説明

車両の後部構造

【課題】この種のガラスハッチに要求される軽量化および見栄えの改善を図りつつ、ガラスハッチへの所定の電子部品のガラスハッチへの装着を低コストに可能とした、車両の後部構造を提供する。
【解決手段】デフォッガ7の電熱線8と電子部品には、車体側から配索された給電用ハーネスとつながる正極側の端子11,13と負極側の端子12がそれぞれ接続され、ガラスハッチ4の周縁部には黒色塗装領域18が形成されている。電子部品と端子12,13とを連結するハーネス14,15は、デフォッガ7の電熱線8と共に車室内面の所定位置に印刷で形成されると共に、車体側の給電用ハーネスとつながる電熱線8および電子部品の端子11,12,13が何れもガラスハッチ4の車幅方向一側部の黒色塗装領域18に配設され、これにより電熱線8の負極側の端子と電子部品の負極側の端子とが共通の負極側の端子12として共有化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後部構造に関し、特に、車両後部の開閉式ガラスハッチに設けた電子部品への給電構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記ガラスハッチは、閉止時には、運転者の後方視認用の窓として機能する。そのため、例えば寒冷時に車室内外で温度が異なる等してガラスハッチの表面に微細な水滴が付着すると当該ガラスハッチが曇って、車両後方の視認性が低下することがある。このような不具合の発生を防ぐ目的で、従来、ガラスハッチには、複数の電熱線を平行に配置してなるデフォッガが配設されており、これら電熱線を通電発熱させることで、ガラスハッチの曇りを除去するようにしている。
【0003】
このようなデフォッガは、互いに平行に配設した複数本の電熱線と、これら電熱線にガラスハッチの車幅方向両側部で接続し、給電するバスバーとを備えたものが一般的であり、ガラスハッチの中央部に広範囲にわたって設けられる(例えば、下記特許文献1を参照)。この場合、ガラスハッチの車幅方向一側部に設けたバスバーが正極側の端子となり、他側部に設けたバスバーが負極側の端子となる。
【0004】
また、この種のガラスハッチには、雨滴を除去するためのワイパーや、ワイパー駆動用モーターなどの電子部品が取付けれることがある。例えばワイパー駆動用モーターをガラスハッチに設ける場合、車両本体より配索されたワイヤーハーネスはモーター給電用のハーネスとしてワイパー駆動用モーターに接続されると共に、ワイヤーハーネスをカバーしたプロテクタがガラスハッチに固定されるようになっている(例えば、下記特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−76609号公報
【特許文献2】特開2000−247193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記ガラスハッチは、車両のリヤウィンドウであると同時に開閉扉としても機能するものであるから、閉止時には車両後方の視認性を確保しつつも、その開閉動作を快適かつ安全に行い得る必要がある。よって、これらの要求に応えるべく、ガラスハッチに装着される部品を減らすための努力がなされている。あるいは、ワイパーなど一部の部品を除き、可能な部品に関しては、なるべくガラスハッチ側ではなく車体側に取付ける努力がなされている。その一方で、例えばガラスハッチのロック装置に関しては、開閉動作の操作性を高める目的から、ガラスハッチの側にラッチを設け、車体の側にラッチと係合するストライカを設けたい、といった要望もある。この場合、ラッチとストライカとの係合(ロック)動作のオン・オフ操作は、車室内に設けたスイッチや車室外からリモコンで操作することも考慮して、例えば電気信号を作動スイッチとする電磁式のラッチ(いわゆるEラッチ)を採用することで行われる。しかし、この種のラッチをガラスハッチに固定するとなると、上記特許文献2に記載したワイパーモーターの場合と同様に、電磁式ラッチに対する給電用のハーネス、およびこの給電用ハーネスをカバーするためのプロテクタをガラスハッチ上に配設ないし固定する必要が生じる。これでは、ガラスハッチの見栄えが悪化し、またハーネスカバーの分の重量が増加し、コスト増につながるといった問題も生じる。特に、ガラスハッチは機能性もさることながらその見栄え(外観美)も重視すべき特徴の1つに数えられるものであるから、いたずらに装着品を増やすことはガラスハッチを具備した車両の商品価値を減殺する結果につながりかねない。
【0007】
上記の問題は何も電磁式ラッチに限ったことではなく、給電を必要とし、ガラスハッチに装着される全ての電子部品に当てはまる問題である。
【0008】
以上の事情に鑑み、この種のガラスハッチに要求される軽量化および見栄えの改善を図りつつ、所定の電子部品のガラスハッチへの装着を低コストに可能とした、車両の後部構造を提供することを、本発明により解決すべき技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題の解決は、本発明に係る車両の後部構造により達成される。すなわち、この車両の後部構造は、車体に対して開閉可能に取付けられたガラスハッチの車室内面に、デフォッガと所定の電子部品とが配設されたものであって、デフォッガの電熱線と電子部品には、車体側から配索された給電用ハーネスとつながる正極側の端子と負極側の端子がそれぞれ接続され、ガラスハッチの周縁部には有色塗装が施されている車両の後部構造において、電子部品と端子とを連結するハーネスが、デフォッガの電熱線と共に車室内面の所定位置に印刷で形成され、車体側の給電用ハーネスとつながる電熱線および電子部品の端子が何れもガラスハッチの車幅方向一側部の有色塗装領域に配設され、これにより電熱線の負極側端子と電子部品の負極側端子とが共有化されている点をもって特徴付けられる。
【0010】
このように、本発明では、電子部品の給電用ハーネスをガラスハッチの車室内面に印刷で形成するようにしたので、上記ハーネスをガラスハッチ上に線状に形成することができる。また、これにより、従来、必要とされていたワイヤーハーネスカバーを省略できるので、ガラスハッチに占める電子部品用ハーネスの見かけ上の割合を大幅に低減して、ガラスハッチの見栄え(外観美)を格段に高めることが可能となる。また、ハーネスカバーの省略により、部品点数の削減を図れると共に、ガラスハッチへの装着点数を低減して当該ハッチの軽量化を図ることも可能となる。また、上述のように、電子部品用ハーネスと電熱線を何れも印刷で形成することで、これらハーネスと電熱線を一度の印刷作業で同時にガラスハッチ上に形成することができる。これにより、組付け性、生産性の改善が図れると共に、作業工数(組付け工数)を低減して、低コストに電子部品用ハーネスをガラスハッチ上に形成することができる。
【0011】
また、本発明は、上記構成に加えて、車体側から配索された給電用ハーネスとつながる電熱線および電子部品の端子を、何れもガラスハッチの車幅方向一側部に配設したことを更なる特徴とするものである。従来のデフォッガ給電構造だと、車幅方向に沿って互いに平行に配設されたデフォッガの電熱線に接続された端子はガラスハッチにおける車幅方向の両側部に配設されることになる。そのため、この端子に車体側から配索された給電用ハーネス(ワイヤーハーネス)が接続されると、ガラスハッチの車幅方向両側部で上記給電用ハーネスが垂下した状態となり、非常に見栄えが悪いといった問題があった。これに対して、本発明では、上述のように、車体側からの給電用ハーネスとつながる電熱線および電子部品の端子をガラスハッチの車幅方向一側部に集約するようにしたので、これら端子に接続される給電用ハーネスの本数を減らして、見栄えのさらなる改善と配線の簡素化、および軽量化を図ることができる。また、このように各端子を配設することで、アースとしての負極側端子を電子部品と電熱線とで共有化することができる。そのため、これによっても、配線の簡素化、および軽量化を図ることができる。なお、この場合、ガラスハッチ上に配設された各種部品が車幅方向の一側方に偏るために、ガラスハッチの外観性(見栄え)が低下するおそれがあるが、本発明では、上記車幅方向一側部に集約配置した端子群を、ガラスハッチの周縁部に設けた有色塗装領域上に納めるようにしたので、見栄えも悪くならないで済む。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明に係る車両の後部構造によれば、車体に対して開閉可能に取付けられたガラスハッチに要求される軽量化および見栄えの改善を図りつつ、当該ガラスハッチに所定の電子部品を低コストで装着することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両の後部構造を有する車両の後面図である。
【図2】図1に示す車両の後部に設けられたガラスハッチを車室内側から平面視した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る車両の後部構造の一実施形態を図面に基づき説明する。この実施形態では、電磁式ラッチをガラスハッチに装着して給電する場合を例にとって説明する。なお、これ以降の説明においては、特に断りのない限り、鉛直方向を単に上下方向というものとする。
【0015】
図1は、本実施形態に係る車両を後方から見た図である。同図に示すように、この車両は、車体1の後面部2に開口部3を有しており、この開口部3には、車体1のリヤウインドウを構成する開閉式のガラスハッチ4が装着されている。このガラスハッチ4は、その上端部を車体1の後面部2に支持されており、この支持部を基点として回動することにより開閉できると共に、閉止時には、その下端部に設けたガラスハッチロック装置により車体1(後面部2)に固定されるようになっている。なお、図示は省略するが、開口部3にはその全周縁にわたって、ガラスハッチ4の車室内面に密接するウェザーストリップが嵌着されていてもよい。
【0016】
ガラスハッチロック装置は、ガラスハッチ4側に固定された電磁式ラッチ5と、後面部2側に固定されたストライカ(図示は省略)とで構成され、これら電磁式ラッチ5とストライカとが係合状態を形成することにより、ガラスハッチ4を後面部2に対して閉止できるようになっている。ここで、ガラスハッチロック装置によるロックおよびロック解除操作には、電磁式ラッチ5を用いた公知の方式が採用可能である。例えば、ロックおよびロック解除操作用のリモコンを車室外で操作することで、電磁式ラッチ5に内蔵されたアクチュエータにバッテリーから電気が供給され、これにより上記アクチュエータを作動して電磁式ラッチ5とストライカとの係合状態を形成又は解消するようにしてもよい。あるいは、図1に示すように、ガラスハッチ4の車室外面の所定位置(ここでは、ガラスハッチ4の下端部)に、車室外から操作可能なボタン式のスイッチ6を設けておき、リモコンを車室内に置いたまま、あるいはエンジンキーをインストルメントパネルのキーシリンダに差し込んだままの状態で、車室外からスイッチ6を操作した場合に、上記アクチュエータに電気を供給できるように構成してもよい。要は、何れの操作態様においても、給電により電磁式ラッチ5とストライカとの係合状態が解除されるものであればよい。なお、上記係合状態の解除により、ガラスハッチ4に固定した電磁式ラッチ5が車体1の後面部2に固定したストライカから離脱することで、ガラスハッチ4の下端部が開口部3に嵌着されているウェザーストリップからの反力もあって上方に若干浮き上がる。よって、この浮き上がった下端部を把持してガラスハッチ4を上方へ回動させることにより、ガラスハッチ4を車体1の後面部2に対して開くことができる。
【0017】
図2は、図1に示すガラスハッチ4を車室内側から平面視した図である。同図に示すように、ガラスハッチ4の中央部には、曇り止めとしてのデフォッガ7が設けられている。このデフォッガ7は、ガラスハッチ4の車室内面に、複数本の電熱線8を所定の線間隔で略水平かつ平行に配設したもので、その車幅方向一側部には、複数本の電熱線8を、後述する端子11,12と電気的に接続するためのバスバー9,10が取付けられている。この実施形態では、2本のバスバー9,10が、複数本の電熱線8の車幅方向一側部(図1中右側)でかつ互い上下方向に離隔した状態で、ガラスハッチ4の上下方向に向けて伸びており、上側のバスバー9を正極側、下側のバスバー10を負極側としてガラスハッチ4の車室内面に固定されている。そして、互いに平行に配設された複数本の電熱線8の半数ずつがそれぞれ上下のバスバー9,10に接続されると共に、車幅方向他側部(図1中左側)で連結部8aを介して上記半数ずつの電熱線8同士が連結されている。
【0018】
各バスバー9,10には、車体1側から配索された給電用ワイヤーハーネス(図示は省略)と接続するための端子11,12が固定されている。ここでは、上側のバスバー9に固定される端子11が正極側の端子として、下側のバスバー10に固定される端子12が負極側の端子としてそれぞれ機能するように端子11,12間に所定の電圧が付与され、複数本全ての電熱線8が通電発熱できるようになっている。なお、端子11,12の形態は任意であり、例えば端子11,12自体が、上記ワイヤーハーネスの先端に設けられたコネクタに対応した所定のコネクタ形状を有するものでもよく、別体としての上記コネクタを端子11,12に取り付け可能な形状を有するものでもよい。
【0019】
これらデフォッガ7を構成する電熱線8(連結部8aを含む)は、種々の公知の印刷手段により形成される。一例を挙げると、銀などの導電性金属粉を含むペースト状体を、熱処理前のガラスハッチ4素材の上記所定位置にスクリーン印刷により細線状に印刷し、然る後、ガラスハッチ4素材に所定の熱処理(通常、ガラスハッチ4の強化目的で行われる)を施すことで、例えば図1に示すパターンに電熱線8が焼き付き形成される。
【0020】
ガラスハッチ4の車室内面のうち、デフォッガ7の外側領域(ガラスハッチ4の周縁部により近い領域)には、ガラスハッチ4のロックおよびロック解除用の電磁式ラッチ5が固定されている。この電磁式ラッチ5は、上記と同様、車体1側から配索された給電用のワイヤーハーネスとつながる正負両極の端子12,13と、所定のハーネス14,15を介して接続されている。ここでは、正極側の端子13が、ガラスハッチ4の車室内面のうちデフォッガ7用の端子11,12の近傍に配設されている。また、負極側の端子12は、デフォッガ7用の負極側端子12とアース用として共有している。そのため、正極側の端子13は対応する一方のハーネス14を介して電磁式ラッチ5の近傍に配設された正極側の端子16に連結されると共に、負極側の端子12は対応する他方のハーネス15を介して同じく電磁式ラッチ5の近傍に配設された負極側の端子17に連結されている。これら電磁式ラッチ5の近傍に配設される端子16,17は共に被覆電線を介して電磁式ラッチ5に接続されており、これにより車体1側からの給電用ワイヤーハーネスから、端子12,13、ハーネス14,15,および端子16,17を介して所定の電気が電磁式ラッチ5に供給され、車体1に設けたストライカとの係合動作又は係合状態の解除動作が行われるようになっている。
【0021】
ここで、電磁式ラッチ5の給電用のハーネス14,15は共に印刷で形成され、好ましくは、デフォッガ7の電熱線8と同材料でかつ共通の印刷手段を用いて形成される。電熱線8もハーネス14,15も同一面上にあって、かつ、何れも、導電性ペーストの印刷形成で得られたものが使用に耐え得る程度の通電量で済むためである。なお、上述のように、電熱線8とハーネス14,15とを同一材料でかつ共通の印刷手段で形成する場合には、上記細線状に印刷された部分の線幅(太さ)を、電熱線8として使用される部分と、ハーネス14,15として使用される部分とで異ならせるのがよい。例えば、電磁式ラッチ5のハーネス14,15として使用される部分の線幅を、電熱線8として使用される部分の線幅に比べて大きくすることが可能である。
【0022】
ガラスハッチ4の周縁部には、有色塗装領域、ここではブラックアウトとも呼ばれる黒色塗装領域18が設けられている(図2を参照)。そして、車体1側から配索された給電用ワイヤーハーネス(図示は省略)とつながるデフォッガ7(電熱線8)の端子11,12と、上記と同一のワイヤーハーネスとつながる電磁式ラッチ5の端子12,13とが何れも、黒色塗装領域18のうちガラスハッチ4の車幅方向一側部に対応する領域上に配設されている。また、この実施形態では、端子11,12,13だけでなく、デフォッガ7を構成する電熱線8の車幅方向両側部(連結部8aを含む)とバスバー9,10、および、電磁式ラッチ5と、この電磁式ラッチ5の近傍に固定される端子16,17と、これら電磁式ラッチ5近傍の端子16,17と給電用ワイヤーハーネス側の端子12,13とを接続するハーネス14,15とが、何れも黒色塗装領域18上に配設されている(図2を参照)。
【0023】
このように、この車両の後部構造においては、電磁式ラッチ5の給電用となるハーネス14,15をガラスハッチ4の車室内面に印刷で形成するようにしたので、ハーネス14,15をガラスハッチ4上に線状に形成することができる。これにより、ハーネス14,15のガラスハッチ4に占める見かけ上の割合を非常に小さくして、ガラスハッチ4の見栄え(外観美)を格段に高めることが可能となる。また、従来、ワイヤーハーネスを用いた場合に必要とされていたハーネスカバーを省略できるので、部品点数を削減でき、その分のコスト低減化、およびガラスハッチ4の軽量化を図ることができる。また、上述のように、電磁式ラッチ5のハーネス14,15とデフォッガ7の電熱線8を何れも印刷で形成することで、これらハーネス14,15と電熱線8を一度の印刷作業で同時にガラスハッチ4上に形成することができる。これにより、組付け性、生産性の改善が図れると共に、作業工数(組付け工数)を低減して、低コストにハーネス14,15をガラスハッチ4上に形成することができる。
【0024】
特に、電磁式ラッチ5であれば、バッテリーから供給すべき電流が、この電磁式ラッチ5に内臓された上記アクチュエーターの作動のオン・オフを切り替える電気信号レベルの大きさで足りるため、かつ、スイッチング動作時のみの僅かな通電時間で済むため、印刷形成されたハーネス14,15に通電した場合に耐久性の問題は生じない。
【0025】
また、この後部構造においては、車体1側から配索される給電用ワイヤーハーネスとつながる電熱線8および電磁式ラッチ5の端子11,12,13を、何れもガラスハッチ4の車幅方向一側部に集約して配設するようにしたので、従来のように、デフォッガ7(電熱線8)の車幅方向両側部で車体1側から配索された給電用ワイヤーハーネスと端子とが接続される場合に比べて、上記給電用ワイヤーハーネスの本数を1本に減らして、見栄えのさらなる改善と配線の簡素化、および軽量化を図ることが可能となる。また、このように各端子11,12,13を車幅方向一側部に集約して配設することで、アースとしての負極側端子12を電磁式ラッチ5と電熱線8とで共有化できる。そのため、これによっても、配線の簡素化、および軽量化を図ることができる。また、この後部構造では、上記ガラスハッチ4の車幅方向一側部に集約配置した端子11,12,13を、ガラスハッチの周縁部に設けた黒色塗装領域18上に納めるようにしたので、見栄えも悪くならないで済む。また、電磁式ラッチ5は、デフォッガ7よりもガラスハッチ4の外側(周縁部に近い側)に配設されるので、電磁式ラッチ5、およびこの電磁式ラッチ5と上記車幅方向一側部に集約配置した端子12,13との間の接続構造部分(ハーネス14,15および電磁式ラッチ5側の端子16,17)を全て黒色塗装領域18上に配設することができる。従って、デフォッガ7の電熱線8以外の装着部品を全て車室外から隠すことができ、これによりガラスハッチ4の見栄えを確保することができる。
【0026】
なお、上記実施形態では、給電用のハーネスを印刷形成すべき電子部品として電磁式ラッチ5を例示したが、もちろん、これ以外の電子部品にも本発明を適用することが可能である。例えば、何れも図示は省略するが、HMSL(ハイマウントストップランプ)などの照明部品や、ワイパー(ワイパーモーター)などの駆動部品などの各種電子部品に適用可能である。また、電磁式ラッチ5やHMSLなどのように常時の電気供給を必要とせず、またその供給電流量も比較的少ない電子部品であれば、印刷形成されるハーネス(給電用電線)の材質、線幅、印刷方法等の選択の余地が広がるため、好適である。
【0027】
また、以上の説明では、車体1と一体的に設けられた後面部2の開口部3に、ガラスハッチ4を装着する場合を例示したが、車体1の後部にバックドア(図示は省略)を有し、該バックドアに設けた開口部にガラスハッチ4を装着した車両に対して本発明を適用することも可能である。
【0028】
また、上記以外の事項についても、本発明の技術的意義を没却しない限りにおいて他の具体的形態を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0029】
1 車体
2 後面部
3 開口部
4 ガラスハッチ
5 電磁式ラッチ
6 スイッチ
7 デフォッガ
8 電熱線
8a 連結部
9,10 バスバー
11 正極側の端子(電熱線)
12 負極側の端子(共有)
13 正極側の端子(電子部品)
14,15 ハーネス
16,17 端子(電子部品)
18 黒色塗装領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に対して開閉可能に取付けられたガラスハッチの車室内面に、デフォッガと所定の電子部品とが配設されたものであって、
前記デフォッガの電熱線と前記電子部品には、前記車体側から配索された給電用ハーネスとつながる正極側の端子と負極側の端子がそれぞれ接続され、前記ガラスハッチの周縁部には有色塗装が施されている車両の後部構造において、
前記電子部品と前記端子とを連結するハーネスが、前記デフォッガの電熱線と共に前記車室内面の所定位置に印刷で形成され、
前記車体側の給電用ハーネスとつながる電熱線および電子部品の端子が何れも前記ガラスハッチの車幅方向一側部の前記有色塗装領域に配設され、これにより前記電熱線の負極側端子と前記電子部品の負極側端子とが共有化されていることを特徴とする車両の後部構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−189845(P2011−189845A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57838(P2010−57838)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】