説明

車両周囲監視装置

【課題】本発明は、車外の人に対する警告を、人の顔向きで判断し、自車両の方を向いているか否かの判断を行い、自車両の方を向いていない場合のみ、注意喚起を行うことができる車両周囲監視装置を提供する。
【解決手段】人感知手段4は、撮像手段1で撮像した画像と人感知パターン記憶手段8の人感知パターンを比較して、車両周囲に人が存在するかどうかを確認する。人感知手段4が人を感知した場合、顔検知手段5が人の顔向きを判断し、車両周囲の人の両目を検知しない場合のみ、警告出力手段6により車両周囲の人へ注意喚起を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周囲の人へ注意を喚起する車両周囲監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用警報装置として、制御ユニットは、自車両の周囲の人(歩行者など)や移動体(車両など)を、人センサ及び移動体検知センサからの出力に基づいて報知対象物として認識したときに、当該報知対象物と自車両との間の距離及び報知対象物と自車両との間の相対速度に基づいて、自車両と報知対象物との間の距離が最短状態になるまでの所要時間を予測すると共に、この予測時間が予め設定されたしきい値時間以下となったときに、自車両から見た報知対象物の方向に向けて点滅光による警報を発光ダイオードから出力することが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−209325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両用警報装置では、警告を促す対象者に対して光の点滅による警告を行っているが、警告の対象者が車両の方を向いている、向いていないに関わらず注意喚起を行うため、車両の存在に気づいている対象者に対して不快感を与える。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、車外の人に対する警告を、人の顔の向きで判別し、自車両の方を向いているか否かの判断を行い、自車両の方を向いていない場合のみ、注意喚起を行うことができる車両周囲監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、人感知手段が人を感知した場合、人の顔向きを判断すると共に、目を検出する顔検出手段と、この顔検出手段が人の顔向きを判断し、両目を検出しない場合に、車外へ警告する警告出力手段とを有する構成である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、人感知手段が車両周囲に人が存在するかどうかを確認し、顔検出手段が人の顔向きを判断し、両目を検出しない場合に、警告出力手段が車両周囲の人へ警告するので、人が自車両の方を向いていない場合のみ、車外の人へ注意喚起を行うことができ、車両の存在に気づいていない人の事故を防ぐことができると共に、車両の存在に気づいている人には注意喚起を行わないので、不快感を与えることはないという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1における車両周囲監視装置のブロック図
【図2】同動作説明フロー図
【図3】車両周囲の人が車両周囲監視装置に対する向きを説明する図
【図4】同要部である人検知手段が判別可能な人の体位を示す図
【図5】本発明の実施の形態2における車両周囲監視装置のブロック図
【図6】同動作説明フロー図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1の車両周囲監視装置について、図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態1における車両周囲監視装置のブロック図である。
【0011】
図1において、撮像手段1が車両の周囲を撮影し、この撮像手段1が撮像した信号はECU2に入力される。撮像手段1は、CCD、CMOSデバイス等のカラーまたはモノクロの固体撮像素子である。例えば魚眼レンズなどの高視野角のレンズを使って広範囲が撮影できるものを利用する。CPU3はECU2に接続され、撮像手段1からECU2を介して受信した画像から人が存在するかどうかの感知処理を行う人感知手段4と、人感知手段4が感知した人に対して人の顔向きを判断し、両目を検出しない場合に警告命令を発生する顔検出手段5を有する。警告出力手段6は、顔検出手段5からの警告命令を入力し、車両周囲の警告対象の人に対して注意を喚起するものであり、スピーカーの音によるものや、ライト、ストロボの光によるものなどを利用する。記憶部7はCPU3と接続され、CPU3が演算処理を行う際に必要なデータの格納部として、人感知パターンを記憶する人感知パターン記憶手段8を有する。
【0012】
以上のように構成された車両周囲監視装置について、図2のフロー図を用いて、以下でその動作を説明する。
【0013】
まず、車両の周囲を撮影する撮像手段1から得られた画像は、ECU2を介してCPU3の人感知手段4に入力される(ステップS1)。人感知手段4は、撮像手段1から得られた画像と人感知パターン記憶手段8の人感知パターンとを比較して、人が存在しているかどうかを感知する(ステップS2)。人感知パターン記憶手段8は、人感知手段4に呼応する、頭部などの人体の一部分や、立位、座位などの体位を含む人体の全身の形状パターンと、顔検出手段5に呼応する、人が自車両を向いているかを判断するための顔認知パターンとを有している。図3は人感知手段4が判別可能な人の体位の例を示す図であり、例えば、人11aのような立っている状態の体位、人11bのような寝た状態の体位、人11cのような座っている状態などである。また、物体12が人11dの前にあり、体の一部が遮蔽されている状況でも人11dを人として感知することができる。人感知手段4が撮像画像に人が存在していると判断した場合、さらにその人が自車両の方を向いているかどうかを、顔検出手段5が人感知パターン記憶手段8の顔認知パターンの情報を参照して判断を行う(ステップS3)。
【0014】
図4は、車両周囲にいる人の向きによって警告を行うかどうかを判断する例を示した図である。(a)は車両周囲の人が車両周囲監視装置に対して正対する向きに位置する図、(b)は車両周囲の人が車両周囲監視装置に対して横向きに位置する図、(c)は車両周囲の人が車両周囲監視装置に対して後ろ向きに位置する図を示している。撮像対象領域13は、撮像手段1が撮像する範囲である。人感知手段4は、図4(a)〜(c)のいずれにおいても人14a、14b、14cが撮像画像15の16a、16b、16cのように存在することを感知する。顔検出手段5が、図4(a)のように、人16aが車両周囲監視装置に対して正対し、顔が正面を向き両目を検出している場合は、車両の接近を認知しているものとして警告は行わない。一方、図4(b)、(c)のように人16b,16cが車両周囲監視装置に対して横向きや後ろ向きに位置し、顔の側面、もしくは頭部を検出し、顔検出手段5が両目を検出できない場合は、車両の接近を認知していないものとして警告出力手段3によって警告を行う(ステップS4)。これを車両が移動中にリアルタイムの処理によって行う。図4(b)、(c)のような状態から図4(a)のように、人が車両の接近を認知する状態になった場合は、警告出力手段3による警告を止める。
【0015】
このような実施の形態1の車両周囲監視装置によれば、人感知手段が車両周囲に人が存在するかどうかを確認し、顔検知手段が人の顔向きを判断し、車両周囲の人の両目を検知しない場合のみ、警告出力手段により車両周囲の人へ注意喚起を行い、車両の存在に気づいていない人の事故を防ぐことができると共に、車両の存在に気づいている人には注意喚起を行わないので、不快感を与えることはないという効果を有する。
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2における車両周囲監視装置のブロック図であり、実施の形態1に距離演算手段9を追加している。図5において、距離演算手段9は、CPU3内に設けられている。距離演算手段9は、車両に1つのカメラを搭載して車両の周囲を撮影し、車両の移動によって得られる2枚の画像により、立体物の輪郭を検出する単眼ステレオ視技術を利用して、車両と検出された人との距離を測定する。単眼ステレオ視技術は、異なる時間に撮像手段1から得られた2枚の画像において、撮像手段1から近い位置にある物体は、撮像手段1から遠い位置にある物体に比べ、画素の移動量が大きくなる、といった性質を利用して、撮像手段1によって得られた画像内の物体の画素の移動量を算出することにより、車両と物体との距離を測定する。
【0016】
次に、図6のフロー図を用いて、動作を説明する。ステップS1〜ステップS3は、実施の形態1と同一である。距離演算手段9は、撮像手段1から得られた画像内の人が、車両からどの程度の距離の位置にいるかを算出し、CPU3は、危険と判断する距離内に人がいるかどうかを判断する(ステップS4)。CPU3は、危険距離内に人が存在すると判断した場合は、警告出力手段6に対して警告音発生の命令を送り、警告出力手段6は命令を受けて、警告を発生する(ステップS5)。ここでの危険と判断される距離とは、例えば駐車など低速で後退している場合、警告を与えた後に、人が安全な位置に退避できる十分な距離であることが望ましい。仮に安全な位置に退避できる十分な距離を5mとした場合は、撮像手段1から得られた画像内の人が、車両の方を向いておらず、かつ5mの範囲内にいると判断された場合のみ、警告出力手段6より警告を発生する。
【0017】
このような実施の形態2の車両周囲監視装置によれば、人感知手段が車両周囲に人が存在するかどうかを確認し、顔検知手段が人の顔向きを判断し、車両周囲の人の両目を検知せず、距離演算手段により算出した車両と人の距離が危険と判断される場合のみ、警告出力手段により車両周囲の人へ注意喚起を行い、近距離で車両の存在に気づいていない人の事故を防ぐことができると共に、車両の存在に気づいている人には注意喚起を行わないので、不快感を与えることはないという効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0018】
以上のように、本発明は、人感知手段が車両周囲に人が存在するかどうかを感知し、顔検出手段が人の顔向きを判断し、人の両目を検出しない場合に、警告出力手段が車両周囲の人へ警告するので、人が自車両の方を向いていない場合のみ、車外の人へ注意喚起を行うことができる車両周囲監視装置として有用である。
【符号の説明】
【0019】
1 撮像手段
3 CPU
4 人感知手段
5 顔検出手段
6 警告出力手段
8 人感知パターン記憶手段
9 距離演算手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲を撮像する撮像手段と、人の感知パターンを記憶している人感知パターン記憶手段と、前記撮像手段が撮像した画像と前記人感知パターン記憶手段が記憶している人感知パターンとを比較して、人が存在するかどうかを感知する人感知手段と、この人感知手段が人を感知した場合、人の顔向きを判断すると共に、目を検出する顔検出手段と、この顔検出手段が人の顔向きを判断し、両目を検出しない場合に、車外へ警告する警告出力手段とを備えた車両周囲監視装置。
【請求項2】
人と車両との距離を算出する距離演算手段をさらに有し、この距離演算手段が算出した距離が一定距離以内、かつ、顔検出手段が人の顔向きを判断し、両目を検出しない場合に、車外へ警告する警告出力手段とを備えた請求項1記載の車両周囲監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−170663(P2011−170663A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34467(P2010−34467)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】