説明

車両の防犯システム

【課題】的確な警告を可能にして自動車の防犯性能を向上することを目的とする。
【解決手段】自動車の状態の監視結果に基づいて、予め定めた複数の警戒レベルの中から対応する警戒レベルを求めて、警戒レベル毎に異なる予め定めた複数の報知方法の中から、求めた警戒レベルに応じた報知方法を選択して段階的に警告を行う。具体的には、警戒レベル1〜3を予め定め、各警戒レベルに応じて警戒内容を予め定めると共に、各警戒レベルに応じて報知方法を予め定め、警戒レベルに応じた報知方法で警告を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の防犯システムにかかり、特に、ハイブリッド自動車や電気自動車等に搭載された車両用蓄電池を充電する機能を備えた、車両の防犯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題等を考慮して、ハイブリッド自動車や電気自動車が普及しており、充電装置等を用いて、これらの自動車に搭載された車両用蓄電池を充電する技術なども提案されている。
【0003】
また、建物からの電力供給により自動車への充電が行われている場合には、電力そのものが盗まれたり、充電中の自動車が盗まれたりするおそれがあるため、特許文献1では、充電セキュリティモードを備えることが提案されている。
【0004】
具体的には、特許文献1に記載の技術では、建物に隣接された駐車場に駐車された自動車の電力入力端子と建物の電力出力端子とを接続ケーブルにより接続することで自動車への充電を可能して、建物に防犯管理装置の他、人感センサ、窓センサ、警告灯等を設けて、充電セキュリティモード時において人感センサにより自動車周りに人が所定時間存在することが検知された場合に、警告灯により警告を実行することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−92221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、人感センサによって自動車周囲の所定時間以上の人の存在を検出して警告を行うようにしているが、自動車への悪戯を行うとは限らないため、警告の方法に改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、的確な警告を可能にして自動車の防犯性能を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、盗難の際に変化する自動車の状態を検出する検出手段の検出結果を取得する取得手段と、自動車に接続可能とされ、自動車に搭載された車両用蓄電池を充電する充電手段と、複数の住戸を有する集合住宅の各住戸に設けられ、自動車の防犯に関する警告を行う警告手段と、前記充電手段と自動車とが接続されている場合に、前記取得手段によって取得した前記検出結果に基づいて、予め定めた複数の警戒レベルの中から対応する警戒レベルを求め、前記警戒レベル毎に異なる予め定めた複数の警告方法の中から、求めた警戒レベルに応じた警告方法を選択して段階的に警告を行うように、前記警告手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、取得手段では、盗難の際に変化する自動車の状態を検出する検出手段の検出結果が取得される。例えば、盗難の際に変化する自動車の状態としては、ドアの開放、エンジン始動、パーキングブレーキ解除、ガラス割れ、及び充電ケーブル強制取り外しや引きちぎり等があるので、これらの状態をセンサ等の検出手段によって検出し、取得手段が検出結果を取得する。
【0010】
充電手段は、自動車と接続可能とされて、自動車に搭載された車両用蓄電池の充電が行われ、警告手段では、複数の住戸を有する集合住宅の各住戸に設けられて、自動車の防犯に関する警告が行われる。
【0011】
そして、制御手段では、充電手段と自動車とが接続されている場合に、取得手段によって取得した検出手段の検出結果に基づいて、予め定めた複数の警戒レベルの中から対応する警戒レベルを求めて、警戒レベル毎に異なる予め定めた複数の警告方法の中から、求めた警戒レベルに応じた警告方法を選択して段階的に警告を行うように、警告手段が制御される。すなわち、自動車の状態に対応する警戒レベルに応じて段階的に警告を行うことにより、的確な警告が可能となり、自動車の防犯性能を向上することができる。
【0012】
なお、制御手段は、請求項2に記載の発明のように、集合住宅の共用部に設置するようにしてもよい。
【0013】
また、請求項3に記載の発明のように、複数種類のエネルギー供給源を更に備え、当該エネルギー供給源と集合住宅の全住戸のエネルギー消費源とが接続されると共に、充電手段が、エネルギー供給源から供給されるエネルギーを用いて車両用蓄電池を充電するようにしてもよい。
【0014】
また、検出手段は、請求項4に記載の発明のように、他者による自動車の強制ドア開放、車両のガラス割れ、エンジン始動、及びパーキングブレーキの解除の少なくとも1つの状態を自動車の状態として検出するようにしてもよい。
【0015】
また、請求項5に記載の発明のように、制御手段が、自動車所有者の住宅に設けられた表示手段による警告表示、集合住宅の全住戸に設けられた表示手段による警告表示、自動車所有者の携帯端末への警告表示、及び集合住宅の管理会社に設けられて制御手段と通信可能な端末装置から自動車の始動不可または発進不可とする信号出力の少なくとも1つを警告手段の警告として警戒レベルに応じて選択して警告を行うと共に、発信音を更に出力するように制御してもよい。この場合には、制御手段は、請求項6に記載の発明のように、警戒レベルが予め定めた第1の警戒レベルの場合に、所有者の表示手段へ警告を表示し、第1の警戒レベルとは異なる第2の警戒レベルの場合に、全住戸の表示手段へ警告を表示するように制御してもよい。また、制御手段は、請求項7に記載の発明のように、警戒レベルが予め定めた第3の警戒レベルの場合に、携帯端末へ警告を表示し、第3の警戒レベルとは異なる第4の警戒レベルの場合に、端末装置から自動車の始動不可または発進不可とする信号出力を行うように制御してもよい。
【0016】
さらに、請求項9に記載の発明のように、充電手段による充電で使用した電力量、各住戸で使用した電力量、及び集合住宅の共用部で使用した電力量の少なくとも1つの電力量を監視する監視手段と、監視手段の監視結果に基づいて、各住戸の使用者へ課金するための課金情報を生成する課金情報生成手段と、を更に備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、自動車の状態に対応する警戒レベルに応じて段階的に警告を行うので、的確な警告を可能にして自動車の防犯性能を向上することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係わる車両の防犯システムを備えた集合住宅の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる車両の防犯システムにおける主要部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】(A)は警戒レベル毎の警戒内容及び報知方法の一例を示す表であり、(B)は表示画面の一例を示す図であり、(C)は変形例としての警戒レベル毎の対応の一例を示す表である。
【図4】本発明の実施の形態に係わる自動車の防犯システムにおけるHEMSで行われる防犯処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係わる自動車の防犯システムにおけるHEMSで行われる他の処理例としての車両用蓄電池の充電に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わる車両の防犯システムを備えた集合住宅の一例を示す概略図であり、図2は、本発明の実施の形態に係わる車両の防犯システムにおける主要部の概略構成を示すブロック図である。なお、図2の点線は電力の流れを示し、実線は情報の流れを示す。
【0020】
本発明の実施の形態に係わる車両の防犯システム10は、集合住宅12内の電力供給を制御するHEMS(Home Energy Management System)14を備えている。なお、本実施の形態では、集合住宅12を一例として説明するが、戸建て等の建物としてもよい。
【0021】
集合住宅12は、入居者が居住する複数の住戸11、及び共用部(例えば、廊下や、階段、ホール等)13を備えており、本実施の形態では、共用部13にHEMS14が設けられた例を示すが、これに限るものではなく、他の場所(例えば、管理人の住戸等)に設けるようにしてもよい。
【0022】
また、集合住宅12には、太陽光によって発電する太陽光発電装置16が設けられており、発電された電力がHEMS14を介して集合住宅12へ供給されるようになっていると共に、商用電源20からの電力がHEMS14を介して集合住宅12に供給される。発電電力及び商用電源20からの電力は、電力計18を介してHEMS14へ供給される。また、本実施の形態では、太陽光発電装置16を備える例を示すが、他の自然エネルギ(例えば、風力、水力、地熱、潮力等)を利用した発電装置を備えるようにしてもよいし、燃料電池等を備える構成としてもよい。
【0023】
HEMS14には、集合住宅12で使用するための電力を蓄電する蓄電池30が接続されていると共に、ハイブリッド自動車や電気自動車等の自動車24に搭載された車両用蓄電池26等が接続可能とされている。
【0024】
蓄電池30は、深夜電力や発電電力によって充電され、集合住宅12の各部へ供給可能とされている。なお、蓄電池30は、共用部13に設けるようにしてもよいし、他の場所に設けるようにしてもよい。
【0025】
一方、車両用蓄電池26は、充電ポール28を介してHEMS14に接続され、HEMS14から充電ポール28を介して車両用蓄電池26に電力を供給することにより、車両用蓄電池26の充電が可能とされている。また、車両用蓄電池26からHEMS14を介して集合住宅12へ電力供給を行うことも可能とされている。
【0026】
また、本実施の形態では、HEMS14は、自動車の防犯機能を備えている。防犯機能としては、具体的には、自動車24の盗難の際に変化する自動車の状態を検出する検出手段が自動車24に設けられ、当該検出手段の検出結果を充電ポール28を介してHEMS14へ送信し、HEMS14が、検出手段の検出結果に基づいて、予め定めた複数の警戒レベルの中から対応する警戒レベルを求めて、警戒レベル毎に異なる予め定めた複数の報知方法の中から、求めた警戒レベルに応じた報知方法を選択して段階的に警告を行うようになっている。警告方法としては、HEMS14の音声機能で警告したり、表示部等に表示したり、ネットワーク32を介して住人の携帯電話42へ通知したり、集合住宅12の管理会社34に設けられた親機PC(パーソナルコンピュータ)36に通知する。
【0027】
なお、検出手段が検出する盗難の際に変化する自動車の状態としては、例えば、ドアの開放、エンジン始動、パーキングブレーキ(PKB)の解除、ガラス割れ、充電ケーブルの強制取り外しや引きちぎり等があり、検出手段が上記の少なくとも1つの状態を検出して、検出結果を充電ポール28を介してHEMS14へ送信する。具体的には、例えば、ドアの開放はカーテシスイッチにより検出し、エンジン始動はエンジンECUによって検出し、PKBの解除はPKBセンサによって検出し、ガラス割れは加速度センサ等によって検出し、充電ケーブルの取り外しや引きちぎりは、電流や電圧等を測定することによって検出することができる。
【0028】
また、本実施の形態では、検出手段を自動車24に備えるものとして説明するが、充電ポール28や集合住宅12の駐車場等に設けるようにしてもよい。この場合には、検出手段としては、例えば、カメラ等を適用して撮影画像から上記の盗難の際に変化する自動車の状態を検出するようにしてもよい。
【0029】
また、ネットワーク32には、電力会社38等に設けられた課金システム40が接続されている。
【0030】
HEMS14は、複数種類の電力供給源(太陽光発電装置16の発電電力、商用電源20からの電力、蓄電池30や車両用蓄電池26の蓄電電力等)の中から効率的かつ安価な電力供給源を選択して、各住戸11、共用部13、及び充電ポール28等へ電力を供給する。
【0031】
詳細には、HEMS14は、図2に示すように、情報制御ユニット50、電力供給制御装置54、及び表示操作パネル52を備えている。
【0032】
情報制御ユニット50は、ネットワーク32、表示操作パネル52、電力供給制御装置54、電力計18、及び各住戸11の子機20としての子機表示操作パネル58に接続されて、情報の流れを制御し、電力供給制御装置54は、電力計18を介して得られる各種電力源からの電力を各住戸11の分電盤22へ供給する等の電力供給の制御を行う。
【0033】
表示操作パネル52は、液晶等の表示部と、タッチパネルやスイッチ等の操作部とを含んで構成され、電力供給に関する設定や表示が可能とされている。また、本実施の形態では、自動車のセキュリティに関する情報や警告等の表示や音声出力等が可能とされている。
【0034】
一方、各住戸11は、分電盤22及び子機20としての子機表示操作パネル58を備えており、分電盤44から各住戸内の電気機器等へ電力供給が行われる。
【0035】
子機表示操作パネル56は、HEMS14の表示操作パネル52と同様に、液晶等の表示部と、タッチパネルやスイッチ等の操作部とを含んで構成され、電力供給に関する設定や表示が可能とされていると共に、自動車のセキュリティに関する情報や警告等の表示や音声出力も可能とされている。
【0036】
ここで、HEMS14に備えた自動車の防犯機能の具体例について説明する。
【0037】
本実施の形態では、HEMS14は、上述したように、自動車の防犯機能を備えているが、自動車の防犯方法としては、自動車の状態の監視結果に基づいて、予め定めた複数の警戒レベルの中から対応する警戒レベルを求めて、警戒レベル毎に異なる予め定めた複数の報知方法の中から、求めた警戒レベルに応じた報知方法を選択して段階的に警告を行う。
【0038】
具体的には、図3(A)に示すように、警戒レベル1〜3を予め定め、各警戒レベルに応じて警戒内容を予め定めると共に、各警戒レベルに応じて報知方法を予め定め、警戒レベルに応じた報知方法で警告を行う。
【0039】
本実施の形態では、警戒レベル1では、警戒内容として他者によるドアの強制開放を警戒し、報知方法としては、子機20のランプを遅点滅し、子機20で音声通知を行う。例えば、カーテシスイッチのオンオフ信号を充電ポール28を介してHEMS14へ出力することにより、ドアの開閉を監視することができ、ドアの開放が検出された場合には、図3(B)に示すように、子機表示操作パネル56の「警報」ランプを遅い点滅速度(警戒レベル2より遅い点滅速度)で点滅し、子機表示操作パネル56で「ドアが開いています」等の音声通知を行う。
【0040】
警戒レベル2では、エンジン始動やPKB解除を警戒し、報知方法としては、子機20のランプを点滅し、子機20及び充電ポール28(対象世帯)で音声通知及び弱発信音(警戒レベル3より弱い発信音)を繰り返す。例えば、エンジン始動は、エンジンECUからエンジン始動信号を充電ポール28を介してHEMS14に出力し、PKB解除は、PKBスイッチのオンオフ信号を充電ポール28を介してHEMS14へ出力することにより、エンジン始動やPKBの解除を検出することができ、エンジン始動やPKB解除が検出された場合には、図3(B)に示すように、子機表示操作パネル56の「警報」ランプを点滅し、対象世帯の子機表示操作パネル56及び充電ポール28で「エンジンが始動されました。」や「PKBが解除されました。」等の音声通知や弱発信音を繰り返す。
【0041】
警戒レベル3では、ガラス割れや、充電ケーブルの強制取り外し、引きちぎり等を警戒し、報知方法としては、子機20のランプを早点滅し、子機20や充電ポール(全世帯)の音声通知や強発信音を繰り返す。例えば、加速度センサやウインド開閉センサの検出結果を充電ポール28を介してHEMS14へ出力することにより、加速度センサやウインド開閉センサの検出結果から窓の割れを推定することができ、充電ケーブルの接続スイッチや電流センサ、電圧センサの検出結果を充電ポール28を介してHEMS14へ出力することにより、充電ケーブルの強制取り外しや引きちぎりを検出することができ、ガラス割れや、充電ケーブルの強制取り外し、引きちぎりが検出された場合には、子機表示操作パネル56の「警報」ランプを早い点滅速度(警戒レベル2より早い点滅速度)で点滅し、全世帯の子機表示操作パネル56及び充電ポール28で「ガラスが割れました。」や「充電ケーブルが外されました。」等の音声通知や強発信音を繰り返す。
【0042】
なお、警戒レベルとしては、3段階に限るものではなく、例えば、図3(C)に示すように、警戒レベル1〜4の4段階として各レベル毎の対応内容(警告方法)を定めるようにしてもよいし、2段階でもよいし、5段階以上としてもよい。図3(C)の場合には、警戒レベル1〜4の4段階とし、警戒レベル1の場合には、自動車24の所有の子機20へ通知し、警戒レベル2の場合には、全世帯の子機20へ通知し、警戒レベル3の場合には、自動車24の所有者の携帯電話へ通知し、警戒レベル4の場合には、ネットワーク32を介した通信によって管理会社の親機PC36から車始動又は発進可否信号を送信する。このとき、警戒レベル4の場合には、管理会社34は、警察等へ更に通報するようにしてもよい。
【0043】
続いて、上述のように構成された本発明の実施の形態に係わる自動車の防犯システム10で行われる具体的な処理について詳細に説明する。
【0044】
自動車の防犯の開始は、例えば、自動車24と充電ポール28が充電ケーブル等によって接続された時に、自動車24と子機20との間で情報の授受を行って、セキュリティ状態をオンにされる。この状態は、HEMS14を通して管理会社の親機PC36へも通知され、管理会社34でも監視が可能となる。なお、子機20からの操作でセキュリティのオンオフを可能としてもよい。
【0045】
セキュリティ状態がオンになると、子機20や充電ポール28の予め定めたランプ等を点灯して、「充電ケーブルが接続され、セキュリティがオンになりました。」等の音声通知が子機20や充電ポール28で行われる。
【0046】
セキュリティの解除方法としては、例えば、お出かけ前に、子機表示操作パネル56等の操作によりセキュリティ状態をオフする。これによりランプが消灯し、「セキュリティが解除されました。」等の音声通知が行われる。なお、子機表示操作パネル56の操作を忘れた場合には、自動車24のスマートキーを持って自動車24に近づいた場合に、自動車24がこれを検知して充電ポール28を介して当該情報をHEMS14へ送信することにより、セキュリティの解除を行うようにしてもよい。この場合は、充電ポール28から音声通知等を行う。
【0047】
続いて、自動車24のセキュリティ状態がオンされた場合の具体的な処理内容について説明する。図4は、本発明の実施の形態に係わる自動車の防犯システム10におけるHEMS14で行われる防犯処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図4の処理は、本実施の形態では所定時間毎に行われるものとして説明する。
【0048】
ステップ100では、充電ポール28に接続されている自動車24からセキュリティ情報が取得されてステップ102へ移行する。
【0049】
ステップ102では、自動車24に異常があるか否かHEMS14によって判定される。該判定は、本実施の形態では、図3(A)に示す警戒内容に対応する自動車24の状態が検出されたか否かを判定し、該判定が否定された場合には一連の処理を終了し、肯定された場合には、ステップ104へ移行する。
【0050】
ステップ104では、警戒レベル1か否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ106へ移行し、否定された場合にはステップ108へ移行する。
【0051】
ステップ106では、子機表示操作パネル56のランプの遅点滅及び音声通知が繰り返されてステップ108へ移行する。本実施の形態では、図3(B)に示すように、子機表示操作パネル56の表示画面上の「警報」が遅点滅となると共に、「ドアが開いています。」の表示を行うと共に、繰り返し音声通知(「ドアが開いています。」など)が行われる。
【0052】
ステップ108では、警戒レベル2か否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ110へ移行し、否定された場合には警戒レベル3としてステップ112へ移行する。
【0053】
ステップ110では、子機表示操作パネル56のランプの点滅並びに子機20及び充電ポール(対象世帯)の音声通知と弱発信音出力が行われてステップ114へ移行する。本実施の形態では、図3(B)に示すように、子機表示操作パネル56の表示画面上の「警報」が点滅となると共に、「ENGが始動しました。」や「PKBが解除されました。」等の表示を行うと共に、「EGNが始動されました。」や「PKBが解除されました。」等の音声通知及び弱発信音出力が繰り返される。
【0054】
また、ステップ112では、子機表示操作パネル56のランプの早点滅並びに子機20及び充電ポール(全世帯)の音声通知と強発信音出力が行われてステップ114へ移行する。本実施の形態では、図3(B)に示すように、子機表示操作パネル56の表示画面上の「警報」が早点滅となると共に、「ガラスが割れました。」や「充電ケーブルが外されました。」等の表示を行うと共に、「ガラスが割れました。」や「充電ケーブルが外されました。」等の音声通知及び強発信音出力が繰り返される。
【0055】
ステップ114では、警報停止が指示されたか否かが判定される。該判定は、子機表示操作パネル56や、HEMS14、充電ポール28等によって警報を停止する旨の予め定めた操作が行われたか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ116へ移行する。
【0056】
ステップ116では、警報(「警報」の点滅や、音声通知、発信音出力等)が停止されて一連の処理を終了する。
【0057】
このように処理を行うことによって、自動車24の状態に対応する警戒レベルに応じて警告を行って、的確な警告が可能となり、自動車の防犯性能を向上することができる。
【0058】
続いて、HEMS14で行われる他の処理例について説明する。図5は、本発明の実施の形態に係わる自動車の防犯システム10におけるHEMS14で行われる他の処理例としての車両用蓄電池26の充電に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【0059】
ステップ200では、自動車24の充電予約を整理して優先順位が決定されてステップ202へ移行する。
【0060】
ステップ202では、新たに充電予約があるか否か判定される。該判定は、充電ポール28に自動車24が接続され、子機表示操作パネル56によって充電予約が行われたか否かをHEMS14が判定し、該判定が肯定された場合にはステップ200へ戻って充電予約の整理が行われ、否定された場合にはステップ204へ移行する。
【0061】
ステップ204では、決定した優先順位に従って最も効率的かつ安価な電力を用いた充電が行われる。例えば、日中の太陽光発電装置16の発電電力や、蓄電池30に蓄電された電力等の余剰電力を極力使用して、商用電源20からの新規の電力購入を減らすようにHEMS14が充電ポール28への電力供給を制御することにより車両用蓄電池26の充電を行う。また、このとき、子機表示操作パネル56を通じて住人へ車両用蓄電池26の充電の開始等を通知したり、建物全体の電力の供給状況等を通知するようにしてもよいし、管理会社34の親機PC36にもこれらの情報を通知するようにしてもよい。なお、住人の利用特性や季節特性等のデータを蓄積して分析することにより、上記充電時に反映して、より効率的かつ安価な電力を供給するようにしてもよい。
【0062】
ステップ206では、充電終了があるか否か判定される。該判定は、HEMS14が充電中の車両用蓄電池26を監視して、充電が終了した車両用蓄電池26があるか否かを判定し、該判定が肯定された場合にはステップ208へ移行し、否定された場合にはステップ212へ移行する。
【0063】
ステップ208では、終了が対象の子機20へ通知されてステップ210へ移行する。すなわち、HEMS14が車両用蓄電池26の充電が終了した旨を子機表示操作パネル56に表示するように制御する。これによって住人が自動車24の使用が可能となったことを確認することができる。
【0064】
ステップ210では、充電に関する電力情報が親機PC36へ通知されてステップ212へ移行する。例えば、使用した電力の種類や使用量等をHEMS14が纏めて電力情報として親機PCへ送信することにより、充電に関する課金情報を親機PC36で生成して、課金システム40へ送信することにより、課金システム40では、車両用蓄電池26の充電等で使用した電力に対する課金の請求等を各住戸11へ行うことが可能となる。このとき、各住戸の電力使用量及び共用電力の使用量を親機PC36へ送信して、親機PC36が使用量の割合に合わせた課金情報を生成して課金システム40へ送信してやれば、充電以外の各住戸11の電力使用と合わせて課金することも可能となる。
【0065】
ステップ212では、全て充電が終了したか否か判定され、該判定が否定された場合にはステップ202へ戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定されたところで一連の処理を終了する。
【0066】
なお、上記のHEMS14で行われる他の処理例として、車両用蓄電池26の充電に関する制御について説明したが、車両用蓄電池26の充電のみではなく、各住戸11や共用部13への電力供給全般についてHEMS14がトータルマネージメントするようにしてもよい。
【0067】
例えば、HEMS14は、発電電力や商用電源20から購入した電力を、全電力供給網(商用電源(深夜電力)、太陽光発電装置16の発電電力、蓄電池30の蓄電電力、車両用蓄電池26の蓄電電力等)を利用して、相互に連動させ、最も効率的かつ安価な電力を選択して、電力供給を行うようにしてもよい。また、加えて蓄電や、売電、消費への振り分け等を制御するようにしてもよい。この場合には、余剰電力を極力使用して、商用電源20からの新規電力購入を減らすようにする。
【0068】
また、上記の実施の形態では、集合住宅12の共用部13に設けたHEMS14に車両の防犯機能を持たせた例を説明したが、これに限るものではなく、例えば、HEMS14を省略して、HEMS14の機能を各住戸11の子機22に持たせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 車両の防犯システム
11 住戸
12 集合住宅
13 共用部
14 HEMS
16 太陽光発電装置
18 電力計
20 商用電源
22 子機
24 車両用蓄電池
26 自動車
28 充電ポール
30 蓄電池
32 ネットワーク
36 親機PC
40 課金システム
42 携帯電話
50 情報制御ユニット
52 表示操作パネル
54 電力供給制御装置
56 子機表示操作パネル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
盗難の際に変化する自動車の状態を検出する検出手段の検出結果を取得する取得手段と、
自動車に接続可能とされ、自動車に搭載された車両用蓄電池を充電する充電手段と、
複数の住戸を有する集合住宅の各住戸に設けられ、自動車の防犯に関する警告を行う警告手段と、
前記充電手段と自動車とが接続されている場合に、前記取得手段によって取得した前記検出結果に基づいて、予め定めた複数の警戒レベルの中から対応する警戒レベルを求め、前記警戒レベル毎に異なる予め定めた複数の警告方法の中から、求めた警戒レベルに応じた警告方法を選択して段階的に警告を行うように、前記警告手段を制御する制御手段と、
を備えた車両の防犯システム。
【請求項2】
前記制御手段は、集合住宅の共用部に設置された請求項1に記載の車両の防犯システム。
【請求項3】
複数種類のエネルギー供給源を更に備え、当該エネルギー供給源と前記集合住宅の全住戸のエネルギー消費源とが接続されると共に、前記充電手段は、前記エネルギー供給源から供給されるエネルギーを用いて車両用蓄電池を充電する請求項1又は請求項2に記載の車両の防犯システム。
【請求項4】
前記検出手段は、他者による自動車の強制ドア開放、車両のガラス割れ、エンジン始動、及びパーキングブレーキの解除の少なくとも1つの状態を前記自動車の状態として検出する請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の防犯システム。
【請求項5】
前記制御手段が、自動車所有者の住宅に設けられた表示手段による警告表示、集合住宅の全住戸に設けられた表示手段による警告表示、自動車所有者の携帯端末への警告表示、及び集合住宅の管理会社に設けられて前記制御手段と通信可能な端末装置から自動車の始動不可または発進不可とする信号出力の少なくとも1つを前記警告手段の警告として前記警戒レベルに応じて選択して警告を行うと共に、発信音を更に出力するように制御する請求項1〜4の何れか1項に記載の車両の防犯システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記警戒レベルが予め定めた第1の警戒レベルの場合に、所有者の前記表示手段へ前記警告を表示し、前記第1の警戒レベルとは異なる第2の警戒レベルの場合に、全住戸の前記表示手段へ前記警告を表示するように制御する請求項5に記載の車両の防犯システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記警戒レベルが予め定めた第3の警戒レベルの場合に、前記携帯端末へ前記警告を表示し、前記第3の警戒レベルとは異なる第4の警戒レベルの場合に、前記端末装置から自動車の始動不可または発進不可とする信号出力を行うように制御する請求項5又は請求項6に記載の車両の防犯システム。
【請求項8】
前記充電手段による充電で使用した電力量、各住戸で使用した電力量、及び集合住宅の共用部で使用した電力量の少なくとも1つの電力量を監視する監視手段と、前記監視手段の監視結果に基づいて、各住戸の使用者へ課金するための課金情報を生成する課金情報生成手段と、を更に備えた請求項1〜7の何れか1項に記載の車両の防犯システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−3779(P2013−3779A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133362(P2011−133362)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】