説明

車両におけるペダル装置

【課題】アクセルペダルとブレーキペダルとを同時期に前方回動させたとき、車両のそれ以上の走行の加速ができないようにするための車両におけるペダル装置を、構成簡単にすると共に、形成が容易かつ安価にできるようにする。
【解決手段】車室3の前部に、アクセルペダル16とブレーキペダル17とを並設する。各ペダル16,17の下部側がそれぞれ所定回動範囲θ1,θ2で前方、後方回動A,B可能となるよう各ペダル16,17を車体2側に枢支する。各ペダル16,17側からそれぞれ外方に向かって突出する係合突起34,35を設ける。両ペダル16,17を二者択一として前方回動Aさせるとき、各係合突起34,35が互いに非接触状態に保たれるようにする。一方、両ペダル16,17を同時期に前方回動Aさせたとき、両係合突起34,35が互いに圧接してアクセルペダル16のそれ以上の前方回動Aが阻止されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室の前部でそれぞれ上下方向に長く延びるアクセルペダルとブレーキペダルとを左右に並設した車両におけるペダル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記車両におけるペダル装置には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、車室の前部に、それぞれ上下方向に長く延びるアクセルペダルとブレーキペダルとが左右に並設される。これら各ペダルの下部側がそれぞれ所定回動範囲で前方、後方回動可能となるよう上記各ペダルの各上端部が車体側に枢支されている。これら各ペダルは、それぞれ弾性的な付勢力で後方回動させられ、通常、上記各所定回動範囲の後端部に位置させられている。
【0003】
車両の運転時、運転者が上記アクセルペダルの下端部を踏動操作し、上記付勢力に対抗して前方回動させれば、これに連動して車両の走行が加速される。一方、車両の走行中に上記ブレーキペダルの下端部を踏動操作し、上記付勢力に対抗して前方回動させれば、これに連動して車両の走行が制動される。
【0004】
ここで、上記各ペダルへの踏動操作は、これら両ペダルのうち、一方のペダルのみについて片足で行なうものであるが、運転未熟などの何らかの理由で、運転者が、両足で上記両ペダルを同時期に踏動操作して前方回動させるおそれがある。そして、この場合には、車両は、走行が加速されつつ、制動されることとなって好ましくない。
【0005】
そこで、上記公報によれば、上記両ペダルを同時期に前方回動させたときには、ブレーキペダルの前方回動により上記アクセルペダルの作用が電気的に制御されて、車両が加速できないこととされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平1−125736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記したように従来の技術のペダル装置では、両ペダルを同時期に前方回動させたとき、車両の加速ができないようにすることは電気的な制御によりなされている。しかし、このような構成のペダル装置では、電気制御装置に加えて、種々の電気配線が必要となることから、その構成が複雑になると共に、その形成が煩雑かつ高価になるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、アクセルペダルとブレーキペダルとを同時期に前方回動させたとき、車両のそれ以上の走行の加速ができないようにするための車両におけるペダル装置を、構成簡単にすると共に、その形成が容易かつ安価にできるようにすることである。
【0009】
請求項1の発明は、車室3の前部に、それぞれ上下方向に長く延びるアクセルペダル16とブレーキペダル17とを左右に並設し、これら各ペダル16,17の下部側がそれぞれ所定回動範囲θ1,θ2で前方、後方回動A,B可能となるよう上記各ペダル16,17を車体2側に枢支した車両におけるペダル装置において、
上記各ペダル16,17側からそれぞれ外方に向かって突出する係合突起34,35を設け、上記両ペダル16,17を二者択一として前方回動Aさせるとき、上記各係合突起34,35が互いに非接触状態に保たれるようにする(図2)一方、上記両ペダル16,17を同時期に前方回動Aさせたとき、上記両係合突起34,35が互いに圧接して上記アクセルペダル16のそれ以上の前方回動Aが阻止されるようにしたことを特徴とする車両におけるペダル装置である。
【0010】
請求項2の発明は、上記アクセルペダル16側に取り付けられて加速手段25に連結される留め具23を設け、上記両係合突起34,35の互いの圧接力が所定値を越えたとき、上記アクセルペダル16側から上記留め具23が離脱するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の車両におけるペダル装置である。
【0011】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0012】
本発明による効果は、次の如くである。
【0013】
請求項1の発明は、車室の前部に、それぞれ上下方向に長く延びるアクセルペダルとブレーキペダルとを左右に並設し、これら各ペダルの下部側がそれぞれ所定回動範囲で前方、後方回動可能となるよう上記各ペダルを車体側に枢支した車両におけるペダル装置において、
上記各ペダル側からそれぞれ外方に向かって突出する係合突起を設け、上記両ペダルを二者択一として前方回動させるとき、上記各係合突起が互いに非接触状態に保たれるようにする一方、上記両ペダルを同時期に前方回動させたとき、上記両係合突起が互いに圧接して上記アクセルペダルのそれ以上の前方回動が阻止されるようにしている。
【0014】
このため、上記アクセルペダルとブレーキペダルとを同時期に前方回動させたときには、上記アクセルペダルの前方回動が阻止されて車両がそれ以上に加速することは防止される。
【0015】
また、上記構成によれば、アクセルペダルを前方回動させた後、後方回動させようとして上記アクセルペダルへの踏動操作を解除したとき、何らかの原因で、上記アクセルペダルが前方回動したままの状態に保留されたとする。この場合、上記ブレーキペダルを前方回動させてやれば、このブレーキペダルと共に回動する上記係合突起が上記アクセルペダルの係合突起に圧接することから、上記ブレーキペダルの前方回動により上記アクセルペダルを元の位置まで後方回動させることができて便利である。
【0016】
そして、上記したペダル装置による車両の加速の防止は、上記各ペダル側からそれぞれ突出させた各係合突起を互いに圧接させることにより機械的に達成される。よって、従来のペダル装置が電気的制御に基づくものであることに比べ、上記ペダル装置は、その構成を簡単にすることができると共に、その形成を容易かつ安価にすることができる。
【0017】
請求項2の発明は、上記アクセルペダル側に取り付けられて加速手段に連結される留め具を設け、上記両係合突起の互いの圧接力が所定値を越えたとき、上記アクセルペダル側から上記留め具が離脱するようにしている。
【0018】
このため、上記アクセルペダル側からの留め具の離脱により、上記加速手段への操作が解除される。よって、上記アクセルペダルへの踏動操作にかかわらず、車両がそれ以上に加速することは、より確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1を示し、図2の部分拡大作用説明図である。
【図2】実施例1を示し、側面図である。
【図3】実施例1を示し、背面図である。
【図4】実施例1を示し、部分斜視図である。
【図5】実施例2を示し、図1に相当する図である。
【図6】実施例2を示し、図5のVI部拡大断面図である。
【図7】実施例3を示し、図3に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の車両におけるペダル装置に関し、アクセルペダルとブレーキペダルとを同時期に前方回動させたとき、車両のそれ以上の走行の加速ができないようにするための車両におけるペダル装置を、構成簡単にすると共に、その形成が容易かつ安価にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0021】
即ち、車両におけるペダル装置では、車室の前部に、それぞれ上下方向に長く延びるアクセルペダルとブレーキペダルとが左右に並設される。これら各ペダルの下部側がそれぞれ所定回動範囲で前方、後方回動可能となるよう上記各ペダルが車体側に枢支される。上記各ペダル側からそれぞれ外方に向かって突出する係合突起が設けられる。上記両ペダルを二者択一として前方回動させるとき、上記各係合突起が互いに非接触状態に保たれる。一方、上記両ペダルを同時期に前方回動させたとき、上記両係合突起が互いに圧接して上記アクセルペダルのそれ以上の前方回動が阻止される。
【実施例1】
【0022】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例1を添付の図1〜4に従って説明する。
【0023】
図2〜4において、図中符号1は、自動車で例示される車両で、矢印Frは、この車両1の進行方向の前方を示している。また、下記する左右とは、上記前方に向かっての車両1の幅方向をいうものとする。
【0024】
上記車両1の車体2の内部が車室3とされ、上記車体2は車室3の下面を形成するフロアパネル4と、車室3の前面を形成するダッシュパネル5と、上記車室3前部に設けられるペダル装置6とを備えている。
【0025】
上記ペダル装置6は、上記車室3の運転室の前方におけるダッシュパネル5に支持されるブラケット10を有している。このブラケット10は、上記ダッシュパネル5に締結具11により締結される基板12と、この基板12から後方に向かって突設される左右一対の支持板組13,14とを備えている。
【0026】
また、上記ペダル装置6は、車室3の運転室の前部に、左右に並設されるアクセルペダル16とブレーキペダル17とを有している。これら各ペダル16,17は、それぞれ上下方向に長く延びて、その各下端部が踏動部16a,17aとされ、上記各ペダル16,17の下部側が前方、後方回動A,B可能となるよう各上端部が車体2側である上記ブラケット10に枢支されている。
【0027】
具体的には、上記アクセルペダル16は、軸心19が左右に延びる第1枢支軸20により上端部が上記ブラケット10の右側の支持板組13に枢支され、下部側が第1所定回動範囲θ1で前方、後方回動A,B可能とされる。この第1所定回動範囲θ1を越えて上記アクセルペダル16が回動することは、不図示のストッパにより阻止される。
【0028】
上記アクセルペダル16の上端部には、車両1の側面視(図1,2)で、上方に向かって開く切り欠き22が形成されている。上記第1枢支軸20に対しその下方から上記切り欠き22が嵌脱可能とされ、この切り欠き22の底部が上記第1枢支軸20に嵌合している。上下に長い棒状の留め具23が設けられ、この留め具23の下部が上記切り欠き22の上部に嵌脱可能に嵌合している。上記留め具23の上端部には、車体2の背面視(図3)で、上方に向かって開く幅狭の切り欠き24が形成されている。この場合、上記第1枢支軸20と、アクセルペダル16および留め具23とは、互いに小さい強度で溶接Wされて、これら16,20,23が一体化されている。
【0029】
一端部が走行駆動用のエンジンの加速手段25であるスロットル弁に連結され、他端部が上記留め具23の切り欠き24に係脱可能に係止されるアクセルケーブル26が設けられる。上記アクセルケーブル26を弾性的な第1付勢力F1で付勢する不図示のばねが設けられている。この第1付勢力F1と、不図示の他のばねの付勢力とにより、上記アクセルペダル16は後方回動Bさせられて、通常、上記第1所定回動範囲θ1の後端部に位置させられている(図2,3中実線)。
【0030】
前記ブレーキペダル17は、軸心29が左右に延びる第2枢支軸30により上端部が上記ブラケット10の左側の支持板組14に枢支され、下部側が第2所定回動範囲θ2で前方、後方回動A,B可能とされる。この第2所定回動範囲θ2を越えて上記ブレーキペダル17が回動することは、不図示のストッパにより阻止される。
【0031】
上記ブレーキペダル17の上下方向の中途部が、不図示の車輪の制動装置にブレーキリンク31により連結されている。上記ブレーキリンク31を弾性的な第2付勢力F2で付勢する不図示のばねが設けられている。この第2付勢力F2と、不図示の他のばねの付勢力とにより、上記ブレーキペダル17は後方回動Bさせられて、通常、上記第2所定回動範囲θ2の後端部に位置させられている(図2,3中実線)。
【0032】
車両1の運転時、運転者が上記アクセルペダル16の下端部の踏動部16aを踏動操作し、上記第1付勢力F1に対抗して前方回動Aさせれば、これに上記加速手段25が連動して車両1の走行が加速される。一方、車両1の走行中に上記ブレーキペダル17の下端部の踏動部17aを踏動操作し、上記第2付勢力F2に対抗して前方回動Aさせれば、これに上記制御装置が連動して車両1の走行が制動される。
【0033】
上記第1、第2枢支軸20,30は互いに前後に偏位している。上記アクセルペダル16の上端部側である上記第1枢支軸20の左側の自由端部からその径方向外方(下方側)に向かって突出する第1係合突起34が設けられる。また、上記ブレーキペダル17の上端部側である上記第2枢支軸30の右側の自由端部からその径方向外方(上方側)に向かって突出する第2係合突起35が設けられる。上記各係合突起34,35は、上記各枢支軸20,30に溶接により強固に固着されている。また、上記各係合突起34,35は、カムノーズが円弧形状をなすカム形状とされる。
【0034】
図2において、上記両ペダル16,17を二者択一として前方、後方回動A,Bさせるとき、上記各係合突起34,35は互いに非接触状態に保たれる。つまり、車両1の加速操作と、制動操作とは互いに係わりなく、個別に選択できる。
【0035】
一方、図1中実線で示すように、上記両ペダル16,17の各踏動部16a,17aを両足で同時に踏動するなどして、これら両ペダル16,17を同時期に前方回動Aさせたとき、上記アクセルペダル16と共に前方に回動する第1係合突起34と、上記ブレーキペダル17とは逆に後方に回動する第2係合突起35とが、上記両枢支軸20,30の間で互いに圧接して上記アクセルペダル16のそれ以上の前方回動Aが阻止されるようになっている。
【0036】
より具体的には、上記両ペダル16,17の各踏動部16a,17aに各足から与えられる踏動力が同じである場合、上記両ペダル16,17の長さや上記両係合突起34,35の突出寸法をそれぞれ互いに相違させるなどして、上記両係合突起34,35の圧接点における互いの圧接力が互いに同じとされ、もしくは、これら両圧接力のうち、ブレーキペダル17への踏動力に基づく上記第2係合突起35から第1係合突起34への圧接力がより大きくなることとされている。
【0037】
そして、この構成によれば、上記したように係合突起34,35が互いに圧接したとき、上記アクセルペダル16のそれ以上の前方回動Aが阻止されて静止させられ、もしくは図1中一点鎖線で示すように、上記ブレーキペダル17に基づく上記第2係合突起35からの圧接力で、上記アクセルペダル16が押し戻されて後方回動Bさせられる。
【0038】
このため、上記アクセルペダル16とブレーキペダル17とを同時期に前方回動Aさせたときには、上記アクセルペダル16の前方回動Aが阻止されて車両1がそれ以上に加速することは防止される。
【0039】
また、上記構成によれば、アクセルペダル16を前方回動Aさせた後、後方回動Bさせようとして上記アクセルペダル16への踏動操作を解除したとき、何らかの原因で、上記アクセルペダル16が前方回動Aしたままの状態に保留されたとする。この場合、上記ブレーキペダル17を前方回動Aさせてやれば、このブレーキペダル17と共に回動する上記第2係合突起35が上記アクセルペダル16の第1係合突起34に圧接することから、上記ブレーキペダル17の前方回動Aにより上記アクセルペダル16を元の位置まで後方回動Bさせることができて便利である。
【0040】
そして、上記したペダル装置6による車両1の加速の防止は、上記各ペダル16,17の上端部側からそれぞれ突出させた各係合突起34,35を互いに圧接させることにより機械的に達成される。よって、従来のペダル装置が電気的制御に基づくものであることに比べ、上記ペダル装置6は、その構成を簡単にすることができると共に、その形成を容易かつ安価にすることができる。
【0041】
上記の場合、両係合突起34,35の互いの圧接力が所定値を越えたとき、この圧接力により前記した第1枢支軸20と、アクセルペダル16および留め具23との溶接Wが破断して、図1,4中二点鎖線で示すように、上記第1枢支軸20からアクセルペダル16がその自重で離脱すると共に、このアクセルペダル16の上端部側から上記留め具23およびアクセルケーブル26が前記第1付勢力F1などによって離脱させられる。
【0042】
このため、上記アクセルペダル16の上端部側からの留め具23の離脱により、上記加速手段25への操作が解除される。よって、上記アクセルペダル16への踏動操作にかかわらず、車両1がそれ以上に加速することは、より確実に防止される。
【0043】
なお、上記したように第1枢支軸20とアクセルペダル16との溶接Wが破断したとき、これら16,20の連結状態は、そのまま保持されるようにしてもよい。また、上記溶接Wに代えて、強度の小さい何らかの連結具で、上記第1枢支軸20と、アクセルペダル16および留め具23とを連結してもよい。また、上記留め具23は、アクセルペダル16側である第1枢支軸20に取り付けてもよい。また、上記第1、第2係合突起34,35は上記アクセルペダル16やブレーキペダル17から直接突出させてもよい。
【0044】
以下の図5〜7は、実施例2,3を示している。これら各実施例2,3は、前記実施例1と構成、作用効果において多くの点で共通している。そこで、これら共通するものについては、図面に共通の符号を付してその重複した説明を省略し、異なる点につき主に説明する。また、これら各実施例における各部分の構成を、本発明の目的、作用効果に照らして種々組み合せてもよい。
【実施例2】
【0045】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例2を添付の図5,6に従って説明する。
【0046】
上記アクセルペダル16の上端部には、このアクセルペダル16の上端部の上方と上記第1枢支軸20の上面部の外周面とを連通させる貫通孔38が形成される。この貫通孔38に留め具23の下部が嵌脱可能に嵌入され、上記アクセルペダル16の上端部と上記留め具23とはシャーピン39により連結されている。上記貫通孔38の底部内に臨む上記第1枢支軸20の外周面にカム突起40が形成され、このカム突起40は、上記留め具23の下面に近接配置されている。
【0047】
前記したように、両ペダル16,17を同時期に前方回動Aさせたことにより、上記両係合突起34,35が互いに圧接したとする。この場合、上記第1枢支軸20の軸心19回りでのこの第1枢支軸20とアクセルペダル16とが相対回動して上記カム突起40が上記留め具23とカム係合してこの留め具23を押し上げようとする。
【0048】
この場合、上記圧接力が所定値以下ならば、上記カム突起40による上記留め具23の押し上げは上記シャーピン39によって阻止される。しかし、上記圧接力が所定値を越えた場合には、上記カム突起40からの外力が上記シャーピン39の強度を越えることとなって、このシャーピン39が剪断される。これにより、図5,6中二点鎖線で示すように、上記アクセルペダル16の上端部側から上記留め具23およびアクセルケーブル26が、主に前記第1付勢力F1によって離脱させられる。
【実施例3】
【0049】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例3を添付の図7に従って説明する。
【0050】
図7において、前記ブラケット10は、基板12と、この基板12から突設される左右一対の支持板43,43とを備えている。上記第1、第2枢支軸20,30は、共に上記各支持板43に両端支持されている。
【0051】
このため、車体2側に対する上記各ペダル16,17や各係合突起34,35の支持が、より強固になされる。
【符号の説明】
【0052】
1 車両
2 車体
3 車室
6 ペダル装置
16 アクセルペダル
17 ブレーキペダル
19 軸心
20 第1枢支軸
23 留め具
25 加速手段
29 軸心
30 第2枢支軸
34 第1係合突起
35 第2係合突起
A 前方回動
B 後方回動
W 溶接
F1 第1付勢力
F2 第2付勢力
θ1 第1所定回動範囲
θ2 第2所定回動範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の前部に、それぞれ上下方向に長く延びるアクセルペダルとブレーキペダルとを左右に並設し、これら各ペダルの下部側がそれぞれ所定回動範囲で前方、後方回動可能となるよう上記各ペダルを車体側に枢支した車両におけるペダル装置において、
上記各ペダル側からそれぞれ外方に向かって突出する係合突起を設け、上記両ペダルを二者択一として前方回動させるとき、上記各係合突起が互いに非接触状態に保たれるようにする一方、上記両ペダルを同時期に前方回動させたとき、上記両係合突起が互いに圧接して上記アクセルペダルのそれ以上の前方回動が阻止されるようにしたことを特徴とする車両におけるペダル装置。
【請求項2】
上記アクセルペダル側に取り付けられて加速手段に連結される留め具を設け、上記両係合突起の互いの圧接力が所定値を越えたとき、上記アクセルペダル側から上記留め具が離脱するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の車両におけるペダル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−159880(P2012−159880A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17170(P2011−17170)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】