説明

車両充電システムおよび車両充電方法

【課題】車両内の電池からの電力供給が絶たれた場合にも、外部電源からの制御部への電力供給により、駆動用電池8を充電可能とする。
【解決手段】車両充電システム1は、商用電源等の外部電源12から電力を供給する接続ケーブル2と、駆動用電池8と、補機電池9と、駆動電池充電装置3とを有している。駆動電池充電装置3において、電源回路7は、外部電源12と、駆動用電池8と、補機電池9とに接続されており、それらの中の少なくとも1つから制御部4に電力を供給する。電力が供給された制御部4は、動作可能となる。これにより、制御部4の制御下で、充電部10が、駆動用電池8および補機電池9を外部電源12から充電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両充電システムおよび車両充電方法に関し、特に、車両外部からの充電が可能な駆動用電池を搭載した車両に対する充電を行うための車両充電システムおよび車両充電方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年においては、環境にやさしい自動車として、電気自動車やハイブリッド自動車が開発されている。このような自動車は、駆動用電池と走行モータとを搭載しており、駆動用電池の電力を用いて走行モータで走行する。そのため、駆動用電池を充電する必要がある。駆動用電池は、商用電源等の外部電源を受電して、充電することができる。
【0003】
充電を行なう場合、制御電源回路(制御部)により駆動用電池充電装置を制御する。従って、制御電源回路への電力供給が必要となる。
【0004】
特許文献1には、補機電池からの電力と駆動用電池からの電力とを用いて制御電源回路への電力供給を行なう車両充電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−149897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された車両充電システムにおいては、補機電池からの電力供給が不可能な場合で、かつ、駆動用電池からの電力供給が不可能な場合、制御電源回路への電力供給が絶たれる。従って、駆動用電池充電装置も動作できない。その結果、駆動用電池の充電を行うことができない。
【0007】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、車内に搭載された電池からの電力供給が不可能な場合においても、制御部への電力供給が行なわれ、駆動用電池の充電を可能とする、車両充電システムおよび車両充電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、車両の走行モータに給電する駆動用電池と、前記車両の補機に給電する補機電池と、外部電源から受電して、前記駆動用電池を充電する駆動電池充電装置とを備えた車両充電システムであって、前記駆動電池充電装置は、制御部と、前記制御部に電力を供給する電源回路とを有し、前記電源回路は、複数の電力供給源に接続されて、そのうちの少なくとも1つからの電力を前記制御部に供給する電力変換手段と、前記複数の電力供給源と前記電力変換手段との間の接続のオン/オフの切替を行う切替手段とを含んでいることを特徴とする車両充電システムである。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、車両の走行モータに給電する駆動用電池と、前記車両の補機に給電する補機電池と、外部電源から受電して、前記駆動用電池を充電する駆動電池充電装置とを備えた車両充電システムであって、前記駆動電池充電装置は、制御部と、前記制御部に電力を供給する電源回路とを有し、前記電源回路は、複数の電力供給源に接続されて、そのうちの少なくとも1つからの電力を前記制御部に供給する電力変換手段と、前記複数の電力供給源と前記電力変換手段との間の接続のオン/オフの切替を行う切替手段とを含んでいることを特徴とする車両充電システムであるので、車両内に搭載された電池からの電力供給が不可能な場合においても、制御部への電力供給が行なわれ、駆動用電池の充電を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明における実施の形態1に係わる車両充電システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、車両充電システム1の全体構成を示すブロック図である。図1において、車両充電システム1は、接続ケーブル2と、駆動電池充電装置3と、駆動用電池8と、補機電池9とを備えている。
【0012】
車両充電システム1は、自動車等の車両に搭載される。車両は、駆動用電池8の電力を用いて、走行モータ(図示せず)で走行する。補機電池9は、車両に設けられた補機(ランプ、ワイパーモータ、パワーウィンドウモータ、車載コンピュータ等)に電力を供給する。
【0013】
家屋11等には、商用電源等の外部電源12が設けられている。車両充電システム1は、接続ケーブル2を介して、外部電源12に接続される。
【0014】
駆動電池充電装置3は、制御部4と、電源回路7と、充電部10とを有している。電源回路7は、電源切替手段5と電力変換手段6とを有している。
【0015】
駆動電池充電装置3は、充電部10により、接続ケーブル2を介して、外部電源12から、駆動用電池8および補機電池9を充電する。
【0016】
電源切替手段5には複数のスイッチ5a,5b,5cが設けられている。スイッチ5aの一端は接続ケーブル2に接続され、他端は電力変換手段6に接続されている。スイッチ5bの一端は駆動用電池8に接続され、他端は電力変換手段6に接続されている。スイッチ5cの一端は補機電池9に接続され、他端は電力変換手段6に接続されている。電源切替手段5は、制御部4の制御により、スイッチ5a,5b,5cのオン/オフを切り替える。
【0017】
電力変換手段6は、スイッチ5a,5b,5cを介して、外部電源12、駆動用電池8、および、補機電池9から電力を得て、当該電力を変換して制御部4に供給する。制御部4は、外部電源12、駆動用電池8および補機電池9からの供給電力量を確認して、その中の1つを、最も有効な電力供給源として選択する。制御部4は、当該選択した電力供給源からの電力を用いて動作する。制御部4は充電部10を制御する。充電部10は、制御部4の制御下で、駆動用電池8および補機電池9の充電を行う。
【0018】
次に、図1を用いて、本実施の形態による車両充電方法を用いた、車両充電システム1の充電処理フローについて詳細に説明する。電源回路7は、電力供給の有無に係わらず,電源切替手段5のスイッチ5a,5b,5cをすべてオンとなっている。これにより、外部電源12、駆動用電池8、および、補機電池9からの給電が全て有効となる。これにより、制御部4に電力が供給され、制御部4が動作を開始する。制御部4は、まず、外部電源12、駆動用電池8、および、補機電池9の中から、最も有効な電力供給源を検出する。ここで、例えば、制御部4が、外部電源12からの電力供給が最も有効であると検出した場合は、制御部4は、外部電源12を第一優先として選択し、電源切替手段5を制御する。駆動用電池8および補機電池9からの電力は補助入力として用いる。こうして、制御部4は、外部電源12から電力をメインに得て動作する。
【0019】
このように、本実施の形態においては、たとえ補機電池9および駆動用電池8からの電力供給が不可能な場合においても、電源回路7は、外部電源12を用いて、制御部4に対して、電力を供給することができる。これにより、本実施の形態においては、常に、制御部4の動作が可能となり、駆動用電池8の充電が可能となる。
【0020】
なお、この充電処理フローは、常に有効であり、供給電力量の推移から、動的に第一優先の電力供給源を切り替えることが可能である。すなわち、この充電処理フローを一定の周期で繰り返し行うことにより、その時点で最も有効な電力供給源を常に選択することができる。
【0021】
なお、車両充電システム1が接続ケーブル2により外部電源12に接続されているときには、外部電源12からの電力供給が第一優先として選択されることが多い。その理由を説明する。駆動用電池8および補機電池9は、駆動電池充電装置3を介して、外部電源12から充電される。このとき、駆動電池充電装置3で、外部電源12からの電力を変換する。従って、駆動用電池8や補機電池9からの制御部4への電力供給は、外部電源12の電力を直接制御部4に供給する場合に比べて、当該電力変換効率分だけ、電力供給の効率が低下する。従って、外部電源12からの電力供給が第一優先として選択されることが多い。
【0022】
しかしながら、制御部4への電力供給源として、常に外部電池12が選択されるわけではない。制御部4への電力供給源として、以下のオプション(選択肢)が挙げられる。
【0023】
オプション1:外部電源12、補機電池9、および、駆動用電池8の組合せ
オプション2:駆動用電池8と外部電源12の組合せ
オプション3:補機電池9と外部電源12の組合せ
オプション4:外部電源12のみ
オプション5:駆動用電池8のみ
オプション6:補機電池9のみ
【0024】
オプション1〜3においては、電力供給源が複数であるため、その中で最も電力供給の効率が高いものを第1優先の電力供給源とし、他を補助入力とする。補助入力と選定された供給源は,電源切替手段5によりスイッチ5a,5b,5cが切断され,第1優先の電力供給源が切断または電圧低下した場合に切り替えられる。
【0025】
なお、本実施の形態では、外部電源12が商用電源である例を説明したが、外部電源12が、急速充電が可能な高圧直流電源でもよい。また、駆動用電池8が、急速充電が可能な高圧直流電源であってもよい。
【0026】
また、本実施の形態では、複数の電力供給源がある場合には、制御部4が、それらの電力供給源からの供給電力量を確認して、第1優先の電力供給源を選択する例について説明した。しかしながら、車両充電システム1が接続ケーブル2により外部電源12に接続されているときには、供給電力量を確認せずに、外部電源12を、第1優先の電力供給源として選択するようにしてもよい。
【0027】
また、本実施の形態では、車両として自動車を例に挙げたが、駆動用電池を有する車両であれば、船舶等の任意の他の車両に本発明を適用することができる。また、自動車として、電気自動車とハイブリッド自動車を例に挙げたが、駆動用電池を有する自動車であれば、任意の自動車に本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明においては、上述するように、車両内の電池からの駆動電池充電装置3の制御部4への電力供給が絶たれた時にも、外部電源12からの電力供給により、駆動用電池8の充電が可能となり、環境にやさしい電気自動車やハイブリッド自動車の普及につなげることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 車両充電システム、2 接続ケーブル、3 駆動電池充電装置、4 制御部、5 電源切替手段、6 電力変換手段、7 電源回路、8 駆動用電池、9 補機電池。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行モータに給電する駆動用電池と、
前記車両の補機に給電する補機電池と、
外部電源から受電して、前記駆動用電池を充電する駆動電池充電装置と
を備えた車両充電システムであって、
前記駆動電池充電装置は、
制御部と、
前記制御部に電力を供給する電源回路と
を有し、
前記電源回路は、
前記外部電源を含む、複数の電力供給源に接続されて、そのうちの少なくとも1つからの電力を前記制御部に供給する電力変換手段と、
前記複数の電力供給源と前記電力変換手段との間の接続のオン/オフの切替を行う切替手段と
を含んでいる
ことを特徴とする車両充電システム。
【請求項2】
前記複数の電力供給源は、前記外部電源、前記補機電池、および、前記駆動用電池を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の車両充電システム。
【請求項3】
前記複数の電力供給源は、前記駆動用電池および前記外部電源である
ことを特徴とする請求項1に記載の車両充電システム。
【請求項4】
前記複数の電力供給源は、前記補機電池と前記外部電源である
ことを特徴とする請求項1に記載の車両充電システム。
【請求項5】
前記切替手段は、前記外部電源を第一優先として、前記切替を行う
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両充電システム。
【請求項6】
車両の走行モータに給電する駆動用電池と、前記車両の補機に給電する補機電池と、外部電源から受電して前記駆動用電池を充電する駆動電池充電装置とを備えた車両充電システムを充電するための、車両充電方法であって、
前記駆動電池充電装置は、制御部と、前記制御部に電力を供給する電源回路とを有するものであって、
前記電源回路を、前記外部電源を含む、複数の電力供給源に接続するステップと、
前記複数の電力供給源の中から有効な電力供給源を検出するステップと、
検出した前記有効な電力供給源が第一優先となるように、前記複数の電力供給源と前記制御部との間の接続を切り替えるステップと、
前記有効な電力供給源からの電力を前記制御部に供給するステップと、
前記制御部の制御により、前記外部電源からの電力を用いて前記駆動用電池の充電を行うステップと
を備えたことを特徴とする車両充電方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−70593(P2012−70593A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215393(P2010−215393)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】