチコン(商標名Abil EM−90、ゴールドシュミットケミカル社)、PEG−12ジメチコン(商標名SF 1288、ジェネラルエレクトリック社)、ラウリルPEG/PPG−18/18メチコン(商標名5200FORMULATION AID、ダウコーニング社)、PEG−12ジメチコンクロスポリマー(商標名9010及び9011シリコーンエラストマーブレンド、ダウコーニング社)、PEG−10ジメチコンクロスポリマー(商標名KSG−20、信越)、及び、ジメチコンPEG−10/15クロスポリマー(商標名KSG−210、信越)などが挙げられる。
【0073】
シリコーン中水型乳化剤は、典型的には、本組成物中に、約0.001重量%から約10重量%、特に、約0.01重量%から約5重量%、より好ましくは、1重量%未満の割合で存在する。
【0074】
さまざまな充填剤及び追加成分を加えてもよい。本発明に適合可能な充填剤としては、これらに制限されるわけではないが、シリカ、処理シリカ、タルク、ステアリン酸亜鉛、マイカ、カオリン、ナイロン粉末(例えば、オルガソル(登録商標)など)、ポリエチレン粉末、テフロン(登録商標)、デンプン、窒化ホウ素、コポリマー・マイクロスフィア(例えば、エクスパンセル(登録商標)(ノーベル・インダストリー社)、ポリトラップ(登録商標)(ダウ・コーニング社)、および、シリコーン樹脂性マイクロビーズ(東芝社製トスパール(登録商標)))など、が挙げられる。
【0075】
付加的な色素又は粉末の充填剤としては、これらに制限されるわけではないが、無機粉末(例えば、ゴム、チョーク、フラー土、カオリン、セリサイト、白雲母、金雲母、合成雲母、鱗雲母、黒雲母、リチア雲母、蛭石、ケイ酸アルミニウム、デンプン、アルキルおよび/またはトリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学修飾したケイ酸マグネシウムアルミニウム、有機修飾したモンモリロナイト粘土、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドオクテニルコハク酸アルミニウムスターチ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、金属タングステン酸塩、マグネシウム、シリカアルミナ、ゼオライト、硫酸バリウム、か焼硫酸カルシウム(焼き石膏)、リン酸カルシウム、フッ化アパタイト、水酸化アパタイト、セラミック粉末、金属石鹸(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなど)、コロイド状二酸化シリコーン、窒化ホウ素など)、有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末、ナイロン粉末、シクロデキストリン、ポリメタクリル酸メチル粉末、スチレンとアクリル酸とのコポリマーの粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、カルボキシルビニルポリマー、セルロース粉末、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、モノステアリン酸エチレングリコールなど)、無機白色色素(例えば、酸化マグネシウムなど)、および、安定剤あるいは流動性改良剤(例えば、ベントンジェル、および、レオパールTT2など)などが挙げられる。他の有効な粉末が、特許文献22に開示され、この文献の記載を本明細書に参照により取り込む。
【0076】
本発明の組成物は、随意に、他の活性素材、および、不活性素材を含み得、これらは、典型的には、化粧品製品および個人医療製品に使われ、これらに制限されるわけではないが、賦形剤、充填剤、乳化剤、酸化防止剤、界面活性剤、塗膜形成剤、キレート剤、ゲル化剤、増粘剤、皮膚軟化剤、保湿剤、皮膚保湿剤、ビタミン剤、ミネラル、粘性および/または流動性の改良剤、日焼け止め剤、角質溶解剤、脱色素剤、レチノイド、ホルモン化合物、α−ヒドロキシ酸、α−ケト酸、抗マイコバクテリア剤、抗真菌剤、抗菌剤、抗ウィルス剤、鎮痛剤、脂肪化合物、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤(H1ブロッカーあるいはH2ブロッカー)、抗炎症剤、抗刺激剤、抗新生物剤、免疫賦活剤、免疫抑制剤、抗ニキビ剤、麻酔剤、防腐剤、防虫剤、皮膚清涼化合物、皮膚保護剤、皮膚浸透促進剤、剥離剤、潤滑剤、香料、着色剤、染色剤、色素沈着低下剤、保存料、安定剤、薬剤、光安定剤、および、これらの混合物を含む。もし存在するのであれば、こうした追加成分の濃度は、超疎水性フィルムを形成する乳化剤の能力に悪影響を与えないように慎重に選択されるべきである。全組成物の重量に対するこうした追加成分の全体の割合は、好ましくは、5重量%未満、より好ましくは、2重量%未満、さらに好ましくは、1重量%未満であるべきである。
【0077】
本発明に係る化粧用組成物は、これらに制限されるわけではないが、色付け化粧品、スキンケア製品、ヘアケア製品、及び、個人医療用製品などを包含する。色付け化粧品としては、例えば、ファンデーション及びマスカラなどが挙げられる。スキンケア製品としては、例えば、これらに制限されるわけではないが、日焼け止め剤、日焼け後用の製品、ローション、及び、クリームなどが挙げられる。追加の用途としては、ヘアケア製品、防虫剤、デオドラント、制汗剤、口紅、外耳道用製品、赤ちゃん用おしり拭き、ベビークリーム又はローション、適用済みの化粧用製品に防水性又は耐水性を付与するような上塗り、個人医療用製品、ヘアケア製品、又は、応急処置用製品などが挙げられる。例えば、本発明に係る組成物は、防水性又は耐水性を高めるために、既に肌に適用されている日焼け止め剤、又は、日焼け止め/防虫ローションの上塗りとして適用されるかもしれない。代わりに、本組成物は、応急処置用製品(例えば、抗生物質軟膏又はスプレー、包帯、或いは、創傷包帯など)の上を覆う上塗りとして適用されるかもしれない。
【0078】
ある実施形態では、本組成物は、疎水化(即ち表面処理された)酸化チタンからなる日焼け止め剤として処方される。1種以上の粒子状材料の全重量に対する疎水化酸化チタンの割合は、少なくとも約50重量%、より典型的には、少なくとも約75重量%、好ましくは、少なくとも約85重量%、より好ましくは、少なくとも約95重量%である。ある実施形態では、粒子状材料は、疎水化酸化チタンのみから、又は、実質的に疎水化酸化チタンのみからなる。日焼け止め剤は、随意に1種以上の有機性UVA及び/又はUVB充填剤(疎水性でも親水性でもかまわない)からなり。このとき、エマルジョン中の親水性有機性日焼け止め剤の濃度は、超疎水性表面を形成する能力に悪影響を与えない程度であるべきであるという制限はあるもの、こうした有機性日焼け止め剤の総量は、好ましくは、約10重量%未満であり、より好ましくは、約5重量%未満である。本発明に係る日焼け止め剤は、従来のエマルジョンに基づく日焼け止め剤と比較して高い防水性を示すだろう。
【0079】
本発明は、1種以上の日焼け止め活性剤を含み得る。こうした日焼け止め活性剤としては、有機性又は無機性のもの、また、水溶性又は油溶性のものが挙げられる。こうした活性剤としては、UVA及びUVB防護(太陽光の290から400nmの波長成分)用のものが挙げられる。こうした日焼け止め活性剤としては、例えば、これらに制限されるわけではないが、ジベンゾイルメタン、オキソベンゾン、スリソベンゾン、ジオキソベンゾン、アントラニル酸メチル、パラアミノ安息香酸(PABA)、メトキシケイ皮酸オクチル、メトキシケイ皮酸DEA、オクトクリレン、ドロメトリゾールトリシロキサン、サリチル酸オクチル、サリチル酸ホモメンチル、ジメチルPABAオクチル、サリチル酸TEA、メチルベンジリデンカンファ、オクチルトリアゾン、テレフタリジエンジカンフルスルホン酸(terephthalydiene dicamphor sulfonic acid)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、エチルPABA、ヒドロキシメチルフェニルベンゾトリアゾール、メチレンビス−ベンゾトリアゾイルテトラメチルブチルフェノール、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノールトリアジン、酸化チタン、酸化亜鉛、又は、これらの任意の派生物、又は、これらの任意の組み合わせなどが挙げられる。その他の有効な日焼け止め活性剤が、特許文献に開示され、この文献の記載を本明細書に参照により取り込む。好ましい日焼け止め剤としては、メトキシ桂皮酸オクチル、サリチル酸オクチル、オクトクリレン、アヴォベンゾン、ベンゾフェノン−3、及び、ポリシリコーン−15(パーソルslx)が挙げられる。
【0080】
ある実施形態では、本組成物は、皮膚、好ましくは、顔の皮膚に適用される。こうした組成物は、ファンデーション、頬紅などとして処方され得る。別の実施形態では、本組成物は、耐水性で耐付着性の唇用製品(例えば、口紅又はリップグロス)として提供される。色付け化粧品は、随意に1種以上の着色剤、例えば、染色剤、レーキ、色素、又は、これらの組み合わせなどからなる。
【0081】
別の実施形態では、本組成物は、髪に適用され、濡れへの耐性を与える。そこで、例えば、本組成物は、水中に潜った後で髪が濡れないように、又は、髪が最小限しか濡れないように、水泳前に髪に適用されるかもしれない。最小限しか濡れないとは、潜水前の髪の重量と比較して潜水後の髪の重量が、100%以下しか増加しないこと、好ましくは、50%以下しか増加しないこと、より好ましくは、25%以下しか増加しないこと、さらに好ましくは、10%以下しか増加しないことを意味する。さらに、このとき、髪を1、2回激しく振るだけで、髪を殆ど乾かすことができるだろう。殆ど乾いているとは、潜水前の髪の重量と比較して潜水後の髪の重量が、約5%以下しか増加しないこと、又は、約2.5%以下しか増加しないことを意味する。上記の事柄は、本発明の組成物で処理した髪の材料見本を用いて試験され得る。髪と同様に、本組成物は、ペットが泳いだ後にタオルで水気をとってやる必要なしに、ペットが殆ど乾くように、水泳前に、犬などのペットの毛に適用され得る。また、本組成物は、雪、雨、又は、泥によって濡れないようにするため、家畜に適用され得る。
【0082】
追加成分は、充填剤として、又は、化粧品業界でなじみのさまざまな機能を目的として、本組成物に添加され得る。しかし、上記化粧用組成物の処方にあうような追加成分であるとしても、追加素材の添加は、超疎水性フィルムの形成を阻害しないものに限られる。
(実施例)
【実施例1】
【0083】
この実施例では、髪に超疎水性フィルムを付与するエマルジョンが提供される。表1の組成に従って、エマルジョン1A、1B、及び1Cを調整した。
【表1】

【0084】
エマルジョン1A、1B、及び、1Cを、スライドガラスにフィルムとして適用し、揮発成分が蒸発するに任せた。水滴接触角を測定すると、それぞれ、141.7(1A)、145(1B)、及び、143.3(1C)であった。この実施例及び以下の実施例では、接触角を、Kruss Drop Shape Analysis System DSA 10 MK2を用いて測定した。接触角は、円近似法を用いて組み込みソフトによって計算した。水量(即ち、水滴の大きさ)は5μmに設定した。
【実施例2】
【0085】
この実施例では、睫毛に超疎水性フィルムを付与するエマルジョンベースのマスカラが提供される。このエマルジョンは、表2の組成に従って調製した。
【表2】

【0086】
フィルムは、エマルジョンをスライドガラス上に載せて、揮発成分が揮発するのに任せることで、設けられた。水滴接触角を測定すると、142.7±1.97であった。
【実施例3】
【0087】
この実施例では、顔の皮膚に超疎水性フィルムを付与するエマルジョンベースのファンデーションが提供される。このエマルジョンは、表3の組成に従って調製した。
【表3】

【0088】
フィルムは、エマルジョンをスライドガラス上に載せて、揮発成分が揮発するのに任せることで、設けられた。水滴接触角を測定すると、146.8であった。
【実施例4】
【0089】
この実施例では、肌に超疎水性フィルムを付与するエマルジョンベースの日焼け止め剤が提供される。このエマルジョンは、表4の組成に従って調製した。この組成に、有機性日焼け止め剤、例えば、本明細書で挙げたようなもの、或いは、防虫剤、例えば、DEET、IR3535、又は、ピカーディンなど、を加えてもよい。
【表4】

【0090】
上記と同様に、水滴接触角を測定すると、144.9であった。
【実施例5】
【0091】
この実施例では、肌に超疎水性フィルムを付与するスキンケア用エマルジョンが提供される。このエマルジョンは、表5の組成に従って調製した。
【表5】

【0092】
上記と同様に、水滴接触角を測定すると、組成5Aでは140.6、組成5Bでは143.7であった。
【0093】
この組成物を肌又は髪に適用すると、組成物は肌又は髪を濡れない状態にし、さらに好ましい美観を保った。
【0094】
本明細書に記載した特定の実施形態は本発明のさまざまな態様を例示するためのものにすぎず、それゆえ、本明細書及び特許請求の範囲に記載の発明は、こうした実施形態の範囲に制限されるものではない。本実施形態の任意の均等物も本発明の範囲に含まれるものである。実際、当業者であれば上記の記載から、本明細書で例示し記載した実施形態以外の本発明のさまざまな変形例を考えることができるだろう。そこでまた、こうした変形例も、本発明の請求項の範囲に記載の発明の範囲に含まれるものである。本明細書で参照した全ての刊行物の内容を本明細書に参照により取り込む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油中水型エマルジョンからなる、表面に超疎水性フィルムを付与する組成物であって、
前記油中水型エマルジョンは、
(i)連続な油相と、
(ii)不連続な水相と、
(iii)10未満のHVL値を持つ乳化剤と、
(iv)1種以上の疎水性塗膜形成剤と、
(v)約5nmから約1mmの間の中央粒子径を持つ1種以上の疎水性粒子状材料と、
からなり、
前記1種以上の疎水性塗膜形成剤と前記1種以上の疎水性粒子状材料との重量比が約1:5から5:1の間であり、
前記油中水型エマルジョンの重量に対する前記1種以上の疎水性塗膜形成剤と前記1種以上の疎水性粒子状材料とを合計した割合は少なくとも約5%であり、
前記油中水型エマルジョンの全重量に対する当該エマルジョン中の不揮発性で水溶性又は水分散性の全有機成分の総重量の割合が15重量%未満であり、
前記組成物が、揮発性成分が蒸発した後での接触角が約140°を超えることで特徴付けられるような表面上のフィルムを提供することが可能である、
ことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記乳化剤は、8.5未満のHLB値を持つ、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
シリコーン中水型エマルジョンからなる、表面に超疎水性フィルムを付与する組成物であって、
前記シリコーン中水型エマルジョンは、
(i)連続な油相と、
(ii)不連続な水相と、
(iii)―(EO)m―及び/又は―(PO)n―の官能基を持つ側鎖(ただし、mとnとの合計は約50以下であり、当該側鎖の末端は水素基又は低級アルキル基である)を含有する乳化剤と、
(iv)1種以上の疎水性塗膜形成剤と、
(v)約5nmから約1mmの間の中央粒子径を持つ1種以上の疎水性粒子状材料と、
からなり、
前記1種以上の疎水性塗膜形成剤と前記1種以上の疎水性粒子状材料との重量比が約1:5から5:1の間であり、
前記シリコーン中水型エマルジョンの重量に対する前記1種以上の疎水性塗膜形成剤と前記1種以上の疎水性粒子状材料とを合計した割合は少なくとも約2%であり、
前記シリコーン中水型エマルジョンの全重量に対する当該エマルジョン中の不揮発性で水溶性又は水分散性の全有機成分の総重量の割合が15重量%未満であり、
前記組成物が、揮発性成分が蒸発した後での接触角が約140°を超えることで特徴付けられるような表面上のフィルムを提供することが可能である、
ことを特徴とする組成物。
【請求項4】
前記1種以上の疎水性粒子状材料は、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化鉄、及び、これらの組み合わせ、からなる群より選択される酸化物粒子からなり、前記酸化物粒子は、当該酸化物粒子の表面に共有結合している疎水性基を持つことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記酸化物粒子は、二酸化ケイ素からなる、請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記二酸化ケイ素は、ヒュームドシリカである、請求項1から5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記酸化物粒子は、酸化アルミニウムからなる、請求項1から6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記酸化アルミニウムは、ヒュームドアルミナである、請求項1から7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記疎水性基は、アルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、シロキサン基、アルキルシロキサン基、フルオロアルキルシロキサン基、又は、パーフルオロアルキルシロキサン基、の1種以上からなる、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記1種以上の疎水性塗膜形成剤と前記1種以上の疎水性粒子状材料との重量比が、約1:5から2:1である、請求項1から9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記1種以上の疎水性塗膜形成剤と前記1種以上の疎水性粒子状材料との重量比が、約1:5から2:1である、請求項1から10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記1種以上の疎水性粒子状材料の少なくとも1種は、約7から40nmの間の中央粒子径をもつ、請求項1から11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記エマルジョン中の不揮発性で水溶性又は水分散性の全有機成分の総重量の割合が5重量%未満であり、全多価アルコールの割合が合計で1重量%未満である、請求項1から12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記1種以上の疎水性塗膜形成剤は、アクリル酸アルキル、ポリウレタン、フルオロポリマー、シリコーン、及び、これらのコポリマーからなる群から選択される、請求項1から13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物を肌又は髪(毛)上に載せる工程と、前記組成物中の揮発性成分を蒸発させることで、少なくとも140°の水滴接触角を持つことで特徴付けられる疎水性フィルムを形成する工程と、からなる、肌又は髪(毛)上に疎水性フィルムを付与する方法。
【請求項16】
前記組成物は、動物の毛に撥水性を付与するために、当該毛に適用される、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−507865(P2011−507865A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539559(P2010−539559)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/083498
【国際公開番号】WO2009/082565
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(399130393)エイボン プロダクツ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】