車両用ドラムリムーバ
【課題】 本発明は、車両ブレーキドラムの交換と運搬を容易にできるようにした車両用ドラムリムーバを提供するものである。
【解決手段】 かゝる本発明は、2本の開閉可能な平行アーム部材210、210からなるドラム受けアーム200と、ドラムストッパ300と、ドラム受けアーム200にスライド自在に取り付けられて、車両ブレーキドラムのスライダクランプ400と、スライダクランプ400の立設プレート片410に設けられて、車両ブレーキドラム側のボルト軸が通されるクランプ穴400aとを備え、かつ、ドラム受けアーム200の角度調整手段500と、ドラム受けアーム200の高さ調整用の昇降手段600を介して、移動自在の台車700のテーブル台部710に設置させた車両用ドラムリムーバ100にあり、これにより、低コストで、使い勝手に優れたものが得られる。
【解決手段】 かゝる本発明は、2本の開閉可能な平行アーム部材210、210からなるドラム受けアーム200と、ドラムストッパ300と、ドラム受けアーム200にスライド自在に取り付けられて、車両ブレーキドラムのスライダクランプ400と、スライダクランプ400の立設プレート片410に設けられて、車両ブレーキドラム側のボルト軸が通されるクランプ穴400aとを備え、かつ、ドラム受けアーム200の角度調整手段500と、ドラム受けアーム200の高さ調整用の昇降手段600を介して、移動自在の台車700のテーブル台部710に設置させた車両用ドラムリムーバ100にあり、これにより、低コストで、使い勝手に優れたものが得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ブレーキドラムの交換や運搬を簡単かつ安定にできるようにした簡易形の車両用ドラムリムーバ(交換装置)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両整備場などでは、車両の点検、整備時、車両ブレーキドラムを取り外して点検などを行う必要があるが、車両ブレーキドラムは結構おもく、特に大型車両(大型トラックなど)では、相当な重量物となるため、この作業を、人手のみで行うことは困難である。
このため、従来から、車両ブレーキドラムの交換装置として、移動可能な簡易形のドラムリムーバが提案されている(例えば引用文献1〜2)。
【特許文献1】特開2006−347316号
【特許文献1】特開2006−347317号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、引用文献1〜2のドラムリムーバの場合、簡易形といえども、その構造は結構複雑であるため、取り扱いが面倒で、また、装置の高コスト化が避けられないという問題があった。
【0004】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、より簡単な構造のものとして、低コストで、使い勝手に優れた車両用ドラムリムーバを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明は、2本の開閉可能な平行アーム部材からなり当該平行アーム部材間で車両ブレーキドラムを受けるドラム受けアームと、前記ドラム受けアームの一端寄りに装着されて前記車両ブレーキドラムの片端側を支えるストッパ片からなるドラムストッパと、前記ドラム受けアームの平行アーム部材の少なくとも一方にスライド自在に取り付けられて、前記ドラムストッパとは反対側の車両ブレーキドラムの他方の片端側に添設される立設プレート片からなるスライダクランプと、前記スライダクランプの立設プレート片に設けられて、前記車両ブレーキドラム側のボルト軸が通される長穴形状のクランプ穴とを備え、かつ、前記ドラム受けアームを、その2本の平行アーム部材の傾斜角度を調整するための角度調整手段と、その2本の平行アーム部材の高さを調整するための昇降手段を介して、移動自在の台車のテーブル台部に設置させたことを特徴とする車両用ドラムリムーバにある。
【0006】
請求項2記載の本発明は、前記台車のテーブル台部の一端側に、移動用の握手スタンドを設けたことを特徴とする請求項1記載の車両用ドラムリムーバにある。
【0007】
請求項3記載の本発明は、前記昇降手段は、少なくとも1組のX状に組み付けられた2本のリンクアームを、前記台車のテーブル台部と前記角度調整手段が載るリフトテーブルとの間に設け、その開閉により前記リフトテーブルの高さを調整するX型リンク機構と、前記台車に設置すると共に、その昇降ロッドを前記X型リンク機構の一部に連結させて、前記2本のリンクアームを開閉させる油圧ジャッキと、前記油圧ジャッキの昇降ロッドを上昇させる足踏みペダルと、前記油圧ジャッキの昇降ロッドをジャッキ開閉弁の開成により下降させる下降用レバーとからなることを特徴とする請求項1、又は2記載の車両用ドラムリムーバにある。
【0008】
請求項4記載の本発明は、前記角度調整手段は、前記ドラム受けアームの平行アーム部材のスライダクランプ側の片端側にその一端側を固着させると共に、その反対の他端側を前記リフトテーブル側に軸着させた昇降リンク部材と、前記平行アーム部材の前記スライダクランプ側の片端側と前記リフトテーブルとの間に組み付け、その開閉により前記ドラム受けアームの平行アーム部材の傾斜角度を調整するパンタグラフ型ジャッキ機構と、前記パンタグラフ型ジャッキ機構の棒状の開閉用雄ネジシャフトの一端側に装着された回転ハンドルとからなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の車両用ドラムリムーバにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車両用ドラムリムーバによると、車両ブレーキドラムを受けて保持させる部分を、2本の開閉可能な平行アーム部材からなるドラム受けアームと、これに装置されて車両ブレーキドラムの片端側を支えるドラムストッパと、ドラム受けアームにスライド自在に取り付けられて車両ブレーキドラムの他方の片端側を支えるスライダクランプを、中心部材として構成し、これらを、ドラム受けアームの角度調整手段、昇降手段を介して、移動自在の台車に組み付けた簡単な構造であるため、低コストで、使い勝手に優れた車両用ドラムリムーバを得ることができる。
【0010】
例えば、使用時角度調整手段によって、後述するように、25°程度の角度調整が可能であるため、通常胴部の外径が前後で相違する車両ブレーキドラムにおいても、簡単に水平に受けることができる。言い換えれば、当初から傾斜のない水平部材で受けた場合、車両ブレーキドラムは、その短径側の胴部接触時、傾き、衝撃が発生するなどの問題があるが、上記水平支持によりこの問題は解消される。
また、車両ブレーキドラムを受けるドラム受けアームが、2本の開閉可能な平行アーム部材からなるため、受けた状態で車両ブレーキドラムを容易に回転させることができる。つまり、回してドラムの下側とか、ドラム全体を容易に点検することができる。
また、車両ブレーキドラムは、ドラム受けアームの2本の開閉可能な平行アーム部材間に単に挟まれる形で受けられるため、細かな位置合わせなどは特に必要なく、簡単にドラム交換を行うことができる。特にドラムの取り外し時には、車両ブレーキドラムの一端を、ドラムストッパに引っ掛けて(受けて)、この状態で引き抜くことができるため、簡単に取り外すことができる。つまり、良好な作業性が得られる。
【0011】
また、ドラム受けアームの角度調整手段も、その昇降手段も、手動タイプとした場合、大きなコスト上昇を招くことはなく、装置全体のより一層の低コスト化が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1〜図4は、本発明に係る車両用ドラムリムーバの一例を示したものである。
図中、100は車両用ドラムリムーバの全体を示す。この車両用ドラムリムーバ100において、200は車両ブレーキドラムを受けるドラム受けアーム、300は車両ブレーキドラムの片端側を支えるドラムストッパ、400は車両ブレーキドラムの他方の片端側に添設されるスライダクランプ(フック)、400aはスライダクランプ400の車両ブレーキドラム側のボルト軸が通される長穴形状のクランプ穴、500はドラム受けアーム200の角度調整手段、600はドラム受けアーム200の高さを調整するための昇降手段、700は移動自在の台車である。
【0013】
台車700は、一般的な既存品でも対応できるもので、その受け台となるテーブル台部(矩形状の台板)710の底面側四隅には、キャスターなどの移動具(移動輪)720・・・が取り付けてある。好ましくはこれらの移動具720・・・のうち、台車の後方側(図1中左側、以下この反対側は台車の前方側と記す)となる移動具720、720(図1、図3)にあっては、回転止め用レバーなどのロック部材721、721を内蔵させたものを使用するとよい。これにより、ロック時台車が不用意に動くことを止めることができるため、高い安全性が得られる。また、テーブル台部の後方側には、例えば概略倒U字型などのパイプ材などからなる、移動用の握手スタンド730を設けてある。台車の移動時や確実な停止状態の確保時には、これを引いたり、押さえたりすればよい。
【0014】
台車700のテーブル台部710上には、上記したように、角度調整手段500、及び昇降手段600を介して、ドラム受けアーム200を設置してある。
このドラム受けアーム200は、図1、図4に示すように、中空鋼材などの2本の開閉可能な平行アーム部材210、210からなり、図12に示すように、車両ブレーキドラムDは、2本の部材間のなす、凹み部分に挟まれる形で支持される。
【0015】
ドラム受けアーム200の2本の平行アーム部材210、210は、例えば中空鋼材などのドラム受けベース部材220に対して、各平行アーム部材210、210の一端側(台車の後方側)に固着した筒型などのスライド部材230、230をスライド可能に嵌め込んで取り付けてある。従って、両スライド部材230、230を移動させることにより、各平行アーム部材210、210間の間隔を調整することができる。即ち、アーム部材間の間隔が開閉可能となっている。これにより、取り扱う車両ブレーキドラムの大きさ(外径)に対応することができる。なお、平行アーム部材間の開閉可能な手段としては、スライド可能な構造であれば、上記構造に限定されない。例えば、ドラム受けベース部材220の長手方向にガイド溝などを設け、これに平行アーム部材210、210の一端側に設けた鍔部付きの嵌合部をスライド可能に嵌め込んで取り付けてもよい。
【0016】
一方、ドラム受けアーム200の2本の平行アーム部材210、210の一端寄り(台車の前方側)には、車両ブレーキドラムの片端側(車両装着時内側となる部分)を支えるドラムストッパ300、300を装着させてある。これは、図1、図2に示すように、円盤状のストッパ片からなる。なお、これは円盤状のものに限定されず、矩形状のもの、少なくとも平行アーム部材210、210の上面側に突出する形の板体や棒状体などでもよい。
【0017】
ここで、取り扱う車両ブレーキドラムの場合は、図12に示すように、通常胴部(図示Da部分)の外径が前後で異なり、また、これに伴って重量もアンバランスとなっている。このため、ドラムストッパ300、300の存在は簡単な構造であるが、極めて重要である。つまり、車両から車両ブレーキドラムを取り外す場合、一旦車両ブレーキドラムをドラム受けアーム200で受け、この状態で、車両ブレーキドラムの片端側をドラムストッパ300、300で支えて、仮止め状態(仮固定)とすることができるからである。
このとき、ドラム受けアーム200の図12中右側を少々下げて傾斜させておけば、車両ブレーキドラムは自重によりドラムストッパ300、300に強く密着されるため、安定した支持が得られる。つまり、高い安全性が確保される。また、このときの傾斜は、角度調整手段500で自在に調整することができるため、その傾斜角度を、車両ブレーキドラムDの胴部Daにおける前後外径差が解消できる角度とすれば、車両ブレーキドラムDを受けた状態で、水平(平行アーム部材210、210の軸線に対して水平)に支持することができる。
【0018】
また、ドラム受けアーム200の2本の平行アーム部材210、210には、車両ブレーキドラムの他方の片端側(車両装着時外側となる部分)に添設される立設プレート片410、410からなるスライダクランプ400、400をスライド自在に取り付けてある。この立設プレート片410の形状は、特に問わないが、例えば図2に示すように、ドラム受けアーム200の外側に開いた形状の円弧状とすればよい。この立設プレート片410の基端には、係合穴(図示省略)を設けてあって、これを通じて、平行アーム部材210側にスライド自在に嵌め込んである。ここで、スライド自在としたのは、取り扱う車両ブレーキドラムの大きさによって胴部(図示Da部分)の厚さが変わるわけであるが、これに容易に対応するためである。
【0019】
さらに、この立設プレート片410には、車両ブレーキドラム側のボルト軸(図12中のDb部分)が通される長穴形状のクランプ穴400aを設けてある。
具体的には、円弧状部材に対応した円弧状の長穴としてある。ここで、円弧状の長穴形状としたのは、例えば図13の右側(実線表示部分)に示すように、ドラム中央の突出部分Ddや、多数あるボルト軸Dbのうち、隣接する他のボルト軸Dbとの干渉が避けられるようになるからである。ここで、図13の左側(破線表示部分)に示すように、立設プレート片410’を直線状の部材とし、そのクランプ穴400a’も直線状としたスライダクランプ400’とすると、ドラム中央の突出部分Ddや隣接する他のボルト軸Dbとの干渉が避けられず、目的とするクランプができなくなる恐れがある。
なお、車両ブレーキドラムをドラム受けアーム200の2本の平行アーム部材210、210間で受けたのみでは、上述したように、仮止め状態が実現するため、より確実で安定な本固定は、このクランプ穴400aに車両ブレーキドラム側のボルト軸Dbを通した後、このボルト軸Dbに既設の固定ナット(ドラムから取り外したものナット、図12中のDc)を締め付けて行う。このとき、2個のスライダクランプ400、400があると、より安定した固定が得られるが、1個で対応することも可能である。
【0020】
このように構成されるドラム受けアーム200は、その角度調整手段500を、その高さを調整するための昇降手段600との間に組み込んである。
この角度調整手段500は、その構成は特に限定されないが、本例では、図1、図4、図8〜図11に示すような構成としてある。即ち、ドラム受けアーム200の平行アーム部材210、210のスライダクランプ側の片端側に、具体的にはドラム受けベース部材220に、中空鋼材などからなる昇降リンク部材510の一端側(昇降側)を、L型のアングル部材520を介して、固着させてある。
一方、昇降リンク部材510の他端側は、昇降手段600の天板側をなす、リフトテーブル610側で、台車の前方側寄り部分に軸着具530により軸着させてある。この軸着具530を中心して、昇降リンク部材510は、アングル部材520との固着側が昇降するようになっている。
【0021】
上記アングル部材520のドラム受けベース部材220側に対する固着部分と、昇降手段600のリフトテーブル610側で、台車の後方側寄り部分との間には、その開閉により、ドラム受けアーム200、即ち平行アーム部材210、210の傾斜角度を調整するパンタグラフ型ジャッキ機構550を組み付けてある。
【0022】
このパンタグラフ型ジャッキ機構550は、既存品やその変更品で対応可能なものであって、本例では、図11から明らかなように、4本のリンクアーム551a・・・を菱形で開閉自在に組み付けた2組のパンタグラフセット551、551を用いている。
このパンタグラフセット551、551の台車の幅方向に向く両連接部(雌ネジ部材内蔵、図示省略)間には、ジャッキ機構の棒状の開閉用雄ネジシャフト552を貫通させてある。開閉用雄ネジシャフト552の一端側には、回転ハンドル553を装着させてあり、これを回せば、例えば図8〜図9に示す閉じた状態のパンタグラフセット551、551を、図10〜図11に示す開いた状態のパンタグラフセット551、551とすることができる。勿論、回転ハンドル553を逆方向に回せば、開いた状態のパンタグラフセット551、551を閉じた状態にすることができる。
【0023】
パンタグラフセット551、551の台車の上下方向に向く両連接部は、軸着具554、554を介して、ドラム受けベース部材220側と昇降手段600のリフトテーブル610側に軸着させてある。これらの軸着具554、554の装着部分には、図11に示すように、各リンクアーム551a・・・の端部に固着させた歯車からなる歯車機構555、555を内蔵させてある。隣接する両パンタグラフセット551、551間の歯車が互いに噛み合うことで、菱形形状を維持することができる。つまり、回転ハンドル553を回さなければ、そのときの状態を安定して維持することができる。
【0024】
このように構成される角度調整手段500による角度調整は、特に問わないが、図1に示すように、水平基準に対して、25°程度としてある。
上述したように、車両ブレーキドラムはその前後で外径が異なり、また、重量もアンバランスとなっているため、車両ブレーキドラムの交換時、ドラム受けアーム200を少々傾けておいた方がかえって作業し易く、安全なことがある。従って、上記程度の角度調整の範囲があれば、十分なものと言える。ここで、特に、傾斜角度を、車両ブレーキドラム胴部の前後外径差を解消する角度としておけば、車両ブレーキドラムをほぼ水平に支持することができる。この結果、例えば、当初から傾斜のない水平部材で受けた場合、車両ブレーキドラムは、その短径側の胴部の接触時、傾き、衝撃が発生するなどの問題が起こるが、この問題は解消される。つまり、高い安全性が得られる。
【0025】
この角度調整手段500が載る、ドラム受けアーム200の高さを調整するための昇降手段600は、図1、図5〜図6に示すように、X状に組み付けられた2本のリンクアーム621、621からなる2組のX型リンク機構620、620を、台車のテーブル台部710上に設けてある。ここで、2組とは、台車700の前後方向の左右縁部寄りの2箇所に設けてあることを意味する。なお、1組で対応することも可能である。
【0026】
この1組のX型リンク機構620について、より具体的に示すと、2本のリンクアーム621、621のうち、台車700の後方側になる各端部側は、それぞれの軸着具622、622を介して、台車700のテーブル台部710の後方側とリフトテーブル610の後方側底面に軸着させてある。
【0027】
また、1組のX型リンク機構620をなす2本のリンクアーム621、621のうち、台車700の前方側になる各端部側(遊端側)には、それぞれの回転輪(コロ)623、623を軸着させて、リフトテーブル610の底面側と台車700のテーブル台部710の上面側に転接させてある。つまり、2本のリンクアーム621、621は、そのほぼ中央部分の軸着部624を中心にして、開閉できるようになっている。この開閉によって、リフトテーブル610の高さを調整することができる。この調整高さhは、特に限定されないが、通常車両整備場などの床面から車両ブレーキドラム下端までの高さは、500〜800mm程度であるため、500mm程度もあれば十分である。
【0028】
上記2組のX型リンク機構620、620を開閉駆動させる油圧ジャッキ625は、台車700のテーブル台部710の底面側に付設してある。そして、その昇降ロッド625aを、上記X型リンク機構620、620間に渡した連接部材626に固着してある。
この昇降ロッド625aを昇降させる足踏みペダル627は、図5に示すように、そのペダルロッド627aを、油圧ジャッキ625のプランジャ部628側に足踏み可能な状態で連係させてある。具体的には、ペダルロッド627aの先端寄りの途中を、プランジャ部628の復帰バネ628aにより弾性付勢されている昇降駆動部材628bに軸着させる一方、その先端を、プランジャ部628側に軸着されたリンクアーム628cに軸着させてある。なお、628dは復帰バネ628aが装着されると共に、昇降駆動部材628bの昇降ガイドとなるガイド軸である。
【0029】
これにより、足踏みペダル627を踏み込めば、復帰パネ628aに抗して昇降駆動部材628bが押し下げられて、油圧ジャッキ625が駆動するため、内蔵のシリンダ側にオイルが供給されて、昇降ロッド625aが上昇する。踏み込みを弛めれば復帰パネ628aにより足踏みペダル627は復帰するため、引き続き踏み込めばよい。
この昇降ロッド625aの上昇によって、リフトテーブル610を簡単かつ迅速に適宜高さまで上げることができる。
【0030】
この昇降された昇降ロッド625aの下降は、油圧ジャッキ625のジャッキ開閉弁(内蔵弁、図示省略)を、下降用レバー629により開成させればよい。この下降用レバー629は、図5、図7に示すように、リンクロッド629a、629b、629cを通じて、ジャッキ開閉弁の駆動部(回動軸)629dに連係させてある。
この連係機構により、下降用レバー629を操作して、リンクロッド629aを、図5に示すように、回転させ、リンクロッド629bの進退によりジャッキ開閉弁の駆動部629dをいずれかの方向に回せば、ジャッキ開閉弁が開成させれて、油圧ジャッキ625の昇降ロッド625aは降下する。逆の操作で、ジャッキ開閉弁の駆動部629dを逆方向に回せば、ジャッキ開閉弁が閉じられる。なお、図7に示す、629eは下降用レバー629を自動復帰させるための復帰パネである。
【0031】
このように構成された本発明の車両用ドラムリムーバ100で、対象の車両から車両ブレーキドラムを取り外すには、先ず、リフトアップされた対象の車両の車両ブレーキドラム下方に進める。このとき、通常は、図1に示すように、昇降手段600を閉じ状態とし、ドラム受けアーム200を閉じておく。また、角度調整手段500によりドラム受けアーム200を水平にしておくとよい。なお、使い慣れれば、車両ブレーキドラムの大凡の高さを推測して、ドラム受けアーム200の高さをある程度の高さにすると共に、角度調整手段500でドラム受けアーム200を、図1の破線に示すように、ある程度傾斜を持たせて、図中右側を低くしておいてもよい。
【0032】
このようにして、車両用ドラムリムーバ100を車両ブレーキドラム下方に進めたら、上記のように、角度調整手段500によりドラム受けアーム200を適度の角度(好ましくは胴部に外径差のある車両ブレーキドラムが水平に支持される角度)を持たせた上で、昇降手段600によりドラム受けアーム200を上昇させる。
そして、車両のロック解除済みの車両ブレーキドラムDの下面側に、ドラム受けアーム200の2本の平行アーム部材210、210を添えて、支える一方、車両ブレーキドラムDの片端側(車両装着時内側となる部分)にドラムストッパ300、300を当てて引っ掛ける。この状態で、台車ごと車両用ドラムリムーバ100を引けば、簡単に車両ブレーキドラムを取り外すことができる。これにより、車両ブレーキドラムDは、ドラム受けアーム200側に落し込まれる形で支持される。従って、安全でかつ迅速な交換作業が確保される。なお、このとき、車両ブレーキドラムDの大きさに合わせて、2本の平行アーム部材210、210を適宜スライドさせて、その間隔を調整すればよい。
【0033】
この状態では、車両ブレーキドラムDは、ドラム受けアーム200の2本の平行アーム部材210、210間に載っているのみであるので、車両ブレーキドラムを容易に回転させることができる。従って、回すことで、ドラムの下側とか、ドラム全体を容易に点検することができる。つまり、良好な使い勝手が得られる。
【0034】
上記状態は、車両ブレーキドラムDの仮止め状態であるため、例えば、図12に示すように、必要により角度調整手段500によりドラム受けアーム200をほぼ水平にする。この水平状態で、車両ブレーキドラムDの他方の片端側(車両装着時外側となる部分)に、スライダクランプ400、400の立設プレート片410、410を、平行アーム部材210、210に沿ってスライドさせて添設させる。勿論、このスライダクランプ400、400は予め平行アーム部材210、210の図12中の左側に退避させておく。
【0035】
スライダクランプ400、400を添設させたとき、車両ブレーキドラム側のボルト軸Db、Dbが立設プレート片410、410の長穴形状のクランプ穴400a、400aを通るため、ボルト軸Db、Dbの突出部分に、既設の固定ナットDc、Dcを締め付ける。これにより、車両ブレーキドラムDの本固定が完了する。
このとき、上述したように、スライダクランプ400の立設プレート片410、クランプ穴400aは、それぞれ円弧状部材、及び円弧状の長穴としてあるため、ドラム中央の突出部分Ddや多数あるボルト軸Dbのうち、隣接する他のボルト軸Dbと干渉することなく、簡単に本固定することができる。
【0036】
後は、この車両ブレーキドラムDの本固定の状態で、台車700を所定の整備貸箇所まで運搬すればよい。運搬時には、昇降手段600により、リフトテーブル610が最も下方まで下がった状態、即ち、X型リンク機構620、620の閉じた状態で行うとよい。これにより、搭載物である車両ブレーキドラムDの重心が下がり、安全な運搬が可能となる。
【0037】
運搬先で、車両ブレーキドラムDを車両用ドラムリムーバ100から外す場合には、ほぼ上記の操作と逆に行えばよい。また、この運搬先で、再度車両ブレーキドラムDを車両用車両用ドラムリムーバ100に積み込む場合には、上記の車両からの取り外した時と同様の操作を行えばよい。
そして、さらに、車両ブレーキドラムDを車両の車軸に取り付ける場合には、上記の車両からの取り外し時とはほぼ逆に操作を行えばよい。
【0038】
なお、上記の実施例では、より一層の低コスト化を狙って、ドラム受けアームの角度調整手段500や高さを調整するための昇降手段600は、手動方式のものを用いてあるが、本発明はこれに限定されない。例えば、角度調整手段500の開閉用雄ネジシャフト552をモータなどの電動機で駆動させるもの、或いは、パンタグラフ型ジャッキ機構550を電動式油圧シリンダで駆動させるものとすることもできる。さらに、昇降手段600にあっても、手動方式の油圧ジャッキ628を電動式に代えたり、X型リンク機構620自体を電動式油圧シリンダで駆動させるものとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る車両用ドラムリムーバの一例を示した概略側面図である。
【図2】図1の車両用ドラムリムーバの右側からの概略正面図である。
【図3】図1の車両用ドラムリムーバの左側からの概略背面図である。
【図4】図1の車両用ドラムリムーバの概略平面図である。
【図5】図1の車両用ドラムリムーバにおける昇降手段の一例を示した概略側面図である。
【図6】図6の昇降手段の概略背面図である。
【図7】図6の昇降手段における油圧ジャッキ、その足踏みペダル及び下降用レバーを示した概略説明図である。
【図8】図1の車両用ドラムリムーバにおける角度調整手段の一例を示した概略側面図である。
【図9】図8の角度調整手段の概略背面図である。
【図10】図8の角度調整手段による傾斜状態の概略側面図である。
【図11】図10の角度調整手段による傾斜状態の概略背面図である。
【図12】図1の車両用ドラムリムーバで車両ブレーキドラムを支持した状態を示した概略側面図である。
【図13】図1の車両用ドラムリムーバにおけるスライダクランプと車両ブレーキドラムのボルト軸などとの関係を示した概略説明図である。
【符号の説明】
【0040】
100・・・車両用ドラムリムーバ、200・・・ドラム受けアーム、210・・・平行アーム部材、300・・・ドラムストッパ、400・・・スライダクランプ、400a・・・クランプ穴、500・・・角度調整手段、510・・・昇降リンク部材、550・・・パンタグラフ型ジャッキ機構、552・・・開閉用雄ネジシャフト、553・・・回転ハンドル、600・・・昇降手段、610・・・リフトテーブル、620・・・X型リンク機構、621、621・・・リンクアーム、625・・・油圧ジャッキ、625a・・・昇降ロッド、627・・・足踏みペダル、629・・・下降用レバー、700・・・台車、730・・・握手スタンド
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ブレーキドラムの交換や運搬を簡単かつ安定にできるようにした簡易形の車両用ドラムリムーバ(交換装置)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両整備場などでは、車両の点検、整備時、車両ブレーキドラムを取り外して点検などを行う必要があるが、車両ブレーキドラムは結構おもく、特に大型車両(大型トラックなど)では、相当な重量物となるため、この作業を、人手のみで行うことは困難である。
このため、従来から、車両ブレーキドラムの交換装置として、移動可能な簡易形のドラムリムーバが提案されている(例えば引用文献1〜2)。
【特許文献1】特開2006−347316号
【特許文献1】特開2006−347317号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、引用文献1〜2のドラムリムーバの場合、簡易形といえども、その構造は結構複雑であるため、取り扱いが面倒で、また、装置の高コスト化が避けられないという問題があった。
【0004】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、より簡単な構造のものとして、低コストで、使い勝手に優れた車両用ドラムリムーバを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明は、2本の開閉可能な平行アーム部材からなり当該平行アーム部材間で車両ブレーキドラムを受けるドラム受けアームと、前記ドラム受けアームの一端寄りに装着されて前記車両ブレーキドラムの片端側を支えるストッパ片からなるドラムストッパと、前記ドラム受けアームの平行アーム部材の少なくとも一方にスライド自在に取り付けられて、前記ドラムストッパとは反対側の車両ブレーキドラムの他方の片端側に添設される立設プレート片からなるスライダクランプと、前記スライダクランプの立設プレート片に設けられて、前記車両ブレーキドラム側のボルト軸が通される長穴形状のクランプ穴とを備え、かつ、前記ドラム受けアームを、その2本の平行アーム部材の傾斜角度を調整するための角度調整手段と、その2本の平行アーム部材の高さを調整するための昇降手段を介して、移動自在の台車のテーブル台部に設置させたことを特徴とする車両用ドラムリムーバにある。
【0006】
請求項2記載の本発明は、前記台車のテーブル台部の一端側に、移動用の握手スタンドを設けたことを特徴とする請求項1記載の車両用ドラムリムーバにある。
【0007】
請求項3記載の本発明は、前記昇降手段は、少なくとも1組のX状に組み付けられた2本のリンクアームを、前記台車のテーブル台部と前記角度調整手段が載るリフトテーブルとの間に設け、その開閉により前記リフトテーブルの高さを調整するX型リンク機構と、前記台車に設置すると共に、その昇降ロッドを前記X型リンク機構の一部に連結させて、前記2本のリンクアームを開閉させる油圧ジャッキと、前記油圧ジャッキの昇降ロッドを上昇させる足踏みペダルと、前記油圧ジャッキの昇降ロッドをジャッキ開閉弁の開成により下降させる下降用レバーとからなることを特徴とする請求項1、又は2記載の車両用ドラムリムーバにある。
【0008】
請求項4記載の本発明は、前記角度調整手段は、前記ドラム受けアームの平行アーム部材のスライダクランプ側の片端側にその一端側を固着させると共に、その反対の他端側を前記リフトテーブル側に軸着させた昇降リンク部材と、前記平行アーム部材の前記スライダクランプ側の片端側と前記リフトテーブルとの間に組み付け、その開閉により前記ドラム受けアームの平行アーム部材の傾斜角度を調整するパンタグラフ型ジャッキ機構と、前記パンタグラフ型ジャッキ機構の棒状の開閉用雄ネジシャフトの一端側に装着された回転ハンドルとからなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の車両用ドラムリムーバにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車両用ドラムリムーバによると、車両ブレーキドラムを受けて保持させる部分を、2本の開閉可能な平行アーム部材からなるドラム受けアームと、これに装置されて車両ブレーキドラムの片端側を支えるドラムストッパと、ドラム受けアームにスライド自在に取り付けられて車両ブレーキドラムの他方の片端側を支えるスライダクランプを、中心部材として構成し、これらを、ドラム受けアームの角度調整手段、昇降手段を介して、移動自在の台車に組み付けた簡単な構造であるため、低コストで、使い勝手に優れた車両用ドラムリムーバを得ることができる。
【0010】
例えば、使用時角度調整手段によって、後述するように、25°程度の角度調整が可能であるため、通常胴部の外径が前後で相違する車両ブレーキドラムにおいても、簡単に水平に受けることができる。言い換えれば、当初から傾斜のない水平部材で受けた場合、車両ブレーキドラムは、その短径側の胴部接触時、傾き、衝撃が発生するなどの問題があるが、上記水平支持によりこの問題は解消される。
また、車両ブレーキドラムを受けるドラム受けアームが、2本の開閉可能な平行アーム部材からなるため、受けた状態で車両ブレーキドラムを容易に回転させることができる。つまり、回してドラムの下側とか、ドラム全体を容易に点検することができる。
また、車両ブレーキドラムは、ドラム受けアームの2本の開閉可能な平行アーム部材間に単に挟まれる形で受けられるため、細かな位置合わせなどは特に必要なく、簡単にドラム交換を行うことができる。特にドラムの取り外し時には、車両ブレーキドラムの一端を、ドラムストッパに引っ掛けて(受けて)、この状態で引き抜くことができるため、簡単に取り外すことができる。つまり、良好な作業性が得られる。
【0011】
また、ドラム受けアームの角度調整手段も、その昇降手段も、手動タイプとした場合、大きなコスト上昇を招くことはなく、装置全体のより一層の低コスト化が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1〜図4は、本発明に係る車両用ドラムリムーバの一例を示したものである。
図中、100は車両用ドラムリムーバの全体を示す。この車両用ドラムリムーバ100において、200は車両ブレーキドラムを受けるドラム受けアーム、300は車両ブレーキドラムの片端側を支えるドラムストッパ、400は車両ブレーキドラムの他方の片端側に添設されるスライダクランプ(フック)、400aはスライダクランプ400の車両ブレーキドラム側のボルト軸が通される長穴形状のクランプ穴、500はドラム受けアーム200の角度調整手段、600はドラム受けアーム200の高さを調整するための昇降手段、700は移動自在の台車である。
【0013】
台車700は、一般的な既存品でも対応できるもので、その受け台となるテーブル台部(矩形状の台板)710の底面側四隅には、キャスターなどの移動具(移動輪)720・・・が取り付けてある。好ましくはこれらの移動具720・・・のうち、台車の後方側(図1中左側、以下この反対側は台車の前方側と記す)となる移動具720、720(図1、図3)にあっては、回転止め用レバーなどのロック部材721、721を内蔵させたものを使用するとよい。これにより、ロック時台車が不用意に動くことを止めることができるため、高い安全性が得られる。また、テーブル台部の後方側には、例えば概略倒U字型などのパイプ材などからなる、移動用の握手スタンド730を設けてある。台車の移動時や確実な停止状態の確保時には、これを引いたり、押さえたりすればよい。
【0014】
台車700のテーブル台部710上には、上記したように、角度調整手段500、及び昇降手段600を介して、ドラム受けアーム200を設置してある。
このドラム受けアーム200は、図1、図4に示すように、中空鋼材などの2本の開閉可能な平行アーム部材210、210からなり、図12に示すように、車両ブレーキドラムDは、2本の部材間のなす、凹み部分に挟まれる形で支持される。
【0015】
ドラム受けアーム200の2本の平行アーム部材210、210は、例えば中空鋼材などのドラム受けベース部材220に対して、各平行アーム部材210、210の一端側(台車の後方側)に固着した筒型などのスライド部材230、230をスライド可能に嵌め込んで取り付けてある。従って、両スライド部材230、230を移動させることにより、各平行アーム部材210、210間の間隔を調整することができる。即ち、アーム部材間の間隔が開閉可能となっている。これにより、取り扱う車両ブレーキドラムの大きさ(外径)に対応することができる。なお、平行アーム部材間の開閉可能な手段としては、スライド可能な構造であれば、上記構造に限定されない。例えば、ドラム受けベース部材220の長手方向にガイド溝などを設け、これに平行アーム部材210、210の一端側に設けた鍔部付きの嵌合部をスライド可能に嵌め込んで取り付けてもよい。
【0016】
一方、ドラム受けアーム200の2本の平行アーム部材210、210の一端寄り(台車の前方側)には、車両ブレーキドラムの片端側(車両装着時内側となる部分)を支えるドラムストッパ300、300を装着させてある。これは、図1、図2に示すように、円盤状のストッパ片からなる。なお、これは円盤状のものに限定されず、矩形状のもの、少なくとも平行アーム部材210、210の上面側に突出する形の板体や棒状体などでもよい。
【0017】
ここで、取り扱う車両ブレーキドラムの場合は、図12に示すように、通常胴部(図示Da部分)の外径が前後で異なり、また、これに伴って重量もアンバランスとなっている。このため、ドラムストッパ300、300の存在は簡単な構造であるが、極めて重要である。つまり、車両から車両ブレーキドラムを取り外す場合、一旦車両ブレーキドラムをドラム受けアーム200で受け、この状態で、車両ブレーキドラムの片端側をドラムストッパ300、300で支えて、仮止め状態(仮固定)とすることができるからである。
このとき、ドラム受けアーム200の図12中右側を少々下げて傾斜させておけば、車両ブレーキドラムは自重によりドラムストッパ300、300に強く密着されるため、安定した支持が得られる。つまり、高い安全性が確保される。また、このときの傾斜は、角度調整手段500で自在に調整することができるため、その傾斜角度を、車両ブレーキドラムDの胴部Daにおける前後外径差が解消できる角度とすれば、車両ブレーキドラムDを受けた状態で、水平(平行アーム部材210、210の軸線に対して水平)に支持することができる。
【0018】
また、ドラム受けアーム200の2本の平行アーム部材210、210には、車両ブレーキドラムの他方の片端側(車両装着時外側となる部分)に添設される立設プレート片410、410からなるスライダクランプ400、400をスライド自在に取り付けてある。この立設プレート片410の形状は、特に問わないが、例えば図2に示すように、ドラム受けアーム200の外側に開いた形状の円弧状とすればよい。この立設プレート片410の基端には、係合穴(図示省略)を設けてあって、これを通じて、平行アーム部材210側にスライド自在に嵌め込んである。ここで、スライド自在としたのは、取り扱う車両ブレーキドラムの大きさによって胴部(図示Da部分)の厚さが変わるわけであるが、これに容易に対応するためである。
【0019】
さらに、この立設プレート片410には、車両ブレーキドラム側のボルト軸(図12中のDb部分)が通される長穴形状のクランプ穴400aを設けてある。
具体的には、円弧状部材に対応した円弧状の長穴としてある。ここで、円弧状の長穴形状としたのは、例えば図13の右側(実線表示部分)に示すように、ドラム中央の突出部分Ddや、多数あるボルト軸Dbのうち、隣接する他のボルト軸Dbとの干渉が避けられるようになるからである。ここで、図13の左側(破線表示部分)に示すように、立設プレート片410’を直線状の部材とし、そのクランプ穴400a’も直線状としたスライダクランプ400’とすると、ドラム中央の突出部分Ddや隣接する他のボルト軸Dbとの干渉が避けられず、目的とするクランプができなくなる恐れがある。
なお、車両ブレーキドラムをドラム受けアーム200の2本の平行アーム部材210、210間で受けたのみでは、上述したように、仮止め状態が実現するため、より確実で安定な本固定は、このクランプ穴400aに車両ブレーキドラム側のボルト軸Dbを通した後、このボルト軸Dbに既設の固定ナット(ドラムから取り外したものナット、図12中のDc)を締め付けて行う。このとき、2個のスライダクランプ400、400があると、より安定した固定が得られるが、1個で対応することも可能である。
【0020】
このように構成されるドラム受けアーム200は、その角度調整手段500を、その高さを調整するための昇降手段600との間に組み込んである。
この角度調整手段500は、その構成は特に限定されないが、本例では、図1、図4、図8〜図11に示すような構成としてある。即ち、ドラム受けアーム200の平行アーム部材210、210のスライダクランプ側の片端側に、具体的にはドラム受けベース部材220に、中空鋼材などからなる昇降リンク部材510の一端側(昇降側)を、L型のアングル部材520を介して、固着させてある。
一方、昇降リンク部材510の他端側は、昇降手段600の天板側をなす、リフトテーブル610側で、台車の前方側寄り部分に軸着具530により軸着させてある。この軸着具530を中心して、昇降リンク部材510は、アングル部材520との固着側が昇降するようになっている。
【0021】
上記アングル部材520のドラム受けベース部材220側に対する固着部分と、昇降手段600のリフトテーブル610側で、台車の後方側寄り部分との間には、その開閉により、ドラム受けアーム200、即ち平行アーム部材210、210の傾斜角度を調整するパンタグラフ型ジャッキ機構550を組み付けてある。
【0022】
このパンタグラフ型ジャッキ機構550は、既存品やその変更品で対応可能なものであって、本例では、図11から明らかなように、4本のリンクアーム551a・・・を菱形で開閉自在に組み付けた2組のパンタグラフセット551、551を用いている。
このパンタグラフセット551、551の台車の幅方向に向く両連接部(雌ネジ部材内蔵、図示省略)間には、ジャッキ機構の棒状の開閉用雄ネジシャフト552を貫通させてある。開閉用雄ネジシャフト552の一端側には、回転ハンドル553を装着させてあり、これを回せば、例えば図8〜図9に示す閉じた状態のパンタグラフセット551、551を、図10〜図11に示す開いた状態のパンタグラフセット551、551とすることができる。勿論、回転ハンドル553を逆方向に回せば、開いた状態のパンタグラフセット551、551を閉じた状態にすることができる。
【0023】
パンタグラフセット551、551の台車の上下方向に向く両連接部は、軸着具554、554を介して、ドラム受けベース部材220側と昇降手段600のリフトテーブル610側に軸着させてある。これらの軸着具554、554の装着部分には、図11に示すように、各リンクアーム551a・・・の端部に固着させた歯車からなる歯車機構555、555を内蔵させてある。隣接する両パンタグラフセット551、551間の歯車が互いに噛み合うことで、菱形形状を維持することができる。つまり、回転ハンドル553を回さなければ、そのときの状態を安定して維持することができる。
【0024】
このように構成される角度調整手段500による角度調整は、特に問わないが、図1に示すように、水平基準に対して、25°程度としてある。
上述したように、車両ブレーキドラムはその前後で外径が異なり、また、重量もアンバランスとなっているため、車両ブレーキドラムの交換時、ドラム受けアーム200を少々傾けておいた方がかえって作業し易く、安全なことがある。従って、上記程度の角度調整の範囲があれば、十分なものと言える。ここで、特に、傾斜角度を、車両ブレーキドラム胴部の前後外径差を解消する角度としておけば、車両ブレーキドラムをほぼ水平に支持することができる。この結果、例えば、当初から傾斜のない水平部材で受けた場合、車両ブレーキドラムは、その短径側の胴部の接触時、傾き、衝撃が発生するなどの問題が起こるが、この問題は解消される。つまり、高い安全性が得られる。
【0025】
この角度調整手段500が載る、ドラム受けアーム200の高さを調整するための昇降手段600は、図1、図5〜図6に示すように、X状に組み付けられた2本のリンクアーム621、621からなる2組のX型リンク機構620、620を、台車のテーブル台部710上に設けてある。ここで、2組とは、台車700の前後方向の左右縁部寄りの2箇所に設けてあることを意味する。なお、1組で対応することも可能である。
【0026】
この1組のX型リンク機構620について、より具体的に示すと、2本のリンクアーム621、621のうち、台車700の後方側になる各端部側は、それぞれの軸着具622、622を介して、台車700のテーブル台部710の後方側とリフトテーブル610の後方側底面に軸着させてある。
【0027】
また、1組のX型リンク機構620をなす2本のリンクアーム621、621のうち、台車700の前方側になる各端部側(遊端側)には、それぞれの回転輪(コロ)623、623を軸着させて、リフトテーブル610の底面側と台車700のテーブル台部710の上面側に転接させてある。つまり、2本のリンクアーム621、621は、そのほぼ中央部分の軸着部624を中心にして、開閉できるようになっている。この開閉によって、リフトテーブル610の高さを調整することができる。この調整高さhは、特に限定されないが、通常車両整備場などの床面から車両ブレーキドラム下端までの高さは、500〜800mm程度であるため、500mm程度もあれば十分である。
【0028】
上記2組のX型リンク機構620、620を開閉駆動させる油圧ジャッキ625は、台車700のテーブル台部710の底面側に付設してある。そして、その昇降ロッド625aを、上記X型リンク機構620、620間に渡した連接部材626に固着してある。
この昇降ロッド625aを昇降させる足踏みペダル627は、図5に示すように、そのペダルロッド627aを、油圧ジャッキ625のプランジャ部628側に足踏み可能な状態で連係させてある。具体的には、ペダルロッド627aの先端寄りの途中を、プランジャ部628の復帰バネ628aにより弾性付勢されている昇降駆動部材628bに軸着させる一方、その先端を、プランジャ部628側に軸着されたリンクアーム628cに軸着させてある。なお、628dは復帰バネ628aが装着されると共に、昇降駆動部材628bの昇降ガイドとなるガイド軸である。
【0029】
これにより、足踏みペダル627を踏み込めば、復帰パネ628aに抗して昇降駆動部材628bが押し下げられて、油圧ジャッキ625が駆動するため、内蔵のシリンダ側にオイルが供給されて、昇降ロッド625aが上昇する。踏み込みを弛めれば復帰パネ628aにより足踏みペダル627は復帰するため、引き続き踏み込めばよい。
この昇降ロッド625aの上昇によって、リフトテーブル610を簡単かつ迅速に適宜高さまで上げることができる。
【0030】
この昇降された昇降ロッド625aの下降は、油圧ジャッキ625のジャッキ開閉弁(内蔵弁、図示省略)を、下降用レバー629により開成させればよい。この下降用レバー629は、図5、図7に示すように、リンクロッド629a、629b、629cを通じて、ジャッキ開閉弁の駆動部(回動軸)629dに連係させてある。
この連係機構により、下降用レバー629を操作して、リンクロッド629aを、図5に示すように、回転させ、リンクロッド629bの進退によりジャッキ開閉弁の駆動部629dをいずれかの方向に回せば、ジャッキ開閉弁が開成させれて、油圧ジャッキ625の昇降ロッド625aは降下する。逆の操作で、ジャッキ開閉弁の駆動部629dを逆方向に回せば、ジャッキ開閉弁が閉じられる。なお、図7に示す、629eは下降用レバー629を自動復帰させるための復帰パネである。
【0031】
このように構成された本発明の車両用ドラムリムーバ100で、対象の車両から車両ブレーキドラムを取り外すには、先ず、リフトアップされた対象の車両の車両ブレーキドラム下方に進める。このとき、通常は、図1に示すように、昇降手段600を閉じ状態とし、ドラム受けアーム200を閉じておく。また、角度調整手段500によりドラム受けアーム200を水平にしておくとよい。なお、使い慣れれば、車両ブレーキドラムの大凡の高さを推測して、ドラム受けアーム200の高さをある程度の高さにすると共に、角度調整手段500でドラム受けアーム200を、図1の破線に示すように、ある程度傾斜を持たせて、図中右側を低くしておいてもよい。
【0032】
このようにして、車両用ドラムリムーバ100を車両ブレーキドラム下方に進めたら、上記のように、角度調整手段500によりドラム受けアーム200を適度の角度(好ましくは胴部に外径差のある車両ブレーキドラムが水平に支持される角度)を持たせた上で、昇降手段600によりドラム受けアーム200を上昇させる。
そして、車両のロック解除済みの車両ブレーキドラムDの下面側に、ドラム受けアーム200の2本の平行アーム部材210、210を添えて、支える一方、車両ブレーキドラムDの片端側(車両装着時内側となる部分)にドラムストッパ300、300を当てて引っ掛ける。この状態で、台車ごと車両用ドラムリムーバ100を引けば、簡単に車両ブレーキドラムを取り外すことができる。これにより、車両ブレーキドラムDは、ドラム受けアーム200側に落し込まれる形で支持される。従って、安全でかつ迅速な交換作業が確保される。なお、このとき、車両ブレーキドラムDの大きさに合わせて、2本の平行アーム部材210、210を適宜スライドさせて、その間隔を調整すればよい。
【0033】
この状態では、車両ブレーキドラムDは、ドラム受けアーム200の2本の平行アーム部材210、210間に載っているのみであるので、車両ブレーキドラムを容易に回転させることができる。従って、回すことで、ドラムの下側とか、ドラム全体を容易に点検することができる。つまり、良好な使い勝手が得られる。
【0034】
上記状態は、車両ブレーキドラムDの仮止め状態であるため、例えば、図12に示すように、必要により角度調整手段500によりドラム受けアーム200をほぼ水平にする。この水平状態で、車両ブレーキドラムDの他方の片端側(車両装着時外側となる部分)に、スライダクランプ400、400の立設プレート片410、410を、平行アーム部材210、210に沿ってスライドさせて添設させる。勿論、このスライダクランプ400、400は予め平行アーム部材210、210の図12中の左側に退避させておく。
【0035】
スライダクランプ400、400を添設させたとき、車両ブレーキドラム側のボルト軸Db、Dbが立設プレート片410、410の長穴形状のクランプ穴400a、400aを通るため、ボルト軸Db、Dbの突出部分に、既設の固定ナットDc、Dcを締め付ける。これにより、車両ブレーキドラムDの本固定が完了する。
このとき、上述したように、スライダクランプ400の立設プレート片410、クランプ穴400aは、それぞれ円弧状部材、及び円弧状の長穴としてあるため、ドラム中央の突出部分Ddや多数あるボルト軸Dbのうち、隣接する他のボルト軸Dbと干渉することなく、簡単に本固定することができる。
【0036】
後は、この車両ブレーキドラムDの本固定の状態で、台車700を所定の整備貸箇所まで運搬すればよい。運搬時には、昇降手段600により、リフトテーブル610が最も下方まで下がった状態、即ち、X型リンク機構620、620の閉じた状態で行うとよい。これにより、搭載物である車両ブレーキドラムDの重心が下がり、安全な運搬が可能となる。
【0037】
運搬先で、車両ブレーキドラムDを車両用ドラムリムーバ100から外す場合には、ほぼ上記の操作と逆に行えばよい。また、この運搬先で、再度車両ブレーキドラムDを車両用車両用ドラムリムーバ100に積み込む場合には、上記の車両からの取り外した時と同様の操作を行えばよい。
そして、さらに、車両ブレーキドラムDを車両の車軸に取り付ける場合には、上記の車両からの取り外し時とはほぼ逆に操作を行えばよい。
【0038】
なお、上記の実施例では、より一層の低コスト化を狙って、ドラム受けアームの角度調整手段500や高さを調整するための昇降手段600は、手動方式のものを用いてあるが、本発明はこれに限定されない。例えば、角度調整手段500の開閉用雄ネジシャフト552をモータなどの電動機で駆動させるもの、或いは、パンタグラフ型ジャッキ機構550を電動式油圧シリンダで駆動させるものとすることもできる。さらに、昇降手段600にあっても、手動方式の油圧ジャッキ628を電動式に代えたり、X型リンク機構620自体を電動式油圧シリンダで駆動させるものとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る車両用ドラムリムーバの一例を示した概略側面図である。
【図2】図1の車両用ドラムリムーバの右側からの概略正面図である。
【図3】図1の車両用ドラムリムーバの左側からの概略背面図である。
【図4】図1の車両用ドラムリムーバの概略平面図である。
【図5】図1の車両用ドラムリムーバにおける昇降手段の一例を示した概略側面図である。
【図6】図6の昇降手段の概略背面図である。
【図7】図6の昇降手段における油圧ジャッキ、その足踏みペダル及び下降用レバーを示した概略説明図である。
【図8】図1の車両用ドラムリムーバにおける角度調整手段の一例を示した概略側面図である。
【図9】図8の角度調整手段の概略背面図である。
【図10】図8の角度調整手段による傾斜状態の概略側面図である。
【図11】図10の角度調整手段による傾斜状態の概略背面図である。
【図12】図1の車両用ドラムリムーバで車両ブレーキドラムを支持した状態を示した概略側面図である。
【図13】図1の車両用ドラムリムーバにおけるスライダクランプと車両ブレーキドラムのボルト軸などとの関係を示した概略説明図である。
【符号の説明】
【0040】
100・・・車両用ドラムリムーバ、200・・・ドラム受けアーム、210・・・平行アーム部材、300・・・ドラムストッパ、400・・・スライダクランプ、400a・・・クランプ穴、500・・・角度調整手段、510・・・昇降リンク部材、550・・・パンタグラフ型ジャッキ機構、552・・・開閉用雄ネジシャフト、553・・・回転ハンドル、600・・・昇降手段、610・・・リフトテーブル、620・・・X型リンク機構、621、621・・・リンクアーム、625・・・油圧ジャッキ、625a・・・昇降ロッド、627・・・足踏みペダル、629・・・下降用レバー、700・・・台車、730・・・握手スタンド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の開閉可能な平行アーム部材からなり当該平行アーム部材間で車両ブレーキドラムを受けるドラム受けアームと、前記ドラム受けアームの一端寄りに装着されて前記車両ブレーキドラムの片端側を支えるストッパ片からなるドラムストッパと、前記ドラム受けアームの平行アーム部材の少なくとも一方にスライド自在に取り付けられて、前記ドラムストッパとは反対側の車両ブレーキドラムの他方の片端側に添設される立設プレート片からなるスライダクランプと、前記スライダクランプの立設プレート片に設けられて、前記車両ブレーキドラム側のボルト軸が通される長穴形状のクランプ穴とを備え、かつ、前記ドラム受けアームを、その2本の平行アーム部材の傾斜角度を調整するための角度調整手段と、その2本の平行アーム部材の高さを調整するための昇降手段を介して、移動自在の台車のテーブル台部に設置させたことを特徴とする車両用ドラムリムーバ。
【請求項2】
前記台車のテーブル台部の一端側に、移動用の握手スタンドを設けたことを特徴とする請求項1記載の車両用ドラムリムーバ。
【請求項3】
前記昇降手段は、少なくとも1組のX状に組み付けられた2本のリンクアームを、前記台車のテーブル台部と前記角度調整手段が載るリフトテーブルとの間に設け、その開閉により前記リフトテーブルの高さを調整するX型リンク機構と、前記台車に設置すると共に、その昇降ロッドを前記X型リンク機構の一部に連結させて、前記2本のリンクアームを開閉させる油圧ジャッキと、前記油圧ジャッキの昇降ロッドを上昇させる足踏みペダルと、前記油圧ジャッキの昇降ロッドをジャッキ開閉弁の開成により下降させる下降用レバーとからなることを特徴とする請求項1、又は2記載の車両用ドラムリムーバ。
【請求項4】
前記角度調整手段は、前記ドラム受けアームの平行アーム部材のスライダクランプ側の片端側にその一端側を固着させると共に、その反対の他端側を前記リフトテーブル側に軸着させた昇降リンク部材と、前記平行アーム部材の前記スライダクランプ側の片端側と前記リフトテーブルとの間に組み付け、その開閉により前記ドラム受けアームの平行アーム部材の傾斜角度を調整するパンタグラフ型ジャッキ機構と、前記パンタグラフ型ジャッキ機構の棒状の開閉用雄ネジシャフトの一端側に装着された回転ハンドルとからなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の車両用ドラムリムーバ。
【請求項1】
2本の開閉可能な平行アーム部材からなり当該平行アーム部材間で車両ブレーキドラムを受けるドラム受けアームと、前記ドラム受けアームの一端寄りに装着されて前記車両ブレーキドラムの片端側を支えるストッパ片からなるドラムストッパと、前記ドラム受けアームの平行アーム部材の少なくとも一方にスライド自在に取り付けられて、前記ドラムストッパとは反対側の車両ブレーキドラムの他方の片端側に添設される立設プレート片からなるスライダクランプと、前記スライダクランプの立設プレート片に設けられて、前記車両ブレーキドラム側のボルト軸が通される長穴形状のクランプ穴とを備え、かつ、前記ドラム受けアームを、その2本の平行アーム部材の傾斜角度を調整するための角度調整手段と、その2本の平行アーム部材の高さを調整するための昇降手段を介して、移動自在の台車のテーブル台部に設置させたことを特徴とする車両用ドラムリムーバ。
【請求項2】
前記台車のテーブル台部の一端側に、移動用の握手スタンドを設けたことを特徴とする請求項1記載の車両用ドラムリムーバ。
【請求項3】
前記昇降手段は、少なくとも1組のX状に組み付けられた2本のリンクアームを、前記台車のテーブル台部と前記角度調整手段が載るリフトテーブルとの間に設け、その開閉により前記リフトテーブルの高さを調整するX型リンク機構と、前記台車に設置すると共に、その昇降ロッドを前記X型リンク機構の一部に連結させて、前記2本のリンクアームを開閉させる油圧ジャッキと、前記油圧ジャッキの昇降ロッドを上昇させる足踏みペダルと、前記油圧ジャッキの昇降ロッドをジャッキ開閉弁の開成により下降させる下降用レバーとからなることを特徴とする請求項1、又は2記載の車両用ドラムリムーバ。
【請求項4】
前記角度調整手段は、前記ドラム受けアームの平行アーム部材のスライダクランプ側の片端側にその一端側を固着させると共に、その反対の他端側を前記リフトテーブル側に軸着させた昇降リンク部材と、前記平行アーム部材の前記スライダクランプ側の片端側と前記リフトテーブルとの間に組み付け、その開閉により前記ドラム受けアームの平行アーム部材の傾斜角度を調整するパンタグラフ型ジャッキ機構と、前記パンタグラフ型ジャッキ機構の棒状の開閉用雄ネジシャフトの一端側に装着された回転ハンドルとからなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の車両用ドラムリムーバ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−308052(P2008−308052A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157980(P2007−157980)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(591099175)自動車整機工業株式会社 (1)
【出願人】(000252816)株式会社イヤサカ (3)
【出願人】(000226600)株式会社アルティア (48)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(591099175)自動車整機工業株式会社 (1)
【出願人】(000252816)株式会社イヤサカ (3)
【出願人】(000226600)株式会社アルティア (48)
【Fターム(参考)】
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