説明

路車間通信システム、及びこれに用いる光ビーコン、車載機、車両

【課題】太陽光の入射により発生する通信エラーを低減することができる路車間通信システムを提供する。
【解決手段】道路を走行する車両Cの車載機2と、道路の所定範囲に通信領域が設定された投受光器8をそれぞれ有している複数の光ビーコン4とを備えており、車載機2と光ビーコン4との間で光信号による双方向通信を行う。この路車間通信システムの前記複数の光ビーコン4には、太陽光の反射等の影響でアップリンク光の受光が妨げられ難い位置に前記通信領域が設定された前記投受光器8を有する光ビーコン4が含まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路側に設置した光ビーコンと車両に搭載された車載機との間で光信号による双方向通信を行う、路車間通信システム、及びにこれに用いる光ビーコン、車載機、車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
路車間通信システムを利用した交通情報サービスとして、光ビーコン、電波ビーコン又はFM多重放送を用いたいわゆるVICS(Vehicle Information and Communication System)が既に展開されている。このうち、光ビーコンは近赤外線を通信媒体とした光通信を採用しており、車載機との双方向通信が可能となっている。
具体的には、車両の保持するビーコン間の旅行時間情報等を含むアップリンク情報が車載機からインフラ側の光ビーコンに送信され、逆に、渋滞情報、区間旅行時間情報、事象規制情報及び車線通知情報等を含むダウンリンク情報が光ビーコンから車載機に送信されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記光ビーコンは、車載機との間で双方向通信を行う投受光器(ビーコンヘッド)を備えており、この投受光器は、ダウンリンク情報を送出する発光ダイオード(LED)と、車載機からのアップリンク情報を受信するフォトセンサとを備えている。他方、上記車載機も、光ビーコンの投受光器との間で双方向通信を行うために、LEDとフォトセンサとを有する投受光器(車載ヘッド)を備えている。
そして、光ビーコンの投受光器は、道路脇に立設した支柱から道路側に水平に架設した架設バーに取り付けられ、道路の車線の直上に配置されている。この投受光器が、道路に対し車両進行方向の上流側へ向けられて取り付けられることで、投受光器は、その設置位置よりも車両進行方向の上流側の所定範囲が通信領域として設定されている。
【特許文献1】特開2005−268925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記光ビーコンを用いた路車間通信システムにおいて、光ビーコンと車載機との間において情報を適切に送受信できず、車載機側が所定のサービスを享受できないことがある。
その原因としては、光ビーコンが設置場所や設置環境によって太陽光の影響を受けやすいためである。例えば、図7に示しているように、北向きを走行方向とする車線では、従来、光ビーコン40の投受光器41は道路Rに対して南方向に向けられて設置され、その設置位置よりも南側に通信領域Aが設定されている。このため特に夕刻の時間帯では、路面で反射した太陽光(図7の実線の矢印)が光ビーコン40の投受光器41のフォトセンサ42に入射しやすく、光ビーコン40側において受信エラーが生じやすくなる。
【0005】
これとは反対に南向きを走行方向とする車線では、光ビーコン40の投受光器41は設置位置よりも北側に通信領域Aが設定されている。そして、南向きに走行する車両Cに搭載させた車載機2との間で通信が行われる。この場合、太陽光が車載機43の投受光器のフォトセンサに入射しやすく(図7の破線の矢印)、車載機43側において受信エラーが生じやすくなる。
このように、従来では、光ビーコンの投受光器が車両に対向する方向に向けられて設置され、車両進行方向の上流側が通信領域として設定されており、投受光器のフォトセンサに太陽光が入射することにより通信エラーが多く発生するという問題点がある。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑み、太陽光の入射により発生する通信エラーを低減することができる路車間通信システム、及びこれに用いる光ビーコン、車載機、車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の路車間通信システムは、道路を走行する車両の車載機と、前記道路の所定範囲に通信領域が設定された投受光器をそれぞれ有している複数の光ビーコンとを備え、前記車載機と前記光ビーコンとの間で光信号による双方向通信を行う路車間通信システムであって、前記複数の光ビーコンには、太陽光の反射等の影響でアップリンク光の受光が妨げられ難い位置に前記通信領域が設定された前記投受光器を有する光ビーコンが含まれている。
【0008】
この路車間通信システムによれば、前記複数の光ビーコンには、太陽光の反射等の影響でアップリンク光の受光が妨げられ難い位置に前記通信領域が設定された前記投受光器を有する光ビーコンが含まれているので、太陽光の入射により発生する通信エラーを低減することができる。
【0009】
この路車間通信システムにおいて、前記複数の光ビーコンは、設置位置よりも車両進行方向の上流側の範囲が第一通信領域として設定された第一投受光器を有する光ビーコンと、設置位置の直下部分を含む範囲が第二通信領域として設定された第二投受光器を有する光ビーコンと、設置位置よりも車両進行方向の下流側の範囲が第三通信領域として設定された第三投受光器を有する光ビーコンと、のうちの少なくとも二種類の光ビーコンからなる構成とすることができる。
これによれば、各光ビーコンを設置する場所や環境に応じて、その光ビーコンの投受光器の通信領域を、投受光器の設置位置よりも車両進行方向の上流側の範囲としたり、投受光器の設置位置の直下部分を含む範囲としたり、投受光器の設置位置よりも車両進行方向の下流側の範囲としたりすることにより、太陽光の反射等の影響でアップリンク光の受光が妨げられ難い位置に通信領域が設定された投受光器を有する光ビーコンとなる。
【0010】
また、この場合において、前記車載機は、少なくとも二種類の前記光ビーコンとの間で通信することができる方向に向けられた投受光器を有しているのが好ましい。これによれば、通信領域が異なる少なくとも二種類の光ビーコンのそれぞれと、車載機は通信することができる。
【0011】
また、この路車間通信システムにおいて、前記各光ビーコンは、道路の車両進行方向について相互で異なる複数の範囲がそれぞれ通信領域として設定されている複数の投受光器と、これら複数の投受光器のうちから、前記車載機と通信させる投受光器を少なくとも一つ選択する選択部とを有しているのが好ましい。
これによれば、各光ビーコンを設置する場所や環境に応じて、車載機と通信させる光ビーコンの投受光器を選択部が選択することで、太陽光の入射の影響を受けにくい通信領域を選ぶことができる。これにより、太陽光の入射により発生する通信エラーを低減することができる。
【0012】
本発明の光ビーコンは、車両の車載機との間で光信号による双方向通信を行う、路車間通信に使用する光ビーコンであって、道路の車両進行方向について相互で異なる複数の範囲がそれぞれ通信領域として設定されている複数の投受光器と、これら複数の投受光器のうちから前記車載機と通信させる投受光器を少なくとも一つ選択する選択部とを有している。
【0013】
この光ビーコンによれば、複数の投受光器を有し、これら投受光器のそれぞれは車両進行方向について相互で異なる範囲が通信領域として設定されており、選択部がこれらのうちから車載機と通信させる投受光器を少なくとも一つ選択する。これにより、光ビーコンを設置する場所や環境に応じて、光ビーコンの投受光器を選択することにより、太陽光の入射の影響を受けにくい通信領域を選ぶことができる。これにより、太陽光の入射により発生する通信エラーを低減することができる。
【0014】
また、この光ビーコンにおいて、設置位置よりも車両進行方向の上流側の範囲が第一通信領域として設定された第一投受光器と、設置位置の直下部分を含む範囲を第二通信領域として設定された第二投受光器と、設置位置よりも車両進行方向の下流側の範囲が第三通信領域として設定された第三投受光器とのうちの少なくとも二つを有しているのが好ましい。
これによれば、光ビーコンを設置する場所や環境に応じて、光ビーコンの投受光器の通信領域を、投受光器の設置位置よりも車両進行方向の上流側の範囲としたり、投受光器の設置位置の直下部分を含む範囲としたり、投受光器の設置位置よりも車両進行方向の下流側の範囲としたりすることができる。
【0015】
また、本発明の光ビーコンは、車両の車載機との間で光信号による双方向通信を行う、路車間通信に使用する光ビーコンであって、設置位置よりも車両進行方向の下流側の範囲が通信領域として設定された投受光器を有している。
また、本発明の車載機は、道路を走行する車両の車載機であり、設置位置よりも車両進行方向の下流側の範囲が通信領域として設定された投受光器を有している光ビーコンとの間で光信号による双方向通信を行う、路車間通信に使用する車載機であって、前記光ビーコンとの間で通信することができる方向に向けられた投受光器を有している。
これら光ビーコン及び車載機によれば、光ビーコンの投受光器において設定されている前記通信領域が、太陽光の入射の影響を受けにくい範囲として設定されており、その通信領域において車載機が通信を行う場合、太陽光の入射により発生する通信エラーを低減することができる。
【0016】
また、本発明は、道路を走行する車両の車載機であり、道路の車両進行方向について相互で異なる複数の範囲がそれぞれ通信領域として設定されている複数の投受光器を有する光ビーコンとの間で光信号による双方向通信を行う、路車間通信に使用する車載機であって、前記光ビーコンの複数の投受光器のうちの少なくとも一つとの間で通信することができる方向に向けられた投受光器を有しているものである。
【0017】
この車載機によれば、光ビーコンの複数の投受光器において設定されている複数の通信領域のうちの少なくとも一つが、太陽光の入射の影響を受けにくい範囲として設定されており、その通信領域において車載機が通信を行う場合、太陽光の入射により発生する通信エラーを低減することができる。
そして、車体と、この車体の駆動及び制動を制御する制御装置と、前記車体に搭載された前記車載機とを備えることにより本発明の車両を構成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光ビーコンの設置場所や設置環境に応じて、通信領域を太陽光の入射の影響を受けにくい範囲に設定することができるので、太陽光の入射により発生する通信エラーを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明の光ビーコンを含む路車間通信システムの全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、この路車間通信システムは、インフラ側の交通管制システム1と、道路を走行する各車両Cに搭載された車載機2とから構成されている。交通管制システム1は、管制室に設けられた中央装置3と、道路の各所に多数設置された光ビーコン(光学式車両感知器)4とから構成されており、各光ビーコン4は、近赤外線を通信媒体とした光通信によって車載機2との間で双方向通信を行う。なお、中央装置3は交通管制室に設けられている。
【0020】
〔光ビーコンの構成〕
図2は、光ビーコン4と車載機2との概略構成図である。
図1と図2とにおいて、各光ビーコン4は、電話回線等の通信回線5を介して中央装置3と接続された通信インタフェースである通信部6と、この通信部6が接続されたビーコン制御機7と、この制御機7のセンサ用インタフェースに接続された複数の投受光器(ビーコンヘッド)8により一組とされた投受光器ユニット9とを備えている。なお、図例では、一つの投受光器ユニット9は三つの投受光器8a,8b,8cから構成されている。車両進行方向の上流側から第一投受光器8a、第二投受光器8b及び第三投受光器8cが並んで設けられ、一体の投受光器ユニット9として構成されている。
【0021】
図3は、光ビーコン4及びその通信領域を示す側面図である。
投受光器8a,8b,8cのそれぞれは、筐体の内部に発光ダイオード(LED)10とフォトセンサ(受光素子)11とを収納して構成されている。このうち、LED10は、近赤外線よりなるダウンリンク情報(ダウンリンク光)を後述する通信領域に発光し、フォトセンサ11は、車載機2からの近赤外線よりなるアップリンク情報(アップリンク光)を受光する。
【0022】
図4は、図3の光ビーコン4の平面図である。
図4に示すように、本実施形態の光ビーコン4は、車両進行方向を同じとする複数(図例では四つ)の車線R1〜R4を有する道路Rに設置されており、各車線R1〜R4に対応して設けられた前記複数の投受光器ユニット9と、これらの投光器ユニット9がそれぞれ有する投受光器8a,8b,8cを一括制御する制御部である一台の前記ビーコン制御機7とを備えている。
【0023】
ビーコン制御機7は、道路脇に立設した支柱12に設置されており、各投受光器ユニット9は、支柱12から道路R側に水平に架設した架設バー13に取り付けられ、道路Rの各車線R1〜R4の直上に配置されている。
図2において、ビーコン制御機7は、CPU、メモリ(RAM)及び記憶装置(ROM)を有するプログラマブルなマイコンよりなり、通信部6による中央装置3との双方向通信と、投受光器8a,8b,8cのそれぞれによる車載機2との路車間通信との制御を行う通信制御部として機能する。また、ビーコン制御機7は、所定の各機能を実行するプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムが実行する機能部として選択部25を備えている。なお、このビーコン制御機7の選択部25による処理内容については後述する。
【0024】
〔通信領域〕
図3と図4とに示しているように、車線R1〜R4のそれぞれに設けた各投受光器ユニット9において、第一投受光器8aのLED10は、当該第一投受光器8aの設置位置の直下よりも車両進行方向の上流側に向けて近赤外線を発光している。さらに、第一投受光器8aのフォトセンサ11は、当該第一投受光器8aの設置位置の直下よりも車両進行方向の上流側の位置から送られた車載機2の近赤外線を受信するように向けられている。これにより、第一投受光器8aでは、車載機2との間で路車間通信を行うための第一通信領域A1が、当該第一投受光器8aの設置位置よりも車両進行方向の上流側(図3の右側、図4の右側)の範囲に設定されている。
【0025】
第二投受光器8bのLED10は、当該第二投受光器8bの設置位置の直下に向けて近赤外線を発光している。さらに、第二投受光器8bのフォトセンサ11は、当該第二投受光器8bの設置位置の直下の方向に向けられている。これにより、第二投受光器8bでは、車載機2との間で路車間通信を行うための第二通信領域A2が、当該第二投受光器8bの設置位置の直下部分を含む範囲に設定されている。
【0026】
第三投受光器8cのLED10は、当該第三投受光器8cの設置位置の直下よりも車両進行方向の下流側に向けて近赤外線を発光している。さらに、第三投受光器8cのフォトセンサ11は、当該第三投受光器8cの設置位置の直下よりも車両進行方向の下流側の位置から送られた車載機2の近赤外線を受信するように向けられている。これにより、第三投受光器8cでは、車載機2との間で路車間通信を行うための第三通信領域A3が、当該第三投受光器8cの設置位置よりも車両進行方向の下流側(図3の左側、図4の左側)の範囲に設定されている。
そして、これら第一通信領域A1、第二通信領域A2及び第三通信領域A3のうちの少なくとも一つが、太陽光の(反射等の)影響で、車載機2からのアップリンク光の受光が妨げられにくい位置になるように設定される。
【0027】
図3に示すように、通信領域A1,A2,A3のそれぞれは、後述する車載機2の投受光器がダウンリンク情報を受信することができるダウンリンク領域(図3において実線のハッチングを設けた領域)DA1,DA2,DA3と、光ビーコン4の投受光器8a,8b,8cがそれぞれアップリンク情報を受信することができるアップリンク領域(図3において破線のハッチングを設けた領域)UA1,UA2,UA3とからなる。
【0028】
光ビーコン(光学式車両感知器)4の「近赤外線式インタフェース規格」では、アップリンク領域)UA1,UA2,UA3はそれぞれ、ダウンリンク領域DA1,DA2,DA3の車両進行方向の上流部分(図3の右側部分)と重複しており、ダウンリンク領域DA1,DA2,DA3とアップリンク領域UA1,UA2,UA3の上流端c1,c2,c3は互いに一致している。従って、ダウンリンク領域DA1,DA2,DA3それぞれの車両進行方向長さは、通信領域A1,A2,A3それぞれの全体の同方向長さと一致する。
【0029】
図示した形態では、第一通信領域A1の下流側と第二通信領域A2の上流側とは重複しておらず、また、第二通信領域A2の下流側と第三通信領域A3の上流側とは重複していない構成であるが、それぞれの通信領域の一部を重複させてもよい(図示せず)。
以上のように、各光ビーコン4の投受光器ユニット9のそれぞれは複数(図例では三つ)の投受光器8a,8b,8cを有しており、これら投受光器8a,8b,8cは、道路Rの車両進行方向について相互で異なる複数(図例では三つ)の範囲がそれぞれ通信領域として設定されている。そして、後述するビーコン制御機7の選択部25により、車載機2との間で通信を行う投受光器8を少なくとも一つ選択する。これにより、前記三つの通信領域A1,A2,A3のすべてにおいて車載機2と通信したり、三つのうちの一つ又は二つの通信領域において車載機2と通信したりできる。
【0030】
〔車載機及び車両の構成〕
図5は、光ビーコン4と通信する車載機2と、この車載機2が搭載された車両Cの概略構成図である。
図5に示すように、この車両Cは、ドライバの搭乗席(図示せず)を有する車体15と、この車体15に搭載された前記車載機2と、車両Cの各部を統合制御する電子制御装置(ECU)16と、車体15を駆動するエンジン17と、車体15を制動するブレーキ装置18と、車両Cの現時の速度を常時検出している速度検出器26とを備えている。ECU16は、ドライバのアクセル操作に基づくエンジン17の駆動制御や、ブレーキ操作に基づく制動制御等、車両Cに対する各種の制御を行う。
【0031】
車載機2は、車載コンピュータ19と、このコンピュータ19のセンサ用インタフェースに接続された投受光器(車載ヘッド)20と、搭乗席のドライバに対するヒューマンインタフェースとしてのディスプレイ21及びスピーカ装置22とを備えている。
車載機2の投受光器20も、光ビーコンの投受光器8と同様に、発光ダイオード(LED)とフォトセンサとを備えている(図示せず)。このうち、LEDは、近赤外線よりなるアップリンク情報(アップリンク光)を発光し、フォトセンサは、光ビーコン4の通信領域に発光された近赤外線よりなるダウンリンク情報(ダウンリンク光)を受光する。
【0032】
車載コンピュータ19は、CPU、メモリ(RAM)及び記憶装置(ROM)を有するプログラマブルなマイコンよりなり、投受光器20による光ビーコン4との路車間通信の制御処理を行う。また、車載コンピュータ19は、所定の各機能を実行するプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムが実行する機能部として支援制御部24を備えている。この支援制御部24は、後にも説明するが、車載機2が受信したダウンリンク情報に含まれる支援情報に基づいてドライバに対する安全運転支援の制御を行う。
【0033】
また、車載機2の投受光器20は、光ビーコン4の三つの投受光器8a,8b,8cのそれぞれとの間で通信することができる方向に向けられて設けられている。例えば、車載機2は三つの投受光器20を有しており、一つは車体15のフロントガラスの手前側のダッシュボード上など車体15の前部に設けられ、別の一つは車体15の屋根上などの車体15の中央上部に設けられ、残りの一つは車体15のリアガラスの手前側など車体15の後部に設けられている。または、一つの投受光器20を車体15の屋根に設置し、これにより、光ビーコン4の三つの投受光器8a,8b,8cのそれぞれとの間で通信する構成としてもよい。
【0034】
〔路車間通信〕
図6は、通信領域において光ビーコン4の投受光器8a,8b,8cの少なくとも一つと車載機2の投受光器20との間で行われる双方向での路車間通信の手順を示している。以下、図6を参照しつつ、この路車間通信の内容を説明する。なお、通信領域A1,A2,A3のそれぞれにおいて行われる路車間通信の手順は同じである。以下においては第一通信領域A1において行われる路車間通信を代表として説明する。
まず、光ビーコン4のビーコン制御機7は、各車線R1〜R4に対応する各投受光器ユニット9の第一投受光器8aから、ダウンリンクの切り替え前の第一情報として、車線通知情報を含む第一のダウンリンク情報28を、各車線R1〜R4のダウンリンク領域DA1に所定の送信周期で常に送信し続けている(図6のF1)。なお、この段階では、車線通知情報には未だ車両IDは格納されていない。
【0035】
車載機2を搭載した車両Cがダウンリンク領域DA1の上流側部分に進入すると、車載機2の投受光器20が車線通知情報(車両ID無し)を含む第一のダウンリンク情報28を受信する。この際、車載機2の車載コンピュータ19は、当該車両Cが第一通信領域A1内に存在していることを認識する。その後、車載コンピュータ19はアップリンク情報29の送信を開始し(図6のF2)、このアップリンク情報29を光ビーコン4の第一投受光器8aに対して所定の送信周期で送信する(図6のF3)。
【0036】
車載コンピュータ19は、アップリンク情報29の送信をアップリンク領域UA1(図3参照)において行い、そのアップリンク情報29に当該車両Cに特定の車両IDを格納して当該アップリンク情報29を送信する。
なお、車載コンピュータ19は、ビーコン間の旅行時間情報を有している場合には、この情報もアップリング情報29に含ませる。また、車載コンピュータ19は、光ビーコン4のビーコン制御機7がダウンリンクの切り替えを行ったことを認識するまで、当該アップリンク情報29を送信し続ける。
【0037】
一方、光ビーコン4の第一投受光器8aがアップリンク情報29を受信すると(図6のF4)、ビーコン制御機7は、ダウンリンクの切り替え後の第二情報として、上記車両ID情報を有する車載機2のための車線通知情報を含む第二のダウンリンク情報30の送信を開始し(図6のF5)、このダウンリンク情報30の送信を所定時間内において可能な限り繰り返す(図6のF6)。
上記車線通知情報には、車線R1〜R4ごとに車両IDを格納するフィールドがあり、各車両IDに対して車線番号を付与することができる。このため、異なる車線R1〜R4を走行する各車両Cの車載コンピュータ19は、その格納フィールド内のいずれに自車両の車両IDが含まれるかを判断することにより、自車両がどの車線R1〜R4を走行しているかを認識できる。
【0038】
第二のダウンリンク情報30には、車両IDを含む車線通知情報の他に、渋滞情報、区間旅行時間情報、事象規制情報、及び、ドライバに対する安全運転支援のための前記支援情報等が含まれている。
この支援情報には、光ビーコン4の下流側の信号機の灯色が変わるタイミング情報である前記信号機情報や、ダウンリンク領域DA1から光ビーコン4の下流側の所定位置(例えば、前方の交差点手前にある停止線)までの長さ情報である距離情報等が含まれる。
【0039】
図6に示すように、第二のダウンリンク情報30は、単一又は複数の最小フレーム31で構成されている。前記「近赤外線式インタフェース規格」によれば、この最小フレーム31のデータ量は合計128バイトと規定され、ヘッダ部32に5バイト、実データ部33に123バイトが割り当てられている。
【0040】
なお、前記規格によれば、第二のダウンリンク情報30は、1〜80個の最小フレーム31で構成することができ、送信可能時間は250msに設定されている。また、このダウンリンク情報30は送信すべき情報量に対応した任意数の最小フレーム31で構成され、上記送信可能時間の範囲内で繰り返し送信される。
最小フレーム31の送信周期は約1msである。従って、例えば、三つの最小フレーム31で一つのダウンリンク情報30を構成する場合には、ダウンリンク情報30の送信周期は約3msになるので、当該ダウンリンク情報30は所定の送信可能時間(250m)の間に約80回繰り返して送信されることになる。
【0041】
車載機2の車載コンピュータ19は、第二のダウンリンク情報30を受信した時点(図6のF7)で光ビーコン4でのダウンリンクの切り替えを認識し、この時点でアップリンク情報29の送信を停止する。
このように、車載機2の車載コンピュータ19は、支援情報を含むダウンリンク情報30を受け、例えば、この支援情報に基づいて安全運転支援の制御を開始する(図6のF8)。
【0042】
〔ビーコン制御機の処理内容〕
ビーコン制御機7の前記選択部25(図2参照)は、一つの投受光器ユニット9における三つの投受光器8a,8b,8cのうちから、車載機2と通信させる投受光器を少なくとも一つ選択する処理を行う。選択部25は、投受光器ユニット9を設置した場所やその周辺の環境に応じて、車載機2と通信させる投受光器8を自動的に選択する。具体的には、選択部25は、三つの投受光器8a,8b,8cのそれぞれによる三つの通信領域A1,A2,A3(図3参照)のうち、太陽光の入射の影響を受けにくいものを少なくとも一つ選択する。
【0043】
選択部25による選択方法を説明する。
図2において、まず、選択部25は、第一投受光器8a、第二投受光器8b及び第三投受光器8cがそれぞれ受信したアップリンク情報のうちの所定時間における受信エラーの発生数を検出し、予め設定した所定の閾値とそれぞれの測定値とを比較し、いずれかの測定値が閾値以下である場合、昼であり太陽光の影響を受けていることを判別する。これは、夜では太陽光の影響がないために、すべての測定値が閾値以上となるからである。なお、前記受信エラーの発生数の代わりに、受光レベルを利用してもよい。
そして、選択部25が、太陽光の影響を受けていることを判別すると、以下の選択方法により、選択部25は投受光器を選択する。
なお、夜であり太陽光の影響がないと判別した場合、第一投受光器8a、第二投受光器8b及び第三投受光器8cのすべてにおいて良好な通信環境が確保されているため、選択部25は、予め設定された投受光器8を少なくとも一つ自動的に選択する。
【0044】
第一の選択方法として、選択部25は、第一投受光器8a、第二投受光器8b及び第三投受光器8cのそれぞれの所定時間における受信エラーの発生数を検出し、最も受信エラーの発生数が小さい投受光器8を選択する。これにより、太陽光の入射方向を判別できる。そして、この選択した投受光器8を利用して車載機2との通信を行う。
第二の選択方法として、選択部25は、第一投受光器8a、第二投受光器8b及び第三投受光器8cのそれぞれの所定時間における受信エラーの発生数を検出し、予め設定した所定の閾値とそれぞれの測定値とを比較し、閾値よりも高い測定値が得られた投受光器8を選択する。そして、この選択した投受光器8を利用して車載機2との通信を行う。この場合、二つ又は三つの投受光器8が選択される場合がある。
【0045】
また、前記各選択方法では、選択部25が受信エラーの発生数を検出することにより、光ビーコン4側において利用する投受光器8を選択し、通信領域を決定しているが、受信エラーの発生数の代わりに投受光器における受光レベルを検出してもよい。つまり、路車間通信を行っていない状態において、選択部25は、第一投受光器8a、第二投受光器8b及び第三投受光器8cのそれぞれの受光レベルを検出し、最も受光レベルの低い投受光器を選択したり、予め設定した所定の閾値とそれぞれの受光レベルの測定値とを比較し、閾値よりも低い測定値が得られた投受光器を選択したりしてもよい。これは、路車間通信を行っていない状態で、投受光器において「受光レベルが高い」ということは、太陽光等のノイズ光をより多く受光しているためである。
【0046】
さらに、前記各選択方法と共に、選択部25は、車載機2からのアップリンク情報の受信と、光ビーコン4側からのダウンリンク情報の送信とのうち、いずれが優先されるべきかに基づいて通信領域を選択するのが好ましい。例えば、図3において、車両Cが北向きに走行している車線の場合、南側からの太陽光が路面で反射して第一投受光器8aに入射しやすいため、光ビーコン4では、車載機2からのアップリンク情報について第一投受光器8aを利用して受信する場合の方が、第三投受光器8cによって受信する場合よりも受信エラーが生じやすい。
しかし、この場合において、南側からの太陽光と第三投受光器8cのLEDからの近赤外線の方向とが同じ方向となりやすいため、車載機2の投受光器20では、光ビーコン4からのダウンリンク情報について第三投受光器8cを利用して受信する場合の方が、第一投受光器8aによって受信する場合よりも受信エラーが生じやすい。
【0047】
したがって、光ビーコン4と車載機2との間の双方向通信において、光ビーコン4が受信するアップリンク情報がより重要であり、アップリンク情報の受信を優先する必要がある場合には、選択部25は、アップリンク情報について受信エラーが生じにくい第三投受光器8cを選択する。逆に、車載機2が受信するダウンリンク情報がより重要であり、ダウンリンク情報の受信レベルを優先する必要がある場合には、選択部25は、ダウンリンク情報について受信エラーが生じにくい第一投受光器8aを選択する。
または、選択部25は、光ビーコン4がアップリンク情報を受けるために第三投受光器8cを選択し、かつ、車載機2にダウンリンク情報を受けさせるために第一投受光器8aを選択するようにしてもよい。
【0048】
このように選択部25は、太陽光の入射の影響を受けにくい範囲に設定されたダウンリンク領域又はアップリンク領域を通信のために利用するように、投受光器8を自動的に選択することができ、これにより、太陽光の入射により発生する通信エラーを低減することができる。
【0049】
以上のように、前記実施形態によれば、道路の各所に複数の光ビーコン4が設置されているが(図1参照)、これら複数の光ビーコン4には、投受光器8の設置位置と当該投受光器8による通信領域との相対位置について、他の光ビーコンと異なっている光ビーコンが含まれている路車間通信システムとなる。すなわち、複数の光ビーコン4には、光ビーコン4の投受光器8の設置位置における当該投受光器8の取り付け向きについて、他の光ビーコンと異なっている光ビーコンを含ませることができるので、各光ビーコン4を設置する場所や環境に応じて、光ビーコン4の投受光器8の取り付け向きを、他の光ビーコンと異ならせ、太陽光の入射の影響を受けにくい方向に設定することができる。これにより、前記複数の光ビーコン4には、太陽光の(反射等の)影響で、車載機2からのアップリンク光の受光が妨げられにくい位置に通信領域(アップリンク領域)が設定された投受光器8を有する光ビーコン4が含まれている路車間通信システムが構成される。
【0050】
具体的には、複数の光ビーコン4は、前記第一投受光器8aを利用して通信を行う光ビーコンと、前記第二投受光器8bを利用して通信を行う光ビーコンと、前記第三投受光器8cを利用して通信を行う光ビーコンとのうちの、少なくとも二種類の光ビーコンからなる。
なお、図1においては、第一の光ビーコン4a及び第五の光ビーコン4eでは、第一投受光器8aが利用され、車両進行方向の上流側が通信領域A1として設定されている。第二の光ビーコン4bでは、第三投受光器8cが利用され、車両進行方向の下流側が通信領域A3として設定されている。また、第三の光ビーコン4cでは、第二投受光器8bが利用され、この第二投受光器8bの設置位置の直下部分を含む範囲が通信領域A2として設定されている。第四の光ビーコン4dでは、第一投受光器8a及び第二投受光器8bが利用され、車両進行方向の上流側の範囲(通信領域A1)及び投受光器8bの設置位置の直下部分を含む範囲(通信領域A2)の双方が通信領域A4として設定されている。なお、この設定は、各光ビーコン4を道路の各所に設置する際に、予め行ったものであってもよく、または、各光ビーコン4を設置した後において、前記選択部25の機能により自動的に行ったものであってもよい。
【0051】
そして、光ビーコン4を道路の各所に設置する際に、通信領域の設定を予め行う場合を具体的に説明すると、前記第二の光ビーコン4bを設置する際に、当該第二の光ビーコン4bが有している投受光器8cは、当該投受光器8cの設置位置よりも車両進行方向の下流側の範囲が通信領域A3として予め設定される。そして、車載機2は、この光ビーコン4bの投受光器8cとの間で通信することができる方向に向けられた投受光器20を有している。
【0052】
そして、各光ビーコン4において、通信領域の設定を前記選択部25の機能により自動的に行う場合をさらに説明する。光ビーコン4のそれぞれは、複数の投受光器8a,8b,8cを有した投受光器ユニット9を備えており、これら投受光器8a,8b,8cのそれぞれが、道路Rの車両進行方向について相互で異なる複数の範囲がそれぞれ通信領域として設定されている。そして、ビーコン制御機7の選択部25は、各光ビーコン4を設置した場所や設置した環境、さらには時間帯に応じて、太陽光の入射の影響を受けにくい通信領域を選ぶために、複数の投受光器8a,8b,8cのうちから車載機2と通信させる投受光器8を少なくとも一つ選択する。
例えば、選択部25は、前記選択方法により、各光ビーコン4における通信領域を、車両進行方向の上流側の範囲としたり、投受光器ユニット9の設置位置の直下部分を含む範囲としたり、車両進行方向の下流側の範囲としたり、選択して切り換えることができる。
【0053】
これにより、各所に設置されたそれぞれの光ビーコン4において、太陽光の入射により発生する通信エラーを低減することができる。特に、夕刻の時間帯では、路面で反射した太陽光が光ビーコン4の投受光器8に入射しやすくなるが、車載機2との間の通信に利用する投受光器8を選択部25が選択することにより、太陽光の影響による通信エラーを低減することができる。
さらに、このように通信エラーを低減することができると共に、一つの投受光器ユニット9において、三つの投受光器8a,8b,8cのうちの複数を同時に利用した場合では、一つの投受光器のみを利用した場合よりも、通信領域の範囲を広くすることができ、大容量のデータの送受信を行うことができる。
【0054】
また、このように太陽光の入射により発生する通信エラーを低減することができることから、光ビーコン4は車載機2からアップリンク情報を正確に受信することができ、また、車載機2は光ビーコン4からダウンリンク情報を正確に受信することができる。このため、光ビーコン4側(交通管制システム1側)は車載機2からの所定の情報を正確に入手することができ、また、車載機2側は光ビーコン4側から所定のサービスを享受することができる。これにより、前記車載コンピュータ19の支援制御部24は、車載機2が受信したダウンリンク情報に含まれる支援情報に基づいてドライバに対する安全運転支援の制御を適切に行うことができる。
【0055】
このように、本発明によれば、光ビーコン4と車載機2との間の路車間通信の品質を向上させることが可能となり、従来では時間帯などによって太陽光が入射しやすくなることにより路車間通信の品質が低下し、車載機2に有用なサービスを享受させることができなかった場所であっても、この路車間通信システムを採用することにより、このサービスの提供が可能となる。
【0056】
なお、前記安全運転支援は、例えば、信号機情報や距離情報等の支援情報に基づく車両Cの減速制御やドライバへの報知制御が含まれる。この信号機情報は、光ビーコン4の下流側にある信号機の灯色が変わるタイミング情報等であり、距離情報は、通信領域から光ビーコン4の下流側の所定位置(例えば、車両走行方向の前方の交差点手前に設けられている停止線)までの長さ情報である。
【0057】
また、安全運転支援を行うシステムの運用は、路車間通信の品質に大きく影響を受ける。路車間通信の品質が低下すると、車載機2が必要とする情報をインフラから不足無く受信することができなくなるためである。例えば、信号機の灯色の切り替わるタイミングに関する情報を全部又は一部について、受信できないために、車両Cが交差点手前の停止線付近で停止すべきか否かを判断できなくなったり、停止線までの距離に関する情報を全部又は一部について、受信できないために、停止線手前で停止するために行うブレーキ制御の制動方法を判断できなくなったりする(制動方法を誤ったりする)場合がある。
【0058】
そこで本発明によれば、例えば、一つの光ビーコン4において、第一通信領域A1と第三通信領域A3とのそれぞれにおいて前記信号機情報や距離情報等を送信しており、車載機2において、仮に第一通信領域A1で受信した情報に不足があっても、第三通信領域A3において不足無く情報を受信できれば、安全運転支援制御を実施することが可能となり大変有用である。
このように、複数の通信領域を有することで、光ビーコン4から車載機2への情報伝達の確実性をより一層高めることができる。このため、路車間通信の品質に大きく依存する安全運転支援システム等においては極めて有用性が高くなる。
【0059】
なお、上記のように第一通信領域A1と第三通信領域A3とのそれぞれにおいて、前記信号機情報や距離情報等を送信する場合、例えば、第一通信領域A1において送信する距離情報には、第一通信領域A1から停止線までの距離を含ませ、第三通信領域A3において送信する距離情報には第三通信領域A3から停止線までの距離を含ませても良い。これによれば、画一的に同一の情報を送信する場合に比べて、情報の精度をより一層高めることができる。また、例えば第一通信領域A1にはVICSに関する情報を、第三通信領域A3には安全運転支援に関する情報を送信することもできる。このように用途に応じた情報を異なる通信領域に送信することで、路車間通信の伝達情報量を大きくすることができ大変有用である。
【0060】
以上のように、信号機情報及び距離情報がダウンリング情報に含まれていることにより、車載コンピュータ19の支援制御部24は、前方の信号機が赤に変わる時点で車両Cが交差点内に進入していないように、ECU16にブレーキ装置18を作動させて車両Cを減速したり、信号機が赤に変わることを前記ディスプレイ21やスピーカ装置22によってドライバに報知する。
【0061】
また、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、道路の各所に設置される複数の光ビーコン4は、投受光器8の設置位置と当該投受光器8による通信領域との相対位置が相互で異なる少なくとも二種類の光ビーコン4からなればよく、前記実施形態では、第一通信領域A1、第二通信領域A2及び第三通信領域A3の三種類の光ビーコン4からなる構成であるが、これらのうちの二種類の光ビーコン4からなる構成であってもよい。そして、車載機2に、この少なくとも二種類の前記光ビーコン4との間で通信することができる方向に向けられた投受光器20を備えさせればよい。これにより、通信領域が異なる少なくとも二種類の光ビーコン4のそれぞれと、車載機2は通信することができる。
【0062】
さらに、前記実施の形態では、各光ビーコン4の一つの投受光器ユニット9において、三つの投受光器8a,8b,8cを有していたが、これら投受光器8は少なくとも二つを有していればよく、そして、これら投受光器8を選択部15の機能により少なくとも一つを選択して利用するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の車載機を含む路車間通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】光ビーコンと車載機との概略構成図である。
【図3】光ビーコン及びその通信領域を示す側面図である。
【図4】光ビーコンの平面図である。
【図5】光ビーコンと通信する車載機と、この車載機が搭載された車両の概略構成図である。
【図6】通信領域で行われる路車間通信の手順とデータ内容を示す概念図である。
【図7】従来の路車間通信システムを説明する説明図である。
【符号の説明】
【0064】
2 車載機
4 光ビーコン
8 投受光器(ビーコン側)
8a 第一投受光器
8b 第二投受光器
8c 第三投受光器
15 車体
16 電子制御装置(ECU)
19 車載コンピュータ
20 投受光器(車載機側)
25 選択部
A1,A2,A3,A4,A5 通信領域
C 車両
R 道路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を走行する車両の車載機と、前記道路の所定範囲に通信領域が設定された投受光器をそれぞれ有している複数の光ビーコンと、を備え、前記車載機と前記光ビーコンとの間で光信号による双方向通信を行う路車間通信システムであって、
前記複数の光ビーコンには、太陽光の反射等の影響でアップリンク光の受光が妨げられ難い位置に前記通信領域が設定された前記投受光器を有する光ビーコンが含まれていることを特徴とする路車間通信システム。
【請求項2】
前記複数の光ビーコンは、設置位置よりも車両進行方向の上流側の範囲が第一通信領域として設定された第一投受光器を有する光ビーコンと、設置位置の直下部分を含む範囲が第二通信領域として設定された第二投受光器を有する光ビーコンと、設置位置よりも車両進行方向の下流側の範囲が第三通信領域として設定された第三投受光器を有する光ビーコンと、のうちの少なくとも二種類の光ビーコンからなる請求項1に記載の路車間通信システム。
【請求項3】
前記車載機は、少なくとも二種類の前記光ビーコンとの間で通信することができる方向に向けられた投受光器を有している請求項2に記載の路車間通信システム。
【請求項4】
前記各光ビーコンは、道路の車両進行方向について相互で異なる複数の範囲がそれぞれ通信領域として設定されている複数の投受光器と、これら複数の投受光器のうちから、前記車載機と通信させる投受光器を少なくとも一つ選択する選択部と、を有している請求項1〜3のいずれか一項に記載の路車間通信システム。
【請求項5】
車両の車載機との間で光信号による双方向通信を行う、路車間通信に使用する光ビーコンであって、
道路の車両進行方向について相互で異なる複数の範囲がそれぞれ通信領域として設定されている複数の投受光器と、これら複数の投受光器のうちから前記車載機と通信させる投受光器を少なくとも一つ選択する選択部と、を有していることを特徴とする光ビーコン。
【請求項6】
設置位置よりも車両進行方向の上流側の範囲が第一通信領域として設定された第一投受光器と、設置位置の直下部分を含む範囲を第二通信領域として設定された第二投受光器と、設置位置よりも車両進行方向の下流側の範囲が第三通信領域として設定された第三投受光器と、のうちの少なくとも二つを有している請求項5に記載の光ビーコン。
【請求項7】
車両の車載機との間で光信号による双方向通信を行う、路車間通信に使用する光ビーコンであって、
設置位置よりも車両進行方向の下流側の範囲が通信領域として設定された投受光器を有していることを特徴とする光ビーコン。
【請求項8】
道路を走行する車両の車載機であり、設置位置よりも車両進行方向の下流側の範囲が通信領域として設定された投受光器を有している光ビーコンとの間で光信号による双方向通信を行う、路車間通信に使用する車載機であって、
前記光ビーコンとの間で通信することができる方向に向けられた投受光器を有していることを特徴とする車載機。
【請求項9】
道路を走行する車両の車載機であり、道路の車両進行方向について相互で異なる複数の範囲がそれぞれ通信領域として設定されている複数の投受光器を有する光ビーコンとの間で光信号による双方向通信を行う、路車間通信に使用する車載機であって、
前記光ビーコンの複数の投受光器のうちの少なくとも一つとの間で通信することができる方向に向けられた投受光器を有していることを特徴とする車載機。
【請求項10】
車体と、この車体の駆動及び制動を制御する制御装置と、前記車体に搭載された請求項8又は9に記載の車載機と、を備えたことを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−134897(P2008−134897A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321656(P2006−321656)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】