車両制御装置
【課題】先々行車両の存在の検出精度を向上することが可能な車両制御装置を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る車両制御装置1は、反射体を利用してレーダ20によって先々行車両を認識し、当該レーダ20によって認識された先々行車両に基づいて自車両の走行制御を行う車両制御装置において、道路以外の反射体を認識する反射体認識手段42と、レーダ20によって先々行車両が認識されない場合であっても、反射体認識手段42によって道路以外の反射体が認識されない場合には、先々行車両がいるかもしれないと推定する先々行車両推定手段43と、レーダ20によって先々行車両が認識されない場合であっても、先々行車両推定手段43によって先々行車両がいるかもしれないと推定された場合には、自車両の走行制御を行う走行制御手段44とを備える。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る車両制御装置1は、反射体を利用してレーダ20によって先々行車両を認識し、当該レーダ20によって認識された先々行車両に基づいて自車両の走行制御を行う車両制御装置において、道路以外の反射体を認識する反射体認識手段42と、レーダ20によって先々行車両が認識されない場合であっても、反射体認識手段42によって道路以外の反射体が認識されない場合には、先々行車両がいるかもしれないと推定する先々行車両推定手段43と、レーダ20によって先々行車両が認識されない場合であっても、先々行車両推定手段43によって先々行車両がいるかもしれないと推定された場合には、自車両の走行制御を行う走行制御手段44とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
先行車両だけでなく先々行車両にも基づいて自車両の走行制御を行う車両制御装置が知られており、この種の車両制御装置が例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の車両制御装置では、例えば、先行車両が先々行車両に接近して走行し、その結果、先行車両と先々行車両との車間距離が所定の車間距離よりも短くなって、前方車両がギクシャク運転をしそうな状況においては、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持しようとする自車両の車速制御から、先々行車両を目標車両として自車両と先々行車両との車間距離を目標車間距離に維持しようとする自車両の車速制御に変更する。これにより、例え先行車両が急ブレーキや急加速を繰り返すギクシャク運転をしても、それに連動して自車両が急ブレーキや急加速を頻繁に行うことが解消され、乗員の乗り心地や安心感の向上が図られるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−62475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電波などを送信し、検出対象物によって反射する反射波を受信するレーダを用いて先々行車両の検出を行う場合、先行車両の下の路面による反射波や、道路以外の反射体、例えば、先行車両の横側に位置するガードレールや防音壁などの反射体による反射波など、複数の検出経路からの反射波を利用する。しかしながら、道路環境によっては先行車両の横側の反射体が存在しない場合があり、この場合には先行車両の下の路面による反射波だけでは受信波強度が弱く、検出精度が低いことがあった。その結果、実際には先々行車両が存在していて、先々行車両がドライバによって目視できているような場合においても、レーダでは先々行車両を認識できず、先々行車両に基づく走行制御が行われず、ドライバの違和感が生じたり、走行制御の作動率が低下したり、走行制御の誤動作を招いたりしてしまうことがあった。
【0005】
この点に関し、特許文献1には、例えば、峠の頂上やカーブ等で先々行車両を一時的に見失った場合にも、最後に検出された先々行車両と自車両との車間距離を用いて、上記した先々行車両を目標車両とする自車両の車速制御を所定時間だけ続行することが開示されているが、あくまで一時的な制御である。
【0006】
そこで、本発明は、先々行車両の存在の検出精度を向上することが可能な車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両制御装置は、反射体を利用してレーダによって先々行車両を認識し、当該レーダによって認識された先々行車両に基づいて自車両の走行制御を行う車両制御装置において、道路以外の反射体を認識する反射体認識手段と、レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、反射体認識手段によって道路以外の反射体が認識されない場合には、先々行車両がいるかもしれないと推定する先々行車両推定手段と、レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、先々行車両推定手段によって先々行車両がいるかもしれないと推定された場合には、自車両の走行制御を行う走行制御手段とを備える。
【0008】
この車両制御装置によれば、レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、反射体認識手段によって道路以外の反射体が認識されない場合には、先々行車両推定手段によって、レーダの検出精度が低いと推定して先々行車両がいるかもしれないと推定する。すなわち、従来の先々行車両が「いる/いない」の2値判定ではなく、従来の先々行車両が「いない」の判定を更に先々行車両が「いるかもしれない/いない」の2値判定に細分化した3値判定を行う。したがって、先々行車両の存在の検出精度を向上することができる。
【0009】
上記した車両制御装置は、レーダによって認識された先々行車両と自車両との距離、当該先々行車両の速度及び加速度の情報を記憶する先々行車両情報記憶手段と、レーダによって先々行車両が認識されない場合に、先々行車両情報記憶手段に記憶された前回の先々行車両の情報に基づいて、当該前回の先々行車両の現在位置の推定を行う先々行車両位置推定手段と、レーダの地上高、先々行車両の背面の地上高、自車両と先行車両との車間距離、先行車両の車長及び車高に基づいて、レーダによる先々行車両の検知可能領域を推定する検知可能領域推定手段とを更に備え、上記した先々行車両推定手段は、レーダによって先々行車両が認識されない場合であって、反射体認識手段によって道路以外の反射体が認識されない場合には、更に、先々行車両位置推定手段によって推定された前回の先々行車両の現在位置が、検知可能領域推定手段によって推定されたレーダによる先々行車両の検知可能領域外である場合に、先々行車両がいるかもしれないと推定することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、先々行車両位置推定手段によって、先々行車両情報記憶手段に記憶された前回の先々行車両の挙動情報から前回の先々行車両の現在位置を推定すると共に、検知可能領域推定手段によって、レーダによる先々行車両の検知可能領域を推定し、前回の先々行車両の現在位置がレーダによる先々行車両の検知可能領域外である場合に、先々行車両推定手段によって、レーダの検出精度が低いと推定して先々行車両がいるかもしれないと推定する。したがって、道路以外の反射体、例えば、先行車両の横側に位置するガードレールや防音壁などの反射体がない道路においても、先々行車両の存在の検出精度を向上することができる。
【0011】
上記した検知可能領域推定手段は、先行車両の車長及び車高のうちの少なくとも何れかを推定し、推定した先行車両の車長及び車高のうちの少なくとも何れかを用いてレーダによる先々行車両の検知可能領域を推定することが好ましい。
【0012】
レーダによる先々行車両の検知可能領域は、障害物である先行車両の大きさに依存するところが大きい。この構成によれば、検知可能領域推定手段によって、先行車両の車長及び車高のうちの少なくとも何れかを推定し、推定した先行車両の車長及び車高のうちの少なくとも何れかを用いてレーダによる先々行車両の検知可能領域を推定するので、レーダによる先々行車両の検知可能領域の推定精度を高めることができ、その結果、先々行車両の存在の検出精度をより向上することができる。
【0013】
上記した走行制御手段は、レーダによって先々行車両が認識された場合には、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行う自車両の走行制御において、先々行車両の加減速を検出する際にも自車両の加減速制御を行う自車両の第1の走行制御を行い、レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、先々行車両推定手段によって先々行車両がいるかもしれないと推定された場合には、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行う自車両の走行制御において、当該目標車間距離を第1の走行制御よりも大きくする自車両の第2の走行制御を行うことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、レーダによって先々行車両が認識された場合には、自車両の第1の走行制御によって、所謂ACC(AdaptiveCruise Control)において、先行車両よりも先行して先々行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行うので、自車両の燃費を向上させる走行制御が可能となる。更に、レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、先々行車両推定手段によって先々行車両がいるかもしれないと推定された場合には、自車両の第2の走行制御によって、所謂ACCにおいて、目標車間距離を第1の走行制御よりも大きくするので、自車両の燃費を向上させる走行制御が可能となる。
【0015】
また、上記した走行制御手段は、レーダによって先々行車両が認識された場合には、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行う自車両の走行制御において、先々行車両の加減速を検出する際にも自車両の加減速制御を行う自車両の第1の走行制御を行い、レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、先々行車両推定手段によって先々行車両がいるかもしれないと推定された場合には、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行う自車両の走行制御において、当該自車両の加減速を第1の走行制御よりも抑制する自車両の第2の走行制御を行ってもよい。
【0016】
この構成によれば、上記したように、レーダによって先々行車両が認識された場合には、自車両の第1の走行制御によって、所謂ACCにおいて、先行車両よりも先行して先々行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行うので、自車両の燃費を向上させる走行制御が可能となる。更に、レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、先々行車両推定手段によって先々行車両がいるかもしれないと推定された場合には、自車両の第2の走行制御によって、所謂ACCにおいて、自車両の加減速を第1の走行制御よりも抑制するので、自車両の燃費を向上させる走行制御が可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、先々行車両の存在の検出精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両制御装置を示す図である。
【図2】道路を反射体として利用するレーダによる先々行車両の検出方法を示す図である。
【図3】道路以外の反射体を利用するレーダによる先々行車両の検出方法を示す図である。
【図4】第1の実施形態の車両制御装置による先々行車両存在推定処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る車両制御装置を示す図である。
【図6】レーダによる先々行車両の検知可能領域を示す図である。
【図7】図6に示す検知可能領域を求める際の各種パラメータを示す図である。
【図8】第2の実施形態の車両制御装置による先々行車両存在推定処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る車両制御装置を示す図である。
【図10】第3の実施形態の検知可能領域推定部による先行車両の車長推定処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る車両制御装置を示す図である。
【図12】第4の実施形態の検知可能領域推定部による先行車両の車高推定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0020】
本発明の実施形態に係る車両制御装置は、電波を利用したレーダなどによって先行車両に加えて先々行車両を認識した場合には、先行車両だけでなく先々行車両にも基づいて自車両の走行制御を行うものである。例えば、本実施形態の車両制御装置は、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両を追従する自車両の走行制御(AdaptiveCruise Control:ACC)において、先々行車両の挙動も監視し、先々行車両の減速開始を検知したときは自車両も早めにアクセルOFFを行うように走行制御を行ない、反対に先々行車両の加速開始を検知したときは自車も早めに加速させるように走行制御を行う。また、例えば、本実施形態の車両制御装置は、ACCにおいて、先行車両の減速開始を検知しても先々行車両の減速がないか又は小さいときには自車両の減速を先行車両の減速より抑制するように走行制御を行い、反対に先行車両の加速開始を検知しても先々行車両の加速がないか又は小さいときには自車両の加速を先行車両の加速より抑制するように走行制御を行う(第1の走行制御)。これにより、自車両の燃費を向上させることが可能となる。
【0021】
一方、レーダなどによって先々行車両を認識できない場合には、本実施形態の車両制御装置は、別の手段によって更に先々行車両の存在を推定し、先々行車両の存在を推定した場合には、上記した第1の走行制御とは異なる自車両の第2の走行制御を行うものである。以下に詳説する。
[第1の実施形態]
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車両制御装置を示す図である。図1に示す車両制御装置1は、車両センサ10と、レーダ20と、カメラ30と、電子制御ユニット(以下、ECU:Electronic Control Unitという。)40と、各種アクチュエータ50とを備える。
【0023】
車両センサ10は、自車両の速度、加速度(減速度)、ヨーレート、ステアリングホイール操舵角、ブレーキペダル踏量、アクセルペダル踏量などを検出する。車両センサ10は、検出した各信号をECU40へ送信する。
【0024】
レーダ20は、例えば、ミリ波帯の電波を利用して物体を検出するミリ波レーダである。レーダ20は、例えば、自車両の前側の中央に取り付けられる。レーダ20では、ミリ波帯の電波を自車両の前方へ向けて送信し、先行車両や先々行車両などの物体表面で反射された電波を受信する。レーダ20は、送受信信号をECU40へ送信する。
【0025】
カメラ30は、例えば、2台のCCDカメラからなるステレオカメラであり、2台のCCDカメラが水平方向に所定間隔離間されて配置されている。カメラ30も、例えば、自車両の前側の中央に取り付けられる。カメラ30は、2つのCCDカメラで撮像した左右のステレオ画像のデータをECU40へ送信する。
【0026】
ECU40は、演算を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、演算結果などの各種データを記憶するRAM(RandomAccess Memory)などから構成されている。このような構成により、ECU40には、車両認識部41と、反射体認識部42と、先々行車両推定部43と、走行制御部44とが構築されている。
【0027】
車両認識部41は、レーダ20からの送受信信号に基づいて、先行車両及び先々行車両の認識を行う。例えば、車両認識部41は、先行車両の有無や、先行車両と自車両との距離及び相対速度、並びに自車両に対する先行車両の横位置などの位置情報を求める。また、車両認識部41は、先々行車両の有無や、先々行車両と自車両との距離及び相対速度、並びに自車両に対する先々行車両の横位置などの位置情報を求める。
【0028】
ここで、先々行車両の検出方法について、図2及び図3を参照して説明する。図2は、道路を反射体として利用するレーダによる先々行車両の検出方法を示す図であり、図3は、道路以外の反射体を利用するレーダによる先々行車両の検出方法を示す図である。図2に示すように、自車両Wにおけるレーダ20及び車両認識部41は、先行車両Wfの下の路面による反射波を検出することによって、先々行車両Wffを検出することができる。また、図3に示すように、自車両Wにおけるレーダ20及び車両認識部41は、道路以外の反射体、例えば、先行車両Wfの横側に位置するガードレールや防音壁などの反射体による反射波を検出することによって、先々行車両Wffを検出することができる。このように、電波を利用して先々行車両Wffを認識する場合、先行車両Wfの下の路面による反射波と、道路以外の先行車両Wfの横側に位置するガードレールなどの反射体による反射波との2つの検出経路からの反射波を検出することにより、検出精度を高めている。
【0029】
反射体認識部42は、カメラ30からの画像データに基づいて、道路以外の反射体、すなわち、上記した先行車両の横側に位置するガードレールや防音壁などの反射体の認識を行う。
【0030】
先々行車両推定部43は、車両認識部41による先々行車両認識結果、及び、反射体認識部42による反射体認識結果に基づいて、先々行車両の存在の推定を行う。具体的には、先々行車両推定部43は、レーダ20及び車両認識部41によって先々行車両の存在が認識された場合には、先々行車両が「いる」と推定する。
【0031】
一方、レーダ20及び車両認識部41によって先々行車両の存在が認識されなかった場合、先々行車両推定部43は、更に道路以外の反射体の存在により先々行車両の存在を推定する。具体的には、カメラ30及び反射体認識部42によって、道路以外の反射体、すなわち先行車両の横側に位置するガードレールや防音壁などの反射体の存在が認識された場合、先々行車両推定部43は、図2及び図3に示すように先々行車両を検出するための検出経路は2経路存在するので検出精度が高いと判断し、先々行車両が「いない」と推定する。しかしながら、カメラ30及び反射体認識部42によって、道路以外の反射体、すなわち先行車両の横側に位置するガードレールや防音壁などの反射体の存在が認識されない場合には、先々行車両推定部43は、図2に示すように先々行車両を検出するための検出経路は路面反射の1経路のみであるので検出精度が低いと判断し、先々行車両が「いるかもしれない」と推定する。
【0032】
走行制御部44は、先々行車両推定部43による先々行車両存在推定結果に基づいて、自車両の走行制御を行う。具体的には、走行制御部44は、先々行車両推定部43によって先々行車両が「いない」と推定された場合には、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両を追従する自車両の走行制御(ACC)を行う。一方、先々行車両推定部43によって先々行車両が「いる」と推定された場合には、上記したように、ACCにおいて、先行車両に加えて先々行車両にも基づいて自車両の走行制御を行う第1の走行制御を行う。これにより、自車両の燃費を向上させることが可能となる。
【0033】
そして、先々行車両推定部43によって先々行車両が「いるかもしれない」と推定された場合には、走行制御部44は、上記した第1の走行制御とは異なる自車両の第2の走行制御を行う。例えば、第2の走行制御は、ACCにおいて、上記した第1の走行制御より自車両と先行車両との目標車間距離を大きくした走行制御である。又は、例えば、第2の走行制御は、ACCにおいて、先行車両の加減速に応じて自車両の加減速を行う際に、第1の走行制御より自車両の加減速を抑制する走行制御である。これにより、先行車両に対して余裕を持った走行制御が可能となり、先行車両が急な加減速を行っても自車両に急な加減速を行わせることがないので、自車両の燃費を向上させることが可能となる。
【0034】
なお、走行制御部44による自車両の走行制御は、例えば、車両センサ10によって検出された各種情報に基づいて、スロットルアクチュエータやブレーキアクチュエータなどの各種アクチュエータ50を制御することによって行われる。
【0035】
次に、第1の実施形態の車両制御装置1による先々行車両存在推定動作について説明する。図4は、第1の実施形態の車両制御装置による先々行車両存在推定処理を示すフローチャートである。
【0036】
まず、レーダ20及び車両認識部41によって先々行車両の認識を行い(S01)、先々行車両が認識された場合には、先々行車両推定部43によって先々行車両が「いる」と推定する(S02)。すると、走行制御部44によって上記第1の走行制御が行われる。
【0037】
一方、レーダ20及び車両認識部41によって先々行車両が認識されない場合には、カメラ30及び反射体認識部42によって、道路以外の反射体、すなわち、先行車両の横側に位置するガードレールや防音壁などの反射体の認識を行い(S03)、道路以外の反射体が認識された場合には、先々行車両推定部43によって、図2及び図3に示すように先々行車両を検出するための検出経路は2経路存在するので検出精度が高いと判断し、先々行車両が「いない」と推定する(S04)。すると、走行制御部44によってACCが行われる。
【0038】
そして、カメラ30及び反射体認識部42によって道路以外の反射体が認識されなかった場合には、先々行車両推定部43によって、図2に示すように先々行車両を検出するための検出経路は路面反射の1経路のみであるので検出精度が低いと判断し、先々行車両が「いるかもしれない」と推定する(S05)。すると、走行制御部44によって上記第2の走行制御が行われる。
【0039】
このように、第1の実施形態に係る車両制御装置1によれば、レーダ20及び車両認識部41によって先々行車両が認識されない場合であっても、カメラ30及び反射体認識部42によって道路以外の反射体が認識されない場合には、先々行車両推定部43によって、レーダ20の検出精度が低いと推定して先々行車両が「いるかもしれない」と推定する。すなわち、従来の先々行車両が「いる/いない」の2値判定ではなく、従来の先々行車両が「いない」の判定を更に先々行車両が「いるかもしれない/いない」の2値判定に細分化した3値判定を行う。したがって、先々行車両の存在の検出精度を向上することができる。
【0040】
その結果、先々行車両がドライバによって目視できている場合にレーダ20によって先々行車両を検出できないという不具合を低減することができ、ドライバの違和感の低減、走行制御の作動率の低下の抑制、走行制御の誤動作の低減が可能となる。
[第2の実施形態]
【0041】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る車両制御装置を示す図である。図5に示す車両制御装置1Aは、車両制御装置1においてECU40に代えてECU40Aを備える構成で第1の実施形態と異なっている。車両制御装置1Aのその他の構成は、車両制御装置1と同一である。
【0042】
ECU40Aは、ECU40において先々行車両推定部43に代えて先々行車両推定部43Aを備えており、更に、先々行車両情報記憶部45と、先々行車両位置推定部46と、検知可能領域推定部47とを備える点でECU40と異なっている。ECU40Aのその他の構成は、ECU40と同一である。
【0043】
先々行車両情報記憶部45は、先々行車両推定部43Aによって推定された前回の先々行車両存在推定結果「いる/いるかもしれない/いない」を、車両認識部41によって求めた前回の先々行車両と自車両との車間距離、前回の先々行車両の速度及び加速度などの情報と関連付けて記憶する。
【0044】
先々行車両位置推定部46は、先々行車両情報記憶部45に記憶された前回の先々行車両の情報に基づいて、先々行車両の現在位置を推定する。具体的には、先々行車両位置推定部46は、先々行車両情報記憶部45に記憶された前回の先々行車両と自車両との車間距離d20、前回の先々行車両の速度V及び加速度aに基づいて、前回の先々行車両の挙動を予測し、現在位置d2nを推定する。
【0045】
検知可能領域推定部47は、レーダ20による先々行車両の検知可能領域を推定する。ここで、図6に、レーダ20による先々行車両の検知可能領域を示し、図7に、図6に示す検知可能領域を求める際の各種パラメータを示す。先々行車両Wffに電波が届くためには、電波が先行車両Wfの下の路面を反射して通過できなければならない制約から、自車両Wと先々行車両Wffとの車間距離d2は、自車両Wと先行車両Wfとの車間距離d1によって決まる。
【0046】
例えば、レーダ20によって先々行車両Wffを認識することができる自車両Wと先行車両Wfとの車間距離d1の最小値d1minは、自車両Wにおけるレーダ20の地上高HL、先行車両Wfの車高H及び車長Lに基づいて、下式(1)によって求められる。ここで、レーダ20の地上高HL、先行車両Wfの車高H及び車長Lは、予め設定されればよい。なお、先行車両Wfの車高Hは、車両下の間隙の高さのことを示すものとする。
【数1】
また、レーダ20からの電波が先々行車両Wffに届くことができる自車両Wと先々行車両Wffとの車間距離d2の範囲は、更に、レーダ20の性能によって決まる定数α、先々行車両Wffの背面(電磁波を反射することのできる部分)の地上高Rに基づいて、下式(2)によって求められる。ここで、定数α、先々行車両Wffの背面の地上高Rは予め設定されればよく、自車両Wと先行車両Wfとの車間距離d1はレーダ20及び車両認識部41によって求められたものを用いればよい。
【数2】
検知可能領域推定部47は、上記(1)式及び(2)式に基づいて、図6に示すようなレーダ20による先々行車両の検知可能領域Aを推定する。
【0047】
先々行車両推定部43Aは、レーダ20及び車両認識部41によって先々行車両の存在が認識されなかった場合であって、カメラ30及び反射体認識部42によって道路以外の反射体の存在が認識されなかった場合に、更に、先々行車両位置推定部46によって推定された前回の先々行車両の現在位置d2n、及び、検知可能領域推定部47によって推定されたレーダ20による先々行車両の検知可能領域Aに基づいて、先々行車両の存在を推定する。具体的には、先々行車両推定部43Aは、前回の先々行車両の現在位置d2nがレーダ20による先々行車両の検知可能領域A内(図6)、すなわち上記(2)式の範囲内である場合、先々行車両は物理的に電波が届く場所にいるにも関わらず検出できなかったので検出精度が高いと判断し、先々行車両は「いない」と推定する。
【0048】
一方、前回の先々行車両の現在位置d2nがレーダ20による先々行車両の検知可能領域A外(図6)、すなわち上記(2)式の範囲外である場合には、先々行車両推定部43Aは、先々行車両は単に物理的に検出不可能な位置に移動しただけで実際には存在するかもしれないので検出精度が低いと判断し、先々行車は「いるかもしれない」と推定する。
【0049】
次に、第2の実施形態の車両制御装置1Aによる先々行車両存在推定動作について説明する。図8は、第2の実施形態の車両制御装置による先々行車両存在推定処理を示すフローチャートである。
【0050】
まず、レーダ20、カメラ30、車両認識部41、反射体認識部42、先々行車両推定部43Aによって、上記したステップS01〜S04の処理が行われる。そして、レーダ20及び車両認識部41によって先々行車両が認識されず、カメラ30及び反射体認識部42によって道路以外の反射体が認識されなかった場合、先々行車両情報記憶部45に記憶された前回の先々行車両存在推定結果に基づいて、前回、先々行車両を認識していたか否かの判定を行い(S11)、前回の先々行車両存在推定結果が「いるかもしれない/いない」である場合、すなわち、前回、先々行車両を認識していない場合には、先々行車両推定部43Aによって、先々行車両が「いない」と推定する(S04)。
【0051】
一方、前回の先々行車両存在推定結果が「いる」である場合、すなわち、前回、先々行車両を認識していた場合には、先々行車両位置推定部46によって、先々行車両情報記憶部45に記憶された前回の先々行車両と自車両との車間距離d20、前回の先々行車両の速度V及び加速度aから、前回の先々行車両の挙動を予測して現在位置d2nを推定する(S12)。また、検知可能領域推定部47によって、上記(1)式及び(2)式に基づいて、図6に示すようなレーダ20による先々行車両の検知可能領域Aを推定する(S13)。そして、先々行車両推定部43Aによって、前回の先々行車両の現在位置d2nがレーダ20による先々行車両の検知可能領域A内であるか否かを推定し(S14)、前回の先々行車両の現在位置d2nがレーダ20による先々行車両の検知可能領域A内である場合には、先々行車両は物理的に電波が届く場所にいるにも関わらず検出できなかったので検出精度が高いと判断し、先々行車両は「いない」と推定する(S04)。一方、前回の先々行車両の現在位置d2nがレーダ20による先々行車両の検知可能領域A外である場合には、先々行車両推定部43Aによって、先々行車両は単に物理的に検出不可能な位置に移動しただけで実際には存在するかもしれないので検出精度が低いと判断し、先々行車は「いるかもしれない」と推定する(S05)。
【0052】
このように、第2の実施形態の車両制御装置1Aでも、先々行車両推定部43Aが先々行車両推定部43と同一の先々行車両存在推定動作を行うので、第1の実施形態の車両制御装置1と同様の効果を得ることができる。
【0053】
更に、第2の実施形態の車両制御装置1Aによれば、レーダ20及び車両認識部41によって先々行車両が認識されない場合であっても、先々行車両位置推定部46によって、先々行車両情報記憶部45に記憶された前回の先々行車両の挙動情報から前回の先々行車両の現在位置を推定すると共に、検知可能領域推定部47によって、レーダ20による先々行車両の検知可能領域を推定し、前回の先々行車両の現在位置がレーダ20による先々行車両の検知可能領域外である場合に、先々行車両推定部43Aによって、レーダ20の検出精度が低いと推定して先々行車両が「いるかもしれない」と推定する。したがって、道路以外の反射体、例えば、先行車両の横側に位置するガードレールや防音壁などの反射体がない道路においても、先々行車両の存在の検出精度を向上することができる。
[第3の実施形態]
【0054】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る車両制御装置を示す図である。図9に示す車両制御装置1Bは、車両制御装置1AにおいてECU40Aに代えてECU40Bを備える構成で第2の実施形態と異なっている。車両制御装置1Bのその他の構成は、車両制御装置1Aと同一である。
【0055】
ECU40Bは、ECU40Aにおいて検知可能領域推定部47に代えて検知可能領域推定部47Bを備える点でECU40Aと異なっている。ECU40Bのその他の構成は、ECU40Aと同一である。
【0056】
上記(1)式及び(2)式によれば、レーダ20による先々行車両の検知可能領域Aは、障害物である先行車両の車長Lに依存するものである。そこで、検知可能領域推定部47Bは、先行車両の車長を推定し、推定した車長を用いて上記(1)式及び(2)式からレーダ20による先々行車両の検知可能領域Aを推定する。例えば、検知可能領域推定部47Bは、カメラ30からの画像データを用いて先行車両の車種(トラック、バスなどの大型自動車であるか、普通自動車であるか)を推定し、推定した車種に応じて上記(1)式及び(2)式に用いる先行車両の車長を変更する。
【0057】
図10に、検知可能領域推定部47Bによる先行車両の車長推定処理のフローチャートを示す。例えば、検知可能領域推定部47Bは、図8に示すステップS13において、カメラ30からの画像データを用いて先行車両の車幅wを求め、求めた車幅wから先行車両の車種(大型自動車であるか、普通自動車であるか)を推定する。具体的には、求めた車幅wが閾値Wthrs未満であるならば先行車両は普通自動車であると推定し、求めた車幅wが閾値Wthrs以上であるならば先行車両は大型自動車であると推定する(S21)。なお、閾値Wthrsは、普通自動車か大型自動車かを判断するために予め定めた車幅の閾値であり、例えば、1700mm程度とする。
【0058】
先行車両が大型自動車である場合(S22)、検知可能領域推定部47Bは、先行車両の車長Lの値として所定値LLを用い、上記(1)式及び(2)式からレーダ20による先々行車両の検知可能領域Aを推定する(S23)。一方、先行車両が普通自動車である場合には(S22)、検知可能領域推定部47Bは、先行車両の車長Lの値として所定値LSを用い、上記(1)式及び(2)式からレーダ20による先々行車両の検知可能領域Aを推定する(S24)。なお、所定値LL、LSとしては、それぞれ、大型自動車、普通自動車の平均的な車長を予め設定すればよい。
【0059】
このように、第3の実施形態の車両制御装置1Bでも、先々行車両情報記憶部45、先々行車両位置推定部46、検知可能領域推定部47B、及び、先々行車両推定部43Aを備えているので、第2の実施形態の車両制御装置1Aと同様の効果を得ることができる。
【0060】
更に、第3の実施形態の車両制御装置1Bによれば、検知可能領域推定部47Bによって、先行車両の車長を推定し、推定した先行車両の車長を用いてレーダによる先々行車両の検知可能領域を推定するので、レーダによる先々行車両の検知可能領域の推定精度を高めることができ、その結果、先々行車両の存在の検出精度をより向上することができる。
[第4の実施形態]
【0061】
図11は、本発明の第4の実施形態に係る車両制御装置を示す図である。図11に示す車両制御装置1Cは、車両制御装置1AにおいてECU40Aに代えてECU40Cを備える構成で第2の実施形態と異なっている。車両制御装置1Cのその他の構成は、車両制御装置1Aと同一である。
【0062】
ECU40Cは、ECU40Aにおいて検知可能領域推定部47に代えて検知可能領域推定部47Cを備える点でECU40Aと異なっている。ECU40Cのその他の構成は、ECU40Aと同一である。
【0063】
上記(1)式及び(2)式によれば、レーダ20による先々行車両の検知可能領域Aは、障害物である先行車両の車高Hに依存するものである。そこで、検知可能領域推定部47Cは、先行車両の車高を推定し、推定した車高を用いて上記(1)式及び(2)式からレーダ20による先々行車両の検知可能領域Aを推定する。
【0064】
図12に、検知可能領域推定部47Cによる先行車両の車高推定処理のフローチャートを示す。例えば、検知可能領域推定部47Cは、図8に示すステップS13において、カメラ30からの画像データを用いて先行車両の車高Hを推定し(S31)、推定した車高Hを用い、上記(1)式及び(2)式からレーダ20による先々行車両の検知可能領域Aを推定する(S32)。
【0065】
このように、第4の実施形態の車両制御装置1Cでも、先々行車両情報記憶部45、先々行車両位置推定部46、検知可能領域推定部47C、及び、先々行車両推定部43Aを備えているので、第2の実施形態の車両制御装置1Aと同様の効果を得ることができる。
【0066】
更に、第4の実施形態の車両制御装置1Cによれば、検知可能領域推定部47Cによって、先行車両の車高を推定し、推定した先行車両の車高を用いてレーダによる先々行車両の検知可能領域を推定するので、レーダによる先々行車両の検知可能領域の推定精度を高めることができ、その結果、先々行車両の存在の検出精度をより向上することができる。
【0067】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、先行車両及び先々行車両を認識するためのレーダとしてミリ波レーダを例示したが、電波やレーザを利用して反射波を検出する様々なレーダが適用可能である。また、本実施形態では、道路以外の反射体を認識するためのカメラとしてステレオカメラを例示したが、他にも様々なカメラが適用可能である。
【0068】
また、本実施形態では、カメラからの画像データを用いて道路以外の反射体を認識したが、レーダからの検出信号を用いて道路以外の反射体を認識することも可能である。また、ナビゲーション装置などの道路情報から道路以外の反射体を認識してもよい。
【0069】
また、本実施形態では、各種アクチュエータを自律的に制御する走行制御部を例示したが、走行制御部は、ディスプレイによる画像表示報知や、スピーカ又はブザー等による音声報知などの報知手段を制御することによって、ドライバを誘導するような走行制御を行ってもよい。
【0070】
また、第3の実施形態では、検知可能領域推定部47Bは、先行車両の車幅wを求めることによって先行車両の車種(大型自動車であるか、普通自動車であるか)を推定したが、カメラ30からの画像データを用いて先行車両のナンバープレートを認識し、ナンバープレートの色や分類番号から先行車両の車種を推定してもよい。また、検知可能領域推定部47Bは、カメラ30からの画像データに代えてレーダ20からの検出信号を用いて先行車両の車種を推定することも可能である。また、検知可能領域推定部47Bは、先行車両の車種を大型自動車/普通自動車の2種で推定したが、軽自動車/普通自動車/大型自動車というように3種以上に細かく推定してもよい。また、検知可能領域推定部47Bは、インフラ通信技術を用いて先行車両の車長を取得し、取得した車長を上記(1)式及び(2)式に直接用いてもよい。
【0071】
また、第4の実施形態では、検知可能領域推定部47Cは、カメラ30からの画像データを用いて先行車両の車高を直接求めたが、上記した第3の実施形態と同様に、先行車両の車種を推定し、推定した車種に応じて、軽自動車、普通自動車、大型自動車の平均的な車高を予め設定してもよい。また、上記した第3の実施形態と同様に、検知可能領域推定部47Cは、インフラ通信技術を用いて先行車両の車高を取得し、取得した車高を上記(1)式及び(2)式に直接用いてもよい。また、上記したような車高推定方法が使用できない環境である場合、検知可能領域推定部47Cは、先々行車両がはっきりと見えていたときの先行車両と自車両との車間距離d1、及び、先々行車両と自車両との車間距離d2を用いて下式(3)から先行車両の車高Hの取りうる値の下限値を定めることにより、先行車両の車高Hを推定することが可能である。
【数3】
【0072】
また、第3及び第4の実施形態では、車長及び車高のうちのどちらか一方を上記(1)式及び(2)式に用いたが、車長と車高とのうちの両方を上記(1)式及び(2)式に用いてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1,1A,1B,1C…車両制御装置、10…車両センサ、20…レーダ、30…カメラ、40…電子制御ユニット(ECU)、41…車両認識部、42…反射体認識部(反射体認識手段)、43,43A…先々行車両推定部(先々行車両推定手段)、44…走行制御部(走行制御手段)、45…先々行車両情報記憶部(先々行車両情報記憶手段)、46…先々行車両位置推定部(先々行車両位置推定手段)、47,47B,47C…検知可能領域推定部(検知可能領域推定手段)、50…各種アクチュエータ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
先行車両だけでなく先々行車両にも基づいて自車両の走行制御を行う車両制御装置が知られており、この種の車両制御装置が例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の車両制御装置では、例えば、先行車両が先々行車両に接近して走行し、その結果、先行車両と先々行車両との車間距離が所定の車間距離よりも短くなって、前方車両がギクシャク運転をしそうな状況においては、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持しようとする自車両の車速制御から、先々行車両を目標車両として自車両と先々行車両との車間距離を目標車間距離に維持しようとする自車両の車速制御に変更する。これにより、例え先行車両が急ブレーキや急加速を繰り返すギクシャク運転をしても、それに連動して自車両が急ブレーキや急加速を頻繁に行うことが解消され、乗員の乗り心地や安心感の向上が図られるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−62475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電波などを送信し、検出対象物によって反射する反射波を受信するレーダを用いて先々行車両の検出を行う場合、先行車両の下の路面による反射波や、道路以外の反射体、例えば、先行車両の横側に位置するガードレールや防音壁などの反射体による反射波など、複数の検出経路からの反射波を利用する。しかしながら、道路環境によっては先行車両の横側の反射体が存在しない場合があり、この場合には先行車両の下の路面による反射波だけでは受信波強度が弱く、検出精度が低いことがあった。その結果、実際には先々行車両が存在していて、先々行車両がドライバによって目視できているような場合においても、レーダでは先々行車両を認識できず、先々行車両に基づく走行制御が行われず、ドライバの違和感が生じたり、走行制御の作動率が低下したり、走行制御の誤動作を招いたりしてしまうことがあった。
【0005】
この点に関し、特許文献1には、例えば、峠の頂上やカーブ等で先々行車両を一時的に見失った場合にも、最後に検出された先々行車両と自車両との車間距離を用いて、上記した先々行車両を目標車両とする自車両の車速制御を所定時間だけ続行することが開示されているが、あくまで一時的な制御である。
【0006】
そこで、本発明は、先々行車両の存在の検出精度を向上することが可能な車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両制御装置は、反射体を利用してレーダによって先々行車両を認識し、当該レーダによって認識された先々行車両に基づいて自車両の走行制御を行う車両制御装置において、道路以外の反射体を認識する反射体認識手段と、レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、反射体認識手段によって道路以外の反射体が認識されない場合には、先々行車両がいるかもしれないと推定する先々行車両推定手段と、レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、先々行車両推定手段によって先々行車両がいるかもしれないと推定された場合には、自車両の走行制御を行う走行制御手段とを備える。
【0008】
この車両制御装置によれば、レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、反射体認識手段によって道路以外の反射体が認識されない場合には、先々行車両推定手段によって、レーダの検出精度が低いと推定して先々行車両がいるかもしれないと推定する。すなわち、従来の先々行車両が「いる/いない」の2値判定ではなく、従来の先々行車両が「いない」の判定を更に先々行車両が「いるかもしれない/いない」の2値判定に細分化した3値判定を行う。したがって、先々行車両の存在の検出精度を向上することができる。
【0009】
上記した車両制御装置は、レーダによって認識された先々行車両と自車両との距離、当該先々行車両の速度及び加速度の情報を記憶する先々行車両情報記憶手段と、レーダによって先々行車両が認識されない場合に、先々行車両情報記憶手段に記憶された前回の先々行車両の情報に基づいて、当該前回の先々行車両の現在位置の推定を行う先々行車両位置推定手段と、レーダの地上高、先々行車両の背面の地上高、自車両と先行車両との車間距離、先行車両の車長及び車高に基づいて、レーダによる先々行車両の検知可能領域を推定する検知可能領域推定手段とを更に備え、上記した先々行車両推定手段は、レーダによって先々行車両が認識されない場合であって、反射体認識手段によって道路以外の反射体が認識されない場合には、更に、先々行車両位置推定手段によって推定された前回の先々行車両の現在位置が、検知可能領域推定手段によって推定されたレーダによる先々行車両の検知可能領域外である場合に、先々行車両がいるかもしれないと推定することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、先々行車両位置推定手段によって、先々行車両情報記憶手段に記憶された前回の先々行車両の挙動情報から前回の先々行車両の現在位置を推定すると共に、検知可能領域推定手段によって、レーダによる先々行車両の検知可能領域を推定し、前回の先々行車両の現在位置がレーダによる先々行車両の検知可能領域外である場合に、先々行車両推定手段によって、レーダの検出精度が低いと推定して先々行車両がいるかもしれないと推定する。したがって、道路以外の反射体、例えば、先行車両の横側に位置するガードレールや防音壁などの反射体がない道路においても、先々行車両の存在の検出精度を向上することができる。
【0011】
上記した検知可能領域推定手段は、先行車両の車長及び車高のうちの少なくとも何れかを推定し、推定した先行車両の車長及び車高のうちの少なくとも何れかを用いてレーダによる先々行車両の検知可能領域を推定することが好ましい。
【0012】
レーダによる先々行車両の検知可能領域は、障害物である先行車両の大きさに依存するところが大きい。この構成によれば、検知可能領域推定手段によって、先行車両の車長及び車高のうちの少なくとも何れかを推定し、推定した先行車両の車長及び車高のうちの少なくとも何れかを用いてレーダによる先々行車両の検知可能領域を推定するので、レーダによる先々行車両の検知可能領域の推定精度を高めることができ、その結果、先々行車両の存在の検出精度をより向上することができる。
【0013】
上記した走行制御手段は、レーダによって先々行車両が認識された場合には、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行う自車両の走行制御において、先々行車両の加減速を検出する際にも自車両の加減速制御を行う自車両の第1の走行制御を行い、レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、先々行車両推定手段によって先々行車両がいるかもしれないと推定された場合には、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行う自車両の走行制御において、当該目標車間距離を第1の走行制御よりも大きくする自車両の第2の走行制御を行うことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、レーダによって先々行車両が認識された場合には、自車両の第1の走行制御によって、所謂ACC(AdaptiveCruise Control)において、先行車両よりも先行して先々行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行うので、自車両の燃費を向上させる走行制御が可能となる。更に、レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、先々行車両推定手段によって先々行車両がいるかもしれないと推定された場合には、自車両の第2の走行制御によって、所謂ACCにおいて、目標車間距離を第1の走行制御よりも大きくするので、自車両の燃費を向上させる走行制御が可能となる。
【0015】
また、上記した走行制御手段は、レーダによって先々行車両が認識された場合には、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行う自車両の走行制御において、先々行車両の加減速を検出する際にも自車両の加減速制御を行う自車両の第1の走行制御を行い、レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、先々行車両推定手段によって先々行車両がいるかもしれないと推定された場合には、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行う自車両の走行制御において、当該自車両の加減速を第1の走行制御よりも抑制する自車両の第2の走行制御を行ってもよい。
【0016】
この構成によれば、上記したように、レーダによって先々行車両が認識された場合には、自車両の第1の走行制御によって、所謂ACCにおいて、先行車両よりも先行して先々行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行うので、自車両の燃費を向上させる走行制御が可能となる。更に、レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、先々行車両推定手段によって先々行車両がいるかもしれないと推定された場合には、自車両の第2の走行制御によって、所謂ACCにおいて、自車両の加減速を第1の走行制御よりも抑制するので、自車両の燃費を向上させる走行制御が可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、先々行車両の存在の検出精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両制御装置を示す図である。
【図2】道路を反射体として利用するレーダによる先々行車両の検出方法を示す図である。
【図3】道路以外の反射体を利用するレーダによる先々行車両の検出方法を示す図である。
【図4】第1の実施形態の車両制御装置による先々行車両存在推定処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る車両制御装置を示す図である。
【図6】レーダによる先々行車両の検知可能領域を示す図である。
【図7】図6に示す検知可能領域を求める際の各種パラメータを示す図である。
【図8】第2の実施形態の車両制御装置による先々行車両存在推定処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る車両制御装置を示す図である。
【図10】第3の実施形態の検知可能領域推定部による先行車両の車長推定処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る車両制御装置を示す図である。
【図12】第4の実施形態の検知可能領域推定部による先行車両の車高推定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0020】
本発明の実施形態に係る車両制御装置は、電波を利用したレーダなどによって先行車両に加えて先々行車両を認識した場合には、先行車両だけでなく先々行車両にも基づいて自車両の走行制御を行うものである。例えば、本実施形態の車両制御装置は、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両を追従する自車両の走行制御(AdaptiveCruise Control:ACC)において、先々行車両の挙動も監視し、先々行車両の減速開始を検知したときは自車両も早めにアクセルOFFを行うように走行制御を行ない、反対に先々行車両の加速開始を検知したときは自車も早めに加速させるように走行制御を行う。また、例えば、本実施形態の車両制御装置は、ACCにおいて、先行車両の減速開始を検知しても先々行車両の減速がないか又は小さいときには自車両の減速を先行車両の減速より抑制するように走行制御を行い、反対に先行車両の加速開始を検知しても先々行車両の加速がないか又は小さいときには自車両の加速を先行車両の加速より抑制するように走行制御を行う(第1の走行制御)。これにより、自車両の燃費を向上させることが可能となる。
【0021】
一方、レーダなどによって先々行車両を認識できない場合には、本実施形態の車両制御装置は、別の手段によって更に先々行車両の存在を推定し、先々行車両の存在を推定した場合には、上記した第1の走行制御とは異なる自車両の第2の走行制御を行うものである。以下に詳説する。
[第1の実施形態]
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車両制御装置を示す図である。図1に示す車両制御装置1は、車両センサ10と、レーダ20と、カメラ30と、電子制御ユニット(以下、ECU:Electronic Control Unitという。)40と、各種アクチュエータ50とを備える。
【0023】
車両センサ10は、自車両の速度、加速度(減速度)、ヨーレート、ステアリングホイール操舵角、ブレーキペダル踏量、アクセルペダル踏量などを検出する。車両センサ10は、検出した各信号をECU40へ送信する。
【0024】
レーダ20は、例えば、ミリ波帯の電波を利用して物体を検出するミリ波レーダである。レーダ20は、例えば、自車両の前側の中央に取り付けられる。レーダ20では、ミリ波帯の電波を自車両の前方へ向けて送信し、先行車両や先々行車両などの物体表面で反射された電波を受信する。レーダ20は、送受信信号をECU40へ送信する。
【0025】
カメラ30は、例えば、2台のCCDカメラからなるステレオカメラであり、2台のCCDカメラが水平方向に所定間隔離間されて配置されている。カメラ30も、例えば、自車両の前側の中央に取り付けられる。カメラ30は、2つのCCDカメラで撮像した左右のステレオ画像のデータをECU40へ送信する。
【0026】
ECU40は、演算を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、演算結果などの各種データを記憶するRAM(RandomAccess Memory)などから構成されている。このような構成により、ECU40には、車両認識部41と、反射体認識部42と、先々行車両推定部43と、走行制御部44とが構築されている。
【0027】
車両認識部41は、レーダ20からの送受信信号に基づいて、先行車両及び先々行車両の認識を行う。例えば、車両認識部41は、先行車両の有無や、先行車両と自車両との距離及び相対速度、並びに自車両に対する先行車両の横位置などの位置情報を求める。また、車両認識部41は、先々行車両の有無や、先々行車両と自車両との距離及び相対速度、並びに自車両に対する先々行車両の横位置などの位置情報を求める。
【0028】
ここで、先々行車両の検出方法について、図2及び図3を参照して説明する。図2は、道路を反射体として利用するレーダによる先々行車両の検出方法を示す図であり、図3は、道路以外の反射体を利用するレーダによる先々行車両の検出方法を示す図である。図2に示すように、自車両Wにおけるレーダ20及び車両認識部41は、先行車両Wfの下の路面による反射波を検出することによって、先々行車両Wffを検出することができる。また、図3に示すように、自車両Wにおけるレーダ20及び車両認識部41は、道路以外の反射体、例えば、先行車両Wfの横側に位置するガードレールや防音壁などの反射体による反射波を検出することによって、先々行車両Wffを検出することができる。このように、電波を利用して先々行車両Wffを認識する場合、先行車両Wfの下の路面による反射波と、道路以外の先行車両Wfの横側に位置するガードレールなどの反射体による反射波との2つの検出経路からの反射波を検出することにより、検出精度を高めている。
【0029】
反射体認識部42は、カメラ30からの画像データに基づいて、道路以外の反射体、すなわち、上記した先行車両の横側に位置するガードレールや防音壁などの反射体の認識を行う。
【0030】
先々行車両推定部43は、車両認識部41による先々行車両認識結果、及び、反射体認識部42による反射体認識結果に基づいて、先々行車両の存在の推定を行う。具体的には、先々行車両推定部43は、レーダ20及び車両認識部41によって先々行車両の存在が認識された場合には、先々行車両が「いる」と推定する。
【0031】
一方、レーダ20及び車両認識部41によって先々行車両の存在が認識されなかった場合、先々行車両推定部43は、更に道路以外の反射体の存在により先々行車両の存在を推定する。具体的には、カメラ30及び反射体認識部42によって、道路以外の反射体、すなわち先行車両の横側に位置するガードレールや防音壁などの反射体の存在が認識された場合、先々行車両推定部43は、図2及び図3に示すように先々行車両を検出するための検出経路は2経路存在するので検出精度が高いと判断し、先々行車両が「いない」と推定する。しかしながら、カメラ30及び反射体認識部42によって、道路以外の反射体、すなわち先行車両の横側に位置するガードレールや防音壁などの反射体の存在が認識されない場合には、先々行車両推定部43は、図2に示すように先々行車両を検出するための検出経路は路面反射の1経路のみであるので検出精度が低いと判断し、先々行車両が「いるかもしれない」と推定する。
【0032】
走行制御部44は、先々行車両推定部43による先々行車両存在推定結果に基づいて、自車両の走行制御を行う。具体的には、走行制御部44は、先々行車両推定部43によって先々行車両が「いない」と推定された場合には、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両を追従する自車両の走行制御(ACC)を行う。一方、先々行車両推定部43によって先々行車両が「いる」と推定された場合には、上記したように、ACCにおいて、先行車両に加えて先々行車両にも基づいて自車両の走行制御を行う第1の走行制御を行う。これにより、自車両の燃費を向上させることが可能となる。
【0033】
そして、先々行車両推定部43によって先々行車両が「いるかもしれない」と推定された場合には、走行制御部44は、上記した第1の走行制御とは異なる自車両の第2の走行制御を行う。例えば、第2の走行制御は、ACCにおいて、上記した第1の走行制御より自車両と先行車両との目標車間距離を大きくした走行制御である。又は、例えば、第2の走行制御は、ACCにおいて、先行車両の加減速に応じて自車両の加減速を行う際に、第1の走行制御より自車両の加減速を抑制する走行制御である。これにより、先行車両に対して余裕を持った走行制御が可能となり、先行車両が急な加減速を行っても自車両に急な加減速を行わせることがないので、自車両の燃費を向上させることが可能となる。
【0034】
なお、走行制御部44による自車両の走行制御は、例えば、車両センサ10によって検出された各種情報に基づいて、スロットルアクチュエータやブレーキアクチュエータなどの各種アクチュエータ50を制御することによって行われる。
【0035】
次に、第1の実施形態の車両制御装置1による先々行車両存在推定動作について説明する。図4は、第1の実施形態の車両制御装置による先々行車両存在推定処理を示すフローチャートである。
【0036】
まず、レーダ20及び車両認識部41によって先々行車両の認識を行い(S01)、先々行車両が認識された場合には、先々行車両推定部43によって先々行車両が「いる」と推定する(S02)。すると、走行制御部44によって上記第1の走行制御が行われる。
【0037】
一方、レーダ20及び車両認識部41によって先々行車両が認識されない場合には、カメラ30及び反射体認識部42によって、道路以外の反射体、すなわち、先行車両の横側に位置するガードレールや防音壁などの反射体の認識を行い(S03)、道路以外の反射体が認識された場合には、先々行車両推定部43によって、図2及び図3に示すように先々行車両を検出するための検出経路は2経路存在するので検出精度が高いと判断し、先々行車両が「いない」と推定する(S04)。すると、走行制御部44によってACCが行われる。
【0038】
そして、カメラ30及び反射体認識部42によって道路以外の反射体が認識されなかった場合には、先々行車両推定部43によって、図2に示すように先々行車両を検出するための検出経路は路面反射の1経路のみであるので検出精度が低いと判断し、先々行車両が「いるかもしれない」と推定する(S05)。すると、走行制御部44によって上記第2の走行制御が行われる。
【0039】
このように、第1の実施形態に係る車両制御装置1によれば、レーダ20及び車両認識部41によって先々行車両が認識されない場合であっても、カメラ30及び反射体認識部42によって道路以外の反射体が認識されない場合には、先々行車両推定部43によって、レーダ20の検出精度が低いと推定して先々行車両が「いるかもしれない」と推定する。すなわち、従来の先々行車両が「いる/いない」の2値判定ではなく、従来の先々行車両が「いない」の判定を更に先々行車両が「いるかもしれない/いない」の2値判定に細分化した3値判定を行う。したがって、先々行車両の存在の検出精度を向上することができる。
【0040】
その結果、先々行車両がドライバによって目視できている場合にレーダ20によって先々行車両を検出できないという不具合を低減することができ、ドライバの違和感の低減、走行制御の作動率の低下の抑制、走行制御の誤動作の低減が可能となる。
[第2の実施形態]
【0041】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る車両制御装置を示す図である。図5に示す車両制御装置1Aは、車両制御装置1においてECU40に代えてECU40Aを備える構成で第1の実施形態と異なっている。車両制御装置1Aのその他の構成は、車両制御装置1と同一である。
【0042】
ECU40Aは、ECU40において先々行車両推定部43に代えて先々行車両推定部43Aを備えており、更に、先々行車両情報記憶部45と、先々行車両位置推定部46と、検知可能領域推定部47とを備える点でECU40と異なっている。ECU40Aのその他の構成は、ECU40と同一である。
【0043】
先々行車両情報記憶部45は、先々行車両推定部43Aによって推定された前回の先々行車両存在推定結果「いる/いるかもしれない/いない」を、車両認識部41によって求めた前回の先々行車両と自車両との車間距離、前回の先々行車両の速度及び加速度などの情報と関連付けて記憶する。
【0044】
先々行車両位置推定部46は、先々行車両情報記憶部45に記憶された前回の先々行車両の情報に基づいて、先々行車両の現在位置を推定する。具体的には、先々行車両位置推定部46は、先々行車両情報記憶部45に記憶された前回の先々行車両と自車両との車間距離d20、前回の先々行車両の速度V及び加速度aに基づいて、前回の先々行車両の挙動を予測し、現在位置d2nを推定する。
【0045】
検知可能領域推定部47は、レーダ20による先々行車両の検知可能領域を推定する。ここで、図6に、レーダ20による先々行車両の検知可能領域を示し、図7に、図6に示す検知可能領域を求める際の各種パラメータを示す。先々行車両Wffに電波が届くためには、電波が先行車両Wfの下の路面を反射して通過できなければならない制約から、自車両Wと先々行車両Wffとの車間距離d2は、自車両Wと先行車両Wfとの車間距離d1によって決まる。
【0046】
例えば、レーダ20によって先々行車両Wffを認識することができる自車両Wと先行車両Wfとの車間距離d1の最小値d1minは、自車両Wにおけるレーダ20の地上高HL、先行車両Wfの車高H及び車長Lに基づいて、下式(1)によって求められる。ここで、レーダ20の地上高HL、先行車両Wfの車高H及び車長Lは、予め設定されればよい。なお、先行車両Wfの車高Hは、車両下の間隙の高さのことを示すものとする。
【数1】
また、レーダ20からの電波が先々行車両Wffに届くことができる自車両Wと先々行車両Wffとの車間距離d2の範囲は、更に、レーダ20の性能によって決まる定数α、先々行車両Wffの背面(電磁波を反射することのできる部分)の地上高Rに基づいて、下式(2)によって求められる。ここで、定数α、先々行車両Wffの背面の地上高Rは予め設定されればよく、自車両Wと先行車両Wfとの車間距離d1はレーダ20及び車両認識部41によって求められたものを用いればよい。
【数2】
検知可能領域推定部47は、上記(1)式及び(2)式に基づいて、図6に示すようなレーダ20による先々行車両の検知可能領域Aを推定する。
【0047】
先々行車両推定部43Aは、レーダ20及び車両認識部41によって先々行車両の存在が認識されなかった場合であって、カメラ30及び反射体認識部42によって道路以外の反射体の存在が認識されなかった場合に、更に、先々行車両位置推定部46によって推定された前回の先々行車両の現在位置d2n、及び、検知可能領域推定部47によって推定されたレーダ20による先々行車両の検知可能領域Aに基づいて、先々行車両の存在を推定する。具体的には、先々行車両推定部43Aは、前回の先々行車両の現在位置d2nがレーダ20による先々行車両の検知可能領域A内(図6)、すなわち上記(2)式の範囲内である場合、先々行車両は物理的に電波が届く場所にいるにも関わらず検出できなかったので検出精度が高いと判断し、先々行車両は「いない」と推定する。
【0048】
一方、前回の先々行車両の現在位置d2nがレーダ20による先々行車両の検知可能領域A外(図6)、すなわち上記(2)式の範囲外である場合には、先々行車両推定部43Aは、先々行車両は単に物理的に検出不可能な位置に移動しただけで実際には存在するかもしれないので検出精度が低いと判断し、先々行車は「いるかもしれない」と推定する。
【0049】
次に、第2の実施形態の車両制御装置1Aによる先々行車両存在推定動作について説明する。図8は、第2の実施形態の車両制御装置による先々行車両存在推定処理を示すフローチャートである。
【0050】
まず、レーダ20、カメラ30、車両認識部41、反射体認識部42、先々行車両推定部43Aによって、上記したステップS01〜S04の処理が行われる。そして、レーダ20及び車両認識部41によって先々行車両が認識されず、カメラ30及び反射体認識部42によって道路以外の反射体が認識されなかった場合、先々行車両情報記憶部45に記憶された前回の先々行車両存在推定結果に基づいて、前回、先々行車両を認識していたか否かの判定を行い(S11)、前回の先々行車両存在推定結果が「いるかもしれない/いない」である場合、すなわち、前回、先々行車両を認識していない場合には、先々行車両推定部43Aによって、先々行車両が「いない」と推定する(S04)。
【0051】
一方、前回の先々行車両存在推定結果が「いる」である場合、すなわち、前回、先々行車両を認識していた場合には、先々行車両位置推定部46によって、先々行車両情報記憶部45に記憶された前回の先々行車両と自車両との車間距離d20、前回の先々行車両の速度V及び加速度aから、前回の先々行車両の挙動を予測して現在位置d2nを推定する(S12)。また、検知可能領域推定部47によって、上記(1)式及び(2)式に基づいて、図6に示すようなレーダ20による先々行車両の検知可能領域Aを推定する(S13)。そして、先々行車両推定部43Aによって、前回の先々行車両の現在位置d2nがレーダ20による先々行車両の検知可能領域A内であるか否かを推定し(S14)、前回の先々行車両の現在位置d2nがレーダ20による先々行車両の検知可能領域A内である場合には、先々行車両は物理的に電波が届く場所にいるにも関わらず検出できなかったので検出精度が高いと判断し、先々行車両は「いない」と推定する(S04)。一方、前回の先々行車両の現在位置d2nがレーダ20による先々行車両の検知可能領域A外である場合には、先々行車両推定部43Aによって、先々行車両は単に物理的に検出不可能な位置に移動しただけで実際には存在するかもしれないので検出精度が低いと判断し、先々行車は「いるかもしれない」と推定する(S05)。
【0052】
このように、第2の実施形態の車両制御装置1Aでも、先々行車両推定部43Aが先々行車両推定部43と同一の先々行車両存在推定動作を行うので、第1の実施形態の車両制御装置1と同様の効果を得ることができる。
【0053】
更に、第2の実施形態の車両制御装置1Aによれば、レーダ20及び車両認識部41によって先々行車両が認識されない場合であっても、先々行車両位置推定部46によって、先々行車両情報記憶部45に記憶された前回の先々行車両の挙動情報から前回の先々行車両の現在位置を推定すると共に、検知可能領域推定部47によって、レーダ20による先々行車両の検知可能領域を推定し、前回の先々行車両の現在位置がレーダ20による先々行車両の検知可能領域外である場合に、先々行車両推定部43Aによって、レーダ20の検出精度が低いと推定して先々行車両が「いるかもしれない」と推定する。したがって、道路以外の反射体、例えば、先行車両の横側に位置するガードレールや防音壁などの反射体がない道路においても、先々行車両の存在の検出精度を向上することができる。
[第3の実施形態]
【0054】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る車両制御装置を示す図である。図9に示す車両制御装置1Bは、車両制御装置1AにおいてECU40Aに代えてECU40Bを備える構成で第2の実施形態と異なっている。車両制御装置1Bのその他の構成は、車両制御装置1Aと同一である。
【0055】
ECU40Bは、ECU40Aにおいて検知可能領域推定部47に代えて検知可能領域推定部47Bを備える点でECU40Aと異なっている。ECU40Bのその他の構成は、ECU40Aと同一である。
【0056】
上記(1)式及び(2)式によれば、レーダ20による先々行車両の検知可能領域Aは、障害物である先行車両の車長Lに依存するものである。そこで、検知可能領域推定部47Bは、先行車両の車長を推定し、推定した車長を用いて上記(1)式及び(2)式からレーダ20による先々行車両の検知可能領域Aを推定する。例えば、検知可能領域推定部47Bは、カメラ30からの画像データを用いて先行車両の車種(トラック、バスなどの大型自動車であるか、普通自動車であるか)を推定し、推定した車種に応じて上記(1)式及び(2)式に用いる先行車両の車長を変更する。
【0057】
図10に、検知可能領域推定部47Bによる先行車両の車長推定処理のフローチャートを示す。例えば、検知可能領域推定部47Bは、図8に示すステップS13において、カメラ30からの画像データを用いて先行車両の車幅wを求め、求めた車幅wから先行車両の車種(大型自動車であるか、普通自動車であるか)を推定する。具体的には、求めた車幅wが閾値Wthrs未満であるならば先行車両は普通自動車であると推定し、求めた車幅wが閾値Wthrs以上であるならば先行車両は大型自動車であると推定する(S21)。なお、閾値Wthrsは、普通自動車か大型自動車かを判断するために予め定めた車幅の閾値であり、例えば、1700mm程度とする。
【0058】
先行車両が大型自動車である場合(S22)、検知可能領域推定部47Bは、先行車両の車長Lの値として所定値LLを用い、上記(1)式及び(2)式からレーダ20による先々行車両の検知可能領域Aを推定する(S23)。一方、先行車両が普通自動車である場合には(S22)、検知可能領域推定部47Bは、先行車両の車長Lの値として所定値LSを用い、上記(1)式及び(2)式からレーダ20による先々行車両の検知可能領域Aを推定する(S24)。なお、所定値LL、LSとしては、それぞれ、大型自動車、普通自動車の平均的な車長を予め設定すればよい。
【0059】
このように、第3の実施形態の車両制御装置1Bでも、先々行車両情報記憶部45、先々行車両位置推定部46、検知可能領域推定部47B、及び、先々行車両推定部43Aを備えているので、第2の実施形態の車両制御装置1Aと同様の効果を得ることができる。
【0060】
更に、第3の実施形態の車両制御装置1Bによれば、検知可能領域推定部47Bによって、先行車両の車長を推定し、推定した先行車両の車長を用いてレーダによる先々行車両の検知可能領域を推定するので、レーダによる先々行車両の検知可能領域の推定精度を高めることができ、その結果、先々行車両の存在の検出精度をより向上することができる。
[第4の実施形態]
【0061】
図11は、本発明の第4の実施形態に係る車両制御装置を示す図である。図11に示す車両制御装置1Cは、車両制御装置1AにおいてECU40Aに代えてECU40Cを備える構成で第2の実施形態と異なっている。車両制御装置1Cのその他の構成は、車両制御装置1Aと同一である。
【0062】
ECU40Cは、ECU40Aにおいて検知可能領域推定部47に代えて検知可能領域推定部47Cを備える点でECU40Aと異なっている。ECU40Cのその他の構成は、ECU40Aと同一である。
【0063】
上記(1)式及び(2)式によれば、レーダ20による先々行車両の検知可能領域Aは、障害物である先行車両の車高Hに依存するものである。そこで、検知可能領域推定部47Cは、先行車両の車高を推定し、推定した車高を用いて上記(1)式及び(2)式からレーダ20による先々行車両の検知可能領域Aを推定する。
【0064】
図12に、検知可能領域推定部47Cによる先行車両の車高推定処理のフローチャートを示す。例えば、検知可能領域推定部47Cは、図8に示すステップS13において、カメラ30からの画像データを用いて先行車両の車高Hを推定し(S31)、推定した車高Hを用い、上記(1)式及び(2)式からレーダ20による先々行車両の検知可能領域Aを推定する(S32)。
【0065】
このように、第4の実施形態の車両制御装置1Cでも、先々行車両情報記憶部45、先々行車両位置推定部46、検知可能領域推定部47C、及び、先々行車両推定部43Aを備えているので、第2の実施形態の車両制御装置1Aと同様の効果を得ることができる。
【0066】
更に、第4の実施形態の車両制御装置1Cによれば、検知可能領域推定部47Cによって、先行車両の車高を推定し、推定した先行車両の車高を用いてレーダによる先々行車両の検知可能領域を推定するので、レーダによる先々行車両の検知可能領域の推定精度を高めることができ、その結果、先々行車両の存在の検出精度をより向上することができる。
【0067】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、先行車両及び先々行車両を認識するためのレーダとしてミリ波レーダを例示したが、電波やレーザを利用して反射波を検出する様々なレーダが適用可能である。また、本実施形態では、道路以外の反射体を認識するためのカメラとしてステレオカメラを例示したが、他にも様々なカメラが適用可能である。
【0068】
また、本実施形態では、カメラからの画像データを用いて道路以外の反射体を認識したが、レーダからの検出信号を用いて道路以外の反射体を認識することも可能である。また、ナビゲーション装置などの道路情報から道路以外の反射体を認識してもよい。
【0069】
また、本実施形態では、各種アクチュエータを自律的に制御する走行制御部を例示したが、走行制御部は、ディスプレイによる画像表示報知や、スピーカ又はブザー等による音声報知などの報知手段を制御することによって、ドライバを誘導するような走行制御を行ってもよい。
【0070】
また、第3の実施形態では、検知可能領域推定部47Bは、先行車両の車幅wを求めることによって先行車両の車種(大型自動車であるか、普通自動車であるか)を推定したが、カメラ30からの画像データを用いて先行車両のナンバープレートを認識し、ナンバープレートの色や分類番号から先行車両の車種を推定してもよい。また、検知可能領域推定部47Bは、カメラ30からの画像データに代えてレーダ20からの検出信号を用いて先行車両の車種を推定することも可能である。また、検知可能領域推定部47Bは、先行車両の車種を大型自動車/普通自動車の2種で推定したが、軽自動車/普通自動車/大型自動車というように3種以上に細かく推定してもよい。また、検知可能領域推定部47Bは、インフラ通信技術を用いて先行車両の車長を取得し、取得した車長を上記(1)式及び(2)式に直接用いてもよい。
【0071】
また、第4の実施形態では、検知可能領域推定部47Cは、カメラ30からの画像データを用いて先行車両の車高を直接求めたが、上記した第3の実施形態と同様に、先行車両の車種を推定し、推定した車種に応じて、軽自動車、普通自動車、大型自動車の平均的な車高を予め設定してもよい。また、上記した第3の実施形態と同様に、検知可能領域推定部47Cは、インフラ通信技術を用いて先行車両の車高を取得し、取得した車高を上記(1)式及び(2)式に直接用いてもよい。また、上記したような車高推定方法が使用できない環境である場合、検知可能領域推定部47Cは、先々行車両がはっきりと見えていたときの先行車両と自車両との車間距離d1、及び、先々行車両と自車両との車間距離d2を用いて下式(3)から先行車両の車高Hの取りうる値の下限値を定めることにより、先行車両の車高Hを推定することが可能である。
【数3】
【0072】
また、第3及び第4の実施形態では、車長及び車高のうちのどちらか一方を上記(1)式及び(2)式に用いたが、車長と車高とのうちの両方を上記(1)式及び(2)式に用いてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1,1A,1B,1C…車両制御装置、10…車両センサ、20…レーダ、30…カメラ、40…電子制御ユニット(ECU)、41…車両認識部、42…反射体認識部(反射体認識手段)、43,43A…先々行車両推定部(先々行車両推定手段)、44…走行制御部(走行制御手段)、45…先々行車両情報記憶部(先々行車両情報記憶手段)、46…先々行車両位置推定部(先々行車両位置推定手段)、47,47B,47C…検知可能領域推定部(検知可能領域推定手段)、50…各種アクチュエータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射体を利用してレーダによって先々行車両を認識し、当該レーダによって認識された先々行車両に基づいて自車両の走行制御を行う車両制御装置において、
道路以外の前記反射体を認識する反射体認識手段と、
前記レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、前記反射体認識手段によって道路以外の前記反射体が認識されない場合には、先々行車両がいるかもしれないと推定する先々行車両推定手段と、
前記レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、前記先々行車両推定手段によって先々行車両がいるかもしれないと推定された場合には、自車両の走行制御を行う走行制御手段と、
を備える、車両制御装置。
【請求項2】
前記レーダによって認識された先々行車両と自車両との距離、当該先々行車両の速度及び加速度の情報を記憶する先々行車両情報記憶手段と、
前記レーダによって先々行車両が認識されない場合に、前記先々行車両情報記憶手段に記憶された前回の先々行車両の情報に基づいて、当該前回の先々行車両の現在位置の推定を行う先々行車両位置推定手段と、
前記レーダの地上高、先々行車両の背面の地上高、自車両と先行車両との車間距離、先行車両の車長及び車高に基づいて、前記レーダによる先々行車両の検知可能領域を推定する検知可能領域推定手段と、
を更に備え、
前記先々行車両推定手段は、前記レーダによって先々行車両が認識されない場合であって、前記反射体認識手段によって道路以外の前記反射体が認識されない場合には、更に、前記先々行車両位置推定手段によって推定された前記前回の先々行車両の現在位置が、前記検知可能領域推定手段によって推定された前記レーダによる先々行車両の検知可能領域外である場合に、先々行車両がいるかもしれないと推定する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記検知可能領域推定手段は、先行車両の車長及び車高のうちの少なくとも何れかを推定し、推定した先行車両の車長及び車高のうちの少なくとも何れかを用いて前記レーダによる先々行車両の検知可能領域を推定する、
請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記走行制御手段は、
前記レーダによって先々行車両が認識された場合には、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行う自車両の走行制御において、先々行車両の加減速を検出する際にも自車両の加減速制御を行う自車両の第1の走行制御を行い、
前記レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、前記先々行車両推定手段によって先々行車両がいるかもしれないと推定された場合には、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行う自車両の走行制御において、当該目標車間距離を前記第1の走行制御よりも大きくする自車両の第2の走行制御を行う、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記走行制御手段は、
前記レーダによって先々行車両が認識された場合には、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行う自車両の走行制御において、先々行車両の加減速を検出する際にも自車両の加減速制御を行う自車両の第1の走行制御を行い、
前記レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、前記先々行車両推定手段によって先々行車両がいるかもしれないと推定された場合には、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行う自車両の走行制御において、当該自車両の加減速を前記第1の走行制御よりも抑制する自車両の第2の走行制御を行う、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項1】
反射体を利用してレーダによって先々行車両を認識し、当該レーダによって認識された先々行車両に基づいて自車両の走行制御を行う車両制御装置において、
道路以外の前記反射体を認識する反射体認識手段と、
前記レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、前記反射体認識手段によって道路以外の前記反射体が認識されない場合には、先々行車両がいるかもしれないと推定する先々行車両推定手段と、
前記レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、前記先々行車両推定手段によって先々行車両がいるかもしれないと推定された場合には、自車両の走行制御を行う走行制御手段と、
を備える、車両制御装置。
【請求項2】
前記レーダによって認識された先々行車両と自車両との距離、当該先々行車両の速度及び加速度の情報を記憶する先々行車両情報記憶手段と、
前記レーダによって先々行車両が認識されない場合に、前記先々行車両情報記憶手段に記憶された前回の先々行車両の情報に基づいて、当該前回の先々行車両の現在位置の推定を行う先々行車両位置推定手段と、
前記レーダの地上高、先々行車両の背面の地上高、自車両と先行車両との車間距離、先行車両の車長及び車高に基づいて、前記レーダによる先々行車両の検知可能領域を推定する検知可能領域推定手段と、
を更に備え、
前記先々行車両推定手段は、前記レーダによって先々行車両が認識されない場合であって、前記反射体認識手段によって道路以外の前記反射体が認識されない場合には、更に、前記先々行車両位置推定手段によって推定された前記前回の先々行車両の現在位置が、前記検知可能領域推定手段によって推定された前記レーダによる先々行車両の検知可能領域外である場合に、先々行車両がいるかもしれないと推定する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記検知可能領域推定手段は、先行車両の車長及び車高のうちの少なくとも何れかを推定し、推定した先行車両の車長及び車高のうちの少なくとも何れかを用いて前記レーダによる先々行車両の検知可能領域を推定する、
請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記走行制御手段は、
前記レーダによって先々行車両が認識された場合には、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行う自車両の走行制御において、先々行車両の加減速を検出する際にも自車両の加減速制御を行う自車両の第1の走行制御を行い、
前記レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、前記先々行車両推定手段によって先々行車両がいるかもしれないと推定された場合には、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行う自車両の走行制御において、当該目標車間距離を前記第1の走行制御よりも大きくする自車両の第2の走行制御を行う、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記走行制御手段は、
前記レーダによって先々行車両が認識された場合には、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行う自車両の走行制御において、先々行車両の加減速を検出する際にも自車両の加減速制御を行う自車両の第1の走行制御を行い、
前記レーダによって先々行車両が認識されない場合であっても、前記先々行車両推定手段によって先々行車両がいるかもしれないと推定された場合には、先行車両を目標車両として自車両と先行車両との車間距離を目標車間距離に維持するように先行車両の加減速に応じて自車両の加減速制御を行う自車両の走行制御において、当該自車両の加減速を前記第1の走行制御よりも抑制する自車両の第2の走行制御を行う、
請求項1に記載の車両制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−20623(P2012−20623A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158826(P2010−158826)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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