説明

超音波発振器

【課題】効果的な超音波出力を安定して得ることができる超音波発振器を提供する。
【解決手段】超音波出力である力率補正された出力トランス2次側スイッチング高周波電力の電圧部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電圧と電流部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電圧とをそれぞれ出力電圧値検出電圧と出力電流値検出電圧とに変換し、変換された出力電圧値検出電圧と出力電流値検出電圧とから出力電力値検出電圧を算出するといった動作を、所定の時間間隔で周波数を初期設定発振周波数を中心として所定の周波数幅で掃引し、掃引する際の各周波数における出力電力値検出電圧が最大となる時の周波数を発振周波数として設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波発振器に関し、さらに詳細には、超音波洗浄装置や超音波計測装置などの各種の超音波装置に用いられる超音波振動子に高周波電力を印加する際に用いて好適な超音波発振器に関し、特に、超音波振動子を用いた各種の超音波装置の超音波出力が最大となる周波数を発振周波数として追尾することのできる超音波発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、超音波振動子を用いた超音波洗浄装置や超音波計測装置などの各種の超音波装置においては、超音波処理する対象または超音波処理を行う環境といった諸条件の影響によって共振周波数が変化し、それに伴い当該共振周波数と超音波振動子へ高周波電力を印加する超音波発振器の発振周波数とに差が生じて両者がずれてしまい、各種の超音波装置における超音波出力が低下してしまうことが知られていた。
【0003】

具体的には、超音波振動子を用いた超音波洗浄装置として、例えば、図1に示すような超音波洗浄装置が知られている。
【0004】
この超音波洗浄装置100は、内部に洗浄液102を貯留した洗浄糟104と、洗浄糟104の底部104aに装着されるとともに交流電源106に接続された超音波発振器108から高周波電力を印加される超音波振動子110とを有して構成されている。
【0005】
なお、符号200は、超音波洗浄装置100により洗浄される被洗浄物であり、こうした被洗浄物としては、例えば、半導体ウェハ基板や液晶ディスプレイ(LCD)用ガラス基板などの電子デバイスが挙げられる。
【0006】
以上の構成において、この超音波洗浄装置100によれば、交流電源106に接続された超音波発振器108から超音波振動子110へ高周波電力が印加されると、超音波振動子110から洗浄糟104に貯留された洗浄液102へ超音波が伝播され、これにより被洗浄物200を洗浄することができる。
【0007】
しかしながら、一般に、こうした超音波洗浄装置100においては、上記のようにして被洗浄物200の洗浄を行うことになるが、被洗浄物200の形状、数量あるいは材質や、洗浄液102の種類(液種)、洗浄糟104に貯留された際の深さ(液深)あるいは温度(液温)などによって共振周波数が変化する。
【0008】
そして、この共振周波数の変化に伴って、当該共振周波数と超音波発振器108の発振周波数とに差が生じて両者がずれてしまい、超音波洗浄装置100の超音波出力が低下するという現象が生じることとなっていた。
【0009】

このため、上記したような現象を解決するための手法として、PLL(Phase Locked Loop:位相同期回路)制御を利用して共振周波数を追尾することにより、当該共振周波数と超音波発振器108の発振周波数とのずれを解消しようとする方法が提案されている。
【0010】

しかしながら、PLL制御を利用した共振周波数の追尾は、位相のみの確認による共振周波数の追尾であるため、共振周波数が初期設定とは異なる共振周波数に移行してしまった場合には、共振周波数と同期した発振周波数による超音波出力が設定値よりも低下もしくは超過してしまう可能性があり、安定した超音波出力が得られないという問題点があった。
【0011】

なお、本願出願人が特許出願時に知っている先行技術は、上記において説明したようなものであって文献公知発明に係る発明ではないため、記載すべき先行技術情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、効果的な超音波出力を安定して得ることができるようにした超音波発振器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明による超音波発振器は、照射する超音波の周波数を任意の時間おきに任意の周波数幅で掃引させ、そのときに掃引中の各周波数での超音波出力を比較して、発振周波数を設定するようにしたものである。
【0014】
従って、本発明による超音波発振器によれば、照射する超音波の周波数を任意の時間おきに任意の周波数幅で掃引させるときに当該掃引中の各周波数での超音波出力を比較し、超音波出力最大時の周波数を発振周波数としてセットして駆動させることができる。
【0015】
このため、超音波振動子を用いた超音波洗浄装置で洗浄を行う際に、本発明による超音波発振器により超音波振動子を駆動して洗浄を行うようにすると、常に超音波出力が最大である周波数を発振周波数としてセットして洗浄を行うことが可能になり、高い洗浄能力を安定して得ることができるようになる。
【0016】

即ち、本発明のうち請求項1に記載の発明は、超音波振動子の両極に高周波電力を印加する超音波発振器において、直流電力を設定された発振周波数でハイサイドとローサイドとに交互にスイッチングさせてスイッチング高周波電力を生成するスイッチング出力回路と、上記スイッチング出力回路により生成されたスイッチング高周波電力の電圧を昇圧または降圧して出力トランス2次側スイッチング高周波電力を出力する出力トランスと、上記出力トランスから出力された出力トランス2次側スイッチング高周波電力の電圧部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電圧と該出力トランス2次側スイッチング高周波電力の電流部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電流との位相差をなくして超音波振動子に印加するために力率補正を行う力率補正回路と、上記出力トランスから出力された出力トランス2次側スイッチング高周波電力の電圧部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電圧を検出して出力電圧値検出電圧に変換する電圧値検出回路と、上記出力トランスから出力された出力トランス2次側スイッチング高周波電力の電流部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電流を検出して出力電流値検出電圧に変換する電流値検出回路と、上記電圧値検出回路により変換された出力電圧値検出電圧と上記電流値検出回路により変換された出力電流値検出電圧とを乗算して出力電力値検出電圧を算出する乗算器と、設定された発振周波数を所定の時間間隔かつ所定の周波数幅で掃引するように制御するとともに、上記乗算器で算出された該掃引による各発振周波数における出力電力値検出電圧が最大となるときの周波数を発振周波数として設定する発振周波数設定手段とを有するようにしたものである。
【0017】
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、超音波振動子の両極に高周波電力を印加する超音波発振器において、直流電力を設定された発振周波数でハイサイドとローサイドとに交互にスイッチングさせてスイッチング高周波電力を生成するスイッチング出力回路と、上記スイッチング出力回路により生成されたスイッチング高周波電力を力率補正するための力率補正回路と、上記力率補正回路により力率補正されたスイッチング高周波電力を超音波振動子に印加するために昇圧または降圧して出力トランス2次側スイッチング高周波電力として出力する出力トランスと、上記出力トランスから出力された出力トランス2次側スイッチング高周波電力の電圧部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電圧を検出して出力電圧値検出電圧に変換する電圧値検出回路と、上記出力トランスから出力された出力トランス2次側スイッチング高周波電力の電流部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電流を検出して出力電流値検出電圧に変換する電流値検出回路と、上記電圧値検出回路により変換された出力電圧値検出電圧と上記電流値検出回路により変換された出力電流値検出電圧とを乗算して出力電力値検出電圧を算出する乗算器と、設定された発振周波数を所定の時間間隔かつ所定の周波数幅で掃引するように制御するとともに、上記乗算器で算出された該掃引による各発振周波数における出力電力値検出電圧が最大となるときの周波数を発振周波数として設定する発振周波数設定手段とを有するようにしたものである。
【0018】
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、超音波振動子の両極に高周波電力を印加する超音波発振器において、直流電力を設定された発振周波数でハイサイドとローサイドとに交互にスイッチングさせてスイッチング高周波電力を生成するスイッチング出力回路と、上記スイッチング出力回路により生成されたスイッチング高周波電力の電圧を昇圧または降圧して出力トランス2次側スイッチング高周波電力を出力する出力トランスと、上記出力トランスから出力された出力トランス2次側スイッチング高周波電力の電圧部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電圧と該出力トランス2次側スイッチング高周波電力の電流部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電流との位相差をなくして超音波振動子に印加するために力率補正を行う力率補正回路と、上記力率補正回路により力率補正された出力トランス2次側スイッチング高周波電力を印加することにより振動する上記超音波振動子の振動速度をブリッジ出力電力として検出するブリッジ出力電力検出用抵抗と、上記ブリッジ出力電力検出用抵抗により検出されたブリッジ出力電力の電圧部分であるブリッジ出力電圧を検出してブリッジ出力電圧値検出電圧に変換する電圧値検出回路と、上記ブリッジ出力電力検出用抵抗により検出されたブリッジ出力電力の電流部分であるブリッジ出力電流を検出してブリッジ出力電流値検出電圧に変換する電流値検出回路と、上記電圧値検出回路により変換されたブリッジ出力電圧値検出電圧と上記電流値検出回路により変換されたブリッジ出力電流値検出電圧とを乗算してブリッジ出力電力値算出電圧を算出する乗算器と、設定された発振周波数を所定の時間間隔かつ所定の周波数幅で掃引するように制御するとともに、上記乗算器で算出された該掃引による各発振周波数におけるブリッジ出力電力値算出電圧が最大となるときの周波数を発振周波数として設定する発振周波数設定手段とを有するようにしたものである。
【0019】
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、超音波振動子の両極に高周波電力を印加する超音波発振器において、直流電力を設定された発振周波数でハイサイドとローサイドとに交互にスイッチングさせてスイッチング高周波電力を生成するスイッチング出力回路と、上記スイッチング出力回路により生成されたスイッチング高周波電力を力率補正するための力率補正回路と、上記力率補正回路により力率補正されたスイッチング高周波電力を超音波振動子に印加するために昇圧または降圧して出力トランス2次側スイッチング高周波電力として出力する出力トランスと、上記出力トランスから出力された出力トランス2次側スイッチング高周波電力を印加することにより振動する上記超音波振動子の振動速度をブリッジ出力電力として検出するブリッジ出力電力検出用抵抗と、上記ブリッジ出力電力検出用抵抗により検出されたブリッジ出力電力の電圧部分であるブリッジ出力電圧を検出してブリッジ出力電圧値検出電圧に変換する電圧値検出回路と、上記ブリッジ出力電力検出用抵抗により検出されたブリッジ出力電力の電流部分であるブリッジ出力電流を検出してブリッジ出力電流値検出電圧に変換する電流値検出回路と、上記電圧値検出回路により変換されたブリッジ出力電圧値検出電圧と上記電流値検出回路により変換されたブリッジ出力電流値検出電圧とを乗算してブリッジ出力電力値算出電圧を算出する乗算器と、設定された発振周波数を所定の時間間隔かつ所定の周波数幅で掃引するように制御するとともに、上記乗算器で算出された該掃引による各発振周波数におけるブリッジ出力電力値算出電圧が最大となるときの周波数を発振周波数として設定する発振周波数設定手段とを有するようにしたものである。
【0020】
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の発明において、上記力率補正回路は、上記超音波振動子に対して並列に接続されるようにしたものである。
【0021】
また、本発明のうち請求項6に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の発明において、上記力率補正回路は、上記超音波振動子に対して直列に接続されるようにしたものである。
【0022】
また、本発明のうち請求項7に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の発明において、上記超音波振動子は、圧電型超音波振動子であり、上記力率補正回路は、インダクタであるようにしたものである。
【0023】
また、本発明のうち請求項8に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の発明において、請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の超音波発振器において、上記超音波振動子は、磁歪型超音波振動子であり、上記力率補正回路は、キャパシタであるようにしたものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、以上説明したように構成されているので、効果的な超音波出力を安定して得ることができるようにした超音波発振器を提供することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による超音波発振器の実施の形態の一例について詳細に説明するものとする。
【0026】
なお、以下の説明においては、従前に説明した構成と同一または相当する構成については、それぞれ同一の符号を用いて示すことにより、それらの詳細な説明は適宜に省略するものとする。
【0027】

まず、図2乃至図3を参照しながら、本発明の第1の実施の形態による超音波発振器について説明する。
【0028】
なお、この本発明の第1の実施の形態による超音波発振器は、洗浄糟104の底部104aに装着された超音波振動子110へ高周波電力を印加する例を示している。
【0029】
ここで、図2には本発明の第1の実施の形態による超音波発振器のブロック構成説明図が示されており、図3には図2に示す超音波発振器におけるスイッチング回路から超音波振動子へ至るまでの電力伝達経路の要部を示す概略回路説明図が示されている。
【0030】
この本発明の第1の実施の形態による超音波発振器10は、出力トランス2次側スイッチング高周波電力Lを監視して共振周波数を追尾する実施の形態を示すものであり、出力トランス16の後段に力率補正回路18を配置した回路構成を示している。
【0031】
即ち、超音波発振器10は、負荷である超音波振動子110の両極に高周波電力を印加するための超音波発振器であって、交流電源106に接続されている。
【0032】
そして、超音波発振器10は、交流電源106から印加された交流電力Iを整流して直流電力Jにするための整流回路12と、直流電力Jをマイクロコンピューター26(後述する。)で設定した発振周波数(以下、「設定発振周波数」と適宜に称する。)でハイサイド(Hi−side)とローサイド(Lo−side)との交互にスイッチングさせてスイッチング高周波電力Kを得るためのスイッチング出力回路14(スイッチング出力回路14は、図3に示すように、ハイサイドのFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)141a、141bとローサイドのFET142a、142bとを有して構成されている。)と、スイッチング高周波電力Kの電圧を昇圧または降圧して出力トランス2次側スイッチング高周波電力Lとするための出力トランス16と、出力トランス2次側スイッチング高周波電力Lの力率補正を行って出力トランス2次側スイッチング高周波電力Lの電圧部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電圧Aと出力トランス2次側スイッチング高周波電力Lの電流部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電流Bとの位相差をなくして超音波振動子110に印加する超音波出力Mにするための力率補正回路18(なお、力率補正回路18としては、例えば、超音波振動子110が圧電型超音波振動子の場合にはインダクタを用い、超音波振動子110が磁歪型超音波振動子の場合にはキャパシタを用いることが好ましい。)と、出力トランス2次側スイッチング高周波電力Lの電圧部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電圧Aを検出して出力電圧値検出電圧Cに変換する電圧値検出回路20と、出力トランス2次側スイッチング高周波電力Lの電流部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電流Bを検出して出力電流値検出電圧Dに変換する電流値検出回路22と、出力電圧値検出電圧Cと出力電流値検出電圧Dとを入力して両者を乗算することにより出力電力値算出電圧Eを算出する乗算器24と、予め初期設定として設定された発振周波数(以下、「初期設定発振周波数」と適宜に称することとする。なお、初期設定発振周波数は適宜に設定する。)を中心とする所定の周波数幅(所定の周波数幅は、任意に設定することができる。)を所定の時間間隔(所定の時間間隔は、任意に設定することができる。)で一通り掃引動作させたときの各発振周波数での出力電力値算出電圧Eを記憶するとともに該記憶した出力電力値算出電圧Eの中で最も出力電力値算出電圧Eが高かったときの発振周波数を設定発振周波数として設定して当該設定発振周波数の周波数を示すデジタル信号を発振周波数設定0/1信号Fとして得て出力する発振周波数設定手段たるマイクロコンピューター26と、マイクロコンピューター26から出力された発振周波数設定0/1信号Fを入力して発振周波数設定信号Gに変換するDDS(Direct Digital Synthesizer:ダイレクトデジタルシンセサイザー)28と、DDS28から出力された発振周波数設定信号Gを増幅するとともに該増幅した発振周波数設定信号Gをスイッチング出力回路14のハイサイドのFET141a、141bのゲート端子とローサイドのFET142a、142bのゲート端子とに交互に入力するためのFETゲート入力信号Hに変換してスイッチング出力回路16へ出力する駆動回路30とを有して構成されている。
【0033】
なお、超音波発振器10においては、マイクロコンピューター26、DDS28および駆動回路30により、発振周波数処理手段が構築されている。
【0034】

ここで、マイクロコンピューター26について、より詳細に説明すると、超音波振動子110から照射される超音波の発振周波数に基づいてプログラムにより所定の時間間隔で所定の周波数幅を掃引するための周波数を形成できる発振周波数設定信号を出力することができるとともに、当該掃引中の各周波数での出力電力値算出値Eを比較して当該掃引後に出力電力値算出値Eが最大であるときの周波数を設定発振周波数として設定して当該設定発振周波数の周波数を示すデジタル信号を発振周波数設定0/1信号Fとしてセットして出力することができる。
【0035】
そして、スイッチング出力回路14は、ハイサイドのFET141a、141bのゲート端子とローサイドのFET142a、142bのゲート端子とに交互に入力されるFETゲート入力信号Hにより高周波スイッチング動作を行い、直流電流Jをスイッチング高周波電力Kに変換することになる。
【0036】
即ち、スイッチング回路14に印加されている直流電力Jは、DDS28で設定している発振周波数通りにハイサイドとローサイドとに切り替わるFETゲート入力信号Hよってスイッチング高周波電力Kに変換され、出力トランス16、力率補正回路18を介して、超音波出力Mとして、超音波振動子110に印加される。
【0037】
なお、超音波発振器10においては、力率補正回路18を超音波振動子110に対して並列に接続している。
【0038】

以上の構成において、超音波出力Mが超音波振動子110へ印加されることにより、洗浄槽104の底部104aに装着した超音波振動子110から内部の洗浄液102に超音波を伝播させて被洗浄物200を洗浄することができる。
【0039】
そして、この超音波振動子110には、洗浄液102および被洗浄物200に照射する超音波、即ち、超音波出力Mの周波数を所定の時間間隔で所定の周波数幅を掃引させることができ、かつ、掃引中の各周波数での超音波出力Mに相当する出力電力値算出値Eを比較して、超音波出力Mの最大時、即ち、出力電力値算出値Eが最大であるときの周波数を設定発振周波数として追尾することができる超音波発振器10が連結されている。
【0040】
換言すれば、超音波発振器10は、照射する超音波の周波数を所定の時間おきに所定の周波数幅で掃引させ、そのときに掃引中の各周波数での出力トランス2次側スイッチング高周波電力Lを比較して、電力最大時、即ち、超音波出力Mが最大時の周波数を設定発振周波数としてセットして駆動できるように構成されている。
【0041】
つまり、この超音波発振器10は、照射する超音波の発振周波数を所定の時間間隔で所定の周波数幅を掃引させ、掃引中の各周波数での出力トランス2次側スイッチング高周波電力Lを乗算器24で算出された出力電力値算出電圧Eとして比較し、出力電力値算出電圧Eが最大の時の発振周波数をマイクロコンピューター26により設定発振周波数としてセットし、スイッチング回路14でこの設定発振周波数のスイッチング高周波電力Kを出力させ、このサイクルを繰り返し、常に出力トランス2次側スイッチング高周波電力Lが最大となる発振周波数が設定発振周波数となるように追尾していくものである。
【0042】
なお、マイクロコンピューター26は、上記したように、超音波振動子110から照射する超音波の発振周波数を、プログラムにより所定の時間間隔で所定の周波数幅を掃引させるための各周波数を発振周波数設定信号として生成し、DDS28側に渡すように構成されている。
【0043】
ここで、上記した初期設定発振周波数は、超音波振動子110から洗浄液102および被洗浄物200に所定の周波数幅を掃引させながら照射する超音波の発振周波数の中心となる周波数であって、例えば、20kHz〜3MHzとすればよい。
【0044】
また、発振周波数を掃引させる際の上記した所定の周波数幅は、例えば、初期設定発振周波数の1%〜50%の値とすればよく、初期設定発振周波数を中心にその1%〜50%の値の周波数幅を掃引して、超音波出力が最大となる周波数の探索を行えばよい。
【0045】
具体的には、初期設定発振周波数を30kHzとし、発振周波数を掃引させる際の所定の周波数幅を初期設定発振周波数の10%とした場合には、30kHzを中心に3kHzの周波数幅を掃引する、即ち、28.5kHz〜31.5kHzの周波数帯を掃引することになる。
【0046】
また、超音波出力が最大となる周波数の探索して設定発振周波数をセットした後に、次回の探索を行うまでの上記した所定の時間間隔は、例えば、5秒〜600秒とすればよい。
【0047】

次に、上記した超音波発振器10の動作をより詳細に説明すると、負荷である超音波振動子110の両極に高周波電力を印加するに際しては、超音波発振器10は、交流電源12から印加された交流電力Iを整流回路12により直流電力Jに変換し、変換した直流電力Jをスイッチング出力回路14のスイッチング機能によりスイッチング高周波電力Kに変換する。
【0048】
ここで、マイクロコンピューター26からは、設定発振周波数をDDS28に認識させる発振周波数設定0/1信号Fならびに掃引する周波数をDDS28に認識させる発振周波数設定信号が出力され、こうした発振周波数設定0/1信号Fならびに発振周波数設定信号がDDS28に入力されると、DDS28は矩形波の発振周波数設定信号Gを駆動回路30へ向けて出力することになる。
【0049】
そして、発振周波数設定信号Gを入力した駆動回路30は、スイッチング出力回路14のハイサイドのFET141a、141bのゲート端子とローサイドのFET142a、142bのゲート端子とが駆動可能な電圧まで増幅したFETゲート入力信号Hを、スイッチング出力回路14のハイサイドのFET141a、141bのゲート端子とローサイドのFET142a、142bのゲート端子とに設定周波数または掃引する周波数で交互に入力し、これによりスイッチング出力回路14は直流電力Jをスイッチング高周波電力Kに変換している。
【0050】
そして、スイッチング高周波電力Kは出力トランス16で昇圧または降圧されて、出力トランス2次側スイッチング高周波電力Lに変換され、その後に、出力トランス2次側スイッチング高周波電Lは力率補正回路18を介して力率補正され、力率補正された出力トランス2次側スイッチング高周波電力たる超音波出力Mが、超音波振動子110へ印加されることになる。
【0051】

ここで、超音波発振器10においては、超音波発振器10において発振している発振周波数が超音波発振器10の使用環境などの諸条件の影響により共振周波数と差が生じているかどうかを測定するために、上記したように、所定の時間間隔で初期設定発振周波数を中心として所定の周波数幅を掃引するようになされている。
【0052】
つまり、出力トランス16から出力された出力トランス2次側スイッチング高周波電力Lの電圧部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電圧Aを電圧値検出回路20により検出して出力電圧値検出電圧Cに変換するとともに、出力トランスから出力された出力トランス2次側スイッチング高周波電力Lの電流部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電流Bを電流値検出回路22により検出して出力電流値検出電圧に変換する。
【0053】
こうして変換された出力電圧値検出電圧Cと出力電流値検出電圧Dとを乗算器28に入力し、乗算器28において出力電圧値検出電圧Cと出力電流値検出電圧Dとを乗算して出力電力値検出電圧Eを算出し、この算出した出力電力値検出電圧Eをマイクロコンピューター26へ向けて出力する。
【0054】
そして、マイクロコンピューター26は、初期設定発振周波数を中心として所定の周波数幅を掃引し、各周波数における出力電力値検出電圧Eを一通り測定し、その測定結果のうち出力電力値検出電圧Eが最大となるとき、即ち、超音波出力Mが最大のときの発振周波数を次回の掃引までの発振周波数たる設定発信周波数としてセットするようになされている。
【0055】
また、こうした電圧値検出回路20と電流値検出回路22とにおける出力電圧値検出電圧Cと出力電流値検出電圧Dとへの変換からマイクロコンピューター26における設定周波数のセットまでを、所定の時間間隔で行うように設定されている。
【0056】

即ち、上記した超音波発振器10によれば、所定の時間間隔で出力電力値調査目的の周波数掃引動作を行うことにより、設定発振周波数を常に出力が最大になる周波数に設定することができる。
【0057】
また、超音波発振器10においては、力率補正回路18を超音波振動子110に対して並列に接続し、出力最大となるようにしている。
【0058】

以上において説明したように、本発明による超音波発振器10によれば、超音波出力Mである力率補正された出力トランス2次側スイッチング高周波電力Lの電圧部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電圧Aと電流部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電圧Bとをそれぞれ出力電圧値検出電圧Cと出力電流値検出電圧Dとに変換し、変換された出力電圧値検出電圧Cと出力電流値検出電圧Dとから出力電力値検出電圧Eを算出するといった動作を、所定の時間間隔をもって周波数を初期設定発振周波数を中心として所定の周波数幅で掃引し、掃引する際の各周波数における出力電力値検出電圧が最大となる時の周波数を発振周波数として設定するようにしている。
【0059】
つまり、超音波発生器10では、出力電力値検出電圧Eを測定して出力電力値検出電圧Eが最も大きい時の周波数を発振周波数とするようにしているので、PLL制御により周波数を追尾するような従来の方法に比べて超音波発生器の出力を測定する方法が直接的であり、そのため効率的な超音波出力を安定して得ることができるようになる。
【0060】

次に図4乃至図5を参照しながら、本発明の第2の実施の形態による超音波発振器について説明する。
【0061】
ここで、図4には本発明の第2の実施の形態による超音波発振器のブロック構成説明図が示されており、図5には図4に示す超音波発振器におけるスイッチング回路から超音波振動子へ至るまでの電力伝達経路の要部を示す概略回路説明図が示されている。
【0062】
この本発明の第2の実施の形態による超音波発振器40も、本発明の第1の実施の形態による超音波発振器10と同様に、出力トランス2次側スイッチング高周波電力Lを監視して共振周波数を追尾する実施の形態を示すものである。
【0063】
但し、本発明の第1の実施の形態による超音波発振器10が、出力トランス16の後段に力率補正回路18を配置した回路構成を備えているのに対して、本発明の第2の実施の形態による超音波発振器40は、出力トランス16の前段に力率補正回路18を配置した回路構成を備えている点において、本発明の第1の実施の形態による超音波発振器10と本発明の第2の実施の形態による超音波発振器40とは異なる。
【0064】
従って、この超音波発振器40によれば、スイッチング高周波電力Kを力率補正回路18で力率補正した後に出力トランス16で昇圧または降圧させてトランス2次側スイッチング高周波電力L、即ち、超音波出力Mに変換することになる。
【0065】
こうした超音波発振器40においても、上記した超音波発振器10と同様な作用効果が得られる。
【0066】

次に、図6を参照しながら、本発明の第3の実施の形態による超音波発振器について説明する。
【0067】
ここで、図6には本発明の第3の実施の形態による超音波発振器のブロック構成説明図が示されており、この本発明の第3の実施の形態による超音波発振器50は、ブリッジ回路52のブリッジ出力電力Nを監視して共振周波数を追尾する実施の形態を示すものである。
【0068】
また、この超音波発振器50には、超音波発振器50により高周波電力が印加される超音波振動子として圧電型超音波振動子120が接続されている。
【0069】
さらに、超音波発振器50においては、圧電型超音波振動子120を含んだブリッジ回路52に対して、力率補正回路としてインダクタ18’が並列に接続されている。
【0070】
こうした超音波発振器50は、照射する超音波の周波数を所定の時間間隔で所定の周波数幅を掃引させ、そのときに掃引中の各周波数でのブリッジ出力電力Nを比較して、電力最大時、即ち、超音波出力Mが最大のときの周波数を設定発振周波数としてセットして駆動できるように形成されている。
【0071】
より詳細には、超音波発振器50は、負荷である圧電型超音波振動子120の両極に高周波電力を印加するための超音波発振器であって、交流電源106に接続されている。
【0072】
そして、超音波発振器50は、圧電型超音波振動子120の振動速度をブリッジ出力電力Nとして検出するためのブリッジ出力電力検出用抵抗52aを有したブリッジ回路52と、ブリッジ出力電力Nの電圧部分であるブリッジ出力電圧Oを検出してブリッジ出力電圧値検出電圧Qに変換する電圧値検出回路20’と、ブリッジ出力電力Nの電流部分であるブリッジ出力電流Pを検出してブリッジ出力電流値検出電圧Rに変換する電流値検出回路22’と、ブリッジ出力電圧値検出電圧Qとブリッジ出力電流値検出電圧Rとを入力して両者を掛け合わせてブリッジ出力電力値算出電圧Sを算出する乗算器24’と、初期設定発振周波数を中心とする所定の周波数幅を所定の時間間隔で一通り掃引動作させたときの各発振周波数でのブリッジ出力電力値算出電圧Sを記憶するとともに該記憶したブリッジ出力電力値算出電圧Sの中で最もブリッジ出力電力値算出電圧Sが高かったときの発振周波数を設定発振周波数として設定して当該設定発振周波数の周波数を示すデジタル信号を発振周波数設定0/1信号Fとして得て出力する発振周波数設定手段たるマイクロコンピューター26’とを有している。
【0073】
なお、超音波発振器50においては、マイクロコンピューター26’、DDS28および駆動回路30により、発振周波数処理手段が構築されている。
【0074】

ここで、マイクロコンピューター26’について、より詳細に説明すると、圧電型超音波振動子120から照射される超音波の発振周波数に基づいてプログラムにより所定の時間間隔で所定の周波数幅を掃引するための周波数を形成できる発振周波数設定信号を出力することができるとともに、当該掃引中の各周波数でのブリッジ出力電力値算出電圧Sを比較して当該掃引後にブリッジ出力電力値算出電圧Sが最大であるときの周波数を設定発振周波数として設定して当該設定発振周波数の周波数を示すデジタル信号を発振周波数設定0/1信号Fとしてセットして出力することができる。
【0075】
つまり、マイクロコンピューター26’は、初期設定発振周波数を中心に所定の周波数幅を所定の時間間隔で掃引させ、各発振周波数におけるブリッジ出力電力値算出電圧Sを一通り測定し、超音波出力Mが最大時の発振周波数を設定発振周波数としてセットするものである。
【0076】
即ち、この超音波発振器50は、照射する超音波の発振周波数を所定の時間間隔で所定の周波数幅を掃引させ、掃引中の各周波数でのブリッジ出力電力Nを乗算器24’で算出されたブリッジ出力電力値算出電圧Sとして比較し、ブリッジ出力電力値算出電圧Sが最大の時の発振周波数をマイクロコンピューター26’により設定発振周波数としてセットし、スイッチング回路14でこの設定発振周波数のスイッチング高周波電力Kを出力させ、このサイクルを繰り返し、常にブリッジ出力電力Nが最大となる発振周波数が設定発振周波数となるように追尾していくものである。
【0077】
換言すれば、超音波発振器50は、任意の時間間隔で出力電力値調査目的の周波数掃引動作を行い、設定発振周波数が常に出力最大になる周波数となるようにしている。
【0078】
なお、超音波発振器50においては、超音波出力Mは、圧電型超音波振動子120を含めたブリッジ回路52に印加される。
【0079】
また、超音波発振器50においては、力率補正回路としてインダクタ18’を圧電型超音波振動子120に対して並列に接続し、出力最大となるようにしている。
【0080】

次に図7を参照しながら、本発明の第4の実施の形態による超音波発振器について説明する。
【0081】
ここで、図7には本発明の第4の実施の形態による超音波発振器のブロック構成説明図が示されている。
【0082】
この本発明の第4の実施の形態による超音波発振器60も、本発明の第3の実施の形態による超音波発振器50と同様に、ブリッジ回路52のブリッジ出力電力Nを監視して共振周波数を追尾する実施の形態を示すものである。
【0083】
但し、本発明の第3の実施の形態による超音波発振器40が、圧電型超音波振動子120を含んだブリッジ回路52に対して、力率補正回路としてインダクタ18’が並列に接続されているのに対して、本発明の第4の実施の形態による超音波発振器60は、圧電型超音波振動子120を含んだブリッジ回路52に対して、力率補正回路としてインダクタ18’が直列に接続されている点において、本発明の第3の実施の形態による超音波発振器50と本発明の第4の実施の形態による超音波発振器60とは異なる。
【0084】
即ち、超音波発振器60においては、力率補正回路としてインダクタ18’を圧電型超音波振動子120に対して直列に接続し、出力最大となるようにしているが、その他の作用効果は超音波発振器50と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0085】

次に、図8を参照しながら、本発明の第5の実施の形態による超音波発振器について説明する。
【0086】
ここで、図8には本発明の第5の実施の形態による超音波発振器のブロック構成説明図が示されており、この本発明の第5の実施の形態による超音波発振器70は、ブリッジ回路52のブリッジ出力電力Nを監視して共振周波数を追尾する実施の形態を示すものである。
【0087】
また、この超音波発振器70には、超音波発振器70により高周波電力が印加される超音波振動子として磁歪型超音波振動子130が接続されている。
【0088】
また、超音波発振器70においては、磁歪型超音波振動子130を含んだブリッジ回路52に対して、力率補正回路としてキャパシタ18’’が並列に接続されている。
【0089】
こうした超音波発振器70は、上記した超音波発振器50が、接続する超音波振動子が圧電型超音波振動子120であって、力率補正回路としてインダクタ18’を圧電型超音波振動子120に対して並列に接続しているのに対し、接続する超音波振動子磁歪型超音波振動子130であって、力率補正回路としてキャパシタ18’’を磁歪型超音波振動子130に対して並列に接続している点においてのみ異なり、その他の作用効果は超音波発振器50と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0090】

次に図9を参照しながら、本発明の第6の実施の形態による超音波発振器について説明する。
【0091】
ここで、図9には本発明の第6の実施の形態による超音波発振器のブロック構成説明図が示されている。
【0092】
この本発明の第6の実施の形態による超音波発振器80も、本発明の第5の実施の形態による超音波発振器70と同様に、ブリッジ回路52のブリッジ出力電力Nを監視して共振周波数を追尾する実施の形態を示すものである。
【0093】
但し、本発明の第5の実施の形態による超音波発振器70が、磁歪型超音波振動子130を含んだブリッジ回路52に対して、力率補正回路としてキャパシタ18’’が並列に接続されているのに対して、本発明の第6の実施の形態による超音波発振器80は、磁歪型超音波振動子130を含んだブリッジ回路52に対して、力率補正回路としてキャパシタ18’’が直列に接続されている点において、本発明の第5の実施の形態による超音波発振器70と本発明の第6の実施の形態による超音波発振器80とは異なる。
【0094】
即ち、超音波発振器80においては、力率補正回路としてキャパシタ18’’を磁歪型超音波振動子130に対して直列に接続し、出力最大となるようにしているが、その他の作用効果は超音波発振器70と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0095】

以上において説明したように、本発明による超音波発振器によれば、所定の時間間隔で測定した出力電力値検出電圧またはブリッジ出力電力値検出電圧に対応した発振周波数を管理することにより効率的に安定した超音波出力が得られるようになる。
【0096】

なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(4)に示すように変化することができるものである。
【0097】
(1)上記した第3の実施の形態、第4の実施の形態、第5の実施の形態および第4の実施の形態においては、出力トランスの後段に力率補正回路としてインダクタ18’またはキャパシタ18’’を配置した場合について説明したが、これに限られるものではないことは勿論であり、出力トランスの前段に力率補正回路としてインダクタ18’またはキャパシタ18’’を配置するようにしてもよい
(2)上記した第1の実施の形態および第2の実施の形態においては、力率補正回路18を超音波振動子110に対して並列に接続するように構成したが、これに限られるものではないことは勿論であり、力率補正回路18を超音波振動子110に対して直列に接続するようにしてもよい。
【0098】
(3)上記した第2の実施の形態、第3の実施の形態、第4の実施の形態、第5の実施の形態ならびに第6の実施の形態の説明においては、初期設定周波数、発振周波数を掃引する際の所定の周波数幅および所定の時間間隔の具体例についてはその説明を省略したが、例えば、第1の実施の形態と同様に設定すればよい。即ち、初期設定発振周波数は、例えば、20kHz〜3MHzとすればよく、所定の周波数幅は、例えば、初期設定発振周波数の1%〜50%の値とすればよく、所定の時間間隔は、例えば、5秒〜600秒とすればよい。
【0099】
(4)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(3)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、超音波洗浄装置や超音波計測装置などのような各種の超音波装置の超音波発生装置として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、超音波発振器から高周波電力を印加される超音波振動子を用いた超音波洗浄装置の構成説明図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態による超音波発振器のブロック構成説明図である。
【図3】図3は、図2に示す超音波発振器におけるスイッチング回路から超音波振動子へ至るまでの電力伝達経路の要部を示す概略回路説明図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施の形態による超音波発振器のブロック構成説明図である。
【図5】図5は、図4に示す超音波発振器におけるスイッチング回路から超音波振動子へ至るまでの電力伝達経路の要部を示す概略回路説明図である。
【図6】図6は、本発明の第3の実施の形態による超音波発振器のブロック構成説明図である。
【図7】図7は、本発明の第4の実施の形態による超音波発振器のブロック構成説明図である。
【図8】図8は、本発明の第5の実施の形態による超音波発振器のブロック構成説明図である。
【図9】図9は、本発明の第6の実施の形態による超音波発振器のブロック構成説明図である。
【符号の説明】
【0102】
10、40、50、60、70、80 超音波発振器
12 整流回路
14 スイッチング出力回路
16 出力トランス
18、18’、18’’ 力率補正回路
20、20’ 電圧値検出回路
22、22’ 電流値検出回路
24、24’ 乗算器
26、26’ マイクロコンピューター
28 DDS(Direct Digital Synthesizer:ダイレクトデジタルシンセサイザー)
30 駆動回路
52 ブリッジ回路
52a ブリッジ出力電力値検出用抵抗
100 超音波洗浄装置
102 洗浄液
104 洗浄糟
104a 底部
106 交流電源
108 超音波発振器
110 超音波振動子
120 圧電型超音波振動子
130 磁歪型超音波振動子
141a、141b ハイサイドのFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)
142a、142b ローサイドのFET
A 出力トランス2次側スイッチング高周波電圧
B 出力トランス2次側スイッチング高周波電流
C 出力電圧値検出電圧
D 出力電流値検出電圧
E 出力電力値算出電圧
F 発振周波数設定0/1信号
G 発振周波数設定信号
H FETゲート入力信号
I 交流電力
J 直流電力
K スイッチング高周波電力
L 出力トランス2次側スイッチング高周波電力
M 超音波出力
N ブリッジ出力電力
O ブリッジ出力電圧
P ブリッジ出力電流
Q ブリッジ出力電圧値検出電圧
R ブリッジ出力電流値検出電圧
S ブリッジ出力電力値算出電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動子の両極に高周波電力を印加する超音波発振器において、
直流電力を設定された発振周波数でハイサイドとローサイドとに交互にスイッチングさせてスイッチング高周波電力を生成するスイッチング出力回路と、
前記スイッチング出力回路により生成されたスイッチング高周波電力の電圧を昇圧または降圧して出力トランス2次側スイッチング高周波電力を出力する出力トランスと、
前記出力トランスから出力された出力トランス2次側スイッチング高周波電力の電圧部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電圧と該出力トランス2次側スイッチング高周波電力の電流部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電流との位相差をなくして超音波振動子に印加するために力率補正を行う力率補正回路と、
前記出力トランスから出力された出力トランス2次側スイッチング高周波電力の電圧部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電圧を検出して出力電圧値検出電圧に変換する電圧値検出回路と、
前記出力トランスから出力された出力トランス2次側スイッチング高周波電力の電流部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電流を検出して出力電流値検出電圧に変換する電流値検出回路と、
前記電圧値検出回路により変換された出力電圧値検出電圧と前記電流値検出回路により変換された出力電流値検出電圧とを乗算して出力電力値検出電圧を算出する乗算器と、
設定された発振周波数を所定の時間間隔かつ所定の周波数幅で掃引するように制御するとともに、前記乗算器で算出された該掃引による各発振周波数における出力電力値検出電圧が最大となるときの周波数を発振周波数として設定する発振周波数設定手段と
ことを特徴とする超音波発振器。
【請求項2】
超音波振動子の両極に高周波電力を印加する超音波発振器において、
直流電力を設定された発振周波数でハイサイドとローサイドとに交互にスイッチングさせてスイッチング高周波電力を生成するスイッチング出力回路と、
前記スイッチング出力回路により生成されたスイッチング高周波電力を力率補正するための力率補正回路と、
前記力率補正回路により力率補正されたスイッチング高周波電力を超音波振動子に印加するために昇圧または降圧して出力トランス2次側スイッチング高周波電力として出力する出力トランスと、
前記出力トランスから出力された出力トランス2次側スイッチング高周波電力の電圧部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電圧を検出して出力電圧値検出電圧に変換する電圧値検出回路と、
前記出力トランスから出力された出力トランス2次側スイッチング高周波電力の電流部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電流を検出して出力電流値検出電圧に変換する電流値検出回路と、
前記電圧値検出回路により変換された出力電圧値検出電圧と前記電流値検出回路により変換された出力電流値検出電圧とを乗算して出力電力値検出電圧を算出する乗算器と、
設定された発振周波数を所定の時間間隔かつ所定の周波数幅で掃引するように制御するとともに、前記乗算器で算出された該掃引による各発振周波数における出力電力値検出電圧が最大となるときの周波数を発振周波数として設定する発振周波数設定手段と
ことを特徴とする超音波発振器。
【請求項3】
超音波振動子の両極に高周波電力を印加する超音波発振器において、
直流電力を設定された発振周波数でハイサイドとローサイドとに交互にスイッチングさせてスイッチング高周波電力を生成するスイッチング出力回路と、
前記スイッチング出力回路により生成されたスイッチング高周波電力の電圧を昇圧または降圧して出力トランス2次側スイッチング高周波電力を出力する出力トランスと、
前記出力トランスから出力された出力トランス2次側スイッチング高周波電力の電圧部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電圧と該出力トランス2次側スイッチング高周波電力の電流部分である出力トランス2次側スイッチング高周波電流との位相差をなくして超音波振動子に印加するために力率補正を行う力率補正回路と、
前記力率補正回路により力率補正された出力トランス2次側スイッチング高周波電力を印加することにより振動する前記超音波振動子の振動速度をブリッジ出力電力として検出するブリッジ出力電力検出用抵抗と、
前記ブリッジ出力電力検出用抵抗により検出されたブリッジ出力電力の電圧部分であるブリッジ出力電圧を検出してブリッジ出力電圧値検出電圧に変換する電圧値検出回路と、
前記ブリッジ出力電力検出用抵抗により検出されたブリッジ出力電力の電流部分であるブリッジ出力電流を検出してブリッジ出力電流値検出電圧に変換する電流値検出回路と、
前記電圧値検出回路により変換されたブリッジ出力電圧値検出電圧と前記電流値検出回路により変換されたブリッジ出力電流値検出電圧とを乗算してブリッジ出力電力値算出電圧を算出する乗算器と、
設定された発振周波数を所定の時間間隔かつ所定の周波数幅で掃引するように制御するとともに、前記乗算器で算出された該掃引による各発振周波数におけるブリッジ出力電力値算出電圧が最大となるときの周波数を発振周波数として設定する発振周波数設定手段と
ことを特徴とする超音波発振器。
【請求項4】
超音波振動子の両極に高周波電力を印加する超音波発振器において、
直流電力を設定された発振周波数でハイサイドとローサイドとに交互にスイッチングさせてスイッチング高周波電力を生成するスイッチング出力回路と、
前記スイッチング出力回路により生成されたスイッチング高周波電力を力率補正するための力率補正回路と、
前記力率補正回路により力率補正されたスイッチング高周波電力を超音波振動子に印加するために昇圧または降圧して出力トランス2次側スイッチング高周波電力として出力する出力トランスと、
前記出力トランスから出力された出力トランス2次側スイッチング高周波電力を印加することにより振動する前記超音波振動子の振動速度をブリッジ出力電力として検出するブリッジ出力電力検出用抵抗と、
前記ブリッジ出力電力検出用抵抗により検出されたブリッジ出力電力の電圧部分であるブリッジ出力電圧を検出してブリッジ出力電圧値検出電圧に変換する電圧値検出回路と、
前記ブリッジ出力電力検出用抵抗により検出されたブリッジ出力電力の電流部分であるブリッジ出力電流を検出してブリッジ出力電流値検出電圧に変換する電流値検出回路と、
前記電圧値検出回路により変換されたブリッジ出力電圧値検出電圧と前記電流値検出回路により変換されたブリッジ出力電流値検出電圧とを乗算してブリッジ出力電力値算出電圧を算出する乗算器と、
設定された発振周波数を所定の時間間隔かつ所定の周波数幅で掃引するように制御するとともに、前記乗算器で算出された該掃引による各発振周波数におけるブリッジ出力電力値算出電圧が最大となるときの周波数を発振周波数として設定する発振周波数設定手段と
ことを特徴とする超音波発振器。
【請求項5】
請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の超音波発振器において、
前記力率補正回路は、前記超音波振動子に対して並列に接続される
ことを特徴とする超音波発振器。
【請求項6】
請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の超音波発振器において、
前記力率補正回路は、前記超音波振動子に対して直列に接続される
ことを特徴とする超音波発振器。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の超音波発振器において、
前記超音波振動子は、圧電型超音波振動子であり、
前記力率補正回路は、インダクタである
ことを特徴とする超音波発振器。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の超音波発振器において、
前記超音波振動子は、磁歪型超音波振動子であり、
前記力率補正回路は、キャパシタである
ことを特徴とする超音波発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−219420(P2008−219420A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53319(P2007−53319)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000219004)島田理化工業株式会社 (205)
【Fターム(参考)】