超砥粒焼結体研磨パッチおよびその製造方法
【課題】 本発明の課題は、パッドコンディショニング用焼結体等の、超砥粒焼結体からなる研磨パッチであって、円形の焼結体素材から、最も無駄なく切り出すことの出来る研磨パッチを提供することである。
【解決手段】 本発明の研磨パッチは、円形の超砥粒焼結体素材を、円形中心に位置する正6角形から2枚、その正六角形の外側に位置する6枚の合同な素材片から6枚の研磨パッチを切り出した、研磨パッチである。
都合8枚の研磨パッチ素材は合同であり、パッチ角部は研磨時に被研磨材に損傷を与えないように、輪郭が丸められている。
合同なパッチはさらに円弧状辺と同心円をなす線に沿って分割した、複数組の8枚の合同なパッチとしてもよい。
さらに本発明は、そのような研磨パッチの製造方法、およびそれらを用いた研磨工具を含む。
【解決手段】 本発明の研磨パッチは、円形の超砥粒焼結体素材を、円形中心に位置する正6角形から2枚、その正六角形の外側に位置する6枚の合同な素材片から6枚の研磨パッチを切り出した、研磨パッチである。
都合8枚の研磨パッチ素材は合同であり、パッチ角部は研磨時に被研磨材に損傷を与えないように、輪郭が丸められている。
合同なパッチはさらに円弧状辺と同心円をなす線に沿って分割した、複数組の8枚の合同なパッチとしてもよい。
さらに本発明は、そのような研磨パッチの製造方法、およびそれらを用いた研磨工具を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超砥粒焼結体研磨部を持つ工具のための超砥粒焼結体およびその製造方法に関する。とくに本発明は、各種半導体材料の表面、ハードディスクのディスク面等を研磨する、主に硬質ウレタンや不織布で構成された化学的機械的研磨(chemical-mechanical polishing:CMPと略す)パッド用の、パッドコンディショニングに用いる研磨用超砥粒焼結体等の製造困難な焼結体の研磨パッチおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、超LSIデバイスにおける配線の多層化が進むにつれて、層間絶縁膜やシリコン等金属膜ウェハの平坦化にCMPが用いられてきている。そしてCMPで用いられる研磨パッド(一般に硬質発泡ポリウレタン製)の高い平坦化およびウェハ研磨速度を維持するためには、該研磨パッドの表面を常時または間欠的にコンディショニングする必要がある。
【0003】
電子産業で使用されるメモリーチップ、その他のLSIデバイスの製造工程には、シリコンウエハ表面や、多層構造における層間絶縁膜の超精密平坦化が不可欠であり、これは一般に、研磨剤を含むスラリーと研磨パッドを用いたシステムにより行われている。研磨パッドは一般に硬質発泡ポリウレタン製であるが、平坦性およびウエハ研磨速度を維持するためには、常時または完結的にパッドの表面をコンディショニングする必要があり、この目的のために、主として、ダイヤモンド砥粒を電着により基板に固着した工具、或いは、一般に超硬合金で裏打ちされている焼結ダイヤモンド層にピラミッド状突起の列を設けた工具(コンディショナー、ドレッサー)が知られている。
【0004】
金属めっき層で固着された個々の超砥粒粒子に代えて、ピラミッド状の突起の列を焼結ダイヤモンドで形成した工具、特に、半導体ウェハ等の表面を高精度かつ高能率で加工可能なCMPパッドのコンディショニングに好適なCMPパッドコンディショナーとして使用する研磨工具およびその製造方法が提供された(特許文献1)。この技術において研磨単位と称される突起群は、超硬合金で裏打ちされている焼結ダイヤモンド層に、ワイヤカットで切り込むことにより形成される。研磨単位の形状は面間角度が90°のピラミッド型(四角錐)や四角錐台、他にも三角錐や三角錐台等が記載されている。
【0005】
また、焼結ダイヤモンド層に、表面に対して一定レベル内に位置する平坦な頂面を持つ研磨単位を複数個配置した研磨工具であって、研磨単位は焼結ダイヤモンド層へワイヤカット等での切込みにより、先端が平面の、整列された四角や三角の角柱乃至角錐台上の切れ刃を形成する研磨工具が、本発明者により提供された(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO2007−023949号公報
【特許文献2】特開2011−20182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および2の超砥粒焼結体は、特に近年必要とされてきつつある、ICチップの配線幅が例えば35μmルール以下であるような、超高精細配線を有するIC用等の半導体材料表面を研磨するCMPパッド用のコンディショナー等に加工する素材として、加工が困難であり、材料としても貴重である。従って、焼結体素材を無駄なく工具として使用できるための、特定の研磨パッチとしての素材からの切り出し態様を確立することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の課題を解決すべく、検討を重ね、一般に円板状に形成される、ダイヤモンド等の超砥粒焼結体からなる研磨部を有する研磨用焼結体を、研磨用パッチとして高性能である研磨工具を構成でき、焼結体素材を最も無駄なく利用する研磨用パッチの形状寸法を見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち本発明は、ダイヤモンド等の超砥粒焼結体からなる研磨部をもつ回転式研磨工具に用いるに好適な、円板状材料を最も効率的に利用できる、以下の超砥粒焼結体研磨パッチおよびその製法に関する。
なお、本発明において、「円板状」と記載されている場合の円は、数学的な厳密な意味の真円のみを指すのではなく、焼結体等の実際の物質においてほぼ円形であって中心が近似的に一点に定めうる程度のものをも包含する。
【0010】
[1]円板状の焼結体素材(1)から切り出した研磨パッチであって、
該円板の輪郭円を中心角60°で六分割した扇型の1つから、中心側から前記輪郭円の半径の半分だけ隔たった点を通る辺を有する正三角形を取り除いた、扇台型形状の、円弧側の両端角部がなめらかに丸められた輪郭形状を有する前記研磨パッチ。
[2]上記[1]に記載の研磨パッチ2枚を、円弧に向かい合う辺で接合した形の輪郭形状を有する、研磨パッチ。
[3]円板状の焼結体素材(1)の中心を通る直線(2)と、前記直線に直交する半径(3)、(3’)を2等分した点(4)、(4’)を通り、前記直線(2)に平行な線と円板の中心を通り前記直線と60°の角度をなす2本の直線(6)、(7)との交点(8)、(9)、(10)、(11)を結ぶ前記直線に平行な線分(12)、(12’)を1辺とする正六角形と該直径(2)とで円板を分割して得られる4枚の分割片の、該正六角形の外側に位置する2つの部分を、前記2本の直径(6)、(7)でさらにそれぞれ3分割して得られる、6枚の合同な分割片(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、および正六角形の3辺と直径とを辺とする2枚の台形状の分割片から、前記6枚の分割片とほぼ合同な2枚の焼結体分割片(19)、(20)を切り出すことによって得られる、8枚のほぼ合同な焼結体分割片の、円弧状の辺の両端部角を丸めたものからなる、8枚のほぼ合同な形状の研磨パッチ。
[4][3]に記載の8枚の合同な焼結体分割片を、さらに円板外形をなしていた円弧と同心円をなす円弧(23)で2つまたはそれ以上のパッチ片に分割し、円弧状の辺の両端部角を丸めて得られる、8枚のほぼ合同な研磨パッチの複数の組からなる、研磨パッチ。
[5][3]に記載の研磨パッチの組において、正六角形の内側の2枚の焼結体分割片(19)、(20)とそれらとそれぞれ正六角形の1辺で接している外側の焼結体分割片(13)、(14)とに代えて、それぞれ接している1辺で結合した輪郭を有する、瓢箪型のくびれを有する2枚のほぼ合同な切片(28)、(29)の組とした、1辺が円弧である台形様の4枚のほぼ合同な切片(14)、(15)、(17)、(18)の組とからなる、6枚の研磨パッチ。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の研磨パッチを、円形基板の外周部分に、1種または複数種の研磨パッチが円周方向に均等に配置されるように設けた、研磨工具。
[7]円板状の焼結体素材(1)の中心を通る直線(2)と、前記直線に直交する半径(3)、(3’)を2等分した点(4)、(4’)を通り、前記直線に平行な線と円板の中心を通り前記直線と60°の角度をなす2本の直線(6)、(7)との交点(8)、(9)、(10)、(11)を結ぶ前記直線(2)に平行な線分(12)、(12’)を1辺とする正六角形と前記直線(2)とで円板を4枚に分割し、該正六角形の外側に位置する2つの部分を、前記2本の直線(6)、(7)でさらにそれぞれ3分割して得られる、6枚の合同な分割片(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、および正六角形の3辺と直径とを辺とする2枚の台形状の分割片(19)、(20)から切り出すことによって、円板状の焼結体素材から8枚の焼結体分割片を得る、研磨パッチ製造方法。
[8]前記[7]に記載の方法において、正六角形の内側の2枚の焼結体分割片(19)、(20)と、それぞれ正六角形の1辺で接している、外側の焼結体分割片(13)、(14)との間は切断せずに、瓢箪型のくびれを有する2枚の合同な切片(28)、(29)として残す、1辺が円弧である台形様の4枚の合同な切片(14)、(15)、(17)、(18)の組と、瓢箪型の括れを有する2枚の合同な切片(28)、(29)とから切り出すことにより、円板状の焼結体素材から6枚の研磨パッチを製造する方法。
[9]前記[7]または[8]に記載の方法において、切り出した研磨パッチの角部を丸めて、研磨パッチを互いにほぼ合同とする工程をさらに含む、方法。
【0011】
ダイヤモンド等の超砥粒焼結体は、焼結体素材が円板状であり、その円板から、回転式研磨工具用の焼結体研磨パッチを、最も有効に無駄なく切り出すために、該円板の任意の直径を決定し、該直径に直交する半径を2等分した点を通り、該直径に平行な線と円板の中心を通り該直径と60°の角度をなす2本の直径との交点を結ぶ該直径に平行な線分を1辺とする正六角形と該直径とで円板を4枚に分割し、該正六角形の外側に位置する2つの部分を、前記2本の直径でさらにそれぞれ3分割して得られる、6枚の合同な分割片、および正六角形の3辺と直径とを辺とする2枚の台形状の分割片から切り出した、前記6枚の分割片と合同な2枚の焼結体分割片を切り出すことによって得られる、8枚の合同な焼結体分割片を、さらに円板外形をなしていた円弧と同心円をなす円弧で2つに分割して得られる合同な8枚が2組となった、焼結体研磨パッチを得ることによって、本願発明の焼結体研磨パッチが得られる。
また、本願発明の別の態様においては、前記正六角形と該直径とで円板を4枚に分割することに代えて、該直径と、正六角形の該直径に平行でない4個の辺と、および円板の中心を通り該直径と60°の角度をなす2本の直径の正六角形の外側に位置する部分とで円板を分割することによって得られる、2枚の合同な1辺が円弧である瓢箪型のくびれを有する切片の組と、1辺が円弧である台形様の4枚の合同な切片の組とからなる素材が得られ、瓢箪型の切片は、さらにくびれの2つの頂点を結ぶ線に対称な外形となるように直線状の部分を加工することにより、合同な4枚の台形様切片と、その合同な台形様切片を、円弧状辺に向かい合う直線辺で接合した形の2枚の瓢箪型切片とを得る。
これらの態様の16枚または6枚の研磨パッチは、研磨効果を向上させるために、円弧側の角部分は丸く加工されて、研磨時に被研磨材に食い込むことが無いようにされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、例えばレーザーカットして研磨単位を研磨面に多数形成した研磨パッチを得るための超砥粒焼結体を、最も無駄なく円板状の焼結体素材から切り出すことのできる、超砥粒焼結体研磨パッチであるので、製造が困難で高価な超砥粒焼結体を最も無駄なく使用して製造することが可能となる。
また、合同な形状の研磨パッチを、複数の円板状焼結体から得られるため、研磨パッチを接着して製作する研磨工具作成時において、寸法あわせ等する必要がなく、また、本発明の研磨パッチは、必要以上に細分化した大きさでないため、研磨工具作成時の研磨パッチ接着作業が不合理に煩雑化することを防ぐことができる。
請求項1に係る発明の研磨パッチは、輪郭の一部をなす円弧の半径の半分の幅となるように扇型から正三角形を取り除いた寸法を有しており、この寸法のものだけが、円板状の焼結体素材から、最も無駄なく研磨パッチを切り出すことのできる形状・寸法のものである。また、請求項2に係る発明の研磨パッチは、上記の円板状素材から最も無駄なく切り出せる研磨パッチを2個結合した輪郭を有し、円板状素材から単独の研磨パッチ2個とともに切り出すことによって、やはり最も無駄なく切り出すことができる。
【0013】
本発明の研磨用焼結体は、結合材の溶融温度以上で焼結されていることにより、超砥粒の固着強度が大きく、実質上脱落がないという利点がある。とくに超砥粒としてダイヤモンド粒子を用いた場合、ダイヤモンドは、製造工程において結合材金属が溶融しかつダイヤモンドが熱力学的に安定な温度圧力条件下に供されており、ダイヤモンド微粒子が結合材金属への部分溶解を介して強力に一体化されていることにより、固着強度がさらに大きいため、実質上脱落がなくなる。
【0014】
さらに研磨単位が形成されている研磨部は、表面が充分な厚さを持つ超砥粒焼結体で構成されていることにより、研磨単位が使用により磨滅しても、研磨単位を容易に再生して、本発明の工具として再利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による8枚研磨パッチ切り出しを説明する図である。
【図2】本発明による8枚研磨パッチ切り出しを示す図である。
【図3】本発明の別の態様による16枚研磨パッチ切り出しを示す図である。
【図4】本発明のさらに別の態様による6枚研磨パッチ切り出しを示す図である。
【図5】本発明による研磨パッチを用いた研磨用工具を示す図である。
【図6】本発明の別の態様による研磨パッチを用いた研磨工具を示す平面図および側面図である。
【図7】本発明のさらに別の態様による2種の研磨パッチを用いた研磨工具を示す平面図および側面図である。
【図8】本発明による研磨パッチの研磨面として代表的な、レーザーカットした研磨単位の平面図である。
【図9】本発明による研磨パッチの研磨面として代表的な、レーザーカットした研磨単位の実施例の写真である。
【図10】本発明による研磨パッチの研磨面として代表的な、各種研磨単位の構造を示す図である。
【図11】本発明による研磨パッチの研磨面として代表的な、研磨単位の形成方法を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の研磨パッチの研磨用焼結体の材料となる超砥粒焼結体は、ダイヤモンドやc−BN(立方晶窒化硼素)等の超砥粒の粉末を常法により超高圧高温工程で処理して得られるものが好ましい。この状態の焼結体は超砥粒焼結体は歪みが大きいので型放電加工などにより予備的にあらかた平坦化しておく。次いで、溝及び突起側面を段階的に形成していくことにより、研磨単位、即ち、直接研磨対象と接触する突起部分を創生する。図8に研磨単位の列の平面図を示す。なお超砥粒焼結体として市販品を利用する場合は、仕様によるが、表面が平坦化されているので、上記平坦化予備処理は省略できる。
前記溝の形成には、レーザーカット、とくに青色レーザー、例えばYAGレーザーを用いて、短いピッチで研磨単位を形成し、研磨単位の研磨作用をおこなうエッジが比較的鋭利な状態を保って加工することができる。
【0017】
本発明の研磨パッチの研磨用焼結体において、上記研磨単位は、円形焼結体層へ、レーザー加工機で切り込むことにより、創生することができる。レーザー加工機は、スキャン動作により所望の形状での焼結体層への切り込み加工を、焼結体層へのダメージを与えずにおこなうことが可能であるため、エッジの鈍りの少ない任意の形状の研磨単位が形成可能である。レーザー加工動作の能率等を考慮すると、直線状にスキャンすることが好ましい。
【0018】
研磨単位が頂部に直線状の稜線を呈する形状(図10;No.1 三角錐台、No.3 六角錐台、 No.4 四角錐台)や、稜線が湾曲しているもの(図10 ; No.2)などであってもよい。研磨単位は、レーザー加工機により形成されるので、ワイヤカット放電加工に比べて、格段に細かい密度で形成でき、研磨単位の形状も、ワイヤカット放電加工に比較して、エッジの鋭い状態がたもたれるものである。
【0019】
上記例において、各研磨単位が有効な研磨部分として機能するために、各研磨単位の頂部エッジは充分に鋭く、かつ隣接研磨単位同士は、200μm以下という従来なかった短い間隔で隔てられる。エッジの長さは、各研磨単位頂部が多角形であり、一辺の長さが30μm以上という長さを有している。また、研磨単位の側壁面は、研磨単位頂面に垂直な研磨工具回転軸方向に対して0°〜30°、好ましくは0°〜15°の角度を有している。
【0020】
溝の深さ(研磨単位の溝底からの高さ)は、50μm以下で、切屑を排除できる程度の深さがあれば良い。溝が深すぎると、研磨単位の強度が不足する上、過剰な超砥粒層の厚さが必要となるが、レーザー加工においては、精密な加工が可能であり、ピッチを短くすることが出来るため、溝の深さも従来に比べて浅いものが実現できる。
【0021】
研磨単位の形状としては、研磨単位の各側面を傾斜させて錐台状、例えば、四角錐台状または三角錐台状とすることが好ましい。
また、整列した角柱状や角柱台状研磨単位において、長方形や三角形のひとつまたは複数方向の側面を専用の工具で研磨することにより、頂部の縁又は頂点を鋭利化する、いわゆる「刃付け」を行なうと、さらに良好な切れ味が達成できる。研磨単位が、多角形柱、多角形錐台であり、頂部が多角形(典型的には、三角形または四角形)の場合、頂部の面の少なくとも一辺に刃付けを行なうが、研磨単位が四角錐状または三角錐状の場合は、刃付けを行なわなくても十分な切れ味を達成することができる。
【0022】
焼結超砥粒層としては、ダイヤモンド焼結体(PCD)やc-BN焼結体(PcBN)の一方の面を超硬合金即ち炭化タングステン系複合材、或は周期律表第6a族金属の炭化物を主成分とする複合材のブロックで裏打ちされた構造のものを用い、複合材側を接着剤等によって工具基板に固着し、反対側に区分溝を形成して研磨部として使用する。
【0023】
このような焼結体は、典型的には一軸加圧型の高温超高圧静水圧プレスで調製された円板状のものが市販されている。
【0024】
四角錐台状研磨単位の作製においては、例えば図11に示すように、研磨部の表面にレーザー加工機で一定溝間隔(ピッチ)で第一の方向の平行溝群および錐台状体両側面を形成した後、研磨部を固着した基板ごと円環中心軸の周囲に90°回転し、同じようにして第二の方向の平行溝群を一定溝間隔で、また各溝に隣接する錐台体傾斜側面を形成することにより、直交する2組の平行溝群、および溝に沿って整列した四角錐台状研磨単位を得るようにしてもよい。
【0025】
三角錐体の場合においても、第一の方向の平行溝群および溝に隣接する角錐台の傾斜面を形成後、焼結体素材を中心軸の周囲に120°回転し、同様に一定溝間隔で第二の方向の平行溝群、および隣接する傾斜側面の形成をレーザーカットにより行う。操作完了後、研磨部をさらに120°回転し同じ操作を行うことによって、120°で交差する第三方向の平行溝群、および隣接する傾斜側面、溝に沿って整列した三角錐台状研磨単位を得るようにしてもよい。
【0026】
上記研磨単位において、錐台状体頂部の溝底面に対する突き出し高さは三角形、四角形共に50μm以下とすることができる。レーザーカットであるからこその微細加工により、研磨単位の整列ピッチが200μm以下であるため、従来よりも突き出しが浅くても、研磨部本体がパッド等のワークと直接接触することがなく、研磨単位の強度が不足したり、過剰な超砥粒層の厚さが必要となることがない。
さらにレーザーカットであるため、エッジの鈍りが少なく、本発明のような小さな突き出し高さでも、十分な研磨作用が得られる。
【0027】
上記研磨単位の研磨性能は、錐(台)状体の頂部に含有される超砥粒の粒度に依存する。超砥粒がダイヤモンド粒子である場合、即ち研磨部を構成する焼結体が焼結ダイヤモンド(PCD)層である場合、ダイヤモンド粒子の粒度(公称粒度)としては、40-60μm以下、8-16μmや0-2μmなどの各粒度のPCD層が利用できるが、8-16μm以下の公称粒度が好ましく、特に0-2μmが好ましい。
【0028】
本発明の研磨パッチの研磨用焼結体に用い得るダイヤモンド焼結体は、ダイヤモンド粒子を、裏打ち材としての超硬合金および、必要に応じてコバルト等の結合材金属と共に、ダイヤモンドが熱力学的に安定な超高圧高温条件下に供して得られる。焼結体から本発明のパッドコンディショニング用超砥粒焼結体への加工はレーザーカット、典型的には青色レーザーカットによる表面の加工による研磨単位の形成によって実現できる。
焼結体素材から、研磨用焼結体を切り出すための輪郭カットにおいては、レーザーカットの他、ワイヤカット放電加工等の、一般的加工手段が利用可能である。
【0029】
本発明の研磨パッチに用いうる研磨用焼結体においては、研磨単位の三角錐台または四角錐台等の多角形錐台体は、レーザーカットにより形成されるため、エッジが鋭くなり、また、エッジの綿密度も高いものであるため、特に0.35μm以下の超精細配線ルールのLSI用の半導体材料表面の研磨に用いるCMPパッドの効果的なコンディショニングが初めて可能となり、コンディショニングに際しての、CMPパッドの無用な摩滅も少なく抑えることが出来る。
また、ピッチの短い研磨単位列であるため、研磨作用をなすエッジの綿密度が高くなり、必要な超砥粒焼結体材料も、従来の長いピッチのものと比較して少なくて済む。
また、研磨単位の高さを従来のように高くする必要がなく、必要とされる超砥粒焼結体部分の厚みは従来よりも少なくて済む。
【0030】
図1および2を参照して、本発明の1態様を説明する。
円板状の焼結体素材(1)の任意の円板の中心を通る直線(2)を決定し、該直線に直交する半径(3)を2等分した点(4)を通り、該直径に平行な線と円板の中心を通り該直径と60°の角度をなす2本の直線(6)、(7)との交点(8)、(9)、(10)、(11)を結ぶ前記直線(2)に平行な線分(12)を1辺とする正六角形と前記直線(2)とで円板を4枚に分割し、該正六角形の外側に位置する2つの部分(13)、(14)を、前記2本の直線(6)、(7)でさらにそれぞれ3分割して得られる、6枚の合同な分割片(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)および正六角形の3辺と前記直線(2)とを辺とする2枚の台形状の分割片から切り出した、前記6枚の分割片と合同な2枚の焼結体分割片(21)、(22)を切り出すことによって、8枚の合同な焼結体分割片(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)、(22)が得られる。
【0031】
このようにして、合同なパッチを、ひとつの円板状素材から最も無駄なく切り出すことができるが、このようにして切り出した合同なパッチの輪郭は、円板状素材の輪郭円を中心角60°で六分割した扇型の1つから、中心側から前記輪郭円の半径の半分だけ隔たった点を通る辺を有する正三角形を取り除いた、扇台型形状である。取り除く正三角形の大きさは、正確に輪郭円の半径の半分だけ隔たった点を通る辺を有するものであり、これより大きくても小さくても、切り出しに際し無駄な部分が発生する。
【0032】
また、図3には、図1のものを、さらに円板外形をなしていた円弧と同心円をなす円弧(23)で2つに分割して得られる、2組の合同な8枚からなる、16枚の焼結体研磨パッチを示し、もととなる図1のものが最も無駄なく切り出す輪郭形状・寸法であるのだから、やはり最も無駄のない輪郭・形状である。
【0033】
さらに、図4に示す本願発明の別の態様においては、図1のものにおいて、正六角形の内側の2枚の焼結体分割片(21)、(22)を、それぞれ正六角形の1辺で接している、外側の焼結体分割片と結合した、瓢箪型のくびれを有する2枚の合同な切片(28)、(29)の組と、1辺が円弧である台形様の4枚の合同な切片(30)(31)(32)(33)の組とからなる、6枚の研磨パッチを示す。
【0034】
上記瓢箪型の括れを有する切片は、円板状素材から最も無駄なく切り出すことができる、上記の8枚の合同なパッチのうちの2枚を接合した形状であり、この瓢箪型の長軸方向長さは、正確に円板状素材の半径に一致するものである。
これらの態様の、8枚、16枚または6枚の研磨パッチは、研磨効果を向上させるために、円弧側の角部分は丸く加工されており、研磨時に被研磨材に食い込むことが無いようにされていることが好ましい。
【0035】
図5は、本発明による研磨パッチを用いた研磨工具の一態様を示す。
この例においては、研磨パッチは図1のものを大小2個づつ使用している。
【0036】
図6は、本発明による研磨パッチを用いた研磨工具の別の態様を示す。この態様においては、図2に示す研磨パッチのうち、台形様切片のみを使用した、研磨工具を示す。
【0037】
図7は、本発明による研磨パッチを用いた研磨工具のさらに別の態様を示す。この態様においては、図2に示す瓢箪型切片と台形様切片との両方を使用する。
【0038】
図6のものおよび図7のものは、合同の研磨パッチを円形基板の周縁部に複数設けているが、一枚の研磨パッチは比較的大面積であり、上記した研磨単位が緻密に設けられた研磨パッチの場合、比較的少数の研磨パッチを円形基板に貼付するだけで、十分な研磨効果を奏する研磨工具が得られる。
また、研磨パッチが間隔をあけて周縁部に配置されるため、パッチの無い部分を均等に設けることができ、研磨屑の排出が有効に行われるという効果もある。
次に、本発明の実施例による工具の具体例を説明する。
【実施例】
【0039】
[実施例1]
厚さ0.5mm、直径60mmの焼結ダイヤモンド層を超硬合金ブロックと一体化した、全体厚さ3.2mmの円板状ダイヤモンド焼結体をワイヤカットによって図3のように切断し、同一形状の円弧状パッチを大小2種類、各8個切り出した。より大なる円弧は8個について長さ約27mm、より小なる円弧は長さ約21mm、円弧中央における幅は、16個について同様の約7mmであった。
これらの円弧状焼結体片を大小それぞれについて5個づつ取り、平らな金属板上に向きを揃えて固定し、各ダイヤモンド層表面に青色レーザーで切込みにより、底部に対する高さ50μmの四角錐台状研磨単位群を130μmピッチの格子状に形成して研磨パッチとした。格研磨単位頂部は一辺30μmの正方形状、側壁面は軸方向に対して15°の契斜をつけた。
【0040】
これらの研磨パッチを外径108mmの円形基板の外周に部分に、5個ずつ交互にそれぞれ72°ごとに各々の同心円上に配置した。各パッチは中心において長手方向をを円周方向に対して30°傾斜させてそれぞれ配置し、接着剤で固定した。
この工具を不織布および硬質ウレタン(共にCeiba Technologies製)の研磨試験に供して表1の結果を得た。
【表1】
この値は、例えば特許文献5に開示される、ワイヤカットにより研磨単位を形成した従来技術のダイヤモンド焼結体研磨工具、これは研磨単位の頂面四角形の辺の長さが100μmでピッチが1500μmのものと頂面四角形の辺200μmでピッチが2000μmのもの、と比較すると、カットレートは従来技術の80〜120μm/hと比べて百倍以上も低く、すなわち、コンディショニングされる硬質ウレタンの減りが少なく、それでいて表面粗さは従来技術のダイヤモンド焼結体研磨工具と同等または優れている、ということを意味している。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の研磨パッチは、上記実施例のような優れた工具を得ることの出来る、細かいピッチで研磨単位を形成した超砥粒研磨工具用の研磨パッチとして、特に有用である。なぜならば、細かいピッチの研磨単位を有した超砥粒焼結体は、レーザーカットという手間のかかる工程を経て作成されるものであるため、貴重であり、無駄のない使用がとりわけ重要だからである。
【0042】
本発明の超砥粒焼結体研磨は、超砥粒焼結体素材の無駄が無いように研磨パッチを切り出すことができるので、例えばCMPパッドコンディショナーとして、特に高精細回路ルールで製造されるLSI用の半導体材料表面の研磨に用いるためのCMPパッドのコンディショナーとして極めて優秀な研磨パッチに関して適用すれば、極めて有益である。
【符号の説明】
【0043】
1:円板状超砥粒焼結体
2:直径
3:直径に直角な半径
4:半径の中点
6:直径2に60°で交わる直径
7:直径2に60°で交わるもう1つの直径
8、9、10、11:半径の中点4を通り直径2に平行な線と直径2に60°で交わる直径との交点
13、14、15、16、17、18、19、20:8枚の合同な研磨パッチ
28、29:繭型研磨パッチ
図8の1:研磨パッチ表面
図8の2:四角錐台状の研磨単位の頂面
図8の3:研磨単位の間の溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、超砥粒焼結体研磨部を持つ工具のための超砥粒焼結体およびその製造方法に関する。とくに本発明は、各種半導体材料の表面、ハードディスクのディスク面等を研磨する、主に硬質ウレタンや不織布で構成された化学的機械的研磨(chemical-mechanical polishing:CMPと略す)パッド用の、パッドコンディショニングに用いる研磨用超砥粒焼結体等の製造困難な焼結体の研磨パッチおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、超LSIデバイスにおける配線の多層化が進むにつれて、層間絶縁膜やシリコン等金属膜ウェハの平坦化にCMPが用いられてきている。そしてCMPで用いられる研磨パッド(一般に硬質発泡ポリウレタン製)の高い平坦化およびウェハ研磨速度を維持するためには、該研磨パッドの表面を常時または間欠的にコンディショニングする必要がある。
【0003】
電子産業で使用されるメモリーチップ、その他のLSIデバイスの製造工程には、シリコンウエハ表面や、多層構造における層間絶縁膜の超精密平坦化が不可欠であり、これは一般に、研磨剤を含むスラリーと研磨パッドを用いたシステムにより行われている。研磨パッドは一般に硬質発泡ポリウレタン製であるが、平坦性およびウエハ研磨速度を維持するためには、常時または完結的にパッドの表面をコンディショニングする必要があり、この目的のために、主として、ダイヤモンド砥粒を電着により基板に固着した工具、或いは、一般に超硬合金で裏打ちされている焼結ダイヤモンド層にピラミッド状突起の列を設けた工具(コンディショナー、ドレッサー)が知られている。
【0004】
金属めっき層で固着された個々の超砥粒粒子に代えて、ピラミッド状の突起の列を焼結ダイヤモンドで形成した工具、特に、半導体ウェハ等の表面を高精度かつ高能率で加工可能なCMPパッドのコンディショニングに好適なCMPパッドコンディショナーとして使用する研磨工具およびその製造方法が提供された(特許文献1)。この技術において研磨単位と称される突起群は、超硬合金で裏打ちされている焼結ダイヤモンド層に、ワイヤカットで切り込むことにより形成される。研磨単位の形状は面間角度が90°のピラミッド型(四角錐)や四角錐台、他にも三角錐や三角錐台等が記載されている。
【0005】
また、焼結ダイヤモンド層に、表面に対して一定レベル内に位置する平坦な頂面を持つ研磨単位を複数個配置した研磨工具であって、研磨単位は焼結ダイヤモンド層へワイヤカット等での切込みにより、先端が平面の、整列された四角や三角の角柱乃至角錐台上の切れ刃を形成する研磨工具が、本発明者により提供された(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO2007−023949号公報
【特許文献2】特開2011−20182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および2の超砥粒焼結体は、特に近年必要とされてきつつある、ICチップの配線幅が例えば35μmルール以下であるような、超高精細配線を有するIC用等の半導体材料表面を研磨するCMPパッド用のコンディショナー等に加工する素材として、加工が困難であり、材料としても貴重である。従って、焼結体素材を無駄なく工具として使用できるための、特定の研磨パッチとしての素材からの切り出し態様を確立することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の課題を解決すべく、検討を重ね、一般に円板状に形成される、ダイヤモンド等の超砥粒焼結体からなる研磨部を有する研磨用焼結体を、研磨用パッチとして高性能である研磨工具を構成でき、焼結体素材を最も無駄なく利用する研磨用パッチの形状寸法を見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち本発明は、ダイヤモンド等の超砥粒焼結体からなる研磨部をもつ回転式研磨工具に用いるに好適な、円板状材料を最も効率的に利用できる、以下の超砥粒焼結体研磨パッチおよびその製法に関する。
なお、本発明において、「円板状」と記載されている場合の円は、数学的な厳密な意味の真円のみを指すのではなく、焼結体等の実際の物質においてほぼ円形であって中心が近似的に一点に定めうる程度のものをも包含する。
【0010】
[1]円板状の焼結体素材(1)から切り出した研磨パッチであって、
該円板の輪郭円を中心角60°で六分割した扇型の1つから、中心側から前記輪郭円の半径の半分だけ隔たった点を通る辺を有する正三角形を取り除いた、扇台型形状の、円弧側の両端角部がなめらかに丸められた輪郭形状を有する前記研磨パッチ。
[2]上記[1]に記載の研磨パッチ2枚を、円弧に向かい合う辺で接合した形の輪郭形状を有する、研磨パッチ。
[3]円板状の焼結体素材(1)の中心を通る直線(2)と、前記直線に直交する半径(3)、(3’)を2等分した点(4)、(4’)を通り、前記直線(2)に平行な線と円板の中心を通り前記直線と60°の角度をなす2本の直線(6)、(7)との交点(8)、(9)、(10)、(11)を結ぶ前記直線に平行な線分(12)、(12’)を1辺とする正六角形と該直径(2)とで円板を分割して得られる4枚の分割片の、該正六角形の外側に位置する2つの部分を、前記2本の直径(6)、(7)でさらにそれぞれ3分割して得られる、6枚の合同な分割片(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、および正六角形の3辺と直径とを辺とする2枚の台形状の分割片から、前記6枚の分割片とほぼ合同な2枚の焼結体分割片(19)、(20)を切り出すことによって得られる、8枚のほぼ合同な焼結体分割片の、円弧状の辺の両端部角を丸めたものからなる、8枚のほぼ合同な形状の研磨パッチ。
[4][3]に記載の8枚の合同な焼結体分割片を、さらに円板外形をなしていた円弧と同心円をなす円弧(23)で2つまたはそれ以上のパッチ片に分割し、円弧状の辺の両端部角を丸めて得られる、8枚のほぼ合同な研磨パッチの複数の組からなる、研磨パッチ。
[5][3]に記載の研磨パッチの組において、正六角形の内側の2枚の焼結体分割片(19)、(20)とそれらとそれぞれ正六角形の1辺で接している外側の焼結体分割片(13)、(14)とに代えて、それぞれ接している1辺で結合した輪郭を有する、瓢箪型のくびれを有する2枚のほぼ合同な切片(28)、(29)の組とした、1辺が円弧である台形様の4枚のほぼ合同な切片(14)、(15)、(17)、(18)の組とからなる、6枚の研磨パッチ。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の研磨パッチを、円形基板の外周部分に、1種または複数種の研磨パッチが円周方向に均等に配置されるように設けた、研磨工具。
[7]円板状の焼結体素材(1)の中心を通る直線(2)と、前記直線に直交する半径(3)、(3’)を2等分した点(4)、(4’)を通り、前記直線に平行な線と円板の中心を通り前記直線と60°の角度をなす2本の直線(6)、(7)との交点(8)、(9)、(10)、(11)を結ぶ前記直線(2)に平行な線分(12)、(12’)を1辺とする正六角形と前記直線(2)とで円板を4枚に分割し、該正六角形の外側に位置する2つの部分を、前記2本の直線(6)、(7)でさらにそれぞれ3分割して得られる、6枚の合同な分割片(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、および正六角形の3辺と直径とを辺とする2枚の台形状の分割片(19)、(20)から切り出すことによって、円板状の焼結体素材から8枚の焼結体分割片を得る、研磨パッチ製造方法。
[8]前記[7]に記載の方法において、正六角形の内側の2枚の焼結体分割片(19)、(20)と、それぞれ正六角形の1辺で接している、外側の焼結体分割片(13)、(14)との間は切断せずに、瓢箪型のくびれを有する2枚の合同な切片(28)、(29)として残す、1辺が円弧である台形様の4枚の合同な切片(14)、(15)、(17)、(18)の組と、瓢箪型の括れを有する2枚の合同な切片(28)、(29)とから切り出すことにより、円板状の焼結体素材から6枚の研磨パッチを製造する方法。
[9]前記[7]または[8]に記載の方法において、切り出した研磨パッチの角部を丸めて、研磨パッチを互いにほぼ合同とする工程をさらに含む、方法。
【0011】
ダイヤモンド等の超砥粒焼結体は、焼結体素材が円板状であり、その円板から、回転式研磨工具用の焼結体研磨パッチを、最も有効に無駄なく切り出すために、該円板の任意の直径を決定し、該直径に直交する半径を2等分した点を通り、該直径に平行な線と円板の中心を通り該直径と60°の角度をなす2本の直径との交点を結ぶ該直径に平行な線分を1辺とする正六角形と該直径とで円板を4枚に分割し、該正六角形の外側に位置する2つの部分を、前記2本の直径でさらにそれぞれ3分割して得られる、6枚の合同な分割片、および正六角形の3辺と直径とを辺とする2枚の台形状の分割片から切り出した、前記6枚の分割片と合同な2枚の焼結体分割片を切り出すことによって得られる、8枚の合同な焼結体分割片を、さらに円板外形をなしていた円弧と同心円をなす円弧で2つに分割して得られる合同な8枚が2組となった、焼結体研磨パッチを得ることによって、本願発明の焼結体研磨パッチが得られる。
また、本願発明の別の態様においては、前記正六角形と該直径とで円板を4枚に分割することに代えて、該直径と、正六角形の該直径に平行でない4個の辺と、および円板の中心を通り該直径と60°の角度をなす2本の直径の正六角形の外側に位置する部分とで円板を分割することによって得られる、2枚の合同な1辺が円弧である瓢箪型のくびれを有する切片の組と、1辺が円弧である台形様の4枚の合同な切片の組とからなる素材が得られ、瓢箪型の切片は、さらにくびれの2つの頂点を結ぶ線に対称な外形となるように直線状の部分を加工することにより、合同な4枚の台形様切片と、その合同な台形様切片を、円弧状辺に向かい合う直線辺で接合した形の2枚の瓢箪型切片とを得る。
これらの態様の16枚または6枚の研磨パッチは、研磨効果を向上させるために、円弧側の角部分は丸く加工されて、研磨時に被研磨材に食い込むことが無いようにされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、例えばレーザーカットして研磨単位を研磨面に多数形成した研磨パッチを得るための超砥粒焼結体を、最も無駄なく円板状の焼結体素材から切り出すことのできる、超砥粒焼結体研磨パッチであるので、製造が困難で高価な超砥粒焼結体を最も無駄なく使用して製造することが可能となる。
また、合同な形状の研磨パッチを、複数の円板状焼結体から得られるため、研磨パッチを接着して製作する研磨工具作成時において、寸法あわせ等する必要がなく、また、本発明の研磨パッチは、必要以上に細分化した大きさでないため、研磨工具作成時の研磨パッチ接着作業が不合理に煩雑化することを防ぐことができる。
請求項1に係る発明の研磨パッチは、輪郭の一部をなす円弧の半径の半分の幅となるように扇型から正三角形を取り除いた寸法を有しており、この寸法のものだけが、円板状の焼結体素材から、最も無駄なく研磨パッチを切り出すことのできる形状・寸法のものである。また、請求項2に係る発明の研磨パッチは、上記の円板状素材から最も無駄なく切り出せる研磨パッチを2個結合した輪郭を有し、円板状素材から単独の研磨パッチ2個とともに切り出すことによって、やはり最も無駄なく切り出すことができる。
【0013】
本発明の研磨用焼結体は、結合材の溶融温度以上で焼結されていることにより、超砥粒の固着強度が大きく、実質上脱落がないという利点がある。とくに超砥粒としてダイヤモンド粒子を用いた場合、ダイヤモンドは、製造工程において結合材金属が溶融しかつダイヤモンドが熱力学的に安定な温度圧力条件下に供されており、ダイヤモンド微粒子が結合材金属への部分溶解を介して強力に一体化されていることにより、固着強度がさらに大きいため、実質上脱落がなくなる。
【0014】
さらに研磨単位が形成されている研磨部は、表面が充分な厚さを持つ超砥粒焼結体で構成されていることにより、研磨単位が使用により磨滅しても、研磨単位を容易に再生して、本発明の工具として再利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による8枚研磨パッチ切り出しを説明する図である。
【図2】本発明による8枚研磨パッチ切り出しを示す図である。
【図3】本発明の別の態様による16枚研磨パッチ切り出しを示す図である。
【図4】本発明のさらに別の態様による6枚研磨パッチ切り出しを示す図である。
【図5】本発明による研磨パッチを用いた研磨用工具を示す図である。
【図6】本発明の別の態様による研磨パッチを用いた研磨工具を示す平面図および側面図である。
【図7】本発明のさらに別の態様による2種の研磨パッチを用いた研磨工具を示す平面図および側面図である。
【図8】本発明による研磨パッチの研磨面として代表的な、レーザーカットした研磨単位の平面図である。
【図9】本発明による研磨パッチの研磨面として代表的な、レーザーカットした研磨単位の実施例の写真である。
【図10】本発明による研磨パッチの研磨面として代表的な、各種研磨単位の構造を示す図である。
【図11】本発明による研磨パッチの研磨面として代表的な、研磨単位の形成方法を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の研磨パッチの研磨用焼結体の材料となる超砥粒焼結体は、ダイヤモンドやc−BN(立方晶窒化硼素)等の超砥粒の粉末を常法により超高圧高温工程で処理して得られるものが好ましい。この状態の焼結体は超砥粒焼結体は歪みが大きいので型放電加工などにより予備的にあらかた平坦化しておく。次いで、溝及び突起側面を段階的に形成していくことにより、研磨単位、即ち、直接研磨対象と接触する突起部分を創生する。図8に研磨単位の列の平面図を示す。なお超砥粒焼結体として市販品を利用する場合は、仕様によるが、表面が平坦化されているので、上記平坦化予備処理は省略できる。
前記溝の形成には、レーザーカット、とくに青色レーザー、例えばYAGレーザーを用いて、短いピッチで研磨単位を形成し、研磨単位の研磨作用をおこなうエッジが比較的鋭利な状態を保って加工することができる。
【0017】
本発明の研磨パッチの研磨用焼結体において、上記研磨単位は、円形焼結体層へ、レーザー加工機で切り込むことにより、創生することができる。レーザー加工機は、スキャン動作により所望の形状での焼結体層への切り込み加工を、焼結体層へのダメージを与えずにおこなうことが可能であるため、エッジの鈍りの少ない任意の形状の研磨単位が形成可能である。レーザー加工動作の能率等を考慮すると、直線状にスキャンすることが好ましい。
【0018】
研磨単位が頂部に直線状の稜線を呈する形状(図10;No.1 三角錐台、No.3 六角錐台、 No.4 四角錐台)や、稜線が湾曲しているもの(図10 ; No.2)などであってもよい。研磨単位は、レーザー加工機により形成されるので、ワイヤカット放電加工に比べて、格段に細かい密度で形成でき、研磨単位の形状も、ワイヤカット放電加工に比較して、エッジの鋭い状態がたもたれるものである。
【0019】
上記例において、各研磨単位が有効な研磨部分として機能するために、各研磨単位の頂部エッジは充分に鋭く、かつ隣接研磨単位同士は、200μm以下という従来なかった短い間隔で隔てられる。エッジの長さは、各研磨単位頂部が多角形であり、一辺の長さが30μm以上という長さを有している。また、研磨単位の側壁面は、研磨単位頂面に垂直な研磨工具回転軸方向に対して0°〜30°、好ましくは0°〜15°の角度を有している。
【0020】
溝の深さ(研磨単位の溝底からの高さ)は、50μm以下で、切屑を排除できる程度の深さがあれば良い。溝が深すぎると、研磨単位の強度が不足する上、過剰な超砥粒層の厚さが必要となるが、レーザー加工においては、精密な加工が可能であり、ピッチを短くすることが出来るため、溝の深さも従来に比べて浅いものが実現できる。
【0021】
研磨単位の形状としては、研磨単位の各側面を傾斜させて錐台状、例えば、四角錐台状または三角錐台状とすることが好ましい。
また、整列した角柱状や角柱台状研磨単位において、長方形や三角形のひとつまたは複数方向の側面を専用の工具で研磨することにより、頂部の縁又は頂点を鋭利化する、いわゆる「刃付け」を行なうと、さらに良好な切れ味が達成できる。研磨単位が、多角形柱、多角形錐台であり、頂部が多角形(典型的には、三角形または四角形)の場合、頂部の面の少なくとも一辺に刃付けを行なうが、研磨単位が四角錐状または三角錐状の場合は、刃付けを行なわなくても十分な切れ味を達成することができる。
【0022】
焼結超砥粒層としては、ダイヤモンド焼結体(PCD)やc-BN焼結体(PcBN)の一方の面を超硬合金即ち炭化タングステン系複合材、或は周期律表第6a族金属の炭化物を主成分とする複合材のブロックで裏打ちされた構造のものを用い、複合材側を接着剤等によって工具基板に固着し、反対側に区分溝を形成して研磨部として使用する。
【0023】
このような焼結体は、典型的には一軸加圧型の高温超高圧静水圧プレスで調製された円板状のものが市販されている。
【0024】
四角錐台状研磨単位の作製においては、例えば図11に示すように、研磨部の表面にレーザー加工機で一定溝間隔(ピッチ)で第一の方向の平行溝群および錐台状体両側面を形成した後、研磨部を固着した基板ごと円環中心軸の周囲に90°回転し、同じようにして第二の方向の平行溝群を一定溝間隔で、また各溝に隣接する錐台体傾斜側面を形成することにより、直交する2組の平行溝群、および溝に沿って整列した四角錐台状研磨単位を得るようにしてもよい。
【0025】
三角錐体の場合においても、第一の方向の平行溝群および溝に隣接する角錐台の傾斜面を形成後、焼結体素材を中心軸の周囲に120°回転し、同様に一定溝間隔で第二の方向の平行溝群、および隣接する傾斜側面の形成をレーザーカットにより行う。操作完了後、研磨部をさらに120°回転し同じ操作を行うことによって、120°で交差する第三方向の平行溝群、および隣接する傾斜側面、溝に沿って整列した三角錐台状研磨単位を得るようにしてもよい。
【0026】
上記研磨単位において、錐台状体頂部の溝底面に対する突き出し高さは三角形、四角形共に50μm以下とすることができる。レーザーカットであるからこその微細加工により、研磨単位の整列ピッチが200μm以下であるため、従来よりも突き出しが浅くても、研磨部本体がパッド等のワークと直接接触することがなく、研磨単位の強度が不足したり、過剰な超砥粒層の厚さが必要となることがない。
さらにレーザーカットであるため、エッジの鈍りが少なく、本発明のような小さな突き出し高さでも、十分な研磨作用が得られる。
【0027】
上記研磨単位の研磨性能は、錐(台)状体の頂部に含有される超砥粒の粒度に依存する。超砥粒がダイヤモンド粒子である場合、即ち研磨部を構成する焼結体が焼結ダイヤモンド(PCD)層である場合、ダイヤモンド粒子の粒度(公称粒度)としては、40-60μm以下、8-16μmや0-2μmなどの各粒度のPCD層が利用できるが、8-16μm以下の公称粒度が好ましく、特に0-2μmが好ましい。
【0028】
本発明の研磨パッチの研磨用焼結体に用い得るダイヤモンド焼結体は、ダイヤモンド粒子を、裏打ち材としての超硬合金および、必要に応じてコバルト等の結合材金属と共に、ダイヤモンドが熱力学的に安定な超高圧高温条件下に供して得られる。焼結体から本発明のパッドコンディショニング用超砥粒焼結体への加工はレーザーカット、典型的には青色レーザーカットによる表面の加工による研磨単位の形成によって実現できる。
焼結体素材から、研磨用焼結体を切り出すための輪郭カットにおいては、レーザーカットの他、ワイヤカット放電加工等の、一般的加工手段が利用可能である。
【0029】
本発明の研磨パッチに用いうる研磨用焼結体においては、研磨単位の三角錐台または四角錐台等の多角形錐台体は、レーザーカットにより形成されるため、エッジが鋭くなり、また、エッジの綿密度も高いものであるため、特に0.35μm以下の超精細配線ルールのLSI用の半導体材料表面の研磨に用いるCMPパッドの効果的なコンディショニングが初めて可能となり、コンディショニングに際しての、CMPパッドの無用な摩滅も少なく抑えることが出来る。
また、ピッチの短い研磨単位列であるため、研磨作用をなすエッジの綿密度が高くなり、必要な超砥粒焼結体材料も、従来の長いピッチのものと比較して少なくて済む。
また、研磨単位の高さを従来のように高くする必要がなく、必要とされる超砥粒焼結体部分の厚みは従来よりも少なくて済む。
【0030】
図1および2を参照して、本発明の1態様を説明する。
円板状の焼結体素材(1)の任意の円板の中心を通る直線(2)を決定し、該直線に直交する半径(3)を2等分した点(4)を通り、該直径に平行な線と円板の中心を通り該直径と60°の角度をなす2本の直線(6)、(7)との交点(8)、(9)、(10)、(11)を結ぶ前記直線(2)に平行な線分(12)を1辺とする正六角形と前記直線(2)とで円板を4枚に分割し、該正六角形の外側に位置する2つの部分(13)、(14)を、前記2本の直線(6)、(7)でさらにそれぞれ3分割して得られる、6枚の合同な分割片(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)および正六角形の3辺と前記直線(2)とを辺とする2枚の台形状の分割片から切り出した、前記6枚の分割片と合同な2枚の焼結体分割片(21)、(22)を切り出すことによって、8枚の合同な焼結体分割片(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)、(22)が得られる。
【0031】
このようにして、合同なパッチを、ひとつの円板状素材から最も無駄なく切り出すことができるが、このようにして切り出した合同なパッチの輪郭は、円板状素材の輪郭円を中心角60°で六分割した扇型の1つから、中心側から前記輪郭円の半径の半分だけ隔たった点を通る辺を有する正三角形を取り除いた、扇台型形状である。取り除く正三角形の大きさは、正確に輪郭円の半径の半分だけ隔たった点を通る辺を有するものであり、これより大きくても小さくても、切り出しに際し無駄な部分が発生する。
【0032】
また、図3には、図1のものを、さらに円板外形をなしていた円弧と同心円をなす円弧(23)で2つに分割して得られる、2組の合同な8枚からなる、16枚の焼結体研磨パッチを示し、もととなる図1のものが最も無駄なく切り出す輪郭形状・寸法であるのだから、やはり最も無駄のない輪郭・形状である。
【0033】
さらに、図4に示す本願発明の別の態様においては、図1のものにおいて、正六角形の内側の2枚の焼結体分割片(21)、(22)を、それぞれ正六角形の1辺で接している、外側の焼結体分割片と結合した、瓢箪型のくびれを有する2枚の合同な切片(28)、(29)の組と、1辺が円弧である台形様の4枚の合同な切片(30)(31)(32)(33)の組とからなる、6枚の研磨パッチを示す。
【0034】
上記瓢箪型の括れを有する切片は、円板状素材から最も無駄なく切り出すことができる、上記の8枚の合同なパッチのうちの2枚を接合した形状であり、この瓢箪型の長軸方向長さは、正確に円板状素材の半径に一致するものである。
これらの態様の、8枚、16枚または6枚の研磨パッチは、研磨効果を向上させるために、円弧側の角部分は丸く加工されており、研磨時に被研磨材に食い込むことが無いようにされていることが好ましい。
【0035】
図5は、本発明による研磨パッチを用いた研磨工具の一態様を示す。
この例においては、研磨パッチは図1のものを大小2個づつ使用している。
【0036】
図6は、本発明による研磨パッチを用いた研磨工具の別の態様を示す。この態様においては、図2に示す研磨パッチのうち、台形様切片のみを使用した、研磨工具を示す。
【0037】
図7は、本発明による研磨パッチを用いた研磨工具のさらに別の態様を示す。この態様においては、図2に示す瓢箪型切片と台形様切片との両方を使用する。
【0038】
図6のものおよび図7のものは、合同の研磨パッチを円形基板の周縁部に複数設けているが、一枚の研磨パッチは比較的大面積であり、上記した研磨単位が緻密に設けられた研磨パッチの場合、比較的少数の研磨パッチを円形基板に貼付するだけで、十分な研磨効果を奏する研磨工具が得られる。
また、研磨パッチが間隔をあけて周縁部に配置されるため、パッチの無い部分を均等に設けることができ、研磨屑の排出が有効に行われるという効果もある。
次に、本発明の実施例による工具の具体例を説明する。
【実施例】
【0039】
[実施例1]
厚さ0.5mm、直径60mmの焼結ダイヤモンド層を超硬合金ブロックと一体化した、全体厚さ3.2mmの円板状ダイヤモンド焼結体をワイヤカットによって図3のように切断し、同一形状の円弧状パッチを大小2種類、各8個切り出した。より大なる円弧は8個について長さ約27mm、より小なる円弧は長さ約21mm、円弧中央における幅は、16個について同様の約7mmであった。
これらの円弧状焼結体片を大小それぞれについて5個づつ取り、平らな金属板上に向きを揃えて固定し、各ダイヤモンド層表面に青色レーザーで切込みにより、底部に対する高さ50μmの四角錐台状研磨単位群を130μmピッチの格子状に形成して研磨パッチとした。格研磨単位頂部は一辺30μmの正方形状、側壁面は軸方向に対して15°の契斜をつけた。
【0040】
これらの研磨パッチを外径108mmの円形基板の外周に部分に、5個ずつ交互にそれぞれ72°ごとに各々の同心円上に配置した。各パッチは中心において長手方向をを円周方向に対して30°傾斜させてそれぞれ配置し、接着剤で固定した。
この工具を不織布および硬質ウレタン(共にCeiba Technologies製)の研磨試験に供して表1の結果を得た。
【表1】
この値は、例えば特許文献5に開示される、ワイヤカットにより研磨単位を形成した従来技術のダイヤモンド焼結体研磨工具、これは研磨単位の頂面四角形の辺の長さが100μmでピッチが1500μmのものと頂面四角形の辺200μmでピッチが2000μmのもの、と比較すると、カットレートは従来技術の80〜120μm/hと比べて百倍以上も低く、すなわち、コンディショニングされる硬質ウレタンの減りが少なく、それでいて表面粗さは従来技術のダイヤモンド焼結体研磨工具と同等または優れている、ということを意味している。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の研磨パッチは、上記実施例のような優れた工具を得ることの出来る、細かいピッチで研磨単位を形成した超砥粒研磨工具用の研磨パッチとして、特に有用である。なぜならば、細かいピッチの研磨単位を有した超砥粒焼結体は、レーザーカットという手間のかかる工程を経て作成されるものであるため、貴重であり、無駄のない使用がとりわけ重要だからである。
【0042】
本発明の超砥粒焼結体研磨は、超砥粒焼結体素材の無駄が無いように研磨パッチを切り出すことができるので、例えばCMPパッドコンディショナーとして、特に高精細回路ルールで製造されるLSI用の半導体材料表面の研磨に用いるためのCMPパッドのコンディショナーとして極めて優秀な研磨パッチに関して適用すれば、極めて有益である。
【符号の説明】
【0043】
1:円板状超砥粒焼結体
2:直径
3:直径に直角な半径
4:半径の中点
6:直径2に60°で交わる直径
7:直径2に60°で交わるもう1つの直径
8、9、10、11:半径の中点4を通り直径2に平行な線と直径2に60°で交わる直径との交点
13、14、15、16、17、18、19、20:8枚の合同な研磨パッチ
28、29:繭型研磨パッチ
図8の1:研磨パッチ表面
図8の2:四角錐台状の研磨単位の頂面
図8の3:研磨単位の間の溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の焼結体素材(1)から切り出した研磨パッチであって、
該円板の輪郭円を中心角60°で六分割した扇型の1つから、中心側から前記輪郭円の半径の半分だけ隔たった点を通る辺を有する正三角形を取り除いた、扇台型形状の、円弧側の両端角部がなめらかに丸められた輪郭形状を有する前記研磨パッチ。
【請求項2】
円板状の焼結体素材(1)から切り出した研磨パッチであって、請求項1に記載の研磨パッチ2枚を、円弧に向かい合う辺で接合した形の輪郭形状を有する、研磨パッチ。
【請求項3】
円板状の焼結体素材(1)の中心を通る直線(2)と、前記直線に直交する半径(3)を2等分した点(4)を通り、前記直線(2)に平行な線と円板の中心を通り前記直線と60°の角度をなす2本の直線(6)、(7)との交点(8)、(9)、(10)、(11)を結ぶ、前記直線に平行な線分(12)を1辺とする正六角形と前記直線(2)とで円板を分割して得られる4枚の分割片の、該正六角形の外側に位置する2つの部分を、前記2本の直線(6)、(7)でさらにそれぞれ3分割して得られる、6枚の合同な分割片(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、および正六角形の3辺と直径とを辺とする2枚の台形状の分割片から、前記6枚の分割片とほぼ合同な2枚の焼結体分割片(19)、(20)を切り出すことによって得られる、8枚のほぼ合同な焼結体分割片の、円弧状の辺の両端部角を丸めたものからなる、8枚のほぼ合同な形状の研磨パッチ。
【請求項4】
請求項3に記載の8枚の合同な焼結体分割片を、さらに円板外形をなしていた円弧と同心円をなす円弧(23)で2つまたはそれ以上のパッチ片に分割し、円弧状の辺の両端部角を丸めて得られる、8枚のほぼ合同な研磨パッチの複数の組からなる、研磨パッチ。
【請求項5】
請求項3に記載の研磨パッチにおいて、正六角形の内側の2枚の焼結体分割片(19)、(20)とそれらとそれぞれ正六角形の1辺で接している外側の焼結体分割片(13)、(14)とに代えて、それぞれ接している1辺で結合した輪郭を有する、瓢箪型のくびれを有する2枚のほぼ合同な切片(28)、(29)の組と、1辺が円弧である台形様の4枚のほぼ合同な切片(14)、(15)、(17)、(18)の組とからなる、
6枚の研磨パッチ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の研磨パッチを、円形基板の外周部分に、1種または複数種の研磨パッチが、円周方向に均等に配置されるように設けた、研磨工具。
【請求項7】
円板状の焼結体素材(1)の中心を通る直線(2)と、前記直線に直交する半径(3)、(3’)を2等分した点(4)、(4’)を通り、前記直線に平行な線と円板の中心を通り前記直線と60°の角度をなす2本の直線(6)、(7)との交点(8)、(9)、(10)(11)を結ぶ前記直線(2)に平行な線分(12)、(12’)を1辺とする正六角形と前記直線(2)とで円板を4枚に分割し、該正六角形の外側に位置する2つの部分を、前記2本の直線(6)(7)でさらにそれぞれ3分割して得られる、6枚の合同な分割片(13)、(14)、(15)(16)、(17)、(18)、および正六角形の3辺と前記直線(2)とを辺とする2枚の台形状の分割片(19)、(20)から切り出すことにより、円板状の焼結体素材から8枚の焼結体分割片を得る、研磨パッチ製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、正六角形の内側の2枚の焼結体分割片(19)、(20)と、それぞれ正六角形の1辺で接している、外側の焼結体分割片(13)、(14)との間は切断せずに、瓢箪型のくびれを有する2枚の合同な切片(28)、(29)として残す、1辺が円弧である台形様の4枚の合同な切片(14)、(15)、(17)、(18)の組と、瓢箪型の括れを有する2枚の合同な切片(28)、(29)とから切り出すことにより、円板状の焼結体素材から6枚の研磨パッチを製造する方法。
【請求項9】
切り出した研磨パッチの角部を丸めて、研磨パッチを互いにほぼ合同とする工程をさらに含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項1】
円板状の焼結体素材(1)から切り出した研磨パッチであって、
該円板の輪郭円を中心角60°で六分割した扇型の1つから、中心側から前記輪郭円の半径の半分だけ隔たった点を通る辺を有する正三角形を取り除いた、扇台型形状の、円弧側の両端角部がなめらかに丸められた輪郭形状を有する前記研磨パッチ。
【請求項2】
円板状の焼結体素材(1)から切り出した研磨パッチであって、請求項1に記載の研磨パッチ2枚を、円弧に向かい合う辺で接合した形の輪郭形状を有する、研磨パッチ。
【請求項3】
円板状の焼結体素材(1)の中心を通る直線(2)と、前記直線に直交する半径(3)を2等分した点(4)を通り、前記直線(2)に平行な線と円板の中心を通り前記直線と60°の角度をなす2本の直線(6)、(7)との交点(8)、(9)、(10)、(11)を結ぶ、前記直線に平行な線分(12)を1辺とする正六角形と前記直線(2)とで円板を分割して得られる4枚の分割片の、該正六角形の外側に位置する2つの部分を、前記2本の直線(6)、(7)でさらにそれぞれ3分割して得られる、6枚の合同な分割片(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、および正六角形の3辺と直径とを辺とする2枚の台形状の分割片から、前記6枚の分割片とほぼ合同な2枚の焼結体分割片(19)、(20)を切り出すことによって得られる、8枚のほぼ合同な焼結体分割片の、円弧状の辺の両端部角を丸めたものからなる、8枚のほぼ合同な形状の研磨パッチ。
【請求項4】
請求項3に記載の8枚の合同な焼結体分割片を、さらに円板外形をなしていた円弧と同心円をなす円弧(23)で2つまたはそれ以上のパッチ片に分割し、円弧状の辺の両端部角を丸めて得られる、8枚のほぼ合同な研磨パッチの複数の組からなる、研磨パッチ。
【請求項5】
請求項3に記載の研磨パッチにおいて、正六角形の内側の2枚の焼結体分割片(19)、(20)とそれらとそれぞれ正六角形の1辺で接している外側の焼結体分割片(13)、(14)とに代えて、それぞれ接している1辺で結合した輪郭を有する、瓢箪型のくびれを有する2枚のほぼ合同な切片(28)、(29)の組と、1辺が円弧である台形様の4枚のほぼ合同な切片(14)、(15)、(17)、(18)の組とからなる、
6枚の研磨パッチ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の研磨パッチを、円形基板の外周部分に、1種または複数種の研磨パッチが、円周方向に均等に配置されるように設けた、研磨工具。
【請求項7】
円板状の焼結体素材(1)の中心を通る直線(2)と、前記直線に直交する半径(3)、(3’)を2等分した点(4)、(4’)を通り、前記直線に平行な線と円板の中心を通り前記直線と60°の角度をなす2本の直線(6)、(7)との交点(8)、(9)、(10)(11)を結ぶ前記直線(2)に平行な線分(12)、(12’)を1辺とする正六角形と前記直線(2)とで円板を4枚に分割し、該正六角形の外側に位置する2つの部分を、前記2本の直線(6)(7)でさらにそれぞれ3分割して得られる、6枚の合同な分割片(13)、(14)、(15)(16)、(17)、(18)、および正六角形の3辺と前記直線(2)とを辺とする2枚の台形状の分割片(19)、(20)から切り出すことにより、円板状の焼結体素材から8枚の焼結体分割片を得る、研磨パッチ製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、正六角形の内側の2枚の焼結体分割片(19)、(20)と、それぞれ正六角形の1辺で接している、外側の焼結体分割片(13)、(14)との間は切断せずに、瓢箪型のくびれを有する2枚の合同な切片(28)、(29)として残す、1辺が円弧である台形様の4枚の合同な切片(14)、(15)、(17)、(18)の組と、瓢箪型の括れを有する2枚の合同な切片(28)、(29)とから切り出すことにより、円板状の焼結体素材から6枚の研磨パッチを製造する方法。
【請求項9】
切り出した研磨パッチの角部を丸めて、研磨パッチを互いにほぼ合同とする工程をさらに含む、請求項7または8に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図9】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図9】
【図11】
【公開番号】特開2012−213834(P2012−213834A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80946(P2011−80946)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(309021168)新技術開発株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(309021168)新技術開発株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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