説明

車両のブレーキ機構

【課題】本発明は、台車、車椅子等の車両のブレーキ機構に関する。
【解決手段】回動可能なブレーキ操作杆15に車輪に当接可能なブレーキシュー19を取付け、左右操作杆10と前後操作杆30の何れか一方が回動すると左右操作杆10と前後操作杆30の双方が回動可能な連結体で結合してあり、左右操作杆10の回動によって、前記ブレーキ操作杆15が回動し、ブレーキシューが車輪に当接してブレーキとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車、車椅子等の車両のブレーキ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物を運搬する台車を例に取ると、3〜4個の車輪を付設し、ハンドルを押すことによってほぼ水平で走行して荷物を運ぶ。
しかしながら、傾斜道等に台車をおくと、台車は傾斜道を走行するため、安全装置として、ブレーキが必要であるが、多くは車輪自体を押圧する機構のものであり、そのブレーキ性能が不十分となる場合がある。そこで、確実に停止可能なブレーキ機構を有する台車の一例として、特開2002−81474号公報に開示してある。
【0003】
【特許文献1】特開2002−81474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特開2002−81474号公報には、一例のブレーキ付き台車が開示してある。このブレーキ操作は、台車の後側で足踏み等を介して行われている。
しかし、台車によっては、台車の前後の他、左右、即ち、平面的に4方向のいずれの側においても操作すると便利な場合がある。
そこで、本願は、前後と左右のいずれの側からも、ブレーキ操作が可能な車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明の手段を実施例に基づいて説明すると、請求項1の車両は、少なくとも前後車輪を備える車両であり、回動可能なブレーキ操作杆15には前記車輪に当接可能なブレーキシュー19が取付けてある。
また、左右操作杆10と前後操作杆30の何れか一方が回動すると左右操作杆10と前後操作杆30の双方が回動可能な連結体で結合してある。そして、前記左右操作杆10の回動によって、前記ブレーキ操作杆15が回動し、ブレーキシューが車輪に当接してブレーキとなる。
【0006】
また、請求項2の車両に付設の連結体35は、前後操作杆30に傾斜して固定の基台36に回動可能に取り付けてあるコ字状のY伝達アーム37と、前記左右操作杆10に固定の棒状のX伝達アーム38で構成されている。そして、前記X伝達アーム38を前記Y伝達アーム37に挿入されていることによって、左右操作杆10と前後操作杆30の何れかが回動すると、X伝達アーム38とY伝達アーム37の双方が回動し、この連結体35の構造は簡便である。
また、請求項3の車両は、左右操作杆10に凸面鏡カム16を取付け、ブレーキ操作杆15に前記凸面鏡カム16に当接可能な回転杆18を取付けてあることによって、左右操作杆10の回動は回転杆18を回動させる。
また、請求項4の車両は、前後車輪の間に中間車輪を設け、ブレーキシューによって前記中間車輪にブレーキをかける。
【発明の効果】
【0007】
車両の前後側の他、左右側からもブレーキ操作ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態を、台車の台板を取り外した平面を示す図1、図1のA〜A矢視を示す図2、図1のB〜B矢視を示す図3を参照して説明する。
台車の本体1は、四角状のフレーム枠2で構成してあり、そのフレーム枠2の上には、薄板スチールや樹脂等で製作の台板が固定してある。
また、前記フレーム枠2に延設して車輪板4が取り付けてあり、前方の車輪板4には自在輪の前車輪3a、後方の車輪板4には自在輪の後車輪3bが取付けてある。また、前記前車輪3aと後車輪3bの間には車輪板4に中間車輪3cが、後述のブレーキ機構と共に取り付けてある。
【0009】
前記フレーム枠2の下であって、左右方向には、左右操作杆10が左右支持体10aを介して回動可能に取り付けてあり、左右操作杆10の両端部には右側ペタル11と左側ペタル12が取り付けてある。
この右側ペタル11の左側を踏むと、左右操作杆10の回動によって、中間車輪3cにブレーキがかかり、右側を踏むとブレーキが解除になる。一方、左側ペタル12の右側を踏むと、左右操作杆10の回動によって、中間車輪3cにブレーキがかかり、左側を踏むとブレーキが解除になる。
【0010】
次に、図2(図1のA〜A矢視)を参照してブレーキ機構について説明すると、前記左右操作杆10の下側にはブレーキ操作杆15が配置してあり、このブレーキ操作杆15は前記フレーム枠2から垂設の支持体10aに回動可能に配置してある。
そして、前記左右操作杆10と後述の前後操作杆30の交点の下側であって、左右操作杆10には凸面鏡カム16が取り付けてあり、右側ペタル11または左側ペタル12の回動により、前記左右操作杆10に取付けの凸面鏡カム16が回動する。
【0011】
一方、前記凸面鏡カム16に対応する位置に、調節ネジ18aを備える回転杆18が前記ブレーキ操作杆15に当接可能に取付けてある。
従って、凸面鏡カム16の位置によって、前記ブレーキ操作杆15は時計方向または反時計方向に回動する。
また、前記ブレーキ操作杆15には、取付け部材19aを介して、前記中間車輪3cを押圧してブレーキとなるブレーキシュー19が付設してあり、前記ブレーキ操作杆15の時計方向の回動により、ブレーキがかかる状態になり、反時計方向の回動によりブレーキが解除の状態になる。
【0012】
また、このブレーキ操作杆15には、下バネ取付体17aが後方向に張り出して付設してある一方、前記フレーム枠2には中間車輪3cの車輪板4に上バネ取付体17bが固定してあり、前記下バネ取付体17aと上バネ取付体17bにバネ20が張設してあり、このバネ20は前記ブレーキシュー19がブレーキ状態から解除状態になったとき、ブレーキシュー19を中間車輪3cから離脱する作用をなすが、このバネ20は必ずしも必要ではない。
【0013】
一方、前記フレーム枠2の下であって、前後方向(左右操作杆10と垂直方向)には、前後支持体(図示略)を介して前後操作杆30が回動可能に取り付けてあり、前後操作杆30の両端部には前側ペタル31と後側ペタル32が取り付けてある。
また、前記前後操作杆30と左右操作杆10は、フレーム枠2のほぼ中央部で連結体35で連結してある。
この連結体35は、前後操作杆30に傾斜して固定の基台36に回動可能に取り付けてあるコ字状のY伝達アーム37と、前記左右操作杆10に固定の棒状のX伝達アーム38で構成され、この棒状のX伝達アーム38は前記コ字状のY伝達アーム37に挿入されている。
【0014】
尚、前記Y伝達アーム37は基台36(または前後操作杆30)に対して回動可能になっているのは、前後操作杆30と左右操作杆10が互いに回動するに当たって、こじれて回動することに対応するためである。
従って、前後操作杆30が回動するとY伝達アーム37が回動し、この回動はX伝達アーム38を回動し、左右操作杆10を回動する。即ち、前後操作杆30と左右操作杆10のいずれかが回動すると、前後操作杆30と左右操作杆10が共に回動する。
そして、この左右操作杆10の回動は、凸面鏡カム16を回動すると共に回転杆18を介してブレーキ操作杆15を回動し、ブレーキシュー19によってブレーキ動作となるか、解除動作となる。
【0015】
即ち、前記前側ペタル31の左側を踏むと、前後操作杆30が回動して、中間車輪3cにブレーキがかかり、右側を踏むとブレーキが解除になる。また、後側ペタル32の右側を踏むと、前後操作杆30が回動して、中間車輪3cにブレーキがかかり、左側を踏むとブレーキが解除になる。
【0016】
以上のように、前記フレーム枠2の各辺には、右側ペタル11と左側ペタル12、前側ペタル31と後側ペタル32が配置してあり、いずれかのペタル操作によって、中間車輪3cに対して、ブレーキ操作が可能になっている。
尚、前記ペタルに替えて、左右操作杆10と前後操作杆30を回動する構成であってもよい。
また、前記の構成は、Y伝達アーム37は前後操作杆30に、X伝達アーム38は左右操作杆10に取付けであるが、Y伝達アーム37を左右操作杆10に、X伝達アーム38を前後操作杆30に取付けの構成であってもよい。
【0017】
次に、前記構成のブレーキ操作について説明する。
先ず、右側ペタル11の左側を踏むと、左右操作杆10は時計方向に回動する。そして、この左右操作杆10の回動によって、凸面鏡カム16は頂部になって、ブレーキ操作杆15を時計方向に回動して、ブレーキシューを中間車輪3c側に押圧してブレーキがかかった状態になる。
一方、右側ペタルの右側を踏むと、前記と逆に作用して、凸面鏡カム16の頂部が外れた位置になり、バネ20の引っ張り力により、ブレーキ操作杆15を反時計方向に回動して、ブレーキシューを中間車輪3cから離脱してブレーキ解除状態になる。尚、左側ペタル12についても、同様である。
【0018】
次に、前側ペタル31の左側を踏むと、前後操作杆30(X伝達アーム38)は反時計方向に回動し、連結体35によって、Y伝達アーム37(左右操作杆10)は時計方向に回動する。
その結果、左右操作杆10に付設の凸面鏡カム16は頂部になり、ブレーキ操作杆15を時計方向に回動して、ブレーキシューを中間車輪3c側に押圧してブレーキがかかった状態になる。
一方、前側ペタル31の右側を踏むと、前記と逆に作用して、ブレーキシューを中間車輪3cから離脱してブレーキ解除状態になる。尚、後側ペタル32についても、同様である。
【0019】
以上のように、本願発明は、車両の前後左右の何れの側からでもブレーキ操作を可能にしたが、前後の片方、左右の片方側だけで操作可能に構成することであってもよい。
尚、本願発明では、連結体35を介して左右操作杆10と前後操作杆30を互いに回動する機構であるが、ウオームギア等を使用する他の伝達機構で構成してもよい。また、本願は、前後車輪の間に中間車輪を設け、その中間車輪をブレーキシューでブレーキ機構を付設してある構造であるが、前後車輪の何れか、または双方にブレーキ機構を付設する構造であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】台車の台板を取り外した平面を示す図である。
【図2】図1のA〜A矢視を示す図である。
【図3】図1のB〜B矢視を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
1 台車の本体
3a 前車輪
3b 後車輪
3c 中間車輪
10 左右操作杆
15 ブレーキ操作杆
16 凸面鏡カム
18 回転杆
19 ブレーキシュー
30 前後操作杆
35 連結体
37 Y伝達アーム
38 X伝達アーム








【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも前後車輪を備える車両であって、
回動可能なブレーキ操作杆に前記車輪に当接可能なブレーキシューを取付け、
回動可能な左右操作杆を回動可能な前後操作杆に垂直に設け、
左右操作杆と前後操作杆の何れか一方が回動すると左右操作杆と前後操作杆の双方が回動可能な連結体で結合し、
前記左右操作杆の回動を介して前記ブレーキ操作杆の回動によって、前記ブレーキシューが車輪に当接してブレーキとなることを特徴とする車両。
【請求項2】
連結体を、前後操作杆に傾斜して固定の基台に回動可能に取り付けてあるコ字状のY伝達アームと、前記左右操作杆に固定の棒状のX伝達アームで構成され、
前記X伝達アームを前記Y伝達アームに挿入されていることを特徴とする車両。
【請求項3】
左右操作杆に凸面鏡カムを取付け、ブレーキ操作杆に前記凸面鏡カムに当接可能な回転杆を取付けてなることを特徴とする請求項1または請求項2の車両。
【請求項4】
前後車輪の間に中間車輪を設け、ブレーキシューによって前記中間車輪にブレーキをかけることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項の車両。


















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−126377(P2009−126377A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−304034(P2007−304034)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(595147504)
【Fターム(参考)】