車両のステアリング装置
【課題】メインハウジングと可動コラム部材との間のガタの防止を、少ない部品点数で安価に実現し得ると共に、軸受部材を容易に組み付け得るようにする。
【解決手段】軸方向に延在する一対の側壁部11、12間が開口すると共に軸方向の両端に開口部を有する筐体のメインハウジング10に対し、両端の開口部の一方を介して筒体の可動コラム部材20が収容される。軸受部材60(ブッシュ60a,60b)が一対の側壁部間の開口から収容されて筐体の内壁に配置され、軸方向に所定距離離隔した位置で支持される。そして、付勢部材により、可動コラム部材が、軸受部材を介してメインハウジングに付勢された状態で、保持される。
【解決手段】軸方向に延在する一対の側壁部11、12間が開口すると共に軸方向の両端に開口部を有する筐体のメインハウジング10に対し、両端の開口部の一方を介して筒体の可動コラム部材20が収容される。軸受部材60(ブッシュ60a,60b)が一対の側壁部間の開口から収容されて筐体の内壁に配置され、軸方向に所定距離離隔した位置で支持される。そして、付勢部材により、可動コラム部材が、軸受部材を介してメインハウジングに付勢された状態で、保持される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のステアリング装置に関し、特に、ステアリングホイールの車体前後方向の操作位置を調整し得るステアリング装置に係る。
【背景技術】
【0002】
ステアリング装置においては、連結されたコラム部材相互のガタを防止するため、従来から種々の対策が講じられている。このうち、ステアリングホイールの車体前後方向の操作位置を調整し得るステアリング装置については、特に、車体に支持されるハウジングと、これに移動可能に連結される可動コラム部材との間のガタを防止し、円滑な摺動性を確保することが肝要である。例えば下記の特許文献1には、「車体に固定され前記車体の前後方向に配設される略円筒状の固定コラムと、前記固定コラム内に伸縮自在に嵌合される移動コラムと、前記移動コラムに枢支され揺動可能な揺動コラムと、前記固定コラム内に軸支されたロアシャフトと、前記移動コラム内に配設されるとともに前記ロアシャフトに伸縮自在に嵌合され前記ロアシャフトと一体回転するセンタシャフトと、前記揺動コラムに軸支されるとともにステアリングホイールが嵌まり前記ステアリングホイールの回転操作を前記センタシャフトに伝達するアッパシャフトと、前記揺動コラムを揺動させるチルト機構と、前記移動コラムを前記固定コラムに対して伸縮させるテレスコ機構と、前記チルト機構及び前記テレスコ機構のモータを制御する制御装置とを有するステアリング位置調整制御装置において、前記固定コラムは、前記車体の後方側端部近傍における軸方向に垂直方向の断面形状が周方向に連続したリング形状を有しており、前記固定コラムと前記移動コラムとの嵌合面には円筒状のブッシュが介在している」装置が提案され、固定コラムと移動コラムとの間の摺動性を確保するため、両者間に円筒状のブッシュが介装されている。
【0003】
また、下記の特許文献2には、「テレスコピック動作における可動ブラケットの固定ブラケットに対する回転運動が発生せず、簡単な構成で円滑なテレスコピック動作が可能なテレスコピックステアリング装置を提供する」ことを目的とし、「車体に固定される固定ブラケットと、前記固定ブラケットに回転可能に支持された固定シャフトと、前記固定ブラケットに軸方向に摺動可能に嵌挿された可動ブラケットと、前記固定シャフトに対して移動可能且つ一体回転可能に連結されるとともに前記可動ブラケットに回転可能に支持された可動シャフトと、前記可動ブラケット及び前記可動シャフトを前記固定ブラケット及び前記固定シャフトに対して軸方向に移動させる移動機構とを有するテレスコピックステアリング装置において、前記可動ブラケットの前記固定ブラケットに嵌挿される外周部は、少なくとも一個所の平面部を有し、前記平面部に当接する平面端部を有する当接部材が前記固定ブラケットに固定されている」装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−280917号公報
【特許文献2】特開2001−310741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の固定コラム部材と可動コラム部材は夫々、特許文献1に記載の固定コラムと移動コラムに対応し、特許文献2に記載の固定ブラケット(ステアリングコラム及びロアチューブ)と可動ブラケット(テレスコピックチューブ及びアッパーチューブ)に対応しているが、何れも筒状部材(外筒と内筒)であり、両筒状部材間のガタを防止し、摺動性を確保するため、軸受部材として円筒状のブッシュが用いられている。
【0006】
特に、上記の固定コラム部材について、特許文献1では固定ブラケットの実施例として「固定コラム11」を挙げ、特許文献2では「ステアリングコラム1とロアチューブ11」を挙げているように、筒状部材(外筒)が前提とされ、可動コラム部材(内筒)との間には円筒状のブッシュが介装されるように構成されており、必然的に両筒状部材の内外面に対し高精度の加工が要求される。更に、例えば特許文献1では、円筒状のブッシュに関し、車体の後方側端部近傍における軸方向に垂直方向の断面形状が周方向に連続したリング形状を有するように形成することが要請されている。また、何れにおいても、円筒状のブッシュを両筒状部材間に圧入するように構成されているので、筒状部材製造時に厳しい寸法管理が要求され、組み付けも困難である。尚、以下においては、上記の固定コラム部材との混同を避けるため、メインハウジングを用いる。
【0007】
そこで、本発明は、少なくとも車体前後方向のステアリングホイール操作位置を調整し得る車両のステアリング装置において、車体に支持するメインハウジングと、これに軸方向移動可能に支持する可動コラム部材との間のガタの防止を、少ない部品点数で安価に実現し得ると共に、軸受部材を容易に組み付け得るステアリング装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するため、本発明は、車体に支持するメインハウジングと、該メインハウジングに対し軸方向移動可能に支持する可動コラム部材を備え、該可動コラム部材に連結するステアリングホイールに対し少なくとも車体前後方向の操作位置を調整し得る車両のステアリング装置において、前記メインハウジングが、軸方向に延在する一対の側壁部を有し、該一対の側壁部間が開口すると共に軸方向の両端に開口部を有する筐体であって、前記可動コラム部材が、前記筐体の両端の開口部の一方を介して前記筐体内に収容する筒体であり、前記メインハウジングの前記一対の側壁部間の開口から収容して前記筐体の内壁に配置し、前記可動コラム部材を摺動可能に支持する軸受部材と、前記一対の側壁部の端面に固定し、前記可動コラム部材を付勢する付勢部材とを備え、該付勢部材により、前記可動コラム部材を、前記軸受部材を介して前記メインハウジングに付勢した状態で、前記可動コラム部材を前記メインハウジングに支持するように構成したものである。
【0009】
上記のステアリング装置において、前記一対の側壁部間の寸法が前記可動コラム部材を構成する筒体の直径より大であって、前記筐体の内壁が前記可動コラム部材の外面に適合する曲面を有するものとするとよい。更に、前記メインハウジングは、軸方向に対し直交する断面形状を、前記一対の側壁部を含みU字形状とし、前記軸受部材を、前記メインハウジングの前記筐体の内壁に適合するU字形状とするとよい。
【0010】
特に、前記メインハウジングは、前記筐体の内壁に係止孔を有し、該係止孔に係合する係止突起を、前記軸受部材に形成したものとするとよい。
【0011】
上記のステアリング装置において、前記メインハウジングを構成する前記筐体の内壁に、前記軸受部材を保持する溝を形成したものとするとよい。また、前記軸受部材は、軸方向に所定距離離隔した位置で前記可動コラム部材を支持する一対のブッシュを備えたものとするとよい。更に、前記一対のブッシュを連結して一体的に形成してもよい。
【0012】
そして、前記付勢部材は、前記一対の側壁部の端面に固定する基板と、該基板に支持し、前記可動コラム部材を前記軸受部材方向に付勢する一対のばね部材とを備えたものとするとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、本発明のステアリング装置においては、メインハウジングが、一対の側壁部間が開口すると共に軸方向の両端に開口部を有する筐体であって、可動コラム部材が、両端の開口部の一方を介して筐体内に収容される筒体であり、この筒体をメインハウジングの一対の側壁部間の開口から収容して筐体の内壁に配置し、可動コラム部材を摺動可能に支持する軸受部材と、一対の側壁部の端面に固定し、可動コラム部材を付勢する付勢部材を備え、この付勢部材により、可動コラム部材を、軸受部材を介してメインハウジングに付勢した状態で、可動コラム部材をメインハウジングに支持するように構成されているので、軸受部材を容易に組み付けることができ、部品点数が少なく安価で確実にコラム部材間のガタを防止することができると共に、良好な組付性を確保することができる。
【0014】
更に、一対の側壁部間の寸法を、可動コラム部材を構成する筒体の直径より大とし、筐体の内壁が可動コラム部材の外面に適合する曲面を有するものとすれば、メインハウジングを金属のダイキャストによって製造することができるので、部品点数が少なく、加工や組付が容易で、安価な装置を提供することができる。例えば、メインハウジングの断面形状をU字形状とし、軸受部材を、メインハウジングの筐体の内壁に適合するU字形状とすれば、メインハウジングの開口から軸受部材を容易に組み付けることができる。
【0015】
特に、メインハウジングの筐体の内壁に係止孔を形成し、これに係合する係止突起を軸受部材に形成すれば、軸受部材をメインハウジング内に安定した状態で保持することができる。しかも、可動コラム部材をメインハウジング内に収容した後に、メインハウジングの外側から係止孔内の係止突起を目視することにより、軸受部材がメインハウジング内に安定した状態で保持されていることを容易に確認することができる。
【0016】
更に、メインハウジングの筐体の内壁に、軸受部材を保持する溝を形成したものとすれば、メインハウジングへの軸受部材の組み付けが一層容易になり、確実にメインハウジング内に保持することができる。この溝は、ダイキャストによるメインハウジングの製造時に、その内壁に同時に形成することができるので、後の切削加工を必要とすることなく安価に製造することができる。また、軸受部材を、軸方向に所定距離離隔した位置で可動コラム部材を支持する一対のブッシュを備えたものとすれば、可動コラム部材を適切な位置で支持することができる。更に、一対のブッシュを連結して一体的に形成すれば、メインハウジング内への軸受部材の組み付けが一層容易になり、組み付け前の軸受部材の保管も容易となり、生産性が向上する。
【0017】
そして、一対の側壁部の端面に固定する基板と、可動コラム部材を軸受部材方向に付勢する一対のばね部材とを備えた付勢部材を用いれば、少ない部品点数で確実にメインハウジングと可動コラム部材との間のガタを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るステアリング装置の一部の組付状態を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るステアリング装置の一部の組付状態を示す側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るステアリング装置の全体を示す側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るステアリング装置の一部の横断面図である。
【図5】本発明の一実施形態の縦断面図で、図4のA−A線断面図である。
【図6】本発明の一実施形態の縦断面図で、図4のB−B線断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に供される軸受部材を示す平面図である。
【図8】本発明の一実施形態に供される軸受部材を示す正面及び側面図である。
【図9】本発明の一実施形態に供される軸受部材を示す斜視図である。
【図10】本発明に供される軸受部材の他の実施例を示す斜視図である。
【図11】本発明に供される軸受部材の更に他の実施例を示す平面図である。
【図12】本発明に供される軸受部材の別の実施例を示す平面図である。
【図13】本発明に供される軸受部材の別の実施例を示す側面図である。
【図14】本発明に供される軸受部材の更に別の実施例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の望ましい実施形態を図面を参照して説明する。図3は本発明の一実施形態に係るステアリング装置の全体構成を示すもので、本実施形態においては、ステアリングシャフト1は、後端部にステアリングホイール(図示せず)が接続される筒状のアッパシャフト1aと、このアッパシャフト1aの前端部とスプライン結合されるロアシャフト1bから成る。即ち、アッパシャフト1aとロアシャフト1bが軸方向に相対移動可能に連結されており、ロアシャフト1bの前端部が転舵機構(図示せず)に接続されている。この転舵機構はステアリングホイールの操作に応じて駆動されて車輪操舵機構(図示せず)を介して操舵輪(図示せず)を転舵するように構成されている。
【0020】
そして、ステアリングシャフト1と同軸にメインハウジング10が配置され、車体(図示せず)に対する揺動中心C回りに揺動可能に支持されると共に、固定ブラケット30に保持される。この固定ブラケット30は、車両の下方に延出して対向する一対の保持部(10では31のみが表れている)を有し、これらの間にメインハウジング10が保持され、図3の上方で車体に固定される。更に、固定ブラケット30の一対の保持部31とメインハウジング10との間に、夫々押圧機構(図示せず)が介装され、これによってメインハウジング10が摺動自在に押圧支持される。
【0021】
メインハウジング10内には、可動コラム部材20が軸方向に移動可能、即ち、車体前後方向に移動可能に支持されている。この可動コラム部材20として、ステアリングシャフト1を収容し軸を中心に回転可能に支持する金属製のインナチューブ21と、このインナチューブ21を収容し常時はインナチューブ21を所定位置に保持する金属製のアウタチューブ22が設けられており、インナチューブ21はアッパチューブとも呼ばれ、アウタチューブ22はテレスコピックチューブとも呼ばれる。アッパシャフト1aは、インナチューブ21の後端部に軸受(図示せず)を介して回転可能に支持されるが、アッパシャフト1aとインナチューブ21との間の軸方向相対移動は規制され、アッパシャフト1aとインナチューブ21は一体となって軸方向移動し得るように構成されている。
【0022】
而して、メインハウジング10に対し、アウタチューブ22、インナチューブ21、ステアリングシャフト1及びステアリングホイール(図示せず)が一体となって軸方向に移動可能とされてテレスコピック機構2が構成され、これにより、ステアリングホイールを所望の車体前後方向位置に調整することができる。更に、ステアリングシャフト1に対し所定値以上の荷重が印加されたときには、アウタチューブ22に対するインナチューブ21の軸方向相対移動(ひいてはアッパシャフト1aの軸方向移動)を許容するように構成されており、本実施形態のインナチューブ21及びアウタチューブ22は、両者間に介装される環状の摩擦材(例えば、金属製弾性ブッシュ)等と共に、エネルギー吸収手段として機能する。
【0023】
本実施形態のメインハウジング10は、図1に示すように、軸方向に延在する一対の側壁部11及び12を有する金属(例えばアルミニウム)ダイキャスト製の筐体で構成されており、側壁部11及び12間が車体上方に開口すると共に軸方向の両端に開口部(図4に10a、10bで示す)が設けられている。側壁部11及び12間の寸法は可動コラム部材20を構成するアウタチューブ22の直径より大とされており、メインハウジング10の内壁はアウタチューブ22の外面に適合する曲面を有し、図4のA−A線及びB−B線断面図の図5及び図6に示すように、メインハウジング10は、その軸方向に対し直交する断面形状が、側壁部11及び12を含みU字状に形成されている。このように、メインハウジング10は、軸方向に延在する側壁部11及び12間で(図5及び図6の上方に)開口している筐体であるので、例えばアルミダイキャストで容易に製造することができ、その内壁も、製造時に所望の形状(アウタチューブ22の外面に適合する曲面)に容易に形成することができる。また、後述する溝10d、10e、10f及び係止孔10gもメインハウジング10の製造時に同時に形成することができるので、切削加工及び穿孔加工を必要とすることなく製造工程の短縮化が可能となる。
【0024】
一方、アウタチューブ22は金属製の円筒体で、その外面に軸方向に延在する平面部22aが形成されている。そして、図4に示すように、基板41、ばね部材42a、42b及び当接部材43a、43bから成る付勢部材40が、アウタチューブ22の平面部22aを押圧した状態でメインハウジング10に固定される。尚、本実施形態では、図1及び図2に白抜矢印で示すように、アウタチューブ22は車体前方側の開口部(図4に10bで示す)を介してメインハウジング10内に収容され、この開口部10bに、図3に示す軸受部13が装着されて、ロアシャフト1bが回転自在に支持される。
【0025】
メインハウジング10の内壁には、図4に示すように軸方向に所定距離離隔した位置に夫々、溝10d、10eが形成されると共に、これらを連結する溝10fが形成されており、これらの溝10d、10e、10f内に夫々、ブッシュ60a、60b及び連結部60cが嵌合されて保持されるように構成されている。本実施形態の軸受部材60は、図7乃至図9に示すように、メインハウジング10の内壁に適合する形状に形成されている。即ち、軸受部材60は、軸方向に所定距離離隔した位置に配置される半円形あるいはU字形状のブッシュ60a、60bが、連結部60cで連結された合成樹脂製の一体成型部材である。尚、図10に示すように、連結部60cを設けることなく、ブッシュ60a、60bを別体とし、個別にメインハウジング10内の溝10d、10eに嵌合することとしてもよい。更に、図4及び図8に示すように、ブッシュ60a、60bには係止突起60d、60eが一体的に形成されており、図4に示すメインハウジング10の溝10d、10e内に形成された係止孔10g、10hに係合するように構成されている。
【0026】
而して、メインハウジング10に対し軸方向移動可能のアウタチューブ22は、ブッシュ60a、60bを介して円滑に摺動することができる。この場合において、アウタチューブ22に対する軸受部材60の摺動面は付勢部材40(当接部材43a、43b)と反対側に存在すればよく、アウタチューブ22の全周に亘って摺動面を確保する必要は無いので、ブッシュ60a、60bは半円形あるいはU字形状に形成されているが、更に、必要な荷重を受けることが可能な範囲に留め、例えば扇の外周形状に形成することとしてもよい。ブッシュ60a、60bを上記のように構成することにより、当接部材43a、43bのピッチの自由度が高くなり、アウタチューブ22に対し適切な位置で付勢することができる。換言すれば、従前の環状のブッシュでは、その真上から付勢することはできないのに対し、上記のブッシュ60a、60bを用いれば、付勢部材40を構成する当接部材43a、43bの位置決めを行う際に設計的な自由度が高くなる。尚、ブッシュ60a、60bに形成される係止突起60d、60eは、回転方向の位置ズレ防止に留まることなく、アウタチューブ22がメインハウジング10内を摺動するときの摩擦力に打ち勝つだけの断面積に設定することが望ましい。
【0027】
本実施形態の付勢部材40は、図4に示すように、一対の側壁部の端面に固定する鋼材の基板41と、アウタチューブ22の平面部22aに対し軸方向に所定距離離隔した位置で、アウタチューブ22をブッシュ60a、60b方向に付勢する一対のばね部材42a、42bを備えている。本実施形態のばね部材42a、42bは複数の皿ばねが積層されたもので、基板41に支持された合成樹脂製の当接部材43a、43bを介してアウタチューブ22の平面部22aを押圧するように配置され、メインハウジング10に固定されると、アウタチューブ22に対し所望の押圧力が付与される。尚、基板41のメインハウジング10への固定方法としてはボルト、カシメあるいはピン圧入等、基板41を確実にメインハウジング10に固定できる方法であれば何れの方法でもよい。また、ばね部材42a、42bは複数の皿ばねに代えて、板ばねやコイルスプリングを用いることとしてもよい。
【0028】
ここで、図1、2及び図4を参照して本実施形態の組み付け手順を説明すると、先ず、ブッシュ60a、60b及びこれらを連結する連結部60cが合成樹脂にて一体成型されて成る軸受部材60が、メインハウジング10内に収容され、メインハウジング10の内壁に形成された溝10d、10e及び10fに夫々、ブッシュ60a、60b及び連結部60cが嵌合される。このとき、ブッシュ60a、60bは連結部60cによって連結されているので、保管、搬送、組み付けが容易であり、メインハウジング10の溝10d、10e及び10fに容易且つ確実に嵌合され、更に、ブッシュ60a、60bの係止突起60d、60eが、夫々に対応する係止孔10g、10hに係合されるので、軸受部材60はメインハウジング10内に確実に保持される。そして、アウタチューブ22をメインハウジング10内に収容した後に、メインハウジング10の外側から係止孔10g、10h内の係止突起60d、60eを目視することにより、軸受部材60がメインハウジング10内に安定した状態で保持されていることを確認することができる。
【0029】
このように軸受部材60がメインハウジング10内に保持された後、アウタチューブ22がメインハウジング10内に収容され、付勢部材40が車体上方からメインハウジング10に組みつけられ、メインハウジング10に固定される。即ち、アウタチューブ22と軸受部材60が内蔵されたメインハウジング10に付勢部材40を固定すれば、所望の押圧荷重がアウタチューブ22に付与されることになる。また、当接部材43a、43bの下方平面部がアウタチューブ22の平面部22aに当接した状態で、ばね部材42a、42bの付勢力によってアウタチューブ22がその軸中心方向に押圧されているので、アウタチューブ22の軸を中心とする回転は確実に阻止される。そして、軸受部材60がメインハウジング10内の車体下側に配置され、アウタチューブ22の下側外周面と軸受部材60の内壁が接触した状態で、軸受部材60によってアウタチューブ22が適切に支持されているので、その軸方向の摺動を円滑に行うことができる。
【0030】
次に、テレスコピック機構2の駆動部について説明する。本実施形態では、図3に示すように、メインハウジング10の側壁12に形成された開口部10c内を軸方向(車体前後方向)に移動可能にアタッチメント2aが配置され、アウタチューブ22に固着されている。このアタッチメント2aは金属製の有底筒体で、メインハウジング10の開口部10cの前端及び後端に当接し得るように配置され、その底部が、車体前方及び車体後方でアウタチューブ22の側面に溶接されている。
【0031】
また、メインハウジング10には電動モータ70が支持されており、その出力軸に螺子軸72が連結され、この螺子軸72に螺合するナット73が、アタッチメント2a内に配設されている。而して、電動モータ70による螺子軸72の回転駆動に応じて、アタッチメント2a内のナット73が螺子軸72の軸方向に移動し、ナット73(及び、アタッチメント2a)と共にアウタチューブ22(ひいては、インナチューブ21、アッパシャフト1a及びステアリングホイール(図示せず))が軸方向に移動するように構成されている。尚、電動モータ70の出力軸と螺子軸72との間に減速機構(図示せず)が介装されており、電動モータ70の出力が適切に減速されて螺子軸72に伝達される。更に、本実施形態においては、図3に示すように、固定ブラケット30の下方にチルト機構3が配設されているが、本願発明と直接関係するものではないので、これについては説明を省略する。
【0032】
上記の構成に成るテレスコピック機構2を駆動するときには、電動モータ70を起動し、その出力軸回転駆動すると、その回転が減速機構(図示せず)を介して減速されて螺子軸72に伝達され、これに螺合するナット73が軸方向に移動し、このナット73が収容されたアタッチメント2aと共に、アウタチューブ22が軸方向に移動する。このアウタチューブ22の移動に伴い、インナチューブ21、アッパシャフト1a及びステアリングホイール(図示せず)が軸方向に移動するので、ステアリングホイールが所望の車体前後方向位置となったときに電動モータ70を停止すれば、ステアリングホイールを所望の操作位置に調整することができる。
【0033】
更に、本実施形態は、前述のようにエネルギー吸収手段としても機能し、以下のように衝撃吸収作動が行われる。例えば、図3に示す通常状態で、ステアリングホイール(図示せず)に対して、後方から所定以上の荷重が入力されると、アッパシャフト1aと一体的に連結されたインナチューブ21がアウタチューブ22に対し軸方向に移動する。即ち、インナチューブ21は、アッパシャフト1a及びステアリングホイール(図示せず)と共に、図3の通常状態の位置から前進し、所定の停止位置(図示せず)まで移動する。この間のインナチューブ21、アッパシャフト1a及びステアリングホイール(図示せず)の移動により、ステアリングホイールに対する衝撃が吸収される。即ち、ステアリングホイールに対して所定荷重を越える荷重が作用すると、インナチューブ21が漸次アウタチューブ22内に収容され、両者間に介装されている環状の摩擦材(符号省略)の摩擦力に抗してインナチューブ21が前進することにより、衝撃が吸収される。
【0034】
本発明に供される軸受部材60としては、図7乃至図9又は図10に示すもののほか、図11、図12及び図13、並びに図14に示すものを用いることができ、以下、順次説明する。先ず、図11は、軸受部材60の更に他の実施例の平面を示すもので、その正面及び側面図は図8と同様である。この実施例では、ブッシュ60a、60bの各々のアウタチューブ22に当接する部分の内面に、複数の溝60gが形成されており、適宜付与される摺動グリスは、これらの溝60gで保持されるので、アウタチューブ22の円滑な摺動作動を確保することができる。
【0035】
次に、図12及び図13は、夫々、軸受部材60の別の実施例の平面及び側面を示すもので、その正面図は図8と同様である。この実施例では、軸受部材60の材料及び重量を低減すべく、アウタチューブ22との接触面積を許容範囲内で極力小さくして、底面近傍の板厚が薄く形成されている。即ち、ブッシュ60a、60bの各々が、アウタチューブ22に当接する部分と当接しない部分に区分されており、後者の板厚が前者の板厚より薄く形成されている。この結果、ブッシュ60a、60bの各々の内面に段差60sが形成されるが、アウタチューブ22との必要な接触面積は確保されている。
【0036】
そして、図14は、軸受部材60の更に別の実施例の平面を示すもので、その正面図は図8と同様であり、その側面図は図13と同様である。この実施例は、図11に記載の実施例と図12及び図13に記載の実施例とを組み合わせたもので、ブッシュ60a、60bの各々の内面に複数の溝60gが形成されると共に、ブッシュ60a、60bの各々の底面近傍の板厚が薄く形成されて、内面に段差60sが形成されている。而して、アウタチューブ22との接触面積を許容範囲内で小さくして、軸受部材60の材料及び重量を低減し得ると共に、適宜付与される摺動グリスは、複数の溝60gで保持されるので、アウタチューブ22の円滑な摺動作動を確保することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 ステアリングシャフト
2 テレスコピック機構
3 チルト機構
10 メインハウジング
20 可動コラム部材
21 インナチューブ
22 アウタチューブ
30 固定ブラケット
40 付勢部材
60 軸受部材
60a,60b ブッシュ
60c 連結部
70 電動モータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のステアリング装置に関し、特に、ステアリングホイールの車体前後方向の操作位置を調整し得るステアリング装置に係る。
【背景技術】
【0002】
ステアリング装置においては、連結されたコラム部材相互のガタを防止するため、従来から種々の対策が講じられている。このうち、ステアリングホイールの車体前後方向の操作位置を調整し得るステアリング装置については、特に、車体に支持されるハウジングと、これに移動可能に連結される可動コラム部材との間のガタを防止し、円滑な摺動性を確保することが肝要である。例えば下記の特許文献1には、「車体に固定され前記車体の前後方向に配設される略円筒状の固定コラムと、前記固定コラム内に伸縮自在に嵌合される移動コラムと、前記移動コラムに枢支され揺動可能な揺動コラムと、前記固定コラム内に軸支されたロアシャフトと、前記移動コラム内に配設されるとともに前記ロアシャフトに伸縮自在に嵌合され前記ロアシャフトと一体回転するセンタシャフトと、前記揺動コラムに軸支されるとともにステアリングホイールが嵌まり前記ステアリングホイールの回転操作を前記センタシャフトに伝達するアッパシャフトと、前記揺動コラムを揺動させるチルト機構と、前記移動コラムを前記固定コラムに対して伸縮させるテレスコ機構と、前記チルト機構及び前記テレスコ機構のモータを制御する制御装置とを有するステアリング位置調整制御装置において、前記固定コラムは、前記車体の後方側端部近傍における軸方向に垂直方向の断面形状が周方向に連続したリング形状を有しており、前記固定コラムと前記移動コラムとの嵌合面には円筒状のブッシュが介在している」装置が提案され、固定コラムと移動コラムとの間の摺動性を確保するため、両者間に円筒状のブッシュが介装されている。
【0003】
また、下記の特許文献2には、「テレスコピック動作における可動ブラケットの固定ブラケットに対する回転運動が発生せず、簡単な構成で円滑なテレスコピック動作が可能なテレスコピックステアリング装置を提供する」ことを目的とし、「車体に固定される固定ブラケットと、前記固定ブラケットに回転可能に支持された固定シャフトと、前記固定ブラケットに軸方向に摺動可能に嵌挿された可動ブラケットと、前記固定シャフトに対して移動可能且つ一体回転可能に連結されるとともに前記可動ブラケットに回転可能に支持された可動シャフトと、前記可動ブラケット及び前記可動シャフトを前記固定ブラケット及び前記固定シャフトに対して軸方向に移動させる移動機構とを有するテレスコピックステアリング装置において、前記可動ブラケットの前記固定ブラケットに嵌挿される外周部は、少なくとも一個所の平面部を有し、前記平面部に当接する平面端部を有する当接部材が前記固定ブラケットに固定されている」装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−280917号公報
【特許文献2】特開2001−310741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の固定コラム部材と可動コラム部材は夫々、特許文献1に記載の固定コラムと移動コラムに対応し、特許文献2に記載の固定ブラケット(ステアリングコラム及びロアチューブ)と可動ブラケット(テレスコピックチューブ及びアッパーチューブ)に対応しているが、何れも筒状部材(外筒と内筒)であり、両筒状部材間のガタを防止し、摺動性を確保するため、軸受部材として円筒状のブッシュが用いられている。
【0006】
特に、上記の固定コラム部材について、特許文献1では固定ブラケットの実施例として「固定コラム11」を挙げ、特許文献2では「ステアリングコラム1とロアチューブ11」を挙げているように、筒状部材(外筒)が前提とされ、可動コラム部材(内筒)との間には円筒状のブッシュが介装されるように構成されており、必然的に両筒状部材の内外面に対し高精度の加工が要求される。更に、例えば特許文献1では、円筒状のブッシュに関し、車体の後方側端部近傍における軸方向に垂直方向の断面形状が周方向に連続したリング形状を有するように形成することが要請されている。また、何れにおいても、円筒状のブッシュを両筒状部材間に圧入するように構成されているので、筒状部材製造時に厳しい寸法管理が要求され、組み付けも困難である。尚、以下においては、上記の固定コラム部材との混同を避けるため、メインハウジングを用いる。
【0007】
そこで、本発明は、少なくとも車体前後方向のステアリングホイール操作位置を調整し得る車両のステアリング装置において、車体に支持するメインハウジングと、これに軸方向移動可能に支持する可動コラム部材との間のガタの防止を、少ない部品点数で安価に実現し得ると共に、軸受部材を容易に組み付け得るステアリング装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するため、本発明は、車体に支持するメインハウジングと、該メインハウジングに対し軸方向移動可能に支持する可動コラム部材を備え、該可動コラム部材に連結するステアリングホイールに対し少なくとも車体前後方向の操作位置を調整し得る車両のステアリング装置において、前記メインハウジングが、軸方向に延在する一対の側壁部を有し、該一対の側壁部間が開口すると共に軸方向の両端に開口部を有する筐体であって、前記可動コラム部材が、前記筐体の両端の開口部の一方を介して前記筐体内に収容する筒体であり、前記メインハウジングの前記一対の側壁部間の開口から収容して前記筐体の内壁に配置し、前記可動コラム部材を摺動可能に支持する軸受部材と、前記一対の側壁部の端面に固定し、前記可動コラム部材を付勢する付勢部材とを備え、該付勢部材により、前記可動コラム部材を、前記軸受部材を介して前記メインハウジングに付勢した状態で、前記可動コラム部材を前記メインハウジングに支持するように構成したものである。
【0009】
上記のステアリング装置において、前記一対の側壁部間の寸法が前記可動コラム部材を構成する筒体の直径より大であって、前記筐体の内壁が前記可動コラム部材の外面に適合する曲面を有するものとするとよい。更に、前記メインハウジングは、軸方向に対し直交する断面形状を、前記一対の側壁部を含みU字形状とし、前記軸受部材を、前記メインハウジングの前記筐体の内壁に適合するU字形状とするとよい。
【0010】
特に、前記メインハウジングは、前記筐体の内壁に係止孔を有し、該係止孔に係合する係止突起を、前記軸受部材に形成したものとするとよい。
【0011】
上記のステアリング装置において、前記メインハウジングを構成する前記筐体の内壁に、前記軸受部材を保持する溝を形成したものとするとよい。また、前記軸受部材は、軸方向に所定距離離隔した位置で前記可動コラム部材を支持する一対のブッシュを備えたものとするとよい。更に、前記一対のブッシュを連結して一体的に形成してもよい。
【0012】
そして、前記付勢部材は、前記一対の側壁部の端面に固定する基板と、該基板に支持し、前記可動コラム部材を前記軸受部材方向に付勢する一対のばね部材とを備えたものとするとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、本発明のステアリング装置においては、メインハウジングが、一対の側壁部間が開口すると共に軸方向の両端に開口部を有する筐体であって、可動コラム部材が、両端の開口部の一方を介して筐体内に収容される筒体であり、この筒体をメインハウジングの一対の側壁部間の開口から収容して筐体の内壁に配置し、可動コラム部材を摺動可能に支持する軸受部材と、一対の側壁部の端面に固定し、可動コラム部材を付勢する付勢部材を備え、この付勢部材により、可動コラム部材を、軸受部材を介してメインハウジングに付勢した状態で、可動コラム部材をメインハウジングに支持するように構成されているので、軸受部材を容易に組み付けることができ、部品点数が少なく安価で確実にコラム部材間のガタを防止することができると共に、良好な組付性を確保することができる。
【0014】
更に、一対の側壁部間の寸法を、可動コラム部材を構成する筒体の直径より大とし、筐体の内壁が可動コラム部材の外面に適合する曲面を有するものとすれば、メインハウジングを金属のダイキャストによって製造することができるので、部品点数が少なく、加工や組付が容易で、安価な装置を提供することができる。例えば、メインハウジングの断面形状をU字形状とし、軸受部材を、メインハウジングの筐体の内壁に適合するU字形状とすれば、メインハウジングの開口から軸受部材を容易に組み付けることができる。
【0015】
特に、メインハウジングの筐体の内壁に係止孔を形成し、これに係合する係止突起を軸受部材に形成すれば、軸受部材をメインハウジング内に安定した状態で保持することができる。しかも、可動コラム部材をメインハウジング内に収容した後に、メインハウジングの外側から係止孔内の係止突起を目視することにより、軸受部材がメインハウジング内に安定した状態で保持されていることを容易に確認することができる。
【0016】
更に、メインハウジングの筐体の内壁に、軸受部材を保持する溝を形成したものとすれば、メインハウジングへの軸受部材の組み付けが一層容易になり、確実にメインハウジング内に保持することができる。この溝は、ダイキャストによるメインハウジングの製造時に、その内壁に同時に形成することができるので、後の切削加工を必要とすることなく安価に製造することができる。また、軸受部材を、軸方向に所定距離離隔した位置で可動コラム部材を支持する一対のブッシュを備えたものとすれば、可動コラム部材を適切な位置で支持することができる。更に、一対のブッシュを連結して一体的に形成すれば、メインハウジング内への軸受部材の組み付けが一層容易になり、組み付け前の軸受部材の保管も容易となり、生産性が向上する。
【0017】
そして、一対の側壁部の端面に固定する基板と、可動コラム部材を軸受部材方向に付勢する一対のばね部材とを備えた付勢部材を用いれば、少ない部品点数で確実にメインハウジングと可動コラム部材との間のガタを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るステアリング装置の一部の組付状態を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るステアリング装置の一部の組付状態を示す側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るステアリング装置の全体を示す側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るステアリング装置の一部の横断面図である。
【図5】本発明の一実施形態の縦断面図で、図4のA−A線断面図である。
【図6】本発明の一実施形態の縦断面図で、図4のB−B線断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に供される軸受部材を示す平面図である。
【図8】本発明の一実施形態に供される軸受部材を示す正面及び側面図である。
【図9】本発明の一実施形態に供される軸受部材を示す斜視図である。
【図10】本発明に供される軸受部材の他の実施例を示す斜視図である。
【図11】本発明に供される軸受部材の更に他の実施例を示す平面図である。
【図12】本発明に供される軸受部材の別の実施例を示す平面図である。
【図13】本発明に供される軸受部材の別の実施例を示す側面図である。
【図14】本発明に供される軸受部材の更に別の実施例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の望ましい実施形態を図面を参照して説明する。図3は本発明の一実施形態に係るステアリング装置の全体構成を示すもので、本実施形態においては、ステアリングシャフト1は、後端部にステアリングホイール(図示せず)が接続される筒状のアッパシャフト1aと、このアッパシャフト1aの前端部とスプライン結合されるロアシャフト1bから成る。即ち、アッパシャフト1aとロアシャフト1bが軸方向に相対移動可能に連結されており、ロアシャフト1bの前端部が転舵機構(図示せず)に接続されている。この転舵機構はステアリングホイールの操作に応じて駆動されて車輪操舵機構(図示せず)を介して操舵輪(図示せず)を転舵するように構成されている。
【0020】
そして、ステアリングシャフト1と同軸にメインハウジング10が配置され、車体(図示せず)に対する揺動中心C回りに揺動可能に支持されると共に、固定ブラケット30に保持される。この固定ブラケット30は、車両の下方に延出して対向する一対の保持部(10では31のみが表れている)を有し、これらの間にメインハウジング10が保持され、図3の上方で車体に固定される。更に、固定ブラケット30の一対の保持部31とメインハウジング10との間に、夫々押圧機構(図示せず)が介装され、これによってメインハウジング10が摺動自在に押圧支持される。
【0021】
メインハウジング10内には、可動コラム部材20が軸方向に移動可能、即ち、車体前後方向に移動可能に支持されている。この可動コラム部材20として、ステアリングシャフト1を収容し軸を中心に回転可能に支持する金属製のインナチューブ21と、このインナチューブ21を収容し常時はインナチューブ21を所定位置に保持する金属製のアウタチューブ22が設けられており、インナチューブ21はアッパチューブとも呼ばれ、アウタチューブ22はテレスコピックチューブとも呼ばれる。アッパシャフト1aは、インナチューブ21の後端部に軸受(図示せず)を介して回転可能に支持されるが、アッパシャフト1aとインナチューブ21との間の軸方向相対移動は規制され、アッパシャフト1aとインナチューブ21は一体となって軸方向移動し得るように構成されている。
【0022】
而して、メインハウジング10に対し、アウタチューブ22、インナチューブ21、ステアリングシャフト1及びステアリングホイール(図示せず)が一体となって軸方向に移動可能とされてテレスコピック機構2が構成され、これにより、ステアリングホイールを所望の車体前後方向位置に調整することができる。更に、ステアリングシャフト1に対し所定値以上の荷重が印加されたときには、アウタチューブ22に対するインナチューブ21の軸方向相対移動(ひいてはアッパシャフト1aの軸方向移動)を許容するように構成されており、本実施形態のインナチューブ21及びアウタチューブ22は、両者間に介装される環状の摩擦材(例えば、金属製弾性ブッシュ)等と共に、エネルギー吸収手段として機能する。
【0023】
本実施形態のメインハウジング10は、図1に示すように、軸方向に延在する一対の側壁部11及び12を有する金属(例えばアルミニウム)ダイキャスト製の筐体で構成されており、側壁部11及び12間が車体上方に開口すると共に軸方向の両端に開口部(図4に10a、10bで示す)が設けられている。側壁部11及び12間の寸法は可動コラム部材20を構成するアウタチューブ22の直径より大とされており、メインハウジング10の内壁はアウタチューブ22の外面に適合する曲面を有し、図4のA−A線及びB−B線断面図の図5及び図6に示すように、メインハウジング10は、その軸方向に対し直交する断面形状が、側壁部11及び12を含みU字状に形成されている。このように、メインハウジング10は、軸方向に延在する側壁部11及び12間で(図5及び図6の上方に)開口している筐体であるので、例えばアルミダイキャストで容易に製造することができ、その内壁も、製造時に所望の形状(アウタチューブ22の外面に適合する曲面)に容易に形成することができる。また、後述する溝10d、10e、10f及び係止孔10gもメインハウジング10の製造時に同時に形成することができるので、切削加工及び穿孔加工を必要とすることなく製造工程の短縮化が可能となる。
【0024】
一方、アウタチューブ22は金属製の円筒体で、その外面に軸方向に延在する平面部22aが形成されている。そして、図4に示すように、基板41、ばね部材42a、42b及び当接部材43a、43bから成る付勢部材40が、アウタチューブ22の平面部22aを押圧した状態でメインハウジング10に固定される。尚、本実施形態では、図1及び図2に白抜矢印で示すように、アウタチューブ22は車体前方側の開口部(図4に10bで示す)を介してメインハウジング10内に収容され、この開口部10bに、図3に示す軸受部13が装着されて、ロアシャフト1bが回転自在に支持される。
【0025】
メインハウジング10の内壁には、図4に示すように軸方向に所定距離離隔した位置に夫々、溝10d、10eが形成されると共に、これらを連結する溝10fが形成されており、これらの溝10d、10e、10f内に夫々、ブッシュ60a、60b及び連結部60cが嵌合されて保持されるように構成されている。本実施形態の軸受部材60は、図7乃至図9に示すように、メインハウジング10の内壁に適合する形状に形成されている。即ち、軸受部材60は、軸方向に所定距離離隔した位置に配置される半円形あるいはU字形状のブッシュ60a、60bが、連結部60cで連結された合成樹脂製の一体成型部材である。尚、図10に示すように、連結部60cを設けることなく、ブッシュ60a、60bを別体とし、個別にメインハウジング10内の溝10d、10eに嵌合することとしてもよい。更に、図4及び図8に示すように、ブッシュ60a、60bには係止突起60d、60eが一体的に形成されており、図4に示すメインハウジング10の溝10d、10e内に形成された係止孔10g、10hに係合するように構成されている。
【0026】
而して、メインハウジング10に対し軸方向移動可能のアウタチューブ22は、ブッシュ60a、60bを介して円滑に摺動することができる。この場合において、アウタチューブ22に対する軸受部材60の摺動面は付勢部材40(当接部材43a、43b)と反対側に存在すればよく、アウタチューブ22の全周に亘って摺動面を確保する必要は無いので、ブッシュ60a、60bは半円形あるいはU字形状に形成されているが、更に、必要な荷重を受けることが可能な範囲に留め、例えば扇の外周形状に形成することとしてもよい。ブッシュ60a、60bを上記のように構成することにより、当接部材43a、43bのピッチの自由度が高くなり、アウタチューブ22に対し適切な位置で付勢することができる。換言すれば、従前の環状のブッシュでは、その真上から付勢することはできないのに対し、上記のブッシュ60a、60bを用いれば、付勢部材40を構成する当接部材43a、43bの位置決めを行う際に設計的な自由度が高くなる。尚、ブッシュ60a、60bに形成される係止突起60d、60eは、回転方向の位置ズレ防止に留まることなく、アウタチューブ22がメインハウジング10内を摺動するときの摩擦力に打ち勝つだけの断面積に設定することが望ましい。
【0027】
本実施形態の付勢部材40は、図4に示すように、一対の側壁部の端面に固定する鋼材の基板41と、アウタチューブ22の平面部22aに対し軸方向に所定距離離隔した位置で、アウタチューブ22をブッシュ60a、60b方向に付勢する一対のばね部材42a、42bを備えている。本実施形態のばね部材42a、42bは複数の皿ばねが積層されたもので、基板41に支持された合成樹脂製の当接部材43a、43bを介してアウタチューブ22の平面部22aを押圧するように配置され、メインハウジング10に固定されると、アウタチューブ22に対し所望の押圧力が付与される。尚、基板41のメインハウジング10への固定方法としてはボルト、カシメあるいはピン圧入等、基板41を確実にメインハウジング10に固定できる方法であれば何れの方法でもよい。また、ばね部材42a、42bは複数の皿ばねに代えて、板ばねやコイルスプリングを用いることとしてもよい。
【0028】
ここで、図1、2及び図4を参照して本実施形態の組み付け手順を説明すると、先ず、ブッシュ60a、60b及びこれらを連結する連結部60cが合成樹脂にて一体成型されて成る軸受部材60が、メインハウジング10内に収容され、メインハウジング10の内壁に形成された溝10d、10e及び10fに夫々、ブッシュ60a、60b及び連結部60cが嵌合される。このとき、ブッシュ60a、60bは連結部60cによって連結されているので、保管、搬送、組み付けが容易であり、メインハウジング10の溝10d、10e及び10fに容易且つ確実に嵌合され、更に、ブッシュ60a、60bの係止突起60d、60eが、夫々に対応する係止孔10g、10hに係合されるので、軸受部材60はメインハウジング10内に確実に保持される。そして、アウタチューブ22をメインハウジング10内に収容した後に、メインハウジング10の外側から係止孔10g、10h内の係止突起60d、60eを目視することにより、軸受部材60がメインハウジング10内に安定した状態で保持されていることを確認することができる。
【0029】
このように軸受部材60がメインハウジング10内に保持された後、アウタチューブ22がメインハウジング10内に収容され、付勢部材40が車体上方からメインハウジング10に組みつけられ、メインハウジング10に固定される。即ち、アウタチューブ22と軸受部材60が内蔵されたメインハウジング10に付勢部材40を固定すれば、所望の押圧荷重がアウタチューブ22に付与されることになる。また、当接部材43a、43bの下方平面部がアウタチューブ22の平面部22aに当接した状態で、ばね部材42a、42bの付勢力によってアウタチューブ22がその軸中心方向に押圧されているので、アウタチューブ22の軸を中心とする回転は確実に阻止される。そして、軸受部材60がメインハウジング10内の車体下側に配置され、アウタチューブ22の下側外周面と軸受部材60の内壁が接触した状態で、軸受部材60によってアウタチューブ22が適切に支持されているので、その軸方向の摺動を円滑に行うことができる。
【0030】
次に、テレスコピック機構2の駆動部について説明する。本実施形態では、図3に示すように、メインハウジング10の側壁12に形成された開口部10c内を軸方向(車体前後方向)に移動可能にアタッチメント2aが配置され、アウタチューブ22に固着されている。このアタッチメント2aは金属製の有底筒体で、メインハウジング10の開口部10cの前端及び後端に当接し得るように配置され、その底部が、車体前方及び車体後方でアウタチューブ22の側面に溶接されている。
【0031】
また、メインハウジング10には電動モータ70が支持されており、その出力軸に螺子軸72が連結され、この螺子軸72に螺合するナット73が、アタッチメント2a内に配設されている。而して、電動モータ70による螺子軸72の回転駆動に応じて、アタッチメント2a内のナット73が螺子軸72の軸方向に移動し、ナット73(及び、アタッチメント2a)と共にアウタチューブ22(ひいては、インナチューブ21、アッパシャフト1a及びステアリングホイール(図示せず))が軸方向に移動するように構成されている。尚、電動モータ70の出力軸と螺子軸72との間に減速機構(図示せず)が介装されており、電動モータ70の出力が適切に減速されて螺子軸72に伝達される。更に、本実施形態においては、図3に示すように、固定ブラケット30の下方にチルト機構3が配設されているが、本願発明と直接関係するものではないので、これについては説明を省略する。
【0032】
上記の構成に成るテレスコピック機構2を駆動するときには、電動モータ70を起動し、その出力軸回転駆動すると、その回転が減速機構(図示せず)を介して減速されて螺子軸72に伝達され、これに螺合するナット73が軸方向に移動し、このナット73が収容されたアタッチメント2aと共に、アウタチューブ22が軸方向に移動する。このアウタチューブ22の移動に伴い、インナチューブ21、アッパシャフト1a及びステアリングホイール(図示せず)が軸方向に移動するので、ステアリングホイールが所望の車体前後方向位置となったときに電動モータ70を停止すれば、ステアリングホイールを所望の操作位置に調整することができる。
【0033】
更に、本実施形態は、前述のようにエネルギー吸収手段としても機能し、以下のように衝撃吸収作動が行われる。例えば、図3に示す通常状態で、ステアリングホイール(図示せず)に対して、後方から所定以上の荷重が入力されると、アッパシャフト1aと一体的に連結されたインナチューブ21がアウタチューブ22に対し軸方向に移動する。即ち、インナチューブ21は、アッパシャフト1a及びステアリングホイール(図示せず)と共に、図3の通常状態の位置から前進し、所定の停止位置(図示せず)まで移動する。この間のインナチューブ21、アッパシャフト1a及びステアリングホイール(図示せず)の移動により、ステアリングホイールに対する衝撃が吸収される。即ち、ステアリングホイールに対して所定荷重を越える荷重が作用すると、インナチューブ21が漸次アウタチューブ22内に収容され、両者間に介装されている環状の摩擦材(符号省略)の摩擦力に抗してインナチューブ21が前進することにより、衝撃が吸収される。
【0034】
本発明に供される軸受部材60としては、図7乃至図9又は図10に示すもののほか、図11、図12及び図13、並びに図14に示すものを用いることができ、以下、順次説明する。先ず、図11は、軸受部材60の更に他の実施例の平面を示すもので、その正面及び側面図は図8と同様である。この実施例では、ブッシュ60a、60bの各々のアウタチューブ22に当接する部分の内面に、複数の溝60gが形成されており、適宜付与される摺動グリスは、これらの溝60gで保持されるので、アウタチューブ22の円滑な摺動作動を確保することができる。
【0035】
次に、図12及び図13は、夫々、軸受部材60の別の実施例の平面及び側面を示すもので、その正面図は図8と同様である。この実施例では、軸受部材60の材料及び重量を低減すべく、アウタチューブ22との接触面積を許容範囲内で極力小さくして、底面近傍の板厚が薄く形成されている。即ち、ブッシュ60a、60bの各々が、アウタチューブ22に当接する部分と当接しない部分に区分されており、後者の板厚が前者の板厚より薄く形成されている。この結果、ブッシュ60a、60bの各々の内面に段差60sが形成されるが、アウタチューブ22との必要な接触面積は確保されている。
【0036】
そして、図14は、軸受部材60の更に別の実施例の平面を示すもので、その正面図は図8と同様であり、その側面図は図13と同様である。この実施例は、図11に記載の実施例と図12及び図13に記載の実施例とを組み合わせたもので、ブッシュ60a、60bの各々の内面に複数の溝60gが形成されると共に、ブッシュ60a、60bの各々の底面近傍の板厚が薄く形成されて、内面に段差60sが形成されている。而して、アウタチューブ22との接触面積を許容範囲内で小さくして、軸受部材60の材料及び重量を低減し得ると共に、適宜付与される摺動グリスは、複数の溝60gで保持されるので、アウタチューブ22の円滑な摺動作動を確保することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 ステアリングシャフト
2 テレスコピック機構
3 チルト機構
10 メインハウジング
20 可動コラム部材
21 インナチューブ
22 アウタチューブ
30 固定ブラケット
40 付勢部材
60 軸受部材
60a,60b ブッシュ
60c 連結部
70 電動モータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に支持するメインハウジングと、該メインハウジングに対し軸方向移動可能に支持する可動コラム部材を備え、該可動コラム部材に連結するステアリングホイールに対し少なくとも車体前後方向の操作位置を調整し得る車両のステアリング装置において、前記メインハウジングが、軸方向に延在する一対の側壁部を有し、該一対の側壁部間が開口すると共に軸方向の両端に開口部を有する筐体であって、前記可動コラム部材が、前記筐体の両端の開口部の一方を介して前記筐体内に収容する筒体であり、前記メインハウジングの前記一対の側壁部間の開口から収容して前記筐体の内壁に配置し、前記可動コラム部材を摺動可能に支持する軸受部材と、前記一対の側壁部の端面に固定し、前記可動コラム部材を付勢する付勢部材とを備え、該付勢部材により、前記可動コラム部材を、前記軸受部材を介して前記メインハウジングに付勢した状態で、前記可動コラム部材を前記メインハウジングに支持することを特徴とする車両のステアリング装置。
【請求項2】
前記メインハウジングは、前記一対の側壁部間の寸法が前記可動コラム部材を構成する筒体の直径より大であって、前記筐体の内壁が前記可動コラム部材の外面に適合する曲面を有することを特徴とする請求項1記載の車両のステアリング装置。
【請求項3】
前記メインハウジングは、軸方向に対し直交する断面形状が、前記一対の側壁部を含みU字形状であって、前記軸受部材が、前記メインハウジングの前記筐体の内壁に適合するU字形状であることを特徴とする請求項2記載の車両のステアリング装置。
【請求項4】
前記メインハウジングは、前記筐体の内壁に係止孔を有し、該係止孔に係合する係止突起を、前記軸受部材に形成したことを特徴とする請求項3記載の車両のステアリング装置。
【請求項5】
前記メインハウジングを構成する前記筐体の内壁に、前記軸受部材を保持する溝を形成して成ることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の車両のステアリング装置。
【請求項6】
前記軸受部材は、軸方向に所定距離離隔した位置で前記可動コラム部材を支持する一対のブッシュを備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の車両のステアリング装置。
【請求項7】
前記一対のブッシュを連結して一体的に形成して成ることを特徴とする請求項6記載の車両のステアリング装置。
【請求項8】
前記一対のブッシュの各々を、前記可動コラム部材に当接する部分と当接しない部分に区分し、該当接しない部分の板厚を前記当接する部分の板厚より薄く形成して成ることを特徴とする請求項6又は7記載の車両のステアリング装置。
【請求項9】
前記一対のブッシュの各々の前記可動コラム部材に当接する部分の内面に、摺動グリスを保持する溝を形成して成ることを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載の車両のステアリング装置。
【請求項10】
前記付勢部材は、前記一対の側壁部の端面に固定する基板と、該基板に支持し、前記可動コラム部材を前記軸受部材方向に付勢する一対のばね部材とを備えたことを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の車両のステアリング装置。
【請求項1】
車体に支持するメインハウジングと、該メインハウジングに対し軸方向移動可能に支持する可動コラム部材を備え、該可動コラム部材に連結するステアリングホイールに対し少なくとも車体前後方向の操作位置を調整し得る車両のステアリング装置において、前記メインハウジングが、軸方向に延在する一対の側壁部を有し、該一対の側壁部間が開口すると共に軸方向の両端に開口部を有する筐体であって、前記可動コラム部材が、前記筐体の両端の開口部の一方を介して前記筐体内に収容する筒体であり、前記メインハウジングの前記一対の側壁部間の開口から収容して前記筐体の内壁に配置し、前記可動コラム部材を摺動可能に支持する軸受部材と、前記一対の側壁部の端面に固定し、前記可動コラム部材を付勢する付勢部材とを備え、該付勢部材により、前記可動コラム部材を、前記軸受部材を介して前記メインハウジングに付勢した状態で、前記可動コラム部材を前記メインハウジングに支持することを特徴とする車両のステアリング装置。
【請求項2】
前記メインハウジングは、前記一対の側壁部間の寸法が前記可動コラム部材を構成する筒体の直径より大であって、前記筐体の内壁が前記可動コラム部材の外面に適合する曲面を有することを特徴とする請求項1記載の車両のステアリング装置。
【請求項3】
前記メインハウジングは、軸方向に対し直交する断面形状が、前記一対の側壁部を含みU字形状であって、前記軸受部材が、前記メインハウジングの前記筐体の内壁に適合するU字形状であることを特徴とする請求項2記載の車両のステアリング装置。
【請求項4】
前記メインハウジングは、前記筐体の内壁に係止孔を有し、該係止孔に係合する係止突起を、前記軸受部材に形成したことを特徴とする請求項3記載の車両のステアリング装置。
【請求項5】
前記メインハウジングを構成する前記筐体の内壁に、前記軸受部材を保持する溝を形成して成ることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の車両のステアリング装置。
【請求項6】
前記軸受部材は、軸方向に所定距離離隔した位置で前記可動コラム部材を支持する一対のブッシュを備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の車両のステアリング装置。
【請求項7】
前記一対のブッシュを連結して一体的に形成して成ることを特徴とする請求項6記載の車両のステアリング装置。
【請求項8】
前記一対のブッシュの各々を、前記可動コラム部材に当接する部分と当接しない部分に区分し、該当接しない部分の板厚を前記当接する部分の板厚より薄く形成して成ることを特徴とする請求項6又は7記載の車両のステアリング装置。
【請求項9】
前記一対のブッシュの各々の前記可動コラム部材に当接する部分の内面に、摺動グリスを保持する溝を形成して成ることを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載の車両のステアリング装置。
【請求項10】
前記付勢部材は、前記一対の側壁部の端面に固定する基板と、該基板に支持し、前記可動コラム部材を前記軸受部材方向に付勢する一対のばね部材とを備えたことを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の車両のステアリング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−67310(P2013−67310A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208391(P2011−208391)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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