説明

超音波送信方法及び超音波送信装置

【課題】 超音波センサの体格を小型化することができ、送信する超音波の指向性制御の自由度が高い超音波送信方法を実現する。
【解決手段】 センサ素子13p〜13sから選択された少なくとも2つの隣接するセンサ素子を組み合わせて、各センサ素子の送受信面12aを同位相の振動により一体的に振動させることにより超音波を送信する。組み合わされた各センサ素子の送信面12aを同位相の振動により一体的に振動させるため、送受信面12aの面積が増大した場合と等価の振動状態が得られるので、1つのセンサ素子から送信される超音波と異なる指向性を有する超音波を送信することができる。これにより、超音波を送信するセンサ素子の組み合わせにより、送信する超音波の指向性を変えることができるので、超音波の指向性制御の自由度が高い超音波送信方法を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アレイ状に配置された超音波を送信する複数の送信素子と、被検出体にて反射された超音波を受信し検出する受信素子とを備えた超音波センサより超音波を送信する超音波送信方法及び超音波送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波を送信する複数の送信素子と、被検出体にて反射された超音波を受信し検出する受信素子とを備えた超音波センサとして、超音波センサ前方の障害物の位置測定や形状の検出などを行う超音波センサが知られている。この超音波センサは、送信素子から超音波を送信して、障害物に当たって反射された超音波を、センサ素子によって受信することにより、周囲にある障害物の距離測定などを行う。
一般に、超音波センサを用いて障害物の位置測定や形状の検出などを行う場合には、複数のセンサ素子を所定の間隔でアレイ状に配置し、送受信間の時間差および各センサ素子で受信した超音波の時間差または位相差を求める必要がある。その際、送信素子により超音波を送信可能な範囲が、障害物の検出可能範囲(角度、距離)を決定するため、超音波の指向性を制御して送信できることが好ましい。
超音波の指向性を制御して送信可能な超音波センサとして、例えば、特許文献1には、超音波を送波する送波源である複数の送波装置と、受波装置とを備え、複数の送波装置による発信時の位相差をずらすことによって、メインビームをスキャンする超音波センサが開示されている。
【特許文献1】特開2004−125515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述のような超音波送信方法を用いると、指向性制御の範囲などの自由度を高めようとすると、多数の送波装置が必要となり、超音波センサの体格が大きくなるという問題があった。
【0004】
そこで、この発明では、超音波センサの体格を小型化することができ、送信する超音波の検知範囲(または超音波送信範囲)制御の自由度が高い超音波送信方法及び超音波送信装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、アレイ状に配置された送信面から超音波を送信する複数の送信素子と、被検出体にて反射された超音波を受信し検出する1つまたは複数の受信素子とを備えた超音波センサより超音波を送信する超音波送信方法において、前記複数の送信素子から選択された少なくとも2つの隣接する送信素子を組み合わせて、この組み合わされた各送信素子の送信面を同位相の振動により一体的に振動させることにより、1つの送信素子から送信される超音波と異なる指向性を有する超音波を送信させる、という技術的手段を用いる。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、複数の送信素子から選択された少なくとも2つの隣接する送信素子を組み合わせて、この組み合わされた各送信素子の送信面を同位相の振動により一体的に振動させることにより超音波を送信することができる。
一般に、送信される超音波の検知範囲は送信面の面積と長さ(四角なら辺の長さ、対角線、円なら直径)に依存しており、送信面の長さが大きいほど、超音波の拡がりが小さくなり、面積が大きいほど音圧が高くなる。
本発明の超音波送信方法では、組み合わされた各送信素子の送信面を同位相の振動により一体的に振動させるため、送信面の面積が増大した場合と等価の振動状態が得られるので、1つの送信素子から送信される超音波と異なる検知範囲を有する超音波を送信することができる。
これにより、超音波を送信する送信素子の組み合わせにより、送信する超音波の検知範囲を変えることができるので、超音波の検知範囲制御の自由度が高い超音波送信方法を実現することができる。
また、送信素子の個数を増やす必要がないため、超音波センサの体格を小型化することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の超音波送信方法において、前記超音波センサは、車両に搭載され、当該車両の周囲に存在する被検出体を検出する超音波センサであり、前記複数の送信素子の送信面は、地面に対して水平方向及び垂直方向に並んで配置されている、という技術的手段を用いる。
【0008】
請求項2に記載の発明のように、複数の送信素子の送信面が地面に対して水平方向及び垂直方向に並んで配置された超音波センサに本発明の超音波送信方法を適用すると、送信する超音波の水平方向及び垂直方向の指向性を制御することができるので、車両に搭載され、当該車両の周囲に存在する被検出体を検出する超音波センサによる超音波送信方法として好適に用いることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の超音波送信方法において、前記複数の送信素子のうち、隣接する送信素子の送信面が地面に対して垂直方向から45度傾斜した方向に並んで配置されている、という技術的手段を用いる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、複数の送信素子のうち、隣接する送信素子の送信面が地面に対して垂直方向から45度傾斜した方向に並んで配置されているため、例えば垂直方向または水平方向とに並んで配置された送信素子の間隔を超音波の波長の1/2とする場合に、隣接する送信素子の間隔は超音波の波長の1/2√2となる。
一方、例えば隣接する送信素子が垂直方向または水平方向にある配置では、隣接する送信素子の間隔が超音波の波長の1/2となる。
つまり、垂直方向または水平方向に並んだ各送信面の間隔を保ったまま、隣接する送信素子の間隔を狭くすることができるので、超音波センサの外部への露出面積を小さくすることができ、超音波センサの小型化が可能である。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項2または請求項3に記載の超音波送信方法において、前記複数の送信素子は、超音波を発振する圧電素子と、前記圧電素子が発振した超音波を伝達し、前記被検出体の存在する空間側に露出した送信面より超音波を送信する音響整合部材とをそれぞれ備えており、前記音響整合部材よりも弾性率が低い材料で形成され、前記複数の送信素子間での振動の伝達を減衰させる振動減衰部材が、前記送信面近傍において前記複数の送信素子間に介在されている、という技術的手段を用いる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、送信素子が音響整合部材を備えているため、圧電素子から発振された超音波を効率よく伝達し送信できるともに、各送信素子の送信面近傍において介在されている振動減衰部材は弾性率が低く音響整合部材の振動を阻害しないため、送信面を効率よく一体的に振動させることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明では、請求項2ないし請求項4のいずれか1つに記載の超音波送信方法において、前記複数の送信素子から選択された送信素子は、前記送信面が前記垂直方向に並んで配置された送信素子である、という技術的手段を用いる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、複数の送信素子から選択された送信素子は、垂直方向に並んで配置された送信素子であるため、送信面の垂直方向の1辺が長い場合と等価な振動状態になる。これにより、水平方向の指向性を確保しつつ、垂直方向の指向性を狭くすることができるので、例えば、悪路の走行中など地面からの反射の影響が大きい場合に、その影響を排除することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明では、請求項2ないし請求項4のいずれか1つに記載の超音波送信方法において、前記複数の送信素子から選択された送信素子は、前記送信面が前記水平方向に並んで配置された送信素子である、という技術的手段を用いる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、複数の送信素子から選択された送信素子は、水平方向に並んで配置された送信素子であるため、送信面の水平方向の1辺が長い場合と等価な振動状態になる。これにより、水平方向の指向性を狭くしつつ、垂直方向の指向性を確保することができるので、例えば、縁石や溝などの路面の障害物を検出する場合に有効である。
【0017】
請求項7に記載の発明では、請求項2ないし請求項4のいずれか1つに記載の超音波送信方法において、前記複数の送信素子から選択された送信素子の組み合わせは、前記水平方向及び前記垂直方向のいずれにも非対称である、という技術的手段を用いる。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、複数の送信素子から選択された送信素子の組み合わせは、水平方向及び垂直方向のいずれにも非対称であるため、偏指向性を有する超音波を送信することができる。これにより、周囲の雑音が大きいときなどに、他の指向性を有する超音波を送信したときと受信信号を比較することにより、ロバスト性を向上させることができる。
【0019】
請求項8に記載の発明では、請求項2ないし請求項4のいずれか1つに記載の超音波送信方法において、超音波を送信する前記送信素子の個数、または、前記複数の送信素子から選択された送信素子の組み合わせを切り替えることにより、超音波の指向性を切り替えて送信する、という技術的手段を用いる。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、超音波を送信する送信素子の個数、または、複数の送信素子から選択された送信素子の組み合わせを切り替えることにより、超音波の指向性を切り替えて送信するため、超音波の指向性を切り替えて送信することができる。これによれば、検出したい被検出体の種類、被検出体の位置などに応じて、指向性を切り替えながら、例えば、検出範囲の死角が少なくなるように各指向性を補完して被検出体を検出することができる。
【0021】
請求項9に記載の発明では、請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の超音波送信方法において、前記複数の送信素子は、それぞれ前記受信素子として作動することを特徴とする、という技術的手段を用いる。
【0022】
請求項9に記載の発明によれば、複数の送信素子は、それぞれ受信素子として作動する、つまり、送信素子と受信素子が一体的に形成されているため、超音波センサの体格を小型化することができる。また、複数の受信素子が存在するため、被検出体の位置、距離などの2次元検出または3次元検出も可能となる。
【0023】
請求項10に記載の発明では、アレイ状に配置された送信面から超音波を送信する複数の送信素子と、被検出体にて反射された超音波を受信し検出する受信素子とを備えた超音波センサより超音波を送信する超音波送信装置において、前記複数の送信素子から選択された少なくとも2つの隣接する送信素子を組み合わせて、この組み合わされた各送信素子の送信面を同位相の振動により一体的に振動させることにより、1つの送信素子から送信される超音波と異なる指向性を有する超音波を送信する、という技術的手段を用いる。
【0024】
請求項10に記載の発明によれば、複数の送信素子から選択された少なくとも2つの隣接する送信素子を組み合わせて、この組み合わされた各送信素子の送信面を同位相の振動により一体的に振動させることにより超音波を送信することができる。これにより、送信面の面積が増大した場合と等価の振動状態が得られるので、1つの送信素子から送信される超音波と異なる検知範囲を有する超音波を送信することができる。
また、超音波を送信する送信素子の組み合わせにより、送信する超音波の検知範囲を変えることができるので、超音波の検知範囲制御の自由度が高い超音波送信方法を実現することができる。
更に、検知範囲の異なる複数の送信素子を用いなくとも組み合わせの変更で検知範囲を制御できるため、送信素子の個数を増やす必要がないため、超音波送信装置の体格を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
この発明に係る超音波送信方法の実施形態について、図を参照して説明する。ここでは、超音波センサを車両に搭載して障害物センサとして使用する場合の超音波送信方法を例に説明する。
図1は、本実施形態の超音波送信方法に用いる超音波センサの説明図である。図1(A)は、超音波センサを音響整合部材側から見た平面説明図であり、図1(B)は、図1(A)のA−A矢視断面図である。図2は、超音波の指向性制御の原理を示す説明図である。図3は、センサ素子の送信面の寸法と、検知距離及び指向性との関係を示す説明図である。図4は、1つのセンサ素子のみが超音波を送信する場合の超音波の指向性を示す説明図である。図5は、4つのセンサ素子が超音波を送信する場合の超音波の指向性を示す説明図である。図6は、地面に対して垂直方向に並んだ2つのセンサ素子が超音波を送信する場合の超音波の指向性を示す説明図である。図7は、地面に対して水平方向に並んだ2つのセンサ素子が超音波を送信する場合の超音波の指向性を示す説明図である。図8は、選択されたセンサ素子の組み合わせが水平方向及び垂直方向のいずれにも非対称であるセンサ素子が超音波を送信する場合の超音波の指向性を示す説明図である。
ここで、図1において、V方向が地面に対して垂直方向、H方向が地面に対して水平方向であり、図1(B)の上方向が車両の外部を示す。
なお、各図では、説明のために一部を拡大し、一部を省略して示している。
【0026】
(超音波センサの構造)
図1(A)及び(B)に示すように、超音波センサ10は、縦横方向に2個ずつの計4個がアレイ状に配置されたセンサ素子13p、13q、13r、13sと、センサ素子13p〜13sと電気的に接続され、超音波の送受信に関する電圧信号の入出力を行う回路素子18とが筐体31に収容されて形成されている。
超音波センサ10は、車両のバンパ51などに取り付けられており、障害物の位置の3次元検出が可能に構成されている。
【0027】
各センサ素子13p、13q、13r、13sの構造は同じであるので、ここでは、センサ素子13pについて説明する。
センサ素子13pは、超音波を送受信する圧電素子11pと、圧電素子11pから発振される超音波を伝達し車両前方に送信するとともに、障害物で反射された超音波を受信し、圧電素子11pに振動を伝達する音響整合部材12pとが接合されて形成されている。
つまり、センサ素子13pは、超音波の送受信が可能であり、送信素子及び受信素子として作動する。
【0028】
圧電素子11pは、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなり、横断面の外形が音響整合部材12pの横断面の外形と等しい四角柱状に形成された圧電体を、対向する面において、PtやCuのスパッタ、めっき、導電ペーストの焼き付けなどにより形成された1組の電極により挟んで形成されている。ここで、音響整合部材12p側に形成された電極を第1電極14p、第1電極14pに対向する面に形成された電極を第2電極15pとする。
【0029】
圧電素子11pの側面には、第1電極14pと電気的に接続されて形成された配線部11aが設けられている。圧電素子11pの第1電極14pは、配線部11aにおいて電気的に接続されたワイヤ19を介して、回路素子18に電気的に接続されている。また、圧電素子11pの第2電極15pは、ワイヤ19を介して回路素子18に電気的に接続されている。
【0030】
音響整合部材12pは、空気より音響インピーダンスが大きく、圧電素子11pより音響インピーダンスが小さいポリカーボネート系樹脂などの耐久性に優れた樹脂材料を用いて形成されている。
各音響整合部材12p〜12sは、互いに隣り合った各音響整合部材12p〜12sの中心部の間隔dが、超音波の半波長にほぼ等しくなるように配置されており、送受信面12a近傍の側面において、各音響整合部材12p〜12s間及び筐体31の開口部との間に超音波の伝達を防止する振動減衰部材41を介在して、筐体31の開口部に固定されている。
【0031】
音響整合部材12pは、幅Wが超音波の空気中における波長の半分以下、厚さが超音波の音響整合部材12p中における波長の約1/4となるように形成されている。音響整合部材12pの厚さTを超音波の波長の約1/4となるように形成することにより、音響整合部材12p内で定在波を発生させることができる。これにより、音響整合部材12p内に入射した超音波と、音響整合部材12pと圧電素子11pとの界面において反射された超音波とが干渉して互いに打ち消し合うことを低減することができるので、圧電素子11pに効率よく超音波を伝達することができる。
【0032】
回路素子18は、車両に設けられたECU(Electronic Control Unit:図示せず)に電気的に接続されている。回路素子18は、超音波センサ10から超音波を送信する時には、ECUから出力された、発振する超音波の音圧、位相を制御する制御信号に基づいて、圧電素子11pに対して電圧信号を出力する。また、超音波を受信する時には、回路素子18は、圧電素子11pにより受信した超音波の音圧、位相に応じて、圧電素子11pから入力された電圧信号に基づいて演算処理を行い、ECUに対して振動信号として出力する。
【0033】
次に、超音波センサ10による障害物の検出について、センサ素子13pから超音波を送信する場合を例に説明する。
まず、ECUから出力された超音波の音圧、位相を制御する制御信号に基づいて、回路素子18が圧電素子11pに対して電圧信号を出力する。この電圧信号に基づいて圧電素子11pが振動し、所定の音圧、位相の超音波を発振する。圧電素子11pにより発振された超音波は、音響整合部材12pに伝達され、送受信面12aから車両外部へ送信される。送受信面12aから送信された超音波は、障害物により反射され、反射された超音波は、音響整合部材12pの送受信面12aにおいて受信される。送受信面12aにおいて受信された超音波は、音響整合部材12pを介して、圧電素子11pに伝達される。圧電素子11pに伝達された超音波は、圧電素子11pにより検出され、電圧信号に変換される。圧電素子11pから出力された電圧信号は、回路素子18を経て、ECUに伝達される。回路素子は、圧電素子11pから出力される電圧信号に基づいて演算処理を行う。
【0034】
各センサ素子13p〜13sはアレイ状に配置されているため、送受信間の時間差および受信した超音波の受信素子間での時間差、または位相差を求めることによって、その各差に基づいて、障害物の位置などの測定を行うことができる。
ここで、各センサ素子13p〜13s間には、振動減衰部材41が介在しているため、センサ素子13p〜13sごとに超音波を分離して伝達し、検出することができるので、良好なクロストーク特性を得ることができ、超音波の検出感度を向上させることができる。
更に、各音響整合部材12p〜12sは、互いに隣り合った各音響整合部材12p〜12sの中心部の間隔dが、超音波の半波長にほぼ等しくなるように配置されているため、受信した超音波の位相差からも角度を検出することができる。これにより、受信した超音波の角度を精度良く検出することができるので、障害物との距離及び位置の測定精度を向上させることができる。
【0035】
(超音波の指向性の制御方法)
超音波の指向性は、送受信面12a直近の中心音圧に対して音圧が約7割(−3dB)となる検知範囲Dで代表して表すことができる。検知範囲は指向性と検知距離で表すことができる。は、送受信面12a中心からの検知距離Lと、送受信面12aの法線方向との角度である指向性θにより表すことができる。ここで、検知距離Lは超音波の音圧に、指向性θは超音波の拡がりに対応している。
【0036】
検知距離Lは、送受信面12aの面積に依存する。指向性は送受信面12aが四角形状に形成されている場合には辺の長さに依存する。ここでは、送受信面12aが正方形に形成されている場合について検討する。
【0037】
図2(A)は、送受信面12aの1辺の長さがSa、図2(B)は、送受信面12aの1辺の長さがSb(Sa<Sb)の場合の超音波の指向性を示す。
送受信面12aの1辺の長さ(Sa)が短い方の検知範囲Daと、1辺の長さ(Sb)が長い方の検知範囲Dbとを比較すると、指向性は、θa>θbであり、1辺の長さが短い方が大きくなる。一方、検知距離は、La<Lbであり、1辺の長さが長い方が大きくなる。
【0038】
上述のように、送受信面12aの面積が大きくなると、超音波の音圧が上がり、拡がりが狭くなる。つまり、送受信面12aの面積を小さくすると、車両から遠く離れた位置に存在する障害物は検出できないが、検知範囲を広くすることができる。また、送受信面12aの面積を大きくすると、検知範囲は狭くなるが、車両から遠く離れた位置に存在する障害物を検出できる。
【0039】
図3に、送受信面12aの1辺の長さと、検知距離及び指向性との関係を示す。検知距離は、1辺2mmの送受信面12aを有するセンサ素子13pによる検知距離で規格化した値で示す。
1辺2mmの送受信面12aを有するセンサ素子13pに比べて、1辺5mmの送受信面12aを有するセンサ素子13pでは、検知距離が6倍以上と大幅に増大している。指向性は、1辺2mmの送受信面12aを有するセンサ素子13pで75°であるのに対し、1辺5mmの送受信面12aを有するセンサ素子13pでは約20°と小さな値となっている。
【0040】
以下に、超音波の指向性の制御パターンについて例示して説明する。図4は、センサ素子13pだけが超音波を送信する場合の指向性を示す説明図である。(図では上下の図が異なり、pとrの発信となっている)図4(A)は、超音波センサ10を垂直方向(V方向)の下方から見たときの指向性の模式図であり、図4(B)は、超音波センサ10を水平方向(H方向)の右方から見たときの指向性の模式図である。なお、図5及び図6も同じ方向の模式図である。
センサ素子13pだけが超音波を送信する場合の検知範囲D1は、地面に垂直方向(V方向)と水平方向(H方向)とで等方的であり、指向性がθ1、検知距離がL1で表される。ここで、送受信面12aの1辺の長さをS1とする。
【0041】
次に、センサ素子13p〜13sすべてから超音波を送信する場合の指向性について説明する。
図5に示すように、センサ素子13p〜13sから同位相の超音波を送信すると、各センサ素子13p〜13s間に介在されている振動減衰部材41は弾性率が低く音響整合部材12p〜12sの振動を阻害しないため、音響整合部材12p〜12sの送受信面12aが一体的に振動する。これにより、超音波センサ10において、1辺の長さがS1の約2倍である正方形の送受信面から超音波が送信される状態と等価な振動状態が得られる。
ここで、「同位相」とは、位相が完全に一致する場合だけではなく、音響整合部材12p〜12sの送受信面12aが一体的に振動する範囲の位相を含む。
【0042】
これにより、送受信面12aの1辺の長さが長くなるのと同様の効果が得られるため、検知範囲D2は地面に垂直方向(V方向)と水平方向(H方向)とで等方的であり、指向性θ2はθ1より小さく、検知距離L2はL1より長くなる。つまり、この送信方法によれば、障害物の検知範囲は狭くなるが、車両から遠く離れた位置に存在する障害物を検出できる。
【0043】
超音波を送信するセンサ素子13p〜13sの個数を切り替えることにより、超音波の指向性を切り替えて送信することができる。
上述の検知範囲D1(図4)の超音波と検知範囲D2(図5)の超音波とを所定の時間間隔で交互に送信すると、検知範囲D1の超音波を送信したときには車両に近い広範囲の障害物を検出することができ、検知範囲D2の超音波を送信したときには車両から遠い位置に存在する障害物とを検出することができる。
このように、1つの超音波センサ10を用いて指向性を切り替えることにより広範囲の障害物を検出することができ、例えば、車両の障害物センサの死角を低減できる。
【0044】
次に、センサ素子13p〜13sから、地面に対して垂直方向(V方向)に並んでいる2つのセンサ素子13p、13rを選択して超音波を送信する場合の指向性について説明する。
センサ素子13p、13rから同位相の超音波を送信すると、水平方向(H方向)の1辺がS1、垂直方向(V方向)の1辺がS1の約2倍である長方形の送受信面から超音波が送信される状態と等価な振動状態が得られる。
【0045】
図5に示すように、検知範囲D3は、垂直方向(V方向)と水平方向(H方向)とで異方性を有しており、超音波の拡がりが異なっている。
垂直方向(V方向)の1辺が長くなるため、垂直方向(V方向)の指向性θ3は、指向性θ1より小さくなる。センサ素子13p〜13sから送信する場合に比べて水平方向(H方向)の1辺が短くなるため、水平方向(H方向)の指向性θ4は、指向性θ2より小さくなる。垂直方向(V方向)の1辺は水平方向(H方向)の1辺より長いため、指向性θ3は指向性θ4より大きくなる。つまり、θ1≒θ3>θ4≒θ2の関係が成り立つ。
また、等価な送受信面の面積がセンサ素子13p〜13sから送信する場合に比べて小さいため、検知距離L3は、検知距離L1より大きく、検知距離L2より小さくなる(L2>L3>L1)。
【0046】
これにより、検知範囲D3は水平方向(H方向)の指向性を確保しつつ、垂直方向(V方向)の指向性を狭くすることができるので、例えば、悪路の走行中など地面からの反射の影響が大きい場合に、その影響を排除することができる。
【0047】
また、検知範囲D1(図4)の超音波と検知範囲D3の超音波とを所定の時間間隔で交互に送信することにより、検知範囲D1の超音波を送信したときには車両に近い広範囲の障害物を検出することができ、検知範囲D3の超音波を送信したときには検知範囲D1の超音波で検出可能な位置よりも遠い位置に存在する障害物を、地面からの反射の影響を排除して、精度良く検出することができる。
【0048】
センサ素子13p〜13sから地面に対して水平方向(H方向)に並んでいる2つのセンサ素子13p、13qを選択して超音波を送信することもできる。この場合、図7に示すように、検知範囲D3を超音波の送信方向に対して90°回転させた指向性となる。これによれば、水平方向(H方向)の指向性を狭くすることができる。
【0049】
また、検知範囲D2(図5)の超音波と図7に記載の超音波とを所定の時間間隔で交互に送信することにより、検知範囲D2の超音波を送信したときには車両の進行方向の障害物を検出することができ、図7に記載の超音波を送信したときには検知範囲D2の超音波より垂直方向(V方向)の検出範囲を拡げることにより、縁石や溝などの路面の障害物を検出することができる。
【0050】
センサ素子13p〜13sから、水平方向(H方向)及び垂直方向(V方向)のいずれにも非対称であるようにセンサ素子を選択して超音波を送信することもできる。
例えば、図8(A)に示すように、センサ素子13q、13rから超音波を送信すると、水平方向(H方向)に45°傾斜した扁平な検知範囲D4を有する超音波が送信される。
また、図8(B)に示すように、センサ素子13q、13r、13sから超音波を送信すると、矩形状の検知範囲D5を有する超音波が送信される。
このような偏指向性を有する超音波を送信すると、周囲の雑音が大きいときなどに、他の指向性(D1〜D3など)を有する超音波を送信したときと受信信号を比較することにより、ロバスト性を向上させることができる。
【0051】
(変更例)
センサ素子13p〜13sから選択するセンサ素子の組み合わせを変化させながら、超音波を送信することにより障害物の方向を特定することができる。
また、測定対象、目的に応じて指向性の組み合わせは任意である。
【0052】
本実施形態では、超音波を送信する送信素子として圧電素子を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、熱励起式の送信素子、半導体基板にMEMS技術を利用してメンブレンを形成した送信素子などを用いることができる。
また、センサ素子13p〜13sは、超音波を送受信可能に構成されているが、送信専用として、受信素子を別に設けてもよい。
【0053】
センサ素子の数は、用途に応じて任意である。例えば、2次元検出を行うなら、センサ素子を2個用意すればよい。また、センサ素子を縦3個、横2個の計6個を配置する、などのように、特定の方向に多く配置することもできる。
【0054】
本実施形態では、超音波センサ10として、車両に設けられた障害物センサを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、産業用、医療用、介護用、家庭用ロボットに用いることもできる。
【0055】
[最良の実施形態の効果]
(1)本実施形態の超音波送信方法によれば、センサ素子13p〜13sから選択された少なくとも2つの隣接するセンサ素子を組み合わせて、この組み合わされた各センサ素子の送受信面12aを同位相の振動により一体的に振動させることにより超音波を送信することができる。
組み合わされた各センサ素子の送受信面12aを同位相の振動により一体的に振動させるため、送受信面12aの面積が増大した場合と等価の振動状態が得られるので、1つのセンサ素子から送信される超音波と異なる指向性を有する超音波を送信することができる。
これにより、超音波を送信するセンサ素子の組み合わせにより、送信する超音波の指向性を変えることができるので、超音波の指向性制御の自由度が高い超音波送信方法を実現することができる。
また、センサ素子の個数が少ない場合でも、検知範囲を変化させることができ、超音波センサ10の体格を小型化することができる。
【0056】
(2)本実施形態のように、センサ素子13p〜13sの送受信面12aが地面に対して水平方向及び垂直方向に並んで配置された超音波センサ10に本発明の超音波送信方法を適用すると、送信する超音波の水平方向(H方向)及び垂直方向(V方向)の指向性を制御することができるので、車両に搭載され、当該車両の周囲に存在する障害物を検出する超音波センサ10による超音波送信方法として好適に用いることができる。
【0057】
(3)超音波センサ10において、センサ素子13p〜13sが音響整合部材12p〜12sをそれぞれ備えているため、圧電素子11p〜11sから発振された超音波を効率よく伝達し送信できるともに、各センサ素子13p〜13sの送受信面12a近傍において介在されている振動減衰部材41は弾性率が低く音響整合部材12p〜12sの振動を阻害しないため、送受信面12aを効率よく一体的に振動させることができる。
【0058】
(4)センサ素子13p〜13sから、地面に対して垂直方向に並んでいる2つのセンサ素子13p、13rを選択して超音波を送信する構成を用いると、送受信面12aの垂直方向(V方向)の1辺が長い場合と等価な振動状態になるため、検知範囲D3は水平方向(H方向)の指向性を確保しつつ、垂直方向(V方向)の指向性を狭くすることができるので、例えば、悪路の走行中など地面からの反射の影響が大きい場合に、その影響を排除することができる。
【0059】
(5)センサ素子13p〜13sから、地面に対して水平方向に並んでいる2つのセンサ素子13p、13rを選択して超音波を送信する構成を用いると、送受信面12aの水平方向(H方向)の1辺が長い場合と等価な振動状態になるため、指向性が水平方向(H方向)の指向性を狭くしつつ、垂直方向(V方向)の指向性を確保することができるので、例えば、縁石や溝などの路面の障害物を検出する場合に有効である。
【0060】
(6)センサ素子13p〜13sから、水平方向及び垂直方向のいずれにも非対称であるようにセンサ素子を選択して超音波を送信する構成を用いると、偏指向性を有する超音波を送信することができる。これにより、周囲の雑音が大きいときなどに、他の指向性を有する超音波を送信したときと受信信号を比較することにより、ロバスト性を向上させることができる。
【0061】
(7)超音波を送信するセンサ素子の個数、または、センサ素子13p〜13sから選択された超音波を送信するセンサ素子の組み合わせを切り替えることにより、超音波の指向性を切り替えて送信することにより、超音波の指向性を切り替えて送信することができる。これによれば、検出したい被検出体の種類、被検出体の位置などに応じて、指向性を切り替えながら、検出範囲の死角が少なくなるように各指向性を補完して被検出体を検出することができる。
例えば、センサ素子13pから送信する検知範囲D1の超音波と、センサ素子13p〜13sから送信する検知範囲D2の超音波とを所定の時間間隔で交互に送信すると、検知範囲D1の超音波を送信したときには車両に近い広範囲の障害物を検出することができ、検知範囲D2の超音波を送信したときには車両から遠い位置に存在する障害物とを検出することができるため、より広範囲の障害物を検出することができる。
【0062】
(8)センサ素子13p〜13sは、それぞれ受信素子として作動する、つまり、送信素子と受信素子が一体的に形成されているため、超音波センサ10の体格を小型化することができる。
【0063】
[その他の実施形態]
(1)音響整合部材12p〜12sの送受信面12aが一体的に振動する範囲において、送信する超音波の位相をずらしてメインプローブの方向を制御することもできる。例えば、センサ素子13p〜13sから、地面に対して垂直方向(V方向)に並んでいる2つのセンサ素子13p、13rを選択して超音波を送信する場合において、センサ素子13rからの超音波の送信をセンサ素子13pからの超音波の送信より大きくすることにより、検知範囲D3の方向を上方向に傾斜させることができる。
【0064】
(2)超音波の指向性を維持したまま、超音波を送信するセンサ素子の組み合わせを変えて交互に送信することもできる。例えば、検知範囲D3の超音波を、センサ素子13p、13rの組み合わせとセンサ素子13q、13sの組み合わせにより交互に送信することができる。これによれば、センサ素子が作動していない期間があるため、センサ素子の作動による発熱でセンサ素子の温度が上昇することを防ぐことができるので、超音波の発振間隔を短くできるとともに、安定した送信が可能となる。
また、遠距離で検出した障害物が極近傍に接近したときのみ複数のセンサ素子で交互に発信をして、システムの応答性を上げることもできる。
【0065】
(3)超音波を送信するセンサ素子では超音波を受信せず、超音波を送信しないセンサ素子でのみ超音波を受信することもできる。例えば、センサ素子13p、13rから検知範囲D3の超音波を送信する場合には、センサ素子13q、13sでのみ障害物で反射した超音波を受信する。
障害物が超音波センサ10の極近傍に存在する場合に、超音波の送受信を同一のセンサ素子で行うと、音響整合部材中の残響により誤差を生じる場合があるが、この構成によれば、超音波を送信するセンサ素子では超音波を受信しないため、極近傍に存在する障害物を精度良く検出することができる。
遠距離で検出した障害物が極近傍に接近したときのみ複数素子で交互に発信をして、システムの応答性を上げることもできる。
【0066】
(4)隣接する音響整合部材12p〜12sの各送受信面12aが地面に対して垂直方向から45度傾斜した方向に並んで配置されている構成を用いることもできる。
図9に示すように、音響整合部材12p〜12sは、水平方向に並んだ音響整合部材12r、12q及び垂直方向に並んだ音響整合部材12p、12sの中心部の間隔dが、それぞれ超音波の半波長にほぼ等しくなるように配置されている。このとき、隣接する音響整合部材、例えば、音響整合部材12p、12qの送受信面12aの中心部の距離Lは、超音波の波長の1/2√2倍となるため、図1に示す配置に比べて、各送受信面12aの面積を小さくすることができる。
つまり、センサ素子13p〜13sの垂直方向または水平方向に並んだ各送受信面12aの間隔を保ったまま、超音波センサ10の小型化が可能であり、例えば、超音波センサ10の外部への露出面積を図1に示す配置に比べて、約1/2に小さくすることができる。
【0067】
(5)超音波を送信しないセンサ素子に対して、送信する超音波と逆の位相の振動を印加するANC(アクティブ・ノイズ・コントロール)を行い、受信時の振動ノイズを低減することもできる。また、送受信一体素子においても、残響振動を減衰させることができる。
【0068】
(6)複数の送信素子の組み合わせによる検知範囲の制御において、超音波センサ10における発信可能なセンサ素子の数は用途に応じて任意である。
【0069】
(7)本発明の超音波センサは、発信素子の組み合わせを切り替えることにより、死角低減と長距離化とを実現できるため、車両周辺の監視システムまたはロボットの監視システムに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施形態の超音波送信方法に用いる超音波センサの説明図である。図1(A)は、超音波センサを音響整合部材側から見た平面説明図であり、図1(B)は、図1(A)のA−A矢視断面図である。
【図2】超音波の指向性制御の原理を示す説明図である。
【図3】センサ素子の送信面の寸法と、検知距離及び指向性との関係を示す説明図である。
【図4】1つのセンサ素子のみが超音波を送信する場合の超音波の指向性を示す説明図である。
【図5】4つのセンサ素子が超音波を送信する場合の超音波の指向性を示す説明図である。
【図6】地面に対して垂直方向に並んだ2つのセンサ素子が超音波を送信する場合の超音波の指向性を示す説明図である。
【図7】地面に対して水平方向に並んだ2つのセンサ素子が超音波を送信する場合の超音波の指向性を示す説明図である。
【図8】選択されたセンサ素子の組み合わせが水平方向及び垂直方向のいずれにも非対称であるセンサ素子が超音波を送信する場合の超音波の指向性を示す説明図である。
【図9】センサ素子の配置の変更例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0071】
10 超音波センサ
11p〜11s 圧電素子
12p〜12s 音響整合部材
12a 送受信面(受信面)
13p〜13s センサ素子(送信素子、受信素子)
14 振動減衰部材
51 バンパ(車両)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ状に配置された送信面から超音波を送信する複数の送信素子と、被検出体にて反射された超音波を受信し検出する受信素子とを備えた超音波センサより超音波を送信する超音波送信方法において、
前記複数の送信素子から選択された少なくとも2つの隣接する送信素子を組み合わせて、この組み合わされた各送信素子の送信面を同位相の振動により一体的に振動させることにより、1つの送信素子から送信される超音波と異なる指向性を有する超音波を送信させることを特徴とする超音波送信方法。
【請求項2】
前記超音波センサは、車両に搭載され、当該車両の周囲に存在する被検出体を検出する超音波センサであり、前記複数の送信素子の送信面は、地面に対して水平方向及び垂直方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波送信方法。
【請求項3】
前記複数の送信素子のうち、隣接する送信素子の送信面が地面に対して垂直方向から45度傾斜した方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項2に記載の超音波送信方法。
【請求項4】
前記複数の送信素子は、超音波を発振する圧電素子と、前記圧電素子が発振した超音波を伝達し、前記被検出体の存在する空間側に露出した送信面より超音波を送信する音響整合部材とをそれぞれ備えており、
前記音響整合部材よりも弾性率が低い材料で形成され、前記複数の送信素子間での振動の伝達を減衰させる振動減衰部材が、前記送信面近傍において前記複数の送信素子間に介在されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の超音波送信方法。
【請求項5】
前記複数の送信素子から選択された送信素子は、前記送信面が前記垂直方向に並んで配置された送信素子であることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1つに記載の超音波送信方法。
【請求項6】
前記複数の送信素子から選択された送信素子は、前記送信面が前記水平方向に並んで配置された送信素子であることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1つに記載の超音波送信方法。
【請求項7】
前記複数の送信素子から選択された送信素子の組み合わせは、前記水平方向及び前記垂直方向のいずれにも非対称であることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1つに記載の超音波送信方法。
【請求項8】
超音波を送信する前記送信素子の個数、または、前記複数の送信素子から選択された送信素子の組み合わせを切り替えることにより、超音波の指向性を切り替えて送信することを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1つに記載の超音波送信方法。
【請求項9】
前記複数の送信素子は、それぞれ前記受信素子として作動することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の超音波送信方法。
【請求項10】
アレイ状に配置された送信面から超音波を送信する複数の送信素子と、被検出体にて反射された超音波を受信し検出する受信素子とを備えた超音波センサより超音波を送信する超音波送信装置において、
前記複数の送信素子から選択された少なくとも2つの隣接する送信素子を組み合わせて、この組み合わされた各送信素子の送信面を同位相の振動により一体的に振動させることにより、1つの送信素子から送信される超音波と異なる指向性を有する超音波を送信することを特徴とする超音波送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−58362(P2009−58362A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225674(P2007−225674)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】