説明

車両制御装置

【課題】 利用者の運転負荷が所定負荷未満である場合に車両の制御に係る制御量の妥当性を問う質問を出力し、その応答に基づいて制御内容を変更することにより、利用者の運転指向を反映した車両の制御を行うことを可能にした車両制御装置を提供する。
【解決手段】 道路のカーブが接近したことに基づく車速の推奨車速への減速制御を行った後であって利用者の車両の運転に対する運転負荷が所定負荷未満であり、車両の挙動も安定していると判定された場合(S26:YES、S27:YES)に、実行された制御量の妥当性を問う質問を利用者に対して出力し(S28)、それに対する利用者の応答から補正制御量を設定し(S35)、次回以降において設定された補正制御量に基づいて新たに算出された推奨車速への減速制御を行う(S42)ように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が所定の条件を満たした場合に条件に対応する車両の制御を行う車両制御装置に関し、特に、利用者の運転負荷が所定負荷未満である場合に車両の制御に係る制御量の妥当性を問う質問を出力し、その応答に基づいて制御内容を変更することにより、利用者の運転指向を反映した車両の制御を行うことを可能にした車両制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ナビゲーション装置の地図データから得られる道路情報や、GPS等によって特定される現在位置等の車両の走行に係る各種情報を取得し、運転手に対する報知や、運転の補助、さらには運転への介入を行うことで車両事故を防止する車両制御装置について提案されている。例えば、特開2004−86363号公報には、交差点に接近した際に交差点に接近したことを乗員に報知するとともに、一時停止線で車両を停止させるように車両の制御を行う車両用運転補助装置について記載されている。
【特許文献1】特開2004−86363号公報(第8頁〜第10頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、前記した特許文献1に記載された車両用運転補助装置では、同一の条件下(例えば、所定速度で横断歩道に接近した状態)においては、各利用者に対して一律に同じ制御内容で制御を行っていた。しかしながら、各利用者の車の運転指向は様々であるので、その制御内容が全ての利用者にとって適した制御内容となるとは限らなかった。また、各利用者の運転指向に合わせて制御内容を決定し、制御を行うことも考えられるが、センサ等によって利用者の運転指向を特定することは非常に困難であった。
そこで、従来では上記のような問題点を踏まえ、車両の制御が行われた後に実行された制御が適当な制御であったか否かを利用者に直接問うとともに、その応答から制御内容を補正することについても行われていた。しかしながら、そのような質問が出力されるタイミングは利用者が車の運転を行っている状況下であり、質問の出力は利用者の運転における集中力を低下させる結果となっていた。また、質問に対する応答を利用者に行わせることも同様にして集中力を低下させる結果を招き、特にカーブや交差点が接近しているような運転負荷が大きい状況下においては、そのような集中力の低下によって利用者の正しい応答が得られない結果となっていた。また、運転負荷が大きい状況下で質問されることを煩わしく思う利用者も多かった。
【0004】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、利用者の運転負荷が小さい場合に車両の制御に係る制御量の妥当性を問う質問を出力するので、利用者の運転における集中力を低下させることとなっても利用者の考えを反映した正しい応答を得ることが可能であり、利用者の運転指向を反映した車両の制御を行うことを可能にした車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る車両制御装置は、車両が所定の条件を満たした場合に、前記条件に対応する車両の制御を行う車両制御手段を有する車両制御装置において、利用者の車両の運転に対する運転負荷が所定負荷未満であるか否か判定する運転負荷判定手段と、前記運転負荷判定手段によって運転負荷が所定負荷未満であると判定された場合に、利用者に対して車両の制御の妥当性を問う質問を出力する質問出力手段と、前記質問出力手段により出力された質問に対する利用者の応答を受け付ける応答受付手段と、前記応答受付手段により受け付けられた応答に基づいて、前記条件に対応する車両の制御の制御内容を変更する車両制御変更手段と、を有することを特徴とする。
ここで、「運転負荷」とは利用者が車両の運転操作を行うに際して当該運転操作に必要となる作業負担や心的負担をいい、運転負荷が大きい状態としては前方にカーブや交差点が接近している状態や、前方車両との車間距離が狭い状態等がある。
【0006】
また、請求項2に係る車両制御装置は、請求項1に記載の車両制御装置において、車両の前方に位置するカーブ又は交差点を検出する対象物検出手段を備え、前記運転負荷判定手段は、前記対象物検出手段によって車両の前方の所定距離以内にカーブ又は交差点が検出されなかった場合に運転負荷が所定負荷未満であると判定することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る車両制御装置は、請求項1に記載の車両制御装置において、車両の前方を走行する他車両との車間距離を検出する車間距離検出手段を備え、前記運転負荷判定手段は、前記車間距離検出手段によって車間距離が所定距離以上離れていることが検出された場合に運転負荷が所定負荷未満であると判定することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る車両制御装置は、請求項1に記載の車両制御装置において、車両の走行案内を行うナビゲーション装置を備え、前記運転負荷判定手段は、前記ナビゲーション装置によって走行の案内が行われていない場合に運転負荷が所定負荷未満であると判定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に係る車両制御装置は、請求項1に記載の車両制御装置において、車両が走行を開始してからの経過時刻を検出する経過時刻検出手段を備え、前記運転負荷判定手段は、前記経過時刻検出手段によって走行開始から所定時間以内であることが検出された場合に運転負荷が所定負荷未満であると判定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に係る車両制御装置は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の車両制御装置において、車両の挙動が安定しているか否か判定する車両挙動判定手段を有し、前記質問出力手段は、前記車両挙動判定手段によって車両の挙動が安定していると判定された場合に、利用者に対して車両の制御の妥当性を問う質問を出力することを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に係る車両制御装置は、車両が所定の条件を満たした場合に、前記条件に対応する車両の制御を行う車両制御手段を有する車両制御装置において、車両の挙動が安定しているか否か判定する車両挙動判定手段と、前記車両挙動判定手段によって車両の挙動が安定していると判定された場合に、利用者に対して車両の制御の妥当性を問う質問を出力する質問出力手段と、前記質問出力手段により出力された質問に対する利用者の応答を受け付ける応答受付手段と、前記応答受付手段により受け付けられた応答に基づいて、前記条件に対応する車両の制御の制御内容を変更する車両制御変更手段と、を有することを特徴とする。
ここで、「車両の挙動が安定している」とは車両の走行状態が大きく変化しないことをいい、例えば、車両が走行している場合において車両の走行状態を特定する要素である車速、加速度、ヨーレート等に関して大きな変化が無い状態を含む。
【0012】
また、請求項8に係る車両制御装置は、請求項6又は請求項7に記載の車両制御装置において、車両の左右方向又は前後方向に対して生じる加速度を検出する加速度検出手段を備え、前記車両挙動判定手段は、前記加速度検出手段によって検出された車両の左右方向又は前後方向に対して生じている加速度が所定値未満であることが検出された場合に車両の挙動が安定していると判定することを特徴とする。
【0013】
また、請求項9に係る車両制御装置は、請求項6又は請求項7に記載の車両制御装置において、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段を備え、前記車両挙動判定手段は、前記ヨーレート検出手段によって車両のヨーレートが所定値未満であることが検出された場合に車両の挙動が安定していると判定することを特徴とする。
【0014】
更に、請求項10に係る車両制御装置は、請求項6又は請求項7に記載の車両制御装置において、車両のアクセル操作又はブレーキ操作を検出する操作状態検出手段を備え、前記車両挙動判定手段は、前記操作状態検出手段によってアクセル操作又はブレーキ操作の変化量が所定量以下であることが検出された場合に車両の挙動が安定していると判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
前記構成を有する請求項1の車両制御装置では、利用者の車両の運転に対する運転負荷が所定負荷未満であると判定された場合に、車両の制御に係る制御量の妥当性を問う質問を出力し、質問に対する利用者の応答に基づいて変更した制御内容に基づいて車両の制御を行うので、利用者の運転指向を容易に特定できるとともに、利用者の運転指向を制御内容に反映させた適切な車両の制御が可能となる。また、質問の出力及び質問に対する応答を行わせることによって利用者の運転における集中力を低下させることとなっても、利用者の考えを反映した正しい応答を得ることが可能となる。
【0016】
また、請求項2の車両制御装置では、車両の前方の所定距離以内にカーブ又は交差点が検出されなかった場合に車両の制御に係る制御量の妥当性を問う質問を出力し、質問に対する利用者の応答に基づいて変更した制御内容に基づいて車両の制御を行うので、利用者の運転負荷が小さい状況で質問の出力及び質問に対する応答を行わせることによって利用者の考えを反映した正しい応答を得ることが可能となる。
【0017】
また、請求項3の車両制御装置では、車両の前方を走行する他車両との車間距離が所定距離以上離れていることが検出された場合に車両の制御に係る制御量の妥当性を問う質問を出力し、質問に対する利用者の応答に基づいて変更した制御内容に基づいて車両の制御を行うので、利用者の運転負荷が小さい状況で質問の出力及び質問に対する応答を行わせることによって利用者の考えを反映した正しい応答を得ることが可能となる。
【0018】
また、請求項4の車両制御装置では、ナビゲーション装置によって走行の案内が行われていない場合に車両の制御に係る制御量の妥当性を問う質問を出力し、質問に対する利用者の応答に基づいて変更した制御内容に基づいて車両の制御を行うので、利用者の運転負荷が小さい状況で質問の出力及び質問に対する応答を行わせることによって利用者の考えを反映した正しい応答を得ることが可能となる。
【0019】
また、請求項5の車両制御装置では、車両の走行開始から所定時間以内であることが検出された場合に車両の制御に係る制御量の妥当性を問う質問を出力し、質問に対する利用者の応答に基づいて変更した制御内容に基づいて車両の制御を行うので、利用者の運転負荷が小さい状況で質問の出力及び質問に対する応答を行わせることによって利用者の考えを反映した正しい応答を得ることが可能となる。
【0020】
また、請求項6の車両制御装置では、利用者の車両の運転に対する運転負荷が小さいことに加えて車両の挙動が安定していると判定された場合に、車両の制御に係る制御量の妥当性を問う質問を出力し、質問に対する利用者の応答に基づいて変更した制御内容に基づいて車両の制御を行うので、利用者の運転指向を容易に特定できるとともに、利用者の運転指向を制御内容に反映させた適切な車両の制御が可能となる。また、質問の出力及び質問に対する応答を行わせることによって利用者の運転における集中力を低下させることとなっても、利用者の考えを反映した正しい応答を得ることが可能となる。
【0021】
また、請求項7の車両制御装置では、車両の挙動が安定していると判定された場合に、車両の制御に係る制御量の妥当性を問う質問を出力し、質問に対する利用者の応答に基づいて変更した制御内容に基づいて車両の制御を行うので、利用者の運転指向を容易に特定できるとともに、利用者の運転指向を制御内容に反映させた適切な車両の制御が可能となる。また、質問の出力及び質問に対する応答を行わせることによって利用者の運転における集中力を低下させることとなっても、利用者の考えを反映した正しい応答を得ることが可能となる。
【0022】
また、請求項8の車両制御装置では、車両の左右方向又は前後方向に対して生じている加速度が所定値未満である場合に車両の制御に係る制御量の妥当性を問う質問を出力し、質問に対する利用者の応答に基づいて変更した制御内容に基づいて車両の制御を行うので、車両の挙動が安定している状況で質問の出力及び質問に対する応答を行わせることによって利用者の考えを反映した正しい応答を得ることが可能となる。
【0023】
また、請求項9の車両制御装置では、車両のヨーレートが所定値未満である場合に車両の制御に係る制御量の妥当性を問う質問を出力し、質問に対する利用者の応答に基づいて変更した制御内容に基づいて車両の制御を行うので、車両の挙動が安定している状況で質問の出力及び質問に対する応答を行わせることによって利用者の考えを反映した正しい応答を得ることが可能となる。
【0024】
更に、請求項10の車両制御装置では、アクセル操作又はブレーキ操作の変化量が所定量以下である場合に車両の制御に係る制御量の妥当性を問う質問を出力し、質問に対する利用者の応答に基づいて変更した制御内容に基づいて車両の制御を行うので、車両の挙動が安定している状況で質問の出力及び質問に対する応答を行わせることによって利用者の考えを反映した正しい応答を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る車両制御装置について具体化した実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係る車両制御装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係る車両制御装置1の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る車両制御装置1は、車両2に対して設置されたナビゲーション装置3、CVT(Continuously Variable Transmission)制御装置(車両制御手段)4、CVT5、照度センサ6、レーダ装置(車間距離検出手段)7、車両ECU(操作状態検出手段)8等で構成されている。
【0026】
ここで、ナビゲーション装置3は、車両2の室内のセンターコンソール又はパネル面に備え付けられ、地図や目的地までの探索経路を表示する液晶ディスプレイ10や経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ11等を備えている。そして、GPS等によって車両2の現在位置を特定するととともに、目的地が設定された場合においては目的地までの経路の探索、並びに設定された経路に従った案内を液晶ディスプレイ10やスピーカ11を用いて行う。また、ナビゲーション装置3は特にカーブや段差のある道路等を走行する場合において、最適な速度で走行できるように自動的に車両の制御(具体的には、CVTの制御による車速の調整)を行う。
更に、本実施形態に係るナビゲーション装置3では、後述するように車両の制御を伴ってカーブを走行した後であって所定の条件を満たした場合に、利用者に対して当該カーブで実行した車両の制御の妥当性(具体的には制御量の妥当性)を問う質問をスピーカ11から出力し、利用者からの応答に従ってその制御内容(具体的には制御量)を補正する。
【0027】
また、CVT制御装置4は、CVT5を制御する制御装置であり、全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPUの他に、記憶手段であるRAMやROMを備えている。そして、ナビゲーション装置3からの指示に基づいてCVT5の変速比を変化させる。それによって、車両2に対してエンジンブレーキを生じさせ、車両2の速度を所定速度まで減速させることが可能となる。
【0028】
一方、CVT5は、一般に 無段変速機と呼ばれる連続可変トランスミッションであり、歯車を用いず、摩擦に依って変速比を連続的に変化させる動力伝達機構を有する。そして、車両2はCVT5を用いることによって連続的変速が可能であるので、カーブを走行する際にCVT制御装置4によって最適な減速比を設定できる。また、発進時を除いて変速時に動力を遮断する必要が無く、変速中の衝撃(変速ショック)についても発生しないので、乗り心地の改善、エンジンへの負荷減少が可能である。
【0029】
また、照度センサ6は、車両2の前方に装着されたバンパの上部に取り付けられており、車外の明るさ(照度)を検出する。そして、ナビゲーション装置3は照度センサ6の検出結果に基づいて、車両周囲の明るさを「明るい(例えば、50ルクス以上)」又は「暗い(例えば、50ルクス未満)」のいずれかに特定する。尚、照度センサとしては、フォトトランジスタを使用したもの、フォトダイオードを使用したもの、フォトダイオードにアンプ回路を追加したものを用いることが可能である。
【0030】
また、レーダ装置7は、車両2の前方に装着されたナンバープレートの上中央付近に取り付けられており、電波送信部と電波受信部とから基本的に構成されている。そして、電波送信部から車両2の前方に対してビーム電波を放射するとともに前方の対象物(他車両)によって反射された反射電波を電波受信部で受信する。その結果、受信した反射電波の強度や波長に基づいて車両2の前方に位置する対象物までの距離や相対速度を検出することが可能となる。尚、本実施形態にかかるレーダ装置7では前方100mまでの対象物を検出することが可能となっている。
【0031】
そして、車両ECU8は、エンジン、変速機、アクセル、ブレーキ等の作動を制御する車両2の電子制御ユニットである。そして、アクセル操作やブレーキ操作に関する操作信号をナビゲーション装置3に対して送信することにより、ナビゲーション装置3はアクセル操作やブレーキ操作が安定しているか否か後述のように判定することが可能となる。
【0032】
次に、本実施形態に係る車両制御装置1の制御系に係る構成について特にナビゲーション装置3を中心にして図2に基づき説明する。図2は本実施形態に係る車両制御装置1の制御系を模式的に示すブロック図である。
【0033】
ナビゲーション装置3は、自車の現在位置を検出する現在地検出処理部15と、各種のデータが記録されたデータ記録部16と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部(車両制御手段、運転負荷判定手段、車両制御変更手段、対象物検出手段、経過時刻検出手段、車両挙動判定手段)17と、操作者からの操作を受け付ける操作部(応答受付手段)18と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ10と、経路案内に関する音声ガイダンスや、車両の制御に係る制御量の妥当性を問う質問を出力するスピーカ(質問出力手段)11と、車両2の走行速度を検出する車速センサ19と、車両2の左右方向に対して生じる加速度を検出するGセンサ20と、交通情報センタや気象情報センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信装置(環境検出手段)21と、から構成されている。
また、ナビゲーション装置3に対しては前記CVT制御装置4、照度センサ6、レーダ装置7、及び車両ECU8がそれぞれ接続されている。
【0034】
以下に、ナビゲーション装置3を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出処理部15は、GPS31、地磁気センサ32、距離センサ33、ステアリングセンサ34、方位検出部としてのジャイロセンサ(ヨーレート検出手段)35、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0035】
具体的には、GPS31は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在地及び現在時刻を検出し、地磁気センサ32は、地磁気を測定することによって自車方位を検出し、距離センサ33は、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。ここで、距離センサ33としては、例えば、自車の車輪(図示せず)の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するセンサ、加速度を測定し、測定した加速度を2回積分して距離を検出するセンサ等を使用することができる。
【0036】
また、ステアリングセンサ34は自車の舵(だ)角を検出する。ここで、ステアリングセンサ34としては、例えば、ステアリングホイール(図示せず)の回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0037】
そして、ジャイロセンサ35は自車の旋回角やヨーレート(車両の回転角速度)を検出する。ここで、ジャイロセンサ35としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ35によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。
【0038】
また、データ記録部16は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB25、後述の運転指向パラメータリスト26及びサンプルデータリスト27、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、本実施形態においては、データ記録部16の外部記憶装置及び記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、ハードディスクのほかに、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置として使用することができる。また、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。
【0039】
また、地図情報DB25には、経路案内及び地図表示に必要な各種情報が記録されており、例えば、地図を表示するための地図データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、道路に関する道路データ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等が記録されている。
【0040】
一方、運転指向パラメータリスト26は、各種センサや情報センタとの通信によって検出可能な周辺環境を分類する運転指向パラメータ(例えば、「周囲の明るさ」、「天候」等)とパラメータ(例えば、「明るい」、「暗い」、「晴れ」、「雨」等)の範囲をリスト化したものである。
また、サンプルデータリスト27は、運転指向パラメータリスト26でリストアップされたパラメータの組合せ毎に利用者からの応答に基づいて値を調整して記録した応答制御量(本実施形態ではカーブ走行時に車両2に対して法線方向に生じさせる遠心力による加速度)を記録するリストである。尚、運転指向パラメータリスト26及びサンプルデータリスト27については図3及び図4を用いて後に詳細に説明する。
【0041】
また、ナビゲーション制御部17は、ナビゲーション装置3の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、探索した誘導経路の案内を行う経路案内処理プログラム、接続されているセンサ等から運転指向パラメータリスト26を作成するリスト作成処理プログラム(図5参照)、カーブが接近した際において必要な車両の制御に係る制御内容(本実施形態では減速度)を算出するとともにその算出結果をCVT制御装置4に送信する車両制御算出処理プログラム(図6参照)、利用者の運転負荷や車両挙動を考慮した適当なタイミングで実行された車両の制御に係る質問を出力するとともに、利用者の応答から各周辺環境に対して制御量を補正した補正制御量を新たに設定又は更新する運転指向学習処理プログラム(図7参照)、が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記録するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、前記RAM42、ROM43、フラッシュメモリ44等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用される。また、演算装置及び制御装置としては、CPU41に代えてMPU等を使用することも可能である。
【0042】
また、本実施形態においては、前記ROM43に各種のプログラムが記録され、前記データ記録部16に各種のデータが記録されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部記憶装置、メモリーカード等からプログラム、データ等を読み出して前記フラッシュメモリ44に書き込むこともできる。更に、メモリーカード等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。
【0043】
更に、前記ナビゲーション制御部17には、操作部18、液晶ディスプレイ10、スピーカ11、車速センサ19、Gセンサ(加速度検出手段)20、通信装置21の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0044】
操作部18は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーション制御部17は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。また、特に本実施形態に係る車両制御装置1では、スピーカ11から出力される質問に対する利用者の応答について、操作部18によって受け付けを行う。尚、操作部18としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、ライトペン、スタイラスペン等を使用することもできる。更に、液晶ディスプレイ10の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0045】
また、液晶ディスプレイ10には、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ10の代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ等を使用したり、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することも可能である。
【0046】
また、スピーカ11は、ナビゲーション制御部17からの指示に基づいて誘導経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスを出力する。また、特に本実施形態に係る車両制御装置1では、カーブを走行した後において当該カーブを走行する際の車両の制御に係る制御量の妥当性を問う質問を利用者に出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先の交差点を右折してください。」や「この先の国道○○号線が渋滞しています。」等がある。尚、スピーカ11より出力される音声としては、合成された音声のほかに、各種効果音、予めテープやメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0047】
また、車速センサ19は車輪の回転速度等から車両の現在の走行速度を検出するセンサであり、一方、Gセンサ20は車両2の左右方向及び前後方向に対して生じる加速度を検出するセンサであり、それによって自車がカーブを旋回する際に法線方向に生じる遠心力に基づく加速度を検出可能となる。そして、ナビゲーション制御部17は各センサの検出結果に基づいて現在の車両2の車速とカーブ走行時に発生する加速度とをそれぞれ特定可能となっている。
【0048】
そして、通信装置21は、情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等から送信された渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報から成る交通情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するビーコンレシーバである。更に、本実施形態に係る車両制御装置1では気象情報センタから自車の現在位置における天気の情報(例えば、晴れ、くもり、雨、雪)についても取得する。また、通信装置21としては、LAN、WAN、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系において通信を可能とするネットワーク機器であっても良い。更に、通信装置21は前記情報センタからの情報の他に、ニュース、天気予報等の情報から成るFM多重情報を、FM放送局を介してFM多重放送として受信するFM受信機を備える。尚、前記ビーコンレシーバ及びFM受信機は、ユニット化されてVICSレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。
【0049】
次に、図3を用いてデータ記録部16に記録される運転指向パラメータリスト26について具体例をあげて説明する。ここで、運転指向パラメータリスト26は、後述のリスト作成処理プログラム(図5参照)で作成され、各種センサや情報センタとの通信によって検出可能な周辺環境を分類する運転指向パラメータ(例えば、「周囲の明るさ」、「天候」等)とパラメータ(例えば、「明るい」、「暗い」、「晴れ」、「雨」等)の範囲をリスト化したものである。そして、後述するようにナビゲーション装置3は、照度センサ6及び通信装置21の検出結果から運転指向パラメータリスト26に基づいて、「周囲の明るさ」のパラメータと「天候」のパラメータを特定し、その組合せから更に現在の車両2の周辺環境を特定する(図7のS23)。
図3は本実施形態に係る車両制御装置1で作成される運転指向パラメータリスト26の一例について示した図である。
【0050】
図3は、車両2に対して周囲の明るさ(照度)を検出する照度センサ6と、気象情報センタから車両2の現在位置における天気の情報を取得することにより周囲の天気を検出する通信装置21とが設けられている場合に作成される運転指向パラメータリスト26を示す。従って、図3に示すように運転指向パラメータとしては照度センサ6で検出可能な「周囲の明るさ」と、通信装置21で検出可能な「天候」が定義される。また、パラメータとしては運転指向パラメータ「周囲の明るさ」に対して明るさの程度を特定する「明るい」、「暗い」の2種類が作成され、運転指向パラメータ「天候」に対して天候の種類を特定する「晴れ」、「くもり」、「雨」、「雪」の4種類が定義される。
そして、後述の運転指向学習処理プログラム(図7参照)では、各パラメータの組合せ(例えば「明るい」で「晴れ」、「暗い」で「雨」)によって特定される周辺環境毎に質問に対する利用者の応答に基づいて補正制御量であるカーブ走行時の遠心力により生じさせる加速度を設定する。
【0051】
次に、図4を用いてデータ記録部16に記録されるサンプルデータリスト27について具体例をあげて説明する。ここで、サンプルデータリスト27は、後述の運転指向学習処理プログラム(図7参照)で作成され、運転指向パラメータリスト26で作成されたパラメータの組合せからなる周辺環境毎に質問に対する利用者の応答に基づいて値が調整された応答制御量を記録するものである。図4は本実施形態に係る車両制御装置1で作成されるサンプルデータリスト27の一例について示した図である。
【0052】
図4は、図3に示す運転指向パラメータリスト26が作成された場合に応答制御量を記録するリストであり、計8通りのパラメータの組合せ毎に制御量(本実施形態ではカーブ走行時に車両2に対して法線方向に生じさせる遠心力による加速度)が記録される。そして、5個以上の応答制御量のサンプルが一の組合せに対して記録されると、当該組合せに記録された応答制御量の平均値がその組合せからなる周辺環境での補正制御量となり(図7のS35)、ナビゲーション装置3及びCVT制御装置4はその補正制御量に基づいて車両の制御を行う(図6のS15〜S17、図11のS42)。
【0053】
続いて、前記構成を有する本実施形態に係る車両制御装置1のナビゲーション装置3が実行するリスト作成処理プログラムについて図5に基づき説明する。図5は本実施形態に係る車両制御装置1のナビゲーション装置3が実行するリスト作成処理プログラムのフローチャートである。ここで、リスト作成処理プログラムは、接続されているセンサ等を判定し、運転指向パラメータリスト26(図3参照)を作成するものである。また、本実施形態に係るリスト作成処理プログラムはナビゲーション装置3が車両2に対して設置され、電源が最初に投入された際に実行されるが、イグニションがONされる度に実行するようにしても良い。尚、以下に図5乃至図7にフローチャートで示されるプログラムはナビゲーション装置3が備えているROM43やRAM42に記憶されており、CPU41により実行される。
【0054】
リスト作成処理では、先ずステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は車両2に対して搭載されている周辺環境を検出する為のセンサ等の種類を検出する。例えば、本実施形態に係る車両2には、図1及び図2に示すように車両2の周囲の明るさを検出する照度センサ6と、気象情報センタから車両2の現在位置における天気の情報を取得することにより周囲の天気を検出する通信装置21とが設けられているので、照度センサ6及び通信装置21が周辺環境を検出する為のセンサ等として検出される。
【0055】
次に、S2では、前記S1で検出されたセンサ等に基づいて運転指向パラメータリスト26(図3参照)を作成する。運転指向パラメータリスト26は前記したように、各種センサ等によって検出可能な周辺環境を分類する運転指向パラメータ(例えば、図3では「周囲の明るさ」、「天候」)とパラメータ(例えば、図3では「明るい」、「暗い」の2種類と「晴れ」、「くもり」、「雨」、「雪」の4種類)の範囲をリスト化したものである。
【0056】
次に、本実施形態に係る車両制御装置1のナビゲーション装置3が実行する車両制御算出処理プログラムについて図6に基づき説明する。図6は本実施形態に係る車両制御装置1のナビゲーション装置3が実行する車両制御算出処理プログラムのフローチャートである。ここで、車両制御算出処理プログラムは、カーブを走行する際において車両の制御に係る制御内容(本実施形態では減速度)を算出するとともにその算出結果をCVT制御装置4に送信するものである。尚、当該車両制御算出処理プログラムは車両2のイグニションがONされている間において、所定間隔(例えば、0.5sec毎)で繰り返し実行される。
【0057】
車両制御算出処理では、先ずS11において、CPU41は現在地検出処理部15によって車両2の現在位置を検出し、地図情報DB25に記録された道路データ等から自車の所定範囲(例えば10km)内にある道路のカーブを検索する。
【0058】
続いて、S12では前記S11の検索の結果、自車の前方(例えば200m以内)に道路のカーブがあるか否かを判定する。そして、前方に道路のカーブがないと判定された場合(S12:NO)には、当該車両制御算出処理を終了する。
【0059】
一方、自車の前方にカーブがあると判定された場合(S12:YES)には、S13で地図情報DB25を用いて当該カーブのR(旋回半径)を検出する。続いて、S13においては、照度センサ6によって周囲の明るさ(照度)が検出され、更に、気象情報センタから通信装置21を介して車両2の現在位置における天気の情報について取得することにより周囲の天気が検出される。
【0060】
次に、S15では前記S14で検出された自車の周囲の明るさ及び天気によって特定された周辺環境と、前記S13で検出されたカーブのRと、後述するS35で設定される補正制御量とから前方のカーブの進入に際して最適な車速である推奨車速が算出される。
【0061】
ここで、推奨車速の算出方法について図8を用いて説明する。図8は本実施形態に係る車両制御装置1で制御を行うカーブ進入時の推奨車速の算出方法を示した図である。
本実施形態に係る車両制御装置1では推奨車速は、図8に示すようにカーブのRとカーブの際に車両2に対して生じさせる遠心力による加速度によって算出される。そして、加速度は後述するS35で補正制御量が設定されている場合には当該補正制御量が、補正制御量が設定されていない場合には基本制御量である“0.20G”が用いられる。
例えば、S13で検出されたカーブのRが100mで、S14で検出された周辺環境で補正制御量が設定されていない場合には、推奨車速は50.4km/hとなる。また、S13で検出されたカーブのRが100mで、S14で検出された周辺環境で補正制御量が0.15Gに設定されている場合には、推奨車速は43.6km/hとなる。
【0062】
そして、S16では前記S15で算出された推奨車速と、車速センサ19によって算出された現在の車速と、検出されたカーブの進入口までの距離とに基づいて、カーブ進入口までに推奨車速へと減速するのに必要な減速度が算出される。
【0063】
その後、S17では前記S16で算出された減速に必要な減速度をCVT制御装置4に送信する。そして、CVT制御装置4は後述するように送信された減速度に基づいてCVT4の変速比を変化させ、車両2に対してエンジンブレーキを発生させる(図11のS42)。その結果、自車が推奨車速より高速で走行していた場合であっても自動的に減速され、算出された推奨車速でカーブに進入させることが可能となる。
【0064】
次に、本実施形態に係る車両制御装置1のナビゲーション装置3が実行する運転指向学習処理プログラムについて図7に基づき説明する。図7は本実施形態に係る車両制御装置1のナビゲーション装置3が実行する運転指向学習処理プログラムのフローチャートである。ここで、運転指向学習処理プログラムは、車両の制御が実行されて前記S15で算出された推奨車速で進入したカーブを走行した後であって、利用者の運転負荷や車両挙動を考慮した適当なタイミングに、実行された車両の制御に係る質問を出力するとともに、利用者の応答に基づいてサンプルデータリスト27を作成し、作成されたサンプルデータリスト27から補正制御量を新たに設定又は更新するものである。尚、当該運転指向学習処理プログラムは車両2のイグニションがONされている間において、所定間隔(例えば、0.5sec毎)で繰り返し実行される。
【0065】
運転指向学習処理では、先ずS21において、CPU41は後述のS44(図11)でCVT制御装置4から送信された信号に基づいて車両2がカーブに進入する際の車両制御が実行され、終了したか否かを判定する。ここで、本実施形態に係る車両制御装置1は、車両2の前方にカーブを検出した場合において、カーブのRと周辺環境とに基づいた最適な推奨車速でカーブに進入するように自動的に車両の制御(具体的には、CVT5の制御による車速の調整)を行う。
【0066】
そして、カーブの接近に基づく車両の制御が終了していない、即ち制御を実行している途中か、又は制御を行っていないと判定された場合(S21:NO)には、当該運転指向学習処理を終了する。
一方、カーブの接近に基づく車両の制御を行ったと判定された場合(S21:YES)には、S22において、照度センサ6によって周囲の明るさ(照度)が検出され、気象情報センタから通信装置21を介して車両2の現在位置における天気の情報について取得することにより周囲の天気が検出される。
【0067】
次に、S23では前記S22の検出結果から運転指向パラメータリスト26に基づいて、「周囲の明るさ」のパラメータ(「明るい」、「暗い」)と「天候」のパラメータ(「晴れ」、「くもり」、「雨」、「雪」)がそれぞれ特定され、その組合せから更に現在の車両2の周辺環境が特定される(図3参照)。
【0068】
その後、S24では前記S23で特定された周辺環境において運転指向が学習済みであるか否かが判定される。ここで、本実施形態に係る車両制御装置1では、後述のS29によって利用者の応答を受け付けた場合に、後述のS30で利用者の運転指向を反映した応答制御量(カーブ走行時に車両2に対して法線方向に生じさせる遠心力による加速度)を周辺環境毎にサンプルデータリスト27(図4参照)に記録する。そして、記録された応答制御量の平均値を補正制御量として設定するが、S29で利用者からの応答を同一の周辺環境下で10回以上受け付け、S30で運転指向パラメータリスト26に応答制御量が10個以上記録された場合には、既に十分なサンプルが収集されており、適正な補正制御量が算出されていると考えられ、運転指向が学習済みであると判定される。例えば、図4に示すサンプルデータリスト27では、「明るい」で「晴れ」及び「明るい」で「くもり」の周辺環境では応答制御量が10個以上記録されており、運転指向が学習済みであると判定され、それ以外の組合せの周辺環境では運転指向が学習済みでないと判定される。
【0069】
そして、運転指向が学習済みであると判定された場合(S24:YES)には、当該運転指向学習処理を終了する一方、運転指向が学習済みでないと判定された場合(S24:NO)には、S25へと移行する。
【0070】
S25では、利用者の車両の運転に対する運転負荷の大きさと、車両の挙動の安定性を特定する為の各種条件について検出される。
ここで、本実施形態に係る車両制御装置1では運転に対する運転負荷の大きさは、車両2の前方にカーブや交差点があるか否か、前方の他車両との車間距離、ナビゲーション装置3によって経路案内等の情報提供(即ち、車両2の走行の案内)が行われているか否か、運転開始直後か否か、長時間の運転を行っているか否か、によって特定される。そして、ナビゲーション装置3はGPS31によって検出された現在位置と地図情報DB25に記録された道路データから、車両2の前方に位置するカーブや交差点を検出する。また、レーダ装置7の検出結果に基づいて前方の他車両との車間距離を検出する。また、イグニションがONされた時刻を記録するとともに、GPS31から取得した現在時刻に基づいて現在が運転開始直後(例えば5分以内)か否かを検出する。更に、利用者が長時間の運転(例えば3時間以上の運転)を行っているか否かを同様にして検出する。
【0071】
一方、車両の挙動の安定性は、車両の左右方向や前後方向に対して生じる加速度、ヨーレートの大きさ、アクセル操作及びブレーキ操作の安定性(変化量)によって特定される。そして、ナビゲーション装置3はGセンサ20によって車両の左右方向や前後方向に対して生じる加速度を検出する。また、ジャイロセンサ35によって車両2のヨーレートを検出する。また、車両ECU8からの情報に基づいてアクセル操作の変化量、及びブレーキ操作の変化量について検出する。
【0072】
次に、S26の判定処理では、前記S25の検出結果に基づいて利用者の車両の運転に対する運転負荷が所定負荷未満であるか否か判定される。具体的には、車両2の前方(例えば200m以内)にカーブや交差点が無く、前方の他車両との車間距離が所定距離(例えば15m)以上離れており、ナビゲーション装置3によって経路案内等の情報提供(即ち、車両2の走行の案内)が行われておらず、現在が運転開始直後(例えば5分以内)でなく、且つ長時間の運転(例えば3時間以上の運転)を行っていない場合に、運転負荷が所定負荷未満であると判定される。
尚、上記S26の運転負荷が所定負荷未満であるか否かの判定は、車両2の前方(例えば200m以内)にカーブや交差点が無いこと、前方の他車両との車間距離が所定距離(例えば15m)以上離れていること、ナビゲーション装置3によって経路案内等の情報提供が行われていないこと、現在が運転開始直後(例えば5分以内)でないこと、長時間の運転(例えば3時間以上の運転)を行っていないこと、のいずれか一又は複数の条件を満たしている場合に運転負荷が所定負荷未満であると判定するようにしても良い。
【0073】
そして、利用者の車両の運転に対する運転負荷が所定負荷未満であると判定された場合(S26:YES)には、続いてS27で前記S25の検出結果に基づいて車両の挙動が安定しているか否か判定される。具体的には、車両の左右方向や前後方向に対して所定値以上の加速度(例えば、0.10G)が生じておらず、所定値(例えば、0.05rad/s)以上のヨーレートが生じておらず、アクセル操作の変化量が所定量以下で(アクセル操作がされていない状態を含む)、且つブレーキ操作の変化量が所定量以下(ブレーキ操作がされていない状態を含む)の場合に、車両の挙動が安定していると判定される。尚、上記S26の処理が運転負荷判定手段の処理に相当し、S27の処理が車両挙動判定手段の処理に相当する。
尚、上記S27の車両の挙動が安定しているか否かの判定は、車両の左右方向や前後方向に対して所定値以上の加速度(例えば、0.10G)が生じていないこと、所定値(例えば、0.05rad/s)以上のヨーレートが生じていないこと、アクセル操作の変化量が所定量以下である(アクセル操作がされていない状態を含む)こと、ブレーキ操作の変化量が所定量以下である(ブレーキ操作がされていない状態を含む)こと、のいずれか一又は複数の条件を満たしている場合に車両の挙動が安定していると判定するようにしても良い。
【0074】
そして、車両の挙動についても安定していると判定された場合(S27:YES)には、S28へと移行する。一方、利用者の車両の運転に対する運転負荷が所定負荷以上であると判定された場合(S26:NO)、及び車両の挙動について安定していないと判定された場合(S27:NO)には、S25へと戻り、再び各条件の検出が行われる。
【0075】
S28では、スピーカ11から直前に行ったカーブ進入時における車両制御の制御量の妥当性(即ち、実行された制御の制御量が適当であったか否か)を問う質問が出力される。具体的には「今の減速度はいかがでしたか?」との音声が出力される。また、液晶ディスプレイ10においても同様の内容のメッセージが表示される。
【0076】
続いて、S29では前記S28で出力された質問に対する利用者の応答を、操作部18から送信された操作情報に基づいて受け付ける。ここで、本実施形態に係る車両制御装置1では、質問が出力された直後に「丁度良い」、「少し弱い」、「少し強い」の3種類の選択肢が液晶ディスプレイ10に表示される。そして、利用者は操作部18を用いていずれかの選択肢を選択することにより、その質問に対する応答を行う。尚、車両制御装置1に対してマイクを備え付け、利用者が発した音声を認識させることにより応答を受け付けることとしても良い。
また、応答を受け付けた後には応答の受け付けが完了したことを利用者に報知する為に「了解しました。覚えておきます。」とのメッセージをスピーカ11から出力する。
【0077】
その後、S30ではS29で受け付けた利用者の応答から特定した応答制御量をサンプルデータリスト27に追加する。ここで、本実施形態に係る車両制御装置1では、利用者の応答が「丁度良い」であった場合には、直前に実行した車両の制御に係る制御量(加速度)と同一の制御量を応答制御量として記録する。また、利用者の応答が「少し弱い」であった場合には、直前に実行した車両の制御に係る制御量である車両に対して生じさせる加速度を0.05G下げた加速度を応答制御量として新たに記録する。更に、利用者の応答が「少し強い」であった場合には、直前に実行した車両の制御に係る制御量である車両に対して生じさせる加速度を0.05G上げた加速度を応答制御量として新たに記録する。
【0078】
以下に、図9を用いて前記S28〜S30で行われる制御量に関する質問及び応答に関して具体例を挙げて説明する。図9(A)は周辺環境が「明るい」及び「晴れ」の組合せである場合に、車両に対して行われる質問の出力と質問に対する応答の受け付けの様子を示した模式図、図9(B)は周辺環境が「暗い」及び「くもり」の組合せである場合に、車両に対して行われる質問の出力と質問に対する応答の受け付けの様子を示した模式図である。
【0079】
図9(A)に示すように、周辺環境が「明るい」及び「晴れ」の組合せである場合に、カーブ51を走行する車両2に生じさせる加速度が0.20Gとなるように減速制御が行われ、その後に「丁度良い」が応答として選択された場合には、応答制御量として0.20Gが記録される。
図9(B)に示すように、周辺環境が「暗い」及び「くもり」の組合せである場合に、カーブ51を走行する車両2に生じさせる加速度が0.20Gとなるように減速制御が行われ、その後に「少し弱い」が応答として選択された場合には、応答制御量として0.15Gが記録される。
【0080】
次に、S31では補正制御量を設定するのに十分な応答制御量のサンプルが収集されたか否かが判定される。具体的には、前記S29で利用者からの応答を5回以上受け付け、前記S30で運転指向パラメータリスト26に記録された応答制御量が5個以上記録された場合には、補正制御量となる各応答制御量の平均値を算出するのに十分なサンプル量が収集されたと判定される。
【0081】
そして、十分なサンプル量が収集されていないと判定された場合(S31:NO)には、当該運転指向学習処理を終了する一方、十分なサンプル量が収集されていると判定された場合(S31:YES)には、S32へと移行する。
【0082】
S32では、収集されたサンプルから前記S23で特定された周辺環境での応答制御量のばらつきが判定される。具体的には、前記S30で新たに記録された応答制御量を含めてサンプルデータリスト27に記録された応答制御量の値を所定の計算式に代入することにより、標準偏差を算出する。
【0083】
そして、S33では標準偏差に基づいて応答制御量に一定以上のばらつきがあるか否かによって、平均値を補正制御量とすることの有効性が判定される。ここで、各周辺環境下で収集した応答制御量は利用者の運転指向性に基づいてある程度の指向性を有しているが、利用者のその時点での体調等の様々な要因によって必ずしも一定の指向性を有するとは限らない。
即ち、ばらつきが一定以上ある場合(S33:YES)には平均値を補正制御量とすることが利用者の運転指向を反映した制御であるとはいえないので、当該周辺環境では次回以降のカーブが接近した際の推奨車速の算出(S15、図8参照)において補正制御量を使用せず、基本制御量である0.20Gを使用する(S34)。その結果、車両制御装置1では基本制御量に基づく車両の制御が行われる。尚、応答制御量のばらつきの大きさの判定においては、前記S19で算出された標準偏差が用いられるが、例えば標準偏差が0.10G以上である場合に、一定以上のばらつきがあると判定される。
【0084】
それに対し、ばらつきが一定未満の場合(S33:NO)には平均値を補正制御量とすることによって利用者の運転指向を反映した制御が行えるので、記録された応答制御量の平均値を算出し、算出した平均値を当該周辺環境に対応する補正制御量として設定又は更新する(S35)。そして、当該周辺環境では次回以降のカーブが接近した際の推奨車速の算出(S15、図8参照)において補正制御量が使用される。その結果、車両制御装置1では補正制御量に基づく車両の制御が行われる。尚、上記S35の処理が車両制御変更手段の処理に相当する。
【0085】
ここで、図10を用いて前記S30で記録された応答制御量に基づく補正制御量の設定と、その有効性について説明する。図10は周辺環境毎に記録された各応答制御量を変数別統計量グラフに示した図である。
図10に示すように、各周辺環境下で収集した応答制御量は利用者の運転指向性に基づいてある程度の指向性を有しているが、利用者のその時点での体調等の様々な要因によって必ずしも一定の指向性を有するとは限らない。例えば、図10に示す「明るい」と「雨」との組合せからなる周辺環境では、記録した応答制御量のばらつきが非常に大きく、平均値の補正制御量は利用者の運転指向性を反映した有効な制御量とはいえない。
一方、「明るい」と「雨」との組合せ以外からなる周辺環境では、記録した応答制御量のばらつきは許容範囲内であり、平均値の補正制御量は利用者の運転指向性を反映した有効な制御量であると考えられる。
【0086】
続いて、本実施形態に係る車両制御装置1のCVT制御装置4が実行するCVT変速制御処理プログラムについて図11に基づき説明する。図11は本実施形態に係る車両制御装置1のCVT制御装置4が実行するCVT変速制御処理プログラムのフローチャートである。ここで、CVT変速制御処理プログラムは、ナビゲーション装置3から送信された減速度に基づいてCVT4の変速比を変化させ、車両2に対してエンジンブレーキをかけるものである。尚、以下に図11にフローチャートで示されるプログラムはCVT制御装置4が備えているROMやRAMに記憶されており、CPUにより実行される。
【0087】
CVT変速制御処理では、先ずS41において、前記S17でナビゲーション装置3から送信された減速に必要な減速度を受信する。続いて、S42では前記S41で受信した減速度に基づいてカーブの進入口で車速がナビゲーション装置3で算出された推奨車速となるように所定のタイミングで連続的にCVT4の変速比を変化させ、車両2に対してエンジンブレーキをかける。
【0088】
次に、S43では車両の制御が終了したか否か、即ち、CVT4の変速比を変化させることによりカーブ進入までに車両2の車速を推奨車速とし、該当するカーブの走行が終了したか否か判定される。
【0089】
そして、車両の制御が終了したと判定された場合(S43:YES)には、S44で車両の制御が終了したことをナビゲーション装置3に対して送信する。そして、ナビゲーション装置3は車両の制御が終了したことを受信した場合に、運転指向学習処理プログラム(図7)のS21において車両2がカーブに進入する際の車両制御がなされたと判定する。
一方、車両の制御が終了していないと判定された場合(S43:NO)にはS42へと戻り、継続してCVT4の変速比を変化させる。
【0090】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る車両制御装置1では、道路のカーブが接近したことに基づく車速の推奨車速への減速制御を行った後であって利用者の車両の運転に対する運転負荷が所定負荷未満であり、車両の挙動も安定していると判定された場合(S26:YES、S27:YES)に、実行された制御量の妥当性を問う質問を利用者に対して出力し(S28)、それに対する利用者の応答から補正制御量を設定し(S35)、次回以降において設定された補正制御量に基づいて新たに算出された推奨車速への減速制御を行う(S42)ので、利用者の運転指向を容易に特定できるとともに、利用者の運転指向を制御内容に反映させた適切な車両の制御が可能となる。また、質問の出力及び質問に対する応答を行わせることによって利用者の運転における集中力を低下させることとなっても利用者の考えを反映した正しい応答を得ることが可能となる。
また、周辺環境を検出する為の照度センサ6や通信装置21を設け、補正制御量を周辺環境毎に対応付けることにより、利用者の運転指向に加えて周辺環境に対応して制御内容を変更して車両の制御を行うことができるので、利用者の運転指向を様々な状況で適確に制御内容に反映させた車両の制御が可能となる。
また、検出された周辺環境毎に受け付けられた複数の応答によって特定された複数の制御量を平均した平均値を当該周辺環境に対応付ける補正制御量とする(S35)ので、複数の応答に基づいて利用者の運転指向を考慮した適確な制御量を算出することが可能となる。
一方、検出された周辺環境毎に受け付けられた複数の応答によって特定された複数の制御量が一定未満のばらつきとなると判定された場合(S33:NO)に、当該周辺環境に対して補正制御量の対応付けを行う(S35)ので、平均値を補正制御量とすることが利用者の運転指向を反映した制御となると考えられる場合のみに、補正制御量に基づいた車両の制御を行うことが可能となる。従って、利用者の応答時点での体調等の様々な要因によって誤った補正制御量が算出された場合であっても、そのような補正制御量に基づいて車両の制御が行われる虞がない。
更に、利用者からの応答を同一の周辺環境下で10回以上受け付け(S29)、運転指向パラメータリスト26に記録された応答制御量が10個以上記録された場合(S24:YES)には、既に十分なサンプルが収集され、適正な補正制御量が算出されていると考えられ、当該周辺環境下ではそれ以上の質問を行わないので、ナビゲーション装置3の処理負担や利用者の作業負担を軽減させることが可能となる。
【0091】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、カーブが接近した際の速度制御に対して補正制御量を設定することとしているが、その他にも交差点が接近した際や段差のある道路を走行する際の速度制御に対して補正制御量を設定することとしても良い。
【0092】
また、本実施形態では、道路のカーブが接近したことに基づく車速の推奨車速への減速制御を行った後であって利用者の車両の運転に対する運転負荷が所定負荷未満であり、車両の挙動も安定していると判定された場合(S26:YES、S27:YES)に、質問を行うこととしているが、運転負荷が所定負荷未満であること、及び車両の挙動が安定していることのいずれかを満たしていれば質問を行うようにしても良い。
【0093】
また、本実施形態では検出される周辺環境として照度センサ6により検出される周囲の明るさと通信装置21により検出される天気とを用いているが、GPS31と地図情報DB25により検出される自車の走行する道路の種類(例えば、細街路、高速道路、国道)やGPS31により検出される現在の時刻(例えば、朝、昼、夜)等を周辺環境として検出し、補正制御量を対応付けることとしても良い。また、自車の周囲の天気は通信装置21によりセンタから取得するのではなく、湿度センサや雨滴センサ等によって判定することとしても良い。
【0094】
また、本実施形態では質問に対する利用者の応答として、「丁度良い」、「少し弱い」、「少し強い」の3種類の選択肢を選択させることとしているが、応答としてカーブ進入時の希望する車速の具体値(例えば40km/h)を入力させることとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本実施形態に係る車両制御装置の概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る車両制御装置の制御系を模式的に示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る車両制御装置で作成される運転指向パラメータリストを示した図である。
【図4】本実施形態に係る車両制御装置で利用者の応答に基づいて作成されるサンプルデータリストを示した図である。
【図5】本実施形態に係る車両制御装置におけるナビゲーション装置が実行するリスト作成処理プログラムのフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る車両制御装置におけるナビゲーション装置が実行する車両制御算出処理プログラムのフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る車両制御装置におけるナビゲーション装置が実行する運転指向学習処理プログラムのフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る車両制御装置で制御を行うカーブ進入時の推奨車速の算出方法を示した図である。
【図9】(A)は周辺環境が「明るい」及び「晴れ」の組合せである場合に、車両に対して行われる質問の出力と質問に対する応答の受け付けの様子を示した模式図、(B)は周辺環境が「暗い」及び「くもり」の組合せである場合に、車両に対して行われる質問の出力と質問に対する応答の受け付けの様子を示した模式図である。
【図10】周辺環境毎に記録された各応答制御量を変数別統計量グラフに示した図である。
【図11】本実施形態に係る車両制御装置におけるCVT制御装置が実行するCVT変速制御処理プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0096】
1 車両制御装置
2 車両
3 ナビゲーション装置
4 CVT制御装置
5 CVT
6 照度センサ
10 液晶ディスプレイ
11 スピーカ
15 現在地検出処理部
16 データ記録部
17 ナビゲーション制御部
18 操作部
21 通信装置
41 CPU
42 RAM
43 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が所定の条件を満たした場合に、前記条件に対応する車両の制御を行う車両制御手段を有する車両制御装置において、
利用者の車両の運転に対する運転負荷が所定負荷未満であるか否か判定する運転負荷判定手段と、
前記運転負荷判定手段によって運転負荷が所定負荷未満であると判定された場合に、利用者に対して車両の制御の妥当性を問う質問を出力する質問出力手段と、
前記質問出力手段により出力された質問に対する利用者の応答を受け付ける応答受付手段と、
前記応答受付手段により受け付けられた応答に基づいて、前記条件に対応する車両の制御に係る制御内容を変更する車両制御変更手段と、を有することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
車両の前方に位置するカーブ又は交差点を検出する対象物検出手段を備え、
前記運転負荷判定手段は、前記対象物検出手段によって車両の前方の所定距離以内にカーブ又は交差点が検出されなかった場合に運転負荷が所定負荷未満であると判定することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
車両の前方を走行する他車両との車間距離を検出する車間距離検出手段を備え、
前記運転負荷判定手段は、前記車間距離検出手段によって車間距離が所定距離以上離れていることが検出された場合に運転負荷が所定負荷未満であると判定することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項4】
車両の走行案内を行うナビゲーション装置を備え、
前記運転負荷判定手段は、前記ナビゲーション装置によって走行の案内が行われていない場合に運転負荷が所定負荷未満であると判定することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項5】
車両が走行を開始してからの経過時刻を検出する経過時刻検出手段を備え、
前記運転負荷判定手段は、前記経過時刻検出手段によって走行開始から所定時間以内であることが検出された場合に運転負荷が所定負荷未満であると判定することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項6】
車両の挙動が安定しているか否か判定する車両挙動判定手段を有し、
前記質問出力手段は、前記車両挙動判定手段によって車両の挙動が安定していると判定された場合に、利用者に対して車両の制御の妥当性を問う質問を出力することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の車両制御装置。
【請求項7】
車両が所定の条件を満たした場合に、前記条件に対応する車両の制御を行う車両制御手段を有する車両制御装置において、
車両の挙動が安定しているか否か判定する車両挙動判定手段と、
前記車両挙動判定手段によって車両の挙動が安定していると判定された場合に、利用者に対して車両の制御の妥当性を問う質問を出力する質問出力手段と、
前記質問出力手段により出力された質問に対する利用者の応答を受け付ける応答受付手段と、
前記応答受付手段により受け付けられた応答に基づいて、前記条件に対応する車両の制御に係る制御内容を変更する車両制御変更手段と、を有することを特徴とする車両制御装置。
【請求項8】
車両の左右方向又は前後方向に対して生じる加速度を検出する加速度検出手段を備え、
前記車両挙動判定手段は、前記加速度検出手段によって検出された車両の左右方向又は前後方向に対して生じている加速度が所定値未満であることが検出された場合に車両の挙動が安定していると判定することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の車両制御装置。
【請求項9】
車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段を備え、
前記車両挙動判定手段は、前記ヨーレート検出手段によって車両のヨーレートが所定値未満であることが検出された場合に車両の挙動が安定していると判定することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の車両制御装置。
【請求項10】
車両のアクセル操作又はブレーキ操作を検出する操作状態検出手段を備え、
前記車両挙動判定手段は、前記操作状態検出手段によってアクセル操作又はブレーキ操作の変化量が所定量以下であることが検出された場合に車両の挙動が安定していると判定することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の車両制御装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−79862(P2007−79862A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265962(P2005−265962)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】