説明

車両周辺監視装置

【課題】 配線接続構成を簡素化した車両周辺監視装置を提供する。
【解決手段】この車両周辺監視装置1は、自車両3に設置されて自車両周辺を撮像するカメラ5と、カメラ5の撮像画像を処理する画像処理装置7と、画像処理装置7により処理された撮像画像を表示する表示装置9とを備え、画像処理装置7は、カメラ5の撮像画像に基づき自車両3の走行状態を判定する判定部7aと、判定部7aの判定結果に基づき表示装置9の表示を制御する制御部7bとを備える。この様に自車両3(外部)の車載信号を用いないで自車両3の走行状態を判定することで、当該装置1と外部との間の配線接続構成を簡素化している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両に設置されたカメラにより自車両周辺を撮像し、その撮像画像を自車両に設置された表示手段に表示する車両周辺監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両周辺監視装置100は、図14の様に、車両周辺を撮像する車載カメラ105と、カメラ105の撮像画像を処理すると共に後述の表示装置109の表示を制御する画像処理装置107と、画像処理装置107により処理された撮像画像を表示する表示装置109とを備えており、画像処理装置107は、自車両の車両信号(例えば車速信号、シフト信号、舵角信号)に基づき自車両の走行状態を判定し、その判定結果に基づき表示装置109の表示を制御している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の車両周辺監視装置100では、カメラ105からの画像信号の他に、車両信号を画像処理装置107に入力する必要があるので、当該車両周辺監視装置100の構成(例えば装置100と外部との配線接続構成)が複雑になるという欠点があった。
【0004】
そこで、この発明の課題は、配線接続構成を簡素化した車両周辺監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為に、請求項1に記載の発明は、自車両に設置されて自車両周辺を撮像するカメラと、前記カメラの撮像画像を処理する画像処理手段と、前記画像処理手段により処理された前記撮像画像を表示する表示手段とを備え、前記画像処理手段は、前記カメラの撮像画像に基づき自車両の走行状態を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づき前記表示手段の表示を制御する制御手段と、を備えるものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記判定手段は、前記撮像画像中の地面の動きに基づき自車両の走行状態を判定するものである。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記制御手段は、前記判定手段が後退中または停車中と判定した場合に、前記カメラの撮像画像を拡大して前記表示手段に表示させるものである。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記カメラが自車両後方を撮像する場合において、前記制御手段は、前記判定手段が前進中と判定した場合に、前記カメラの撮像画像中の自車両走行レーン部分のうち、少なくとも自車両から後方に所定距離離れた所までの部分上にマスク画像を重畳して、前記撮像画像を前記表示手段に表示させるものである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、前記判定手段は、前記カメラの撮像画像中の地面の動きに基づき自車両の車速を検出し、前記制御手段は、前記判定手段が検出した車速が所定速度を越える場合には、前記カメラの撮像画像を前記表示手段に表示させ、前記判定手段が検出した車速が所定速度を越えない場合には、前記カメラの撮像画像を前記表示手段に表示させないものである。
【0010】
請求項6に記載の発明は、前記カメラの撮像画像に基づき前記撮像画像中に障害物が存在するかを検知する検知手段と、前記検知手段が障害物を検知した場合に、その旨を警告する警告手段と、を更に備えるものである。
【0011】
請求項7に記載の発明は、前記画像処理手段は、前記カメラと一体化されるものである。
【0012】
請求項8に記載の発明は、前記カメラは自車両に複数設置され、前記制御手段は、前記判定手段の判定結果に応じて、前記複数のカメラの撮像画像のうち前記表示手段に表示すべき撮像画像を選択するものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、カメラの撮像画像に基づき自車両の走行状態を判定し、その判定結果に基づき表示手段の表示を制御するので、即ち車両信号を用いないので、当該装置と外部との配線接続構成を簡素化できる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、撮像画像中の地面の動きに基づき自車両の走行状態を判定するので、撮像画像に映る背景に依らずに自車両の走行状態を判定できる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、自車両の後退中または停車中と判定された場合に、カメラの撮像画像を拡大して表示手段に表示するので、自車両の後退中または停車中の様な撮像画像を拡大表示すべき場合に適切に撮像画像を拡大して表示できる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、カメラの撮像画像中の自車両走行レーン部分のうち、少なくとも自車両から後方に所定距離離れた所までの部分上にマスク画像を重畳して前記撮像画像(以後、前進用画像とよぶ)を表示手段に表示するので、前記マスク画像により自車両と自車両の真後方向の接近車両および左右レーンを走る接近車両との配置関係が視覚的に把握し易くなる。また、自車両の前進中と判定された場合に前記前進用画像を表示するので、前進中以外の不要な場合に前記前進用画像が表示されることを防止できる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、車速が所定速度を越える場合だけカメラの撮像画像を表示手段に表示させるので、所定速度を越える場合の様に表示手段を用いた後方確認の必要性が高い場合だけカメラの撮像画像を表示手段に表示できる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、カメラの撮像画像に基づき撮像画像中に障害物が存在するかを検知するので、即ち車両信号を用いずに障害物検知を行うので、当該装置と外部との配線接続構成を簡素化して障害物を検知できる。また、障害物を検知した場合に、その旨を、警告音を発して又は/および表示手段に表示された前記撮像画像上に警告マークを重畳表示して警告するので、適切に障害物の存在を警告できる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、画像処理手段はカメラと一体化されるので、自車両内において画像処理手段の配置場所を確保する必要が無くなると共に、カメラと表示手段とを配線接続するだけで当該車両周辺監視装置を組み立てる事ができるので、当該装置を構成する各構成装置間の配線接続構成を簡素化できる。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、判定手段の判定結果(即ち自車両の走行状態)に応じて複数のカメラの撮像画像のうち表示手段に表示すべき撮像画像が選択されるので、カメラが複数設置された場合でも、自車両の走行状態に応じて適切なカメラの撮像画像を表示できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
<実施の形態>
この実施の形態に係る車両周辺監視装置1は、図1および図2の様に、自車両3に設置され自車両周辺を撮像するカメラ(ここでは広視野角(例えば水平画角170度前後)のカメラ)5と、カメラ5の撮像画像を画像処理する画像処理装置(画像処理手段)7と、自車両3に設置され画像処理装置7で処理された撮像画像を表示する表示装置(表示手段)9とを備える。
【0022】
カメラ5は、例えば図2の様に、自車両3の後部に設置され自車両後方を撮像する。尚、図2の符号5sはカメラ5の撮像範囲の一例である。
【0023】
尚、ここではカメラ5は、自車両3の後部に設置されて自車両後方を撮像するが、その様に限定されるものではなく、例えば自車両3の前部に設置されて自車両前方を撮像する様にしてもよい。
【0024】
画像処理装置7は、カメラ5の撮像画像に基づき自車両3の走行状態を判定する判定部7aと、判定部7aの判定結果に基づき表示装置9の表示を制御する制御部7bと、カメラ5の撮像画像に基づきその撮像画像中に障害物が存在するかを検知する検知部7cと、検知部7cが障害物を検知した場合に、その旨を運転者に警告する警告部7dとを備える。
【0025】
判定部7aは、撮像画像に映る地面の動きに基づき、自車両3の走行状態として、例えば停車中か前進中か又は後退中かを判定すると共に自車両3の車速も判定する。
【0026】
より詳細には、停車中か前進中か又は後退中かの判定方法としては、図3および図4の様に、撮像画像Gに映った地面g上の所定箇所上の識別物s(例えば地面g上の物体または地面gの表面の凹凸模様など)に着目し、その識別物sが撮像画像G上で上方に移動する場合(図3)は前進中と判定し、他方、その識別物sが撮像画像G上で下方に移動する場合(図4)は後退中と判定し、他方、その識別物sが撮像画像G上を移動しない場合または前進中か後退中か不明な場合は停車中と判定する。尚、図3および図4中の符号3aは自車両3の一部である。また、車速の判定方法としては、所定時間内におけるその識別物sの画像G上での移動量を測定してその識別物sの移動速度を判定し、その移動速度に基づき自車両3の車速を判定する。
【0027】
制御部7bは、判定部7aの判定結果に応じて、表示装置9の表示をオンオフ制御する共に、カメラ5の撮像画像を例えば停車用、後退用または前進用の画像に加工して表示装置9に表示させる。
【0028】
より詳細には、制御部7bは、判定部7aが後退中または停車中と判定した場合は、表示装置9の表示をオン制御すると共に、図5および図6の様に、カメラ5の撮像画像Gを拡大して(即ち、広視野角(水平画角170度)の撮像画像Gのうち通常視野角(即ち広視野角でない一般的なカメラと同程度の視野角:例えば水平画角120度〜130度)G1分を切り出し、それを表示サイズに拡大して)、その拡大画像G2を後退用画像または停車用画像として表示装置9に表示させる。
【0029】
この様に、広視野角の撮像画像Gを通常視野角の画像G2に拡大して表示することで、運転者の視認性(画像中の景色の大きさに関する部分)に対する違和感を低減できる。
【0030】
尚、カメラ5の設置位置が低い場合は、更に、撮像画像を高所からの視点(例えば高所から真下に見下ろした視点)に視点変換して表示してもよい。
【0031】
また、制御部7bは、判定部7aが前進中と判定し且つその際の自車両3の車速が所定速度(例えば中高速度:例えば60km/h)を越えると判定した場合は、表示装置9の表示をオン制御すると共に、図7および図8の様に、カメラ5の撮像画像G(図7)中の自車両走行レーン部分のうち、自車両3から後方に所定距離離れた所までの部分およびその部分に対応する上空部分にそれぞれマスク画像m1,m2(図8)を重畳し、それらマスク画像m1,m2を重畳したその撮像画像G(以後G3と呼ぶ)を、広視野角のまま前進用画像として表示装置9に表示させる。尚、マスク画像m2は別に無くても構わない。
【0032】
この様にマスク画像m1,m2を重畳することで、自車両3と後続車両k1,k2との距離感が把握し易くなると共に自車両3の左右のレーンを認識し易くなる。即ち、左右のレーンに後続車が存在するか否かや、左右レーンを走る後続車k2がどの程度自車両3に接近しているかが感覚的に把握し易くなる。
【0033】
他方、制御部7bは、判定部7aが前進中と判定してもその際の自車両3の車速が前記所定速度を越えない(例えば低速度)と判定した場合は、表示装置9の表示をオフ制御する。
【0034】
即ち、ここでは、所定速度(中高速)を越える走行中の自車両3の車線変更の際の後方確認用として撮像画像G3を表示するので、所定速度を超える場合の様に表示装置9を用いた後方確認の必要性の高い場合だけ表示装置9に撮像画像を表示する様にしている。尚、車速に依らずに前進中は常に撮像画像G3を後方確認用として表示しても構わない。
【0035】
検知部7cは、カメラ5の撮像画像に障害物検知処理(例えばモーションディテクト処理)を施して、例えば動きのあるもの(例えば自車両3に対して相対的に動きのあるのもの)を障害物と見なして障害物を検知する。
【0036】
尚、カメラ3の現時点付近の異なる2時点の撮像画像およびそれら2時点間の自車両の移動量(この移動量は、判定部7aで測定される識別物sの移動量から求める事ができる。)に基づき、撮像画像に映る各物体と自車両との間の距離を測定する周知の測距技術を用いて、自車両3から所定距離以内に存在する物体を障害物として検知してもよい。この場合は、自車両3に対して相対的に静止している物体も障害物として検出できる。
【0037】
警告部7dは、検知部7cが障害物を検知した場合は、その旨を、警告音を発して又は/および表示装置9に表示された撮像画像上に警告マークを重畳表示して警告する。
【0038】
より詳細には、警告マークを重畳表示する場合は、表示装置9に表示された撮像画像上に当該障害物が映っている場合は、例えばその障害物の映込箇所にその障害物の存在を強調する警告マークを重畳してもよい。また、図9の様に撮像画像Gの画像部分G1を切り出して拡大し、図10の様にその拡大画像G2を表示する場合において、撮像画像Gの切り出されない部分(例えば撮像画像の左端)G4に当該障害物Pが映り、拡大画像G2に当該障害物Pが映らない場合は、その拡大画像G2の所定箇所(当該障害物Pが撮像画像Gの左端に映っている場合は例えば左端)に、当該障害物Pがどちらの方向から接近して来るかを示したマーク(例えば左側を向いた矢印マーク)m3を警告マークとして重畳してもよい。
【0039】
次に図11に基づきこの車両周辺監視装置1の動作を説明する。尚、カメラ5は常時作動しているものとする。
【0040】
ステップS1で、判定部7aにより、上述の様にカメラ5の撮像画像に基づき自車両3の走行状態の判定が行われる。そしてステップS2で、その判定の結果、後退中と判定された場合は、ステップS3に進み、制御部7bにより、表示装置9の表示がオン制御されると共に、カメラ5の撮像画像Gが上述の様に後退用画像(拡大画像)G2に加工されて表示装置9に表示される。尚、この場合(後退中と判定された場合)は、検知部7cにより障害物検知は行われない。そしてステップS1に戻る。
【0041】
他方、ステップS2で、前進中と判定された場合は、ステップS4に進み、判定部7aにより、上述の様にカメラ5の撮像画像に基づき自車両3の車速が判定される。そしてステップS5で、その判定の結果、自車両3の車速が所定速度(例えば60km/h)を越えない場合は、ステップS6に進み、制御部7bにより表示装置9の表示がオフ制御されて、表示装置9にカメラ5の撮像画像は表示されない。そしてステップS1に戻る。
【0042】
他方、ステップS5で、自車両3の車速が所定速度(例えば60km/h)を越えると判定された場合は、ステップS7に進み、制御部7bにより、表示装置9の表示がオン制御されると共に、カメラ5の撮像画像Gが上述の様に前進用画像G3(即ち撮像画像Gにマスク画像m1,m2が重畳されたもの)に加工されて表示装置9に表示される。
【0043】
そしてステップS8に進み、検知部7cにより、上述の様にカメラ5の撮像画像Gに基づき撮像画像G中に障害物が存在するかが検知される。そしてステップS9で、その検知の結果、障害物が検知されない場合は、ステップS1に戻り、他方、障害物が検知された場合は、ステップS10に進み、警告部7dにより、上述の様にその旨が警告音が発されて又は/および表示装置9に表示された撮像画像G3上に警告マークが重畳表示されて警告される。そしてステップS1に戻る。
【0044】
尚、ステップS7(即ち前進中)で表示装置9に表示される撮像画像G3は、自車両3の車線変更の際の後方確認用として(即ち左右レーンに自車両3の所定距離内に接近する後続車が存在するか否かを確認するために)表示されるので、ステップS8の障害物検知では、撮像画像G中の自車両後方を走行する後続車k1(図7)は障害物から除外して、左右レーンを走る後続車(例えばk2(図7))だけを障害物の対象として障害物検知してもよい。
【0045】
他方、ステップS2で、停車中と判定された場合は、ステップS11に進み、制御部7bにより、表示装置9の表示がオン制御されると共にカメラ5の撮像画像Gが上述の様に停車用画像(拡大画像)G2に加工されて表示装置9に表示される。
【0046】
そしてステップS12に進み、検知部7cにより、上述の様にカメラ5の撮像画像に基づき撮像画像中に障害物が存在するかが検知される。そしてステップS13で、その検知の結果、障害物が検知されない場合は、ステップS1に戻り、他方、障害物が検知された場合は、ステップS14に進み、警告部7dにより、上述の様にその旨が警告音が発されて又は/および表示装置9に表示された撮像画像上に警告マークが重畳表示されて警告される。そしてステップS1に戻る。
【0047】
尚、ステップS11(即ち停車中)で表示装置9に表示される撮像画像G2は、自車両3の発進の際の周辺確認用として表示されるので、ステップS12の障害物検知では、自車両3に接近するものだけを障害物の対象として障害物検知してもよい。
【0048】
以上の様に構成された車両周辺監視装置1によれば、カメラ5の撮像画像に基づき自車両3の走行状態を判定し、その判定結果に基づき表示装置9の表示を制御するので、即ち車両信号を用いないので、当該装置1と外部との配線接続構成を簡素化できる。
【0049】
また、撮像画像中の地面の動きに基づき自車両3の走行状態を判定するので、撮像画像に映る背景に依らずに自車両3の走行状態を判定できる。
【0050】
また、自車両3の後退中または停車中と判定された場合に、カメラ5の撮像画像を拡大して表示装置9に表示するので、自車両3の後退中または停車中の様な撮像画像を拡大表示すべき場合に適切に撮像画像を拡大して表示できる。
【0051】
また、カメラ5の撮像画像G中の自車両3走行レーン部分のうち、少なくとも自車両3から後方に所定距離離れた所までの部分上にマスク画像m1(ここでは更にその部分に対応する上空部分上にマスク画像m2)を重畳して前記撮像画像G(以後、前進用画像G3とよぶ)を表示装置9に表示するので、マスク画像m1,m2により自車両3と自車両3の真後方向の接近車両および左右レーンを走る接近車両との配置関係が視覚的に把握し易くできる。
【0052】
また、自車両3の前進中と判定された場合に前進用画像G3を表示するので、前進中以外の不要な場合に前進用画像G3が表示されることを防止できる。
【0053】
また、自車両3の車速が所定速度(例えば60km/h)を越える場合だけカメラ5の撮像画像G3を表示装置9に表示させるので、所定速度を越える場合の様に表示装置9を用いた後方確認の必要性が高い場合だけカメラ5の撮像画像を表示装置9に表示できる。
【0054】
また、カメラ5の撮像画像に基づき撮像画像中に障害物が存在するかを検知するので、即ち車両信号を用いずに障害物検知を行うので、当該装置1と外部との配線接続構成を簡素化して障害物を検知できる。また、障害物を検知した場合に、その旨を、警告音を発して又は表示装置9に表示された撮像画像上に警告マークを重畳表示して警告するので、適切に障害物の存在を警告できる。
【0055】
尚、この実施の形態では、自車両3の走行状態として前進中か後退中か停車中かしか判定しなかったが、それ以外に、自車両3が左に曲がったかや右に曲がったかなども判定してもよい。
【0056】
<変形例1>
上記の実施の形態では、カメラ5と画像処置装置7とを別体として構成したが、例えば図12の様に、画像処置装置7をカメラ5内に内蔵してカメラ5と画像処置装置7とを一体化してもよい。
【0057】
図12では、カメラ5は、透過窓5aを有するケース5bと、透過窓5aの後方に収容配置された撮像素子5cと、撮像素子5cの後方に収容配置され、撮像素子5cの撮像画像に所要の信号処理を施す映像回路5dとを備えて構成されており、映像回路5dの後方に画像処理装置7が収容配置される様にして、画像処理装置7がカメラ5内に内蔵されている。そして画像処理装置7は、映像回路5dにより信号処理された撮像画像に対して上記の画像処理を行っている。
【0058】
また図12では、カメラ5と表示装置9とは、カメラ5から表示装置9に電源を供給するための電源線13と、カメラ5からの撮像画像(即ち画像処理装置7により画像処理された撮像画像)を表示装置9に出力するための映像線15のみで接続されている。ここでは、画像処理装置7の制御部7bが表示装置9の電源供給をオンオフ制御することで、表示装置9の表示をオンオフ制御する。
【0059】
この様にすれば、画像処理装置7はカメラ5と一体化されるので、自車両3内において画像処理装置7の配置場所を確保する必要が無くなると共に、カメラ5と表示装置9とを配線接続するだけで当該車両周辺監視装置1を組み立てる事ができるので、当該装置1の各構成装置内の配線接続構成を簡素化できる。
【0060】
<変形例2>
上記の実施の形態では、カメラを1つだけ設置したが、自車両の各部(前部、後部、ドアミラなどの側部など)にカメラを複数設置してもよい。そしてカメラを複数設置した場合は、自車両の走行状態に応じて各カメラの撮像画像を選択的に表示装置に表示する様にしてもよい。
【0061】
図13は、カメラを2つ設置した場合の車両周辺監視装置の構成概略図である。以下、上記の実施の形態と異なる部分だけ説明する。
【0062】
この車両周辺監視装置1Bでは、カメラ5Fは、自車両3の前部に設置されて自車両前方を撮像し、カメラ5Rは、自車両3の後部に設置されて自車両前方を撮像する。
【0063】
また、この実施の形態の制御部7eは、判定部7aの判定結果に応じて複数のカメラ5F,5Rの撮像画像のうち表示装置9に表示すべき撮像画像を選択するほか、上記の実施の形態の様に判定部7aの判定結果に基づき表示装置9の表示を制御する。
【0064】
ここでは例えば、制御部7eは、判定部7aが前進中と判定した場合は、前方カメラ5Fの撮像画像を選択し、その選択した撮像画像を拡大して表示装置9に表示させ、他方、判定部7aが後退中と判定した場合は、後方カメラ5Rの撮像画像を選択し、その選択した撮像画像に対して上記の実施の形態と同じ処理(ステップS3)を行い、他方、判定部7aが停車中と判定した場合は、後方カメラ5Rの撮像画像を選択し、その選択した撮像画像に対して上記の実施の形態と同じ処理(ステップS11〜S13)を行う。尚、撮像画像を表示する場合に撮像画像を拡大するか否かや、障害物検知を行うか否かは、設計上の都合に合わせて適宜決定すればよい。
【0065】
以上の様に構成された車両周辺監視装置1Bによれば、上記の実施の形態と同様の効果が得られる他に、判定部7aの判定結果(即ち自車両3の走行状態)に応じて複数のカメラ5F,5Rの撮像画像のうち表示装置9に表示すべき撮像画像が選択されるので、カメラが複数設置された場合でも、自車両3の走行状態に応じて適切なカメラの撮像画像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両周辺監視装置の構成概略図である。
【図2】カメラの設置位置の一例を説明する図である。
【図3】自車両の前進中の撮像画像に映った地面の様子の一例を示した図である。
【図4】自車両の後退中の撮像画像に映った地面の様子の一例を示した図である。
【図5】撮像画像の一例図である。
【図6】拡大画像の一例図である。
【図7】撮像画像の一例図である。
【図8】撮像画像にマスク画像m1,m2を重畳した場合の一例図である。
【図9】像画像の切り出されない部分に障害物が映った場合の撮像画像の一例図である。
【図10】表示画像に障害物が映っていない場合の警告マークの一例図である。
【図11】この実施の形態に係る車両周辺監視装置の動作を説明するフローチャートである。
【図12】カメラと画像処理装置とを一体化した場合のカメラの構成概略図である。
【図13】変形例に係る車両周辺監視装置の構成概略図である。
【図14】従来の車両周辺監視装置の構成概略図である。
【符号の説明】
【0067】
1 車両周辺監視装置
3 自車両
5 カメラ
5a 透過窓
5b ケース
5c 撮像素子
5d 映像回路
7 画像処理装置
7a 判定部
7b 制御部
7c 検知部
7d 警告部
9 表示装置
13 電源線
15 映像線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両に設置されて自車両周辺を撮像するカメラと、
前記カメラの撮像画像を処理する画像処理手段と、
前記画像処理手段により処理された前記撮像画像を表示する表示手段とを備え、
前記画像処理手段は、
前記カメラの撮像画像に基づき自車両の走行状態を判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づき前記表示手段の表示を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする車両周辺監視装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記撮像画像中の地面の動きに基づき自車両の走行状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の車両周辺監視装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記判定手段が後退中または停車中と判定した場合に、前記カメラの撮像画像を拡大して前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両周辺監視装置。
【請求項4】
前記カメラが自車両後方を撮像する場合において、
前記制御手段は、前記判定手段が前進中と判定した場合に、前記撮像画像中の自車両走行レーン部分のうち、少なくとも自車両から後方に所定距離離れた所までの部分上にマスク画像を重畳して、前記撮像画像を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両周辺監視装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記カメラの撮像画像中の地面の動きに基づき自車両の車速を検出し、
前記制御手段は、前記判定手段が検出した車速が所定速度を越える場合には、前記カメラの撮像画像を前記表示手段に表示させ、前記判定手段が検出した車速が所定速度を越えない場合には、前記カメラの撮像画像を前記表示手段に表示させないことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の車両周辺監視装置。
【請求項6】
前記カメラの撮像画像に基づき前記撮像画像中に障害物が存在するかを検知する検知手段と、
前記検知手段が障害物を検知した場合に、その旨を警告する警告手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の車両周辺監視装置。
【請求項7】
前記画像処理手段は、前記カメラと一体化されることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の車両周辺監視装置。
【請求項8】
前記カメラは自車両に複数設置され、
前記制御手段は、前記判定手段の判定結果に応じて、前記複数のカメラの撮像画像のうち前記表示手段に表示すべき撮像画像を選択することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両周辺監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−221200(P2007−221200A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−36131(P2006−36131)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】