説明

車両用シートの取付構造

【課題】車両用シートの取付剛性を確保しつつ、車体部材及び結合部材の軽量化を図り、且つ、結合部の耐久性を確保する。
【解決手段】車両用シートの取付構造10において、車両用シート12を支持するサイドメンバ30とブラケット40とは、閉断面47を構成している。従って、サイドメンバ30及びブラケット40の剛性を確保できるので、車両用シート12の取付剛性を確保しつつ、サイドメンバ30及びブラケット40の軽量化を図ることができる。また、サイドメンバ30に形成された一対の側壁32は、車両幅方向に対向しており、ブラケット40に形成された一対の結合壁42は、この一対の側壁32と対向状態で結合されている。従って、車両急減速時に車両用シート12に対して車両前側且つ車両上側に荷重が作用した場合でも、側壁32と結合壁42とには、互いに剪断方向に力が作用するので、結合部46A,46Bの耐久性を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用シートの取付構造としては、次のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、特許文献1に記載の例では、リアフロアの上面にシートスライドレールが配置されており、このシートスライドレールは、リアフロアと結合されると共に、リアフロアの下面に接合されたリアサイドフレームと一対の連結部材を介して連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−68736号公報(図6)
【特許文献2】特開平8−175425号公報
【特許文献3】特開2003−127734号公報
【特許文献4】特開2006−321367号公報
【特許文献5】特開2007−176226号公報
【特許文献6】特開2002−19508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の例では、リアサイドフレームと一対の連結部材が開断面を構成している。従って、シートスライドレールの取付剛性を確保するためには、例えば、リアサイドフレームや一対の連結部材を厚肉化するなどの必要がある。ところが、この場合には、車体の重量が増加するという不都合がある。
【0005】
また、リアフロアとシートスライドレールとの結合部と、リアサイドフレームと連結部材との結合部とが、車両側面視にて車両上下方向に並んでいる。このため、車両急減速時に車両用シートに対して車両前側且つ車両上側に(車両上下方向に対して傾斜した方向に)荷重が作用した場合には、リアフロアとシートスライドレールとの結合部を中心として、リアサイドフレームと連結部材との結合部に捩れ方向の力が作用する。従って、このリアサイドフレームと連結部材との結合部の耐久性を確保するためには、例えば、この結合部の強度を向上させるなどの対策が必要となる。
【0006】
さらに、リアサイドフレームの底壁に溶接時の位置決め用の基準穴が形成されていた場合、この基準穴から浸入した水がリアサイドフレームのフランジとリアフロアの下面との間に入り込み、例えば、フランジに錆びが生じるなどの不都合が生じる虞がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、上記課題を解決できる車両用シートの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の車両用シートの取付構造は、フロアパネルと、車両幅方向に対向する一対の側壁と、前記一対の側壁における車両下側を連結する底壁とを有すると共に、前記フロアパネルに対する車両下側に位置されて前記フロアパネルと結合された車体部材と、前記一対の側壁のそれぞれと対向状態で結合された一対の結合壁と、前記底壁に対する車両上側に位置されて前記一対の結合壁を連結する上壁とを有すると共に、前記フロアパネルに対する車両下側に位置されて前記車体部材とで閉断面を構成する結合部材と、前記フロアパネルに対する車両上側に位置されると共に、前記フロアパネル及び前記上壁と結合された車両用シートと、を備えている。
【0009】
この車両用シートの取付構造によれば、車両用シートを支持する車体部材と結合部材とは、閉断面を構成している。従って、車体部材及び結合部材の剛性を確保することができるので、車両用シートの取付剛性を確保しつつ、車体部材及び結合部材の軽量化(例えば、薄肉化など)を図ることができる。
【0010】
また、結合部材には、上壁と連続して一対の結合壁が形成されており、この結合部材全体の剛性が確保されている。従って、車体部材及び結合部材の軽量化をより一層図ることができる。
【0011】
さらに、車体部材に形成された一対の側壁は、車両幅方向に対向しており、結合部材に形成された一対の結合壁は、この一対の側壁と対向状態で結合されている。従って、車両急減速時に車両用シートに対して車両前側且つ車両上側に荷重が作用した場合でも、側壁と結合壁とには、互いに剪断方向に力が作用するので、側壁と結合壁との結合部の耐久性を確保することができる。
【0012】
請求項2に記載の車両用シートの取付構造は、請求項1に記載の車両用シートの取付構造において、前記結合壁が、前記フロアパネル及び前記上壁と前記車両用シートとの結合部に対する車両後側且つ車両下側にて前記側壁と結合された結合部を少なくとも有する、構成とされている。
【0013】
この車両用シートの取付構造によれば、上述の結合壁と側壁との結合部は、フロアパネル及び上壁と車両用シートとの結合部に対する車両後側且つ車両下側に位置されている。従って、車両急減速時に車両用シートに対して車両前側且つ車両上側に荷重が作用した場合でも、フロアパネル及び上壁と車両用シートとの結合部を中心として、上述の側壁と結合壁との結合部に捩れ方向の力が作用することを抑制することができる。これにより、この側壁と結合壁との結合部の強度を向上させるなどの対策を施さなくても、この結合部の耐久性を確保することができる。
【0014】
請求項3に記載の車両用シートの取付構造は、請求項1又は請求項2に記載の車両用シートの取付構造において、前記車体部材に、前記一対の側壁における車両上側から車両幅方向に沿って延びると共に、前記フロアパネルと結合された一対のフランジが形成され、前記一対の結合壁が、前記一対の側壁の間に位置された、構成とされている。
【0015】
この車両用シートの取付構造によれば、一対の結合壁は、一対の側壁の間に位置されている。従って、例えば、車体部材の底壁に溶接時の位置決め用の基準穴が形成されていた場合でも、この基準穴から浸入した水がフランジとフロアパネルとの間に入り込むことを結合壁によって抑制することができる。これにより、例えば、フランジに錆びが生じるなどの不都合が生じることを抑制することができる。
【0016】
請求項4に記載の車両用シートの取付構造は、請求項2に記載の車両用シートの取付構造において、前記結合部材が、前記上壁及び前記フロアパネルと前記車両用シートとの結合部と、前記側壁と前記結合壁との結合部とを車両側面視にて結ぶ方向に沿って形成された荷重伝達部を有する、構成とされている。
【0017】
この車両用シートの取付構造によれば、車両急減速時に車両用シートに対して車両前側且つ車両上側に荷重が作用した場合には、上壁及びフロアパネルと車両用シートとの結合部に入力された荷重を、荷重伝達部によって側壁と結合壁との結合部に効率良く伝達することができる。これにより、例えば、車両急減速時における車両用シートの変位等を抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上詳述したように、本発明によれば、車両用シートの取付剛性を確保しつつ、車体部材及び結合部材の軽量化(例えば、薄肉化など)を図ることができ、しかも、側壁と結合壁との結合部の耐久性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートの取付構造が適用された車両の室内を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両用シートの取付構造の一部を示す斜視図である。
【図3】図2に示される部分の正面断面図である。
【図4】図2に示される部分の側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る車両用シートの取付構造の他の一部を示す正面断面図である。
【図6】図5に示される部分の側面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る車両用シートの取付構造の変形例を示す図である。
【図8】図7に示されるブラケットの斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る車両用シートの取付構造の他の変形例を示す図である。
【図10】図9に示されるブラケットの斜視図である。
【図11】第一比較例に係る車両用シートの取付構造の正面断面図である。
【図12】第二比較例に係る車両用シートの取付構造の正面断面図である。
【図13】第三比較例に係る車両用シートの取付構造の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0021】
各図において示される矢印UP、矢印FR、矢印OUTは、車両上下方向上側、車両前後方向前側、車両幅方向外側をそれぞれ示している。
【0022】
図1に示される車両用シート12は、例えば、ミニバン等の車両における二列目のシートとされている。この車両用シート12は、シートバック14及びシートクッション16を有するシート本体18と、このシート本体18を車両前後方向に移動可能に支持する一対のスライドレール20,22とを備えている。また、シート本体18には、シートベルト装置24が一体に組み込まれている。
【0023】
なお、車両右側に配置された車両用シート12と、車両左側に配置された車両用シート12とは、左右対称に構成されている。従って、ここでは、車両右側に配置された車両用シート12について説明し、車両左側に配置された車両用シート12については説明を省略する。
【0024】
一対のスライドレール20,22は、フロアパネル26に対する車両上側に配置されている。そして、この一対のスライドレール20,22は、本発明の一実施形態に係る車両用シートの取付構造10によって、例えば、車両前後方向の三箇所で車体に取り付けられている。
【0025】
すなわち、一方のスライドレール20の車両後側20Aは、図2〜図4に示される構造により車体に取り付けられている。これらの図に示されるように、フロアパネル26に対する車両下側には、車体部材としてのサイドメンバ30と、結合部材としてのブラケット40とが設けられている。
【0026】
サイドメンバ30は、車体における車両幅方向外側に配置されており、車両前後方向に延在されている。このサイドメンバ30は、車両幅方向に対向する一対の側壁32と、この一対の側壁32における車両下側を連結する底壁34と、一対の側壁32における車両上側から車両幅方向に沿って互いに離間する側に延びる一対のフランジ36とを有して構成されている。一対のフランジ36は、例えば溶接等の結合部38によってフロアパネル26と結合されている。
【0027】
ブラケット40は、車両幅方向に対向する一対の結合壁42と、底壁34に対する車両上側に位置されて一対の結合壁42を連結する上壁44とを有して構成されている。一対の結合壁42は、一対の側壁32の間に位置されると共に、一対の側壁32のそれぞれと対向した状態とされている。そして、この一対の結合壁42は、例えば溶接等の結合部46A,46Bによって一対の側壁32のそれぞれと結合されている。これにより、ブラケット40は、図3に示されるように、サイドメンバ30とで閉断面47を構成している。
【0028】
また、図4に示されるように、上述の結合部46A,46Bのうち車両後側の結合部46Aは、後述する締結部材48に対する車両後側且つ車両下側に位置されている。つまり、車両急減速時に車両用シート12に対して車両前側且つ車両上側に荷重が作用した場合には、締結部材48に対して車両前側且つ車両上側に荷重F1が入力されるが、結合部46Aは、この荷重F1の方向の延長線上に位置されている。なお、この荷重F1は、例えば、ベルトアンカ試験(例えば、米国規格FMVSS210)にて規定されるものである。
【0029】
スライドレール20は、サイドメンバ30と車両平面視にて重なるように配置されている。そして、このスライドレール20の車両後側20Aは、例えば、ボルト及びウェルドナット等からなる結合部としての締結部材48によって、フロアパネル26及び上壁44と結合されている。
【0030】
また、このスライドレール20の車両前後方向中央部20B(図1参照)は、上記と同様な構造により車体に取り付けられている。すなわち、図5,図6に示されるように、フロアパネル26に対する車両下側には、結合部材としてのブラケット50が設けられている。
【0031】
ブラケット50は、上述のブラケット40と同様な構成とされており、図5に示されるように、車両幅方向に対向する一対の結合壁52と、底壁34に対する車両上側に位置されて一対の結合壁52を連結する上壁54とを有して構成されている。一対の結合壁52は、一対の側壁32の間に位置されると共に、一対の側壁32のそれぞれと対向した状態とされている。そして、この一対の結合壁52は、例えば溶接等の結合部56A,56Bによって一対の側壁32のそれぞれと結合されている。これにより、ブラケット50は、サイドメンバ30とで閉断面57を構成している。
【0032】
また、図6に示されるように、上述の結合部56A,56Bのうち車両後側の結合部56Aは、上述の結合部46Aと同様に、後述する締結部材58に対する車両後側且つ車両下側に位置されると共に、荷重F1の方向の延長線上に位置されている。
【0033】
なお、ブラケット50は、ブラケット40に対して車両前側に配置されているので、締結部材58に入力される荷重F1の水平方向に対する傾斜角度は、上述の締結部材48に入力される荷重F1の水平方向に対する傾斜角度よりも大きくなっている。
【0034】
また、このスライドレール20の車両前後方向中央部20Bは、例えば、ボルト及びウェルドナット等からなる結合部としての締結部材58によって、フロアパネル26及び上壁54と結合されている。
【0035】
なお、特に図示していないが、一方のスライドレール20の車両前側20C(図1参照)は、上記と同様な構造により車体に取り付けられるか、又は、一般的な取付構造により車体に取り付けられている。
【0036】
また、他方のスライドレール22は、一方のスライドレール20と同様な構造により車体に取り付けられている。ただし、車体には、例えば、車両幅方向に延在された一対のフロアクロスメンバと、車両前後方向に延在されてこの一対のフロアクロスメンバを連結する連結メンバとが備えられており、他方のスライドレール22は、サイドメンバ30の代わりに、この連結メンバと結合されている。
【0037】
次に、本発明の一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0038】
先ず、本発明の一実施形態の作用及び効果をより明確にするために、比較例について説明する。なお、ここでは、一方のスライドレール20の車両後側20Aにおける構造の比較についてのみ説明する。また、比較例において、上述の本発明の一実施形態と同一名称の部材等については、便宜上、同一符合を用いる。
【0039】
図11に示される第一比較例に係る車両用シートの取付構造70では、本発明の一実施形態に係る車両用シートの取付構造10に対し、ブラケット40(図2〜図4参照)が省かれている。また、スライドレール20は、サイドメンバ30のフランジ36及びフロアパネル26と締結部材48によって結合されている。
【0040】
この第一比較例に係る車両用シートの取付構造70では、ブラケット40を備えない分、部品点数が少ないため、軽量化することができる。ところが、サイドメンバ30が開断面を構成しているので、スライドレール20の取付剛性が不足するという不都合がある。
【0041】
また、サイドメンバ30の底壁34に溶接時の位置決め用の基準穴60が形成されていた場合、この基準穴60から浸入した水がフランジ36とフロアパネル26との間に入り込み、例えば、フランジ36に錆びが生じるなどの不都合が生じる虞がある。
【0042】
また、図12に示される第二比較例に係る車両用シートの取付構造80では、本発明の一実施形態に係る車両用シートの取付構造10に対し、ブラケット40(図2〜図4参照)の代わりに補強プレート82が備えられている。また、フランジ36は、補強プレート82及びフロアパネル26と三枚重ね状態で溶接されることにより結合されている。さらに、スライドレール20は、補強プレート82及びフロアパネル26と締結部材48によって結合されている。
【0043】
この第二比較例に係る車両用シートの取付構造80では、補強プレート82とサイドメンバ30とが閉断面87を構成しているので、スライドレール20の取付剛性を確保することができる。ところが、フランジ36、補強プレート82、及び、フロアパネル26を三枚重ね状態で溶接により結合させるためには、各板厚に制限があり、各板厚の自由度が小さい。
【0044】
また、車両急減速時に車両用シート12(図1参照)に対して車両前側且つ車両上側に荷重が作用した場合には、フランジ36、補強プレート82、及び、フロアパネル26に対して互いに剥離方向に荷重が入力される。このため、フランジ36、補強プレート82、及び、フロアパネル26に剥離が生じる虞がある。従って、これらを結合する結合部38の耐久性を確保するためには、例えば、この結合部38の強度を向上させるなどの対策が必要となる。
【0045】
また、サイドメンバ30の底壁34に溶接時の位置決め用の基準穴60が形成されていた場合、この基準穴60から浸入した水がフランジ36と補強プレート82との間に入り込み、例えば、フランジ36に錆びが生じるなどの不都合が生じる虞がある。
【0046】
また、図13に示される第三比較例に係る車両用シートの取付構造90では、本発明の一実施形態に係る車両用シートの取付構造10に対し、結合部46Aが締結部材48と車両側面視にて車両上下方向に並んでいる。
【0047】
このため、車両急減速時に車両用シート12(図1参照)に対して車両前側且つ車両上側に(車両上下方向に対して傾斜した方向に)荷重が作用した場合には、締結部材48を中心として、結合部46Aに捩れ方向の力F2が入力される。従って、結合部46Aの耐久性を確保するためには、例えば、この結合部46Aの強度を向上させるなどの対策が必要となる。
【0048】
これに対し、本発明の一実施形態に係る車両用シートの取付構造10によれば、図3に示されるように、スライドレール20を支持するサイドメンバ30とブラケット40とは、閉断面47を構成している。従って、サイドメンバ30及びブラケット40の剛性を確保することができるので、スライドレール20の取付剛性を確保しつつ、サイドメンバ30及びブラケット40の軽量化(例えば、薄肉化など)を図ることができる。
【0049】
また、ブラケット40には、上壁44と連続して一対の結合壁42が形成されており、このブラケット40全体の剛性が確保されている。従って、サイドメンバ30及びブラケット40の軽量化をより一層図ることができる。
【0050】
さらに、図2,図3に示されるように、サイドメンバ30に形成された一対の側壁32は、車両幅方向に対向しており、ブラケット40に形成された一対の結合壁42は、この一対の側壁32と対向状態で結合されている。従って、車両急減速時に車両用シート12(図1参照)に対して車両前側且つ車両上側に荷重が作用した場合でも、側壁32と結合壁42とには、互いに剪断方向に力が作用するので、結合部46A,46Bの耐久性を確保することができる。
【0051】
また、図4に示されるように、車両後側の結合部46Aは、締結部材48に対する車両後側且つ車両下側に位置されている。従って、車両急減速時に車両用シート12(図1参照)に対して車両前側且つ車両上側に荷重が作用した場合でも、結合部46Aには主として引張力が作用し、締結部材48を中心として結合部46Aに捩れ方向の力F2が作用することを抑制することができる。これにより、結合部46Aの強度を向上させるなどの対策を施さなくても、この結合部46Aの耐久性を確保することができる。
【0052】
また、図3に示されるように、一対の結合壁42は、一対の側壁32の間に位置されている。従って、例えば、サイドメンバ30の底壁34に溶接時の位置決め用の基準穴60が形成されていた場合でも、この基準穴60から浸入した水がフランジ36とフロアパネル26との間に入り込むことを結合壁42によって抑制することができる。これにより、例えば、フランジ36に錆びが生じるなどの不都合が生じることを抑制することができる。
【0053】
また、この場合に、側壁32と結合壁42との間に僅かな隙間が形成されていると、基準穴60から浸入した水がフランジ36とフロアパネル26との間に入り込むことを結合壁42によって抑制しつつ、電着塗装時には、その隙間に塗料が入り込むので、側壁32と結合壁42とを電着塗装することができる。
【0054】
次に、本発明の一実施形態の変形例について説明する。
【0055】
上記実施形態では、車体部材の一例として、サイドメンバ30が用いられていたが、このサイドメンバ30の代わりに、このサイドメンバ30に結合されたブラケットやフロアパネル26に結合された補強部材等が用いられていても良い。
【0056】
また、上記実施形態において、車両用シート12は、スライドレール20,22を備えていたが、スライドレール20,22を備えずに、上記構造によって車体に取り付けられていても良い。
【0057】
また、上記実施形態において、車両用シート12は、ミニバン等の車両における二列目のシートとされていたが、この車両におけるその他のシートとされていても良く、また、ミニバン以外のその他の車両におけるシートとされていても良い。
【0058】
また、上記実施形態において、ブラケット40は、次のように構成されていても良い。すなわち、図7,図8に示される変形例では、一対の結合壁42に、締結部材48と結合部46Aとを車両側面視にて結ぶ方向に沿って荷重伝達部としてのビード62が形成されている。
【0059】
このように構成されていると、車両急減速時に車両用シート12(図1参照)に対して車両前側且つ車両上側に荷重が作用した場合には、締結部材48に入力された荷重を、ビード62によって結合部46Aに効率良く伝達することができる。これにより、例えば、車両急減速時における車両用シート12の変位等を抑制することができる。
【0060】
また、図9,図10に示される変形例では、一対の結合壁42にビード62が形成されることに加えて、上壁44には、締結部材48と結合部46Aとを車両側面視にて結ぶ方向に沿って荷重伝達部としての傾斜部64が形成されている。
【0061】
このように構成されていると、締結部材48に入力された荷重を、ビード62及び傾斜部64によって結合部46Aにより一層効率良く伝達することができる。これにより、例えば、車両急減速時における車両用シート12の変位等をより一層抑制することができる。
【0062】
また、ブラケット50にも、ブラケット40と同様に上述のビード62及び傾斜部64の少なくとも一方が形成されていても良い。
【0063】
以上、本発明の一実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0064】
10 車両用シートの取付構造
20,22 スライドレール(車両用シートの一部)
26 フロアパネル
30 サイドメンバ(車体部材)
32 側壁
34 底壁
36 フランジ
40,50 ブラケット(結合部材)
42,52 結合壁
44,44 上壁
46A,56A 結合部(側壁と結合壁との結合部)
47,57 閉断面
48,58 締結部材(フロアパネル及び上壁と車両用シートとの結合部)
62 ビード(荷重伝達部)
64 傾斜部(荷重伝達部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネルと、
車両幅方向に対向する一対の側壁と、前記一対の側壁における車両下側を連結する底壁とを有すると共に、前記フロアパネルに対する車両下側に位置されて前記フロアパネルと結合された車体部材と、
前記一対の側壁のそれぞれと対向状態で結合された一対の結合壁と、前記底壁に対する車両上側に位置されて前記一対の結合壁を連結する上壁とを有すると共に、前記フロアパネルに対する車両下側に位置されて前記車体部材とで閉断面を構成する結合部材と、
前記フロアパネルに対する車両上側に位置されると共に、前記フロアパネル及び前記上壁と結合された車両用シートと、
を備えた車両用シートの取付構造。
【請求項2】
前記結合壁は、前記フロアパネル及び前記上壁と前記車両用シートとの結合部に対する車両後側且つ車両下側にて前記側壁と結合された結合部を少なくとも有する、
請求項1に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項3】
前記車体部材には、前記一対の側壁における車両上側から車両幅方向に沿って延びると共に、前記フロアパネルと結合された一対のフランジが形成され、
前記一対の結合壁は、前記一対の側壁の間に位置されている、
請求項1又は請求項2に記載の車両用シートの取付構造。
【請求項4】
前記結合部材は、前記上壁及び前記フロアパネルと前記車両用シートとの結合部と、前記側壁と前記結合壁との結合部とを車両側面視にて結ぶ方向に沿って形成された荷重伝達部を有する、
請求項2に記載の車両用シートの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−254089(P2010−254089A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105261(P2009−105261)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】