説明

車両の制御装置

【課題】シフトバイワイヤ方式のパーキングロック装置を備えた車両において、車両走行中にリセット状態から復帰した際に、パーキングロック装置での異音の発生を抑制すること。
【解決手段】シフトバイワイヤ方式のパーキングロック装置50を備えた車両10において、車両走行中にCPUリセットを伴う異常が発生した場合に、リセット状態からの復帰時の車速V1が閾値Vth以下のときには、シフトレンジをパーキングレンジに設定してパーキングロック装置50をロック状態とする一方、リセット状態からの復帰時の車速V1が閾値Vthよりも大きいときには、シフトレンジを非パーキングレンジに設定してパーキングロック装置50をアンロック状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフトバイワイヤ方式のパーキングロック装置を備えた車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に備えられるパーキングロック装置として、駆動輪に連結される軸に設けられる複数の歯部を有するパーキングロックギヤと、パーキングロックギヤの歯部に係合可能な突起部を有するパーキングロックポールとを含むものがある。パーキングロック装置は、シフトレンジ(シフトポジション)がパーキングレンジ(Pレンジ)である場合には、パーキングロックギヤの歯部とパーキングロックポールの突起部とが噛み合うことにより、駆動輪の回転を阻止するロック状態(Pロック作動状態)に切り替えられる。一方、シフトレンジがPレンジ以外のレンジ(非Pレンジ)である場合には、パーキングロックギヤの歯部とパーキングロックポールの突起部との噛み合いが解除されることにより、駆動輪の回転を許容するアンロック状態(Pロック解除状態)に切り替えられる。
【0003】
このようなパーキングロック装置の作動状態の切り替えを運転者の操作に基づいて電気的に制御する、所謂シフトバイワイヤ(SBW)方式を採用したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。シフトバイワイヤ方式を採用したパーキングロック装置では、運転者のシフト操作(例えば、シフトレバーの操作、パーキングスイッチの操作など)を電気的に検出するシフト操作検出手段と、その運転者のシフト操作に基づいてシフトレンジを切り替えるレンジ切替手段とを備える。そして、シフトレンジがPレンジの場合には、パーキングロック装置がアクチュエータによってロック状態に切り替えられる一方、シフトレンジが非Pレンジの場合には、パーキングロック装置がアクチュエータによってアンロック状態に切り替えられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−214976号公報
【特許文献2】特開2008−175343号公報
【特許文献3】特開2009−275818号公報
【特許文献4】特開2009−281577号公報
【特許文献5】特開2010−230122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、シフトバイワイヤ方式のパーキングロック装置を備えた車両において、例えば電源電圧の低下等の異常が発生して、制御装置のリセット(例えば、CPUリセットや、ECUリセットと呼ばれる)が発生した場合には、次のような問題が発生する可能性がある。
【0006】
すなわち、リセット状態からの復帰時には、パーキングロック装置をロック状態に切り替えるリセット復帰時制御が行われる。つまり、CPUがリセット状態から復帰する際、シフトレンジが初期値であるPレンジに設定されるため、パーキングロック装置がロック状態に切り替えられる。
【0007】
しかし、車両走行中に(車速があるときに)、CPUリセットを伴う異常が発生すると、そのリセット状態からの復帰時には、上記のようなパーキングロック装置のリセット復帰時制御が行われるため、パーキングロックギヤの歯部とパーキングロックポールの突起部との衝突によって異音(例えば、ガラ音や、ガラガラ音と呼ばれる)が発生する可能性がある。
【0008】
上記特許文献1には、運転者の操作によりパーキング指示が出されたときの車速が所定車速以上の場合には、ブレーキ手段による制動力によって所定車速以下まで減速させた後、パーキングロック装置を作動させてロック状態に切り替えることが記載されている。しかし、この場合にも、車両走行中にCPUリセットを伴う異常が発生すると、そのリセット状態からの復帰時、上述したような問題が発生することが懸念される。
【0009】
本発明は、上述のような問題点に鑑みてなされたものであり、シフトバイワイヤ方式のパーキングロック装置を備えた車両において、車両走行中にリセット状態から復帰した際に、パーキングロック装置での異音の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、運転者のシフト操作を電気的に検出するシフト操作検出手段と、前記運転者のシフト操作に基づいてシフトレンジを切り替えるレンジ切替手段と、前記シフトレンジがパーキングレンジである場合には、アクチュエータによって駆動輪の回転を阻止するロック状態に切り替えられる一方、前記シフトレンジがパーキングレンジ以外の非パーキングレンジである場合には、前記アクチュエータによって前記駆動輪の回転を許容するアンロック状態に切り替えられるパーキングロック装置とを備えた車両の制御装置であって、車速を検出する車速検出手段を備え、車両走行中にCPUリセットを伴う異常が発生した場合に、前記リセット状態からの復帰時の車速が予め設定された閾値以下のときには、シフトレンジをパーキングレンジに設定して前記パーキングロック装置をロック状態とする一方、前記リセット状態からの復帰時の車速が前記閾値よりも大きいときには、シフトレンジを非パーキングレンジに設定して前記パーキングロック装置をアンロック状態とすることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、車両走行中にCPUリセットを伴う異常が発生した場合に、リセット状態からの復帰時の車速が閾値よりも大きいときには、パーキングロック装置がアンロック状態とされるので、パーキングロック装置のパーキングロックギヤとパーキングロックポールとの衝突が回避され、これにより、パーキングロック装置での異音の発生を抑制することができる。また、車両走行中でのパーキングロック装置のロック状態への急激な切り替えを回避でき、この急激な切り替えに起因するショック等を抑制することができる。
【0012】
ここで、前記リセット状態からの復帰時の車速が前記閾値よりも大きいときに設定される非パーキングレンジの一例としては、ニュートラルレンジや、リセットの発生前のシフトレンジなどが挙げられる。リセットの発生前のシフトレンジに設定する場合、運転者のシフト操作に基づくシフトレンジを記憶する記憶手段を備える構成とすることが好ましい。
【0013】
また、リセットの発生および現在のシフトレンジを表示することによって、リセットの発生に伴って、シフトレンジがリセット前のシフトレンジから変更されたり、パーキングロック装置がアンロック状態からロック状態に切り替えられたりした可能性があることを運転者に報知することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シフトバイワイヤ方式のパーキングロック装置を備えた車両において、車両走行中にリセット状態から復帰した際に、パーキングロック装置のパーキングロックギヤとパーキングロックポールとの衝突が回避され、これにより、パーキングロック装置での異音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る車両の概略構成を示す図である。
【図2】シフト操作装置の一例を示す図である。
【図3】パーキングロック装置の一例を示す図である。
【図4】パーキングロック装置に設けられるディテントプレートの一例を示す図である。
【図5】CPUリセットからの復帰時に行われるパーキングロック装置のリセット復帰時制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を具体化した実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る車両10の概略構成を示す図である。図1に示すように、車両10は、電子制御部20、シフト操作装置30、駆動装置40、パーキングロック装置50などを備えている。尚、この実施形態では、駆動力源としてエンジン41とモータMとを備えたハイブリッド車両に好適に用いられる駆動装置40に、本発明を適用した例について説明するが、本発明が適用される車両は、通常のエンジン車両、ハイブリッド車両、電動車両など、どのような形式の車両であってもよい。また、この実施形態では、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式の車両に本発明を適用した例について説明するが、本発明が適用される車両は、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)方式の車両や、4WD方式の車両であってもよい。
【0018】
車両10は、駆動輪(前輪)11に駆動力を与えるための駆動系(動力伝達系)として、駆動装置40を備えている。駆動装置40は、走行用駆動力源としてのエンジン41と、エンジン41の出力軸に接続される変速機42とを備えている。エンジン41の駆動力は、カウンタギヤ対43の一方を構成する変速機42の出力歯車44から出力され、カウンタギヤ対43、ファイナルギヤ対45、差動歯車装置(ディファレンシャルギヤ)46、一対の車軸(ドライブシャフト)47等を順次介して一対の駆動輪11へ伝達される。これら変速機42、カウンタギヤ対43、ファイナルギヤ対45、差動歯車装置46等によりトランスアクスル(T/A)が構成される。尚、駆動装置40の構成は一例であって、それ以外の構成を採用してもよい。
【0019】
車両10においては、運転者による不図示のアクセルペダルの踏み込み量に対応するアクセル開度と車速とに基づいて、駆動輪11に出力すべきトルク(要求トルク)を計算し、この要求トルクに対応する要求動力により走行するように、エンジン41とモータMとが運転制御される。
【0020】
上記構成の車両10の各種制御は、電子制御部20によって行われる。電子制御部20は、例えば、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を含む構成となっており、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、ROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、車両10の各種制御を実行する。
【0021】
より詳しくは、電子制御部20は、パワーマネジメント用コンピュータ(以下、「PM−ECU」と言う)21、パーキングロック制御用コンピュータ(以下、「P−ECU」と言う)22、メータ制御用コンピュータ(以下、「メータECU」と言う)23などを備えている。
【0022】
電子制御部20のPM−ECU21は、この実施形態では、電源CPU21aと、HV−CPU21bとを含む構成となっており、車両電源の制御や、エンジン41の出力制御、モータMの駆動制御等を含むハイブリッドシステムの駆動制御などを実行する。P−ECU22は、シフトバイワイヤ方式を用いたパーキングロック装置50の作動状態の切替制御を実行する。メータECU23は、表示装置としてのコンビネーションメータ70における各種表示内容を制御する。各ECU21,22,23は、互いに通信可能に接続されている。尚、各ECU21,22,23には、不図示の補機バッテリから電力が供給されるようになっている。補機バッテリには、不図示の昇圧コンバータによってバッテリ12の電圧を所定の電圧まで降圧させて充電されるようになっている。
【0023】
具体的には、PM−ECU21は、運転者により操作される車両電源スイッチ81からのパワースイッチ信号に基づいて、車両電源ONと車両電源OFFとを切り替える。例えば、PM−ECU21は、車両電源OFFのときにパワースイッチ信号の入力を検知すると、車両電源ONと車両電源OFFとを切り替えるための不図示の電源リレーをオン状態として車両電源ONとする。
【0024】
また、PM−ECU21は、車両電源ONのときに車両停止状態を表す信号(ブレーキ操作信号、車速信号等)の入力、およびパワースイッチ信号の入力を検知すると、上記電源リレーをオフ状態として車両電源OFFとする。車両電源OFFとする際にP−ECU22から入力されるPロック状態信号がパーキングロック装置50におけるパーキングロックの解除中を表す信号である場合には、PM−ECU21は、パーキングロック装置50におけるパーキングロックを作動させてシフトレンジをPレンジとする信号をP−ECU22へ出力する。
【0025】
更に、PM−ECU21は、エンジン41、モータMの作動を統括的に制御する。例えば、PM−ECU21は、車両電源OFFから車両電源ONへ切り替えられる際に、ブレーキスイッチ82からの不図示のブレーキペダルのフットブレーキ操作Bonを表すブレーキ操作信号の入力を検知すると、車両走行を可能とするためのハイブリッドシステムを起動し、車両走行に関わるハイブリッド制御指令を、エンジン41、モータM、インバータ13へ出力して車両走行を制御する。また、PM−ECU21は、インバータ13を制御してバッテリ12の充電状態(SOC)などを管理する。例えば、PM−ECU21は、不図示の電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいてバッテリ12の残容量を演算したり、演算したバッテリ12の残容量等に基づいてバッテリ12を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算する。
【0026】
また、PM−ECU21は、シフトセンサ84およびセレクトセンサ85(図2参照)からの操作ポジションPshに応じたシフトレバー位置信号に基づいて、シフトレンジ切替制御指令を駆動装置40へ出力してシフトレンジの切り替えを電気的に制御する。また、PM−ECU21は、駆動装置40のシフトレンジがパーキングレンジ(Pレンジ)にある場合には、上記シフトレバー位置信号に基づいて、駆動装置40のシフトレンジをPレンジから非Pレンジへ切り替えるためのP解除切替要求信号をP−ECU22へ出力する。更に、PM−ECU21は、パーキングスイッチ(Pスイッチ)32からのPスイッチ信号に基づいて、駆動装置40のシフトレンジを非PレンジからPレンジへ切り替えるためのPロック切替要求信号をP−ECU22へ出力する。
【0027】
また、PM−ECU21は、現在のシフトレンジを表示するためのシフトレンジ表示信号をメータECU23へ出力する。
【0028】
P−ECU22は、例えば、PM−ECU21からのP切替要求信号(Pロック切替要求信号、P解除切替要求信号)に基づいて、シフトレンジをPレンジと非Pレンジとの間で切り替えるために、パーキングロック装置50の作動状態を制御してパーキングロックを作動させてロック状態(Pロック作動状態)とするか、あるいは解除させてアンロック状態(Pロック解除状態)とする。また、P−ECU22は、パーキングロック装置50からのパーキングロックの作動状態を表すP位置信号に基づいて、駆動装置40のシフトレンジがPレンジであるか非Pレンジであるかを判断し、その判断した結果をPロック状態信号としてPM−ECU21へ出力する。
【0029】
メータECU23は、現在の車速を表示するための車速表示制御指令をコンビネーションメータ70内のスピードメータ71へ出力して、現在の車速を表示する。例えば、メータECU23は、車輪速センサ83から出力される車輪速パルス信号に基づいた車速パルス信号の矩形波形をカウント(計数)することによりメータ表示用車速信号を決定する。そして、メータECU23は、その決定したメータ表示用車速信号に基づいてスピードメータ71を作動させることにより該当するセグメントを点灯させて現在の車速を表示する。尚、車輪速センサ83以外の車速検出手段を用いて、メータ表示用車速信号を決定してもよい。例えば、変速機42の出力軸回転数を検出する出力軸回転数センサを設け、この変速機42の出力軸回転数に基づいて、メータ表示用車速信号を決定することも可能である。
【0030】
また、メータECU23は、PM−ECU21から出力されるシフトレンジ表示信号に基づいたシフトレンジの状態を表示するためのシフトレンジ表示制御指令をコンビネーションメータ70内のシフトレンジインジケータ72へ出力し、現在のシフトレンジの状態をシフトレンジインジケータ72に表示する。
【0031】
図2は、駆動装置40において複数種類のシフトレンジを切り替える切替装置としてのシフト操作装置30の一例を示す図である。シフト操作装置30は、例えば、運転席の近傍に配設され、複数の操作ポジションPshへ操作されるシフトレバー31を備えている。シフトレバー31は、モーメンタリ式の操作子、すなわち、操作力を解くと元位置(初期位置)へ自動的に復帰する自動復帰式の操作子として構成されている。また、シフト操作装置30は、駆動装置40のシフトレンジをPレンジに設定してパーキングロック装置50をロック状態に切り替えるためのPスイッチ32をシフトレバー31の近傍に別スイッチとして備えている。
【0032】
図2に示すように、シフトレバー31は、車両10の前後方向または上下方向(縦方向)に配列された3つの操作ポジションPshであるR操作ポジション(R操作位置)、N操作ポジション(N操作位置)、D操作ポジション(D操作位置)と、それに平行に配列されたM操作ポジション(M操作位置)、B操作ポジション(B操作位置)とへそれぞれ操作されるようになっている。また、シフトレバー31は、R操作ポジションとN操作ポジションとD操作ポジションとの相互間で縦方向に操作可能とされ、M操作ポジションとB操作ポジションとの相互間で縦方向に操作可能とされ、更に、N操作ポジションとB操作ポジションとの相互間で上記縦方向に直交する車両10の横方向に操作可能とされている。そして、シフトレバー31の操作ポジションPshに応じたシフトレバー位置信号が、PM−ECU21へ出力されるようになっている。
【0033】
Pスイッチ32は、例えば、モーメンタリ式の押しボタンスイッチであって、運転者により押し込み操作される毎にPスイッチ信号をPM−ECU21へ出力する。例えば、駆動装置40のシフトレンジが非PレンジにあるときにPスイッチ32が押されると、フットブレーキが踏まれており車両10が停止状態である等の所定の条件が満たされていれば、PM−ECU21からのPロック切替要求信号に基づいて、P−ECU22によりシフトレンジがPレンジとされる。このPレンジは、駆動装置40内の動力伝達経路が遮断され、且つ、パーキングロック装置50により駆動輪11の回転を機械的に阻止するパーキングロックが実行される駐車レンジである。
【0034】
シフト操作装置30のM操作ポジションは、シフトレバー31の初期位置(ホームポジション)である。シフトレバー31がM操作ポジション以外の操作ポジションPsh(R,N,D,B操作ポジション)へシフト操作されていたとしても、運転者がシフトレバー31を解放すれば、すなわち、シフトレバー31に作用する外力が無くなれば、バネなどの機械的機構によりシフトレバー31はM操作ポジションへ戻るようになっている。シフトレバー31が各操作ポジションPshへシフト操作された際には、PM−ECU21により、操作ポジションPshに対応したシフトレバー位置信号に基づいて、そのシフト操作後の操作ポジションPshに対応したシフトレンジに切り替えられると共に、現在の操作ポジションPshすなわち駆動装置40のシフトレンジの状態がシフトレンジインジケータ72に表示される。
【0035】
各シフトレンジについて説明すると、シフトレバー31がR操作ポジションへシフト操作されることにより選択されるRレンジは、車両10を後進させる駆動力が駆動輪11に伝達される後進走行レンジである。シフトレバー31がN操作ポジションへシフト操作されることにより選択されるニュートラルレンジ(Nレンジ)は、駆動装置40内の動力伝達経路が遮断されるニュートラル状態とするための中立レンジである。
【0036】
シフトレバー31がD操作ポジションへシフト操作されることにより選択されるDレンジは、車両10を前進させる駆動力が駆動輪11に伝達される前進走行レンジである。例えば、PM−ECU21は、シフトレンジがPレンジであるときに、シフトレバー位置信号に基づいて車両の移動防止(パーキングロック)を解除する所定の操作ポジションPsh(具体的には、R操作ポジション、N操作ポジション、またはD操作ポジション)へシフト操作されたと判断した場合には、パーキングロックを解除させるP解除切替要求信号をP−ECU22へ出力する。P−ECU22は、PM−ECU21からのP解除切替要求信号に基づいて、パーキングロック装置50に対してパーキングロックを解除するP切替制御指令を出力してパーキングロックを解除させる。そして、PM−ECU21は、そのシフト操作後の操作ポジションPshに対応したシフトレンジへ切り替える。
【0037】
また、シフトレバー31がB操作ポジションへシフト操作されることにより選択されるBレンジは、Dレンジにおいて、例えば、モータMに回生トルクを発生させる回生制動などによりエンジンブレーキ効果を発揮させ、駆動輪11の回転を減速させる減速前進走行レンジ(エンジンブレーキレンジ)である。従って、PM−ECU21は、現在のシフトレンジがDレンジ以外のシフトレンジであるときにシフトレバー31がB操作ポジションへシフト操作されてもそのシフト操作を無効とし、DレンジであるときのみB操作ポジションへのシフト操作を有効とする。例えば、Pレンジであるときに、運転者がB操作ポジションへシフト操作したとしてもシフトレンジはPレンジのまま継続される。
【0038】
シフト操作装置30では、シフトレバー31に作用する外力が無くなれば、シフトレバー31はM操作ポジションへ戻されるので、シフトレバー31の操作ポジションPshを視認しただけでは選択中のシフトレンジを認識することはできない。そのため、運転者の見易い位置にシフトレンジインジケータ72が設けられており、選択中のシフトレンジがPレンジである場合も含めてシフトレンジインジケータ72に表示されるようになっている。
【0039】
シフト操作装置30では、シフトレバー31が、上記縦方向である第1方向P1と、その方向P1と交差する(図2では直交する)横方向である第2方向P2とに2次元的にシフト操作されるようになっている。そして、シフトレバー31の操作ポジションPshを位置センサの検出信号として電子制御部20に出力するために、上記第1方向P1のシフト操作を検出する第1方向検出部としてのシフトセンサ84と、上記第2方向P2のシフト操作を検出する第2方向検出部としてのセレクトセンサ85とを備えている。シフトセンサ84とセレクトセンサ85との何れも操作ポジションPshに応じた検出信号(シフトレバー位置信号)としての電圧を電子制御部20に対し出力し、その検出信号電圧に基づき電子制御部20は操作ポジションPshを認識(判定)する。すなわち、上記第1方向検出部(シフトセンサ84)と第2方向検出部(セレクトセンサ85)とが全体として、シフト操作装置30の操作ポジションPshを検出する操作ポジション検出部を構成している。
【0040】
尚、操作ポジションPshの認識について一例を示すと、シフトセンサ84の検出信号電圧は、R操作ポジションを示す第1方向第1位置P1_1、M操作ポジションもしくはN操作ポジションを示す第1方向第2位置P1_2、およびB操作ポジションもしくはD操作ポジションを示す第1方向第3位置P1_3の各位置に対応する電圧レベルになる。また、セレクトセンサ85の検出信号電圧は、M操作ポジションもしくはB操作ポジションを示す第2方向第1位置P2_1、およびR操作ポジション、N操作ポジションもしくはD操作ポジションを示す第2方向第2位置P2_2の各位置に対応する電圧レベルになる。PM−ECU21は、シフトセンサ84およびセレクトセンサ85の各検出信号電圧の電圧レベルの組み合わせによって操作ポジションPsh(R,N,D,M,B操作ポジション)を認識することが可能である。
【0041】
この実施形態では、パーキングロック装置50としてシフトバイワイヤ方式のものが採用されている。つまり、パーキングロック装置50は、電子制御部20からの制御信号に基づいて、アクチュエータを駆動して駆動輪11の回転を機械的に阻止する。図3は、パーキングロック装置50の一例を示す図である。図4は、パーキングロック装置50に設けられるディテントプレート62の一例を示す図である。図3に示すように、パーキングロック装置50は、アクチュエータとしての駆動モータ51、エンコーダ52、パーキングロック機構60などを備えている。
【0042】
駆動モータ51は、例えば、スイッチトリラクタンスモータ(SRモータ)により構成される。駆動モータ51は、P−ECU22からの指令(P切替制御指令)を受けてシフトバイワイヤシステムによってパーキングロック機構60を駆動するアクチュエータである。エンコーダ52は、例えば、A相、B相、およびZ相の信号を出力するロータリエンコーダである。エンコーダ52は、駆動モータ51と一体的に回転し、駆動モータ51の回転状況を検知してその回転状況を表す信号、すなわち、駆動モータ51の移動量(回転量)に応じた計数値(エンコーダカウント)を取得するためのパルス信号をP−ECU22へ供給する。P−ECU22は、エンコーダ52から供給される信号を取得して駆動モータ51の回転状況を把握し、駆動モータ51を駆動するための通電の制御を行う。
【0043】
パーキングロック機構60は、駆動モータ51により回転駆動されるシャフト61、シャフト61の回転に伴って回転するディテントプレート62、ディテントプレート62の回転に伴って動作するロッド63、駆動輪11と連動して回転するパーキングロックギヤ64、パーキングロックギヤ64の回転を阻止するためのパーキングロックポール65、ディテントプレート62の回転を制限してシフトレンジを固定するディテントスプリング66、および、ころ67を備えている。ころ67は、その軸心を中心として回転可能にディテントスプリング66に取り付けられている。パーキングロックギヤ64は、変速機42の出力歯車44に同心上に固定されており(図1参照)、複数の歯部64aを有している。パーキングロックポール65は、パーキングロックギヤ64の歯部64aに係合(噛合)可能な突起部65aを有している。尚、パーキングロックギヤ64の配置箇所は特に限定されず、駆動輪11に連結される軸であればそれ以外の箇所に設けてもよい。
【0044】
ディテントプレート62は、シャフト61を介して駆動モータ51の駆動軸に連結されている。ディテントプレート62は、ロッド63、ディテントスプリング66、ころ67などと共に駆動モータ51により駆動される。ディテントプレート62は、Pレンジに対応するP位置62a(図4参照)と、非Pレンジに対応する非P位置62b(図4参照)とを切り替えるためのパーキングロック位置決め部材として機能する。また、シャフト61、ディテントプレート62、ロッド63、ディテントスプリング66、および、ころ67は、パーキングロック切替機構の役割を果たす。
【0045】
パーキングロック装置50は、運転者の操作に基づいて、シフトレンジがPレンジである場合には、パーキングロックギヤ64の歯部64aとパーキングロックポール65の突起部65aとが噛み合うロック状態(Pロック作動状態)に切り替えられる。これにより、駆動輪11の回転が阻止される。一方、シフトレンジが非Pレンジである場合には、パーキングロック装置50のロック状態が解除される。つまり、パーキングロック装置50は、パーキングロックギヤ64の歯部64aとパーキングロックポール65の突起部65aとの噛み合いが解除されるアンロック状態(Pロック解除状態)に切り替えられる。これにより、駆動綸11の回転が許容される。
【0046】
図3では、パーキングロック装置50がアンロック状態に切り替えられている場合を示している。この図3に示す状態から、駆動モータ51によりシャフト61を矢印Cの方向に回転させると、ディテントプレート62を介してロッド63が矢印Aの方向に押される。このロッド63の移動に伴い、ロッド63の先端に設けられたテーパ部材68により、パーキングロックポール65が矢印Bの方向に押し上げられる。この際、ディテントプレート62の回転に伴って、ディテントプレート62の頂部に設けられた2つの谷のうち一方、すなわち、非P位置62b(図4参照))にあったディテントスプリング66のころ67は、山62cを乗り越えて他方の谷、すなわち、P位置62a(図4参照)へ移る。そして、ころ67がP位置62aに達するまでディテントプレート62が回転したとき、パーキングロックポール65は、パーキングロックギヤ64と噛み合う位置まで押し上げられる。これにより、パーキングロックギヤ64と連動して回転する駆動輪11の回転が機械的に阻止され、パーキングロック装置50がロック状態に切り替わる。
【0047】
上記構成のパーキングロック装置50において、P−ECU22は、エンコーダ52により出力されたパルス信号に基づいて駆動モータ51の回転量に応じたエンコーダカウントを取得する。また、P−ECU22は、車両電源ONへの切り替え時には、エンコーダカウントを0に設定し、その後のエンコーダ52からの信号出力に基づいて順次エンコーダカウントを更新する。また、P−ECU22は、取得したエンコーダカウントを予め設定された目標エンコーダカウント(目標カウント値)に一致させるように駆動モータ51を制御する。この目標カウント値は、例えば、駆動モータ51をP目標回転位置や非P目標回転位置に停止させるための予め実験的に求められて設定された目標値である。
【0048】
この実施形態では、車両走行中(車速があるとき)にCPUリセットを伴う異常が発生した場合に、リセット状態からの復帰時の車速V1が予め設定された閾値Vth以下のときには、シフトレンジをPレンジに設定してパーキングロック装置50をロック状態とする一方、リセット状態からの復帰時の車速V1が閾値Vthよりも大きいときには、シフトレンジを非Pレンジに設定してパーキングロック装置50をアンロック状態とすることを特徴としている。以下、この実施形態の特徴部分について、図1、図5等を参照して説明する。
【0049】
車両走行中のCPUリセットは、電子制御部20において、例えば電源電圧の低下等のような異常の発生に伴って発生する。ここでは、電子制御部20のPM−ECU21のHV−CPU21bのCPUリセットが発生した場合について説明する。図1に示すように、PM−ECU21において、HV−CPU21bのCPUリセットが発生すると、そのCPUリセットは電源CPU21aにより検出される。つまり、PM−ECU21において、電源CPU21aとHV−CPU21bとは、正常に動作しているかどうかを互いに監視し合っており、HV−CPU21bがリセット状態に陥ると、HV−CPU21bにCPUリセットが発生したことが電源CPU21aによって検出されるようになっている。
【0050】
そして、HV−CPU21bがリセット状態から復帰し、正常な状態に戻ると、電源CPU21aから、HV−CPU21bのCPUリセットの発生が検出されたことを表すリセット検出信号を受ける。この実施形態では、HV−CPU21bがリセット状態から復帰したとき(HV−CPU21bがリセット検出信号を受けたとき)、パーキングロック装置50のリセット復帰時制御を行うようにしている。このパーキングロック装置50のリセット復帰時制御について、図5のフローチャートを参照して説明する。図5に示すルーチンは、電子制御部20のPM−ECU21において所定時間(例えば数msec)毎に繰り返して実行される。
【0051】
まず、ステップST11において、車両10がイグニッションオン状態(IG−ON)であるか否かが判定される。この場合、車両走行に関わるハイブリッド制御指令に基づいて、車両10がイグニッションオン状態であって車両走行を制御できる状態であるか否かが判定される。
【0052】
そして、車両10がイグニッションオン状態ではなく、ステップST11でNO判定された場合には、このルーチンを終了する。
【0053】
車両10がイグニッションオン状態であり、ステップST11でYES判定された場合には、ステップST12に移行し、PM−ECU21のHV−CPU21bのCPUリセットが発生したか否かが判定される。上述したように、HV−CPU21bのCPUリセットの発生は、電源CPU21aにより検出され、HV−CPU21bがリセット状態から復帰すると、HV−CPU21bには、リセット検出信号が電源CPU21aから入力される。このため、HV−CPU21bへのリセット検出信号の入力の有無に基づいて、HV−CPU21bのCPUリセットが発生したか否かを判定することが可能である。
【0054】
そして、HV−CPU21bのCPUリセットが発生しておらず、ステップST12でNO判定された場合には、このルーチンを終了する。
【0055】
HV−CPU21bのCPUリセットが発生し、ステップST12でYES判定された場合には、ステップST13に移行する。そして、ステップST13〜ST16において、パーキングロック装置50のリセット復帰時処理が行われる。具体的には、まず、ステップST13において、車速V1が予め設定された閾値Vthよりも大きいか否かが判定される。車速V1は、車輪速センサ83から出力される車輪速パルス信号に基づいて算出される。この場合、車速V1は、HV−CPU21bがリセット状態からの復帰したときの車速となっている。閾値Vthは、車両走行中にパーキングロック装置50をロック状態に切り替えることに起因する異音やショックを低減可能な低車速の値に設定されている。ただし、閾値Vthを、車速0[km/h]に設定することも可能である。
【0056】
そして、車速V1が閾値Vthよりも大きく(V1>Vth)、ステップST13でYES判定された場合には、ステップST14に移行する。一方、車速V1が閾値Vth以下であり(V1≦Vth)、ステップST13でNO判定された場合には、ステップST15に移行する。
【0057】
ステップST14において、シフトレンジを非Pレンジに設定して、パーキングロック装置50をアンロック状態とする。シフトレンジとしては、例えば、ニュートラルレンジに設定することが可能である。この場合、PM−ECU21は、シフトレンジ切替制御指令を駆動装置40へ出力してシフトレンジをニュートラルレンジに切り替える。また、この場合、車両走行中であり、パーキングロック装置50は既にアンロック状態に切り替えられているため、パーキングロック装置50はアンロック状態に保持される。つまり、パーキングロックギヤ64の歯部64aとパーキングロックポール65の突起部65aとの噛み合いが解除された状態が保持される。
【0058】
一方、ステップST15において、シフトレンジをPレンジに設定して、パーキングロック装置50をロック状態とする。この場合、PM−ECU21は、シフトレンジ切替制御指令を駆動装置40へ出力してシフトレンジをPレンジに切り替える。また、PM−ECU21は、Pロック切替要求信号をP−ECU22へ出力してパーキングロック装置50をロック状態へ切り替える。これにより、パーキングロックギヤ64の歯部64aとパーキングロックポール65の突起部65aとが噛み合い、駆動輪11の回転が阻止される。
【0059】
そして、ステップST16において、HV−CPU21bのCPUリセットの異常が発生したこと、および現在のシフトレンジをコンビネーションメータ70に表示させ、運転者に報知する。この場合、PM−ECU21は、シフトレンジ表示信号をメータECU23へ出力し、コンビネーションメータ70内のシフトレンジインジケータ72に現在のシフトレンジを表示させる。ステップST13でYES判定された場合には、ニュートラルレンジに対応する表示が行われ、ステップST13でNO判定された場合には、Pレンジに対応する表示が行われる。また、PM−ECU21は、HV−CPU21bのCPUリセットが発生したことを表示するためのリセット発生表示信号をメータECU23へ出力し、コンビネーションメータ70内でHV−CPU21bのCPUリセットが発生したことを表示させる。この表示としては、例えば、シフトレンジインジケータ72に表示される現在のシフトレンジを点滅させたり、コンビネーションメータ70内に表示ランプを別途設けてその表示ランプを点灯もしくは点滅させたりすることなどが挙げられる。
【0060】
この実施形態では、車両走行中にCPUリセットを伴う異常が発生した場合に、リセット状態からの復帰時の車速V1が閾値Vthよりも大きいときには、パーキングロック装置50がアンロック状態とされるので、パーキングロックギヤ64の歯部64aとパーキングロックポール65の突起部65aとの衝突が回避され、これにより、パーキングロック装置50での異音の発生を抑制することができる。また、車両走行中でのパーキングロック装置50のロック状態への急激な切り替えを回避でき、この急激な切り替えに起因するショック等を抑制することができる。
【0061】
また、HV−CPU21bのCPUリセットが発生したこと、および現在のシフトレンジをコンビネーションメータ70に表示することで、CPUリセットの発生に伴うパーキングロック装置50のリセット復帰時制御によって、シフトレンジがリセット前のシフトレンジから変更されたり、パーキングロック装置50がアンロック状態からロック状態に切り替えられたりした可能性があることを運転者に報知することができる。
【0062】
−他の実施形態−
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲で包含されるすべての変形や応用が可能である。
【0063】
上記実施形態では、車速V1が閾値Vthよりも大きいと判定されたとき(V1>Vth)、ステップST14において、シフトレンジをニュートラルレンジに設定する場合について説明したが、非Pレンジであればニュートラルレンジ以外のシフトレンジに設定してもよい。
【0064】
例えば、HV−CPU21bのCPUリセットの発生前のシフトレンジに設定することも可能である。この場合、PM−ECU21に、運転者のシフト操作に基づくシフトレンジを記憶する記憶手段(メモリ)を備えさせ、シフトレンジの切り替えが行われる毎に、メモリに現在のシフトレンジを記憶・更新するようにする。また、HV−CPU21bのCPUリセットが発生したとしても、CPUリセットの発生直前にメモリに記憶されたシフトレンジ(CPUリセット発生前のシフトレンジ)を保存し、消失させないようにする。記憶手段としては、例えば、SRAMや、EEPROMなどの読み書き可能なメモリを用いることが可能である。そして、HV−CPU21bがリセット状態から復帰し、車速V1が閾値Vthよりも大きいと判定されたとき(V1>Vth)、メモリに記憶されたリセットの発生前のシフトレンジを読み出して、リセット状態からの復帰後にもリセットの発生前のシフトレンジを継続させる。
【0065】
尚、上記実施形態で挙げた電子制御部20の構成は一例であって、それ以外の構成を採用することも可能である。また、上記実施形態では、PM−ECU21のHV−CPU21bのリセットが発生した場合を例に挙げたが、それ以外のCPUのリセットが発生した場合にも、本発明を適用することは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、シフトバイワイヤ方式のパーキングロック装置を備えた車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0067】
10 車両
11 駆動輪
20 電子制御部
21 PM−ECU
21b HV−CPU
30 シフト操作装置
31 シフトレバー
32 パーキングスイッチ
40 駆動装置
50 パーキングロック装置
51 駆動モータ
60 パーキングロック機構
64 パーキングロックギヤ
65 パーキングロックポール
70 コンビネーションメータ
83 車輪速センサ
84 シフトセンサ
85 セレクトセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者のシフト操作を電気的に検出するシフト操作検出手段と、
前記運転者のシフト操作に基づいてシフトレンジを切り替えるレンジ切替手段と、
前記シフトレンジがパーキングレンジである場合には、アクチュエータによって駆動輪の回転を阻止するロック状態に切り替えられる一方、前記シフトレンジがパーキングレンジ以外の非パーキングレンジである場合には、前記アクチュエータによって前記駆動輪の回転を許容するアンロック状態に切り替えられるパーキングロック装置とを備えた車両の制御装置であって、
車速を検出する車速検出手段を備え、
車両走行中にCPUリセットを伴う異常が発生した場合に、前記リセット状態からの復帰時の車速が予め設定された閾値以下のときには、シフトレンジをパーキングレンジに設定して前記パーキングロック装置をロック状態とする一方、
前記リセット状態からの復帰時の車速が前記閾値よりも大きいときには、シフトレンジを非パーキングレンジに設定して前記パーキングロック装置をアンロック状態とすることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の制御装置において、
前記リセット状態からの復帰時の車速が前記閾値よりも大きいときには、シフトレンジをニュートラルレンジに設定することを特徴とする車両の制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両の制御装置において、
運転者のシフト操作に基づくシフトレンジを記憶する記憶手段を備え、
前記リセット状態からの復帰時の車速が前記閾値よりも大きいときには、シフトレンジを前記リセットの発生前のシフトレンジに設定することを特徴とする車両の制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両の制御装置において、
前記リセットの発生および現在のシフトレンジを表示する表示手段を備えることを特徴とする車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−104463(P2013−104463A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247540(P2011−247540)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】