車両の下部車体構造
【課題】この発明は、乗員の安楽姿勢を取る際、乗員の膝とセンターコンソールとの干渉を回避することができる車両の下部車体構造を提供することを目的とする。
【解決手段】車両のフロアパネル3上に配設されたドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6と、該ドライバーズシート5とパッセンジャーズシート6との間に前後方向に亘って配設されたトンネル部3bと、ドライバーズシート5及びパッセンジャーズシート6の前方に車幅方向に亘って配設されたインストルメントパネル7から、ドライバーズシート5とパッセンジャーズシート6との間を前後方向に亘って配設されたセンターコンソール14とを備えた車両であって、トンネル部3bは、その側面部3dにおいて車幅方向内側に凹設する凹設部3hを有しており、該凹設部3hは、ドライバーズシート5またはパッセンジャーズシート6より前方に配設された。
【解決手段】車両のフロアパネル3上に配設されたドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6と、該ドライバーズシート5とパッセンジャーズシート6との間に前後方向に亘って配設されたトンネル部3bと、ドライバーズシート5及びパッセンジャーズシート6の前方に車幅方向に亘って配設されたインストルメントパネル7から、ドライバーズシート5とパッセンジャーズシート6との間を前後方向に亘って配設されたセンターコンソール14とを備えた車両であって、トンネル部3bは、その側面部3dにおいて車幅方向内側に凹設する凹設部3hを有しており、該凹設部3hは、ドライバーズシート5またはパッセンジャーズシート6より前方に配設された。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のフロアパネル上に配設された運転席、助手席と、該運転席と助手席との間に前後方向に亘って配設されたトンネル部と、インストルメントパネルから前記運転席と前記助手席との間を前後方向に亘って配設されたセンターコンソールとを備えた車両の下部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転席と助手席との間に配設されたセンターコンソールの上面部には、シフトレバーやパーキングレバーに加え、乗員の使い勝手を考慮して、アームレストやカップホルダー等がレイアウトされている。また、近年では、目的地までの走行路を案内するナビゲーション装置の操作手段としてナビゲーションコマンダがセンターコンソールの上面部にレイアウトされる場合もある。
【0003】
また、車両下部のフロアパネルには、上述のセンターコンソールと同様、運転席と助手席との間に車両前後方向に亘ってトンネル部が配設されている。トンネル部は、運転席側、助手席側の両側面部が下方に向かうにつれて車幅方向外側へ広がるように形成されている場合が多く、下記特許文献1では、トンネル部の一般的な断面形状が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−265691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1のように、トンネル部の側面部が下方に向かうにつれて車幅方向外側へ広がっている場合、乗員は、車幅方向外側(車室内)に膨出したトンネル部の下部を避けるために、自身の足先を車幅方向外側に置こうとする。
【0006】
しかしながら、乗員の足先を車幅方向外側に置く程、乗員が足を後方に引いて安楽姿勢(具体的には、足を後方に引いて両足を車幅方向に開いた所謂蟹股姿勢。)を取ろうとした時には、膝の位置が低くなり、膝とセンターコンソールとが互いに接近、干渉することになってしまう。
【0007】
また、近年、センターコンソールについては、上述したようにその上面部にシフトレバーやパーキングレバー等の様々な部材がレイアウトされることから、上面幅が広いものが望まれている。
【0008】
しかしながら、センターコンソールは、シフトレバー等の操作性とデザイン上の理由からその上面部が高い位置に設定される場合があり、上述のようにセンターコンソールの上面幅を広げると、足を車幅方向に開いた時、乗員の膝がよりセンターコンソールに干渉し易くなってしまう。
【0009】
このように、従来では、前記特許文献1に開示されているようなトンネル部の断面形状と、センターコンソールの上面幅の広がりとによって、乗員が安楽姿勢を取る際には、乗員の膝とセンターコンソールとがより一層干渉し易くなっていた。
【0010】
この発明は、乗員の安楽姿勢を取る際、乗員の膝とセンターコンソールとの干渉を回避することができる車両の下部車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の車両の下部車体構造は、車両のフロアパネル上に配設された運転席、助手席と、該運転席と助手席との間に前後方向に亘って配設されたトンネル部と、前記運転席及び前記助手席の前方に車幅方向に亘って配設されたインストルメントパネルから、前記運転席と前記助手席との間を前後方向に亘って配設されたセンターコンソールとを備えた車両であって、前記トンネル部は、その側面部において車幅方向内側に凹設する凹設部を有しており、該凹設部は、前記運転席または前記助手席より前方に配設されたものである。
【0012】
この構成によれば、トンネル部の側面部において、運転席または助手席より前方に凹設部を形成したことで、乗員は、足先を可及的に車幅方向内側に置くことができ、乗員が安楽姿勢を取る際の足の開きを従来に比べて抑制することができる。このように、乗員の足の開きを抑制すれば、膝をセンターコンソールから離間した高い位置に保持することができ、膝とセンターコンソールとが干渉することを回避できる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、前記トンネル部内に、車両前後方向に排気系が配設されると共に、前記凹設部は、前記トンネル部の前記運転席側または前記助手席側のいずれか一方の側面部に配設され、前記排気系は、前記凹設部と反対側にオフセットして配設されたものである。
【0014】
この構成によれば、凹設部と排気系とを離間させることにおよって、両者の干渉を回避することができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、前記トンネル部のうち、前記凹設部が配設される側と反対側の側面部には、前記凹設部と対応する位置に、車室内に膨出する膨出部が設けられたものである。
【0016】
この構成によれば、凹設部が配設される側と反対側の側面部を排気系から離間させることができる。これにより、排気系から発せられる熱が前記反対側へ伝達されるのを防止するための熱害防止スペースを確保することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、前記トンネル部内に、排気系が配設されると共に、該排気系には、前記凹設部と対応する位置に、相対的に凹む凹部が設けられたものである。
【0018】
この構成によれば、凹設部が配設される側と反対側の側面部に膨出部を形成して、前記反対側の足元スペースを犠牲にしなくても、熱害防止スペースを確保することができる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、前記センターコンソールの一部に、車幅方向内側に変位するセンターコンソール凹設部が配設されたものである。
【0020】
この構成によれば、センターコンソールに凹設部を形成したので、乗員が足を開こうとした際にセンターコンソールとの干渉を防止することができ、これにより、乗員は安楽姿勢をとることができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、トンネル部の側面部において、運転席または助手席より前方に凹設部を形成したことで、乗員は、足先を可及的に車幅方向内側に置くことができ、乗員が安楽姿勢を取る際の足の開きを従来に比べて抑制することができる。このように、乗員の足の開きを抑制すれば、膝をセンターコンソールから離間した高い位置に保持することができ、膝とセンターコンソールとが干渉することを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施形態に係る下部車体構造を適用した車両を示す平面図。
【図2】図1の側断面図。
【図3】図1の底面図。
【図4】図3のA−A線矢視断面図。
【図5】センターコンソール凹設部形成構造および変位部材配設構造を示す平面図。
【図6】図2の要部拡大側面図。
【図7】図6のB−B線矢視断面図。
【図8】この発明の他の実施形態に係る排気系を示す斜視図。
【図9】図8に示す排気系を備えた車両の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は、この発明の実施形態に係る下部車体構造を適用した車両を示す平面図である。なお、図中において矢印(F)は車体前方、矢印(R)は車体後方を示す。本実施形態では、図1に示すように車幅方向両側において車両前後方向に延びるようにサイドシル1、1が配設され、この左右のサイドシル1、1の間には、車室2のフロア面を形成するフロアパネル3が配設されている。
【0024】
図2は、図1の側断面図である。フロアパネル3は、図1、図2に示すように、車室2のフロア面3aと、車幅方向中央部においてフロア面3aから車室2側(上側)に膨出するトンネル部3bとを有している。
【0025】
フロアパネル3では、フロア面3aの前端部が図2に示すようにダッシュロアパネル4の下端部から後下がりに傾斜している一方、前端部の後方では、フロア面3aが車両の後方に向かって略平坦に延びている。そして、略平坦に延びるフロア面3a上には、図1、図2に示すようにドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6が配設されている。
【0026】
また、ドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6の前方には、インストルメントパネル7が車幅方向に亘って延びるように配設されている。そして、ドライバーズシート5側では、インストルメントパネル7の下方に、乗員X(図2参照)により操作されるアクセルペダル8とブレーキペダル9とが配設されている。なお、本実施形態では、ドライバーズシート5が車室2の左側に位置しており、これに対応してインストルメントパネル7の左側には、不図示のメータ類を覆うメータフード10(図2参照)が配設されている。さらに、インストルメントパネル7の左側後方には、ステアリングホイール11が配設されている。但し、本発明は、ドライバーズシート5が左側に配設されていることに必ずしも限定されるものではなく、右側に配設されていてもよい。
【0027】
また、インストルメントパネル7の面上には、例えば、その車幅方向中央部7aにおいて、空調用エア等を車室2内の中央部に吹き出すための吹出グリル12や、ナビゲーション装置、オーディオといった各種車載電装機器の操作表示画面13が配置されている。
【0028】
また、車室2には、フロアパネル3のトンネル部3bの上方に、インストルメントパネル7の車幅方向中央部7aから、ドライバーズシート5とパッセンジャーズシート6との間を通って車両前後方向に延びるセンターコンソール14が配設されている。
【0029】
このセンターコンソール14は、その左右両側部に縦壁部14Aを有すると共に、該縦壁部14A、14A間に上面部14Bを有している。ここで、上面部14Bには、コンソールボックス15が設けられ、その上部のコンソールリッド16が、ドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6の乗員兼用のアームレストとして使用可能となっている。また、上面部14Bには、シフトレバー17と、パーキングブレーキレバー18と、ドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6の乗員兼用のカップホルダー19とが配設されている。
【0030】
また、フロアパネル3上には、車幅方向に延びてサイドシル1とフロアトンネル3bとを連結するクロスメンバ20、21が配設されている。
【0031】
クロスメンバ20、21は、図2に示すように断面略ハット状をなすと共に、その縁部にフランジ部20a、21aを有しており、このフランジ部20a、21aが、サイドシル1、1、フロア面3a、及びトンネル部3bに接合されている。そして、フロアパネル3とクロスメンバ20との間には、車幅方向に延びる閉断面20A、21Aが形成されている。
【0032】
また、車室2には、図1、図2に示すように、ドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6を車両前後方向にスライド可能に支持するシートスライドレール30、30が配設されている。ここで、上述したクロスメンバ20、21の間には、シートスライドレール30のロアレール31が配設され、このロアレール31は、ドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6の車幅方向両側にて車両前後方向に延びるように平行に2本配設されている。そして、ロアレール31は、その前端部がクロスメンバ20の上面部に固定される一方、後端部が、クロスメンバ21の上面部に固定されている。
【0033】
また、ドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6は、図1、図2に示すように、それぞれシートクッション5C、6Cと、シートバック5B、6Bと、ヘッドレスト5H、6Hとを有しており、そのうちシートクッション5C、6Cの底面部には、図2に示すようにシートスライドレール30のアッパレール32が取付けられている。ここで、図1、図2では、ドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6が最後端位置にある状態を示している。なお、図2では、便宜上ドライバーズシート5のみを図示しているが、シートスライドレール30及びその周辺の構造は、パッセンジャーズシート6側も同様である。
【0034】
シートスライドレール30では、ロアレール31にアッパレール32が嵌合し、アッパレール32は、ロアレール31によって車両前後方向にスライド可能に支持されている。このため、アッパレール32を前後にスライドさせることで、シートクッション5C、6Cを含むドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6を車両前後方向にスライドさせることが可能になっている。
【0035】
また、上述の縦壁部14Aと上面部14Bとにわたって、センターコンソール14の運転席側の上側コーナー部には、車幅方向内側に凹設するセンターコンソール凹設部40(以下、凹設部40と略記する。)が形成されている。つまり、この凹設部40はセンターコンソール14の一般面よりも車幅方向の内側に凹設されたものである。
【0036】
また、シフトレバー17の配設部位に対応して、センターコンソール14の上面部14Bには、シフトレバー案内用のプレートアセンブリ50を設けている。
【0037】
図3は、図1の底面図であり、図4は、図3のA−A線矢視断面図である。本実施形態では、フロアパネル3のトンネル部3bが、図1、図3、図4に示すように、上面部3cと、該上面部3cの車幅方向両側から下方に延びる側面部3d、3eとを有しており、トンネル部3bの大部分は、両側面部3d、3eが下方に向かうにつれて車幅方向外側へ広がるような断面形状となっている。本明細書では、特に、下方に向かうにつれて車幅方向外側へ広がるように形成された側面部3d、3eのうち、ドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6の側方から車両後方に向かって連続的に延びる部位を主面(一般面)3f、3gとする。
【0038】
その一方で、ドライバーズシート5側の側面部3dでは、ドライバーズシート5より前方の部位に、一般面3fに比べ車幅方向内側に凹設する凹設部3hが形成されている。
【0039】
また、凹設部3hが形成される側面部3dと反対側の側面部3eでは、凹設部3hと対応する位置に、一般面3gに比べて車幅方向外側(車室2内)に膨出する膨出部3iが形成されている。
【0040】
また、トンネル部3bの内部には、図3、図4に示すような排気系60が配設されている。排気系60は、ダッシュロアパネル4(図2参照)の前方に配設されたエンジン(図示せず)の排気側に接続される排気管61と、触媒コンバータ62と、プリサイレンサ63とを有し、トンネル部3bに沿って車両前後方向に延びるように配設されている。
【0041】
そして、本実施形態では、排気系60のうち、トンネル部3bの凹設部3hと車両前後方向において対応する位置にある部位が、凹設部3hと反対側にオフセットして配設されており、具体的に言えば、側面部3d、3eの一般面3f、3gと対応する位置にある排気管61やプリサイレンサ63に対し、凹設部3hと対応する位置にある排気管61や触媒コンバータ62が、凹設部3hと反対側の膨出部3i側にオフセットして配設されている。
【0042】
図5は、図1の要部拡大平面図、図6は、図2の要部拡大側面図、図7は、図6のB−B線矢視断面図であって、以下、図5〜図7を参照して、車両のセンターコンソール構造について詳述する。
図5〜図7に示すように、上述の凹設部40は図6に示すように側面視において略水平かつ前後方向に延びる略水平部と、この略水平部の前端からセンターコンソール14形状に沿ってなだらかに湾曲して上方に立上る湾曲部とを備えている。
【0043】
図5は凹設部40の平面構造を示し、この凹設部40は車両前後方向にわたって配設されると共に、後方に比較して前方が車幅方向外側となるように傾斜して配設されている。
【0044】
さらに、図6に実線で示すシートクッション5Cは、シートスライドにより最後端に位置させたドライバーズシート5のシートクッション5C位置を示しており、上述の凹設部40は図6に示すように最後端に位置する該シートクッション5Cの前部とオーバラップする位置から前方に配設されたものである。
【0045】
図3〜図7に示すように、上述のセンターコンソール14は、上記凹設部30を覆いつつ、センターコンソール14の縦壁部14Aおよび上面部14Bと連続するように配設された変位部材41を備えている。つまり、この変位部材41はセンターコンソール14の一般面と連続するように配設されており、該変位部材41は図示しない接着剤を用いて上述の凹設部40に接着固定されたものである。
また、上述の変位部材41はスポンジなどのクッション材42と、該クッション材42を囲繞する表皮43とを備えており、乗員の脚部が該変位部材41に当接した時に弾性変形し、乗員の脚部が変位部材41から離れた時に元の状態に戻るように形成されている。
【0046】
ところで、図5、図7に示すように、上述のプレートアセンブリ50は、ベースプレート51と、補助プレート52と、ガイドプレート53と、表示プレート54とを備えている。
【0047】
このように、本実施形態では、トンネル部3bの側面部3dにおいて、ドライバーズシート5の前方に、一般面3fに比べて車幅方向内側に凹設する凹設部3hを形成したことで、例えば、車両のオートクルーズ走行によってアクセルペダル8の操作が不要となり、ドライバーズシート5の乗員Xが、図2、図4にて太い二点鎖線で示すように足Xaをアクセルペダル8から後方に引いた時には、その足先を、一般面3fより車幅方向内側の、フロア面3aと凹設部3fとの間のコーナー部に置くことが可能になっている。
【0048】
ところで、従来では、側面部3dの一般面3fがドライバーズシート5よりも前方まで連続していたため、車幅方向外側に膨出した側面部3dの下部(図4にて二点鎖線で示す一般面3f参照)を避けるために、乗員Xは、図4にて細い二点鎖線で示す足Xa′のように、その足先を車幅方向外側に置いていた。
【0049】
しかしながら、乗員Xの足先を車幅方向外側に置く程、乗員Xが安楽姿勢を取ろうとして足Xa′を車幅方向に開いた時には、図4に示すように足Xa′の開きは大きくなり、膝Xb′の位置が低くなる。このため、従来では、膝Xb′とセンターコンソール14とが互いに接近、干渉し易かった。
【0050】
これに対し、本実施形態では、ドライバーズシート5の前方に形成した凹設部3hにより、アクセルペダル8から引いた足先を、一般面3fよりも車幅方向内側に置くことが可能であり、これによって、乗員Xが安楽姿勢を取る際の足Xaの開きを従来に比べて抑制できるようになっている。このように、乗員Xの足Xaの開きを抑制すれば、膝Xbをセンターコンソール14から離間した高い位置に保持することができ、膝Xbとセンターコンソール14とが干渉することを回避できる。
【0051】
また、排気系60を、凹設部3hと反対側にオフセットして配設したことにより、他の一般面3fよりも車幅方向内側に凹設された凹設部3hと、排気系60とを離間させることができ、これによって、両者の干渉を回避することができる。
【0052】
また、凹設部3hが配設される側と反対側、つまりは、パッセンジャーズシート6側の側面部3eにおいて、凹設部3hと対応する位置に、車室2内に膨出する膨出部3iを設けたことで、側面部3eを排気系60から離間させることができる。これにより、排気系60から発せられる熱がパッセンジャーズシート6側へ伝達されるのを防止するための熱害防止スペースを確保することができる。
【0053】
また、センターコンソール14には、一般面に比べて車幅方向内側に変位する凹設部40を形成したので、乗員Xが足Xaを開こうとした際にセンターコンソール14との干渉を防止することができ、これにより、乗員Xは安楽姿勢を取ることができる。
【0054】
ところで、上述した実施形態では、凹設部3hと排気系60との干渉を回避すべく、排気系60を凹設部3hと反対側にオフセットして配設したが、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図8、図9に示すように、排気系70を構成する触媒コンバータ72において、凹設部3hと対応する位置に、相対的に凹む凹部72aを形成し、この凹部72aによって排気系70と凹設部3hとを離間させるようにしてもよい。
【0055】
図8は、この発明の他の実施形態に係る排気系70を示す斜視図であり、図9は、図8に示す排気系70を備えた車両の断面図である。なお、図8、図9において、図1〜図7に示す最初の実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
図8、図9に示す実施形態では、上述したように触媒コンバータ72に凹部72aを形成したことで、トンネル部3bの凹設部3hと車両前後方向において対応する位置にある部位がオフセットされることなく、一般面3f、3gと対応する位置にある部位と車幅方向において略同じ位置に配設されている。
【0057】
このため、本実施形態では、パッセンジャーズシート6側の側面部3e′に膨出部3i(図1等参照)を形成して、パッセンジャーズシート6側の足元スペースを犠牲にしなくても、熱害防止スペースを確保することができる。
【0058】
なお、本発明では、図3、図4に示すように凹設部と反対側にオフセットして排気系を配設する構成と、図8、図9に示すように排気系の凹設部に凹部を形成する構成とを組み合わせてもよい。
【0059】
また、上述した各実施形態では、ドライバーズシート5側の側面部3dのみに凹設部3hを形成することとしたが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、パッセンジャーズシート6側の側面部3eのみ、または、ドライバーズシート5側、パッセンジャーズシート6側の双方の側面部3d、3eに凹設部を形成してもよい。
【0060】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の、運転席は、ドライバーズシート5に対応し、
以下同様に、
助手席は、パッセンジャーズシート6に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【符号の説明】
【0061】
3…フロアパネル
3b…トンネル部
3h…凹設部
3i…膨出部
5…ドライバーズシート
6…パッセンジャーズシート
7…インストルメントパネル
14…センターコンソール
40…センターコンソール凹設部
60、70…排気系
72a…凹部
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のフロアパネル上に配設された運転席、助手席と、該運転席と助手席との間に前後方向に亘って配設されたトンネル部と、インストルメントパネルから前記運転席と前記助手席との間を前後方向に亘って配設されたセンターコンソールとを備えた車両の下部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転席と助手席との間に配設されたセンターコンソールの上面部には、シフトレバーやパーキングレバーに加え、乗員の使い勝手を考慮して、アームレストやカップホルダー等がレイアウトされている。また、近年では、目的地までの走行路を案内するナビゲーション装置の操作手段としてナビゲーションコマンダがセンターコンソールの上面部にレイアウトされる場合もある。
【0003】
また、車両下部のフロアパネルには、上述のセンターコンソールと同様、運転席と助手席との間に車両前後方向に亘ってトンネル部が配設されている。トンネル部は、運転席側、助手席側の両側面部が下方に向かうにつれて車幅方向外側へ広がるように形成されている場合が多く、下記特許文献1では、トンネル部の一般的な断面形状が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−265691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1のように、トンネル部の側面部が下方に向かうにつれて車幅方向外側へ広がっている場合、乗員は、車幅方向外側(車室内)に膨出したトンネル部の下部を避けるために、自身の足先を車幅方向外側に置こうとする。
【0006】
しかしながら、乗員の足先を車幅方向外側に置く程、乗員が足を後方に引いて安楽姿勢(具体的には、足を後方に引いて両足を車幅方向に開いた所謂蟹股姿勢。)を取ろうとした時には、膝の位置が低くなり、膝とセンターコンソールとが互いに接近、干渉することになってしまう。
【0007】
また、近年、センターコンソールについては、上述したようにその上面部にシフトレバーやパーキングレバー等の様々な部材がレイアウトされることから、上面幅が広いものが望まれている。
【0008】
しかしながら、センターコンソールは、シフトレバー等の操作性とデザイン上の理由からその上面部が高い位置に設定される場合があり、上述のようにセンターコンソールの上面幅を広げると、足を車幅方向に開いた時、乗員の膝がよりセンターコンソールに干渉し易くなってしまう。
【0009】
このように、従来では、前記特許文献1に開示されているようなトンネル部の断面形状と、センターコンソールの上面幅の広がりとによって、乗員が安楽姿勢を取る際には、乗員の膝とセンターコンソールとがより一層干渉し易くなっていた。
【0010】
この発明は、乗員の安楽姿勢を取る際、乗員の膝とセンターコンソールとの干渉を回避することができる車両の下部車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の車両の下部車体構造は、車両のフロアパネル上に配設された運転席、助手席と、該運転席と助手席との間に前後方向に亘って配設されたトンネル部と、前記運転席及び前記助手席の前方に車幅方向に亘って配設されたインストルメントパネルから、前記運転席と前記助手席との間を前後方向に亘って配設されたセンターコンソールとを備えた車両であって、前記トンネル部は、その側面部において車幅方向内側に凹設する凹設部を有しており、該凹設部は、前記運転席または前記助手席より前方に配設されたものである。
【0012】
この構成によれば、トンネル部の側面部において、運転席または助手席より前方に凹設部を形成したことで、乗員は、足先を可及的に車幅方向内側に置くことができ、乗員が安楽姿勢を取る際の足の開きを従来に比べて抑制することができる。このように、乗員の足の開きを抑制すれば、膝をセンターコンソールから離間した高い位置に保持することができ、膝とセンターコンソールとが干渉することを回避できる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、前記トンネル部内に、車両前後方向に排気系が配設されると共に、前記凹設部は、前記トンネル部の前記運転席側または前記助手席側のいずれか一方の側面部に配設され、前記排気系は、前記凹設部と反対側にオフセットして配設されたものである。
【0014】
この構成によれば、凹設部と排気系とを離間させることにおよって、両者の干渉を回避することができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、前記トンネル部のうち、前記凹設部が配設される側と反対側の側面部には、前記凹設部と対応する位置に、車室内に膨出する膨出部が設けられたものである。
【0016】
この構成によれば、凹設部が配設される側と反対側の側面部を排気系から離間させることができる。これにより、排気系から発せられる熱が前記反対側へ伝達されるのを防止するための熱害防止スペースを確保することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、前記トンネル部内に、排気系が配設されると共に、該排気系には、前記凹設部と対応する位置に、相対的に凹む凹部が設けられたものである。
【0018】
この構成によれば、凹設部が配設される側と反対側の側面部に膨出部を形成して、前記反対側の足元スペースを犠牲にしなくても、熱害防止スペースを確保することができる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、前記センターコンソールの一部に、車幅方向内側に変位するセンターコンソール凹設部が配設されたものである。
【0020】
この構成によれば、センターコンソールに凹設部を形成したので、乗員が足を開こうとした際にセンターコンソールとの干渉を防止することができ、これにより、乗員は安楽姿勢をとることができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、トンネル部の側面部において、運転席または助手席より前方に凹設部を形成したことで、乗員は、足先を可及的に車幅方向内側に置くことができ、乗員が安楽姿勢を取る際の足の開きを従来に比べて抑制することができる。このように、乗員の足の開きを抑制すれば、膝をセンターコンソールから離間した高い位置に保持することができ、膝とセンターコンソールとが干渉することを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施形態に係る下部車体構造を適用した車両を示す平面図。
【図2】図1の側断面図。
【図3】図1の底面図。
【図4】図3のA−A線矢視断面図。
【図5】センターコンソール凹設部形成構造および変位部材配設構造を示す平面図。
【図6】図2の要部拡大側面図。
【図7】図6のB−B線矢視断面図。
【図8】この発明の他の実施形態に係る排気系を示す斜視図。
【図9】図8に示す排気系を備えた車両の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は、この発明の実施形態に係る下部車体構造を適用した車両を示す平面図である。なお、図中において矢印(F)は車体前方、矢印(R)は車体後方を示す。本実施形態では、図1に示すように車幅方向両側において車両前後方向に延びるようにサイドシル1、1が配設され、この左右のサイドシル1、1の間には、車室2のフロア面を形成するフロアパネル3が配設されている。
【0024】
図2は、図1の側断面図である。フロアパネル3は、図1、図2に示すように、車室2のフロア面3aと、車幅方向中央部においてフロア面3aから車室2側(上側)に膨出するトンネル部3bとを有している。
【0025】
フロアパネル3では、フロア面3aの前端部が図2に示すようにダッシュロアパネル4の下端部から後下がりに傾斜している一方、前端部の後方では、フロア面3aが車両の後方に向かって略平坦に延びている。そして、略平坦に延びるフロア面3a上には、図1、図2に示すようにドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6が配設されている。
【0026】
また、ドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6の前方には、インストルメントパネル7が車幅方向に亘って延びるように配設されている。そして、ドライバーズシート5側では、インストルメントパネル7の下方に、乗員X(図2参照)により操作されるアクセルペダル8とブレーキペダル9とが配設されている。なお、本実施形態では、ドライバーズシート5が車室2の左側に位置しており、これに対応してインストルメントパネル7の左側には、不図示のメータ類を覆うメータフード10(図2参照)が配設されている。さらに、インストルメントパネル7の左側後方には、ステアリングホイール11が配設されている。但し、本発明は、ドライバーズシート5が左側に配設されていることに必ずしも限定されるものではなく、右側に配設されていてもよい。
【0027】
また、インストルメントパネル7の面上には、例えば、その車幅方向中央部7aにおいて、空調用エア等を車室2内の中央部に吹き出すための吹出グリル12や、ナビゲーション装置、オーディオといった各種車載電装機器の操作表示画面13が配置されている。
【0028】
また、車室2には、フロアパネル3のトンネル部3bの上方に、インストルメントパネル7の車幅方向中央部7aから、ドライバーズシート5とパッセンジャーズシート6との間を通って車両前後方向に延びるセンターコンソール14が配設されている。
【0029】
このセンターコンソール14は、その左右両側部に縦壁部14Aを有すると共に、該縦壁部14A、14A間に上面部14Bを有している。ここで、上面部14Bには、コンソールボックス15が設けられ、その上部のコンソールリッド16が、ドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6の乗員兼用のアームレストとして使用可能となっている。また、上面部14Bには、シフトレバー17と、パーキングブレーキレバー18と、ドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6の乗員兼用のカップホルダー19とが配設されている。
【0030】
また、フロアパネル3上には、車幅方向に延びてサイドシル1とフロアトンネル3bとを連結するクロスメンバ20、21が配設されている。
【0031】
クロスメンバ20、21は、図2に示すように断面略ハット状をなすと共に、その縁部にフランジ部20a、21aを有しており、このフランジ部20a、21aが、サイドシル1、1、フロア面3a、及びトンネル部3bに接合されている。そして、フロアパネル3とクロスメンバ20との間には、車幅方向に延びる閉断面20A、21Aが形成されている。
【0032】
また、車室2には、図1、図2に示すように、ドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6を車両前後方向にスライド可能に支持するシートスライドレール30、30が配設されている。ここで、上述したクロスメンバ20、21の間には、シートスライドレール30のロアレール31が配設され、このロアレール31は、ドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6の車幅方向両側にて車両前後方向に延びるように平行に2本配設されている。そして、ロアレール31は、その前端部がクロスメンバ20の上面部に固定される一方、後端部が、クロスメンバ21の上面部に固定されている。
【0033】
また、ドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6は、図1、図2に示すように、それぞれシートクッション5C、6Cと、シートバック5B、6Bと、ヘッドレスト5H、6Hとを有しており、そのうちシートクッション5C、6Cの底面部には、図2に示すようにシートスライドレール30のアッパレール32が取付けられている。ここで、図1、図2では、ドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6が最後端位置にある状態を示している。なお、図2では、便宜上ドライバーズシート5のみを図示しているが、シートスライドレール30及びその周辺の構造は、パッセンジャーズシート6側も同様である。
【0034】
シートスライドレール30では、ロアレール31にアッパレール32が嵌合し、アッパレール32は、ロアレール31によって車両前後方向にスライド可能に支持されている。このため、アッパレール32を前後にスライドさせることで、シートクッション5C、6Cを含むドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6を車両前後方向にスライドさせることが可能になっている。
【0035】
また、上述の縦壁部14Aと上面部14Bとにわたって、センターコンソール14の運転席側の上側コーナー部には、車幅方向内側に凹設するセンターコンソール凹設部40(以下、凹設部40と略記する。)が形成されている。つまり、この凹設部40はセンターコンソール14の一般面よりも車幅方向の内側に凹設されたものである。
【0036】
また、シフトレバー17の配設部位に対応して、センターコンソール14の上面部14Bには、シフトレバー案内用のプレートアセンブリ50を設けている。
【0037】
図3は、図1の底面図であり、図4は、図3のA−A線矢視断面図である。本実施形態では、フロアパネル3のトンネル部3bが、図1、図3、図4に示すように、上面部3cと、該上面部3cの車幅方向両側から下方に延びる側面部3d、3eとを有しており、トンネル部3bの大部分は、両側面部3d、3eが下方に向かうにつれて車幅方向外側へ広がるような断面形状となっている。本明細書では、特に、下方に向かうにつれて車幅方向外側へ広がるように形成された側面部3d、3eのうち、ドライバーズシート5、パッセンジャーズシート6の側方から車両後方に向かって連続的に延びる部位を主面(一般面)3f、3gとする。
【0038】
その一方で、ドライバーズシート5側の側面部3dでは、ドライバーズシート5より前方の部位に、一般面3fに比べ車幅方向内側に凹設する凹設部3hが形成されている。
【0039】
また、凹設部3hが形成される側面部3dと反対側の側面部3eでは、凹設部3hと対応する位置に、一般面3gに比べて車幅方向外側(車室2内)に膨出する膨出部3iが形成されている。
【0040】
また、トンネル部3bの内部には、図3、図4に示すような排気系60が配設されている。排気系60は、ダッシュロアパネル4(図2参照)の前方に配設されたエンジン(図示せず)の排気側に接続される排気管61と、触媒コンバータ62と、プリサイレンサ63とを有し、トンネル部3bに沿って車両前後方向に延びるように配設されている。
【0041】
そして、本実施形態では、排気系60のうち、トンネル部3bの凹設部3hと車両前後方向において対応する位置にある部位が、凹設部3hと反対側にオフセットして配設されており、具体的に言えば、側面部3d、3eの一般面3f、3gと対応する位置にある排気管61やプリサイレンサ63に対し、凹設部3hと対応する位置にある排気管61や触媒コンバータ62が、凹設部3hと反対側の膨出部3i側にオフセットして配設されている。
【0042】
図5は、図1の要部拡大平面図、図6は、図2の要部拡大側面図、図7は、図6のB−B線矢視断面図であって、以下、図5〜図7を参照して、車両のセンターコンソール構造について詳述する。
図5〜図7に示すように、上述の凹設部40は図6に示すように側面視において略水平かつ前後方向に延びる略水平部と、この略水平部の前端からセンターコンソール14形状に沿ってなだらかに湾曲して上方に立上る湾曲部とを備えている。
【0043】
図5は凹設部40の平面構造を示し、この凹設部40は車両前後方向にわたって配設されると共に、後方に比較して前方が車幅方向外側となるように傾斜して配設されている。
【0044】
さらに、図6に実線で示すシートクッション5Cは、シートスライドにより最後端に位置させたドライバーズシート5のシートクッション5C位置を示しており、上述の凹設部40は図6に示すように最後端に位置する該シートクッション5Cの前部とオーバラップする位置から前方に配設されたものである。
【0045】
図3〜図7に示すように、上述のセンターコンソール14は、上記凹設部30を覆いつつ、センターコンソール14の縦壁部14Aおよび上面部14Bと連続するように配設された変位部材41を備えている。つまり、この変位部材41はセンターコンソール14の一般面と連続するように配設されており、該変位部材41は図示しない接着剤を用いて上述の凹設部40に接着固定されたものである。
また、上述の変位部材41はスポンジなどのクッション材42と、該クッション材42を囲繞する表皮43とを備えており、乗員の脚部が該変位部材41に当接した時に弾性変形し、乗員の脚部が変位部材41から離れた時に元の状態に戻るように形成されている。
【0046】
ところで、図5、図7に示すように、上述のプレートアセンブリ50は、ベースプレート51と、補助プレート52と、ガイドプレート53と、表示プレート54とを備えている。
【0047】
このように、本実施形態では、トンネル部3bの側面部3dにおいて、ドライバーズシート5の前方に、一般面3fに比べて車幅方向内側に凹設する凹設部3hを形成したことで、例えば、車両のオートクルーズ走行によってアクセルペダル8の操作が不要となり、ドライバーズシート5の乗員Xが、図2、図4にて太い二点鎖線で示すように足Xaをアクセルペダル8から後方に引いた時には、その足先を、一般面3fより車幅方向内側の、フロア面3aと凹設部3fとの間のコーナー部に置くことが可能になっている。
【0048】
ところで、従来では、側面部3dの一般面3fがドライバーズシート5よりも前方まで連続していたため、車幅方向外側に膨出した側面部3dの下部(図4にて二点鎖線で示す一般面3f参照)を避けるために、乗員Xは、図4にて細い二点鎖線で示す足Xa′のように、その足先を車幅方向外側に置いていた。
【0049】
しかしながら、乗員Xの足先を車幅方向外側に置く程、乗員Xが安楽姿勢を取ろうとして足Xa′を車幅方向に開いた時には、図4に示すように足Xa′の開きは大きくなり、膝Xb′の位置が低くなる。このため、従来では、膝Xb′とセンターコンソール14とが互いに接近、干渉し易かった。
【0050】
これに対し、本実施形態では、ドライバーズシート5の前方に形成した凹設部3hにより、アクセルペダル8から引いた足先を、一般面3fよりも車幅方向内側に置くことが可能であり、これによって、乗員Xが安楽姿勢を取る際の足Xaの開きを従来に比べて抑制できるようになっている。このように、乗員Xの足Xaの開きを抑制すれば、膝Xbをセンターコンソール14から離間した高い位置に保持することができ、膝Xbとセンターコンソール14とが干渉することを回避できる。
【0051】
また、排気系60を、凹設部3hと反対側にオフセットして配設したことにより、他の一般面3fよりも車幅方向内側に凹設された凹設部3hと、排気系60とを離間させることができ、これによって、両者の干渉を回避することができる。
【0052】
また、凹設部3hが配設される側と反対側、つまりは、パッセンジャーズシート6側の側面部3eにおいて、凹設部3hと対応する位置に、車室2内に膨出する膨出部3iを設けたことで、側面部3eを排気系60から離間させることができる。これにより、排気系60から発せられる熱がパッセンジャーズシート6側へ伝達されるのを防止するための熱害防止スペースを確保することができる。
【0053】
また、センターコンソール14には、一般面に比べて車幅方向内側に変位する凹設部40を形成したので、乗員Xが足Xaを開こうとした際にセンターコンソール14との干渉を防止することができ、これにより、乗員Xは安楽姿勢を取ることができる。
【0054】
ところで、上述した実施形態では、凹設部3hと排気系60との干渉を回避すべく、排気系60を凹設部3hと反対側にオフセットして配設したが、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図8、図9に示すように、排気系70を構成する触媒コンバータ72において、凹設部3hと対応する位置に、相対的に凹む凹部72aを形成し、この凹部72aによって排気系70と凹設部3hとを離間させるようにしてもよい。
【0055】
図8は、この発明の他の実施形態に係る排気系70を示す斜視図であり、図9は、図8に示す排気系70を備えた車両の断面図である。なお、図8、図9において、図1〜図7に示す最初の実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
図8、図9に示す実施形態では、上述したように触媒コンバータ72に凹部72aを形成したことで、トンネル部3bの凹設部3hと車両前後方向において対応する位置にある部位がオフセットされることなく、一般面3f、3gと対応する位置にある部位と車幅方向において略同じ位置に配設されている。
【0057】
このため、本実施形態では、パッセンジャーズシート6側の側面部3e′に膨出部3i(図1等参照)を形成して、パッセンジャーズシート6側の足元スペースを犠牲にしなくても、熱害防止スペースを確保することができる。
【0058】
なお、本発明では、図3、図4に示すように凹設部と反対側にオフセットして排気系を配設する構成と、図8、図9に示すように排気系の凹設部に凹部を形成する構成とを組み合わせてもよい。
【0059】
また、上述した各実施形態では、ドライバーズシート5側の側面部3dのみに凹設部3hを形成することとしたが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、パッセンジャーズシート6側の側面部3eのみ、または、ドライバーズシート5側、パッセンジャーズシート6側の双方の側面部3d、3eに凹設部を形成してもよい。
【0060】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の、運転席は、ドライバーズシート5に対応し、
以下同様に、
助手席は、パッセンジャーズシート6に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【符号の説明】
【0061】
3…フロアパネル
3b…トンネル部
3h…凹設部
3i…膨出部
5…ドライバーズシート
6…パッセンジャーズシート
7…インストルメントパネル
14…センターコンソール
40…センターコンソール凹設部
60、70…排気系
72a…凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアパネル上に配設された運転席、助手席と、
該運転席と助手席との間に前後方向に亘って配設されたトンネル部と、
前記運転席及び前記助手席の前方に車幅方向に亘って配設されたインストルメントパネルから、前記運転席と前記助手席との間を前後方向に亘って配設されたセンターコンソールとを備えた車両であって、
前記トンネル部は、その側面部において車幅方向内側に凹設する凹設部を有しており、
該凹設部は、前記運転席または前記助手席より前方に配設された
車両の下部車体構造。
【請求項2】
前記トンネル部内には、車両前後方向に排気系が配設されると共に、
前記凹設部は、前記トンネル部の前記運転席側または前記助手席側のいずれか一方の側面部に配設され、
前記排気系は、前記凹設部と反対側にオフセットして配設された
請求項1記載の車両の下部車体構造。
【請求項3】
前記トンネル部のうち、前記凹設部が配設される側と反対側の側面部には、前記凹設部と対応する位置に、車室内に膨出する膨出部が設けられた
請求項2記載の車両の下部車体構造。
【請求項4】
前記トンネル部内には、排気系が配設されると共に、
該排気系には、前記凹設部と対応する位置に、相対的に凹む凹部が設けられた
請求項1記載の車両の下部車体構造。
【請求項5】
前記センターコンソールの一部に、車幅方向内側に変位するセンターコンソール凹設部が配設された
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両の下部車体構造。
【請求項1】
車両のフロアパネル上に配設された運転席、助手席と、
該運転席と助手席との間に前後方向に亘って配設されたトンネル部と、
前記運転席及び前記助手席の前方に車幅方向に亘って配設されたインストルメントパネルから、前記運転席と前記助手席との間を前後方向に亘って配設されたセンターコンソールとを備えた車両であって、
前記トンネル部は、その側面部において車幅方向内側に凹設する凹設部を有しており、
該凹設部は、前記運転席または前記助手席より前方に配設された
車両の下部車体構造。
【請求項2】
前記トンネル部内には、車両前後方向に排気系が配設されると共に、
前記凹設部は、前記トンネル部の前記運転席側または前記助手席側のいずれか一方の側面部に配設され、
前記排気系は、前記凹設部と反対側にオフセットして配設された
請求項1記載の車両の下部車体構造。
【請求項3】
前記トンネル部のうち、前記凹設部が配設される側と反対側の側面部には、前記凹設部と対応する位置に、車室内に膨出する膨出部が設けられた
請求項2記載の車両の下部車体構造。
【請求項4】
前記トンネル部内には、排気系が配設されると共に、
該排気系には、前記凹設部と対応する位置に、相対的に凹む凹部が設けられた
請求項1記載の車両の下部車体構造。
【請求項5】
前記センターコンソールの一部に、車幅方向内側に変位するセンターコンソール凹設部が配設された
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両の下部車体構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−61914(P2012−61914A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206485(P2010−206485)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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