距離推定装置、異常検出装置、温度調節器および熱処理装置
【課題】 被処理物を、熱板に接近させて行う熱処理において、被処理物と熱板との距離を推定できるようにする。
【解決手段】 被処理物としてのワークが載置されて熱処理される熱板1の温度情報、例えば、熱板1の温度の傾きの絶対値に基いて、距離推定手段7でワークと熱板1との距離を推定し、推定した距離と閾値とを判定手段8で比較することによって、異常の有無を判定するように構成している。
【解決手段】 被処理物としてのワークが載置されて熱処理される熱板1の温度情報、例えば、熱板1の温度の傾きの絶対値に基いて、距離推定手段7でワークと熱板1との距離を推定し、推定した距離と閾値とを判定手段8で比較することによって、異常の有無を判定するように構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱処理や冷却処理などの熱処理における被処理物と熱処理手段との距離を推定する距離推定装置、それを用いた異常検出装置、温度調節器および熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、半導体装置の製造工程においては、ガラス基板等のワークを、設定温度に加熱した熱板に載置して所定時間の熱処理を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる熱処理において、例えば、ワークと熱板との間に、異物などが介在したり、ワークが変形しているような場合、すなわち、ワークと熱板との間の距離が正常でない場合には、加熱処理が不完全となり、多量のワークを順番に熱処理するような製造工程では、熱処理が不完全な不良品が大量に発生することがある。
【0004】
このため、ワークと熱板との間の距離を推定できるようにし、推定された距離に基いて、ワークと熱板との間の距離が正常であるか否かを判定できるようにすることが望まれる。
【特許文献1】特開2004−134723
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、ワーク等の被処理物と熱板等の熱処理手段との距離を推定できるようにすることを主たる目的とし、更に、熱処理の異常を検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0007】
すなわち、本発明の距離推定装置は、被処理物を、熱処理手段で熱処理する該熱処理における前記被処理物と前記熱処理手段との距離を推定する装置であって、前記被処理物および前記熱処理手段の少なくともいずれか一方の温度情報に基いて、前記距離を推定する距離推定手段を備えている。
【0008】
ここで、熱処理手段とは、熱板、熱処理炉、連続炉、包装機の熱圧着部などの被処理物を熱処理するものをいい、加熱処理に限らず、冷却処理あるいは加熱冷却処理であってもよい。
【0009】
熱処理は、被処理物全体を熱処理するものであってもよいし、被処理物の一部、例えば、被処理面のみを熱処理するものであってもよい。
【0010】
推定する前記距離は、被処理物と熱処理手段との対向する部分間の距離であるのが好ましい。
【0011】
熱処理は、前記被処理物を、前記熱処理手段に接近させて行うものであるのが好ましいが、前記被処理物を、前記熱処理手段に接触あるいは密着させて行なうものであってもよく、接触あるいは密着させて熱処理を行なう場合には、接触していない部分あるいは密着していない部分の距離を推定するのが好ましい。
【0012】
また、前記被処理物を、前記熱処理手段に接近させて熱処理を行なう場合に、被処理物の一部が、前記熱処理手段に接触していてもよい。
【0013】
前記接近は、被処理物を、熱処理手段に対して移動させて行ってもよいし、熱処理手段を、被処理物に対して移動させて行ってもよく、あるいは、両者を移動させて行ってもよい。
【0014】
本発明によると、被処理物と熱処理手段との距離によって変化する被処理物および熱処理手段の少なくともいずれか一方の温度情報に基いて、距離を推定することができる。
【0015】
この推定した距離に基いて、正常な距離であるか否かの判定を行って熱処理の異常を検出したり、あるいは、被処理物の被処理面の形状や熱処理手段に対する被処理物の配置状態などを把握するといったことが可能となる。
【0016】
本発明の一実施態様においては、前記温度情報は、前記接近させた後の温度変化の情報を含み、前記距離推定手段は、前記温度変化が大きい程、前記距離を小さく推定するものである。
【0017】
ここで、前記温度情報は、被処理物を熱処理手段の接近させる前の情報を含んでもよい。
【0018】
また、温度変化の情報は、温度変化の傾きであるのが好ましい。
【0019】
この実施態様によると、被処理物と熱処理手段との距離が小さくなるにつれて、大きくなる温度変化の情報に基いて、距離を推定することができる。
【0020】
本発明の他の実施態様においては、前記温度情報は、前記接近させた後の前記熱処理手段の温度と前記被処理物の温度との温度差の変化の情報を含み、前記距離推定手段は、前記温度差の変化が大きい程、前記距離を小さく推定するものである。
【0021】
この実施態様によると、被処理物と熱処理手段との距離が小さくなるにつれて、大きくなる熱処理手段の温度と被処理物の温度との温度差の情報に基いて、距離を推定することができる。
【0022】
本発明の好ましい実施態様においては、前記距離推定手段は、前記少なくともいずれか一方の温度情報に加え、前記熱処理手段の温度を制御する温度制御手段の操作量情報に基いて、前記距離を推定するものである。
【0023】
この操作量情報は、前記接近させた後の前記温度制御手段の操作量の情報であり、前記距離推定手段は、前記操作量が大きい程、前記距離を小さく推定するのが好ましい。
【0024】
この実施態様によると、温度情報に加えて操作量情報に基いて、距離を推定するので、より高い精度で距離を推定できる。
【0025】
本発明の他の実施態様においては、前記距離推定手段は、被処理物と熱処理手段との間の熱抵抗を推定する第1推定部と、推定された熱抵抗に基いて、前記距離を推定する第2推定部とを備えている。
【0026】
第1推定部は、操作量情報および温度情報に基いて、熱抵抗を推定するのが好ましく、この第1の推定部は、温度情報に基いて、被処理物の温度を推定する被処理物のモデルを備えるのが好ましい。
【0027】
この実施態様によると、被処理物と熱処理手段との間の熱抵抗を推定し、この熱抵抗を用いて距離を推定できる。
【0028】
本発明の好ましい実施態様においては、前記距離推定手段で前記距離の推定に用いる前記各情報は、前記接近させた後であって、前記熱処理手段の温度が、一定温度に復帰するまでの期間の一部における情報である。
【0029】
この実施態様によると、被処理物を熱処理手段に接近させた後、熱処理手段の温度が、一定温度に復帰するまでの期間、すなわち、熱処理の期間における温度情報や操作量情報に基いて、距離を推定することができる。
【0030】
本発明の一実施態様においては、前記熱処理手段は、前記被処理物が載置されて熱処理される熱板である。
【0031】
被処理物は、熱板に載置されて熱処理されるガラス基板などであるのが好ましく、距離推定手段には、熱板に載置されて熱処理される被処理物が熱板に接近するタイミングを示す信号が与えられるのが好ましい。
【0032】
この実施態様によると、熱板とガラス基板などの被処理物との距離を推定するので、被処理物が、熱板の正規の位置に載置されなかったり、熱板と被処理物との間に異物などが介在して正常な距離からずれたような場合には、それを検出するといったことが可能になる。
【0033】
本発明の他の実施態様においては、前記距離推定手段は、前記熱処理手段の複数の点と前記被処理物の対応する複数の点との距離をそれぞれ推定するものである。
【0034】
この実施態様によると、複数の点における距離を推定するので、例えば、熱処理手段の熱処理面を基準とした前記複数の点の距離に基いて、被処理物の形状や変形、あるいは、被処理物の熱処理面に対する位置関係などを把握することが可能となる。
【0035】
本発明の異常検出装置は、本発明に係る距離推定装置と、該距離推定装置で推定される距離と閾値とを比較して熱処理の異常の有無を判定する判定手段とを備えている。
【0036】
前記閾値は、正常な距離の範囲に対応するものであるのが好ましい。
【0037】
本発明によると、推定された距離と閾値とを比較することにより、正常な距離での熱処理であるか否かを判定することができ、これによって、熱処理の異常の有無を検出できることになる。
【0038】
また、本発明の異常検出装置は、本発明に係る距離推定装置と、該距離推定装置で推定された複数の点の距離に基いて、前記被処理物の状態を判定する判定手段とを備え、前記判定手段の出力に基いて、異常を検出するものである。
【0039】
ここで、被処理物の状態とは、熱処理手段に対する被処理物の配置状態、例えば、被処理物の傾き、あるいは、被処理物の形状の状態、例えば、被処理物の反りなどの変形の状態などをいう。
【0040】
本発明によると、複数の点の距離に基いて、被処理物の状態を判定するので、例えば、被処理物が異物等に乗り上げて傾いていたり、変形しているような状態での熱処理の異常を検出できることになる。
【0041】
本発明の温度調節器は、本発明に係る距離推定装置を備え、前記熱処理手段の温度を制御するものである。
【0042】
本発明によると、熱処理手段の温度情報が与えられるとともに、操作量情報を出力する温度調節器自体で距離を推定できることになる。
【0043】
本発明の一実施態様においては、前記熱処理手段の温度を検出する温度検出手段からの検出温度が、設定温度になるように前記熱処理手段の温度を制御するものであって、前記距離推定装置で推定された距離に基いて、前記設定温度および前記検出温度の少なくともいずれか一方を補正する補正手段を備えている。
【0044】
この補正手段は、推定される距離が大きい程、熱処理の度合いを強くする方向に補正するのが好ましい。
【0045】
この実施態様によると、正常な距離からずれたような場合には、そのずれ量に応じて、熱処理の度合いを補正して正常な熱処理を行なうことが可能となる。
【0046】
また、本発明の温度調節器は、本発明に係る異常検出装置を備え、前記熱処理手段の温度を制御するものである。
【0047】
本発明によると、熱処理手段の温度を制御しつつ、熱処理の異常を併せて検出することができる。
【0048】
本発明の熱処理装置は、本発明に係る温度調節器と、熱処理手段と、前記温度調節器の出力に基いて、前記熱処理手段を加熱および/または冷却する操作手段と、前記熱処理手段の温度を検出する温度検出手段とを備えている。
【0049】
本発明によると、熱処理の異常を検出できる熱処理装置を提供できる。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、被処理物および熱処理手段の少なくともいずれか一方の温度情報に基いて、被処理物と熱処理手段との距離を推定することができるので、この推定した距離に基いて、正常な距離であるか否かの判定を行って熱処理の異常を検出したり、あるいは、被処理物の形状や配置状態を把握するといったことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0052】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る熱処理装置の概略構成図である。
【0053】
この実施の形態では、被処理物としてのガラス基板などのワークを、熱処理手段としての熱板1に載置して熱処理する装置に適用して説明する。
【0054】
この実施の形態では、ワークを加熱処理する熱板1の温度を、該熱板1の内部に設けられた温度センサで検出して本発明に係る温度調節器2に入力し、温度調節器2では、設定されている目標温度(設定温度)SPと検出温度PVとの偏差に基づいて、温度制御手段としてのPIDコントローラ3でPID演算等を行って操作量を出力し、図示しない電磁開閉器等を介して熱板1に配設されているヒータ(図示せず)の通電を制御して熱板1の温度を目標温度SPになるように制御している。
【0055】
この熱処理装置においては、図2に示すように、熱板1で熱処理されるワーク4は、図示しない搬送供給手段によって自動的に熱板1に載置されて順番に熱処理されるものであり、正常な状態では、熱板1に対して、ガラス基板などのワーク4は、その一部が、図示しない支持部で支持されることによって、一定距離d離間した状態で載置されて熱処理される。
【0056】
この実施の形態は、ワーク4が、熱板1に載置されて熱処理される際のワーク4と熱板1との距離dを後述のようにして推定し、推定された距離dに基いて、距離が正常か否かを判定し、異常、例えば、ワーク4と熱板1との距離が正常な距離よりも大きくて、熱処理が不完全であるような場合に、それを検出できるように構成されている。
【0057】
すなわち、この実施の形態では、図1に示すように、温度調節器2は、ワーク4を熱板1に載置した後の熱板1の温度PVに基いて、ワーク4と熱板1との距離を推定し、推定した距離が正常な範囲内であるか否かを判定して熱処理の異常を検出する異常検出装置6を内蔵している。
【0058】
この実施の形態の異常検出装置6は、熱板1の温度の傾きに基いて、ワーク4と熱板1との距離を推定する距離推定手段7と、推定された距離に基いて、正常な熱処理であるか否かを判定する判定手段8とを備えている。距離推定手段7には、後述のように、熱処理の全体を制御する上位装置からワーク4が熱板1に搭載されるタイミングに対応するタイミング信号が与えられる一方、ユーザによって設定される距離推定に必要な後述の設定情報t1,A等が与えられる。
【0059】
PIDコントローラ3および異常検出装置6等は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。
【0060】
ここで、被処理物をワーク4とし、加熱処理手段を熱板1として、図3に基いて、距離推定の基本的な考え方について説明する。
【0061】
放射による熱移動の影響を考慮しなくてもよい程、ワーク4と熱板1とが接近している場合には、ワーク4と熱板1との間には、次のような関係が成立する。
【0062】
なお、図3に示すように、ワーク4と熱板1との距離をd、ワーク4の温度をTw、熱板1の温度をTh、ワーク4の熱容量をCw、熱板1の熱容量をCh、両者間の熱抵抗をRhwとする。
【0063】
熱板1の温度変化の速さΔTh(=dTh/dt)
∝(ワーク温度Tw−熱板温度Th)/熱抵抗Rhw
∝(ワーク温度Tw−熱板温度Th)/距離d
したがって、
距離d∝(ワーク温度Tw−熱板温度Th)/熱板の温度変化の速さΔTh
距離d=k×(ワーク温度Tw−熱板温度Th)/熱板の温度変化の速さΔTh
ここで、ワーク4を、熱板1に載置した瞬間のワーク4および熱板1の初期温度Tw0,Th0が判っている場合、例えば、ワーク4と熱板1の初期温度が安定しているような場合には、(ワーク初期温度Tw0−熱板初期温度Thw)を、定数と見なし、ワーク4を熱板1に載置した瞬間の距離dは、次式で推定できることになる。
【0064】
距離d=定数k/熱板の温度変化の速さΔTh(熱板の温度傾き) ……(a)
この実施の形態では、熱板1の温度変化の速さΔThを、熱板1の温度傾きとし、この熱板1の温度傾きを計測し、予め求めた定数kを用いてワーク4と熱板1との距離dを推定するようにしている。
【0065】
なお、この定数kは、ワーク4と熱板1との距離dを、既知の距離に設定した状態で、熱処理を行なって熱板1の温度を計測し、熱板1の温度傾きを算出することによって、予め求めることができる。
【0066】
図4は、ワーク4と熱板1との距離によって、熱板1の温度がどのように変化するかを示すものであり、目標温度SPに加熱整定した状態の熱板1に対して、ワーク4を、過大な距離(一点鎖線)、正常な距離(実線)、過小な距離(破線)でそれぞれ載置して加熱処理した場合の熱板1の温度変化を示す図である。
【0067】
この図4に示すように、ワーク4を、熱板1に対して正常な距離よりも大きい(過大な)距離で載置して熱処理した場合には、一点鎖線で示すように、正常な場合に比べて、ワーク4への熱量の移動が少なく、熱板1の温度低下は少ない。
【0068】
これに対して、ワーク4を、熱板1に対して正常な距離よりも小さい(過小な)距離で載置して熱処理した場合には、破線で示すように、正常な場合に比べて、ワーク4への熱量の移動が多く、熱板1の温度低下が大きくなる。
【0069】
このように、ワーク4と熱板1との距離に応じて、熱板1の温度低下の度合い、すなわち、熱板1の温度の傾きが変化し、上述の(a)式で説明したように、ワーク4と熱板1との距離は、熱板1の温度の傾きに応じて変化することが判る。
【0070】
そこで、この実施の形態では、図5に示すように、ワーク4を熱板1に載置して熱処理を開始した後の第1の時点t1から一定時間経過した第2の時点t2における熱板1の温度をそれぞれ計測し、この一定の時間幅Aに対する熱板1の温度変化幅B、すなわち、熱板1の温度傾き(=B/A)を算出するようにしている。
【0071】
熱板1の温度を計測する点は、距離を推定したい点に近い方が好ましく、ワーク4の接近による熱移動の影響が現れ易い部分にあるのが好ましい。すなわち、ワーク4に近い側の表面近くであるのが好ましい。また、ヒータや外乱となる熱源から遠い方が好ましい。距離を推定する点数は、1点であってもよいし、複数点であってもょい。
【0072】
熱板1の温度傾きの算出は、熱板1の温度低下が生じた時点から最も温度が低下した時点までの期間の少なくとも一部の期間における熱板1の温度を用いて行うのが好ましい。
【0073】
このようにして算出される熱板1の温度傾きと、予め求めた定数kとに基いて、上述の(a)式に従って距離dを推定するのである。
【0074】
図1に示す温度調節器2では、熱処理の全体を制御する上位装置からワーク4が熱板1に搭載されるタイミングに対応するタイミング信号が与えられるように構成されており、このタイミング信号は、例えば、図5に示す時点t3に対応する。
【0075】
次に、図1に示す温度調節器2よる距離推定および異常検出の処理手順を説明する。
【0076】
先ず、ワーク4を、熱板1で順番に熱処理するという実運用に先立って、上述の定数kや一定の時間幅A等を決定するための処理を行う。
【0077】
この処理では、ワーク4が、熱板1に対して正常な既知の距離となるように、ワーク4を、熱板1に載置して熱処理を行い、熱板1の温度を計測する。
【0078】
ユーザは、計測された熱板1の温度波形に基いて、上述の図5のタイミング信号の時点t3を基準に、第1の時点t1および一定の時間幅Aを、温度調節器2に設定するとともに、前記既知の距離を、温度調節器2に設定する。
【0079】
温度調節器2の距離推定手段7は、設定された第1の時点t1および一定の時間幅Aに基いて、計測された熱板1の温度傾きを算出し、さらに、設定された既知の距離を用いて、上述の定数kを算出して格納する。
【0080】
以上のようにして温度調節器2の距離推定手段7に、第1の時点t1、一定の時間幅Aおよび定数kが設定された後に、実際のワークの熱処理の運用を開始する。
【0081】
この熱処理では、ワーク4が熱板1に載置されて熱処理が行われる度に、ワーク4と熱板1との距離が、距離推定手段7で上述の(a)式に従って推定され、判定手段8では、正常範囲に対応する閾値と比較されて正常範囲内にあるか否かが判定され、正常範囲内にないときには、熱処理の異常であるとして検出信号を、例えば、上位装置に出力し、上位装置は、熱処理の異常を報知したり、熱処理を停止させるなどの適宜の措置をとることができる。
【0082】
(実施の形態2)
図6は、本発明の他の実施の形態に係る熱処理装置の概略構成図であり、上述の図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0083】
上述の実施の形態では、熱板1の温度傾きに基いて、ワーク4と熱板1との距離を推定したのに対して、この実施の形態では、熱板1の温度およびPIDコントローラ3からの操作量Uに基いて、ワーク4と熱板1との距離を推定するものである。
【0084】
ここで、この実施の形態の距離推定の基本的な考え方について説明する。
【0085】
なお、以下の説明では、図7に示すように、ワーク4と熱板1との距離をd、ワーク4の温度をTw、熱板1の温度をTh、ワーク4の熱容量をCw、熱板1の熱容量をCh、両者間の熱抵抗をRhw、熱板1のヒータに供給される電力をWとする。
【0086】
一般に、熱板1の熱量は、次式で示される。
【0087】
【数1】
更に、
【0088】
【数2】
上記(2)式を時間で微分する。
Ch×dTh/dt=(温度差/熱抵抗)+ヒータ発熱量
={(ワーク温度Tw−熱板温度Th)/熱抵抗Rhw}+電力W
したがって、
dTh/dt={(Tw−Th)/Rhw×Ch}+W/ch
ここで、熱抵抗Rhwは、ワークと熱板との距離dに比例し、熱板の熱容量Chを一定とし、k0を定数とすると、
dTh/dt∝{(Tw−Th)/d}+k0・W
dTh/dt=ΔThとおくと、距離dは、
d∝(Tw−Th)/(ΔTh−k0・W)
k2を比例定数とすると、
d=k2(Tw−Th)/(ΔTh−k0・W)
k0・W=k1・Uとおくと、
d=k2(Tw−Th)/(ΔTh−k1・U) …(3)
したがって、予め比例定数k1,k2を求めておけば、ワーク温度Tw、操作量U、熱板温度の傾きΔThから距離が推定できる。
【0089】
なお、ΔTh=dTh/dt
≒{Th(n)−Th(n−1)}/Δt
但し、Δt:サンプリング時間
ここで、操作量Uと電力Wとの関係は、設計的に決まるので、上記(3)式の定数k1を求めることができる。
【0090】
また、定数k2は、ワーク4と熱板1との距離を、既知の距離に設定した状態で、熱処理を行って、その時のワーク4の温度Tw、熱板1の温度Thおよび操作量Uから求めることができる。
【0091】
この実施の形態では、ワーク4を、順番に熱板1に載置して熱処理するものであり、熱処理されるすべてのワーク4の温度を検出するのは容易でない。
【0092】
そこで、この実施の形態では、ワーク4の温度モデルを用いてワーク4の温度Twを推定するようにしている。
【0093】
すなわち、この実施の形態では、図6の距離推定手段7aは、上述の(3)式で算出される距離dと、熱板の温度Thとに基いて、次式でワーク温度Twを推定している。
【0094】
Tw(n)=k3・Tw(n−1)+k4・{Th(n−1)−Tw(n−1)}/d
すなわち、今回のサンプリングのワークの温度Tw(n)を、前回のサンプリングのワークの温度Tw(n−1)、前回のサンプリングの熱板1の温度Th(n−1)および前回のサンプリングで推定される距離dを用いて推定するのである。
【0095】
ここで、定数k3,k4は、既知の距離dでの熱処理において、ワーク4の温度Twと熱板1の温度Thとを計測することにより、予め求めることができる。
【0096】
この実施の形態では、温度調節器2aの距離推定手段7aでは、熱板1の温度、該熱板1の温度に基いて推定したワークの温度、および、操作量Uに基いて、上述の(3)式に従って距離を推定するものである。
【0097】
その他の構成は、上述の実施の形態と同様である。
【0098】
図8に、この実施の形態による距離推定のデータの一例を示すす。
【0099】
この図8は、ワーク4と熱板1との距離を、1mm、4mmとした場合の推定距離の変化を示しており、ワーク4が、時間の経過とともに、熱板1に接近するにつれて推定距離が小さくなり、1mm、4mmでそれぞれ一定になっている。
【0100】
この実施の形態では、熱板1の温度と操作量とに基いて、距離を推定したけれども、本発明の他の実施の形態として、ワーク4の温度、ワーク4の温度と操作量、熱板1の温度とワーク4の温度、あるいは、熱板1の温度とワーク4の温度と操作量とに基いて、距離を推定するようにしてもよい。
【0101】
(実施の形態3)
図9は、本発明の更に他の実施の形態に係る熱処理装置の概略構成図であり、上述の図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0102】
この実施の形態では、本件出願人が、特開2004−94939(特願2003−289867)「モデル構造、制御装置、温度調節器および熱処理装置」として先に提案している非干渉化制御などに好適な制御対象のモデル構造を利用して距離を推定するものである。
【0103】
図9に示す制御対象のモデル構造30は、熱板1に対応するモデル要素10と、ワーク4に対応するモデル要素11とを備えており、各モデル要素10,11の出力の差(温度差)を、フィードバック要素12を介して正負を異ならせてモデル要素10,11の入力側にフィードバックするものである。
【0104】
このモデルは、熱板1(10)とワーク4(11)との温度差によって、熱板1(10)からワーク4(11)へ熱量の移動が生じ、熱板1(10)は熱量が奪われ(負)、ワーク4(11)には熱量が足される(正)という熱の移動現象をブロック線図で表したものである。
【0105】
このモデル(以下「温度差モデル」ともいう)は、温度差があるときに、熱量の移動が生じ、この熱量の移動は、温度差に比例するというフーリエの法則の意味するところと等価である。
【0106】
なお、図9において、A11,A22は、熱板1およびワーク4にそれぞれ対応するモデル要素10,11の伝達関数であり、フィードバック要素12は、温度差によってどれだけ熱量が移動するかを示すものであり、θは、熱板1とワーク4との間の熱抵抗である。
【0107】
また、ワーク4が熱板1に載置される前には、フィードバック要素12の出力側のスイッチ手段19がオフしてワーク4と熱板1との温度差がフィードバックされないようになっており、ワーク4が熱板1に載置されると、オンしてワーク4と熱板1との温度差がフィードバックされる。
【0108】
この図9に示すように熱板1およびワーク4を含む制御対象を、温度差モデルで把握すると、熱板1とワーク4との熱抵抗θを求めることにより、空気の熱伝導率Kaおよびワーク4と熱板1との対向面積Sに基いて、ワーク4と熱板1との距離dを、次式で推定できることになる。
【0109】
d=Ka・S・θ
この熱抵抗θは、図9に示すように、フィードバック要素12の入力ΔTおよび出力Qを推定し、入力ΔTを出力Qで除算することによって推定することができる。
【0110】
そこで、この実施の形態の温度調節器2dの距離推定手段7bは、ワーク温度を推定するワークモデル13と、熱板1の温度から熱板1に時間当たりに流入する熱量(熱流)を推定する推定要素14とを備えている。
【0111】
この実施の形態では、ワークモデル13は、図10に示すように、温度差モデルのモデル要素11およびフィードバック要素12と同じ伝達関数A’22,1/θ’の補償要素11’,12’を備えるとともに、スイッチ手段19に対応するスイッチ手段20を有し、上位装置からのタイミング信号によって、ワーク4が熱板1に載置されるとオンし、熱処理が終了するとオフされる。
【0112】
なお、このワークモデル13は、温度差モデルに対応する必要はなく、ARXモデルや伝達関数モデルなどの他のモデルであってもよく、熱板1の温度からワーク4の温度を推定できればよい。
【0113】
推定要素14は、温度差モデルの熱板1のモデル要素10に対応するものであり、このモデル要素10の伝達関A11の逆数1/A’11を伝達関数としている。
【0114】
この実施の形態では、熱板1の温度PVとワークモデル13で推定されたワーク温度との温度差ΔT’が、減算部15で算出される一方、ヒータから発生した熱流から推定要素14で推定された熱板1に流入した熱流を、減算部16で減算して熱板1とワーク4間を流れる熱流Q’を算出し、熱抵抗推定部17では、推定された温度差ΔT’を推定された熱流Q’で除算することよって、熱抵抗θ’を推定し、この推定した熱抵抗θ’、空気の熱伝導率Kaおよびワーク4と熱板1との対向面積Sとを用いて、距離推定部18でワーク4と熱板1との推定距離dを算出する。
【0115】
なお、PIDコントローラ3から減算部16に入力される熱流は、PIDコントローラ3からの出力値が熱流そのものであれば、直接計測することにより、また、PIDコントローラ3からの出力値が操作量であれば、出力値から計算することにより、求めることができる。
【0116】
この実施の形態の距離推定手段7bは、ワーク4と熱板1との熱抵抗を推定する第1推定部と、推定された熱抵抗に基いて、距離を推定する第2推定部とを備えている。
【0117】
なお、熱板1の伝達関数A11は、例えば、一次遅れ系であり、例えば、オートチューニングによる最大傾きから求めることができ、また、ワーク4の伝達関数は、例えば、ワーク4の熱容量に対応した定数とワーク4の熱抵抗に対応した定数を含む一次遅れ系であり、例えば、熱容量は、ワーク4の材質と大きさから求めることができる。
【0118】
(その他の実施の形態)
上述の実施の形態では、判定手段8では、推定した距離と閾値とを比較して異常の有無を判定したけれども、本発明の他の実施の形態として、複数の点におけるワークと熱板との距離をそれぞれ推定し、それら複数の点における推定距離に基いて、ワークの形状や傾きなどを判定して異常を検出するようにしてもよい。
【0119】
すなわち、図11に示すように、距離推定部7cでは、温度や操作量に基いて、上述の各実施の形態と同様にして、複数の点におけるワーク4と熱板1との距離を推定し、形状認識部21では、これら複数の推定距離に基いて、ワークの形状を認識し、判定部22では、認識された形状が閾値を越えたか否かを判定し、閾値を越えたときには、異常検出信号を出力するものである。
【0120】
例えば、ワーク4の被処理面が平面状であるときには、形状認識部21では、複数の推定距離の内の最大推定距離dmaxと、最小推定距離dminとの差dmax−dminを算出して平面度を認識し、判定部22では、この平面度が、ある範囲(閾値)を超えたか否かを判定し、超えたときに、ワーク4の形状が異常であるとして異常検出信号を出力するものである。
【0121】
あるいは、ワーク4の被処理面が椀状または山状であるときには、形状認識部21では、ワーク4の中央部の推定距離d1と、周辺部の推定距離d2との差d1−d2を算出して湾曲度を認識し、判定部22では、この湾曲度が、ある範囲(閾値)を超えた否かを判定し、超えたときに、ワーク4の形状が異常であるとして、異常検出信号を出力するものである。
【0122】
また、ワーク4と熱板1との間に、例えば、異物が介在し、ワーク4が異物に乗り上げて傾斜したような場合は、ワーク4の形状は、正常であるのに、異常であると誤検出する虞がある。かかる誤検出を防止するために、ワーク4の周辺部は、同心円上に点対称に複数個の距離の推定点を設け、これらの推定距離の平均値をd2aveとすれば、上述の湾曲度を、d1−d2aveとすることにより、乗り上げによる傾き分をキャンセルできることになる。
【0123】
なお、ワーク4の被処理面が平面状であるときに、複数の推定距離の内の最大推定距離dmaxと、最小推定距離dminとの差dmax−dminを算出し、閾値と比較することにより、閾値より大きいときには、例えば、ワーク4が異物等への乗り上げて傾斜しているとして異常を検知するようにしてもよい。
【0124】
また、本発明の他の実施の形態として、推定される距離が、正常な距離に比べて大きいときには、加熱を強めるように目標温度を高く補正し、逆に、推定される距離が、正常な距離に比べて小さいときには、加熱を弱めるように目標温度を低く補正するようにしてもよい。
【0125】
すなわち、図12に示すように、距離推定部7cで推定された推定距離に基いて、目標温度補正部23では、目標温度補正値ΔSPを算出し、この目標温度補正値ΔSPで目標温度SPを補正するようにしてもよい。この目標温度補正値ΔSPとしては、例えば、次式によって算出される補正値を用いることができる。
【0126】
ΔSP(t)=(基準熱板温度(t)-基準ワーク温度(t))(d(t)-基準距離d0)/d0
ここで、時刻tは、ワークを搭載する信号をトリガとして計測した時刻である。
【0127】
また、基準熱板温度および基準ワーク温度とは、予め取得した正常な距離(基準距離)の場合の熱板およびワークの応答波形(時系列の温度データ)である。
【0128】
かかる目標温度の補正によって、例えば、ワーク4と熱板1との距離が大きいと、ワーク4の昇温が遅れるので、これを早めるために目標温度が嵩上げされることになる。なお、目標温度の補正に代えて、温度センサからの検出温度を補正するようにしてもよい。
【0129】
上述の実施の形態では、異常検出装置6,6a,6bを、温度調節器2,2a,2bに内蔵させたけれども、異常検出装置は、温度調節器とは、別の装置として構成してもよい。また、距離推定手段のみを、別の独立の距離推定装置として構成してもよい。
【0130】
上述の実施の形態では、熱処理手段の熱処理面は、平面状であったけれども、平面状に限らず、曲面状や凹凸状など任意の形状であってもよく、同様に、被処理物の形状も任意である。
【0131】
上述の実施の形態では、ワーク等の被処理物を、熱板等の熱処理手段に載置して熱処理したけれども、本発明の他の実施の形態として、被処理物を、熱処理手段に対して、接近するように通過させて熱処理してもよく、あるいは、被処理物を、熱処理手段に接触させて熱処理してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明は、例えば、ワークを熱板で熱処理するような熱処理における異常の検出などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る温度調節器を備えるシステムの概略構成図である。
【図2】ワークと熱板との位置関係を概略的に示す図である。
【図3】図1の実施の形態の距離推定の基本的な考え方を説明するための図である。
【図4】熱板の温度変化を示す図である。
【図5】熱板の温度傾きを示す図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る温度調節器を備えるシステムの概略構成図である。
【図7】図6の実施の形態の距離推定の基本的な考え方を説明するための図である。
【図8】図6の実施の形態の推定距離を示す図である。
【図9】本発明の他の実施の形態に係る温度調節器を備えるシステムの概略構成図である。
【図10】図9のワークモデルを示す図である。
【図11】本発明の他の実施の形態の異常検出装置のブロック図である。
【図12】本発明の他の実施の形態の温度調節器の要部のブロック図である。
【符号の説明】
【0134】
1 熱板 2 温度調節器
3 PIDコントローラ 4 ワーク(被処理物)
6,6a,6b 異常検出装置 7,7a〜7c 距離推定手段
8 判定手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱処理や冷却処理などの熱処理における被処理物と熱処理手段との距離を推定する距離推定装置、それを用いた異常検出装置、温度調節器および熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、半導体装置の製造工程においては、ガラス基板等のワークを、設定温度に加熱した熱板に載置して所定時間の熱処理を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる熱処理において、例えば、ワークと熱板との間に、異物などが介在したり、ワークが変形しているような場合、すなわち、ワークと熱板との間の距離が正常でない場合には、加熱処理が不完全となり、多量のワークを順番に熱処理するような製造工程では、熱処理が不完全な不良品が大量に発生することがある。
【0004】
このため、ワークと熱板との間の距離を推定できるようにし、推定された距離に基いて、ワークと熱板との間の距離が正常であるか否かを判定できるようにすることが望まれる。
【特許文献1】特開2004−134723
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、ワーク等の被処理物と熱板等の熱処理手段との距離を推定できるようにすることを主たる目的とし、更に、熱処理の異常を検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0007】
すなわち、本発明の距離推定装置は、被処理物を、熱処理手段で熱処理する該熱処理における前記被処理物と前記熱処理手段との距離を推定する装置であって、前記被処理物および前記熱処理手段の少なくともいずれか一方の温度情報に基いて、前記距離を推定する距離推定手段を備えている。
【0008】
ここで、熱処理手段とは、熱板、熱処理炉、連続炉、包装機の熱圧着部などの被処理物を熱処理するものをいい、加熱処理に限らず、冷却処理あるいは加熱冷却処理であってもよい。
【0009】
熱処理は、被処理物全体を熱処理するものであってもよいし、被処理物の一部、例えば、被処理面のみを熱処理するものであってもよい。
【0010】
推定する前記距離は、被処理物と熱処理手段との対向する部分間の距離であるのが好ましい。
【0011】
熱処理は、前記被処理物を、前記熱処理手段に接近させて行うものであるのが好ましいが、前記被処理物を、前記熱処理手段に接触あるいは密着させて行なうものであってもよく、接触あるいは密着させて熱処理を行なう場合には、接触していない部分あるいは密着していない部分の距離を推定するのが好ましい。
【0012】
また、前記被処理物を、前記熱処理手段に接近させて熱処理を行なう場合に、被処理物の一部が、前記熱処理手段に接触していてもよい。
【0013】
前記接近は、被処理物を、熱処理手段に対して移動させて行ってもよいし、熱処理手段を、被処理物に対して移動させて行ってもよく、あるいは、両者を移動させて行ってもよい。
【0014】
本発明によると、被処理物と熱処理手段との距離によって変化する被処理物および熱処理手段の少なくともいずれか一方の温度情報に基いて、距離を推定することができる。
【0015】
この推定した距離に基いて、正常な距離であるか否かの判定を行って熱処理の異常を検出したり、あるいは、被処理物の被処理面の形状や熱処理手段に対する被処理物の配置状態などを把握するといったことが可能となる。
【0016】
本発明の一実施態様においては、前記温度情報は、前記接近させた後の温度変化の情報を含み、前記距離推定手段は、前記温度変化が大きい程、前記距離を小さく推定するものである。
【0017】
ここで、前記温度情報は、被処理物を熱処理手段の接近させる前の情報を含んでもよい。
【0018】
また、温度変化の情報は、温度変化の傾きであるのが好ましい。
【0019】
この実施態様によると、被処理物と熱処理手段との距離が小さくなるにつれて、大きくなる温度変化の情報に基いて、距離を推定することができる。
【0020】
本発明の他の実施態様においては、前記温度情報は、前記接近させた後の前記熱処理手段の温度と前記被処理物の温度との温度差の変化の情報を含み、前記距離推定手段は、前記温度差の変化が大きい程、前記距離を小さく推定するものである。
【0021】
この実施態様によると、被処理物と熱処理手段との距離が小さくなるにつれて、大きくなる熱処理手段の温度と被処理物の温度との温度差の情報に基いて、距離を推定することができる。
【0022】
本発明の好ましい実施態様においては、前記距離推定手段は、前記少なくともいずれか一方の温度情報に加え、前記熱処理手段の温度を制御する温度制御手段の操作量情報に基いて、前記距離を推定するものである。
【0023】
この操作量情報は、前記接近させた後の前記温度制御手段の操作量の情報であり、前記距離推定手段は、前記操作量が大きい程、前記距離を小さく推定するのが好ましい。
【0024】
この実施態様によると、温度情報に加えて操作量情報に基いて、距離を推定するので、より高い精度で距離を推定できる。
【0025】
本発明の他の実施態様においては、前記距離推定手段は、被処理物と熱処理手段との間の熱抵抗を推定する第1推定部と、推定された熱抵抗に基いて、前記距離を推定する第2推定部とを備えている。
【0026】
第1推定部は、操作量情報および温度情報に基いて、熱抵抗を推定するのが好ましく、この第1の推定部は、温度情報に基いて、被処理物の温度を推定する被処理物のモデルを備えるのが好ましい。
【0027】
この実施態様によると、被処理物と熱処理手段との間の熱抵抗を推定し、この熱抵抗を用いて距離を推定できる。
【0028】
本発明の好ましい実施態様においては、前記距離推定手段で前記距離の推定に用いる前記各情報は、前記接近させた後であって、前記熱処理手段の温度が、一定温度に復帰するまでの期間の一部における情報である。
【0029】
この実施態様によると、被処理物を熱処理手段に接近させた後、熱処理手段の温度が、一定温度に復帰するまでの期間、すなわち、熱処理の期間における温度情報や操作量情報に基いて、距離を推定することができる。
【0030】
本発明の一実施態様においては、前記熱処理手段は、前記被処理物が載置されて熱処理される熱板である。
【0031】
被処理物は、熱板に載置されて熱処理されるガラス基板などであるのが好ましく、距離推定手段には、熱板に載置されて熱処理される被処理物が熱板に接近するタイミングを示す信号が与えられるのが好ましい。
【0032】
この実施態様によると、熱板とガラス基板などの被処理物との距離を推定するので、被処理物が、熱板の正規の位置に載置されなかったり、熱板と被処理物との間に異物などが介在して正常な距離からずれたような場合には、それを検出するといったことが可能になる。
【0033】
本発明の他の実施態様においては、前記距離推定手段は、前記熱処理手段の複数の点と前記被処理物の対応する複数の点との距離をそれぞれ推定するものである。
【0034】
この実施態様によると、複数の点における距離を推定するので、例えば、熱処理手段の熱処理面を基準とした前記複数の点の距離に基いて、被処理物の形状や変形、あるいは、被処理物の熱処理面に対する位置関係などを把握することが可能となる。
【0035】
本発明の異常検出装置は、本発明に係る距離推定装置と、該距離推定装置で推定される距離と閾値とを比較して熱処理の異常の有無を判定する判定手段とを備えている。
【0036】
前記閾値は、正常な距離の範囲に対応するものであるのが好ましい。
【0037】
本発明によると、推定された距離と閾値とを比較することにより、正常な距離での熱処理であるか否かを判定することができ、これによって、熱処理の異常の有無を検出できることになる。
【0038】
また、本発明の異常検出装置は、本発明に係る距離推定装置と、該距離推定装置で推定された複数の点の距離に基いて、前記被処理物の状態を判定する判定手段とを備え、前記判定手段の出力に基いて、異常を検出するものである。
【0039】
ここで、被処理物の状態とは、熱処理手段に対する被処理物の配置状態、例えば、被処理物の傾き、あるいは、被処理物の形状の状態、例えば、被処理物の反りなどの変形の状態などをいう。
【0040】
本発明によると、複数の点の距離に基いて、被処理物の状態を判定するので、例えば、被処理物が異物等に乗り上げて傾いていたり、変形しているような状態での熱処理の異常を検出できることになる。
【0041】
本発明の温度調節器は、本発明に係る距離推定装置を備え、前記熱処理手段の温度を制御するものである。
【0042】
本発明によると、熱処理手段の温度情報が与えられるとともに、操作量情報を出力する温度調節器自体で距離を推定できることになる。
【0043】
本発明の一実施態様においては、前記熱処理手段の温度を検出する温度検出手段からの検出温度が、設定温度になるように前記熱処理手段の温度を制御するものであって、前記距離推定装置で推定された距離に基いて、前記設定温度および前記検出温度の少なくともいずれか一方を補正する補正手段を備えている。
【0044】
この補正手段は、推定される距離が大きい程、熱処理の度合いを強くする方向に補正するのが好ましい。
【0045】
この実施態様によると、正常な距離からずれたような場合には、そのずれ量に応じて、熱処理の度合いを補正して正常な熱処理を行なうことが可能となる。
【0046】
また、本発明の温度調節器は、本発明に係る異常検出装置を備え、前記熱処理手段の温度を制御するものである。
【0047】
本発明によると、熱処理手段の温度を制御しつつ、熱処理の異常を併せて検出することができる。
【0048】
本発明の熱処理装置は、本発明に係る温度調節器と、熱処理手段と、前記温度調節器の出力に基いて、前記熱処理手段を加熱および/または冷却する操作手段と、前記熱処理手段の温度を検出する温度検出手段とを備えている。
【0049】
本発明によると、熱処理の異常を検出できる熱処理装置を提供できる。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、被処理物および熱処理手段の少なくともいずれか一方の温度情報に基いて、被処理物と熱処理手段との距離を推定することができるので、この推定した距離に基いて、正常な距離であるか否かの判定を行って熱処理の異常を検出したり、あるいは、被処理物の形状や配置状態を把握するといったことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0052】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る熱処理装置の概略構成図である。
【0053】
この実施の形態では、被処理物としてのガラス基板などのワークを、熱処理手段としての熱板1に載置して熱処理する装置に適用して説明する。
【0054】
この実施の形態では、ワークを加熱処理する熱板1の温度を、該熱板1の内部に設けられた温度センサで検出して本発明に係る温度調節器2に入力し、温度調節器2では、設定されている目標温度(設定温度)SPと検出温度PVとの偏差に基づいて、温度制御手段としてのPIDコントローラ3でPID演算等を行って操作量を出力し、図示しない電磁開閉器等を介して熱板1に配設されているヒータ(図示せず)の通電を制御して熱板1の温度を目標温度SPになるように制御している。
【0055】
この熱処理装置においては、図2に示すように、熱板1で熱処理されるワーク4は、図示しない搬送供給手段によって自動的に熱板1に載置されて順番に熱処理されるものであり、正常な状態では、熱板1に対して、ガラス基板などのワーク4は、その一部が、図示しない支持部で支持されることによって、一定距離d離間した状態で載置されて熱処理される。
【0056】
この実施の形態は、ワーク4が、熱板1に載置されて熱処理される際のワーク4と熱板1との距離dを後述のようにして推定し、推定された距離dに基いて、距離が正常か否かを判定し、異常、例えば、ワーク4と熱板1との距離が正常な距離よりも大きくて、熱処理が不完全であるような場合に、それを検出できるように構成されている。
【0057】
すなわち、この実施の形態では、図1に示すように、温度調節器2は、ワーク4を熱板1に載置した後の熱板1の温度PVに基いて、ワーク4と熱板1との距離を推定し、推定した距離が正常な範囲内であるか否かを判定して熱処理の異常を検出する異常検出装置6を内蔵している。
【0058】
この実施の形態の異常検出装置6は、熱板1の温度の傾きに基いて、ワーク4と熱板1との距離を推定する距離推定手段7と、推定された距離に基いて、正常な熱処理であるか否かを判定する判定手段8とを備えている。距離推定手段7には、後述のように、熱処理の全体を制御する上位装置からワーク4が熱板1に搭載されるタイミングに対応するタイミング信号が与えられる一方、ユーザによって設定される距離推定に必要な後述の設定情報t1,A等が与えられる。
【0059】
PIDコントローラ3および異常検出装置6等は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。
【0060】
ここで、被処理物をワーク4とし、加熱処理手段を熱板1として、図3に基いて、距離推定の基本的な考え方について説明する。
【0061】
放射による熱移動の影響を考慮しなくてもよい程、ワーク4と熱板1とが接近している場合には、ワーク4と熱板1との間には、次のような関係が成立する。
【0062】
なお、図3に示すように、ワーク4と熱板1との距離をd、ワーク4の温度をTw、熱板1の温度をTh、ワーク4の熱容量をCw、熱板1の熱容量をCh、両者間の熱抵抗をRhwとする。
【0063】
熱板1の温度変化の速さΔTh(=dTh/dt)
∝(ワーク温度Tw−熱板温度Th)/熱抵抗Rhw
∝(ワーク温度Tw−熱板温度Th)/距離d
したがって、
距離d∝(ワーク温度Tw−熱板温度Th)/熱板の温度変化の速さΔTh
距離d=k×(ワーク温度Tw−熱板温度Th)/熱板の温度変化の速さΔTh
ここで、ワーク4を、熱板1に載置した瞬間のワーク4および熱板1の初期温度Tw0,Th0が判っている場合、例えば、ワーク4と熱板1の初期温度が安定しているような場合には、(ワーク初期温度Tw0−熱板初期温度Thw)を、定数と見なし、ワーク4を熱板1に載置した瞬間の距離dは、次式で推定できることになる。
【0064】
距離d=定数k/熱板の温度変化の速さΔTh(熱板の温度傾き) ……(a)
この実施の形態では、熱板1の温度変化の速さΔThを、熱板1の温度傾きとし、この熱板1の温度傾きを計測し、予め求めた定数kを用いてワーク4と熱板1との距離dを推定するようにしている。
【0065】
なお、この定数kは、ワーク4と熱板1との距離dを、既知の距離に設定した状態で、熱処理を行なって熱板1の温度を計測し、熱板1の温度傾きを算出することによって、予め求めることができる。
【0066】
図4は、ワーク4と熱板1との距離によって、熱板1の温度がどのように変化するかを示すものであり、目標温度SPに加熱整定した状態の熱板1に対して、ワーク4を、過大な距離(一点鎖線)、正常な距離(実線)、過小な距離(破線)でそれぞれ載置して加熱処理した場合の熱板1の温度変化を示す図である。
【0067】
この図4に示すように、ワーク4を、熱板1に対して正常な距離よりも大きい(過大な)距離で載置して熱処理した場合には、一点鎖線で示すように、正常な場合に比べて、ワーク4への熱量の移動が少なく、熱板1の温度低下は少ない。
【0068】
これに対して、ワーク4を、熱板1に対して正常な距離よりも小さい(過小な)距離で載置して熱処理した場合には、破線で示すように、正常な場合に比べて、ワーク4への熱量の移動が多く、熱板1の温度低下が大きくなる。
【0069】
このように、ワーク4と熱板1との距離に応じて、熱板1の温度低下の度合い、すなわち、熱板1の温度の傾きが変化し、上述の(a)式で説明したように、ワーク4と熱板1との距離は、熱板1の温度の傾きに応じて変化することが判る。
【0070】
そこで、この実施の形態では、図5に示すように、ワーク4を熱板1に載置して熱処理を開始した後の第1の時点t1から一定時間経過した第2の時点t2における熱板1の温度をそれぞれ計測し、この一定の時間幅Aに対する熱板1の温度変化幅B、すなわち、熱板1の温度傾き(=B/A)を算出するようにしている。
【0071】
熱板1の温度を計測する点は、距離を推定したい点に近い方が好ましく、ワーク4の接近による熱移動の影響が現れ易い部分にあるのが好ましい。すなわち、ワーク4に近い側の表面近くであるのが好ましい。また、ヒータや外乱となる熱源から遠い方が好ましい。距離を推定する点数は、1点であってもよいし、複数点であってもょい。
【0072】
熱板1の温度傾きの算出は、熱板1の温度低下が生じた時点から最も温度が低下した時点までの期間の少なくとも一部の期間における熱板1の温度を用いて行うのが好ましい。
【0073】
このようにして算出される熱板1の温度傾きと、予め求めた定数kとに基いて、上述の(a)式に従って距離dを推定するのである。
【0074】
図1に示す温度調節器2では、熱処理の全体を制御する上位装置からワーク4が熱板1に搭載されるタイミングに対応するタイミング信号が与えられるように構成されており、このタイミング信号は、例えば、図5に示す時点t3に対応する。
【0075】
次に、図1に示す温度調節器2よる距離推定および異常検出の処理手順を説明する。
【0076】
先ず、ワーク4を、熱板1で順番に熱処理するという実運用に先立って、上述の定数kや一定の時間幅A等を決定するための処理を行う。
【0077】
この処理では、ワーク4が、熱板1に対して正常な既知の距離となるように、ワーク4を、熱板1に載置して熱処理を行い、熱板1の温度を計測する。
【0078】
ユーザは、計測された熱板1の温度波形に基いて、上述の図5のタイミング信号の時点t3を基準に、第1の時点t1および一定の時間幅Aを、温度調節器2に設定するとともに、前記既知の距離を、温度調節器2に設定する。
【0079】
温度調節器2の距離推定手段7は、設定された第1の時点t1および一定の時間幅Aに基いて、計測された熱板1の温度傾きを算出し、さらに、設定された既知の距離を用いて、上述の定数kを算出して格納する。
【0080】
以上のようにして温度調節器2の距離推定手段7に、第1の時点t1、一定の時間幅Aおよび定数kが設定された後に、実際のワークの熱処理の運用を開始する。
【0081】
この熱処理では、ワーク4が熱板1に載置されて熱処理が行われる度に、ワーク4と熱板1との距離が、距離推定手段7で上述の(a)式に従って推定され、判定手段8では、正常範囲に対応する閾値と比較されて正常範囲内にあるか否かが判定され、正常範囲内にないときには、熱処理の異常であるとして検出信号を、例えば、上位装置に出力し、上位装置は、熱処理の異常を報知したり、熱処理を停止させるなどの適宜の措置をとることができる。
【0082】
(実施の形態2)
図6は、本発明の他の実施の形態に係る熱処理装置の概略構成図であり、上述の図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0083】
上述の実施の形態では、熱板1の温度傾きに基いて、ワーク4と熱板1との距離を推定したのに対して、この実施の形態では、熱板1の温度およびPIDコントローラ3からの操作量Uに基いて、ワーク4と熱板1との距離を推定するものである。
【0084】
ここで、この実施の形態の距離推定の基本的な考え方について説明する。
【0085】
なお、以下の説明では、図7に示すように、ワーク4と熱板1との距離をd、ワーク4の温度をTw、熱板1の温度をTh、ワーク4の熱容量をCw、熱板1の熱容量をCh、両者間の熱抵抗をRhw、熱板1のヒータに供給される電力をWとする。
【0086】
一般に、熱板1の熱量は、次式で示される。
【0087】
【数1】
更に、
【0088】
【数2】
上記(2)式を時間で微分する。
Ch×dTh/dt=(温度差/熱抵抗)+ヒータ発熱量
={(ワーク温度Tw−熱板温度Th)/熱抵抗Rhw}+電力W
したがって、
dTh/dt={(Tw−Th)/Rhw×Ch}+W/ch
ここで、熱抵抗Rhwは、ワークと熱板との距離dに比例し、熱板の熱容量Chを一定とし、k0を定数とすると、
dTh/dt∝{(Tw−Th)/d}+k0・W
dTh/dt=ΔThとおくと、距離dは、
d∝(Tw−Th)/(ΔTh−k0・W)
k2を比例定数とすると、
d=k2(Tw−Th)/(ΔTh−k0・W)
k0・W=k1・Uとおくと、
d=k2(Tw−Th)/(ΔTh−k1・U) …(3)
したがって、予め比例定数k1,k2を求めておけば、ワーク温度Tw、操作量U、熱板温度の傾きΔThから距離が推定できる。
【0089】
なお、ΔTh=dTh/dt
≒{Th(n)−Th(n−1)}/Δt
但し、Δt:サンプリング時間
ここで、操作量Uと電力Wとの関係は、設計的に決まるので、上記(3)式の定数k1を求めることができる。
【0090】
また、定数k2は、ワーク4と熱板1との距離を、既知の距離に設定した状態で、熱処理を行って、その時のワーク4の温度Tw、熱板1の温度Thおよび操作量Uから求めることができる。
【0091】
この実施の形態では、ワーク4を、順番に熱板1に載置して熱処理するものであり、熱処理されるすべてのワーク4の温度を検出するのは容易でない。
【0092】
そこで、この実施の形態では、ワーク4の温度モデルを用いてワーク4の温度Twを推定するようにしている。
【0093】
すなわち、この実施の形態では、図6の距離推定手段7aは、上述の(3)式で算出される距離dと、熱板の温度Thとに基いて、次式でワーク温度Twを推定している。
【0094】
Tw(n)=k3・Tw(n−1)+k4・{Th(n−1)−Tw(n−1)}/d
すなわち、今回のサンプリングのワークの温度Tw(n)を、前回のサンプリングのワークの温度Tw(n−1)、前回のサンプリングの熱板1の温度Th(n−1)および前回のサンプリングで推定される距離dを用いて推定するのである。
【0095】
ここで、定数k3,k4は、既知の距離dでの熱処理において、ワーク4の温度Twと熱板1の温度Thとを計測することにより、予め求めることができる。
【0096】
この実施の形態では、温度調節器2aの距離推定手段7aでは、熱板1の温度、該熱板1の温度に基いて推定したワークの温度、および、操作量Uに基いて、上述の(3)式に従って距離を推定するものである。
【0097】
その他の構成は、上述の実施の形態と同様である。
【0098】
図8に、この実施の形態による距離推定のデータの一例を示すす。
【0099】
この図8は、ワーク4と熱板1との距離を、1mm、4mmとした場合の推定距離の変化を示しており、ワーク4が、時間の経過とともに、熱板1に接近するにつれて推定距離が小さくなり、1mm、4mmでそれぞれ一定になっている。
【0100】
この実施の形態では、熱板1の温度と操作量とに基いて、距離を推定したけれども、本発明の他の実施の形態として、ワーク4の温度、ワーク4の温度と操作量、熱板1の温度とワーク4の温度、あるいは、熱板1の温度とワーク4の温度と操作量とに基いて、距離を推定するようにしてもよい。
【0101】
(実施の形態3)
図9は、本発明の更に他の実施の形態に係る熱処理装置の概略構成図であり、上述の図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0102】
この実施の形態では、本件出願人が、特開2004−94939(特願2003−289867)「モデル構造、制御装置、温度調節器および熱処理装置」として先に提案している非干渉化制御などに好適な制御対象のモデル構造を利用して距離を推定するものである。
【0103】
図9に示す制御対象のモデル構造30は、熱板1に対応するモデル要素10と、ワーク4に対応するモデル要素11とを備えており、各モデル要素10,11の出力の差(温度差)を、フィードバック要素12を介して正負を異ならせてモデル要素10,11の入力側にフィードバックするものである。
【0104】
このモデルは、熱板1(10)とワーク4(11)との温度差によって、熱板1(10)からワーク4(11)へ熱量の移動が生じ、熱板1(10)は熱量が奪われ(負)、ワーク4(11)には熱量が足される(正)という熱の移動現象をブロック線図で表したものである。
【0105】
このモデル(以下「温度差モデル」ともいう)は、温度差があるときに、熱量の移動が生じ、この熱量の移動は、温度差に比例するというフーリエの法則の意味するところと等価である。
【0106】
なお、図9において、A11,A22は、熱板1およびワーク4にそれぞれ対応するモデル要素10,11の伝達関数であり、フィードバック要素12は、温度差によってどれだけ熱量が移動するかを示すものであり、θは、熱板1とワーク4との間の熱抵抗である。
【0107】
また、ワーク4が熱板1に載置される前には、フィードバック要素12の出力側のスイッチ手段19がオフしてワーク4と熱板1との温度差がフィードバックされないようになっており、ワーク4が熱板1に載置されると、オンしてワーク4と熱板1との温度差がフィードバックされる。
【0108】
この図9に示すように熱板1およびワーク4を含む制御対象を、温度差モデルで把握すると、熱板1とワーク4との熱抵抗θを求めることにより、空気の熱伝導率Kaおよびワーク4と熱板1との対向面積Sに基いて、ワーク4と熱板1との距離dを、次式で推定できることになる。
【0109】
d=Ka・S・θ
この熱抵抗θは、図9に示すように、フィードバック要素12の入力ΔTおよび出力Qを推定し、入力ΔTを出力Qで除算することによって推定することができる。
【0110】
そこで、この実施の形態の温度調節器2dの距離推定手段7bは、ワーク温度を推定するワークモデル13と、熱板1の温度から熱板1に時間当たりに流入する熱量(熱流)を推定する推定要素14とを備えている。
【0111】
この実施の形態では、ワークモデル13は、図10に示すように、温度差モデルのモデル要素11およびフィードバック要素12と同じ伝達関数A’22,1/θ’の補償要素11’,12’を備えるとともに、スイッチ手段19に対応するスイッチ手段20を有し、上位装置からのタイミング信号によって、ワーク4が熱板1に載置されるとオンし、熱処理が終了するとオフされる。
【0112】
なお、このワークモデル13は、温度差モデルに対応する必要はなく、ARXモデルや伝達関数モデルなどの他のモデルであってもよく、熱板1の温度からワーク4の温度を推定できればよい。
【0113】
推定要素14は、温度差モデルの熱板1のモデル要素10に対応するものであり、このモデル要素10の伝達関A11の逆数1/A’11を伝達関数としている。
【0114】
この実施の形態では、熱板1の温度PVとワークモデル13で推定されたワーク温度との温度差ΔT’が、減算部15で算出される一方、ヒータから発生した熱流から推定要素14で推定された熱板1に流入した熱流を、減算部16で減算して熱板1とワーク4間を流れる熱流Q’を算出し、熱抵抗推定部17では、推定された温度差ΔT’を推定された熱流Q’で除算することよって、熱抵抗θ’を推定し、この推定した熱抵抗θ’、空気の熱伝導率Kaおよびワーク4と熱板1との対向面積Sとを用いて、距離推定部18でワーク4と熱板1との推定距離dを算出する。
【0115】
なお、PIDコントローラ3から減算部16に入力される熱流は、PIDコントローラ3からの出力値が熱流そのものであれば、直接計測することにより、また、PIDコントローラ3からの出力値が操作量であれば、出力値から計算することにより、求めることができる。
【0116】
この実施の形態の距離推定手段7bは、ワーク4と熱板1との熱抵抗を推定する第1推定部と、推定された熱抵抗に基いて、距離を推定する第2推定部とを備えている。
【0117】
なお、熱板1の伝達関数A11は、例えば、一次遅れ系であり、例えば、オートチューニングによる最大傾きから求めることができ、また、ワーク4の伝達関数は、例えば、ワーク4の熱容量に対応した定数とワーク4の熱抵抗に対応した定数を含む一次遅れ系であり、例えば、熱容量は、ワーク4の材質と大きさから求めることができる。
【0118】
(その他の実施の形態)
上述の実施の形態では、判定手段8では、推定した距離と閾値とを比較して異常の有無を判定したけれども、本発明の他の実施の形態として、複数の点におけるワークと熱板との距離をそれぞれ推定し、それら複数の点における推定距離に基いて、ワークの形状や傾きなどを判定して異常を検出するようにしてもよい。
【0119】
すなわち、図11に示すように、距離推定部7cでは、温度や操作量に基いて、上述の各実施の形態と同様にして、複数の点におけるワーク4と熱板1との距離を推定し、形状認識部21では、これら複数の推定距離に基いて、ワークの形状を認識し、判定部22では、認識された形状が閾値を越えたか否かを判定し、閾値を越えたときには、異常検出信号を出力するものである。
【0120】
例えば、ワーク4の被処理面が平面状であるときには、形状認識部21では、複数の推定距離の内の最大推定距離dmaxと、最小推定距離dminとの差dmax−dminを算出して平面度を認識し、判定部22では、この平面度が、ある範囲(閾値)を超えたか否かを判定し、超えたときに、ワーク4の形状が異常であるとして異常検出信号を出力するものである。
【0121】
あるいは、ワーク4の被処理面が椀状または山状であるときには、形状認識部21では、ワーク4の中央部の推定距離d1と、周辺部の推定距離d2との差d1−d2を算出して湾曲度を認識し、判定部22では、この湾曲度が、ある範囲(閾値)を超えた否かを判定し、超えたときに、ワーク4の形状が異常であるとして、異常検出信号を出力するものである。
【0122】
また、ワーク4と熱板1との間に、例えば、異物が介在し、ワーク4が異物に乗り上げて傾斜したような場合は、ワーク4の形状は、正常であるのに、異常であると誤検出する虞がある。かかる誤検出を防止するために、ワーク4の周辺部は、同心円上に点対称に複数個の距離の推定点を設け、これらの推定距離の平均値をd2aveとすれば、上述の湾曲度を、d1−d2aveとすることにより、乗り上げによる傾き分をキャンセルできることになる。
【0123】
なお、ワーク4の被処理面が平面状であるときに、複数の推定距離の内の最大推定距離dmaxと、最小推定距離dminとの差dmax−dminを算出し、閾値と比較することにより、閾値より大きいときには、例えば、ワーク4が異物等への乗り上げて傾斜しているとして異常を検知するようにしてもよい。
【0124】
また、本発明の他の実施の形態として、推定される距離が、正常な距離に比べて大きいときには、加熱を強めるように目標温度を高く補正し、逆に、推定される距離が、正常な距離に比べて小さいときには、加熱を弱めるように目標温度を低く補正するようにしてもよい。
【0125】
すなわち、図12に示すように、距離推定部7cで推定された推定距離に基いて、目標温度補正部23では、目標温度補正値ΔSPを算出し、この目標温度補正値ΔSPで目標温度SPを補正するようにしてもよい。この目標温度補正値ΔSPとしては、例えば、次式によって算出される補正値を用いることができる。
【0126】
ΔSP(t)=(基準熱板温度(t)-基準ワーク温度(t))(d(t)-基準距離d0)/d0
ここで、時刻tは、ワークを搭載する信号をトリガとして計測した時刻である。
【0127】
また、基準熱板温度および基準ワーク温度とは、予め取得した正常な距離(基準距離)の場合の熱板およびワークの応答波形(時系列の温度データ)である。
【0128】
かかる目標温度の補正によって、例えば、ワーク4と熱板1との距離が大きいと、ワーク4の昇温が遅れるので、これを早めるために目標温度が嵩上げされることになる。なお、目標温度の補正に代えて、温度センサからの検出温度を補正するようにしてもよい。
【0129】
上述の実施の形態では、異常検出装置6,6a,6bを、温度調節器2,2a,2bに内蔵させたけれども、異常検出装置は、温度調節器とは、別の装置として構成してもよい。また、距離推定手段のみを、別の独立の距離推定装置として構成してもよい。
【0130】
上述の実施の形態では、熱処理手段の熱処理面は、平面状であったけれども、平面状に限らず、曲面状や凹凸状など任意の形状であってもよく、同様に、被処理物の形状も任意である。
【0131】
上述の実施の形態では、ワーク等の被処理物を、熱板等の熱処理手段に載置して熱処理したけれども、本発明の他の実施の形態として、被処理物を、熱処理手段に対して、接近するように通過させて熱処理してもよく、あるいは、被処理物を、熱処理手段に接触させて熱処理してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明は、例えば、ワークを熱板で熱処理するような熱処理における異常の検出などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る温度調節器を備えるシステムの概略構成図である。
【図2】ワークと熱板との位置関係を概略的に示す図である。
【図3】図1の実施の形態の距離推定の基本的な考え方を説明するための図である。
【図4】熱板の温度変化を示す図である。
【図5】熱板の温度傾きを示す図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る温度調節器を備えるシステムの概略構成図である。
【図7】図6の実施の形態の距離推定の基本的な考え方を説明するための図である。
【図8】図6の実施の形態の推定距離を示す図である。
【図9】本発明の他の実施の形態に係る温度調節器を備えるシステムの概略構成図である。
【図10】図9のワークモデルを示す図である。
【図11】本発明の他の実施の形態の異常検出装置のブロック図である。
【図12】本発明の他の実施の形態の温度調節器の要部のブロック図である。
【符号の説明】
【0134】
1 熱板 2 温度調節器
3 PIDコントローラ 4 ワーク(被処理物)
6,6a,6b 異常検出装置 7,7a〜7c 距離推定手段
8 判定手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を、熱処理手段で熱処理する該熱処理における前記被処理物と前記熱処理手段との距離を推定する装置であって、
前記被処理物および前記熱処理手段の少なくともいずれか一方の温度情報に基いて、前記距離を推定する距離推定手段を備えることを特徴とする距離推定装置。
【請求項2】
前記熱処理は、前記被処理物を、前記熱処理手段に接近させて行うものである請求項1に記載の距離推定装置。
【請求項3】
前記温度情報は、前記接近させた後の温度変化の情報を含み、前記距離推定手段は、前記温度変化が大きい程、前記距離を小さく推定する請求項2に記載の距離推定装置。
【請求項4】
前記温度情報は、前記接近させた後の前記熱処理手段の温度と前記被処理物の温度との温度差の変化の情報を含み、前記距離推定手段は、前記温度差の変化が大きい程、前記距離を小さく推定する請求項2または3に記載の距離推定装置。
【請求項5】
前記距離推定手段は、前記少なくともいずれか一方の温度情報に加え、前記熱処理手段の温度を制御する温度制御手段の操作量情報に基いて、前記距離を推定する請求項1〜4のいずれか1項に記載の距離推定装置。
【請求項6】
前記操作量情報は、前記接近させた後の前記温度制御手段の操作量の情報であり、前記距離推定手段は、前記操作量が大きい程、前記距離を小さく推定する請求項5に記載の距離推定装置。
【請求項7】
前記距離推定手段は、被処理物と熱処理手段との間の熱抵抗を推定する第1推定部と、推定された熱抵抗に基いて、前記距離を推定する第2推定部とを備える請求項6に記載の距離推定装置。
【請求項8】
前記距離推定手段で前記距離の推定に用いる前記各情報は、前記接近させた後であって、前記熱処理手段の温度が、一定温度に復帰するまでの期間の一部における情報である請求項2〜7のいずれか1項に記載の距離推定装置。
【請求項9】
前記熱処理手段は、前記被処理物が載置されて熱処理される熱板である請求項1〜8のいずれか1項に記載の距離推定装置。
【請求項10】
前記距離推定手段は、前記熱処理手段の複数の点と前記被処理物の対応する複数の点との距離をそれぞれ推定する請求項1〜9のいずれか1項に記載の距離推定装置。
【請求項11】
前記熱処理が、加熱処理および冷却処理の少なくともいずれか一方の処理である請求項1〜10のいずれか1項に記載の距離推定装置。
【請求項12】
前記請求項1〜11のいずれか1項に記載の距離推定装置と、該距離推定装置で推定される距離と閾値とを比較して熱処理の異常の有無を判定する判定手段とを備えることを特徴とする異常検出装置。
【請求項13】
前記請求項10に記載の距離推定装置と、該距離推定装置で推定された複数の点の距離に基いて、前記被処理物の状態を判定する判定手段とを備え、前記判定手段の出力に基いて、異常を検出することを特徴とする異常検出装置。
【請求項14】
前記請求項1〜11のいずれか1項に記載の距離推定装置を備え、前記熱処理手段の温度を制御することを特徴とする温度調節器。
【請求項15】
前記熱処理手段の温度を検出する温度検出手段からの検出温度が、設定温度になるように前記熱処理手段の温度を制御するものであって、前記距離推定装置で推定された距離に基いて、前記設定温度および前記検出温度の少なくともいずれか一方を補正する補正手段を備える請求項14に記載の温度調節器。
【請求項16】
前記請求項12または13に記載の異常検出装置を備え、前記熱処理手段の温度を制御することを特徴とする温度調節器。
【請求項17】
前記請求項14〜16のいずれか1項に記載の温度調節器と、前記熱処理手段と、前記温度調節器の出力に基いて、前記熱処理手段を加熱および/または冷却する操作手段と、前記熱処理手段の温度を検出する温度検出手段とを備えることを特徴とする熱処理装置。
【請求項1】
被処理物を、熱処理手段で熱処理する該熱処理における前記被処理物と前記熱処理手段との距離を推定する装置であって、
前記被処理物および前記熱処理手段の少なくともいずれか一方の温度情報に基いて、前記距離を推定する距離推定手段を備えることを特徴とする距離推定装置。
【請求項2】
前記熱処理は、前記被処理物を、前記熱処理手段に接近させて行うものである請求項1に記載の距離推定装置。
【請求項3】
前記温度情報は、前記接近させた後の温度変化の情報を含み、前記距離推定手段は、前記温度変化が大きい程、前記距離を小さく推定する請求項2に記載の距離推定装置。
【請求項4】
前記温度情報は、前記接近させた後の前記熱処理手段の温度と前記被処理物の温度との温度差の変化の情報を含み、前記距離推定手段は、前記温度差の変化が大きい程、前記距離を小さく推定する請求項2または3に記載の距離推定装置。
【請求項5】
前記距離推定手段は、前記少なくともいずれか一方の温度情報に加え、前記熱処理手段の温度を制御する温度制御手段の操作量情報に基いて、前記距離を推定する請求項1〜4のいずれか1項に記載の距離推定装置。
【請求項6】
前記操作量情報は、前記接近させた後の前記温度制御手段の操作量の情報であり、前記距離推定手段は、前記操作量が大きい程、前記距離を小さく推定する請求項5に記載の距離推定装置。
【請求項7】
前記距離推定手段は、被処理物と熱処理手段との間の熱抵抗を推定する第1推定部と、推定された熱抵抗に基いて、前記距離を推定する第2推定部とを備える請求項6に記載の距離推定装置。
【請求項8】
前記距離推定手段で前記距離の推定に用いる前記各情報は、前記接近させた後であって、前記熱処理手段の温度が、一定温度に復帰するまでの期間の一部における情報である請求項2〜7のいずれか1項に記載の距離推定装置。
【請求項9】
前記熱処理手段は、前記被処理物が載置されて熱処理される熱板である請求項1〜8のいずれか1項に記載の距離推定装置。
【請求項10】
前記距離推定手段は、前記熱処理手段の複数の点と前記被処理物の対応する複数の点との距離をそれぞれ推定する請求項1〜9のいずれか1項に記載の距離推定装置。
【請求項11】
前記熱処理が、加熱処理および冷却処理の少なくともいずれか一方の処理である請求項1〜10のいずれか1項に記載の距離推定装置。
【請求項12】
前記請求項1〜11のいずれか1項に記載の距離推定装置と、該距離推定装置で推定される距離と閾値とを比較して熱処理の異常の有無を判定する判定手段とを備えることを特徴とする異常検出装置。
【請求項13】
前記請求項10に記載の距離推定装置と、該距離推定装置で推定された複数の点の距離に基いて、前記被処理物の状態を判定する判定手段とを備え、前記判定手段の出力に基いて、異常を検出することを特徴とする異常検出装置。
【請求項14】
前記請求項1〜11のいずれか1項に記載の距離推定装置を備え、前記熱処理手段の温度を制御することを特徴とする温度調節器。
【請求項15】
前記熱処理手段の温度を検出する温度検出手段からの検出温度が、設定温度になるように前記熱処理手段の温度を制御するものであって、前記距離推定装置で推定された距離に基いて、前記設定温度および前記検出温度の少なくともいずれか一方を補正する補正手段を備える請求項14に記載の温度調節器。
【請求項16】
前記請求項12または13に記載の異常検出装置を備え、前記熱処理手段の温度を制御することを特徴とする温度調節器。
【請求項17】
前記請求項14〜16のいずれか1項に記載の温度調節器と、前記熱処理手段と、前記温度調節器の出力に基いて、前記熱処理手段を加熱および/または冷却する操作手段と、前記熱処理手段の温度を検出する温度検出手段とを備えることを特徴とする熱処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−292535(P2006−292535A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−113306(P2005−113306)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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