説明

車両・機体用内外装部品

【課題】
機械的性質、耐加水分解性、外観性状を同時に向上させた、繊維強化ポリエステル樹脂組成物を成形してなる、車両・機体用内外装部品を提供する。
【解決手段】
(A)ポリエステル樹脂100重量部に対し、(B)少なくともアミノシランとノボラック型エポキシ樹脂とを含む表面処理剤で処理された繊維状充填剤30〜150重量部、及び(C)エポキシ化合物0.1〜3重量部を含む繊維強化ポリエステル樹脂組成物を成形してなる、車両・機体用内外装部品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形性、機械的強度、耐加水分解性の優れた繊維強化ポリエステル樹脂組成物を成形してなる、自動車、列車・電車や航空機等の、車両・機体用内外装部品、特にワイパー部品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略記することがある。)やポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略記することがある。)などの熱可塑性ポリエステル樹脂は、機械的特性および電気特性とともに、耐薬品性および耐熱性などの優れた特性を有していることから、エンジニアリングプラスチックとして電機、電子部品、あるいは自動車部品など一般工業材料として広く用いられている。さらに、当該熱可塑性樹脂に繊維状強化材(充填剤)を配合した、いわゆる繊維強化樹脂は、樹脂の機械的特性が改良されて、その利用領域を広げている。
【0003】
従来、軽量、高強度・高剛性、および良外観が要求されるものとして、自動車や列車・電車、更には航空機等の、車両・機体用内外装部品が挙げられる。具体的には例えば室内のインナーミラーステイ、ドアハンドルや、吊革、取っ手用の部品、室外にあるワイパーアーム等のワイパー部品、ドアハンドル、ドアミラーステイ、ルーフレール等であり、これらの用途には例えば、繊維強化ポリエステル樹脂が使用されている。
【0004】
繊維強化樹脂を成形してなる樹脂成形品の強度や剛性を高める為には、繊維状充填剤の含有量を増やす必要がある。しかし繊維状充填剤の含有量を増やすと、繊維強化樹脂組成物の成形流動性の低下や、樹脂成形品の表面に繊維状充填剤が露出し易くなり、外観性が低下するという問題があった。
【0005】
また先述のこれらの車両・機体用部品や電気電子部品は、最近の省資源、省エネルギーによる環境保全対策のため、薄肉で小型化による軽量化が進んでおり、これらの部品に使用される原材料に対しては、機械的強度の向上と長期維持に対する要求が一層厳しくなってきた。特に、PBTやPET等のポリエステル樹脂は、高温多湿雰囲気下で加水分解し易く、機械特性が低下し易いので、樹脂特性の長期保持が課題となっており、機械的強度の改善と同時に耐加水分解性の改善要求があった。
【0006】
ポリエステル樹脂組成物を成形してなる車両・機体用内外装部品用途の中でも、特に機械的特性が必要される成形品として、例えば自動車、電車および航空機などに用いるワイパー部品がある。ワイパー部品は、主としてワイパーブレードとワイパーアームとを具え、ブレードは、ガラス面などの被払拭面に接触してこれを払拭する払拭部が長手方向に一体に形成されると共に、全体を樹脂材によって一体成形されたものが一般的である。
【0007】
ワイパーブレードはワイパーアームに支持され、さらにこのアームと連結する基部(ヘッド)が複数のリンク部材を介してワイパーモータに接続されている。モーターが作動することによってワイパーアームが往復回動し、それに伴って、ブレードの払拭部が、ガラス面などの被払拭面を払拭するものである。このような機構から、ワイパー部品、特にワイパーアームに対しては剛性、機械的強度、耐熱性、耐加水分解性、外観特性等の諸特性が高いレベルで要求されている。
【0008】
これに対し、ポリエステル樹脂の強度の更なる向上を目的として、ガラス繊維と多官能化合物(エポキシシラン、イソシアネート系化合物、ポリカルボン酸無水物等)を含有するPBT組成物が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0009】
またPBT組成物等に含有させるガラス繊維を特定の化合物、例えばエポキシ樹脂とアミノシランカップリング剤により表面処理したガラス繊維を用いることで、ガラス繊維の集束性や得られる樹脂組成物の電気的特性、機械的性質を改善する方法が提案されている(例えば特許文献2〜5参照)。
【0010】
更にはワイパー部品の機械的強度や外観特性の改善方法として、ポリエチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して強化材20〜150質量部とエポキシ基含有物質0.1〜5質量部を含む強化PET樹脂成形体が提案されている(例えば特許文献6参照)。
【0011】
【特許文献1】特公昭51−7702号公報
【特許文献2】特開平9−301746号公報
【特許文献3】特開2001−172055号公報
【特許文献4】特開2001−172056号公報
【特許文献5】特開2001−172057号公報
【特許文献6】特開2003−342454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし最近の車両・機体用の内外装部品への要求は一段と厳しくなり、先述の特許文献1〜6に記載の方法では、対応が困難となってきた。つまり従来技術では、各部品に対する軽量化の急速な進展に伴い、低比重、高機械的強度、高耐加水分解性、および外観特性をも同時に良好なものとし、且つ生産性も良好である材料を提供することが困難となってきた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らはこの様な実情を鑑み、車両・機体用内外装部品用の樹脂組成物、特に機械的性質、耐加水分解性等の諸特性を同時に向上させた、繊維強化ポリエステル樹脂組成物について、鋭意検討を行った。中でもその用途として、車両・機体用ワイパー部品について優れた効果を奏する、繊維強化ポリエステル樹脂組成物について鋭意検討を行った。
【0014】
そして本発明者らは、ポリエステル樹脂組成物に用いる繊維状充填剤、とりわけその表面における樹脂との接着に着目し、表面処理と繊維強化ポリエステル樹脂の機械的強度等の諸特性との関係を鋭意検討した。その結果、繊維状充填剤としてアミノシランカップリング剤とノボラック型エポキシ樹脂という特定の表面処理剤にて処理されたものを用い、そしてエポキシ化合物を配合したポリエステル樹脂組成物が、繊維状充填剤とポリエステル樹脂との密着性が顕著に向上することを見出した。
【0015】
更に本発明者らは、用いるポリエステル樹脂中に含まれる金属化合物、とりわけ、ポリエステル樹脂の重合触媒に由来する金属化合物に着目し、繊維強化ポリエステル樹脂における諸特性との関係を鋭意検討した。
その結果、ポリエステル樹脂、とりわけPBTにおいて、チタン化合物と、周期律表1族または2族金属化合物を特定量含有するものを用いたポリエステル樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品が、機械的強度、耐加水分解性、外観特性の全てに於いて著しくその特性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
【0016】
即ち本発明の要旨は、(A)ポリエステル樹脂100重量部に対し、(B)少なくともアミノシランとノボラック型エポキシ樹脂とを含む表面処理剤で処理された繊維状充填剤30〜150重量部、及び(C)エポキシ化合物0.1〜3重量部を含む繊維強化ポリエステル樹脂組成物を成形してなる車両・機体用内外装部品、特にワイパー部品に存する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、特に機械的性質、耐加水分解性を向上させた繊維強化ポリエステル樹脂組成物からなる車両・機体用内外装部品、特にワイパー部品を生産性よく提供することができ、信頼性の高い製品が得られることにより商品価値が高まる。結果として、車両・機体用分野以外にも、電機・電子機器分野、機械分野等多くの分野の製品、部品において幅広く使用することが期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とは、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0019】
(A)ポリエステル樹脂
本発明に用いる(A)ポリエステル樹脂としては、従来公知の任意のポリエステル樹脂を用いることができる。具体的には例えば、ジカルボン酸またはその誘導体と、ジオール成分とからなるポリエステル樹脂が挙げられる。ジカルボン酸またはその誘導体としては、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、および脂肪族ジカルボン酸、並びにこれらの低級アルキルまたはグリコールのエステルが好ましい。中でも芳香族ジカルボン酸またはこの低級アルキルあるいはグリコールのエステルが好ましく、特にテレフタル酸またはこの低級アルキルエステルが好ましい。これらは1種または2種以上を併用しても良い。
【0020】
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、オクトフタル酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4'−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸等が好ましい例として挙げられる。
脂環式ジカルボン酸としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が好ましい例として挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸およびセバシン酸等が好ましい例として挙げられる。
【0021】
ジオール成分としては、脂肪族ジオール、脂環式ジオールおよび芳香族ジオールが好ましい。脂肪族ジオールとしては、好ましくは、炭素数2〜20の脂肪族ジオールであり、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,8−オクタンジオール等が好ましい例として挙げられる。中でも炭素数2〜4のものが好ましい。
【0022】
脂環式ジオールとしては、中でも炭素数2〜20のものが好ましく、具体的には1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等が好ましい例として挙げられる。
芳香族ジオールとしては、キシリレングリコール、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよびビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が好ましい例として挙げられる。これらは1種または2種以上を併用しても良い。
【0023】
本発明に用いる(A)ポリエステル樹脂においては、さらに、乳酸、グリコール酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸およびp−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、アルコキシカルボン酸、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸およびベンゾイル安息香酸などの単官能成分、ならびに、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロールおよびペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分などを共重合成分として使用してもよい。
【0024】
より好ましい(A)ポリエステル樹脂の例としては、ポリアルキレンテレフタレートであり、価格などの点から、さらに好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)またはポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)が挙げられる。ここで、PETは比重が高い点および結晶化速度にやや難点があり、一方、PBT単独は固化速度が極めて速いため、成形品表面外観が悪くなりやすいため、生産性および表面外観の両立からPBTを主体としたポリエステルがより好ましく、具体的には例えば、PBTとPETの混合物をポリエステル樹脂として使用することが好ましい。その配合比率としては、PBT/PET=95/5〜50/50(重量比)の範囲が好ましい。
【0025】
本発明に用いる(A)ポリエステル樹脂の固有粘度に制限はないが、は、1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノール=1/1(重量比)の混合溶媒を用いて、温度30℃で測定した値として、PBTについては0.7〜1.5、PETについては0.5〜1.5であることが好ましい。2種類以上の固有粘度のポリエステル樹脂を併用して、固有粘度の調整を行ってもよいが、固有粘度が、小さすぎると機械的性質が発揮されなく、逆に大きすぎても成形加工が困難になる。
【0026】
なお、本発明の趣旨を阻害しない範囲内で、(A)ポリエステル樹脂に他の樹脂を併用してもよい。例えば成形品外観、寸法精度をさらに向上させるためには、スチレン重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリカーボネート重合体などの非晶性樹脂を、(A)ポリエステル樹脂100重量部に対して80重量部以下配合することが好ましい。中でも耐熱性の高いポリカーボネート樹脂が好ましい。また靱性向上のために、熱可塑性エラストマー又はコアシェルポリマー等の衝撃性改良剤を添加しても良い。
【0027】
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、オレフィン系、スチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系及びウレタン系等のものが挙げられる。中でもポリエステル樹脂との相溶性の点から、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが好適である。コアシェルポリマーとしては、例えば、珪素系、ジエン系エラストマー単独またはこの中から選ばれる2種以上のエラストマー成分系を共重合/グラフト共重合させたものを用いることができる。ポリエステル樹脂に添加される他の樹脂は、ポリエステル樹脂との相溶性を高めるため、カルボニール基、アルコキシル基、エステル基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等の官能基で変性されていても良い。
【0028】
本発明に用いるPBTとは、テレフタル酸単位と1,4−ブタンジオール単位とがエステル結合した構造を有した樹脂である。テレフタル酸を唯一のジカルボン酸単位とし、テトラメチレングリコールを唯一のジオール単位とするポリブチレンテレフタレート単独重合体でも良いし、もちろん、ジカルボン酸単位として、前記のテレフタル酸以外のジカルボン酸1種以上および/またはジオール単位として、前記のテトラメチレングリコール以外のジオール1種以上を含むポリブチレンテレフタレート共重合体であってもよい。
【0029】
但しテレフタル酸単位または1,4−ブタンジオール単位の割合が、全ジカルボン酸単位中や全ジオール単位中において低すぎると、PBTの結晶化速度が低下し、得られるPBTの成形性が低下する場合がある。よって全ジカルボン酸単位中のテレフタル酸単位の割合は、通常70モル%以上、中でも80モル%以上、更には95モル%以上、特に98%以上であることが好ましく、また全ジオール単位中の1,4ブタンジオール単位の割合は、通常70モル%以上、中でも80モル%以上、更には95モル%以上、特に98%以上であることが好ましい。
【0030】
本発明に用いるPBTは、上記のように、テレフタル酸単位および1,4−ブタンジオール単位がエステル結合した構造を有した樹脂で適当な結晶化速度を有していればよいが、さらにPBTは、(a)チタン化合物と、(b)1族金属化合物及び/または2族金属化合物とを含有し、(a)チタン化合物の含有量が、チタン原子換算で10ppm以上80ppm以下であり、(b)1族金属化合物及び/または2族金属化合物の含有量が、その金属原子換算で1ppm以上50ppm以下であることが望ましい。
【0031】
本発明に好ましく用いられる上記PBTは、1,4−ブタンジオールとテレフタル酸(又はテレフタル酸ジアルキル)とのエステル化反応(又はエステル交換反応)で得られたオリゴマーを重縮合したものであり、中でも、この重縮合の際に用いる触媒(重縮合触媒)として、(a)チタン化合物と、(b)1族金属化合物及び/又は2族金属化合物を用いることによって、PBT中における(a)、(b)の金属化合物の分散を良好なものとすることができるので、少量の含有で本発明の効果が期待でき好ましい。
【0032】
これらの重縮合触媒の使用時期は任意であり、具体的には使用方法として例えば以下の(1)〜(4)等の方法が挙げられる。尚、以下、(a)チタン化合物をチタン触媒、また(b)1族金属化合物及び2族金属化合物を、各々、1族金属触媒、2族金属触媒と言うことがある。
(1)エステル化反応(またはエステル交換反応)に(a)、(b)、両方を使用し、重縮合反応に持ち込む方法。
(2)エステル化反応(またはエステル交換反応)に(a)、(b)、両方を一部使用し、重縮合反応開始時又は反応中に追加する方法。
(3)エステル化反応(またはエステル交換反応)では(a)、(b)、どちらか一方の触媒を使用し、他方を重縮合反応開始時又は反応中に追加する方法。
(4)エステル化反応(またはエステル交換反応)では(a)、(b)、いずれも使用せず、重縮合反応開始時に両方を追加する方法。
【0033】
本発明に用いる(a)チタン化合物としては特に制限はなく、具体的には例えば、酸化チタン、四塩化チタン等の無機チタン化合物類;テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート類;テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート類;等が挙げられる。中でもチタンアルコラート類が好ましく、更にはテトラアルキルチタネート類が好ましく、特にテトラブチルチタネートが好ましい。
【0034】
本発明に用いる(b)1族金属化合物及び/又は2族金属化合物としては特に制限はなく、具体的には例えば、1族金属化合物としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの、水酸化物類;酸化物類;アルコラート類;酢酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の各種有機酸塩類;等の各種化合物が挙げられ、また2族金属化合物としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの、水酸化物類;酸化物類;アルコラート類;酢酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の各種有機酸塩類;等の各種化合物が挙げられる。これらは単独で使用しても、また併用してもよい。
【0035】
中でも、取り扱いや入手の容易さ、触媒効果の点から、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の化合物が好ましく、更には触媒効果と色調に優れる、リチウム又はマグネシウムの化合物が好ましく、特にマグネシウム化合物が好ましい。マグネシウム化合物としては、具体的には例えば酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキサイド、燐酸水素マグネシウム等が挙げられる。中でも有機酸塩類が好ましく、特に酢酸マグネシウムが好ましい。
【0036】
本発明に用いるPBTにおける、(a)チタン化合物の含有量は、チタン原子換算で10ppm以上80ppm以下であることが好ましい。このチタン化合物の含有量が多過ぎると、PBTの色調や耐加水分解性の低下、またチタン触媒の失活による溶液ヘイズや異物増加が生ずる場合がある。逆に少な過ぎてもPBTの重合性が低下する。よって(a)チタン化合物の含有量は、70ppm以下、中でも60ppm以下、更には50ppm以下、特に40ppm以下であることが好ましく、その下限は15ppm以上、中でも20ppm以上、特に30ppm以上であることが好ましい。
【0037】
本発明に用いるPBTにおける、(b)1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の含有量は、各々の金属原子換算で、1ppm以上50ppm以下であることが好ましい。この1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の含有量が多過ぎると、本発明の樹脂組成物の成形性や、得られる樹脂成形品の耐加水分解性が低下する場合がある。逆に少な過ぎても、PBTとガラス繊維の密着性や耐ヒートショック性が低下する場合がある。よって(b)1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の含有量は、40ppm以下、中でも30ppm以下、更には20ppm以下、特に15ppm以下であることが好ましく、その下限は3ppm以上、中でも5ppm以上、特に10ppm以上であることが好ましい。チタン原子などの金属含有量は、湿式灰化などの方法でポリマー中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、Inductively Coupled Plasma(ICP)等の方法を使用して測定することが出来る。
【0038】
本発明に用いるPBTの重縮合触媒としては、上述したようなチタン化合物や(b)1族金属化合物及び/又は2族金属化合物が挙げられるが、その他の重縮合触媒としては、例えばスズやその化合物が挙げられる。スズは通常、スズ化合物として使用され、具体的には例えば、ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、シクロヘキサヘキシルジスズオキサイド、ジドデシルスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、トリフェニルスズハイドロオキサイド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイド、ブチルヒドロキシスズオキサイド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸、ブチルスタンノン酸等が挙げられる。
【0039】
但し一般的に、スズやスズ化合物はPBTの色調を悪化させるため、本発明に用いるPBT中におけるスズ化合物の含有量は低い方が好ましく、含有しないことが好ましい。具体的には、通常、スズ化合物の含有量が、スズ原子換算で200ppm以下、中でも100ppm以下、更には10ppm以下であることが好ましい。
【0040】
また本発明に用いるPBTの製造においては、先述のチタン触媒や、1族金属触媒、2族金属触媒の他に、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物;二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物;マンガン化合物;亜鉛化合物;ジルコニウム化合物;コバルト化合物;正燐酸、亜燐酸、次亜燐酸、ポリ燐酸等やこれらのエステルや金属塩などの燐化合物;等の反応助剤を用いてもよい。
【0041】
本発明に用いるPBTの末端カルボキシル基濃度は任意だが、一般的には低い方が好ましい。具体的には30μeq/g以下であることが好ましく、更には5〜25μeq/g、特に5〜20μeq/gであることが好ましい。30μeq/gを超えると耐加水分解性、滞留熱安定性が低下する場合があり、低すぎても機械的強度の改善効果及び耐ヒートショック性が低下する場合がある。
【0042】
次に、本発明に用いるPBTの製造方法について説明する。本発明に用いるPBTの製造方法は任意であり、一般的には使用する原料によって、ジカルボン酸を主原料とする方法(直接重合法)と、ジカルボン酸ジアルキルエステルを主原料とする方法(エステル交換法)とがある。前者は初期のエステル化反応で主に水が生成し、後者は初期のエステル交換反応で主にアルコールが生成するという違いがある。
【0043】
また、本発明に用いるPBTの製造方法は、一般的に、原料供給または生成ポリマーであるポリブチレンテレフタレート樹脂の抜き出し形態(反応槽等から生成(溶融)ポリマーを抜き出す方法)により、回分法と連続法に大別される。初期のエステル化反応またはエステル交換反応を連続操作で行い、続いて重縮合を回分操作で行う方法や、初期のエステル化反応またはエステル交換反応を回分操作で行い、続いて重縮合を連続操作で行う方法等が知られている。
【0044】
本発明に用いるPBTの製造方法としては、原料原単位の優位性、副生成物の処理の容易さ等から、直接重合法を用いることが好ましく、また得られるPBTの品質安定性や、製造に係るエネルギー効率の面から、エステル化反応および重縮合反応を連続的に行う、いわゆる連続法を用いることが好ましい。
【0045】
本発明に用いるPBTの製造に際して用いる、先述の1族金属触媒及び/又は2族金属触媒は、エステル化反応槽またはエステル交換反応槽に供給することが出来るが、その供給位置に特に制限はなく、これら反応槽の反応液気相部から反応液上面へ供給してもよいし、反応液液相部に直接供給してもよい。また、この場合、原料であるテレフタル酸や、チタン触媒と共に供給してもよいし、独立して供給してもよい。中でも、触媒の安定性の観点からはテレフタル酸やチタン触媒とは独立して、且つ、反応液気相部から反応液上面に供給することが好ましい。
【0046】
2族金属触媒の供給方法としては、例えば2族触媒が常温で固体の場合には、固体のまま反応液へ供給することも出来るが、供給量を安定化させ、熱による変性などの悪影響を軽減するためには、水、1,4−ブタンジオール等の溶媒に溶解し、溶液として供給することが好ましい。この溶液中の2属金属触媒の濃度は、通常0.01重量%以上、中でも0.05重量%以上、特に0.08重量%以上であることが好ましく、その上限は20重量%以下、中でも10重量%以下、特に8重量%以下であることが好ましい。
【0047】
また1族金属触媒及び/又は2族金属触媒は、エステル化反応槽またはエステル交換反応槽に続く重縮合反応槽や、それに付帯したオリゴマー配管に添加してもよい。この場合の添加方法も、供給量を安定化させ、熱による変性などの悪影響を軽減するために、水、1,4−ブタンジオール等の溶媒や、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の共重合成分に溶解し、溶液として供給することが好ましく、この際の濃度は、上述の溶液濃度と同様である。
【0048】
本発明に用いるPBTの製造方法の具体例として、例えば直接重合法を用いる連続エステル化法の場合には、以下の様な方法により行えばよい。原料であるテレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールを主成分とするジオール成分とを、原料混合槽で混合してスラリーとし、単数または複数のエステル化反応槽内で、好ましくはチタン触媒と1族金属触媒及び/又は2族金属触媒との存在下に、通常、温度条件として180〜260℃、好ましくは200〜245℃、更に好ましくは210〜235℃の条件下、圧力(絶対圧力を示す。以下、同様である。)条件として、通常、10〜133kPa、好ましくは13〜101kPa、更に好ましくは60〜90kPaの圧力下で、通常0.5〜10時間、好ましくは1〜6時間、連続的にエステル化反応させる。
【0049】
エステル化反応槽またはエステル交換反応槽としては、従来公知の任意のものを使用できる。具体的には例えば、縦型攪拌完全混合槽、縦型熱対流式混合槽、塔型連続反応槽等が挙げられる。これらは単数槽としても、また、同種又は異種の反応槽を直列または並列させた複数反応槽として用いてもよい。中でも攪拌装置を有する反応槽を用いることが好ましく、攪拌装置としては、動力部、軸受、軸、攪拌翼等を含む通常の攪拌装置の他、タービンステーター型高速回転式攪拌機や、ディスクミル型攪拌機、ローターミル型攪拌機等の高速回転が可能なものを用いてもよい。
【0050】
次に、得られたエステル化反応生成物(またはエステル交換反応生成物)としてのオリゴマーを重縮合反応槽に移送する。このオリゴマーのエステル化率は任意だが、通常90%以上、好ましくは95%以上であり、また数平均分子量は通常300〜3000、好ましくは500〜1500である。
【0051】
重縮合反応槽の形態は任意であり、例えば縦型攪拌完全混合槽、縦型熱対流式混合槽、塔型連続反応槽などが挙げられ、またこれらを組み合わせて用いてもよい。中でも、少なくとも1つの重縮合反応槽においては攪拌装置を有することが好ましく、攪拌装置としては上述したエステル化反応層と同様である。
【0052】
攪拌の形態は、特に制限されず、反応槽中の反応液を反応槽の上部、下部、横部等から直接攪拌する通常の攪拌方法の他、配管などで反応液の一部を反応器の外部に持ち出してラインミキサー等で攪拌し、反応液を循環させる方法も用いてもよく、更には水平方向に回転軸を有する表面更新とセルフクリーニング性に優れた横型の反応器を用いてもよい。
【0053】
重縮合反応は、チタン触媒と、1族金属触媒及び/又は2族金属触媒との存在下に行う。反応温度は、通常210〜280℃、中でも220〜250℃、特に230〜245℃の範囲で行うことが好ましい。例えば複数の反応槽を用いる場合には、そのうちの少なくとも一つの反応槽の温度を230〜240℃とすることが好ましい。また反応は攪拌条件下にて行うことが好ましい。重縮合反応時間は、通常1〜12時間、好ましくは3〜10時間である。また反応雰囲気の圧力条件は、通常27kPa以下、中でも20kPa以下、特に13kPa以下の減圧状態で行うことが好ましい。例えば複数の反応槽を用いる場合には、生成物の着色や劣化を抑えるため、そのうちの少なくとも一つの反応槽内の圧力を、通常1.3kPa以下、中でも0.5kPa以下、特に0.3kPa以下の高真空下とすることが好ましい。
【0054】
重縮合反応により得られたポリマーは、通常、重縮合反応槽の底部からポリマー抜き出しダイに移送されてストランド状に抜き出され、水冷されながら又は水冷後、カッターで切断され、ペレット状、チップ状などの粒状体とされる。更に、PBTの重縮合反応工程は、一旦、溶融重縮合で比較的分子量の小さい、例えば、固有粘度0.1〜0.9程度のPBTを製造した後、引き続き、PBTの融点以下の温度で固相重縮合(固相重合)させてもよい。
【0055】
(B)少なくともアミノシランとノボラック型エポキシ樹脂とを含む表面処理剤で処理された繊維状充填剤
本発明に用いる(B)繊維状充填剤(以下、単に「繊維」と言うことがある。)は、アミノシラン(以下、「アミノ系シランカップリング剤」ということがある。)とノボラック型エポキシ樹脂(以下、単に「エポキシ樹脂」ということがある。)を含む表面処理剤にて処理されたものであり、その表面には該処理剤(以下、「集束剤」ということがある。)が付着している。
【0056】
付着させる方法としては、例えば、特開2001−172055号公報、特開昭53−106749号公報等に記載の様に、(A)ポリエステル樹脂等との混練前に処理しても、または混練時に他の成分との混練により表面処理してもよい。この様に表面処理することで、少なくとも繊維表面の一部に集束剤が付着し、本発明のポリエステル樹脂組成物の機械的性質と耐加水分解性を向上することが出来る。これは、アミノシランの無機官能基とガラス繊維表面、アミノシランの有機官能基とエポキシ樹脂のグリシジル基、そしてエポキシ樹脂のグリシジル基とポリエステル樹脂という、各々反応性に富むものを組み合わせることで、ポリエステル樹脂組成物中の各構成要件間、とりわけ繊維とエポキシ樹脂との界面接着力を向上させることが出来るためと考える。
【0057】
尚、本発明において上述の集束剤が繊維状充填剤表面に付着しているか否かは、例えば本発明の繊維強化難燃ポリエステル樹脂組成物の破断面をTEM観察することで判かる。即ち、破断面近傍においてガラス繊維等の繊維表面から樹脂が剥離せずに残っている(つまり繊維表面の平滑性が低い)部分には、集束剤が繊維状充填剤に付着していることがわかる。
【0058】
本発明に用いる集束剤中におけるエポキシ樹脂としては、ノボラック型エポキシ樹脂を含む。このノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の、多官能型エポキシ樹脂が好ましい。本発明に用いる集束剤中のノボラック型エポキシ樹脂の含有量は、1〜20重量%が好ましく、中でも2〜10重量%であることが好ましい。
【0059】
また本発明に用いる集束剤中におけるアミノ系シランカップリング剤としては、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい例として挙げられる。本発明に用いる集束剤中のアミノ系シランカップリング剤の含有量は、0.1〜8重量%が好ましく、中でも0.5〜5重量%であることが好ましい。
【0060】
本発明に用いる集束剤には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、帯電防止剤、潤滑剤および撥水剤などの各成分を含めることができる。さらに、ノボラックタイプ以外のエポキシ樹脂、エポキシシランカップリング剤、および/または、チタネート系カップリング剤を含んでもよい。繊維に対する集束剤の付着量は、0.05〜2重量%が好ましい。0.05重量%以上とすることにより、機械的強度がより効果的に改善され、2重量%以下とすることにより、必要十分な効果が得られ経済的である。
【0061】
また、本発明に用いる繊維は、従来公知の任意のものを使用できる。繊維としては例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリ繊維、金属繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、PPS繊維等が挙げられる。中でも樹脂の補強効果が高く、かつ生産性に優れる等の理由からガラス繊維が好ましい。ガラス繊維としては、例えば、長繊維タイプ(ロービング)や短繊維タイプ(チョップドストランド)などから選択して用いることができる。繊維径は、6〜16μmが好ましく、6〜13μmがより好ましく、6〜11μmがさらに好ましい。このような繊維径のものを採用することにより、機械的性質をより効果的に改善することができる。
【0062】
繊維の長手方向に対する略垂直な断面形状としては、略真円のもの以外に異形断面のものを用いることができる。異形断面とは、該繊維断面が例えば長円形、楕円形、まゆ形等の細長い扁平な形状や、三角形、V字形、星形等のいわゆる略真円形状ではない、扁平比の高い繊維断面を示す。ここで扁平比とは、該繊維断面形状における長手方向の最大長さを、それに直角方向の最大長さ(幅)で割った値を示す。面形状が湾曲している場合の長手方向の最大長さは、その湾曲に沿って計った長さ(即ち湾曲を直線に矯正した長さ)を示す。扁平比は2.3〜30が好ましく、2.4〜20がより好ましく、2.5〜12がさらに好ましい。このような異形断面の繊維を採用することにより、機械的性質をより効果的に改善することができる。
【0063】
また、ガラス繊維の平均繊維長は、0.1〜20mmが好ましく、1〜10mmがより好ましい。平均繊維長を0.1mm以上とすることにより、ガラス繊維による補強効果がより効果的に発現され、平均繊維長を20mm以下とすることにより、ポリブチレンテレフタレート樹脂との溶融混練やガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の成形がより容易になる。本発明で採用するガラス繊維の配合量は、(A)ポリエステル樹脂100重量部に対し、30〜150重量部であり、35〜120重量部がより好ましい。
【0064】
本発明に用いるガラス繊維は、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、S−2ガラス等の各種のガラス繊維が好ましい例として挙げられ、アルカリ分が少なく、電気的特性が良好なEガラスのガラス繊維がより好ましい。
【0065】
(C)エポキシ化合物
本発明に用いる(C)エポキシ化合物は、従来公知の任意のものを使用でき、単官能性、二官能性または多官能性の何れも用いることが出来る。本発明においてはこれらを2種類以上併用してもよい。中でも二官能性以上のエポキシ化合物、即ち1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましい。(C)エポキシ化合物の分子量は100〜10000のものが好ましい。また(C)エポキシ化合物は、アルコール、フェノール系化合物またはカルボン酸とエピクロロヒドリンとの反応から得られるグリシジル化合物や脂環式エポキシ化合物等が好ましい。
【0066】
(C)エポキシ化合物の具体例は、グリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、脂肪酸グリシジルエステル、ジグリシジルエステル、脂環式ジエポキシ化合物、および、グリシジルイミド化合物等が好ましい例として挙げられる。グリシジルエーテルは、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテルおよびアリルグリシジルエーテル等が好ましい。ジグリシジルエーテルは、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテルおよびビスフェノールAジグリシジルエーテル等が好ましい。
脂肪酸グリシジルエステルは、安息香酸グリシジルエステルおよびソルビン酸グリシジルエステル等が好ましい。ジグリシジルエステルは、アジピン酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステルおよびオルトフタル酸ジグリシジルエステル等が好ましい。脂環式ジエポキシ化合物は、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等が好ましい。グリシジルイミド化合物は、N−グリシジルフタルイミド等が好ましい。これらの中でもビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応から得られるグリシジルエーテル化合物、特にビスフェノールAジグリシジルエーテルが好ましく、中でもエポキシ当量が100〜200g/eqのビスフェノールAグリシジルエーテルが好ましい。
【0067】
(C)エポキシ化合物の含有量は、(A)ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.1〜3重量部であり、好ましくは0.15〜2重量部である。0.1重量部より少ないと、機械的性質のさらなる改善効果が認められず、3重量部より多いと、成形時などの流動性が悪化しやすく、また溶融時に加水分解が促進され、強度の低下が始まるため好ましくない。
【0068】
本発明の車両・機体用内外装部品とは、車両や機体の室内または室外に取り付けられている部品で、例えば剛性を示す曲げ弾性率として6000MPa以上の物性値が要求され、機械的強度、および成形品外観特性、耐加水分解性が同時に要求される部品が挙げられる。具体的には、例えば室外部品ではワイパーアーム、ドアハンドル、ドアミラーステイ、ルーフレール等が挙げられ、また室内部品としてはインナーミラーステイ、ドアハンドルなどが挙げられる。中でも、ワイパーアームは特に高い機械的強度が必要であり、本発明の効果が顕著となる。
【0069】
本発明の車両・機体用内外装部品を構成する繊維強化ポリエステル樹脂組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、離型剤を配合してもよい。離型剤は、炭素数12〜36の脂肪酸残基と炭素数1〜36のアルコール残基から成る脂肪酸エステル、パラフィンワックスおよびポリエチレンワックスが好ましい。離型剤の配合量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、0.01〜2重量部が好ましい。
【0070】
本発明の車両・機体用内外装部品を構成する繊維強化ポリエステル樹脂組成物は、上記の他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、周知の種々の添加剤、熱安定剤、結晶化促進剤、無機充填剤(タルク、ワラストナイトなど)、耐衝撃性改良剤、難燃剤、紫外線吸収剤、耐候性付与剤、染料、着色剤(滑剤および顔料等)、発泡剤、各種樹脂を含有していてもよい。
樹脂としては例えば、各種ナイロンおよび各種ナイロンエラストマー、液晶ポリマー、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、メタクリルスチレン樹脂(MS)等のスチレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアセタールおよびポリフェニレンオキサイド等の熱可塑性樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体等のオレフィン系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;イソブチレンーイソプレンゴム、スチレンーブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴムースチレン、エチレンープロピレンゴム、アクリル系エラストマー等のエラストマー;アイオノマー樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含有しても良い。
【0071】
本発明の車両・機体用内外装部品を構成するポリエステル樹脂組成物の製造方法は、従来公知の任意の方法により製造することができる。具体的には、上述した(A)〜(C)の各成分を混練すればよく、該混練方法としては、各成分を、必要に応じて付加的成分と共に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により均一に混合した後、一軸または多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー、ラボプラストミル(ブラベンダー)等で混練すればよい。
【0072】
中でも溶融混練により製造することが好ましく、通常230〜290℃にて行えばよい。更に混練り時の分解を抑制する為、前記の熱安定剤を用いることが好ましい。各成分は、付加的成分を含め、混練機に一括でフィードしても順次フィードしてもよい。また、付加的成分を含め各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合したものを用いてもよい。ガラス繊維などの繊維状強化充填材は、押出機の途中から樹脂が溶融した後に添加することにより、破砕を避け、高い特性を発揮させることが出来る。
【0073】
本発明に用いる、ポリエステル樹脂組成物は、既知の種々の成形方法、例えば、射出成形、中空成形、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形、回転成形等により、本発明の車両・機体用内外装部品として成形することが可能である。特に好ましい成形方法は、流動性の良さから、射出成形である。射出成形に当たっては、樹脂温度を樹脂の融点から15〜50℃高めの範囲で、具体的には240〜290℃、金型温度60〜120℃にコントロールするのが好ましい。特にポリエステル樹脂がPETの場合は、充分結晶化させ寸法を安定させるため金型温度は90〜120℃の範囲に設定するのが好ましい。
【実施例】
【0074】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0075】
(A)PBTの製造方法(A−1〜A−2)
(A−1)
図1に示すエステル化工程と、図2に示す重縮合工程を用い、以下の方法によりPBTを製造した。先ず、テレフタル酸1.00モルに対して、1,4−ブタンジオール1.80モルの割合で混合した60℃のスラリーを、スラリー調製槽から原料供給ライン1を通じ、予め、エステル化率99%のPBTオリゴマーを充填したスクリュー型攪拌機を有するエステル化のための反応槽Aに、41kg/hとなる様に連続的に供給した。同時に、再循環ライン2から185℃の精留塔Cの塔底成分(98重量%以上が1,4−ブタンジオール)を20kg/hで供給し、チタン触媒供給ライン3から触媒として65℃のテトラブチルチタネートの6.0重量%1,4−ブタンジオール溶液を149g/hで供給した(理論ポリマー収量に対し45ppm)。この触媒溶液中の水分は0.2重量%であった。2族金属触媒供給ライン15から触媒として65℃の酢酸マグネシウム・4水塩の6.0重量%1,4−ブタンジオール溶液を103g/hで供給した(理論ポリマー収量に対し25ppm)。この触媒溶液中の水分は10.0重量%であった。
【0076】
反応槽Aの内温は230℃、圧力は78kPaとし、生成する水とテトラヒドロフラン及び余剰の1,4−ブタンジオールを、留出ライン5から留出させ、精留塔Cで高沸成分と低沸成分とに分離した。系が安定した後の塔底の高沸成分は、98重量%以上が1,4−ブタンジオールであり、精留塔Cの液面が一定になる様に、抜出ライン8を通じてその一部を外部に抜き出した。一方、低沸成分は塔頂よりガスの形態で抜き出し、コンデンサGで凝縮させ、タンクFの液面が一定になる様に、抜出ライン13より外部に抜き出した。
【0077】
反応槽Aで生成したオリゴマーの一定量は、ポンプBを使用し、抜出ライン4から抜き出し、反応槽A内液の平均滞留時間が2.5hrになる様に液面を制御した。抜出ライン4から抜き出したオリゴマーは、図2に示す第1重縮合反応槽aに連続的に供給した。系が安定した後、反応槽Aの出口で採取したオリゴマーのエステル化率は96.5%であった。
【0078】
第1重縮合反応槽aの内温は240℃、圧力2.1kPaとし、滞留時間が120分になる様に液面制御を行った。減圧機(図示せず)に接続されたベントラインL2から、水、テトラヒドロフラン、1,4−ブタンジオールを抜き出しながら、初期重縮合反応を行った。抜き出した反応液は第2重縮合反応槽dに連続的に供給した。
【0079】
第2重縮合反応槽dの内温は240℃、圧力130Paとし、滞留時間が75分になる様に液面制御を行い、減圧機(図示せず)に接続されたベントラインL4から、水、テトラヒドロフラン、1,4−ブタンジオールを抜き出しながら、更に重縮合反応を進めた。得られたポリマーは、抜出用ギヤポンプeにより抜出ラインL3を経由し、ダイスヘッドgからストランド状に連続的に抜き出し、回転式カッターhでカッティングした。得られたPBTの固有粘度は0.85dL/g、末端カルボキシル基濃度は14,2μeq/gであった。チタン原子の含有量は45ppm、マグネシウム原子の含有量は25ppmであった。
【0080】
(A−2)
(A−1)において、酢酸マグネシウム・4水塩を用いず、第2重縮合反応槽dの滞留時間を105分にした以外は、(A−1)と同様に行った。得られたPBTの固有粘度は0.85dL/g、末端カルボキシル基濃度は20.4μeq/gであった。チタン原子の含有量は45ppm、マグネシウム原子の含有量は0ppmであった。
PBT特性の評価法
【0081】
(1)エステル化率:
下記の計算式によって酸価およびケン化価から算出した。酸価は、ジメチルホルムアミドにオリゴマーを溶解させ、0.1NのKOH/メタノール溶液を使用して滴定により求めた。ケン化価は0.5NのKOH/エタノール溶液でオリゴマーを加水分解し、0.5Nの塩酸で滴定し求めた。
エステル化率=(ケン化価−酸価)/ケン化価)×100
【0082】
(2)末端カルボキシル基濃度:
ベンジルアルコール25mlにPBT樹脂又はオリゴマー0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/Lベンジルアルコール溶液を使用して滴定した。
【0083】
(3)固有粘度(IV):
ウベローデ型粘度計を使用し次の要領で求めた。すなわち、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃において、濃度1.0g/dlのポリマー溶液および溶媒のみの落下秒数を測定し、下記の式より求めた。
【0084】
IV=((1+4KHηsp0.5−1)/(2KHC) (2)
(但し、ηsp=η/η0−1であり、ηはポリマー溶液落下秒数、η0は溶媒の落下秒数、Cはポリマー溶液濃度(g/dL)、KHはハギンズの定数であり、0.33とした。)
【0085】
(4)PBT中のチタン、及び1族、2族金属濃度:
電子工業用高純度硫酸及び硝酸でPBTを湿式分解し、高分解能ICP−MS(Inductively Coupled Plasma−Mass Spectrometer)(サーモクエスト社製)を使用して測定した。
【0086】
(B)アミノシランとノボラック型エポキシ樹脂とを配合してなる表面処理剤で処理されたガラス繊維の製造方法(B−1〜B−2)
アミノ系シランカップリング剤とノボラック型エポキシ樹脂を含む集束剤が付着したガラス繊維は、特開2001−172055号公報に記載の方法に従って作製した。
具体的には、フェノールノボラックタイプエポキシ樹脂4重量%、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1重量%、ウレタン系エマルジョン2重量%および脱イオン水93重量%からなる集束剤を作製し、その後、ガラス繊維ストランドに塗布した。このストランドを3mmに切断した。得られたガラス繊維チョップドストランドに対する集束剤の付着量は0.7重量%であった。このようにして得られたガラス繊維は後述の(B−1)であり、フェノールノボラックタイプエポキシ樹脂の代わりにビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂を使用したものが(B−2)である。
【0087】
<実施例、比較例に使用した原材料>
(A)ポリエステル樹脂
(A−1)ポリブチレンテレフタレート:上記製造例(A−1)固有粘度0.85、チタン含有量45ppm、マグネシウム含有量25ppm
(A−2)ポリブチレンテレフタレート:上記製造例(A−2)固有粘度0.85、チタン含有量45ppm、マグネシウム含有量0ppm
(A−3)ポリエチレンテレフタレート:三菱化学社製、GS385、固有粘度0.65。
【0088】
(B)ガラス繊維
(B−1)アミノシランとノボラック型エポキシ樹脂とを配合してなる表面処理剤で処理されたガラス繊維(繊維径13μm);上記製造例(B−1)
(B−2)アミノシランとビスフェノールタイプエポキシ樹脂とを配合してなる表面処理剤で処理されたガラス繊維(繊維径13μm);上記製造例(B−2)
【0089】
(C)エポキシ化合物などの多官能化合物
(C−1)ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、エポキシ当量185g/eq(旭電化社製、アデカサイザー EP−17)
(C−2)トリレンジイソシアネート (和光純薬工業製)
(C−3)ピロメリット酸無水物 (和光純薬工業製)
【0090】
<ガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物の製造法および評価>
上記のポリエステル樹脂、ガラス繊維、およびエポキシ化合物などの多官能化合物を実施例6および比較例5においては比重が1.54になるように、それ以外の実施例および比較例においては比重が1.73になるように、表−1に示す比率で配合し、2軸押出機にて常法に従って混練し、ペレット化した。この樹脂組成物について、住友重機械社製・射出成型機(型式SG−75MIII)を使用して、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で、機械的物性測定用試験片を成形し、機械的特性および耐加水分解性の性能評価を行った。また、表面外観特性および最短成形時間の評価を下記に示す方法に従って行った。
【0091】
性能評価法
(1)引張強度および引張伸度
ISO527に準拠して測定した。強度および伸度の単位は、それぞれMPa、%とした。
(2)曲げ強度および曲げ弾性率
ISO178に準拠して測定した。強度および弾性率の単位は、いずれもMPaとした。
(3)シャルピー衝撃強度
ISO179に準拠して測定した。ノッチ付き強度で、単位は、KJ/m2とした。
【0092】
(4)耐加水分解性試験
ISO引張試験片を121℃、飽和水蒸気中、203kPaで100時間湿熱処理し、処理前後の引張強度を測定し、次式に従い強度保持率を求めた。数値が高い方が耐加水分解性が良好であることを示す。
強度保持率(%)=(処理後の引張強度/処理前の引張強度)×100
【0093】
(5)成形品の強度
射出成形機(住友重機社製、SH100)を用いてシリンダー温度265℃、金型温度130℃にて、図3に示す部品1を成形し、アルミニウム製の部品2に勘合させて強度測定を行った。部品1は、長さ(L)が100〜500mm、高さ(H)が20〜50mm、幅(W)が20〜50mm、肉厚が1.5〜5mmであり、部品2と勘合する直径8〜12mmの回動軸(A)を有する。強度測定は、図4に示すように、成形品2の端部を固定した後、成形品1を勘合し、成形品1の端部を回動軸及び回動面に垂直な方向に荷重を加え、勘合部の破壊荷重を測定した。
【0094】
(6)成形品外観
射出成形機(住友重機社製、SH100)を用いてシリンダー温度265℃、金型温度130℃で、縦100mm、横100mm、3mmの四角形の平板をフィルムゲート金型で成形し、平板試験片表面のガラス繊維の浮きあがり状態を以下の1〜5の様に目視観測により分類した。
5:ガラス繊維の浮き上がりがほとんど認められないもの。
4:ごく僅かに浮き上がりがあるが、一般的な成形品の許容外観範囲内であるもの。
3:ガラス繊維の浮き上がりが一部に認められるもの。
2:かなり広い範囲にわたってガラス繊維の浮きが認められるもの。
1:全体に認められまったく許容範囲外であるもの。
上述の5および4のレベルが、許容範囲内とし外観が良好な成形体であった。
【0095】
(7)成形時の最短冷却時間
成形時の最短冷却時間は、図5に示す形状の成形品3を住友重機械社製・射出成型機(型式SG−75MIII)で、樹脂温度265℃、金型温度130℃で成形した場合に、イジェクタピンの突き出し跡が残らない最短冷却時間を示す。この時間はハイサイクル成形性の指標であり、数値が小さいほど生産性が良好であることを示す。成形品3は、外径(D1)が70mm、高さ(H1)が30mmの円筒コップ形状の中心部に、外径(D2)が16mm、高さ(H2)が15mmの円筒状突起を有する成形品である。成形品の肉厚は2〜2.5mmであり、イジェクタピンはコップ形状の内側底面を対称に6点突き出す構造となっている。イジェクタピン突き出し後の評価は、コップ形状外側底面に凸部状の突き出し後が出るかどうかを目視にて判断した。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
【表3】

【0099】
表−1により次のことが判かる。各種ポリエステル樹脂に対してノボラック型エポキシ樹脂を含有するガラス繊維(B−1)とエポキシ化合物(C−1)を配合した実施例1〜6は、B−1のガラス繊維単独を配合した場合や本発明以外のガラス繊維(B−2)や他の多官能化合物(C−2、C−3)を配合した比較例1〜10より、類似組成で比較すると機械的強度及び耐加水分解性が優れ、成形品外観特性やハイサイクル成形性も同等か改善されている。
実施例1〜5においては、機械的強度、耐加水分解性、外観特性、成形サイクル特性のバランスにおいて、PBTとPETの両者を配合した系が優れている。また実施例1〜4においては、PBT中のマグネシウム化合物含有量において、マグネシウム化合物含有物(A−1)を使用した方が、機械的強度、耐加水分解性、外観特性において優れていることが判る。
以上より、本発明において示されたポリエステル樹脂組成物を成形することにより機械的強度、外観特性、耐加水分解性が優れた車両用内外装構造部品を高い生産性で得ることが可能であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】(A)PBT製造における、エステル化(又はエステル交換)反応工程の一例の説明図
【図2】(A)PBT製造における、重縮合工程の一例の説明図
【図3】ワイパー部品における勘合を想定して作製した強度測定用成形品の説明図
【図4】ワイパー部品における勘合を想定して作製した成形品を用いた強度測定方法の説明図
【図5】成形時のハイサイクル性を評価するために作製した成形品の説明図
【符号の説明】
【0101】
1 :原料供給ライン
2 :再循環ライン
3 :チタン触媒供給ライン
4 :抜出ライン
5 :留出ライン
6 :抜出ライン
7 :循環ライン
8 :抜出ライン
9 :ガス抜出ライン
10 :凝縮液ライン
11 :抜出ライン
12 :循環ライン
13 :抜出ライン
14 :ベントライン
15 :2A族金属触媒供給ライン
A :反応槽
B :抜出ポンプ
C :精留塔
D :ポンプ
E :ポンプ
F :タンク
G :コンデンサ
L1 :抜出ライン
L2 :ベントライン
L3 :抜出ライン
L4 :ベントライン
a :第1重縮合反応槽
c :抜出用ギヤポンプ
d :第2重縮合反応槽
e :抜出用ギヤポンプ
g :ダイスヘッド
h :回転式カッター


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリエステル樹脂100重量部に対し、(B)少なくともアミノシランとノボラック型エポキシ樹脂とを含む表面処理剤で処理された繊維状充填剤30〜150重量部、及び(C)エポキシ化合物0.1〜3重量部、を含む繊維強化ポリエステル樹脂組成物を成形してなる、車両・機体用内外装部品。
【請求項2】
前記(C)エポキシ化合物が多官能エポキシ化合物である、請求項1に記載の車両・機体用内外装部品。
【請求項3】
前記(C)エポキシ化合物が、エポキシ当量100〜200g/eqのビスフェノールAグリシジルエーテルである請求項1または2に記載の車両・機体用内外装部品。
【請求項4】
前記(A)ポリエステル樹脂が炭素数2〜4のジオール成分を含むポリアルキレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両・機体用内外装部品。
【請求項5】
(A)ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレート50〜95重量部とポリエチレンテレフタレート50〜5重量部からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両・機体用内外装部品。
【請求項6】
前記(B)繊維状充填剤がガラス繊維であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車両・機体用内外装部品。
【請求項7】
前記ポリブチレンテレフタレートが、(a)チタン化合物と、(b)1族金属化合物及び/または2族金属化合物とを含有し、(a)チタン化合物の含有量が、チタン原子換算で10ppm以上80ppm以下であり、(b)1族金属化合物及び/または2族金属化合物の含有量が、その金属原子換算で1ppm以上50ppm以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の車両・機体用内外装部品。
【請求項8】
(a)チタン化合物と、(b)1族金属化合物及び/または2族金属化合物とが、ポリブチレンテレフタレートを製造するための重縮合触媒であることを特徴とする請求項7に記載の車両・機体用内外装部品。
【請求項9】
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂が(b)2族金属化合物がとしてマグネシウム化合物を含有することを特徴とする請求項7または8に記載の車両・機体用内外装部品。
【請求項10】
ワイパー部品であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の車両・機体用内外装部品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−161747(P2007−161747A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−355908(P2005−355908)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(594137579)三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 (609)
【Fターム(参考)】