説明

距離制御システムに適切な、制動装置用電子制御装置

【解決手段】
この発明は、圧力制御器を有する電子制御装置に関し、それによって圧力を制御するための電磁弁は、電子制御システム経由電流で制御される。さらに、圧力増加アセンブリ(1、1´)は、圧力要求に依存して制御され、このアセンブリは、そのアセンブリの出口で周期的に変動する振幅を備えた体積流量を生成する。車両を安定化するために少なくとも非安全性限界関係を実行する制御における能動的な圧力増加の間に、車輪制動回路分離弁(2、2´)は、アセンブリによって増加したその圧力が調節されるべき圧力よりも高い場合には、対応する車輪制動回路から、計測された方法で近隣の体積内に入れ代る体積の一部を排出する。分離弁(2、2´)を作動するための電気コイル電流は、周期的に変調され、さらにその変調の周期は、アセンブリによって引き起こされる体積または圧力変動の主要周期に対応する。分離弁(2、2´)の周期的な制御は、制御装置が車両を安定するために安全性重大関係(safety critical engagement)を実行しなければならない場合には、安全性重大制御が、アンチロック制御および車両動力学制御を有することを条件として、少なくともその後、終了してしまう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、請求項1の前文にしたがって電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DE 10 2007 032 949は、アナログ制御可能なシート弁(これはA/D弁として知られている)を備えた電子制動圧力制御アセンブリを開示している。電磁弁の設計によれば、電気的な弁電流は、弁を開口し、かつ閉塞するための電磁コイルによって案内され、その電磁コイルは、流体の体積流量を設定する弁プランジャとして知られているものを磁気的に作動する。前記弁は、車輪圧力制御手段における入口弁、または分離弁として、ますます使用されている。能動的な圧力増加(ドライバーによる制動動作のない独立した圧力増加)については、制動圧力制御アセンブリは、電動機によって駆動される圧力増加アセンブリを有する。圧力増加アセンブリ(pressure build-up assembly)の機械的な構成は、偏心ピストンポンプのそれに相当する。この種のポンプは、2本またはそれ以上のピストンを有することができる。特に、小さな車輪制動圧力の調節においては、ポンプの出口で、供給された圧力容量における変動が、特に少ない数のピストンであって、その変動が、電子弁制御手段によって設定する充分に正確な圧力にするものを備えたポンプの場合に生じる場合があることが示されてきた。ドライバーは、比較的に小さな圧力変動さえ感知することができるので、このことは、特に距離制御システム(ACC:適応性のあるクルーズ制御)の場合には、混乱を与える。
【発明の概要】
【0003】
したがって、この発明は、方法であって、この方法経由で、ポンプによって生成される体積流量は滑らかであることができ、さらに、そのプロセスにおいては、この程度まで滑らかにされる体積流量を要求しない他の制御機能の信頼性は、損なわれない方法を有する電子制御装置を明示する目的に基づいている。
【0004】
この発明によれば、この目的は、請求項1で請求されるような電子制御装置によって達成される。
【0005】
この発明による電子制御装置は、自動車両制動装置における圧力制御動作を実行し、かつ、それによって、作動する電子システム経由電流によって負荷されることができる電磁弁が、圧力制御のために作動する制御器を有する。電磁弁は、少なくとも1つの車輪制動回路分離弁と、少なくとも1つの車輪制動圧力入口弁と、少なくとも1つの車輪制動圧力出口弁とを有する。アセンブリの出口で周期的に変動する振幅を備えた非常に正確に計られた体積流量を生成する圧力増加アセンブリ(例えば、ポンプ)が、例えば、距離制御動作における場合のように、圧力要求の機能として作動(能動的な圧力増加)する。対応する制御動作は、安全性に重大でない運転安定性制御のための干渉を実行する制御動作と呼ばれる。ここで、車輪制動回路分離弁は、制動回路における超過体積が、制御モードにある弁によって隣接する体積に測定された方法で放出されるのと同じ方法で、関連する車輪制動回路用の制限機能を満たす。したがって、制動回路における圧力は、分離弁における体積流出の量とともにポンプ性能によって決定される。
【0006】
この発明によれば、第1に、分離弁の動作用の電気コイル電流は、アセンブリによって引き起こされる容積、または圧力変動の主要サイクルに対応する変調(modulation)のサイクルを、周期的に変調される。ポンプによって生成される放出容積における変動は、大幅に縮小するか、または、ポンプ出口の領域で、カスケードバッフルのような機械的な手段でなければならないことなしで、この手段(measure)によって事実上完全に抑えることができる。第2に、モニタリングは、スキッド制御(アンチロック制動システム、ABS)、または道路ハンドリング制御(ESP、ESC)のように、安全性に重大である運転安定性のための干渉を示す制御動作が実行されなければならないかどうかに関して実行される。その場合であれば、ポンプ流れを滑らかにするために使用される電磁弁は、少なくともその後、もはや周期的に作動しない。上記制御動作のリストは、好ましくはまた、主として運転安定性に関して影響を有するさらなる制御機能を有する。
【0007】
変調のサイクルの決定は、好ましくは、圧力増加アセンブリ、または関連する電動機において配置される位置検出手段によって引き起こされる。第1の好ましい実施例によれば、位置検出手段は、好ましくは、圧力増加アセンブリの移動部分に接続される移動、または角度センサである。分離弁電流の適切な変調は、好ましくは、偏芯、またはポンプのピストンの位置、またはポンプに接続される電動機電機子の位相位置(角度位置)にしたがって曲線によって、実行され、その曲線の形状は、望ましい修正品質および切換え技術の点からの選択の機能として適切に選択しなければならない。ここで、曲線、および体積流量変動の除去に関するその影響の進行は、実験的に容易に決定することができる。曲線の理論的に最適の進行が、比較的に単純なやり方でそれを電気的に実行するために単純化されることは、得策である。したがって、電流の変調のための曲線は、好ましくは、矩形、三角形、または正弦曲線である。圧力増加アセンブリ、またはアセンブリを作動する電動機の角度位置は、例えば、DE 10 2008 018 818に記述されている方法によって、造りだすことができる。
【0008】
位置検出手段のための一層の好ましい実施例によれば、それは、ブラシレスに作動した電動機の回転子位置を決定する装置である。位置センサを備えたブラシレスに作動した電動機の場合には、電動機用のセンサ信号または電子部品は、例えば、回転子位置を検知するために使用することができる。位置センサのないブラシレス電動機の場合には、電動機の回転子位置は、例えば、電動機作動電子部品の信号から得ることができる。
【0009】
同様に、位置検出手段に対する代案として好ましい1つの実施例によれば、圧力変調のためのサイクルは、むしろ、分離弁電流用の作動する電子システムから、すなわち、圧力特性経由直接、または他の圧力依存信号(例えば圧力センサ)の評価による以外には、アセンブリ、または電動機における位置検出手段経由では、得られない。それらが、弁のプランジャにおける流体接続ライン経由で作用するので、変動をモニターするために使用される流体弁の作動する磁界の領域における磁束は、ポンプ変動に関してなされるべき結果を可能にする。引き起こされる磁束変化は、好ましくは流体弁の磁気回路における電流ループによる誘導信号によって決定される。圧力を決定するために使用される流体弁は、流体式に、特にポンプの出口側に接続される。誘導信号のサイクルが、圧力変動のサイクルとほぼ一致しているので、誘導信号の評価は、結論が圧力変動のサイクルあたりになされることを可能にする。
【0010】
上述した手段に加えて、ポンプ性能は、便宜上、制御動作を最適化するのにさらに適切である方法で、制御器経由で設定されるか、または調節されることができる。この目的のために、DE 10 2008 018 818に記述されるように、電動機電流は、電動機が回転している間、特に好ましくは、適切な方法で変調される。
【0011】
既にさらに上で記述したように、磁界、より正確には、磁束は、圧力(差動圧変化)を測定するために使用される電磁弁において、周期的な、または他に非周期的な圧力変化によって引き起こされるプランジャ移動の場合における弁コイルの領域において変化する。第1の好ましい実施例によれば、この変化は、コイル磁界の領域において、または直接作動するコイル経由で電流ループを経由して決定することができる。TPM方法として知られているものにおいては、弁プランジャの位置、またはプランジャ力は、好ましくは、画定された設定ポイント値に対する制御動作による作動する電子システムによって設定される。ここで、特に、弁コイルの領域において記録される電流ループの誘導信号は、実効値として使用される。プランジャが、磁力(スプリング力を減算し、または加算して)と流体の力との間の力平衡にあるか、または、接近しているときには、特に、感知方法におけるプランジャ反作用の評価は、可能である。力が相互から遠く離れて位置する場合、プランジャは、圧力変化に対して、反応することができないし、または、充分に敏感に反応することができない。それは、その後、知覚できる程度にプランジャ位置が変化することなしに、プランジャは、弁における圧力変化に対して最小の程度にのみプランジャが反応する場合であることができる。しかしながら、1つの好ましい実施例によれば、TPM制御電子システムは、弁流れを、所定のプランジャ位置が変化されないような範囲に調整することができる。この場合、弁変化の力条件だけより大きな弁流れが、より高い圧力差のために設定される。この場合、圧力パルスは、制御動作において処理される作動する変数経由で、または、実効値変化経由でのみ、決定することができる。したがって、さらなる好ましい実施例によれば、磁束変化は、TPM制御動作内の作動変数、または実際の変数における変化によって決定される。
【0012】
さらに、この発明は、距離制御操作(ACC)とともに上記制御装置の使用に関係がある。制御装置は、トラクション制御装置(ASR、TCS)などのような、少なくとも1つのアンチロック制動装置および電子安定プログラム(ESP)、または恐らくはさらなる制御動作のような、さらなる制御機能を有する。
【0013】
さらなる好ましい実施例が、図を使用して、その従属請求項および1つの代表的な実施例の以下の記述に由来し、その中で:
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ABS、TCS、ACCおよびESP制御動作のための制動装置の概略の例証を示し、
【図2】分離弁電流変調の影響を明らかにする圧力および弁電流曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1において、タンデムマスタシリンダ5は、電子自動車両制動装置の流体ユニット6(HCU)に接続される。電子ユニット7(ECU)は、マイクロプロセッサ/マイクロコントローラシステムを有し、それを経由して、弁ブロック内に収容されているアクチュエータおよびセンサを、制御することができ、および/または電子的に測定することができる。流体ユニット6は、2つの制動回路IおよびIIに分割される。さらに、それぞれの制動回路は、それぞれの場合において、1つの入口弁3と3´、および、1つの出口弁4と4´を備えた、2つの車輪圧力回路(A、B、およびC、D)を有する。ECU7の電子システムは、分離弁2、2´、および、入口弁3、3´のコイルを介して電流の独立制御を可能にする多重チャネル電流制御器を有する。符号8および8´は、電流がない状態で閉塞している電子スイッチ切換え弁を表示する。入力圧力センサ9は、マスタシリンダ5に導く流体圧管路8内に位置している。図示されている制動装置は、車輪圧力回路自体における圧力センサをそれ以上有しない。電動機/ポンプアセンブリ1および1´は、ACC、TCS、およびESP制御動作における能動的な圧力増加のために、さらには、出口弁で放出され、低圧アキュムレータ16および16´において放出している圧力媒体を戻すために、役立つ。ポンプ1のスイッチが入れられるときに、系統圧力が増加される結果、それは管路13の方向に圧力容量を伝える。ポンプの2気筒構造のために、伝えられたボリューム(流体液)の流れは、ポンプの出口で流体の部品の構造に依存する圧力範囲においてパルス化する。
【0016】
距離制御操作(ACC)の間に、望ましい分配率および設定されるべき圧力による所定のPWM電流経由でポンプ1が作動する。対応する分離弁の車輪制動回路における圧力が、全回路のために制御することができるという結果になって、分離弁2は、クロスフロー様式におけるA/D弁として動作される。ここで、弁プランジャは、ECU7内に統合される電子制御回路によって適切な中間位置に保持される。
【0017】
図2における a)の部分のブロック図は、この発明による弁電流変調のない圧力および弁電流の概略を示す。曲線20は、車輪圧力の時間曲線を示す。分離弁2がそれによって負荷をかけられている変調電流は、曲線21によって示されている。
【0018】
図2における b)の部分は、分離弁電流の変調の間の圧力および電流の概略を示す。曲線21´は、分離弁電流の曲線進行を示す。曲線20´は、分離弁変調を備えた車輪圧力の時間曲線を示す。圧力変動は、部分a)における圧力曲線20と比較して相当に減少される。
【0019】
ABSまたはESP制御動作が、ACC制御動作中に、高位モニタリング手段によって開始される場合、再び排他的にACC制御動作の要求があるまで、分離弁の周期的な動作は中断される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両制動装置における圧力制御動作を実行し、さらにそれを経由して圧力制御用の電磁弁が、作動する電子システム経由、電流で作動する制御器を有する電子制御装置であって、その弁は、少なくとも1つの車輪制動回路分離弁と、少なくとも1つの車輪制動圧力入口弁と、さらに少なくとも1つの車輪制動圧力出口弁とを有し、それにおいて、電子制御装置、さらには、圧力増加アセンブリが、圧力要求の機能として作動し、そのアセンブリによって増加される圧力が、設定されるべき圧力より高い場合、車輪制動回路分離弁は、能動的な圧力増加の間に、アセンブリの出口で圧力増加アセンブリが、周期的に変動する振幅を備えた体積流量を生成し、少なくとも、安全性に重大でない運転安定性のための干渉を実行する制御動作の場合には、関連する車輪制動回路から隣接するボリュームに測定された方法で供給容量の一部を放出してなり、前記分離弁の作動用の電気コイル電流は、容積または圧力変動の主要サイクルに対応する変調のサイクルを周期的に変調され、アセンブリによって引き起こされ、さらに、少なくとも、制御装置が、安全性に対して重大である運転安定性のための干渉を、実行しなければならないときに、分離弁の周期的な動作が中断され、安全性重大制御動作は、スキッド制御および道路ハンドリング制御の制御動作を有することを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
圧力増加アセンブリの位置検出手段の信号が考慮に入れられて、その信号から変調用サイクルが決定されることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
圧力変調のためのサイクルは、分離弁電流用の作動している電子システムからに由来することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項4】
分離弁のプランジャ位置の電子的評価が実行され、かつ磁束の変化は、分離弁の磁気回路における電流ループの誘導信号によって決定され、さらに、誘導信号の信号の振動は、移動周波数を決定するために分析されることを特徴とする請求項1〜3の少なくとも1項記載の制御装置。
【請求項5】
分離弁の動作電流は、電流制御器によって調節されることを特徴とする請求項1〜4の少なくとも1項記載の制御装置。
【請求項6】
電動機が回転している間、圧力増加アセンブリを作動する電動機の電動機電流は、適切な方法で変調されることを特徴とする請求項1〜5の少なくとも1項記載の制御装置。
【請求項7】
圧力増加アセンブリは、特には、2ピストン式の1つである偏心ポンプであることを特徴とする、請求項1〜6の少なくとも1項記載の制御装置。
【請求項8】
安全性に重大でない運転安定性のための干渉を示す制御動作は、距離制御動作であることを特徴とする請求項1〜7の少なくとも1項記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−517979(P2013−517979A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550331(P2012−550331)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051029
【国際公開番号】WO2011/091849
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(500030596)コンチネンタル・テベス・アーゲー・ウント・コンパニー・オーハーゲー (126)
【Fターム(参考)】