説明

車両の排水構造及び排水路形成方法

【課題】 ドレーンカバーに隣接して車両構成部材が配される場合においても、組み付け作業が効率的に行え、かつドレーンカバーの水受け面積を大きくする。
【解決手段】 車両の床部に設けられた排水口へ水を導くよう設けられるドレーンカバーと、該ドレーンカバーに隣接した床部に配される車両構成部材が配される構造において、ドレーンカバー101に、車両構成部材に向けて膨出するように一体的に形成された膨出部104を設けると共に、該膨出部の近傍に膨出部104の車両構成部材に対する変位を容易とするための易変位部105を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の排水構造及び排水路形成方法に関し、特に、車両の床部に設けられた排水口へ水を導くよう設けられるドレーンカバーと、該ドレーンカバーに隣接した床部に配される車両構成部材とを有する車両の排水構造及び排水路形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、オープントップ型式の車両として、車室を形成する屋根の少なくとも一部を車体に格納可能とし、屋根を格納することによりオープン形式とすることができる、開閉可能な屋根を備えるコンバーティブル型式の車両が知られている。
【0003】
このような型式の車両において、屋根と格納部周辺との間から雨水が車室内に侵入するのを防止する為の排水構造が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載された排水構造は、屋根の下端部に位置するフォーミングバーに取り付けられたレインレールと、該レインレールに形成した排水口の下方でセンターピラーとタイヤハウスとの間に跨って排水受けパネルを設けて、該排水受けパネルから排水パイプを介して車外に雨水を排出する構造である。
【0004】
一方、近年、オープントップ型式の車両においては、その横転時に乗員の頭部を保護するために、車両上方に延びるロールバーが設けられるようになっている。
【0005】
例えば、特許文献2には、ロールバーの耐力を高めつつ、屋根の格納空間の確保あるいは周辺装備との干渉を避けるように、曲折されたロールバーをクロスバーと強固に結合した、車両のロールバー構造が記載されている。
【特許文献1】実開昭62−64630号公報
【特許文献2】特開2005−186687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された排水構造は、車室と幌の格納部との間には車両構成部材は存在しておらず、特許文献2に記載されたようなロールバー構造体が車室近傍に取り付けられることを想定していない。このため、特許文献2に記載されたようなロールバー構造体が取り付けられる車両に、特許文献1に記載されたような排水構造をそのまま適用することは困難である。
【0007】
また、近年は、格納式の屋根の材料として、幌のような折り畳み可能な材料以外の堅牢な材料を用いた(ハードトップの)コンバーティブル型式の車両もいくつか提案されている。そのような車両で、例えば、リアウインドウを有する屋根の一部を後端から車内側へ回転させつつ格納するようにすると、格納した屋根の端部が車室のシート近傍まで位置することとなり、端部から落下する水を車外に排出できるように排水受けを大きくする必要がある。
【0008】
更に、屋根を格納可能とする車両の構造においては、格納部の床部の鉛直方向高さは車室側が最も低くなるのが一般的であるので、ロールバーユニットなどの車両構成部材の近傍に排水受け(ドレーンカバー)を設けるのが好ましい。例えば、格納した屋根の端部から落下する水を受容可能とするためには、ドレーンカバーをロールバーユニットに隣接して配置する必要がある。
【0009】
しかしながら、このような配置とすると、ロールバーユニットを組み付ける際に、ドレーンカバーの一部とロールバーユニットの組み付け部とが干渉してしまい、作業効率の悪化を招いたり、ドレーンカバーの損傷が生じてしまう。
【0010】
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、ドレーンカバーに隣接して車両構成部材が配される場合においても、組み付け作業が効率的に行え、かつドレーンカバーの水受け面積を大きくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の一態様としての車両の排水構造は、車両の床部に設けられた排水口へ水を導くよう設けられるドレーンカバーと、該ドレーンカバーに隣接した前記床部に配される車両構成部材とを有する車両の排水構造であって、
前記ドレーンカバーには前記車両構成部材に向けて膨出するように一体的に形成された膨出部が設けられていると共に、該膨出部の近傍には当該膨出部の前記車両構成部材に対する変位を容易とするための易変位部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、ドレーンカバーに隣接して車両構成部材が配される場合においても、膨出部がその近傍に設けられた易変位部の変位に伴って容易に変位可能となっているため、車両構成部材の組み付けの際には膨出部が変位して組み付け空間(車両構成部材の軌跡)を妨げることが無いと共に、車両構成部材の組み付け後には膨出部によってドレーンカバーの水受け面積を大きくとることができる。
【0013】
また、膨出部がドレーンカバーと一体的に形成されているため、車両が傾斜した場合においても、ドレーンカバーに溜まった水が流出することを防止することができる。
【0014】
前記膨出部の上部には、膨出方向かつ車両下方へ傾斜する受容部が形成されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、車両構成部材の組み付けの際に、車両構成部材から印加される下方への力が受容面に作用することによって膨出部の変位が円滑に促進される。
【0016】
前記膨出部の下部には、膨出方向かつ車両上方へ傾斜する第2受容部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、車両構成部材の取り外しの際に、車両構成部材から印加される上方への力が第2受容面に作用することによって膨出部の変位が円滑に促進される。
【0018】
前記ドレーンカバーの底部には、該ドレーンカバーを前記床部の開口に対して係止する係止手段が設けられており、該係止手段は前記膨出部の膨出方向に延出されていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、膨出部が易変位部に伴って変位する際に生じる力が作用して、ドレーンカバーが床部から浮き上がることを防止することができる。
【0020】
前記ドレーンカバーと前記床部との間には線状部材が配索されていると共に、該線状部材は前記係止手段に対して略直交するように配されることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、配索されている線状部材が引っ張られた際に作用する力による、ドレーンカバーの浮き上がりに対しても、係止手段によって防止することができる。
【0022】
前記ドレーンカバーは車両上方へ延出する縦壁を有しており、該縦壁に前記膨出部が設けられ、該縦壁の上端は自由端となっていることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、膨出部が易変位部に伴って変位し易くなる。
【0024】
前記車両は開閉式の屋根を備えると共に、前記屋根の少なくとも一部を格納したときに、その端部が前記膨出部内に位置することを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、屋根の一部を格納したときに、その端部から落下する水をドレーンカバーで受けて車外に排出することができる。
【0026】
上記目的を達成する本発明の別の態様による車両の排水路形成方法は、車両の床部に設けられた排水口に水を導くようにドレーンカバーを固定するステップと、
前記ドレーンカバーと一体的に形成され、該ドレーンカバーの水受け面積を拡大させるように当該ドレーンカバーの外方へ膨出された膨出部を、車両構成部材によって該膨出部近傍に設けられた易変位部に伴って前記ドレーンカバー内方へ変位させるステップと、
前記車両構成部材を前記ドレーンカバーに隣接した前記床部に固定するステップと、を有することを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、ドレーンカバーに隣接して車両構成部材が配される場合においても、膨出部がその近傍に設けられた易変位部の変位に伴って容易に変位可能となっているため、車両構成部材の組み付けの際には膨出部が変位して組み付け空間(車両構成部材の軌跡)を妨げることが無いと共に、車両構成部材の組み付け後には膨出部によってドレーンカバーの水受け面積を大きくとることができる。
【0028】
また、膨出部がドレーンカバーと一体的に形成されているため、車両が傾斜した場合においても、ドレーンカバーに溜まった水が流出することを防止することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ドレーンカバーに隣接して車両構成部材が配される場合においても、膨出部がその近傍に設けられた易変位部の変位に伴って容易に変位可能となっているため、車両構成部材の組み付けの際には膨出部が変位して組み付け空間(車両構成部材の軌跡)を妨げることが無いと共に、車両構成部材の組み付け後には膨出部によってドレーンカバーの水受け面積を大きくとることができる。
【0030】
また、膨出部がドレーンカバーと一体的に形成されているため、車両が傾斜した場合においても、ドレーンカバーに溜まった水が流出することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0032】
本発明に係る車両の排水構造の実施形態として、ハードトップ型の屋根の一部を格納するコンバーティブル型式の車両の排水構造について説明する。まず、排水構造を構成するドレーンカバーと、車両構成部材の例であるロールバーユニットの位置関係について説明する。
【0033】
図9は、車両の後部車体にロールバーユニット及び屋根の一部が組み付けられる前の状態を示す概略斜視図である。また、図10は、車両の後部車体にロールバーユニット及び屋根の一部が組み付けられた状態を示す概略斜視図である。これらの図において、左下側が車両の前方である。
【0034】
図9に示されるように、ドレーンカバー101は、後部車体のサイドパネル近傍でタイヤハウス前方の車両床部1に取り付けられる。本実施形態のロールバーユニット201は、車両の横転時に乗員の頭部を保護するように車両の上方に延びる曲折されたロールバーと車幅方向に延びるクロスバーとが強固に結合され、車両の床部1に組み付けるためのフランジ202が設けられている。
【0035】
図9中、符号301は車両に格納される、例えば複合部材で構成された屋根の一部(ミドルルーフ)であり、リアウインドウ(不図示)を下方にして回転させた状態で示されている。また、符号401はサイドドレーンカバー111が取り付けられるサイドパネルであり、符号601は電気配線や各種リンケージのために車両の側部や床部を配索されて、電気部品や制御ユニット等に接続される線材である。
【0036】
図10に示すように、ロールバーユニット201の取り付けフランジ202は、ドレーンカバー101に隣接した前方車内側に組み付けられる。ロールバーユニット201が組み付けられ、ミドルルーフ301を格納すると、後述するように屋根の端部は、ドレーンカバー101の膨出部104内に位置する。
【0037】
図1は本実施形態の排水構造を構成するドレーンカバーの概略構成を示す図である。図6は、本実施形態のドレーンカバー101を車両の下方から見た斜視図である。また、図7は、図6のドレーンカバーを車両の底部から見た図である。図6及び図7において、左側が車両前方であり、下側が車両下側である。また、図6及び図7において、車両の床部1は省略されている。
【0038】
本実施形態のドレーンカバー101は、樹脂等の材料で構成され、周囲にフランジを有する皿状となっており、その底部には、ドレーンカバー101で受容した水を排出する排水口を形成する排水パイプ121が取り付けられている。排水口にはこれを覆うメッシュ状の排水口カバー102が設けられている。符号111は車両のサイドパネル401に取り付けられるサイドドレーンカバーである。車両構成部材側の車両上方へ延出する縦壁には、外方へ(すなわち、隣接する車両構成部材に向けて)膨出する膨出部104が設けられている。図1に示すように膨出部104の近傍には、当該膨出部の車両構成部材に対する変位を容易とするべく、縦壁の高さが低くされた易変位部105が設けられている。このため、車両構成部材の組み付けの際に、車両構成部材からの力が膨出部104上部に印加されると、易変位部105の変位に伴って膨出部104もドレーンカバー101内方へ変位するので、組み付けの作業性が向上すると共に、膨出部104の損傷を防止することができる。
【0039】
排水パイプ121が取り付けられる部分の周囲には、車体の床部1の開口1aにドレーンカバー101を固定するための爪状の係止手段122が1対設けられている。該係止手段122は、膨出部104の膨出方向に延出されている。この係止手段122によって、膨出部104が易変位部に伴って変位する際に生じる力によって、ドレーンカバー101が床部から浮き上がることを防止することができる。
【0040】
図6及び図7に示すように、ドレーンカバー101の一部と床部1(不図示)との間には、電気配線及び各リンケージのための線材601が配索されている。線材601はドレーンカバー101の底部に設けられた留め具602によって車両の床部1(不図示)に留められる。また、本実施形態では線材601の配索される方向は、係止手段122の延出する方向に対して略直交する方向となっている。このため、配索されている線材601が引っ張られた際に作用する力によるドレーンカバー101の浮き上がりについても、係止手段122によって防止することができる。
【0041】
本実施形態の膨出部104は、ドレーンカバー101と一体的に形成されている。このため、車両が傾斜した場合においても、ドレーンカバー101に溜まった水が流出することを防止することができる。
【0042】
膨出部104の断面形状は、縦壁を底面とした半円あるいは台形に類似した形状となっており、その上部には、車両構成部材を組み付けるときに、車両構成部材から印加される力を受容する受容部104aが形成されている。本実施形態では、受容部104aは膨出方向かつ車両下方へ傾斜するように構成されているため、車両構成部材の組み付けの際に、受容部104aに印加される力によって膨出部104が円滑に変位する。
【0043】
また、膨出部104の下部には、膨出方向かつ車両上方へ傾斜する第2受容部104bが形成されている。このため、車両構成部材の取り外しの際に、車両構成部材から印加される上方への力が第2受容面に作用することによって、上記の車両構成部材の組み付け時と同様に膨出部104が円滑に変位し、車両構成部材の取り外しが容易に行える。
【0044】
図2は、図1のドレーンカバー101を車両の床部1に固定した後に、車両構成部材としてロールバーユニットを組み付けた状態を車両上方から見た図である。図2において、左側が車両の前方、上側が車内側である。また、図4は、ドレーンカバー及びロールバーユニットを固定した後に、ミドルルーフを格納した状態を上方から見た図である。図4において下側が車両前方、左側が車外側である。
【0045】
図2において、ロールバーユニット201は、取り付けフランジ202によって車両の床部に組み付けられて固定される。また、ドレーンカバー101には、車外側上方に車両のサイドパネルに取り付けられるサイドドレーンカバー111が取り付けられている。
【0046】
図2に示すように、ドレーンカバー101とロールバーユニットの取り付けフランジ202とは隣接して配置されている。そして、図4に示すように両者を取り付けた状態で、ドレーンカバー101の膨出部104は、ドレーンカバー101の水受け面積を拡大するように、取り付けフランジ202にその上方で部分的にオーバーラップしている。図4に示すように、ミドルルーフ301を格納すると、その端部は膨出部104の内部に位置する。これにより、ミドルルーフ301を格納したときに、その端部から落下する水をドレーンカバー101で受けて車外に排出することができる。
【0047】
図5は、本実施形態のドレーンカバー101が車両床部に取り付けられた状態を車内側から見た斜視図である。図5において、左側が車両前方である。
【0048】
図5において、サイドドレーンカバー111は車両のサイドパネル401に取り付けられており、ドレーンカバー101は図1に示したように車両の床部1に設けられた開口1a(図5において不図示)に、排水パイプ121(図5において不図示)を通すように固定されている。図5の角度からは膨出部104の内部が観察できる。また、線材は車両の側部からドレーンカバー101近傍でサイドパネル401に配索されている。
【0049】
図8は、車両の後部車体における線材の配線例を示す図である。図8において下側が車両後方である。車両前方左側のドレーンカバー101近傍には、ハードトップの屋根の駆動用制御ユニット503が配置され、車両前方右側のドレーンカバー101の近傍には、オーディオ用のアンプ504が配置されている。
【0050】
このような各種電気部品や制御ユニット、更にはリアコンビネーションランプ(不図示)への配線、並びに、例えばフューエルリッドオープナー等へのリンケージのために、線材601は後部車体の周囲に配索されている。本実施形態では、このような線材601の配索及び床部1に留めるために、上記図6及び7に示したようにドレーンカバー101を利用している。
【0051】
次に、本実施形態の車両の排水構造の取り付け手順と、作用について説明する。図3は、図4のA−A断面図にフランジの取り付け時の作用を示した図である。
【0052】
本実施形態の排水構造を形成する手順は以下の通りである。最初に、ドレーンカバー101を、車両の床部1に設けられた開口1aに排水パイプ121を通すように固定する。このとき、サイドドレーンカバー111も車両(サイドパネル401)に固定される。そして、車両構成部材としてのロールバーユニット201を取り付けフランジ202によって、ドレーンカバー101に隣接した車両の床部1にボルト等の固着手段で固定する(組み付ける)。
【0053】
図3には、ロールバーユニット201を車両の床部1に組み付ける際の、取り付けフランジ202の移動と、膨出部104の変位とをそれぞれ破線で示している。取り付けフランジ202は、破線202'で示す上方位置から鉛直方向下方に移動され、車両の床部に配される。このとき、フランジ202の右側端部は、膨出部104を上から押すこととなる。ここで、上述のように、膨出部104に形成された受容部104aは、膨出方向かつ車両下方に傾斜している。従って、この押圧力によって、膨出部104は近傍に設けられた易変位部105の変位に伴って破線104'で示すように右側へ円滑に変位する。このため、フランジ202の組み付けの作業性が向上すると共に、膨出部104の損傷を防止することができる。
【0054】
フランジ202が膨出部104を押圧によって変形させつつ車両床部1近傍まで達すると、膨出部104の受容部104aに加わる押圧力がなくなり、膨出部104は復元力によって逆方向への変位を開始し、破線104’の位置から元の位置(実線104)まで戻る。そして、ロールバーユニット201の組み付けが終了し、屋根の一部(ミドルルーフ)301が格納されると、図示されたように、ミドルルーフ301の端部は膨出部104の内部に位置する。このため、ミドルルーフ301を格納したときに、その端部から落下する水をドレーンカバー101で受けて車外に排出することができる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、ドレーンカバー101に隣接してロールバーユニット201が配される場合においても、ロールバーユニット201側の縦壁には、外方へ膨出する膨出部104が設けられており、膨出部104の近傍には、当該膨出部104のロールバーユニット201に対する変位を容易とする易変位部105が設けられているため、ロールバーユニットの組み付けの際には膨出部104が変位して取り付けフランジ202の軌跡を妨げることが無いと共に、ロールバーユニット201の組み付け後には膨出部104によってドレーンカバー101の水受け面積を大きくとることができる。
【0056】
また、膨出部104が、ドレーンカバー101と一体的に形成されているため、車両が傾斜した場合においても、ドレーンカバー101に溜まった水が流出することを防止することができる。
【0057】
(他の実施形態)
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その他の種々の実施形態や変形例を包含するものである。すなわち、上記実施形態で示した車両の排水構造は一例であり、本発明の意図するような排水路の形成が可能な構成であれば、これらに限定されるものではない。
【0058】
例えば、上記の実施形態では、車両構成部材がロールバーユニット201である場合について説明したが、他の車両構成部材がドレーンカバー101に隣接して配されてもよい。
【0059】
また、上記の実施形態では、ハードトップの屋根を格納するコンバーティブル型式の車両を例に挙げて説明したが、幌のようなソフトトップの屋根を格納するコンバーティブル型式の車両に本発明を適用しても良い。
【0060】
また更に、ドレーンカバー101の材料や膨出部104の形状についても、上記実施形態で例示したものに限定されず、他の材料を用いたり様々な形状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】排水構造を構成するドレーンカバーの概略構成を示す図である。
【図2】図1のドレーンカバーを固定した後に、ロールバーユニットを組み付けた状態を車両上方から見た図である。
【図3】図4のA−A断面図にフランジの取り付け時の作用を示した図である。
【図4】ドレーンカバー及びロールバーユニットを固定した後に、ミドルルーフを格納した状態を上方から見た図である。
【図5】ドレーンカバーが車両床部に取り付けられた状態を車内側から見た斜視図である。
【図6】ドレーンカバーを車両の下方から見た斜視図である。
【図7】図6のドレーンカバーを車両の底部から見た図である。
【図8】車両の後部車体における線材の配線例を示す図である。
【図9】車両の後部車体にロールバーユニット及び屋根の一部が組み付けられる前の状態を示す概略斜視図である。
【図10】車両の後部車体にロールバーユニット及び屋根の一部が組み付けられた状態を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
101 ドレーンカバー
102 排水口カバー
104 膨出部
201 ロールバーユニット
202 取り付けフランジ
301 ミドルルーフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の床部に設けられた排水口へ水を導くよう設けられるドレーンカバーと、該ドレーンカバーに隣接した前記床部に配される車両構成部材とを有する車両の排水構造であって、
前記ドレーンカバーには前記車両構成部材に向けて膨出するように一体的に形成された膨出部が設けられていると共に、該膨出部の近傍には当該膨出部の前記車両構成部材に対する変位を容易とするための易変位部が設けられていることを特徴とする車両の排水構造。
【請求項2】
前記膨出部の上部には、膨出方向かつ車両下方へ傾斜する受容部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両の排水構造。
【請求項3】
前記膨出部の下部には、膨出方向かつ車両上方へ傾斜する第2受容部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両の排水構造。
【請求項4】
前記ドレーンカバーの底部には、該ドレーンカバーを前記床部の開口に対して係止する係止手段が設けられており、該係止手段は前記膨出部の膨出方向に延出されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両の排水構造。
【請求項5】
前記ドレーンカバーと前記床部との間には線状部材が配索されていると共に、該線状部材は前記係止手段に対して略直交するように配されることを特徴とする請求項4に記載の車両の排水構造。
【請求項6】
前記ドレーンカバーは車両上方へ延出する縦壁を有しており、該縦壁に前記膨出部が設けられ、該縦壁の上端は自由端となっていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両の排水構造。
【請求項7】
前記車両は開閉式の屋根を備えると共に、前記屋根の少なくとも一部を格納したときに、その端部が前記膨出部内に位置することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の車両の排水構造。
【請求項8】
車両の床部に設けられた排水口に水を導くようにドレーンカバーを固定するステップと、
前記ドレーンカバーと一体的に形成され、該ドレーンカバーの水受け面積を拡大させるように当該ドレーンカバーの外方へ膨出された膨出部を、車両構成部材によって該膨出部近傍に設けられた易変位部に伴って前記ドレーンカバー内方へ変位させるステップと、
前記車両構成部材を前記ドレーンカバーに隣接した前記床部に固定するステップと、を有することを特徴とする車両の排水路形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−84018(P2007−84018A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−278737(P2005−278737)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】