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路面標示用水性塗料固着促進剤、路面標示形成方法、塗料キット及び塗装装置
説明

路面標示用水性塗料固着促進剤、路面標示形成方法、塗料キット及び塗装装置

【課題】水性塗料を用いて路面標示を形成する際にその水性塗料からなる塗膜の固化を促進させて強固に固着させることのできる路面標示用水性塗料固化促進剤、ならびにその固化促進剤を用いて、耐水性に優れた路面標示(塗膜)を形成させることのできる方法、塗料キット及び固化促進剤の塗装装置を提供する。
【解決手段】酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子を含む、路面標示用水性塗料固化促進剤。酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子の含有率が、10質量%以上である、前記の路面標示用水性塗料固化促進剤。路面標示用水性塗料と前記の路面標示用水性塗料固化促進剤を同時に路面に塗布する工程を含む路面標示形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面標示用水性塗料固化促進剤および路面標示形成方法に関し、特に、路面に塗布された路面標示用水性塗料の乾燥時間を短縮し、その塗料の固化を促進する路面標示用水性塗料固化促進剤、該固化促進剤を用いて、耐水性、乾燥性に優れる路面標示を形成できる方法、塗料キット及び塗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
舗装道路の路面には、道路交通に関する警戒、案内、指示等のため、各種の区画線または道路標示(以下、「路面標示」という)が塗料を用いて施されている。
路面標示工事は、道路交通を規制して行われるが、路面標示用塗料は、道路交通を規制してから通行を可能にするまでの時間(交通規制時間)を短縮するために、塗料塗布後の乾燥時間が可能な限り早いことが要求されると共に、交通開放直後の走行車両のタイヤによる塗膜の耐汚れ性に優れることが求められる。そのような塗料として、従前、蒸発速度の速いケトン系、エステル系、芳香族系、脂肪族系の有機溶剤を用いた塗料が使用されてきた。
【0003】
しかしながら、蒸発性有機溶剤は、環境汚染のひとつとなっており、近年では、より環境汚染の少ない路面標示用水性塗料が使用されている。従前の有機溶剤系を使用した路面標示用塗料の場合、塗布後通常約10分程度で交通開放が可能である一方、路面標示用水性塗料の乾燥時間は、塗布後の雰囲気温度に大きく依存し、特に低温時には、数時間を要し交通開放が長くなり、乾燥に至っても塗膜に粘着が残りタイヤによる汚れが発生するなどの不具合から、実際の使用を大きく制限している。
【0004】
上記の水性塗料を路面標示に用いる場合の問題を解決するためにいくつかの試みがなされている。例えば、特許文献1には、水性塗料を塗布後、水溶性塩を接触させる方法が開示されている。しかし、この方法は塗膜の乾燥速度の向上には効果的であるが、水溶性塩を接触させることによって、塗膜表面が非常に速く乾燥して塗膜表面に皮が張り、塗膜内側のさらなる乾燥が阻害される。そのため、塗膜の表層が乾燥しても塗膜の内側低部は依然として水分が多く中膿みの状態となって、塗膜のずり応力に問題を生じ、また、車両通過によって塗膜が汚染されやすいという問題がある。
【0005】
また、特許文献2には、水を吸収できる固形ポリマー粒子または無機化合物の粒子を含む即乾性の水性道路マーキング塗料、およびその粒子を表面に塗料とともに、または塗布された塗料の上にスプレーし、水性道路マーキング塗料の乾燥を促進する方法が開示されている。そして、固形ポリマーまたは向き化合物の粒子として、イオン交換樹脂ビーズ、超吸水ゲル、中空球状およびタルクが挙げられている。
しかし、この公報に記載の技術において、水を吸収できる固形ポリマー、超吸収ゲルは、塗膜の乾燥の促進には有効であるが、乾燥塗膜が降雨時等に水を再吸収して塗膜強度に問題を生じる。また、イオン交換樹脂は、乾燥を促進する効果があるが、その効果は水溶性塩で処理した場合より少なく、また、イオン交換樹脂は高価であるため、コスト上、問題がある。
【0006】
特許文献3は、水性塗料の塗布前、塗布中、塗布後に酸あるいは塩水溶液、または酸あるいは塩固形粒子の状態で塗料と接触させ乾燥を促進する方法を開示している。
【0007】
特許文献4には、酸との接触によって凝集する水希釈可能な分散塗料を路面に標示する方法と装置を開示している。水分散型塗料を路面に塗布する際に、その塗料上に、または塗料中に反射粒子粉を散布した後に、酸水溶液をスプレー散布する方法、または塗料の上または塗料中に酸で処理した粒子粉を散布、更に水溶液の形で酸をスプレー散布することによって、数分で乾燥させる方法および装置を開示している。
【0008】
特許文献5には、水と反応することで発熱可能な非水溶性の無機化合物粒子を水性塗料とともに路面に塗布または路面に塗布された水性塗料の塗膜上に散布し乾燥を促進する、路面標示形成方法を開示している。
【0009】
特許文献3と特許文献4の発明の技術は、水分散型塗料と水溶性塩との接触によって瞬時に凝集を起こさせ乾燥を促進する方法である。塗料をスプレーした後、または、塗料と同時に粒子を適用すると、塗料に対してガラスビーズの固着性が悪くなり夜間視認性に問題が発生することになる。また、瞬時に凝集を起こさせるため、塗布した塗料表面のみが固化して、塗膜のずり応力に問題を生じる。また、車両通過によって塗膜が汚染されやすいという問題、更に瞬時に塗料に凝集を起こさせるため粒子を塗料散布前に散布する場合、路面への塗料の付着・凝集力が劣るという課題もある。
【0010】
特許文献5の発明の技術は、水と反応することで発熱可能な非水溶性の無機化合物粒子を散布するもので塗膜表面および内部まで乾燥を促進できるが、粉末粒子を塗布面に均一に規定量を散布固着させるには大量の散布が必要で、周囲への粒子の飛散が生ずるという課題がある。
【0011】
何れの特許文献とも乾燥を促進するための処理剤粒子または処理剤水溶液を散布する方法に関する技術が記載されている。しかし、提案されている技術は、速乾性の路面標示を形成できるものの、上述したような各々の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許公開第0−200−249号
【特許文献2】特開平9−235489号公報
【特許文献3】特公平6−76684号公報
【特許文献4】国際公開第94/29391号パンフレット
【特許文献5】特許第4219703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、水性塗料を用いて路面標示を形成する際にその水性塗料からなる塗膜の固化を促進させて強固に固着させることのできる路面標示用水性塗料固化促進剤、ならびにその固化促進剤を用いて、耐水性に優れた路面標示(塗膜)を形成させることのできる方法、塗料キット及び固化促進剤の塗装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は以下の通りである。
(1) 酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子を含む、路面標示用水性塗料固化促進剤。
(2) 酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子の含有率が、10質量%以上である、(1)記載の路面標示用水性塗料固化促進剤。
(3) 路面標示用水性塗料と(1)又は(2)に記載の路面標示用水性塗料固化促進剤を同時に路面に塗布する工程を含む路面標示形成方法。
(4) 路面標示用水性塗料と請求項1又は2に記載の路面標示用水性塗料固化促進剤を同時に路面に塗布する第1工程と、前記水性塗料の塗膜表面にガラスビーズを散布する第2工程とを含む路面標示形成方法。
(5) 路面標示用水性塗料固化促進剤中の、酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子の含有量が、路面標示用水性塗料100gに対して、0.05〜10gである、(3)又は(4)に記載の路面標示形成方法。
(6) (1)又は(2)に記載の路面標示用水性塗料固化促進剤と、路面標示用水性塗料を含む塗料キット。
(7) (1)又は(2)に記載の路面標示用水性塗料固化促進剤を定量供給し、水性塗料塗布スプレー部まで移送する機能を具備し、前記路面標示用水性塗料固化促進剤と路面標示用水性塗料を同時に路面に塗布する塗装装置。
(8) (1)又は(2)に記載の路面標示用水性水性塗料固化促進剤を定量供給し、水性塗料塗布スプレー部まで移送する機能を具備し、前記路面標示用水性塗料固化促進剤と路面標示用水性塗料を同時に路面に塗布し、ガラスビーズを散布する塗装装置。
(9) 路面標示用水性塗料のスプレーが通過する容器内に、移送された該路面標示用水性塗料固化促進剤を拡散させ、該路面標示用水性塗料に該路面標示用水性塗料固化促進剤を混合させ、容器外に飛散抑制する機能を具備した(7)又は(8)に記載の塗装装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明の路面標示用水性塗料固化促進剤、路面標示形成方法および塗装装置を使用することによって乾燥時間、耐水浸漬性を著しく向上することができる。これにより、これまで不可能であった低温、多湿条件下での塗装が可能となる。
また、固化促進剤の塗装装置周辺への飛散が抑制され、通常同様の塗装工事が実施可能となる。更に、乾燥時間の短縮により、工事規制時間の短縮が可能となり、交通渋滞を大幅に低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の路面標示用水性塗料固化促進剤は、酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子を含む。また、本発明は、路面に塗布した路面標示用水性塗料を乾燥させ、塗膜の固着を促進するために、前記水性塗料固化促進剤を路面標示用水性塗料とともに路面に塗布する工程を含む路面標示形成方法と塗装装置である。
なお、本発明において、「路面」とは、車両通行のための道路舗装面、飛行機の滑走路面、工場内の通行路、自転車道、歩道等の舗装路面、また屋内外の駐車場等の舗装面をも含む。また、「舗装」とは、アスファルト舗装、コンクリート舗装、敷石舗装等をいう。また、「路面舗装」とは、路面に各種の表示を目的として塗装により形成されるマークであり、例えば、区画線、横断歩道、はみ出し禁止等を線、文字、記号、模様等によって交通標示することができる。
【0017】
以下、本発明の路面標示用水性塗料固化促進剤(以下、固化促進剤と略す)、路面への水性塗料(標示)の形成方法および塗装装置について詳細に説明する。
本発明の固化促進剤は、水性塗料の固化および固着を促進する成分として酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子を含むものである。また、これらの粒子は、固着後の塗料との反応性および塗膜の仕上がり性を考慮すると平均粒径が1〜300μmであることが好ましく、30〜150μmがより好ましく、60〜100μmが特に好ましい。これらの粒子の形状は特に限定されない。なお、粒子の平均粒径は、例えば、コールターカウンター法、レーザー回折散乱法等で測定可能である。
【0018】
更に、本発明の固化促進剤は、前記粒子をそのまま適用することが可能であるが、特に固化促進剤の散布量の調整と均一散布する方法として、必要に応じて固化促進性を持たない成分を塗膜の性能を損なわない範囲で適宜配合して混合使用するのが有効である。
よって、本発明の固化促進剤中の、酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子の含有率は、10質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。含有率が、10質量%未満の場合、乾燥性や耐水浸漬性が劣るおそれがある。なお、酢酸カルシウムの粒子、酢酸マグネシウムの粒子は、いずれか一方のみでもよく、また、例えば、酢酸カルシウムの粒子100質量%でもよい。
【0019】
本発明の固化促進剤において、適宜配合される成分としては、非水溶性の炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、珪砂粉等が挙げられる。その粒径は、5〜600μmの範囲のものが、好ましく、また、用いられる固化促進剤の粒子よりも大きい粒径のものがよい。また、適宜配合される成分は、単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
本発明の固化促進剤を適用して、その固化・固着を促進できる水性塗料は、特に限定されず、従来の路面標示用に用いられているいずれの水性塗料でもよい。特に、本発明の固化促進剤は、JIS K5665の路面標示用塗料の品質を満足させるための組成等の観点から、60〜85質量%の総固形分を有し、乾燥塗膜0.1〜0.5mmで塗布する路面標示用水性塗料の固化・固着に有用であるが、特に総固形分、膜厚は限定されるものではない。
【0021】
路面標示用水性塗料の樹脂成分の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル、スチレン等のエチレン性不飽和基を有する化合物を重合又は共重合してなる樹脂成分、アクリル酸エステル樹脂成分等が挙げられる。
更に、樹脂成分は、カルボキシル基、エポキシド基、アミノ基、炭素―炭素二重結合等の反応性官能基または結合を分子内に導入した重合体であってもよい。また、水性塗料のビヒクル(塗料の液相の構成成分の総称)は、分散ポリマーであってもよし、水溶性ポリマーとの混合物であってもよい。
【0022】
また、路面標示用水性塗料は、塗布作業性、着色や塗料物性、塗膜物性を改善するために、添加される各種の添加剤または顔料を、特性に応じて適宜選択し、それぞれ単独、あるいは2種以上を組み合わせて配合することができる。
例えば、添加剤としては、塗料に一般的に使用されている分散剤、湿潤剤、沈降防止剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤等がある。また、顔料としては、各種着色顔料および増量剤としての各種体質顔料が挙げられる。
【0023】
路面標示用水性塗料においては、無機顔料などの添加成分が含まれていてもよい。添加成分としては、アルミナ、酸化チタン、酸化セリウム、水酸化セリウム、水酸化亜鉛、水酸化鉄、水酸化アルミニウム、マグネシア、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性硫酸マグネシウム、シリカ、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機化合物、クレー、カオリン、タルク、べんがら、カーボンブラック、マイカ、雲母などの一般に無機顔料として市販されているもの、並びにこれらの表面改質物などが挙げられる。さらに、フタロシアニンブルーやレーキレッド、ファースイエローなどの一般的な着色顔料や、通常塗料に用いられる増粘剤や分散剤などを適宜配合することができる。また、一般に塗料の着色顔料として使用される、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、コバルトブルー等が挙げられる。
【0024】
また、路面標示用水性塗料は、溶媒または分散媒として主として水を使用するが、必要に応じて単独または2種類以上の有機溶剤を含んでいてもよい。特に、水溶性の有機溶媒が好ましいが、水性塗料の安定性を阻害するものでなければ限定するものではない。
路面標示用水性塗料への本発明の固化促進剤の適用は、水性塗料と水性塗料固化促進剤を同時に塗布する第1工程、前記水性塗料の塗膜表面にガラスビーズを散布する第2工程を含む路面標示形成方法および塗装装置によってなされる。
また、本発明の塗料キットは、前記路面標示用水性塗料固化促進剤と、前記路面標示用水性塗料を含むものである。塗料キットにおいて、固化促進剤と水性塗料の配合割合は、特に限定しないが、質量比で、水性塗料100gに対し、0.05〜10gであることが好ましい。なお、前記配合比の場合、固化促進剤中の酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子の含有率は、100質量%であることが好ましい。
【0025】
また、使用されるガラスビーズの基本的な機能は、水性塗料の塗膜表面に対し反射特性を提供することであり、この機能を有するものであれば、特に限定されない。ガラスビーズの粒径は、通常、50〜1500μmの範囲であり、好ましくは80〜1250μmの範囲であり、更に好ましくは100〜1000μmの範囲である。
また、ガラスビーズは、固化促進剤や水性塗料と同時に路面に塗布(散布)するか、あるいは、水性塗料の塗膜表面が乾燥する前に散布することが好ましい。よって、水性塗料等の塗布後、散布と同時あるいは10秒以内にガラスビーズを散布することが好ましい。
【0026】
また、路面標示形成方法において、固化促進剤中の、酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子の含有量は、路面標示用水性塗料100gに対して、0.05〜10gであることが好ましく、0.3〜8gがより好ましい。0.05g未満であれば乾燥性や耐水浸漬性が劣るおそれがあり、また、10gを超えると固化促進剤が、周囲へ飛散するおそれがある。よって、例えば、酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子の含有率が、50質量%であれば、路面標示用水性塗料100gに対する、固化促進剤の塗布量は、0.1〜20gであればよい。
【0027】
固化促進剤を散布する塗装装置は、例えば、通常のエアスプレー、圧送スプレー、自然落下散布等の方法に従って行うことができるが、粒子粉末を均一混合散布することが望まれる。
本発明の塗装装置は、従前できなかった粒子粉末を均一混合散布するために考案され、水性塗料を塗布するための散布ノズルからの吐出塗料流に、直接固化促進剤を供給し、固化促進剤を均一混合・同伴散布するものである。
【0028】
以下に、路面標示用水性塗料の塗装車に架装した本発明の塗装装置について説明する。
(固化促進剤供給装置)
固化促進剤供給装置は、例えば、固化促進剤貯蔵タンクからスクリュー状の回転羽根を有する定量供給部、固化促進剤をエア搬送するための混合部、タンク内の固化促進剤を定量供給部に安定供給する機能を有する攪拌棒、固化促進剤を搬送、拡散させるためのエア調整機器、攪拌棒と定量供給部を駆動するモータ、機器を制御する制御器、固化促進剤を搬送する固化促進剤搬送用ホースからなる。スクリュー状の回転羽根は、制御器の設定によって任意の回転数に駆動することができ、貯蔵タンクから任意に定量供給を可能とする。また、羽根の回転開始と塗料・固化促進剤混合器まで搬送する搬送エアノズルからのエア吐出開始は、ガラスビーズ吐出開始時と同期とする機能を制御器に有する。
【0029】
(塗料・固化促進剤混合器)
塗料・固化促進剤混合器は、塗料スプレーガン下部の塗料吐出部に設置される。塗料・固化促進剤混合器後部上面には、固化促進剤供給装置と接続した固化促進剤を搬送する固化促進剤搬送用ホースの接続口を有する。また、塗料・固化促進剤混合器最後部にエア供給管を介してエア接続口があり、接続口から供給されるエアは、塗料・固化促進剤混合器内部にエアを扇状に広げ吐出する拡散エアノズルから送られる。このノズルは固化促進剤供給装置に接続した固化促進剤搬送ホース接続口の直下に位置している。固化促進剤はこのノズルから吐出されるエアにより方向を変え、拡散される。塗料吐出部のスプレーノズルから高速で吐出した水性塗料は、扇状に広がりながら塗料・固化促進剤混合器内に充満した固化促進剤中を流れ、固化促進剤を均一に同伴し路面に塗布される。
【0030】
また、ガラスビーズ散布器は、ガラスビーズ散布ガンからガラスビーズを適性な散布位置に案内する散布経路を形成するための補器である。このガラスビーズ散布器は、塗料・固化促進剤混合器の下部に固定されている。
【0031】
本発明の固化促進剤の塗膜への散布量は、一般的に、水性塗料の乾燥速度に影響を与える。塗料塗膜の上に固化促進剤を散布する従来の固化促進剤散布装置の場合は、固化促進剤成分で1〜70g/mであるが、本発明の塗装装置のように塗料とともに固化促進剤を適用する場合は、特に1000μm迄の高膜厚塗布にも適用が可能であるので、固化促進剤中の、酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子の含有量は、路面標示用水性塗料100gに対して、0.05〜10gであることが好ましく、0.3〜8gがより好ましい。
【実施例】
【0032】
以下、本発明の好適な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例および比較例で使用した路面標示用水性塗料と、固化促進剤は下記の配合処方で調整した。表1に、使用した、路面標示用水性塗料の配合処方を示した。
【0033】
【表1】

【0034】
以下、使用した、固化促進剤の配合混合割合を示す。
(1)使用材料
・酢酸カルシウム メーカー名: 米山化学工業株式会社 商品名:酢酸カルシウム(工業用) 平均粒径:60〜100μm
・炭酸カルシウム メーカー名: 常陸砕石株式会社商品名: 粒状寒水石 平均粒径:75〜355μm
(2)配合混合比;酢酸カルシウム/炭酸カルシウム=5/5(質量比)
【0035】
(実施例1)
5℃、65%RHの条件下で、アスファルトフェルト紙上に、上記の路面標示用水性塗料0.64kg/mおよび上記固化促進剤0.019kg/mを同時に吐出させ塗料・固化促進剤混合器を通じて混合均一塗布し、塗膜の乾燥性と耐水浸漬試験用供試体を作製した。
塗布後の乾燥性試験は、JIS K5665のタイヤ付着性によって評価した。なお表1中の時間は、塗膜の乾燥時間(養生時間)である。
耐水浸漬性試験は、5分、10分、15分、20分、30分、40分、50分、60分、90分間の養生を行った供試体を、水に1時間浸漬してから引き上げ、引き上げ直後の塗膜の溶出、剥離を観察すると同時に人差し指で塗膜を軽く擦り塗料が付着するかどうかを調べ評価した。
【0036】
(実施例2)
また、実施例2として、上記塗布量で塗料・固化促進剤混合器を使用しないで固化促進剤を10秒後散布した塗膜(ガラスビーズ散布無し)についても同様の試験を行った。
【0037】
(比較例1)
また、比較例1として、固化促進剤を散布しない塗膜についても同様の試験を行った。
乾燥性の試験結果を表2に、耐水浸漬性を表3に示す。
【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

【0040】
(実施例3)
5℃、65%RHの条件下で、アスファルトフェルト紙上に、上記の路面標示用水性塗料0.64kg/mおよび上記固化促進剤0.019kg/mを同時に吐出させ塗料・固化促進剤混合器を通じて混合均一塗布すると同時にガラスビーズ(ポッターズ・バロティーニ株式会社製商品名:SGB153T(JIS R3301 1号 品))を0.42kg/m散布して、ガラスビーズの塗膜への付着性を評価した。
ガラスビーズの付着性は、JIS K5665のガラスビーズ固着率によって評価した。
【0041】
(比較例2)
また、比較例2として、水性塗料のみ(固化促進剤なし)を塗布し、その30秒後にガラスビーズを散布した塗膜についても同様の試験を行った。
尚、ガラスビーズの付着性は、供試体作製後24時間養生した後行った。
ガラスビーズの付着性の試験結果(5℃、65%RHでの養生後のガラスビーズ固着率)を、表4に示す。
【0042】
【表4】

【0043】
(比較例3)
5℃65%RHの条件下で、アスファルトフェルト紙上に、上記の路面標示用水性塗料0.64kg/mおよび上記の炭酸カルシウム粉0.019kg/mを同時に吐出させ、塗料・固化促進剤混合器を通じて混合均一塗布し、塗膜の乾燥性と耐水浸漬試験用供試体を作製した。
塗布後の乾燥性試験は、JIS K5665のタイヤ付着性によって評価した。
耐浸漬性試験は、5分、10分、15分、20分、30分、40分、50分、60分、90分間の養生を行った供試体を水に1時間浸漬してから引き上げ、引き上げ直後の塗膜の溶出、剥離を観察すると同時に人差し指で塗膜を軽く擦り塗料が付着するかどうかを調べ評価した。
乾燥性の試験結果を表5に、耐水浸漬性を表6に示す。
【0044】
(比較例4)
炭酸カルシウム粉を、タルク粉(セイコー産業株式会社製商品名:タルク CTA−1 (白色品))に変更した以外は、比較例3と同様にした。
乾燥性の試験結果を表5に、耐水浸漬性を表6に示す。
【0045】
【表5】

【0046】
【表6】

【0047】
表2〜6に示すように、比較例1(固化促進剤散布無し)、比較例3(炭酸カルシウム粉散布)、比較例4(タルク粉散布)と比較し、本発明の実施例は、乾燥性及び耐水浸漬性に優れていることがわかる。また、水性塗料と本発明の固化促進剤を同時に塗布することにより、より一層、乾燥性及び耐水浸漬性が向上することがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子を含む、路面標示用水性塗料固化促進剤。
【請求項2】
酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子の含有率が、10質量%以上である、請求項1記載の路面標示用水性塗料固化促進剤。
【請求項3】
路面標示用水性塗料と請求項1又は2に記載の路面標示用水性塗料固化促進剤を同時に路面に塗布する工程を含む路面標示形成方法。
【請求項4】
路面標示用水性塗料と請求項1又は2に記載の路面標示用水性塗料固化促進剤を同時に路面に塗布する第1工程と、前記水性塗料の塗膜表面にガラスビーズを散布する第2工程とを含む路面標示形成方法。
【請求項5】
路面標示用水性塗料固化促進剤中の、酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子の含有量が、路面標示用水性塗料100gに対して、0.05〜10gである、請求項3又は4に記載の路面標示形成方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の路面標示用水性塗料固化促進剤と、路面標示用水性塗料を含む塗料キット。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の路面標示用水性塗料固化促進剤を定量供給し、水性塗料塗布スプレー部まで移送する機能を具備し、前記路面標示用水性塗料固化促進剤と路面標示用水性塗料を同時に路面に塗布する塗装装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の路面標示用水性塗料固化促進剤を定量供給し、水性塗料塗布スプレー部まで移送する機能を具備し、前記路面標示用水性塗料固化促進剤と路面標示用水性塗料を同時に路面に塗布し、ガラスビーズを散布する塗装装置。
【請求項9】
路面標示用水性塗料のスプレーが通過する容器内に、移送された該路面標示用水性塗料固化促進剤を拡散させ、該路面標示用水性塗料に該路面標示用水性塗料固化促進剤を混合させ、容器外に飛散抑制する機能を具備した請求項7又は8に記載の塗装装置。

【公開番号】特開2012−229302(P2012−229302A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97085(P2011−97085)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】